以下、図面を参照しながら、医用情報表示装置の実施形態について詳細に説明する。
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る医用情報処理システム1の構成の一例を示すブロック図である。図1に示すように、医用情報処理システム1は、医用情報表示装置100と、電子カルテ保管装置300とを含む。
図1に示すように、医用情報表示装置100は、ネットワーク200を介して、電子カルテ保管装置300と通信可能に接続される。ネットワーク200は、例えば、院内LAN等である。また、医用情報表示装置100及び電子カルテ保管装置300は、病院等に設置される。
電子カルテ保管装置300は、病院等で行われた各種の診療に関する診療データを保管する装置である。例えば、電子カルテ保管装置300は、患者(被検体)から収集された脈拍数や心拍数、呼吸数、血圧、体温、経皮的動脈血酸素飽和度(SpO2)、血糖値等のデータ(バイタルデータ)を、時間に対応付けて記憶する。
バイタルデータは、患者に関する状態を数値で表す情報であり、本実施形態における医用情報の一例である。また、バイタルデータは、バイタルサインともいう。なお、本実施形態では、バイタルデータの例として、脈拍数、心拍数、呼吸数、血圧、体温、経皮的動脈血酸素飽和度(SpO2)、及び血糖値を挙げたが、バイタルデータの種類はこれらに限定されるものではない。なお、以下の説明において、複数のバイタルデータという場合は、複数の種類のバイタルデータのことを指すものとする。
例えば、電子カルテ保管装置300は、病院等で導入されている電子カルテシステムの一部として設置され、電子カルテシステムによって生成されたバイタルデータを保管する。例えば、電子カルテ保管装置300は、DB(Database)サーバ等のコンピュータ機器によって実現され、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子や、ハードディスク、光ディスク等の記憶回路にバイタルデータを記憶させる。
医用情報表示装置100は、ネットワーク200を介して電子カルテ保管装置300からバイタルデータを取得し、取得したバイタルデータを用いて各種情報処理を行う。例えば、医用情報表示装置100は、ワークステーション等のコンピュータ機器によって実現される。
具体的には、医用情報表示装置100は、I/F(インターフェース)回路110と、記憶回路120と、入力回路130と、ディスプレイ140と、処理回路150とを有する。
I/F回路110は、処理回路150に接続され、電子カルテ保管装置300との間で行われる各種データの伝送及び通信を制御する。例えば、I/F回路110は、電子カルテ保管装置300からバイタルデータを受信し、受信したバイタルデータを処理回路150に出力する。例えば、I/F回路110は、ネットワークカードやネットワークアダプタ、NIC(Network Interface Controller)等によって実現される。
記憶回路120は、処理回路150に接続され、各種データを記憶する。例えば、記憶回路120は、電子カルテ保管装置300から受信した複数種類のバイタルデータの計測結果を記憶する。また、記憶回路120は、複数のバイタルデータの種類の各々の異常閾値を記憶する。
異常閾値は、バイタルデータの異常の有無の指標となる値であり、例えば、各バイタルデータの正常範囲の上限または下限を示す値である。異常閾値は、バイタルデータの種類ごとに異なるものとする。また、記憶回路120は、各種のプログラムを記憶する。記憶回路120は、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子や、ハードディスク、光ディスク等によって実現される。記憶回路120は、本実施形態における記憶部の一例である。
入力回路130は、処理回路150に接続され、操作者から受け付けた入力操作を電気信号に変換して処理回路150に出力する。例えば、入力回路130は、トラックボール、スイッチボタン、マウス、キーボード、タッチパネル等によって実現される。
ディスプレイ140は、処理回路150に接続され、処理回路150から出力される各種のデータを表示する。例えば、ディスプレイ140は、液晶モニタやCRT(Cathode Ray Tube)モニタ、タッチパネル等によって実現される。なお、入力回路130とディスプレイ140とは統合してもよい。例えば、入力回路130及びディスプレイ140は、タッチパネルによって実現される。ディスプレイ140は、本実施形態における画面の一例である。
処理回路150は、表示制御機能151、取得機能152、算出機能153及び検知機能154を有する。表示制御機能151は、表示制御部の一例である。また、取得機能152は、取得部の一例である。また、算出機能153は、算出部の一例である。また、検知機能154は、検知部の一例である。例えば、処理回路150は、プロセッサによって実現される。
ここで、例えば、処理回路150の構成要素である表示制御機能151と、取得機能152と、算出機能153と、検知機能154とは、コンピュータによって実行可能なプログラムの形態で記憶回路120に記憶されている。処理回路150は、各プログラムを記憶回路120から読み出し、読み出した各プログラムを実行することで、各プログラムに対応する機能を実現する。換言すると、各プログラムを読み出した状態の処理回路150は、図1の処理回路150内に示された各機能を有することとなる。なお、図1においては、単一の処理回路150にて、表示制御機能151、取得機能152、算出機能153及び検知機能154の各処理機能が実現されるものとして説明したが、複数の独立したプロセッサを組み合わせて処理回路150を構成し、各プロセッサが各プログラムを実行することにより各処理機能を実現するものとしてもよい。
以上、第1の実施形態に係る医用情報処理システム1の全体構成について説明した。このような構成のもと、第1の実施形態に係る医用情報処理システム1は、バイタルデータ等の患者から時系列的に収集したデータについて、傾向の把握を容易にする。具体的には、医用情報処理システム1は、以下で詳細に説明する処理回路150の処理によって、バイタルデータから統計情報を動的に算出し、ディスプレイ140に表示することで、データ傾向の把握を容易にする。以下、第1の実施形態に係る医用情報処理システム1の処理について詳細に説明する。
まず、電子カルテ保管装置300は、バイタルデータを時間に対応付けて記憶する。つまり、電子カルテ保管装置300は、複数種類のバイタルデータの経時的変化を示す時系列医用情報を記憶する。時系列医用情報は、患者に関する状態を数値で表す医用情報の経時的変化を示す情報である。より具体的には、時系列医用情報は、バイタルデータの計測結果である。ここで、バイタルデータの計測結果は、バイタルデータの計測値と、当該バイタルデータの計測時刻または入力時刻とが対応付けられた情報であるものとする。
例えば、電子カルテ保管装置300は、患者について計測され、計測を行った医師や看護師等によって入力されたバイタルデータの計測結果を記憶する。別の例を挙げると、電子カルテ保管装置300は、バイタルデータの計測機器(例えば、血圧計または脈拍計など)からネットワーク200を介して取得したバイタルデータの計測結果を記憶する。
ここで、電子カルテ保管装置300にて記憶されるバイタルデータの例について、図2を用いて説明する。
図2は、第1の実施形態に係るバイタルデータの一例を示す図である。なお、以下では一例として、電子カルテ保管装置300が、バイタルデータを計測時間に対応付けて記憶する場合について説明する。
例えば、電子カルテ保管装置300は、図2に示すように、バイタルデータとして、「患者ID」、「種類」、「計測日時」及び「計測値」の各項目を対応付けて記憶する。ここで、「患者ID」は、バイタルデータの計測対象となった患者を識別するための情報である。また、「種類」とは、バイタルデータの種類(脈拍や血圧、体温、呼吸数、SpO2、血糖値等)である。また、「計測日時」とは、バイタルデータが計測された日時である。また、「計測値」とは、バイタルデータとして計測された数値である。例えば、電子カルテ保管装置300は、図2に示すように、バイタルデータとして、患者P1の脈拍の計測値「68」、血圧の計測値「141/89」及び体温の計測値「36.5」を、計測時間「2017/06/07 09:15」に対応付けて記憶する。また、例えば、電子カルテ保管装置300は、バイタルデータとして、患者P2の脈拍の計測値「59」及び血圧の計測値「131/81」を、計測時間「2017/06/14 14:45」に対応付けて記憶する。
