JP7348055B2 - 低光沢性ビニル系床材 - Google Patents

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本発明は、光沢が抑制されたビニル系床材に関する。
店舗、ホテル等の商業施設のほか、家屋、オフィス等では、例えば樹脂、木材、石材等の各種の材質からなる床材が用いられているが、この中でも、成形加工性、経済性等の良さから樹脂製の床材が幅広く用いられている。樹脂製の床材は、そのままでは表面に傷が付きやすく、経時的に外観が悪くなるので、一般的には保護層として電離放射線硬化性樹脂によるコーティングが床材表面に施されている。電離放射線硬化性樹脂によるコーティングによって、耐傷付き性を付与できることができる一方で光沢性が高まる傾向にある。
一方で、床材表面の光沢を抑えることによって、床材表面に施された意匠を見やすくしたり、床材本体の質感・素材感を認識しやすくしたいという要望がある。このような低光沢性を付与する方法としては、表面に形成した凹凸、艶消し剤と表面保護層の主成分との屈折率の違い等によって、光を散乱させて光沢を抑える方法等が提案されている。
例えば、化粧基材の少なくとも片面に艶消し層が積層された艶消し化粧材において、艶消し層が重合性不飽和結合を有する合成樹脂ビーズの艶消し剤と電離放射線硬化性樹脂を主体とする組成物の電離放射線による硬化反応にて形成されており、艶消し剤と電離放射線硬化性樹脂とが、艶消し剤が含有する重合性不飽和結合と電離放射線硬化性樹脂が含有する重合性不飽和結合との反応による有機結合により結合されていることを特徴とする艶消し化粧材が知られている(特許文献1)。
また例えば、化粧基板に対し、無機粒子Aを含む第1の樹脂塗膜が化粧基板上に形成されているとともに、無機粒子Bを含む第2の樹脂塗膜が第1の樹脂塗膜上に形成されている化粧板であって、無機粒子Aが、新モース硬度10以上、かつ、平均粒子径20~200μmであり、無機粒子Bが、無機粒子Aと異なる組成を有し、屈折率1.40~1.60、かつ、平均粒子径20μm未満であることを特徴とする化粧板が提案されている(特許文献2)。
特開平7-205387 特開平10-329277
上記のように、従来技術では、表面のコーティング層中に樹脂ビーズ、無機粒子等の充填材を含有させることによって表面に微細な凹凸を形成させることによって低光沢性を実現させている。
しかしながら、そのような凹凸表面は、充填材自体が汚れやすいことに加え、凹凸表面の凹部に汚れが残ること等に起因して外観を損ねてしまうという問題が生じる。凹凸表面を鏡面に近づければ汚れにくくなり、防汚性という点で好ましいが、これでは低光沢性が実現しにくくなる。このように、一般的には、低光沢性と防汚性とは相反する特性であるため、両者を同時に実現できるような技術は未だ開発されるに至っていない。
よって、本発明の主な目的は、低光沢性及び良好な防汚性をともに発揮できるビニル系床材を提供することにある。
本発明者は、従来技術の問題点に鑑みて鋭意研究を重ねた結果、特定の骨材の組合せ含む床材を採用することにより上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、下記の低光沢性ビニル系床材に係る。
1. 塩化ビニル系樹脂含有層を含む基材と前記基材表面上に積層された保護層とを含む床材であって、前記保護層が(1)電離放射線硬化性樹脂、(2)不定形状の骨材及び(3)球状の骨材を含むことを特徴とする低光沢性ビニル系床材。
2. 不定形状の骨材と球状の骨材との合計量が電離放射線硬化性樹脂100重量部に対して10~45重量部である、前記項1に記載の低光沢性ビニル系床材。
3. 不定形状の骨材の平均粒径(A)が10~40μmであり、かつ、球状の骨材の平均粒径(B)が前記平均粒径(A)よりも1~10μm大きい、前記項1又は2に記載の低光沢性ビニル系床材。
4. 不定形状の骨材と球状の骨材との比率が重量比で1:0.5~4である、前記項1~3のいずれかに記載の低光沢性ビニル系床材。
5. a)球状の骨材の平均粒径、b)保護層の厚み及びc)不定形状の骨材の平均粒径が、(球状の骨材の平均粒径>保護層の厚み>不定形状の骨材の平均粒径)の関係を満たす、前記項1~4のいずれかに記載の低光沢性ビニル系床材。
本発明によれば、低光沢性及び良好な防汚性をともに発揮できるビニル系床材を提供することができる。特に、床材の保護層中に電離放射線硬化性樹脂とともに不定形状の骨材及び球状の骨材とが併存するので、保護層表面の光沢を効果的に抑制するとともに、汚れにくい表面及び/又は汚れが落ちやすい表面を作り出すことができる。
また、保護層表面に骨材による微細な凹凸が形成されることによって、その微細な凹凸により滑り防止効果も発揮されるので、より安全性の高い床材を提供することもできる。
