JP7341372B2 - 信号処理装置、信号処理方法及びレーダ装置 - Google Patents
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Description
図1は、実施の形態1に係る信号処理装置10を含むレーダ装置1を示す構成図である。
図2は、実施の形態1に係る信号処理装置10のハードウェアを示すハードウェア構成図である。
図1に示すレーダ装置1は、信号送信部2、信号受信部6、ミクサ8、アナログデジタル変換器(以下「AD変換器」という)9及び信号処理装置10を備えている。
信号送信部2は、時間の経過に伴って周波数fが変化する送信信号Txを測距対象の物体5に向けて送信する。
送信信号発生器3は、送信信号Txを発生し、送信信号Txを送信アンテナ4及びミクサ8のそれぞれに出力する。
送信アンテナ4は、送信信号Txを空間に放射する。
送信アンテナ4によって空間に放射された送信信号Txは、測距対象の物体5によって反射される。
信号受信部6は、物体5による反射後の送信信号Tx’である反射信号を受信する。
信号受信部6は、受信した反射信号を受信信号Rxとしてミクサ8に出力する。
受信アンテナ7は、物体5による反射後の送信信号Tx’である反射信号を受信するためのアンテナである。
即ち、ミクサ8は、送信信号発生器3から出力された送信信号Txと信号受信部6から出力された受信信号Rxとを乗算することによって、ビート信号B(t)を生成する。
ミクサ8は、ビート信号B(t)をAD変換器9に出力する。
AD変換器9は、ミクサ8から出力されたビート信号B(t)をアナログ信号からデジタル信号に変換する。
AD変換器9は、デジタル信号をデジタルのビート信号BDig(t)として信号処理装置10に出力する。
偶関数乗算部11は、例えば、図2に示す偶関数乗算回路21によって実現される。
偶関数乗算部11は、AD変換器9から出力されたビート信号BDig(t)に対して、偶関数で表される第1の窓関数wΣ(k)を乗算する。kは、整数である。
偶関数乗算部11は、第1の窓関数乗算後のビート信号BDig(t)wΣ(k)を第1のフーリエ変換部13に出力する。
奇関数乗算部12は、AD変換器9から出力されたビート信号BDig(t)に対して、奇関数で表される第2の窓関数wΔ(k)を乗算する。
奇関数乗算部12は、第2の窓関数乗算後のビート信号BDig(t)wΔ(k)を第2のフーリエ変換部14に出力する。
第1のフーリエ変換部13は、偶関数乗算部11による第1の窓関数乗算後のビート信号BDig(t)wΣ(k)を周波数領域の信号である第1の周波数領域信号snに変換する。nは、第1の周波数領域信号snに含まれている複数の周波数成分の周波数を識別するための識別番号(以下「周波数ナンバー」という)である。
第1のフーリエ変換部13は、第1の周波数領域信号snを距離算出部15に出力する。
第2のフーリエ変換部14は、奇関数乗算部12による第2の窓関数乗算後のビート信号BDig(t)wΔ(k)を周波数領域の信号である第2の周波数領域信号dnに変換する。
第2のフーリエ変換部14は、第2の周波数領域信号dnを距離算出部15に出力する。
距離算出部15は、第1のフーリエ変換部13から第1の周波数領域信号snを取得し、第2のフーリエ変換部14から第2の周波数領域信号dnを取得する。
距離算出部15は、第1の周波数領域信号snに含まれている第1の周波数成分に対する、第2の周波数領域信号dnに含まれている第2の周波数成分の比が閾値未満になるときの、送信信号Txの変調帯域幅Δfを探索する。
距離算出部15は、変調帯域幅Δfの探索結果に基づいて、レーダ装置1から物体5までの距離Rを算出する。
距離算出部15は、第1の窓関数wΣ(k)及び第2の窓関数wΔ(k)におけるそれぞれの有限区間の区間幅Ks-ΔKsを探索する代わりに、第1の窓関数wΣ(k)及び第2の窓関数wΔ(k)におけるそれぞれの有限区間の区間幅Ks-ΔKsを探索するようにしてもよい。有限区間の区間幅Ks-ΔKsを探索する距離算出部16については、後述の実施の形態2で説明する。
距離算出部15は、周波数特定部31、比較部32、変調帯域幅調整部33及び距離算出処理部34を備えている。
周波数特定部31は、第1の周波数領域信号snに含まれている複数の周波数成分の大きさを互いに比較する。
周波数特定部31は、大きさの比較結果に基づいて、第1の周波数成分|sn|maxを探索する。即ち、周波数特定部31は、第1の周波数成分|sn|maxとして、第1の周波数領域信号snに含まれている複数の周波数成分の中で、最も大きい周波数成分を探索する。
周波数特定部31は、第1の周波数成分|sn|maxの周波数fmaxとして、第1の周波数成分|sn|maxの周波数ナンバーnmaxを特定する。
周波数特定部31は、周波数ナンバーnmaxを比較部32及び距離算出処理部34のそれぞれに出力する。
比較部32は、第1の周波数成分|sn|maxに対する第2の周波数成分|dn|maxの比(以下「信号強度比E」という)を算出する。
比較部32は、信号強度比Eと強度閾値Ethとを比較し、信号強度比Eと強度閾値Ethとの比較結果を変調帯域幅調整部33に出力する。強度閾値Ethは、例えば、3[dB]である。強度閾値Ethは、比較部32の内部メモリに格納されていてもよいし、信号処理装置10の外部から与えられるものであってもよい。
変調帯域幅調整部33は、比較結果が、信号強度比Eが強度閾値Eth未満である旨を示しているときの変調帯域幅ΔfをΔfoptとして距離算出処理部34に出力する。
