(1)概要
以下の実施形態において説明する各図は、模式的な図であり、各図中の各構成要素の大きさ及び厚さそれぞれの比が、必ずしも実際の寸法比を反映しているとは限らない。
本実施形態に係る駆動システム1(図1参照)は、電動アシスト付き自転車100(図2A参照)用の駆動システムである。また本実施形態に係る電動アシスト付き自転車100は、駆動システム1と、電動アシスト付き自転車の本体2(図2A参照)と、を備えている。以下では「電動アシスト付き自転車100」を単に自転車100と呼ぶことがある。自転車100は、電気的な動力によって、走行面101を走行可能な自転車である。特に自転車100は、ユーザの踏む力(踏力)をモータによって補助する自転車である。
以下では特に断りのない限り、自転車100の走行面101は、水平面H1(図2A参照)と平行であるとして説明する。ただし、実際は、走行面101は水平面H1と平行である必要はなく、水平面H1に対して傾斜していてもよいし(図2B参照)、凹凸のある面であってもよい。また、以下では、自転車100が進む方向を「前方向」とし、前方向の反対方向を「後方向」とし、前方向及び後方向を併せて「前後方向D1」として定義する。ただし、これらの方向の定義は、駆動システム1、及び自転車100の使用態様を限定する趣旨ではない。また、図面中の各方向を示す矢印は、説明のために表記しているにすぎず、実体を伴わない。
本実施形態に係る駆動システム1は、図1に示すように、第1モータM1と、第2モータM2と、調整部300とを備えている。第1モータM1は、前輪201に第1動力を伝えて前輪201の回転をアシストする。第2モータM2は、後輪202に第2動力を伝えて後輪202の回転をアシストする。
そして、調整部300は、人力駆動力に対する第1動力に関する第1アシスト比率と、人力駆動力に対する第2動力に関する第2アシスト比率とをそれぞれ調整する。ここでいう「人力駆動力」とは、例えば、ユーザからペダル26を介して車輪20に与えられる踏力である。
この構成によれば、調整部300は、前輪201及び後輪202の2つのモータ(第1モータM1及び第2モータM2)の動力に関する2つのアシスト比率をそれぞれ調整するため、アシスト制御に関する効率の向上を図ることができる。
(2)詳細
(2.1)電動自転車の全体構成
以下、本実施形態に係る自転車100の全体構成について、図1~図5を参照しながら詳しく説明する。
自転車100は、上述の通り、ユーザの踏む力(踏力)をモータによって補助する電動アシスト自転車である。自転車100は、駆動システム1と、本体2とを備えている。駆動システム1は、図1に示すように、第1モータM1と、第2モータM2と、制御装置3と、バッテリユニット4と、検出装置群8と、操作部6とを備えている。
(2.2)本体
本体2は、図2Aに示すように、フレーム7と、複数(図示例では2つ)の車輪20と、フロントフォーク22と、ハンドル23と、サドル24と、一対のクランクアーム25と、一対のペダル26とを備えている。また本体2は、動力伝達体27と、第1スプロケットSP1と、第2スプロケットSP2と、クランク軸29とを更に備えている。
複数の車輪20は、フレーム7を走行面101の上に支える部材である。本実施形態の本体2は、複数の車輪20として、1つの前輪201と、1つの後輪202とを有している。なお、車輪20の数は特に限定されず、自転車100は、例えば後輪202の数が2つの電動三輪車でもよい。前輪201は、中心にハブ281を有し、後輪202は、中心にハブ291を有している。前輪201及び後輪202は、フレーム7に取り付けられており、第1モータM1及び第2モータM2からそれぞれ出力された第1動力及び第2動力により回転する。
前輪201は、前後方向D1に並ぶ2つの車輪20のうちの前側の車輪である。前輪201は、レッグ221によって、左右方向に沿った軸回りに回転し得るように支持される。ここでは前輪201は、第1モータM1から動力の伝達を受ける車輪である。
後輪202は、前後方向D1に並ぶ2つの車輪20のうちの後側の車輪である。後輪202は、複数(ここでは一対)のチェーンステー77によって、左右方向に沿った軸回りに回転可能に支持される。
第2スプロケットSP2は、後輪202のハブ291と同心状で、かつハブ291に対して一体的に取り付けられている。第2スプロケットSP2は、第1スプロケットSP1に対し、動力伝達体27を介して連結されている。これにより、ユーザからの人力駆動力(踏力)は、後輪202に伝達される。
フロントフォーク22は、前輪201を支える。フロントフォーク22は、一対のレッグ221と、クラウン222と、ステアリングコラム223とを有している。クラウン222は、一対のレッグ221の上端をつなぐ。ステアリングコラム223は、クラウン222から突出する。一対のレッグ221には、ハブ281に通されたシャフトを介して、前輪201が回転可能に取り付けられている。前輪201の回転軸は、走行面101に対して平行である。ステアリングコラム223の突出方向(長手方向)は、クラウン222から、上方向に行くに従って後方向に行くように延びており、走行面101に対して傾いている。