このような特徴を有する本発明のビニル系床材は、例えば家屋、商業施設、医療施設、屋内通路、外廊下、ベランダ、バルコニー等に用いられる床材として好適に用いることができる。
実施例3で得られた床材の保護層面付近の断面を走査型電子顕微鏡で観察した結果を示す。 比較例1で得られた床材の保護層面付近の断面を走査型電子顕微鏡で観察した結果を示す。 実施例及び比較例で用いた球状アルミナ骨材を走査型電子顕微鏡で観察した結果を示す。 実施例及び比較例で用いた不定形状アルミナ骨材を走査型電子顕微鏡で観察した結果を示す。
1.低光沢性ビニル系床材
本発明の低光沢性ビニル系床材(本発明床材)は、塩化ビニル系樹脂含有層を含む基材と前記基材表面上に積層された保護層とを含む床材であって、前記保護層が(a)電離放射線硬化性樹脂、(b)不定形状の骨材及び(c)球状の骨材を含むことを特徴とする。
本発明床材は、例えばJIS A5705に規定されるビニル系床材に相当するものであり、床タイル及び床シートが含まれる。床タイルとしては、単層ビニル床タイル、複層ビニル床タイル、コンポジションビニル床タイル、置き敷きビニル床タイル、薄形置き敷きビニル床タイル等が挙げられる。床シートとしては、単層ビニル床シート、複層ビニル床シート、発泡複層ビニル床シート、クッションフロア等が挙げられる。
塩化ビニル系樹脂含有層を含む基材(本発明基材)
本発明基材としては、塩化ビニル系樹脂含有層を含むものであれば良く、単層又は多層のいずれであっても良い。
塩化ビニル系樹脂含有層に含まれる塩化ビニル系樹脂としては、限定的でなく、例えば塩化ビニル樹脂(ホモポリマー)のほか、共重合成分として塩化ビニルを含む共重合体が挙げられる。このような共重合体としては、例えば塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル-エチレン共重合体、塩化ビニル-プロピレン共重合体、塩化ビニル-スチレン共重合体、塩化ビニル-イソブチレン共重合体、塩化ビニル-塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニル-ブタジエン共重合体、塩化ビニル-イソプレン共重合体、塩化ビニル-塩素化プロピレン共重合体等が挙げられる。これらの樹脂成分は、1種単独で又は2種以上を併用しても良い。
塩化ビニル系樹脂含有層には、本発明の効果を妨げない範囲内において、塩化ビニル系樹脂以外の樹脂(高分子)成分が含まれていても良い。例えば、オレフィン系樹脂(ポリエチレン、ポリプロピレン等)、酢酸ビニル系樹脂、アクリル樹脂、アミド系樹脂、ポリエステル等の熱可塑性樹脂のほか、各種エラストマー、ゴム等が使用できる。その中でも、加工性、柔軟性、コスト等の観点から熱可塑性樹脂が好ましい。
また、塩化ビニル系樹脂含有層は、本発明の効果を妨げない範囲内において、他の成分を配合することができる。例えば、充填剤、可塑剤、難燃剤、安定剤、酸化防止剤、滑剤、着色剤、発泡剤等の各種添加剤を挙げることができる。さらに、塩化ビニル系樹脂含有層中には不織布層、繊維質物質(ガラス繊維等)を含む層等の補強層が埋設されていても良い。
このような塩化ビニル系樹脂含有層は、本発明基材中に1層であっても良いし、2層以上を導入することもできる。2層以上である場合は、互いに直に接するように積層されていても良いし、他の層を介して積層されていても良い。また、2層以上である場合は、組成、厚み等が互いに同じでも良いし、異なっていても良い。
本発明基材は、本発明の効果を妨げない限り、塩化ビニル系樹脂含有層以外の層が積層されていても良い。このような層としては、公知又は市販のビニル系床材で採用されている層も採用することができる。例えば、塩化ビニル系樹脂を含まない樹脂層、形状安定化層、発泡樹脂層、意匠層(印刷層)、補強層、透明表面層、接着剤層等の少なくとも1つを採用することができる。従って、例えば、公知又は市販のビニル系床材において表面保護層以外の層構成と同様の構成を採用することもできる。例えば、下(下層)から順番に、a)塩化ビニル系樹脂含有層/形状安定化層/塩化ビニル系樹脂含有層からなる積層体、b)塩化ビニル系樹脂含有層/形状安定化層/塩化ビニル系樹脂含有層/化粧層/透明表面層からなる積層体、d)塩化ビニル系樹脂含有層/発泡樹脂層/形状安定化層/塩化ビニル系樹脂含有層/形状安定化層/塩化ビニル系樹脂含有層/化粧層/透明表面層からなる積層体等の積層体等のように、塩化ビニル系樹脂含有層を含む積層体を本発明基材として好適に採用することができる。また、これら積層体の最下層に、スパンボンド、フェルト等の不織布をさらに積層してなる積層体も本発明基材として用いることができる。これらの構成を有する積層体としては、公知又は市販の塩化ビニル系床材も用いることもできる。
