以下に、本開示の実施形態について図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の各実施形態において、同一の部位には同一の符号を付することにより重複する説明を省略する。
また、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する複数の構成要素を、同一の符号の後に異なる数字を付して区別する場合もある。例えば、実質的に同一の機能構成を有する複数の構成を、必要に応じて通信装置501、502及び503のように区別する。ただし、実質的に同一の機能構成を有する複数の構成要素の各々を特に区別する必要がない場合、同一符号のみを付する。例えば、通信装置501、502及び503を特に区別する必要が無い場合には、単に通信装置50と称する。
また、以下に示す項目順序に従って本開示を説明する。
1.はじめに
2.実施形態
2-1.通信システムの全体構成
2-2.管理装置の構成
2-3.基地局の構成
2-4.中継局の構成
2-5.通信装置の構成
2-6.初期接続処理
2-7.ランダムアクセス手続き
2-8.切替処理の必要性
2-9.通信装置の機能構成
2-10.切替処理
2-11.効果
3.変形例
3-1.システム構成に関する変形例
3-2.その他の変形例
4.むすび
(1.はじめに)
LTE(Long Term Evolution)、NR(New Radio)等の無線アクセス技術が3GPP(3rd Generation Partnership Project)で検討されている。LTE及びNRは、セルラー通信技術の一種であり、基地局がカバーするエリアをセル状に複数配置することで端末装置の移動通信を可能にする。なお、以下の説明では、「LTE」には、LTE-A(LTE-Advanced)、LTE-A Pro(LTE-Advanced Pro)、及びEUTRA(Evolved Universal Terrestrial Radio Access)が含まれるものとする。また、NRには、NRAT(New Radio Access Technology)、及びFEUTRA(Further EUTRA)が含まれるものとする。
NRは、LTEの次の世代(第5世代)の無線アクセス技術(RAT:Radio Access Technology)である。NRは、eMBB(Enhanced Mobile Broadband)、mMTC(Massive Machine Type Communications)及びURLLC(Ultra-Reliable and Low Latency Communications)を含む様々なユースケースに対応できる無線アクセス技術である。NRは、これらのユースケースにおける利用シナリオ、要求条件、及び配置シナリオなどに対応する技術フレームワークを目指して検討されている。
さらに、NRでは、広域カバレッジ、接続安定性などの要求の高まりから、非地上波ネットワーク(NTN:Non-Terrestrial Network)の検討が開始されている。非地上波ネットワークでは、衛星局や航空機局等の地上局以外の基地局を介して、端末装置に無線ネットワークが提供されることが予定されている。この地上局以外の基地局は、非地上局又は非地上基地局と称される。地上局により提供される無線ネットワークは地上波ネットワーク(TN:Terrestrial Network)と称される。地上波ネットワークと非地上波ネットワークとを同一の無線アクセス方式とすることで、地上波ネットワーク及び非地上波ネットワークの統合的な運用が可能となる。
なお、本開示の実施形態において、地上局(地上基地局ともいう。)とは、地上に設置される基地局(中継局を含む。)のことをいう。「地上」は、地上(陸上)のみならず、地中、水上、水中も含む広義の地上である。
(2.実施形態)
以下、本実施形態に係る通信システム1を説明する。通信システム1は、非地上局を備え、通信装置に対して非地上波ネットワークを使用した無線通信を提供する。なお、通信システム1が備える非地上波ネットワークは、NRで規定される無線アクセス方式を使用した無線ネットワークに限られない。通信システム1が備える非地上波ネットワークは、LTE、W-CDMA(Wideband Code Division Multiple Access)、cdma2000(Code Division Multiple Access 2000)等、NR以外の無線アクセス方式の無線ネットワークであってもよい。
なお、以下の説明では、基地局(以下、基地局装置ともいう。)という概念には、中継局(以下、中継装置ともいう。)が含まれるものとする。また、基地局という概念には、基地局の機能を備えた構造物(Structure)のみならず、構造物に設置される装置も含まれる。構造物は、例えば、高層ビル、家屋、鉄塔、駅施設、空港施設、港湾施設、スタジアム等の建物である。なお、構造物という概念には、建物のみならず、トンネル、橋梁、ダム、塀、鉄柱等の構築物(Non-building structure)や、クレーン、門、風車等の設備も含まれる。また、構造物という概念には、地上(陸上)又は地中の構造物のみならず、桟橋、メガフロート等の水上の構造物や、海洋観測設備等の水中の構造物も含まれる。
また、基地局は、移動可能に構成された基地局であってもよい。例えば、基地局は、移動体に設置される装置であってもよいし、移動体そのものであってもよい。移動体は、スマートフォンなどのモバイル端末や、地上(陸上)を移動する移動体(例えば、自動車、バス、トラック、列車、リニアモーターカー等の車両)であってもよいし、地中(例えば、トンネル内)を移動する移動体(例えば、地下鉄)であってもよい。また、移動体は、水上を移動する移動体(例えば、旅客船、貨物船、ホバークラフト等の船舶)であってもよいし、水中を移動する移動体(例えば、潜水艇、潜水艦、無人潜水機等の潜水船)であってもよい。また、移動体は、大気圏内を移動する移動体(例えば、飛行機、飛行船、ドローン等の航空機)であってもよいし、大気圏外を移動する宇宙移動体(例えば、人工衛星、宇宙船、宇宙ステーション、探査機等の人工天体)であってもよい。
なお、LTEの基地局は、eNodeB(Evolved Node B)又はeNBと称されることがある。また、NRの基地局は、gNodeB又はgNBと称されることがある。また、LTE及びNRでは、端末装置(移動局、移動局装置、又は端末ともいう。)はUE(User Equipment)と称されることがある。なお、端末装置は、通信装置の一種であり、移動局、移動局装置、又は端末とも称される。本開示の実施形態において、通信装置という概念には、携帯端末等の持ち運び可能な端末装置のみならず、例えば、構造物や移動体に設置される装置も含まれる。また、通信装置という概念には、端末装置のみならず、基地局及び中継局も含まれる。
[2-1.通信システムの全体構成]
図1は、本開示の実施形態に係る通信システム1の構成例を示す図である。通信システム1は、管理装置10と、非地上基地局(以下、単に非地上局と称する)20と、地上基地局(以下、単に地上局と称する)30と、中継装置(以下、単に中継局と称する)40と、通信装置50と、を備える。通信システム1は、通信システム1を構成する各無線通信装置が連携して動作することで、ユーザに対し、移動通信が可能な無線ネットワークを提供する。無線通信装置は、無線通信の機能を有する装置のことであり、図1の例では、非地上局20、地上局30、中継局40、及び通信装置50が該当する。
通信システム1は、管理装置10、非地上局20、地上局30、中継局40、及び通信装置50をそれぞれ複数備えていてもよい。図1の例では、通信システム1は、管理装置10として管理装置101、102等を備えている。また、通信システム1は、非地上局20として非地上局201、202等を備えており、地上局30として地上局301、302等を備えている。また、通信システム1は、中継局40として中継局401、402等を備えており、通信装置50として通信装置501、502、503等を備えている。
管理装置10は、無線ネットワークを管理する装置である。例えば、管理装置10は、MME(Mobility Management Entity)やAMF(Access and Mobility Management Function)として機能する装置である。管理装置10は、コアネットワークCNを構成する。コアネットワークCNは、例えば、EPC(Evolved Packet Core)や5GC(5G Core network)である。管理装置10は、複数の非地上局20及び複数の地上局30それぞれと接続される。管理装置10は、非地上局20及び地上局30の通信を管理する。
非地上局20は、通信装置50と無線通信する基地局である。図1の例では、非地上局201は、中継局401と接続されており、中継局401を介して通信装置50と無線通信することも可能である。本実施形態では、非地上局20は、空中又は宇宙を浮遊可能な基地局である。例えば、非地上局20は、航空機局や衛星局等の非地上局装置である。
航空機局は、例えば、航空機等、大気圏内を浮遊可能な無線通信装置である。航空機局は、例えば、航空機等に搭載される装置であってもよいし、航空機そのものであってもよい。なお、航空機という概念には、飛行機、グライダー等の重航空機のみならず、気球、飛行船等の軽航空機も含まれる。また、航空機という概念には、重航空機や軽航空機のみならず、ヘリコプターやオートジャイロ等の回転翼機も含まれる。なお、航空機局(又は、航空機局が搭載される航空機)は、ドローン等の無人航空機であってもよい。なお、無人航空機という概念には、無人航空システム(UAS:Unmanned Aircraft Systems)、つなぎ無人航空システム(tethered UAS)も含まれる。また、無人航空機という概念には、軽無人航空システム(LTA:Lighter than Air UAS)、重無人航空システム(HTA:Heavier than Air UAS)が含まれる。その他、無人航空機という概念には、高高度無人航空システムプラットフォーム(HAPs:High Altitude UAS Platforms)も含まれる。
衛星局は、大気圏外を浮遊可能な無線通信装置である。衛星局は、人工衛星等の宇宙移動体に搭載される装置であってもよいし、宇宙移動体そのものであってもよい。衛星局となる衛星は、低軌道(LEO:Low Earth Orbiting)衛星、中軌道(MEO:Medium Earth Orbiting)衛星、静止(GEO:Geostationary Earth Orbiting)衛星、高楕円軌道(HEO:Highly Elliptical Orbiting)衛星の何れであってもよい。勿論、衛星局は、低軌道衛星、中軌道衛星、静止衛星、又は高楕円軌道衛星に搭載される装置であってもよい。
地上局30は、通信装置50と無線通信する基地局である。図1の例では、地上局301は、中継局402と接続されており、中継局402を介して通信装置50と無線通信することも可能である。地上局30は、地上の構造物に配置される基地局であってもよいし、地上を移動する移動体に設置される基地局であってもよい。例えば、地上局30は、ビル等の構造物に設置されたアンテナ及びそのアンテナに接続する信号処理装置である。勿論、地上局30は、構造物や移動体そのものであってもよい。
中継局40は、基地局の中継局となる装置である。中継局40は、基地局の一種である。中継局40は、非地上局20と通信装置50との通信、又は地上局30と通信装置50との通信を中継する。中継局40は、地上局であってもよいし、非地上局であってもよい。中継局40は非地上局20及び地上局30とともに無線アクセスネットワークRANを構成する。
通信装置50は、例えば、携帯電話、スマートデバイス(スマートフォン、又はタブレット)、PDA(Personal Digital Assistant)、パーソナルコンピュータである。また、通信装置50は、M2M(Machine to Machine)デバイス、又はIoT(Internet of Things)デバイスであってもよい。また、通信装置50は、移動体に設置される無線通信装置であってもよいし、移動体そのものであってもよい。なお、通信装置50は、衛星通信を中継する中継局であってもよいし、衛星通信を受信する基地局であってもよい。通信装置50は、地上波ネットワークと非地上波ネットワークの双方に対応する。そのため、通信装置50は、地上局30等の地上局装置のみならず、非地上局20等の非地上局装置とも通信可能である。
図2は、通信システム1が提供する無線ネットワークの一例を示す図である。非地上局20及び地上局30はそれぞれセルを構成する。セルとは基地局により無線通信がカバーされるエリアである。非地上局20及び地上局30により構成されるセルは、マクロセル、マイクロセル、フェムトセル、及びスモールセルの何れであってもよい。なお、通信システム1は、単一の基地局で複数のセルを管理するように構成されていてもよいし、複数の基地局で1つのセルを管理するように構成されていてもよい。
図2の例では、地上局301、302は地上波ネットワークTN1を構成し、地上局303、304、305は地上波ネットワークTN2を構成する。地上波ネットワークTN1及び地上波ネットワークTN2は、例えば、電話会社等の無線通信事業者により運営される地上波ネットワークである。地上波ネットワークTN1及び地上波ネットワークTN2は、異なる無線通信事業者により運営されてもよいし、同じ無線通信事業者により運営されてもよい。地上波ネットワークTN1と地上波ネットワークTN2とを1つの地上波ネットワークとみなすことも可能である。
地上波ネットワークTN1と地上波ネットワークTN2はそれぞれコアネットワークに接続される。図2の例では、地上波ネットワークTN2を構成する地上局30は、管理装置101等により構成されるコアネットワークCNに接続される。地上波ネットワークTN2の無線アクセス方式がLTEなのであれば、コアネットワークCNはEPCである。また、地上波ネットワークTN2の無線アクセス方式がNRなのであれば、コアネットワークCNは5GCである。勿論、コアネットワークCNは、EPCや5GCに限られず、他の無線アクセス方式のコアネットワークであってもよい。なお、図2の例では、地上波ネットワークTN1はコアネットワークに接続されていないが、地上波ネットワークTN1はコアネットワークCNに接続されてもよい。また、地上波ネットワークTN1は、コアネットワークCNとは異なる不図示のコアネットワークに接続されてもよい。
コアネットワークCNはゲートウェイ装置や関門交換機等を備え、ゲートウェイ装置を介して公衆ネットワークPNに接続されている。公衆ネットワークPNは、例えば、インターネット、地域IP網、電話網(携帯電話網、固定電話網等)、等の公衆データネットワークである。ゲートウェイ装置は、例えば、インターネットや地域IP網等に繋がるサーバ装置である。関門交換機は、例えば、電話会社の電話網に繋がる交換機である。管理装置101がゲートウェイ装置や関門交換機としての機能を有していてもよい。
図2に示す非地上局20及び中継局40は、何れも、衛星局や航空機局等の非地上局装置である。非地上波ネットワークを構成する衛星局群(又は単一の衛星局)はスペースボーンプラットフォーム(Spaceborne Platform)と称される。また、非地上波ネットワークを構成する航空機局群(又は単一の航空機局)はエアボーンプラットフォーム(Airborne Platform)と称される。図2の例では、非地上局202、中継局401、及び中継局402がスペースボーンプラットフォームSBP1を構成し、非地上局201がスペースボーンプラットフォームSBP2を構成する。また、非地上局203がエアボーンプラットフォームABP1を構成する。
通信装置50は、地上局30と非地上局20の双方と通信可能である。図2の例では、通信装置501は、地上波ネットワークTN1を構成する地上局30と通信可能である。また、通信装置501は、スペースボーンプラットフォームSBP1、SBP2を構成する非地上局20と通信可能である。また、通信装置501は、エアボーンプラットフォームABP1を構成する非地上局20とも通信可能である。なお、通信装置501は、他の通信装置50(図2の例では通信装置502)と直接通信可能であってもよい。
非地上局20は、中継局60を介して地上波ネットワーク又はコアネットワークと接続する。スペースボーンプラットフォームSBP1、SBP2を構成する非地上局20は、中継局601を介して地上波ネットワークTN1に接続する。また、スペースボーンプラットフォームSBP1、SBP2、及びエアボーンプラットフォームABP1を構成する非地上局20は、中継局602を介してコアネットワークCNに接続する。なお、非地上局20は中継局60を介さずに非地上局20同士で直接通信することも可能である。
中継局60は、例えば、航空局や地球局である。航空局は、航空機局と通信を行うために、地上又は地上を移動する移動体に設置された無線局である。また、地球局は、衛星局(宇宙局)と通信するために、地球(空中を含む。)に位置する無線局である。地球局は、大型地球局であってもよいし、VSAT(Very Small Aperture Terminal)等の小型地球局であってもよい。なお、地球局は、VSAT制御地球局(親局、HUB局ともいう。)であってもよいし、VSAT地球局(子局ともいう。)であってもよい。また、地球局は、地上を移動する移動体に設置される無線局であってもよい。例えば、船舶に搭載される地球局として、船上地球局(ESV:Earth Stations on board Vessels)が挙げられる。また、地球局には、航空機(ヘリコプターを含む。)に設置され、衛星局と通信する航空機地球局が含まれていてもよい。また、地球局には、地上を移動する移動体に設置され、衛星局を介して航空機地球局と通信する航空地球局が含まれていてもよい。なお、中継局60は、衛星局や航空機局と通信する携帯移動可能な無線局であってもよい。中継局60は通信システム1の一部とみなすことが可能である。