ハンドル23は、ステアリングコラム223の上端に取り付けられており、フロントフォーク22に対して固定されている。ステアリングコラム223は、フレーム7のヘッドパイプ71に通されており、フレーム7に回転可能に取り付けられている。ステアリングコラム223の回転軸は、ステアリングコラム223の長手方向に略平行である。したがって、ハンドル23は、ステアリングコラム223の長手方向に沿う軸を回転軸として、前輪201を回転させることができる。
フレーム7は、複数の車輪20、フロントフォーク22、ハンドル23、サドル24、バッテリユニット4及び制御装置3が取り付けられる骨組みである。フレーム7の材料は、例えば、アルミニウムを主成分とするアルミニウム合金である。ただし、フレーム7の材料は、アルミニウム合金に限らず、例えば、鉄、クロムモリブデン鋼、ハイテンスチール、チタン、又はマグネシウムであってもよい。また、フレーム7の材料は、金属に限らず、例えば、カーボン、木材、竹、又は繊維強化合成樹脂(例えば、CFRP;Carbon Fiber Reinforced Plastics)であってもよい。
フレーム7は、ヘッドパイプ71と、上パイプ72と、補強パイプ73と、下パイプ74と、立パイプ75と、複数(図2Aでは1つのみ図示)のシートステー76と、複数(図2Aでは1つのみ図示)のチェーンステー77と、ブラケット78とを有している。本開示でいう「パイプ」とは、細長くて中空な部材を意味する。本開示のパイプの断面形状は、例えば、円形状(正円、長円及び楕円を含む)、長方形状(正方形を含む)、六角形状、又は八角形状であってもよい。
ヘッドパイプ71は、フロントフォーク22を支える。ヘッドパイプ71の中心軸は、上方向に行くに従って後方向に行くように、走行面101に対して傾いている。ヘッドパイプ71には、ヘッドパイプ71の中心軸とステアリングコラム223の中心軸とが沿うように、ステアリングコラム223が通されている。これによって、ヘッドパイプ71は、ステアリングコラム223を回転可能に支える。ステアリングコラム223の回転軸は、ヘッドパイプ71の中心軸と同じである。
上パイプ72は、ヘッドパイプ71と立パイプ75とをつなぐ。上パイプ72の長手方向の前端は、ヘッドパイプ71に接続されている。上パイプ72の長手方向の後端は、立パイプ75に接続されている。上パイプ72の長手方向は、後方向に行くに従って下方向に行くように、走行面101に対して傾いている。ただし、上パイプ72は走行面101に対して傾いていなくてもよい。上パイプ72は、省略されてもよい。
補強パイプ73は、立パイプ75と上パイプ72との接続部分を補強するための補強部材である。補強パイプ73は、立パイプ75と上パイプ72とをつなぐ。補強パイプ73は、省略されてもよい。
立パイプ75は、サドル24を保持する。立パイプ75の長手方向の下端は、ブラケット78に接続されている。立パイプ75の中心軸は、下端から上方向に行くに従って後方向に行くように、走行面101に対して傾いている。立パイプ75の中間部分には、上パイプ72の長手方向の後端が接続されている。ここでいう「中間部分」とは、立パイプ75の長手方向のうちの下端と上端とを除く部分を意味する。上パイプ72は、立パイプ75の上端に接続されてもよい。
下パイプ74は、ブラケット78とヘッドパイプ71とをつなぐ。下パイプ74の長手方向の前端は、ヘッドパイプ71に接続されている。下パイプ74の長手方向の後端は、
ブラケット78に接続されている。下パイプ74の中心軸は、長手方向の後端から前方向に行くに従って上方向に行くように走行面101に対して傾いている。下パイプ74には、バッテリユニット4のバッテリ41が取外し可能に取り付けられている。
複数(ここでは一例として一対)のチェーンステー77は、後輪202のシャフトを支える。各チェーンステー77の長手方向の前端は、ブラケット78に接続されている。各チェーンステー77の長手方向の後端は、対応するシートステー76の後端に接続されている。一対のチェーンステー77は、左右方向に離れており、一対のチェーンステー77の後端部には、ハブ291に通されたシャフトを介して、後輪202が回転可能に取り付けられている。後輪202の回転軸は、走行面101に対して略平行であり、後輪202を支えるシャフトの中心軸と同じである。
複数(ここでは一例として一対)のシートステー76は、チェーンステー77と立パイプ75とをつなぐ。各シートステー76の長手方向の後端は、対応するチェーンステー77の長手方向の後端に接続されている。各シートステー76の長手方向の前端は、立パイプ75の中間部分に接続されている。一対のシートステー76は、上パイプ72から分岐しており、上パイプ72と一体である。ただし、シートステー76と上パイプ72とは別体であってもよい。
ブラケット78は、制御装置3が取り付けられる部分である。ブラケット78は、上下方向及び前後方向D1の両方と直交する方向から見て略C字状に形成されている。ブラケット78には、下パイプ74の長手方向の後端、立パイプ75の長手方向の下端及びチェーンステー77の長手方向の前端が接続されている。これによって、下パイプ74の長手方向の後端、立パイプ75の長手方向の下端及びチェーンステー77の長手方向の前端は、互いに固定されている。
