(1)概要
以下の実施形態において説明する各図は、模式的な図であり、各図中の各構成要素の大きさ及び厚さそれぞれの比が、必ずしも実際の寸法比を反映しているとは限らない。
本実施形態に係るトランスシステム100は、図1に示すように、複数(図示例では2つ)の一次巻線1と、複数の一次巻線1と電磁結合される二次巻線2と、を備えている。以下では一例として、トランスシステム100が、電力線搬送通信システムA1(図1参照)に適用されることを想定して説明する。トランスシステム100は、例えば、カプラ装置X1(図1参照)に組み込まれて提供され得る。カプラ装置X1は、電力線搬送通信システムA1の一部を構成し、通信部120(通信回路)と電力線P1との間を結合する。カプラ装置X1は、電力線P1を通信回線として利用するための装置である。
ここで、トランスシステム100において、複数の一次巻線1の各々は、いずれか一方が入力側となり他方が出力側となる一対の一次側端子部10を有している。一対の一次側端子部10は、第1方向D1(図2~図4A参照)において互いに対向するように配置される。一対の一次側端子部10は、第1方向D1の一方側に配置される第1端子部11と、第1方向D1の他方側に配置される第2端子部12と、を含む。複数の一次巻線1の複数の第1端子部11は、第1方向D1と交差(ここでは略直交)する第2方向D2において互いに対向する。複数の一次巻線1の複数の第2端子部12は、第2方向D2において互いに対向する。
この構成によれば、各一次巻線1の一対の一次側端子部10は、第1方向D1において互いに対向し、複数の第1端子部11が、第2方向D2において互いに対向し、複数の第2端子部12は、第2方向D2において互いに対向している。つまり、複数の一次巻線1の複数の端子部が、第1方向D1において、一方側と他方側とに分かれて配置されている。したがって、複数の一次巻線1の間における絶縁離隔距離を確保しつつ、第1方向D1におけるトランスシステム100の寸法を小さくしやすくなる。結果的に、電気的信頼性の低下を抑制しつつ、小型化を図ることができる。
以下のトランスシステム100の説明においては、図2における第1方向D1に沿った方向を上下方向と規定する。したがって、図2で言えば、各一次巻線1の第1端子部11は、上方側(第1方向D1の一方側)に配置され、各一次巻線1の第2端子部12は、下方側(第1方向D1の他方側)に配置されている。また第2方向D2に沿った方向を左右方向と規定する。したがって、図2で言えば、2つの一次巻線1の2つの第1端子部11は、左右方向に並んでいる。同様に、2つの一次巻線1の2つの第2端子部12は、左右方向に並んでいる。また図3中の第3方向D3は、第1方向D1及び第2方向D2を含む(仮想)平面と直交する方向であり、以下の説明では前後方向とする。ただし、これらの方向は一例であり、トランスシステム100の使用時の方向を限定する趣旨ではない。また、第1方向D1~第3方向D3の各方向を示す矢印は説明のために表記しているに過ぎず、実体を伴わない。
(2)詳細
以下、本実施形態に係るトランスシステム100、及びそれを備える電力線搬送通信システムA1の全体構成について、図1~図4Bを参照しながら詳しく説明する。
(2.1)全体構成
電力線搬送通信システムA1は、図1に示すように、電力線P1を通信回線とし、情報端末124と外部端末101との通信を可能にする。ここでは一例として、電力線搬送通信システムA1の機能の全てが、1つの筐体からなる一の電力線搬送通信装置に設けられていることを想定するが、特に限定されず、その機能が二以上の装置に分散的に設けられてもよい。
ここで、外部端末101は、電力線P1を介して電力線搬送通信システムA1に接続された情報端末である。外部端末101は、例えば、別の電力線搬送通信装置、パーソナルコンピュータ(PC)、携帯電話、タブレット型コンピュータ、ゲーム機器、テレビ受像機、又はIoT機器(例えばネットワークカメラ又は各種のセンサ)等である。
電力線搬送通信システムA1は、カプラ装置X1と、通信部120と、電源ユニットS1と、を備えている(図1参照)。カプラ装置X1の詳細は、次の欄で説明する。
電源ユニットS1は、図1に示すように、雑音阻止回路140と、スイッチング電源130とを有している。
雑音阻止回路140は、カプラ装置X1とスイッチング電源130との間に設けられている。雑音阻止回路140は、2つのライン間(配線W12,W12間)に挿入される2つのコンデンサC1,C2と、コモンモードチョークコイルT1と、を有している。
