以下、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。
[第1実施形態]
図1~図8を参照して、第1実施形態による注湯装置1を備えるダイカストマシン100の構成について説明する。なお、図面では、Z方向を上下方向とし、Z方向のうちのZ1方向を上方向、Z方向のうちのZ2方向を下方向としている。また、X方向およびY方向を水平面内において互いに直交する2つの方向とする。X方向のうちのX1方向を後述する第1プランジャチップ110の前進方向とし、X方向のうちのX2方向を第1プランジャチップ110の後進方向としている。また、Y方向のうちの一方方向をY1方向とし、他方方向をY2方向とする。
(ダイカストマシンの構成)
図1に示すダイカストマシン100は、固定金型102aおよび移動金型102bを備える金型102内(製品形状となるキャビティC(空洞部分))に液状の金属部材(溶湯M(図7(B)参照))を射出し、溶湯Mを金型102内で凝固させることにより、ダイカスト品(図示せず)を成形するように構成されている。成形される金属材料は、たとえば、アルミニウム合金や、亜鉛合金、マグネシウム合金などである。
ダイカストマシン100は、図1に示すように、注湯装置1と、型締装置103と、射出装置101と、制御装置105と、給湯装置106と、を備えている。また、ダイカストマシン100は、固定金型102aと固定ダイプレート103aとの間に設けられる中間プレート104を備えている。
注湯装置1は、注湯スリーブ3と、第2プランジャ機構4とを備える。注湯装置1は、ダイカストマシン100に溶湯M(図7(B)参照)を注湯する注湯装置である。また、図1に示すように、注湯装置1は、注湯スリーブ3内の溶湯Mを検知する溶湯検知部5を備える。
注湯スリーブ3は、筒形状(円筒形状)を有する。また、注湯スリーブ3は溶湯Mが注湯される第2注湯口3aを有する。また、注湯スリーブ3は、一端3bが第1注湯口2aに連通するように構成されている。図1に示す例では、注湯スリーブ3は、一端3bが下方向(Z2方向)となるように第1注湯口2aと連通されている。すなわち、図1に示す例では、注湯スリーブ3は、上下方向(Z方向)に延びるように、射出スリーブ2に設けられている。また、図1に示す例では、注湯スリーブ3は、中間プレート104に保持されている。
第2プランジャ機構4は、注湯スリーブ3の他端3cから注湯スリーブ3内に摺動可能に嵌め込まれた第2プランジャ40を有する。また、第2プランジャ機構4は、第2プランジャ40を進退移動させるように構成されている。また、第2プランジャ機構4は、第2プランジャ40を進退移動させる油圧シリンダ41を含む。第2プランジャ機構4が第2プランジャ40を進退移動させる構成の詳細については、後述する。
第2プランジャ40は、第2プランジャチップ40aおよび第2プランジャロッド40bを含む。第2プランジャチップ40aは、注湯スリーブ3内に摺動可能に配置される。第2プランジャチップ40aは、第2プランジャロッド40bの一端(Z2方向側の端部)に取り付けられている。第2プランジャロッド40bは、直線状に延びる柱形状を有する。第2プランジャロッド40bの他端(Z1方向側の端部)が油圧シリンダ41に取り付けられている。第2プランジャチップ40aは、第2プランジャロッド40bを介して油圧シリンダ41により注湯スリーブ3内を進退移動されることにより、後述する圧力支持位置SPP(図4参照)と、初期位置BP2(図4参照)とを移動するに構成されている。
油圧シリンダ41は、第2油圧回路42に接続されており、第2油圧回路42により動作されるように構成されている。油圧シリンダ41により移動される第2プランジャ40の位置(X方向位置)は、位置センサ43によって検出される。
位置センサ43は、第2プランジャチップ40aの位置(第1プランジャ駆動機構101bのストローク量)を検知するように構成されている。位置センサ43は、たとえば、ストロークセンサ、磁気式または光学式のリニアエンコーダ、または、レーザ式の測長器である。
溶湯検知部5は、注湯スリーブ3内の溶湯M(図7(B)参照)を検知するように構成されている。溶湯検知部5は、たとえば、通電センサ、温度センサ、および、圧力センサのいずれかにより構成される。図1に示す例では、溶湯検知部5は、通電センサである。溶湯検知部5は、注湯スリーブ3内の溶湯Mを検知した際に、検知信号Ds(図2参照)を、制御装置105に対して送信するように構成されている。
型締装置103は、キャビティCが形成された金型102を保持するように構成されている。型締装置103は、固定ダイプレート103aと、移動ダイプレート103bと、タイバー103cと、型締駆動部(図示せず)とを含んでいる。固定ダイプレート103aは、固定金型102aを保持するように構成されている。移動ダイプレート103bは、移動金型102bを保持するように構成されている。
タイバー103cは、X方向に延びる複数の柱状の部材である。また、タイバー103cは、一方がフレームに固定され、他方が固定ダイプレート103aに固定されている。また、タイバー103cは、固定ダイプレート103aおよび移動ダイプレート103bに架け渡されており、移動ダイプレート103bは、タイバー103cに対して摺動可能に嵌合されている。タイバー103cは、移動ダイプレート103bを保持しながらX方向への移動をガイドする機能を有している。
型締駆動部は、トグル機構を有しており、モータにより駆動されることによって、移動ダイプレート103bおよび移動金型102bを、タイバー103cに沿ってX方向に往復移動させるように構成されている。これにより、型締装置103は、金型102(移動金型102bおよび固定金型102a)を型締め可能に構成されている。
射出装置101は、射出スリーブ2と、第1プランジャ101aと、第1プランジャ駆動機構101bと、第1油圧回路101cと、位置センサ101dと、を備える。射出装置101は、キャビティC内に成形材料を供給するように構成されている。射出装置101は、固定金型102aの背面側(X1方向側)から金型102内に溶湯M(図7(B)参照)を射出するように構成されている。
射出スリーブ2は、筒形状(円筒形状)を有する。また、射出スリーブ2は、溶湯Mが注湯される第1注湯口2aを有する。また、射出スリーブ2は、一端2bに射出口2cが設けられ、他端2d側から第1プランジャ101aが摺動可能に嵌め込まれている。図1に示す例では、第1注湯口2aは、射出スリーブ2の上側(Z1方向側)の側面2eに設けられている。また、図1に示す例では、第1注湯口2aは、射出スリーブ2の一端2bに設けられた射出口2c側に設けられている。
また、第1プランジャ101aは、第1プランジャチップ110と、第1プランジャロッド111とを備える。
第1プランジャチップ110は、射出スリーブ2内に摺動可能に配置される。第1プランジャチップ110は、第1プランジャロッド111の一端(X1方向側の端部)に取り付けられている。第1プランジャロッド111は、X方向に沿って延びる柱形状を有する。第1プランジャロッド111の他端(X2方向側の端部)が第1プランジャ駆動機構101bのピストンロッドに取り付けられている。第1プランジャチップ110は、第1プランジャロッド111を介して第1プランジャ駆動機構101bにより射出スリーブ2内を進退移動されることにより、射出スリーブ2に供給された溶湯MをキャビティC内に射出するように構成されている。
第1プランジャ駆動機構101bは、液圧(油圧)により動作する液圧シリンダ(油圧シリンダ)を有している。第1プランジャ駆動機構101bは、油圧により、第1プランジャ101aをX方向に往復移動させるように構成されている。これにより、第1プランジャ101a(第1プランジャチップ110)は、金型102内に溶湯Mを圧入(射出)するように構成されている。
第1プランジャ駆動機構101bは、第1油圧回路101cに接続されており、第1油圧回路101cにより動作されるように構成されている。第1プランジャ駆動機構101bにより移動される第1プランジャチップ110の位置(X方向位置)は、位置センサ101dによって検出される。
位置センサ101dは、第1プランジャチップ110の位置(第1プランジャ駆動機構101bのストローク量)を検知するように構成されている。位置センサ101dは、たとえば、ストロークセンサ、磁気式または光学式のリニアエンコーダ、または、レーザ式の測長器である。
中間プレート104は、X方向において、固定金型102aと固定ダイプレート103aとの間に配置される。また、中間プレート104は、注湯スリーブ3を保持している。中間プレート104は、X方向から見た場合に、矩形形状を有する板状部材である。また、中間プレート104のZ方向の大きさは、固定金型102aと略等しいか、固定金型102aよりも大きく、固定ダイプレート103aよりも小さい。また、中間プレート104のY方向の大きさは、固定金型102aと略等しいか、固定金型102aよりも大きく、固定ダイプレート103aよりも小さい。中間プレート104は、たとえば、鉄材料により形成される。
制御装置105は、注湯装置1、型締装置103および射出装置101を含むダイカストマシン100の各部の駆動を制御するように構成されている。
給湯装置106は、ラドル106aと、ラドル106aを保持するアーム106bとを含む。給湯装置106は、制御装置105の制御の下、ラドル106aによって溶湯炉107から溶湯M(図7(B)参照)を汲み取り、第2注湯口3aに対して汲み取った溶湯Mを注湯するように構成されている。
(制御装置)
