JP7346464B2 - ランタイム信号強度校正によってマルチ特性分析(mam)の試験室間及び/又は機器間のばらつきを縮小するシステム及び方法 - Google Patents

ランタイム信号強度校正によってマルチ特性分析(mam)の試験室間及び/又は機器間のばらつきを縮小するシステム及び方法 Download PDF

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関連出願の相互参照
本願は、米国仮特許出願第62/763,110号(2018年6月8日出願)及び米国仮特許出願第62/746,323号(2018年10月16日出願)の利益を主張するものである。上記仮特許出願の各々の全体を、参照によって本願に援用する。
本開示は一般に、ランタイム信号強度校正を介してマルチ特性分析(MAM:multi-attribute method)の試験室間及び機器間のばらつきを縮小することに関する。
バイオ医薬品の開発には典型的に、治療標的分子の特定の属性をモニタすることが含まれ、このような属性は生産物の安全性と効能の測定を目的とした重要品質属性(CQA:critical quality attribute)として識別される。質量分析計(MS:mass spectmetry)は、品質属性を測定するためのアッセイで使用できる。一般に、MSとは、化学種をイオン化し、これらのイオンをその質量電荷比に基づいて分別する分析手法を指す。このようにして、MS装置はサンプル中の分子の質量を測定できる。ポリペプチド属性の場合、質量分析計を使用することによって、より少ない分析でより多くの品質属性を評価できる。
MSは、多項目/属性、すなわちいわゆるマルチ特性分析(MAM)を実装することによって、紫外線(UV)及び質量データの両方を用いて、グリコシル化プロファイルを含む翻訳後修飾(PTM:post-translational modification)、及び/又は医薬品添加物をモニタするために使用できる。MAMは、MSデータと、属性の自動識別及び相対的定量化の組合せを使用する(Rogers,RS,et al.2015.Development of a quantitative mass spectrometry multi-attribute method for characterization,quality control testing and disposition of biologics.mAbs 7:5,881-890)。効率及び品質管理面での利点から、MAMはMSとますます併用されつつあり、それによって例えば、品質属性分析の選択性、感度、フレキシビリティが向上する。MAMとは、複数の生産物及びプロセス特性(例えば、品質属性/CQA)を単独の分析で定量化できる分析手法を指す。例えば、MAM型のアッセイは典型的に、下流のプロセスをモニタすることを標的としているが、これらはロット(例えば、サンプル)リリースについての品質管理アッセイにも使用されることが増えている。
例えば、MAM手順は、蛋白質消化とその後の蛋白質分解ペプチド(ペプチドは、蛋白質加水分解により生成されるより大きいポリペプチドの断片である)の液体クロマトグラフィ(LC)/MS分析に基づいており、治療用蛋白質に関する各種の品質属性の定量化に使用できる。この手順は、質量分析検出部により提供される分解能を利用し、蛋白質分解ペプチドの各アイソフォーム(修飾型及び無修飾型を含む)のMS強度を定量化に使用することができる。
質量分析をMAMと統合することによって問題が生じる可能性があり、これは、MS手順が典型的に、熟練アナリスト及び多大な試験室インフラストラクチャを必要とするからである。特に、質量分析に基づくMAM分析の主な問題は、ある試験室で使用される調製サンプル及びこれらの試験室における異なる機器に大きなばらつきが見られることである。例えば、サンプル調製のばらつきは、試験室の異なるアナリストが異なる方法でサンプルを調製することから生じ、その結果、調製サンプルに差が出る場合がある。例えば、サンプルを受け取ると、試験室のアナリストは典型的に、そのサンプルを注入できる状態に準備するために、複雑な手順(例えば、蛋白質消化)を行う。手順が複雑であることから、調製されたサンプルは、たとえ元のサンプルが一貫していたとしても、大きくばらつく可能性がある。サンプル調製手順は、その持続時間の長さから、様々な属性の存在量を変化させるような修飾を導入する可能性がある。これらの人工的修飾は、MAMの結果の不正確さ及びばらつきの原因となる。試験室アナリストによるサンプル調製中の消化効率が異なることもまた、室間のばらつきの一因である。ばらつきはまた、異なる設定を使用する、又は異なる動作モデルを実行する試験室の機器にも起因する可能性がある。現在、再現可能な属性測定を確実にするためには、同様の機器モデルがすべての分析試験室により使用されなければならないだけでなく、機器もまた同じ条件に調整されなければならない。しかしながら、試験室を特定のモデルに制約すると、試験室は最新の進化を利用するためにその設備をアップグレードすることもできなくなる場合がある。
MS-MAMに基づく分析の問題はまた、従来のMAM手順で使用される前提と手法からも生じる。例えば、従来のMS-MAM手順において、各属性の存在量(例えば、ペプチド中の残留アミノ酸の異なる修飾状態)が修飾ペプチド及び無修飾ペプチドのMS反応(例えば、ピークエリア)に基づいて、以下の前提により特定される:(1)無修飾及び修飾ペプチドは、室間で再現可能な回収率を有する、(2)無修飾及び修飾ペプチドは、同じMS反応因子を有し、(3)人工的に誘導された属性の変化は無視できる。
これらの前提により、従来のMAM手順は複数の要求条件に依存しており、これには、(1)消化効率が試験室間で再現可能であること、(2)MS機器の状態が正確に同じであること、及び(3)異なる試験室で行われるサンプル調製によりもたらされる人工的修飾の量がほとんどないか、一定であること、が含まれる。しかしながら、現実には、これらの要求条件を満たすことは、サンプル調製手順、アナリストの習慣、機器、試薬の品質等のばらつきのため、難しい。ペプチド回収率もまた変動する可能性があり、それがさらにばらつきの原因となる。
要求条件を満たす上での別の問題には、MS機器モデル又は機器の設定の違いが含まれる。例えば、1つの試験室の機器の保守の方法が第二の試験室の機器の保守の方法とは異なる可能性がある。それに加えて、異なる変異体を含むペプチドに関する反応因子は、異なる試験室間で異なる場合があり得る。要求条件を満たす上でのまた別の問題には、サンプル調製手順、アナリストの習慣、装置及び試薬の品質のほか、機器の状態のばらつきが含まれる。さらに、人工的に導入された修飾の量もまた異なり得る。
その結果、従来のMSに基づくMAM方法は、室間及び/又は機器間のばらつきにおいて頑健性を欠く。
それに加えて、質量分析計に基づくマルチ特性分析(MAM)の主な問題は、アナリスト間及び機器間のばらつきが大きいことである。再現可能な属性測定のために、すべての分析試験室に同様の機器モデルが必要であるだけでなく、機器もまた同じ条件に調整しなければならない。これは、新規のクロマトグラフィ及び質量分析技術の急速な開発を考えると、大きな長期的問題となる。それに加えて、サンプル調製中の消化効率及び人工的修飾(例えば、酸化、脱アミド、Asp異性化、及び断片化)の差もまた、室間のばらつきの一因となる。例えばcGMP環境におけるMAMの長期的な成功を確実にするためには、これらの問題を解決しなければならない。
Rogers,RS,et al.2015.Development of a quantitative mass spectrometry multi-attribute method for characterization,quality control testing and disposition of biologics.mAbs 7:5,881-890
したがって、ランタイム信号強度校正を介してMS利用のマルチ特性分析(MAM)の試験室間及び/又は機器間のばらつきを縮小するシステム及び方法が求められている。
本明細書に記載されているように、ランタイム信号強度校正を介してマルチ特性分析(MAM)の試験室間及び/又は機器間のばらつきを縮小するシステム及び方法が開示される。各種の実施形態について記載されているように、システム及び方法は、校正用サンプルとしての標準物質内の、測定による、又は既知の属性存在量(例えば、各品質属性の標準物質存在量値)を使用して、サンプル中の属性存在量(例えば、各品質属性のサンプル存在量値)を特定するために使用されてよい。この新規の技術は、室間及び/又は機器間効率を高め、試験室及び/又は機器間のばらつきを減らすことができる。例えば、この新規の技術では、標準物質データが典型的にはMAM分析のために収集されるため、アナリスト又は試験室からの追加の作業がまったく又はほとんど必要ない。これは、典型的なMAM手順の場合、標準物質が他の目的、例えばシステム適合性及び同一性目的のためのサンプルと平行して分析されるからである。それに加えて、標準物質を校正用サンプルとして使用することは、標準物質においてはほとんどの品質属性が標準の寿命全体を通じて一定のままであり、したがって、標準物質を校正用サンプルとして、独自の方法で機器間又はサンプル調製手順間の違いを補正するために使用できるため、さらに有利である。
本明細書に記載の各種の実施形態において、ランタイム信号強度校正を介してMAMによる分析の試験室間又は機器間のばらつきを縮小するためのシステム及び方法が記載されている。例えば、幾つかの実施形態では、このようなシステム及び方法は、第一の検出部を含む第一のMAM型機器を含む。第一のMAM型機器は、(1)第一の機器モデル、又は(2)第一の設定群のうちの少なくとも一方により定義される第一の機器状態を有することができる。第一のMAM型機器は、第一のサンプルと標準物質を受けるように構成できる。第一のMAM型機器はさらに、第一の検出部を介して、第一のサンプルからの第一のサンプルアイソフォームと標準物質からの第一の標準物質アイソフォームを検出するように構成できる。
システム及び方法は、第一のMAM型機器に関連付けられる1つ又は複数のプロセッサをさらに含むことができる。第一のMAM型機器に関連付けられる1つ又は複数のプロセッサは、第一のMAMイテレーションを介して、第一のサンプルアイソフォームに対応する第一の補正係数群を特定するように構成できる。第一の補正係数群は、標準物質に基づくことができる。第一のMAM型機器に関連付けられる1つ又は複数のプロセッサはさらに、第一のサンプルアイソフォームに対応する第一のサンプル存在量値群を特定するように構成でき、第一のサンプル存在量値群は、第一の補正係数群に基づく。
システム及び方法は、第二の検出部を含む第二のMAM型機器をさらに含むことができる。第二のMAM型機器は、(1)第二の機器モデル、又は(2)第二の設定群のうちの少なくとも1つにより定義される第二の機器状態を有することができる。
各種の実施形態において、第二の機器状態は第一の機器状態と異なるものとすることができる。
第二のMAM型機器は、第二のサンプルと標準物質を受けるように構成できる。第二のMAM型機器はさらに、第二の検出部を介して、第二のサンプルからの第二のサンプルアイソフォームと、標準物質からの第二の標準物質アイソフォームを検出するように構成できる。
システム及び方法は、第二のMAM型機器に関連付けられる1つ又は複数のプロセッサをさらに含むことができる。第二のMAM型機器に関連付けられる1つ又は複数のプロセッサは、第二のMAMイテレーションを介して、第二のサンプルアイソフォームに対応する第二の補正係数群を特定するように構成できる。第二の補正係数群は、標準物質に基づくことができる。第二のMAM型機器に関連付けられる1つ又は複数のプロセッサはさらに、第二のサンプルアイソフォームに対応する第二のサンプル存在量値群を特定するように構成でき、第二のサンプル存在量値群は、第二の補正係数群に基づく。
各機器について特定された補正係数に基づき、第一のMAM型機器と第二のMAM型機器との間で測定のばらつきを縮小できる。例えば、第一のサンプル存在量値群と第二のサンプル存在量値群との分散値は、第一のMAM型機器の第一の補正係数群と第二のMAM型機器の第二の補正係数群とに基づいて縮小できる。
追加的な実施形態において、ランタイム信号強度校正を介して複数の期間にわたるMAM型機器のばらつきを縮小するための校正システム及び方法が開示される。このような実施形態において、MAM型機器は、第一の期間について、第一のサンプルと標準物質を受けることができる。
MAM型機器は、検出部を介して、第一の期間について、第一のサンプルからの第一のサンプルアイソフォームと標準物質からの第一の標準物質アイソフォームを検出できる。
1つ又は複数のプロセッサは、第一の期間の第一のMAMイテレーションを介して、第一のサンプルアイソフォームに対応する第一の補正係数群を特定するように構成でき、第一の補正係数群は標準物質に基づく。
1つ又は複数のプロセッサはまた、第一の期間の第一のMAMイテレーションを介して、第一のサンプルアイソフォームに対応する第一のサンプル存在量値群を特定するように構成できる。第一のサンプル存在量値群は、第一の補正係数群に基づくことができる。MAM型機器は、第一の期間にわたり、第一の設定群により定義される第一の機器状態を有することができる。
MAM型機器は、第二の期間について、第二のサンプルと標準物質を受けるように構成できる。
MAM型機器は、検出部を介して、第二の期間について、第一のサンプルからの第二のサンプルアイソフォームと標準物質からの第二の標準物質アイソフォームを検出できる。
1つ又は複数のプロセッサは、第二の期間の第二のMAMイテレーションを介して、第二のサンプルアイソフォームに対応する第二の補正係数群を特定するように構成でき、第二の補正係数群は標準物質に基づく。
1つ又は複数のプロセッサはまた、第二の期間の第二のMAMイテレーションを介して、第二のサンプルアイソフォームに対応する第二のサンプル存在量値群を特定するように構成できる。第二のサンプル存在量値群は、第二の補正係数群に基づくことができる。MAM型機器は、第二の期間にわたり、第二の設定群により定義される第二の機器状態を有することができる。
第一の期間についてのMAM型機器の第二の機器状態は、第二の期間についてのMAM型機器の第二の機器状態と異なるものとすることができる。
各期間について特定された補正係数に基づいて、第一の期間と第二の期間の間の測定のばらつきを、MAM型機器のMAMイテレーション間で縮小できる。例えば、第一のサンプル存在量値群と第二のサンプル存在量値群との分散値は、第一のMAM型機器の第一の補正係数群と第二のMAM型機器の第二の補正係数群とに基づいて縮小できる。
例えば図4a、4b、5a、及び5bに関して本明細書にさらに記載されるように、各種のアイソフォームの分析は、本明細書で開示されているシステム及び方法の適用により、室間及び/又は機器間ばらつき(例えば、室内再現精度RSD)が既存のMAM型の手順と比べて1/2~1/3に縮小されることが実証される。開示されているシステム及び方法により、試験室間、機器、又は異なる期間に行われたMAMイテレーション間の一貫した機器モデルは必要なくなる。それと同時に、試験室間の消化手順のわずかな変化のほか、自動化を通じた変化は、異なる試験室、機器、又は異なる期間に実行されたMAMイテレーション間のアッセイの結果に有意な影響を与えない。
新規なシステム及び方法はまた、選択反応モニタリングのためのトリプル四重極機器等の他の機器のための追加の機会も提供し、これは、開示されたシステム及び方法により、異なるペプチドアイソフォーム間の一貫したレスポンスファクタが不要となるからである。
それに加えて、開示されているシステム及び方法は、新規のシステム及び方法がランタイム信号強度校正を通じて室間ばらつきを大幅に縮小するため、従来の方法よりずっと有利である。新規のシステム及び方法は、本明細書に記載されているように、現在のMAMワークフローの中の主な問題である、一貫した設備/機器を使用するというMAMの要求事項を有効に排除する。さらに、新規のシステム及び方法は、品質属性の正確な定量化が求められる場合に、何れのMAM型の用途にも適用可能である。それに加えて、参照物質は典型的に、生物製剤のワークフローにおけるサンプルと平衡して分析されるため、アナリストによる追加の作業は不要である。
上記に従って、本明細書に記載の開示により、本開示は、少なくとも、特許請求の範囲に、例えばMAM型の機器は同じサンプル(例えば、蛋白質分解ペプチドの同じサンプル)でMAM手順を実行し、標準物質を校正用サンプルとして使用するMAM型機器間のばらつきを縮小することによって改良できると明記されているため、コンピュータの機能性における改善又は他の技術に対する改良を含む。すなわち、本開示は、システム及び方法がMAM型機器間のばらつきを縮小するため、コンピュータ自体の機能性又は他の何れかの技術若しくは技術分野の改良について開示している。これは、少なくとも、従来のMAMプロセスがサンプル調製手順、アナリストの習慣、機器、及び試薬の品質のばらつきによって非常に満たしにくい条件を必要とすることから、先行技術に対する改良である。
本開示は、少なくとも、MAM型機器が、たとえ異なる機器モデルを有しているか、異なる設定群を有していても、異なる試験室間でも、校正可能であるため、他の技術又は技術分野に対する改良に関する。
本開示は、特定の機械、例えばMAM型機器により、又はその使用により、独自の改良を適用することを含む。
本開示は、バイオ医薬品の開発又は研究におけるよく理解された定常的な従来の活動以外の明確な特徴を含み、及び/又は本開示の焦点を特定の有益な用途に当てる新規なステップ、例えばランタイム信号強度校正を介してマルチ特性分析(MAM)の試験室間及び機器間のばらつきを縮小することを追加する。
それに加えて、本明細書に記載の問題を克服するために、校正用サンプルとしての標準物質において測定された属性に基づいて、サンプル中の属性存在量を計算するための新規な校正システム及び方法が記載されている。標準物質の中で、ほとんどの品質属性は標準の寿命全体を通じて一定のままであり、したがって、機器間又はサンプル調製手順間の差を補正するための校正用サンプルとしての役割を果たすことができる。標準物質データは通常、典型的なMAM方法で収集されるため、アナリストによる追加の作業は不要である。大量の属性からの試験データから、この方法が機器間のばらつきを大きく縮小することが実証された。この方法により、一貫した機器モデル及びサンプル調製手順はもはや要求事項ではなくなった。その結果、消化手順の変化、現代的な機器類の進化はアッセイの結果に有意な影響を与えない。新規なシステム及び方法によれば、選択反応モニタリングのためのトリプル四重極等の他の機器類の校正も可能となり、これは、異なるペプチドアイソフォーム間の一貫したレスポンスファクタが要求事項ではなくなったからである。
本明細書に記載されているように、マルチ特性分析は、蛋白質消化及びその後の蛋白質分解ペプチドのLC-MS分析に基づくものであり、治療用蛋白質に関する各種の品質属性を定量化するために開発された。これらの方法は、質量分析(MS)検出部により提供される分解能を利用し、蛋白質分解ペプチドの各アイソフォーム(修飾及び無修飾型を含む)のMS強度を定量化に使用する。これらの方法の臨床的に関係深い品質属性の各々に対する特殊性から、このような方法は、生物製剤業界において実質的な注目を集めている。
