JP7342718B2 - モータ制御装置、電動アクチュエータ製品及び電動パワーステアリング装置 - Google Patents
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Description
下記特許文献1には、相電流の関数の時間平均の最大値に応じて制限値を漸減又は漸増させ、電流指令値を制限値で制限する技術が記載されている。
下記特許文献2には、モータ電流供給のための部品毎に、電流値と過熱保護係数との対応関係を特定する過熱保護特性を記憶しておき、部品を流れる電流に応じた過熱保護係数で電流上限値を漸減又は漸増させる技術が記載されている。
また上記特許文献2の技術は、実際の部品の温度に関わらず、部品を流れる電流に応じて電流上限値を漸減又は漸増させることにより部品の発熱量を抑制する。部品温度が周囲温度に依存することを考慮すると、部品温度を許容温度以下に抑えるには電流上限値にマージンを持たせる必要があり、不要に電動モータの出力が制限されることがある。
本発明は、上記課題に着目してなされたものであり、精度の高い電流上限値により過剰な電流制限を回避しながら電源ライン又はその近傍に配置された部品及び配線の温度の上昇を抑制することを目的とする。
本発明の更なる他の一形態によれば、上記のモータ制御装置と、モータ制御装置によって制御される電動モータと、を備え、電動モータによって車両の操舵系に操舵補助力を付与する電動パワーステアリング装置が与えられる。
なお、以下に示す本発明の実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の構成、配置等を下記のものに特定するものではない。本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された請求項が規定する技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
以下の説明では、本発明の実施形態のモータ制御装置が、電動パワーステアリング装置において操舵補助力を発生する多相モータを駆動する場合を説明する。しかし、本発明の実施形態のモータ制御装置はこれに限定されるものではなく、多相モータを駆動する様々なモータ制御装置に適用することができる。
記憶装置は、半導体記憶装置、磁気記憶装置及び光学記憶装置のいずれかを備えてよい。記憶装置は、レジスタ、キャッシュメモリ、主記憶装置として使用されるROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)等のメモリを含んでよい。
以下に説明するコントローラ30の機能は、例えばプロセッサが、記憶装置に格納されたコンピュータプログラムを実行することにより実現される。
例えば、コントローラ30は、汎用の半導体集積回路中に設定される機能的な論理回路を備えてもよい。例えばコントローラ30はフィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA:Field-Programmable Gate Array)等のプログラマブル・ロジック・デバイス(PLD:Programmable Logic Device)等を有していてもよい。
電流指令値演算部41は、操舵補助指令値Irefとモータ20のモータ回転速度Nrに基づいて、モータ20に供給する電流の目標電流である電流指令値をロータ回転座標系のq軸電流指令値Iq0及びd軸電流指令値Id0として算出する。電流指令値演算部41は、q軸電流指令値Iq0を駆動電流制限部43へ出力し、d軸電流指令値Id0を駆動電流制限部43と減算器45へ出力する。
図3を参照して、電源ライン又はその近傍に配置された部品の一例を説明する。インバータ50は、バッテリ14に接続されて直流電力が供給される正極側の電源ラインLppと接地線である負極側の電源ラインLpnとの間に接続されるブリッジを備える。
バッテリ14から駆動素子Q1~Q6までの電源ラインLpp及びLpn又はその近傍には様々な部品が配置されている。例えば、電源ラインLppには電源電流を遮断するためのリレーRとチョークコイルLが接続されている。電源ラインの近傍とは、電源電流が流れることによる発熱及び熱伝導により、温度上昇が見込まれる範囲である。インバータ50の入力端子に接続されている電解コンデンサC及びその配線は、電源ライン近傍の部品の一例である。以下、電源ライン又はその近傍に配置された部品を「ECU部品」と表記する。
また、インバータ印加電圧検出部54は、インバータ50に印加される電圧(インバータ印加電圧)Vrを検出し、検出信号をコントローラ30へ出力する。