これらの積層体からなる本発明基材においては、一般的には、施工時におもて面(最上層)となる面上に保護層を形成すれば良い。
本発明基材の厚みは、限定的ではないが、通常は0.5~7mm程度、好ましくは1mm~5mmの範囲内において適宜設定することができる。
保護層
保護層は、(a)電離放射線硬化性樹脂、(b)不定形状の骨材及び(c)球状の骨材を含むことを特徴とする。
保護層の厚みは、特に限定されないが、通常は10~50μm程度とし、特に15~40μmとすることが好ましい。なお、本発明における保護層の厚みは、骨材が保護層から突出することによる凹凸部が形成されている場合は、その凹部における厚みをいう。
電離放射線硬化性樹脂は、荷電粒子線又は電磁波の中でモノマー等を架橋・重合させ得るエネルギー量子を有するもの(例えば電子線、紫外線等)を照射することにより、架橋・硬化した樹脂であれば良い。従って、電離放射線硬化性樹脂としては、例えば硬化性モノマー又はオリゴマーが電離放射線により硬化した樹脂を好適に採用することができる。
前記の硬化性モノマー又はオリゴマーとしては、電離放射線によって硬化するものであれば特に限定されない。
前記硬化性モノマーとしては、保護層に要求される硬度、光沢性、耐汚染性等の特性を発揮でき、塗工に適当な性質を有するモノマー(単官能モノマー、2官能モノマー又は3官能以上の多官能モノマー)を1種又は2種以上で用いることができる。前記硬化性オリゴマーとしては、保護層に要求される硬度、光沢性、耐汚染性等を発揮でき、塗工に適当な性質を有するオリゴマーを使用できる。
硬化性モノマー又はオリゴマーとしては、例えば分子中に(メタ)アクリレート基、(メタ)アクリロイルオキシ基等の重合性不飽和結合基又はエポキシ基等を有するモノマー又はオリゴマーが挙げられる。
前記硬化性モノマーの具体例としては、例えばα-メチルスチレン等のスチレン系モノマー、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸-2-エチルヘキシル、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、分子中に2個以上のチオール基を有するポリオール化合物等が挙げられる。
前記硬化性オリゴマーの具体例としては、例えばウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、コロイダルシリ力と(メタ)アクリロイルアルコキシシランを縮合して得られる有機無機ハイブリッド(メタ)アクリレート等の重合性不飽和結合を有する単官能(メタ)アクリレート又は多官能(メタ)アクリレートのほか、不飽和ポリエステル等が挙げられる。
本発明では、これらの中でも、適度な柔軟性を有し、耐熱性、耐薬品性、耐久性等に優れるうえ、樹脂層含有基材との密着性に優れているという点で、前記硬化性モノマー又はオリゴマーとして、ウレタン(メタ)アクリレートを用いることが好ましい。なお、本発明では、アクリレート及びメタクリレートを総称して「(メタ)アクリレート」と表記し、アクリル酸又はメタクリル酸を総称して「(メタ)アクリル酸」と表記し、アクリロイル基又はメタクリロイル基を総称して「(メタ)アクリロイル基」と表記する。
また、前記硬化性モノマー又はオリゴマーの分子量は、特に限定されないが、例えば200~10000の範囲内等が挙げられる。
本発明では、比較的強固な保護層を形成でき、なおかつ、汎用的であることから、紫外線によって硬化する硬化性モノマー又はオリゴマーを好適に用いることができる。換言すれば、電離放射線硬化性樹脂として、特に紫外線硬化型樹脂を好適に使用することができる。紫外線硬化型樹脂としては、特に限定されず、例えば不飽和ジカルボン酸と多価アルコールの縮合物等の不飽和ポリエステル類、ポリエステル(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート、ポリオール(メタ)アクリレート、メラミン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、メラミン(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレート類等を使用することもできる。これらは市販品を用いることもできる。
保護層中における電離放射線硬化性樹脂の含有量は、特に限定されないが、通常は69~91重量%程度とし、特に71~83重量%とすることが好ましい。これによって、高い硬度とともに光沢性、耐汚染性等をより効果的に発揮させることができる。
本発明では、保護層中に不定形状の骨材及び球状の骨材(特にことわりのない限り、両者をまとめて「骨材」と称する。)が含まれる。
