JP7341049B2 - イグラチモド誘導体またはその塩の製造方法 - Google Patents

イグラチモド誘導体またはその塩の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、3-ホルミルアミノ-6-フェニルオキシ-7-メチルスルホニルアミノ-4H-1-ベンゾピラン-4-オン(以下、イグラチモドと称す)およびその誘導体(以下、イグラチモドと併せてイグラチモド誘導体とも称す)またはその塩の製造方法に関する。詳しくは、添加剤を加えて反応させることにより特定の副生成物の生成を抑えた、イグラチモド誘導体またはその塩の新規な製造方法である。
イグラチモド誘導体またはその塩は、抗炎症作用、解熱鎮痛作用、抗関節炎作用および抗アレルギー作用を有し、抗炎症剤として有用である。下記に示すように、イグラチモド誘導体前駆体またはその塩より環化剤(N,N-ジメチルホルムアミドジメチルアセタール等)を用いてイグラチモド誘導体またはその塩を得る工業的製造法がすでに報告されている(特許文献1)。
本発明者らの検討によれば、上記の環化反応において副生成物として、下記、式(1)
で表わされるN-[3-ホルミルアミノ-4-オキソ-6-フェノキシ-4H-1-ベンゾピラン-7-イル]-N-メチル-アルキルスルホンアミド(以下、UK-3誘導体とも称す)が副生成することが判明した(なお、イグラチモド誘導体前駆体がイグラチモド前駆体である場合に対応するUK-3誘導体を、以下、UK-3とも称す)。UK-3誘導体の生成は、イグラチモド誘導体またはその塩の生成率の低下を招くだけでなく、得られたイグラチモド誘導体またはその塩の精製においてUK-3誘導体を低減するために追加の精製工程が必要となる。
特許文献1においては、副反応を抑制するために添加剤を加えても良いとされている。具体的には、添加剤として氷酢酸を加えてもよいと記載がある。しかし、特許文献1では具体的な副反応は同定されておらず、副生成物の報告もされていない。
特開平05―125072号公報
上記したように従来の製造方法では、副生成物UK-3誘導体の生成を抑えることができず、イグラチモド誘導体またはその塩の生成率の低下を招くだけでなく、UK-3誘導体を低減するために追加の精製工程が必要となり、手間(時間)が余分にかかり、かつ最終的に得られるイグラチモド誘導体の収率も低下する。従って、本発明の目的は、UK-3誘導体の生成を抑制することができるイグラチモド誘導体またはその塩の製造方法を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた。上記の環化反応において種々の添加剤を加えることを検討した結果、添加剤として有機塩基を加えることにより、イグラチモド誘導体またはその塩の生成率の大幅な低下を招くことなく、UK-3誘導体の生成を抑制しながら環化反応が進行することを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、下記式(2)
(式中、Rは置換基で置換されていてもよいフェニル基であり、Rは置換基で置換されていてもよい炭素数1~10のアルキル基である。)
で表わされるイグラチモド誘導体前駆体またはその塩を、有機塩基の存在下、環化剤を用いて環化反応を行うことを特徴とする、下記式(3)
(式中、R、Rは前記式(2)におけるものと同義である。)
で表わされるイグラチモド誘導体またはその塩の製造方法である。
本発明において有機塩基は下記式(4-1)、(4-2)、(4-3)又は(4-4)
(式(4-1)中、R~Rは、置換基で置換されていてもよいアルキル基、置換基で置換されていてもよいアラルキル基、又は水素原子であり、それぞれ同一の基であっても、異なる基であってもよく、R~Rの全てが水素原子であることはない。
式(4-2)中、Rは、置換基で置換されていてもよいアルキル基、置換基で置換されていてもよいアラルキル基、又は水素原子である。また、Xは-CH-、-NH-、-NMe-、-O-、-S-、-S(=O)-又は-SO-から選ばれる基である。l、mはそれぞれ独立して0~10から選ばれる整数である。
式(4-3)中、Rは、ハロゲン原子、エステル基、カルボキシル基、アミド基、ニトリル基、ニトロ基、アルデヒド基、ケトン基、アルキル基又はアラルキル基から選ばれる置換基である。nは0~5から選ばれる整数であり、nが2以上の場合、Rはそれぞれ同一の基であっても、異なる基であってもよい。
