JP5557206B2 - 床シート - Google Patents

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本発明は合成樹脂製の床シートに関し、更に詳しくは、耐汚染性と防滑性を備え、表面の硬化塗膜に不定形粒子を含んでいるにも拘わらず、靴底その他の履物底の摩耗が少ない床シートに関する。
従来より、合成樹脂製の床シートにエンボス加工を施して滑止め用の凹凸を表面に形成した防滑性床材は広く知られている。
また、近年では、熱可塑性樹脂シート基材の上に、平均粒径が100〜200μmの球状粒子を含有した紫外線硬化型塗料からなる表面保護膜を設けることによって、表面が丸みを帯びた凹凸形状を有し、その凹部と凸部の差が50μm以上である防滑性床材が提案されている(特許文献1参照)。
特開2006−316578号公報
上記特許文献1の防滑性床材は、紫外線硬化型塗料の表面保護膜を設けているため耐汚染性を有し、その表面が丸みを帯びた凹凸形状であるため、防滑性を有するにも拘わらず靴底の摩耗が少ないものである。しかしながら、紫外線硬化型塗料に含有させる粒子が球状粒子であることから、採用可能な粒子がガラスビーズやポリマービーズなど極く一部のものに限定され、汎用性が低くコスト高になるという問題があった。
上記の問題は、球状粒子に代えて不定形粒子を用いると一応は解決されるが、そのような不定形粒子を含んだ紫外線硬化型塗料の表面保護膜をシート基材の上に形成すると、その表面が丸みを帯びた凹凸形状にならず、不定形粒子が一部露出して角張った凹凸形状になるため、履物底が摩耗しやすくなるという不都合が生じる。
本発明は上記事情の下になされたもので、その解決しようとする課題は、耐汚染性と防滑性を備え、表面の硬化塗膜に不定形粒子を含んでいるにも拘わらず履物底の摩耗が少ない床シートを提供することにある。
上記課題を解決するため、本発明に係る履物底の摩耗が少ない床シートは、床シート本体の表面に、球形粒子以外の不定形粒子であるシリカ粉又は珪石粉と、親水性と親油性を有する添加剤とを含んだアクリル系紫外線硬化型塗料の硬化塗膜が形成され、この硬化塗膜は凹凸表面を有し、凹凸表面の凸部の表面粗さRaが3.5〜5.5μmであることを特徴とするものである。
本発明の床シートにおいては、添加剤が不定形粒子100質量部に対して0.5〜30質量部の割合でアクリル系紫外線硬化型塗料に含まれていることが好ましい。そして、添加剤は、親水性基と親油性基を併せ持つ有機金属化合物、もしくは、ポリエーテルエステル酸のアミン塩が好ましく使用される。また、不定形粒子であるシリカ粉又は珪石粉は5〜50μmの平均粒径を有するもので、アクリル系紫外線硬化型塗料100質量部に対して20〜150質量部の割合で含まれていることが好ましい。
一般に、凹凸表面を有する床シートの防滑性能は、凹凸表面の表面粗さRaによって左右され、凹凸表面の表面粗さRaが小さくなるほど、つまり、平坦面に近づくほど、防滑性能は低下する。これに対し、履物底の摩耗は、凹凸表面の凸部の表面粗さRaによって左右され、凸部の表面粗さRaが大きくなるほど、つまり、凸部の表面がひどく荒れた粗面になるほど、摩耗が大きくなると考えられる。
不定形粒子のみを含むアクリル系紫外線硬化型塗料を床シート表面に塗布して硬化させた硬化塗膜は、不定形粒子によって形成された凸部と凹部が混在する凹凸表面を有するため、このような硬化塗膜を形成した床シートは防滑性を発揮するが、硬化塗膜の凹凸表面の凸部では、塗料による不定形粒子の被覆が不十分で不定形粒子が一部露出するため、上記のように凸部の表面が表面粗さRaの大きい(通常、6μm以上)荒れた粗面になって、履物底の摩耗が激しくなる。けれども、本発明の履物底の摩耗が少ない床シートのように、親水性と親油性を有する添加剤を不定形粒子(シリカ粉又は珪石粉)と共に含有させたアクリル系紫外線硬化型塗料の硬化塗膜を形成すると、添加剤によって塗料中のアクリル系樹脂と不定形粒子の親和性が高くなり、凹凸表面の凸部の不定形粒子が塗料のアクリル系樹脂で十分被覆されて露出しないため、凸部の表面は滑らかさを増して表面粗さRaが減少する。そして、添加剤の含有量の調整によって凸部の表面粗さRaが3.5〜5.5μmになると、後述の実験データで裏付けられるように、履物底(スリッパ底)の摩耗量を半分以下に減少させることが可能となる。一方、上記のように添加剤を含有させても、硬化塗膜の凹凸表面それ自体の表面粗さRaはそれほど減少しないので、防滑性能は維持される。