スペースボーンプラットフォームSBP1、SBP2を構成する各装置は、通信装置50と衛星通信を行う。衛星通信とは、衛星局と通信装置50との無線通信のことである。図3は、通信システム1が提供する衛星通信の概要を示す図である。衛星局は、主に、静止衛星局と低軌道衛星局とに分けられる。
静止衛星局は、高度およそ35786kmに位置し、地球の自転速度と同じ速度で地球を公転する。図3の例であれば、スペースボーンプラットフォームSBP2を構成する非地上局201が静止衛星局である。静止衛星局は地上の通信装置50との相対速度がほぼ0であり、地上の通信装置50からは静止しているかのように観測される。非地上局201は、地球上に位置する通信装置501、503、504等と衛星通信を行う。
低軌道衛星局は、静止衛星局や中軌道衛星局に比べて低い高度で周回する衛星局である。低軌道衛星局は、例えば、高度500kmから2000kmの間に位置する衛星局である。図3の例であれば、スペースボーンプラットフォームSBP1を構成する非地上局202、203が低軌道衛星局である。なお、図3には、スペースボーンプラットフォームSBP1を構成する衛星局として非地上局202と非地上局203の2つしか示されていない。しかしながら、実際には、スペースボーンプラットフォームSBP1を構成する衛星局は、2以上(例えば、数十から数千)の非地上局20によって低軌道衛星コンステレーションが形成されている。低軌道衛星局は、静止衛星局とは異なり、地上の通信装置50との相対速度があり、地上の通信装置50からは移動しているかのように観測される。非地上局202、203はそれぞれセルを構成し、地球上に位置する通信装置501、502、503等と衛星通信を行う。
図4は、衛星局が構成するセルの一例を示す図である。図4には、低軌道衛星局である非地上局203が形成するセルC2が示されている。低軌道を周回する衛星局は、地上に所定の指向性を持って地上の通信装置50と通信を行う。例えば、図4に示す角度R1は40°である。図4の場合、非地上局203が形成するセルC2の半径D1は、例えば、1000kmである。低軌道衛星局は、一定の速度をもって移動する。低軌道衛星局が地上の通信装置50に衛星通信を提供することが困難になった場合には、後続の低軌道衛星局が衛星通信を提供する。図4の例の場合、非地上局203が地上の通信装置50に衛星通信を提供することが困難になった場合は、後続の非地上局204が衛星通信を提供する。なお、上記した角度R1及び半径D1の値はあくまで一例であり上記に限られない。
上述したように、通信装置50は非地上波ネットワークを使った無線通信が可能である。また、通信システム1の非地上局20及び中継局40は、非地上波ネットワークを構成する。これにより、通信システム1は、地上波ネットワークがカバーできないエリアに位置する通信装置50へサービスを拡張することが可能になる。例えば、通信システム1は、IoT(Internet of Things)デバイスやMTC(Machine Type Communications)デバイス等の通信装置50に対し、パブリックセーフティ通信やクリティカル通信を提供することが可能になる。また、非地上波ネットワークを使用することによりサービス信頼性や復帰性が向上するので、通信システム1は、物理攻撃又は自然災害に対するサービスの脆弱性を低減することが可能になる。また、通信システム1は、飛行機の乗客やドローンなど航空機端末装置へのサービス接続や船や電車などの移動体端末装置へのサービス接続を実現できる。その他、通信システム1は、A/Vコンテンツ、グループ通信、IoTブロードキャストサービス、ソフトウェアダウンロードサービス、緊急メッセージなどの高効率マルチキャストサービス、高効率ブロードキャストサービス等の提供を実現できる。さらに、通信システム1は、地上波ネットワークと非地上波ネットワーク間のトラフィックオフロードも実現できる。これらの実現のため、通信システム1が提供する非地上波ネットワークは、通信システム1が提供する地上波ネットワークと、上位層で運用統合がなされることが望ましい。また、通信システム1が提供する非地上波ネットワークは、通信システム1が提供する地上波ネットワークと、無線アクセス方式が共通であることが望ましい。
なお、非地上波ネットワークを使った通信の場合も、地上波ネットワークを使った通信と同様に、例えば、アイドル状態から接続先の基地局への接続や、非地上局20から他の非地上局20へのハンドオーバ等の接続先の基地局の切り替えが発生する。しかし、非地上波ネットワークを使った通信は、基地局の態様によっては、通信装置50と基地局との間の距離が長くなる可能性がある。そのため、非地上波ネットワークを使った通信の場合、基地局の態様によっては信号の伝搬遅延が大きくなる可能性がある。例えば、非地上局20から通信装置50への送信は、地上局30から通信装置50への送信に比べて伝搬遅延が大きくなる。しかも、地上局30と非地上局20とではセルの特徴が異なる。
また、非地上局20は、例えば、人工衛星等の種類によっては、通信装置50に対する相対的な移動速度が高速となることが想定される。また、通信装置50自体の移動速度が高速になると、非地上局20の通信装置50に対する相対的な移動速度が高速になる可能性もある。相対的な移動速度が大きいと、通信装置50側でセルを選択する際に影響が出る。
また、上述したように、非地上局20は、その種類によっては、通信装置50に対する相対的な移動速度が高速となることが想定される。そのため、非地上波ネットワークを使った通信の場合、地上波ネットワークを使った通信に比べて、基地局の切り替えが多発する可能性がある。例えば、非地上波ネットワークが、数百~数千個の低軌道衛星で構成される低軌道衛星コンステレーションで構成される場合、通信装置50の移動の有無に関わらず、通信装置50の接続先となる基地局の切り替えが短い時間で繰り返し発生する可能性がある。通信装置50側でセルを選択する際に影響が出る。
また、地上波ネットワークを使った通信の場合も、地上局30や通信装置50の態様によっては、地上局30と通信装置50との相対速度が高速となる可能性がある。例えば、地上局30及び通信装置50の一方又は双方が、高速移動する移動体の内部に位置した場合、地上局30と通信装置50との相対速度が高速となる。この場合も、通信装置50の接続先となる基地局の切り替えが短い時間で繰り返し発生する可能性がある。通信装置50側でセルを選択する際に影響が出る。
基地局の切替処理の失敗の可能性が高くなったり、又は接続先の基地局の切り替えが多発したりすると、通信の品質が低下する恐れがある。例えば、データの取得に時間がかかったり、パケットロスが発生したり、シームレスな通信ができなかったり、又は通信速度に大きな揺らぎが生じたりする。
従って、通信装置50は、接続先の基地局が地上局30か非地上局20かを判定できないと、接続先の基地局との間の無線通信が失敗する。また、通信装置50は、接続先の基地局が非地上局20と判定できた場合でも、非地上局20用の通信制御を設定できず、非地上局20との間の無線通信が失敗する。
そこで、本実施形態では、通信装置50側で接続先の基地局が地上局30又は非地上局20であるかを判定し、接続先の基地局に応じた通信制御を実現する。具体的には、通信装置50が、接続先の基地局から情報を取得し、取得した情報に基づき、接続先の基地局が非地上局20又は地上局30であるかを判定する。取得する情報は、地上局30と非地上局20とで異なる、例えば、無線通信帯域、同期信号(synchronization signal)、システム情報(System Information)やセルID等の情報である。そして、通信装置50は、接続先の基地局が非地上局20と判定された場合に、非地上局20の通信制御を実行する。その結果、通信装置50は、接続先の基地局に応じた通信制御を実現できる。
以下、本実施形態に係る通信システム1を構成する各装置の構成を具体的に説明する。
[2-2.管理装置の構成]
管理装置10は、無線ネットワークを管理する装置である。例えば、管理装置10は非地上局20、及び地上局30の通信を管理する装置である。コアネットワークがEPCなのであれば、管理装置10は、例えば、MME(Mobility Management Entity)としての機能を有する装置である。また、コアネットワークが5GCなのであれば、管理装置10は、例えば、AMF(Access and Mobility Management Function)としての機能を有する装置である。なお、管理装置10はゲートウェイの機能を有していてもよい。例えば、コアネットワークがEPCなのであれば、管理装置10は、S-GW(Serving Gateway)やP-GW(Packet Data Network Gateway)としての機能を有していてもよい。また、コアネットワークが5GCなのであれば、管理装置10は、UPF(User Plane Function)としての機能を有していてもよい。なお、管理装置10は必ずしもコアネットワークを構成する装置でなくてもよい。例えば、コアネットワークがW-CDMAやcdma2000のコアネットワークなのであれば、管理装置10はRNC(Radio Network Controller)として機能する装置であってもよい。
図5は、本開示の実施形態に係る管理装置10の構成例を示す図である。管理装置10は、通信部11と、記憶部12と、制御部13と、を備える。なお、図5に示した構成は機能的な構成であり、ハードウェア構成はこれとは異なっていてもよい。また、管理装置10の機能は、複数の物理的に分離された構成に分散して実装されてもよい。例えば、管理装置10は、複数のサーバ装置により構成されていてもよい。
通信部11は、他の装置と通信するための通信インタフェースである。通信部11は、ネットワークインタフェースであってもよいし、機器接続インタフェースであってもよい。例えば、通信部11は、NIC(Network Interface Card)等のLAN(Local Area Network)インタフェースであってもよいし、USB(Universal Serial Bus)ホストコントローラ、USBポート等により構成されるUSBインタフェースであってもよい。また、通信部11は、有線インタフェースであってもよいし、無線インタフェースであってもよい。通信部11は、管理装置10の通信手段として機能する。通信部11は、制御部13の制御に従って地上局30や中継局60と通信する。
記憶部12は、DRAM(Dynamic Random Access Memory)、SRAM(Static Random Access Memory)、フラッシュメモリ、ハードディスク等のデータ読み書き可能な記憶装置である。記憶部12は、管理装置10の記憶手段として機能する。記憶部12は、例えば、通信装置50の接続状態を記憶する。例えば、記憶部12は、通信装置50のRRC(Radio Resource Control)の状態やECM(EPS Connection Management)の状態を記憶する。記憶部12は、通信装置50の位置情報を記憶するホームメモリとして機能してもよい。
制御部13は、管理装置10の各部を制御するコントローラ(controller)である。制御部13は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)等のプロセッサにより実現される。例えば、制御部13は、管理装置10内部の記憶装置に記憶されている各種プログラムを、プロセッサがRAM(Random Access Memory)等を作業領域として実行することにより実現される。なお、制御部13は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等の集積回路により実現されてもよい。CPU、MPU、ASIC、及びFPGAは何れもコントローラとみなすことができる。
[2-3.基地局の構成]
次に、基地局の構成を説明する。通信システム1は、基地局として、非地上波ネットワークを構成する非地上局20と、地上波ネットワークを構成する地上局30と、を備える。非地上波ネットワークを構成する非地上局20は何れも移動可能である。最初に非地上局20の構成を説明する。
〔非地上局〕
図6は、本開示の実施形態に係る非地上局20の構成例を示す図である。非地上局20は、無線通信部21と、記憶部22と、制御部23と、を備える。なお、図6に示した構成は機能的な構成であり、ハードウェア構成はこれとは異なっていてもよい。また、非地上局20の機能は、複数の物理的に分離された構成に分散して実装されてもよい。
無線通信部21は、他の無線通信装置(例えば、通信装置50や中継局60)と無線通信する無線通信インタフェースである。無線通信部21は1又は複数の無線アクセス方式に対応する。例えば、無線通信部21は、NR及びLTEの双方に対応する。無線通信部21は、NRやLTEに加えて、W-CDMAやcdma2000に対応していてもよい。無線通信部21は、受信処理部211、送信処理部212、アンテナ213を備える。無線通信部21は、受信処理部211、送信処理部212、及びアンテナ213をそれぞれ複数備えていてもよい。なお、無線通信部21が複数の無線アクセス方式に対応する場合、無線通信部21の各部は、無線アクセス方式毎に個別に構成されうる。例えば、受信処理部211及び送信処理部212は、LTEとNRとで個別に構成されてもよい。
受信処理部211は、アンテナ213を介して受信された上りリンク信号の処理を行う。受信処理部211は、無線受信部211aと、多重分離部211bと、復調部211cと、復号部211dと、を備える。
無線受信部211aは、上りリンク信号に対して、ダウンコンバート、不要な周波数成分の除去、増幅レベルの制御、直交復調、デジタル信号への変換、ガードインターバルの除去、高速フーリエ変換による周波数領域信号の抽出等を行う。多重分離部211bは、無線受信部211aから出力された信号から、PUSCH(Physical Uplink Shared Channel)、PUCCH(Physical Uplink Control Channel)等の上りリンクチャネル及び上りリンク参照信号を分離する。復調部211cは、上りリンクチャネルの変調シンボルに対して、BPSK(Binary Phase Shift Keying)、QPSK(Quadrature Phase shift Keying)等の変調方式を使って受信信号の復調を行う。復調部211cが使用する変調方式は、16QAM(Quadrature Amplitude Modulation)、64QAM、又は256QAM等であってもよい。復号部211dは、復調された上りリンクチャネルの符号化ビットに対して、復号処理を行う。復号された上りリンクデータ及び上りリンク制御情報は制御部23へ出力される。
送信処理部212は、下りリンク制御情報及び下りリンクデータの送信処理を行う。送信処理部212は、符号化部212aと、変調部212bと、多重部212cと、無線送信部212dと、を備える。
符号化部212aは、制御部23から入力された下りリンク制御情報及び下りリンクデータを、ブロック符号化、畳み込み符号化、ターボ符号化等の符号化方式を用いて符号化を行う。変調部212bは、符号化部212aから出力された符号化ビットをBPSK、QPSK、16QAM、64QAM、256QAM等の所定の変調方式で変調する。多重部212cは、各チャネルの変調シンボルと下りリンク参照信号とを多重化し、所定のリソースエレメントに配置する。無線送信部212dは、多重部212cからの信号に対して、各種信号処理を行う。例えば、無線送信部212dは、高速フーリエ変換による時間領域への変換、ガードインターバルの付加、ベースバンドのデジタル信号の生成、アナログ信号への変換、直交変調、アップコンバート、余分な周波数成分の除去、電力の増幅等の処理を行う。送信処理部212で生成された信号は、アンテナ213から送信される。
記憶部22は、DRAM、SRAM、フラッシュメモリ、ハードディスク等のデータ読み書き可能な記憶装置である。記憶部22は、非地上局20の記憶手段として機能する。記憶部22は、切替情報を記憶する。切替情報は、通信装置50が基地局の切り替えに使用する情報である。切替情報には、例えば、リソース情報、トリガ情報、タイミングアドバンス情報等の情報が含まれる。
リソース情報は、接続中の通信装置50が、移動可能に構成された切替先候補の基地局と無線通信するために用いる無線リソースに関する情報である。また、トリガ情報は、通信装置50が接続先の基地局を切り替えるか否かを判定するために用いる情報である。また、タイミングアドバンス情報は、通信装置50が切替先候補の基地局へ接続するためのタイミングアドバンスに関する情報である。リソース情報、トリガ情報、及びタイミングアドバンス情報については後に詳述する。
制御部23は、非地上局20の各部を制御するコントローラ(controller)である。制御部23は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)等のプロセッサにより実現される。例えば、制御部23は、非地上局20内部の記憶装置に記憶されている各種プログラムを、プロセッサがRAM(Random Access Memory)等を作業領域として実行することにより実現される。なお、制御部23は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等の集積回路により実現されてもよい。CPU、MPU、ASIC、及びFPGAは何れもコントローラとみなすことができる。