具体的には、駆動電流制限部43は、バッテリ14が出力する電源電流が、部品温度Tpに応じた上限値以下になるように、q軸電流指令値Iq0を制限する。
駆動電流制限部43はq軸電流指令値Iq0を制限して得られた制限後q軸電流指令値Iq1を、減算器44へ出力する。駆動電流制限部43の詳細は後述する。
デューティ演算部47は、電圧指令値vq、vdに基づいて、インバータ50のPWM制御におけるq軸デューティ指令値及びd軸デューティ指令値を演算する。空間ベクトル変調部48は、dq軸空間のq軸デューティ指令値及びd軸デューティ指令値を、三相デューティ指令値に変換してPWM制御部49に出力する。
インバータ50は、PWM制御部49で生成されたゲート信号によって駆動され、モータ20にはq軸偏差電流Δq及びd軸偏差電流Δdが0になるような電流が供給される。
モータ温度取得部62は、モータ20のモータ温度Tmの温度情報を取得する。例えばモータ温度取得部62は、モータ温度Tmを直接検出してもよく、モータ20の印加電圧とモータ電流に基づいてモータ温度Tmを推定してもよい。
具体的には、複数の部品温度Tp1、Tp2…、Tpnにおける電源電流の複数の上限値Ib1、Ib2…、Ibnをそれぞれ設定する。
上限値Ib1、Ib2…、Ibnが離散的に設定されている場合には、複数のq軸電流制限値Iq_limc1~Iq_limcnは、離散的なq軸電流制限値の列になる。
上式(1)の電源電流Ibに電源電流の上限値Ib_limを代入してq軸電流について上式(1)を解くことにより、次式(2)に示すq軸電流制限値Iq_limの演算式を得る。
演算式(2)又は(3)により算出されるq軸電流制限値Iq_limが上式(4)を満たさない場合には、次式(5)によりq軸電流制限値Iq_limを算出する。
q軸電流制限値Iq_limはモータ回転速度Nに依存する特性を有する。モータ回転速度Nが比較的低い範囲(0≦N<N1)では、q軸電流制限値Iq_limは操舵補助指令値Irefの最大値Iref_maxと等しい。この範囲では、q軸電流制限値Iq_limはq軸電流の制限に寄与しない。
モータ回転速度Nが比較的高い範囲(N1≦N)では、モータ回転速度Nが高くなるのに従いq軸電流制限値Iq_limは漸減する。q軸電流制限値Iq_limがq軸電流指令値Iq0よりも小さくなると、q軸電流指令値Iq0はq軸電流制限値Iq_limへ制限される。
具体的には、演算式(2)又は(3)中の上限値Ib_limを、部品温度Tpに応じて各々設定した上限値Ib1~Ibnへそれぞれ固定した複数の演算式を導出し、これら複数の演算式によって複数のq軸電流制限値Iq_limc1~Iq_limcnをそれぞれ演算する。
回転数入力処理部70は、回転数演算部52から入力されるモータ20の回転速度Nrを処理することにより、複数のq軸電流制限値Iq_limc1~Iq_limcnの決定に使用する回転速度信号Nを生成する。
具体的には回転数入力処理部70は、操舵補助指令値Irefの符号とモータ回転速度の符号とを比較し、モータ電流の向きとモータの回転方向の向きとが等しいか否かを判定する。
符号判定部70a及び70bは、回転数演算部52が算出したモータ20の回転速度Nrと、操舵補助指令値Irefの符号を判定する。符号判定部70a及び70bは、回転速度Nr及び操舵補助指令値Irefの符号を操舵状態判定部70cへ出力する。
絶対値算出部70dは、回転速度Nrの絶対値|Nr|を算出する。操舵状態判定部70cが選択信号「1」を出力する場合、選択器70eは絶対値|Nr|を選択して回転速度信号Nとして出力する。操舵状態判定部70cが選択信号「0」を出力する場合、選択器70eは回転速度0を選択して回転速度信号Nとして出力する。
電流制限値演算部71は、回転速度信号N、インバータ印加電圧Vr、及びd軸電流指令値Id0に加えて、モータ20のモータ温度Tm、インバータ50の温度情報に応じて複数のq軸電流制限値Iq_limc1~Iq_limcnを演算してもよい。
電流制限値演算部71は、制限値演算部80a、80b及び80cを備える。
例えば、上限値Ib1として、実施形態の電動パワーステアリング装置が許容する最大電源電流を設定してよい。この場合、q軸電流制限値Iq_limc1は、ECU部品の部品温度TpがTLである場合だけでなく、部品温度TpがTLより低い場合の制限値としても使用してよい。
例えば、上限値Ib2は、上限値Ib1の電源電流が流れる場合よりもECU部品の消費電力が約1/2になるように設定してもよい。例えば上限値Ib2をIb1×5/7に設定してよい。
