以下、本発明を、図面に示す実施形態に基づき説明する。
図1Aに示す本実施形態に係るコイル装置としてのトランス10は、たとえばEV(Electric Vehicle:電動輸送機器)、PHV(Plug-in Hybrid Vehicle:プラグインハイブリッド自動車)、あるいはコミュータ(車両)用の車載用充電器、あるいは家庭用または産業用電気機器の電源回路、あるいはコンピュータ機器の電源回路などに用いられる。図2に示すように、トランス10は、ボビン20と、磁性コア(分割コア)40a,40bと、端子台80と、リード案内部110とを有する。
なお、図面において、X軸、Y軸およびZ軸は、相互に垂直であり、X軸はボビン20の長手方向に対応し、Y軸は、一対の分割コア42a,42aまたは一対の分割コア42b,42bが分割される分割線の方向に略一致する。分割線の方向は、X軸に沿ってもよい。Z軸は、トランス10の高さ(厚み)方向に対応する。
ボビン20は、ボビン本体24と、ボビン本体24のX軸方向の一端上部に形成してある接続部22を有する。なお、ボビン20は、たとえばPPS、PET、PBT、LCPなどのプラスチックで構成してあるが、その他の絶縁部材で構成されても良い。好ましくは、ボビン20は、耐熱性を有する材料で構成される。強度や熱伝導性を向上させるために、これらの絶縁部材にガラス等のフィラーを充填させてもよい。
図8に示すように、ボビン本体24には、第1コイル部35を構成する第1ワイヤ37と、第2コイル部36を構成する第2ワイヤ38とが巻回される。
図6Aに示すように、本実施形態のトランス10におけるボビン20の巻回筒部28のZ軸方向の両端には、端部隔壁鍔31および32が半径方向の外方に延びるように、X-Y平面に略平行に一体成形してある。端部隔壁鍔31および32のZ軸方向の間に位置する巻回筒部28には、図8に示す第1コイル部35と第2コイル部36とが、Z軸方向(巻回軸の方向)に異なる位置に配置してある。第1コイル部35では、一次コイルまたは二次コイルの内のいずれか一方を構成する第1ワイヤ37が巻回してあり、第2コイル部36では、一次コイルまたは二次コイルの内のいずれか他方を構成する第2ワイヤ38が巻回してある。
本実施形態では、第1コイル部35と第2コイル部36との間に位置する巻回筒部28の外周には、X-Y平面に略平行な絶縁隔壁鍔30が形成してある。第1コイル部35には、第1ワイヤ37の巻回軸(Z軸)に沿って相互に隣り合うワイヤ巻回部分相互を各区画毎に分離する巻回隔壁鍔33が形成してある。
また、本実施形態では、第2コイル部36にも、第1コイル部35と同様に、第2ワイヤ38の巻回軸(Z軸)に沿って相互に隣り合うワイヤ巻回部分相互を各区画毎に分離する巻回隔壁鍔34が形成してある。各巻回隔壁鍔33および34には、隣接する各区画S1,S2相互またはS1a,S2a相互を連絡する少なくとも1の連絡溝が形成してある。
詳細な図示は省略するが、巻回隔壁鍔33,34において、X軸方向の接続部22が配置してある側とはX軸に沿って反対側には、それぞれ連絡溝が形成してある。これらの連絡溝は、それぞれ各隔壁鍔33および34の周方向の一部において、巻回筒部28の外周壁まで到達する深さで形成してある。
隔壁鍔30,33,31によりZ軸方向に仕切られた区画S1,S2には、図8に示す第1ワイヤ37が巻回され、各区画S1,S2毎に、ワイヤ巻回部分相互を分離可能になっている。本実施形態では、各区画S1,S2におけるZ軸に沿っての区画幅は、1本のみのワイヤ37が入り込める幅に設定してある。ただし、本実施形態では、区画幅を、二本以上のワイヤ37が入り込める幅に設定してもよい。また、本実施形態では、区画幅は、全て同じであることが好ましいが、多少異なっていても良い。
図8に示す第2コイル部36においても、第1コイル部35と同様に、図6Aに示す隔壁鍔30,34,32によりZ軸方向に仕切られた区画S1a,S2aには、図8に示す第2ワイヤ38が巻回され、各区画S1a,S2a毎に、ワイヤ巻回部分相互を分離可能になっている。本実施形態では、各区画S1a,S2aにおけるZ軸に沿っての区画幅は、1本のみのワイヤ38が入り込める幅に設定してある。なお、区画幅を、ワイヤ38の線径に合わせて、区画幅と同じにしても良い。
また、図6Aに示す隔壁鍔30~34の径方向幅は、1本(1層以上)以上のワイヤ37または38が入り込める高さに設定してあり、本実施形態では、好ましくは2~10層のワイヤが巻回できる径方向幅に設定してある。各隔壁鍔30~34の径方向幅は、全て同じであることが好ましいが、異なっていても良い。
図2に示すように、接続部22には、ボビン20とは別体で構成してあるリード案内部110が取り付けられる。リード案内部110は、ボビン20と着脱自在に連結し、リード部37a,37b,38a,38bを案内する役割を果たす。リード案内部110には、図8に示す第1ワイヤ37の第1リード部37a,37bと、第2ワイヤ38の第2リード部38a,38bとが引き出されて固定される。接続部22のY軸方向幅およびX軸方向幅は、リード案内部110の底面のY軸方向幅およびX軸方向幅などに応じて決定される。
図2に示すように、ボビン20のX軸方向の手前側には、接続部22が具備してあり、接続部22とはX軸方向の反対側のボビン本体24には突出片29が形成してある。突出片29は、YZ平面に略平行な面を有し、ボビン本体24の上面からZ軸の上方に向かって突出している。突出片は、磁性コア40aのX軸方向の移動を規制する。
図4Aに示すように、ボビン20に一体成形してある接続部22は、Y軸方向に延びるベース部22aと、そのベース部22aに対して略垂直にZ軸の上方向に向けて立ち上げられている絶縁壁22bとを有する。絶縁壁22bは、Z-Y平面に平行に形成され、図3Aに示す端子60a~60dと、図1Aに示す磁性コア40aとの絶縁を確保するための部材である。また、ベース部22aは、X-Y平面に平行に形成され、図4Aに示すリード案内部110を取り付けられるために用いられる。