例示として図示され、説明されている好ましい実施形態の下記の説明から、当業者にとっては利点がより明らかとなるであろう。理解されるように、これらの実施形態はその他の異なる実施形態も含むことができ、それらの詳細は、様々な点で改良できる。したがって、図面及び説明文は、例示的な性質であって、限定的とはみなされないものとする。
以下に説明する図面は、その中で開示されているシステム及び方法の様々な態様を示す。各図面は開示されているシステム及び方法の特定の態様のある実施形態を示しており、図面の各々は、その考え得る実施形態によるものであると理解すべきである。さらに、可能なかぎり、以下の説明は、下記のような図面に含まれる参照番号に言及しており、複数の図中に示されている特徴は一貫した参照番号で指示されている。
図中には本明細書で論じられている構成が示されているが、本明細書の実施形態は図示されたとおりの構成及び手段に限定されないと理解すべきである。
本明細書で開示されている各種の実施形態による、質量分析計を含む例示的なMAM型機器を示す。 本明細書で開示されている各種の実施形態による、ランタイム信号強度校正を介した第一のMAM型機器と第二のMAM型機器との間のばらつきを縮小するための例示的フロー図を示す。 本明細書で開示されている各種の実施形態による、ランタイム信号強度校正を介した複数の期間についてのMAM型機器の偏差を縮小するための方法を示す。 本明細書で開示されている各種の実施形態による、6つの例示的MAMイテレーションにわたる、あるアイソフォームに関する存在量値の機器間/室間のばらつきの縮小を表す図表を示す。 本明細書で開示されている各種の実施形態による、図4aのアイソフォームを含む6つの例示的アイソフォームに関する機器間/室間のばらつきの縮小を表す図表を示す。 本明細書で開示されている各種の実施形態による、12の例示的なMAMイテレーションにわたる存在量値の機器間/室間の偏差の縮小を表す図表を示す。 本明細書で開示されている各種の実施形態による、57の品質属性に関する機器間/質間のばらつきの縮小を表す図表を示す。 本明細書で開示されている各種の実施形態による、2つの異なる機器のセットアップと2つの異なるサンプル調製手順に関するサンプル中の2つの属性の存在量測定値の図表を示す。 本明細書で開示されている各種の実施形態による、レスポンスファクタ校正のある場合とない場合の室内再現精度の例示的な比較を表す図表を示す。 本明細書で開示されている各種の実施形態による、レスポンスファクタa校正と同様の結果を示す、属性タイプ2に関する人工的修飾の校正の実施形態の図表を示す。 本明細書で開示されている各種の実施形態による、レスポンスファクタa校正と比較した、属性タイプ3に関する人工的修飾のb校正の性能の図表を示す。 本明細書で開示されている各種の実施形態による、属性タイプ3に関する2つの標準の校正(a及びb)の、1つの標準のレスポンスファクタ(a)校正と比較した性能を示す実施形態の図表を示す。 本明細書で開示されている各種の実施形態による、レスポンスファクタ校正により2つの異なるLC-MSシステムで収集された2つのデータセットの一貫性において行われた改良を表す図表を示す。 本明細書で開示されている各種の実施形態による、4つのシーケンスにおけるグリコフォームの存在量測定値(各々3回測定)を示す図表を示す。 本明細書で開示されている各種の実施形態による、3つの属性タイプに関する属性存在量とシーケンス内RSDの関係を示す図表を示す。
図面は、例示のみを目的として好ましい実施形態を描いている。本明細書で例示されているシステム及び方法の代替的実施形態は、本明細書に記載されている本発明の原理から逸脱せずに使用できる。
図1は、本明細書で開示されている各種の実施形態による、質量分析計(MS)102を含む例示的なMAM型機器100を示す。本明細書に記載されているように、MAMは、ある分子(例えば、蛋白質又はアイソフォーム)の複数の特性又は属性(例えば、品質属性)を一斉に分析するために使用できる。個々の分子の特性又は属性を測定するために、質量分析計102は分子又はペプチドのサンプル110、例えば、本明細書に記載されているようなアイソフォームのサンプル又はそのアイソフォームの標準物質を受けることができる。質量分析計102は、受け取った分子のサンプルをイオンに変換して、サンプル分子のイオン化形態をフィルタにかけ、同定できるようにすることができる。
一般に、質量分析計は、イオン源と、質量分析部と、検出部と、を含む。例えば、イオン源114に関して、分子又はペプチドの少量サンプル(例えば、サンプル110)が、典型的には1つ又は複数のプロトンの添加によってカチオンへとイオン化される(151)。質量分析部116は、それらの質量及び電荷に応じてイオンを分別し、分離する(例えば、イオン152)。検出部(例えば、検出部140)は、分離されたイオンを測定し、結果を1つ又は複数のプロセッサを有する計算機(例えば、コンピューティングデバイス142)を介して、例えばチャート又はその他のレポートにより記録し、表示することができる。1つ又は複数のプロセッサは、MAM型機器100の一部とすることも、又は別のコンピューティングデバイス(例えば、コンピューティングデバイス142)の一部とすることもできる。
イオン152は、検出部140によって電子的に検出でき、イオン152は異なる強度を有し、それによって異なる、又は変化するイオン強度(すなわち、信号)を発生させ、それが検出部140により検出される。検出部140により検出されたイオン152は、例えばコンピューティングデバイス142の中で読み取られ、保存され、及び/又は分析されることが可能であり、検出されたイオンは電気情報(例えば、イオン読取り値のピークエリア等)を発生することができる。それゆえ、本明細書に記載されているように、MAM型機器100は、イオンの強度に関する情報を発生させることができる。イオン強度は、例えば2次元(2D)チャート、プロット、又は記録により表示でき、このようなチャートのマススペクトルのy軸は、イオンの信号強度を表すことができる。一般に、質量電荷(m/z)値はチャート、プロット、又は記録のx軸上で測定され、「m」は分子又は原子の質量数を指し、「z」はイオンの電荷数を指す。
それに加えて、レスポンスファクタは、MS情報から発生させられたイオン強度/信号の分析から特定できる。レスポンスファクタは、分子又はアイソフォームにより生成されたイオン強度(例えば、イオン152から特定される)とその信号を生成した分子又はアイソフォームの量との比と等しい可能性がある。レスポンスファクタ(例えば、k)とイオン強度(例えば、I)は、例えば表1に関して後でさらに説明する。
理解すべき点として、質量分析計を介した分子(例えば、アイソフォーム)のイオン化は、様々な方法で実現できる。図1の質量分析計の実施形態は1つのこのような方法で描かれ、説明されるが、理解すべき点として、何れの質量分析計又は質量分析を行う方法でも、本明細書に記載のシステム及び方法に使用できる。例えば、質量分析計102は、Orbitrap、TOF(飛行時間)、及び/又はシングル若しくは3連四重極質量分析計の機器類の何れを含むことも、又はその何れに基づくものとすることもできる。
コンピューティングデバイス142は、分子、アイソフォーム、標準物質、イオン、又は本明細書に記載のその他の情報を読み取り、保存し、又は分析するための1つ又は複数のプロセッサ及び/又は1つ又は複数のコンピュータメモリを含むことができる。コンピューティングデバイス142の1つ又は複数のプロセッサ及び/又は1つ又は複数のコンピュータメモリはまた、ランタイム信号強度校正を介してMAM分析の試験室間又は機器間のばらつきを縮小することに関して本明細書に記載されている機能、方法、フローチャート、又はその他の特徴の何れかを実装するためにも使用できる。それに加えて、又は代替的に、MAM型機器100は、コンピューティングデバイス142の1つ又は複数のプロセッサ及び/又は1又は複数のコンピュータメモリを含むことができ、これは、本明細書に記載されているように、ランタイム信号強度校正を介してMAM分析の試験室間又は機器間のばらつきを縮小することに関して本明細書に記載されている機能、方法、フローチャート、又はその他の特徴の何れかを実行するためにも使用できる。図1に示されるように、コンピューティングデバイス142は、MAM型機器100に直接(例えば、ユニバーサルシリアルバス(USB)ケーブル等のハードワイヤケーブル)、又はコンピュータネットワークを介して(私設又は公設の何れでもよく、例えばインターネットを介して)通信可能に連結でき、例えばイオン源114、質量分析部116、及び/又は検出部140の何れかを含む、質量分析計102の構成要素の何れかに通信可能に連結できる。
特に、MAM型機器100又はコンピューティングデバイス142の何れも、1つ又は複数のプロセッサのほか、1つ又は複数のコンピュータメモリを含むことができるコンピューティングデバイスとすることができる。メモリは、揮発性及び/又は不揮発性、固定及び/又はリムーバブルメモリの1つ又は複数の形態、例えばリードオンリメモリ(ROM)、エレクトロニックプログラマブルリードオンリメモリ(EPROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、イレーサブルエレクトロニックプログラマブルリードオンリメモリ(EEPROM)、及び/又はその他のハードドライブ、フラッシュメモリ、MicroSDカード、及びその他を含むことができる。メモリは、本明細書で論じられている機能を容易にすることのできるオペレーティングシステム(OS)(例えば、Microsoft Windows、Linux、Unix等)を記憶できる。メモリはまた、1つ又は複数のアプリケーション、1つ又は複数のソフトウェアコンポーネント、及び/又は1つ又は複数のアプリケーションプログミングインタフェース(API)を含む機械可読命令も記憶でき、これは、本明細書に記載されている特徴、機能、又はその他の開示、例えば各種のフローチャート、イラスト、図表、図面、及び/又は本明細書中のその他の開示について例示、図示、又は説明されている何れかの方法、プロセス、要素、又は限定を容易にし、又は実行するために実装可能である。例えば、アプリケーション、ソフトウェアコンポーネント、又はAPIのうちの少なくとも幾つかは、機械学習コンポーネント及び/又はサーチエンジン最適化コンポーネントであり、それを含み、それ以外にその一部とすることができ、各々が本明細書に記載の各種の機能を容易にするように構成される。1つ又は複数のその他のアプリケーションも想定可能であり、また、これはMAM型機器100又はコンピューティングデバイス142のプロセッサにより実行されると理解すべきである。
MAM型機器100又はコンピューティングデバイス142のプロセッサは、各種のフローチャート、イラスト、図表、図面、及び/又は本明細書のその他の開示について例示、図示、又は説明された機械可読命令、方法、プロセス、要素、又は限定を実装又は実行するために、MAM型機器100又はコンピューティングデバイス142のメモリに、電子データ、データパケット、又はそれ以外の電子信号をプロセッサ及びメモリへと、及びそこから伝送することを担当するコンピュータバスを介して接続できる。
MAM型機器100又はコンピューティングデバイス142のプロセッサは、コンピュータバスを介してメモリとインタフェースし、オペレーティングシステム(OS)を実行できる。プロセッサはまた、コンピュータバスを介してメモリとインタフェースし、MAM型機器100若しくはコンピューティングデバイス142のメモリ及び/又はMAM型機器100若しくはコンピューティングデバイス142のデータベース(例えば、Oracle、DB2、MySQL等の関係データベース又はMongoDB等のNoSQL系データベース)の中に保存されるデータを作り、読み出し、更新し、削除し、又はそれ以外にこれらにアクセスするか、それらと相互作用することもできる。メモリ及び/又はデータベースに保存されたデータは、本明細書に記載されているデータ又は情報の何れかの全部又は一部を含むことができ、これには例えば、1つ又は複数のサーチリクエスト、1つ又は複数のトランザクションの詳細、及びユーザのプロファイル情報が含まれる。
MAM型機器100又はコンピューティングデバイス142は、1つ又は複数の外部/ネットワークポートを介して、1つ又は複数のネットワーク又はローカル端末、例えば本明細書に記載のコンピュータネットワーク及び/又はコンピューティングデバイス142にデータを通信する(例えば、送信及び受信する)ように構成された通信コンポーネントをさらに含むことができる。幾つかの実施形態において、通信コンポーネントは、電子リクエストの受信とそれに対する応答を担当する、ASP.NET、Java J2EE、Ruby on Rails、Node.js、ウェブサービス、又はオンラインAPI等のクライアントサーバプラットフォームテクノロジを含むことができる。MAM型機器100又はコンピューティングデバイス142のプロセッサは、各種のフローチャート、イラスト、図表、図面、及び/又は本明細書のその他の開示について例示、図示、又は説明された機械可読命令、方法、プロセス、要素、又は限定を実装又は実行するために相互作用できるMAM型機器100又はコンピューティングデバイス142の通信コンポーネントを実装できる。幾つかの実施形態によれば、MAM型機器100又はコンピューティングデバイス142の通信コンポーネントは、IEEE標準、3GPP標準、又はその他の標準に従って可能する、及びMAM型機器100又はコンピューティングデバイス142の外部/ネットワークポートを介したデータの送受信において利用可能な1つ又は複数のトランシーバ(例えば、WWAN、WLAN、及び/又はWPANトランシーバ)を含み、又はこれと相互作用することができる。
MAM型機器100又はコンピューティングデバイス142は、管理者又はオペレータに情報を提示し、及び/又は管理者又はオペレータから入力を受信するように構成されたオペレータインタフェースをさらに含むか、実装できる。MAM型機器100又はコンピューティングデバイス142のオペレータインタフェースは、表示スクリーンを(例えば、コンピューティングデバイス142 106を介して)提供できる。MAM型機器100又はコンピューティングデバイス142の何れも、I/Oコンポーネント(例えば、ポート、容量式若しくは抵抗式タッチセンサ入力パネル、キー、ボタン、ライト、LED)も提供でき、これにはMAM型機器100又はコンピューティングデバイス142の何れかを介して直接アクセスするか、それに取り付けることができ、又はMAM型機器100又はコンピューティングデバイス142の端子を介して間接的にアクセスするか、それに取り付けることができる。幾つかの実施形態によれば、管理者又はオペレータは、MAM型機器100又はコンピューティングデバイス142のオペレータインタフェース及び/又はI/Oコンポーネントを介してサーバ102にアクセスし、情報を精査し、変更を行い、訓練データを入力し、及び/又はその他の機能を実行できる。
幾つかの実施形態において、MAM型機器100又はコンピューティングデバイス142の何れも、本明細書において論じられている機能を、「クラウド」ネットワークの一部として実行でき、又はそれ以外にクラウド内の他のハードウェア又はソフトウェアコンポーネントと通信して、本明細書に記載のデータ又は情報を送信、受信、又はそれ以外に分析することができる。
一般に、幾つかの実施形態によるコンピュータプログラム又はコンピュータ利用製品は、その中にコンピュータ可読プログラムコード又はコンピュータ命令が具現化されている、コンピュータが使用可能な記憶媒体又は、有形の非一時的コンピュータ可読媒体(例えば、標準的なランダムアクセスメモリ(RAM)、光ディスク、ユニバーサルシリアルバス(USB)ドライブ、又はその他)を含むことができ、コンピュータ可読プログラムコード又はコンピュータ命令は、各種のフローチャート、イラスト、図表、図面、及び/又は本明細書のその他の開示について例示、図示、又は説明された機械可読命令、方法、プロセス、要素、又は限定を容易にし、実装し、又は実行するために、MAM型機器100又はコンピューティングデバイス142のプロセッサ(例えば、メモリ内のそれぞれのオペレーティングシステムに関連して動作する)にインストールし、又はそれ以外にそれらによって実行されるようになすことができる。この点で、プログラムコードは、何れの所望のプログラム言語でも実装でき、マシンコード、アセンブリコード、バイトコード、解釈可能ソースコード又はその他として(例えば、Golang、Python、C、C++、C#、Objective-C、Java、Scala、Actionscript、Javascript、HTML、CSS、XML等を介して)実装できる。
図2は、本明細書で開示されている各種の実施形態による、ランタイム信号強度校正を介した第一のMAM型機器210及びMAM型機器260間のばらつきを縮小するための例示的なフロー図を示す。幾つかの実施形態において、第一のMAM型機器210と第二のMAM型機器260は、同じ試験室内に設置できる。他の実施形態において、第一のMAM型機器210と第二のMAM型機器260は、異なる試験室内に配置することもできる。例えば、第一のMAM型機器201は、第一の地理的場所の第一の試験室に位置付けることができ、第二のMAM型機器260は第二の地理的場所の第二の試験室に位置付けることができる。幾つかの実施形態において、第一のMAM機器210は、第二のMS機器に関連付けられる1つ又は複数のプロセッサに、図1について説明したようにコンピュータネットワークを介して通信可能に連結できる。
第一のMAM型機器210及び第二のMAM型機器260の各々は、図1のMAM型機器100について説明したものと同じ又は同様の方法で構成できる。したがって、図1の開示は第一のMAM型機器210及び/又は第二のMAM型機器260の何れにも同じに又は同様に当てはまる。それに加えて、第一のMAM型機器210と第二のMAM型機器260は各々、図1について説明したようなコンピューティングデバイス(例えば、コンピューティングデバイス142)を含むことができる。各種の実施形態において、第一のMAM型機器210及び第二のMAM型機器260は、図1について説明したように質量分析計(MS)機器であるか、それを含むことができる。他の実施形態において、第一のMAM型機器210及び第二のMAM型機器260は、3連四重極機器であるか、それを含むことができる。
図2の実施形態において、第一のMAM型機器210は、第一の検出部(例えば、図1に関して本明細書に記載されている検出部140)を含む。それに加えて、第一のMAM型機器210は、(1)第一の機器モデル、又は(2)第一の設定群により定義される第一の機器状態を有する。本明細書に記載のMAM型機器について、機器モデルは、MAM型機器がどのように分子、アイソフォーム、イオン、又は本明細書に記載のその他の関連情報を分析し、読み出し、又はそれ以外に報告するかを定義することができる。例えば、本明細書においては、図1のMAM型機器100について例示的な実施形態の機器モデル、又は分子をイオン化するための構成が説明されている。同様に、MAM型機器は、MAM型機器の設定群を含むことができ、これはそのMAM型機器がどのように動作するかに影響を与えることができる。例えば、設定は、MAM型機器がイオン化をどのように行うかを変更し、及び/又はイオンがどのように読み出され、又は検出、若しくはそれ以外に報告されるかの感度を変更できる。機器モデル又は機器設定の何れかの違いは、MAM型機器の動作の仕方が異なる原因となる可能性があり、これによってMAM型機器の分子、アイソフォーム、イオンの検出及び/又は読み出し方が異なる可能性がある。それゆえ、異なる機器モデル又は機器設定を有するMAM型機器は、異なる条件を有することができ、したがって、機器ごとに、及び/又はこのような異なる機器が存在する可能性のある試験室ごとに動作が異なり得る。