例えば、上限値Ib3は、最大負荷時の保舵やラックエンドまでの操舵に最低限必要な電源電流に設定してよい。例えば上限値Ib3をIb1×3/7に設定してよい。この場合、q軸電流制限値Iq_limc3は、ECU部品の部品温度TpがTHである場合だけでなく、部品温度TpがTHより高い場合の制限値としても使用してよい。
制限値演算部80aは、係数乗算器81、82及び83と、項演算部84及び85と、加算器86及び87と、平方根演算部88及び89と、リミッタ90と、乗算器91と、減算器92と、制限値選択部93を備える。
係数乗算器81は、回転数入力処理部70が出力した回転速度信号Nに係数(2π/60)を乗算して回転角速度ωを算出して、係数乗算器82及び項演算部84に出力する。
項演算部84は、演算式(6)に含まれる項(Kt・ω)2を算出して加算器86へ出力する。
項演算部85は、演算式(6)に含まれる項(-4・Rr・(Rr・Id02-Vr・Ib1+Ploss))を算出して加算器86へ出力する。ここで、Idにはd軸電流指令値Id0が代入されている。
加算器86は、項演算部84及び85の演算結果を加算する。平方根演算部88は加算器86の加算結果の平方根
加算器87は、係数乗算器82の乗算結果と平方根演算部88の演算結果を加算する。係数乗算器83は、加算器87の加算結果に係数(1/(2・Rr))を乗算して、演算式(6)の右辺
一方で、乗算器91はd軸電流指令値Id0の二乗値Id02を算出し、減算器92は、二乗値Id02を操舵補助指令値Irefの最大値Iref_maxの二乗値Iref_max2から減算する。平方根演算部89は、減算器92の減算結果の平方根を演算して、演算式(5)の右辺の項
制限値選択部93は、q軸電流制限値候補Iq_lim2及びIq_lim3のうちいずれか小さい値を選択して、q軸電流制限値Iq_limc1として、電流制限値補間部72に出力する。
図9に示す電流制限値補間部72の例は、図7に示す電流制限値演算部71に対応して、3個のq軸電流制限値Iq_limc1~Iq_limc3を補間してq軸電流制限値Iq_lim0を算出する。
補間値算出部94は、部品温度TpがTL以上TM以下の範囲にある際のq軸電流制限値を、q軸電流制限値Iq_limc1及びq軸電流制限値Iq_limc2を補間して算出する。
図9の(b)を参照する。補間値算出部94は、部品温度TpがTLである場合にはq軸電流制限値Iq_limc1を出力する。部品温度TpがTMである場合にはq軸電流制限値Iq_limc2を出力する。部品温度TpがTLより大きくTM未満である場合には、q軸電流制限値Iq_limc1とq軸電流制限値Iq_limc2との間を、温度検出部53が検出した部品温度Tpで補間して得られる補間値を出力する。
図9の(c)を参照する。補間値算出部95は、部品温度TpがTMである場合にはq軸電流制限値Iq_limc2を出力する。部品温度TpがTHである場合にはq軸電流制限値Iq_limc3を出力する。部品温度TpがTMより大きくTH未満である場合には、q軸電流制限値Iq_limc2とq軸電流制限値Iq_limc3との間を、温度検出部53が検出した部品温度Tpで補間して得られる補間値を出力する。
なお、補間値算出部94及び95は、線形補間により補間値を算出してもよく、非線形関数を用いて補間値を算出してもよい。
具体的には、部品温度TpがTL未満の場合に選択部96は最大値Iq_limc1をq軸電流制限値Iq_lim0として選択する。
操向ハンドル1の操舵状態が切り増し操舵状態と切り戻し操舵状態との間で切り替わると、回転数入力処理部70が回転速度信号Nを切り替えるために、q軸電流制限値Iq_lim0の値が急激に変化する。この結果、q軸電流制限値の出力値の急激な変化が発生したりチャタリングが発生するおそれがある。
レートリミッタ73は、q軸電流制限値Iq_lim0の過渡的な変動を緩和して得られるq軸電流制限値Iq_lim1を生成して、平滑化部74へ出力する。
例えば、平滑化部74は、q軸電流制限値Iq_lim1の時間加重平均値を算出するフィルタであってよい。平滑化部74は、q軸電流制限値Iq_lim1を平滑化して得られた最終的なq軸電流制限値Iq_limを、q軸電流制限部75へ出力する。
図10を参照する。q軸電流制限部75は、符号反転器100と、比較器101及び102と、選択器103及び104を備える。
比較器101が選択信号「0」を出力する場合(すなわちq軸電流指令値Iq0が正値のq軸電流制限値Iq_lim未満の場合)、選択器103はq軸電流指令値Iq0を選択して選択器104に出力する。
比較器102が選択信号「0」を出力する場合(すなわちq軸電流指令値Iq0が負値のq軸電流制限値(-Iq_lim)より大きいの場合)、選択器104は選択器103の出力を選択して制限後q軸電流指令値Iq1として出力する。以上により、制限後q軸電流指令値Iq1は、正値のq軸電流制限値(Iq_lim)以下及び負値のq軸電流制限値(-Iq_lim)以上の値に制限される。