骨材の材質は、特に限定的でなく、有機材料又は無機材料から構成される骨材を適宜選択することができ、有機材料のみ、無機材料のみでも良く、これらを混合しても良い。
有機材料は、ポリメタクリル酸メチル等のアクリル樹脂、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等のフッ素樹脂等が挙げられる。これらの有機材料は、電離放射線硬化性樹脂との相溶性が良いという利点がある。特に、アクリル樹脂の粒子(アクリルビーズ)が好適に用いられる。
無機材料は、耐摩耗性、耐久性、経済性、硬度等に優れることから、有機材料よりも有利である。このため、少なくとも無機材料を骨材として用いることが好ましく、特に無機材料の骨材のみを用いることがより好ましい。なお、無機材料の骨材のみを用いる場合でも、本発明の効果を妨げない範囲内で微量の有機材料の骨材が含まれていても良い。無機材料としては、特に酸化物、炭酸塩、塩化物等の各種の化合物の1種又は2種以上を用いることができる。例えば、アルミナ、シリカ、ジルコニア、チタニア、酸化亜鉛、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、窒化ケイ素、炭化ケイ素等のほか、ガラス等を挙げることができる。この中でも、耐摩耗性、耐久性に優れるという点でアルミナを好適に用いることができる。
骨材の粒径は、保護層の厚み等に応じて適宜設定することができるが、通常は平均粒径が10~45μm程度とし、好ましくは15~40μmの範囲となるようにすれば良い。
なお、本発明において、骨材の平均粒径は、例えば以下の方法によって測定することができる。
1)床材を平面視で1cm×1cmに裁断してサンプルを作製する。
2)作製したサンプルをSEMで観察し、任意に選択した100個の骨材について、球状か不定形かを判断する。
3)球状の骨材は、粒径を測定する。サンプル中の全ての球状骨材の個数から粒径の平均値を算出する。
4)不定形の骨材は、長辺と短辺の平均値を粒径とする。サンプル中の全ての不定形骨材の個数から粒径の平均値を算出する。
特に、球状の骨材の平均粒径は、保護層の厚みよりも大きいことが好ましく、特に保護層の厚みの1.1~1.5倍程度であることがより好ましい。これにより、より確実に保護層表面の低光沢化を図ることができる。
さらに、球状の骨材の平均粒径は、不定形状の骨材の平均粒径よりも大きいことが好ましく、特に不定形状の骨材の平均粒径よりも1~10μm程度大きいことがより好ましい。これにより、より確実に低光沢性と防汚性との両立を図ることができる。従って、例えば不定形状の骨材の平均粒径(A)が10~40μmであり、かつ、球状の骨材の平均粒径(B)が前記平均粒径(A)よりも1~10μm大きい値に設定することにより、優れた低光沢性と良好な防汚性とをより確実に得ることができる。従って、この場合は球状の骨材の平均粒径(B)を11~50μm程度とすることができる。
本発明では、特に「球状の骨材の平均粒径>保護層の厚み>不定形状の骨材の平均粒径」の関係を満たすことが最も好ましい。これによって、球状の骨材によって保護層の表面に凹凸が形成されて低光沢化を実現し、かつ、不定形状の骨材によって凹凸形状が緩やかになり、防滑性を高めることができる。
不定形状の骨材の粒子形状は、球状以外の形状であれば良く、通常は1個又は2個以上の角部を有する粒状のものを用いることができる。例えば、多角形粒状、フレーク状、円柱状、繊維状等のいずれも採用することができる。従って、不定形状の骨材としては、例えば塊状物の粉砕品等を用いることができる。すなわち、角張った表面を有する不定形状骨材を用いることもできる。
球状の骨材の粒子形状は、真球又は略真球の粒子であれば良い。本発明において、略真球とは、粒子を顕微鏡写真上で観察(平面観察)した際の最大径と最小径とを測定し、最大径に対して最小径が80%以上100%未満の範囲にあるものを指す。球状の骨材としては、例えば共沈法、燃焼法等により得られる粒子も用いることができる。
骨材の含有量は、骨材の種類、大きさ等に応じて適宜設定できるが、通常は電離放射線硬化性樹脂100重量部に対して、不定形状の骨材と球状の骨材との合計で10~45重量部程度とし、特に20~40重量部とすることが好ましい。
また、不定形状の骨材と球状の骨材との比率(重量比)は、限定的でないが、通常は不定形状の骨材:球状の骨材=1:0.5~1:4程度とし、好ましくは1:1~1:4とし、より好ましくは1:2.5~1:3.5とすることができる。
不定形状の骨材と球状の骨材との比率(個数)は、特に限定されないが、通常は40:1~3:1程度であり、好ましくは30:1~5:1とすることができる。