2つのコンデンサC1,C2は、アクロスコンデンサとも呼ばれ、ノーマルモードの雑音を低減する。コモンモードチョークコイルT2は、コモンモードの雑音を低減する。言い換えると、2つのライン(配線W12,W12)の間で逆位相のノーマルモードノイズは、コンデンサC1,C2により短絡して低減され、2つのラインの間で同相のコモンモードノイズは、コモンモードチョークコイルT2のインダクタンスにより低減される。
したがって、スイッチング電源130で雑音が生じても、雑音は雑音阻止回路140で低減されるため、カプラ装置X1及び電力線P1に流れ出ることが抑制される。
スイッチング電源130は、電力線P1からの交流電流を直流電流に変換し、この直流電流を通信部120に出力する。スイッチング電源130は、例えば、電力線P1からの交流電圧を整流する整流回路と、整流回路で整流された脈流電圧を所定の電圧値の直流電圧に変換する降圧チョッパ回路とを有している。降圧チョッパ回路は、スイッチング素子をスイッチングすることによって、脈流電圧を所定の電圧値の直流電圧に変換する。結果的に、通信部120は、スイッチング電源130から電力供給を受ける。降圧チョッパ回路のスイッチング動作によって高周波のノイズが発生する可能性があるが、このノイズは雑音阻止回路140によって低減される。
通信部120は、図1のように、カプラ装置X1と、カプラ装置X1に接続される電力線P1と、を介して外部端末101と通信する。通信部120は、送信部121と、受信部122と、データ処理部123とを有している。送信部121は、カプラ装置X1の一対の第3接続部X13,X13(図1参照)に電気的に接続されると共に、データ処理部123にも電気的に接続される。受信部122は、カプラ装置X1の一対の第3接続部X13,X13に電気的に接続されると共に、データ処理部123にも電気的に接続される。データ処理部123は、情報端末124と通信する。
受信部122は、電力線P1からの通信信号(受信信号)を、トランスシステム100を介して受信し、かつ受信信号をデータ処理部123に出力する。受信部122は、例えば、A/D変換器と、マルチキャリア変換器と、等化器と、P/S変換器と、デマッパとを含む。A/D変換器は、トランスシステム100の二次巻線2からアナログ信号として入力される受信信号をデジタル信号に変換する。マルチキャリア変換器は、フーリエ変換(FFT)またはウェーブレット変換器(DWT)等により所望の時間-周波数変換を行う。等化器は、電力線P1の影響を除去して受信信号を補正する。P/S変換器は、パラレルデータをシリアルデータに変換する。デマッパは、マッピングされたシンボルデータを受信信号であるビットデータに変換する。
送信部121は、情報端末124の通信信号(送信信号)がデータ処理部123を介して入力され、かつトランスシステム100を介して送信信号を電力線P1に送信する。送信部121は、例えば、シンボルマッパと、S/P変換器と、逆マルチキャリア変換器と、D/A変換器とを含む。シンボルマッパは、送信信号であるビットデータをシンボルデータに変換してシンボルマッピングを行う。S/P変換器は、シリアルデータをパラレルデータに変換する。逆マルチキャリア変換器は、逆フーリエ変換(IFFT)又は逆ウェーブレット変換(IDWT)等により所望の周波数-時間変換を行う。D/A変換器は、デジタル信号として入力された送信信号をアナログ信号に変換して、トランスシステム100の二次巻線2に出力する。
データ処理部123は、例えば、1以上のプロセッサ(マイクロプロセッサ)と1以上のメモリとを含むコンピュータシステムにより実現され得る。つまり、1以上のプロセッサが1以上のメモリに記憶された1以上のプログラム(アプリケーション)を実行することで、データ処理部123として機能する。プログラムは、ここではデータ処理部123のメモリに予め記録されているが、インターネット等の電気通信回線を通じて、又はメモリカード等の非一時的な記録媒体に記録されて提供されてもよい。
データ処理部123は、受信部122から入力された受信信号を情報端末124と通信できるように処理し、情報端末124からの送信信号を送信部121に入力できるように処理する。データ処理部123は、情報端末124と無線通信する。データ処理部123は、情報端末124と有線通信してもよい。
情報端末124は、例えば、パーソナルコンピュータ(PC)、携帯電話、タブレット型コンピュータ、ゲーム機器、テレビ受像機、又はIoT機器(例えばネットワークカメラ又は各種のセンサ)等である。