即ち、距離算出処理部34は、周波数特定部31から出力された周波数ナンバーnmaxと、送信信号の伝搬速度cと、変調帯域幅Δfoptとから、レーダ装置1から物体5までの距離Rを算出する。
偶関数乗算回路21、奇関数乗算回路22、第1のフーリエ変換回路23、第2のフーリエ変換回路24及び距離算出回路25のそれぞれは、例えば、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、又は、これらを組み合わせたものが該当する。
ソフトウェア又はファームウェアは、プログラムとして、コンピュータのメモリに格納される。コンピュータは、プログラムを実行するハードウェアを意味し、例えば、CPU(Central Processing Unit)、中央処理装置、処理装置、演算装置、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、プロセッサ、あるいは、DSP(Digital Signal Processor)が該当する。
図4は、信号処理装置10が、ソフトウェア又はファームウェア等によって実現される場合のコンピュータのハードウェア構成図である。
図5は、信号処理装置10の処理手順である信号処理方法を示すフローチャートである。
送信信号発生器3は、図6に示すように、時間の経過に伴って周波数fが変化する送信信号Txを発生する。
図6は、送信信号Txの波形例を示す説明図である。
図6において、横軸は時間を示し、縦軸は周波数を示している。
送信信号Txは、チャープ変調信号である。Δfは送信信号Txの変調帯域幅であり、Tmは送信信号Txの繰り返し周期である。
送信信号発生器3は、送信信号Txを送信アンテナ4及びミクサ8のそれぞれに出力する。
送信アンテナ4によって空間に放射された送信信号Txは、レーダ装置1による測距対象の物体5によって反射される。
信号受信部6の受信アンテナ7は、物体5による反射後の送信信号Tx’である反射信号を受信する。
信号受信部6は、受信した反射信号を受信信号Rxとしてミクサ8に出力する。
ミクサ8は、ビート信号B(t)をAD変換器9に出力する。
AD変換器9は、デジタル信号をデジタルのビート信号BDig(t)として、偶関数乗算部11及び奇関数乗算部12のそれぞれに出力する。
図7に示す第1の窓関数wΣ(k)は、偶関数で表される矩形窓の窓関数である。
図8は、第2の窓関数wΔ(k)の一例を示す説明図である。
図8に示す第2の窓関数wΔ(k)は、奇関数で表される符号関数の窓関数である。
図7及び図8において、第1の窓関数wΣ(k)及び第2の窓関数wΔ(k)におけるそれぞれの有限区間は、-(Ks/2)~(Ks/2)であり、有限区間の区間幅は、Ksである。
有限区間の区間幅Ksは、以下の式(1)に示すように、送信信号Txの繰り返し周期Tmと、AD変換器9のサンプリング周期Tsとによって表される。Ksは整数である。
第2の窓関数wΔ(k)の関数値は、以下の式(3)に示すように、有限区間のうち、-(Ks/2)≦k<0の区間では“+j”であり、k=0では“0”であり、0<k≦(Ks/2)の区間では“-j”である。第2の窓関数wΔ(k)の関数値は、有限区間以外の区間では“0”である。
偶関数乗算部11は、第1の窓関数乗算後のビート信号BDig(t)wΣ(k)を第1のフーリエ変換部13に出力する。
奇関数乗算部12は、第2の窓関数乗算後のビート信号BDig(t)wΔ(k)を第2のフーリエ変換部14に出力する。
第1のフーリエ変換部13は、ビート信号BDig(t)wΣ(k)を周波数領域の信号である第1の周波数領域信号snに変換する(図5のステップST3)。
第1のフーリエ変換部13は、第1の周波数領域信号snを距離算出部15に出力する。
図9は、第1の周波数領域信号snの一例を示す説明図である。
図9において、横軸は周波数ナンバーnを示し、縦軸は第1の周波数領域信号snの信号強度|sn|を示している。
nmaxは、第1の周波数領域信号snに含まれている複数の周波数成分の中で、最も大きい周波数成分の周波数、即ち、第1の周波数領域信号snの信号強度|sn|が最大となる周波数を示す周波数ナンバーである。
第2のフーリエ変換部14は、ビート信号BDig(t)wΔ(k)を周波数領域の信号である第2の周波数領域信号dnに変換する(図5のステップST4)。
第2のフーリエ変換部14は、第2の周波数領域信号dnを距離算出部15に出力する。
周波数特定部31は、第1の周波数領域信号snに含まれている複数の周波数成分の大きさを互いに比較する。
周波数特定部31は、第1の周波数成分|sn|maxとして、第1の周波数領域信号snに含まれている複数の周波数成分の中で、最も大きい周波数成分、即ち、第1の周波数領域信号snにおける最大の信号強度|sn|を探索する。
ここでは、周波数特定部31が、第1の周波数成分|sn|maxとして、第1の周波数領域信号snに含まれている複数の周波数成分の中で、最も大きい周波数成分を探索している。しかし、第1の周波数成分|sn|maxは、雑音成分と比べて十分に大きい周波数成分であればよく、最も大きい周波数成分に限るものではない。したがって、周波数特定部31は、第1の周波数成分|sn|maxとして、第1の周波数領域信号snに含まれている複数の周波数成分の中で、例えば、2番目に大きい周波数成分、又は、3番目に大きい周波数成分を探索するようにしてもよい。
周波数特定部31は、第1の周波数成分|sn|maxの周波数fmaxとして、第1の周波数成分|sn|maxの周波数ナンバーnmaxを特定する(図5のステップST5)。
周波数特定部31は、第1の周波数成分|sn|max及び周波数ナンバーnmaxのそれぞれを比較部32に出力する。