不定形状の骨材と球状の骨材との比率を上記のような数値範囲とすることによって、球状骨材(特に球状アルミナ骨材)を不定形状骨材(特に不定形状アルミナ骨材)と比較して、より確実に保護層表面に安定して露出・配向しやすくすることができる。特に、実施例のように、保護層の厚み(約30μm)よりも僅かに大きな平均粒径をもつ球状骨材をこの比率で用いることによって、保護層表面にその一部が突出させることができる。球状骨材が保護層表面に突出することによって、保護層表面に照射される光を乱反射させて光沢を低下させることができる。これは、球形の骨材による比較的大きい周波数での光拡散と不定形骨材による比較的小さい周波数が組み合わさることで空間周波数が高くなることも、低光沢を実現できる一因と考えられる。特に、不定形状の骨材と球状の骨材との比率を上記の範囲とすることによって、この現象により光の拡散効果が増すことができると考えられる。
本発明床材では、前記(a)~(c)の成分のほか、本発明の効果を妨げない範囲内において、必要に応じて各種の添加剤を含有させることもできる例えば、紫外線吸収剤、帯電防止剤、安定剤、防黴剤、耐候安定剤、界面活性剤、分散剤、増粘剤、可塑剤、防腐剤、防錆剤、抗菌剤、凍結防止剤、消泡剤、造膜助剤等が挙げられる。これらの添加剤の添加量は、限定的ではないが、通常は合計で約1重量%程度以下である。
本発明床材における保護層の表面粗さは、特に限定されないが、防滑性と低光沢性及び防汚性を兼ね備えるという観点より、通常は、Ra=1.9~4.0程度、Ry=7.0~23.0程度、Rpk=0.5~9.0程度であることが好ましい。特に、Ra=2.0~3.0、Ry=11.0~19.0、Rpk=3.0~6.0であることがより好ましい。なお、本発明における表面粗さは、JIS B0601-1994に準じて表面粗さ測定機によりにより測定された値から算出されたものである。Ra、Ry、Rpkの各値が下限値以上であれば防汚性を高めることができ、上限値以下であれば歩行に違和感がなく、防滑性が良好である。また、この値の範囲内であれば、本発明が奏する低光沢性を阻害することなく、より確実に防滑性を実現することができる。
本発明床材における保護層は、透明、半透明又は不透明のいずれであっても良い。これらは、例えば用いる電離放射線硬化性樹脂、骨材等の種類も含有量等によって適宜調整することができる。特に、保護層を透明ないしは半透明とすることによって、その低光沢性と相俟って、保護層の下地(例えば化粧層)を視認しやすくなり、透明であるとさらに良い。
保護層表面には、防滑性を高めるという観点から、エンボスを施しても良い。エンボス加工は、本発明床材の表面に所望の凹凸形状を付与するために行う。例えば、保護層を設ける前の本発明床材を加熱軟化させた後、所望の形の凹凸形状を有するエンボス版で加圧・賦形し、冷却固定することによりテクスチャーを付与する。エンボス加工は、公知の枚葉又は輪転式エンボス機で行える。エンボス加工の凹凸形状としては、特に限定されず、例えば木目導管溝、浮造模様(浮出した年輪の凹凸模様)、ヘアライン、砂目、梨地等のほか、図示しないが定形の凸部が規則的又は不規則的配列で突設されたもの、不定形の凸部が不規則的配列で突設されたもの等が挙げられるが、防滑性の付与という観点から、砂目、梨地等の指向性の無い模様がどの方向にも防滑性を均一に発揮することができるので好ましい。エンボスの深度は、防滑性の付与という観点から、例えば0.01~0.5mm程度とすれば良く、特に0.05mm~0.3mmとすることが好ましく、その中でも0.1mm~0.2mmとすることがよりが好ましい。
2.低光沢性ビニル系床材の製造
本発明床材の製造方法は、特に限定されないが、例えば(1)塩化ビニル系樹脂含有層を含む基材の少なくとも一方の面に(a)電離放射線硬化性樹脂又は当該樹脂を形成し得るモノマー又はオリゴマー、(b)不定形状の骨材及び(c)球状の骨材を含む塗工液を塗布することにより塗膜を形成する工程(塗布工程)、(2)前記塗膜に電離放射線を照射することにより前記塗膜を硬化させる工程(硬化工程)を含む方法によって好適に製造することができる。
塗布工程
塗布工程では、塩化ビニル系樹脂含有層を含む基材の少なくとも一方の面に(a)電離放射線硬化性樹脂又は当該樹脂を形成し得る硬化性モノマー又はオリゴマー、(b)不定形状の骨材及び(c)球状の骨材を含む塗工液を塗布することにより塗膜を形成する。
塩化ビニル系樹脂含有層を含む基材(シート状物)は、前記「1.低光沢性ビニル系床材」で説明したものと同様のものを使用することができる。塗膜を形成する面は、塩化ビニル系樹脂含有層を含む基材の片面又は両面のいずれでも良いが、一般的には施工時に上方に配置される面とすれば良い。
また、上記(a)~(c)の各成分及び各種添加剤の種類及び含有量についても、前記「1.低光沢性ビニル系床材」で説明したものと同様のものを使用することができる。
