JP7342373B2 - 化粧シート及び化粧材 - Google Patents
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Description
以下、本発明の第1実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
(化粧シート10の構成)
図1を用いて、化粧シート10の構成について説明する。
図1中に表すように、化粧シート10は、アクリル系樹脂原反1と、絵柄層2と、アンカー層3とを備えている。より詳しくは、化粧シート10は、アクリル系樹脂で形成された原反であるアクリル系樹脂原反1と、アクリル系樹脂原反1の一方の面に形成され、アクリル系樹脂をバインダーとして含む絵柄層2と、絵柄層2のアクリル系樹脂原反1側の面とは反対側の面に形成されたアンカー層3と、を備えている。
以下、上述した各層の詳細について説明する。
アクリル系樹脂原反1は、アクリル系樹脂で形成された原反であって、化粧シート10に機械的強度を付与する層、即ち化粧シート10の支持体となる層である。
アクリル系樹脂原反1には、例えば、アクリレート系共重合体樹脂を主成分とする樹脂シートが用いられる。アクリル系樹脂原反1の材料は、後述する絵柄層2との硬度や熱伸縮性等のバランスから、エチレン-アクリル酸メチル共重合体樹脂(EMA)、エチレン-アクリル酸エチル共重合体樹脂(EEA)、エチレン-メタクリル酸共重合体樹脂(EMAA)、エチレン-アクリル酸共重合体樹脂(EAA)、アイオノマー樹脂、またはそれらの混合物等のアクリレート系共重合体樹脂を主成分とするものを使用することができる。ここで、「主成分」とは、アクリル系樹脂原反1を構成する成分のうち、最も含有量が多い成分をいう。
アクリル系樹脂原反1の厚みは特に限定されず任意であるが、化粧シート10全体の厚み等を考慮すると、通常500~3000μm程度の厚さが適当である。
絵柄層2は、化粧シート10に絵柄を付与する層であり、図1中に表すように、アクリル系樹脂原反1の一方の面に形成されている。
絵柄層2が形成する絵柄模様の種類には、特に制約はなく、例えば、木目柄、石目柄、布目柄、抽象柄、幾何学図形、文字、記号等を単独で、または、二種類以上を組み合わせて形成してもよい。
絵柄層2は、アクリル系樹脂をバインダーとして含むインキ(以下、絵柄層形成用インキとも称する)を、アクリル系樹脂原反1の一方の面に塗布して形成した層である。絵柄層形成用インキにバインダーとして含まれるアクリル系樹脂としては、例えば、エチレン-アクリル酸メチル共重合体樹脂(EMA)、エチレン-アクリル酸エチル共重合体樹脂(EEA)、エチレン-メタクリル酸共重合体樹脂(EMAA)、エチレン-アクリル酸共重合体樹脂(EAA)、アイオノマー樹脂、またはそれらの混合物等のアクリレート系共重合体樹脂を主成分とするものを使用することができる。ここで、「主成分」とは、絵柄層2を構成する成分のうち、最も含有量が多い成分をいう。
絵柄層形成用インキが架橋剤を含む場合、その架橋剤の含有量は、絵柄層2におけるアクリル系樹脂の含有量を100質量部とした場合、0質量部超3質量部以下の範囲内であることが好ましい。架橋剤の含有量が上記数値範囲内であれば、絵柄層形成用インキの塗工性が向上する。なお、好ましくは、架橋剤の含有量は、絵柄層2におけるアクリル系樹脂の含有量を100質量部とした場合、3質量部である。
絵柄層2の形成方法には、特に制約はなく、例えば、グラビア印刷法、オフセット印刷法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、凸版印刷法、インクジェット印刷法等の任意の印刷方法を用いることが可能である。
また、下地着色を目的として、アクリル系樹脂原反1と絵柄層2との間にベタインキ層(図示せず)を設ける場合には、ベタインキ層の形成方法として、上記各種の印刷方法の他に、例えば、ロールコート法、グラビアコート法、ロッドコート法、ナイフコート法、エアーナイフコート法、スプレーコート法、リップコート法、ダイコート法等、任意のコーティング方法を用いることが可能である。
アンカー層3は、アクリル系樹脂で形成されたクリアー基材(上台)またはアクリル系樹脂で形成された着色基材(下台)との密着性を使用上問題ない程度に高め、且つ外観不良の発生を低減するための層であり、図1中に表すように、絵柄層2のアクリル系樹脂原反1側の面とは反対側の面に形成されている。
アンカー層3は、アクリル系樹脂を含むインキ(以下、アンカー層形成用インキとも称する)を、絵柄層2のアクリル系樹脂原反1側の面とは反対側の面に塗布して形成した層である。
アンカー層3の塗布量(形成量)は、0.5g/m2以上2.0g/m2以下の範囲内であることが好ましい。アンカー層3の塗布量が上記数値範囲内であれば、アンカー層3と、上台であるアクリル系クリアー基材または下台であるアクリル系着色基材との密着性を使用上問題ない程度に高め、且つ外観不良の発生を低減することが可能となる。
また、アンカー層3に含まれるアクリル系樹脂のガラス転移温度(Tg)は、90℃以上100℃以下の範囲内であることが好ましい。アンカー層3に含まれるアクリル系樹脂のガラス転移温度が上記数値範囲内であれば、化粧シート10を熱ラミネートする際、アンカー層3全体が適度に軟化し、上台であるクリアー基材4または下台である着色基材5との密着性が高まる。
アンカー層形成用インキが架橋剤を含む場合、その架橋剤の含有量は、アンカー層3におけるアクリル系樹脂の含有量を100質量部とした場合、0質量部超5質量部以下の範囲内であることが好ましい。架橋剤の含有量が上記数値範囲内であれば、アンカー層形成用インキの塗工性が向上する。