サドル24は、シートピラー241と、ユーザが座る座部242とを有する。シートピラー241は、立パイプ75の中心軸に沿うようにして、立パイプ75に通されている。シートピラー241は、サドル24において座部242から下側に突出している。シートピラー241は、下方向に行くに従って前方向に行くように、走行面101に対して傾斜している。シートピラー241は、立パイプ75に対し、立パイプ75の中心軸に沿って移動可能に取り付けられている。
一対のペダル26の各々は、対応するクランクアーム25の長手方向の端部のうち、クランク軸29側とは反対側の端部に取り付けられている。各ペダル26は、対応するクランクアーム25に対して、回転可能に取り付けられている。ペダル26の回転軸は、クランク軸29の回転軸に対して略平行である。クランク軸29には、図2Aに示すように、一対のクランクアーム25が取り付けられている。クランクアーム25の長手方向は、クランク軸29の回転軸に対して交差する(図示例では、直交する)。一対のクランクアーム25は、クランク軸29の回転軸方向に見て一直線上に並ぶ。
動力伝達体27は、ユーザからの人力駆動力(踏力)を、複数の車輪20のうちの少なくとも一つ(ここでは後輪202)に伝達する。動力伝達体27は、第1スプロケットSP1と第2スプロケットSP2との間で動力伝達可能に架けられるチェーンである。ただし、動力伝達体27は、例えば、ベルト、シャフト、ワイヤ、又はギアであってもよい。
第1スプロケットSP1は、例えば、複数のスプロケットで構成されており、第2スプロケットSP2と共に変速機を構成する。この変速機の変速位置を変えることにより、自転車100の変速が可能となる。
(2.3)駆動システム
(2.3.1)第1モータ及び第2モータ
第1モータM1は、前輪201に第1動力(回転動力)を伝えて前輪201の回転をアシストする。第1モータM1は、例えば、コアレスDCブラシレスモータである。ここでは第1モータM1は、ハブモータである。第1モータM1は、前輪201のハブ281と一体化して同軸でつながっている。第1モータM1は、制御装置3と電気的に接続されて、制御装置3により制御される。第1モータM1は、バッテリ41からの電力によって駆動し、前輪201に第1動力を伝達する。
第2モータM2は、後輪202に第2動力(回転動力)を伝えて後輪202の回転をアシストする。第2モータM2は、例えば、第1モータM1と同様に、コアレスDCブラシレスモータである。ここでは第2モータM2も、ハブモータである。第2モータM2は、後輪202のハブ291と一体化して同軸でつながっている。第2モータM2は、制御装置3と電気的に接続されて、制御装置3により制御される。第2モータM2は、バッテリ41からの電力によって駆動し、後輪202に第2動力を伝達する。
(2.3.2)バッテリユニット
バッテリユニット4は、図1に示すように、バッテリ41と、バッテリ制御部42とを有している。バッテリユニット4は、制御装置3と電気的に接続されている。
バッテリ41は、制御装置3を介して、第1モータM1及び第2モータM2に電力を供給する。またバッテリ41は、これらのモータに加えて、例えば、本体2のヘッドライト、及び操作部6等に電力を供給する。バッテリ41としては、例えばリチウムイオン二次電池のような充放電が繰り返し可能な二次電池が用いられる。バッテリ41は、下パイプ74に対して取外し可能に取り付けられている。なお、バッテリ41は、立パイプ75の後方において、立パイプ75に沿って配置されてもよい。
バッテリ制御部42は、自転車100が使用されるごとに、自転車100の走行時(使用時)にバッテリ41で消費された電力量(バッテリ消費電力量)を求める。バッテリ消費電力量を表す消費電力量情報は、バッテリ制御部42から制御装置3に出力される。また、バッテリ制御部42は、バッテリ41の残量を管理する。バッテリ41の残量を表す残量情報は、バッテリ制御部42から制御装置3に出力される。
(2.3.3)操作部
操作部6は、ユーザから、第1モータM1及び第2モータM2の各々を個別にON/OFFするための操作を受け付ける。操作部6は、例えば、ハンドル23に取り付けられる。さらに操作部6は、2種類のアシスト比率(第1アシスト比率及び第2アシスト比率)の変更操作を受け付けるように構成される。操作部6は、制御装置3と電気的に接続される。
(2.3.4)制御装置
制御装置3は、アシスト制御、及び回生制御を行うように構成される。具体的には、制御装置3は、人力駆動力、自転車100の車速、及び変速機のギア段位置(ギア比)等に基づいて、第1モータM1及び第2モータM2を制御するアシスト制御を実行する。人力駆動力(踏力)は、後述する踏力検出部F4で検出される。車速は、後述するスピード検出部F1で検出される車輪20の回転数等から算出される。
また制御装置3は、減速時において、第1モータM1及び第2モータM2の少なくとも一方で発電した電力で、バッテリ41を充電する回生制御に関する処理を実行する。例えば、自転車100が下り坂を走行中において、ユーザがハンドル23のブレーキレバーを操作すると、制御装置3は、回生制御のモードに切り替えて、回生ブレーキ力によりバッテリ41の充電量を回復させる。なお、制御装置3は、ヘッドライトに関する点灯制御を更に行なってもよい。
