JP2019032404A - 空中映像表示装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】偏向光学素子を用いた構成で、装置の薄型化を図りつつ、広がりを持つ光の偏向に起因するゴーストの発生を低減する。【解決手段】空中映像表示装置は、平面視で互いに直交する複数の反射面を有する光学プレートと、被対象物と光学プレートとの間に、被対象物側から順に、偏向光学素子と、透過制御部材5とを有する。偏向光学素子は、被対象物からの光を偏向して出射する。透過制御部材5は、偏向光学素子からの光を所定範囲内の拡散角度に制限して透過させ、厚み方向とは異なる方向に透過率が最大である。透過制御部材5は、透過率が最大である方向に透過する光線が、光学プレートに対して所望の角度範囲で入射するように配置される。【選択図】図7

Description

本発明は、被対象物の実像を空中に結像させる空中映像表示装置に関するものである。
近年、特殊な光学プレートを使用して被対象物の実像を空中に結像させ、その実像を観察者に観察させる空中映像表示装置が提案されてきている。ここで、被対象物には、ディスプレイ(例えば液晶表示装置(LCD))のほか、3次元的な物体も含まれるが、広義には、ディスプレイに表示される画像も含まれるものとする。
通常、空中における実像(空中像)の結像位置は、光学プレートに対して被対象物と面対象となる位置であるため、観察者に見やすい空中像を提供すべく、光学プレートから大きく離れた位置に空中像を結像させる場合には、光学プレートに対して被対象物を大きく離す必要がある。そのため、光学プレートと被対象物とを含む空間が大きくなり、空中映像表示装置が大型化してしまう。また、空中像の観察時にゴースト像が併せて観察されると、ゴースト像が空中像の視認性を低下させる要因となる。このため、装置の薄型化とゴースト像の低減とを両立し得る空中映像表示装置を実現することが望まれる。
ここで、空中像は、被対象物からの光が光学プレートの複数の反射面(平面視で互いに直交する)で2回反射されることによって空中に結像される。このとき、光学プレートでの反射回数が1回のみである光(1回反射光とも称する)が、上記空中像を観察する観察者の目に入ると、観察者には1回反射光による虚像がゴースト像として視認されてしまう。その結果、観察者は、空中に結像された正規の実像を観察しにくくなる。
この点、例えば特許文献1では、被対象物(例えばフラットパネルディスプレイ)から光学プレートに向かう光の拡散角度を、拡散角度制限部材によって所定の角度範囲内に制限することにより、1回反射光が観察者の目に入るのを回避し、これによってゴーストとなる虚像の発生を抑えて、観察者に実像を見やすくしている。しかし、特許文献1では、装置の薄型化についての方策は何ら示されていない。
一方、例えば特許文献2では、光学プレートに対して被対象物側に、偏向光学素子としてリニアプリズムを配置することで、装置を薄型化する構成が開示されている。リニアプリズムは、一方向に同一形状(例えば断面直角三角形)で延びる複数の構造体(プリズム)を複数並列に形成した光学部材である。被対象物からの光をリニアプリズムによって屈折させて偏向し、光学プレートに入射させることにより、光学プレートに対して被対象物を傾けて近づけた配置であっても、リニアプリズムから光学プレートに対しては所望の入射角度(例えば45°〜50°)に近づけて光線を入射させることができる。これにより、装置の薄型化を実現するようにしている。
特開2013−182121号公報(請求項1、2、段落〔0008〕、〔0046〕、図1等参照) 特開2017−26734号公報(請求項1、段落〔0007〕、〔0019〕、図1等参照)
被対象物(例えばLCD)から出射される光は、一般的に完全な平行光ではなく、一定の広がりを持っている。このように広がりを持つ光が偏向光学素子に入射すると、偏向光学素子の内部で、上記所望の入射角度以外の角度に偏向されて、光学プレートに入射する光線も存在する。このような光線は、ゴースト像を生じさせる要因となる。特許文献2では、装置の薄型化を図りつつ、広がりを持つ光の偏向によって生じるゴースト像を低減する対策までは検討されていない。
本発明は、上記の問題点を解決するためになされたもので、その目的は、偏向光学素子を用いた構成で、装置の薄型化を図りつつ、広がりを持つ光の偏向に起因するゴーストの発生を低減することができる空中映像表示装置を提供することにある。
本発明の一側面に係る空中映像表示装置は、平面視で互いに直交する複数の反射面を有する光学プレートを備え、被対象物からの光を前記複数の反射面で反射させて、該光学プレートに対して前記光の入射側とは反対側の空中に導き、前記被対象物の実像を前記空中に結像させる空中映像表示装置であって、前記被対象物と前記光学プレートとの間に、前記被対象物側から順に、前記被対象物からの光を偏向して出射する偏向光学素子と、前記偏向光学素子からの光を所定範囲内の拡散角度に制限して透過させ、厚み方向とは異なる方向に透過率が最大である透過制御部材とを有しており、前記透過制御部材は、透過率が最大である方向に透過する光線が、前記光学プレートに対して所望の角度範囲で入射するように配置されている。
前記透過制御部材は、透光性の平板部材と、前記平板部材の内部で互いに離間して配置される複数の遮光板とを有しており、前記複数の遮光板は、透過率が最大となる方向と平行または略平行となるように、前記平板部材の厚み方向に対して傾斜した状態で配置されていることが望ましい。
上記の空中映像表示装置は、前記偏向光学素子に対して前記被対象物側に配置され、前記被対象物からの光を、所定範囲内の拡散角度に制限して出射する拡散制限部材をさらに備えていることが望ましい。
前記拡散制限部材は、透光性部材と、前記透光性部材の内部で互いに離間して配置される複数の遮光板とを有していることが望ましい。
前記拡散制限部材の前記複数の遮光板は、前記透光性部材の内部に、前記透光性部材の厚み方向と平行に配置されていることが望ましい。
前記偏向光学素子に対して光入射側および光出射側の少なくとも一方に、拡散板が配置されていることが望ましい。