アンカー層3の形成方法には、特に制約はなく、例えば、グラビア印刷法、オフセット印刷法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、凸版印刷法、インクジェット印刷法等の任意の印刷方法を用いることが可能である。
化粧シート10の製造方法の一例について、簡単に説明する。
まず、アクリル系樹脂原反1の一方の面に、上述の絵柄層形成用インキを塗工して、絵柄層2を形成する。
次に、絵柄層2が形成されたアクリル系樹脂原反1上に、上述のアンカー層形成用インキを塗工して、アンカー層3を形成する。
こうして、本実施形態に係る化粧シート10を製造する。
図2を用いて、化粧材20の構成を説明する。
図2中に表すように、化粧材20は、アクリル系樹脂で形成されたクリアー基材4と、化粧シート10と、アクリル系樹脂で形成された着色基材5とを備えている。より詳しくは、化粧材20は、アクリル系樹脂で形成された原反であるアクリル系樹脂原反1と、アクリル系樹脂原反1の一方の面に形成され、アクリル系樹脂をバインダーとして含む絵柄層2と、絵柄層2のアクリル系樹脂原反1側の面とは反対側の面に形成されたアンカー層3と、アクリル系樹脂原反1の他方の面に形成され、アクリル系樹脂で形成されたクリアー基材4と、アンカー層3や絵柄層2とは反対側の面に形成され、アクリル系樹脂で形成された着色基材5と、を備えている。ここで、クリアー基材4は、一般に「上台」と称される基材である。また、着色基材5は、一般に「下台」と称される基材である。つまり、化粧材20は、裏刷り仕様の化粧シート10に、上台としてのクリアー基材4と、下台としての着色基材5とを設けたものである。そこで、以下、上台であるクリアー基材4と、下台である着色基材5とについて説明し、化粧シート10については説明を省略する。
クリアー基材4は、アクリル系樹脂で形成された基材であって、アクリル系樹脂原反1の表面を保護する層である。
クリアー基材4には、例えば、アクリレート系共重合体樹脂を主成分とするシート状樹脂基材が用いられる。具体的には、クリアー基材4の材料は、アクリル系樹脂原反1との硬度や熱伸縮性等のバランスから、エチレン-アクリル酸メチル共重合体樹脂(EMA)、エチレン-アクリル酸エチル共重合体樹脂(EEA)、エチレン-メタクリル酸共重合体樹脂(EMAA)、エチレン-アクリル酸共重合体樹脂(EAA)、アイオノマー樹脂、またはそれらの混合物等のアクリレート系共重合体樹脂を主成分とするものを使用することができる。ここで、「主成分」とは、クリアー基材4を構成する成分のうち、最も含有量が多い成分をいう。
クリアー基材4の厚みは特に限定されず任意であるが、化粧材20全体の厚み等を考慮すると、通常100μm~800μm程度の厚さが適当である。
クリアー基材4の形成方法には、特に制約はなく、例えば押出成型法等の任意の成型方法を用いることが可能である。
着色基材5は、アクリル系樹脂で形成された基材であって、アンカー層3と接着する層である。
着色基材5には、例えば、アクリレート系共重合体樹脂を主成分とするシート状樹脂基材が用いられる。具体的には、着色基材5の材料は、アンカー層3との硬度や熱伸縮性等のバランスから、エチレン-アクリル酸メチル共重合体樹脂(EMA)、エチレン-アクリル酸エチル共重合体樹脂(EEA)、エチレン-メタクリル酸共重合体樹脂(EMAA)、エチレン-アクリル酸共重合体樹脂(EAA)、アイオノマー樹脂、またはそれらの混合物等のアクリレート系共重合体樹脂を主成分とするものを使用することができる。ここで、「主成分」とは、着色基材5を構成する成分のうち、最も含有量が多い成分をいう。
着色基材5の厚みは特に限定されず任意であるが、化粧材20全体の厚み等を考慮すると、通常500μm~1000μm程度の厚さが適当である。
着色基材5の形成方法には、特に制約はなく、例えば押出成型法等の任意の成型方法を用いることが可能である。
着色基材5を所望の色調に着色するために、無機顔料又は有機顔料等の着色剤を添加してもよい。その他、必要に応じて、例えば紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、内部離型剤、帯電防止剤、抗菌剤等の各種の添加剤を適宜添加してもよい。
化粧材20の製造方法の一例について、簡単に説明する。
まず、上台であるクリアー基材4と、下台である着色基材5との間に、化粧シート10を、アクリル系樹脂原反1がクリアー基材4側を向き、アンカー層3が着色基材5側を向くように配置する。つまり、クリアー基材4と着色基材5との間に、裏刷り仕様の化粧シート10を配置する。
次に、この積層体を、例えば熱ラミネートする。
こうして、クリアー基材4とアクリル系樹脂原反1とを溶着するとともに、着色基材5とアンカー層3とを溶着して、化粧材20を製造する。
図3を用いて、上述した化粧材20の変形例である化粧材21の構成を説明する。
図3中に表すように、化粧材21は、アクリル系樹脂で形成されたクリアー基材4と、化粧シート10と、アクリル系樹脂で形成された着色基材5とを備えている。より詳しくは、化粧材21は、アクリル系樹脂で形成された原反であるアクリル系樹脂原反1と、アクリル系樹脂原反1の一方の面に形成され、アクリル系樹脂をバインダーとして含む絵柄層2と、絵柄層2のアクリル系樹脂原反1側の面とは反対側の面に形成されたアンカー層3と、アクリル系樹脂原反1の他方の面に形成され、アクリル系樹脂で形成された着色基材5と、アンカー層3の絵柄層2とは反対側の面に形成され、アクリル系樹脂で形成されたクリアー基材4と、を備えている。つまり、化粧材21は、表刷り仕様の化粧シート10に、上台としてのクリアー基材4と、下台としての着色基材5とを設けたものである。
なお、化粧材21を構成する各層は、化粧材20を構成する各層と同じであるため、ここではその説明を省略する。
化粧材21の製造方法の一例について、簡単に説明する。