本発明においては、塗工液中には、必要に応じてラジカル重合開始剤を添加することもできる。前記ラジカル重合開始剤は、電離放射線の照射によりラジカルを生成する化合物であり、公知の水素引き抜き型又は光開裂型等を1種又は2種以上で使用することができる。このようなラジカル重合開始剤には、必要に応じて光増感剤等を併用することも可能である。
前記ラジカル重合開始剤としては、特に限定されないが、例えば2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン、アセトフェノン、ベンゾフェノン、キサントン、3-メチルアセトフェノン、4-クロロベンゾフェノン、4,4’-ジメトキシベンゾフェノン、ベンゾインプロピルエーテル、ベンジルジメチルケタール、N,N,N’,N’-テトラメチル-4,4’-ジアミノベンゾフェノン、1-(4-イソプロピルフェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパン-1-オン等のほか、チオキサント系化合物等が挙げられる。
また、塗工液の調製に際して、必要に応じて、溶媒を用いることができる。上記(a)成分を含む液状市販品においては、そのような市販品に上記(b)成分、(c)成分等を添加することによって調製することも可能である。市販品としては、無溶剤型の製品を使用することもできる。
これらの各成分を均一に混合することによって塗工液を調製することができる。この場合、例えばミキサー、ニーダー等の公知又は市販の装置を用いて実施することができる。具体的には、(a)電離放射線硬化性樹脂又は当該樹脂を形成し得る硬化性モノマー又はオリゴマーを約40℃~60℃に加熱した状態において、(b)不定形状の骨材及び(c)球状の骨材球状の骨材を添加し、ミキサー等で撹拌させる。
塗工液の塗布方法は、特に制限されず、例えばロールコーター、ブレードコーター、ナイフコーター、カーテンコーター等のいずれも採用することができる。塗装回数は、所望の塗膜厚みが得られる限りは特に制限はなく、1回又は2回以上であっても良い。
硬化工程
硬化工程では、前記塗膜に電離放射線を照射することによって、未硬化の前記塗膜を硬化させる。
電離放射線としては、塗膜を硬化できるエネルギーを有する電磁波又は荷電粒子が用いれば良い。従って、通常は、紫外線又は電子線(特に、好ましくは紫外線)を用いれば良い。紫外線源としては、例えば低圧水銀ランプ、中圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、ハロゲンランプ、カーボンアーク灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ、ブラックライト、窒素レーザー、電子線加速装置、放射性元素の線源等が挙げられる。これらは公知又は市販の装置を用いることができる。電離放射線の照射量は、例えば用いるモノマー又はオリゴマーの種類等に応じて適宜設定すれば良く、例えば紫外線波長365nmでの積算光量で50~5000mJ/cm程度とすることができるが、これに限定されない。
このようにして、樹脂層含有基材の表面(特に最上面)に保護層が形成された床材を得ることができる。
3.低光沢性床材の使用
本発明床材は、公知又は市販の床材と同様にして使用(施工)することができる。従って、床材の形態も限定されず、例えばタイル、シート等の各種の形態を採用することができる。
また、使用箇所も制限されず、例えば店舗、ホテル等の商業施設、住居(家屋)、病院、オフィス等の室内、通路、ベランダ、バルコニー等の床材として使用することができる。特に、本発明床材は、表面の光沢が効果的に抑制されているので、低光沢性が要求される床面に好適に用いることができる。
本発明床材の設置方法又は施工方法も、公知又は市販の床材の場合と同様の方法及び条件にて実施することができる。
以下に実施例及び比較例を示し、本発明の特徴をより具体的に説明する。ただし、本発明の範囲は、実施例に限定されない。
実施例1~7
ウレタン系紫外線硬化型樹脂(製品名「U-1102」大日精化社製、無溶剤型の液状タイプ)100重量部に対して、不定形状のアルミナ骨材(製品名「WA400」大日精化社製,平均粒径30μm)と球状のアルミナ骨材(製品名「AZ35-125」マイクロンカンパニー社製,平均粒径37μm)との合計33重量部を所定の重量割合で添加することにより塗工液を調製した。不定形状の骨材と球状の骨材との重量比率は、表1に示す通りである。
得られた塗工液を市販の塩化ビニル樹脂製床材用シート(サイズ:縦45cm×横45cm×厚み0.3cm)の表面上にナチュラルロールコート法により均一な厚みで塗布した後、直ちに空気中において有電極紫外線ランプで紫外線を照射することにより、硬化体からなる保護層(厚み:約30μm)を形成した。
比較例1