また、ベース部22aには、図8に示すワイヤ37,38のリード部37a,37b,38a,38bを、図3Aに示す端子台80の端子60a~60dに導くために、図4Aに示すように、Y軸に沿って断続的に4つのボビン側切り欠き23a~23dがそれぞれX軸方向に凹んで形成してある。ボビン側切り欠き23a,23b,23c,23dには、リード部37a,37b,38b,38aがそれぞれ通される。
ベース部22aのY軸に沿っての両端には、Z軸方向の肉厚が中央よりも薄くなっている係合片22c(図6A参照)が形成してある。各係合片22cは、図7Aに示すリード案内部110の裏側でY軸方向の両端下方に形成してある係合溝114c,116cに挿入されて嵌合可能になっている。
絶縁壁22bには、Y軸に沿って断続的に6つのボビン側係合部26a~26fがそれぞれX軸方向に突出して形成されている。ボビン側係合部26a~26fは、それぞれX軸方向に沿って突出する突起状の凸部からなる。図3Aに示すように、ボビン側係合部26a~26c,26fは、案内部側係合部113a~113dに係合可能になっており、ボビン側係合部26d,26eは対向切り欠き112c,112dに挿入されて嵌合可能になっている。
図4Aおよび図7Aに示すように、リード案内部110は、Y軸方向に延びるロッド部材112を有し、ロッド部材112のY軸方向の両端には、端ブロック114および116がそれぞれ一体化してある。端ブロック114には一対の係合フック114b,114bが形成されており、端ブロック116には一対の係合フック116b,116bが形成されている。一対の係合フック114b,114bの間には端子台80の連結部87aが挟み込まれて連結(係合)可能になっており、一対の係合フック116b,116bの間には端子台80の連結部87bが挟み込まれて連結(係合)可能になっている。これにより、端子台80のZ軸方向への移動を規制することが可能となっている。
端ブロック114には一対の係合フック114b,114bに挟まれるように係合凸部114aが形成されており、端ブロック116には一対の係合フック116b,116bに挟まれるように係合凸部116aが形成されている。係合凸部114aには端子台80の連結穴870aが係合可能となっており、係合凸部116aには端子台80の連結穴870bが係合可能となっている。
ロッド部材112のX軸方向の裏面には、ボビン側切り欠き23a,23b,23c,23dのY軸方向の位置に対応して、それらの切り欠きと向き合う対向切り欠き112a,112b,112c,112dがY軸方向に沿って断続的にX軸方向に延在するように形成してある。対向切り欠き112c,112dは、対向切り欠き112a,112bよりもX軸方向に沿う長さが長くなるように形成されている。
対向切り欠き112a,112b,112c,112dには、図4Aに示すリード部37a,37b,38b,38aが図3Aに示すような態様で挿通される。ロッド部材112のX軸方向の裏面には、位置決め凹部118a,118bがそれぞれY軸方向の一方側および他方側に形成されている。位置決め凹部118a,118bには、図7Aに示す端子台80の位置決め凸部88a,88bが挿入されて嵌合可能になっている。
ロッド部材112のX軸方向の裏面には、ワイヤ挿通路117a~117dが形成されている。ワイヤ挿通路117a,117bはZ軸方向の上方に向けて斜めに延在しており、対応切り欠き112a,112bと連通している。ワイヤ挿通路117c,117dはZ軸方向の上方に向けてまっすぐに延在しており、対応切り欠き112c,112dと連通している。ワイヤ挿通路117a,117bにはリード部37a,37bが引き出され、ワイヤ挿通路117c,117dにはリード部38b,38aが引き出される。
ロッド部材112のX軸方向の裏面には、ボビン側係合部26a,26b,26c,26fのY軸方向の位置に対応して、案内部側係合部113a,113b,113c,113dがY軸方向に沿ってX軸方向に凹んで(段差状に)断続的に形成されている。案内部側係合部113a~113dには、ボビン側係合部26a~26c,26fが図3Aに示すような態様で係合される。
図2に示すように、本実施形態では、磁性コア40a,40bは、それぞれ同じ形状を持つ2つの分割コア42a,42aおよび42b,42bに分離可能である。本実施形態では、各分割コア42a,42aおよび42b,42bは、全て同じ形状であり、Z-Y断面で断面E字形状を有し、いわゆるE型コアを構成する。Z軸方向の下部に配置される他の一対の分割コア42b,42bも、Z-Y断面で断面E字形状を有し、いわゆるE型コアを構成する。
Z軸方向の上側に配置される各分割コア42aは、Y軸方向に延びるベース部44aと、ベース部44aのY軸方向の両端からZ軸方向に突出している一対の中脚部46aおよび側脚部48aとを有する。Z軸方向の下側に配置される各分割コア42bは、Y軸方向に延びるベース部44bと、ベース部44bのY軸方向の両端からZ軸方向に突出している一対の中脚部46bおよび側脚部48bとを有する。
ベース部44a,44bの外面は、ボビン本体24の一端上部に接続してある端子台80の内側面(ボビン20のX軸方向の中心側)に形成された端子台突出部と、ボビン本体24の他端上部に形成してある突出片29の内側面とに当接しており、これにより磁性コア40a,40bがX軸方向またはY軸方向に位置ずれすることを防止することが可能となっている。
一対の中脚部46aは、ボビン20のコア脚用貫通孔26の内部にZ軸方向の上方から挿入されるようになっている。同様に、一対の中脚部46bは、ボビン20のコア脚用貫通孔26の内部にZ軸方向の下方から挿入され、貫通孔26の内部において、それらの先端は、中脚部46aの先端に接触または所定のギャップで向き合うように構成してある。