本発明の床シートは、上記のように防滑性を有し、不定形粒子をアクリル系紫外線硬化型塗料に含有させているにも拘わらず履物底の摩耗が少ないものであり、アクリル系紫外線硬化型塗料の硬化塗膜によって耐汚染性も発揮できるものである。また、不定形粒子を紫外線硬化型塗料に含有させる本発明の床シートは、前記特許文献1の球状粒子を限定使用する防滑性床材に比べると、使用できる粒子の種類が多いため、安価な不定形粒子を選択使用してコストダウンを図ることも可能なものである。
添加剤が不定形粒子100質量部に対して0.5〜30質量部の割合でアクリル系紫外線硬化型塗料の硬化塗膜に含まれていると、後述の実験データによって裏付けられるように、防滑性能が従来のエンボス加工された合成樹脂製の床シートと同等以上の防滑性能を有するにも拘わらず、履物底の摩耗量が、不定形粒子のみを含むアクリル系紫外線硬化型塗料の硬化塗膜を形成した床シートに比べて、半分以下に減少するという顕著な効果を得ることができる。
そして、添加剤として使用される親水性基と親油性基を併せ持つ有機金属化合物やポリエーテルエステル酸のアミン塩は、後述の実験データによって裏付けられるように、硬化塗膜の凹凸表面の凸部の表面粗さRaを3.5〜5.5μmに減少させて、履物底の十分な摩耗量抑制作用を発揮することができる。
また、不定形粒子(シリカ粉又は珪石粉)が5〜50μmの平均粒径を有し、アクリル系紫外線硬化型塗料100質量部に対して20〜150質量部の割合で含まれていると、硬化塗膜の凹凸表面それ自体の表面粗さRaが大きくなるので、従来のエンボス加工を施した床シートと同等以上の防滑性能を得ることができる。
以下、本発明に係る床シートの具体的な実施形態を詳述する。
本発明の床シートは、床シート本体の表面にアクリル系紫外線硬化型塗料の硬化塗膜を形成したものであって、床シート本体としては、熱可塑性樹脂に充填材、各種添加材、顔料などを含有させたシートが使用される。
上記の床シート本体は、充填材、添加材、顔料等を配合した熱可塑性樹脂の粒状物(又は破砕片)を支持体に供給し、加熱溶融して粒状物(又は破砕片)同士を圧着することにより、シート状に成形したものでもよいし、押出成形などの成形手段でシート状に成形したものでもよい。また、単層のシートでも複層のシートでもよく、更に、寸法安定性や接着性を高めるために、シートの中間や裏面にガラス繊維や有機繊維の繊維層(不織布、織布、紙)を積層したものでもよい。床シート本体の厚みは限定されないが、従来の床材と同様、2〜3mmとするのが適当である。
床シート本体の材料樹脂は、熱可塑性樹脂であれば特に限定されるものではなく、例えば、塩化ビニル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体などが単独で又は2種以上混合して使用される。また、ポリオレフィン系、スチレン系、ポリウレタン系などの熱可塑性エラストマーも使用される。
床シート本体の表面に形成される硬化塗膜は、球形粒子以外の不定形粒子であるシリカ粉又は珪石粉と、親水性と親油性を有する添加剤とを含んだアクリル系紫外線硬化型塗料の硬化塗膜であって、200〜400μm程度の長径を備えた凸部と凹部が混在する凹凸表面を有している。この凹凸表面の凸部は、不定形粒子(シリカ粉又は珪石粉)の平均粒径(後述するように5〜50μm)に比べると遥かに大きい長径を有することから、不定形粒子が凝集して形成されたものと推定され、後述するように、不定形粒子が塗料のアクリル系樹脂でほぼ完全に被覆されて露出していないため、凸部の表面は比較的滑らかであり、凸部の表面粗さRaが3.5〜5.5μmになっている。