また、周波数特定部31は、周波数ナンバーnmaxを距離算出処理部34に出力する。
比較部32は、第2の周波数成分|dn|maxとして、第2の周波数領域信号dnに含まれている複数の周波数成分の中で、周波数ナンバーnmaxに対応する周波数成分を特定する。
比較部32は、信号強度比Eと閾値Ethとを比較し、信号強度比Eと強度閾値Ethとの比較結果を変調帯域幅調整部33に出力する。
送信信号発生器3は、変調帯域幅調整部33から制御信号C1を受けると、送信信号Txの変調帯域幅Δfを例えばδfだけ大きくし、変調帯域幅が(Δf+δf)の送信信号Txを発生し、送信信号Txを送信アンテナ4及びミクサ8のそれぞれに出力する。
変調帯域幅調整部33から制御信号C1が出力されると、送信アンテナ4、信号受信部6、ミクサ8及びAD変換器9は、上記と同様の動作を再度行う。信号処理装置10は、ステップST1~ST6の処理を再度行う。
比較部32から出力された比較結果が、信号強度比Eが強度閾値Eth未満である旨を示すまで、変調帯域幅調整部33から送信信号発生器3に、制御信号C1が繰り返し出力される。
図10Aは、変調帯域幅Δfと信号強度比Eとの関係を示す説明図である。
図10Aにおいて、横軸は変調帯域幅Δfを示し、縦軸は信号強度比Eを示している。Δfoptは、信号強度比Eが強度閾値Eth未満であるときの変調帯域幅である。
信号強度比Eは、図10Aに示すように、変調帯域幅Δfの変化に伴って変動する。変調帯域幅Δfの変化に伴う信号強度比Eの変動は、ビート信号B(t)の信号対雑音比であるSNRが小さいほど、緩やかになる。
図10Aには、SNR=10[dB]、SNR=20[dB]、SNR=30[dB]、SNR=40[dB]、SNR=50[dB]の例が示されている。
図10Bは、距離算出処理部34により算出される距離Rの距離分解能ΔRを示す説明図である。図10Bにおいて、横軸は距離Rを示し、縦軸は信号強度比Eを示している。
距離分解能ΔRは、信号強度比Eの一定幅に対応する距離幅である。
図10Bより、信号強度比Eが強度閾値Eth未満であるときの距離分解能ΔRは、信号強度比Eが強度閾値Eth以上であるときの距離分解能ΔRよりも小さいことが分かる。距離分解能ΔRが小さいほど、距離算出処理部34による距離Rの算出精度が高くなる。
距離算出処理部34は、以下の式(5)に示すように、周波数ナンバーnmaxと、送信信号の伝搬速度cと、変調帯域幅Δfoptとから、レーダ装置1から物体5までの距離Rを算出する(図5のステップST8)。伝搬速度cは、送信信号TXである電波が伝わる媒質中の光速である。
距離算出処理部34により算出される距離Rの距離分解能ΔRは、以下の式(6)のように表される。
図11において、横軸はビート信号B(t)のSNR[dB]を示し、縦軸は距離分解能ΔR[mm]を示している。
図11は、変調帯域幅Δfの初期値Δfinitが、例えば、3[GHz]であるとき、ビート信号B(t)のSNRが10[dB]以上になれば、距離分解能ΔRが20[mm]以下になることを示している。
図1に示す信号処理装置10は、MUSIC法を実施する代わりに、ビート信号BDig(t)に対して、第1の窓関数wΣ(k)を乗算する処理と、ビート信号BDig(t)に対して、第2の窓関数wΔ(k)を乗算する処理とを行っている。また、図1に示す信号処理装置10は、信号強度比Eが強度閾値Eth未満となる変調帯域幅Δfを探索する処理を行っている。
第1の窓関数wΣ(k)を乗算する処理と第2の窓関数wΔ(k)を乗算する処理とは、単なる掛け算の処理に過ぎないため、計算量は僅かである。変調帯域幅Δfを探索する処理は、単なる割り算の処理と比較の処理とに過ぎないため、計算量は僅かである。したがって、第1の窓関数wΣ(k)を乗算する処理、第2の窓関数wΔ(k)を乗算する処理及び変調帯域幅Δfを探索する処理におけるそれぞれの計算量は、相関行列の算出処理及び固有ベクトルの算出処理におけるそれぞれの計算量と比べて極めて少ない。
実施の形態2では、距離算出部16が、信号強度比Eが強度閾値Eth未満になるときの、第1の窓関数wΣ(k)及び第2の窓関数wΔ(k)におけるそれぞれの有限区間の区間幅Ks-ΔKsを探索し、区間幅Ks-ΔKsの探索結果に基づいて、レーダ装置1から物体5までの距離Rを算出する信号処理装置10について説明する。
図13は、実施の形態2に係る信号処理装置10のハードウェアを示すハードウェア構成図である。
図14は、実施の形態2に係る信号処理装置10の距離算出部16を示す構成図である。
図12、図13及び図14において、図1、図2及び図3と同一符号は同一又は相当部分を示すので説明を省略する。
距離算出部16は、第1のフーリエ変換部13から第1の周波数領域信号snを取得し、第2のフーリエ変換部14から第2の周波数領域信号dnを取得する。
距離算出部16は、第1の周波数領域信号snに含まれている第1の周波数成分に対する、第2の周波数領域信号dnに含まれている第2の周波数成分の比である信号強度比Eが強度閾値Eth未満になるときの、第1の窓関数wΣ(k)及び第2の窓関数wΔ(k)におけるそれぞれの有限区間の区間幅Ks-ΔKsを探索する。
距離算出部16は、区間幅Ks-ΔKsの探索結果に基づいて、レーダ装置1から物体5までの距離Rを算出する。
区間幅調整部35は、比較部32から出力された比較結果が、信号強度比Eが強度閾値Eth以上である旨を示していれば、比較結果が、信号強度比Eが強度閾値Eth未満である旨を示すまで、区間幅Ks-ΔKsを繰り返し調整する。
