JP7346878B2 - リンオキソ酸化パルプの製造方法 - Google Patents
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具体的に、本発明は、以下の構成を有する。
[2] 濃縮回収物は、回収物を循環濃縮、膜濃縮及び加熱減圧濃縮から選択される少なくとも1種の方法で濃縮することで得られる、[1]に記載のリンオキソ酸化パルプの製造方法。
[3] リンオキソ酸化剤は、リンオキソ酸及びリンオキソ酸塩から選択される少なくとも1種と、尿素とを含む、[1]又は[2]に記載のリンオキソ酸化パルプの製造方法。
[4] 濃縮回収物の全質量に対する、リン原子濃度が0.40質量%以上である、[1]~[3]のいずれかに記載のリンオキソ酸化パルプの製造方法。
[5] 濃縮回収物の全質量に対する、窒素原子濃度が0.70質量%以上である、[1]~[4]のいずれかに記載のリンオキソ酸化パルプの製造方法。
[6] [1]~[5]のいずれかに記載のリンオキソ酸化パルプの製造方法で製造されたリンオキソ酸化パルプを解繊処理する工程を含む、微細繊維状セルロースの製造方法。
本発明は、リンオキソ酸化パルプの製造方法に関する。本発明のリンオキソ酸化パルプの製造方法は、リンオキソ酸化剤によるリンオキソ酸化反応後の工程において回収される、未反応のリンオキソ酸化剤を含む回収物を濃縮した濃縮回収物の存在下において、パルプ原料をリンオキソ酸化する工程を含む。
本発明のリンオキソ酸化パルプの製造工程は、パルプ原料をリンオキソ酸化する工程を含む。このリンオキソ酸化工程では、他のリンオキソ酸化反応後の工程において回収される回収物であって、未反応のリンオキソ酸化剤を含む回収物を濃縮した濃縮回収物が用いられる。つまり、本発明のリンオキソ酸化パルプの製造工程では、まず回収物を得るためのリンオキソ酸化工程が行われる。
本発明の製造方法においては、未反応のリンオキソ酸化剤を含む溶液を分離した後には、該回収物を濃縮する工程が設けられる。濃縮工程としては、例えば、循環濃縮工程、膜濃縮工程、加熱濃縮工程、減圧濃縮工程、加熱減圧濃縮工程等が挙げられる。中でも、濃縮工程は、循環濃縮工程、膜濃縮工程及び加熱減圧濃縮工程から選択される少なくとも1種の工程であることが好ましい。すなわち、濃縮工程を経て得られる濃縮回収物は、未反応のリンオキソ酸化剤を含む溶液を分離した後に回収される該回収物を、循環濃縮、膜濃縮及び加熱減圧濃縮から選択される少なくとも1種の方法で濃縮することで得られるものであることが好ましい。なお、濃縮工程は、上記工程を2工程以上組み合わせた工程であってもよい。
本発明のリンオキソ酸化パルプの製造方法は、上述した工程を経て得られる濃縮回収物の存在下において、パルプ原料をリンオキソ酸化する工程を含む。なお、濃縮回収物の存在下においてパルプ原料をリンオキソ酸化する工程における反応条件は、上述した<回収物を得るためのリンオキソ酸化工程>における反応条件と同様であることが好ましい。
リンオキソ酸化工程の後には、必要に応じて洗浄工程を設けてもよい。洗浄工程は、たとえば水や有機溶媒によりリンオキソ酸化パルプを洗浄することにより行われる。また、洗浄工程は後述する各工程の後に行われてもよく、各洗浄工程において実施される洗浄回数は、特に限定されない。
リンオキソ酸化工程の後には、必要に応じてアルカリ処理工程を設けてもよい。アルカリ処理の方法としては、特に限定されないが、例えばアルカリ溶液中に、リンオキソ酸化パルプを浸漬する方法が挙げられる。
リンオキソ酸化工程の後には、必要に応じて酸処理工程を設けてもよい。例えば、リンオキソ酸化工程、酸処理及びアルカリ処理をこの順で行ってもよい。
リンオキソ酸化パルプの製造工程では、上述した工程に加えて、さらに濾過工程を設けてもよい。濾過工程では、フィルター等の濾材を用いて、分散液中の異物や浮遊物質(SS)等を除去できる。フィルターとしては、例えば、セラミックフィルターを用いることができる。また、濾過工程では精密濾過(MF膜)、限外濾過(UF膜)を用いることも好ましい。