〔地上局〕
次に、地上局30の構成を説明する。図7は、本開示の実施形態に係る地上局30の構成例を示す図である。地上局30は、無線通信部31と、記憶部32と、ネットワーク通信部33と、制御部34と、を備える。なお、図7に示した構成は機能的な構成であり、ハードウェア構成はこれとは異なっていてもよい。また、地上局30の機能は、複数の物理的に分離された構成に分散して実装されてもよい。
無線通信部31は、他の無線通信装置(例えば、通信装置50)と無線通信する無線通信インタフェースである。無線通信部31は、受信処理部311、送信処理部312、アンテナ313を備える。無線通信部31、受信処理部311、送信処理部312、及びアンテナ313の構成は、非地上局20の無線通信部21、受信処理部211、送信処理部212及びアンテナ213と同様である。
記憶部32は、DRAM、SRAM、フラッシュメモリ、ハードディスク等のデータ読み書き可能な記憶装置である。記憶部32は、地上局30の記憶手段として機能する。記憶部32の構成は、非地上局20の記憶部22と同様である。
ネットワーク通信部33は、他の装置と通信するための通信インタフェースである。例えば、ネットワーク通信部33は、NIC等のLANインタフェースである。ネットワーク通信部33は、有線インタフェースであってもよいし、無線インタフェースであってもよい。ネットワーク通信部33は、地上局30のネットワーク通信手段として機能する。ネットワーク通信部33は、制御部34の制御に従って管理装置10や中継局60と通信する。
制御部34は、地上局30の各部を制御するコントローラである。制御部34の構成は、非地上局20の制御部23と同様である。
[2-4.中継局の構成]
次に、中継局40の構成を説明する。図8は、本開示の実施形態に係る中継局40の構成例を示す図である。中継局40は、無線通信部41と、記憶部42と、ネットワーク通信部43と、制御部44と、を備える。なお、図8に示した構成は機能的な構成であり、ハードウェア構成はこれとは異なっていてもよい。また、中継局40の機能は、複数の物理的に分離された構成に分散して実装されてもよい。
無線通信部41は、他の無線通信装置(例えば、非地上局20、地上局30、及び通信装置50)と無線通信する無線通信インタフェースである。無線通信部41は、受信処理部411、送信処理部412、アンテナ413を備える。無線通信部41、受信処理部411、送信処理部412、及びアンテナ413の構成は、非地上局20の無線通信部21、受信処理部211、送信処理部212及びアンテナ213と同様である。
記憶部42は、DRAM、SRAM、フラッシュメモリ、ハードディスク等のデータ読み書き可能な記憶装置である。記憶部42は、中継局40の記憶手段として機能する。記憶部42の構成は、非地上局20の記憶部22と同様である。
ネットワーク通信部43は、他の装置と通信するための通信インタフェースである。例えば、ネットワーク通信部43は、NIC等のLANインタフェースである。ネットワーク通信部43は、有線インタフェースであってもよいし、無線インタフェースであってもよい。ネットワーク通信部43は、中継局40のネットワーク通信手段として機能する。ネットワーク通信部43は、制御部44の制御に従って非地上局20や地上局30と通信する。
制御部44は、中継局40の各部を制御するコントローラである。制御部44の構成は、非地上局20の制御部23と同様である。
[2-5.通信装置の構成]
次に、通信装置50の構成を説明する。図9は、本開示の実施形態に係る通信装置50の構成例を示す図である。通信装置50は、無線通信部51と、記憶部52と、ネットワーク通信部53と、入出力部54と、制御部55と、を備える。なお、図9に示した構成は機能的な構成であり、ハードウェア構成はこれとは異なっていてもよい。また、通信装置50の機能は、複数の物理的に分離された構成に分散して実装されてもよい。
無線通信部51は、他の無線通信装置(例えば、非地上局20、地上局30、中継局40)と無線通信する無線通信インタフェースである。無線通信部51は1又は複数の無線アクセス方式に対応する。例えば、無線通信部51は、NR及びLTEの双方に対応する。無線通信部51は、NRやLTEに加えて、W-CDMAやcdma2000に対応していてもよい。無線通信部51は、受信処理部511、送信処理部512、アンテナ513を備える。無線通信部51は、受信処理部511、送信処理部512、及びアンテナ513をそれぞれ複数備えていてもよい。なお、無線通信部51が複数の無線アクセス方式に対応する場合、無線通信部51の各部は、無線アクセス方式毎に個別に構成されうる。例えば、受信処理部511及び送信処理部512は、LTEとNRとで個別に構成されてもよい。
受信処理部511は、アンテナ513を介して受信された下りリンク信号の処理を行う。受信処理部511は、無線受信部511aと、多重分離部511bと、復調部511cと、復号部511dと、を備える。
無線受信部511aは、下りリンク信号に対して、ダウンコンバート、不要な周波数成分の除去、増幅レベルの制御、直交復調、デジタル信号への変換、ガードインターバルの除去、高速フーリエ変換による周波数領域信号の抽出等を行う。多重分離部511bは、無線受信部511aから出力された信号から、下りリンクチャネル、下りリンク同期信号、及び下りリンク参照信号を分離する。下りリンクチャネルは、例えば、PBCH(Physical Broadcast Channel)、PDSCH(Physical Downlink Shared Channel)、PDCCH(Physical Downlink Control Channel)等のチャネルである。復調部211cは、下りリンクチャネルの変調シンボルに対して、BPSK、QPSK、16QAM、64QAM、256QAM等の変調方式を使って受信信号の復調を行う。復号部511dは、復調された下りリンクチャネルの符号化ビットに対して、復号処理を行う。復号された下りリンクデータ及び下りリンク制御情報は制御部23へ出力される。
送信処理部512は、上りリンク制御情報及び上りリンクデータの送信処理を行う。送信処理部512は、符号化部512aと、変調部512bと、多重部512cと、無線送信部512dと、を備える。
符号化部512aは、制御部55から入力された上りリンク制御情報及び上りリンクデータを、ブロック符号化、畳み込み符号化、ターボ符号化等の符号化方式を用いて符号化を行う。変調部512bは、符号化部512aから出力された符号化ビットをBPSK、QPSK、16QAM、64QAM、256QAM等の所定の変調方式で変調する。多重部512cは、各チャネルの変調シンボルと上りリンク参照信号とを多重化し、所定のリソースエレメントに配置する。無線送信部512dは、多重部512cからの信号に対して、各種信号処理を行う。例えば、無線送信部512dは、逆高速フーリエ変換による時間領域への変換、ガードインターバルの付加、ベースバンドのデジタル信号の生成、アナログ信号への変換、直交変調、アップコンバート、余分な周波数成分の除去、電力の増幅等の処理を行う。送信処理部512で生成された信号は、アンテナ513から送信される。
記憶部52は、DRAM、SRAM、フラッシュメモリ、ハードディスク等のデータ読み書き可能な記憶装置である。記憶部52は、通信装置50の記憶手段として機能する。記憶部52は、切替情報を記憶する。切替情報は、非地上局20、地上局30、又は中継局40から取得する情報であり、通信装置50が基地局の切り替えに使用する。切替情報には、例えば、リソース情報、トリガ情報、タイミングアドバンス情報等の情報が含まれる。リソース情報、トリガ情報、及びタイミングアドバンス情報については後に詳述する。
ネットワーク通信部53は、他の装置と通信するための通信インタフェースである。例えば、ネットワーク通信部53は、NIC等のLANインタフェースである。ネットワーク通信部53は、有線インタフェースであってもよいし、無線インタフェースであってもよい。ネットワーク通信部53は、通信装置50のネットワーク通信手段として機能する。ネットワーク通信部53は、制御部55の制御に従って、他の装置と通信する。
入出力部54は、ユーザと情報をやりとりするためのユーザインタフェースである。例えば、入出力部54は、キーボード、マウス、操作キー、タッチパネル等、ユーザが各種操作を行うための操作装置である。又は、入出力部54は、液晶ディスプレイ(Liquid Crystal Display)、有機ELディスプレイ(Organic Electroluminescence Display)等の表示装置である。入出力部54は、スピーカー、ブザー等の音響装置であってもよい。また、入出力部54は、LED(Light Emitting Diode)ランプ等の点灯装置であってもよい。入出力部54は、通信装置50の入出力手段(入力手段、出力手段、操作手段又は通知手段)として機能する。
制御部55は、通信装置50の各部を制御するコントローラである。制御部55は、例えば、CPU、MPU等のプロセッサにより実現される。例えば、制御部55は、通信装置50内部の記憶装置に記憶されている各種プログラムを、プロセッサがRAM等を作業領域として実行することにより実現される。なお、制御部55は、ASICやFPGA等の集積回路により実現されてもよい。CPU、MPU、ASIC、及びFPGAは何れもコントローラとみなすことができる。
[2-6.初期接続処理]
次に、通信システム1の動作について説明する。まず、初期接続処理を説明する。初期接続処理は、通信装置50が何れのセルにも接続していないアイドル状態(RRC_IDLE)から、何れかのセルとの接続を確立した接続状態(RRC_CONNECTED)に遷移するための処理である。図10は、初期接続処理の一例を示すフローチャートである。以下、図10を参照しながら、初期接続処理を説明する。以下に示す初期接続処理は、例えば、通信装置50に電源が投入された場合に実行される。
まず、アイドル状態の通信装置50は、セルサーチを行う。本実施形態のセルサーチには、同期信号の検出とPBCHの復号の工程が含まれる。通信装置50は、セルの同期信号を検出する(ステップS101)。通信装置50内の制御部55は、検出した同期信号に基づいて、セルと下りリンクでの同期を行う。そして、下りリンクの同期確立後、制御部55は、PBCHの復号を試み、システム情報の一部であるMIB(Master Information Block)を取得する(ステップS102)。
システム情報は、当該システム情報を送信するセルにおける設定を報知する情報である。システム情報には、例えば、セルへのアクセスに関する情報、セル選択に関する情報、他RATや他システムに関する情報等が含まれる。システム情報には、MIBとSIB(System Information Block)とが含まれる。MIBは、SIB等を受信するのに必要な物理層の情報であり、PBCHによって報知される固定のペイロードサイズの情報である。MIBには、下りリンクのシステム帯域幅、システムフレーム番号の一部、SIBのスケジューリング情報等が含まれる。SIBは、MIB以外のシステム情報であり、PDSCHによって報知される。
なお、システム情報は、例えば、第1のシステム情報と、第2のシステム情報と、第3のシステム情報とに分類できる。第1のシステム情報及び第2のシステム情報には、セルへのアクセスに関する情報、その他のシステム情報の取得に関する情報、及びセル選択に関する情報が含まれる。LTEでは、MIBに含まれる情報が第1のシステム情報である。また、SIBのうちのSIB1及びSIB2に含まれる情報が第2のシステム情報である。残りのシステム情報が第3のシステム情報である。
NRにおいても、システム情報はNRセルから報知される。システム情報を運ぶ物理チャネルは、スロット又はミニスロットで送信されてもよい。ミニスロットとは、スロットのシンボル数よりも少ないシンボル数で定義される。ミニスロットでシステム情報を運ぶ物理チャネルが送信されることで、ビームスイープに必要な時間が短縮されて、オーバヘッドを縮小することができる。NRの場合、第1のシステム情報は、NR-PBCHで送信され、第2のシステム情報は、NR-PBCHとは異なる物理チャネルで送信される。
通信装置50内の制御部55は、MIB(すなわち、第1のシステム情報)に基づき、第2のシステム情報を取得する(ステップS103)。上述したように、第2のシステム情報は、SIB1とSIB2とで構成される。SIB1は、セルのアクセス規制情報とSIB1以外のシステム情報のスケジューリング情報である。SIB1には、セルのアクセス情報、セル選択情報、最大上りリンク送信電力情報、TDD設定情報、システム情報の周期、システム情報のマッピング情報、SI(System Information)窓の長さ等が含まれる。また、SIB2には、接続禁止情報、セル共通の無線リソース設定情報(Radio Resource Configuration Common)、上りリンクキャリア情報等が含まれる。セル共通の無線リソース設定情報の中には、セル共通のPRACH(Physical Random Access Channel)及びRACH(Random Access Channel)の設定情報が含まれる。
なお、制御部55がリンクの確立に必要なシステム情報を取得できなかった場合、通信装置50内の制御部55は、そのセルへのアクセスは禁止されていると判断する。例えば、第1のシステム情報及び第2のシステム情報の全てを取得できなかった場合、制御部55は、そのセルへのアクセスは禁止されていると判断する。この場合、制御部55は、初期接続処理を終了する。
システム情報を取得できた場合、制御部55は、第1のシステム情報及び/又は第2のシステム情報に基づき、ランダムアクセス手続き(Random Access Procedure)を実行する(ステップS104)。ランダムアクセス手続きは、RACH手続き(Random Access Channel Procedure)やRA手続き(RA Procedure)と称されることがある。ランダムアクセス手続きの完了により、通信装置50はアイドル状態(RRC_IDLE)から接続状態(RRC_CONNECTED)に遷移する。
[2-7.ランダムアクセス手続き]
次に、ランダムアクセス手続きについて説明する。ランダムアクセス手続きは、アイドル状態から接続状態(又は非アクティブ状態)への「RRC接続セットアップ」、非アクティブ状態から接続状態への「状態遷移の要求」等の目的で実行される。また、ランダムアクセス手続きは、上りリンクデータ送信のためのリソース要求を行う「スケジューリングリクエスト」、上りリンクの同期を調整する「タイミングアドバンス調整」の目的でも使用される。その他、ランダムアクセス手続きは、送信されていないシステム情報を要求する「オンデマンドSI要求」、途切れたビーム接続を復帰させる「ビームリカバリー」、接続セルを切り替える「ハンドオーバ」等の場合に実行される。
「RRC接続セットアップ」は、トラフィックの発生などに応じて通信装置50が基地局に接続する際に実行される動作である。具体的には、基地局から通信装置50に対して接続に関する情報(例えば、UEコンテキスト)を渡す動作である。UEコンテキストは、基地局から指示された所定の通信装置識別情報(例えば、C-RNTI)で管理される。通信装置50は、この動作を終えると、アイドル状態から非アクティブ状態、又は、アイドル状態から接続状態へ状態遷移する。
「状態遷移の要求」は、通信装置50が、トラフィックの発生などに応じて非アクティブ状態から接続状態への状態遷移の要求を行う動作である。接続状態に遷移することで、通信装置50は基地局とユニキャストデータの送受信を行うことができる。
「スケジューリングリクエスト」は、通信装置50が、トラフィックの発生などに応じて上りリンクデータ送信のためのリソース要求を行う動作である。基地局は、このスケジューリングリクエストを正常に受信した後、通信装置50にPUSCHのリソースを割り当てる。なお、スケジューリングリクエストはPUCCHによっても行われる。
「タイミングアドバンス調整」は、伝搬遅延によって生じる下りリンクと上りリンクのフレームの誤差を調整するための動作である。通信装置50は、下りリンクフレームに調整されたタイミングでPRACHを送信する。これにより、基地局は、通信装置50との伝搬遅延を認識することができ、メッセージ2などでタイミングアドバンスの値をその通信装置50に指示することができる。
「オンデマンドSI要求」は、システム情報のオーバヘッド等の目的で送信されていないシステム情報が通信装置50にとって必要であった場合に、基地局へシステム情報の送信を要求する動作である。
「ビームリカバリー」は、ビームが確立された後に通信装置50の移動や他の物体による通信経路の遮断などで、通信品質が低下した場合に、復帰要求を行う動作である。この要求を受けた基地局は、異なるビームを用いて通信装置50との接続を試みる。
「ハンドオーバ」は、通信装置50の移動など電波環境の変化などにより接続しているセル(サービングセル)からそのセルと隣接しているセル(ネイバーセル)へ接続を切り替える動作である。基地局からハンドオーバコマンドを受信した通信装置50は、ハンドオーバコマンドによって指定されたネイバーセルに接続要求を行う。