不定形状のアルミナ骨材(製品名「WA400」昭和電工社製,平均粒径30μm)のみを33重量部用いたほかは、実施例1と同様にして樹脂組成物を調製した後、実施例1と同様にして塩化ビニル樹脂製床材用シートの表面上に樹脂硬化体からなる保護層(厚み:約30μm)を形成した。
比較例2
球状のアルミナ骨材(製品名「AZ35-125」マイクロンカンパニー社製,平均粒径37μm)のみを33重量部用いたほかは、実施例1と同様にして樹脂組成物を調製した後、実施例1と同様にして塩化ビニル樹脂製床材用シートの表面上に樹脂硬化体からなる保護層(厚み:約30μm)を形成した。
比較例3
市販の表面処理シリカ骨材(製品名「ACEMATT3600」エボニック社製,平均粒径5μm)のみを33重量部用いたほかは、実施例1と同様にして樹脂組成物を調製した後、実施例1と同様にして塩化ビニル樹脂製床材用シートの表面上に樹脂硬化体からなる保護層(厚み:約30μm)を形成した。
試験例1
各実施例及び比較例て得られたサンプルの保護層面について、光沢値を測定したほか、ブラックヒールマーク(BHM)試験、東工大汚れ(Z値)試験及びテーバー摩耗試験を実施した。これらは、以下の方法によってそれぞれ実施した。その結果を表2に示す。
(1)光沢値
各床材から450mm角のサンプルを作製したうえで、そのサンプルを温度23℃±2℃、湿度70%±15%の条件の下で24時間養生した後、光沢度計(型式:IG-320、堀場製作所製)によって前記試料の表面の任意の5点の光沢値を測定し、その平均値を算出した(測定角度:60度)。光沢値は、35%以下が良好である。本発明における低光沢性床材とは、光沢値が35%以下のものとする。
(2)BHM試験
各床材から縦18cm×横28cmの長方形状に裁断してそれぞれ3枚のサンプルを作製した。この3枚のサンプルの保護層とは反対側の面を、縦52cm×横52cm×高さ45cmの立方体状の中空容器の内壁に貼り付けた。この中空容器内に、縦5cm×横5cm×高さ5cmの立方体状のゴム片を6個入れ、この容器を時計回りに15分間回転(回転速度:63回転/分)させ、次に反時計回りに15分間回転(回転速度:63回転/分)させた。回転停止後、汚れた状態のサンプルを取り出した。続いて、各サンプルの表面を乾燥した状態で紙拭き(乾拭)及び、水で濡らした状態で紙拭き(水拭)を3分間実施し、汚れの程度を目視にて観察した。汚れの付着が認められないものを「a」、乾拭で汚れが取れるものを「b」、乾拭では取れないが、水拭きで汚れが綺麗に取れるものを「c+」とし、乾拭では取れないが、水拭きで汚れがおおむね取れるものを「c-」とした。床材の評価として、「c+」以上が好ましい。
(3)東工大汚れ(Z値)
各実施例及び比較例の床材の保護層について、東京工業大学汚れ試験方法に準じて、その表面に汚れを付着させた後、その汚れを布拭きした後の試験用表層の表面の汚れ具合を評価した。具体的な試験方法は、下記の通りである。
各試験用表層を縦15cm×横15cmの矩形状に裁断してサンプルを作製した。このサンプルの保護層の表面の一部分を露出させ、一部分を保護フィルムで覆った(すなわち、保護層の表面の一部分に汚れが付着しないブランクを形成した)。サンプルの保護層の表面とは反対側の面を、回転式試験機(安田精機(株)製、商品名:東工大式汚れ試験機)の正六角柱状の中空容器(六角柱の6つの側面の大きさがそれぞれ、縦(軸方向)×横(周方向)=16.0cm×16.3cm)の側面内壁に両面テープを用いて貼り付けた。この中空容器内に、150gの炭化ケイ素(No.80)、2gの粉末パステル及び110gの鉄球10個(直径3cm)を入れ、この容器を時計回り及び半時計回りに計3分間回転(回転速度:20回転/分)させた。
回転停止後、サンプルを容器から取り出し、保護フィルムで覆われていない表層の表面を乾燥した布で拭き取り、汚れを除去した。布拭き後の表面と保護フィルムを外した表面(ブランクの表面)との色差を、色差計(日本電色工業(株)製の商品名「ZE-2000」。測定径30mmφ。0°-d方式によるダブルビーム方式)を用いて測定した。下記式に従い、色差からY値を求め、Y値からZ値を求めた。
式(1):色差ΔE={(L-L1)-(a-a1)-(b-b1)1/2
式(2):Y値=0.6531×ΔE-0.4333
式(3):Z値=0.2581×Y値+1.4493
ただし、Lはブランクの表面の明度、L1は布拭き後の表面の明度、aはブランクの表面の緑色から赤色、a1は布拭き後の表面の緑色から赤色、bはブランクの表面の青色から黄色、b1は布拭き後の表面の青色から黄色を示す。
前記Z値は、東京工業大学小野英治氏の論文(昭和55年9月の日本建築学会退会学術講演梗概集の第337頁及び第338頁「建築物床仕上材料の汚れおよびその評価方法に関する研究(2)」)で規定されている。Z値が小さいほど汚れ除去性が良好と言える。