アクリル系紫外線硬化型塗料としては、例えば、光ラジカル重合型のウレタンアクリレート、エポキシアクリレート、ポリエステルアクリレートなどのオリゴマーを主剤とする公知の塗料が制限なく使用される。これらのうちウレタンアクリレートを主剤とする塗料は、丈夫な硬化塗膜を形成し、床シート本体を長期に亘って被覆保護して良好な耐汚染性を発揮するため、特に好ましく使用される。
アクリル系紫外線硬化型塗料に含有させる不定形粒子であるシリカ粉又は珪石粉は、5〜50μmの平均粒径を有するものが好ましく、シリカ粉としては、湿式シリカ粉(ゲル法シリカ粉、沈殿法シリカ粉等)、乾式シリカ粉(燃焼法シリカ粉、アーク法シリカ粉等)が使用される。なお、珪砂や、アルミナ粉などの不定形無機粒子や、くるみ殻粉、樹脂パウダーなどの不定形有機粒子も使用可能である。平均粒径が5μmより小さい不定形粒子は、アクリル系紫外線硬化型塗料に多量に含有させなければ、防滑性を発揮できる表面粗さRaが2μm以上の凹凸表面を備えた硬化塗膜を形成することが難しいという不都合があり、一方、平均粒径が50μmより大きい不定形粒子は、アクリル系紫外線硬化型塗料に対する含有量をかなり少なくしても、箒などによる掃出し性能に優れた表面粗さRaが10μm以下の凹凸表面を備えた硬化塗膜を形成することが難しいという不都合があるので、いずれも好ましくない。
上記の不定形粒子は、アクリル系紫外線硬化型塗料100質量部に対して20〜150質量部の割合で含有させることが好ましく、不定形粒子の含有量が20質量部よりも少ない場合は、防滑性を発揮できる表面粗さRaが2μm以上の凹凸表面を備えた硬化塗膜を形成することが困難になり、150重量部よりも多い場合は、アクリル系紫外線硬化型塗料がゲル化して通常の塗布手段では塗布が困難になるので、いずれの場合も好ましくない。
アクリル系紫外線硬化型塗料に不定形粒子と共に含有させる親水性と親油性を備えた添加剤は、塗料中のアクリル系樹脂と不定形粒子の親和性を高めることによって、硬化塗膜の凸部の不定形粒子が露出しないようにアクリル系樹脂でほぼ完全に被覆し、凸部の表面粗さRaを減少させて履物底の摩耗量を低減させるものであって、親水性基と親油性基を併せ持つ有機金属化合物や、ポリエーテルエステル酸のアミン塩が好ましく使用される。
有機金属化合物の具体例としては、下記の表1に示すごとき、親水性基として種々のアルコキシドを有し、親油性基として炭素数6以上の長鎖炭化水素基(ホスフィンやスルホニル基で修飾したものを含む)を有する、常温で液体の、チタンカップリング剤(有機チタン化合物)、シランカップリング剤(有機シラン化合物)、ジルコニアカップリング剤(有機ジルコニウム化合物)などを挙げることができる。
また、ポリエーテルエステル酸のアミン塩の具体例としては、楠本化成(株)製の界面活性剤「DA234」として入手される、分子量が数千ないし数万のポリエーテルエステル酸のアミン塩を挙げることができる。
Figure 0005557206
上記の添加剤は、不定形粒子100質量部に対して0.5〜30質量部の割合で、アクリル系紫外線硬化型塗料に含有させることが好ましく、この割合で含有させると、硬化塗膜の凹凸表面の凸部の表面粗さRaが3.5〜5.5μmまで減少し、履物底の摩耗量が、不定形粒子のみを含むアクリル系紫外線硬化型塗料の硬化塗膜を形成した床シートに比べて、半分以下に減少するという顕著な効果を得ることができる。添加剤の含有量が0.5質量部より少ない場合は、塗料のアクリル系樹脂と不定形粒子との親和性をあまり高めることができないため、凸部の不定形粒子が一部露出して凸部の表面粗さRaが5.5μmよりも大きくなり、凸部の表面が荒れた粗面となるので、履物底の摩耗抑制効果が大幅に低下する。一方、30質量部より多く含有させても、それに見合った摩耗抑制効果の向上が見られないため材料の無駄となり、また、硬化塗膜中の樹脂分が多くなるため防滑性能が損なわれる恐れも生じる。