ランダムアクセス手続きにはコンテンションベースランダムアクセス手続き(Contention based Random Access Procedure)と非コンテンションベースランダムアクセス手続き(Non-contention based Random Access Procedure)とがある。最初に、コンテンションベースランダムアクセス手続きについて説明する。
なお、以下で説明するランダムアクセス手続きは、通信システム1がサポートするRATがLTEであることを想定したランダムアクセス手続きである。しかしながら、以下で説明するランダムアクセス手続きは、通信システム1がサポートするRATがLTE以外の場合にも適用可能である。
〔コンテンションベースランダムアクセス手続き〕
コンテンションベースランダムアクセス手続きは、通信装置50主導で行われるランダムアクセス手続きである。図11は、コンテンションベースランダムアクセス手続きを示すシーケンス図である。コンテンションベースランダムアクセス手続きは、図11に示すように、通信装置50からのランダムアクセスプリアンブルの送信から始まる4ステップの手続きである。コンテンションベースランダムアクセス手続きには、ランダムアクセスプリアンブル(Msg1)の送信、ランダムアクセス応答(Msg2)の受信、メッセージ(Msg3)の送信、そして競合解決のメッセージ(Msg4)の受信の工程が含まれる。
まず、通信装置50内の制御部55は、予め決められた複数のプリアンブル系列の中から使用するプリアンブル系列をランダムに選択する。そして、制御部55は、選択したプリアンブル系列を含むメッセージ(Msg1:Random Access Preamble)を接続先の基地局へ送信する(ステップS201)。このとき、基地局は、非地上局20であってもよいし、地上局30であってもよい。以下の説明では、制御部55がランダムアクセスプリアンブルを送信する基地局は非地上局20であるものとして説明する。ランダムアクセスプリアンブルは、PRACHで送信される。
非地上局20の制御部23は、ランダムアクセスプリアンブルを受信すると、それに対するランダムアクセス応答(Msg2:Random Access Response)を通信装置50に送信する。このランダムアクセス応答は、例えばPDSCHを用いて送信される。通信装置50内の制御部55は、基地局から送信されたランダムアクセス応答(Msg2)を受信する(ステップS202)。ランダムアクセス応答には、基地局が受信できた1又は複数のランダムアクセスプリアンブルや、当該ランダムアクセスプリアンブルに対応するUL(Up Link)のリソース(以下、上りリンクグラントという。)が含まれる。また、ランダムアクセス応答には、基地局が通信装置50に一時的に割り当てた通信装置50に固有の識別子であるTC-RNTI(Temporary Cell Radio Network Temporary Identifier)が含まれる。
通信装置50の制御部55は、基地局からランダムアクセス応答を受信すると、その受信情報にステップS201で送信したランダムアクセスプリアンブルが含まれるか否かを判別する。ランダムアクセスプリアンブルが含まれる場合、制御部55は、当該ランダムアクセス応答に含まれる上りリンクグラントの中から、ステップS201で送信したランダムアクセスプリアンブルに対応する上りリンクグラントを抽出する。そして、制御部55は、抽出した上りリンクグラントによってスケジュールされたリソースを使って、ULのメッセージ(Msg3:Scheduled Transmission)の送信を行なう(ステップS203)。メッセージ(Msg3)の送信は、PUSCHを使って行われる。メッセージ(Msg3)には、RRC(Radio Resource Control)接続要求のためのRRCメッセージが含まれる。また、メッセージ(Msg3)には通信装置50の識別子が含まれる。
コンテンションベースランダムアクセス手続きでは、通信装置50がランダムに選択したランダムアクセスプリアンブルが手続きに用いられる。そのため、通信装置50がランダムアクセスプリアンブルを送信すると同時に、他の通信装置50が同じランダムアクセスプリアンブルを非地上局20に送信してしまう場合が起こり得る。そこで、非地上局20の制御部23は、ステップS203で通信装置50が送信した識別子を受信することで、どの通信装置50間でプリアンブルの競合が発生したかを認識して競合解決する。制御部23は、競合解決により選択した通信装置50に対して、競合解決(Msg4:Contention Resolution)を送信する。競合解決(Msg4)には、ステップS203で制御部55が送信した識別子が含まれる。また、競合解決(Msg4)には、RRC接続セットアップのRRCメッセージが含まれる。制御部55は、基地局から送信された競合解決のメッセージ(Msg4)を受信する(ステップS204)。
通信装置50の制御部55は、ステップS203で送信した識別子とステップS204で受信した識別子とを比較する。識別子が一致しない場合、制御部55は、ステップS201からランダムアクセス手続をやり直す。識別子が一致する場合、制御部55は、RRC接続動作を行い、アイドル状態(RRC_IDLE)から接続状態(RRC_CONNECTED)に遷移する。制御部55はステップS202で取得したTC-RNTIをC-RNTI(Cell Radio Network Temporary Identifier)として以後の通信で使用する。接続状態に遷移した後、制御部55は、RRC接続セットアップ完了のRRCメッセージを基地局に送信する。RRC接続セットアップ完了のメッセージはメッセージ5とも称される。この一連の動作によって、通信装置50は、基地局と接続する。
なお、図11に示したコンテンションベースランダムアクセス手続きは、4ステップのランダムアクセス手続きである。しかしながら、通信システム1は、コンテンションベースランダムアクセス手続きとして、2ステップのランダムアクセス手続をサポートすることも可能である。例えば、通信装置50の制御部55は、ランダムアクセスプリアンブルの送信とともに、ステップS203で示したメッセージ(Msg3)の送信も行う。そして、非地上局20の制御部23がそれらの応答としてランダムアクセス応答(Msg2)及び競合解決(Msg4)の送信を行う。2ステップでランダムアクセス手続が完了するので、通信装置50は非地上局20に素早く接続できる。
〔非コンテンションベースランダムアクセス手続き〕
次に、非コンテンションベースランダムアクセス手続きについて説明する。非コンテンションベースランダムアクセス手続きは、基地局主導で行われるランダムアクセス手続きである。図12は、非コンテンションベースランダムアクセス手続きを示すシーケンス図である。非コンテンションベースランダムアクセス手続きは、基地局からのランダムアクセスプリアンブル割り当ての送信から始まる3ステップの手続きである。非コンテンションベースランダムアクセス手続きには、ランダムアクセスプリアンブル割り当て(Msg0)の受信、ランダムアクセスプリアンブル(Msg1)の送信、ランダムアクセス応答(Msg2)の受信の工程が含まれる。なお、以下のランダムアクセス手続きの説明では、基地局は非地上局20であるものとするが、基地局は地上局30であってもよい。
コンテンションベースランダムアクセス手続きでは、通信装置50の制御部55がプリアンブル系列をランダムに選択した。しかし、非コンテンションベースランダムアクセス手続きでは、非地上局20が、通信装置50に個別のランダムアクセスプリアンブルを割り当てる。通信装置50の制御部55は、非地上局20から、ランダムアクセスプリアンブルの割り当て(Msg0:RA Preamble Assignment)を受信する(ステップS301)。
通信装置50の制御部55は、ステップS301で割り当てられたランダムアクセスプリアンブルを用いて、非地上局20に対してランダムアクセスを実行する。すなわち、通信装置50の制御部55は、割り当てられたランダムアクセスプリアンブル(Msg1:Random Access Preamble)をPRACHにて非地上局20に送信する(ステップS302)。
非地上局20の制御部23は、ランダムアクセスプリアンブル(Msg1)を通信装置50から受信する。そして、制御部23は、当該ランダムアクセスプリアンブルに対するランダムアクセス応答(Msg2:Random Access Response)を通信装置50に送信する(ステップS303)。ランダムアクセス応答には、例えば、受信したランダムアクセスプリアンブルに対応する上りリンクグラントの情報が含まれる。通信装置50の制御部55は、ランダムアクセス応答(Msg2)を受信すると、RRC接続動作を行い、アイドル状態(RRC_IDLE)から接続状態(RRC_CONNECTED)に遷移する。
このように、非コンテンションベースランダムアクセス手続きでは、基地局がランダムアクセスプリアンブルをスケジュールするので、プリアンブルの衝突が起こり辛い。
〔NRのランダムアクセス手続きの詳細〕
以上、通信システム1がサポートするRATがLTEであることを想定したランダムアクセス手続きについて説明した。なお、上記のランダムアクセス手続きはLTE以外のRATにも適用可能である。以下、通信システム1がサポートするRATがNRであることを想定したランダムアクセス手続きについて詳細に述べる。なお、以下の説明では、図11又は図12に示したMsg1からMsg4に関する4つのステップをそれぞれ詳細に説明する。Msg1のステップは、図11に示すステップS201、図12に示すステップS302に対応する。Msg2のステップは、図11に示すステップS202、図12に示すステップS303に対応する。Msg3のステップは、図11に示すステップS203に対応する。Msg4のステップは、図11に示すステップS204に対応する。
〔NRのランダムアクセスプリアンブル(Msg1)〕
NRでは、PRACHはNR-PRACH(NR Physical Random Access Channel)と呼ばれる。NR-PRACHは、Zadoff-Chu系列又はM系列を用いて構成される。NRでは、NR-PRACHのフォーマットとして、複数のプリアンブルフォーマットが規定される。プリアンブルフォーマットは、PRACHのサブキャリア間隔、送信帯域幅、系列長、送信に用いられるシンボル数、送信繰り返し数、CP(Cyclic Prefix)長、ガードピリオド長等のパラメータの組み合わせで規定される。なお、プリアンブルフォーマットによって、NR-PRACHの送信に用いられる系列のタイプ(Zadoff-Chu系列又はM系列)が指定されることがある。NR-PRACHのプリアンブル系列の種類は、番号付けされている。プリアンブル系列の種類の番号は、プリアンブルインデックスと呼称される。
NRでは、アイドル状態の通信装置50に対して、システム情報によってNR-PRACHに関する設定がなされる。さらに、接続状態の通信装置50に対して、専用RRCシグナリングによってNR-PRACHに関する設定がなされる。
通信装置50の制御部55は、NR-PRACHが送信可能な物理リソース(NR-PRACHオケージョン(Occasion))を使ってNR-PRACHを送信する。物理リソースは、NR-PRACHに関する設定によって指示される。通信装置50の制御部55は、物理リソースのうちの何れかを選択して、NR-PRACHを送信する。さらに、通信装置50が接続状態にある場合、制御部55は、NR-PRACHリソースを用いてNR-PRACHを送信する。NR-PRACHリソースは、NR-PRACHプリアンブル及びその物理リソースの組み合わせである。基地局は、NR-PRACHリソースを通信装置50に対して指示することができる。このとき、基地局は非地上局20であってもよいし、地上局30であってもよい。以下のNRのランダムアクセス手続きの説明では、基地局は非地上局20であるものとして説明する。
なお、NR-PRACHは、ランダムアクセス手続きが失敗した際にも送信される。通信装置50の制御部55は、NR-PRACHを再送する際に、バックオフの値(バックオフインディケータ、BI)から算出される待機期間、NR-PRACHの送信を待機する。なお、バックオフの値は、通信装置50の端末カテゴリや発生したトラフィックの優先度によって異なってもよい。その際、バックオフの値は複数通知され、通信装置50が優先度によって用いるバックオフの値を選択する。また、NR-PRACHの再送を行う際に、通信装置50は、NR-PRACHの送信電力を初送と比較して上げる。この手続きは、パワーランピング(Power Ramping)と呼称される。
〔NRのランダムアクセス応答(Msg2)〕
NRのランダムアクセス応答は、NR-PDSCH(NR Physical Downlink Shared Channel)を使って送信される。ランダムアクセス応答を含むNR-PDSCHは、RA-RNTIによってCRC(Cyclic Redundancy Check)がスクランブルされたNR-PDCCH(NR Physical Downlink Control Channel)によってスケジュールされる。NR-PDCCHは、共通制御サブバンドで送信される。NR-PDCCHは、CSS(Common Search Space)に配置される。なお、RA-RNTI(Random Access Radio Network Temporary Identifier)の値は、そのランダムアクセス応答に対応するNR-PRACHの送信リソースに基づいて決定される。NR-PRACHの送信リソースは、例えば、時間リソース(スロット又はサブフレーム)、及び、周波数リソース(リソースブロック)である。なお、NR-PDCCHは、ランダムアクセス応答に紐づくNR-PRACHに対応付けられたサーチスペースに配置されてもよい。具体的には、NR-PDCCHが配置されるサーチスペースは、NR-PRACHのプリアンブル及び/又はNR-PRACHが送信された物理リソースに関連付けられて設定される。NR-PDCCHが配置されるサーチスペースは、プリアンブルインデックス、及び/又は、物理リソースのインデックスに関連付けられて設定される。NR-PDCCHは、NR-SS(NR Synchronization signal)とQCL(Quasi co-location)である。
NRのランダムアクセス応答は、MAC(Medium Access Control)の情報である。NRのランダムアクセス応答には、少なくとも、NRのメッセージ3を送信するための上りリンクグラント、上りリンクのフレーム同期を調整するために用いられるタイミングアドバンスの値、TC-RNTIの値、が含まれる。また、NRのランダムアクセス応答には、そのランダムアクセス応答に対応するNR-PRACH送信に用いられたPRACHインデックスが含まれる。また、NRのランダムアクセス応答には、PRACHの送信の待機に用いられるバックオフに関する情報が含まれる。
非地上局20の制御部23は、ランダムアクセス応答をNR-PDSCHで送信する。通信装置50の制御部55は、ランダムアクセス応答に含まれる情報から、ランダムアクセスプリアンブルの送信が成功したか否かの判断を行う。ランダムアクセスプリアンブルの送信が失敗したと判断した場合、制御部55は、ランダムアクセス応答に含まれる情報に従ってNRのメッセージ3(Msg3)の送信処理を行う。一方、ランダムアクセスプリアンブルの送信が失敗した場合、制御部55は、ランダムアクセス手続きが失敗したと判断し、NR-PRACHの再送処理を行う。
なお、NRのランダムアクセス応答には、NRのメッセージ3(Msg3)を送信するための上りリンクグラントが複数含まれていてもよい。通信装置50の制御部55は、複数の上りリンクグラントからメッセージ3(Msg3)を送信するリソースを1つ選択することができる。これにより、異なる通信装置50で、同じNRのランダムアクセス応答を受信した場合における、NRのメッセージ3(Msg3)送信の衝突を緩和することができる。結果として、通信システム1は、より安定的なランダムアクセス手続きを提供することができる。
〔NRのメッセージ3(Msg3)〕
NRのメッセージ3(Msg3)は、NR-PUSCH(NR Physical Uplink Shared Channel)によって送信される。NR-PUSCHは、ランダムアクセス応答によって指示されたリソースを用いて送信される。NRのメッセージ3には、RRC接続要求メッセージが含まれる。NR-PUSCHのフォーマットは、システム情報に含まれるパラメータによって指示される。例えば、パラメータにより、NR-PUSCHのフォーマットとして、OFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)及びDFT-s-OFDM(Discrete Fourier Transform Spread OFDM)の何れを使用するか決定される。
NRのメッセージ3を正常に受信した場合、非地上局20の制御部23は、競合解決(Msg4)の送信処理に移行する。一方、NRのメッセージ3を正常に受信できなかった場合、制御部23は、少なくとも所定の期間、再度NRのメッセージ3の受信を試みる。一例として、制御部23は、通信装置50に対して、メッセージ3の再送の指示を行う。このとき、制御部23は、メッセージ3の送信を指示したリソースから所定数のスロット(又はサブフレーム、無線フレーム)後の下りリンクリソースを用いて、メッセージ3の再送の指示を送信する。