本発明は、上述したリンオキソ酸化パルプの製造方法で製造されたリンオキソ酸化パルプに関するものであってもよい。リンオキソ酸化パルプは、リンオキソ酸基を有する。なお、本明細書において、リンオキソ酸基には、リンオキソ酸基に由来する置換基も含まれる。
まず、リンオキソ酸化パルプを含有するスラリーを強酸性イオン交換樹脂で処理する。なお、必要に応じて、強酸性イオン交換樹脂による処理の前に、後述の解繊処理工程と同様の解繊処理を測定対象に対して実施してもよい。
次いで、水酸化ナトリウム水溶液を加えながらpHの変化を観察し、図3の上側部に示すような滴定曲線を得る。図3の上側部に示した滴定曲線では、アルカリを加えた量に対して測定したpHをプロットしており、図3の下側部に示した滴定曲線では、アルカリを加えた量に対するpHの増分(微分値)(1/mmol)をプロットしている。この中和滴定では、アルカリを加えた量に対して測定したpHをプロットした曲線において、増分(pHのアルカリ滴下量に対する微分値)が極大となる点が二つ確認される。これらのうち、アルカリを加えはじめて先に得られる増分の極大点を第1終点と呼び、次に得られる増分の極大点を第2終点と呼ぶ。滴定開始から第1終点までに必要としたアルカリ量が、滴定に使用したスラリー中に含まれるリンオキソ酸化パルプの第1解離酸量と等しくなり、第1終点から第2終点までに必要としたアルカリ量が滴定に使用したスラリー中に含まれるリンオキソ酸化パルプの第2解離酸量と等しくなり、滴定開始から第2終点までに必要としたアルカリ量が滴定に使用したスラリー中に含まれるリンオキソ酸化パルプの総解離酸量と等しくなる。そして、滴定開始から第1終点までに必要としたアルカリ量を滴定対象スラリー中の固形分(g)で除して得られる値が、リンオキソ酸基導入量(mmol/g)となる。なお、単にリンオキソ酸基導入量(またはリンオキソ酸基量)と言った場合は、第1解離酸量のことを表す。
なお、図3において、滴定開始から第1終点までの領域を第1領域と呼び、第1終点から第2終点までの領域を第2領域と呼ぶ。例えば、リンオキソ酸基がリン酸基の場合であって、このリン酸基が縮合を起こす場合、見かけ上、リンオキソ酸基における弱酸性基量(本明細書では第2解離酸量ともいう)が低下し、第1領域に必要としたアルカリ量と比較して第2領域に必要としたアルカリ量が少なくなる。一方、リンオキソ酸基における強酸性基量(本明細書では第1解離酸量ともいう)は、縮合の有無に関わらずリン原子の量と一致する。また、リンオキソ酸基が亜リン酸基の場合は、リンオキソ酸基に弱酸性基が存在しなくなるため、第2領域に必要としたアルカリ量が少なくなるか、第2領域に必要としたアルカリ量はゼロとなる場合もある。この場合、滴定曲線において、pHの増分が極大となる点は一つとなる。
すなわち、下記計算式によって算出する。
リンオキソ酸基量(C型)=リンオキソ酸基量(酸型)/{1+(W-1)×A/1000}
A[mmol/g]:パルプが有するリンオキソ酸基由来の総アニオン量(リンオキソ酸基の総解離酸量)
W:陽イオンCの1価あたりの式量(たとえば、Naは23、Alは9)
本発明は、上述したリンオキソ酸化パルプの製造方法で製造されたリンオキソ酸化パルプを解繊処理する工程を含む、微細繊維状セルロースの製造方法に関するものでもある。なお、本明細書において、繊維幅が1000nm以下の繊維状セルロースを微細繊維状セルロースもしくはCNFと呼ぶこともある。微細繊維状セルロースの繊維幅は1000nm以下であればよく、100nm以下であることが好ましく、8nm以下であることがより好ましい。
(1)観察画像内の任意箇所に一本の直線Xを引き、該直線Xに対し、20本以上の繊維が交差する。
(2)同じ画像内で該直線と垂直に交差する直線Yを引き、該直線Yに対し、20本以上の繊維が交差する。