上記の実施形態では、演算式(2)又は(3)の抵抗Rr及びトルク定数Ktを固定の定数として複数のq軸電流制限値Iq_limc1~Iq_limcnを演算したが、本発明はこれに限定されるものではない。
電流制限値演算部71は、モータ20の温度情報を取得し、モータ20の温度情報に応じて抵抗Rr及びトルク定数Ktを変化させてもよい。すなわち、電流制限値演算部71は、モータ20の温度情報に応じてq軸電流制限値Iq_limc1~Iq_limcnを演算してもよい。
また、インバータ50の温度情報を取得し、インバータ50の温度情報に応じて抵抗Rrを変化させてもよい。すなわち、電流制限値演算部71は、インバータ50の温度情報に応じてq軸電流制限値Iq_limc1~Iq_limcnを演算してもよい。
図11を参照して、実施形態のモータ制御方法の一例を説明する。
ステップS1において回転角度検出回路61と回転数演算部52は、モータ20の回転速度Nrを検出する。
ステップS2においてインバータ印加電圧検出部54は、インバータ50への印加電圧であるインバータ印加電圧Vrを検出する。
ステップS4において電流指令値演算部41は、q軸電流指令値Iq0及びd軸電流指令値Id0を算出する。
ステップS6において電流制限値補間部72は、複数のq軸電流制限値Iq_limc1~Iq_limcnを補間して、温度検出部53が検出したECU部品の部品温度Tpに応じたq軸電流制限値Iq_lim0を算出する。
ステップS8においてコントローラ30は、d軸電流指令値Id0と制限後q軸電流指令値Iq1に基づいてモータ20を駆動する。
以下、図12、図13の(a)及び(b)、図14の(a)及び(b)、図15の(a)及び(b)、図16の(a)及び(b)、図17の(a)及び(b)、並びに図18の(a)~(c)を参照して、本実施形態のモータ制御装置の動作のシミュレーション結果を記載する。
本シミュレーションでは、異なる部品温度Tpにおいてモータ回転速度を変化させた場合の制限後q軸電流指令値Iq1、d軸電流指令値Id0、及び電源電流を演算した。
まず、部品温度Tp=80、100、120[℃]における上限値をそれぞれIb1、Ib1×5/7、Ib1×3/7に設定した。そして、部品温度Tpが80[℃]以下の範囲では上限値をIb1に固定し、部品温度Tpが120[℃]以上の範囲では上限値をIb1×3/7に固定した。
そして、部品温度Tpが80[℃]以下の範囲ではq軸電流制限値をIq_limc1に固定し、部品温度Tpが120[℃]以上の範囲ではq軸電流制限値をIq_limc3に固定した。
また、部品温度Tpが100~120[℃]の範囲にある際のq軸電流制限値を、q軸電流制限値Iq_limc2及びq軸電流制限値Iq_limc3の間を線形補間して演算した。
図13の(b)の破線はモータ回転速度を示し、太実線は電源電流を示す。図14の(b)、図15の(b)、図16の(b)及び図17の(b)でも同様である。
図18の(a)は部品温度Tpを示し、図18の(b)の破線はモータ回転速度を示し、太実線は制限後q軸電流指令値Iq1を示し、細実線はd軸電流指令値Id0を示し、図18の(c)の破線はモータ回転速度を示し、太実線は電源電流を示す。
モータ回転速度を0[rpm]から5000[rpm]まで増加させた条件下で、部品温度Tpに応じてq軸電流指令値が適切に制限され、電源電流がIb1[A]~Ib1*3/7[A]の範囲に動的に抑えられていることが確認できる。
(1)モータ20を制御するモータ制御装置は、電源であるバッテリ14とモータ20との間に直列に接続されて、バッテリ14から出力される電源電流をモータ20に流す駆動電流に変換する駆動素子Q1~Q6と、モータ20のモータ回転速度を検出する回転角度検出回路61及び回転数演算部52と、インバータ50への印加電圧であるインバータ印加電圧を検出するインバータ印加電圧検出部54と、バッテリ14から駆動素子Q1~Q6までの電源ライン又はその近傍に配置された部品の部品温度を検出する温度検出部53と、駆動電流を制御するための電流指令値を演算する電流指令値演算部41と、予め定めた複数の上限値以下に電源電流をそれぞれ制限するように電流指令値を制限するための複数の電流制限値を、少なくとも回転角度検出回路61及び回転数演算部52が検出したモータ回転速度及びインバータ印加電圧検出部54が検出したインバータ印加電圧に応じて演算する電流制限値演算部71と、電流制限値演算部71が演算した複数の電流制限値を補間して、温度検出部が検出した部品温度に応じた電流制限値を算出する電流制限値補間部72を備える。比例積分制御部46、デューティ演算部47、空間ベクトル変調部48、及びPWM制御部49は、電流制限値補間部72が算出した電流制限値で制限された電流指令値に基づいて駆動素子Q1~Q6を制御する。