メッセージ3の再送及び送信リソースの指示の一例として、ランダムアクセス応答の再送による指示が挙げられる。再送されるランダムアクセス応答を含むNR-PDSCHは、RA-RNTIによってCRCがスクランブルされたNR-PDCCHによってスケジュールされる。RA-RNTIの値には、初送で用いられたRA-RNTIの値と同じ値が用いられる。すなわち、そのランダムアクセス応答に対応するNR-PRACHの送信リソースに基づいて決定される。又は、RA-RNTIの値は、NR-PRACHの送信リソースに加えて初送と再送を識別する情報に基づいて決定される。NR-PDCCHは、CSS(共通サーチスペース)に配置される。
又は、その再送されるランダムアクセス応答を含むNR-PDSCHは、初送で送信されたランダムアクセス応答に含まれるTC-RNTI又はC-RNTIによってCRCがスクランブルされたNR-PDCCHによってスケジュールされる。
メッセージ3の再送の指示及び送信リソースの別の一例として、メッセージ3の再送の指示に用いられるNR-PDCCHによる指示が挙げられる。そのNR-PDCCHは、上りリンクグラントである。そのNR-PDCCHのDCI(Downlink Control Information)によって、メッセージ3の再送のリソースが指示される。通信装置50の制御部55は、その上りリンクグラントの指示に基づいて、メッセージ3の再送を行う。
NRのメッセージ3を正常に受信できなかった後の処理の具体例として、非地上局20の制御部23が、事前に指示した再送用リソースにおいてメッセージ3の受信を試みることが挙げられる。通信装置50の制御部55は、所定期間内にメッセージ3の送信後に非地上局20から競合解決が送信されなかった場合、その事前に指示された再送用リソースを用いて、メッセージ3を含んだNR-PUSCHを送信する。
又は、通信装置50の制御部55は、メッセージ3に対する否定応答(NACK)を受信した場合、その否定応答に対応する、事前に指示された再送用リソースを用いて、メッセージ3を含んだNR-PUSCHを送信する。「事前に指示された再送用リソース」の情報は、例えば、システム情報、又は、ランダムアクセス応答に含まれる。
なお、NRのメッセージ3の再送回数が所定回を超えた場合、又は、所定の期間内にNRの競合解決の受信が成功しなかった場合、通信装置50の制御部55は、ランダムアクセス手続きが失敗したとみなし、NR-PRACHの再送処理を行う。なお、NRのメッセージ3の再送に用いられる通信装置50の送信ビームは、そのメッセージ3の初送に用いられた通信装置50の送信ビームと異なってもよい。なお、所定期間のうちに、NRの競合解決及びメッセージ3の再送の指示の何れも受信できなかった場合、通信装置50の制御部55は、ランダムアクセス手続きが失敗したとみなし、NR-PRACHの再送処理を行う。その所定期間は、例えば、システム情報によって設定される。
〔NRの競合解決(Msg4)〕
NRの競合解決は、NR-PDSCHを使って送信される。競合解決を含むNR-PDSCHは、TC-RNTI又はC-RNTIによってCRCがスクランブルされたNR-PDCCHによってスケジュールされる。NR-PDCCHは、共通制御サブバンドで送信される。NR-PDCCHは、USS(User equipment specific Search Space)に配置される。なお、NR-PDCCHは、CSSに配置されてもよい。
通信装置50の制御部55は、競合解決を含むNR-PDSCHを正常に受信した場合、非地上局20に対して肯定応答(ACK)を送信する。以降、通信装置50は、ランダムアクセス手続きが成功したとみなし、接続状態(RRC_CONNECTED)に移行する。一方、通信装置50からNR-PDSCHに対する否定応答(NACK)を受信した場合、又は、無応答であった場合、非地上局20の制御部23は、その競合解決を含むNR-PDSCHを再送する。通信装置50の制御部55は、所定期間のうちにNRの競合解決(Msg4)を受信できなかった場合、ランダムアクセス手続きが失敗したとみなし、ランダムアクセスプリアンブル(Msg1)の再送処理を行う。
また、ランダムアクセス手続きが成功した通信装置50は、接続状態(RRC_CONNECTED)に遷移する。尚、通信システム1では、通信装置50や基地局の移動に伴い、接続状態の通信装置50であっても、接続先の基地局の切り替え、例えば、ハンドオーバが行われる。
[2-8.切替処理の必要性]
しかしながら、例えば、アイドル状態の通信装置50は、接続先の基地局を検出し、接続先の基地局が地上局30か非地上局20かを判定できないと、接続先の基地局との間の無線通信が失敗する。また、通信装置50は、接続先の基地局が非地上局20と判定できた場合でも、非地上局20用の通信制御を設定できず、接続先の基地局との間の無線通信に失敗する。そこで、本開示では、通信装置50側で接続先の基地局に応じた通信制御を実行する方法が求められている。
[2-9.通信装置の機能構成]
図13は、通信装置50内の記憶部52及び制御部55の構成例を示す図である。記憶部52は、各種情報を記憶する領域である。記憶部52は、例えば、接続先の基地局が地上局30又は非地上局20であるかを判定するための判別情報521を記憶する領域である。制御部55は、取得部551と、判定部552と、通信制御部553とを有する。制御部55を構成する各ブロック(取得部551、判定部552及び通信制御部553)はそれぞれ制御部55の機能を示す機能ブロックである。これら機能ブロックはソフトウェアブロックであってもよいし、ハードウェアブロックであってもよい。例えば、上述の機能ブロックが、それぞれ、ソフトウェア(マイクロプログラムを含む。)で実現される1つのソフトウェアモジュールであってもよいし、半導体チップ(ダイ)上の1つの回路ブロックであってもよい。勿論、各機能ブロックがそれぞれ1つのプロセッサ又は1つの集積回路であってもよい。機能ブロックの構成方法は任意である。尚、制御部55は上述の機能ブロックとは異なる機能単位で構成されていてもよい。
取得部551は、接続先の基地局から判別情報を取得する。尚、接続先の基地局は、例えば、通信装置50との通信を開始する初期接続処理開始前の非地上局20や地上局30等である。また、情報は、例えば、接続先の基地局と通信装置50との間の無線通信に使用する無線通信帯域である。尚、取得部551は、接続先の基地局から情報を取得する場合を例示したが、非地上局20又は地上局30用の無線通信帯域等の識別情報を記憶部52に事前に記憶しておいても良い。判定部552は、取得した情報に基づき、接続先の基地局が非地上局20又は地上局30であるかを判定する。
通信制御部553は、接続先の基地局が地上局30と判定された場合に、地上局30用の通信制御を実行する。尚、地上局30用の通信制御とは、通信装置50が地上局30と無線通信する際の通信パラメータを使用した通信制御である。通信制御部553は、接続先の基地局が非地上局20と判定された場合に、非地上局20用の通信制御を実行する。尚、非地上局20用の通信制御とは、通信装置50が非地上局20と無線通信する際の通信パラメータを使用した通信制御である。通信制御部553は、接続先の基地局から取得した判別情報に基づき、通信パラメータを設定し、設定後の通信パラメータに基づき、通信制御を実行する。また、通信制御部553は、接続先の基地局から取得した判別情報に基づき、通信パラメータを設定する場合を例示した。しかしながら、通信制御部553は、地上局30又は非地上局20用の通信パラメータを記憶部52に記憶しておき、記憶部52に記憶中の通信パラメータを設定しても良く、適宜変更可能である。
〔判定部〕
次に判定部552の詳細について説明する。判定部552は、アイドル状態から接続先の基地局との初期アクセス時に接続先の基地局が地上局30又は非地上局20であるかを判定する。尚、判定部552は、アイドル状態から初期アクセス時の場合を例示するが、例えば、初期アクセス以降の通信中の基地局から異なる基地局に切替えるハンドオーバ時の場合にも適用可能である。判定部552は、接続先の基地局の判別情報として、例えば、接続先の基地局が使用する無線通信の使用帯域を使用する。尚、説明の便宜上、非地上局20の無線通信の使用帯域は、例えば、Sバンド(2~4GHz帯)及びKaバンド(27~40GHz帯)等とし、地上局30の無線通信の使用帯域は、例えば、SバンドやKaバンド以外の帯域として事前に定義しておく。従って、無線通信の使用帯域は、接続先の基地局が地上局30又は非地上局20であるかを判別できる情報となる。判定部552は、接続先の基地局の無線通信の使用帯域が非地上局20用の無線通信の使用帯域の場合、接続先の基地局が非地上局20であると判定する。また、判定部552は、接続先の基地局の無線通信の使用帯域が非地上局20用の無線通信の使用帯域以外の場合、接続先の基地局が地上局30であると判定する。
尚、説明の便宜上、非地上局20の無線通信の使用帯域として、例えば、Sバンド及びKaバンドを例示した。しかしながら、これらの帯域に限定されるものではなく、Sバンド又はKaバンドの一部の帯域や、Sバンド又はKaバンドと異なる帯域であっても良く、適宜変更可能である。
また、判定部552は、非地上局20の判別情報として無線通信の使用帯域を使用して接続先の基地局が非地上局20又は地上局30であるかを判定する場合を例示した。しかしながら、無線通信の使用帯域のみに限定されるものではなく、例えば、無線通信の使用帯域の代わりに同期信号(SS:Synchronization Signal)を使用しても良く、適宜変更可能である。
取得部551は、接続先の基地局からSSを取得する。SSは、例えば、セルサーチに使用する同期信号であって、基地局のセルの物理IDと紐付されているため、接続先の基地局が地上局30又は非地上局20であるかを判別できる情報である。しかも、非地上局20のSSは、地上局30のSSで使用するサブキャリア間隔(Subcarrier spacing)と異なる。例えば、非地上局20のSSのサブキャリア間隔は、地上局30のSSのサブキャリア間隔に比較して広い。NRの仕様として、例えば、地上局30の無線通信帯域が6GHz以下の場合、サブキャリア間隔は15kHz又は30kHz、地上局30の無線通信帯域が6GHzを超える場合、サブキャリア間隔は120kHz又は240kHzと定義している。これに対して、非地上局20の無線通信帯域が6GHz以下の場合、サブキャリア間隔を、例えば、120kHz、240kHz又は480kHzと定義する。つまり、非地上局20のSSの無線通信帯域毎のサブキャリア間隔は、地上局30のSSの無線通信帯域毎のサブキャリア間隔と異なるように定義する。その結果、判定部552は、SSの無線通信帯域毎のサブキャリア間隔を参照することで、接続先の基地局が非地上局20又は地上局30であるかを判定できる。
判定部552は、接続先の基地局から取得したSSが非地上局20のSSの場合、接続先の基地局が非地上局20であると判定する。また、判定部552は、接続先の基地局から取得したSSが地上局30のSSの場合、接続先の基地局が地上局30であると判定する。
尚、説明の便宜上、判定部552は、判別情報として無線通信帯域毎のサブキャリア間隔が異なるSSを使用して地上局30又は非地上局20を判定する場合を例示した。しかしながら、このSSの代わりにリソースマッピング(Resource Mapping)のSSを使用しても良く、適宜変更可能である。リソースマッピング内には、PSS(Primary Synchronization Signal)と、SSS(Secondary Synchronization Signal)とが配置されている。PSSは、例えば、セルサーチに使用するタイミング同期やローカルIDを検出する主同期信号、SSSは、例えば、セルサーチに使用するフレーム同期やセルグループIDを検出する副同期信号である。非地上局20用のリソースマッピング内のPSS及びSSSの配置構成は、地上局30用のリソースマッピング内のPSS及びSSSの配置構成と異なるように定義する。従って、リソースマッピングのSSは、接続先の基地局が地上局30又は非地上局20であるかを判別できる情報である。判定部552は、リソースマッピング内のSSを参照し、接続先の基地局が地上局30又は非地上局20であるかを判定する。
また、判定部552は、サブキャリア間隔が異なるSSを使用して接続先の基地局が地上局30又は非地上局20であると判定する場合を例示した。しかしながら、例えば、M系列(M-sequence)やZC(Zadoff-Chu)系列等のシーケンスが異なるSSを代用しても良く、適宜変更可能である。例えば、地上局30のSS内のPSSを第1のZC系列、SSSを第1のM系列で構成し、非地上局20内のSS内のPSSを第1のZC系列とは異なる第2のZC系列、SSSを第1のM系列と異なる第2のM系列で構成する。従って、非地上局20のSS内のシーケンスは、地上局30のSS内のシーケンスと異なるように定義する。従って、SS内のシーケンスは、接続先の基地局が地上局30又は非地上局20であるかを判別できる情報である。判定部552は、シーケンスが異なるSSを参照し、接続先の基地局が地上局30又は非地上局20であるかを判定する。
また、判定部552は、非地上局20の判別情報として無線通信の使用帯域を使用して接続先の基地局が非地上局20又は地上局30であるかを判定する場合を例示した。しかしながら、判別情報として無線通信の使用帯域に限定されるものではなく、例えば、無線通信の使用帯域の代わりにSIBを使用しても良く、適宜変更可能である。
取得部551は、接続先の基地局からのSIBを取得する。SIBは、接続先の基地局のセル内で通信を確立するための情報である。非地上局20用のSIBxxは、地上局30用のSIBと異なるように定義する。従って、SIBは、接続先の基地局が地上局30又は非地上局20であるかを判別できる情報である。
判定部552は、接続先の基地局から取得したSIBが非地上局20用のSIBxxの場合、接続先の基地局が非地上局20であると判定する。また、判定部552は、接続先の基地局から取得したSIBが地上局30用のSIBの場合、接続先の基地局が地上局30であると判定する。また、通信制御部553は、接続先の基地局からSIBxxを受信した場合、SIBxxを使用して非地上局20との間の接続を試みる。
また、非地上局20用のSIBxxは、地上局30用のSIBと全く異なる場合を例示したが、地上局30用のSIBに非地上局20用の情報を追加して定義しても良く、適宜変更可能である。非地上局20用のSIBxxは、地上局30用のSIBに、例えば、非地上局20用の追加情報を追加する。追加情報としては、非地上局20のフラグ、RACH(Random Access Channel) 設定(RACH configuration)、測定設定(Measurement configuration)、信号波形(Waveform)や変調方式(Modulation)等がある。判定部552は、SIB内の追加情報を参照し、接続先の基地局が非地上局20又は地上局30であるかを判定する。この場合、通信制御部553は、接続先の基地局からSIBxxを受信した場合、SIBxx内の非地上局20用の追加情報を参照し、非地上局20との間の接続を試みる。
また、判定部552は、判別情報として、例えば、無線通信の使用帯域の代わりにセルID(Cell ID)を使用して接続先の基地局が地上局30又は非地上局20であるかを判定しても良く、適宜変更可能である。
取得部551は、接続先の基地局からのセルIDを取得する。非地上局20のセルIDは、地上局30のセルIDと異なるように定義する。従って、セルIDは、接続先の基地局が地上局30又は非地上局20であるかを判別できる情報である。判定部552は、接続先の基地局から取得したセルIDが非地上局20のセルIDの場合、接続先の基地局が非地上局20であると判定する。また、判定部552は、接続先の基地局から取得したセルIDが地上局30のセルIDの場合、接続先の基地局が地上局30であると判定する。
尚、説明の便宜上、判定部552は、接続先の基地局の無線通信帯域を参照し、無線通信帯域がSバンド又はKaバンドの場合に接続先の基地局が非地上局20であると判定する場合を例示した。しかしながら、判定部552は、接続先の無線通信帯域がSバンドの場合でも、例えば、SS、SIB及びセルIDを順次参照し、これらのSS、SIB又はセルIDの何れかで接続先の基地局が非地上局20であるかを判定しても良く、適宜変更可能である。
〔取得部〕
次に取得部551の詳細について説明する。取得部551は、接続先の基地局が非地上局20であると判定された場合に非地上局20に関する情報を取得する。非地上局20に関する情報は、非地上局20の高度に関する情報、非地上局20の移動速度に関する情報、非地上局20の周回軌道に関する情報、非地上局20の移動経路に関する情報、非地上局20の種類に関する情報や制御切替えに必要な構成情報等である。尚、取得部551は、非地上局20に関する情報を非地上局20である接続先の基地局から取得する。また、取得部551は、接続先の基地局の使用帯域を事前に記憶部52に記憶しているため、その使用帯域を記憶部52から取得しても良い。
非地上局20の高度に関する情報とは、例えば、非地上局20が上空で位置する高度に関する情報である。高度に関する情報とは、例えば、高度の絶対値、高度に対応するインデックス、例えば、GEO衛星、Non-GEO衛星、MEO衛星やLEO衛星等の非地上局20の種別情報や、例えば、人工衛星やドローン等の非地上局20の種別情報等を含む情報である。GEO衛星の基地局は地球を周回する人工衛星等の基地局、LEOの基地局は地球を低軌道で周回する人工衛星等の基地局、MEOの基地局は、GEOとLEOとの間で地球を中軌道で周回する人工衛星等の基地局である。