次に、医用情報表示装置100の機能の詳細について説明する。
取得機能152は、I/F回路110を介して電子カルテ保管装置300から複数種類のバイタルデータの時系列医用情報を取得する。取得機能152は、取得したバイタルデータの時系列医用情報を記憶回路120に保存する。
また、取得機能152は、表示対象の患者を特定する患者ID、表示対象のバイタルデータの種類、及びバイタルデータの表示期間を取得する。表示期間は、時系列表示されるバイタルデータの期間である。表示期間は、表示対象期間ともいう。
例えば、取得機能152は、入力回路130を介して、医師や看護師等の操作者によって入力された患者ID、表示対象のバイタルデータの種類、及びバイタルデータの表示期間の指定を受け付けることにより、これらの情報を取得する。
図3は、第1の実施形態に係る表示期間について説明するための図である。取得機能152は、一例として、図3Bに示すように、開始時間「2017/4/27 00:00:00」及び終了時間「2017/5/8 00:00:00」を表示期間として取得する。取得機能152は、取得した表示期間を、算出機能153及び表示制御機能151に送出する。
なお、初期表示の表示期間が予め定められているものとしてもよい。また、取得機能152は、ディスプレイ140への出力を制御する表示制御機能151から表示期間を取得してもよいし、ディスプレイ140における表示制御を行うビデオカード等から表示期間を取得してもよい。
算出機能153は、取得機能152が取得した表示期間に含まれる複数のバイタルデータから、統計情報を算出する。より詳細には、算出機能153は、複数のバイタルデータの各々の中央値(メジアン)、最大値及び最小値を算出する。
図4は、第1の実施形態に係る統計情報の一例を示す図である。図4に示す例では、表示対象のバイタルデータの種類が脈拍、血圧、体温であるものとする。算出機能153は、表示期間における脈拍、血圧、体温の計測結果を、記憶回路120から検索し、複数のバイタルデータの各々の中央値、最小値、及び最大値を算出する。なお、統計情報は、これらに限定されるものではない。
図5は、第1の実施形態に係る統計情報の算出について説明するための図である。図5では、バイタルデータの一例として、患者P1の脈拍について計測された全期間分のバイタルデータを示す。図5に示すように、算出機能153は、記憶回路120に保存された患者P1の脈拍の計測結果から、表示期間に含まれる計測結果を抽出する。例えば、図3に示した表示期間が取得機能152によって取得された場合、算出機能153は、図5に示すバイタルデータのうち、「2017/4/27 00:00:00」から「2017/5/8 00:00:00」までの間に計測されたバイタルデータを取得する。算出機能153は、抽出したバイタルデータから統計情報を算出する。算出機能153は、算出した統計情報を、表示制御機能151に送出する。
表示制御機能151は、複数のバイタルデータの各々の異常閾値の表示位置を揃えて、複数のバイタルデータの時系列医用情報をディスプレイ140上の同一の表示領域に表示する。本実施形態では、複数のバイタルデータの各々の異常閾値の表示位置を揃えて表示する表示形式を、第1の表示形式という。
図6は、第1の実施形態に係るバイタルデータの時系列表示の第1の表示形式の一例を示す図である。表示制御機能151は、図6に示すように、患者のバイタルデータを時間軸に対応付けてプロットした折れ線グラフをディスプレイ140に表示することで、バイタルデータを時系列表示する。図6に示すグラフの縦軸は各バイタルデータの値であり、横軸は時刻である。図6に示す個々の折れ線グラフが、各バイタルデータの時系列医用情報を示す。
図6に示す例では、表示制御機能151は、記憶回路120に記憶されたバイタルデータのうち、脈拍、血圧、及び体温の計測結果を表示している。また、図6に示すように、複数のバイタルデータの各々の計測結果を表す複数の折れ線グラフは、同一の表示領域に表示されている。図6に示すグラフの表示領域は、タイムライン欄ともいう。表示対象のバイタルデータの種類と、表示対象の患者IDとは、例えば取得機能152が取得したものとするが、表示制御機能151が操作者による画面上の操作を受け付けるものとしてもよい。また、表示制御機能151は、時系列表示するバイタルデータの種類の変更を後述の検知機能154が検知した場合に、表示するバイタルデータの種類を変更してもよい。
また、図6に示す例では「4月27日から5月8日まで」が表示期間となる。表示期間は、表示対象の患者についてバイタルデータが計測された全期間であってもよいし、予め設定された期間であってもよいし、操作者によって設定された期間であってもよい。更に、表示期間は、操作者が任意に変更することができるものとする。
表示制御機能151は、複数のバイタルデータの各々の異常閾値を、グラフの軸上の同一の目盛に対応付けて表示する。本実施形態では、値が大きい方の異常閾値を上限値、値が小さい方の異常閾値を下限値という。あるいは、中央値よりも大きい異常閾値を上限値、中央値よりも小さい異常閾値を上限値と定義しても良い。下限値から上限値の間の値が、各バイタルデータの正常範囲とする。例えば、図6に示す例では、脈拍の上限値は“100”、下限値は“70”である。また、血圧の上限値は“140”、下限値は“80”である。また、体温の上限値は“38”、下限値は“35”である。
図6に示すように、表示制御機能151は、脈拍の上限値“100”、血圧の上限値“140”、及び体温の上限値“38”を、グラフの縦軸上の同一の位置に表示する。また、表示制御機能151は、脈拍の下限値“70”、血圧の下限値“80”、及び体温の下限値“35”を、グラフの縦軸上の同一の位置に表示する。
また、表示制御機能151は、算出機能153によって算出された各バイタルデータのそれぞれの中央値の表示位置を揃えて、複数の時系列医用情報をディスプレイ140に表示する。また、表示制御機能151は、複数のバイタルデータの各々の最大値及び最小値の表示位置を揃えて、複数の時系列医用情報をディスプレイ140に表示する。図6に示す例では、表示制御機能151は、各バイタルデータの異常閾値、中央値、最大値及び最小値の全てを揃えて表示しているが、表示制御機能151は、異常閾値、中央値、最大値及び最小値のうちのいずれか1つまたは2つの値を揃えて表示してもよい。
ここで、表示制御機能151は、各バイタルデータの異常閾値、中央値、最大値、及び最小値の表示位置が揃うように、複数のバイタルデータの各々について、縦軸の1目盛に相当する数値を調整する。このため、各バイタルデータのスケールは統一されず、1目盛当たりの数値は、複数のバイタルデータの各々で異なるものとなる。例えば、図6に示す中央値から数値が多くなる方向の1目盛は、脈拍では10、血圧では20、体温では1に相当する。
また、それぞれのバイタルデータにおいても、1目盛に相当する数値は可変とする。例えば、血圧では“100”から“120”までは、1目盛が20に相当するが、“140”から“160”までは、2目盛が20に相当する。
なお、図6に示す例では、異常閾値は上限値と下限値の2種類があるものとしているが、表示対象のバイタルデータの種類によっては、異常閾値は1種類のみであってもよい。また、表示対象の複数のバイタルデータのうち、異常閾値として上限値のみを有するバイタルデータと、異常閾値として下限値のみを有するバイタルデータとが存在する場合は、表示制御機能151は、異常閾値として上限値のみを有する複数のバイタルデータについては上限値を揃え、異常閾値として下限値のみを有する複数のバイタルデータについては上限値を揃えて表示する。
あるいは、表示制御機能151は、表示対象の複数のバイタルデータのうち、異常閾値として上限値のみを有するバイタルデータと、異常閾値として下限値のみを有するバイタルデータとが存在する場合に、表示対象の複数のバイタルデータの中央値のみを揃えて表示しても良い。また、異常閾値が2種類ある場合であっても、上限値と下限値ではなく、段階的な異常のレベルを表す複数の異常閾値であっても良い。この場合、複数の異常閾値の各々を、第1の異常閾値、第2の異常閾値等として区別してもよい。
なお、図6は、折れ線グラフによってバイタルデータを時系列表示する場合を示すが、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、表示制御機能151は、折れ線グラフに代えて、箱ひげ図等による時系列表示を行ってもよい。更に、表示制御機能151は、折れ線グラフや箱ひげ図等に加えて、表示期間に含まれるバイタルデータから算出された統計情報(ヒストグラム等)を表示してもよい。例えば、表示制御機能151は、図6の領域R3に示すチェックボックスへのチェックの有無に応じて、ヒストグラムの表示の有無を切り替えることとしてもよい。