ここで制御装置3は、図1に示すように、処理部30と、記憶部32と、処理部30を収容するハウジング31(図2A参照)とを有している。
ハウジング31は、中空の扁平な箱状である。ハウジング31は、ブラケット78に固定されている。
処理部30は、1以上のプロセッサ及び1以上のメモリを有するコンピュータシステムを主構成とする。処理部30では、1以上のプロセッサがメモリに記録されているプログラムを実行することにより、処理部30の各部の機能が実現される。プログラムはメモリに予め記録されていてもよいし、インターネット等の電気通信回線を通して提供されてもよく、メモリカード等の非一時的記録媒体に記録されて提供されてもよい。
処理部30は、図1に示すように、調整部300と、検出部301と、駆動制御部302とを有している。言い換えると、処理部30は、調整部300としての機能、検出部301としての機能、及び、駆動制御部302としての機能を有している。
処理部30は、外部(バッテリユニット4、検出装置群8、及び操作部6)から各種の電気信号を取得するように構成される。処理部30は、取得した電気信号に応じて、アシスト制御及び回生制御等に関する処理を実行する。
特に処理部30は、アシスト比率に基づいてモータを駆動するアシスト制御に関する処理を実行する。本開示における「アシスト比率」とは、人力駆動力(踏力)と電力補助(モータによる回転動力)との比率である。ただし、上述の通り、本実施形態のモータの数は、第1モータM1及び第2モータM2の2つである。さらに本実施形態のアシスト比率は、第1アシスト比率、及び第2アシスト比率の2つを含む。
検出部301は、図3に示すように、例えば、スピード検出部F1と、回転検出部F2と、傾斜検出部F3と、踏力検出部F4と、加減速検出部F5と、空転検出部F6とを含む。検出部301は、検出装置群8からセンサ信号(電気信号)を受信する。検出部301は、センサ信号に基づき、後述する特定情報を生成して、調整部300に送出する。
ここで検出装置群8は、図1に示すように、スピード検出装置81、回転検出装置82、傾斜検出装置83、踏力検出装置84、加減速検出装置85、及び空転検出装置86を含む。
スピード検出部F1は、自転車100の車輪20(例えば後輪202)の回転状態を検出する。スピード検出装置81は、磁石とスピードセンサとを含む。磁石は、後輪202に配置され、後輪202と共に回転する。スピードセンサは、磁石の磁力を検知するホールICである。スピードセンサは、例えばフレーム7のチェーンステー77に装着される。スピードセンサは、例えばホール効果を用いて、磁石の磁力を検知する。スピードセンサは、検出結果に基づくセンサ信号を制御装置3に出力する。スピード検出部F1は、スピードセンサからのセンサ信号に基づき、例えば後輪202が1回転するごとに後輪202の回転状態を1回検出する。スピード検出部F1は、後輪202に加えて又は代わりに、前輪201の回転状態を検出してもよく、この場合、磁石は、前輪201に配置され、前輪201と共に回転する。スピード検出部F1は、自転車100の現在の車速を演算し、アシスト制御等に用いる。
回転検出部F2は、第1モータM1及び第2モータM2の各々の回転状態を検出する。回転検出装置82は、回転部材と回転センサとを、各モータ(第1モータM1及び第2モータM2の各々)に含む。回転部材は、各モータの出力軸の外周面に取り付けられて、出力軸と共に回転する。回転部材は、例えば、その周方向において交互に磁極が入れ替わるように磁石が埋め込まれた部材、又は周方向において交互に磁極が入れ替わるように着磁された磁石で構成されている。回転センサは、回転部材の磁石の磁力を検知するホールICである。回転センサは、回転部材に対向して設けられている。回転センサは、回転部材の回転に伴う磁界の変化を示すセンサ信号を制御装置3に出力する。回転検出部F2は、回転センサからのセンサ信号に基づき、各モータが駆動中であるか否かを判定する。これにより、各モータが駆動中であるか停止中であるかを判定することができる。
傾斜検出部F3は、水平面H1に対する自転車100の前後方向D1の傾斜を検出する。傾斜検出装置83は、例えば三軸のジャイロセンサを含む。傾斜検出装置83は、加速度センサを更に含んでもよい。ジャイロセンサは、制御装置3のハウジング31内に配置されるが、配置場所は特に限定されず、フレーム7のチェーンステー77に装着されてもよい。ジャイロセンサは、本体2の角度の変化量(角速度)に基づくセンサ信号を制御装置3に出力する。傾斜検出部F3は、ジャイロセンサの検出結果から傾斜角度θ1(図2B参照)を推定する。また傾斜検出部F3は、ジャイロセンサの検出結果、踏力、及び車速等から、自転車100が坂道(上り坂及び下り坂の区別も判定)を走行中であるかを判定し、その判定結果(特定情報)をアシスト制御等に用いる。すなわち、特定情報は、傾斜に関する情報を含む。