前記偏向光学素子は、前記光学プレートの光入射側の面に入射する光線の、前記光入射側の面の法線を基準とする入射角度が大きくなる側に、前記被対象物からの光を屈折させて偏向する屈折型の光学素子であってもよい。
前記屈折型の光学素子は、透光性の平板と、一方向に同一形状で延び、前記平板に対して前記被対象物側に並列に配置される複数の構造体とを有し、前記被対象物からの光が、前記構造体および前記平板を順次透過する際の屈折によって、前記一方向に垂直な面内で前記被対象物からの光を偏向するリニアプリズムであってもよい。
前記偏向光学素子は、前記光学プレートの光入射側の面に入射する光線の、前記光入射側の面の法線を基準とする入射角度が大きくなる側に、前記被対象物からの光を反射させて偏向する反射型の光学素子であってもよい。
前記反射型の光学素子は、透光性の平板と、前記平板の内部に互いに離間して配置され、前記平板の互いに対向する2面のうちの一方の面から入射した前記被対象物からの光を反射によって偏向して、他方の面から出射させる複数の反射偏向面とを有していてもよい。
上記の構成によれば、偏向光学素子を用いた構成で、装置の薄型化を図りつつ、広がりを持つ光の偏向に起因するゴーストの発生を低減することができる。
本発明の実施形態に係る空中映像表示装置の全体の構成を模式的に示す断面図である。 上記空中映像表示装置が備える光学プレートの概略の構成を示す斜視図である。 上記空中映像表示装置が備える屈折型の偏向光学素子の概略の構成を示す断面図である。 上記屈折型の偏向光学素子の平面図である。 参考例の空中映像表示装置の概略の構成を示す断面図である。 上記屈折型の偏向光学素子に入射して偏向される異なる光線の光路を示す説明図である。 上記空中映像表示装置の透過制御部材の概略の構成を示す断面図である。 上記透過制御部材の透過率分布を示すグラフである。 上記空中映像表示装置が備える反射型の偏向光学素子の概略の構成を示す断面図である。 上記反射型の偏向光学素子の製造工程を模式的に示す説明図である。 上記反射型の偏向光学素子に入射して偏向される異なる光線の光路を示す説明図である。 空中像の輝度を測定する様子を模式的に示す説明図である。 観察角度と空中像の輝度との関係を模式的に示すグラフである。 観察角度とゴースト像の輝度との関係を模式的に示すグラフである。 上記空中映像表示装置の他の構成を模式的に示す断面図である。 上記空中映像表示装置が備える拡散制限部材の詳細な構成を示す断面図である。 半値角120°の光源から出射される光線の角度分布を示す説明図である。 半値角90°の光源から出射される光線の角度分布を示す説明図である。 半値角60°の光源から出射される光線の角度分布を示す説明図である。 図17の角度分布を有する光源を用いて偏向光学素子に光を垂直に入射させた場合に、偏向光学素子から出射される光線の角度分布を示す説明図である。 図18の角度分布を有する光源を用いて偏向光学素子に光を垂直に入射させた場合に、偏向光学素子から出射される光線の角度分布を示す説明図である。 図19の角度分布を有する光源を用いて偏向光学素子に光を垂直に入射させた場合に、偏向光学素子から出射される光線の角度分布を示す説明図である。 上記空中映像表示装置のさらに他の構成を模式的に示す断面図である。
本発明の実施の一形態について、図面に基づいて説明すれば、以下の通りである。なお、本明細書において、数値範囲をa〜bと表記した場合、その数値範囲に下限aおよび上限bの値は含まれるものとする。また、本発明は、以下の内容に限定されるものではない。
(空中映像表示装置の全体構成)
図1は、本実施形態の空中映像表示装置1の全体の構成を模式的に示す断面図である。空中映像表示装置1は、被対象物の実像を空中に映像M(空中像)として結像させるものであり、ディスプレイ2と、光学プレート3と、偏向光学素子4と、透過制御部材5とを備えている。偏向光学素子4および透過制御部材5は、ディスプレイ2と光学プレート3との間に、ディスプレイ2側からこの順で配置されている。ディスプレイ2、偏向光学素子4および透過制御部材5は、互いに接して配置されているが、互いに離間して配置されてもよい。なお、偏向光学素子4および透過制御部材5の詳細については後述する。
ディスプレイ2は、画像を表示するデバイスであり、例えば液晶表示装置(LCD)や有機EL(Electro Luminescence)表示装置で構成される。本実施形態では、ディスプレイ2自体またはディスプレイ2の表示面2aに表示される画像が被対象物を構成している。したがって、本実施形態において、被対象物の実像とは、ディスプレイ2の表示面2aに表示される画像の実像を指す。ディスプレイ2は、偏向光学素子4および透過制御部材5とともに、筐体6内に配置されている。
光学プレート3は、ディスプレイ2から偏向光学素子4および透過制御部材5を介して入射する光を内部で反射させて、空中に映像Mを結像する光学素子であり、筐体6の開口部6aに位置している。なお、光学プレート3は、筐体6の内部に収容されてもよい。この場合、筐体6内部の光学プレート3から出射される光を、開口部6aを介して素通しする構成であってもよく、上記の開口部6aに透明カバーを設置して、透明カバーを透過させる構成としてもよい。
図2は、光学プレート3の概略の構成を示す斜視図である。本実施形態では、光学プレート3は、2枚の光学パネル20・30を積層して構成されている。光学パネル20は、光学パネル20・30の積層方向(例えばZ方向)に垂直な面内で互いに垂直な2方向のうちの一方向(例えばX方向)に、複数の板状部材21を接着層を介して並べることによって形成されている。光学パネル30は、上記2方向のうちの他の方向(例えばY方向)に、複数の板状部材31を接着層を介して並べることによって形成されている。
各板状部材21は、Y方向に長尺状に形成される透明基板21aと、該透明基板21aにおけるX方向に対向する2面のうちの少なくとも一方に形成される反射面21bとを有している。同様に、各板状部材31は、X方向に長尺状に形成される透明基板31aと、該透明基板31aにおけるY方向に対向する2面のうちの少なくとも一方に形成される反射面31bとを有している。