区間幅調整部35は、比較結果が、信号強度比Eが強度閾値Eth未満である旨を示しているときの区間幅Ks-ΔKsを距離算出処理部36に出力する。
即ち、距離算出処理部36は、周波数特定部31から出力された周波数ナンバーnmaxと、送信信号の伝搬速度cと、区間幅調整部35から出力された区間幅Ks-ΔKsと、区間幅調整部35による調整前の区間幅Ksと、変調帯域幅Δfとから、レーダ装置1から物体5までの距離Rを算出する。
偶関数乗算回路21、奇関数乗算回路22、第1のフーリエ変換回路23、第2のフーリエ変換回路24及び距離算出回路26のそれぞれは、例えば、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ASIC、FPGA、又は、これらを組み合わせたものが該当する。
信号処理装置10が、ソフトウェア又はファームウェア等によって実現される場合、偶関数乗算部11、奇関数乗算部12、第1のフーリエ変換部13、第2のフーリエ変換部14及び距離算出部16におけるそれぞれの処理手順をコンピュータに実行させるためのプログラムが図4に示すメモリ41に格納される。そして、図4に示すプロセッサ42がメモリ41に格納されているプログラムを実行する。
図15は、信号処理装置10の処理手順である信号処理方法を示すフローチャートである。
送信信号発生器3は、図6に示すように、時間の経過に伴って周波数fが変化する送信信号Txを発生する。
図12に示すレーダ装置1では、送信信号Txの変調帯域幅Δfが、初期値Δfinitに固定されており、距離算出部16によって調整されない。
送信信号発生器3は、送信信号Txを送信アンテナ4及びミクサ8のそれぞれに出力する。
送信アンテナ4によって空間に放射された送信信号Txは、レーダ装置1による測距対象の物体5によって反射される。
信号受信部6の受信アンテナ7は、物体5による反射後の送信信号Tx’である反射信号を受信する。
信号受信部6は、受信した反射信号を受信信号Rxとしてミクサ8に出力する。
ミクサ8は、ビート信号B(t)をAD変換器9に出力する。
AD変換器9は、デジタル信号をデジタルのビート信号BDig(t)として、偶関数乗算部11及び奇関数乗算部12のそれぞれに出力する。
図16に示す第1の窓関数wΣ(k)は、偶関数で表される矩形窓の窓関数である。
図17は、第2の窓関数wΔ(k)の一例を示す説明図である。
図17示す第2の窓関数wΔ(k)は、奇関数で表される符号関数の窓関数である。
図16及び図17において、第1の窓関数wΣ(k)及び第2の窓関数wΔ(k)におけるそれぞれの有限区間は、-(Ks/2)~(Ks/2)-ΔKsであり、有限区間の区間幅は、Ks-ΔKsである。
距離算出部16によって、可変量ΔKsが調整されることにより、有限区間の区間幅Ks-ΔKsが調整される。
第2の窓関数wΔ(k)の関数値は、以下の式(8)に示すように、有限区間のうち、-(Ks/2)≦k<0の区間では“+j”であり、k=0では“0”であり、0<k<(Ks/2)-ΔKsの区間では“-j”である。第2の窓関数wΔ(k)の関数値は、有限区間以外の区間では“0”である。
偶関数乗算部11は、第1の窓関数乗算後のビート信号BDig(t)wΣ(k)を第1のフーリエ変換部13に出力する。
奇関数乗算部12は、第2の窓関数乗算後のビート信号BDig(t)wΔ(k)を第2のフーリエ変換部14に出力する。
第1のフーリエ変換部13は、ビート信号BDig(t)wΣ(k)を周波数領域の信号である第1の周波数領域信号snに変換する(図15のステップST13)。
第1のフーリエ変換部13は、第1の周波数領域信号snを距離算出部16に出力する。
第2のフーリエ変換部14は、ビート信号BDig(t)wΔ(k)を周波数領域の信号である第2の周波数領域信号dnに変換する(図15のステップST14)。
第2のフーリエ変換部14は、第2の周波数領域信号dnを距離算出部16に出力する。
周波数特定部31は、第1の周波数領域信号snに含まれている複数の周波数成分の大きさを互いに比較する。
周波数特定部31は、第1の周波数成分|sn|maxとして、第1の周波数領域信号snに含まれている複数の周波数成分の中で、最も大きい周波数成分、即ち、第1の周波数領域信号snにおける最大の信号強度|sn|を探索する。
ここでは、周波数特定部31が、第1の周波数成分|sn|maxとして、第1の周波数領域信号snに含まれている複数の周波数成分の中で、最も大きい周波数成分を探索している。しかし、第1の周波数成分|sn|maxは、雑音成分と比べて十分に大きい周波数成分であればよく、最も大きい周波数成分に限るものではない。したがって、周波数特定部31は、第1の周波数成分|sn|maxとして、第1の周波数領域信号snに含まれている複数の周波数成分の中で、例えば、2番目に大きい周波数成分、又は、3番目に大きい周波数成分を探索するようにしてもよい。
周波数特定部31は、第1の周波数成分|sn|maxの周波数fmaxとして、第1の周波数成分|sn|maxの周波数ナンバーnmaxを特定する(図15のステップST15)。
周波数特定部31は、第1の周波数成分|sn|max及び周波数ナンバーnmaxのそれぞれを比較部32に出力する。
また、周波数特定部31は、周波数ナンバーnmaxを距離算出処理部36に出力する。
比較部32は、第2の周波数成分|dn|maxとして、第2の周波数領域信号dnに含まれている複数の周波数成分の中で、周波数ナンバーnmaxに対応する周波数成分を特定する。
比較部32は、信号強度比Eと強度閾値Ethとを比較し、信号強度比Eと強度閾値Ethとの比較結果を区間幅調整部35に出力する。