上記条件を満足する観察画像に対し、直線X、直線Yと交差する繊維の幅を目視で読み取る。このようにして、少なくとも互いに重なっていない表面部分の観察画像を3組以上得る。次いで、各画像に対して、直線X、直線Yと交差する繊維の幅を読み取る。これにより、少なくとも20本×2×3=120本の繊維幅を読み取る。そして、読み取った繊維幅の平均値を、微細繊維状セルロースの平均繊維幅とする。
微細繊維状セルロースの製造工程は、上述したリンオキソ酸化パルプの製造方法で製造されたリンオキソ酸化パルプを解繊処理する工程を含む。リンオキソ酸化パルプを解繊処理工程で解繊処理することにより、微細繊維状セルロースが得られる。解繊処理工程においては、たとえば解繊処理装置を用いることができる。解繊処理装置は、特に限定されないが、たとえば高速解繊機、グラインダー(石臼型粉砕機)、高圧ホモジナイザーや超高圧ホモジナイザー、高圧衝突型粉砕機、ボールミル、ビーズミル、ディスク型リファイナー、コニカルリファイナー、二軸混練機、振動ミル、高速回転下でのホモミキサー、超音波分散機、またはビーターなどを使用することができる。上記解繊処理装置の中でも、粉砕メディアの影響が少なく、コンタミネーションのおそれが少ない高速解繊機、高圧ホモジナイザー、超高圧ホモジナイザーを用いるのがより好ましい。
上述したリンオキソ酸化パルプは、再利用リンオキソ酸化剤を用いてリンオキソ酸化されたものであるが、リンオキソ酸基導入量は、再利用されていないリンオキソ酸化剤を用いてリンオキソ酸化をした際のリンオキソ酸基導入量と同レベルであり、リンオキソ酸基導入量は十分である。このため、微細繊維状セルロースとする際の微細化が容易であり、微細化度合いも良好である。そして、このような微細繊維状セルロースを含む微細繊維状セルロース含有スラリーや微細繊維状セルロース含有シートにおいては、その透明性が十分に高い。このような特性を活かす観点から微細繊維状セルロースは各種のディスプレイ装置、各種の太陽電池、等の光透過性基板の用途に適している。また、電子機器の基板、家電の部材、各種の乗り物や建物の窓材、内装材、外装材、包装用資材等の用途にも適している。さらに、糸、フィルタ、織物、緩衝材、スポンジ、研磨材などの他、シートそのものを補強材として使う用途にも適している。また、本発明の繊維状セルロースは、増粘剤として各種用途(例えば、食品、化粧品、セメント、塗料、インクなどへの添加物など)に使用することもできる。
<リンオキソ酸化反応工程>
針葉樹クラフトパルプとして、王子製紙製のパルプ(固形分93質量%、坪量245g/m2シート状、離解してJIS P 8121に準じて測定されるカナダ標準濾水度(CSF)が700ml)を原料として使用した。上記針葉樹クラフトパルプ(絶乾質量)100質量部に、リン酸二水素アンモニウムと尿素の混合水溶液(リンオキソ酸化剤含有溶液)を加え、リン酸二水素アンモニウム45質量部(リン原子の質量部数が12質量部)、尿素120質量部、イオン交換水150質量部となるように圧搾し、薬液含浸パルプを得た。熱風乾燥機で加熱し、パルプ中のセルロースにリンオキソ酸基を導入し、リンオキソ酸化パルプAを得た。
上記<リンオキソ酸化反応工程>で得られた、未反応リンオキソ酸化剤とリンオキソ酸化パルプを含む固形物に、リンオキソ酸化パルプの濃度が10質量%以下となるようイオン交換水を注ぎ、撹拌して均一に分散希釈し、吸引濾過により濾液を回収することで未反応のリンオキソ酸化剤を含む溶液Aを得た。得られた溶液Aを用いて、未反応のリンオキソ酸化剤を含むリンオキソ酸エステル化後のリンオキソ酸化パルプをリンオキソ酸化パルプの濃度が10質量%以下となるよう希釈し、吸引濾過により濾液を回収することで溶液Aよりもリンと窒素濃度が高い溶液Bを得た。この作業を15回繰り返すことで濃縮された溶液Cを得た。溶液Cのリン原子濃度と窒素原子濃度を後述する方法で測定した。