図2に示すように、制御装置105は、制御部105aと、記憶部105bと、表示部105cとを含む。
制御部105aは、注湯装置1(図1参照)、第2プランジャ機構4、射出装置101、型締装置103(図1参照)、および、給湯装置106の制御を行うように構成されている。また、制御部105aは、溶湯検知部5から送られた検知信号Dsに基づいて、注湯動作の制御を行うように構成されている。また、制御部105aは、射出装置101を制御することにより、射出スリーブ2(図1参照)内の溶湯M(図7(B)参照)を金型102(図1参照)に射出する射出動作の制御を行うように構成されている。また、制御部105aは、給湯装置106を制御することにより、注湯装置1(図1参照)の第2注湯口3a(図1参照)に、溶湯Mを注湯するように構成されている。制御部105aは、たとえば、CPU(Central Processing Unit)などのプロセッサと、ROM(Read Only Memory)およびRAM(Random Access Memory)などのメモリとを含むコンピュータにより構成されている。
記憶部105bは、制御部105aが実行する各種プログラムを記憶している。記憶部105bは、フラッシュメモリなどの不揮発性の記録媒体を含む。
表示部105cは、液晶モニタなどの表示媒体を含み、ダイカストマシン100(図1参照)に関わる各種の情報を表示するように構成されている。
(第2注湯口の配置)
図3に示すように、第2注湯口3aは、注湯スリーブ3の側面に設けられている。具体的には、第2注湯口3aは、注湯スリーブ3のX2方向側の側面3dに設けられている。また、第2注湯口3aには、ラドル106aによって溶湯M(図7(B)参照)を注湯する際に溶湯Mが流れる溶湯通路7が設けられている。溶湯通路7は、注湯スリーブ3のX2方向側の側面3dから、X2方向側に向けて突出するように、注湯スリーブ3に設けられている。
(初期位置における第1プランジャおよび第2プランジャの配置)
次に、図4を参照して、初期位置BP1における第1プランジャ101a、および、初期位置BP2における第2プランジャ40の配置について説明する。また、初期位置BP1および初期位置BP2とは、射出スリーブ2に溶湯Mを注湯する際の第1プランジャ101aおよび第2プランジャ40の位置である。また、第1プランジャ101aの配置とは、第1プランジャチップ110の先端110aの位置を意味する。また、第2プランジャ40の配置とは、第2プランジャチップ40aの先端40cの位置を意味する。なお、図4に示す例では、便宜的に、図3に示す溶湯通路7よりも挿入角度(注湯スリーブ3に対する溶湯通路7の角度)を大きくした状態で図示しているが、実際には、溶湯通路7は、図3に示す例と同様の挿入角度で注湯スリーブ3と連通している。なお、以下の説明においても、溶湯通路7の挿入角度は図3に示す例と同様である。
図4は、第1プランジャ101aを初期位置BP1に配置した際の模式図である。初期位置BP1は、第1プランジャチップ110を、第1注湯口2aまで移動させた際の第1プランジャ101aの配置である。なお、初期位置BP1では、第1プランジャチップ110は、第1プランジャチップ110の先端110aが第1注湯口2aの後端と略同位置に、または、わずかに後方(射出スリーブ2の他端2d側)に配置される。また、第1プランジャチップ110は、制御部105a(図2参照)の制御の下、射出装置101(図2参照)によって、後退位置RPまで後退移動される。
また、図4は、第2プランジャ40を、初期位置BP2に配置した際の模式図である。初期位置BP2は、第2プランジャチップ40aを、第2注湯口3aよりも上側の所定の位置まで移動させた際の第2プランジャ40の配置である。具体的には、初期位置BP2は、第2プランジャチップ40aの先端40cを、第2注湯口3aよりも上側の所定の位置まで移動させた際の第2プランジャ40の配置である。
また、図4に示すように、溶湯検知部5は、注湯スリーブ3に設けられている。具体的には、溶湯検知部5は、一対の電極を含む。一対の電極の各々は、互いに対向する面が、注湯スリーブ3の内表面3eに露出している。したがって、一対の電極が設けられた位置まで溶湯M(図7(B)参照)が注湯された際に、溶湯Mを介して一対の電極が電気的に接続され、検知信号Ds(図2参照)が、制御部105a(図2参照)に対して送信される。また、溶湯検知部5は、圧力支持位置SPPの近傍に配置される。圧力支持位置SPPの近傍とは、圧力支持位置SPPそのものの位置と、圧力支持位置SPPの付近の位置(下方向の付近の位置)とを含む。
また、図4に示すように、移動金型102bには、分流子102cが設けられている。これにより、型締め時において、射出スリーブ2と連通する連通口102dの一部が分流子102cによってふさがれるため、連通口102dが狭くなる。したがって、射出スリーブ2内に溶湯Mが注湯された場合でも、金型102内に溶湯Mが流れにくくなる。
(射出完了時における第1プランジャおよび第2プランジャの配置)
図5は、射出完了時における第1プランジャ101aおよび第2プランジャ40の配置を示す模式図である。
図5に示すように、射出完了時において、第1プランジャ101aは、射出位置IPに配置される。また、第1プランジャチップ110のX方向の大きさW1は、第1プランジャチップ110の先端110aが射出位置IPに配置された際に、第1プランジャチップ110が第1注湯口2aを塞ぐ大きさである。たとえば、第1プランジャチップ110のX方向の大きさW1は、第1注湯口2aの後端から、固定金型102aまでの距離よりも大きい。
また、図5に示すように、射出完了時において、第2プランジャ40は、圧力支持位置SPPに配置される。具体的には、第2プランジャ機構4(図2参照)は、射出時において、注湯スリーブ3内の第2注湯口3aよりも第1注湯口2a側の位置である圧力支持位置SPPまで第2プランジャ40を移動させる。
(閉鎖空間)
次に、図6を参照して、第2プランジャ機構4(図2参照)が形成する閉鎖空間Csについて説明する。
図6に示すように、第2プランジャ機構4(図2参照)は、射出スリーブ2と注湯スリーブ3との間に、閉鎖空間Csを形成するように構成されている。具体的には、第2プランジャ機構4は、注湯スリーブ3の内表面3eと、注湯スリーブ3と連通する第1注湯口2aの内表面2gとの空間が、第2プランジャ40の先端(第2プランジャチップ40aの先端40c)と、第1プランジャ101aの側面(第1プランジャチップ110の側面110b)とによって閉鎖されることにより形成される閉鎖空間Csを形成するように構成されている。言い換えると、閉鎖空間Csは、第1注湯口2aの内表面2hと、第1プランジャチップ110の上側(Z1方向側)の側面110bと、注湯スリーブ3の内表面3eと、第2プランジャチップ40aの先端40cとによって形成される空間である。閉鎖空間Csには、溶湯M(図7(B)参照)の射出時において、射出スリーブ2からあふれた溶湯Mが収容される。
また、第2プランジャ機構4は、注湯スリーブ3内において、第2プランジャ40を進退移動させることにより、閉鎖空間Csの体積を調整可能に構成されている。具体的には、制御部105aが、第2プランジャ40のZ方向の進退移動を制御することにより、閉鎖空間Csの体積を調整する。言い換えると、制御部105aは、第2プランジャ40のZ方向の進退移動を制御することにより、圧力支持位置SPPの位置を調整する。
(溶湯の注湯動作および射出動作)
次に、図7を参照して、溶湯M(図7(B)参照)の注湯動作、および、射出動作について説明する。制御部105a(図2参照)は、射出装置101(図2参照)および第2プランジャ機構4(図2参照)を制御することにより、溶湯Mの注湯動作および射出動作を実行するように構成されている。
図7(A)は、第1プランジャチップ110を初期位置BP1に配置するとともに、第2プランジャチップ40aを初期位置BP2に配置した際の模式図である。図7(B)は、ラドル106aによって射出スリーブ2に対する溶湯Mの注湯を開始した際の模式図である。図7(C)は、第1プランジャチップ110を後退させながら、射出スリーブ2内に溶湯Mを注湯している際の模式図である。図7(D)は、射出スリーブ2に対する溶湯Mの注湯が完了した際の模式図である。図7(E)は、圧力支持位置SPPまで第2プランジャチップ40aを前進させた際の模式図である。図7(F)は、射出装置101(図2参照)による射出が完了した際の模式図である。なお、ダイカストマシン100(図1参照)では、図7(A)、図7(B)、図7(C)、図7(D)、図7(E)、および、図7(F)の順で、ダイカスト製品の成形動作が行われる。なお、第2プランジャチップ40aを前進させるとは、第2プランジャチップ40aを、注湯スリーブ3の一端3b(図1参照)方向に移動させることを意味する。第1実施形態では、第2プランジャチップ40aを前進させるとは、第2プランジャチップ40aをZ2方向に移動させることを意味する。
図7(A)に示すように、溶湯M(図7(B)参照)の注湯を開始する際には、制御部105a(図2参照)は、射出装置101(図2参照)を制御することにより、第1プランジャチップ110を初期位置BP1に配置する。また、制御部105aは、第2プランジャ機構4(図2参照)を制御することにより、第2プランジャチップ40aを初期位置BP2に配置する。
図7(B)に示すように、制御部105a(図2参照)は、給湯装置106(図2参照)を制御することにより、ラドル106aによって溶湯Mの注湯を開始する。