式(4-4)中、Yは、-CH-、-NH-又は-NMe-から選ばれる基である。窒素原子の場合は、アルキル基で置換されていてもよい。oは、1~5の中から選ばれる整数である)。
で表わされる有機塩基から選択される少なくとも1種の有機塩基であることが好ましく、環化剤はN,N-ジメチルホルムアミドジメチルアセタールであることが好ましい。
環化反応を適切な温度条件下で反応を実施することによって、上記の有機塩基の添加効果に加えてUK-3誘導体の生成をより低下させることができる。環化反応は、転化率が50%以上となるまで-10~20℃において行うことが好ましい。
本発明のイグラチモド誘導体の製造方法によれば、イグラチモド誘導体前駆体またはその塩からイグラチモド誘導体またはその塩への環化反応においてUK-3誘導体の生成を効果的に抑えることができる。そのため、UK-3誘導体の生成によるイグラチモド誘導体の生成率の低下を抑制することができ、さらに、追加の精製工程を回避でき、工業的なイグラチモドおよびその誘導体またはその塩の製造技術として、本発明は非常に有用である。追加の精製工程を回避できることにより、手間を省いて効率的に製造することができ、かつ追加の精製工程によるイグラチモド誘導体またはその塩の収率低下も抑制することができる。
本発明のイグラチモド誘導体またはその塩の製造方法は、イグラチモド誘導体前駆体またはその塩を、有機塩基の存在下、環化剤を用いて環化反応を行うことにより、イグラチモド誘導体またはその塩を製造する方法である。以下、本発明について詳細に説明する。
(イグラチモド誘導体前駆体)
本発明において、イグラチモド誘導体前駆体またはその塩は、下記式(2)
で表わされる化合物またはその塩である。
式中、Rは置換基で置換されていてもよいフェニル基である。置換基としては、ハロゲン原子、エステル基、カルボキシル基、アミド基、ニトリル基、ニトロ基、アルデヒド基、ケトン基、アルキル基又はアラルキル基から選ばれる少なくとも一つの基を挙げることができる。フェニル基が複数の置換基で置換されており、該置換基の少なくとも二つがアルキル基又はアラルキル基である場合、互いに結合して環を形成していてもよい。好ましくは、Rはフェニル基である。
は置換基で置換されていてもよい炭素数1~10のアルキル基である。置換基としては、ハロゲン原子、エステル基、カルボキシル基、アミド基、ニトリル基、ニトロ基、アルデヒド基、ケトン基、アルキル基又はアラルキル基から選ばれる少なくとも一つの基を挙げることができる。Rは置換基を有さない炭素数1~5の低級アルキル基であることが好ましく、メチル基であることがより好ましい。
イグラチモド誘導体前駆体またはその塩は、Rがフェニル基、Rがメチル基である場合、イグラチモド前駆体またはその塩である。イグラチモド誘導体前駆体またはその塩は、イグラチモド前駆体であることが好ましい。環化反応によって関節リウマチの治療薬であるイグラチモドを製造することができる。本発明の製造方法により、イグラチモド誘導体前駆体またはその塩より副生成物UK-3誘導体を低減したイグラチモド誘導体またはその塩を製造することで、追加の精製工程を回避でき、イグラチモド誘導体またはその塩を効率よく製造することが可能である。
(有機塩基)
本発明において、式(2)で表わされるイグラチモド誘導体前駆体またはその塩から式(3)で表わされるイグラチモド誘導体またはその塩を製造するための環化反応は、式(1)で表される副生成物UK-3誘導体の生成を抑えるために有機塩基存在下で行う。
有機塩基としては反応を阻害しないものであれば特に限定されないが、下記式(4-1)、(4-2)、(4-3)又は(4-4)
(式(4-1)中、R~Rは、置換基で置換されていてもよいアルキル基、置換基で置換されていてもよいアラルキル基、又は水素原子であり、それぞれ同一の基であっても、異なる基であってもよく、R~Rの全てが水素原子であることはない。
式(4-2)中、Rは、置換基で置換されていてもよいアルキル基、置換基で置換されていてもよいアラルキル基、又は水素原子である。また、Xは-CH-、-NH-、-NMe-、-O-、-S-、-S(=O)-又は-SO-から選ばれる基である。l、mはそれぞれ独立して0~5から選ばれる整数である。
式(4-3)中、Rは、ハロゲン原子、エステル基、カルボキシル基、アミド基、ニトリル基、ニトロ基、アルデヒド基、ケトン基、アルキル基又はアラルキル基から選ばれる置換基である。nは0~5から選ばれる整数であり、nが2以上の場合、Rはそれぞれ同一の基であっても、異なる基であってもよい。
式(4-4)中、Yは、-CH-、-NH-又は-NMe-から選ばれる基である。oは、1~5から選ばれる整数である。)