図2の実施形態において、第一のMAM型機器210は、第一のサンプル204(例えば、蛋白質分解ペプチドのサンプル)と標準物質202(例えば、蛋白質分解ペプチドの)を受けるように構成される。図2の実施形態において、第一のサンプル204の属性(例えば、品質属性)濃度は不明である。しかしながら、標準物質202の属性濃度は分かっており、したがって、校正用サンプルとして使用できる。例えば、標準物質は、特定の既知の化学組成を含む化学物質サンプルとすることができ、例えば、特定のロット番号を有するサンプル、すなわち「ロット」は、80%の存在量の第一の化学物質又は属性、10%の第二化学物質又は属性、及び様々な残りのパーセンテージの他の微量な化学物質又は属性を含むことができる。標準物質は、同じ化学物質又は組成の他の標準物質サンプルと同じ化学物質又は属性組成及び/又は同じ信号シグナチャ(例えば、図1について説明した質量分析計を介して検出可能)を有することができる。それゆえ、標準物質は品質管理の目的で使用でき、この場合、試験サンプル(例えば、第一のサンプル204及び/又は第二のサンプル254)が標準物質(例えば、標準物質202及び/又は標準物質252)と比較されて、試験サンプルと標準物質サンプル又はロットとの間の品質、数量、一貫性、偏差、及び/又は偏差が特定される。例えば、蛋白質、エポエチンアルファ(組換え体エリスロポエチン)(例えば、AmgenのEpogen(登録商標))は、品質管理策を講じるためのエポエチンの試験サンプルロットとの比較に使用できる標準物質ロットを有することができる。
図2について示されるように、第一のMAM型機器210に関して、標準物質202はサンプル204と平行して分析される。同様に、第二のMAM型機器260では、標準物質252は第二のサンプル254と平行して分析される。標準物質202及び252に関して、ほとんどの品質属性は各標準物質の寿命全体を通じて一定のままであり、したがって、機器間又はサンプル調製手順間の違い、例えば第一のMAM型機器210と第二のMAM型機器270との、及び/又は第一のMAM型機器210及び/又は第二のMAM型機器260を操作する試験室のアナリストにより実行されるサンプル調製手順間の状態の違いを補正するための共通の校正用サンプルとしての役割を果たす。
本明細書に記載されているように、標準物質を各ランでの校正用サンプルとして使用すること(例えば、標準物質202及び252は、校正用サンプルとして使用される同じ標準物質のサンプルとすることができる)の利点は、室間及び機器間再現性に関する従来のMAMに対する要求事項のほとんどを排除できることである。例えば、室間及び機器間再現性に関する前提は、次のように簡易化し、変更できる:(1)無修飾及び修飾ペプチドは、同じLC/MSシーケンス内で再現可能な回収率を有する(例えば、室間と対照的)、(2)無修飾及び修飾ペプチドは同じLC/MSシーケンス内で再現可能なMSレスポンスファクタを有する(例えば、同じレスポンスファクタと対照的)、(3)人工的に誘導された属性変化は無視できる。このような上記の要求事項は、従来の方法の要求事項と比較して満たしやすく、これは、室間再現性に関する要求事項のほとんどが同じLC/MSシーケンス内(例えば、同じ試験室、同じアナリスト、及び同じ日)内の再現可能性に緩和されるからである。
図2の実施形態において示されているように、第一のMAM型機器210は、その第一の検出部を介して、第一のサンプルからの第一のサンプルアイソフォームと標準物質からの第一の標準物質アイソフォームを検出するように構成される。蛋白質分解ペプチドに関して、蛋白質ベースのアイソフォームは蛋白質変異体とすることができ、これは同じ又は同様の生物学的役割を果たす、類似性の高い蛋白質群に含まれる。幾つかの実施形態において、第一のサンプルアイソフォームは、本明細書に記載の品質管理の目的のために使用される品質属性とすることができる。他の実施形態において、品質属性は、サンプル又はロットの品質を特定するための蛋白質又は同定された不純物、その他の尺度とすることができる。例えば、各種の実施形態において、品質属性は断片化、酸化、糖化、水酸化、配列変異体、異性化、脱アミノ化、C末端リジン、O結合型グリカン、及び/又はN結合グリカンにより定義できる。
第一のMAM型機器210は、1つ又は複数のプロセッサに関連付けることができる。1つ又は複数のプロセッサは、第一のMAM型機器210に含めることができ、又は例えば図1に関して記載されているように、第一のMAM型機器210に通信可能に連結されたコンピューティングデバイス(例えば、コンピューティングデバイス142)の一部とすることができる。
図2の実施形態において、第一のMAM型機器210に関連付けられる1つ又は複数のプロセッサは、第一のMAMイテレーションを介して、第一のサンプルアイソフォームに対応する第一の補正係数群を特定するように構成される。補正係数群の特定は、補正係数群の特定が第一のMAMイテレーションに関連付けられるように、第一のMAMイテレーションの前、最中、又は後に行うことができると理解されたい。さらに、補正係数群は、本明細書に記載されているように、1つの補正係数又は複数の補正係数を含むことができると理解されたい。図2の実施形態において、第一の補正係数群は標準物質202に基づく。この関係は、特定のアミノ酸残留物に関連付けられるn+1のアイソフォームに関する以下の等式(1)を介して表現でき、式中、aは第一の補正係数群を示し、I及びAは、標準物質202のイオン強度と属性存在量値を示す。
Figure 0007346464000001
それゆえ、標準物質(例えば、I及びAで表される)は校正用サンプルとして使用され、第一の補正係数群(例えば、a)はこれらの値から特定される。式(1)について示されているように、第一の補正係数群(例えば、a)は、第一の標準物質アイソフォームのイオン強度値(例えば、I 及びI )及び第一の標準物質アイソフォームの第一の標準物質存在量値(例えば、A 及びA )に基づく。下の表1は、式(1)について使用される、及び/又は本明細書の他の箇所で使用される各種の記号を説明する:
Figure 0007346464000002
式(1)は、標準物質の既知の属性存在量(A )に基づく強度校正(例えば、イオン強度校正)を行うために使用できる。
それに加えて、第一の補正係数群(例えば、a)は、第一のサンプル存在量値(例えば、A)群に関連付けられるレスポンスファクタ(k)を校正して、第一のサンプルアイソフォームのイオン強度値(I)を特定するために使用できる。これは、下の式(2)に示されている。一般に、イオン強度値は、図1について説明されているように、MS検出部140により検出されるピークエリアを表すことができる。以下に示すように、補正係数aは、存在量値(A)に適用されると、イオン強度係数Iの校正が行われることになるレスポンスファクタkを校正するために使用できる。これは、以下の式(2)に示され、そこから式(1)が導き出される:
Figure 0007346464000003
式(2)中、各アイソフォーム(i)のレスポンスファクタ(k)は、補正係数(a)により修正される。式aは標準物質(例えば、202)の補正後のレスポンスファクタを表し、akはサンプル(例えば、第一のサンプル204)の補正後のレスポンスファクタを表す。標準物質のレスポンスファクタ(k)は、サンプル調製のわずかな違いのほか、注入ごとの機器の感度の違い(例えば、試験室内のばらつき)によって、第一のサンプル204のレスポンスファクタ(k)とは異なる可能性がある。同様に、第一のサンプル204と第二のサンプル254との間にも同様に違いが導入されるか、発生する可能性がある(例えば、室間のばらつき)。式(2)に示されるように、幾つかの実施形態において、補正係数aは1に設定されて(a=1)、式(2)を解いて式(1)を導き出す。しかしながら、どのアイソフォームを一定の値(a=1)に設定するかは重要ではないと理解されたいが、しかしながら一般には、最大存在量のアイソフォームが設定され、これは通常、無修飾のアイソフォームである。
標準物質中の各属性の存在量値(A )は、従来のMAM方式又はより高精度の直交法の何れを用いても証明できる。絶対定量法が使用される場合、同じ属性のその後のMAM分析のすべてが、校正後、絶対定量となる。
式(1)及び(2)は、サンプル(例えば、第一のサンプル204)中の各アイソフォームiの存在量値(A)を計算するために使用できる。例えば、式(1)について示されているように、アイソフォームiの存在量値(A)は、補正係数(例えば、a)と各アイソフォームの信号強度(Ii)を含む値から特定される。
図2の実施形態において、第一のMAM型機器210に関連付けられる1つ又は複数のプロセッサはさらに、第一のサンプルアイソフォームに対応する第一のサンプル存在量値群(例えば、式(1)について示されているA)を特定するように構成でき、第一のサンプル存在量値群(例えば、式(1)について示されているA)は、第一の補正係数群(例えば、式(1)のa)に基づく。本明細書に記載されているように、存在量値はパーセンテージとして報告できる。式(1)について示されているように、第一のサンプル存在量値群(例えば、A)はさらに第一のサンプルアイソフォームのイオン強度値(例えば、式(1)のI)に基づく。
図2はまた、第二のMAM型機器260の校正も示している。第二のMAM型機器260は、第一のMAM型機器210を校正する(220)ために使用されたものと同じ標準物質(又は、同じ標準物質の異なるサンプル)を使って校正される(270)。このようにして、第二のMAM型機器260と第一のMAM型機器210のどちらも、レポート280を介して示すことのできるような一貫した結果を得る。第二のMAM型機器260は、同じ標準物質の使用(例えば、標準物質202及び標準物質252は同じ標準物質のサンプルである)を含めて、第一のMAM型機器210について説明したものと同じ又は同様の方法で構成され、校正されると理解されたく、それによって校正に関する本明細書中の開示(例えば、式(1)及び(2)を介することを含む)は、第二のMAM型機器260にも第一のMAM型機器210と同様に当てはまる。
第二のMAM型機器260は、第二の検出部(例えば、図1について本明細書に記載されている検出部140)を含む。図2の実施形態において、第二のMAM型機器260は、(1)第二の機器モデル、又は(2)第二の設定群のうちの少なくとも一方により定義される第二の機器状態を有する。本明細書に記載されているように、第二のMAM型機器260の第二の機器状態は、第一のMAM型機器210の第一の機器状態とは異なるようにすることができる。幾つかの実施形態において、第二の機器状態は第一の機器状態と異なるようにすることができ、それは、第二のMAM型機器260が第一のMAM型機器210の第一の機器モデルとは異なる第二の機器モデルを有することができるからである。他の実施形態において、第二の機器状態は第一の機器状態と異なるようにすることができ、それは、第二のMAM型機器260が第一のMAM型機器210の第一の設定群とは異なる第二の設定群を有することができるからである。
第二のMAM型機器260は、第二のサンプル254(例えば、蛋白質分解ペプチドのサンプル)と標準物質252(例えば、蛋白質分解ペプチドの)を受けるように構成される。標準物質252は、標準物質202について使用されているものと同じ標準物質の異なるサンプルとすることができる。第二のMAM型機器260はさらに、第二の検出部(例えば、図1について本明細書に記載されている検出部140)を介して、第二のサンプルからの第二のサンプルアイソフォーム(i)と標準物質からの第二の標準物質アイソフォームを検出するように構成される。幾つかの実施形態において、第一のサンプル、第二のサンプル、及び標準物質の各々は、第一のサンプルはある蛋白質分解ペプチドのものであり、第二のサンプルはその蛋白質分解ペプチドのものであり、標準物質はその蛋白質分解ペプチドのものであるように、共通の蛋白質分解ペプチドに関連付けられてよいと理解されたい。
第二のMAM型機器260は、1つ又は複数のプロセッサに関連付けられる。幾つかの実施形態において、1つ又は複数のプロセッサは、同じコンピューティングデバイス(例えば、コンピューティングデバイス142)の一部であり、第一のMAM型機器210に関連付けられる1つ又は複数のプロセッサは第二のMAM型機器260に関連付けられるものと同じ1つ又は複数のプロセッサである。他の実施形態において、1つ又は複数のプロセッサは、異なるコンピューティングデバイスの一部である。
第二のMAM型機器260に関連付けられる1つ又は複数のプロセッサは、第二のMAMイテレーションを介して、第二のサンプルアイソフォーム(i)に対応する第二の補正係数群(例えば、a)を特定するように構成される。補正係数群(例えばa)の特定は、補正係数群の特定が第二のMAMイテレーションに関連付けられるように、第二のMAMイテレーションの前、最中、又は後に行うことができると理解されたい。図2の実施形態において、第二の補正係数群(例えば、a)は標準物質252に基づいており、これは標準物質202のそれと同じ標準物質である。第二のMAM型機器260に関連付けられる1つ又は複数のプロセッサはさらに、第二のサンプルアイソフォームに対応する第二のサンプル存在量値群(例えば、A)を特定するように構成され、第二のサンプル存在量値群(例えば、A)は第二の補正係数群(例えば、a)に基づく。
本明細書に記載されている共通の標準物質202及び252により校正された第一のMAM型機器210と第二のMAM型機器260の各々について特定された補正係数に基づいて、測定のばらつきは、第一のMAM型機器210と第二のMAM型機器260との間で、同じサンプルを両方の機器で分析すれば縮小できる。ばらつきの縮小は、レポート280の一貫したMAM結果を介して実証できる。例えば、第一のサンプル存在量値群(例えば、A)と第二のサンプル存在量値群(例えば、A)から特定された分散値は、本明細書に記載されているように、第一のMAM型機器210の第一の補正係数群(例えば、a)と第二のMAM型機器260の第二の補正係数群(例えば、a)を適用することに基づいて縮小できる。本明細書に気際されているように、幾つかの場合において、第一のサンプル存在量値群と第二のサンプル存在量値群との分散値は、少なくとも25パーセント縮小され得る。
それゆえ、図2について例示されているように、サンプル204及び254並びに共通の標準物質(例えば、202及び252)は、それぞれ第一のMAM型機器210及び第二のMAM型機器260の校正(220及び270)と平行して分析できる。このようにして、サンプル中の各品質属性の濃度を報告するレポート280は、標準物質(例えば、202及び252)における既知の濃度を使って作成し、異なる機器、例えば本明細書に記載されているように異なる状態を有する機器を用いた場合でも一貫した結果を得ることができる。例えば、第一のMAM型機器210及び第一のMAM型機器216の各々は、アイソフォーム及び/又は品質属性を含む、又はそれ以外にそれについて記載し、若しくは報告するレポート(例えば、レポート280)を生成するように構成できる。例えば、レポート280は、チャートとして報告される情報又はデータを含むことができ、また、図1に関して記載されているように、例えばレスポンスファクタ、ピークエリア、又はその他の情報等のデータ又は情報を含むことができる。各種の実施形態において、レポート280は、本明細書に記載されているように、標準物質202又は252を使用した校正(220又は270)の後に生成できる。
図3は、本明細書で開示されている各種の実施形態による、ランタイム信号強度校正を介して複数の期間に関するMAM型機器(例えば、MAM型機器100)のばらつきを縮小するための方法300を示す。図3のMAM型機器は、標準物質の使用を含め、図2の第一のMAM型機器210について説明されたものと同じ又は同様の方法で構成され及び校正され、校正に関する本明細書の開示(例えば、式(1)及び(2)を介するものを含む)は、図3のMAM型機器にも等しく当てはまると理解されたい。しかしながら、図3に関して、同じMAM型機器は異なる期間にわたり(例えば、異なるラン、異なるMAMイテレーション、及び/又は異なる日、時間、等にわたり)使用される。図3のMAM型機器は、図1のMAM型機器100について説明したように構成できる。
方法300は、ブロック304で始まり(302)、図3のMAM型機器は、第一の期間について、第一のサンプル(例えば、サンプル204であり、これは蛋白質分解ペプチドのものであってよい)と標準物質(例えば、標準物質202であり、これは蛋白質分解ペプチドのものであってよい)を受けることができる。
ブロック306で、MAM型機器は、検出部(例えば、検出部140)を介して、第一の期間について、第一のサンプルからの第一のサンプルアイソフォーム(i)と標準物質からの第一の標準物質アイソフォームを検出できる。
ブロック308で、1つ又は複数のプロセッサ(例えば、図1について説明した1つ又は複数のプロセッサ)は、第一の期間の第一のMAMイテレーションを介して、第一のサンプルアイソフォーム(i)に対応する第一の補正係数群(例えば、a)を特定するように構成でき、第一の補正係数群(例えば、a)は標準物質に基づく。
ブロック310で、1つ又は複数のプロセッサはまた、第一の期間の第一のMAMイテレーションを介して、第一のサンプルアイソフォーム(i)に対応する第一のサンプル存在量値群(例えば、A)を特定するように構成できる。第一のサンプル存在量値群は、第一の補正係数群(例えば、a)に基づくことができる。MAM型機器は、第一の期間にわたり、第一の設定群により定義される第一の機器状態を有することができる。第一の機器状態は、図2について説明したものと同じ又は同様とすることができる。
ブロック312で、MAM型機器は、第二の期間について、第二のサンプル(例えば、蛋白質分解ペプチドのものであってよい)と標準物質(例えば、蛋白質分解ペプチドのものであってよい)を受けることができる。
ブロック314で、MAM型機器は、検出部(例えば、検出部140)を介して、第二の期間について、第二のサンプルからの第二のサンプルアイソフォーム(i)と標準物質からの第二の標準物質アイソフォームを検出できる。
ブロック316で、1つ又は複数のプロセッサは、第二の期間の第二のMAMイテレーションを介して、第二のサンプルアイソフォームに対応する第二の補正係数群を特定するように構成でき、第二の補正係数群は、標準物質に基づく。
ブロック318で、1つ又は複数のプロセッサは、第二の期間の第二のMAMイテレーションを介して、第二のサンプルアイソフォームに対応する第二のサンプル存在量値群を特定するように構成できる。第二のサンプル存在量値群は、第二の補正係数群に基づくことができる。MAM型機器は、第二の期間にわたり、第二の設定群により特定される第二の機器状態を有することができる。第一の期間についてのMAM型機器の第二の機器状態は第二の期間についてのMAM型機器の第二の機器状態と異なるようにすることができる。
各期間について特定された補正係数に基づいて、第一の期間と第二の期間についてのMAMイテレーション間の測定のばらつきを縮小できる。例えば、第一のサンプル存在量値群と第二のサンプル存在量値群との分散値は、第一のMAM型機器の第一の補正係数群と第二のMAM型機器の第二の補正係数群とに基づいて縮小できる。