図7(C)に示すように、制御部105a(図2参照)は、射出装置101(図2参照)および給湯装置106(図2参照)を制御することにより、第1プランジャチップ110を後退させながら、射出スリーブ2内に溶湯Mを注湯する。
ここで、第1実施形態による注湯装置1(図1参照)は、射出スリーブ2内に注湯される溶湯Mの充填率が高い状態となるように、溶湯Mを射出スリーブ2内に注湯する。溶湯Mの充填率が高い状態とは、例えば、射出スリーブ2に対する溶湯Mの注湯が完了した際の射出スリーブ2内の溶湯Mの充填率が60%以上である。なお、射出スリーブ2に注湯された溶湯Mの充填率が高い状態の場合、第1プランジャチップ110を第1注湯口2a(図7(A)参照)まで前進させる際に、溶湯Mの液面Ms(図7(D)参照)の位置が、第1注湯口2aの射出スリーブ2の内表面2f(図7(D)参照)よりも、第2注湯口3a(図7(A)参照)側(Z1方向側)の位置になる場合がある。そこで、第1実施形態では、第2プランジャ機構4(図2参照)は、射出スリーブ2内に溶湯Mを注湯した後に、溶湯Mの位置が、第1注湯口2aの射出スリーブ2の内表面2fよりも、第2注湯口3a側の位置になるまでの間に、第2プランジャ40の先端40cを、圧力支持位置SPPまで移動させるように構成されている。
なお、図7(D)に示す例では、注湯完了時において、溶湯Mの液面Msの位置は、第1注湯口2aの射出スリーブ2の内表面2fよりも、第2注湯口3a側の位置になる。そこで、第1実施形態では、図7(E)に示すように、第2プランジャ機構4は、溶湯Mの液面Msの位置が、注湯スリーブ3内の位置になるまで溶湯Mが注湯された後、第2プランジャ40(第2プランジャチップ40a)を、圧力支持位置SPPまで移動させるように構成されている。なお、第1実施形態では、溶湯検知部5によって、溶湯Mの液面Msが第2注湯口3aと第1注湯口2aとの間の位置となったことが検知された場合に、第2プランジャ機構4は、第2プランジャ40を前進させるように構成されている。
なお、図7(E)に示すように、第2プランジャ機構4(図2参照)によって第2プランジャ40を前進させた場合、閉鎖空間Cs(図6参照)内の第2プランジャチップ40aと溶湯Mの液面Msとの間の空気が圧縮される。しかしながら、移動金型102bには、分流子102cが設けられているため、閉鎖空間Cs内において空気が圧縮されたとしても、射出スリーブ2から金型102に対して溶湯Mが流れることを抑制することができる。また、たとえ、射出スリーブ2から金型102に対して溶湯Mが流れ込んだとしても、わずかな量しか流れ込まないため、影響は少ない。
そして、図7(F)に示すように、制御部105a(図2参照)は、射出装置101(図2参照)を制御することにより、射出スリーブ2内の溶湯Mを、金型102(図1参照)に対して射出する。なお、図7(F)に示すように、第2プランジャ機構4は、圧力支持位置SPPにおいて、第1プランジャ101aによる溶湯Mの射出時の射出圧力を、第2プランジャ40によって支持するように構成されている。
ここで、制御部105a(図2参照)は、射出装置101(図2参照)による射出が完了した後、第1プランジャ101aにおいて、金型102内の溶湯Mに対して、所定の圧力を印加した状態で、第1プランジャ101aを保持する。そして、金型102内の溶湯Mを凝固させることにより、製品を製造する。この際、閉鎖空間Cs(図6参照)内に収容された溶湯Mは、温度が低下し、やがて、凝固する。すなわち、第2プランジャ機構4は、射出後の圧力保持時において、閉鎖空間Cs内の溶湯Mを凝固させるように構成されている。
(凝固した溶湯の排出動作)
次に、図8を参照して、閉鎖空間Cs(図6参照)において凝固した溶湯Ma(図8(A)参照)の排出動作について説明する。図8(A)は、図7(F)による射出後に、型開きを行い、製品を取り出した後の模式図である。図8(B)は、第1プランジャチップ110を初期位置BP1よりも後方(射出スリーブ2の他端2d側)に後退させた際の模式図である。図8(C)は、第2プランジャチップ40aを射出スリーブ2内まで前進させた際の模式図である。図8(D)は、第2プランジャチップ40aを、注湯スリーブ3内に後退させた際の模式図である。図8(E)は、第1プランジャチップ110を前進させることにより、凝固した溶湯Maを排出した際の模式図である。なお、第2プランジャチップ40aを後退させるとは、第2プランジャチップ40aを、注湯スリーブ3の他端3c(図1参照)方向に移動させることを意味する。第1実施形態では、第2プランジャチップ40aを後退させるとは、第2プランジャチップ40aをZ1方向に移動させることを意味する。
図8(A)に示すように、製品を取り出した際に、閉鎖空間Cs(図6参照)には、凝固した溶湯Maが形成されている。そこで、第1実施形態では、第2プランジャ機構4(図2参照)は、閉鎖空間Cs内において凝固した溶湯Maを排出する動作である排出動作を行うように構成されている。具体的には、制御部105a(図2参照)は、射出装置101(図2参照)および第2プランジャ機構4(図2参照)を制御することにより、凝固した溶湯Maを排出する制御を行う。
図8(B)に示すように、制御部105a(図2参照)は、射出装置101(図2参照)を制御することにより、第1プランジャチップ110を、第1注湯口2aよりも後方まで後退移動させる。具体的には、制御部105aは、第1プランジャチップ110を、第1注湯口2aよりも射出スリーブ2の他端2d側まで後退移動させる。
そして、図8(C)に示すように、制御部105a(図2参照)は、第2プランジャ機構4(図2参照)を制御することにより、第2プランジャチップ40aを、射出スリーブ2内まで前進させる。これにより、閉鎖空間Cs(図6参照)の凝固した溶湯Maが、射出スリーブ2内に排出される。
次に、図8(D)に示すように、制御部105a(図2参照)は、第2プランジャ機構4(図2参照)を制御することにより、第2プランジャチップ40aを、注湯スリーブ3内まで後退させる。
そして、図8(E)に示すように、制御部105a(図2参照)は、射出装置101(図2参照)を制御することにより、第1プランジャチップ110を、射出口2cまで前進移動させる。これにより、射出スリーブ2内の凝固した溶湯Maが、射出スリーブ2から排出される。
第1実施形態では、制御部105a(図2参照)は、上記図8(A)~図8(E)の制御を行うことにより、凝固した溶湯Maを排出する。すなわち、図8(C)および図8(D)に示すように、第2プランジャ機構4は、第1プランジャ101aが射出スリーブ2内を後退移動された後で、かつ、第1プランジャ101aが射出スリーブ2内を前進移動させる前に、排出動作を行うように構成されている。
(注湯処理および射出処理)
次に、図9を参照して、制御部105a(図2参照)が行う注湯処理および射出処理について説明する。なお、図9に示す例は、第1プランジャ101a(図7(A)参照)が初期位置BP1(図7(A)参照)に配置されているとともに、第2プランジャ40(図7(A)参照)が初期位置BP2(図7(A)参照)に配置されていることを前提に開始される制御である。
ステップS1において、制御部105a(図2参照)は、給湯装置106(図2参照)を制御することにより、注湯を開始する。この際、制御部105aは、射出装置101(図2参照)を制御することにより、第1プランジャ101a(図7(C)参照)を後退させながら、射出スリーブ2(図7(C)参照)内に溶湯M(図7(C)参照)を注湯する。
ステップS2において、制御部105aは、所定量の溶湯M(図7(D)参照)が射出スリーブ2(図7(D)参照)に注湯されたか否かを判定する。具体的には、制御部105aは、溶湯検知部5(図7(D)参照)から検知信号Ds(図2参照)を受信したか否かにより、所定量の溶湯Mが射出スリーブ2内に注湯されたか否かを判定する。所定量の溶湯Mが射出スリーブ2内に注湯された場合、処理は、ステップS3へ進む。所定量の溶湯Mが射出スリーブ2内に注湯されていない場合には、ステップS2の処理を繰り返す。
ステップS3において、制御部105a(図2参照)は、第2プランジャ機構4(図2参照)を制御することにより、第2プランジャ40(図7(E)参照)を、圧力支持位置SPP(図7(E)参照)まで移動させる。
ステップS4において、制御部105aは、射出装置101を制御することにより、第1プランジャ101a(図7(F)参照)を射出位置IP(図7(F)参照)まで前進させることにより、射出スリーブ2内の溶湯Mを、金型102(図1参照)に対して射出する。その後、処理は、完了する。
(凝固した溶湯の排出処理)
次に、図10を参照して、制御部105a(図2参照)が、閉鎖空間Cs(図6参照)内において凝固した溶湯Ma(図8(A)参照)を排出する処理について説明する。なお、この処理は、金型102(図1参照)から製品を取り出した後に実行される。
ステップS10において、制御部105aは、射出装置101(図2参照)を制御することにより、第1プランジャ101a(図8(B)参照)を第1注湯口2aよりも後方(射出スリーブ2の他端2d側)に後退移動させる。
ステップS11において、制御部105aは、第2プランジャ機構4(図2参照)を制御することにより、第2プランジャ40(図8(C)参照)を、射出スリーブ2(図8(C)参照)内まで前進させる。
ステップS12において、制御部105aは、第2プランジャ機構4を制御することにより、第2プランジャ40(図8(D)参照)を、注湯スリーブ3(図8(D)参照)内まで後退させる。
ステップS13において、制御部105aは、射出装置101(図2参照)を制御することにより、第1プランジャ101a(図8(E)参照)を、射出口2c(図8(E)参照)まで移動させる。これにより、射出スリーブ2内の凝固した溶湯Maが射出スリーブ2から排出される。