貫通孔26を構成する巻回筒部28の内周面でX軸方向の対向位置には、分離用凸部27(図2参照)がZ軸方向に沿って形成してある。分離用凸部27は、中脚部42a,42aの間に介在されると共に、中脚部42b,42bの間に介在され、これらの中脚部42a,42aまたは中脚部42b,42bの相互が、貫通孔26の内部において、所定の隙間で向き合い、接触しないように構成してある。所定の隙間は、分離用凸部27のY軸方向の厚みにより調整することができる。
中脚部42a,42aまたは中脚部42b,42bは、それぞれ組み合わされた状態で、貫通孔26の内周面形状に一致するように、X軸方向に長い楕円柱形状を有しているが、その形状は、特に限定されず、貫通孔26の形状に合わせて変化させても良い。また、側脚部48a,48bは、カバー50におけるカバー本体52の外周面形状に合わせた内側凹曲面形状を有し、その外面は、X-Z平面に平行な平面を有している。本実施形態では、各分割コア42a,42bの材質は、金属、フェライト等の軟磁性材料が挙げられるが、特に限定されない。
カバー50のカバー本体52は、ボビン本体24の外周を覆うような形状を有する。カバー本体52のZ軸方向の両端には、カバー本体52からボビン本体24に向けて略垂直方向に折り曲げられている係止片54が一体成形してある。
カバー本体52のZ軸方向の両側に形成してある一対の係止片54は、係止突出片540を有する。係止突出片540の略中心部には、孔540aが形成してある。
係止突出片540は、段差部25の段差幅広部250に固定される。より詳細には、係止突出片540を段差幅広部250に固定すると、段差幅広部250に形成してある突起250aが、係止突出片540の孔540aに嵌合する。これにより、一対の係止片54が、ボビン本体24のZ軸方向の上下面を挟み込むように取り付けられ、ボビン本体24の上面に形成してある段差部25に配置される。
図2に示すように、カバー本体52のX軸方向の両端外面には、それぞれZ軸方向に延びる側脚ガイド片56が一体に成形してある。図1Aに示す例では、側脚ガイド片56は、ベース部44a,44bのX軸方向外側の外面に当接しているが、側脚部48a,48bのX軸方向外側の外面にも当接していてもよい。一対の側脚ガイド片56の間に位置するカバー本体52の外面には、側脚部48a,48bの内面が接触し、側脚部48a,48bのX軸方向の移動が、一対の側脚ガイド片56により制限されるようになっている。
X軸方向に沿って端子台80に近い一方の側脚ガイド片56は、他方の側脚ガイド片56よりも大きく成形してあり、図1Aに示すように、カバー50をボビン20に取り付けたときに、図8に示す第1ワイヤ37の一方の第1リード部37aの近傍に配置される。そのため、端子台80に近い一方の側脚ガイド片56は、第1ワイヤ37の一方の第1リード部37aとコア40a,40bとの間の絶縁距離(空間距離および沿面距離)を確保するとともに、第1リード部37aをZ軸上方に案内するための役割を果たす。なお、カバー50は、ボビン20と同様なプラスチックなどの絶縁部材で構成してある。
図3Bおよび図7Aに示すように、本実施形態では、第1ワイヤ37の一対の第1リード部37a,37bのうち、一方の第1リード部37aは、区画S1(図6A参照)から、リード案内部110の一方側のY軸方向第1端部付近に向かって引き出され、ワイヤ挿通路117aに沿って立ち上げられている。第1リード部37aは、ワイヤ挿通路117aに沿って立ち上げられた後、対応切り欠き112aの内部を挿通し、X軸方向に沿って引き出される。第1リード部37aの一端は第1端側端子60aに接続されている。
一対の第1リード部37a,37bのうち、他方の第1リード部37bは、区画S2から、リード案内部110の一方側のY軸方向第1端部付近に向かって引き出され、ワイヤ挿通路117bに沿って立ち上げられている。ただし、第1リード部37bは、第1リード部37aよりもリード案内部110の中央近くで、巻回軸に平行な方向に立ち上げられる。第1リード部37bは、ワイヤ挿通路117bに沿って立ち上げられた後、対応切り欠き112bの内部を挿通し、X軸方向に沿って引き出される。第1リード部37bの一端は第1内側端子60bに接続されている。
第2ワイヤ38の一対の第2リード部38a,38bのうち、一方の第2リード部38aは、区画S1aから、リード案内部110の他方側のY軸方向第2端部付近に向かって引き出され、ワイヤ挿通路117dに沿って立ち上げられている。第1リード部38aは、ワイヤ挿通路117dに沿って立ち上げられた後、対応切り欠き112dの内部を挿通し、X軸方向に沿って引き出される。第2リード部38aの一端は第2端側端子60dに接続されている。
一対の第2リード部38a,38bのうち、他方の第2リード部38bは、区画S2aから、リード案内部110の他方側のY軸方向第2端部付近に向かって引き出され、ワイヤ挿通路117cに沿って立ち上げられる。ただし、第2リード部38bは、第2リード部38aよりもリード案内部110の中央近くで、巻回軸に平行な方向に立ち上げられる。第2リード部38bは、ワイヤ挿通路117cに沿って立ち上げられた後、対応切り欠き112cの内部を挿通し、X軸方向に沿って引き出される。第2リード部38bの一端は第2内側端子60cに接続されている。
本実施形態では、図6Aに示す巻回隔壁鍔34のX軸他方側に形成してある連絡溝(図示略)を利用して、図8に示す第2ワイヤ38が図6Aに示す巻回筒部28にα巻きされている。また、図6Aに示す巻回隔壁鍔33のX軸他方側に形成してある連絡溝(図示略)を利用して、図8に示す第1ワイヤ37が巻回筒部28にα巻きされている。なお、第1ワイヤ37および第2ワイヤ38の巻回方法は、α巻きに限定されるものではなく、通常巻きでもよい。