偶関数乗算部11は、区間幅調整部35から制御信号C2を受けると、可変量ΔKsを変えることで、第1の窓関数wΣ(k)における有限区間の区間幅Ks-ΔKsを調整する。
奇関数乗算部12は、区間幅調整部35から制御信号C2を受けると、可変量ΔKsを変えることで、第2の窓関数wΔ(k)における有限区間の区間幅Ks-ΔKsを調整する。
区間幅調整部35から制御信号C2が出力されると、信号処理装置10は、ステップST11~ST16の処理を再度行う。
比較部32から出力された比較結果が、信号強度比Eが強度閾値Eth未満である旨を示すまで、区間幅調整部35から偶関数乗算部11及び奇関数乗算部12のそれぞれに、制御信号C2が繰り返し出力される。
図18は、可変量ΔKsと信号強度比Eとの関係を示す説明図である。
図18において、横軸は可変量ΔKsを示し、縦軸は信号強度比Eを示している。ΔKsoptは、信号強度比Eが強度閾値Eth未満であるときの可変量である。
信号強度比Eは、図18に示すように、可変量ΔKsの変化に伴って変動する。また、可変量ΔKsの変化に伴う信号強度比Eの変動は、ビート信号B(t)のSNRが小さいほど、緩やかになる。
図18には、SNR=10[dB]、SNR=20[dB]、SNR=30[dB]、SNR=40[dB]、SNR=50[dB]の例が示されている。
距離算出処理部36は、以下の式(9)に示すように、周波数特定部31から出力された周波数ナンバーnmaxと、送信信号の伝搬速度cと、区間幅Ks-ΔKsと、区間幅調整部35により調整される前の初期の区間幅Ksと、変調帯域幅Δfinitとから、レーダ装置1から物体5までの距離Rを算出する(図15のステップST18)。
距離算出処理部36は、算出した距離Rを、例えば、図示せぬ信号処理部に出力する。
実施の形態2に係る信号処理装置10では、距離算出部16が、送信信号発生器3を制御する必要がない。このため、信号処理装置10の内部処理だけで、算出距離の分解能を高めることができる。
実施の形態3では、偶関数乗算部11及び奇関数乗算部12のそれぞれが、アナログ回路によって実現されている信号処理装置10について説明する。
図19に示す信号処理装置10は、第1のフーリエ変換部13及び第2のフーリエ変換部14を備える代わりに、フーリエ変換部50及び振幅比較器57を備えている。
フーリエ変換部50は、AD変換器9から出力されたビート信号BDig(t)を周波数領域の信号である周波数領域信号fftnに変換する。
フーリエ変換部50は、周波数領域信号fftnを距離算出部58に出力する。
第1の積分器51は、ミクサ8から出力されたビート信号B(t)のうち、第1の窓関数wΣ(k)の有限区間に含まれているビート信号を積分する。
第1の積分器51は、ビート信号の積分結果qsを振幅比較器57に出力する。
90度移相器52は、ミクサ8から出力されたビート信号B(t)を90度移相させる。
90度移相器52は、90度移相後のビート信号B(t)’を180度移相器53及び第2の積分器54のそれぞれに出力する。
180度移相器53は、90度移相器52による90度移相後のビート信号B(t)’を180度移相させる。
180度移相器53は、180度移相後のビート信号B(t)”を第3の積分器55に出力する。
第2の積分器54は、ビート信号の積分結果S2を加算器56に出力する。
第3の積分器55は、180度移相器53による180度移相後のビート信号”のうち、後半区間のビート信号を積分する。
第3の積分器55は、ビート信号の積分結果S3を加算器56に出力する。
加算器56は、第2の積分器54によるビート信号の積分結果S2と第3の積分器55によるビート信号の積分結果S3とを加算する。
加算器56は、ビート信号の積分結果S2とビート信号の積分結果S3との加算結果qd(=S2+S3)を振幅比較器57に出力する。
振幅比較器57は、比qd/qsと振幅閾値Athとの比較結果を距離算出部58に出力する。
距離算出部58は、振幅比較器57の比較結果が、比qd/qsが振幅閾値Ath未満である旨を示しているときの、送信信号Txの変調帯域幅Δfを探索する。
距離算出部58は、変調帯域幅Δfの探索結果に基づいて、レーダ装置1から物体5までの距離Rを算出する。
送信信号発生器3は、図6に示すように、時間の経過に伴って周波数fが変化する送信信号Txを発生する。
図19に示すレーダ装置1では、変調帯域幅Δfの初期値が、Δfinitに設定されている。したがって、初期状態では、送信信号発生器3は、変調帯域幅がΔfinitの送信信号Txを発生する。
送信信号発生器3は、送信信号Txを送信アンテナ4及びミクサ8のそれぞれに出力する。
送信アンテナ4によって空間に放射された送信信号Txは、レーダ装置1による測距対象の物体5によって反射される。
信号受信部6の受信アンテナ7は、物体5による反射後の送信信号Tx’である反射信号を受信する。
信号受信部6は、受信した反射信号を受信信号Rxとしてミクサ8に出力する。
ミクサ8は、ビート信号B(t)をAD変換器9、第1の積分器51及び90度移相器52のそれぞれに出力する。
AD変換器9は、デジタル信号をデジタルのビート信号BDig(t)として、フーリエ変換部50に出力する。
フーリエ変換部50は、AD変換器9からビート信号BDig(t)を受けると、ビート信号BDig(t)を周波数領域の信号である周波数領域信号fftnに変換する。
フーリエ変換部50は、周波数領域信号fftnを距離算出部58に出力する。
第1の積分器51は、ビート信号の積分結果qsを振幅比較器57に出力する。ビート信号の積分結果qsは、第1の窓関数乗算後のビート信号BDig(t)wΣ(k)に相当する。