で表わされる有機塩基から選択される少なくとも1種の有機塩基であることが好ましい。
式(4-1)において、アルキル基は炭素数1~10であることが好ましく、炭素数1~6であることがより好ましい。アラルキル基は炭素数7~12であることが好ましく、炭素数7または8であることがより好ましい。アルキル基又はアラルキル基が置換基で置換されている場合、置換基は、ハロゲン原子、エステル基、カルボキシル基、アミド基、ニトリル基、ニトロ基、アルデヒド基、ケトン基、アルキル基又はアラルキル基から選ばれる、少なくとも一つの置換基である。
~Rは、アルキル基又は水素原子であり、少なくとも二つがアルキル基であることが好ましい。
式(4-1)で表わされる有機塩基としては、ジエチルアミン、トリメチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ジメチルアミン、ジブチルアミンなどの鎖状アルキル基を有する有機塩基を挙げることができ、トリエチルアミン、ジエチルアミンが好ましい。
式(4-2)において、置換基で置換されていてもよいアルキル基及び置換基で置換されていてもよいアラルキル基は、式(4-1)における置換基で置換されていてもよいアルキル基及び置換基で置換されていてもよいアラルキル基と同義である。
は、アルキル基又は水素原子であることが好ましい。
Xは、-CH-、-NH-、-NMe-、-O-、であることが好ましい。
l、mはそれぞれ独立して0~7から選ばれる整数であり、好ましくは0~4である。
式(4-2)で表わされる有機塩基としては、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン、N-メチルモルホリン等の脂肪族複素環式の有機塩基を挙げることができる。好ましくは、ピロリジン、ピペリジン、モルホリンである。
式(4-3)において、置換基で置換されていてもよいアルキル基及び置換基で置換されていてもよいアラルキル基は、式(4-1)における置換基で置換されていてもよいアルキル基及び置換基で置換されていてもよいアラルキル基と同義である。
は、アルキル基であることが好ましい。
nは0~5から選ばれる整数であり、好ましくは0~3である。nが2以上の場合、Rはそれぞれ同一の基であっても、異なる基であってもよい。
式(4-3)で表わされる有機塩基としては、ピリジン、ピコリン、ルチジンを挙げることができる。好ましくはピリジンである。
式(4-4)において、Yは、-CH2-、-NH-、-NMe-である。
oは、1~5から選ばれる整数であり、好ましくは1~3である。
式(4-4)で表わされる有機塩基としては、DBU(ジアザビシクロウンデセン)、DBN(ジアザビシクロノネン)、TBD(1,5,7-トリアザビシクロ[4.4.0]デカ-5-エン),MTBD(7-メチル-1,5,7-トリアザビシクロ[4.4.0]デカ-5-エン)などの脂肪族複素環式の有機塩基を挙げることができる。
上記した有機塩基の中でも、特に好ましい化合物はトリエチルアミン、モルホリンである。
有機塩基の使用量は、特に制限されるものではない。副生成物であるUK-3誘導体の生成を効果的に抑えることができることから、式(2)で表わされるイグラチモド誘導体前駆体またはその塩1モルに対して、1~10モル使用することが好ましく、2~5モル使用することがより好ましい。
(環化剤)
本発明において、式(2)で表わされるイグラチモド誘導体前駆体またはその塩から式(3)で表わされるイグラチモド誘導体またはその塩を製造するための環化反応時に用いられる環化剤としては、たとえば、N,N-ジメチルホルムアミドジメチルアセタールもしくはN,N-ジメチルホルムアミドジエチルアセタールなどのN,N-ジメチルホルムアミドジ低級アルキルアセタール、N,N-ジメチルホルムアミドジシクロヘキシルアセタールなどが挙げられる。好ましくは、N,N-ジメチルホルムアミドジメチルアセタールである。
環化剤の使用量は、特に制限されるものではない。式(2)で表わされるイグラチモド誘導体前駆体またはその塩1モルに対して、1~10モル使用することが好ましく、2~5モル使用することがより好ましい。
(イグラチモド誘導体)
本発明において、環化反応により得られるイグラチモド誘導体またはその塩は、下記式(3)
で表わされる化合物またはその塩である。
式中、R、Rは前記式(2)におけるものと同義である。Rがフェニル基、Rがメチル基である場合、環化反応により得られるのはイグラチモドまたはその塩である。
(イグラチモド誘導体の製造)