例えば電動モータによって車両の操舵系に操舵補助力を付与する電動パワーステアリング装置の場合、操向ハンドル1をラックエンドまで操舵できるように制御しつつ、部品温度Tpの上昇を抑制できる。
また、複数の電流制限値を補間することにより、部品温度Tpに応じて連続的に変化する電流制限値を算出できる。これにより操舵者に意識されないように徐々に電源電流を制限できる。
これにより、電流制限値の演算式に含まれる電源電流の上限値を固定値として取り扱うことが可能になり、演算処理を簡易化することができる。
これにより、部品温度Tpに応じて複数の電流制限値の補間値を算出できる。
電源電流が上限値以下に制限されるようにq軸電流指令値を制御することにより、過剰な電流制限を回避しながら電源ライン又はその近傍に配置された部品の部品温度Tpの上昇を抑制できる。
これにより、モータ20の温度によるトルク定数や抵抗値の変化や、駆動素子の温度による抵抗値の変化を考慮することができ、より正確に電源電流を制限できる。
これにより、モータ20が回生状態となる場合(例えば操向ハンドル1が切り戻し操舵状態である場合等)に、不要な電流制限を解除することができる。
Claims (7)
- 電動モータを制御するモータ制御装置であって、
電源と前記電動モータとの間に直列に接続されて、前記電源から出力される電源電流を前記電動モータに流す駆動電流に変換する駆動素子と、
前記電動モータのモータ回転速度を検出する回転速度検出部と、
前記駆動素子に印加される電圧をインバータ印加電圧として検出するインバータ印加電圧検出部と、
前記電源から前記駆動素子までの電源ライン又はその近傍に配置された部品の部品温度を検出する温度検出部と、
前記駆動電流を制御するための電流指令値を演算する電流指令値演算部と、
予め定めた複数の上限値以下に前記電源電流をそれぞれ制限するように前記電流指令値を制限するための複数の電流制限値を、少なくとも前記回転速度検出部が検出した前記モータ回転速度及び前記インバータ印加電圧検出部が検出した前記インバータ印加電圧に応じて各々演算する電流制限値演算部と、
前記電流制限値演算部が演算した前記複数の電流制限値を補間して、前記温度検出部が検出した前記部品温度に応じた電流制限値を算出する電流制限値補間部と、
前記電流制限値補間部が算出した前記電流制限値で制限された前記電流指令値に基づいて前記駆動素子を制御する素子制御部と、
を備え、
前記電流制限値演算部は、前記インバータ印加電圧と前記電源電流に基づく入力電力と、前記モータ回転速度、前記電流指令値に基づく出力電力と、損失電力との間に成立する関係に従って、前記複数の上限値にそれぞれ対応する前記複数の電流制限値を演算することを特徴とすることを特徴とするモータ制御装置。 - 前記電流制限値補間部は、
前記部品温度に応じて前記複数の電流制限値の間の補間値を算出する1以上の補間値算出部と、
前記補間値算出部が算出した補間値、並びに前記複数の電流制限値の最大値及び最小値のいずれかを前記部品温度に応じて選択する選択部と、
を備えることを特徴とする請求項1に記載のモータ制御装置。 - 前記駆動電流を制御するためのq軸電流指令値及びd軸電流指令値を演算する電流指令値演算部を更に備え、
前記電流制限値演算部は、前記q軸電流指令値を制限するための電流制限値を演算することを特徴とする請求項1又は2に記載のモータ制御装置。 - 前記電流制限値演算部は、さらに少なくとも前記電動モータの温度情報及び前記駆動素子の温度情報に応じて前記複数の電流制限値の各々を演算することを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載のモータ制御装置。
- 前記駆動電流の向きと前記電動モータの回転方向に応じて、前記駆動電流の制限を解除する、ことを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載のモータ制御装置。
- 請求項1~5の何れか一項に記載のモータ制御装置と、
前記モータ制御装置によって制御される電動モータと、
を備えることを特徴とする電動アクチュエータ製品。 - 請求項1~5の何れか一項に記載のモータ制御装置と、
前記モータ制御装置によって制御される電動モータと、
を備え、前記電動モータによって車両の操舵系に操舵補助力を付与することを特徴とする電動パワーステアリング装置。
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