電力線搬送通信システムA1は、電力線P1に接続された外部端末101との間で電力線搬送通信方式により通信を行う。これにより、情報端末124は、電力線搬送通信システムA1を介して、電力線P1に接続された外部端末101と通信を行うことができる。外部端末101は、電力線搬送通信の通信モジュールを有する端末装置でもよいし、別の電力線搬送通信システムでもよい。外部端末101が、電力線P1に接続された別の電力線搬送通信システムである場合、電力線搬送通信システムA1に接続される情報端末124は、別の電力線搬送通信システムに接続される情報端末との間で通信を行うことができる。外部端末101は、例えばインターネットのような広域ネットワークに接続されるゲートウェイ装置を含み得る。外部端末101がゲートウェイ装置の場合、情報端末124は、電力線搬送通信システムA1と、外部端末101であるゲートウェイとを介して、インターネットに接続されたサーバとの間で通信を行うことができる。
本実施形態の電力線搬送通信システムA1は、例えば、任意のコンセント用フレームに固定されてもよい。これにより、プラグ等を用いることなく一対の第1接続部X11,X11(図1参照)を電力線P1に接続することができる。
(2.2)カプラ装置
カプラ装置X1は、電力線P1と通信部120とを結合するように構成される。カプラ装置X1は、トランスシステム100と、コンデンサ6(図1参照)と、これらが実装される実装基板(例えばプリント配線板)と、を備える。トランスシステム100は、結合トランスX2と、端子台5(台座)とを備えている。
端子台5は、全体として前後方向に扁平な略矩形の板状となっている。端子台5は、例えば、電気絶縁性を有した樹脂製の部材である。端子台5は、ユリア樹脂等の難燃性の樹脂から形成されていることが好ましい。端子台5は、結合トランスX2を搭載する部材である。端子台5は、本体部50と、突起部52と、壁部53とを有している。
本体部50は、図2に示すように、正面視において(つまり第3方向D3に沿って見て)、略正方形状である。本体部50は、8つの溝部51を有している。具体的には、8つの溝部51は、本体部50の上側の縁(第1縁501)と、下側の縁(第2縁502)との各々に、4つずつ形成されている。各縁の4つの溝部51は、第2方向D2に沿って所定の間隔W1で並んでいる。なお、以下では、本体部50の左側の縁を第3縁503と呼び、本体部50の右側の縁を第4縁504と呼ぶ。第1縁501及び第2縁502は、互いに対向し、いずれも第2方向D2に沿っている。第3縁503及び第4縁504は、互いに対向し、いずれも第1方向D1に沿っている。
各溝部51は、内側に向かって半円状に凹んでいる。各溝部51は、図3に示すように、本体部50の厚み方向における両端面(前面及び後面)にわたって形成されている。
本実施形態では、8つの溝部51のうち6つの溝部51には、結合トランスX2の巻線が挿入されて絡められる。6つの溝部51とは、図3で言えば、左端から1番目の2つの溝部51、2番目の2つの溝部51、及び4番目の2つの溝部51である。言い換えると、8つの溝部51のうち、左端から3番目の2つの溝部51は、本実施形態では不使用である。溝部51の数は、特に限定されない。ただし、溝部51の数は、一次側及び二次側の両方の端子部(10,20)の数以上であることが好ましい。
突起部52は、図2に示すように、本体部50の表面(前面)の中心部から略円柱状に突出している。突起部52は、結合トランスX2のコア4を保持するように構成された部位である。突起部52は、本体部50と一体となって形成されている。
壁部53は、図3に示すように、第2方向D2に沿って長尺の、直方体状の部位である。壁部53は、本体部50の裏面(後面)の、第1方向における中央から後方に突出している。壁部53は、裏面(後面)の、第3縁503の近傍から第4縁504の近傍まで形成されている。壁部53は、本体部50と一体となって形成されている。
また本体部50の裏面(後面)には、8つの凹部54(貫通した孔でもよい)が設けられている。8つの凹部54は、壁部53を境に上下に4つずつに分かれて配置されている。上側及び下側の各々の4つの凹部54は、第2方向D2に沿って所定の間隔W1で並んでいる。各凹部54は、8つの溝部51のうちの対応する1つの溝部51と、第1方向D1において隣接して配置される。8つの凹部54のうち6つの凹部54の各々には、(後述する)6本のリード端子(15,25)のうち、対応するリード端子が挿入されて固定される。第3方向に沿って見て、上側及び下側の各々の3つのリード端子は、第2方向D2に沿って並ぶ。したがって、上側2つのリード端子15は、所定の間隔W1で配置され、下側2つのリード端子15も、所定の間隔W1で配置される。