踏力検出部F4は、人力駆動力として踏力を検出する。踏力検出装置84は、例えばトルクセンサを含む。トルクセンサは、例えばクランク軸29に装着される。トルクセンサは、例えば磁歪効果を用いて、ペダル26への入力トルクを検知する。トルクセンサは、入力トルクに基づくセンサ信号を制御装置3に出力する。踏力検出部F4は、トルクセンサの検出結果等から踏力(人力駆動力)を演算し、その演算結果(特定情報)をアシスト制御等に用いる。すなわち、特定情報は、踏力に関する情報を含む。
加減速検出部F5は、自転車100の加減速を検出する。加減速検出装置85は、例えば三軸の加速度センサを含む。加速度センサは、制御装置3のハウジング31内に配置されるが、配置場所は特に限定されない。傾斜検出装置83が加速度センサを含む場合には、当該加速度センサが、加減速検出装置85の構成の一部を兼ねてもよい。加速度センサは、加速度又は減速度(負の加速度)に基づくセンサ信号を制御装置3に出力する。加減速検出部F5は、加速度センサの検出結果から、自転車100の加減速を演算し、その演算結果(特定情報)をアシスト制御等に用いる。すなわち、特定情報は、加減速に関する情報を含む。なお、加減速検出部F5は、加速度センサからの検出結果ではなく、スピード検出装置81のスピードセンサの検出結果、及び踏力検出装置84のトルクセンサの検出結果に基づいて、自転車100の加減速を演算してもよい。
空転検出部F6は、前輪201及び後輪202の少なくとも一方の空転を検出する。空転(スリップ)は、雨天で走行面101が濡れていたり走行面101上に落ち葉等の異物が存在していたりすることで、走行面101の摩擦抵抗が低くなった状態時に起こり易い。空転検出装置86は、例えばトルクセンサを含む。ただし、ここでは、クランク軸29に装着された踏力検出装置84のトルクセンサが、空転検出装置86のトルクセンサを兼ねているものとする。トルクセンサは、入力トルクに基づくセンサ信号を制御装置3に出力する。空転検出部F6は、トルクセンサの検出結果、及びスピードセンサの検出結果に基づいて、空転の有無を判定し、その判定結果(特定情報)をアシスト制御等に用いる。すなわち、特定情報は、空転に関する情報を含む。
記憶部32は、読み書き可能なメモリで構成されている。記憶部32は、例えばフラッシュメモリである。記憶部32は、処理部30の外部に設けられているが、処理部30の内部に設けられていてもよい。すなわち、記憶部32は、処理部30の内蔵メモリであってもよい。記憶部32は、アシスト制御等に関する種々のデータを記憶する。特に記憶部32は、(後述する)複数種類の走行状態と複数のアシストパターンとが対応付けされた対応情報を記憶する。
駆動制御部302は、スピード検出部F1の検出結果(現在の車速)や、調整部300で決定した第1アシスト比率及び第2アシスト比率に基づき、各車輪20のアシストトルク値を演算する。そして、駆動制御部302は、所定の回転速度で第1モータM1及び第2モータM2の各々が回転するように各モータに駆動制御信号を出力して、各モータを制御する。なお、調整部300については次の欄で詳細に説明する。
(2.3.5)調整部
調整部300は、人力駆動力に対する、第1モータM1からの第1動力に関する第1アシスト比率と、人力駆動力に対する、第2モータM2からの第2動力に関する第2アシスト比率とをそれぞれ調整する。特に本実施形態の調整部300は、自転車100の走行状態に関する特定情報に基づいて、第1アシスト比率と第2アシスト比率とをそれぞれ決定する。特定情報は、傾斜、踏力、加減速、及び空転等に関する情報を含み得る。特定情報は、これらに関する情報を全て含むことは必須ではないが、特に踏力に関する情報を含むことが好ましい。
具体的には、調整部300は、特定情報に基づいて、自転車100の現在の走行状態を特定するように構成される。調整部300は、記憶部32に記憶される複数のアシストパターンから、特定した現在の走行状態に対応するアシストパターンを選択する。ここでいう「走行状態」の種類として、以下の第1~第6走行状態を例示する。
「第1走行状態」は、走行面101が水平面H1と略平行な平地を自転車100が走行中の状態である。「第2走行状態」は、走行面101が水平面H1に対して傾斜した上り坂を自転車100が走行中の状態である。「第3走行状態」は、走行面101が水平面H1に対して傾斜した下り坂を自転車100が走行中の状態である。「第4走行状態」は、自転車100が加速しながら走行中である状態である。「第5走行状態」は、自転車100が減速しながら走行中の状態である。「第6走行状態」は、自転車100がスリップしながら走行中の状態である。
これらの走行状態の種類は、単なる一例であり、特に限定されない。また調整部300は、現在の走行状態を、これらの走行状態の中から1つだけを特定するのではなく、複合的に特定し得る。例えば、調整部300は、現在の走行状態が第3走行状態及び第5走行状態にあると特定し得る。調整部300は、特定した1又は複数種類の走行状態に最適なアシストパターンを選択する。