添加剤の添加方法については制限がなく、例えば、不定形粒子をアクリル系紫外線硬化型塗料に混合した後に添加剤を混合してもよいし、予め不定形粒子を添加剤で表面処理してアクリル系紫外線硬化型塗料に混合してもよい。また、硬化塗膜の形成方法についても制限はなく、例えば、不定形粒子と添加剤と光硬化剤を配合したアクリル系紫外線硬化型塗料を床シート本体の表面にロールコーターなどの塗布手段で塗布し、紫外線照射により塗膜を硬化させて形成すればよい。
硬化塗膜の平均厚さは特に限定されないが、10〜50μm程度の平均厚さを有する硬化塗膜を形成して、床シート本体を確実に被覆保護し、汚れを防止することが好ましい。10μmより薄くなると、比較的短期間で硬化塗膜が磨滅する恐れがあり、50μmより厚くしても、それに見合うだけのメリットがなく、材料の無駄使いとなる。また、硬化塗膜それ自体の表面粗さRaは、良好な防滑性能と掃出し性能が得られるように、不定形粒子の粒径や含有量を前記の範囲内で調節して、2〜10μm、好ましくは3〜5μmとするのが良い。
以上のような構成の床シートは、添加剤によって塗料中のアクリル系樹脂と不定形粒子(シリカ粉又は珪石粉)との親和性が高くなり、凹凸表面の凸部の不定形粒子が塗料のアクリル系樹脂でほぼ完全に被覆されて、凸部の表面は表面粗さRaが3.5〜5.5μmの比較的滑らかな面になっているため、後述の実験データで裏付けられるように、履物底(スリッパ底)の摩耗量を半分以下に減少させることができる。一方、硬化塗膜の凹凸表面それ自体の表面粗さRaは、添加剤を配合してもそれほど減少しないので、従来のエンボス加工した防滑床シートと同等以上の防滑性能を発揮することができ、硬化塗膜によって耐汚染性を発揮することもできる。また、この床シートのように不定形粒子(シリカ粉又は珪石粉)を使用すると、高価な球状粒子を限定使用する従来の防滑性床材に比べてコストダウンを図ることもできる。
尚、硬化塗膜の凹凸表面の表面粗さRa、凸部の表面粗さRaは、JIS B 0601 2001に準拠して求められる算術平均高さRaである。
次に、本発明の具体的な実施例と比較例について説明する。
[実施例1〜4]
市販のウレタンアクリレート系紫外線硬化型塗料(荒川化学工業(株)製のビームセット575)と光硬化剤(チバスペシャリティ・ケミカルズ(株)製のダロキュア1173)を100:2の割合で混合した。この紫外線硬化型塗料100質量部に対し、不定形粒子として平均粒径8.9μmの沈殿法シリカ粉(東ソーシリカ(株)製のLP)を25質量部混合した後、更に添加剤としてポリエーテルエステル酸のアミン塩(楠本化成(株)製の界面活性剤DA234)を上記シリカ粉100質量部に対し5質量部(実施例1)、10質量部(実施例2)、20質量部(実施例3)、30質量部(実施例4)の割合で紫外線硬化型塗料に混合し、添加剤の含有量が異なる4種類の塗料を調製した。
これらの調製塗料を厚さ2mmの塩化ビニル樹脂製の床シート本体の平坦な表面にロールコーターで塗布し、紫外線を照射して塗膜を硬化させることにより、凹凸表面を有する平均厚さが20μmの硬化塗膜を形成して、実施例1〜4の床シートのサンプルを作製した。
得られた実施例1〜4の床シートのサンプルについて、下記の試験方法で硬化塗膜の凹凸表面の表面粗さRa、凸部の表面粗さRa、防滑性能、履物底の摩耗量を測定した。
[硬化塗膜の凹凸表面の表面粗さRaの測定方法]
東京精密(株)製の測定装置(SURFCOM 130A)を使用し、評価長さ5.000mm、測定速度0.6mm/s、カットオフ値 λs2.5μm、λc0.8mmの条件でサンプルの凹凸表面の表面粗さRaをJIS B 0601 2001に準拠して測定した。
[硬化塗膜の凹凸表面の凸部の表面粗さRaの測定方法]