まず、上台であるクリアー基材4と、下台である着色基材5との間に、化粧シート10を、アンカー層3がクリアー基材4側を向き、アクリル系樹脂原反1が着色基材5側を向くように配置する。つまり、クリアー基材4と着色基材5との間に、表刷り仕様の化粧シート10を配置する。
次に、この積層体を、例えば熱ラミネートする。
上記積層体を熱ラミネートするための方法としては、化粧材20の製造方法と同じであるため、ここでは説明を省略する。
なお、上述した実施形態は、本発明の一例であり、本発明は、上述した実施形態に限定されることはなく、この実施形態以外の形態であっても、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。
本実施形態の化粧シート10であれば、以下に記載する効果を奏することが可能となる。
(1)化粧シート10は、アクリル系樹脂で形成された原反であるアクリル系樹脂原反1と、アクリル系樹脂原反1の一方の面に形成され、アクリル系樹脂をバインダーとして含む絵柄層2と、絵柄層2のアクリル系樹脂原反1側の面とは反対側の面に形成されたアンカー層3と、を備えている。
このような構成であれば、化粧シート10がアンカー層3を備えているため、化粧シート10と、上台であるアクリル系樹脂で形成されたクリアー基材4または下台であるアクリル系樹脂で形成された着色基材5との密着性を使用上問題ない程度に高め、且つ外観不良の発生を低減することが可能となる。
このような構成であれば、化粧シート10と、上台であるクリアー基材4または下台である着色基材5との密着性をさらに高め、且つ外観不良の発生をさらに低減することが可能となる。
このような構成であれば、化粧シート10と、上台であるクリアー基材4または下台である着色基材5との密着性をさらに高め、且つ外観不良の発生をさらに低減することが可能となる。
このような構成であれば、化粧シート10と、上台であるクリアー基材4または下台である着色基材5との密着性をさらに高め、且つ外観不良の発生をさらに低減することが可能となる。
このような構成であれば、化粧シート10と、上台であるクリアー基材4または下台である着色基材5との密着性をさらに高め、且つ外観不良の発生をさらに低減することが可能となる。
このような構成であれば、絵柄層2を確実に形成することができる。
(7)化粧材20は、アクリル系樹脂で形成されたアクリル系樹脂原反1と、アクリル系樹脂原反1の一方の面に形成され、アクリル系樹脂をバインダーとして含む絵柄層2と、絵柄層2のアクリル系樹脂原反1側の面とは反対側の面に形成されたアンカー層3と、アクリル系樹脂原反1の他方の面に形成され、アクリル系樹脂で形成されたクリアー基材4と、アンカー層3の絵柄層2とは反対側の面に形成され、アクリル系樹脂で形成された着色基材5と、を備えている。
このような構成であれば、化粧材20がアンカー層3を備えているため、化粧シート10と、上台であるアクリル系樹脂で形成されたクリアー基材4または下台であるアクリル系樹脂で形成された着色基材5との密着性を使用上問題ない程度に高め、且つ外観不良の発生を低減することが可能となる。
このような構成であれば、化粧材21がアンカー層3を備えているため、化粧シート10と、上台であるアクリル系樹脂で形成されたクリアー基材4または下台であるアクリル系樹脂で形成された着色基材5との密着性を使用上問題ない程度に高め、且つ外観不良の発生を低減することが可能となる。
(9)化粧材20の製造方法は、アクリル系樹脂で形成されたアクリル系樹脂原反1と、アクリル系樹脂原反1の一方の面に形成され、アクリル系樹脂をバインダーとして含む絵柄層2と、絵柄層2のアクリル系樹脂原反1側の面とは反対側の面に形成されたアンカー層3と、アクリル系樹脂原反1の他方の面に形成され、アクリル系樹脂で形成されたクリアー基材4と、アンカー層3の絵柄層2とは反対側の面に形成され、アクリル系樹脂で形成された着色基材5と、を備えた積層体を、熱ラミネートする工程を有している。
このような構成であれば、化粧材20がアンカー層3を備えているため、化粧シート10と、上台であるアクリル系樹脂で形成されたクリアー基材4または下台であるアクリル系樹脂で形成された着色基材5との密着性を使用上問題ない程度に高め、且つ外観不良の発生を低減することが可能となる。
このような構成であれば、化粧材21がアンカー層3を備えているため、化粧シート10と、上台であるアクリル系樹脂で形成されたクリアー基材4または下台であるアクリル系樹脂で形成された着色基材5との密着性を使用上問題ない程度に高め、且つ外観不良の発生を低減することが可能となる。
本発明は、上述した第1実施形態に限定されるものではない。例えば、第1実施形態の化粧シートにおいて、アクリル系樹脂原反1の絵柄層2とは反対側の面における、JIS K 7125(ISO 8295)に準拠して測定した動摩擦係数(滑り抵抗値)を0.5以上1.5以下の範囲内としてもよい。
また、アクリル系樹脂原反1の絵柄層2とは反対側の面の動摩擦係数(滑り抵抗値)を上記数値範囲内にすることで、化粧シート10にマット感を付与することもできる。
(実施例1-1)
アクリル系樹脂原反として、エチレン-メタクリル酸メチル共重合体樹脂(EMAA)で形成された原反を用いた。
絵柄層は、エチレン-メタクリル酸メチル共重合体樹脂(EMAA)をバインダーとして含む絵柄層形成用インキを塗布して形成した。エチレン-メタクリル酸メチル共重合体樹脂(EMAA)の含有量は、絵柄層形成用インキ100質量部に対して50質量部とした。
アンカー層は、ポリウレタン樹脂を含むアンカー層形成用インキを塗布して形成した。なお、実施例1-1に係るアンカー層形成用インキは、硬化剤は含有していない。
そして、この裏刷り仕様の化粧シートを、上台であるクリアー基材と、下台である着色基材との間に、アクリル系樹脂原反がクリアー基材側を向き、アンカー層が着色基材側を向くように配置した。
最後に、この積層体を熱ラミネートして、実施例1-1に係る化粧材を形成した。なお、熱ラミネートする際の条件は、以下の通りである。