リン原子濃度の測定には呈色反応を利用した。リンオキソ酸化剤を含む溶液Cをデジタルパックテスト全リン用((株)共立理化学研究所製)を使用し測定した。具体的には、耐圧瓶にサンプル1mL、R-1試薬を1滴、R-2試薬を0.5mL加え振り混ぜた。その後、高圧分解器にて蒸気が出始めてから30分加熱を続けた。30分後、分解器より取り出し20℃まで冷却しR-3試薬を4滴加え振り混ぜた。調製した液を呈色試薬の含まれたチューブに全量入れ、数回振り混ぜたあと、デジタルパックテストにて測定を行った。
窒素原子濃度の測定には呈色反応を利用した。リンオキソ酸化剤を含む溶液をデジタルパックテスト全窒素用((株)共立理化学研究所製)を使用し測定した。具体的には、耐圧瓶にサンプル1mL、R-1試薬を1滴、R-2試薬を0.5mL加え振り混ぜた。その後、高圧分解器にて蒸気が出始めてから30分加熱を続けた。30分後、分解器より取り出し20℃まで冷却しR-3試薬を2滴加え振り混ぜた。調製した液を呈色試薬の含まれたチューブに全量入れ、1分間振り混ぜたあと、デジタルパックテストにて測定を行った。
別途、針葉樹クラフトパルプとして、王子製紙製のパルプ(固形分93質量%、坪量245g/m2シート状、離解してJIS P 8121に準じて測定されるカナダ標準濾水度(CSF)が700ml)をパルプ原料として使用し、パルプ原料1g当たり溶液Cを3.14g添加し、送風乾燥機にて160℃で、11分間加熱することでリンオキソ酸化パルプBを得た。
次いで、得られたリンオキソ酸化パルプBに対して洗浄処理を行った。洗浄処理は、リンオキソ酸化パルプB 100g(絶乾質量)に対して10Lのイオン交換水を注いで得たパルプ分散液を、パルプが均一に分散するよう撹拌した後、濾過脱水する操作を繰り返すことにより行った。濾液の電気伝導度が100μS/cm以下となった時点で、洗浄終点とした。
得られたリンオキソ酸化パルプBにイオン交換水を添加し、固形分濃度が2質量%のスラリーを調製した。このスラリーを、湿式微粒化装置(スギノマシン社製、スターバースト)で200MPaの圧力にて6回処理し、微細繊維状セルロースを含む微細繊維状セルロース分散液を得た。X線回折により、この微細繊維状セルロースがセルロースI型結晶を維持していることが確認された。また、微細繊維状セルロースの繊維幅を、透過型電子顕微鏡を用いて測定したところ、3~5nmであった。
微細繊維状セルロースのリンオキソ酸基量(リンオキソ酸化パルプBのリンオキソ酸基量と等しい)は、対象となる微細繊維状セルロースを含む微細繊維状セルロース分散液にイオン交換水を添加して、含有量を0.2質量%とし、イオン交換樹脂による処理を行った後、アルカリを用いた滴定を行うことにより測定した。
イオン交換樹脂による処理は、上記微細繊維状セルロース含有スラリーに体積で1/10の強酸性イオン交換樹脂(アンバージェット1024;オルガノ株式会社、コンディショング済)を加え、1時間振とう処理を行った後、目開き90μmのメッシュ上に注いで樹脂とスラリーを分離することにより行った。
また、アルカリを用いた滴定は、イオン交換樹脂による処理後の微細繊維状セルロース含有スラリーに、0.1Nの水酸化ナトリウム水溶液を5秒に10μLずつ加えながら、スラリーが示すpHの値の変化を計測することにより行った。なお、滴定開始の15分前から窒素ガスをスラリーに吹き込みながら滴定を行った。この中和滴定では、アルカリを加えた量に対して測定したpHをプロットした曲線において、増分(pHのアルカリ滴下量に対する微分値)が極大となる点が二つ観測される。これらのうち、アルカリを加えはじめて先に得られる増分の極大点を第1終点と呼び、次に得られる増分の極大点を第2終点と呼ぶ(図3)。滴定開始から第1終点までに必要としたアルカリ量が、滴定に使用したスラリー中の第1解離酸量と等しくなる。また、滴定開始から第2終点までに必要としたアルカリ量が滴定に使用したスラリー中の総解離酸量と等しくなる。なお、滴定開始から第1終点までに必要としたアルカリ量(mmol)を、滴定対象スラリー中の固形分(g)で除した値をリンオキソ酸基量(第1解離酸量)(mmol/g)とした。また、滴定開始から第2終点までに必要としたアルカリ量(mmol)を、滴定対象スラリー中の固形分(g)で除した値を総解離酸量(mmol/g)とした。