本発明においては、有機塩基の存在下、式(2)で表わされるイグラチモド誘導体前駆体またはその塩を、環化剤を用いて環化反応を行って、式(3)で表わされるイグラチモド誘導体またはその塩を製造する。該環化反応は有機溶媒中で行うことができる。
(有機溶媒)
有機溶媒としては、反応を阻害しないものであれば特に限定されないが、極性の高い有機溶媒であることが好ましい。
有機溶媒としては、酢酸エチル、酢酸メチル、酢酸ブチル、酢酸イソプロピル等のエステル類;アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル類;テトラヒドロフラン(THF)、2-メチルTHF、1,4-ジオキサン、tert-ブチルメチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、ジメトキシエタン、ジグライム等のエーテル類;塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2-ジクロロエタン、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素類;ジメチルホルムアミド、ジメチルイミダゾリノン等のアミド類;ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類を挙げることができる。好ましくは、極性溶媒であるジメチルホルムアミドである。これら有機溶媒は、単独で、又はこれらの混合溶媒として用いることができる。
有機溶媒の使用量は、特に制限されるものではない。式(2)で表わされるイグラチモド誘導体前駆体またはその塩に対して、有機溶媒を1~100倍容量使用することが好ましく、2~10倍容量使用することがより好ましい。なお、反応溶媒として混合溶媒を使用する場合には、混合溶媒の全量が前記範囲を満足すれば良い。
当該環化反応は、各成分を混合することにより実施できる。各成分を混合する方法は、特に制限されるものではなく、撹拌装置を備えた反応容器内で実施することができる。反応雰囲気も特に制限されるものではないが、不活性ガス雰囲気下、空気雰囲気下であることが好ましい。また、反応系内は、大気圧下、加圧下、減圧下の何れであってよい。中でも大気圧下で実施することが好ましい。
本発明では、各成分を反応容器に仕込む順番に制限はないが、イグラチモド誘導体前駆体若しくはその塩、または環化剤を最後に仕込んで環化反応を開始するのが好ましい。即ち、イグラチモド誘導体前駆体またはその塩、有機塩基および有機溶媒を反応容器に仕込み、最後に環化剤を仕込んで、又は、環化剤、有機塩基および有機溶媒を反応容器に仕込み、最後にイグラチモド誘導体前駆体またはその塩を仕込んで環化反応を開始するのが好ましい。このとき、例えば最後に環化剤を仕込む場合であれば、環化剤以外のイグラチモド誘導体前駆体またはその塩、有機塩基および有機溶媒を反応容器に仕込む順番は特に制限されない。最後にイグラチモド誘導体前駆体またはその塩を仕込む場合も、イグラチモド誘導体前駆体またはその塩以外の各成分を反応容器に仕込む順番は特に制限されない。イグラチモド誘導体前駆体若しくはその塩または環化剤を最後に仕込むことにより、有機塩基非存在下で環化剤とイグラチモド誘導体前駆体またはその塩が接触して環化反応が開始されることがないため、式(1)で表わされる副生成物UK-3誘導体の生成抑制効果が十分に発揮される。例えば、攪拌しながら式(2)で表わされるイグラチモド誘導体前駆体またはその塩および有機溶媒をあらかじめ反応容器に仕込み、次いで有機塩基を加えた後、環化剤を加えればよい。反応温度は特に制限されるものではなく、0℃~100℃の範囲で実施することが可能である。反応時間は、特に制限されるものではなく、生成物であるイグラチモド誘導体への転化率を確認しながら適宜決定すればよいが、通常、1時間以上24時間以下であればよく、好ましくは2時間以上10時間以下である。