(第1実施形態の効果)
第1実施形態の効果について説明する。
第1実施形態では、上記のように、注湯装置1は、金型102と、金型102に溶湯Mを射出する第1プランジャ101aとを有するダイカストマシン100に溶湯Mを注湯する注湯装置であって、溶湯Mが注湯される第2注湯口3aを有し、一端3bが、第1プランジャ101aが摺動可能に嵌め込まれた射出スリーブ2に設けられた第1注湯口2aに連通する注湯スリーブ3と、注湯スリーブ3の他端3cから注湯スリーブ3内に摺動可能に嵌め込まれた第2プランジャ40を有し、第2プランジャ40を進退移動させる第2プランジャ機構4と、を備え、第2プランジャ機構4は、射出時において、注湯スリーブ3内の第2注湯口3aよりも第1注湯口2a側の位置である圧力支持位置SPPまで第2プランジャ40を移動させるとともに、圧力支持位置SPPにおいて、第1プランジャ101aによる溶湯Mの射出時の射出圧力を、第2プランジャ40によって支持するように構成されている。
これにより、第1プランジャ101aが第1注湯口2aの位置まで前進する前に、射出スリーブ2内の溶湯Mの充填率が100%を超えた場合でも、第2プランジャ40によって溶湯Mがあふれ出ることを抑制することができる。その結果、射出スリーブ2内の充填率を高くした場合でも、第1注湯口2aから溶湯Mがあふれ出ることを抑制することができる。また、第2プランジャ40が圧力支持位置SPPにおいて射出圧力を支持するので、第1注湯口2aを射出圧力に耐えられない蓋部材で覆う蓋機構と異なり、第1プランジャ101aによる溶湯Mの射出時の射出圧力に耐えられずに移動することによって蓋部材と第1注湯口2aとの間に隙間が生じ、溶湯Mがあふれ出ることを抑制することができる。また、射出スリーブ2における溶湯Mの充填率を高くすることが可能となるので、射出スリーブ2内において溶湯Mの温度が急激に低下することを抑制することができる。その結果、溶湯Mの温度が低下することに起因して成形品(製品)の品質が低下することを抑制することができる。
また、第1実施形態では、上記のように、第1注湯口2aは、射出スリーブ2の上側の側面2eに設けられており、注湯スリーブ3は、一端3bが下方向となるように第1注湯口2aと連通されており、第2プランジャ機構4は、射出スリーブ2内に溶湯Mを注湯した後に、溶湯Mの位置が、第1注湯口2aの射出スリーブ2の内表面2fよりも、第2注湯口3a側の位置になるまでの間に、第2プランジャ40の先端40cを、圧力支持位置SPPまで移動させるように構成されている。これにより、第1プランジャ101aによって射出スリーブ2内の溶湯Mを射出する際に、第1プランジャ101aが第1注湯口2aを塞ぐ前に溶湯Mの充填率が100%以上になった場合でも、第1注湯口2aから溶湯Mがあふれ出ることを抑制することができる。
また、第1実施形態では、上記のように、第2プランジャ機構4は、溶湯Mの液面Msの位置が、注湯スリーブ3内の位置になるまで溶湯Mが注湯された後、第2プランジャ40を、圧力支持位置SPPまで移動させるように構成されている。これにより、射出スリーブ2の溶湯Mの充填率が100%を超え、注湯スリーブ3内に溶湯Mが侵入する量の溶湯Mを射出スリーブ2に注湯した状態でも、溶湯Mがあふれ出ることを抑制しつつ、第1プランジャ101aによる射出動作を行うことができる。その結果、注湯完了時の溶湯Mの充填率を100%より高くすることが可能となるので、溶湯Mの温度をより低下させにくくすることができる。
また、第1実施形態では、上記のように、第2プランジャ機構4は、注湯スリーブ3の内表面3eと、注湯スリーブ3と連通する第1注湯口2aの内表面2gとの空間が、第2プランジャ40の先端(第2プランジャチップ40aの先端40c)と、第1プランジャ101aの側面(第1プランジャチップ110の側面110b)とによって閉鎖されることにより形成される閉鎖空間Csを形成するとともに、閉鎖空間Cs内の溶湯Mを凝固させるように構成されている。これにより、閉鎖空間Cs内によって溶湯Mを凝固させることにより、金型102に射出されなかった溶湯Mが第1注湯口2aを介して射出スリーブ2内に流れ込むことを抑制することができる。その結果、第1注湯口2aを介して射出スリーブ2内に流れ込んだ溶湯Mが、射出スリーブ2内において凝固することを抑制することが可能となるので、射出スリーブ2内において凝固した溶湯Maに起因して射出スリーブ2内にカジリが生じることを抑止することができる。
また、第1実施形態では、上記のように、第2プランジャ機構4は、閉鎖空間Cs内において凝固した溶湯Maを排出する動作である排出動作を行うように構成されている。これにより、第2プランジャ40によって閉鎖空間Cs内において凝固した溶湯Maが排出されるので、注湯スリーブ3の内側、および、第1注湯口2aに凝固した溶湯Maが残留することを抑制することができる。その結果、注湯スリーブ3の内側、および、第1注湯口2aに残留した凝固後の溶湯Maに起因して、注湯スリーブ3および射出スリーブ2ャにかじりが生じることを抑制することができる。
また、第1実施形態では、上記のように、第2プランジャ機構4は、第1プランジャ101aが射出スリーブ2内を後退移動された後で、かつ、第1プランジャ101aが射出スリーブ2内を前進移動させる前に、排出動作を行うように構成されている。これにより、第1プランジャ101aを前進させることにより、金型102側に凝固した溶湯Maを排出することができる。その結果、凝固した溶湯Maを、容易に、かつ、確実に、射出スリーブ2から排出することができる。
また、第1実施形態では、上記のように、注湯スリーブ3内の溶湯Mを検知する溶湯検知部5をさらに備え、溶湯検知部5によって、溶湯Mの液面Msが第2注湯口3aと第1注湯口2aとの間の位置となったことが検知された場合に、第2プランジャ機構4は、第2プランジャ40を前進させるように構成されている。これにより、射出スリーブ2内の溶湯Mの充填率が100%よりも大きくなったことを確認してから、第2プランジャ40を前進させることができる。その結果、射出スリーブ2内の溶湯Mの充填率を、確実に100%以上にすることができる。
また、第1実施形態では、上記のように、第2プランジャ機構4は、注湯スリーブ3内において、第2プランジャ40を進退移動させることにより、閉鎖空間Csの体積を調整可能に構成されている。これにより、閉鎖空間Cs内において凝固させる溶湯Mの量を調節することができる。したがって、射出スリーブ2に注湯された溶湯M量に変動があった場合でも、射出スリーブ2から金型102へ射出される溶湯M量を安定させることができる。その結果、金型102へ射出される溶湯M量を安定させることが可能となるので、成形品(製品)の品質を安定させることができる。
また、第1実施形態では、上記のように、第2プランジャ機構4は、第2プランジャ40を進退移動させる油圧シリンダ41を含む。これにより、大きい力を付与可能な油圧シリンダ41により、第2プランジャ40を進退移動させることによって、射出圧力を容易に支持することができる。
また、第1実施形態では、上記のように、第1注湯口2aは、射出スリーブ2の一端2bに設けられ射出口2c側に設けられている。これにより、第1注湯口2aが射出スリーブ2のうちの射出口2c側に設けられているので、射出スリーブ2の長さを小さくすることができる。その結果、射出スリーブ2の長さを小さくすることにより、射出スリーブ2内の体積を小さくすることが可能となるので、射出スリーブ2内の溶湯Mの充填率を容易に高くすることができる。
また、第1実施形態では、上記のように、ダイカストマシン100は、固定金型102aが固定される固定ダイプレート103aと、溶湯Mが注湯される第1注湯口2aを有し、固定ダイプレート103a側の端部(射出スリーブ2の一端2b)に射出口2cが設けられ、固定ダイプレート103aに保持される射出スリーブ2と、射出口2cと反対側の端部(射出スリーブ2の他端2d)から射出スリーブ2内に摺動可能に嵌め込まれ、射出スリーブ2内に進退移動されることにより、射出スリーブ2に注湯された溶湯Mを射出する第1プランジャ101aと、第1プランジャ101aを射出スリーブ2内に進退移動させる第1プランジャ駆動機構101bと、溶湯Mが注湯される第2注湯口3aを有し、一端3bが第1注湯口2aに連通する注湯スリーブ3と、注湯スリーブ3の他端3cから注湯スリーブ3内に摺動可能に嵌め込まれた第2プランジャ40と、第2プランジャ40を進退移動させる第2プランジャ駆動機構(油圧シリンダ41)と、射出時において、注湯スリーブ3内の第2注湯口3aよりも第1注湯口2a側の位置である圧力支持位置SPPまで第2プランジャ40を移動させるとともに、圧力支持位置SPPにおいて、第1プランジャ101aによる溶湯Mの射出時の射出圧力を、第2プランジャ40によって支持するように、第2プランジャ駆動機構(油圧シリンダ41)の制御を行う制御部105aと、を備える。
これにより、注湯装置1と同様に、射出スリーブ2内の充填率を高くした場合でも、第1注湯口2aから溶湯Mがあふれ出ることを抑制することが可能なダイカストマシン100を提供することができる。
また、第1実施形態では、上記のように、固定金型102aと固定ダイプレート103aとの間に設けられる中間プレート104をさらに備え、注湯スリーブ3は、中間プレート104に保持されている。これにより、固定金型102aと固定ダイプレート103aとを有する既存のダイカストマシンに対して、第1実施形態の構成を容易に適用することができる。