図6Aに示す接続部22および絶縁隔壁鍔30には絶縁アダプタ70がこれらに跨るように取り付けられる。絶縁アダプタ70は、湾曲している側面部71と、側面部71のZ軸方向の上部に形成してある上面部72と、側面部71のZ軸方向の下部に形成してある底面部73とを有する。側面部71の湾曲外面の一部に、Z軸方向に延びている案内溝76が形成してある。案内溝76には、図8に示す第1ワイヤ37の他方のリード部37bがZ軸方向に通される。
案内溝76の外側にはスライド挿入片74が形成されており、スライド挿入片74が接続部22の第1スライド挿入孔22eに挿入され、さらに上面部72が第2スライド挿入孔22fに挿入されることにより、絶縁アダプタ70は、接続部22に取り付けられる。絶縁アダプタ70の底面部73は、絶縁隔壁鍔30のZ軸方向の下面に接触するように取り付けられる。
図5Aに示すように、端子60a(端子60b~60dについても同様)は、ワイヤ接続部61と、外部接続部62と、連結部63とを有する。連結部63はXY平面に平行な略平板形状からなり、ワイヤ接続部61と外部接続部62とを連結(接続)している。連結部63は、図4Aに示すベース部81に対して略平行に配置される。
ワイヤ接続部61には、リード部37a,37b,38a,38bが挟み込まれて接続される。ワイヤ接続部61は、突出片610と挟込片611とを有する。突出片610は、XY平面に平行な略平板形状からなる。突出片610は連結部63のY軸方向の一端に一体的に接続されており、Y軸方向の外側に向かって突出している。
挟込片611は、XY平面に平行な略平板形状からなる。挟込片611は、突出片610のY軸方向の先端に接続されており、突出片610をY軸方向の内側(突出片610の突出方向とは反対側)に向けて折り曲げ成形することにより形成される。挟込片611によって、リード部37a,37b,38a,38bを挟み込むことが可能となっている。本実施形態では、突出片610および挟込片611は、図4Aに示すベース部81に対して略平行に配置される。
端子60a~60dでは、突出片610と挟込片611とにより、リード部37a,37b,38a,38bを挟み込み、熱圧着等により固定することが可能となっている。なお、ワイヤ接続部61に対するリード部37a,37b,38a,38bの熱圧着は、リード部37a,37b,38a,38bを突出片610と挟込片611とで挟み込んだ状態で、所定の治具で突出片610と挟込片611とをZ軸方向の上下から挟み込むことにより行われる。
外部接続部62はXZ平面に平行な略平板形状からなる。外部接続部62は、連結部63のX軸方向の一端に連結部63に対して略直交するように一体的に接続されており、X軸方向の外側に向かって突出している。外部接続部62は、端子台80の位置決め溝部84a~84dに挿入され、外部基板等に接続される。
図4Aおよび図7Aに示すように、端子台80は、ベース部81と、ケース係合溝82と、端子配置部83a~83dと、位置決め溝部84a~84dと、隔壁部85a~85eと、連結部87a,87bと、位置決め凸部88a,88bとを有する。端子台80には、端子60a~60dが取り付けられる。本実施形態では、端子台80はリード案内部110に着脱自在に取り付けることが可能となっている。
ベース部81のX軸方向の中央よりも後方(X軸正方向側)には、隔壁部85a~85eが形成されている。隔壁部85aはベース部81のY軸方向の一端側に形成されており、隔壁部85eはベース部81のY軸方向の他端側に形成されている。隔壁部85b~85dは、隔壁部85aと隔壁部85eとの間に形成されている。隔壁部85cは、ベース部81のY軸方向の略中央部に位置する。隔壁部85a,85c,85eは、隔壁部85b,85dに比べてY軸方向に厚くなるように形成されている。
隔壁部85aと隔壁部85bとで囲まれた領域には、端子配置部83aが形成されており、第1端側端子60aの連結部63を配置することが可能となっている。隔壁部85bと隔壁部85cとで囲まれた領域には、端子配置部83bが形成されており、第1内側端子60bの連結部63を配置することが可能となっている。隔壁部85cと隔壁部85dとで囲まれた領域には、端子配置部83cが形成されており、第2内側端子60cの連結部63を配置することが可能となっている。隔壁部85dと隔壁部85eとで囲まれた領域には、端子配置部83dが形成されており、第2端側端子60dの連結部63を配置することが可能となっている。
ベース部81のZ軸方向の裏面(底面)には、ケース係合溝82が形成されている。ケース係合溝82は図示しないケースの上端縁に係合可能に形成されており、ケース係合溝82を介して端子台80をケースに固定することが可能となっている。
ベース部81のX軸方向の中央よりも前方(X軸負方向側)には、位置決め溝部84a~84dがY軸方向に所定間隔で形成されている。位置決め溝部84a~84dには、リード部37a,37b,38b,38aが接続された端子60a~60dが挿入される。
位置決め溝部84a~84dは、ベース部81をZ軸方向に貫通する溝からなり、ベース部81のX軸方向に沿って延在している。位置決め溝部84a~84dは、ベース部81の平面に対して直交する方向(Z軸の上方および下方)に開口しており、閉塞されてはいない。そのため、図3Bに示すように、位置決め溝部84a~84dの内部には、リード部37a,37b,38b,38aが接続された端子60a~60dの外部接続部62をZ軸方向(鉛直方向)の上方から下方に向けてスライドして挿入することが可能となっている。
ボビン20に近接する側に位置する位置決め溝部84a~84dの一端には、端子60a~60dを挿入するための挿入口840a~840dが形成されている。挿入口840a~840dは、端子配置部83a~83dが配置されている側に向けて開口しており、挿入口840a~840dを介して、位置決め溝部84a~84dと端子配置部83a~83dとは連通している。なお、図示の例では、端子配置部83a~83dにも位置決め溝部84a~84dに連続する溝が形成されている。