上記の構成において、ディスプレイ2からの光は、偏向光学素子4および透過制御部材を介して光学プレート3に入射し、光学プレート3の複数の反射面(反射面21b・31b)で反射された後、光学プレート3に対して上記光の入射側とは反対側の空中に導かれる。これにより、ディスプレイ2の表示面2aに表示された画像の実像が映像(空中像)Mとして空中に結像される。なお、光学プレート3によって空中に実像が結像される原理については、特許文献2と同様であるため、その詳細な説明を省略する。
なお、光学プレート3としては、上記の2層構造のほか、互いに直交する反射面(平面視でV字型(L字型))を同一面上にアレイ状に並べた1層構造のものを用いることもできる。
(偏向光学素子について)
図1で示した偏向光学素子4は、光学プレート3の光入射側の面3aに入射する光線の、光入射側の面3aの法線Tを基準とする入射角度θが大きくなる側に、ディスプレイ2からの光を屈折させて偏向する屈折型の光学素子である。つまり、光学プレート3に対するディスプレイ2の傾斜角度を一定とし、ディスプレイ2からの光を(偏向光学素子4を介さずに)光学プレート3に直接入射させたときの、面3aの法線Tを基準とする入射角度をθ’としたとき、偏向光学素子4は、θ>θ’となるようにディスプレイ2からの光を屈折させて偏向する。
図3は、偏向光学素子4の概略の構成を示す断面図であり、図4は、偏向光学素子4のディスプレイ2側からの平面図である。偏向光学素子4は、透光性の平板41と、一方向(図3では紙面に垂直な方向)に同一形状(例えば断面直角三角形状)で延び、平板41に対してディスプレイ2側に、平板41に沿う上記一方向とは垂直な方向において、並列に配置される複数の構造体(プリズム)42とを有するリニアプリズムである。平板41および複数の構造体42は、同一材料(例えば樹脂)で一体的に形成されている。ディスプレイ2からの光は、構造体42および平板41を順次透過する際の屈折により、上記一方向に垂直な面内で上記入射角度θが大きくなる側に偏向される。なお、上記一方向は、光学プレート3の反射面21b・31bのそれぞれと平面視で45°の角度で交差する方向である。
ここで、偏向光学素子4の構造体42の斜面42aと平板41とのなす角度を、プリズム角α(°)と呼ぶ。なお、このプリズム角αは、立ち上がり角とも呼ばれる。偏向光学素子4での入射光の偏向角度は、偏向光学素子4の材質の屈折率と、プリズム角αとによって決まる。例えば、偏向光学素子4の材質が、屈折率1.49のPMMA(ポリメタクリル酸メチル樹脂)であるとすると、プリズム角αが40°である場合、ディスプレイ2から出射され、平板41の法線方向から構造体42に入射した光線は、構造体42と空気層との界面、および平板41と空気層との界面での屈折により、偏向光学素子4(平板41)から出射されるときに、約22°偏向される。したがって、図1に示す、光学プレート3に対するディスプレイ2の傾斜角度φ(°)が例えば23°となるようにディスプレイ2を配置することにより、ディスプレイ2から出射される光線を、偏向光学素子4を介して、光学プレート3に対して(光学プレート3に対する角度で)45°に近い所望の範囲で入射させることが可能となる。
また、図5は、参考例1の空中映像表示装置1aの概略の構成を示す断面図である。この空中映像表示装置1aは、ディスプレイ2と光学プレート3との間に偏向光学素子4を配置せず、光学プレート3に対してディスプレイ2を45°傾斜させて配置し、ディスプレイ2からの光を直接光学プレート3に入射させる構成である。被対象物(ディスプレイ2)として、LCDなどの一般的な表示装置を用いる場合、上記表示装置は正面輝度が最も高いため、図5のように、上記表示装置から出射される光が光学プレート3に対して所望の角度(45°)で入射するようにディスプレイ2を配置することで、光学プレート3を介して結像される空中像の輝度を増大させることができる。しかし、この構成では、ディスプレイ2が上記のように傾斜して配置されていることにより、空中映像表示装置1aの厚み(奥行きD2)がディスプレイ2の大きさによって決定してしまい(具体的には、奥行きD2を、(ディスプレイ2の表示面の長さ)×(1/√2)よりも大きくすることが必要となり)、空中映像表示装置1aの薄型化が困難となる。
また、空中映像表示装置1aの薄型化を図るべく、光学プレート3に対してディスプレイ2を平行に配置する構成が考えられる。しかし、この構成では、光学プレート3に対して所望の角度(45°)から大きく乖離した角度でディスプレイ2からの光が入射することになるため、光学プレート3での反射の効率が低下し、空中像の輝度が低下したり、ゴーストが発生することが懸念される。
この点、本実施形態のように、ディスプレイ2と光学プレート3との間に偏向光学素子4を配置することにより、光学プレート3に対してディスプレイ2を平行に配置しなくても、ディスプレイ2から出射される光線を、偏向光学素子4を介して、光学プレート3に対して所望の角度範囲で入射させることができるため、空中像の輝度低下およびゴーストの発生を抑えることが可能となる。しかも、光学プレート3に対するディスプレイ2の傾斜角度として45°以下(上記の例では23°)を実現できるため、空中映像表示装置1の厚み(奥行きD1)を、参考例1の空中映像表示装置1aの厚み(奥行きD2)よりも確実に薄くすることが可能となる。
また、屈折型の偏向光学素子4は、透光性の平板41と、複数の構造体42とを有する上述のリニアプリズムで構成されているため、構造体42および平板42により、光学プレート3の法線Tに対する入射角度θが大きくなる側に、ディスプレイ2からの光を確実に屈折させることができ、屈折型の偏向光学素子4を確実に実現することができる。
ところで、図6は、本実施形態の偏向光学素子4に入射して偏向される異なる光線L11・L12の光路を示している。ディスプレイ2からの光は、完全な平行光ではなく、広がりを持つ光であるため、ディスプレイ2から偏向光学素子4に入射する光線の位置や入射角度によっては、偏向光学素子4での偏向によって光学プレート3に対して所望の角度範囲(例えば45°〜50°)で入射する光線(例えば光線L11)も存在するし、上記所望の角度範囲から大きく離れた角度で入射する光線(例えば光線L11とは逆方向に偏向される光線L12)も存在する。なお、光線L12としては、例えば、ディスプレイ2から出射されて、偏向光学素子4の構造体42の斜面42aを透過し、平板41に垂直な側面42bで全反射され、平板41から出射される光線が考えられる。このような光線L12は、光学プレート3に対して所望の角度範囲で入射しないため、ゴーストを発生させる原因となる。したがって、このような光線L12の光学プレート3への入射を低減することが望ましい。