各アシストパターンは、前輪201のアシスト量(第1動力:アシストトルク値)に対する、後輪202のアシスト量(第2動力:アシストトルク値)の比率(以下、「トルク比率」と呼ぶ)に関する情報を含む。複数のアシストパターン間で、トルク比率は異なる。調整部300は、選択したアシストパターン、及び自転車100の現在の車速に基づいて、第1アシスト比率と第2アシスト比率とをそれぞれ決定する。
調整部300は、「第1走行状態(平地走行)」において、前輪201のアシスト量と後輪202のアシスト量とのバランスが略均等な、均等型のアシストパターンを選択する。すなわち、調整部300は、前輪201のアシスト量と後輪202のアシスト量と略等しいトルク比率のアシストパターンを選択する。なお、後輪202のアシスト量の方が、前輪201のアシスト量より大きくてもよい。均等型のアシストパターン自体も、互いに異なる複数のトルク比率を含み、調整部300は、均等型のアシストパターンに属する複数のトルク比率の中から、最適なトルク比率を選択していく。調整部300は、「第4走行状態(加速)」においても、この均等型のアシストパターンを選択してもよいし、別のアシストパターンを選択してもよい。
また調整部300は、「第2走行状態(上り坂走行)」において、後輪202のアシスト量を重視した、後輪重視型のアシストパターンを選択する。すなわち、調整部300は、後輪202のアシスト量の方が、前輪201のアシスト量よりも大きいトルク比率のアシストパターンを選択する。後輪重視型のアシストパターン自体も、互いに異なる複数のトルク比率を含み、調整部300は、後輪重視型のアシストパターンに属する複数のトルク比率の中から、最適なトルク比率を選択していく。後輪重視型のアシストパターンに属する複数のトルク比率は、前輪201のアシスト量がゼロ、つまり0対1のトルク比率も含む。調整部300は、傾斜角度θ1の大きさ及び車速等に応じて、第1アシスト比率及び第2アシスト比率の各々を微調整することが好ましい。調整部300は、自転車100が走行を開始してから所定の期間中においても、後輪重視型のアシストパターンを選択してもよい。
また調整部300は、「第3走行状態(下り坂走行)」において、前輪201のアシスト量を重視した、前輪重視型のアシストパターンを選択する。すなわち、調整部300は、前輪201のアシスト量の方が、後輪202のアシスト量よりも大きいトルク比率のアシストパターンを選択する。前輪重視型のアシストパターン自体も、互いに異なる複数のトルク比率を含み、調整部300は、前輪重視型のアシストパターンに属する複数のトルク比率の中から、最適なトルク比率を選択していく。前輪重視型のアシストパターンに属する複数のトルク比率は、後輪201のアシスト量がゼロ、つまり1対0のトルク比率も含む。調整部300は、傾斜角度θ1の大きさ及び車速等に応じて、第1アシスト比率及び第2アシスト比率の各々を微調整することが好ましい。ただし、下り坂におけるアシスト量は、車速を減速させる回生ブレーキの量とする。言い換えると、制御装置3は、回生制御と連携してアシスト制御を実行する。回生ブレーキを、後輪202よりも前輪201を大きくすることで、より適切なアシスト制御を実行できる。ハンドル23のブレーキレバー(摩擦ブレーキ)の操作中においても、調整部300は、第1アシスト比率及び第2アシスト比率を調整してもよい。
特に、ユーザが例えば急ブレーキを掛けた時に、摩擦ブレーキと連動して、回生ブレーキ力に関する第1アシスト比率と第2アシスト比率を調整してもよい。これにより車輪20がロック状態となることを抑制し、自転車100がスリップして転倒してしまう可能性を抑制できる。
調整部300は、「第5走行状態(減速)」や「第6走行状態(スリップ)」においても、前輪重視型のアシストパターンを選択してもよいし、別のアシストパターンを選択してもよい。
なお、例えば日本国では、道路交通法により、電動アシスト自転車における、人力駆動力に対する電力補助のアシスト比率の上限が、車速の範囲毎に定められている。具体的には、日本国では、図4に示すように、例えば10km/h以下では、人力駆動力(領域R2参照)と電力補助(領域R1参照)との最大アシスト比率が1対2に規定され、24km/h以上では、最大アシスト比率が1対0に規定されている。したがって、本実施形態では、調整部300は、自転車100の全体的なアシスト比率が上記規定を満たす範囲内で、第1アシスト比率と第2アシスト比率とを調整する。言い換えると、調整部11は、第1動力及び第2動力の合計出力(つまり、前輪201のアシスト量と後輪202のアシスト量の合計)が、所定値以下になるように調整する。
例えば、第1アシスト比率と第2アシスト比率とを、車輪20ごとの「個別アシスト比率」と呼び、人力駆動力(踏力)に対する、前輪201及び後輪202の合計アシスト量の比率を「合算アシスト比率」と呼ぶとする。調整部300は、道路交通法に準じて、この合算アシスト比率が、例えば10km/h以下では、最大でも1対2になるように、個別アシスト比率を調整する。
したがって、調整部300は、例えば、車速等に応じて、人力駆動力に対する電力補助の合計出力(前輪201のアシスト量と後輪202のアシスト量の合計)を決定する。それから、調整部300は、選択したアシストパターンのトルク比率に準じて、その合計出力から前輪201のアシスト量と後輪202のアシスト量とを割り振る。すなわち、第1アシスト比率及び第2アシスト比率をそれぞれ決定する。