また、図6においては、表示制御機能151は、各バイタルデータの数値を「記録毎」に表示しているが、箱ひげ図等による時系列表示の場合は、一定の時間単位ごとに集計した結果を表示してもよい。時間単位については、操作者による操作に応じて変更するものとしてもよい。例えば、表示制御機能151は、図6の領域R5に示すように、「記録毎」、「半日」、「1日」、「2日」及び「1週」といった時間単位を示すバーと、バーの上をスライドするポインタとを表示する。
また、表示制御機能151は、図6に示した第1の表示形式とは異なる第2の表示形式で複数種類のバイタルデータを表示する。第2の表示形式は、複数のバイタルデータの各々の異常閾値、中央値、最大値及び最小値の値に関わらず、グラフの軸の目盛を複数のバイタルデータの各々に対して均等な間隔(刻み)にして複数のバイタルデータの時系列の変化を示すグラフを表示する表示形式である。
図7は、第1の実施形態に係るバイタルデータの時系列表示の第2の表示形式の一例を示す図である。図7に示す例では、脈拍の数値は、グラフの縦軸の1目盛当たり10の刻みで表示される。また、血圧の数値は、グラフの縦軸の1目盛当たり20の刻みで表示される。体温の数値は、グラフの縦軸の1目盛当たり1の刻みで表示される。
表示制御機能151は、操作者による操作に応じて、第1の表示形式と第2の表示形式とを切り替える。例えば、表示制御機能151は、操作者が図6の領域R10に示す設定ボタンを操作して表示形式を変更する変更操作を後述の検知機能154が検知した場合に、表示形式を変更する。
なお、図6及び図7では複数種類のバイタルデータを同時に表示する場合について説明したが、表示制御機能151は、操作者の選択に応じて、いずれか1つの種類のバイタルデータを表示してもよい。
検知機能154は、操作者による画面上の各種の操作を検知する。例えば、検知機能154は、入力回路130を介して、操作者が図6の領域R10に示す設定ボタンを操作して表示形式を変更する変更操作を受け付けることにより、表示形式の変更指示を検知する。この場合、検知機能154は、表示制御機能151に、表示形式の変更指示を送出する。
また、検知機能154は、入力回路130を介して、領域R5に示すポインタのスライド操作を操作者から受け付けることにより、時間単位の変更操作を検知する。また、検知機能154は、図6の領域R3に示すチェックボックスへのチェックの有無を検知する。また、検知機能154は、図6の領域R1に示すボタンの選択操作を操作者から受け付けた場合に、時系列表示するバイタルデータの種類の変更操作を検知する。検知機能154は、検知した各種の操作を、表示制御機能151に送出する。なお、取得機能152または表示制御機能151が、操作者の操作を受け付けるものとしてもよい。
次に、第1の実施形態に係る医用情報処理システム1による処理の手順の一例を、図8を用いて説明する。図8は、第1の実施形態に係る医用情報処理システム1の処理の流れの一例を示すフローチャートである。このフローチャートの処理が開始する前に、取得機能152は、I/F回路110を介して電子カルテ保管装置300から複数のバイタルデータの計測結果を取得し、記憶回路120に保存しているものとする。
まず、取得機能152は、バイタルデータの表示対象の患者を特定する患者ID、表示対象のバイタルデータの種類、及びバイタルデータの表示期間を取得する(S1)。
次に、算出機能153は、表示期間における表示対象の各バイタルデータの中央値、最小値、及び最大値といった統計情報を算出する(S2)。
そして、表示制御機能151は、図6で説明した第1の表示形式で、複数種類のバイタルデータのそれぞれの異常閾値、中央値、最大値、及び最小値を揃えて複数種類の数値データを時系列に、ディスプレイ140に表示する(S3)。
また、検知機能154は、表示期間、時間単位、表示対象のバイタルデータの種類、またはヒストグラムの表示の有無の変更操作を検知したか否かを判断する(S4)。
また、検知機能154は、いずれかの変更操作を検知したと判断した場合(S4“Yes”)、検知した変更操作を算出機能153及び表示制御機能151に通知する。そして、S2の処理に戻り、算出機能153は、変更後の表示期間、時間単位、または表示対象のバイタルデータの種類に基づいて、統計情報を算出する。また、ヒストグラムの表示が“有”に設定された場合は、算出機能153は、表示対象の各バイタルデータの各データ区間に含まれる計測値の数(頻度)を算出する。
また、検知機能154は、上述の変更操作を検知していないと判断した場合(S4“No”)、検知機能154は、表示形式の変更操作を検知したか否かを判断する(S5)。
検知機能154は、表示形式の変更操作を検知したと判断した場合(S5“Yes”)、表示制御機能151に、表示形式の変更指示を送出する。この場合、表示制御機能151は、バイタルデータを第2の表示形式で表示する(S6)。
検知機能154が、表示形式の変更操作を検知していないと判断した場合(S5“No”)、画面表示は変更されず、このフローチャートの処理は終了する。なお、このフローチャートでは一例として第1の表示形式を初期表示としたが、第2の表示形式を初期表示としてもよい。
このように、第1の実施形態の医用情報表示装置100によれば、複数のバイタルデータの各々の異常閾値の表示位置を揃えて、複数の時系列医用情報をディスプレイ140上の同一の表示領域に表示するため、複数のバイタルデータが同時に表示されている場合でも、医師等は、異常なバイタルデータを容易に判別することができる。このため、第1の実施形態の医用情報表示装置100によれば、表示された複数のバイタルデータから医師等が異常値を迅速に把握することができる。
このような表示形式により、医師が個々のバイタルデータを個別に参照するよりも短い時間で多くのバイタルデータを効率的に把握することができる。また、このような表示形式により、複数のバイタルデータで異常値が計測された場合に、医師が相互の関連性を容易に把握することができる。
また、第1の実施形態の医用情報表示装置100によれば、複数のバイタルデータの各々の中央値を算出し、複数のバイタルデータの各々の中央値の表示位置を揃えて複数の時系列医用情報をディスプレイ140に表示するため、複数のバイタルデータの時系列の変化を見やすく表示することができる。
また、第1の実施形態の医用情報表示装置100によれば、複数のバイタルデータの各々の最大値及び最小値を算出し、複数のバイタルデータの各々の最大値及び最小値の表示位置を揃えて複数の時系列医用情報をディスプレイ140に表示するため、複数のバイタルデータの時系列の変化をさらに見やすく表示することができる。
また、第1の実施形態の複数のバイタルデータの各々の異常閾値は異なる値であり、第1の実施形態の医用情報表示装置100では、複数のバイタルデータの時系列の変化を示すグラフを表示し、複数のバイタルデータの各々の異常閾値を、グラフの軸上の同一の目盛に対応付けて表示する。このため、第1の実施形態の医用情報表示装置100によれば、各時刻における複数のバイタルデータの異常の有無を、1つのグラフで表示することができる。
また、第1の実施形態の医用情報表示装置100によれば、操作者である医師等の操作に応じて、第1の表示形式と第2の表示形式とを切り替えるため、医師等の用途に適した表示形式で複数のバイタルデータの時系列の変化を示すグラフを提供することができる。
なお、本実施形態においては、複数のバイタルデータの各々の異常閾値は、記憶回路120に予め保存されるものとしたが、医用情報表示装置100の算出機能153が、複数のバイタルデータの各々の異常閾値を、解析処理によって算出するものとしてもよい。当該構成を採用する場合、医用情報表示装置100によれば、事前に異常閾値を登録しなくとも、記録されたバイタルデータの中から異常な数値を判断して医師等に提示することができる。また、医用情報表示装置100の算出機能153は、予め定められた規則に準じて複数種類の数値データの各々の異常閾値を算出してもよい。
なお、本実施形態においては、バイタルデータの計測結果は医用情報表示装置100の記憶回路120に保存されるものとしたが、医用情報表示装置100の取得機能152は、バイタルデータの時系列表示が開始される際に、電子カルテ保管装置300からバイタルデータの計測結果を取得するものとしてもよい。また、表示制御機能151が、直接的に電子カルテ保管装置300に記憶されたバイタルデータの計測結果を参照してディスプレイ140に表示するものとしてもよい。なお、本実施形態においては、記憶回路120を記憶部の一例としたが、電子カルテ保管装置300を記憶部の一例としてもよい。