非地上局20の移動速度に関する情報とは、例えば、非地上局20が移動する速度の情報である。移動速度に関する情報とは、例えば、移動速度の絶対値、移動速度に対応するインデックス、静止又は移動しているかを示す情報や、移動経路や移動時間等の情報等を含む情報である。非地上局20の周回軌道に関する情報とは、例えば、非地上局20が地球上を周回する軌道の情報である。周回軌道に関する情報とは、例えば、周回軌道の絶対値、周回軌道に対応するインデックス、地上に対して所定の指向性を有する衛星の傾斜角等の情報等を含む情報である。
非地上局20の移動経路に関する情報とは、例えば、非地上局20が移動する経路の情報である。移動経路に関する情報には、非地上局20が移動する移動経路のマップや、非地上局20が規則的又は非規則的に移動するか否かを識別する情報等を含む情報である。非地上局20の種類に関する情報とは、例えば、GEO、Non-GEO、MEO、LEO、ドローン、飛行機、気球等の基地局の種別情報や、非地上局20のサイズや送信可能電力量等の情報である。制御切替に必要な構成情報とは、例えば、非地上局用のRACH設定や、測定設定等の情報である。
尚、前述した判定部552は、例えば、接続先の基地局の無線通信の使用帯域、SIBやセルID等を使用して接続先の基地局が非地上局20又は地上局30であるかを判定する場合を例示した。しかしながら、判定部552は、接続先の基地局から取得した非地上局20又は地上局30に関する情報を使用して、接続先の基地局が非地上局又は地上局であるかを判定しても良く、適宜変更可能である。非地上局20に関する情報とは、非地上局20の高度に関する情報、非地上局20の移動速度に関する情報、非地上局20の周回軌道に関する情報、非地上局20の移動経路に関する情報、非地上局20の種類に関する情報や制御切替えに必要な情報等である。
〔通信制御部〕
次に通信制御部553の詳細について説明する。通信制御部553は、取得部551にて取得した情報に基づき、非地上局20又は地上局30用の通信制御を実行する。尚、通信制御部553は、接続先の基地局が地上局30であると判定された場合、取得部551にて取得された情報に基づき、地上局30用の通信制御に間接的(implicit)に切替えても良い。また、通信制御部553は、取得された情報を地上局30用の通信制御として直接的(Explicit)に切り替えても良い。また、通信制御部553は、接続先の基地局が非地上局20であると判定された場合、取得部551にて取得された情報に基づき、非地上局20用の通信制御に間接的に切替えても良い。また、通信制御部553は、取得された情報を非地上局20用の通信制御として直接的に切り替えても良い。
通信制御部553は、接続先の基地局が地上局30であると判定された場合、地上局30の通信制御を実行する。通信制御部553は、接続先の基地局が非地上局20であると判定された場合、非地上局20の通信制御を実行する。尚、通信制御には、例えば、セル選択(Cell selection criteria)、測定設定(Measurement configuration)、RACH設定、信号波形(Waveform)、マルチアクセス方式、変調符号方式(MCS:Modulation and Coding Scheme)を使用した制御がある。更に、通信制御には、CQI(Channel Quality Indicator)、HARQ(Hybrid Automatic Repeat request)、電力制御(Power control)、トラッキングエリア(Tracking area)やsub-PRB(Physical Resource Block)等を使用した制御がある。
セル選択は、計算式を使用して通信装置50がセルを選択する通信制御である。非地上局20用の計算式は、地上局30用の計算式と異なる。非地上局20用の計算式は、地上局30の計算項の他に、例えば、非地上局20の種類、非地上局20の高度、非地上局20の移動速度及び非地上局20の周回軌道等の補正項QNTNを追加する。尚、NTNは非地上ネットワークである。取得部551は、接続先の基地局から地上局30用の計算式又は非地上局20用の計算式やパラメータ等を取得する。
非地上局20用の計算式は、Srxlev>0及びSqual>0の条件の下、Srxlev=Qrxlevmeas-(Qrxlevmin+Qrxlevminoffset)-Pcompensation-Qoffsettemp+QNTNの(数1)と、Squal=Qqualmeas-(Qqualmin+Qqualminoffset)-Qoffsettemp+QNTNの(数2)とで表現できる。尚、Srxlevはセル受信レベル値(Cell selection RX level value (dB))、Squalは、セル品質値(Cell selection quality value (dB))である。Qrxlevmeasは、測定結果であるセル受信レベル値(Measured cell RX level value (RSRP:Reference Signal Received Power))である。Qqualmeasは、測定結果であるセル品質値(Measured cell selection quality value (RSRQ:Reference Signal Received Quality)である。Qrxlevminは、最小の受信レベル値(Minimum required RX level in the cell (dBm))、Qqualminは、最小のセル品質値(Minimum required quality level in the cell (dB))である。Qrxlevminoffsetは、セル受信レベル値を考慮した最小の受信レベル値に対するオフセット値を示す第1のオフセット(Offset to the signalled Qrxlevmin taken into account in the Srxlev evaluation)である。Qqualminoffsetは、セル品質値を考慮した最小のセル品質値に対するオフセット値を示す第2のオフセット値(Offset to the signalled Qqualmin taken into account in the Squal evaluation)である。Pcompensationは、(If the UE supports the additionalPmax in the NS-PmaxList, if present, in SIB1)の情報である。Qoffsettempは、セルに一時的に適用するオフセット値を示す第3のオフセット(Offset temporarily applied to a cell (dB))である。
尚、非地上局20用の計算式としては、数1及び数2に限定されるものではなく、例えば、Srxlev>0、Squal>0及びSNTN>0の条件の下、セル選択値としてSNTN(Cell selection value for NTN (dB))を数1及び数2に追加しても良く、適宜変更可能である。尚、単位はdBに限定されるものではない。
通信制御部553は、接続先の基地局が非地上局20であると判定された場合、非地上局20用の計算式を使用して非地上局20用のセル選択等の通信制御を実行する。また、通信制御部553は、接続先の基地局が地上局30であると判定された場合、地上局30用の計算式を使用して地上局30用のセル選択等の通信制御を実行する。
測定設定は、例えば、通信装置50の受信信号の電波強度を測定する通信制御である。非地上局20用の測定設定は、地上局30用の測定設定と異なる。非地上局20用の測定設定は、例えば、非地上局20の種類、非地上局20の高度、非地上局20の移動速度、非地上局20の周回軌道等に応じて、地上局30用の測定設定に使用する測定値の平均化処理を変更する。非地上局20用の測定設定は、例えば、非地上局20が低軌道衛星又は中軌道衛星の場合、高速で移動するため、例えば、忘却係数の値を切替えることで、地上局20用の測定設定に使用する測定値の平均化処理をより短い時間で実施することになる。取得部551は、接続先の基地局から地上局30用の測定設定又は非地上局20用の測定設定を取得する。
通信制御部553は、接続先の基地局が地上局30であると判定された場合、地上局30用の測定設定等の通信制御を実行する。また、通信制御部553は、接続先の基地局が非地上局20であると判定された場合、非地上局20用の測定設定等の通信制御を実行する。
RACH設定は、例えば、通信装置50が発信時やハンドオーバ等で基地局との通信を確立する場合や再同期を行う場合に実行されるランダムアクセスの通信制御である。非地上局20用のRACH設定は、地上局30用のRACH設定と異なる。非地上局20用のRACH設定は、地上局30用のRACH設定と全く異なるように、若しくは地上局30用のRACH設定に補正情報を追加することで定義できる。例えば、非地上局20のセル範囲は、地上局30のセル範囲に比べて、非地上局20の高度に応じて広くなる。しかも、非地上局20と通信装置50との間の距離が長くなるため、非地上局20用のRACH設定は、地上局30用のRACH設定に比較してガードタイムを長く設定することになる。取得部551は、接続先の基地局から地上局30用のRACH設定又は非地上局20用のRACH設定を取得する。
また、非地上局20用のRACH設定では、ランダムアクセスのプリアンブル数を地上局30用のRACH設定に比較して多くする。尚、プリアンブルは、通信装置50がランダムアクセスを実行する際に最初に送信する信号である。通信装置50は、複数のプリアンブルからランダムに選択したプリアンブルを送信する。また、非地上局20用のRACH設定では、ランダムアクセスのプリアンブルシーケンス数を地上局30用のRACH設定に比較して多くする。尚、プリアンブルシーケンスは、通信装置50がランダムアクセスを実行する際に最初にプリアンブルを送信する際のシーケンスである。また、非地上局20用のRACH設定は、ランダムアクセスのパワーランピング(Power Ramping)のステップサイズを地上局30用のRACH設定に比較して大きくする。尚、パワーランピングのステップサイズは、通信装置50がランダムアクセスに対するランダム応答を基地局から受信できない場合に送信電力を上げてプリアンブルを再送する際の送信電力のステップサイズである。また、非地上局20用のRACH設定は、ランダムアクセス応答のウインドウサイズ(Response Window Size)を地上局30用のRACH設定に比較して大きくする。尚、ランダムアクセス応答のウインドウサイズは、通信装置50が基地局からランダムアクセス応答を受信するまでの監視期間を調整する際のサイズである。
また、非地上局20用のRACH設定は、地上局30用のRACH設定に比較してランダムアクセスのパワーランピングのステップサイズを大きく、又は、ランダムアクセスの応答ウインドウのサイズを大きくする場合を例示した。しかしながら、例えば、非地上局20がドローン等で地上局30よりもセル範囲が狭くなる場合も想定される。この場合、非地上局20用のRACH設定は、パワーランピングのステップサイズや応答ウインドウのサイズを地上局20用のRACH設定に比較して小さくしても良く、適宜変更可能である。また、同様に、非地上局20のセル範囲が狭くなくなる場合、非地上局20用のRACH設定は、ランダムアクセスのプリアンブル数やプリアンブルシーケンス数を地上局20用のRACH設定に比較して少なくしても良く、適宜変更可能である。
尚、RACH設定内のパラメータとして、例えば、ランダムアクセスのプリアンブル数、ランダムアクセスのパワーランピングのステップサイズや、ランダムアクセスの応答ウインドウのサイズを変更する場合を例示した。しかしながら、これらのパラメータに限定されるものではなく、例えば、ランダムアクセスの時間-周波数リソース等のパラメータ等の構成情報を変更しても良く、適宜変更可能である。
通信制御部553は、接続先の基地局が地上局30であると判定された場合、地上局30用のRACH設定等の通信制御を実行する。また、通信制御部553は、接続先の基地局が非地上局20であると判定された場合、非地上局20用のRACH設定等の通信制御を実行する。
信号波形(Waveform)は、例えば、OFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)やPAPR(Peak-to-Average Power Ratio)特性等の接続先の基地局と通信する際に使用する信号波形である。PAPRは、ピーク時の送信電力の大きさを示す指標であって、変調信号の最大送信電力と平均送信電力との比である。PAPRを下げることで、通信装置50の消費電力を軽減できる。例えば、非地上局20用の信号波形は、地上局30用の信号波形に比較して、例えば、伝搬距離が長く、PAPRが低くなるため、例えば、DFT-s-OFDM(DFT-spread-OFDM)等を採用する。また、非地上局20用の信号波形では、非地上局20と通信装置50との間の伝搬距離、非地上局20の種類、使用周波数帯等に応じて信号波形を切り替えても良く、適宜変更可能である。非地上局20用の信号波形は、例えば、使用周波数帯がKaバンドの場合はOFDMで、Sバンドの場合はDFT-s-OFDM等とする。取得部551は、接続先の基地局から地上局30用の信号波形又は非地上局20用の信号波形を取得する。
また、非地上局20用の信号波形の場合、使用するサブキャリア数が従来のOFDMと比較して減少するため、OFDMよりも大きな受信電力を得るIndex Modulation(インデックス変調)を使用してもよい。インデックス変調とは、帯域を被変調波で割った変調度である。従って、非地上局20用の信号波形は、地上局30用の信号波形と異なるIndex Modulationとしても良い。
通信制御部553は、接続先の基地局が地上局30であると判定された場合、地上局30用の信号波形に切替えて通信制御を実行する。また、通信制御部553は、接続先の基地局が非地上局20であると判定された場合、非地上局20用の信号波形に切替えて通信制御を実行する。
非地上局20用のマルチアクセス方式は、例えば、ドップラーシフトに耐性のあるFBMC(Filter Bank Multiple Access)等のサブキャリア間の干渉を低減する、地上局30用のマルチアクセス方式と異なるマルチアクセス方式等を使用する。取得部551は、接続先の基地局から地上局30用のマルチアクセス方式又は非地上局20用のマルチアクセス方式を取得する。
通信制御部553は、接続先の基地局が地上局30であると判定された場合、地上局30用のマルチアクセス方式に切替えて通信制御を実行する。また、通信制御部553は、接続先の基地局が非地上局20であると判定された場合、非地上局20用のマルチアクセス方式に切替えて通信制御を実行する。
MCSは、変調・符号方式をインデックス化した情報である。通信装置50が非地上局20と通信する場合、例えば、非地上局20と通信装置50との間の伝搬距離が長く、伝搬損失が大きい場合が想定される。そこで、非地上局20用のMCSは、例えば、地上局30用のMCSと比較して、より低い低次変調方式を使用するとか、より低いコードレートを使用するMCSを採用する。取得部551は、接続先の基地局から地上局30用のMCS又は非地上局20用のMCSを取得する。
通信制御部553は、接続先の基地局が地上局30であると判定された場合、地上局30用のMCSに切替えて通信制御を実行する。また、通信制御部553は、接続先の基地局が非地上局20であると判定された場合、非地上局20用のMCSに切替えて通信制御を実行する。
CQIは、受信品質の測定結果を示すチャネル品質をインデックス化した情報である。非地上局20用のCQIは、例えば、地上局30用のCQIと異なるCQIである。取得部551は、接続先の基地局から地上局30用のCQI又は非地上局20用のCQIを取得する。通信制御部553は、接続先の基地局が地上局30であると判定された場合、地上局30用のQCIに切替えて通信制御を実行する。また、通信制御部553は、接続先の基地局が非地上局であると判定された場合、非地上局20用のQCIに切替えて通信制御を実行する。
また、通信制御部553は、地上局30用のMCSテーブル及びCQIテーブルと、非地上局20用のMCSテーブル及びCQIテーブルとを準備し、接続先の基地局に応じて地上局30及び非地上局20のテーブルを切替えても良く、適宜変更可能である。
また、通信制御部553は、地上局30用のMCSインデックス及びCQIインデックスを準備する。そして、通信制御部553は、接続先の基地局が非地上局20の場合、地上局30用の(MCS/CQIインデックス-2)の計算で非地上局20のMCS/CQIインデックスを計算しても良く、適宜変更可能である。
HARQは、通信経路にエラーが生じた場合に自動的にデータを再送するARQと、エラー訂正のFEC(Feedforward Error Correct)とを併用した通信制御である。通信装置50が非地上局20と通信する場合、例えば、非地上局20と通信装置50との間の伝搬遅延が大きく、HARQの送受信に時間がかかる場合が想定される。そこで、非地上局20用のHARQは、地上局30用のHARQの代わりに、例えば、HARQを送信せずにリピート回数を増やして、HARQ-lessで送信する方法を採用する。取得部551は、接続先の基地局から地上局30用のHARQ又は非地上局20用のHARQを取得する。
通信制御部553は、接続先の基地局が地上局30であると判定された場合、地上局30用のHARQに切替えて通信制御を実行する。また、通信制御部553は、接続先の基地局が非地上局20であると判定された場合、非地上局20用のHARQに切替えて通信制御を実行する。