[第2実施形態]
次に、図11~図13を参照して、第2実施形態によるダイカストマシン200について説明する。なお、上記第1実施形態と同様の構成については、同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
図11に示すように、第2実施形態によるダイカストマシン200は、注湯装置1(図1参照)の代わりに、注湯装置20を備える点、および、制御装置105(図1参照)の代わりに、制御装置201を備える点で、上記第1実施形態によるダイカストマシン100(図1参照)とは異なる。
注湯装置20は、射出スリーブ2(図1参照)の代わりに、射出スリーブ21を備える点で、上記第1実施形態による注湯装置1とは異なる。
射出スリーブ21は、第1注湯口2aよりも後方(射出スリーブ2の他端2d側)の側面に、開口部6aが設けられている。具体的には、射出スリーブ21は、第1注湯口2aよりも後方で、かつ、Z2方向側の側面2iに、開口部6aが設けられている。また、開口部6aの下方には、凝固した溶湯Ma(図13(A)参照)が収容される収容部6bが設けられている。収容部6bは、凝固した溶湯Maを収容可能な箱状部材である。
図12に示すように、第2実施形態による制御装置201は、制御部105a(図2参照)の代わりに制御部201aを備える点で、上記第1実施形態による制御装置105(図2参照)とは異なる。
第2実施形態による制御部201aは、射出スリーブ21に設けられた開口部6a(図13(A)参照)を介して、凝固した溶湯Ma(図13(A)参照)を排出する制御を行うように構成されている。
図13(A)に示すように、製品を取り出した後、制御部201a(図12参照)は、射出装置101(図12参照)および第2プランジャ機構4(図12参照)を制御することにより、凝固した溶湯Maを排出する制御を行う。
図13(B)に示すように、制御部201a(図12参照)は、第2プランジャ機構4(図12参照)を制御することにより、第2プランジャチップ40aを、射出スリーブ21内まで前進させる。具体的には、制御部201aは、第2プランジャチップ40aの先端40cが、射出スリーブ21内に侵入するように、第2プランジャ40を前進させる。これにより、閉鎖空間Cs(図6参照)の凝固した溶湯Maが、射出スリーブ21内に排出される。
次に、図13(C)に示すように、制御部201a(図12参照)は、第2プランジャ機構4(図2参照)を制御することにより、第2プランジャチップ40aを、注湯スリーブ3内まで後退させる。
図13(D)に示すように、制御部201a(図12参照)は、射出装置101(図12参照)を制御することにより、第1プランジャチップ110を、第1注湯口2aよりも後方(射出スリーブ2の他端2d側)まで後退移動させる。すなわち、第2プランジャ機構4(図12参照)は、第1プランジャ101aによる溶湯M(図7(F)参照)の射出が完了した後で、かつ、第1プランジャ101aが射出スリーブ21内において後退移動される前に、排出動作を行うように構成されている。
次に、図14を参照して、制御部201a(図12参照)が、凝固した溶湯Ma(図12(A)参照)を排出する処理について説明する。なお、図14に示す例は、製品を金型102(図11)から取り出した後に開始される。
ステップS20において、制御部201a(図12参照)は、第2プランジャ機構4(図12参照)を制御することにより、第2プランジャ40(図13(B)参照)を、射出スリーブ21(図13(B)参照)内に前進させる。
ステップS21において、制御部201a(図12参照)は、第2プランジャ機構4(図12参照)を制御することにより、第2プランジャ40(図12参照)を注湯スリーブ3(図13(C)参照)内に後退させる。
ステップS22において、制御部201a(図12参照)は、射出装置101(図12参照)を制御することにより、第1プランジャ101a(図12参照)を、後退させる。これにより、凝固した溶湯Ma(図13(D)参照)が、射出スリーブ21に設けられた開口部6a(図13(D)参照)を介して、収容部6b(図13(D)参照)に収容される。
なお、第2実施形態のその他の構成は、上記第1実施形態の構成と同様である。
(第2実施形態の効果)
第2実施形態の効果について説明する。
第2実施形態では、上記のように、第2プランジャ機構4は、第1プランジャ101aによる溶湯Mの射出が完了した後で、かつ、第1プランジャ101aが射出スリーブ21内において後退移動される前に、排出動作を行うように構成されている。これにより、第1プランジャ101aによって溶湯Mを金型102に射出した後に、第1プランジャ101aを初期位置BP1に戻すために後退させる動作と、排出動作とを兼用することができる。その結果、第1プランジャ101aの駆動サイクルが延びることを抑制することができる。
なお、第2実施形態のその他の効果は、上記第1実施形態と同様である。
[第3実施形態]
次に、図15~図17を参照して、第3実施形態によるダイカストマシン300について説明する。なお、上記第1実施形態と同様の構成については、同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
図15に示すように、第3実施形態によるダイカストマシン300は、制御装置105(図1参照)の代わりに、制御装置301を備える点で、上記第1実施形態によるダイカストマシン100とは異なる。
図16に示すように、第3実施形態による制御装置301は、制御部105a(図2参照)の代わりに制御部301aを備える点で、上記第2実施形態による制御装置105(図2参照)とは異なる。
第3実施形態による制御部301aは、第2プランジャ機構4を制御することにより、金型102(図15参照)に射出された後の溶湯M(図17(F)参照)に対して、第2プランジャ40(図15参照)によって圧力を印加するように構成されている。
図17(A)~図17(E)に示すように、制御部301a(図16参照)は、射出装置101(図16参照)、第2プランジャ機構4(図16参照)、および、給湯装置106(図16参照)を制御することにより、射出スリーブ2に対して溶湯Mを注湯する。なお、図17(A)~図17(E)は、上記第1実施形態による制御部105a(図2参照)が行う注湯動作の制御(図7(A)~図7(E)参照)と同様の制御であるため、詳細な説明は省略する。
そして、図17(F)に示すように、制御部301a(図16参照)は、射出装置101(図16参照)を制御することにより、第1プランジャチップ110を射出位置IP2まで前進させることにより、射出スリーブ2内の溶湯Mを、金型102(図1参照)に対して射出する。なお、図17(F)に示す射出位置IP2は、第1プランジャチップ110の先端110aが、第1注湯口2aを塞がない位置である。すなわち、第3実施形態では、第1プランジャチップ110が射出位置IP2に配置された状態において、注湯スリーブ3と射出スリーブ2とが、連通した状態となる。言い換えると、第3実施形態では、閉鎖空間Cs(図6参照)が形成されない。
第3実施形態では、制御部301a(図16参照)は、第2プランジャ機構4(図16参照)を制御することにより、金型102(図15参照)内の溶湯Mに対して、圧力を印加する。すなわち、第3実施形態では、第2プランジャ機構4は、第1プランジャ101aが第1注湯口2aを塞がない状態で溶湯Mの射出が完了した後で、かつ、第1プランジャ101aによって金型102内の溶湯Mに対して一定値の圧力が印加されている際に、射出スリーブ2内の溶湯Mに圧力を印加するように構成されている。
次に、図18を参照して、制御部301a(図16参照)が、溶湯M(図17(B)参照)を注湯する処理、および、金型102(図15参照)に対して溶湯Mを射出する処理について説明する。なお、上記第1実施形態による制御部105a(図2参照)が行う処理と同様の処理については、同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
ステップS1~ステップS3において、制御部301a(図16参照)は、射出装置101(図16参照)、第2プランジャ機構4(図16参照)、および、給湯装置106(図16参照)を制御して、図17(A)~図17(E)に示すように、射出スリーブ2に対して溶湯Mを注湯する。
ステップS30において、制御部301aは、射出装置101を制御することにより、第1プランジャ101a(図17(F)参照)を、射出位置IP2(図17(F)参照)まで前進させる。この際、制御部301aは、第2プランジャ機構4(図16参照)を制御することにより、第2プランジャ40(図17(F)参照)によって、溶湯M(図17(F)参照)に対して圧力を印加する。その後、処理は、終了する。
なお、第3実施形態のその他の構成は、上記第1実施形態の構成と同様である。
(第3実施形態の効果)
第3実施形態の効果について説明する。
第3実施形態では、上記のように、第2プランジャ機構4は、第1プランジャ101aが第1注湯口2aを塞がない状態で溶湯Mの射出が完了した後で、かつ、第1プランジャ101aによって金型102内の溶湯Mに対して一定値の圧力が印加されている際に、射出スリーブ2内の溶湯Mに圧力を印加するように構成されている。これにより、第1プランジャ101aとともに、第2プランジャ機構4によって溶湯Mに対して圧力を印加することが可能となるので、第1プランジャ101aのみによって圧力を印加する構成と比較して、射出完了後に溶湯Mに印加する圧力の大きさを大きくすることができる。その結果、射出終了後に印加する圧力を大きくすることが可能となるので、成形品(製品)内に巣が生じることを抑制することができる。