図4a及び4bの実施形態は、本明細書中で説明するように、本明細書で開示されるばらつき縮小及び校正を用いた蛋白質P1の分析を示している。P1は、分子の一部分に2つのO結合グリコシル化部位を含み、6種類のグリコフォーム(アイソフォーム)を有し、その各々が本明細書で図4bに示されている。図4a及び4bのそれぞれ図表400及び450は、P1サンプルがその標準物質と共に、異なる試験室アナリストによって、例えば各々ThermoFisher Scientific社(San Jose,CA)により製造されたQ Exactive(商標)BioPharma Platformという機器及び2つのExactive(商標)Plus Orbitrap Mass Spectrometerという機器を含む異なるLC/MS機器を使って分析されることによって作成された。すべてのデータを、ThermoFisher Scientific社により提供されるChromeleon(商標)ソフトウェアで処理し、関心対象の各ペプチドのピークエリアを特定した。図4a及び4bの各グリコフォームについて示されている存在量値(例えば、A)は、従来のMAMイテレーション(402)のほか、新規方式により校正されたMAMイテレーション(404)を使って定量化した。新規方式により校正されたMAM手順(404)は、本明細書に記載されているランタイム信号強度校正を介してマルチ特性分析(MAM)の試験室間又は機器間のばらつきを縮小する校正技術に基づく。P1標準物質中の各属性の存在量値(例えば、A )を得るために、P1標準物質を従来のMAMイテレーション(402)で6回分析し、6回の測定の平均値をその標準物質中の既知の存在量として使用した。
図4aは、6回の例示的なMAMイテレーションにわたる、あるアイソフォームに関する存在量値(例えば、Ai)の機器間/試験室間のばらつきの縮小を表す略図400を示す。例えば、図表400のy軸410yは存在量値(例えば、A)をパーセンテージで示す。図表400のx軸410xは、従来のMAMイテレーション(402)を使用して特定された従来のサンプル存在量値を、本明細書中で開示されている各種の実施形態について記載された新規方式により校正されたMAMイテレーション(404)を使って特定された校正済み存在量値と比較する、6つの例示的なMAMイテレーション1~6を示す。例えば、MAMイテレーション1~6は、異なるMAM機器(例えば、図2について説明されている第一のMAM機器210及び第二のMAM型機器260)上で実行されるMAMイテレーションとすることができ、又はMAMイテレーション1~6は、同じMAM機器上で異なる期間にわたり実行された(例えば、図3について記載したとおり)MAMイテレーションとすることができる。
具体的には、図4aの実施形態において、図表400は、従来のMAMイテレーション(402)及び新規方式により校正されたMAMイテレーション(404)の両方を使って特定されたグリコフォーム(アイソフォーム)の測定された存在量値(例えば、A)を示す。特に、図表400のグリコフォームは、第二コアシアル酸(SA)である。x軸410x上に示されるイテレーション1~3は、第一のMAM型機器、すなわち第一の機器、Exactive(商標)Plus Orbitrap Mass Spectrometer上で測定された。x軸410x上に示されるイテレーション4~6は、異なる第二のMAM型機器、すなわち異なる機器、Exactive(商標)Plus Orbitrap Mass Spectrometer上で測定された。図表400に示されるように、新規方式により校正されたMAM手順(404)を使用した各イテレーション1~6にわたる存在量値(例えば、A)の機器間のばらつきは、従来のMAM手順(402)を使用する各イテレーション1~6にわたる存在量値のばらつきと比較して有意に縮小されている。換言すれば、新規方式により校正されたMAM手順(404)を使った各イテレーション1~6にわたる存在量値(例えば、A)の機器間の一貫性は、従来のMAM手順(402)を使用した各イテレーション1~6にわたる存在量値のばらつきと比較して、有意に向上している。
図4bは、本明細書で開示されている各種の実施形態による、図4aのアイソフォームを含む、6つの例示的アイソフォームに関する機器間/室間のばらつきの縮小を表す図表を示す。図表450のy軸460yは、室内再現精度の相対標準偏差(RSD)をパーセンテージで示す。RSDは、存在量値(例えば、A)と相関される。特に、RSDの縮小は存在量値のばらつきの縮小を示す。
図表400のx軸460xは、6つの例示的なアイソフォーム(1HexNAc、1コア、1SA、2SA、第二コアSA、及びアグリコ)を示す。第二コアSAアイソフォームの分析は、本明細書に記載されている図4aについて示される。図4bは、6つのアイソフォームの各々の相対標準偏差(RSD)(例えば、グリコフォーム)における縮小パーセンテージを示しており、これは従来のMAMイテレーション(402)を新規方式により校正されたMAMイテレーション(404)と比較したときに示されている。6つのアイソフォームの各々は、あるサンプル(例えば、P1)のロットの品質管理のために試験する品質属性として使用できる。したがって、同じサンプルの測定間の一貫性(すなわち、ばらつき/偏差の縮小)が重要である。図4bの図表450により示されるように、新規方式により校正されたMAMイテレーション(404)では、P1グリコフォームが異なる機器で測定されたとしても、最大25%から最小5%まで、RSDはかなりの量だけ減少している(例えば、2~3分の1)。
図5a及び5bの実施形態は、本明細書に記載されているように、第二の蛋白質P2の属性の分析を示している。特に、図5a及び5bの図表500及び550に関して、P2の標準物質は40℃で4週間インキュベートした。その後、このストレスサンプルの20%をP2標準物質にスパイクして、試験サンプルを作った。この試験サンプルをP2標準物質及びストレスサンプルの両方と共に、トリプシンを用いて2種つの異なるプロトコルで消化し、各々の消化物を、カラム、移動相、及び勾配の異なる2種類のLC/MS機器で3回分析した。Thermo Q Exactive(商標)BioPharma Platformという機器を第一のMAM型機器として使用し、Orbitrap Fusion(商標)Lumos(商標)Tribrid(商標)Mass Spectrometer(ThermoFisher Scientific)を第二のMAM型機器として使用した。P2標準物質は、第一のMAM型機器上で6回分析し、各属性の測定された存在量値の平均を標準存在量値として使用した。結果として得られたデータと情報のすべてを分析して、各ペプチドアイソフォームのピークエリア及び関連する存在量値を得た。
それに加えて、図5a及び5bに関して、P2の57の品質属性を分析した。例えば、57の品質属性には、断片化、酸化、糖化、水酸化、配列変異体、異性化、脱アミド、C末端リシン、O結合グリカン、及びN結合グリカンが含まれる。品質属性は、0.005%~5%と広い範囲の存在量値にわたっていた。
図5aは、12の例示的なMAMイテレーションにわたる存在量値(例えば、A)の機器間/試験室間のばらつきの縮小を表す図表500を示す。例えば、図表500のy軸510yは、存在量値(例えば、A)をパーセンテージで示す。図表500のx軸510xは、12の例示的なMAMイテレーション1~12を示しており、これは従来のMAMイテレーション(402)を用いて特定された従来のサンプル存在量値を、本明細書で開示されている各種の実施形態について説明した新規方式により校正されたMAMイテレーション(404)を用いて特定された校正後の存在量値と比較している。例えば、MAMイテレーション1~12は、異なる機器(例えば、図2について説明した第一のMAM型機器210と第二のMAM型機器260)を使って行われたMAMイテレーションとすることができ、又はMAMイテレーション1~12は、同じMAM機器で異なる期間を用いて行われたMAMイテレーション(図3について説明したとおり)とすることができる。
具体的には、図5aの実施形態において、図表500は、従来のMAMイテレーション(402)と新規方式により校正されたMAMイテレーション(404)の両方を使って特定されたK117 水酸化に関する存在量測定値(例えば、A)を示す。特に、図表500は、2つの消化プロトコル及び2つのLC/MS機器を使って各々3回測定されたK117水酸化の存在量測定値を示す。MAMイテレーション1~3及び7~9は消化プロトコル1により、ラン4~6及び10~12は消化プロトコル2による。MAMイテレーション1~6は、Thermo Q Exactive(商標)BioPharma Platformという機器で実行され、MAMイテレーション7~12は、Orbitrap Fusion(商標)Lumos(商標)Tribrid(商標)Mass Spectrometerで実行された。図500に示されるように、新規方式により校正されたMAM手順(404)を用いたMAMイテレーション1~12のすべてにわたる存在量値(例えば、A)の機器間のばらつきは、従来のMAM手順(402)を使用したMAMイテレーション1~12にわたる存在量値のばらつきと比較して、有意に縮小している。換言すれば、新規方式により校正されたMAM手順(404)を使用した各MAMイテレーション1~12にわたる存在量値(例えば、A)の機器間一貫性は、従来のMAM手順(402)を使用したMAMイテレーション1~12の各々にわたる存在量値のばらつきと比較して、有意に向上している。それゆえ、図5aは、2種類の機器モデルに関するK117 水酸化の存在量測定値を示している。従来のMAM手順(402)により、2種類のMAM型機器で得られた存在量値のばらつきは異なっていた。しかしながら、新規方式により校正されたMAM手順(404)では、2種類のMAM型機器間で一貫した存在量値が提供された。
図5bは、本明細書で開示される各種の実施形態による57の品質属性の機器間/試験室間偏差の縮小を表す図表を示す。図5aのK117水酸化は、図5bの57の品質属性の1つである。図表550のy軸560yは、室内再現精度RSDをパーセンテージで示す。図表550のx軸560xは57の品質属性を示し、そのうちK117水酸化は1つのそのような品質属性である。57の品質属性の各々が、従来のMAM手順(402)と新規方式により校正されたMAM手順(404)を使って特定された。図5bの図表550は、従来のMAM手順(402)を用いた品質属性のRSDは一般に、3~50%の範囲であるのに対し、新規方式により校正されたMAM手順(404)を使用した品質属性のRSDは、ほとんどの品質属性について20%未満に縮小していることを示しており、それゆえ、本明細書で開示されている各種の実施形態によるランタイム信号強度校正を介したばらつきの縮小を示している。
本明細書に記載されているように、ランタイム信号強度校正を介したMAM型機器のばらつきの縮小は、質量分析計にとっての利点を生じさせる(例えば、図2について説明したとおり)。例えば、本明細書に記載されているように、レスポンスファクタ(例えば、a)の校正により、異なるペプチドアイソフォームのレスポンスファクタ(k)が同じなければならないという要求事項が排除される。この技術は、MAMを目的とする他の種類の機器にも適用できる。例えば、従来の方法の場合、トリプル四重極機器での選択反応モニタリング(SRM)は、ペプチドアイソフォーム間の断片化効率が異なる可能性があるため、MAMの目的には効果がない。しかしながら、本明細書に記載されている新規方式により校正されたMAM手順によれば、トリプル四重極機器上でMAMを行うことが可能となり、これは、トリプル四重極機器の精度、直線性、及びダイナミックレンジがよりよいことから、オービトラップ機器を使用する場合より有利である可能性がある。このような実施形態においては、しかしながら、標準物質中の各属性の濃度を、まず高分解能機器で証明する必要があり得る。
本明細書の開示は、多数の異なる実施形態の詳細な説明を示しているが、理解すべき点として、説明の法的範囲は本特許の末尾に示される特許請求項の文言及びその均等物によって定義される。詳細な説明は例示にすぎないと解釈されたく、考え得るすべて実施形態を説明することは非現実的であるため、考え得るすべての実施形態を説明しているのではない。現在の技術又は本特許の出願日以降に開発される技術の何れかを使用して、様々な代替的実施形態を実施でき、これらも依然として特許請求項の範囲に含まれる。
以下の追加の考察は、上述の説明にも当てはまる。本明細書全体を通じて、複数のインスタンスが、1つのインスタンスとして説明された構成要素、動作、又は構造を実装することもできる。1つ又は複数の方法の個々の動作が別の動作として図示され、説明されているが、個々の動作のうちの1つ又は複数を同時に実行することもでき、動作を図示された順序で行わなければならないとは要求されていない。例示的な構成の中で別々の構成要素として提示されている構造と機能は、組合せの構造又は構成要素としても実装できる。同様に、1つの構成要素として提示示された構造と機能は、別の構成要素としても実装できる。これら及びその他の変更、改良、追加、及び改善も、本明細書の主旨の範囲に含まれる。
さらに、特定の実施形態は、本明細書の中で、ロジック又は複数のルーチン、サブルーチン、応用、又は命令を含むと説明されている。これらは、ソフトウェア(例えば、機械可読媒体上、若しくは伝送信号の中に埋め込まれたコード)又はハードウェアの何れを構成することもできる。ハードウェアの中で、ルーチン等は特定の動作を実行できる有形ユニットであり、特定の方法で構成又は配置できる。例示的な実施形態において、1つ若しくは複数のコンピュータシステム(例えば、スタンドアロン、クライアント、又はサーバコンピュータシステム)又はあるコンピュータシステムの1つ若しくは複数のハードウェアモジュール(例えば、プロセッサ若しくはプロセッサ群)は、ソフトウェアによって、本明細書に記載の特定の動作を行うように動作するハードウェアモジュールとして構成できる。
本明細書に記載の例示的な方法の各種の動作は、少なくとも部分的に、関係する動作を実行するように一時的に構成された(例えば、ソフトウェアによる)、又は永久的に構成された1つ又は複数のプロセッサにより実行できる。一時的に構成されているか永久的に構成されているかを問わず、このようなプロセッサは1つ又は複数の動作又は機能を実行するように動作するプロセッサ実装モジュールを構成できる。本明細書で言及されるモジュールとは、幾つかの例示的実施形態において、プロセッサ実装モジュールを含む。
同様に、本明細書に記載されている方法又はルーチンは、少なくとも部分的に、プロセッサにより実装できる。例えば、方法の動作のうちの少なくとも幾つかは、1つ又は複数のプロセッサ若しくはプロセッサ実装ハードウェアモジュールにより実行できる。動作の特定部分の実行は、1つのマシン内にあるものだけでなく、複数のマシンにわたって展開されている1つ又は複数のプロセッサに分散させることができる。幾つかの例示的な実施形態において、1つ又は複数のプロセッサは、1か所に配置できるが、他の実施形態では、プロセッサは複数の場所に分散させることができる。
動作の特定の部分の実行は、1つのマシン内にあるものだけでなく、複数のマシンにわたって展開されている1つ又は複数のプロセッサに分散させることができる。幾つかの例示的な実施形態において、1つ又は複数のプロセッサ又はプロセッサ実装モジュールは、1つの地理的場所に(例えば、家庭環境、オフィス環境、又はサーバファーム内)配置できる。他の実施形態では、1つ又は複数のプロセッサ又はプロセッサ実装モジュールは、複数の地理的場所に分散させることができる。
この詳細な説明は、例示にすぎないと解釈されたく、考え得るすべて実施形態を説明することは、不可能ではないとしても、非現実的であるため、考え得るすべての実施形態を説明しているのではない。当業者であれば、現在の技術か本明細書の出願日以降に開発される技術の何れかを使って、様々な代替的実施形態を実施できる。
当業者であれば、上述の実施形態に関して、本発明の範囲から逸脱せずに様々な改良、変更、及び組合せを行うことができ、かかる改良、変更、及び組合せも、発明的概念の範囲の中に含まれるとみなされることが分かるであろう。
本特許出願の末尾の特許請求の範囲は、伝統的なミーンズプラスファンクションの文言が明記されていないかぎり、例えば「~のための手段(means for)」又は「~のためのステップ(step for)」等の文言が特許請求項中に明記されていないかぎり、米国特許法第112条(f)に基づいて解釈されることは意図されていない。本明細書に記載のシステム及び方法は、コンピュータの機能の改善に関しており、従来のコンピュータの機能を改善する。
態様
本開示の以下の態様は例示的にすぎず、本開示の範囲を限定しようとするものではない。
1.ランタイム信号強度校正を介してマルチ特性分析(MAM)の試験室間又は機器間のばらつきを縮小するように構成された校正システムであって、校正システムは、第一の検出器を含む第一のMAM型機器であって、(1)第一の機器モデル、又は(2)第一の設定群のうちの少なくとも一方により定義される第一の機器状態を有し、第一のサンプルと標準物質を受けるように構成され、また、第一の検出器を介して、第一のサンプルからの第一のサンプルアイソフォームと標準物質からの第一の標準物質アイソフォームを検出するようにさらに構成された第一のMAM型機器と、第一のMAM型機器に関連付けられる1つ又は複数のプロセッサであって、第一のMAMイテレーションを介して、第一のサンプルアイソフォームに対応する第一の補正係数群を特定するように構成され、第一の補正係数群は標準物質に基づいており、及び、第一のMAM型機器に関連付けられる1つ又は複数のプロセッサは、第一のサンプルアイソフォームに対応する第一のサンプル存在量値群を特定するようにさらに構成され、第一のサンプル存在量値群は第一の補正係数に基づく、第一のMAM型機器に関連付けられる1つ又は複数のプロセッサと、第二の検出器を含む第二のMAM型機器であって、(1)第二の機器モデル又は(2)第二の設定群のうちの少なくとも一方により定義される第二の機器状態を有し、第二の機器状態は第一の機器状態と異なり、第二のサンプルと標準物質を受けるように構成され、及び、第二の検出器を介して、第二のサンプルからの第二のサンプルアイソフォームと標準物質からの第二の標準物質アイソフォームを検出するようにさらに構成される第二のMAM型機器と、第二のMAM型機器に関連付けられる1つ又は複数のプロセッサであって、第二のMAMイテレーションを介して、第二のサンプルアイソフォームに対応する第二の補正係数群を特定するように構成され、第二の補正係数群は標準物質に基づいており、及び、第二のMAM型機器に関連付けられる1つ又は複数のプロセッサは、第二のサンプルアイソフォームに対応する第二のサンプル存在量値群を特定するようにさらに構成され、第二のサンプル存在量値群は第二の補正係数に基づく、第二のMAM用機器に関連付けられる1つ又は複数のプロセッサと、を含み、第一のサンプル存在量値群と第二のサンプル存在量値群との分散値は、第一の補正係数群と第二の補正係数群とに基づいて縮小される校正システム。
2.第一のMS機器に関連付けられる1つ又は複数のプロセッサは、第一のMAMイテレーションを介して、品質属性を特定する、態様1による校正システム。
3.品質属性は、第一のサンプルアイソフォーム、蛋白質、又は同定された不純物のうちの何れかの1つである、態様2による校正システム。
4.品質属性は、断片化、酸化、糖化、水酸化、配列変異体、異性化、脱アミノ、C末端リシン、O結合グリカン、又はN結合グリカンのうちの何れか1つ又は複数を定義する、態様2又は態様3の何れかによる校正システム。