送信電力制御(Power control)は、通信装置50の送信電力の通信制御である。通信装置50が非地上局20と通信する場合、例えば、非地上局20の移動速度が高速、かつ、非地上局20と通信装置50との間の伝搬距離が長くなるため、伝搬遅延が大きい場合が想定される。そこで、非地上局20用の送信電力制御では、例えば、地上局30用の送信電力制御と比較してより送信電力量のステップサイズを大きくする。取得部551は、接続先の基地局から地上局30用の送信電力制御又は非地上局20用の送信電力制御を取得する。
通信制御部553は、接続先の基地局が地上局30であると判定された場合、地上局30用の送信電力制御に切替えて通信制御を実行する。また、通信制御部553は、接続先の基地局が非地上局20であると判定された場合、非地上局20用の送信電力制御に切替えて通信制御を実行する。
トラッキングエリア(Tracking area)は、通信装置50が追従するエリアである。非地上局20用のトラッキングエリアリストは、地上局30用のトラッキングエリアリストと異なる。非地上局20用のトラッキングエリアは、非地上局20が低軌道衛星、中軌道衛星、ドローン等のUAS(Unmanned Aircraft Systems)の場合、通信装置50が移動していなくても非地上局20が移動しているため、追従エリアを切替える必要がある。従って、例えば、非地上局20用のトラッキングエリアリストには、非地上局20が所定の軌道上を移動することが想定されるため、その軌道上の非地上局20が優先的に含まれる。取得部551は、接続先の基地局から地上局30用のトラッキングエリアリスト又は非地上局20用のトラッキングエリアリストを取得する。
通信制御部553は、接続先の基地局が地上局30であると判定された場合、地上局30用のトラッキングエリアリストに切替えて通信制御を実行する。また、通信制御部553は、接続先の基地局が非地上局20であると判定された場合、非地上局20用のトラッキングエリアリストに切替えて通信制御を実行する。
Sub-PRBは、例えば、LTEにおける時間周波数リソースの割当単位である。通信装置50が非地上局20と通信する場合、地上局30に比較して通信距離が長いため、より大きな送信電力が必要となる場合が想定される。従って、非地上局20用のSub-PRBは、送信電力を確保する手段として、地上局30用のPRBサイズに比較して小さくする。例えば、地上局30用のSub-PRBは、1PRB=12サブキャリアとした場合、非地上局20用のSub-PRBは、1PRB=6サブキャリアとする。取得部551は、接続先の基地局から地上局30用のSub-PRB又は非地上局20用のSub-PRBを取得する。
通信制御部553は、接続先の基地局が地上局30であると判定された場合、地上局30用のSub-PRBに切替えて通信制御を実行する。また、通信制御部553は、接続先の基地局が非地上局20であると判定された場合、非地上局20用のSub-PRBに切替えて通信制御を実行する。
〔2-10.切替処理〕
図14は、通信システム1の切替処理に係る動作の一例を示すシーケンス図である。切替処理は、通信装置50が接続先の基地局が地上局30又は非地上局20であるかを判定し、接続先の基地局に対応した通信制御に切替える処理である。
通信装置50は、例えば、アイドル状態で接続先の基地局(非地上局20)からSS、MIB及びSIBを受信した場合(ステップS401)、接続先の基地局を検出する(ステップS401A)。通信装置50は、接続先の基地局を検出した場合、接続先の基地局の無線使用帯域に基づき、接続先の基地局が地上局30又は非地上局20であるかを判定する(ステップS402)。尚、通信装置50は、例えば、接続先の基地局の無線使用帯域が非地上局20の無線使用帯域であるため、接続先の基地局が非地上局20と判定することになる。
通信装置50は、接続先の基地局が非地上局20であると判定された場合、接続先の基地局である非地上局20から取得した情報に基づき、非地上局20用の通信制御に切替える(ステップS403)。そして、通信装置50は、ランダムアクセスプリアンブルを接続先の基地局である非地上局20に送信する(ステップS404)。
非地上局20は、ランダムアクセスプリアンブルを受信した場合、ランダムアクセスプリアンブルに対するランダムアクセス応答(Msg2)を通信装置50に送信する(ステップS405)。通信装置50は、ランダムアクセス応答を受信すると、ランダムアクセス応答に対するメッセージ(Msg3)を非地上局20に送信する(ステップS406)。非地上局20は、メッセージ(Msg3)を受信すると、メッセージ(Msg3)に対する競合解決のメッセージ(Msg4:Contention Resolution)を通信装置50に送信する(ステップS407)。更に、非地上局20は、DCIを通信装置50に送信する(ステップS408)。通信装置50は、競合解決のメッセージ及びDCIに基づき、非地上局20との間で無線通信を開始する(ステップS409)。尚、ステップS404~ステップS407の処理は、例えば、図11に示すコンテンションベースランダムアクセス手続の処理である。
また、通信装置50は、非地上局20との通信中に、他の接続先の基地局である地上局30からSS、MIB及びSIBを受信した場合(ステップS410)、他の接続先の基地局を検出する(ステップS410A)。通信装置50は、他の接続先の基地局を検出した場合(ステップS410A)、他の接続先の基地局の無線使用帯域に基づき、他の接続先の基地局が地上局30又は非地上局20であるかを判定する(ステップS411)。尚、通信装置50は、例えば、他の接続先の基地局の無線使用帯域が地上局30の無線使用帯域であるため、他の接続先の基地局が地上局30と判定することになる。
通信装置50は、他の接続先の基地局が地上局30であると判定された場合、接続先の基地局である地上局30から取得した情報に基づき、地上局30用の通信制御に切替える(ステップS412)。そして、通信装置50は、ランダムアクセスプリアンブルを他の接続先の基地局である地上局30に送信する(ステップS413)。
地上局30は、ランダムアクセスプリアンブルを受信した場合、ランダムアクセスプリアンブルに対するランダムアクセス応答(Msg2)を通信装置50に送信する(ステップS414)。通信装置50は、ランダムアクセス応答を受信すると、ランダムアクセス応答に対するメッセージ(Msg3)を地上局30に送信する(ステップS415)。地上局30は、メッセージ(Msg3)を受信すると、メッセージ(Msg3)に対する競合解決のメッセージ(Msg4:Contention Resolution)を通信装置50に送信する(ステップS416)。尚、ステップS413~ステップS416の処理は、例えば、図11に示すコンテンションベースランダムアクセス手続の処理である。更に、地上局30は、DCIを通信装置50に送信する(ステップS417)。通信装置50は、競合解決のメッセージ及びDCIに基づき、地上局30との間で無線通信を開始する(ステップS418)。
アイドル状態の通信装置50は、接続先の基地局を検出し、接続先の基地局が非地上局20と判定された場合に、非地上局20用の通信制御に切替える。そして、通信装置50は、非地上局20用の通信制御に切替えてランダムアクセス手続を経て非地上局20との間の無線通信を確立する。その結果、通信装置50は、接続先の基地局である非地上局20に応じた通信制御を実現できる。
また、通信装置50は、例えば、非地上局20との通信中に新たな接続先の基地局を検出し、新たな接続先の基地局が地上局30と判定された場合に、地上局30用の通信制御に切替える。そして、通信装置50は、地上局30用の通信制御に切替えてランダムアクセス手続を経て地上局30との間の無線通信を確立する。その結果、通信装置50は、新たな接続先の基地局である地上局30に応じた通信制御を実現できる。
図14に示す切替処理では、通信装置50が非地上局20との通信中に地上局30からSS、MIBやSIBを検出した場合に接続先の基地局を地上局30と判断し、地上局30用の通信制御に切替える場合を例示した。しかしながら、アイドル状態の通信装置50が新たな接続先の基地局である地上局30からSS、MIBやSIBを検出した場合に接続先の基地局が地上局30と判定する。そして、通信装置50は、新たな接続先の基地局が地上局30と判定された場合に地上局30用の通信制御に切替えても良く、適宜変更可能である。
また、通信装置50が地上局30との通信中に新たな接続先の基地局である非地上局20からSS,MIBやSIBを検出した場合に、新たな接続先の基地局を非地上局20と判断し、非地上局20用の通信制御に切替えても良く、適宜変更可能である。
また、通信装置50は、地上局30及び非地上局20の双方と接続して同時に通信可能にするデュアルコネクティビティ(DC:Dual Connectivity)を実現することも可能である。
尚、非地上局20は、衛星局又は航空機局等であってもよい。例えば、通信装置50が衛星局と通信中に新たな接続先の基地局を検出し、接続先の基地局が航空機局と判定された場合に、衛星局用の通信制御の代わりに航空機局用の通信制御に切替えても良く、適宜変更可能である。
〔2-11.効果〕
本実施の形態の通信装置50は、基地局から情報を取得し、取得した情報に基づき、接続先の基地局が非地上局20又は地上局30であるかを判定する。更に、通信装置50は、接続先の基地局が非地上局20と判定された場合に、非地上局20の通信制御を実行する。その結果、通信装置50は、接続先の基地局に応じて通信制御を実行できる。
通信装置50は、接続先の基地局が非地上局20と判定された場合に、接続先の基地局から取得した情報に基づき、非地上局20の通信制御を実行する。その結果、通信装置50は、接続先の非地上局20から取得した情報を使用して非地上局20の通信制御を実行できる。
通信装置50は、地上局30用に定義したSIB及び非地上局20用に定義したSIBを接続先の基地局から取得する。更に、通信装置50は、SIBに基づき、接続先の基地局が非地上局20又は地上局30であるかを判定する。その結果、通信装置50は、SIBを使用して接続先の基地局を判定できる。
非地上局20用に定義したSIBは、地上局30用に定義したSIBに非地上局20の通信制御に使用する情報を追加する。その結果、通信装置50は、SIBを使用して接続先の基地局が判定し易くなる。
通信装置50は、地上局30と非地上局20とでサブキャリア間隔が異なるSSを接続先の基地局から取得し、SSに基づき、接続先の基地局が非地上局20又は地上局30であるかを判定する。その結果、通信装置50は、SSを使用して接続先の基地局を判定できる。
通信装置50は、地上局30又は非地上局20を識別するセルIDを接続先の基地局から取得し、セルIDに基づき、接続先の基地局が非地上局20又は地上局30であるかを判定する。その結果、通信装置50は、セルIDを使用して接続先の基地局を判定できる。
通信装置50は、接続先の基地局の使用無線帯域に基づき、接続先の基地局が非地上局20又は地上局30であるかを判定する。その結果、通信装置50は、使用無線帯域を使用して接続先の基地局を判定できる。
通信装置50は、非地上局20が位置する高度に関する情報を接続先の基地局から取得し、接続先の基地局が非地上局20と判定された場合に、取得した非地上局20の高度に関する情報に基づき、非地上局20の通信制御を実行する。その結果、通信装置50は、非地上局20の高度に関する情報を使用して非地上局20の通信制御を実行できる。
通信装置50は、非地上局20の通信制御に使用する、例えば、非地上局20のフラグ、RACH設定、測定設定、通信形式、マルチアクセス形式、MCS、CQI、HARQ、送信電力制御やSub-PRB等の構成情報を接続先の基地局から取得する。更に、通信装置50は、接続先の基地局が非地上局20と判定された場合に、取得した構成情報に基づき、非地上局20の通信制御を実行する。その結果、通信装置50は、非地上局20の構成情報を使用して非地上局20の通信制御を実行できる。
通信装置50は、地上局30用のRACHのプリアンブル数と異なる非地上局20用のRACHのプリアンブル数を接続先の基地局から取得する。通信装置50は、接続先の基地局が非地上局20と判定された場合に、取得した非地上局20用のRACHのプリアンブル数に基づき、非地上局20の通信制御を実行する。その結果、通信装置50は、非地上局20用のRACHのプリアンブル数で非地上局20用の通信制御を実行できる。
通信装置50は、地上局30用のRACHのシーケンス数と異なる非地上局20用のRACHのシーケンス数を接続先の基地局から取得する。通信装置50は、接続先の基地局が非地上局20と判定された場合に、取得した非地上局20用のRACHのシーケンス数に基づき、非地上局20の通信制御を実行する。その結果、通信装置50は、非地上局20用のRACHのプリアンブルシーケンス数で非地上局20用の通信制御を実行できる。
通信装置50は、地上局30用のRACHのプリアンブル再送に係る電力を制御するパワーランピングのステップ量と異なる非地上局20用のRACHのプリアンブル再送に係る電力を制御するパワーランピングのステップ量を接続先の基地局から取得する。通信装置50は、接続先の基地局が非地上局20と判定された場合に、取得した非地上局20用のRACHのプリアンブル再送に係る電力を制御するパワーランピングのステップ量に基づき、非地上局20の通信制御を実行する。その結果、通信装置50は、非地上局20用のRACHのパワーランピングのステップ量で非地上局20用の通信制御を実行できる。
通信装置50は、地上局30用のRACHに対するランダムアクセス応答を監視するウインドウのサイズと異なる非地上局20用のRACHに対するランダムアクセス応答を監視するウインドウのサイズを接続先の基地局から取得する。通信装置50は、接続先の基地局が非地上局20と判定された場合に、取得した非地上局20用のRACHに対するランダムアクセス応答を監視するウインドウのサイズに基づき、非地上局20の通信制御を実行する。その結果、通信装置50は、非地上局20用のRACHのランダムアクセス応答を監視するウインドウサイズで非地上局20用の通信制御を実行できる。
通信装置50は、地上局30用のRACHに使用する構成情報と異なる非地上局20用のRACHに使用する構成情報を接続先の基地局から取得する。通信装置50は、接続先の基地局が非地上局20と判定された場合に、取得した非地上局20用の構成情報に基づき、非地上局20の通信制御を実行する。その結果、通信装置50は、非地上局20用のRACHに使用する構成情報で非地上局20用の通信制御を実行できる。
通信装置50は、地上局30用のMCSと異なる非地上局20用のMCSを接続先の基地局から取得する。通信装置50は、接続先の基地局が非地上局20と判定された場合に、取得した非地上局用のMCSに基づき、非地上局20の通信制御を実行する。その結果、通信装置50は、非地上局20用のMCSで非地上局20用の通信制御を実行できる。
通信装置50は、地上局30用のCQIと異なる非地上局20用のCQIを接続先の基地局から取得する。通信装置50は、接続先の基地局が非地上局20と判定された場合に、取得した非地上局20用のCQIに基づき、非地上局20の通信制御を実行する。その結果、通信装置50は、非地上局20用のCQIで非地上局20用の通信制御を実行できる。
通信装置50は、地上局30用の送信電力を制御するステップ量が異なる非地上局20用の送信電力を制御するステップ量を接続先の基地局から取得する。通信装置50は、接続先の基地局が非地上局20と判定された場合に、取得した非地上局20用の送信電力を制御するステップ量に基づき、非地上局20の通信制御を実行する。その結果、通信装置50は、非地上局20用の送信電力制御で非地上局20用の通信制御を実行できる。
通信装置50は、地上局30用のSub-PRBが異なる非地上局20用のSub-PRBを接続先の基地局から取得する。通信装置50は、接続先の基地局が非地上局20と判定された場合に、取得した非地上局20用のSub-PRBに基づき、非地上局20の通信制御を実行する。その結果、通信装置50は、非地上局20用のSub-PRBで非地上局20用の通信制御を実行できる。
通信装置50は、非地上局が移動する速度に関する移動速度情報を接続先の基地局から取得する。通信装置50は、接続先の基地局が非地上局20と判定された場合に、取得した非地上局20の移動速度情報に基づき、非地上局20の通信制御を実行する。その結果、通信装置50は、非地上局20用の移動速度情報を使用して非地上局20用の通信制御を実行できる。
通信装置50は、非地上局20が移動する経路に関する移動経路情報を接続先の基地局から取得する。通信装置50は、接続先の基地局が非地上局20と判定された場合に、取得した非地上局20の移動経路情報に基づき、非地上局20の通信制御を実行する。その結果、通信装置50は、非地上局20用の移動経路情報を使用して非地上局20用の通信制御を実行できる。
通信装置50は、非地上局20の種別を識別する、例えば、GEO、Non-GEO、MEO、LEO、ドローン、飛行機、気球等の種類情報を接続先の基地局から取得する。通信装置50は、接続先の基地局が非地上局20と判定された場合に、取得した非地上局20の種類情報に基づき、非地上局20の通信制御を実行する。その結果、通信装置50は、非地上局20用の種類情報を使用して非地上局20用の通信制御を実行できる。
(3.変形例)
上述の各実施形態はそれぞれ一例を示したものであり、種々の変更及び応用が可能である。
[3-1.システム構成に関する変形例]