なお、第3実施形態のその他の効果は、上記第1実施形態による効果と同様である。
[第4実施形態]
次に、図19~図22を参照して、第4実施形態によるダイカストマシン400について説明する。なお、上記第1実施形態と同様の構成については、同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
第4実施形態によるダイカストマシン400は、第2プランジャ機構4(図1参照)を備えない点、および、制御装置105(図1参照)の代わり制御装置401を備える点で、上記第1実施形態によるダイカストマシン100(図1参照)とは異なる。
図19に示すように、ダイカストマシン400は、固定金型102aが固定される固定ダイプレート103aと、射出スリーブ2と、射出装置402と、注湯スリーブ3と、中間プレート104と、制御装置401とを備える。
射出スリーブ2は、溶湯M(図7(B)参照)が注湯される第1注湯口2aを有し、固定ダイプレート103a側の端部(一端2b)に射出口2cが設けられ、固定ダイプレート103aに保持される。
射出装置402は、射出プランジャ402aと、射出プランジャ駆動機構402bと、油圧回路402cと、位置センサ402dとを備える。
射出プランジャ402aは、射出スリーブ2と、射出口2cと反対側の端部(他端2d)から射出スリーブ2内に摺動可能に嵌め込まれ、射出スリーブ2内に進退移動されることにより、射出スリーブ2に注湯された溶湯Mを射出する。射出プランジャ402aの詳細な構成は、第1実施形態による第1プランジャ101a(図1参照)と同様であるため、詳細な説明は省略する。
射出プランジャ駆動機構402bは、射出プランジャ402aを射出スリーブ2内に進退移動させる。射出プランジャ駆動機構402bは、油圧回路402cに接続されており、油圧回路402cにより動作されるように構成されている。
位置センサ402dの構成は、第1実施形態による位置センサ101dと同様の構成であるため、詳細な説明は省略する。
制御装置401は、型締装置103、および、射出装置402を含むダイカストマシン400の各部を制御するように構成されている。
中間プレート104は、固定金型102aと固定ダイプレート103aとの間に設けられ、注湯スリーブ3を保持するように構成されている。
図20に示すように、制御装置401は、制御部105a(図2参照)の代わりに、制御部401aを備える点で、上記第1実施形態による制御装置105(図2参照)とは異なる。
制御部401aは、射出プランジャ駆動機構402bの制御を行うように構成されている。また、制御部401aは、射出装置402、型締装置103(図19参照)、および、給湯装置106の制御を行うように構成されている。また、制御部401aは、溶湯検知部5から送られた検知信号Dsに基づいて、注湯動作の制御を行うように構成されている。また、制御部401aは、射出装置402を制御することにより、射出スリーブ2(図19参照)内の溶湯M(図7(B)参照)を金型102(図19参照)に射出する射出動作の制御を行うように構成されている。また、制御部401aは、給湯装置106を制御することにより、注湯スリーブ3(図19参照)の第2注湯口3a(図19参照)に、溶湯Mを注湯するように構成されている。制御部401aは、たとえば、CPUなどのプロセッサと、ROMおよびRAMなどのメモリとを含むコンピュータにより構成されている。
図21に示すように、中間プレート104には、射出スリーブ2が挿通される貫通孔104aと、注湯スリーブ3が挿通される第1孔部104bとが設けられている。また、中間プレート104には、上記第1実施形態によるダイカストマシン100(図1参照)が備える第2プランジャ40(図1参照)などが挿通可能な第2孔部104cが設けられている。第4実施形態では、中間プレート104は、板状部材に対して、貫通孔104a、第1孔部104b、および、第2孔部104cを設けることにより形成される。
貫通孔104aは、X方向において、中間プレート104を貫通している。また、第1孔部104bは、X方向において、中間プレート104を貫通している。すなわち、第1孔部104bは、貫通孔である。なお、貫通孔104aと、第1孔部104bとは、Z方向の位置が互いに異なる。図21に示す例では、貫通孔104aが、第1孔部104bよりも、Z2方向側に設けられている。また、第2孔部104cは、中間プレート104において、Z方向に延びる孔部である。具体的には。第2孔部104cは、中間プレート104のZ1方向側の表面104dに設けられており、第1孔部104bと連通している。なお、第2孔部104cは、Z方向において、中間プレート104を貫通していない。
また、図21に示すように、溶湯通路7は、X2方向側から、中間プレート104に挿通され、注湯スリーブ3と連通している。具体的には、溶湯通路7は、第1孔部104bを介してX2方向側から中間プレート104に挿通され、注湯スリーブ3と連通している。
また、注湯スリーブ3は、注湯スリーブ3の他端3cが、中間プレート104のZ1方向側の表面104dよりもZ2方向側となる長さD1を有している。言い換えると、注湯スリーブ3の長さD1は、中間プレート104のZ方向における長さD2よりも、小さい。なお、第1孔部104bは、X2方向側の開口部である第1開口部104eと、X1方向側の開口部である第2開口部104fとを含む。第1開口部104eのZ方向の長さD3は、注湯スリーブ3の長さD1よりも大きい。したがって、注湯スリーブ3を中間プレート104に保持させる際には、第1孔部104bから注湯スリーブ3を挿入することができる。また、図21に示す例では、第1開口部104eと、第2開口部104fとは、同一の形状を有している。第1開口部104eと第2開口部104fとは、互いに異なる形状を有していてもよい。
また、第4実施形態では、中間プレート104には、注湯スリーブ3の一端3bの近傍に設けられ、溶湯Mを金型102(図19参照)に対して射出する際に、第1注湯口2aを塞ぐ蓋部9が設けられている。蓋部9は、図示しない駆動部により、第1注湯口2aを塞ぐ位置と、第1注湯口2aを開放する位置とに移動可能に構成されている。このように構成すれば、射出装置101(図19参照)によって溶湯Mを射出する際に、第1注湯口2aから溶湯Mがあふれ出ることを抑制することができる。したがって、射出スリーブ2における溶湯Mの充填率が高い場合でも、プランジャチップ110が第1注湯口2aを塞ぐ位置まで低速移動させなくても、第1注湯口2aから溶湯Mがあふれ出ることを抑制することができる。そのため、プランジャチップ110の低速移動の区間を短くすることが可能となるので、低速移動の区間が長くなることによって溶湯Mの温度が低下することを抑制することができる。
また、図22に示すように、固定ダイプレート103aには、溶湯通路7を保持する溶湯通路保持部10が設けられている。溶湯通路保持部10は、X方向に固定ダイプレート103aを貫通する貫通孔部103dに挿通されている。また、溶湯通路保持部10には、X方向において溶湯通路保持部10を貫通する第1貫通孔部10aが設けられている。溶湯通路7は、第1貫通孔部10aに挿通されて状態で、溶湯通路保持部10に保持される。なお、図22に示す例では、溶湯通路保持部10には、溶湯通路保持部10をX方向に貫通する第2貫通孔部10bが設けられている。射出スリーブ2は、第2貫通孔部10bに挿通された状態で、溶湯通路保持部10に保持される。
次に、図23を参照して、第4実施形態による制御部401a(図20参照)が、溶湯M(図7(B)参照)を注湯する処理、および、金型102(図19参照)に対して溶湯Mを射出する処理について説明する。なお、上記第1実施形態による制御部105a(図2参照)が行う処理と同様の処理については、同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
ステップS1およびステップS2において、制御部401aは、射出装置402(図19参照)、および、給湯装置106(図19)を参照して、射出スリーブ2に対して溶湯Mを注湯する。
ステップS40において、制御部401aは、駆動部を制御することにより蓋部9を移動させ、蓋部9により、第1注湯口2a(図19参照)を塞ぐ。
ステップS4において、制御部401aは、射出装置402を制御することにより、金型102(図19参照)に対して溶湯Mを射出する。その後、処理は、終了する。
なお、第4実施形態のその他の構成は、上記第1実施形態の構成と同様である。
(第4実施形態の効果)
第4実施形態の効果について説明する。
第4実施形態では、上記のように、ダイカストマシン400は、固定金型102aが固定される固定ダイプレート103aと、溶湯Mが注湯される第1注湯口2aを有し、固定ダイプレート103a側の端部(一端2b)に射出口2cが設けられ、固定ダイプレート103aに保持される射出スリーブ2と、射出口2cと反対側の端部(他端2d)から射出スリーブ2内に摺動可能に嵌め込まれ、射出スリーブ2内に進退移動されることにより、射出スリーブ2に注湯された溶湯Mを射出する射出プランジャ402aと、射出プランジャ402aを射出スリーブ2内に進退移動させる射出プランジャ駆動機構402bと、射出プランジャ駆動機構402bの制御を行う制御部401aと、溶湯Mが注湯される第2注湯口3aを有し、一端3bが第1注湯口2aに連通する注湯スリーブ3と、固定金型102aと固定ダイプレート103aとの間に設けられ、注湯スリーブ3を保持する中間プレート104と、を備える。