そこで、本実施形態では、偏向光学素子4の光学プレート3側に透過制御部材5を配置することによって、広がりを持つ光の偏向光学素子4での偏向に起因するゴーストの発生を低減するようにしている。以下、透過制御部材5の詳細について説明する。
(透過制御部材について)
図7は、透過制御部材5の概略の構成を示す断面図である。透過制御部材5は、偏向光学素子4からの光を所定範囲内の拡散角度に制限して透過させる平板状の光学部材である。透過制御部材5は、透光性の平板部材51と、平板部材51の内部で互いに離間して配置される複数の遮光板52とを有している。平板部材51は、例えば透明な樹脂(例えばシリコーンゴム)で構成されており、光入射側の面51aおよび光出射側の面51bを有している。これらの面51a・51bは、平板部材51の厚み方向に垂直な面であり、互いに対向している。複数の遮光板52は、例えば黒色顔料を含有する樹脂(例えばシリコーンゴム)で構成されており、帯状に形成され、平板部材51の内部に所定のピッチで並んで配置されているとともに、平板部材51の厚み方向(面51a・51bの法線Nの方向)に対して傾斜した状態で配置されている。本実施形態では、複数の遮光板52は、法線Nに対して約20°傾斜しているが、この傾斜角度は適宜変更可能である。
また、図8は、本実施形態の透過制御部材5の透過率分布を示している。上記のように複数の遮光板52が法線Nに対して傾斜していることにより、透過制御部材5の面51aに入射する光線の入射方向(透過制御部材5の透過方向)によっては、遮光板52で吸収される光線や、遮光板52で吸収されずに面51bから出射される光線が存在する。その結果、透過制御部材5を透過する光線の透過率は、平板部材51の厚み方向を基準とする角度に応じて変化する特性となっている。具体的には、複数の遮光板52が法線Nに対して約20°傾斜している場合、透過制御部材5(例えば1.0mm厚)を透過する光線の透過率は、法線Nに対して約20°傾斜した方向(γ≒20°)において最大(80%)となり、上記透過率が最大の方向に対する角度差が大きくなるにしたがって、光線の透過率が減少する特性となっている。このように、本実施形態の透過制御部材5は、厚み方向とは異なる方向に透過率が最大となる特性を有している。
なお、複数の遮光板52が法線Nに対して例えば約10°傾斜している場合、透過制御部材5(例えば1.0mm厚)を透過する光線の透過率は、法線Nに対して約10°傾斜した方向において最大となることがわかっている。また、複数の遮光板52の傾斜角度によっては、透過制御部材5において透過率が最大となる方向と各遮光板52とが完全に平行となる場合もあり得る。以上のことから、複数の遮光板52は、透過率が最大となる方向と平行または略平行となるように、平板部材51の厚み方向に対して傾斜した状態で配置されていると言うことができる。なお、厚み方向に対して傾斜した状態には、厚み方向に対する傾斜角度が0°(厚み方向と平行)となる状態は含まれない。また、上記の略平行とは、角度差が例えば10°以下であることを指すが、5°以下であることが望ましい。
このように、複数の遮光板52が平板部材51の内部で傾斜して設けられていることにより、ディスプレイ2から偏向光学素子4を介して透過制御部材5に光が入射する際に、偏向光学素子4から出射される光のうちで角度β(図7参照)よりも大きい角度で拡散する光線については遮光板52で吸収され、角度β以下の角度で拡散する光線は、遮光板52で吸収されずに透過制御部材5から出射され、光学プレート3に入射する。つまり、透過制限部材5に入射した光は、拡散角度が入射光よりも狭い所定範囲内(上記の例では角度β以下)に制限されて出射され、光学プレート3に入射することになる。
上記のように、偏向光学素子4からの光を所定範囲内の拡散角度に制限して透過させるとともに、厚み方向とは異なる方向に透過率が最大である特性を有する透過制御部材5としては、例えば信越ポリマー株式会社製の視野角制御フィルム(VCF;View Control Film)を用いることができる。
本実施形態では、透過制御部材5は、偏向光学素子4から出射されて、透過率が最大である方向(例えば法線Nに対して約20°方向)に内部を透過する光線が、光学プレート3に対して所望の角度範囲で入射するように配置されている。例えば、ディスプレイ2を光学プレート3に対して所定の角度(約25°付近)だけ傾けて配置するとともに、そのディスプレイ2と平行となるように、ディスプレイ2側から偏向光学素子4および透過制御部材5をこの順で配置することにより、ディスプレイ2から出射され、偏向光学素子4にて約20°偏向されて透過制御部材5に入射し、透過率が最大である約20°方向に透過制御部材5の内部を透過する光線を、光学プレート3に対して所望の角度範囲(例えば45°〜50°)で入射させることができる。
以上のように、偏向光学素子4の光学プレート3側に透過制御部材5を配置することにより、ディスプレイ2から出射され、偏向光学素子4で偏向される光に含まれる光線のうち、光学プレート3に対して所望の角度範囲で入射する方向に向かう光線を、透過制御部材5によって高い透過率で透過させる一方、偏向光学素子4にて上記角度範囲以外の方向に偏向される光線(例えば図6の光線L12)の進行を、透過制御部材5での拡散角度の制限(遮光板52での光吸収)によって抑えることができる。これにより、光学プレート3によって結像される空中像の輝度低下を抑えつつ、上記角度範囲以外の方向に偏向される光線に起因するゴーストの発生を抑えることができる。また、ディスプレイ2を光学プレート3に対して約25°傾けた配置で上記の効果を得ることができるため、ディスプレイ2を光学プレート3に対して45°傾けて配置する構成に比べて装置の薄型化を図りつつ、空中像の輝度低下を抑えるとともに、広がりを持つ光の偏向に起因する上記ゴーストの発生を抑えることができる。