5.第一のMS機器に関連付けられる1つ又は複数のプロセッサは、品質属性を含むレポートを生成するように構成される、態様1~4の何れか1つによる校正システム。
6.第一の機器モデルは第二の機器モデルと異なる、態様1~5の何れか1つによる校正システム。
7.第一の設定群は第二の設定群と異なる、態様1~6の何れか1つによる校正システム。
8.第一の補正係数群は第一の標準物質アイソフォームのイオン強度値及び第一の標準物質アイソフォームの第一の標準物質存在量値に基づく、態様1~7の何れか1つによる校正システム。
9.第一の補正係数群は、第一のサンプル存在量値群に関連付けられるレスポンスファクタを校正して、第一のサンプルアイソフォームのイオン強度値を特定する、態様1~8の何れか1つによる校正システム。
10.第一のサンプル存在量値群はさらに、第一のサンプルアイソフォームのイオン強度値に基づく、態様1~9の何れか1つによる校正システム。
11.第一のMAM型機器は質量分析計(MS)機器である、態様1~10の何れか1つによる校正システム。
12.第一のMAM型機器はトリプル四重極機器である、態様1~11の何れか1つによる校正システム。
13.第一のMS機器に関連付けられる1つ又は複数のプロセッサは、第二のMS機器に関連付けられる1つ又は複数のプロセッサに、コンピュータネットワークを介して通信可能に連結される、態様1~12の何れか1つによる校正システム。
14.第一のMAM型機器に関連付けられる1つ又は複数のプロセッサは、第二のMAM型機器に関連付けられる1つ又は複数のプロセッサである、態様1~13の何れか1つによる校正システム。
15.第一のMAM型機器は第一の地理的場所の第一の試験室にあり、第二のMAM型機器は第二の地理的場所の第二の試験室にある、態様1~14何れか1つによる校正システム。
16.ランタイム信号強度校正を介してマルチ特性分析(MAM)の試験室間又は機器間のばらつきを縮小するための校正方法であって、校正方法は、第一の検出器を含む第一のMAM型機器において、第一のサンプルと標準物質を受けるステップと、第一の検出器を介して、第一のサンプルからの第一のサンプルアイソフォームと標準物質からの第一の標準物質アイソフォームを検出するステップと、第一のMAM型機器に関連付けられる1つ又は複数のプロセッサを介して、第一のMAMイテレーションについて、第一のサンプルアイソフォームに対応する第一の補正係数群を特定するステップであって、第一の補正係数群は標準物質に基づくステップと、第一のMAM型機器に関連付けられる1つ又は複数のプロセッサを介して、第一のサンプルアイソフォームに対応する第一のサンプル存在量値群を特定するステップであって、第一のサンプル存在量値群は第一の補正係数に基づいており、第一のMAM型機器は、(1)第一の機器モデル又は(2)第一の設定群の少なくとも一方により定義される第一の機器状態を有するステップと、第二の検出器を含む第二のMAM型機器において、第二のサンプルと標準物質を受けるステップと、第二の検出器を介して、第二のサンプルからの第二のサンプルアイソフォームと標準物質からの第二の標準物質アイソフォームを検出するステップと、第二のMAM型機器に関連付けられる1つ又は複数のプロセッサを介して、第二のMAMイテレーションについて、第二のサンプルアイソフォームに対応する第二の補正係数群を特定するステップであって、第二の補正係数群は標準物質に基づくステップと、第二のMAM型機器に関連付けられる1つ又は複数のプロセッサを介して、第二のサンプルアイソフォームに対応する第二のサンプル存在量値群を特定するステップであって、第二のサンプル存在量値群は第二の補正係数に基づいており、第二のMAM型機器は、(1)第二の機器モデル又は(2)第二の設定群の少なくとも一方により定義される第二の機器状態を有するステップと、を含み、第二の機器状態は第一の機器状態と異なり、第一のサンプル存在量値群と第二のサンプル存在量値群との分散値は、第一の補正係数群と第二の補正係数群とに基づいて縮小される校正方法。
17.ランタイム信号強度校正を介して、複数の期間についてのMAM型機器のばらつきを縮小するための校正方法であって、校正方法は、MAM型機器において、第一の期間について、第一のサンプルと標準物質を受けるステップと、MAM型機器の検出器を介して、第一の期間について、第一のサンプルからの第一のサンプルアイソフォームと標準物質からの第一の標準物質アイソフォームを検出するステップと、1つ又は複数のプロセッサを介して、第一の期間の第一のMAMイテレーションについて、第一のサンプルアイソフォームに対応する第一の補正係数群を特定するステップであって、第一の補正係数は標準物質に基づくステップと、1つ又は複数のプロセッサを介して、第一の期間の第一のMAMイテレーションを介して、第一のサンプルアイソフォームに対応する第一のサンプル存在量値群を特定するステップであって、第一のサンプル存在量値群は第一の補正係数群に基づいており、MAM型機器は、第一の期間にわたり、第一の設定群により定義される第一の機器状態を含むステップと、MAM型機器において、第二の期間について、第二のサンプルと標準物質を受けるステップと、MAM型機器の検出器を介して、第二の期間について、第二のサンプルからの第二のサンプルアイソフォームと標準物質からの第二の標準物質アイソフォームを検出するステップと、1つ又は複数のプロセッサを介して、第二の期間の第二のMAMイテレーションについて、第二のサンプルアイソフォームに対応する第二の補正係数群を特定するステップであって、第二の補正係数群は標準物質に基づくステップと、1つ又は複数のプロセッサを介して、第二の期間の第二のMAMイテレーションを介して、第二のサンプルアイソフォームに対応する第二のサンプル存在量値群を特定するステップであって、第二のサンプル存在量値群は第二の補正係数群に基づいており、MAM型機器は、第二の期間にわたり、第二の設定群により定義される第二の機器状態を含むステップと、を含み、第二の機器状態は第一の機器状態と異なり、第一のサンプル存在量値群と第二のサンプル存在量値群との分散値は、第一の補正係数群と第二の補正係数群とに基づいて縮小される校正方法。
18.1つ又は複数のプロセッサは品質属性を特定する、態様17による校正方法。
19.品質属性は、第一のサンプルアイソフォーム、第二のサンプルアイソフォーム、蛋白質、又は同定された不純物のうちの何れか1つである、態様18による校正方法。
20.1つ又は複数のプロセッサは、品質属性を含むレポートを生成するように構成される、態様17~19の何れか1つによる校正方法。
21.第一のサンプル存在量値群と第二のサンプル存在量値群との分散値は少なくとも25%縮小される、態様1による校正システム。
22.第一のサンプル存在量値群と第二のサンプル存在量値群との分散値は少なくとも25%縮小される、態様16による校正方法。
23.第一のサンプル存在量値群と第二のサンプル存在量値群との分散値は少なくとも25%縮小される、態様17による校正方法。
24.第一のサンプルは蛋白質分解ペプチドのものであり、第二のサンプルは蛋白質分解ペプチドのものであり、標準物質は蛋白質分解ペプチドのものである、態様1による校正システム。
25.第一のサンプルは蛋白質分解ペプチドのものであり、第二のサンプルは蛋白質分解ペプチドのものであり、標準物質は蛋白質分解ペプチドのものである、態様16による校正方法。
26.第一のサンプルは蛋白質分解ペプチドのものであり、第二のサンプルは蛋白質分解ペプチドのものであり、標準物質は蛋白質分解ペプチドのものである、態様17による校正方法。
追加の開示
本明細書に記載されているように、新規の校正システム及び方法は、校正用サンプルとしての標準物質中の各属性の既知の存在量を用いて、各属性の存在量を特定するために提供される。標準物質中のほとんどの品質属性は、標準の寿命全体を通じて一定のままであり、したがって、機器間又はサンプル調製手順の違いを補正するための校正用サンプルとしての役割を果たすことができる。標準物質データは通常、典型的なMAM方法において同定及びシステム適性目的のために収集されるため、アナリストによる追加の作業は不要である。この方法により、一貫した機器モデルはもはや要求事項ではなくなる。同時に、試験室間の消化手順のわずかな変化のほか、自動化を通じた変化は、アッセイの結果に大きな影響を与えない。
属性の分類
ある属性の存在量がサンプル調製中に変化するか否かに基づいて、MAMの目的のために、各属性は、属性タイプ1、属性タイプ2、及び属性タイプ3を含む3つの種類のうちの1つに分類される。
属性タイプ1は、サンプル調製中に変化しない。例には、配列変異体、リシン、及びプロピン水酸化等が含まれる。サンプルがサンプル調製中に極端に低いpHにさらされない場合、ほとんどのグリコシル化はこのグループに分類できる。
属性タイプ2は、サンプル調製中に存在量が減少することがある。例には、修飾の不安定性から、リン酸化が含まれる。属性タイプ2の反応(例えば、リン酸化の損失)基質は通常、微量成分(例えば、リン酸化ペプチド)であるため、サンプル調製中の属性タイプ2の最大変化は小さい。特別な属性タイプ2は、残りのN末端グルタミンである。蛋白質のN末端がグルチミン残基である場合、これは通常、環化されて主成分としてのピログルタミン酸を形成する。N末端グルタミンは、微量成分であり、この作用においてピログルタミン酸の修飾された形態であると考えられる。N末端グルタミンは、環化がサンプル調製中に起こり、自由N末端グルタミンの存在量が減少することがあるので、属性タイプ2である。
属性タイプ3は、サンプル調製中に存在量が増えることがある。属性タイプ3には、酸化、脱アミノ、アスパラギン酸異性化、断片化等が含まれる。属性タイプ3の反応基質は主成分の無修飾ペプチドであるため、サンプル調製中のその絶対的変化はかなり高い可能性がある。
後述のように、属性タイプ1及びタイプ2は、高い精度、低い定量化限度で測定できる場合が多く、これは、結果のばらつきの唯一の、又は主要な原因がLC-MS測定であるからである。他方で、属性タイプ3は、より低い精度、より高い定量化限度を有し、その理由はサンプル調製のばらつきが最終的な結果のばらつきに寄与することである。
表記法
本明細書で使用される表記法を以下に要約する:Aは、アイソフォームの存在量を小数値(又はパーセンテージ)で表す。Iは、アイソフォームの測定されたイオン強度(選択イオンクロマトグラムのピークより下のエリア)を表す。kは、レスポンスファクタを表し、aはレスポンスファクタの補正係数を表す。上付き文字0は、標準物質(RS)を表す。例えば、Aは、RS中のアイソフォームの既知の存在量を表し、Iは、RS中のアイソフォームの測定されたイオン強度を表す。下付き文字0、1、2、...i、...nは、特定の残基(無修飾形態を含む)に関連付けられるn+1のアイソフォームを表す。下付き文字iは、最も存在量の多いアイソフォーム(通常、無修飾形態)を表す。例えば、Aは、アイソフォームiの存在量を表し、Iは、アイソフォームiのイオン強度を表し、kは、アイソフォームiのレスポンスファクタを表し、aは、アイソフォームiのレスポンスファクタ補正係数を表す。aの値は1と定義される。下付き文字1は、特定の式において、主要アイソフォーム以外には1つのアイソフォームしか存在しない場合(n=1)、省略されてよい。アイソフォームi=0,1,...,nがこのレポート中で述べられている場合、これらは一般に、これが明記されているか否かにかかわらず、1つの残基に関連付けられる点に留意されたい。例えば、ペプチド中のAsn残基に関連付けられる3つのアイソフォームがある可能性があり、これには無修飾Asn、その脱アミノ形態、及びそのスクシンイミド形態が含まれる。しかしながら、同じペプチド上の酸化Met残基は、異なるアイソフォーム群に属し得る(例えば、2つの修飾は確率的であり、したがって、相互に独立していると仮定する)。
従来のMAM
従来のMAM方式において、各属性(例えば、ペプチド中のアミノ酸残基の様々な修飾状態)の存在量は、修飾ペプチドと無修飾ペプチドのMS反応(例えば、選択イオンクロマトグラムのピークより下の部分)に基づいて、以下の慣例的前提により計算される:
1.各サンプル内で、あるアミノ酸残基に関連付けられるすべてのアイソフォームは同じレスポンスファクタを有する(すべてのレスポンスファクタの比=1)
2.人工的に誘導されたた属性変化は無視できる
アミノ酸残基がn+1の修飾状態(0,1,...,n)を有すると仮定すると、関心対象の残基に関するn+1のペプチドアイソフォームがある。最も存在量の多いアイソフォームは、通常、無修飾であり、i=0で示される。各アイソフォームの存在量は、次式(3)に基づいて計算される:
Figure 0007346464000004
上式(3)中、kはペプチドのすべてのアイソフォームのレスポンスファクタ(例えば、上記の慣例的前提1に基づく一定の値)であり、Ai及びIiは、それぞれアイソフォームiの存在量とMS強度である。レスポンスファクタkは、各アイソフォームのペプチド回収とMS反応の組合せを表す。
式(3)を解くと式(4)が得られる:
Figure 0007346464000005
式(4)は、各アイソフォームの存在量が、そのアイソフォームのMS強度をすべてのアイソフォームのMS強度の合計で割ることによって計算されることを示している。
前述の前提により、従来のMAM方式は以下の要求事項を満たさなければならない:
1.消化効率が再現可能でなければならない。
2.MS機器の状態が同じでなければならない。
3.サンプル調製により導入される人工的修飾の量は最小限でなければならない。
しかしながら、現実には、上記の要求事項を満たすことは困難であり、それは少なくとも以下の理由による:
1.サンプル調製手順、アナリストの習慣、装置及び試薬の品質等のばらつきにより、ペプチド回収が変化し得る。
2.MS機器モデル、機器の設定、及び機器の保守方法の違いにより、異なるペプチドアイソフォームに関するレスポンスファクタが異なり得る。
3.サンプル調製手順、アナリストの習慣、装置及び試薬の品質のほか、機器状態のばらつきにより、人工的に導入される修飾の量が異なり得る。
従来のMAM要求事項の上記のような問題によって、これらの課題を克服し、MAMの長期的な成功を確実にするために、新しい方法が求められている。
標準物質を使用したレスポンスファクタの校正
MAMにおいて、標準物質は典型的に、システムの適性及び同定のためのサンプルと並行に分析される。標準物質におけるほとんどの品質属性は、標準の寿命全体を通じて一定のままであるため、標準物質は機器又はサンプル調製手順間の差を補正するための校正用サンプルとしての役割を果たすことができる。標準物質中の各属性の存在量は、従来のMAMを使用しても、より精度の高い直交法を使用しても証明できる。標準物質中の属性存在量が絶対的定量を用いる分析的方法で特定される場合、同じ属性のその後のMAM分析もまた、レスポンスファクタ校正の後はすべて絶対測定となる。
各ランでの校正用サンプルとして標準物質を使用すると、試験室間及び機器間再現性に関する従来のMAMのほとんどの要求事項を排除できる。このような実施形態では、本明細書で前述のような従来の2つの前提は以下のように変更され、すなわち変更後の前提となる:
1.同じLC-MSシーケンス内で、すべてのアイソフォームのレスポンスファクタの比は一定のままである。
2.人工的に誘導される属性変化は無視できる。
第一の変更後の前提では、すべてのペプチドアイソフォームが生成物の寿命全体にわたって同じレスポンスファクタを持たなければならない(すべてのレスポンスファクタ=1)代わりに、レスポンスファクタの比は、同じLC-MSシーケンス(同じアナリスト、同じ機器、及び同じ日)内でのみ一定であればよいことに留意されたい。
新規の変更後の前提により、各アイソフォームが同じレスポンスファクタを有するとは仮定されない。その代わりに、標準物質とサンプルの両方において、アイソフォームiのレスポンスファクタは同じ補正係数aによって修正される。したがって、標準物質中のアイソフォームiのレスポンスファクタはa(上付き文字0は標準物質を示す)と表現され、サンプル中のアイソフォームiのレスポンスファクタはakで示される。標準物質とサンプルの両方を考慮すると、式(3)は式(5)となり、これは本明細書に記載の式(2)と同じである:
Figure 0007346464000006
幾つかの実施形態において、標準物質とサンプルのレスポンスファクタは、サンプル調製のわずかな違い、機器の感度の違い等によって異なる可能性がある。それに加えて、式を解くために、アイソフォームのうちの1つのファクタaは一般に、一定の値に設定される。どのアイソフォームが定数aに設定されるかは重要ではない。それを最も存在量の多いアイソフォームに設定することはよい発想であり、これは通常、無修飾形態である(a=1)。
式(5)を解くと式(6)が得られ、これは本明細書に記載の式(1)と同じである:
Figure 0007346464000007
式(6)を使用して、各アイソフォームの補正係数(a)を標準物質中の既知の属性存在量(A )に基づいて計算し、サンプル中の各アイソフォームの存在量(A)を計算することができる。パラメータaが十分に定義された値を持つためには、分母は0に近くてはならない。したがって、レスポンスファクタ校正を成功させるために、標準物質中の各属性は、正確な定量化に十分な存在量(A )を持たなければならない。
標準物質を用いた人工的修飾の校正
リン酸化等の属性タイプ2及び、酸化、脱アミノ、Asp-異性化、及び断片化等の属性タイプ3を含む属性のいくつかでは、サンプル調製中にそれらの存在量が変化する可能性があり、これは、それらの不安定性による修飾の喪失(タイプ2)又はこれらの修飾の人工的形成(タイプ3)の何れかによる。属性のこのような人工的変化は、アナリストごと及び日ごとのばらつきの原因となり、これらの人工的変化の程度が同じLC-MSシーケンス内では一貫していることを前提として、標準物質を校正用に使用して補正されてよい。
係数bが各アイソフォームの人工的変更の範囲を示すために使用される実施形態において、標準物質とサンプルの両方を考慮すると、式(3)は式(7)となる:
Figure 0007346464000008
式(7)中、Sは、アイソフォームiを生成する人工的変更の基質を表す。例えば、酸化と脱アミノ(属性タイプ3)の場合、基質は無修飾ペプチドである。しかしながら、リン酸化(属性タイプ2)の場合は、おそらく修飾が不安定であるため、基質は修飾(リン酸化)ペプチドである。
基質の性質に応じて、式(7)は複雑になり得る。例えば、同じ残基の複数の修飾、例えばアスパラギン残基のN-グリコシル化により、式(7)の複雑な変形が作られ得る。
単独の修飾の残基に関して、本明細書に記載されているように、基材が修飾ペプチド(タイプ2)か無修飾ペプチド(タイプ3)かに応じて、式(7)から式(8)及び/又は式(9)が誘導され得る。以下の実施形態において示されているように、式(8)及び(9)について、式の右側は式の左側の解である。
特に、属性タイプ2の場合、式(8)に関して:
Figure 0007346464000009
属性タイプ3の場合、式(9)に関して:
Figure 0007346464000010
式(8)中、人工的修飾の量が、通常は属性タイプ2のほとんどについて当てはまるように、無修飾形態よりはるかに小さい場合(すなわち、b<<1)、式(8)は式(10)のように推測できる:
Figure 0007346464000011
式(10)は、a=1+bであるとき、式(5)と類似する。すなわち、このような実施形態において、消化中の修飾喪失は、レスポンスファクタの校正によってモデル化でき、式(8)及び(5)から非常に近い結果が得られる。