ただし、道路交通法は各国で異なり得るため、調整部300が合算アシスト比率の最大を考慮することは必須ではない。
なお、操作部6は、ユーザからアシスト比率の変更操作を受け付けるように構成されていて、調整部300は、その変更操作に対応する第1アシスト比率及び第2アシスト比率へ変更する手動モードも、有している。
(2.4)動作説明
以下、駆動システム1の動作について、図5を参照して説明する。
検出部301は、検出装置群8からセンサ信号を受信する(ステップS1)。検出部301は、センサ信号に基づき、特定情報を生成する(ステップS2)。調整部300は、特定情報に基づき、自転車100の現在の走行状態を判定する(ステップS3)。そして、調整部300は、特定した走行状態に最適なアシストパターンを選択する(ステップS4)。
調整部300は、電力補助の合計出力を算出し、更に、選択したアシストパターンのトルク比率に準ずるように前輪201のアシスト量と後輪202のアシスト量とをそれぞれ決定する。つまり、調整部300は、第1アシスト比率と第2アシスト比率とをそれぞれ決定する(ステップS5)。
駆動制御部302は、現在の車速や調整部300で決定した第1アシスト比率及び第2アシスト比率に基づき、第1モータM1用の駆動制御信号と第2モータM2用の駆動制御信号を生成して各モータにそれぞれ出力して各モータを制御する(ステップS6)。
このように本実施形態によれば、調整部300は、前輪201及び後輪202の2つのモータ(第1モータM1及び第2モータM2)の動力に関する2つのアシスト比率をそれぞれ調整する。そのため、例えば前輪201のみ、又は後輪202のみをアシスト制御する場合に比べて、アシスト制御に関する効率の向上を図ることができる。特に走行状態に応じて、前輪201及び後輪202への荷重バランスは、複雑に変化し得る。駆動システム1が調整部300を備えることで、そのような変化に追従できる可能性が高くなる。
また第1モータM1及び第2モータM2がハブモータであるため、前輪201及び後輪202について互いに独立したアシスト制御をより容易に行える。特に調整部300は、自転車100の走行状態に関する特定情報に基づいて、第1アシスト比率と第2アシスト比率とをそれぞれ決定するため、前輪201及び後輪202の各々についてより効率の良いアシスト制御を実現できる。
(3)変形例
上記実施形態は、本開示の様々な実施形態の一つに過ぎない。上記実施形態は、本開示の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。また、上記実施形態に係る駆動システム1(特に調整部300)と同様の機能は、この処理方法、コンピュータプログラム、又はコンピュータプログラムを記録した非一時的記録媒体等で具現化されてもよい。
以下、上記実施形態の変形例を列挙する。以下に説明する変形例は、適宜組み合わせて適用可能である。以下では、上記実施形態を「基本例」と呼ぶこともある。
本開示における駆動システム1は、コンピュータシステムを含んでいる。コンピュータシステムは、ハードウェアとしてのプロセッサ及びメモリを主構成とする。コンピュータシステムのメモリに記録されたプログラムをプロセッサが実行することによって、本開示における駆動システム1としての機能が実現される。プログラムは、コンピュータシステムのメモリに予め記録されてもよく、電気通信回線を通じて提供されてもよく、コンピュータシステムで読み取り可能なメモリカード、光学ディスク、ハードディスクドライブ等の非一時的記録媒体に記録されて提供されてもよい。コンピュータシステムのプロセッサは、半導体集積回路(IC)又は大規模集積回路(LSI)を含む1ないし複数の電子回路で構成される。ここでいうIC又はLSI等の集積回路は、集積の度合いによって呼び方が異なっており、システムLSI、VLSI(Very Large Scale Integration)、又はULSI(Ultra Large Scale Integration)と呼ばれる集積回路を含む。さらに、LSIの製造後にプログラムされる、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、又はLSI内部の接合関係の再構成若しくはLSI内部の回路区画の再構成が可能な論理デバイスについても、プロセッサとして採用することができる。複数の電子回路は、1つのチップに集約されていてもよいし、複数のチップに分散して設けられていてもよい。複数のチップは、1つの装置に集約されていてもよいし、複数の装置に分散して設けられていてもよい。ここでいうコンピュータシステムは、1以上のプロセッサ及び1以上のメモリを有するマイクロコントローラを含む。したがって、マイクロコントローラについても、半導体集積回路又は大規模集積回路を含む1ないし複数の電子回路で構成される。
また、駆動システム1における複数の機能が、1つのハウジング内に集約されていることは必須の構成ではない。駆動システム1の構成要素は、複数のハウジングに分散して設けられていてもよい。反対に、駆動システム1における複数の機能が、1つのハウジング内に集約されてもよい。さらに、駆動システム1の少なくとも一部の機能、例えば、駆動システム1の一部の機能がクラウド(クラウドコンピューティング)等によって実現されてもよい。