本実施の形態では、非地上局20、地上局30及び中継局40は、W-CDMA、cdma2000、LTE、NR等のセルラー通信方式をサポートするものとした。しかし、非地上局20、地上局30及び中継局40がサポートするセルラー通信方式は上記のセルラー通信方式に限られず、例えば、UMB(Ultra-Mobile Broadband)等の他のセルラー通信方式をサポートしてもよい。また、これらの装置は、セルラー通信方式以外にも、近距離無線通信方式、近接無線通信方式、又は無線LAN(Local Area Network)方式などの他の無線通信方式をサポートしてもよい。
また、上述の実施形態では、複数の非地上局20によって低軌道衛星コンステレーションが形成されるものとしたが、複数の非地上局20によって形成される衛星コンステレーションは低軌道衛星コンステレーションに限られない。複数の非地上局20によって形成される衛星コンステレーションは、中軌道衛星コンステレーション、静止衛星コンステレーション等の衛星コンステレーションであってもよい。
また、上述の実施形態では、例えば、単一の基地局が単一のセルを形成した。しかしながら、複数の基地局が協調して単一のセルを形成しても良く、適宜変更可能である。
(I)トリガ情報は、通信装置50が接続先の基地局を切り替えるか否かを判定するために用いる情報である。トリガ情報は、例えば、通信装置50が受信電力の情報(例えば、RSRP、RSRQ等)を使って接続先の基地局を切り替えるか否かを判定するために用いる情報である。例えば、トリガ情報は、接続中の基地局からの受信した電力の測定値(RSRP、RSRQ等)に関する判別閾値(第1のトリガ値)であってもよいし、2つの電力の測定値の差分値(第2のトリガ値)であってもよい。
なお、トリガ情報は、受信電力の情報を使って切替判定するために用いる情報(例えば、第1のトリガ値、第2のトリガ値等)に限られない。例えば、トリガ情報は、接続の切り替えに関係する装置の移動情報であってもよい。このとき、移動情報は、例えば、接続の切り替えに関係する装置の現在位置、移動方向、及び移動速度の少なくとも1つの情報を含む情報である。接続の切り替えに関係する装置は、例えば、通信装置50、接続中の基地局、及び切替先候補の基地局の中の少なくとも1つの装置である。
まず、通信装置50は、通信装置50自身の移動情報及び/又は通信装置50に接続中の基地局の移動情報に基づき、通信装置50が接続中の基地局が形成するセルの端(以下、単にセル端という。)から所定の距離内にいるか否か判別する。このとき、移動情報は通信装置50及び接続中の基地局の現在位置の情報であってもよい。通信装置50がセル端から所定の距離内にいる場合、通信装置50は、現時点が基地局の切替タイミングであると判別する。そして、通信装置50は、接続先の切替処理(例えば、ハンドオーバ処理)を実行する。
なお、接続先の切替タイミングの判定は予測に基づくものであってもよい。例えば、通信装置50は、通信装置50自身の移動情報及び/又は通信装置50に接続中の基地局の移動情報に基づき、通信装置50がセル端に達するまでの時間を予測する。このとき、移動情報には、通信装置50及び接続中の基地局の現在位置、移動方向、移動速度の情報が含まれていてもよい。また、通信装置50及び接続中の基地局が規則的に移動しているのであれば、移動情報には、通信装置50及び接続中の基地局の移動経路の情報が含まれていてもよい。予測した時間が所定の時間より短い場合、通信装置50は、現時点が接続の切替タイミングであると判別する。そして、通信装置50は、接続先の切替処理(例えば、ハンドオーバ処理)を実行する。
また、接続先の切替タイミングの判別は切替先候補の基地局の移動情報に基づくものであってもよい。例えば、非地上局20は、切替先候補の基地局の移動情報に基づき、通信装置50が切替先候補の基地局が形成するセル内に入っているか判別する。入っている場合、非地上局20は、現時点が接続先の切替タイミングであると判別する。そして、通信装置50は、接続先の切替処理(例えば、ハンドオーバ処理)を実行する。
切替情報にトリガ情報を含めることで、無線ネットワーク側の装置(管理装置10、非地上局20等)で通信装置50の基地局の切替タイミングを管理することが容易になる。また、通信装置50にとっても、その時々にあった最適なタイミングで基地局を切り替えることができる。
また、通信装置50が取得する切替情報には、切替先候補の基地局の切替情報に加えて、切替先候補の基地局に接続した後に、さらに切替先候補となることが想定される基地局の切替情報(例えば、リソース情報)が含まれていてもよい。例えば、通信装置50は、切替先候補となる第1の基地局(1つ先の基地局)への接続の切り替えに用いられる第1の切替情報を接続中の基地局から取得する。それと同時に、通信装置50は、第1の基地局に接続した後に切替先候補となる第2の基地局(2つ先の基地局)への接続の切り替えに用いられる第2の切替情報も接続中の基地局から取得してもよい。なお、切替情報には、第2の基地局に接続した後にさらに切替先候補となる第3の基地局(3つ先の基地局)への接続の切り替えに用いられる第3の切替情報が含まれていてもよい。切替情報には3つ以上先の基地局に接続するためのリソース情報が含まれていてもよい。
このとき、通信装置50に接続中の基地局は、他の基地局の移動情報に基づいて、複数の基地局の中から、第1の基地局、第2の基地局、第3の基地局となる基地局を判別してもよい。勿論、基地局は、3つ以上先の基地局も判別してもよい。
次の切り替えに用いられる切替情報のみならず更に先の切替情報まで事前に取得することにより、切り替えが短い間隔で多発する場合にも、通信装置50はスムーズに接続を切り替えることができる。結果として、通信装置50は高い通信品質を保つことができる。
[3-2.その他の変形例]
本実施形態の管理装置10、非地上局20、地上局30、中継局40、又は通信装置50を制御する制御装置は、専用のコンピュータシステム、又は汎用のコンピュータシステムによって実現してもよい。
例えば、上述の動作(例えば、初期接続処理や切替処理等)を実行するための通信プログラムを、光ディスク、半導体メモリ、磁気テープ、フレキシブルディスク等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納して配布する。そして、例えば、該プログラムをコンピュータにインストールし、上述の処理を実行することによって制御装置を構成する。このとき、制御装置は、管理装置10、非地上局20、地上局30、中継局40、又は通信装置50の外部の装置(例えば、パーソナルコンピュータ)であってもよい。また、制御装置は、非地上局20、地上局30、中継局40、又は通信装置50の内部の装置(例えば、制御部13、制御部23、制御部34、制御部44、又は制御部55)であってもよい。
また、上記通信プログラムをインターネット等のネットワーク上のサーバ装置が備えるディスク装置に格納しておき、コンピュータにダウンロード等できるようにしてもよい。また、上述の機能を、OS(Operating System)とアプリケーションソフトとの協働により実現してもよい。この場合には、OS以外の部分を媒体に格納して配布してもよいし、OS以外の部分をサーバ装置に格納しておき、コンピュータにダウンロード等できるようにしてもよい。
また、上記実施形態において説明した各処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部又は一部を手動的に行うこともでき、あるいは、手動的に行われるものとして説明した処理の全部又は一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。この他、上記文書中や図面中で示した処理手順、具体的名称、各種のデータやパラメータを含む情報については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。例えば、各図に示した各種情報は、図示した情報に限られない。
また、図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部又は一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。
また、上記してきた各実施形態は、処理内容を矛盾させない領域で適宜組み合わせることが可能である。また、上記してきた各実施形態のフローチャート又はシーケンス図に示された各ステップは、適宜順序を変更することが可能である。
(4.むすび)
以上説明したように、本開示の一実施形態によれば、通信装置50は、接続先の基地局が非地上局20又は地上局30であるかを判定し、接続先の基地局が非地上局20であると判定された場合、非地上局20用の通信制御を実行する。その結果、接続先の基地局が地上局30や非地上局20の場合でも、接続先の地上局に適した通信制御を実現できる。
以上、本開示の各実施形態について説明したが、本開示の技術的範囲は、上述の各実施形態そのままに限定されるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。また、異なる実施形態及び変形例にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
また、本明細書に記載された各実施形態における効果はあくまで例示であって限定されるものでは無く、他の効果があってもよい。
なお、本技術は以下のような構成も取ることができる。
(1)
基地局装置から情報を取得する取得部と、
取得した情報に基づき、接続先の基地局装置が非地上局又は地上局であるかを判定する判定部と、
前記接続先の基地局装置が前記非地上局と判定された場合に、前記非地上局の通信制御を実行する通信制御部と
を有する通信装置。
(2)
前記通信制御部は、
前記接続先の基地局装置が前記非地上局と判定された場合に、前記取得部にて前記接続先の基地局装置から取得した情報に基づき、前記非地上局の通信制御を実行する、
前記(1)に記載の通信装置。
(3)
前記取得部は、
前記地上局用に定義したシステム情報及び前記非地上局用に定義したシステム情報を前記接続先の基地局装置から取得し、
前記判定部は、
前記システム情報に基づき、前記接続先の基地局装置が前記非地上局又は前記地上局であるかを判定する、
前記(1)又は(2)に記載の通信装置。
(4)
前記非地上局用に定義したシステム情報は、前記地上局用に定義したシステム情報に前記非地上局の通信制御に使用する情報を追加した情報である、
前記(3)に記載の通信装置。
(5)
前記取得部は、
前記地上局用のランダムアクセスのプリアンブル数と異なる前記非地上局用のランダムアクセスのプリアンブル数を前記接続先の基地局装置から取得し、
前記通信制御部は、
前記接続先の基地局装置が前記非地上局と判定された場合に、取得した前記非地上局用のランダムアクセスのプリアンブル数に基づき、前記非地上局の通信制御を実行する、
前記(1)~(4)の何れか一つに記載の通信装置。
(6)
前記取得部は、
前記地上局用のランダムアクセスのシーケンス数と異なる前記非地上局用のランダムアクセスのシーケンス数を前記接続先の基地局装置から取得し、
前記通信制御部は、
前記接続先の基地局装置が前記非地上局と判定された場合に、取得した前記非地上局用のランダムアクセスのシーケンス数に基づき、前記非地上局の通信制御を実行する、
前記(1)~(5)の何れか一つに記載の通信装置。
(7)
前記取得部は、
前記地上局用のランダムアクセスのプリアンブル再送に係る電力を制御するステップ量と異なる前記非地上局用のランダムアクセスのプリアンブル再送に係る電力を制御するステップ量を前記接続先の基地局装置から取得し、
前記通信制御部は、
前記接続先の基地局装置が前記非地上局と判定された場合に、取得した前記非地上局用のランダムアクセスのプリアンブル再送に係る電力を制御するステップ量に基づき、前記非地上局の通信制御を実行する、
前記(1)~(6)の何れか一つに記載の通信装置。
(8)
前記取得部は、
前記地上局用のランダムアクセスに対する応答を監視するウインドウのサイズと異なる前記非地上局用のランダムアクセスに対する応答を監視するウインドウのサイズを前記接続先の基地局装置から取得し、
前記通信制御部は、
前記接続先の基地局装置が前記非地上局と判定された場合に、取得した前記非地上局用のランダムアクセスに対する応答を監視するウインドウのサイズに基づき、前記非地上局の通信制御を実行する、
前記(1)~(7)の何れか一つに記載の通信装置。
(9)
前記取得部は、
前記地上局用のランダムアクセスに使用する構成情報と異なる前記非地上局用のランダムアクセスに使用する構成情報を前記接続先の基地局装置から取得し、
前記通信制御部は、
前記接続先の基地局装置が前記非地上局と判定された場合に、取得した前記非地上局用の構成情報に基づき、前記非地上局の通信制御を実行する、
前記(1)~(8)の何れか一つに記載の通信装置。
(10)
前記取得部は、
前記地上局用の物理リソースブロック単位のサブキャリア数が異なる前記非地上局用の前記物理リソースブロック単位のサブキャリア数を前記接続先の基地局装置から取得し、
前記通信制御部は、
前記接続先の基地局装置が前記非地上局と判定された場合に、取得した前記非地上局用の前記物理リソースブロック単位のサブキャリア数に基づき、前記非地上局の通信制御を実行する、
前記(1)~(9)の何れか一つに記載の通信装置。
(11)
前記取得部は、
前記地上局と前記非地上局とでサブキャリア間隔が異なる同期信号を前記接続先の基地局装置から取得し、
前記判定部は、
前記同期信号に基づき、前記接続先の基地局装置が前記非地上局又は前記地上局であるかを判定する、
前記(1)~(10)の何れか一つに記載の通信装置。
(12)
前記取得部は、
前記地上局又は前記非地上局を識別する識別情報を前記接続先の基地局装置から取得し、
前記判定部は、
前記識別情報に基づき、前記接続先の基地局装置が前記非地上局又は前記地上局であるかを判定する、
前記(1)~(11)の何れか一つに記載の通信装置。
(13)
前記取得部は、
前記非地上局が位置する高度に関する情報を前記接続先の基地局装置から取得し、
前記通信制御部は、
前記接続先の基地局装置が前記非地上局と判定された場合に、取得した前記非地上局の高度に関する情報に基づき、前記非地上局の通信制御を実行する、
前記(1)~(12)の何れか一つに記載の通信装置。
(14)
前記取得部は、
前記非地上局の通信制御に使用する構成情報を前記接続先の基地局装置から取得し、
前記通信制御部は、
前記接続先の基地局装置が前記非地上局と判定された場合に、取得した前記構成情報に基づき、前記非地上局の通信制御を実行する、
前記(1)~(13)の何れか一つに記載の通信装置。
(15)
前記取得部は、
前記地上局用の変調・符号化方式と異なる前記非地上局用の変調・符号化方式を前記接続先の基地局装置から取得し、
前記通信制御部は、
前記接続先の基地局装置が前記非地上局と判定された場合に、取得した前記非地上局用の変調・符号化方式に基づき、前記非地上局の通信制御を実行する、
前記(1)~(14)の何れか一つに記載の通信装置。
(16)
前記取得部は、
前記地上局用のチャネル品質指標と異なる前記非地上局用のチャネル品質指標を前記接続先の基地局装置から取得し、
前記通信制御部は、
前記接続先の基地局装置が前記非地上局と判定された場合に、取得した前記非地上局用のチャネル品質指標に基づき、前記非地上局の通信制御を実行する、
前記(1)~(15)の何れか一つに記載の通信装置。
(17)
前記取得部は、
前記地上局用の送信電力を制御するステップ量が異なる前記非地上局用の前記送信電力を制御するステップ量を前記接続先の基地局装置から取得し、
前記通信制御部は、
前記接続先の基地局装置が前記非地上局と判定された場合に、取得した前記非地上局用の前記送信電力を制御するステップ量に基づき、前記非地上局の通信制御を実行する、
前記(1)~(16)の何れか一つに記載の通信装置。
(18)
前記判定部は、
前記接続先の基地局装置の使用無線帯域に基づき、前記接続先の基地局装置が前記非地上局又は前記地上局であるかを判定する、
前記(1)~(17)の何れか一つに記載の通信装置。
(19)
前記取得部は、
前記非地上局が移動する速度に関する移動速度情報を前記接続先の基地局装置から取得し、
前記通信制御部は、
前記接続先の基地局装置が前記非地上局と判定された場合に、取得した前記非地上局の移動速度情報に基づき、前記非地上局の通信制御を実行する、
前記(1)~(18)の何れか一つに記載の通信装置。
(20)
前記取得部は、
前記非地上局が移動する経路に関する移動経路情報を前記接続先の基地局装置から取得し、
前記通信制御部は、
前記接続先の基地局装置が前記非地上局と判定された場合に、取得した前記非地上局の移動経路情報に基づき、前記非地上局の通信制御を実行する、
前記(1)~(19)の何れか一つに記載の通信装置。
(21)
前記取得部は、
前記非地上局の種別を識別する種類情報を前記接続先の基地局装置から取得し、
前記通信制御部は、
前記接続先の基地局装置が前記非地上局と判定された場合に、取得した前記非地上局の種類情報に基づき、前記非地上局の通信制御を実行する、
前記(1)~(20)の何れか一つに記載の通信装置。
(22)
通信装置が、
基地局装置から情報を取得し、
取得した情報に基づき、接続先の基地局装置が非地上局又は地上局であるかを判定し、
前記接続先の基地局装置が前記非地上局と判定された場合に、前記非地上局の通信制御を実行する、
通信方法。
(23)
通信装置が有するコンピュータを、
基地局装置から情報を取得する取得部、
取得した情報に基づき、接続先の基地局装置が非地上局又は地上局であるかを判定する判定部、
前記接続先の基地局装置が前記非地上局と判定された場合に、前記非地上局の通信制御を実行する通信制御部、
として機能させるための通信プログラム。