パラメータb及び属性存在量Aが十分に定義された値を有するようにするために、分母はゼロに近くてはならない。したがって、式(8)を使用するために、標準物質中の属性存在量(A)は、0よりはるかに大きくなければならない。式(9)を使用するために、Aは1(100%)よりはるかに小さくなければならず、bは1に近くてはならない。それに加えて、式(9)が一般に有意義となるためには、bの値は校正を行わなければ、属性の存在量よりはるかに小さくなければならない(b<<I/(I+I))。そうでなければ、校正された存在量Aはゼロに近くなり、時として負の値となる。
2種類の標準物質を用いたレスポンスファクタと人工的修飾の両方の校正
標準物質は、レスポンスファクタ(a)(すなわち、「a校正」)及び/又は人工的修飾(b)(すなわち、「b校正」)の何れかを補正するためにも使用できる。aとbの両方を補正するために、追加の標準が必要である。異なる標準物質を得るために、標準物質又はその他のサンプルに応力を加えて、関心対象の属性をより多く含む他の標準を作ることができ、その後、両方の標準がサンプルと共に分析される。2つの標準の既知の属性存在量とそれらの特定されたMS反応を使って、aとbの両方を補正することができる。
標準物質とサンプルの両方を考慮したとき、ゼロの上付き文字は標準物質を表すために使用されてよく、1の上付き文字はストレスが付与された標準を表すために使用されてよい。式(11)及び(12)は、人工的修飾の基質に応じた代表的な式を示す。式(11)及び(12)は、単独の修飾による残基に適用される。
属性タイプ2の場合、式(11)に関して:
Figure 0007346464000012
属性タイプ3の場合、式(12)に関して:
Figure 0007346464000013
式(11)及び/又は(12)について上で示したように、パラメータa及びbが十分に定義された値を有するために、分母はゼロに近くてはならない。したがって、式(11)は、
Figure 0007346464000014
である必要があり、式(12)はA>>A且つA<<1でなければならない。式(9)と同様に、式(12)が有意義となるためには、bの値はb校正されないと属性の存在量よりはるかに小さくなければならず(b<<I/(aI+I))、そうでなければ、校正された存在量Aはゼロに近く、時には負の値となる。
抗ストレプトアビジン抗体IgG2のマルチ特性分析の例
本明細書に記載されているように、各種の例示的な実施形態は、本開示の校正システム及び方法の特別な応用を介して実現できた。しかしながら、本開示の校正システム及び方法は、特定の用途に限定されないと理解されたい。例えば、組換え抗ストレプトアビジン抗体IgG2は、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞株から産生された。抗ストレプトアビジン抗体IgG2素材を標準物質として使用した。分析用の試験サンプルを製作するために、標準物質を約40℃で約30日間インキュベートしてサンプル1を作り、その後、サンプル1を標準物質と異なる比で混合することにより、サンプル2及び3を製作した(表2参照)。
IgG2標準物質及び試験サンプル(各々、約120μg)を、トリプシンを用いて以下の手順により消化した。まず、各サンプルを、8mMのジチオトレイトールにより約25℃で約30分間、6.5Mグアニジン塩酸塩(Macron Fine Chemicals,Stroudsburg,PA)と0.2Mのトリス(TEKnova,Hollister,CA)を含むpH 7.5のdenaturing solution下で処理し、ジスルフィド結合を還元した。すると、還元後のIgG2を、14mMのヨード酢酸により約25°で約20分間、暗室環境中でアルキレートした。アルキレート反応は、6mMのDTTで急冷した。
サンプル調製手順において幾分の差を意図的に生じさせるために、還元/アルキレートサンプルの各々を2種類の方法を用いてトリプシンにより消化した。第一の方法では、還元/アルキレートサンプル(約1.2mg/mL IgG2濃度)を、約0.1Mのトリスと約50mMのメチオニン(pH 7.5)を含む消化バッファに、Bio-Rad(Hercules,CA)のBio-Spin(登録商標)6カラムを使用し、例えばメーカの推奨手順に従って交換した。バッファ交換後、適当な量のトリプシンを添加して、約1:12の酵素:基質比を実現し、その後、約37℃で約60分間インキュベートした。消化物は、同量の、約0.25Mのアセテートバッファ(pH 4.8)を使って8Mのグアニジン塩酸塩中で急冷した。消化物中の最終的なIgG2濃度は約0.5mg/mLであった。
第二の方法では、還元/アルキレートサンプルの各々を、Microcon-30kDaフィルタ(Millipore Sigma,Burlington,MA)を使って同じ消化バッファに交換した。まず、還元/アルキレートサンプルの各々を、約14000gにスピンダウンし、通過分画を廃棄した。特定の実施形態において、プロセスは、250μLの消化バッファを毎回フィルタに追加した後、さらに3回繰り返した。トリプシン消化は、140μLの消化バッファと10μgのトリプシンを(1mg/mLで)添加することによって同じフィルタで行い、その後、約37℃で約60分間インキュベートした。消化後、同量の急冷溶液をフィルタに追加し、約14000gでスピンダウンし、新しい受容管の中にペプチドを収集した。上述の手順による消化物中の最終的なIgG2濃度は約0.4mg/mIであった。
表2は、例の中で使用される抗ストレプトアビジン抗体IgG2サンプルを示す。
Figure 0007346464000015
抗ストレプトアビジン抗体IgG2及び/又は同様の実施形態において、各消化物を、例えばThermo Scientific Q Exactive Plus Biopharma又はOrbitrap Fusion Lumos質量分析計の何れか等の質量分析計に接続されたAgilent(Santa Clara,CA)のHPLCシステムで構成される3つのLC-MS/MSシステムの各々で分析した。追加的又は代替的システムも使用し、例えば本明細書の開示は何れの1種類のシステム、質量分析計、その他にも限定されない。幾つかの実施形態において、液体クロマトグラフィの状態に幾分かの差を意図的に導入するために、2つの異なるLC方法を使用した(表3参照)。
第一のLC方法(例えば、表3のシステムA及びB)では、ペプチドをWaters(Milford,MA)AcquityペプチドCSHカラム(150×2.1mm、粒子径1.7μm、細孔径170Å)上において、流速約0.3mL/分で、カラム温度を約60℃に保持して溶出した。移動相Aは0.1%ギ酸水溶液であり、移動相Bは0.1%ギ酸アセトニトリル溶液であった。約0.5%のBの約5分間のイニシャルホールドの後、移動相Bは一般に、約40分で約35%まで線形に増大する。カラムウォッシュは、移動相Bを約4分間で約99%まで増大させ、約1分間ホールドすることにより達成した。カラムは、約0.5%のBで約15分間平衡化した。第二のLC方法(例えば、表3のシステムC)では、ペプチドをWaters Acquity BEH C18カラム(2.1×150mm、粒子径1.7μm)上において、流速約0.3mL/分で、カラム温度を約60℃に保持して溶出した。移動相Aは0.1%ギ酸及び約0.02%トリフルオロ酢酸(TFA)水溶液であり、移動相Bは0.1%ギ酸及び0.02% TFAアセトニトリル溶液であった。約0.5%のBの約5分間のイニシャルホールドの後、移動相Bは一般に、約40分で約40%まで線形に増大する。カラムウォッシュは、移動相Bを約4分間で約99%まで増大させ、約1分間ホールドすることにより達成した。カラムは、約0.5%のBで約15分間平衡化した。
HPLCシステムは、例えばThermo Scientific Q Exactive Plus Biopharma質量分析計(例えば、システムA)又はThermo Scientific Orbitrap Fusion Lumos質量分析計(例えば、システムB及びC)の何れかの質量分析計に、エレクトロスプレイインタフェースを通じて直接接続した。本明細書の実施形態にはThermo Scientific Q Exactive Plus Biopharma質量分析計及び/又はThermo Scientific Orbitrap Fusion Lumos質量分析計が記されているが、同様の質量分析計を本明細書で開示される実施形態に従って使用できると理解されたい。Q Exactive Plus Biopharmaは、約70,000の分解能、AGC=1×10でのフルスキャンMSの後、最も存在量の多いイオンについて、5回のデータ依存MS/MS(正規化衝突エネルギー=27の高エネルギー衝突解離(HCD:Higher-energy collisional dissociation)を行うように設定した。Fusion Lumosについては、フルスキャンMSデータが約60,000、AGC=4×10で収集され、その後、イオントラップ(CID正規化衝突エネルギー=30)中でトップスピードデータ依存MS/MSを行った。機器の制御とデータ収集は、分析ソフトウェア、例えばThermo Scientific Xcaliburソフトウェアで実行した。各トリプシン消化物、約3~4μgを分析のために注入した。もちろん、Xcaiburソフトウェアと同様のソフトウェアを、本明細書で開示される実施形態に従って使用できる。
LC-MS/MSデータを、分析ソフトウェア、Thermo ScientificからBiopharmaFinder(商標)として入手可能なMass Analyzerで処理した。MassAnalyzer等の分析ソフトウェアは、特徴抽出、保持時間アラインメント、ペプチド同定、及び属性定量化を完全自動で行うことができる。ペプチド同定について、MassAnalyzer等の分析ソフトウェアは実験によるMS/MSを正確に予測された理論上のMS/MSと比較することに依存し得る。マッチするウィンドウ関数を使用して、選択イオンクロマトグラムを抽出し、クロマトグラム中の信号対ノイズ比を最大化した。最終的な出力として、MassAnalyzer等の分析ソフトウェアは同定された変異体のリストを作成することがある。MassAnalyzerと同様の分析ソフトウェアを本明細書で開示される実施形態に従って使用できると理解されたい。
融合蛋白質のマルチ特性分析の例
組換え融合蛋白質(例えば、第一の蛋白質又は蛋白質の断片が少なくとも第二の蛋白質又はその断片と、多くの場合、蛋白質/断片を結合するリンカで組換え融合される)は、CHO細胞から産生され、トレオニン及びセレン残基等、複数のグリコシル化サイトを含む可能性がある。これらのO結合グリカンは、分子の不均一性に最も寄与し得る。この例においてマルチ特性分析は、融合蛋白質中のこれらのグリコフォームを定量化するために使用された。
蛋白質消化のために、融合蛋白質をまず、約7.5MのグアニジンHCl、約250mMのトリス(pH 7.5)、及び約2mMのEDTAを含む、蛋白質濃度約1mg/mLの溶液中で変性させた。蛋白質消化の前に、500mMのDTT溶液約2μlを変性蛋白質溶液約100μLに添加し、その後、約25℃で約30分間インキュベートして、ジスルフィド結合を還元した。その後、500mMのヨウ化酢酸ナトリウム約4μL添加してから、約25℃で約20分間インキュベートし、システイン側鎖をアルキレートした。Bio-Rad Bio-Spin脱塩カラムによる100mMトリス、50mMメチオニン、pH 7.5の溶液へのバッファ交換後、各50μgの脱塩サンプルを約5μgのトリプシンにより約37℃で約30分間消化させた。消化物を急冷するために、約2%のギ酸を各消化物に、最終酸濃度を約0.2%とするように添加した。
各トリプシン消化物(約3μg)を、Thermo Scientific Exactive plus又はQ Exactive plus高分解能質量分析計等の質量分析計に直接接続されたAgilent HPLCから構成されたLC-MSシステムを使って分析した(表3参照)。ペプチドは、Agilent Zorbax C18 RR HDカラム(2.1×150mm、粒子径1.8μm、細孔径300Å)において、流速約0.2mL/分で、カラム温度を50℃に保持して溶出した。移動相Aは約0.1%ギ酸水溶液であり、移動相Bは0.1%ギ酸アセトニトリル溶液であった。約1.0%から、移動相Bは約70分後に約40%まで、約76分後に約90%に線形に上昇した。約90%、約5分間のウォッシュ後、カラムを約1%のBで約11分間平衡化した。フルスキャンMSデータを140,000の分解能で収集し、自動ゲインコントール(AGC)ターゲットは1×10に設定した。機器の制御及びデータ収集は、例えばThermo Scientific Chromeleonソフトウェアにて行った。
データは、例えば翻訳語修飾の同定及び相対的定量化のためのThermo Scientific Pinpoint及びChromeleonソフトウェアにより分析した。O-結合型糖ペプチドのリストは、一般的に6種類のグリコフォームが見出されるHCD及び電子移動解離(ETD)を用いるMS/MSにより特徴付けた。Pinpointは6つの形態のO-結合型糖ペプチドに関する正確な質量及び同位体分布のワークブックを生成できる。このワークブックをChromeleonソフトウェアにインポートし、そこでMSI前駆イオンのターゲットを、保持時間、正確な質量、及び同位体分布により定めた。選択イオンクロマトグラムがChromeleonの中で構築され、各ピークがピークエリアに統合された。各ピークの統合は手作業で確認することにより、正確さを期した。
表3は、前述のLC-MSシステム及び測定の例を示す。
Figure 0007346464000016
レスポンス校正の例
レスポンス校正は、本明細書に記載の1つ又は複数の式を計算するように構成された、Microsoft(登録商標)(Redmond,WA)Excel(登録商標)等の分析ソフトウェアを用いて行った。抗ストレプトアビジン抗体関連のデータは、MassAnalyzer等の分析ソフトウェアにより処理した。MassAnalyzerは各属性の未校正存在量を直接出力し、これらの未校正存在量は対応するMS強度(ピークエリア)に比例するため、これらは対応する計算の中でMS強度として扱った。Fc融合蛋白質データは、Thermo Scientific Chromeleonを用いて処理し、その中では各属性のビークエリアが特定され、対応する計算のためのMS強度として使用された。一般的慣行では、標準物質サンプルは少なくとも2回分析される(サンプルをブラケットするため)。現実の性能を反映させるために、2つの標準物質ランの平均MS強度を計算に使用した。
抗ストレプトアビジン抗体IgG2の多数の属性を測定する例
この例では、本明細書で開示されている校正システム及び方法の実行の総合的評価が実証された。抗ストレプトアビジン抗体IgG2の標準物質を、約40℃で約4週間インキュベートした。その後、このストレスサンプルの約10%及び約20%をそれぞれ標準物質にスパイクし、さらに2つの試験サンプルを製作した(例えば、表2参照)。このような試験サンプルは、標準物質とストレスサンプルの両方と共に、2種類のプロトコルによりトリプシンで3回消化させ、各消化物を、カラム、移動相、勾配、及び質量分析計の異なる3種類のLC-MSシステム(例えば、表3のA、B、及びC参照)で分析した。それに加えて、標準物質とストレスサンプルの各々を、システムAで6回分析し、各属性の平均測定存在量を参照存在量として使用した。すべてのデータを分析ソフトウェア、例えばMassAnalyzerにより処理し、各ペプチドアイソフォームの未校正存在量を得た。これらの存在量は、その後の校正のためのMS強度として使用した。
システムA及びBは同じクロマトグラフィ条件を使用していることから、これらのランから得たデータ(例えば、合計60回のLC-MS/MSラン)は、同じ保持時間であるため、一緒に処理される。例えば、合計177の品質属性が同定され、検出限度より多く定量化した(例えば、60すべてのランにおいて非ゼロピークエリアにより示される)。このような属性の存在量レベルは、0.001%~39%を含む広い範囲にわたった。このような属性には配列変異体、水酸化、N-結合及びO-結合グリカン、N末端及びC末端変異体、断片化、糖化、酸化、脱アミド、スクシンイミド形成等が含まれた。断片化は、トリプシンの非特異的活性とは、ストレスサンプル中でこれらのレベルが高くなる(例えば、t-テストp-値<0.005、標準物質のランとの比較でfold change>2.0)ことから、区別される。
レスポンスファクタの校正(a校正)の例
レスポンスファクタ校正(式(5)及び(6)参照)のための標準物質を使用して、3つのサンプル中の177の属性の各々の存在量を計算した。図6は、2種類の機器セットアップ及び2種類のサンプル調製手順について、サンプル-2の2つの属性の測定存在量の図表602を示す。本明細書に記載のレスポンスファクタ校正後には、サンプル調製手順及び機器セットアップの違いに起因するばらつきは、図6の12の測定の相対標準偏差(RSD)により示されるように、大幅に縮小される(すなわち、A/1、A/2、B/1、及びB/2)。特に、図6の実施形態は、重鎖Cys127Tyr配列変異体(上)(604)及び非グリコシル化Asn289(下)(606)の、2つのLC-MSシステム(例えば、A及びB)と2つの消化プロトコル(/1及び2/)による、レスポンスファクタ校正を行う場合と行わない場合のサンプル-2の測定存在量を示している。レスポンスファクタ校正(式(6)参照)後には、機器及びサンプル調製手順間のばらつきは、RSD値605及び607により示されるように大幅に縮小されている。
図7は、3つの属性タイプについて、レスポンスファクタ校正(式(6)参照)を行った場合(704)と行わない場合(706)の室内再現精度(例えば、RSDにより示される)の比較例を表す図表702を示している。図7に示されるように、室内再現精度は、モニタされた属性の約86%について、校正後に大幅に改善されている。図7の値の形状は属性の種類を表し、開いた形状の値は、標準物質内の存在量が正確な定量化のために十分に高い属性を表す(シーケンス内RSD<10%)。
特に、図7は、レスポンスファクタ校正を行った場合(704)と行わない場合(706)の、3つのサンプル内の177すべての属性(タイプ1が120、タイプ2が12、タイプ3が45の属性)に関する(図6に示されるような2つの消化プロトコル及び2つの機器セットアップで行った12回の測定から)特定されたRSDを示す。図7は、合計177×3=531のデータポイントを示し、各々が12回の測定である。データポイントの大部分(457、すなわち86%)のRSDがレスポンスファクタ校正後に低下している。531のデータポイントのうち、RSD<10%であるポイントの数は、校正前の64(12%)から校正後の205(39%)に増加した。これらのうち、図7の実施形態では、属性タイプ1は55から171に、属性タイプ2は2から36に、属性タイプ3は7から19に増加した。良好な室内再現精度(RSD<10%)を有するこれらの205のデータポイントのうち、83%(205中171)が属性タイプ1である。
前述のように、レスポンスファクタ校正では、一般的に、標準物質中の属性の存在量が正確な定量化のために十分に高いことが求められる。図7において、標準偏差の10倍より高い存在量の属性(シーケンス内RSD<10%)が開いた形状の値で表示されている。例えば、少なくとも図7の実施形態では、校正後にRSDが10%未満のほとんどの属性は、標準物質中の高い存在量を有している(すなわち、開いた形状の値)。