(第2の実施形態)
上述した第1の実施形態では、複数種類のバイタルデータの時系列表示の表示形式について説明した。これに対して、この第2の実施形態では、バイタルデータとその他の情報とを対応付けて表示する表示形式について説明する。
第2の実施形態に係る医用情報処理システム1は、図1に示した第1の実施形態と同様の構成を有する。また、第2の実施形態に係る医用情報表示装置100は、第1の実施形態と同様に、I/F回路110と、記憶回路120と、入力回路130と、ディスプレイ140と、処理回路150とを有する。第2の実施形態のI/F回路110と、記憶回路120と、入力回路130と、ディスプレイ140とは、第1の実施形態と同様の機能を有する。
また、第2の実施形態の記憶回路120は、第1の実施形態と同様の情報に加えて、患者の状態を示す記録情報を時間に対応付けて記憶する。本実施形態においては、記録情報は、バイタルデータとは異なる情報であり、例えば、患者の食事記録、睡眠記録、看護記録、投薬記録等であるが、その他の情報を含むものであってもよい。食事記録は、患者が食事を摂取した時刻、及び、患者が摂取した食事のメニューの記録とする。睡眠記録は、患者の睡眠時間の記録であり、活動量計等によって計測されるものとする。看護記録は、看護師等によって記録された患者の状態に関する情報であり、記録時刻と、患者の状態を説明する文章とが対応付けられた情報である。投薬記録は、患者に投与された薬の種類、量および投与時刻が対応付けられた情報である。
また、処理回路150は、第1の実施形態と同様に、表示制御機能151、取得機能152、算出機能153及び検知機能154を有する。
取得機能152は、第1の実施形態と同様の機能を備えた上で、I/F回路110を介して電子カルテ保管装置300から各種の記録情報を受信し、記憶回路120に保存する。また、取得機能152は、電子カルテ保管装置300以外の外部装置から各種の記録情報を受信してもよい。
表示制御機能151は、第1の実施形態と同様の機能を備えた上で、記録情報を、バイタルデータと対応付けて表示する。
図9は、第2の実施形態に係るバイタルデータの表示の一例を示す図である。図9に示すように、表示制御機能151は、グラフ上でバイタルデータの数値を示すマーカ(図9に示す例では円形のマーカ)の近傍に、当該バイタルデータと対応付けられた記録情報が存在することを示すアイコン90を表示する。表示制御機能151は、後述の検知機能154が操作者によって当該アイコン90が操作されたことを検知した場合に、当該バイタルデータと対応付けられた記録情報を表示する。
図9に示す例では、5月4日に計測された血糖値の計測結果には、患者の食事記録が対応付けられているため、表示制御機能151は、画面上に食事記録を表示する。
記録情報とバイタルデータとの対応付けは、例えば、予め定義されて記憶回路120に登録されるものとしてもよいし、時間によって対応付けが決定されてもよい。例えば、表示制御機能151は、バイタルデータの計測時刻または入力時刻から所定の時間以内の過去の時刻に対応付けられた食事記録、睡眠記録、看護記録、または投薬記録等を、当該バイタルデータと対応する記録情報と判断して画面に表示してもよい。バイタルデータと記録情報との対応付けは、バイタルデータの種類または患者の状態を示す情報の種類によってそれぞれ異なる基準で決定されてもよい。
また、表示制御機能151は、アイコン90を表示せずに、後述の検知機能154が、操作者によってバイタルデータの数値を示すマーカが操作されたことを検知した場合に、表示制御機能151は、当該バイタルデータと対応付けられた患者の状態を示す情報を表示してもよい。なお、アイコン90の表示態様は、図9に示す例に限定されるものではない。
また、表示制御機能151は、全てのバイタルデータの数値にそれぞれアイコン90を対応付けてもよいが、異常閾値を超えた数値、または算出機能153によるデータ解析によって外れ値と特定された数値にのみ、アイコン90を対応付けて表示してもよい。
また、図9に示す例では、表示制御機能151は、1種類のバイタルデータのみを表示しているが、複数のバイタルデータを表示し、複数のバイタルデータの各々と記録情報とを対応付けて表示してもよい。この場合、表示制御機能151は、複数のバイタルデータの各々に対して異なる記録情報を表示してもよいし、バイタルデータの種類に関わらず、複数のバイタルデータの各々に対して同じ記録情報を表示してもよい。
また、図9に示す例では、領域R3のチェックボックスにチェックが入っているため、表示制御機能151は、計測値の数(頻度)を示すヒストグラムを、領域R2に表示している。
検知機能154は、第1の実施形態と同様の機能を備えた上で、入力回路130を介して、操作者がアイコン90またはバイタルデータの数値を示すマーカを操作したことを検知する。検知機能154は、操作者がアイコン90またはバイタルデータの数値を示すマーカを操作したことを検知した場合は、操作されたアイコン90またはバイタルデータの数値を、表示制御機能151に通知する。なお、操作者の操作は一例としてマウス等をクリックする操作であるが、これに限定されるものではない。
算出機能153は、第1の実施形態と同様の機能を備えた上で、さらに多様な統計情報を算出する。
図10は、第2の実施形態に係る統計情報の算出について説明するための図である。算出機能153は、図10に示すように、統計情報として、表示期間に含まれるバイタルデータの中央値、最小値、最大値に加えて、平均や標準誤差、標準偏差、分散、尖度、歪度、範囲、合計値、または標本数などを算出する。そして、表示制御機能151は、算出機能153が算出した統計情報をディスプレイ140に表示してもよい。統計情報は、これらの例に限定されるものではなく、算出機能153は、バイタルデータの傾向を表すさらに多くの種類の統計情報を算出してもよい。
また、図11は、第2の実施形態に係るヒストグラムデータの一例を示す図である。算出機能153は、図5で説明したバイタルデータから、統計情報として、図11に示すヒストグラムデータを算出する。一例として、算出機能153は、表示期間である「2017/4/27 00:00:00」から「2017/5/8 00:00:00」までの間に計測された脈拍の計測値についてデータ区間「~50」、「~55」、「~60」、「~65」、「~70」及び「~75」を設け、各データ区間に含まれる計測値の数を算出する。図11では脈拍を例とするが、算出機能153は、他の種類のバイタルデータでも同様にヒストグラムデータを算出するものとする。データ区間は、計測値の値またはバイタルデータの種類によって異なるものであってもよい。算出機能153は、算出したヒストグラムデータまたは統計情報を表示制御機能151に送出する。
また、図9では、算出機能153によって算出されたヒストグラムデータから生成されたヒストグラムが表示されているが、表示制御機能151は、操作者の操作に応じて、他の統計情報を表示してもよい。また、ヒストグラムの表示形式は、図9に示す例に限定されるものではない。
図12は、第2の実施形態に係る統計情報の表示の一例を示す図である。表示制御機能151は、図12に示すように、領域R2においてヒストグラムを表示し、領域R4において歪度や尖度を表示する。
また、表示制御機能151は、取得機能152が表示期間を複数取得した場合、複数の表示期間ごとに生成したヒストグラムを表示することとしてもよい。ここで、取得機能152が表示期間を複数取得した場合とは、例えば、操作者の操作により表示期間が変更され、変更前後の表示期間を取得機能152が取得した場合等である。
一例を挙げると、まず、操作者は、時系列表示の表示期間の変更操作を行なう。即ち、時系列表示されたバイタルデータを参照した操作者が、一部を拡大して観察するために表示期間を短縮したり、より長い期間を観察するために表示期間を延長したり、別の時期を観察するために表示期間をスクロールさせたりする。ここで、表示期間の変更操作としては、例えば、入力回路130が備えるマウスやタブレット等の操作が挙げられる。
具体的には、操作者は、マウスのホイール操作により、表示期間をスクロールさせる。また、例えば、操作者は、キーボードの所定のキーを押下しながらマウスのホイール操作を行なうことで、表示期間を延長させ、又は表示期間を短縮させる。また、例えば、操作者は、タブレットのスワイプ操作により、表示期間をスクロールさせる。また、例えば、操作者は、タブレットのピンチイン/ピンチアウト操作により、表示期間を延長させ、又は表示期間を短縮させる。