<濃縮工程(膜濃縮)>
[実施例1]の<濃縮工程(循環濃縮)>で得られた溶液Aを、クロスフロー式平膜試験機(GEウォーター・テクノロジーズ製 SEPA CFII)に設置された逆浸透膜(DOW FILMTECTM製 SW30HR-380)で処理することで、濃縮溶液Dを得た。この溶液Dを用いた以外は、実施例1と同様方法で、<リンオキソ酸エステル化反応>、<洗浄・アルカリ(中和)処理工程>及び<機械処理工程>を行った。
<濃縮工程(減圧加熱濃縮)>
[実施例1]の<濃縮工程(循環濃縮)>で得られた溶液Aを500mLのナスフラスコに入れ、ロータリーエバポレーター(東京理化機械(株)製)にて減圧濃縮を行った。その際、フラスコの底部を40℃の水浴につけることで、濃縮を促進し溶液Eを得た。溶液Eを、リン濃度が3.8質量%となるよう希釈し溶液E'とした。この溶液E'を用いた以外は、実施例1と同様方法で、<リンオキソ酸エステル化反応>、<洗浄・アルカリ(中和)処理工程>及び<機械処理工程>を行った。
<リンオキソ酸化反応工程>
針葉樹クラフトパルプとして、王子製紙製のパルプ(固形分93質量%、坪量245g/m2シート状、離解してJIS P 8121に準じて測定されるカナダ標準濾水度(CSF)が700ml)を原料として使用した。上記針葉樹クラフトパルプ(絶乾質量)100質量部に、亜リン酸(ホスホン酸)と尿素の混合水溶液(リンオキソ酸化剤含有溶液)を加え、亜リン酸33質量部(リン原子の質量部数が12質量部)、尿素120質量部、イオン交換水150質量部となるように圧搾し、薬液含浸パルプを得た。熱風乾燥機で加熱し、パルプ中のセルロースにリンオキソ酸基を導入し、リンオキソ酸化パルプCを得た。
別途、針葉樹クラフトパルプとして、王子製紙製のパルプ(固形分93質量%、坪量245g/m2シート状、離解してJIS P 8121に準じて測定されるカナダ標準濾水度(CSF)が700ml)をパルプ原料として使用し、パルプ原料1g当たり溶液Hを3.00g添加し、送風乾燥機にて160℃で、11分間加熱することでリンオキソ酸化パルプDを得た。リンオキソ酸化パルプDを用いた以外は、実施例1と同様方法で、<洗浄・アルカリ(中和)処理工程>及び<機械処理工程>を行った。
溶液Aを濃縮せずに用いた以外は、実施例1と同様方法で、<リンオキソ酸エステル化反応>、<洗浄・アルカリ(中和)処理工程>及び<機械処理工程>を行った。
Claims (5)
- リンオキソ酸化剤によるリンオキソ酸化反応後の工程において回収される、未反応のリンオキソ酸化剤を含む回収物を濃縮した濃縮回収物の存在下において、パルプ原料をリンオキソ酸化する工程を含み、
前記濃縮回収物は、前記回収物を循環濃縮することで得られる、リンオキソ酸化パルプの製造方法。 - 前記リンオキソ酸化剤は、リンオキソ酸及びリンオキソ酸塩から選択される少なくとも1種と、尿素とを含む、請求項1に記載のリンオキソ酸化パルプの製造方法。
- 前記濃縮回収物の全質量に対する、リン原子濃度が0.40質量%以上である、請求項1又は2に記載のリンオキソ酸化パルプの製造方法。
- 前記濃縮回収物の全質量に対する、窒素原子濃度が0.70質量%以上である、請求項1~3のいずれか1項に記載のリンオキソ酸化パルプの製造方法。
- 請求項1~4のいずれか1項に記載のリンオキソ酸化パルプの製造方法で製造されたリンオキソ酸化パルプを解繊処理する工程を含む、微細繊維状セルロースの製造方法。
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