人工的修飾の校正(b校正)の例
属性タイプ2及びタイプ3に関する実施形態について、異なるサンプル調製条件間の人工的修飾のばらつきは、属性タイプ2については式(8)、属性タイプ3については式(9)を使って校正できる。
例えば、図8は、属性タイプ2に関する人工的修飾の校正の実施形態の図表802を示しており、レスポンスファクタのa校正と同様の結果が示されている。具体的には、図8は、校正後の属性タイプ2(例えば、3つのサンプルの2つの属性で6つの測定値を得ている(806))の室内再現精度が、レスポンスファクタ校正後のRSD(804)と比較して改善されていることを示す。本明細書に記載されている実施形態によれば、2つの校正方法の間で非常に近いRSDが得られる。
図9は、属性タイプ3に関する、レスポンスファクタのa校正と比較した人工的修飾のb校正の成績の図表902を示す。図9に示されているように、属性タイプ3について、人工的修飾の校正(904)によって、ほとんどの測定についての室内再現精度が改善される。校正パラメータbが未校正属性存在量I/(I+I)に近い属性の場合、校正後の存在量A(式(9)参照)はゼロに近く、RSD値に有意な影響を与える。異なる校正方法を公正に比較するために、RSDは、校正後の存在量の標準偏差をa校正属性存在量の平均で割ることによって計算した。レスポンスファクタ校正(a校正)と比較すると、人工的修飾の校正(b校正)では、未校正RSD(906)が50%未満である場合に同様の成績が得られた。未校正RSDが50%を超える場合、b校正の成績は、a校正と比べて有効性が低下し、未校正RSDが100%に近いと、人工的修飾の校正では、結果の一貫性が低下する(例えば、RSDがより高い)。
レスポンスファクタの校正(a)及び人工的修飾の校正(b)の例
幾つかの実施形態において、標準物質にストレスを与えることによって第二の標準が容易に入手可能であれば、レスポンスファクタと人工的修飾の両方を属性タイプ3について校正できる。図10は、属性タイプ3に関する2つの標準物質の校正(a及びb)の、1つの標準物質のレスポンスファクタ(a)校正と比較した成績を表す実施形態の図表1002を示す。特に、図10は、2つの標準として標準物質とストレスサンプル(サンプル1)を、またサンプルとしてサンプル2及び3をそれぞれ用いて、校正を行った場合(1004)の、校正しない場合(1006)と比較した成績を示す。RSDは、校正済みの存在量の標準偏差をa校正された属性存在量の平均で割ることによって計算した。図10により、2つの標準を用いた校正の成績は一般に、1つの標準を使用したレスポンスファクタの校正より良好であるが、改善の範囲は小さいことがあり、このような状況では、必ずとはかぎらないが、ある生成物の寿命全体にわたり第二の標準物質を保持すべき正当な理由とはならない場合があることが実証される。
大きく異なるLC-MSシステムから得られたデータを用いたレスポンスファクタ校正の例
図11は、レスポンスファクタ校正により、2種類のLC-MSシステム上で収集された2つのデータセットの一貫性の改善を表す図表1102を示す。特に、図11は、システムA(1104)及びシステムC(1106)により、レスポンスファクタ校正を行った場合(1114)と行わない場合(1116)に特定された属性存在量の比較を示す。図11はさらに、校正を行った場合と行わない場合の両方のデータセットの室内再現精度(RSD)の比較を示す。図11に示されるように、開いた形状の値は、標準物質における標準偏差の少なくとも10倍の存在量(例えば、シーケンス内RSD<10%)を有する属性を表す。
換言すれば、図11は、LC-MSデータ分析に基づくレスポンスファクタ校正の成績を示しており、LC-MSデータは2種類のLC方法及び2種類のMSシステム(システムA(1104)及びC(1106))を用いて収集され、サンプル調製は2種類の手順により行われた。図11の実施形態では、特定された属性存在量は、レスポンスファクタ校正を行った場合(1114)と行わない場合(1116)で、相互に比較されている。
異なる方法を用いてサンプルを分析することにより、図11に示されるような異なる属性群を検出し、同定でき、そのうちの117が共通である。図11において、3つのサンプル中の117の属性を測定することにより、351のデータポイントと、2つの方法によって、a校正を行った場合と行わない場合に特定されたそれぞれの存在量が得られる。このような値は、図11(上のグラフ)(1103)に示されている。図11において示されるように、校正により、2つのLC-MSシステムが完全に異なっていても、測定の一貫性が大幅に向上する。図11(下のグラフ)(1113)は、これら117の属性についてのレスポンスファクタ校正後の室内再現精度の改善を示している。これらの属性の多くが、同じ機器及び方法によって正確に測定できる(開いた形状の値により示される)。
しかしながら、このような属性が異なるシステムで測定される場合、結果は、横軸(未校正)の10%~100%の大きいRSD値によって示されるように、一貫しなかった。これらの測定のほとんどが、校正後には再び一貫するようになり、これはそのRSD値が縦軸で10%未満であることによって示される。
a-融合蛋白質の糖鎖プロファイルの例
この例では、融合蛋白質は、6つの異なるグリコフォームを有する2つのO-結合型グリコシル化部位を含む。グリコフォーム存在量が未知のサンプルを、標準物質と共に、3つのLC-MSシステム(表3参照)上で3回の分析により4回のランにおいて分析した。すべてのデータをChromeleonで処理し、関心対象の各ペプチドのピークエリアを得た。各グリコフォームの存在量は、従来の方法(式(4))及び、レスポンスファクタ校正(式(6))を用いて定量化した。標準物質中の各属性の存在量を特定するために、標準物質を従来のMAMにより6回分析し、6回の測定の平均値を標準物質の既知の存在量として使用した。
図12は、4つのシーケンス(1206)内のグリコフォーム(SAHexHexNAc)の測定存在量を示す図表1202を示しており、各々3回測定した。レスポンスファクタ校正(式(6))後、機器間のばらつきは大幅に縮小した。図12(下のグラフ)には、6つのグリコフォームに関するレスポンスファクタ校正(1216)によってRSD(1214)が最大21%から最小5%まで減少したことも示されている(SA:シアル酸又はN-アセチルノイラミン酸;Hex:ヘキソース;HexNAc:N-アセチルヘキソースタミン)。特に、図12(上のグラフ)(1203)は、グリコフォームのうちの1つに関する、レスポンスファクタ校正を行った場合と行わない場合の12の測定存在量(4つのシーケンス1206で3回分析)を示す。測定存在量は同じシーケンス内で再現性が非常に高いが、このような測定存在量はシーケンス間で有意に異なる。レスポンスファクタ校正によって、機器間のばらつきが排除された。図12(下のグラフ)(1213)は、校正を行わない場合と行った場合の6つすべてのグリコフォームに関する中間RSDを比較している。これらのグリコフォームに関するRSDは、校正しない場合、2.4%~21%であった。校正後、これらは5%以下に低下した。
校正
幾つかの、ただし全部ではない実施形態において、校正方法を用いた属性存在量を計算するには、標準物質中の各アイソフォームのイオン強度をさらに測定する必要があり得る。これらの追加の測定は、最終的な属性存在量計算にさらにエラーを生じさせることがある。室内再現精度の改善は、これらの追加の測定に起因するエラーが試験室と機器との間のばらつきより小さければ実現され得る。
幾つかの、ただし全部ではない実施形態において、校正後の測定精度を改善できるようにするために、標準物質中の各アイソフォームのイオン強度を特定しなければならない。これには、関心対象の属性の標準物質中の存在量が十分に高いことが必要となる。一般に、属性存在量は測定の標準偏差の少なくとも10倍であるべきである(例えば、本明細書に記載されている図7、8、9、及び10の開いた形状の値として示されている)。
タイプ3のb校正(式(9))が関わる実施形態の場合、属性存在量Aの計算には、未校正属性存在量I/(I+I)とbとの間の差をとることが含まれ得る。bの値がI/(I+I)に近いと、Aの計算では、2つの大きい数の差を利用して、非常に小さい数が導き出され、それによって大きいエラーが生じる可能性がある。極端なケースでは、bの値がI/(I+I)より大きいことがあり、Aの値は負となる。これによって、属性タイプ3に対するb校正の頑健性が低下し得る。同じことが、式(12)に示される属性タイプ3のa及びb校正にも当てはまる。
幾つかの実施形態において、消化効率と機器反応の両方を含むレスポンスファクタの差が第一の問題であり得、これは、HPLC及びMS機器類の進化のほか、サンプル調製の自動化が不可避であるからである。人工的な修飾は通常、制御可能であり(本明細書に記載のとおり)、それほど問題とならない。したがって、3つの校正方法を比較したとき、レスポンスファクタ校正(a校正)が一般に最も好ましく、これは、その頑健性と、3タイプすべての属性に適用できることによる。属性タイプ3に対する人工的修飾の校正(b校正)は、a校正では補正できないサンプル調製の不一致を補正できるものの、補正の程度が属性存在量に近い場合、一般には頑健性が低い。幾つかの実施形態において、属性タイプ2に対するb校正は、数学の相似性により、a校正と同様の結果を生じ、したがって、a校正に置き換えることができる。それに対して、レスポンスファクタ及び人工的修飾の両方(a及びb校正)についての2つの標準を用いる校正は、幾つかの、ただし全部ではない実施形態において、生成物の寿命全体にわたり、追加の標準が必要となることから、実用性が低い。それに加えて、a及びb校正にはさらに2つのイオン強度測定が必要となり、それによって、最終的な属性存在量の結果のばらつきがさらに大きくなる。したがって、1つの標準を用いるレスポンスファクタの校正は一般に、cGMP環境において本明細書に記載されている新規なMAMシステム及び方法を実行するために使用される。
新規なMAMシステム及び方法は従来のMAMよりはるかに有利であるが、これは、新規なMAMシステム及び方法によれば、ランタイムレスポンス校正を通じて試験室間のばらつきが大幅に縮小されるからである。新規なMAMシステム及び方法は、現在のMAMワークフローの主要な問題である、MAMが一貫した設備を使用するという要求事項を有効に排除する。それに加えて、標準物質は一般に、すでに現在のワークフローでサンプルと並行して分析する必要があるため、アナリストによる追加の作業は不要である。
本明細書に記載されているように、レスポンスファクタを校正するための式(6)を使用することにより、異なるペプチドアイソフォームが同じレスポンスファクタを持つという要求事項が排除される。したがって、新規のMAMシステム及び方法は、MAM用の他のタイプの機器類に使用されてもよい。例えば、従来のMAMでは異なるアイソフォームについてレスポンスファクタが同様であることが要求されることから、トリプル四重極機器での選択反応モニタリング(SRM)はペプチドアイソフォーム間で断片化効率が大きく異なるため容認できない。他方で、新規なMAMシステム及び方法により、トリプル四重極機器を利用することが可能となり、それは、このような新規なMAMシステム及び方法の場合、異なるペプチドアイソフォームが同等のレスポンスファクタを有する必要がないからである。しかしながら、標準物質中の各属性の存在量は、当初、高分解能機器で証明しなければならない。
従来のMAM方法の1つの欠点は、測定された属性存在量が絶対的ではないことであり、それはすべてのアイソフォームが同じレスポンスファクタを有するとの前提によるが、これは電荷の変化、疎水性、又はペプチドの長さを含む修飾には当てはまらないことがある。この欠点は通常、一般的にではないが、レスポンスファクタが方法の寿命全体を通じて一貫しているかぎり、大きな問題ではない。しかしながら、標準物質中の属性存在量が絶対定量を用いる技術によって特定される場合、新規なMAM方法から特定される属性存在量もまた絶対値となる。
本明細書中で各種の実施形態について示されるデータはまた、MAMプラットフォームの定量下限(LOQ:limit of quantitation)に関する洞察を行うためにも使用されてよい。LOQは、RSDが10%未満の属性の最低濃度と定義できる。例えば、図13は、3つの属性タイプに関する属性存在量(1306及び/又は1316)とシーケンス内RSD(1304及び/又は1314)の関係を示す図表1302を示している。図13の実施形態において、属性タイプ1(上の図表)(1303)について、ほとんどの属性のRSD(1304)は、0.003%と低い存在量(1306)において10%未満であり(LOQ=0.003%)、そのとき、微量アイソフォームは他の主要ペプチドから十分に分解される。アイソフォームが主要なピークから十分に分解されない場合、LOQは、この作業に使用される質量分析計のスキャン内ダイナミックレンジが限定的であるため、より高くなる。しかしながら、属性タイプ2及び3(下の図表)(1313)については、0.1%未満のほとんどの属性はRSD(1314)>10%であり、1%を超えるほとんどの属性はRSD(1314)<10%で、これは、LOQが典型的に、サンプル調製中に導入されたばらつきの量に応じて、約0.1%と約1%の間であることを示唆している。
特に、図13は、異なる属性タイプに関する属性存在量(1306及び/又は1316)とシーケンス内RSD(n=6)(1304及び/又は1314)の関係を示す。図13の属性タイプ1の大部分(上の図表)(1303)は、シーケンス内RSDが10%未満であり、存在量は0.003%と低く、サンプル調製中に属性が変化しなければ、LC-MSシステムの定量限度が0.003%と低いことを示している。また、図13(下の図表)(1313)に示されているように、属性タイプ2及びタイプ3のほとんどにおいて、定量限度ははるかに高い(0.1~1%)。
追加の態様
本開示の以下の追加の態様は例にすぎず、本開示の範囲を限定するものではない。以下の追加の態様は、例えば、本明細書に記載の態様1~26の何れかを含むがこれらに限定されない本開示の他の態様の一部である、それに追加される、又はそこから分離されると考えてよい。
27.ランタイム信号強度校正を介してマルチ特性分析(MAM)の試験室間又は機器間のばらつきを縮小するように構成された校正システムであって、校正システムは、第一の検出器を含む第一のMAM型機器であって、(1)第一の機器モデル、又は(2)第一の設定群のうちの少なくとも一方により定義される第一の機器状態を有し、第一のサンプルと標準物質を受けるように構成され、及び、第一の検出器を介して、第一のサンプルからの第一のサンプルアイソフォームと標準物質からの第一の標準物質アイソフォームを検出するようにさらに構成され、第一のサンプルは第一の調製タイプを有する第一のMAM型機器と、第一のMAM型機器に関連付けられる1つ又は複数のプロセッサであって、第一のMAMイテレーションを介して、第一のサンプルアイソフォームに対応する第一の補正係数群を特定するように構成され、第一の補正係数群は標準物質に基づいており、及び、第一のMAM型機器に関連付けられる1つ又は複数のプロセッサは、第一のサンプルアイソフォームに対応する第一のサンプル存在量値群を特定するようにさらに構成され、第一のサンプル存在量値群は第一の補正係数群に基づく、第一のMAM型機器に関連付けられる1つ又は複数のプロセッサと、第二の検出器を含む第二のMAM型機器であって、(1)第二の機器モデル、又は(2)第二の設定群のうちの少なくとも一方により定義される第二の機器状態を有し、第二の機器状態は第一の機器状態と異なり、第二のサンプルと標準物質を受けるように構成され、及び、第二の検出器を介して、第二のサンプルからの第二のサンプルアイソフォームと標準物質からの第二の標準物質アイソフォームを検出するようにさらに構成され、第二のサンプルは第二の調製タイプを有し、第一の調製タイプは第二の調製タイプと異なり、それによって第一のサンプルと第二のサンプルとの間に偏差が生じ、偏差はサンプル調製中の属性存在量の人工的な変化に起因する第二のMAM型機器と、第二のMAM型機器に関連付けられる1つ又は複数のプロセッサであって、第二のMAMイテレーションを介して、第二のサンプルアイソフォームに対応する第二の補正係数群を特定するように構成され、第二の補正係数群は標準物質に基づいており、及び、第二のMAM型機器に関連付けられる1つ又は複数のプロセッサは第二のサンプルアイソフォームに対応する第二のサンプル存在量値群を特定するようにさらに構成され、第二のサンプル存在量値群は第二の補正係数群に基づいており、第一のサンプル存在量値群と第二のサンプル存在量値群との分散値は、第一の補正係数群と第二の補正係数群とに基づいて縮小される、第二のMAM型機器に関連付けられる1つ又は複数のプロセッサと、を含み、(1)第一のMAMイテレーションを介する、第一のMAM型機器に関連付けられる1つ又は複数のプロセッサ、又は(2)第二のMAMイテレーションを介する、第二のMAM型機器に関連付けられる1つ又は複数のプロセッサ、のうちの少なくとも一方は、第一のサンプルと第二のサンプルとの間の偏差を縮小するための品質属性を特定し、品質属性は、属性タイプ2又は属性タイプ3に関連付けられる校正システム。
28.属性タイプ2は、第一のサンプル又は第二のサンプルの調製中に存在量を減少させる、態様27による校正システム。
29.属性タイプ3は、第一のサンプル又は第二のサンプルの調製中に存在量を増加させる、態様27による校正システム。
30.ランタイム信号強度校正を介してマルチ特性分析(MAM)の試験室間又は機器間のばらつきを縮小するための校正方法であって、校正方法は、第一のMAM型機器において、第一のサンプルと標準物質を受けるステップであって、第一のMAM型機器は第一の検出器を含み、第一のMAM型機器は、(1)第一の機器モデル、又は(2)第一の設定群のうちの少なくとも一方により定義される第一の機器状態を有するステップと、第一のMAM型機器の第一の検出器によって、第一のサンプルからの第一のサンプルアイソフォームと標準物質からの第一の標準物質アイソフォームを検出するステップであって、第一のサンプルは第一の調製タイプを有するステップと、第一のMAM型機器に関連付けられる1つ又は複数のプロセッサによって、第一のMAMイテレーションを介して、第一のサンプルアイソフォームに対応する第一の補正係数群を特定するステップであって、第一の補正係数群は標準物質に基づくステップと、第一のMAM型機器に関連付けられる1つ又は複数のプロセッサによって、第一のサンプルアイソフォームに対応する第一のサンプル存在量値群を特定するステップであって、第一のサンプル存在量値群は第一の補正係数群に基づくステップと、第二のMAM型機器によって、第二のサンプルと標準物質を受けるステップであって、第二のMAM型機器は、第二の検出器を含み、第二のMAM型機器は、(1)第二の機器モデル、又は(2)第二の設定群のうちの少なくとも一方により定義される第二の機器状態を有し、第二の機器状態は第一の機器状態と異なるステップと、第二のMAM型機器の第二の検出器によって、第二のサンプルからの第二のサンプルアイソフォームと標準物質からの第二の標準物質アイソフォームを検出するステップであって、第二のサンプルは第二の調製タイプを有し、第一の調製タイプは第二の調製タイプと異なり、それによって第一のサンプルと第二のサンプルとの間に偏差が生じ、偏差はサンプル調製中の属性存在量の人工的な変化に起因するステップと、第二のMAM型機器に関連付けられる1つ又は複数のプロセッサによって、第二のMAMイテレーションを介して、第二のサンプルアイソフォームに対応する第二の補正係数群を特定するステップであって、第二の補正係数群は標準物質に基づくステップと、第二のMAM型機器に関連付けられる1つ又は複数のプロセッサによって、第二のサンプルアイソフォームに対応する第二のサンプル存在量値群を特定するステップであって、第二のサンプル存在量値群は第二の補正係数群に基づくステップと、を含み、第一のサンプル存在量値群と第二のサンプル存在量値群との分散値は、第一の補正係数群と第二の補正係数群とに基づいて縮小され、(1)第一のMAMイテレーションを介する、第一のMAM型機器に関連付けられる1つ又は複数のプロセッサ、又は(2)第二のMAMイテレーションを介する、第二のMAM型機器に関連付けられる1つ又は複数のプロセッサ、のうちの少なくとも一方は、第一のサンプルと第二のサンプルとの間の偏差を縮小するための品質属性を特定し、品質属性は、属性タイプ2又は属性タイプ3に関連付けられる校正方法。