環化反応時にUK-3誘導体の生成をより抑制するために、反応初期は低温で反応を実施することがより好ましい。具体的には、各成分を仕込む際に、最後にイグラチモド誘導体前駆体若しくはその塩または環化剤を-10~20℃の範囲で加えることが好ましく、より好ましくは0~10℃である。イグラチモド誘導体前駆体若しくはその塩または環化剤を加えた後、同温度範囲で環化反応の終点まで反応させることも可能であるが、UK-3誘導体の生成をより抑制しつつ反応時間を短縮することができることから、同温度範囲でしばらく反応を進行させたのち、昇温し反応を完結させることが好ましい。具体的には、-10~20℃でイグラチモド誘導体前駆体またはその塩からのイグラチモド誘導体への転化率が50%以上になるまで反応させた後、30~70℃に昇温して環化反応の終点まで反応させることがより好ましい。転化率及び環化反応の終点は高速液体クロマトグラフィー(HPLC)で確認することができる。-10~20℃で転化率が50%以上になるまでの反応時間は、予めHPLC分析により転化率を確認して決定すればよいが、通常は1時間以上5時間以下である。昇温後、30~70℃での終点までの反応時間も予め反応の転化率を確認して決定すればよいが、通常は0.5時間以上5時間以下である。
本発明者らの詳細な反応解析によれば、UK-3誘導体は反応初期により多く生成する。そのため、環化剤を加えた後、しばらく(転化率が50%以上になるまで)低温で反応させることにより、この反応初期のUK-3誘導体の生成が抑制され、その後昇温することでUK-3誘導体の生成が抑制されたまま短時間で反応を完結させることができていると推測される。
(反応の後処理)
本発明においては、上記反応を実施したのちイグラチモド誘導体またはその塩は、次のような方法により分離することができる。例えば、10%塩化水素水溶液を反応系内が酸性になるまで加えると固体が析出する。析出した固体をろ取し、含水アセトンで固体を洗浄し、減圧下で乾燥すればよい。
UK-3誘導体がイグラチモド誘導体またはその塩の中に含まれている場合、カラム分離、再結晶等の公知の方法を適用することにより、UK-3誘導体を除去してより高純度化することが可能である。しかしながら、取り出したイグラチモド誘導体の中にUK-3誘導体が多量に含有される場合は、精製工程を繰り返し実施することが必要になるうえ、収率の低下につながる。
得られたイグラチモド誘導体またはその塩は、医薬品を含む各種生理活性化合物として好適に使用することが可能である。
以下、実施例をあげて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。また、イグラチモド誘導体前駆体またはその塩からのイグラチモド誘導体またはその塩への転化率並びにイグラチモド誘導体およびUK-3誘導体の生成率は、下記の条件にて測定した。
<HPLC条件>
装置:液体クロマトグラフ装置(Waters Corporation製)
検出器:紫外吸光光度計
測定波長:240nm
カラム:内径4.6mm、長さ250mmのステンレス管に、粒子径5μmの液体クロマトグラフィー用オクタデシルシリル化シリカゲルが充填されたもの。
移動層A:りん酸二水素カリウム8.16gを水3000mLに添加し溶解させた後、りん酸を加えてpH2.5に調製した混合液
移動層B:アセトニトリル
移動層の送液:移動層 A 及び移動層 B の混合比を次のように変えて濃度勾配制御する
流量:毎分0.8mL
カラム温度:30℃付近の一定温度
測定定時間:50分
保持時間: イグラチモド:8.11分(RRT1.00)
UK-3:10.36分(RRT1.28)
イグラチモド前駆体:5.53分(RRT0.68)
イグラチモドの生成率(%)およびUK-3の生成率(%)は、上記条件で測定される全ピーク(溶媒ピークを除く)の面積値の合計に対するそれぞれの面積値の割合である。また、イグラチモド前駆体からのイグラチモドへの転化率(%)は、イグラチモドおよびイグラチモド前駆体のピークの面積値の合計に対するイグラチモドのピークの面積値の割合である。
実施例1
N,N-ジメチルホルムアミド30mLとイグラチモド前駆体10g(27.45mmol)に、トリエチルアミン8.33g(82.33mmol)の混合物に、0~10℃の温度にてN,N-ジメチルホルムアミドジメチルアセタール9.81g(82.33mmol)を加えた。この混合物を0~10℃において3時間撹拌した(転化率:64.3%)。その後に反応混合物を35℃に昇温して1.5時間撹拌した(転化率:99.9%)。該反応混合物を0~10℃へ冷却し、アセトンを90mL加えた。10%塩化水素水溶液50.0gを加えて酸性とし、析出した固体をろ取した。50%含水アセトン10mLで二回洗浄し、減圧下50℃にて乾燥して、白色固体として8.21g(収率82%、HPLC純度99.76%)のイグラチモドを得た。表2に環化反応後の反応系中のイグラチモドとUK-3の生成率を示した。
実施例2