次に、表示制御機能151は、バイタルデータの時系列表示における表示期間を変更する。また、検知機能154は、表示期間の変更操作を検知し、取得機能152は、変更された表示期間を取得する。例えば、操作者が表示期間をスクロールさせている場合、取得機能152は、連続的に変更される表示期間を連続的に取得する。ここで、算出機能153は、表示期間が取得されるごとに、表示期間に含まれるバイタルデータからヒストグラムデータを算出する。そして、表示制御機能151は、ヒストグラムデータが算出されるごとに、ヒストグラムを生成して表示する。例えば、表示制御機能151は、新たに生成したヒストグラムを、既に表示しているヒストグラムと置き換えて表示したり、並べて表示したりする。
また、例えば、表示制御機能151は、表示期間ごとに生成したヒストグラムを、相互に重畳させて表示してもよい。
図13は、第2の実施形態に係る統計情報の表示の他の一例を示す図である。表示制御機能151は、図13の領域R2に示すように、新たに生成したヒストグラムと一定時間前(例えば、5秒前)に生成したヒストグラムとを重畳させて表示する。
ここで、表示制御機能151は、複数のヒストグラムを重畳表示させる際、図13の領域R2に示すように、ヒストグラムを折れ線や曲線などにより単純化して表示してもよい。また、表示制御機能151は、図13の領域R2に示すように、新たに生成したヒストグラムと比較して、過去に生成したヒストグラムの透明度が大きくなるように表示してもよい。ここで、ヒストグラムの透明度とは、ヒストグラムの視認性に影響するパラメータである。例えば、ヒストグラムの透明度は、透けて見える度合いの他、ヒストグラムを示す線の太さや、ヒストグラムを示す破線や点線の間隔などであってもよい。
また、例えば、表示制御機能151は、表示期間ごとに生成したヒストグラムを並べて表示する。一例を挙げると、表示制御機能151は、新たに生成したヒストグラムと、5秒前に生成したヒストグラムと、10秒前に生成したヒストグラムと、15秒前に生成したヒストグラムとを並べて表示する。
なお、複数のヒストグラムを表示する場合、表示制御機能151は、各ヒストグラムの生成に用いたバイタルデータの数に応じて規格化した上で、ヒストグラムを表示してもよい。例えば、図13において、実線のヒストグラムの生成に用いたバイタルデータの数が「20個」であり、破線のヒストグラムの生成に用いたバイタルデータの数が「10個」である場合、表示制御機能151は、破線のヒストグラムの高さを2倍にして、領域R2に表示する。言い換えると、表示制御機能151は、各期間に含まれるバイタルデータの数に応じて、比率(割合)でヒストグラムを表示することとしてもよい。
また、表示制御機能151は、複数の表示期間ごとに生成したヒストグラム間での差分を表示することとしてもよい。例えば、図13において、算出機能153は、実線のヒストグラムの生成に用いたバイタルデータと、破線のヒストグラムの生成に用いたバイタルデータとの間で、データ区間ごとに計測値の数(頻度)の差を算出する。そして、表示制御機能151は、ヒストグラム間での差分として、算出された差をヒストグラム表示する。なお、表示制御機能151は、図13に示す実線のヒストグラム及び破線のヒストグラムに重畳させて差分を表示してもよいし、実線のヒストグラム及び破線のヒストグラムに代えて差分を表示してもよい。
また、表示制御機能151は、複数の表示期間ごとに生成したヒストグラム間での差の検定の結果を表示することとしてもよい。例えば、図13において、算出機能153は、実線のヒストグラムの生成に用いたバイタルデータと破線のヒストグラムの生成に用いたバイタルデータとを用いて、有意確率Pを「0.15」として差を検定し、検定の結果を表示する。
ここで、算出機能153は、表示期間に含まれるバイタルデータの統計情報を、表示期間を単位として算出してもよいし、表示期間を時間単位ごとに区分した区分時間ごとに算出してもよい。例えば、「4月27日~5月8日」が表示期間である場合において、算出機能153は、4月27日から5月8日までのバイタルデータについて統計情報を算出してもよいし、「1日」や「1週間」といった区分時間ごとに統計情報を算出してもよい。
一例を挙げると、算出機能153は、表示期間を「1日」ごとに区分し、各日のバイタルデータの統計情報として、最小値、第1四分位点、中央値、第3四分位点及び最大値を算出する。そして、表示制御機能151は、各日の統計情報を箱ひげ図として、時系列表示する。
図14は、第2の実施形態に係る箱ひげ図の表示の一例を示す図である。具体的には、表示制御機能151は、最小値から最大値までを示すひげ(whisker)と、第1四分位点から第3四分位点までを示す箱(box)と、中央値を示す箱の仕切りとからなる箱ひげ図を表示期間の各日について生成し、時間軸に対応付けて表示する。
図14においては、「1日」ごとに算出した統計情報に基づく箱ひげ図を示したが、統計情報を算出する時間単位は任意である。また、時間単位については、操作者による操作に応じて変更するものとしてもよい。例えば、表示制御機能151は、図14の領域R5に示すように、「記録毎」、「半日」、「1日」、「2日」及び「1週」といった時間単位を示すバーと、バーの上をスライドするポインタとを表示する。次に、検知機能154は、入力回路130を介して、ポインタのスライド操作を操作者から受け付けることにより、時間単位の変更操作を検知する。
ここで、時間単位が「記録毎」に変更された場合を除き、算出機能153は、変更後の時間単位ごとに表示期間を区分して、区分時間ごとに統計情報を算出する。そして、表示制御機能151は、区分時間ごとの統計情報として、変更後の時間単位ごとの箱ひげ図を時系列表示する。一方で、時間単位が「記録毎」に変更された場合、表示制御機能151は、折れ線グラフにより時系列表示を行う。
また、統計情報を算出する時間単位については、表示期間に応じて算出機能153が算出してもよい。例えば、算出機能153は、表示される箱ひげ図が予め定められた個数(例えば、「10個~15個」など)となるように、時間単位を算出する。即ち、算出機能153は、表示粒度に応じて時間単位を算出する。一例を挙げると、表示期間が「4月27日~5月8日」である場合において、時間単位を「半日」とすると箱ひげ図は「22個」となり、時間単位を「1日」とすると箱ひげ図は「11個」となり、時間単位を「2日」とすると箱ひげ図は「6個」となる。従って、表示期間が「4月27日~5月8日」である場合、算出機能153は、時間単位として「1日」を算出し、「1日」ごとに統計情報を算出する。
また、図14においては、区分時間ごとに算出した統計情報の時系列表示の例として箱ひげ図を示したが、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、表示制御機能151は、区分時間ごとの統計情報を、平均値及びエラーバー(標準偏差などに応じた長さのバー)を示す図形やローソク足チャート、折れ線グラフ等によって時系列表示してもよい。
また、区分期間は、互いに重複するものであってもよい。ここで、互いに重複する区分期間について、表示期間が「8月3日~8月6日」であり、時間単位が「1日」であり、統計情報として「尖度」を算出する場合を一例として説明する。まず、表示制御機能151は、「8月3日~8月6日」のバイタルデータを時系列表示し、取得機能152は、表示期間として「8月3日~8月6日」を取得する。
次に、算出機能153は、互いに重複する区分時間を取得する。例えば、算出機能153は、表示期間を「1日」ごとに区分し、かつ、互いに重複する区分時間として、表示期間内の各日及び前後の日からなる時間を取得する。即ち、算出機能153は、「8月2日~8月4日」、「8月3日~8月5日」、「8月4日~8月6日」及び「8月5日~8月7日」の4つの区分時間を取得する。
次に、算出機能153は、区分時間の各々について、区分時間に含まれるバイタルデータから「尖度」を算出する。そして、表示制御機能151は、区分時間ごとの「尖度」を時系列表示する。例えば、表示制御機能151は、「8月2日~8月4日」について算出された尖度を「8月3日」の位置にプロットし、「8月3日~8月5日」について算出された尖度を「8月4日」の位置にプロットし、「8月4日~8月6日」について算出された尖度を「8月5日」の位置にプロットし、「8月5日~8月7日」について算出された尖度を「8月6日」の位置にプロットした折れ線グラフにより、区分時間ごとの「尖度」を時系列表示する。
次に、第2の実施形態に係る医用情報処理システム1による処理の手順の一例を、図15を用いて説明する。図15は、第2の実施形態に係る医用情報処理システム1の処理の流れの一例を示すフローチャートである。