ボビン20から離間した側に位置する位置決め溝部84a~84dの他端は記ベース部81のX軸方向の端部によって塞がれている。すなわち、位置決め溝部84a~84dは、ベース部81のX軸方向の先端よりも手前側まで延在している。
図4Aおよび図7Aに示すように、連結部87aはベース部81のY軸方向の一端に形成されており、連結部87bはベース部81のY軸方向の他端に形成されている。連結部87a,87bには連結穴870a,870bが形成されている。連結穴870a,870bには係合凸部114a,116aが係合し、連結部87a,87bを介して、端子台80をリード案内部110に着脱自在に連結することが可能となっている。
位置決め凸部88a,88bは、リード案内部110と向かい合うベース部81のX軸方向の裏側面に形成されている。位置決め凸部88aはY軸方向の一方側に位置し、位置決め凸部88bはY軸方向の他方側に位置している。位置決め凸部88a,88bは位置決め凹部118a,118bに係合し、端子台80をリード案内部110に位置決めさせることが可能となっている。
トランス10の製造では、まず、ボビン20と、第1ワイヤ37と、第2ワイヤ38と、カバー50と、磁性コア(分割コア)40a,40bと、ボビン20とは別体に構成されたリード案内部110と、ボビン20およびリード案内部110とは別体に構成された端子台80とを準備する。
次に、図6Aに示すボビン20の外周に、図8に示す第1コイル部35と第2コイル部36とを形成する。なお、図8に示す第1コイル部35および第2コイル部36の形成は、自動巻機を用いて行っても良い。また、ワイヤ37および38は、単線で構成されても良く、あるいは撚り線で構成されても良く、絶縁被覆導線で構成されることが好ましい。第2ワイヤ38は、第1ワイヤ37と同じであっても良いが、異なっていても良い。本実施形態では、第1ワイヤ37の外径は、第2ワイヤ38の外径よりも大きく、たとえばφ1.0~φ3.0mmであることが好ましい。
次に、図6Aに示すスライド挿入孔22eにスライド挿入片74をスライドして挿入するとともに、スライド挿入孔22fに上面部72をスライドして挿入し、さらに底面部73を絶縁隔壁鍔30の下面に固定することにより、絶縁アダプタ70を接続部22に取り付ける。
次に、図4Aに示すように、リード部37a,37b,38b,38aを接続部22のボビン側切り欠き23a~23dの内部に挿通させ、図中の二点鎖線で示すようにZ軸方向の上方に向けて引き出す。このとき、第2リード部37bについては、図6Bに示す絶縁アダプタ70の案内溝76の内部を挿通させる。
次に、端子60a~60dの各々の突出片610および挟込片611でリード部37a,37b,38b,38aの各々を挟み込み、リード部37a,37b,38b,38aの各々をワイヤ接続部61でカシメる。なお、この工程は、リード案内部110を接続部22に取り付けた後に行ってもよい。次に、その状態で、治具を用いて、リード部37a,37b,38b,38aの各々がカシメられたワイヤ接続部61を熱圧着する。
次に、ボビン側係合部26a~26c,26fを端子台側係合部113a~113dに係合させるとともに、ボビン側係合部26d,26eを対向切り欠き112c,112dの内部に嵌め込んで係合させる。また、各係合片22cを、図7Aに示す係合溝114c,116cに挿入し、嵌合させる。これにより、リード案内部110を接続部22に取り付ける。
次に、図4Aおよび図7Aに示すように、係合凸部114a,116aを連結穴870a,870bに係合させ、連結部87a,87bを介して端子台80をリード案内部110に連結する。なお、予め端子台80が取り付けられたリード案内部110を接続部22に取り付けてもよい。
次に、リード部37a,37b,38b,38aをそれぞれ対向切り欠き112a~112dに挿通させるとともに、リード部37a,37b,38b,38aがそれぞれ接続された端子60a~60dの各外部接続部62を、位置決め溝部84a~84dの各々の内部に上方から挿入する。端子60a~60dの各外部接続部62の先端については、位置決め溝部84a~84dのX軸負方向側の端部に当接させ固定する。また、端子60a~60dの各連結部63については、図3Bに示すように、端子配置部83a~83dに配置(固定)しておく。必要に応じて、端子60a~60dを接着剤等で端子台80に固定してもよい。
その後、図2に示す一対のカバー50をボビン20に取り付ける。その後に、X軸方向に分離された一対の分割コア42a,42aの中脚部46aと、X軸方向に分離された一対の分割コア42b,42bの中脚部46bを、コア脚用貫通孔26のX軸方向の両側から挿入する。
次に、必要に応じて、図1Aに示す端子カバー100で、ボビン20に取り付けられたリード案内部110および端子台80の周囲を覆う。また、必要に応じて、トランス10をケース(図示略)に収納して、ポッティング脂材をポッティングする。ポッティング樹脂としては、注入後も軟質なシリコーン樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂などで構成され、ポッティング樹脂の縦弾性率は、好ましくは0.1~100MPaである。
本実施形態におけるトランス10では、端子台80が、リード部37a,37b,38b,38aが接続された端子60a~60dが挿入される位置決め溝部84a~84dを有し、ボビン20と間接的に(リード案内部110を介して)着脱自在に連結する。そのため、ボビン20から端子台80を取り外した状態で、リード部37a,37b,38b,38aに端子60a~60dを接続することが可能であり、端子60a~60dにリード部37a,37b,38b,38aを接続するにあたって十分な作業エリアを確保することができる。