キーエンス(株)製のレーザー顕微鏡VK9500を使用し、測定倍率10倍で硬化塗膜の凹凸表面を観察、測定した後、凹凸表面の凸部の表面粗さRaを、JIS B 0601 2001に準拠して、カットオフ値 λs2.5μm、λc0.08mmの条件で5点以上計測し、その平均値を求めた。
[防滑性能の試験方法]
塩化ビニル樹脂板に各サンプル(300×300mm)を3枚貼り付け、乾燥時とサンプルに水を散布した湿潤時に、その上を20人に歩行してもらい、防滑性能を7段階で官能評価してもらう。即ち、非常に滑りやすい場合は1点、かなり滑りやすい場合は2点、やや滑りやすい場合は3点、どちらともいえない場合は4点、やや滑りにくい場合は5点、かなり滑りにくい場合は6点、非常に滑りにくい場合は7点とし、20人の平均点を求めた。
一方、エンボス加工をした塩化ビニル樹脂製の床シートであって、その表面をアクリル系紫外線硬化型塗料(不定形粒子も添加剤も含まないもの)の硬化塗膜で被覆保護した厚さ2.5mm、表面の凹凸差1.0mmの従来の床シートについて、同様に防滑性能を7段階で官能評価し、20人の平均点を求めたところ、3.28点であった。
そこで、各サンプルについて求めた平均点が5.71〜7.0点の範囲にある場合はA(かなり滑りにくい)、平均点が4.41〜5.70点の範囲にある場合はB(やや滑りにくい)、平均点が3.28〜4.40点の範囲にある場合はC(エンボス加工された塩化ビニル樹脂製床シートと同等)、平均点が2.11〜3.27点の範囲にある場合はD(やや滑りやすい)、平均点が1.0〜2.1点の範囲にある場合はE(かなり滑りやすい)と判定した。
[履物底の摩耗量の測定方法]
染色堅ろう度試験用摩擦試験機(JIS L 0823)を平板用に改良した装置を使用し、この装置に錘200g(全荷重500g)と、20mm×20mm角で厚さ10mmのスリッパ片を取付け、10000回払拭した後、スリッパ片の重量を計測して、払拭前の重量との差から摩耗量を求めた。この試験を3回行い、摩耗量の平均値を求めた。
上記の方法で測定した実施例1〜4の各サンプルの硬化塗膜の凹凸表面の表面粗さRa、硬化塗膜の凹凸表面の凸部の表面粗さRa、防滑性能、履物底の摩耗量を下記の表2に示す。
[比較例1]
添加剤を省略した以外は実施例1〜4と同様にして調製したウレタンアクリレート系紫外線硬化型塗料を使用し、実施例1〜4と同様に凹凸表面を有する平均厚さが20μmの硬化塗膜を形成した比較用の床シートのサンプルを作製した。
そして、この比較用のサンプルについて、実施例1〜4と同様にして硬化塗膜の凹凸表面の表面粗さRa、凸部の表面粗さRa、防滑性能、履物底の摩耗量を測定した。その結果を下記の表2に併記する。
Figure 0005557206
表2を見ると、添加剤としてポリエーテルエステル酸のアミン塩(界面活性剤DA234)を含まないアクリル系紫外線硬化型塗料の硬化塗膜を表面に形成した比較用の床シートは、硬化塗膜の凹凸表面それ自体の表面粗さRaが4.77μmで、防滑性能の評価がBであり、従来のエンボス加工した防滑床シートよりも良好な防滑性能を有するものであるが、硬化塗膜の凹凸表面の凸部の表面粗さRaが6.19μmと大きく、凸部の表面が荒れた粗面となっているため、履物底(スリッパ片)の摩耗量が20.0mgと多い。
これに対し、添加剤としてポリエーテルエステル酸のアミン塩(界面活性剤DA234)を、不定形粒子100質量部に対して5〜30質量部の割合で含有させたアクリル系紫外線硬化型塗料の硬化塗膜を形成した実施例1〜4の床シートは、凸部の表面粗さRaが3.71〜5.04μmで、比較例1の床シートに比べると相当減少しており、凸部の表面がかなり滑らかな面になっているため、スリッパ片の摩耗量が比較例1に比べて半分以下に減少している。そして、実施例1〜4を対比すると、添加剤の配合部数が多くなるほど、凸部の表面粗さRaは小さくなり、摩耗量が減少している。このことから、添加剤は、凸部の表面粗さRaの減少と履物底の摩耗量の減少に極めて有効であることが判る。