基本例では、モータの数は、2つである。しかし、モータの数は、3つ以上でもよく、例えば前輪201の数に応じて第1モータM1の数は2つ以上でもよいし、後輪202の数に応じて第2モータM2の数は2つ以上でもよい。
基本例では、第1モータM1及び第2モータM2は、いずれもハブモータであるが、いずれか一方は、ブラケット78周辺に取り付けられるセンターユニットのドライブモータでもよい。
基本例におけるアシスト制御において、調整部300は、走行状態だけでなく、バッテリ41の残量に応じて、第1アシスト比率及び第2アシスト比率を調整してもよい。
基本例では、調整部300は、アシストパターンのトルク比率を用いて、前輪201のアシスト量と後輪202のアシスト量との互いのバランスを考慮して、2つのアシスト比率を相互的に決定していた。しかし、トルク比率を用いることは必須ではなく、調整部300は、前輪201のアシスト量と後輪202のアシスト量とのバランスを考慮せずに、2つのアシスト比率を独立的に決定してもよい。例えば、調整部300は、前輪201のアシスト量と後輪202のアシスト量のうち、いずれか一方のアシスト量を固定して、他方のアシスト量が現在の走行状態に応じて変化するように、2つのアシスト比率を調整してもよい。
(4)まとめ
以上説明したように、第1の態様に係る駆動システム(1)は、電動アシスト付き自転車(100)用の駆動システムである。駆動システム(1)は、第1モータ(M1)と、第2モータ(M2)と、調整部(300)とを備える。第1モータ(M1)は、前輪(201)に第1動力を伝えて前輪(201)の回転をアシストする。第2モータ(M2)は、後輪(202)に第2動力を伝えて後輪(202)の回転をアシストする。調整部(300)は、人力駆動力に対する第1動力に関する第1アシスト比率と、人力駆動力に対する第2動力に関する第2アシスト比率とをそれぞれ調整する。第1の態様によれば、アシスト制御に関する効率の向上を図ることができる。
第2の態様に係る駆動システム(1)に関して、第1の態様において、第1モータ(M1)及び第2モータ(M2)は、それぞれハブモータである。第2の態様によれば、前輪(201)及び後輪(202)について互いに独立したアシスト制御をより容易に行える。
第3の態様に係る駆動システム(1)に関して、第1の態様又は第2の態様において、調整部(300)は、電動アシスト付き自転車(100)の走行状態に関する特定情報に基づいて、第1アシスト比率と第2アシスト比率とをそれぞれ決定する。第3の態様によれば、その走行状態において、前輪(201)及び後輪(202)の各々についてより効率の良いアシスト制御を実現できる。
第4の態様に係る駆動システム(1)は、第3の態様において、水平面(H1)に対する電動アシスト付き自転車(100)の前後方向(D1)の傾斜を検出する傾斜検出部(F3)を更に備える。特定情報は、少なくとも傾斜に関する情報を含む、第4の態様によれば、例えば電動アシスト付き自転車(100)が坂道を走行中において、前輪(201)及び後輪(202)の各々についてより効率の良いアシスト制御を実現できる。
第5の態様に係る駆動システム(1)は、第3の態様又は第4の態様において、人力駆動力として踏力を検出する踏力検出部(F4)を更に備える。特定情報は、少なくとも踏力に関する情報を含む。第5の態様によれば、前輪(201)及び後輪(202)の各々について、更に効率の良いアシスト制御を実現できる。
第6の態様に係る駆動システム(1)は、第3の態様~第5の態様のいずれか1つにおいて、電動アシスト付き自転車(100)の加減速を検出する加減速検出部(F5)を更に備える。特定情報は、少なくとも加減速に関する情報を含む。第6の態様によれば、前輪(201)及び後輪(202)の各々について、更に効率の良いアシスト制御を実現できる。
第7の態様に係る駆動システム(1)は、第3の態様~第6の態様のいずれか1つにおいて、前輪(201)及び後輪(202)の少なくとも一方の空転を検出する空転検出部(F6)を更に備える。特定情報は、少なくとも空転に関する情報を含む。第7の態様によれば、前輪(201)及び後輪(202)の各々について、更に効率の良いアシスト制御を実現できる。
第8の態様に係る駆動システム(1)に関して、第1の態様~第7の態様のいずれか1つにおいて、調整部(300)は、第1動力及び第2動力の合計出力が、所定値以下になるように調整する。第8の態様によれば、前輪(201)及び後輪(202)に関する統合的なアシスト制御を容易に実現できる。
第9の態様に係る電動アシスト付き自転車(100)は、第1の態様~第8の態様のいずれか1つにおける駆動システム(1)と、電動アシスト付き自転車の本体(2)と、を備える。第9の態様によれば、アシスト制御に関する効率の向上を図ることが可能な電動アシスト付き自転車(100)を提供できる。
第2~第8の態様に係る構成については、駆動システム(1)に必須の構成ではなく、適宜省略可能である。