また、透過制御部材5は、透光性の平板部材51と、平板部材51の内部で互いに離間して配置される複数の遮光板52とを有しており、複数の遮光板52は、透過率が最大となる方向と平行または略平行となるように、平板部材51の厚み方向に対して傾斜した状態で配置されている。このように平板部材51と複数の遮光板52とを組み合わせて透過制御部材5を構成することにより、偏向光学素子4からの光を所定範囲内の拡散角度に制限して透過させ、厚み方向とは異なる方向に透過率が最大である透過制御部材5を確実に実現することができる。
(偏向光学素子の他の構成)
図9は、反射型の偏向光学素子4aの概略の構成を示す断面図である。本実施形態では、上記した屈折型の偏向光学素子4の代わりに、反射型の偏向光学素子4aを用いてもよい。この偏向光学素子4aは、透光性の平板44と、複数の反射偏向面45とを有している。平板44は、例えばガラスや樹脂などからなる透明基材であり、互いに対向する2面として、面44aおよび面44bを有している。なお、これらの面44aおよび面44bは、平板44の厚み方向に垂直な面である。反射偏向面45は、平板44の一方の面44aから入射したディスプレイ2からの光を反射によって偏向して、他方の面44bから出射させる金属反射面(ミラー、ルーバー)で構成されており、平板44の内部に互いに離間して配置されている。
複数の反射偏向面45は、平板44の2面(面44a、面44b)の少なくとも一方(ここでは両方)に対して傾斜している。なお、各反射偏向面45の傾き角度(厳密には、上記2面の少なくとも一方の面の法線に対する各反射偏向面45の傾斜角度)のことを、以下では、ルーバー角度とも称する。
また、複数の反射偏向面45は、図9の紙面に平行な面内、つまり、ディスプレイ2から任意の反射偏向面45に入射する入射光線(例えば光線La)と、該入射光線が反射偏向面45で反射偏向されて出射されるときの出射光線(例えば光線Lb)とを含む面内で、平板44の厚み方向に垂直な一方向に所定のピッチで離間して配置されている。
上記偏向光学素子4aを用いた構成では、ディスプレイ2からの光は、偏向光学素子4aの面44aを介して内部に入射し、各反射偏向面45で反射され、面44bを介して出射される。この結果、屈折型の偏向光学素子4を用いた場合と同様に、ディスプレイ2からの光は、光学プレート3の光入射側の面3aに入射する光線の、面3aの法線Tを基準とする入射角度θが大きくなる側に偏向される(図1参照)。したがって、反射型の偏向光学素子4aを用いた場合でも、光学プレート3に対してディスプレイ2を45°以下の傾斜角度で配置して、ディスプレイ2からの光線を、偏向光学素子4aおよび透過制御部材5を介して、光学プレート3に対して最適な角度で入射させることができ、光学プレート3に対してディスプレイ2を45°で配置する図5の構成に比べて、装置を薄型化することができる。
また、偏向光学素子4aは、透光性の平板44と、平板44の内部に互いに離間して配置される複数の反射偏向面45とを有している。これにより、入射光を各反射偏向面45での反射によって偏向して光学プレート3に導く反射型の偏向光学素子4aを確実に実現することができる。
上記構成の偏向光学素子4aは、例えば以下のようにして製造することができる。図10は、反射型の偏向光学素子4aの製造工程を模式的に示している。まず、所定の厚みのガラス基板71を用意する(工程(A))。そして、ガラス基板71の両面に反射膜72をコーティングする(工程(B))。この反射膜72のコーティングは、例えばアルミニウムの蒸着によって行うことができる。なお、この反射膜72は、上述した反射偏向面45を形成する膜である。次に、反射膜72をコーティングしたガラス基板71を、接着剤を介して複数枚(例えば数百枚)積層して接着し、ガラスブロック73を形成する(工程(C))。その後、得られたガラスブロック73を、反射膜72に対して斜め方向から、所定のピッチで切断する(工程(D))。切断した個片を所定の形状(例えば薄い直方体形状)に整形することにより、薄い平板状の偏向光学素子4aを得ることができる。なお、工程Dにおいて、ガラスブロック73を切断する向き(反射膜72に対する切断角度)は、得ようとする偏向光学素子4aの所望のルーバー角度に応じて適宜調整されればよい。
なお、ガラス基板51の代わりに樹脂基板(例えばPMMAからなる基板)を用いても、上記と同様の手法で偏向光学素子4aを製造することができる。樹脂基板を用いた場合は、ガラス基板71を用いた場合よりも安価に偏向光学素子4aを製造することができる。
ここで、図11は、反射型の偏向光学素子4aに入射して偏向される異なる光線L21・L22の光路を示している。ディスプレイ2からの光は、完全な平行光ではなく、広がりを持つ光であることは上述の通りである。このため、ディスプレイ2から偏向光学素子4aに入射する光線の位置や入射角度によっては、偏向光学素子4aでの偏向によって光学プレート3に対して所望の角度範囲(例えば45°〜50°)で入射する光線(例えば光線L21)も存在するし、上記所望の角度範囲から大きく離れた角度で入射する光線(例えば隣り合う反射傾斜面45での複数回反射によって光線L21とは逆方向に偏向される光線L22)も存在する。このような光線L22は、光学プレート3に対して所望の角度範囲で入射しないため、ゴーストを発生させる原因となる。したがって、このような光線L22の光学プレート3への入射を低減することが望ましい。
そこで、偏向光学素子4aの光学プレート3側に、上述した透過制御部材5を配置することにより、光学プレート3に対して所望の角度範囲で入射する光線(例えば光線L21)を、透過制御部材5によって高い透過率で透過させる一方、偏向光学素子4aにて上記角度範囲以外の方向に偏向される光線(例えば光線L22)の進行を、透過制御部材5での拡散角度の制限(遮光板52での光吸収)によって抑えることができる。これにより、光学プレート3によって結像される空中像の輝度低下を抑えつつ、上記角度範囲以外の方向に偏向される光線に起因するゴーストの発生を抑えることができる。また、ディスプレイ2を光学プレート3に対して約45°以下で傾けた配置で上記の効果を得ることができるため、ディスプレイ2を光学プレート3に対して45°傾けて配置する構成に比べて装置の薄型化を図りつつ、空中像の輝度低下を抑えるとともに、広がりを持つ光の偏向に起因する上記ゴーストの発生を抑えることができる。