90度移相器52は、90度移相後のビート信号B(t)’を180度移相器53及び第2の積分器54のそれぞれに出力する。
ミクサ8から出力されたビート信号B(t)が、I(In phase)相のI+信号であるとすれば、90度移相後のビート信号B(t)’は、Q(Quadrature)相のQ+信号に相当する。
180度移相器53は、180度移相後のビート信号B(t)”を第3の積分器55に出力する。
ミクサ8から出力されたビート信号B(t)が、I相のI+信号であるとすれば、180度移相後のビート信号B(t)”は、Q相のQ-信号に相当する。
即ち、第2の積分器54は、90度移相後のビート信号B(t)’のうち、第2の窓関数wΔ(k)の有限区間の中で、-(Ks/2)~0の区間に含まれているビート信号を積分する。
第2の積分器54は、ビート信号の積分結果S2を加算器56に出力する。
即ち、第3の積分器55は、180度移相後のビート信号”のうち、第2の窓関数wΔ(k)の有限区間の中で、0~(Ks/2)の区間に含まれているビート信号を積分する。
第3の積分器55は、ビート信号の積分結果S3を加算器56に出力する。
加算器56は、ビート信号の積分結果S2とビート信号の積分結果S3とを加算する。
加算器56は、ビート信号の積分結果S2とビート信号の積分結果S3との加算結果qd(=S2+S3)を振幅比較器57に出力する。
加算器56による加算結果qdは、第2の窓関数乗算後のビート信号BDig(t)wΔ(k)に相当する。
振幅比較器57は、ビート信号の積分結果qsに対する加算結果qdの比qd/qsを算出する。
振幅比較器57は、比qd/qsと振幅閾値Athとを比較する。
振幅比較器57は、比qd/qsと振幅閾値Athとの比較結果を距離算出部58に出力する。
距離算出部58は、周波数領域信号fftnに含まれている複数の周波数成分の大きさを互いに比較する。
距離算出部58は、周波数領域信号fftnに含まれている複数の周波数成分の中で、最も大きい周波数成分、即ち、周波数領域信号fftnにおける最大の信号強度|fftn|maxを探索する。
ここでは、距離算出部58が、周波数領域信号fftnに含まれている複数の周波数成分の中で、最も大きい周波数成分を探索している。しかし、探索する周波数成分は、雑音成分と比べて十分に大きい周波数成分であればよく、最も大きい周波数成分に限るものではない。したがって、距離算出部58は、波数領域信号fftnに含まれている複数の周波数成分の中で、例えば、2番目に大きい周波数成分、又は、3番目に大きい周波数成分を探索するようにしてもよい。
距離算出部58は、最大の信号強度|fftn|maxの周波数ナンバーnmaxを特定する。
距離算出部58は、比較結果が、比qd/qsが振幅閾値Ath以上である旨を示していれば、変調帯域幅Δfの変更を指示する制御信号C1を送信信号発生器3に出力する。
送信信号発生器3は、距離算出部58から制御信号C1を受けると、送信信号Txの変調帯域幅Δfを例えばδfだけ大きくし、変調帯域幅が(Δf+δf)の送信信号Txを発生し、送信信号Txを送信アンテナ4及びミクサ8のそれぞれに出力する。
距離算出部58から制御信号C1が出力されると、送信アンテナ4、信号受信部6、ミクサ8、AD変換器9及び信号処理装置10は、上記と同様の動作を再度行う。
比較結果が、比qd/qsが振幅閾値Ath未満である旨を示すまで、距離算出部58から送信信号発生器3に、制御信号C1が繰り返し出力される。
距離算出部58は、式(5)に示すように、周波数ナンバーnmaxと、送信信号の伝搬速度cと、変調帯域幅Δfoptとから、レーダ装置1から物体5までの距離Rを算出する。
距離算出部58は、算出した距離Rを、例えば、図示せぬ信号処理部に出力する。
奇関数乗算部12に含まれている90度移相器52は、90度移相後のビート信号B(t)’として、位相が互いに90度異なっている4つの信号、即ち、I+信号、I-信号、Q+信号及びQ-信号のそれぞれを出力する。
奇関数乗算部12に含まれている第2の積分器54は、スイッチ54a~54d及びコンデンサ54e~54fを備えている。
奇関数乗算部12に含まれている第3の積分器55は、スイッチ55a~55d及びコンデンサ55e~55fを備えている。
奇関数乗算部12に含まれている加算器56は、スイッチ56a~56hを備えている。
90度移相器52のI-端子は、スイッチ54c及びスイッチ54dにおけるそれぞれの一端と接続されている。
90度移相器52のQ+端子は、スイッチ55c及びスイッチ55dにおけるそれぞれの一端と接続されている。
90度移相器52のQ-端子は、スイッチ55a及びスイッチ55bにおけるそれぞれの一端と接続されている。
スイッチ54bの一端は、90度移相器52のI+端子と接続されている。スイッチ54bの他端は、コンデンサ54f及びスイッチ56g,56hにおけるそれぞれの一端と接続されている。
スイッチ54dの一端は、90度移相器52のI-端子と接続されている。スイッチ54dの他端は、コンデンサ54f及びスイッチ56g,56hにおけるそれぞれの一端と接続されている。
コンデンサ54fの一端は、スイッチ54b,54dにおけるそれぞれの他端と接続され、かつ、スイッチ56g,56hにおけるそれぞれの一端と接続されている。コンデンサ54fの他端は、グランドと接続されている。
スイッチ55bの一端は、90度移相器52のQ-端子と接続されている。スイッチ55bの他端は、コンデンサ55f及びスイッチ56c,56dにおけるそれぞれの一端と接続されている。
スイッチ55dの一端は、90度移相器52のQ+端子と接続されている。スイッチ55dの他端は、コンデンサ55f及びスイッチ56c,56dにおけるそれぞれの一端と接続されている。