S101の患者ID、表示対象のバイタルデータの種類、および表示期間の取得処置から、S106のバイタルデータを第2の表示形式で時系列表示する処理までは、図8で説明した第1の実施形態のS1~S6の処理と同様である。
本実施形態の検知機能154は、第1の実施形態と同様の機能を備えた上で、入力回路130を介して、操作者がアイコン90またはバイタルデータの数値を示すマーカを操作したことを検知したか否かを判断する(S107)。
検知機能154は、操作者がアイコン90またはバイタルデータの数値を示すマーカを操作したことを検知したと判断した場合(S107“Yes”)、操作されたアイコン90またはバイタルデータの数値を、表示制御機能151に通知する。この場合、表示制御機能151は、操作されたアイコン90またはバイタルデータの数値に対応する患者の状態を示す情報を表示する(S108)。操作されたアイコン90またはバイタルデータの数値に対応する患者の状態を示す情報は、図9で説明したように、当該バイタルデータの計測時刻または入力時刻における患者の状態を示す情報である。
また、検知機能154が、操作者がアイコン90またはバイタルデータの数値を示すマーカを操作したことを検知していないと判断した場合(S107“No”)、画面表示は変更されず、このフローチャートの処理は終了する。
このように、第2の実施形態の医用情報表示装置100によれば、第1の実施形態の効果に加えて、患者の状態を示す記録情報を、バイタルデータと対応付けて表示するため、医師等は、バイタルデータの計測時刻または入力時刻における記録情報を、画面上で容易に確認することができる。
例えば、従来においては、バイタルデータの異常値が計測された場合に、当該バイタルデータの計測時における患者の状態を知るためには、当該時刻における看護記録または食事記録等を別途検索して参照する作業を要する場合があった。このような場合、医師等が情報を調べるために時間を要する場合があり、迅速に判断を下すことが困難な場合があった。
これに対して、第2の実施形態の医用情報表示装置100によれば、バイタルデータの値と、当該バイタルデータの計測時刻または入力時刻における記録情報とを医師等が容易に確認することができるため、診察の際に医師が迅速に判断を下すことを支援することができる。
(第3の実施形態)
この第3の実施形態では、時系列表示されたバイタルデータに関する統計情報を算出する期間として、表示期間の中から指定される指定期間を取得する場合について説明する。
第3の実施形態に係る医用情報処理システム1は、図1に示した医用情報処理システム1と同様の構成を有し、表示制御機能151、取得機能152、算出機能153及び検知機能154による処理の一部が相違する。そこで、第1の実施形態において説明した構成と同様の構成を有する点については、図1と同一の符号を付し、説明を省略する。
まず、表示制御機能151は、バイタルデータを時系列表示する。例えば、表示制御機能151は、図16に示すように、患者P1についての脈拍の計測値を時間軸に対応付けてプロットした折れ線グラフをディスプレイ140に表示させることで、バイタルデータを時系列表示する。ここで、図16は、第3の実施形態に係る指定期間について説明するための図である。
なお、図16は、折れ線グラフによってバイタルデータを時系列表示する場合を示すが、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、表示制御機能151は、折れ線グラフに代えて、箱ひげ図等による時系列表示を行う場合であってもよい。更に、表示制御機能151は、折れ線グラフや箱ひげ図等に加えて、表示期間に含まれるバイタルデータから算出された統計情報(ヒストグラム等)を表示する場合であってもよい。
次に、検知機能154は、表示期間の中から指定期間を指定する操作を検知する。例えば、検知機能154は、入力回路130が備えるマウスやタブレット等の操作を介して、図16に示す指定期間を指定する操作を検知する。そして、取得機能152は、検知機能154が検知した操作に基づいて、指定期間を取得する。
以下、指定期間について、図17、図18及び図19を用いて説明する。図17、図18及び図19は、第3の実施形態に係る指定期間について説明するための図である。なお、図17は、図16に示した時系列表示の一部を拡大した図であり、X軸は時間を示し、Y軸は脈拍の計測値を示す。
まず、操作者は、入力回路130を介して、図17の座標系における2点を特定する操作を行なう。例えば、操作者は、入力回路130が備えるマウスを操作して、図17の座標(1.874,3.001)の位置でドラッグを開始し、座標(5.223,2.998)の位置でドロップする。この場合、検知機能154は、座標(1.874,3.001)にてドラッグ開始する操作、及び、座標(5.223,2.998)にてドロップする操作が行われたことを検知する。
次に、取得機能152は、図18に示すように、検知機能154が検知した操作から、X軸(時間軸)の座標と、操作内容とを取得する。そして、取得機能152は、図19に示すように、X軸(時間軸)の座標を時間に変換し、操作内容を表示意味に変換することで、指定期間を取得する。例えば、取得機能152は、図19に示すように、開始時間「2017/4/28 06:24:15」及び終了時間「2017/5/1 22:15:33」を指定期間として取得する。
そして、算出機能153は、指定期間に含まれるバイタルデータから統計情報を算出し、表示制御機能151は、算出された統計情報を表示する。例えば、算出機能153は、指定期間に含まれるバイタルデータから、統計情報としてヒストグラムデータを算出し、表示制御機能151は、ヒストグラムデータや、ヒストグラムデータに基づくヒストグラム、ヒストグラムに関する統計量(歪度や鮮度等)を表示する。
また、表示制御機能151は、取得機能152が指定期間を複数取得した場合、複数の指定期間ごとに生成したヒストグラムを表示することとしてもよい。ここで、取得機能152が指定期間を複数取得した場合とは、例えば、操作者の操作により複数の指定期間が指定された場合等である。
例えば、表示制御機能151は、新たに生成したヒストグラムを、既に表示しているヒストグラムと置き換えて表示する。また、例えば、表示制御機能151は、指定期間ごとに生成したヒストグラムを相互に重畳させて表示する。ここで、表示制御機能151は、複数のヒストグラムを重畳表示させる際、ヒストグラムを折れ線や曲線などにより単純化して表示する場合であってもよいし、過去に生成したヒストグラムの透明度が大きくなるように表示してもよい。
また、例えば、表示制御機能151は、指定期間ごとに生成したヒストグラムを並べて表示する。一例を挙げると、図20に示すように、取得機能152が、指定期間として期間T1、期間T2及び期間T3を取得した場合、表示制御機能151は、期間T1、期間T2及び期間T3の各々について生成したヒストグラムを、領域R6、領域R7及び領域R8にそれぞれ表示する。なお、図20は、第3の実施形態に係る統計情報の表示の一例を示す図である。
また、例えば、算出機能153は、指定期間に含まれるバイタルデータから、統計情報として統計量を算出し、表示制御機能151は、統計量を表示する。また、例えば、算出機能153は、指定期間を時間単位ごとに区分した区分時間ごとに統計情報を算出し、表示制御機能151は、区分時間ごとの統計情報を箱ひげ図等により時系列表示する。
一例を挙げると、時間単位を「記録毎」とする折れ線グラフによってバイタルデータが時系列表示されている場合において、算出機能153は、指定期間を「1日」ごとに区分し、各日のバイタルデータの統計情報として、最小値、第1四分位点、中央値、第3四分位点及び最大値を算出する。そして、表示制御機能151は、表示期間のうち指定期間については各日の統計情報を箱ひげ図として時系列表示し、表示期間のうち指定期間を除く期間については時間単位を「記録毎」とする折れ線グラフによってバイタルデータを時系列表示する。
別の一例を挙げると、時間単位を「1日」とする箱ひげ図によってバイタルデータが時系列表示されている場合において、算出機能153は、指定期間内のバイタルデータの統計情報として、最小値、第1四分位点、中央値、第3四分位点及び最大値を算出する。そして、表示制御機能151は、指定期間について1つの箱ひげ図を表示し、表示期間のうち指定期間を除く期間については時間単位を「1日」とする箱ひげ図を時系列表示する。