(シミュレーションについて)
次に、本実施形態の効果を確認するため、以下のシミュレーションを行った。その結果について説明する。
図12は、ディスプレイ2と光学プレート3との間に、ディスプレイ2側から偏向光学素子4および透過制御部材5をこの順で配置し、光学プレート3によって結像される空中像(映像M)の輝度を、測定装置80を用いて測定する様子を模式的に示している。ここでは、光学プレート3から一定距離だけ離した位置にディスプレイ2(LCD)を配置し、光学プレート3を介して空中に結像した空中像を、光学プレート3の面3aに垂直な法線に対して上方から斜め45°下向きに観察する位置(観察角度θa=45°とする)を基準とし、この位置から垂直下方に観察角度θaを減少させながら、各観察角度θaでの空中像の中心部の輝度を測定した。また、上記と同様にして、各観察角度θaごとに、正規の空中像とは異なる位置に発生するゴースト像の輝度を測定した。なお、空中像およびゴースト像の輝度を測定する測定装置80としては、コニカミノルタ製の2次元色彩輝度計(CA−2000)を用いた。
なお、ディスプレイ2は、光学プレート3に対して25°傾けて配置されており、偏向光学素子4としては、図3で示したリニアプリズムを使用した。リニアプリズムは、プリズムの立ち上がり角度αが40°である既存のプリズムであり、理論上は、入射光線を約20°偏向して出射する。つまり、光学プレート3に対して25°傾けたディスプレイ2から、正面方向に出射される光線は、偏向光学素子4によって約20°偏向され、25°+20°=45°で光学プレート3に入射することになる。
また、透過制御部材5としては、正面方向に対して約20°方向の光を最も多く透過させる既存のVCF(信越ポリマー株式会社製)を使用した。つまり、偏向光学素子4で20°偏向された光線成分が透過制御部材5を最も多く透過することになる。
上記のように、ディスプレイ2と光学プレート3との間に、ディスプレイ2側から偏向光学素子4および透過制御部材5をこの順で配置した空中映像表示装置の構成を、実施例1とする。
一方、実施例1の構成から、偏向光学素子4および透過制御部材5を削除した空中映像表示装置の構成を、比較例1とする。そして、比較例1についても、実施例1と同様の手法で、各観察角度θaごとに、空中像(中心部)の輝度およびゴースト像の輝度を測定した。
図13は、実施例1と比較例1とで、観察角度と空中像の輝度との関係を模式的に示している。なお、縦軸の空中像輝度は、基準値に対する測定輝度の相対値で示している。同図より、観察角度θaが36°以上45°以下では、比較例1よりも実施例1のほうが、空中像の輝度が高く(明るく)、特にθa=45°では、実施例1で観察される空中像の明るさは、比較例1で観察される空中像の明るさの約2倍であることがわかる。
また、図14は、実施例1と比較例1とで、観察角度とゴースト像の輝度との関係を模式的に示している。なお、縦軸のゴースト像の輝度についても、図13と同様に、基準値に対する測定輝度の相対値で示している。ゴースト像の輝度に関しては、比較例1では、観察角度θaが45°から小さくなるにつれて、ゴースト像の輝度が高くなっていき、ゴースト像が目立ってくることがわかる。これに対して、実施例1では、観察角度θaを45°から小さくしても、ゴースト像の輝度は低いままであることがわかる。
以上より、偏向光学素子4および透過制御部材5を用いる実施例1の構成によれば、空中像の輝度が高く(明るく)、ゴースト像の発生を抑制しつつ、光学プレート3に対するディスプレイ2の45°以下の傾斜配置によって、装置の薄型化を達成できると言える。
(空中映像表示装置の他の構成)
図15は、本実施形態の空中映像表示装置1の他の構成を模式的に示す断面図である。同図に示すように、空中映像表示装置1は、図1の構成に加えて、拡散制限部材10をさらに備えていてもよい。拡散制限部材10は、偏向光学素子4に対して被対象物側(ディスプレイ2側)に配置され、被対象物からの光(拡散光)を、所定範囲内の拡散角度に制限して(狭めて)出射する平板状の光学部材である。
図16は、拡散制限部材10の詳細な構成を示す断面図である。拡散制限部材10は、透光性部材11と、透光性部材11の内部で互いに離間して所定のピッチで配置される複数の遮光板12とを有している。遮光板12の配列ピッチは、偏向光学素子4の構造体42の配列ピッチ(または偏向光学素子4aの反射偏向面45の配列ピッチ)と一致していることが望ましいが、互いに異なっていてもよい。また、遮光板12は、平板状の拡散制限部材10の厚み方向に垂直な面11aに対して垂直に設けられていることが望ましいが、入射光を所定範囲内の拡散角度に制限して出射できるのであれば、面11aに対して傾いていてもよい。
上記のように、入射光を所定範囲内の拡散角度に制限して出射する拡散制限部材10としては、例えば住友スリーエム社製のプライバシーフィルターを用いることができる。
被対象物として、例えばLCDなどのディスプレイ2を用いた場合、ディスプレイ2から出射される光が一定の広がりを有していることは前述の通りである。ディスプレイ2から完全な平行光だけが出射されれば、偏向光学素子4で偏向されて出射される光線は、きれいに所望の角度成分(例えば光学プレート3に対して45°で入射する成分)だけを持つ光線となるが、広がりを持った角度成分の光が偏向光学素子4に入射すると、偏向光学素子4にて所望の角度以外の角度で偏向されて出射される光線が存在してしまう。上記光線が光学プレート3に入射すると、光学プレート3の内部での多重反射により、空中像の輝度が低下し、また、ゴースト像も発生する。本実施形態では、上述した透過制御部材5により、偏向光学素子4にて所望の角度以外の角度で偏向されて出射される光線を低減できるが、できれば、上記光線が発生するもととなる光(不要な拡散光)の偏向光学素子4への入射自体を予め低減しておくことが望ましい。