また、ボビン20に端子台80を間接的に連結した後、リード部37a,37b,38b,38aが接続された端子60a~60dを位置決め溝部84a~84dに挿入するのみで、当該端子60a~60dを端子台80に対して精度良く位置決めすることが可能であり、端子60a~60dの先端が位置ずれする問題を防止することができる。したがって、本実施形態におけるトランス10によれば、位置決め精度が高く、製造が容易なトランスを提供することができる。
また、本実施形態では、端子台80はベース部81を有し、位置決め溝部84a~84dは、ベース部81の平面に対して直交する方向に開口している。そのため、リード部37a,37b,38b,38aが接続された端子60a~60dを、ベース部81の平面に対して直交する方向(位置決め溝部84a~84dの上方)からスライドさせて挿入することが可能となり、端子60a~60dの位置決めを容易に行うことができる。
また、本実施形態では、ボビン20から離間した側に位置する位置決め溝部84a~84dの他端は、ベース部81によって塞がれている。そのため、位置決め溝部84a~84dに挿入した端子60a~60dの先端を位置決め溝部84a~84dの他端に固定することが可能となり、端子60a~60dの先端が位置ずれすることを効果的に防止することができる。
また、本実施形態におけるトランス10はリード案内部110を有し、端子台80はリード案内部110と着脱自在に連結する。この場合、端子台80はリード案内部110とは別体で構成されるため、リード37a,37b,38b,38aの引き出し方向に変更が生じた場合には、リード案内部110の構成を変更するのみで対応することが可能であり、端子台80については一から作り直す必要がない。そのため、リード案内部110の仕様変更に対して柔軟に対応することが可能となり、設計の自由度の高いトランス10を提供することができる。
また、本実施形態では、リード案内部110は、ボビン20と着脱自在に連結する。この場合、リード案内部110はボビン20とは別体で構成されるため、ボビン20の仕様に変更が生じた場合には、ボビン20の構成を変更するのみで対応することが可能であり、リード案内部110については一から作り直す必要がない。そのため、ボビン20の仕様変更に対して柔軟に対応することが可能となり、設計の自由度の高いトランス10を提供することができる。
また、本実施形態では、端子60a~60dは、外部接続部62と、ワイヤ接続部61とを有する。そのため、外部接続部62を位置決め溝部84a~84dに精度良く位置決めすることができるとともに、リード部37a,37b,38b,38aをワイヤ接続部61に挟み込むのみで、リード部37a,37b,38b,38aを端子60a~60dに接続することが可能であり、製造が容易である。
また、本実施形態では、ワイヤ接続部61は挟込片611を有し、挟込片611は、ベース部81に対して略平行に配置される。そのため、挟込片611でリード部37a,37b,38b,38aを挟み込んだ後、挟込片611をベース部81に対して略平行に配置した状態でワイヤ接続部61に対して熱圧着を行うとともに、端子60a~60dの向きを変えることなく、そのまま外部接続部62を位置決め溝部84a~84dに挿入することが可能となり、端子60a~60dの位置決めを容易に行うことができる。
第2実施形態
図1Bに示す第2実施形態に係るトランス10Aは、以下に示す点を除いて、第1実施形態に係るトランス10と同様な構成を有し、同様な作用効果を奏する。図1B等において、第1実施形態のトランス10における各部材と共通する部材には、共通の符号を付し、その説明は一部省略する。
図4Bに示すように、トランス10Aは、ボビン20Aと、端子台80Aと、リード案内部110Aとを有する。図6Cに示すように、ボビン20Aには接続部22Aが形成されている。接続部22Aには、ボビン側係合部26g,26h,26iがY軸方向に沿って所定の間隔で形成されており、それぞれ図7Bに示すリード案内部110Aの端子台側係合部113e,113f,113gに係合可能となっている。
図6Cに示すように、接続部22Aが位置するボビン20AのX軸方向の一端側には絶縁アダプタ70Aが取り付けられる。絶縁アダプタ70Aは、側面部71Aと、底面部73Aと、案内溝76aA,76bAと、アダプタ側固定部77a,77bとを有する。底面部73Aは、XY平面に平行な面からなり、ボビン20AのX軸方向の一端側における外周形状に沿うように湾曲した形状を有する。底面部73Aは、絶縁隔壁鍔30の底面に当接し、固定される。
一対のアダプタ側固定部77a,77bは、底面部73AのY軸方向の一端側および他端側にそれぞれ形成されており、上方に向かって突出している。一対のアダプタ側固定部77a,77bは、図6Dに示すように、それぞれ接続部22Aのボビン側固定部22g,22hに当接し、固定される。なお、ボビン側固定部22g,22hの周辺形状は図示の形状に限定されるものではなく、例えば図6Eに示す形状等に適宜変更してもよい。
図6Cに示すように、一対の案内溝76aA,76bAは、それぞれ一対のアダプタ側固定部77a,77bのY軸方向の内側に形成されており、Z軸方向に沿って延在している。一対の案内溝76aA,76bAには、図6Dに示すように、それぞれリード部37a,37bが上方に向かって挿通する。
側面部71Aは、一対の案内溝76aA,76bAの各々の間に形成されており、ボビン20AのX軸方向の一端側における外周形状に沿うように湾曲した形状を有する。側面部71Aはボビン20AのX軸方向の一端側を覆うように固定される。
図4Bおよび図7Bに示すように、リード案内部110Aには、ワイヤ挿通路117aAが形成されている。ワイヤ挿通路117aAは、ワイヤ挿通路117b~117dとはX軸方向の反対側に形成されており、対応切り欠き112aと連通している。ワイヤ挿通路117aAは、上方に向かって斜めに延在しているとともにY軸方向に向かって延在している。