次に、医用情報処理システム1による処理の手順の一例を、図21を用いて説明する。図21は、第3の実施形態に係る医用情報処理システム1の処理の一連の流れを説明するためのフローチャートである。ステップS201、ステップS204及びステップS209は、表示制御機能151に対応するステップである。また、ステップS202及びステップS207は、取得機能152に対応するステップである。また、ステップS203及びステップS208は、算出機能153に対応するステップである。また、ステップS205及びステップS206は、検知機能154に対応するステップである。
まず、処理回路150は、記憶回路120からバイタルデータを読み出して、バイタルデータを時系列表示する(ステップS201)。次に、処理回路150は、時系列表示したバイタルデータの表示期間を取得し(ステップS202)、表示期間に含まれるバイタルデータから統計情報を算出する(ステップS203)。次に、処理回路150は、算出した統計情報を、ヒストグラムや箱ひげ図等により、ディスプレイ140に表示する(ステップS204)。
ここで、処理回路150は、表示期間の変更操作を検知したか否かを判定する(ステップS205)。変更操作を検知した場合(ステップS205肯定)、処理回路150は、再度ステップS202に移行する。一方で、変更操作を検知しなかった場合(ステップS205否定)、処理回路150は、指定期間の指定操作を検知したか否かを判定する(ステップS206)。
指定操作を検知した場合(ステップS206肯定)、処理回路150は、指定期間を取得し(ステップS207)、指定期間に含まれるバイタルデータから統計情報を算出する(ステップS208)。次に、処理回路150は、算出した統計情報を、ヒストグラムや箱ひげ図等により、ディスプレイ140に表示し(ステップS209)、再度ステップS205に移行する。一方で、指定操作を検知しなかった場合(ステップS206否定)、処理回路150は、処理を終了する。
上述したように、第3の実施形態によれば、検知機能154は、時系列表示されたバイタルデータの表示期間の中から指定期間を指定する操作を検知する。また、取得機能152は、指定期間を取得する。また、算出機能153は、指定期間に含まれるバイタルデータから統計情報を算出する。更に、表示制御機能151は、算出された統計情報を表示する。従って、第3の実施形態に係る医用情報処理システム1は、表示されているバイタルデータのうち、操作者の所望の範囲の統計情報を表示することで、データ傾向の把握を容易にすることができる。
なお、検知機能154は、図17に示したドラッグ操作及びドロップ操作を、表示期間の変更操作として検知する場合であってもよい。この場合、取得機能152は、図18に示したように、検知機能154が検知した操作からX軸(時間軸)の座標と操作内容とを取得する。また、取得機能152は、図19に示したように、変更後の表示期間として、開始時間「2017/4/28 06:24:15」及び終了時間「2017/5/1 22:15:33」を取得する。次に、算出機能153は、変更後の表示期間に含まれるバイタルデータから統計情報を算出し、表示制御機能151は、統計情報として、ヒストグラムや箱ひげ図等を表示する。
(第4の実施形態)
第4の実施形態では、統計情報の表示のバリエーションについて説明する。第4の実施形態に係る医用情報処理システム1は、図1に示した医用情報処理システム1と同様の構成を有し、表示制御機能151及び算出機能153による処理の一部が相違する。そこで、第1の実施形態において説明した構成と同様の構成を有する点については、図1と同一の符号を付し、説明を省略する。
以下、図22A及び図22Bを参照して、第4の実施形態に係る統計情報の表示例を説明する。図22A及び図22Bは、第4の実施形態に係る統計情報の表示の一例を示す図である。
まず、算出機能153は、表示期間に含まれるバイタルデータからヒストグラムデータを算出する。次に、表示制御機能151は、図22Aの領域R2に示すように、ヒストグラムデータに基づくヒストグラムを表示する。更に、表示制御機能151は、図22Aの領域R2に示すように、閾値を表示する。
ここで、閾値は、バイタルデータの値が正常な範囲であるか否かを示す。例えば、図22Aの場合、「101」及び「79」を閾値として、表示期間内の脈拍の計測値のうち、計測値が「101」以上となった割合が「4.0%」であり、計測値が「79」以下となった割合が「3.0%」であることを示す。即ち、表示制御機能151は、閾値を表示することにより、バイタルデータがどの程度正常な範囲に収まっているかを提示することができる。
また、閾値は、算出機能153がバイタルデータに基づいて算出してもよい。例えば、算出機能153は、患者P1について計測された脈拍の計測値のうち、全期間分の計測値や表示期間内の計測値、指定期間内の計測値等について標準偏差を算出し、「101(+2σ)」及び「79(-2σ)」を閾値として算出する。そして、表示制御機能151は、図22Bに示すように、「101(+2σ)」及び「79(-2σ)」を閾値として表示する。更には、表示制御機能151は、表示期間内の計測値のうち「101(+2σ)」を超えた割合が「3.0%」であり、「79(-2σ)」を下回った割合が「0.0%」であることを表示する。バイタルデータに基づいて算出した閾値を表示することにより、表示制御機能151は、バイタルデータがどの程度正常な範囲に収まっているかを動的に提示することができる。
また、バイタルデータの中に計測や入力のミスに起因する異常値が含まれていた場合、表示制御機能151は、異常値が含まれていることを操作者に知らせることができる。例えば、算出機能153は、患者P1について計測された脈拍の計測値について標準偏差を算出し、「+3σ」となる脈拍数及び「-3σ」となる脈拍数を閾値として算出する。そして、表示制御機能151は、「±3σ」の範囲内に収まらない計測値を、計測や入力のミスに起因する異常値として操作者に提示することができる。
なお、図22A及び図22Bにおいては、バイタルデータと閾値との比較結果を表示する方法として、ヒストグラム上に閾値を表示する場合を示したが、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、表示制御機能151は、図22Aや図22Bに示すグラフの左側(縦軸)や、グラフ上に閾値を表示してもよい。また、例えば、表示制御機能151は、閾値を数値表示してもよい。また、例えば、表示制御機能151は、バイタルデータに閾値を超える値又は閾値を下回る値が含まれているか否かを表示してもよい。また、例えば、表示制御機能151は、閾値を超えるバイタルデータ及び閾値を下回るバイタルデータの割合や数を表示してもよい。
次に、図23を参照して、第4の実施形態に係る統計情報の別の表示例を説明する。図23は、第4の実施形態に係る統計情報の表示の一例を示す図である。
まず、算出機能153は、表示期間や指定期間が取得されるごとに統計量を算出する。例えば、操作者により表示期間が連続的にスクロールされている場合において、取得機能152は、連続的に変更される表示期間を連続的に取得し、算出機能153は、表示期間ごとに統計量を算出する。以下では、一例として、表示期間ごとに尖度を算出する場合について説明する。
そして、表示制御機能151は、図23に示すように、算出された尖度の履歴を表示する。即ち、表示制御機能151は、尖度が算出される度にグラフを更新しつつ、表示範囲の右端が現在時刻となるようにグラフ全体を左側にスクロールさせながら表示する。表示制御機能151は、図23に示すグラフを、折れ線グラフや箱ひげ図等によるバイタルデータの時系列表示や、ヒストグラムと併せて表示することとしてもよい。
ここで、表示期間を連続的にスクロールさせている場合に、図23の履歴表示において尖度が不安定に変動している場合、操作者は、患者P1の状態が安定していないと判断することができる。また、表示期間を連続的にスクロールされている場合に、尖度が急激に大きくなった場合、操作者は、新たな表示範囲に、計測や入力のミスに起因する異常値が含まれていると判断することができる。
次に、図24を参照して、第4の実施形態に係る統計情報の別の表示例を説明する。図24は、第4の実施形態に係る統計情報の表示の一例を示す図である。
まず、算出機能153は、バイタルデータの種類を複数取得する。例えば、算出機能153は、入力回路130を介して、操作者からバイタルデータの種類の指定操作を受け付けることで、バイタルデータの種類を複数取得する。一例を挙げると、算出機能153は、図24の領域R1に示すボタンの選択を受け付けることで、バイタルデータの種類を複数取得する。また、例えば、複数の種類のバイタルデータが時系列表示されている場合において、算出機能153は、時系列表示されているバイタルデータの種類を取得する。以下では、算出機能153が、複数のバイタルデータの種類として「脈拍」及び「血圧」を取得した場合について説明する。