加熱バー上部の温度 145℃
加熱バー下部の温度 145℃
加圧時間 120秒間
圧力 3kgf/cm2
なお、JIS K 7125に準拠して測定した動摩擦係数の測定条件は、以下の通りである。
動摩擦係数を測定する試験片(測定対象物)の寸法は、約80mm×200mmとした。また、測定対象物上に配置するすべり片の寸法は、63mm×63mmとした。このため、すべり片の試験片(測定対象物)に対する接触面積は、40cm2となった。
すべり片の全質量は、200g(1.96N)とした。また、試験速度は、100mm/min.とした。また、ロードセルを100Nとした。
アンカー層を、エチレン-メタクリル酸メチル共重合体樹脂(EMAA)をバインダーとして含むアンカー層形成用インキを塗布して形成した以外、実施例1-1と同様にして、実施例1-2に係る化粧材を形成した。
(実施例1-3)
バインダーであるエチレン-メタクリル酸メチル共重合体樹脂(EMAA)100質量部に対し、硬化剤としてIPDIとHDIとの混合物(混合比は、IPDI:HDI=9:1)を1質量部添加した絵柄層形成用インキを用いて絵柄層を形成した。
また、エチレン-メタクリル酸メチル共重合体樹脂(EMAA)100質量部に対し、硬化剤としてXDIとMMDIとの混合物(混合比は、XDI:MMDI=9:1)を1質量部添加したアンカー層形成用インキを用いてアンカー層を形成した。それ以外、実施例1-1と同様にして、実施例1-3に係る化粧材を形成した。
エチレン-メタクリル酸メチル共重合体樹脂(EMAA)100質量部に対し、硬化剤としてXDIとMMDIとの混合物(混合比は、XDI:MMDI=9:1)を2質量部添加したアンカー層形成用インキを用いてアンカー層を形成した以外、実施例1-3と同様にして、実施例1-4に係る化粧材を形成した。
(実施例1-5)
エチレン-メタクリル酸メチル共重合体樹脂(EMAA)100質量部に対し、硬化剤としてXDIとMMDIとの混合物(混合比は、XDI:MMDI=9:1)を3質量部添加したアンカー層形成用インキを用いてアンカー層を形成した以外、実施例1-3と同様にして、実施例1-5に係る化粧材を形成した。
エチレン-メタクリル酸メチル共重合体樹脂(EMAA)100質量部に対し、硬化剤としてXDIとMMDIとの混合物(混合比は、XDI:MMDI=9:1)を4質量部添加したアンカー層形成用インキを用いてアンカー層を形成した以外、実施例1-3と同様にして、実施例1-6に係る化粧材を形成した。
(実施例1-7)
エチレン-メタクリル酸メチル共重合体樹脂(EMAA)100質量部に対し、硬化剤としてXDIとMMDIとの混合物(混合比は、XDI:MMDI=9:1)を5質量部添加したアンカー層形成用インキを用いてアンカー層を形成した以外、実施例1-3と同様にして、実施例1-7に係る化粧材を形成した。
エチレン-メタクリル酸メチル共重合体樹脂(EMAA)のガラス転移温度(Tg)を90℃にした以外、実施例1-2と同様にして、実施例1-8に係る化粧材を形成した。
(実施例1-9)
エチレン-メタクリル酸メチル共重合体樹脂(EMAA)のガラス転移温度(Tg)を95℃にした以外、実施例1-2と同様にして、実施例1-9に係る化粧材を形成した。
エチレン-メタクリル酸メチル共重合体樹脂(EMAA)のガラス転移温度(Tg)を100℃にした以外、実施例1-2と同様にして、実施例1-10に係る化粧材を形成した。
(実施例1-11)
アクリル系樹脂原反の印刷面(絵柄層が形成された面)とは反対側の面の、JIS K 7125に準拠して測定した動摩擦係数が1.0である原反を用いた以外、実施例1-1と同様にして、実施例1-11に係る化粧材を形成した。
アクリル系樹脂原反の印刷面(絵柄層が形成された面)とは反対側の面の、JIS K 7125に準拠して測定した動摩擦係数が1.0である原反を用いた以外、実施例1-2と同様にして、実施例1-12に係る化粧材を形成した。
(実施例1-13)
アクリル系樹脂原反の印刷面(絵柄層が形成された面)とは反対側の面の、JIS K 7125に準拠して測定した動摩擦係数が1.0である原反を用いた以外、実施例1-3と同様にして、実施例1-13に係る化粧材を形成した。
アクリル系樹脂原反の印刷面(絵柄層が形成された面)とは反対側の面の、JIS K 7125に準拠して測定した動摩擦係数が1.0である原反を用いた以外、実施例1-4と同様にして、実施例1-14に係る化粧材を形成した。
(実施例1-15)
アクリル系樹脂原反の印刷面(絵柄層が形成された面)とは反対側の面の、JIS K 7125に準拠して測定した動摩擦係数が1.0である原反を用いた以外、実施例1-5と同様にして、実施例1-15に係る化粧材を形成した。
アクリル系樹脂原反の印刷面(絵柄層が形成された面)とは反対側の面の、JIS K 7125に準拠して測定した動摩擦係数が1.0である原反を用いた以外、実施例1-6と同様にして、実施例1-16に係る化粧材を形成した。
(実施例1-17)
アクリル系樹脂原反の印刷面(絵柄層が形成された面)とは反対側の面の、JIS K 7125に準拠して測定した動摩擦係数が1.0である原反を用いた以外、実施例1-7と同様にして、実施例1-17に係る化粧材を形成した。
アクリル系樹脂原反の印刷面(絵柄層が形成された面)とは反対側の面の、JIS K 7125に準拠して測定した動摩擦係数が1.0である原反を用いた以外、実施例1-8と同様にして、実施例1-18に係る化粧材を形成した。
(実施例1-19)
アクリル系樹脂原反の印刷面(絵柄層が形成された面)とは反対側の面の、JIS K 7125に準拠して測定した動摩擦係数が1.0である原反を用いた以外、実施例1-9と同様にして、実施例1-19に係る化粧材を形成した。