ロッド部材112AのX軸方向の裏面には、位置決め凸部118c,118dが形成されている。位置決め凸部118cはロッド部材112AのY軸方向の一方側に位置し、位置決め凸部118dはロッド部材112AのY軸方向の他方側に位置している。位置決め凸部118c,118dはそれぞれ端子台80Aの位置決め凹部88c,88dに係合し、端子台80Aをリード案内部110Aに位置決めさせることが可能となっている。
図5Bに示すように、端子60aA(端子60bA~端子60dAについても同様)は、ワイヤ接続部61Aと連結部63Aとを有する。連結部63Aは、略平板形状を有し、XZ平面に対して平行な面を有する。連結部63Aは、外部接続部62をX軸方向に沿って延長したものであり、外部接続部62に対して一体的に形成されている。連結部63Aは、外部接続部62に対して平行に延在しており、外部接続部62の延長線上に位置する。
ワイヤ接続部61Aは、突出片610Aと挟込片611Aとを有する。突出片610Aは、XZ平面に平行な略平板形状からなる。突出片610Aは、連結部63AのZ軸方向の下端に一体的に接続されており、Z軸方向の下方(外部接続部62の長手方向に直交する方向)に向かって突出している。
挟込片611Aは、XZ平面に平行な略平板形状からなる。挟込片611Aは、突出片610AのZ軸方向の下端に接続されており、突出片610AをZ軸方向の内側(突出片610Aの突出方向とは反対側)に向けて折り曲げ成形することにより形成される。本実施形態では、突出片610Aおよび挟込片611Aは、図4Bに示すベース部81に対して略平行に配置される。
外部接続部62のY軸方向の一方側の表面には突起620が形成されており、外部接続部62のY軸方向の他方側の表面には凹部621が形成されている。突起620は、図7Bに示す位置決め溝部84a~84dの周囲の壁面に形成されている凹部(図示略)に嵌合し、凹部621は、位置決め溝部84a~84dの周囲の壁面に形成されている凸部(図示略)に嵌合する。これにより、突起620および凹部621を介して、端子60aA~60dAを端子台80Aに強固に固定することが可能となっている。なお、端子60aA~60dAは、必要に応じて接着剤等によっても端子台80Aに固定される。
図7Bに示すように、端子台80Aには、端子配置部83aA~83dAが形成されている。端子配置部83aAは、隔壁部85aと隔壁部85bとで囲まれた領域に形成されており、図3Dに示すように、第1端側端子60aAの連結部63Aを配置するとともに、第1端側端子60aAに接続されたリード部38aを挿通させることが可能となっている。端子配置部83aAには端子固定部830aが形成されており、第1端側端子60aAのワイヤ接続部61Aを固定することが可能となっている。
図7Bに示すように、端子配置部83bAは、隔壁部85bと隔壁部85cとで囲まれた領域に形成されており、図3Dに示すように、第1内側端子60bAの連結部63Aを配置するとともに、第1内側端子60bAに接続されたリード部37aを挿通させることが可能となっている。端子配置部83bAには端子固定部830bが形成されており、第1内側端子60bAのワイヤ接続部61Aを固定することが可能となっている。
図7Bに示すように、端子配置部83cAは、隔壁部85cと隔壁部85dとで囲まれた領域に形成されており、図3Dに示すように、第2内側端子60cAの連結部63Aを配置するとともに、第2内側端子60cAに接続されたリード部37bを挿通させることが可能となっている。端子配置部83cAには端子固定部830cが形成されており、第2内側端子60cAのワイヤ接続部61Aを固定することが可能となっている。
図7Bに示すように、端子配置部83dAは、隔壁部85dとそのY軸方向の外側に位置する図示しない隔壁部とで囲まれた領域に形成されており、第2端側端子60dAの連結部63Aを配置するとともに、第2端側端子60dAに接続されたリード部38bを挿通させることが可能となっている。端子配置部83dAには端子固定部830dが形成されており、第2端側端子60dAのワイヤ接続部61Aを固定することが可能となっている。
図7Bに示すように、隔壁部85aには位置決め凹部88cが形成されており、隔壁部85dには位置決め凹部88dが形成されている。位置決め凹部88cには図4Bに示すリード案内部110Aの位置決め凸部118cを係合させ、位置決め凹部88dにはリード案内部110Aの位置決め凸部118dを係合させることが可能となっている。
連結部87a,87bには、カバー取付突起871a,871bが形成されており、図1Bに示す端子カバー100に形成された係合突起110を係合させることが可能となっている。
図3Cおよび図4Bに示すように、ベース部81のZ軸方向の裏面には、下方隔壁部86a~86cが形成されている。下方隔壁部86a~86cは、Z軸方向の下方に向けて突出するとともに、X軸方向に沿って延在している。下方隔壁部86bのZ軸方向への突出幅は、下方隔壁部86a,86cのZ軸方向の突出幅よりも小さくなっている。
下方隔壁部86aは位置決め溝部84aと位置決め溝部84bとの間に位置し、下方隔壁部86bは位置決め溝部84bと位置決め溝部84cとの間に位置し、下方隔壁部86cは位置決め溝部84cと位置決め溝部84dとの間に位置する。下方隔壁部86a~86cの各々によって、位置決め溝部84a~84dに挿入される端子60aA~60dAの各々の間の絶縁距離を良好に確保することが可能となっている。
本実施形態においても、トランス10Aはトランス10と同様の方法で製造される。ただし、本実施形態では、図5Bに示す端子60aA~60dAの各々のワイヤ接続部61Aにリード部38a,37a,37b,38bの各々を挟み込んだ後、該端子60aA~60dAを所定の治具で熱圧着するときの態様が第1実施形態におけるトランス10とは異なる。