31.属性タイプ2は、第一のサンプル又は第二のサンプルの調製中に存在量を減少させる、態様30による校正方法。
32.属性タイプ3は、第一のサンプル又は第二のサンプルの調製中に存在量を増加させる、態様30による校正方法。
33.ランタイム信号強度校正を介してマルチ特性分析(MAM)の試験室間又は機器間のばらつきを縮小するように構成された校正システムであって、校正システムは、第一の検出器を含む第一のMAM型機器であって、(1)第一の機器モデル、又は(2)第一の設定群のうちの少なくとも一方により定義される第一の機器状態を有し、第一のサンプル、標準物質、及びストレス標準を受けるように構成され、及び、第一の検出器を介して、第一のサンプルからの第一のサンプルアイソフォーム、標準物質からの第一の標準物質アイソフォーム、及びストレス標準からのストレス標準物質アイソフォームを検出するようにさらに構成される第一のMAM型機器と、第一のMAM型機器に関連付けられる1つ又は複数のプロセッサであって、第一のMAMイテレーションを介して、第一のサンプルアイソフォームに対応する第一の補正係数群を特定するように構成され、第一の補正係数群は標準物質とストレス標準に基づいており、及び、第一のMAM型機器に関連付けられる1つ又は複数のプロセッサは、第一のサンプルアイソフォームに対応する第一のサンプル存在量値群を特定するようにさらに構成され、第一のサンプル存在量値群は第一の補正係数群に基づく、第一のMAM型機器に関連付けられる1つ又は複数のプロセッサと、第二の検出器を含む第二のMAM型機器であって、(1)第二の機器モデル、又は(2)第二の設定群のうちの少なくとも一方により定義される第二の機器状態を有し、第二の機器状態は第一の機器状態と異なり、第二のサンプル、標準物質、及びストレス標準を受けるように構成され、及び、第二の検出器を介して、第二のサンプルからの第二のサンプルアイソフォーム、標準物質からの第二の標準物質アイソフォーム、及びストレス標準からの第二のストレス標準アイソフォームを検出するようにさらに構成される第二のMAM型機器と、第二のMAM型機器に関連付けられる1つ又は複数のプロセッサであって、第二のMAMイテレーションを介して、第二のサンプルアイソフォームに対応する第二の補正係数群を特定するように構成され、第二の補正係数群は標準物質及びストレス標準に基づいており、及び、第二のMAM型機器に関連付けられる1つ又は複数のプロセッサは、第二のサンプルアイソフォームに対応する第二のサンプル存在量値群を特定するようにさらに構成され、第二のサンプル存在量値群は第二の補正係数群に基づく、第二のMAM型機器に関連付けられる1つ又は複数のプロセッサと、を含み、第一のサンプル存在量値群と第二のサンプル存在量値群との分散値は、第一の補正係数群と第二の補正係数群とに基づいて縮小される校正システム。
34.ストレス標準は、標準物質より高いレベルの品質属性を含む、態様33による校正システム。
35.ランタイム信号強度校正を介してマルチ特性分析(MAM)の試験室間又は機器間のばらつきを縮小するための校正方法であって、校正方法は、第一のMAM型機器において、第一のサンプル、標準物質、及びストレス標準を受けるステップであって、第一のMAM型機器は第一の検出器を含み、第一のMAM型機器は、(1)第一の機器モデル、又は(2)第一の設定群のうちの少なくとも一方により定義される第一の機器状態を有するステップと、第一のMAM型機器の第一の検出器によって、第一のサンプルからの第一のサンプルアイソフォーム、標準物質からの第一の標準物質アイソフォーム、及びストレス標準からのストレス標準物質アイソフォームを検出するステップと、第一のMAM型機器に関連付けられる1つ又は複数のプロセッサによって、第一のMAMイテレーションを介して、第一のサンプルアイソフォームに対応する第一の補正係数群を特定するステップであって、第一の補正係数群は標準物質とストレス標準に基づくステップと、第一のMAM型機器に関連付けられる1つ又は複数のプロセッサによって、第一のサンプルアイソフォームに対応する第一のサンプル存在量値群を特定するステップであって、第一のサンプル存在量値群は第一の補正係数群に基づくステップと、第二のMAM型機器において、第二のサンプル、標準物質、及びストレス標準を受けるステップであって、第二のMAM型機器は第二の検出器を含み、(1)第二の機器モデル、又は(2)第二の設定群のうちの少なくとも一方により定義される第二の機器状態を有し、第二の機器状態は第一の機器状態と異なるステップと、第二のMAM型機器の第二の検出器によって、第二のサンプルからの第二のサンプルアイソフォーム、標準物質からの第二の標準物質アイソフォーム、及びストレス標準からの第二のストレス標準アイソフォームを検出するステップと、第二のMAM型機器に関連付けられる1つ又は複数のプロセッサによって、第二のMAMイテレーションを介して、第二のサンプルアイソフォームに対応する第二の補正係数群を特定するステップであって、第二の補正係数群は標準物質及びストレス標準に基づくステップと、第二のMAM型機器に関連付けられる1つ又は複数のプロセッサによって、第二のサンプルアイソフォームに対応する第二のサンプル存在量値群を特定するステップであって、第二のサンプル存在量値群は第二の補正係数群に基づくステップと、を含み、第一のサンプル存在量値群と第二のサンプル存在量値群との分散値は、第一の補正係数群と第二の補正係数群とに基づいて縮小される校正方法。
36.ストレス標準は標準物質より高いレベルの品質属性を含む、態様35による校正方法。

Claims (13)

  1. ランタイム信号強度校正を介してマルチ特性分析(MAM:Multi-Attribute Methods)の試験室間又は機器間のばらつきを縮小するように構成された校正システムにおいて、
    第一の検出器を含む第一のMAM型機器であって、(1)第一の機器モデル、又は(2)第一の設定群のうちの少なくとも一方により定義される第一の機器状態を有し、第一のサンプルと標準物質を受けるように構成され、及び、前記第一の検出器を介して、前記第一のサンプルからの第一のサンプルアイソフォームと前記標準物質からの第一の標準物質アイソフォームを検出するようにさらに構成された第一のMAM型機器と、
    前記第一のMAM型機器に関連付けられる1つ又は複数のプロセッサであって、第一のMAMイテレーションを介して、前記第一のサンプルアイソフォームに対応する第一の補正係数群を特定するように構成され、前記第一の補正係数群は前記標準物質に基づいており、及び、前記第一のMAM型機器に関連付けられる1つ又は複数のプロセッサは、前記第一のサンプルアイソフォームに対応する第一のサンプル存在量値群を特定するようにさらに構成され、前記第一のサンプル存在量値群は前記第一の補正係数に基づく、前記第一のMAM型機器に関連付けられる1つ又は複数のプロセッサと、
    第二の検出器を含む第二のMAM型機器であって、(1)第二の機器モデル、又は(2)第二の設定群のうちの少なくとも一方により定義される第二の機器状態を有し、
    前記第二の機器状態は前記第一の機器状態と異なり、
    第二のサンプルと前記標準物質を受けるように構成され、及び、前記第二の検出器を介して、前記第二のサンプルからの第二のサンプルアイソフォームと前記標準物質からの第二の標準物質アイソフォームを検出するようにさらに構成される第二のMAM型機器と、
    前記第二のMAM型機器に関連付けられる1つ又は複数のプロセッサであって、第二のMAMイテレーションを介して、前記第二のサンプルアイソフォームに対応する第二の補正係数群を特定するように構成され、前記第二の補正係数群は前記標準物質に基づいており、及び、前記第二のMAM型機器に関連付けられる1つ又は複数のプロセッサは、前記第二のサンプルアイソフォームに対応する第二のサンプル存在量値群を特定するようにさらに構成され、前記第二のサンプル存在量値群は前記第二の補正係数に基づく、前記第二のMAM型機器に関連付けられる1つ又は複数のプロセッサと、
    を含み、
    前記第一のサンプル存在量値群と前記第二のサンプル存在量値群との分散値は、前記第一の補正係数群と前記第二の補正係数群とに基づいて縮小される校正システム。
  2. 前記第一のMAM型機器に関連付けられる前記1つ又は複数のプロセッサは、前記第一のMAMイテレーションを介して、品質属性を特定し
    (a)前記品質属性は、前記第一のサンプルアイソフォーム、蛋白質、又は同定された不純物のうちの何れかの1つである、または
    (b)前記品質属性は、断片化、酸化、糖化、水酸化、配列変異体、異性化、脱アミノ、C末端リシン、O結合グリカン、又はN結合グリカンのうちの何れか1つ又は複数を定義する、または
    (c)前記第一のMAM型機器に関連付けられる前記1つ又は複数のプロセッサは、前記品質属性を含むレポートを生成するように構成される、請求項1の校正システム。
  3. 前記第一の機器モデルは前記第二の機器モデルと異なる、または前記第一の設定群は前記第二の設定群と異なる、請求項1または2の校正システム。
  4. 前記第一の補正係数群は前記第一の標準物質アイソフォームのイオン強度値及び前記第一の標準物質アイソフォームの第一の標準物質存在量値に基づく、または前記第一の補正係数群は、前記第一のサンプル存在量値群に関連付けられるレスポンスファクタを校正して、前記第一のサンプルアイソフォームの前記イオン強度値を特定する、請求項1から3のいずれかの校正システム。
  5. 前記第一のサンプル存在量値群はさらに、前記第一のサンプルアイソフォームのイオン強度値に基づく、請求項1から4のいずれかの校正システム。
  6. 前記第一のMAM型機器は、
    (a)質量分析計(MS)機器である、または
    (b)トリプル四重極機器である、または
    (c)第一の地理的場所の第一の試験室にあり、前記第二のMAM型機器は第二の地理的場所の第二の試験室にある、請求項1から5のいずれかの校正システム。
  7. 前記第一のMAM型機器に関連付けられる1つ又は複数のプロセッサは、
    (a)前記第二のMAM型機器に関連付けられる前記1つ又は複数のプロセッサに、コンピュータネットワークを介して通信可能に連結される、または
    (b)前記第二のMAM型機器に関連付けられる前記1つ又は複数のプロセッサである、請求項1から6のいずれかの校正システム。
  8. ランタイム信号強度校正を介してマルチ特性分析(MAM)の試験室間又は機器間のばらつきを縮小するための校正方法において、
    第一の検出器を含む第一のMAM型機器において、第一のサンプルと標準物質を受けるステップと、
    前記第一の検出器を介して、前記第一のサンプルからの第一のサンプルアイソフォームと前記標準物質からの第一の標準物質アイソフォームを検出するステップと、
    前記第一のMAM型機器に関連付けられる1つ又は複数のプロセッサを介して、第一のMAMイテレーションについて、前記第一のサンプルアイソフォームに対応する第一の補正係数群を特定するステップであって、前記第一の補正係数群は前記標準物質に基づくステップと、
    前記第一のMAM型機器に関連付けられる1つ又は複数のプロセッサを介して、前記第一のサンプルアイソフォームに対応する第一のサンプル存在量値群を特定するステップであって、前記第一のサンプル存在量値群は第一の補正係数に基づいており、前記第一のMAM型機器は、(1)第一の機器モデル、又は(2)第一の設定群の少なくとも一方により定義される第一の機器状態を有するステップと、
    二の検出器を含む第二のMAM型機器において、第二のサンプルと前記標準物質を受けるステップと、
    前記第二の検出器を介して、前記第二のサンプルからの第二のサンプルアイソフォームと前記標準物質からの第二の標準物質アイソフォームを検出するステップと、
    前記第二のMAM型機器に関連付けられる1つ又は複数のプロセッサを介して、第二のMAMイテレーションについて、前記第二のサンプルアイソフォームに対応する第二の補正係数群を特定するステップであって、前記第二の補正係数群は前記標準物質に基づくステップと、
    前記第二のMAM型機器に関連付けられる前記1つ又は複数のプロセッサを介して、前記第二のサンプルアイソフォームに対応する第二のサンプル存在量値群を特定するステップであって、前記第二のサンプル存在量値群は前記第二の補正係数群に基づいており、前記第二のMAM型機器は、(1)第二の機器モデル、又は(2)第二の設定群の少なくとも一方により定義される第二の機器状態を有するステップと、
    を含み、
    前記第二の機器状態は前記第一の機器状態と異なり、
    前記第一のサンプル存在量値群と前記第二のサンプル存在量値群との分散値は、前記第一の補正係数群と前記第二の補正係数群とに基づいて縮小される校正方法。
  9. ランタイム信号強度校正を介して、複数の期間についてのMAM型機器のばらつきを縮小するための校正方法において、
    前記MAM型機器において、第一の期間について、第一のサンプルと標準物質を受けるステップと、
    前記MAM型機器の検出器を介して、前記第一の期間について、前記第一のサンプルからの第一のサンプルアイソフォームと前記標準物質からの第一の標準物質アイソフォームを検出するステップと、
    1つ又は複数のプロセッサを介して、前記第一の期間の第一のMAMイテレーションについて、前記第一のサンプルアイソフォームに対応する第一の補正係数群を特定するステップであって、前記第一の補正係数は前記標準物質に基づくステップと、
    前記1つ又は複数のプロセッサを介して、前記第一の期間の前記第一のMAMイテレーションを介して、前記第一のサンプルアイソフォームに対応する第一のサンプル存在量値群を特定するステップであって、前記第一のサンプル存在量値群は前記第一の補正係数群に基づいており、前記MAM型機器は、前記第一の期間にわたり、第一の設定群により定義される第一の機器状態を含むステップと、
    前記MAM型機器において、第二の期間について、第二のサンプルと前記標準物質を受けるステップと、
    前記MAM型機器の前記検出器を介して、前記第二の期間について、前記第二のサンプルからの第二のサンプルアイソフォームと前記標準物質からの第二の標準物質アイソフォームを検出するステップと、
    前記1つ又は複数のプロセッサを介して、前記第二の期間の第二のMAMイテレーションについて、前記第二のサンプルアイソフォームに対応する第二の補正係数群を特定するステップであって、前記第二の補正係数群は前記標準物質に基づくステップと、
    前記1つ又は複数のプロセッサを介して、前記第二の期間の前記第二のMAMイテレーションを介して、前記第二のサンプルアイソフォームに対応する第二のサンプル存在量値群を特定するステップであって、前記第二のサンプル存在量値群は前記第二の補正係数群に基づいており、前記MAM型機器は、前記第二の期間にわたり、第二の設定群により定義される第二の機器状態を含むステップと、
    を含み、
    前記第二の機器状態は前記第一の機器状態と異なり、
    前記第一のサンプル存在量値群と前記第二のサンプル存在量値群との分散値は、前記第一の補正係数群と前記第二の補正係数群とに基づいて縮小される校正方法。
  10. 前記第一のサンプルは第一の調製タイプを有し、
    前記第二のサンプルは第二の調製タイプを有し、
    前記第一の調製タイプは前記第二の調製タイプと異なり、それによって前記第一のサンプルと前記第二のサンプルとの間に偏差が生じ、前記偏差はサンプル調製中の属性存在量の人工的な変化に起因し、
    前記第二のサンプル存在量値群は前記第二の補正係数群に基づいており、
    前記第一のサンプル存在量値群と前記第二のサンプル存在量値群との分散値は、前記第一の補正係数群と前記第二の補正係数群とに基づいて縮小され、
    (1)前記第一のMAMイテレーションを介する、前記第一のMAM型機器に関連付けられる前記1つ又は複数のプロセッサ、又は(2)前記第二のMAMイテレーションを介する、前記第二のMAM型機器に関連付けられる前記1つ又は複数のプロセッサ、のうちの少なくとも一方は、前記第一のサンプルと前記第二のサンプルとの間の前記偏差を縮小するための品質属性を特定し、前記品質属性は、属性タイプ2又は属性タイプ3に関連付けられる、請求項1の校正システム。
  11. 前記第一のサンプルは第一の調製タイプを有し、
    前記第二のサンプルは第二の調製タイプを有し、前記第一の調製タイプは前記第二の調製タイプと異なり、それによって前記第一のサンプルと前記第二のサンプルとの間に偏差が生じ、前記偏差はサンプル調製中の属性存在量の人工的な変化に起因し、
    (1)前記第一のMAMイテレーションを介する、前記第一のMAM型機器に関連付けられる前記1つ又は複数のプロセッサ、又は(2)前記第二のMAMイテレーションを介する、前記第二のMAM型機器に関連付けられる前記1つ又は複数のプロセッサ、のうちの少なくとも一方は、前記第一のサンプルと前記第二のサンプルとの間の前記偏差を縮小するための品質属性を特定し、前記品質属性は、属性タイプ2又は属性タイプ3に関連付けられる、請求項8の校正方法。
  12. 前記第一のMAM型機器は、ストレス標準を受けるようにさらに構成され、及び、前記第一のMAM型機器は、前記第一の検出器を介して、前記ストレス標準からのストレス標準物質アイソフォームを検出するようにさらに構成され、
    前記第一の補正係数群は前記標準物質と前記ストレス標準に基づいており、
    前記第二のMAM型機器は、前記ストレス標準を受けるように構成され、及び、前記第二のMAM型機器は、前記第二の検出器を介して、前記ストレス標準からの第二のストレス標準アイソフォームを検出するようにさらに構成され、
    前記第二の補正係数群は前記標準物質と前記ストレス標準に基づいている、
    請求項1の校正システム。
  13. 前記第一のMAM型機器において、ストレス標準を受けるステップと、
    前記第一のMAM型機器の前記第一の検出器によって、前記ストレス標準からのストレス標準物質アイソフォームを検出するステップと、
    前記第一の補正係数群は前記標準物質と前記ストレス標準に基づいており、
    前記第二のMAM型機器において、前記ストレス標準を受けるステップと、
    前記第二のMAM型機器の前記第二の検出器によって、前記ストレス標準からの第二のストレス標準アイソフォームを検出するステップと、
    前記第二の補正係数群は前記標準物質と前記ストレス標準に基づいており、
    をさらに含む、請求項8の校正方法。
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