アクリル系樹脂原反の印刷面(絵柄層が形成された面)とは反対側の面の、JIS K 7125に準拠して測定した動摩擦係数が1.0である原反を用いた以外、実施例1-10と同様にして、実施例1-20に係る化粧材を形成した。
(実施例1-21)
アクリル系樹脂原反の印刷面(絵柄層が形成された面)とは反対側の面の、JIS K 7125に準拠して測定した動摩擦係数が0.5である原反を用いた以外、実施例1-1と同様にして、実施例1-21に係る化粧材を形成した。
アクリル系樹脂原反の印刷面(絵柄層が形成された面)とは反対側の面の、JIS K 7125に準拠して測定した動摩擦係数が1.5である原反を用いた以外、実施例1-1と同様にして、実施例1-22に係る化粧材を形成した。
(比較例1-1)
アンカー層を設けなかった以外、実施例1-1と同様にして、比較例1-1に係る化粧材を形成した。
以上の実施例1-1から実施例1-22の各化粧材及び比較例1-1の化粧材に対し、以下に示す性能評価を行なった。
「基材密着評価」
上記各化粧材に対し、上記各化粧シートと、上台であるクリアー基材または下台である着色基材との密着度について評価した。評価方法及び評価基準は、以下の通りである。
〔評価方法〕
実施例1-1で述べた方法で熱ラミネートして形成した上記各化粧材を冷却した後、化粧シートと、上台であるクリアー基材または下台である着色基材とを剥がして、密着性を確認した。
〔評価基準〕
○:基材の剥離は観察されず、使用上全く問題ない
△:使用上問題ないが、基材の剥離が若干確認された
×:使用上問題がある
上記各化粧材に対し、上記各化粧シートと、上台であるクリアー基材または下台である着色基材との間に生じたエアガミについて評価した。評価方法及び評価基準は、以下の通りである。
〔評価方法〕
実施例1-1で述べた方法で熱ラミネートして形成した上記各化粧材を冷却した後、目視にて上記各化粧材の外観を観察し、エアガミの有無を確認した。
〔評価基準〕
○:エアガミは観察されず、使用上全く問題ない
△:使用上問題ないが、エアガミが若干確認された
×:使用上問題がある
上記各化粧材に対し、各化粧シートが備える熱シワについて評価した。評価方法及び評価基準は、以下の通りである。
〔評価方法〕
実施例1-1で述べた方法で熱ラミネートして形成した上記各化粧材を冷却した後、目視にて上記各化粧材の外観を観察し、熱シワの有無を確認した。
〔評価基準〕
○:熱シワは観察されず、使用上全く問題ない
△:使用上問題ないが、熱シワが若干確認された
なお、熱シワ評価が「○」及び「△」であれば、使用上問題ない。
上記各化粧材に対し、各化粧シートが備えるマット感について評価した。評価方法及び評価基準は、以下の通りである。
〔評価方法〕
実施例1-1で述べた方法で熱ラミネートして形成した上記各化粧材を冷却した後、目視にて上記各化粧材の外観を観察し、マット感の有無を確認した。
〔評価基準〕
○:「マット感の有する」と判断した人が50人中25人以上
△:「マット感の有する」と判断した人が50人中24人以下
なお、マット感評価が「○」及び「△」であれば、使用上問題ない。
以上の結果を表1~表3に示す。
表1中に表されるように、実施例1-1及び実施例1-2は、比較例1-1に比べて、基材密着評価及びエアガミ評価の両方が改善されている。このことから、化粧シートに、アクリル系樹脂を含むか否かにかかわらずアンカー層を設けることで、化粧シートと基材(上台であるクリアー基材及び下台である着色基材)との密着性が高まり、且つエアガミの発生が低減され外観不良が改善されたことが確認された。
また、実施例1-1と実施例1-2とを比べると、アンカー層にアクリル系樹脂を含めることで、エアガミの発生が低減され外観不良がより改善されたことが確認された。
また、実施例1-8から実施例1-10の結果から、アンカー層に含まれるアクリル系樹脂のガラス転移温度が、90℃以上100以下の範囲内であれば、化粧シートと基材(上台であるクリアー基材及び下台である着色基材)との密着性が高まり、且つエアガミの発生が低減され外観不良が改善されたことが確認された。
また、実施例1-11から実施例1-22の結果から、アクリル系樹脂原反の印刷面(絵柄層が形成された面)とは反対側の面の、JIS K 7125に準拠して測定した動摩擦係数が0.5以上1.5以下の範囲内であれば、化粧シートにマット感を付与することができた。
以下、本発明の第2実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
(化粧シート11の構成)
図4中に表すように、化粧シート11は、第1アクリル系樹脂原反1と、絵柄層2と、接着剤層6と、アンカー層3と、第2アクリル系樹脂原反7とを備えている。より詳しくは、化粧シート11は、アクリル系樹脂で形成された原反である第1アクリル系樹脂原反1と、第1アクリル系樹脂原反1の一方の面に形成され、アクリル系樹脂をバインダーとして含む絵柄層2と、絵柄層2の第1アクリル系樹脂原反1側の面とは反対側の面に形成され、硬化剤を含む接着剤層6と、接着剤層6の絵柄層2の面とは反対側の面に形成されるアンカー層3と、アンカー層3の接着剤層6の面とは反対側の面に、アクリル系樹脂で形成される第2アクリル系樹脂原反7と、を備えている。
以下、上述した各層の詳細について説明する。
第1アクリル系樹脂原反1は、アクリル系樹脂で形成された原反であって、後述する第2アクリル系樹脂原反7と共に化粧シート11に機械的強度を付与する層、即ち化粧シート11の支持体となる層である。本実施形態に係る第1アクリル系樹脂原反1は、第1実施形態で説明したアクリル系樹脂原反1と同じ原反である。そこで、ここでは、本実施形態に係る第1アクリル系樹脂原反1の説明を省略する。
絵柄層2は、化粧シート11に絵柄を付与する層であり、図4中に表すように、第1アクリル系樹脂原反1の一方の面に形成されている。