次に、算出機能153は、「脈拍」と「血圧」との間での相関性を示す値を算出する。例えば、算出機能153は、表示期間や指定期間に含まれる「脈拍」と「血圧」との間の相関係数ρを算出する。また、例えば、算出機能153は、表示期間や指定期間を時間単位ごとに区分した区分時間ごとに、「脈拍」と「血圧」との間の相関係数ρを算出する。
そして、表示制御機能151は、相関係数ρを表示する。例えば、表示制御機能151は、図24に示すように、区分時間ごとに算出した相関係数ρを、時間軸に対応付けてグラフ表示する。ここで、表示制御機能151は、図24に示すように、相関係数ρを示すグラフを、折れ線グラフや箱ひげ図等によるバイタルデータの時系列表示や、ヒストグラムと併せて表示することとしてもよい。
(第5の実施形態)
さて、これまで第1~第4の実施形態について説明したが、上述した実施形態以外にも、種々の異なる形態にて実施されてよいものである。
上述した実施形態ではバイタルデータについて説明したが、実施形態はこれに限定されるものではなく、医用情報を示す種々の数値データについて適用することができる。ここで、医用情報の例としては、バイタルデータの他、検体(血液等)の検査データや、患者から収集された画像の計測データ(血管径、血流量等)等が挙げられる。
例えば、医用情報処理システム1は、電子カルテ保管装置300に代えて、又は電子カルテ保管装置300に加えて、検体の検査データを保管する検体検査サーバを含む。この場合、I/F回路110は、検体検査サーバから検査データを受信し、受信した検査データを処理回路150に出力する。なお、検体検査サーバは、記憶部の一例である。
また、例えば、医用情報処理システム1は、電子カルテ保管装置300に代えて、又は電子カルテ保管装置300に加えて、PACS(Picture Archiving Communication System)サーバを含む。この場合、I/F回路110は、PACSサーバから画像の計測データを受信し、受信した計測データを処理回路150に出力する。なお、PACSサーバは、記憶部の一例である。
また、これまで、医用情報処理システム1の構成として図1の一例を示したが、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、医用情報処理システム1は、図25に示すように、医用情報表示装置100、及び電子カルテ保管装置300に加えて、端末装置400を含むこととしてもよい。なお、図25は、第5の実施形態に係る医用情報処理システム1の構成の一例を示すブロック図である。図25に示すように、医用情報表示装置100、電子カルテ保管装置300及び端末装置400は、ネットワーク200を介して通信可能に接続される。ここで、端末装置400は、例えば、タブレットやパーソナルコンピュータ等である。
端末装置400は、図示しない入力回路410及びディスプレイ420を備える。入力回路410は、操作者から受け付けた入力操作を電気信号に変換して医用情報表示装置100に出力する。例えば、入力回路410は、トラックボール、スイッチボタン、マウス、キーボード、タッチパネル等によって実現される。
ディスプレイ420は、医用情報表示装置100から出力される各種のデータを表示する。例えば、ディスプレイ420は、液晶モニタやCRT(Cathode Ray Tube)モニタ、タッチパネル等によって実現される。なお、入力回路410とディスプレイ420とは統合してもよい。例えば、入力回路410及びディスプレイ420は、タッチパネルによって実現される。
例えば、表示制御機能151は、操作者から、入力回路410を介して時系列表示の指示を受け付け、医用情報を示す数値データを時系列表示する。次に、取得機能152は、表示期間や指定期間を取得し、算出機能153は、表示期間や指定期間に含まれる数値データから統計情報を算出する。そして、表示制御機能151は、統計情報として、ヒストグラムや箱ひげ図をディスプレイ420に表示させる。なお、医用情報処理システム1が端末装置400を備える場合、医用情報表示装置100は、入力回路130及びディスプレイ140を備えない場合であってもよい。また、医用情報処理システム1は、複数の端末装置400を備える場合であってもよい。
図25に示す構成によれば、動的に算出した統計情報を、入力回路410及びディスプレイ420によって操作者に提示することができる。即ち、操作者は、医用情報表示装置100が設置されている部屋と異なる部屋、あるいは異なる病院においても、タブレットやパーソナルコンピュータ等を有していれば動的に算出された統計情報を参照することができ、データ傾向を容易に把握することができる。
また、上述した実施形態では、患者P1のバイタルデータについての統計情報を算出する場合について説明したが、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、表示制御機能151は、複数の患者(例えば、患者P1、患者P2及び患者P3)についての数値データを時系列表示し、算出機能153は、表示期間に含まれる数値データから統計情報を算出する。そして、表示制御機能151は、患者P1、患者P2及び患者P3の数値データについての統計情報を、ヒストグラムや箱ひげ図等により表示する。
ここで、例えば、患者P1、患者P2及び患者P3が同一の症例を有している場合、医用情報処理システム1は、症例に応じたデータ傾向の把握を容易にすることができる。また、患者P1、患者P2及び患者P3について同種の薬が投与されている場合、医用情報処理システム1は、投薬する薬の種類に応じたデータ傾向の把握を容易にすることができる。
上述した実施形態では、上述した各処理機能が単一の処理回路150によって実現される場合の例を説明したが、実施形態はこれに限られない。例えば、処理回路150は、複数の独立したプロセッサを組み合わせて構成され、各プロセッサが各プログラムを実行することにより各処理機能を実現するものとしても構わない。また、処理回路150が有する各処理機能は、単一又は複数の処理回路に適宜に分散又は統合されて実現されてもよい。
また、上記説明において用いた「プロセッサ」という文言は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、あるいは、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))等の回路を意味する。プロセッサは記憶回路120に保存されたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。なお、記憶回路120にプログラムを保存する代わりに、プロセッサの回路内にプログラムを直接組み込むよう構成しても構わない。この場合、プロセッサは回路内に組み込まれたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。なお、本実施形態の各プロセッサは、プロセッサごとに単一の回路として構成される場合に限らず、複数の独立した回路を組み合わせて1つのプロセッサとして構成し、その機能を実現するようにしてもよい。
ここで、プロセッサによって実行されるプログラムは、ROM(Read Only Memory)や記憶回路等に予め組み込まれて提供される。なお、このプログラムは、これらの装置にインストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD(Compact Disk)-ROM、FD(Flexible Disk)、CD-R(Recordable)、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記憶媒体に記録されて提供されてもよい。また、このプログラムは、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納され、ネットワーク経由でダウンロードされることにより提供又は配布されてもよい。例えば、このプログラムは、上述した各機能を含むモジュールで構成される。実際のハードウェアとしては、CPUが、ROM等の記憶媒体からプログラムを読み出して実行することにより、各モジュールが主記憶装置上にロードされて、主記憶装置上に生成される。
以上説明した少なくとも1つの実施形態によれば、表示された複数種類のバイタルデータから医師等が異常値を迅速に把握することができる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。