本実施形態のように、偏向光学素子4に対して被対象物側に拡散制限部材10を配置することにより、ディスプレイ2から広がりを持つ光が拡散制限部材10に入射した場合でも、入射光のうちで角度ψよりも大きい角度で拡散する光線を遮光板12で吸収し、角度ψ以下の角度で拡散する光線を、遮光板12で吸収せずに拡散制限部材10から出射させて偏向光学素子4に入射させることができる。つまり、拡散制限部材10に入射した光は、拡散角度が入射光よりも狭い所定範囲内(上記の例では角度ψ以下)に制限されて出射され、偏向光学素子4に入射する。これにより、偏向光学素子4にて所望の角度以外の角度で偏向される光線を減らし、さらに透過制御部材5との併用によって上記光線の光学プレート3への入射を確実に減らすことができる。その結果、上記光線の光学プレート3での多重反射に起因する輝度低下やゴーストの発生を確実に抑えることができる。
ここで、偏向光学素子4に入射する光の広がりと、偏向光学素子4から出射される光の角度分布との関係について考察する。図17は、半値角120°(ランバーシアン配向)の光源から出射される光線の角度分布(出射方向と強度との関係)を示し、図18は、半値角90°の光源から出射される光線の角度分布を示し、図19は、半値角60°の光源から出射される光線の角度分布を示している。ここで、半値角とは、正面(ここでは−90°の方向とする)の光の強度に比べて、強度が半分になるときの角度を指し、同心円の中心から半径方向外側に向かう方向は、光の強度が増大する方向に対応する。また、図20〜図22は、偏向光学素子4から出射される光線の角度分布(出射方向と強度との関係)を示しており、図20は、図17の角度分布を有する光源を用いて偏向光学素子4に光を垂直に入射させた場合を示し、図21は、図18の角度分布を有する光源を用いて偏向光学素子4に光を垂直に入射させた場合を示し、図22は、図19の角度分布を有する光源を用いて偏向光学素子4に光を垂直に入射させた場合を示している。
なお、偏向光学素子4において、−90°の方向は、出射面の法線方向に対応し、−70°の方向は、光学プレート3に所望の角度(45°)で光線を入射させるために偏向光学素子4で偏向するときの偏向方向(偏向角度20°)に対応している。
各光源からの光を偏向光学素子4にて偏向する場合、図20〜図22より、半値角120°の光源よりも半値角90°および60°の光源を用いたほうが、つまり、光線の広がり(拡散角度)のより小さい光源を用いたほうが、偏向光学素子4にて偏向されて出射され、光学プレート3に対して所望の角度(例えば45°方向)で入射する光の強度が高いことがわかる。これは、偏向光学素子4に入射する光線の広がりが大きいと、偏向光学素子4での偏向により、光学プレート3に対して所望の角度以外の角度で入射する光が増大し、光学プレート3に対して所望の角度で入射する光が減少することによる。したがって、このような考察からも、拡散角度の狭い光を偏向光学素子4に入射させるほうが、光学プレート3に対して所望の角度で入射する光を増大させるのに有利であることがわかる。
よって、本実施形態のように、拡散制限部材10を配置して被対象物からの光の拡散角度を制限し、拡散角度の狭い光を偏向光学素子4に入射させることにより、偏向光学素子4から光学プレート3に対して所望の角度で入射する光を増大させて、光学プレート3での多重反射を低減し、多重反射に起因する輝度低下やゴースト像の発生を抑えることができると言える。
特に、拡散制限部材10は、透光性部材11と、透光性部材11の内部で互いに離間して配置される複数の遮光板12とを有していることにより、被対象物からの光を、複数の遮光板12によって、所定範囲内の拡散角度に制限して出射することができ、拡散制限部材10の機能を確実に発揮させることができる。また、複数の遮光板12は、透光性部材11の内部に、透光性部材11の厚み方向と平行に配置されているため、透光性部材11の配列ピッチおよび遮光板の高さ(透光性基板11の厚み)を適切に設定することで、制限する拡散角度(角度ψ)の設定が容易となる。
なお、図20〜図22の角度分布より、偏向光学素子4に入射する光の半値角は、90°以下であることが、光学プレート3に対して所望の角度で入射する光を増大させて、多重反射に起因する輝度低下やゴーストの発生を抑える点で望ましく、半値角60°以下であることがさらに望ましいと言える。したがって、拡散制限部材10が、被対象物からの光を所定範囲の拡散角度に制限して出射する際の上記所定範囲(角度ψ)としては、全角90°以下(垂直入射に対して±45°以下)であることが望ましく、全角60°以下(垂直入射に対して±30°以下)であることがさらに望ましいと言える。
(空中映像表示装置のさらに他の構成)
図23は、本実施形態の空中映像表示装置1のさらに他の構成を模式的に示す断面図である。同図に示すように、空中映像表示装置1は、図15の構成に加えて、拡散板15をさらに備えていてもよい。本実施形態では、拡散板15は、偏向光学素子4に対して光入射側および光出射側の両方に配置されているが、光入射側および光出射側の少なくとも一方に配置されていればよい。また、拡散板15の配置位置は、被対象物(ディスプレイ2)と光学プレート3との間であればどの位置であってもよく、図23で示した位置には限定されない。
なお、拡散制御部材10を有していない図1の構成に、上記の拡散板15を適用してもよい。また、リニアプリズムからなる屈折型の偏向光学素子4の代わりに、反射型の偏向光学素子4aを用いた構成において、その光入射側および光出射側の少なくとも一方に拡散板15を配置してもよい。さらに、拡散板15は、偏向光学素子4(4a)と近接して配置されていてもよいし、離間して配置されていてもよい。
偏向光学素子として、リニアプリズムからなる屈折型の偏向光学素子4を用いた場合であっても、反射型の偏向光学素子4aを用いた場合でも、偏向光学素子の周期的なプリズム(構造体42)の配列ピッチまたはミラー(反射偏向面45)の配列ピッチと、その入射面側に配置されるLCDなどのディスプレイ2の画素ピッチとの微小な差異(周期のズレ)により、空中に結像される映像Mに濃淡の縞模様(いわゆるモアレ)が発生する。このようなモアレは、空中像の品質を劣化させる原因となる。