絵柄層2が形成する絵柄模様の種類には、特に制約はなく、例えば、木目柄、石目柄、布目柄、抽象柄、幾何学図形、文字、記号等を単独で、または、二種類以上を組み合わせて形成してもよい。
絵柄層2は、ウレタン塩酢ビ系樹脂をバインダーとして含むインキ(以下、絵柄層形成用インキとも称する)を、第1アクリル系樹脂原反1の一方の面に塗布して形成された層である。絵柄層2をウレタン系樹脂とすることにより、絵柄層形成用インキに後述する接着剤層形成用インキを塗工する際において、絵柄層2が溶けることを防止することができる。
絵柄層2の形成方法には、特に制約はなく、例えば、グラビア印刷法、オフセット印刷法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、凸版印刷法、インクジェット印刷法等の任意の印刷方法を用いることが可能である。
接着剤層6は、絵柄層2とアンカー層3との密着性を高めるための層であり、図4中に表すように、絵柄層2の第1アクリル系樹脂原反1側の面とは反対側の面に形成されている。
接着剤層6は、ウレタン樹脂を含むインキ(以下、接着剤層形成用インキとも称する)を、絵柄層2の第1アクリル系樹脂原反1側の面とは反対側の面に塗布して形成された層である。
接着剤層6の塗布量(形成量)は、5.0g/m2以上6.0g/m2以下の範囲内であることが好ましい。接着剤層6の塗布量が上記数値範囲内であれば、絵柄層2とアンカー層3との密着性を使用上問題ない程度に高め、且つ外観不良の発生をより低減することが可能となる。
接着剤層形成用インキが硬化剤を含む場合、その硬化剤の含有量は、接着剤層6におけるウレタン系樹脂の含有量を100質量部とした場合、0質量部超20質量部以下の範囲内であることが好ましい。硬化剤の含有量が上記数値範囲内であれば、接着剤層形成用インキの塗工性が向上する。
アンカー層3は、外観不良の発生を低減するための層であり、図4中に表すように、接着剤層6の絵柄層2側の面とは反対側の面に形成されている。
アンカー層3は、ウレタン系樹脂を含むインキ(以下、アンカー層形成用インキとも称する)を、接着剤層6の絵柄層2側の面とは反対側の面に塗布して形成された層である。
アンカー層3の塗布量(形成量)は、1.2g/m2以上1.6g/m2以下の範囲内であることが好ましい。アンカー層3の塗布量が上記数値範囲内であれば、アンカー層3と、第2アクリル系樹脂原反7との密着性を使用上問題ない程度に高めることが可能となる。
アンカー層3の形成方法には、特に制約はなく、例えば、グラビア印刷法、オフセット印刷法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、凸版印刷法、インクジェット印刷法等の任意の印刷方法を用いることが可能である。
第2アクリル系樹脂原反7は、第1アクリル系樹脂原反1と同様に、アクリル系樹脂で形成された原反であって、化粧シート11に機械的強度を付与する層、即ち化粧シート11の支持体となる層である。
第2アクリル系樹脂原反7は、アンカー層3の接着剤層6とは反対側の面に形成された層である。
第2アクリル系樹脂原反7の材質及び厚みについては、第1アクリル系樹脂原反1と同様とすることができる。
第2アクリル系樹脂原反7は、絵柄層2、接着剤層6及びアンカー層3が塗工された第1アクリル系樹脂原反1に、ドライラミネートにより貼り合わされることで、形成される。
化粧シート11の製造方法の一例について、簡単に説明する。
まず、第1アクリル系樹脂原反1の一方の面に、上述の絵柄層形成用インキを塗工して、絵柄層2を形成する。
次に、絵柄層2が形成された第1アクリル系樹脂原反1上に、上述の接着剤層形成用インキを塗工して、接着剤層6を形成する。
さらに、絵柄層2及び接着剤層6が順に形成された第1アクリル系樹脂原反1上に、上述のアンカー層形成用インキを塗工して、アンカー層3を形成する。
その後、絵柄層2、接着剤層6及びアンカー層3が順に形成された第1アクリル系樹脂原反1と、第2アクリル系樹脂原反7とをドライラミネートにより張り合わせることで、本実施形態に係る化粧シート11が製造される。なお、第2アクリル系樹脂原反7は、第1アクリル系樹脂原反1上のアンカー層3と張り合わされる。
図5を用いて、化粧材22の構成を説明する。
図5中に示すように、化粧材22は、アクリル系樹脂で形成されたクリアー基材4と、上述の化粧シート11と、アクリル系樹脂で形成された着色基材5とを備えている。より詳しくは、化粧材22は、アクリル系樹脂で形成された原反である第1アクリル系樹脂原反1と、第1アクリル系樹脂原反1の一方の面に形成され、ウレタン系樹脂をバインダーとして含む絵柄層2と、絵柄層2の第1アクリル系樹脂原反1側の面とは反対側の面に形成された接着剤層6と、接着剤層6の絵柄層2の面とは反対側の面に形成されたアンカー層3と、アンカー層3の接着剤層6の面とは反対側の面にアクリル系樹脂で形成された原反である第2アクリル系樹脂原反7と、第1アクリル系樹脂原反1の他方の面に形成され、アクリル系樹脂で形成されたクリアー基材4と、第2アクリル系樹脂原反7の他方の面に形成され、アクリル系樹脂で形成された着色基材5と、を備えている。
クリアー基材4は、アクリル系樹脂で形成された基材であって、第1アクリル系樹脂原反1の表面を保護する層である。本実施形態に係るクリアー基材4は、第1実施形態で説明したクリアー基材4と同じ基材である。そこで、ここでは、本実施形態に係るクリアー基材4の説明を省略する。
着色基材5は、アクリル系樹脂で形成された基材であって、第2アクリル系樹脂原反7と接着する層である。本実施形態に係る着色基材5は、第1実施形態で説明した着色基材5と同じ基材である。そこで、ここでは、本実施形態に係る着色基材5の説明を省略する。