また、実施例1,2の床シートのように、添加剤の配合部数が10質量部以下であれば、凹凸表面の表面粗さRaは添加剤を含まない比較例1の床シートとあまり変わらないため、従来のエンボス加工された防滑床シートよりも優れた防滑性能を発揮し、30重量部と大量に含有させると、凹凸表面の表面粗さRaの低下は大きくなるが、それでも凹凸表面の表面粗さRaは2.70で、従来の防滑床シートと同等の防滑性能を発揮することが判る。
[実施例5〜17]
ウレタンアクリレート系紫外線硬化型塗料に、不定形粒子として下記表3に記載したクルミ殻粉、シリカ粉、珪石粉を下記表3に記載した部数で混合した後、更に下記表3に記載した各種の添加剤を下記表3に記載した部数で混合して調製した塗料を使用し、実施例1〜4と同様にして実施例5〜17の床シートのサンプルを作製した。
これらのサンプルについて、実施例1〜4と同様にして硬化塗膜の凹凸表面の表面粗さRa、凸部の表面粗さRa、防滑性能を測定した。その結果を下記表3に記載する。
[比較例2,3]
ウレタンアクリレート系紫外線硬化型塗料に、添加剤を混合しないでクルミ殻粉を下記表3に記載した部数で混合して調製した塗料を使用し、実施例1〜4と同様にして比較例2の床シートのサンプルを作製した。
また、ウレタンアクリレート系紫外線硬化型塗料に、添加剤を混合しないで珪石粉を下記表3に記載した部数で混合して調製した塗料を使用し、実施例1〜4と同様にして比較例3の床シートのサンプルを作製した。
これらのサンプルについて、実施例1〜4と同様にして硬化塗膜の凹凸表面の表面粗さRa、凸部の表面粗さRa、防滑性能を測定した。その結果を下記表3に記載する。
Figure 0005557206
表3中、クルミ殻粉(F180)は日本ウオルトナット(株)製の平均粒径20μmの不定形のクルミ殻粉であり、珪石粉(MILLSIL M6)は白石工業(株)製の平均粒径30μmの不定形の珪石粉である。
この表3から、不定形粒子の種類や配合部数が変わっても、添加剤として、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、ジルコニアカップリング剤等の親水性基及び親油性基を有する有機金属化合物や、ポリエーテルエステル酸のアミン塩を0.5質量部以上含有させたアクリル系紫外線硬化型塗料の硬化塗膜を形成した床シートは、従来のエンボス加工した防滑床シートと同等以上の防滑性能を有しており、しかも、硬化塗膜の凹凸表面の凸部の表面粗さRaが3.5〜5.5μmで、比較例2,3や前記表2の比較例1のものに比べて小さく、履物底の摩耗を抑制できることが判る。

Claims (4)

  1. 床シート本体の表面に、球形粒子以外の不定形粒子であるシリカ粉又は珪石粉と、親水性と親油性を有する添加剤とを含んだアクリル系紫外線硬化型塗料の硬化塗膜が形成され、この硬化塗膜は凹凸表面を有し、凹凸表面の凸部の表面粗さRaが3.5〜5.5μmであることを特徴とする、履物底の摩耗が少ない床シート。
  2. 上記添加剤が、上記不定形粒子100質量部に対して0.5〜30質量部の割合で、上記アクリル系紫外線硬化型塗料の硬化塗膜に含まれていることを特徴とする請求項1に記載の床シート。
  3. 上記添加剤が、親水性基と親油性基を併せ持つ有機金属化合物、もしくは、ポリエーテルエステル酸のアミン塩であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の床シート。
  4. 上記不定形粒子であるシリカ粉又は珪石粉が5〜50μmの平均粒径を有するもので、上記アクリル系紫外線硬化型塗料100質量部に対して20〜150質量部の割合で含まれていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の床シート。
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