(4)テーバー摩耗試験
JIS A1453-1973「建築材料及び建築構成部分の摩耗試験方法(研磨紙法)」であり、測定装置として「アプレーションテスター」(TABER社製)を用いた。完全摩耗回転数(rpm)を表2に示す。テーバー摩耗の値は、床材の性能として、650以上が好ましく、特に700以上がより好ましい。
(5)防滑性試験
(試験方法)JISA5705「斜め引張り試験」に準拠して行った。傾斜度30°の引っ張り測端部を持つ底面積56cmの滑り片に実際に使用する履き物(シューズのゴム底)の靴底を取り付けた。載荷重80kg(785N)をかけ、床から18°、引張り荷重速度80kg/minで引張り、滑り始めたときの最大引張り力を載荷重で除した値(CSR値)を滑り抵抗の評価指数とした。測定は、通常の乾燥時(表面が濡れていない状態)及び湿潤時(表面が濡れた状態)に行った。本試験から求めたCSR値の差から防滑性による転倒防止の度合いを求めた。CSR値が0.45以上を「〇」とし、CSR値が0.45未満0.40以上を「△」とし、CSR値が0.40未満を「×」と評価した。
試験例2
実施例3及び比較例1で得られた床材の保護層面付近の断面を走査型電子顕微鏡で観察した結果を図1及び図2にそれぞれ示す。また、球状アルミナ骨材及び不定形状アルミナ骨材を走査型電子顕微鏡で観察した結果を図3及び図4にそれぞれ示す。
図3に示すように、実施例で用いた球状のアルミナ骨材は、略真球状であり、また表面に微細な凹凸があることがわかる。一方、実施例で用いた不定形状のアルミナ骨材は、角部を複数有する岩石状の粒子となっていることがわかる。
これら図1~図4の観察結果を表2の結果と併せ考えると、不定形状のアルミナ骨材とともに球状アルミナ骨材を併用することにより、低光沢化できるとともに高い防汚性を実現できることがわかる。
本発明において、低光沢化できる理由は、定かではないが、球状アルミナ骨材が、不定形状アルミナ骨材と比較して、保護層表面に安定して露出・配向しやすくなったためと考えられる。特に、実施例のように、保護層の厚み(約30μm)よりも僅かに大きな平均粒径をもつ球状アルミナ骨材を用いることによって、これが保護層表面に球状アルミナ骨材の一部が突出するように配列することも低光沢化に寄与するものと推察される。さらに、不定形状アルミナ骨材よりも球状アルミナ骨材の方がその粒子表面に微細な凹凸が多いこと(表面が平滑でなく荒れていること)も光沢を低下させることができる一因であると考えられる。加えて、球形の骨材による比較的大きい周波数での光拡散と不定形骨材による比較的小さい周波数が組み合わさることによる相乗効果で空間周波数が高くなり、光の拡散効果が増すことも原因の一つと考えられる。不定形の骨材に角がある形状を選択した場合、角部の微細構造により小さい周波数となるので、より艶消し効果を高めることができると考えられる。
他方、球状アルミナ骨材だけでは、BHM試験の乾拭き性が低下したが、不定形状アルミナ骨材を併用することにより、その防汚性が向上した。この理由は、おそらく、保護層表面において球状アルミナ骨材どうしの隙間が不定形状アルミナ骨材で埋められることにより、平滑性が向上し、汚れが取りやすくなったためと考えられる。
このように、不定形状アルミナ骨材と球状アルミナ骨材とを保護層中に併存させることにより、低光沢性と防汚性(耐汚染性)とがとも良好な床材を提供できることがわかる。

Claims (5)

  1. 塩化ビニル系樹脂含有層を含む基材と前記基材表面上に積層された保護層とを含む床材であって、前記保護層が(1)電離放射線硬化性樹脂、(2)不定形状の骨材及び(3)球状の骨材を含み、
    不定形状の骨材の平均粒径(A)が10~40μmであり、かつ、球状の骨材の平均粒径(B)が前記平均粒径(A)よりも1~10μm大きく、
    不定形状の骨材と球状の骨材との比率が重量比で1:0.5~4である、
    ことを特徴とする低光沢性ビニル系床材。
  2. 不定形状の骨材と球状の骨材との合計量が電離放射線硬化性樹脂100重量部に対して10~45重量部である、請求項1に記載の低光沢性ビニル系床材。
  3. 不定形状の骨材がアルミナであり、かつ、球状の骨材がアルミナである、請求項1又は2に記載の低光沢性ビニル系床材。
  4. 保護層の厚みが10~50μmである、請求項1~3のいずれかに記載の低光沢性ビニル系床材。
  5. a)球状の骨材の平均粒径、b)保護層の厚み及びc)不定形状の骨材の平均粒径が、(球状の骨材の平均粒径>保護層の厚み>不定形状の骨材の平均粒径)の関係を満たす、請求項1~4のいずれかに記載の低光沢性ビニル系床材。
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