なお、着色基材5には、例えば、アクリレート系共重合体樹脂を主成分とするシート状樹脂基材が用いられる。具体的には、着色基材5の材料は、第2アクリル系樹脂原反7との硬度や熱伸縮性等のバランスから、エチレン-アクリル酸メチル共重合体樹脂(EMA)、エチレン-アクリル酸エチル共重合体樹脂(EEA)、エチレン-メタクリル酸共重合体樹脂(EMAA)、エチレン-アクリル酸共重合体樹脂(EAA)、アイオノマー樹脂、またはそれらの混合物等のアクリレート系共重合体樹脂を主成分とするものを使用することができる。
化粧材22の製造方法の一例について、簡単に説明する。
まず、上台であるクリアー基材4と、下台である着色基材5との間に、化粧シート11を、第1アクリル系樹脂原反1がクリアー基材4側を向き、第2アクリル系樹脂原反7が着色基材5側を向くように配置する。つまり、クリアー基材4と着色基材5との間に、裏刷り仕様の化粧シート11を配置する。
次に、この積層体を、例えば熱ラミネートする。
こうして、クリアー基材4と第1アクリル系樹脂原反1とを溶着するとともに、着色基材5と第2アクリル系樹脂原反7とを溶着して、化粧材22を製造する。
なお、上述した実施形態は、本発明の一例であり、本発明は、上述した実施形態に限定されることはなく、この実施形態以外の形態であっても、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。
本実施形態の化粧シート11であれば、以下に記載する効果を奏することが可能となる。
(1)化粧シート11は、アクリル系樹脂で形成される第1アクリル系樹脂原反1と、第1アクリル系樹脂原反1の一方の面に形成され、ウレタン塩酢ビ系樹脂をバインダーとして含む絵柄層2と、絵柄層2の第1アクリル系樹脂原反1側の面とは反対側の面に形成され、硬化剤を含む接着剤層6と、接着剤層6の絵柄層2の面とは反対側の面に形成されるアンカー層3と、アンカー層3の接着剤層6の面とは反対側の面に、アクリル系樹脂で形成される第2アクリル系樹脂原反7と、を備える。
また、上記(1)の構成であれば、接着剤層6と第2アクリル系樹脂原反7との間にアンカー層3を設ける。これにより、接着剤層6と第2アクリル系樹脂原反7との密着性を向上させることができる。
(3)上記(2)の構成において、アンカー層3は、塗布量が5.0g/m2以上6.0g/m2以下である。
上記(3)の構成であれば、絵柄層2とアンカー層3との密着性を使用上問題ない程度に高め、且つ外観不良の発生をより低減することが可能となる。
(4)上記(1)~(3)のいずれか1つの構成において、絵柄層2は、硬化剤としてウレタン硬化剤を含み、ウレタン硬化剤に対するウレタン塩酢ビ系樹脂の質量比である配合比が、100/3である。
上記(4)の構成であれば、絵柄層2を形成する絵柄層形成用インキの塗工性を向上させることができる。
本発明は、上述した第2実施形態に限定されるものではない。例えば、第2実施形態の化粧シートにおいて、第1アクリル系樹脂原反1の絵柄層2とは反対側の面における、JIS K 7125(ISO 8295)に準拠して測定した動摩擦係数を0.5以上1.5以下の範囲内としてもよい。
第1アクリル系樹脂原反1の絵柄層2とは反対側の面の動摩擦係数を上記数値範囲内にすることで、化粧シート11にマット感を付与することができる。
(実施例2-1)
本発明者が行った実施例2-1について説明する。実施例2-1では、上記実施形態と同様に、裏刷り仕様の化粧シート11を製造し、さらにこの化粧シート11を用いて化粧材22を製造した。化粧シート11は、表4に示すように、第1アクリル系樹脂原反1の一方の面に、絵柄層2、接着剤層6及びアンカー層3を順に塗布した後、第2アクリル系樹脂原反7をドライラミネートによって張り合わせて製造した。
本実施例において、絵柄層2は、ウレタン塩酢ビ系インキを用いて形成した。また、接着剤層6は、ウレタン系樹脂とその硬化剤(IPDI)とを含んだもので形成した。なお、硬化剤(IPDI)は、ウレタン系樹脂100質量部に対し10質量部添加した。
そして、製造したこの裏刷り仕様の化粧シート11を、上台であるクリアー基材4と、下台である着色基材5との間に、第1アクリル系樹脂原反1がクリアー基材4側を向き、第2アクリル系樹脂原反7が着色基材5側を向くように配置した。
加熱バー上部の温度 145℃
加熱バー下部の温度 145℃
加圧時間 120秒間
圧力 3kgf/cm2
なお、第1アクリル系樹脂原反1の印刷面(絵柄層が形成された面)とは反対側の面の、JIS K 7125に準拠して測定した動摩擦係数は、0.4であった。
接着剤層6をアクリル系樹脂とその硬化剤とを含んだもので形成し、アクリル樹脂を含むアンカー層形成用インキを塗布することで、アンカー層3を形成した以外、実施例2-1と同様にして、実施例2-2に係る化粧材を形成した。なお、硬化剤は、アクリル系樹脂100質量部に対し10質量部添加した。
(実施例2-3)
アクリル樹脂を含むアンカー層形成用インキを塗布することで、アンカー層3を形成した以外、実施例2-1と同様にして、実施例2-3に係る化粧材を形成した。
第1アクリル系樹脂原反1の印刷面(絵柄層2が形成された面)とは反対側の面の、JIS K 7125に準拠して測定した動摩擦係数が1.0である原反を用いた以外、実施例2-1と同様にして、実施例2-4に係る化粧材を形成した。
(実施例2-5)
第1アクリル系樹脂原反1の印刷面(絵柄層2が形成された面)とは反対側の面の、JIS K 7125に準拠して測定した動摩擦係数が0.5である原反を用いた以外、実施例2-1と同様にして、実施例2-5に係る化粧材を形成した。
(実施例2-6)
第1アクリル系樹脂原反1の印刷面(絵柄層2が形成された面)とは反対側の面の、JIS K 7125に準拠して測定した動摩擦係数が1.5である原反を用いた以外、実施例2-1と同様にして、実施例2-6に係る化粧材を形成した。
また、実施例2-1では、比較としてアクリル系樹脂原反の一方の面に、アクリル系樹脂をバインダーとして含む絵柄層形成用インキを塗布して絵柄層を形成させた化粧シートを製造し、この化粧シートを用いて実施例2-1と同様に化粧材を製造した(比較例2-1)。