すなわち、本実施形態では、リード部38a,37a,37b,38bが接続された端子60aA~60dAを図5Bに示す向きからX軸を中心として時計回りまたは反時計回りに90度回転させ、ワイヤ接続部61AがXY平面に対して平行に配置されるよう向きを変える。そして、その状態で、所定の治具で突出片610Aと挟込片611AとをZ軸方向の上下から挟み込むことにより、熱圧着が行われる。
熱圧着後は、リード部38a,37a,37b,38bが接続された端子60aA~60dAを、X軸を中心として反時計回りまたは時計回りに90度回転させ、再び図5Bに示す状態に向きを変える。そして、該端子60aA~60dAの各外部接続部62を、図4Bに示す位置決め溝部84a~84dの各々の内部に上方から挿入する。端子60aA~60dAの各連結部63Aについては、図3Dに示すように、端子配置部83aA~83dAに配置(固定)しておく。
本実施形態においても、第1実施形態と同様の効果が得られる。加えて、本実施形態では、図5Bに示すように、端子60aA等の構成を簡素化することが可能であり、端子台80Aにおける端子60aA等の設置スペースを省スペース化することができる。
第3実施形態
図1Cに示す第3実施形態に係るトランス10Bは、以下に示す点を除いて、第1実施形態に係るトランス1と同様な構成を有し、同様な作用効果を奏する。図1C等において、第1実施形態のトランス10における各部材と共通する部材には、共通の符号を付し、その説明は一部省略する。
トランス10Bは、ボビン20Bと、端子台80Bと、リード案内部110Bとを有する。図6Eに示すように、ボビン20Bの接続部22Bには、スライド係合部22i,22jが形成されている。スライド係合部22i,22jは鉤形状(略L字に屈曲した形状)を有し、X軸方向に沿って延在している。スライド係合部22iは接続部22BのY軸方向の一方側に形成され、スライド係合部22jは接続部22BのY軸方向の他方側に形成されている。スライド係合部22i,22jには、図4Cおよび図7Cに示すリード案内部110Bの底側係合部119a,119bを係合させることが可能となっている。
ロッド部材112BのZ軸方向の裏面には、底側係合部119a,119bが形成されている。底側係合部119a,119bは鉤形状(略L字に屈曲した形状)を有し、X軸方向に沿って延在している。底側係合部119aはロッド部材112BのY軸方向の一方側に形成され、底側係合部119bはロッド部材112BのY軸方向の他方側に形成されている。底側係合部119a,119bには、上述したように接続部22Bのスライド係合部22i,22jが係合し、固定される。
端子台80Bには、段差隔壁部850a~850dが形成されている。段差隔壁部850a~850dは、それぞれ段差部85a~85dのX軸方向の一方側(ボビン20が配置されている側とは反対側)に形成されている。段差隔壁部850a~850dの上面は、段差部85a~85dの上面よりもZ軸方向の上方に位置している。
段差隔壁部850a~850dのX軸方向の一方側には、カバー部89が形成されている。図3Eに示すように、カバー部89は、ベース部81のX軸方向の一方側における上面を覆っている。また、図7Dに示すように、カバー部89は、位置決め溝部84a~84dをZ軸方向の上方から覆うように形成されている。そのため、位置決め溝部84a~84dは、ベース部81の平面に対して上方には開口してはおらず、閉塞されている。位置決め溝部84a~84dは、ベース部81の平面に対して下方および側方(端子配置部83aA~83dAが配置されている側)にのみ開口している。
そのため、図3Fに示すように、位置決め溝部84a~84dの内部には、リード部38a,37a,37b,38bが接続された端子60aA~60dAの外部接続部62をZ軸方向(鉛直方向)の上方から下方に向けてスライドして挿入することはできず、X軸方向の一方側から他方側に向けてスライドすることにより、図7Dに示す挿入口840a~840dを介して挿入することが可能となっている。
本実施形態では、ボビン20に近接する側に位置する位置決め溝部84a~84dの一端には、端子60aA~60dAを挿入するための挿入口840a~840dが形成されている。そのため、図7Dに示すように位置決め溝部84a~84dの上方が閉塞されている場合であっても、ボビン20に近接する側から、リード部38a,37a,37b,38bが接続された端子60aA~60dAを挿入口840a~840dに差し込みつつ位置決め溝部84a~84dに挿入することが可能となり、端子60aA~60dAの位置決めを容易に行うことができる。
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内で種々に改変することができる。
上記各実施形態では、本発明のトランスへの適用例について説明したが、本発明はトランスだけではなく、他のコイル装置にも適用することができる。
上記各実施形態において、端子台80はリード案内部110を介してボビン20に連結されていたが、ボビン20に直接連結されていてもよい。
上記各実施形態において、リード案内部110はボビン20に対して着脱自在に連結されていたが、ボビン20に一体的に形成されていてもよい。
上記各実施形態において、リード部37a,37b,38a,38bは、カシメ以外のその他の接続手段で接続されていても良い。その他の接続手段としては、はんだ付け、溶接、抵抗溶接、レーザ溶接、カシメ止め、熱圧着、熱融着などが例示される。
上記各実施形態において、分割コアであるEコア-Eコアの組合せにより、磁性コアを構成したが、Eコア-Iコアの組合せにより、磁性コアを組み立てても良い。
さらに、第1コイル部35と第2コイル部36とは、ボビン20の巻回軸に沿って、上記実施形態とは逆に配列してあっても良く、また、第1リード部37a,37bと第2リード部38a,38bとは、配置が逆でも良い。