コンデンサ55fの一端は、スイッチ55b,55dにおけるそれぞれの他端と接続され、かつ、スイッチ56c,56dにおけるそれぞれの一端と接続されている。コンデンサ55fの他端は、グランドと接続されている。
スイッチ56bの一端は、スイッチ55a,55cにおけるそれぞれの他端と接続され、かつ、コンデンサ55e及びスイッチ56aにおけるそれぞれの一端と接続されている。スイッチ56bの他端は、グランドと接続されている。
スイッチ56dの一端は、スイッチ55b,55dにおけるそれぞれの他端と接続され、かつ、コンデンサ55f及びスイッチ56cにおけるそれぞれの一端と接続されている。スイッチ56dの他端は、振幅比較器57と接続されている。
スイッチ56fの一端は、スイッチ54a,54cにおけるそれぞれの他端と接続され、かつ、コンデンサ54e及びスイッチ56eにおけるそれぞれの一端と接続されている。スイッチ56fの他端は、グランドと接続されている。
スイッチ56hの一端は、スイッチ54b,54dにおけるそれぞれの他端と接続され、かつ、コンデンサ54f及びスイッチ56gにおけるそれぞれの一端と接続されている。スイッチ56hの他端は、振幅比較器57と接続されている。
図21は、スイッチ54a~54d,55a~55d,56a~56hのオンオフを示す説明図である。
図21において、φrの信号レベルがHレベルである期間中、スイッチ56b,56c,56f,56gがオンになり、φrの信号レベルがLレベルである期間中、スイッチ56b,56c,56f,56gがオフになる。
φwの信号レベルがHレベルである期間中、スイッチ54a,54d,55a,55dがオンになり、φwの信号レベルがLレベルである期間中、スイッチ54a,54d,55a,55dがオフになる。
φwバーの信号レベルがHレベルである期間中、スイッチ54b,54c,55b,55cがオンになり、φwバーの信号レベルがLレベルである期間中、スイッチ54b,54c,55b,55cがオフになる。明細書中では、電子出願である関係上、「φw」の上に“-”の記号を付することができないため、「φwバー」のように表記している。
φhの信号レベルがHレベルである期間中、スイッチ56a,56d,56e,56hがオンになり、φhの信号レベルがLレベルである期間中、スイッチ56a,56d,56e,56hがオフになる。
次に、φwの信号レベルが、Tm/2の期間中、Hレベルになることで、スイッチ54a,54d,55a,55dがオンになる。これにより、I+信号によって、コンデンサ54eに電荷が充電され、I-信号によって、コンデンサ54fに電荷が充電される。また、Q-信号によって、コンデンサ55eに電荷が充電され、Q+信号によって、コンデンサ55fに電荷が充電される。
次に、φwバーの信号レベルが、Tm/(2×nmax)の期間中、スイッチ54b,54c,55b,55cがHレベルになる。これにより、I+信号によって、コンデンサ54fに電荷が充電され、I-信号によって、コンデンサ54eに電荷が充電される。また、Q-信号によって、コンデンサ55fに電荷が充電され、Q+信号によって、コンデンサ55eに電荷が充電される。
次に、φhの信号レベルが、Tmの期間中、Hレベルになることで、スイッチ56a,56c,56e,56hがオンになり、奇関数乗算部12からd(t)の電圧が振幅比較器57に出力される。
電圧d(t)は、距離算出処理部34により算出される距離Rの距離分解能ΔRが高くなる変調帯域幅Δfであるほど、小さな値になる。
Claims (9)
- 時間の経過に伴って周波数が変化する送信信号と測距対象の物体による反射後の送信信号とから生成されたビート信号に対して、偶関数で表される第1の窓関数を乗算する偶関数乗算部と、
前記ビート信号に対して、奇関数で表される第2の窓関数を乗算する奇関数乗算部と、
前記偶関数乗算部による第1の窓関数乗算後のビート信号を周波数領域の信号である第1の周波数領域信号に変換する第1のフーリエ変換部と、
前記奇関数乗算部による第2の窓関数乗算後のビート信号を周波数領域の信号である第2の周波数領域信号に変換する第2のフーリエ変換部と、
前記第1の周波数領域信号に含まれている第1の周波数成分に対する、前記第2の周波数領域信号に含まれている第2の周波数成分の比が閾値未満になるときの、前記送信信号の変調帯域幅、又は、前記第1の窓関数及び前記第2の窓関数におけるそれぞれの有限区間の区間幅を探索し、前記変調帯域幅の探索結果、又は、前記区間幅の探索結果に基づいて、レーダ装置から前記物体までの距離を算出する距離算出部と
を備えた信号処理装置。 - 前記距離算出部は、
前記第1の周波数領域信号に含まれている複数の周波数成分の大きさを互いに比較し、前記大きさの比較結果に基づいて、前記第1の周波数成分を探索し、前記第1の周波数成分の周波数を特定する周波数特定部と、
前記第2の周波数成分として、前記第2の周波数領域信号に含まれている複数の周波数成分の中で、前記周波数特定部により特定された周波数を有する周波数成分を特定し、前記第1の周波数成分に対する前記第2の周波数成分の比と前記閾値とを比較する比較部と、
前記比較部の比較結果が、前記比が前記閾値以上である旨を示していれば、前記比較部の比較結果が、前記比が前記閾値未満である旨を示すまで、前記変調帯域幅を繰り返し調整し、前記比が前記閾値未満である旨を示しているときの変調帯域幅を出力する変調帯域幅調整部と、
前記変調帯域幅調整部から出力された変調帯域幅に基づいて、前記レーダ装置から前記物体までの距離を算出する距離算出処理部と