ここで、中間プレート104を備えていない構成において、射出スリーブ2内の溶湯Mの充填率を高めるために、第1注湯口2aを固定金型102a側に近づけたい場合、固定ダイプレート103aに切り欠きを設け、切り欠きの内部に第1注湯口2aを配置することが考えられる。しかしながら、固定ダイプレート103aに切り欠きを設ける場合、固定ダイプレート103aの機械的強度が低下する。そこで、上記のように構成することにより、注湯スリーブ3が、固定金型102aと固定ダイプレート103aの間に設けられた中間プレート104に保持されるので、射出スリーブ2に設けられる第1注湯口2aを、固定金型102aと固定ダイプレート103aとの間に配置することができる。したがって、中間プレート104を備えない構成と比較して、第1注湯口2aを、より固定金型102a側に配置することができる。その結果、たとえば、固定ダイプレート103aに切り欠きを設け、第1注湯口2aを固定金型102a側に設ける構成と比較して、固定ダイプレート103aの機械的強度が低下することを抑制しつつ、射出スリーブ2内の溶湯Mの充填率を、容易に高めることができる。
なお、第4実施形態のその他の効果は、上記第1実施形態による効果と同様である。
[変形例]
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
たとえば、上記第1~第3実施形態では、中間プレート104が注湯スリーブ3を保持する構成の例を示したが本発明はこれに限られない。たとえば、本発明では、図24に示す第1変形例のダイカストマシン500のように、注湯スリーブ3は、固定ダイプレート103aに保持されていてもよい。すなわち、第1変形例によるダイカストマシン500は、注湯装置が予め組み込まれたダイカストマシンである。このように構成すれば、ダイカストマシン500が有する固定ダイプレート103aによって注湯スリーブ3が保持されるので、たとえば、固定金型102aと固定ダイプレート103aとの間に注湯スリーブ3を保持するための部材を設けることなく、上記第1~第3実施形態の構成を適用することができる。その結果、部品点数が増加することを抑制することができる。
また、上記第1~第3実施形態では、制御部105a(201a、301a)が、給湯装置106を制御することにより、第2注湯口3aから溶湯Mを注湯する構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、本発明では、図25に示す第2変形例のダイカストマシン600のように、溶湯炉107と接続された注湯管8によって、第2注湯口3aから溶湯Mを注湯してもよい。
図25に示すように、第2変形例によるダイカストマシン600は、注湯装置30および制御装置601を備えることにより、上記第1~第3実施形態によるダイカストマシン100(200、300)とは異なる。
図25に示すように、第2変形例による注湯装置30は、第2プランジャ44を備える点で、上記第1~第3実施形態による注湯装置1(注湯装置20)とは異なる。第2プランジャ44は、第2プランジャチップ44aを備える点で、上記第1~第3実施形態による第2プランジャ40とは異なる。
図26に示すように、第2変形例による制御装置601は、制御部601aを備える。制御部601aは、第2プランジャ機構4を制御することにより、第2注湯口3a(図25参照)から注湯スリーブ3(図25参照)に対して溶湯Mを注湯する制御を行うように構成されている。
図27に示すように、第2変形例による注湯装置30が備える第2プランジャチップ44aの初期位置BP3は、第2プランジャチップ44aが第2注湯口3aを塞ぐ位置である。すなわち、第2変形例による第2プランジャチップ44aの初期位置BP3は、第2プランジャチップ44aの先端44bが、第2注湯口3aの下端部3fと略同等の位置か、第2注湯口3aの下端部3fよりも下方の位置である。また、初期位置BP3において、第2プランジャチップ44aの先端44bとは反対側の端部44cが、第2注湯口3aの上端部3gよりも上側に位置する。したがって、第2変形例による第2プランジャチップ44aの初期位置BP3では、注湯管8は、注湯スリーブ3とは連通していない。
また、図28に示すように、第2変形例による注湯装置30が備える第2プランジャチップ44aは、圧力支持位置SPPに配置されて状態でも、第2注湯口3aを塞ぐ。すなわち、第2プランジャチップ44aのZ方向の大きさ(第2プランジャチップ44aの先端44bから反対側の端部44cまでの距離W2)は、第2プランジャチップ44aの先端44bから第2注湯口3aの上端部3gまでの距離W3よりも大きい。
次に、図29を参照して、第2変形例による制御部601a(図26参照)が、第2プランジャ機構4(図26参照)を制御することにより、射出スリーブ2(図29(A)参照)内に溶湯M(図29(A)参照)を注湯する制御を行う構成について説明する。
図29(A)は、第2変形例による注湯動作を行う際の第1プランジャチップ110の初期位置BP1および第2プランジャチップ44aの初期位置BP3を示した模式図である。第1プランジャチップ110の初期位置BP1は、上記第1~第3実施形態による第1プランジャチップ110の初期位置BP1と同様のであるため、詳細な説明は省略する。
図29(A)に示すように、第2変形例による注湯装置30(図25参照)による溶湯Mの注湯は、第2プランジャチップ44aが第2注湯口3aを塞ぐ位置である初期位置BP3に第2プランジャチップ44aが配置された状態から開始される。
図29(B)に示すように、制御部601a(図26参照)は、第2プランジャ機構4(図26参照)を制御することにより、第2プランジャチップ44aを後退させることにより、第2注湯口3aと、注湯管8とを連通させる。言い換えると、制御部601aは、第2プランジャチップ44aの先端44bを、少なくとも第2注湯口3aの下端部3fよりも上方(注湯スリーブ3の他端3c側)の位置に移動させる。なお、図29(B)に示す例では、制御部601aは、第2プランジャチップ44aの先端44bを、第2注湯口3aの上端部3gよりも上方の位置に移動させている。
そして、図29(C)に示すように、制御部601a(図26参照)は、射出装置101(図26参照)を制御することにより、第1プランジャチップ110を後退させながら、注湯スリーブ3内に溶湯Mを注湯する。
次に、図29(D)に示すように、溶湯検知部5が溶湯Mを検知した場合、制御部601aは、図29(E)に示すように、第2プランジャチップ44aによって、第2注湯口3aを塞ぐ。
具体的には、図29(E)に示すように、制御部601a(図26参照)は、第2プランジャ機構4(図26参照)を制御することにより、第2プランジャチップ44aを圧力支持位置SPPに移動させる。これにより、注湯スリーブ3と注湯管8とが連通しなくなるため、溶湯Mの注湯が停止する。
次に、図30を参照して、第2変形例による制御部601a(図26参照)が、溶湯M(図29(A)参照)を射出スリーブ2(図29(A)参照)に対して注湯するとともに、注湯した溶湯Mを金型102(図25参照)に対して射出する処理について説明する。なお、図30に示す例は、第2プランジャチップ44a(図29(A)参照)が第2注湯口3a(図29(A)参照)を塞いでいる初期位置BP2(図29(A)参照)に配置された状態で開始される。また、上記第1実施形態による制御部105a(図2参照)による溶湯Mの注湯および射出の処理と同様の処理については、同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
ステップS50において、制御部601a(図26参照)は、第2プランジャ機構4(図26参照)を制御することにより、第2プランジャチップ44a(図29(B)参照)を、後退させる。この際、制御部601aは、少なくとも、第2プランジャチップ44aの先端44b(図29(E)参照)が、第2注湯口3a(図29(E)参照)の下端部3f(図29(B)参照)よりも上方(注湯スリーブ3の他端3c側)の位置となるまで、第2プランジャ40を上昇させる。
その後、ステップS2~ステップS4へと処理が進み、射出スリーブ2(図29(A)参照)内に注湯された溶湯Mが、金型102(図25参照)に注湯される。その後、処理は、終了する。
また、上記第1~第3実施形態では、制御部105a(201a、301a)が、閉鎖空間Cs(図6参照)内において、第2プランジャチップ40aと溶湯Mの液面Msとの間の空気を圧縮する構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、たとえば、図31に示す第3変形例の注湯装置50のように、閉鎖空間Cs内において、第2プランジャチップ40aと溶湯Mの液面Msとの間の空気を注湯スリーブ3の外部に排出するように構成されていてもよい。具体的には、図31に示す第3変形例の注湯スリーブ51のように、第2注湯口3aの下端部3fの位置EPから、圧力支持位置SPPまで間に、X方向に注湯スリーブ51を貫通する貫通孔3hを設けてもよい。なお、貫通孔3hは、注湯スリーブ51の複数か所に設けられていてもよい。図31に示す例では、第2注湯口3aの下端部3fの位置EPから、圧力支持位置SPPまで間に、2か所の貫通孔3hが設けられている。これにより、上側の貫通孔3hから順に第2プランジャチップ40aによって塞がれることになるので、第2プランジャチップ40aと溶湯Mの液面Msとの間の空気が容易に排出される。また、貫通孔3hは、注湯スリーブ51のうちの、第2注湯口3aが設けられている側面41a側に設けることが好ましい。