比較例2-1において、アクリル系樹脂原反として、実施例2-1における第1アクリル系樹脂原反1及び第2アクリル系樹脂原反7と同様なものを用いた。また、エチレン-メタクリル酸メチル共重合体樹脂(EMAA)をバインダーとして含む絵柄層形成用インキを、このアクリル系樹脂原反に塗布することで、絵柄層を形成した。なお、比較例2-1の絵柄層形成用インキは、硬化剤を含有していない。
さらに、化粧材の製造条件は、化粧シートの違い以外は、実施例2-1と同一とした。
以上の実施例2-1から実施例2-6の化粧材及び比較例2-1の化粧材に対し、以下に示す性能評価を行なった。
「基材密着評価」
上記各化粧材に対し、上記各化粧シートと、上台であるクリアー基材または下台である着色基材との密着度について評価した。評価方法及び評価基準は、以下の通りである。
〔評価方法〕
実施例2-1で述べた方法で熱ラミネートして形成した上記各化粧材を冷却した後、化粧シートと、上台であるクリアー基材または下台である着色基材とを剥がして、密着性を確認した。
(評価基準)
◎:基材の剥離は観察されず、使用上全く問題ない
×:基材の剥離が観察され、使用上問題がある
上記各化粧材に対し、上記各化粧シートと、上台であるクリアー基材または下台である着色基材との間に生じたエアガミについて評価した。評価方法及び評価基準は、以下の通りである。
〔評価方法〕
実施例2-1で述べた方法で熱ラミネートして形成した上記各化粧材を冷却した後、目視にて上記各化粧材の外観を観察し、エアガミの有無を確認した。
(評価基準)
◎:エアガミは観察されず、使用上全く問題ない
×:エアガミが観察され、使用上問題がある
上記各化粧材に対し、各化粧シートが備える熱シワについて評価した。評価方法及び評価基準は、以下の通りである。
〔評価方法〕
実施例2-1で述べた方法で熱ラミネートして形成した上記各化粧材を冷却した後、目視にて上記各化粧材の外観を観察し、熱シワの有無を確認した。
〔評価基準〕
○:熱シワは観察されず、使用上全く問題ない
△:使用上問題ないが、熱シワが若干確認された
なお、熱シワ評価が「○」及び「△」であれば、使用上問題ない。
上記各化粧材に対し、各化粧シートが備えるマット感について評価した。評価方法及び評価基準は、以下の通りである。
〔評価方法〕
実施例2-1で述べた方法で熱ラミネートして形成した上記各化粧材を冷却した後、目視にて上記各化粧材の外観を観察し、マット感の有無を確認した。
〔評価基準〕
○:「マット感の有する」と判断した人が50人中25人以上
△:「マット感の有する」と判断した人が50人中24人以下
なお、マット感評価が「○」及び「△」であれば、使用上問題ない。
以上の結果を表4に示す。
表4中に表されるように、実施例2-1から実施例2-3は、比較例2-1に比べて、基材密着評価及びエアガミ評価の両方が改善されている。このことから、上記実施形態に係る化粧シート11とすることで、化粧シート11と基材(上台であるクリアー基材4及び下台である着色基材5)との密着性が高まり、且つエアガミの発生が低減され外観不良が改善されたことが確認された。
また、実施例2-4から実施例2-6の結果から、第1アクリル系樹脂原反1の印刷面(絵柄層2が形成された面)とは反対側の面の、JIS K 7125に準拠して測定した動摩擦係数が0.5以上1.5以下の範囲内であれば、化粧シート11にマット感を付与することができた。
Claims (6)
- アクリル系樹脂で形成される第1アクリル系樹脂原反と、
前記第1アクリル系樹脂原反の一方の面に形成され、ウレタン塩酢ビ系樹脂をバインダーとして含む絵柄層と、
前記絵柄層の前記第1アクリル系樹脂原反側の面とは反対側の面に形成され、硬化剤を含む接着剤層と、
前記接着剤層の前記絵柄層の面とは反対側の面に形成されるアンカー層と、
前記アンカー層の前記接着剤層の面とは反対側の面に、アクリル系樹脂で形成される第2アクリル系樹脂原反と、を備え、
前記第1アクリル系樹脂原反の前記一方の面とは反対側の面における、JIS K 7125に準拠して測定した動摩擦係数は、0.5以上1.5以下の範囲内であることを特徴とする化粧シート。 - 前記アンカー層は、ウレタン系樹脂からなることを特徴とする請求項1に記載の化粧シート。
- 前記絵柄層は、硬化剤としてウレタン硬化剤を含み、前記ウレタン硬化剤に対する前記ウレタン塩酢ビ系樹脂の質量比である配合比が、100/3であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の化粧シート。
- アクリル系樹脂で形成された原反と、
前記原反の一方の面に形成され、アクリル系樹脂をバインダーとして含む絵柄層と、
前記絵柄層の前記原反側の面とは反対側の面に形成されたアンカー層と、
前記原反の他方の面に形成され、アクリル系樹脂で形成されたクリアー基材と、
前記アンカー層の前記絵柄層とは反対側の面に形成され、アクリル系樹脂で形成された着色基材と、を備えることを特徴とする化粧材。 - アクリル系樹脂で形成された原反と、
前記原反の一方の面に形成され、アクリル系樹脂をバインダーとして含む絵柄層と、
前記絵柄層の前記原反側の面とは反対側の面に形成されたアンカー層と、
前記原反の他方の面に形成され、アクリル系樹脂で形成された着色基材と、
前記アンカー層の前記絵柄層とは反対側の面に形成され、アクリル系樹脂で形成されたクリアー基材と、を備えることを特徴とする化粧材。 - 前記原反の前記一方の面とは反対側の面における、JIS K 7125に準拠して測定した動摩擦係数は、0.5以上1.5以下の範囲内であることを特徴とする請求項4または請求項5に記載の化粧材。
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