N,N-ジメチルホルムアミド3mLとイグラチモド前駆体1.0g(2.74mmol)、トリエチルアミン0.83g(8.23mmol)の混合物に、0~10℃の温度にてN,N-ジメチルホルムアミドジメチルアセタール0.98g(8.23mmol)を加えた。この混合物を40℃において3時間撹拌して、イグラチモドを得た(転化率:99.9%)。表2に環化反応後の反応系中のイグラチモドとUK-3の生成率を示した。
実施例3
N,N-ジメチルホルムアミド0.45mLとイグラチモド前駆体0.15g(0.412mmol)およびピリジン97.7mg(1.24mmol)の混合物に、0~10℃にて環化剤のN,N-ジメチルホルムアミドジメチルアセタール0.15g (1.24mmol)を加えた。この混合物を0~10℃にて2時間撹拌した(転化率:91.6%)。その後、反応混合物を40℃に昇温し1時間撹拌して、イグラチモドを得た(転化率:99.9%)。表2に環化反応後の反応系中のイグラチモドおよびUK-3の生成率を示した。
比較例1
N,N-ジメチルホルムアミド0.45mLとイグラチモド前駆体0.15g(0.412mmol)の混合物に、0~10℃の温度にて環化剤のN,N-ジメチルホルムアミドジメチルアセタール0.15g(1.24mmol)を加えた。この混合物を0~10℃において同温範囲内で2時間撹拌した(転化率94.0%)。反応混合物を40℃に昇温し、1時間撹拌して、イグラチモドを得た(転化率:99.9%)。表2に環化反応後の反応系中のイグラチモドの生成率およびUK-3の生成率を示した。
比較例2
N,N-ジメチルホルムアミド3mLとイグラチモド前駆体1.0g(2.74mmol)の混合物に、0~10℃の温度にて環化剤のN,N-ジメチルホルムアミドジメチルアセタール0.82g(6.86mmol)および氷酢酸165mg(2.74mmol)を順次加えた。この混合物を17.5℃において4時間撹拌した(転化率90.0%)。表2に環化反応後の反応系中のイグラチモドの生成率、およびUK-3の生成率を示した。
実施例4~6
表2に示した有機塩基又は酸を用いた以外は実施例3と同様にして環化反応を行い、イグラチモドを得た。表2に環化反応後の反応系内のイグラチモドの生成率およびUK-3の生成率を示した。
比較例3
表2に示した有機塩基又は酸を用いた以外は実施例2と同様にして環化反応を行い、イグラチモドを得た。表2に環化反応後の反応系内のイグラチモドの生成率およびUK-3の生成率を示した。

Claims (4)

  1. 下記式(2)
    (式中、Rは置換基で置換されていてもよいフェニル基であり、Rは置換基で置換されていてもよい炭素数1~10のアルキル基である。)
    で表わされるイグラチモド誘導体前駆体またはその塩を、有機塩基の存在下、環化剤を用いて環化反応を行うことを特徴とする、下記式(3)
    (式中、R、Rは前記式(2)におけるものと同義である。)
    で表わされるイグラチモド誘導体またはその塩の製造方法。
  2. 有機塩基が、下記式(4-1)、(4-2)、(4-3)又は(4-4)
    (式(4-1)中、R~Rは、置換基で置換されていてもよいアルキル基、置換基で置換されていてもよいアラルキル基、又は水素原子であり、それぞれ同一の基であっても、異なる基であってもよく、R~Rの全てが水素原子であることはない。
    式(4-2)中、Rは、置換基で置換されていてもよいアルキル基、置換基で置換されていてもよいアラルキル基、又は水素原子である。また、Xは-CH2-、-NH-、-NMe-、-O-、-S-、-S(=O)-又は-SO2-から選ばれる基である。l、mはそれぞれ独立して0~10から選ばれる整数である。
    式(4-3)中、Rは、ハロゲン原子、エステル基、カルボキシル基、アミド基、ニトリル基、ニトロ基、アルデヒド基、ケトン基、アルキル基又はアラルキル基から選ばれる置換基である。nは0~5から選ばれる整数であり、nが2以上の場合、Rはそれぞれ同一の基であっても、異なる基であってもよい。
    式(4-4)中、Yは、-CH2-、-NH-又は-NMe-から選ばれる基である。oは、1~5から選ばれる整数である)。
    で表わされる有機塩基から選択される少なくとも1種の有機塩基である、請求項1記載のイグラチモド誘導体またはその塩の製造方法。
  3. 環化剤がN,N-ジメチルホルムアミドジメチルアセタールである、請求項1記載のイグラチモド誘導体またはその塩の製造方法。
  4. 環化反応を、転化率が50%以上となるまで-10~20℃において行う、請求項1記載のイグラチモド誘導体またはその塩の製造方法。
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