を備えていることを特徴とする請求項1記載の信号処理装置。 - 前記距離算出部は、
前記第1の周波数領域信号に含まれている複数の周波数成分の大きさを互いに比較し、前記大きさの比較結果に基づいて、前記第1の周波数成分を探索し、前記第1の周波数成分の周波数を特定する周波数特定部と、
前記第2の周波数成分として、前記第2の周波数領域信号に含まれている複数の周波数成分の中で、前記周波数特定部により特定された周波数を有する周波数成分を特定し、前記第1の周波数成分に対する前記第2の周波数成分の比と前記閾値とを比較する比較部と、
前記比較部の比較結果が、前記比が前記閾値以上である旨を示していれば、前記比較部の比較結果が、前記比が前記閾値未満である旨を示すまで、前記区間幅を繰り返し調整し、前記比が前記閾値未満である旨を示しているときの区間幅を出力する区間幅調整部と、
前記区間幅調整部から出力された区間幅に基づいて、前記レーダ装置から前記物体までの距離を算出する距離算出処理部と
を備えていることを特徴とする請求項1記載の信号処理装置。 - 前記周波数特定部は、
前記第1の周波数成分として、前記第1の周波数領域信号に含まれている複数の周波数成分の中で、最も大きい周波数成分を探索することを特徴とする請求項2又は請求項3記載の信号処理装置。 - 前記距離算出処理部は、
前記周波数特定部により特定された周波数と、前記送信信号の伝搬速度と、前記変調帯域幅調整部から出力された変調帯域幅とから、前記レーダ装置から前記物体までの距離を算出することを特徴とする請求項2記載の信号処理装置。 - 前記距離算出処理部は、
前記周波数特定部により特定された周波数と、前記送信信号の伝搬速度と、前記区間幅調整部から出力された区間幅と、前記区間幅調整部による調整前の区間幅と、前記送信信号の変調帯域幅とから、前記レーダ装置から前記物体までの距離を算出することを特徴とする請求項3記載の信号処理装置。 - 前記偶関数乗算部は、
前記生成されたビート信号のうち、前記第1の窓関数の有限区間に含まれているビート信号を積分する第1の積分器を備えており、
前記奇関数乗算部は、
前記生成されたビート信号を90度移相させる90度移相器と、
前記90度移相器による90度移相後のビート信号を180度移相させる180度移相器と、
前記90度移相器による90度移相後のビート信号のうち、前半区間のビート信号を積分する第2の積分器と、
前記180度移相器による180度移相後のビート信号のうち、後半区間のビート信号を積分する第3の積分器と、
前記第2の積分器によるビート信号の積分結果と前記第3の積分器によるビート信号の積分結果とを加算する加算器とを備えており、
前記第1のフーリエ変換部及び前記第2のフーリエ変換部を備える代わりに、前記第1の積分器によるビート信号の積分結果に対する前記加算器による加算結果の比と前記閾値とを比較する振幅比較器を備え、
前記距離算出部は、
前記振幅比較器の比較結果が、前記比が前記閾値未満である旨を示しているときの、前記送信信号の変調帯域幅を探索し、前記変調帯域幅の探索結果に基づいて、前記レーダ装置から前記物体までの距離を算出することを特徴とする請求項1記載の信号処理装置。 - レーダ装置が実行する信号処理方法であって、
偶関数乗算部が、時間の経過に伴って周波数が変化する送信信号と測距対象の物体による反射後の送信信号とから生成されたビート信号に対して、偶関数で表される第1の窓関数を乗算し、
奇関数乗算部が、前記ビート信号に対して、奇関数で表される第2の窓関数を乗算し、
第1のフーリエ変換部が、前記偶関数乗算部による第1の窓関数乗算後のビート信号を周波数領域の信号である第1の周波数領域信号に変換し、
第2のフーリエ変換部が、前記奇関数乗算部による第2の窓関数乗算後のビート信号を周波数領域の信号である第2の周波数領域信号に変換し、
距離算出部が、前記第1の周波数領域信号に含まれている第1の周波数成分に対する、前記第2の周波数領域信号に含まれている第2の周波数成分の比が閾値未満になるときの、前記送信信号の変調帯域幅、又は、前記第1の窓関数及び前記第2の窓関数におけるそれぞれの有限区間の区間幅を探索し、前記変調帯域幅の探索結果、又は、前記区間幅の探索結果に基づいて、レーダ装置から前記物体までの距離を算出する
信号処理方法。 - 時間の経過に伴って周波数が変化する送信信号を送信する信号送信部と、
測距対象の物体による反射後の送信信号である反射信号を受信する信号受信部と、
前記信号送信部から送信される送信信号と前記信号受信部により受信された反射信号とからビート信号を生成するミクサと、
前記ミクサにより生成されたビート信号に対して、偶関数で表される第1の窓関数を乗算する偶関数乗算部と、
前記ミクサにより生成されたビート信号に対して、奇関数で表される第2の窓関数を乗算する奇関数乗算部と、
前記偶関数乗算部による第1の窓関数乗算後のビート信号を周波数領域の信号である第1の周波数領域信号に変換する第1のフーリエ変換部と、
前記奇関数乗算部による第2の窓関数乗算後のビート信号を周波数領域の信号である第2の周波数領域信号に変換する第2のフーリエ変換部と、
前記第1の周波数領域信号に含まれている第1の周波数成分に対する、前記第2の周波数領域信号に含まれている第2の周波数成分の比が閾値未満になるときの、前記送信信号の変調帯域幅、又は、前記第1の窓関数及び前記第2の窓関数におけるそれぞれの有限区間の区間幅を探索し、前記変調帯域幅の探索結果、又は、前記区間幅の探索結果に基づいて、レーダ装置から前記物体までの距離を算出する距離算出部と
を備えたレーダ装置。
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