上記のように、偏向光学素子4(4a)の光入射側および光出射側の少なくとも一方に拡散板15を配置することにより、拡散板15によって画素の輪郭をぼかすことができる。これにより、空中像のモアレを低減することができ、空中像の品質劣化を回避することができる。
なお、図15および図23の構成では、拡散制限部材10または拡散板15の配置により、図1の構成に比べて、空中映像表示装置1の厚みが若干増大するが、光学プレート3に対してディスプレイ2を45°よりも十分に小さい傾斜角度で配置しているため、光学プレート3に対してディスプレイ2を45°で配置する参考例1の空中映像表示装置1a(図5参照)に比べて、装置の厚みを十分に薄くできることに変わりはない。
(その他)
以上では、ディスプレイ2からの光が光学プレート3に入射するときの光学プレート3に対する所望の角度範囲(光学プレート3と入射光線とのなす角度)として、光学プレート3にて最も効率よく光を反射させることができる範囲、つまり、θ=45°〜50°を想定して説明したが、θ=35°〜55°(45°±10°の範囲)であればよい。つまり、上記所望の角度範囲が35°〜55°であれば、ディスプレイ2からの光を光学プレート3にて効率よく反射させて、明るい空中像を得ることができる。また、ディスプレイ2から出射される光線のうち、少なくとも、ディスプレイ2の表示面2aの中心から空中像の中心に向かって進行する光線が光学プレート3に入射するときの入射位置にて、上記所望の角度範囲を実現することにより、装置の薄型化を図りつつ、広がりを持つ光の偏向に起因するゴーストの発生を低減する本実施形態の効果を得ることができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の範囲はこれに限定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲で拡張または変更して実施することができる。
本発明は、光学プレートを用いて空中に映像を結像させる空中映像表示装置に利用可能である。
1 空中映像表示装置
2 ディスプレイ(被対象物)
3 光学プレート
4 偏向光学素子
4a 偏向光学素子
5 透過制御部材
10 拡散制限部材
11 透光性部材
12 遮光板
15 拡散板
21b 反射面
31b 反射面
41 平板
42 構造体
44 平板
45 反射偏向面
51 平板部材
52 遮光板

Claims (10)

  1. 平面視で互いに直交する複数の反射面を有する光学プレートを備え、被対象物からの光を前記複数の反射面で反射させて、該光学プレートに対して前記光の入射側とは反対側の空中に導き、前記被対象物の実像を前記空中に結像させる空中映像表示装置であって、
    前記被対象物と前記光学プレートとの間に、前記被対象物側から順に、
    前記被対象物からの光を偏向して出射する偏向光学素子と、
    前記偏向光学素子からの光を所定範囲内の拡散角度に制限して透過させ、厚み方向とは異なる方向に透過率が最大である透過制御部材とを有しており、
    前記透過制御部材は、透過率が最大である方向に透過する光線が、前記光学プレートに対して所望の角度範囲で入射するように配置されていることを特徴とする空中映像表示装置。
  2. 前記透過制御部材は、
    透光性の平板部材と、
    前記平板部材の内部で互いに離間して配置される複数の遮光板とを有しており、
    前記複数の遮光板は、透過率が最大となる方向と平行または略平行となるように、前記平板部材の厚み方向に対して傾斜した状態で配置されていることを特徴とする請求項1に記載の空中映像表示装置。
  3. 前記偏向光学素子に対して前記被対象物側に配置され、前記被対象物からの光を、所定範囲内の拡散角度に制限して出射する拡散制限部材をさらに備えていることを特徴とする請求項1または2に記載の空中映像表示装置。
  4. 前記拡散制限部材は、
    透光性部材と、
    前記透光性部材の内部で互いに離間して配置される複数の遮光板とを有していることを特徴とする請求項3に記載の空中映像表示装置。
  5. 前記拡散制限部材の前記複数の遮光板は、前記透光性部材の内部に、前記透光性部材の厚み方向と平行に配置されていることを特徴とする請求項4に記載の空中映像表示装置。
  6. 前記偏向光学素子に対して光入射側および光出射側の少なくとも一方に、拡散板が配置されていることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の空中映像表示装置。
  7. 前記偏向光学素子は、前記光学プレートの光入射側の面に入射する光線の、前記光入射側の面の法線を基準とする入射角度が大きくなる側に、前記被対象物からの光を屈折させて偏向する屈折型の光学素子であることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の空中映像表示装置。
  8. 前記屈折型の光学素子は、透光性の平板と、一方向に同一形状で延び、前記平板に対して前記被対象物側に並列に配置される複数の構造体とを有し、前記被対象物からの光が、前記構造体および前記平板を順次透過する際の屈折によって、前記一方向に垂直な面内で前記被対象物からの光を偏向するリニアプリズムであることを特徴とする請求項7に記載の空中映像表示装置。
  9. 前記偏向光学素子は、前記光学プレートの光入射側の面に入射する光線の、前記光入射側の面の法線を基準とする入射角度が大きくなる側に、前記被対象物からの光を反射させて偏向する反射型の光学素子であることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の空中映像表示装置。
  10. 前記反射型の光学素子は、透光性の平板と、前記平板の内部に互いに離間して配置され、前記平板の互いに対向する2面のうちの一方の面から入射した前記被対象物からの光を反射によって偏向して、他方の面から出射させる複数の反射偏向面とを有していることを特徴とする請求項9に記載の空中映像表示装置。
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