また、上記第1~第3実施形態では、射出スリーブ2(射出スリーブ21)の充填率が100%を超える例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、射出スリーブ2(射出スリーブ21)内の溶湯Mの充填率が、第1プランジャチップ110が第1注湯口2aまで前進した際に100%となれば、注湯完了時において、射出スリーブ2(射出スリーブ21)内の充填率が100%を超えていなくてもよい。
また、上記第1~第4実施形態では、溶湯検知部5が通電センサである構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、溶湯検知部5は、温度センサ、または、圧力センサによって構成されていてもよい。しかしながら、溶湯検知の即時性、および、溶湯検知部5の設置の容易性などから、溶湯検知部5は、通電センサによって構成されることが好ましい。
また、上記第1~第3実施形態では、第2プランジャ機構4が、油圧シリンダ41を含む構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、たとえば、射出圧力を支持することが可能であれば、第2プランジャ機構4は、油圧シリンダ以外の駆動機構を含んでいてもよい。たとえば、第2プランジャ機構4は、駆動機構として、電動シリンダを含んでいてもよい。
また、上記第1~第4実施形態では、溶湯Mを射出スリーブ2に注湯する際に、第1プランジャ101a(第1プランジャチップ110)を後退させながら溶湯Mを注湯する構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、射出スリーブ2に溶湯Mを注湯する際に、第1プランジャチップ110を後退させなくてもよい。
また、上記第1~第4実施形態では、第1注湯口2aが射出スリーブ2の上側の側面2eに設けられ、注湯スリーブ3の一端3bが、下方向(Z2方向)に向くように、射出スリーブ2の第1注湯口2aに設けられる構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、射出スリーブ2の側面であれば、注湯スリーブ3を設ける方向は問わない。たとえば、第1注湯口2aが、射出スリーブ2の下側の側面2iに設けられ、注湯スリーブ3の一端3bが、上方向(Z1方向)を向くように、射出スリーブ2の第1注湯口2aに設けられてもよい。また、第1注湯口2aが、射出スリーブ2のY方向の側面に設けられ、注湯スリーブ3が水平方向を向くように、射出スリーブ2の第1注湯口2aに設けられていてもよい。
また、上記第1~第4実施形態では、射出スリーブ2が、筒形状(円筒形状)を有する構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。射出スリーブ2は、第1プランジャチップ110が摺動可能であれば、形状(断面形状)がどのような形状であってもよい。また、射出スリーブ2の断面の内側の形状と外側の形状とが異なっていてもよい。たとえば、射出スリーブ2の断面の内側が円形状であり、射出スリーブ2の断面の外側が矩形形状であってもよい。
また、上記第1~第4実施形態では、注湯スリーブ3が、筒形状(円筒形状)を有する構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。注湯スリーブ3は、第2プランジャチップ40aが摺動可能であれば、断面形状がどのような形状であってもよい。また、注湯スリーブ3の断面の内側の形状と外側の形状とが異なっていてもよい。たとえば、注湯スリーブ3の断面の内側が円形状であり、注湯スリーブ3の断面の外側が矩形形状であってもよい。
また、上記第1~第4実施形態では、制御部が、射出装置を制御し、射出スリーブ2内の溶湯Mを金型102に対して射出することにより、溶湯Mの射出工程を終了する構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、制御部は、溶湯Mを金型102に射出した後に、金型102内の溶湯Mに対して、さらに圧力を印加する工程である昇圧工程を行うように構成されていてもよい。
また、上記第4実施形態では、中間プレート104が、板状部材に対して貫通孔104aおよび第1孔部104bを設けることにより形成される構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、図32に示す第4変形例による中間プレート114のように、中間プレートは、分割可能に構成されていてもよい。
図32に示すように、中間プレート114は、第1部材114aと、第2部材114bとを備える。第1部材114aは、第1凹部114cが設けられている。また、第1部材114aは、X方向に貫通する第1貫通孔114eが設けられている。
第2部材114bは、第2凹部114dが設けられている。また、第2部材114bは、X方向に貫通する第2貫通孔114fが設けられている。
第1部材114aおよび第2部材114bを対向させた際に、第1凹部113cおよび第2凹部114dによって、注湯スリーブ3が挿通される孔部114g(図33参照)が形成される。
図33に示すように、第1部材114aは、固定金型102a側に設けられる。また、第2部材114bは、固定ダイプレート103a側に設けられる。
また、図33に示すように、注湯スリーブ3は、第1部材114aおよび第2部材114bによって、射出スリーブ2の摺動方向(X方向)の両側から把持されることにより、中間プレート114に保持される。
第4変形例では、上記のように、中間プレート114は、固定金型102a側に設けられる第1部材114aと、固定ダイプレート103a側に設けられる第2部材114bとを有し、注湯スリーブ3は、第1部材114aおよび第2部材114bによって、射出スリーブ2の摺動方向の両側から把持されることにより、中間プレート114に保持される。これにより、第1部材114aと第2部材114bとによって注湯スリーブ3を把持することにより、注湯スリーブ3が中間プレート114に保持されるので、注湯スリーブ3の径の大きさによらず、容易に注湯スリーブ3を保持することができる。
また、上記第4実施形態では、中間プレート104が、X方向において中間プレート104を貫通する第1孔部104bを有し、注湯スリーブ3に連通する溶湯通路7がX2方向側から挿通される構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、図34に示す第5変形例による中間プレート124のように、溶湯通路7は、中間プレート124に対して、Y方向側から挿通されることにより、注湯スリーブ3と連通するように構成されていてもよい。図34に示す第5変形例による中間プレート124では、溶湯通路7は、Y1方向側から中間プレート124に挿入されている。この場合、中間プレート124のY1方向側の表面124dに、第1孔部124bを設ければよい。なお、第5変形例による中間プレート124には、X方向において中間プレート124を貫通する貫通孔124aが設けられており、射出スリーブ2は、貫通孔124aに挿通された状態で、中間プレート124に保持される。また、中間プレート124には、中間プレート124のZ1方向側の表面124eに設けられ、第1孔部124bと連通する第2孔部124cが設けられている。
また、上記第4実施形態では、固定ダイプレート103aに挿通され、溶湯通路7を保持する溶湯通路保持部10を備える構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、図35に示す第6変形例のように、溶湯通路保持部10を備えていなくてもよい。この場合、貫通孔部103dの開口部は、溶湯通路7が挿通可能な大きさを有していればよい。
また、上記第4実施形態では、中間プレート104は、注湯スリーブ3および溶湯通路7が挿通される第1孔部104bが、X方向において中間プレート104を貫通する構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、第1孔部は、注湯スリーブ3および溶湯通路7が挿通可能な第1開口部104eを有していれば、X方向において中間プレート104を貫通していなくてもよい。すなわち、中間プレート104の第1孔部104bは、非貫通孔であってもよい。言い換えると、第1孔部104bは、凹部であってもよい。
また、上記第4実施形態では、注湯スリーブ3は、注湯スリーブ3の他端3cが、中間プレート104のZ1方向側の表面104dよりもZ2方向側となる長さD1を有する構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。注湯スリーブ3の他端3cは、中間プレート104のZ1方向側の表面104dと同一面上となる長さを有してもよい。すなわち、注湯スリーブ3の長さは、中間プレート104のZ方向の長さD2と等しくてもよい。
また、上記第1~第4実施形態において図示した溶湯通路7の挿入角度(注湯スリーブ3に対する溶湯通路7の角度)は、あくまでも例示的なものであり、溶湯通路7の挿入角度はどのような角度であってもよい。
また、上記第1~第4実施形態、および、第2変形例では、説明の便宜上、制御部の処理動作を処理フローに沿って順番に処理を行うフロー駆動型のフローチャートを用いて説明したが、本発明はこれに限られない。本発明では、制御部の処理動作を、イベント単位で処理を実行するイベント駆動型(イベントドリブン型)の処理により行ってもよい。この場合、完全なイベント駆動型で行ってもよいし、イベント駆動およびフロー駆動を組み合わせて行ってもよい。