本実施形態では、端子台5が、電気絶縁性を有する絶縁部3(図2及び図3参照)に相当する。絶縁部3は、一対の一次側端子部10の間における絶縁性を確保する第1部位31と、一対の一次側端子部10に対する、一対の二次側端子部20の絶縁性を確保する第2部位32と、を含む。第1部位31と第2部位32とは、同一部材で形成されている。ここでは、本体部50及び壁部53のうち、一対の一次側端子部10の間における部位が、第1部位31に相当する。また本体部50及び壁部53のうち、一対の二次側端子部20と、第2の一次巻線1Bの一対の一次側端子部10との間における部位が、第2部位32に相当する。このように第1部位31と第2部位32とが同一部材で形成されていることで、これらが別々の部材で形成されている場合に比べて、部材点数の増加を抑制できる。
またカプラ装置X1は、図1に示すように、一対の第1接続部X11,X11と、一対の第2接続部X12,X12と、一対の第3接続部X13,X13と、を更に備えている。一対の第1接続部X11,X11は、配線W11,W11を介して、一対の電力線P1とそれぞれ電気的に接続され得る。一対の第2接続部X12,X12は、配線W12,W12を介して、雑音阻止回路140とスイッチング電源130とで構成される電源ユニットS1と電気的に接続され得る。一対の第3接続部X13,X13は、通信部120と電気的に接続され得る。これら6つの接続部(X11~X13)は、例えば、カプラ装置X1のケースから外部に露出する形態でケースに保持される。
ここでは通信部120、雑音阻止回路140、及びスイッチング電源130は、カプラ装置X1の外に配置されている(図1参照)。しかし、通信部120、雑音阻止回路140、及びスイッチング電源130も、カプラ装置X1のケース内に収容されていてもよい。
結合トランスX2は、2つの一次巻線1、1つの二次巻線2、及び、コア4を有している。以下では、図2及び図3において、2つの一次巻線1のうち、一対の一次側端子部10が第3縁503寄りにある方の一次巻線1を第1の一次巻線1Aと呼び、第1の一次巻線1Aの右隣りにある一次巻線1を第2の一次巻線1Bと呼ぶことがある。
コア4は、一次巻線1と二次巻線2との間で磁束を伝達する部材である。本実施形態におけるコア4は、例えば、ドーナツ型のコアであり、いわゆるトロイダルコアである。コア4は、磁性材料により形成されている。この磁性材料として、例えば、フェライト、及びカーボニル鉄等が挙げられる。コア4は、端子台5の上に搭載される。ここでは、コア4は、その中心の孔40に上述した端子台5の突起部52を差し込むことで、端子台5に対する位置決めが達成される。コア4は、複数(2つ)の一次巻線1及び二次巻線2が巻回される。
2つの一次巻線1の各々は、銅等の金属の線材が絶縁材料で被覆されてなり、コア4に複数回巻き付けられている。2つの一次巻線1の各々の線材として、例えば、単線、複数の単線を撚り合わせたリッツ線、及び平角線が挙げられる。本実施形態では、複数(2つ)の一次巻線1が、電力線P1と電気的に接続される。
各一次巻線1は、コア4に巻き付けられたコイル部13と、コイル部13の両端からそれぞれ引き出されている一対の引き出し線14と、一対のリード端子15(図示例では挿入実装用のリードピン)と、を有している。一対の引き出し線14は、線材の周囲の絶縁材料が剥がされて形成されている。一対のリード端子15は、一対の引き出し線14の先端に、それぞれ半田付けしたりすることによって固定される。
本実施形態では、例えば、コア4に対する、第1の一次巻線1Aの巻き方向は、第2の一次巻線1Bの巻き方向と互いに逆向きである。第1の一次巻線1Aを構成する線材と、第2の一次巻線1Bを構成する線材とは、同じであることが好ましい。
2つの一次巻線1の各々は、いずれか一方が入力側となり他方が出力側となる一対の一次側端子部10を有している。本実施形態では、一次側「端子部」は、上述したリード端子15(リードピン)に相当する。言い換えると、各一次巻線1は、一対のリード端子15として、入力端子15Aと出力端子15Bとを有している。
2つの一次巻線1の2つの入力端子15Aは、一対の第1接続部X11,X11と、それぞれ電気的に接続される。なお、一対の第1接続部X11,X11には、一対の配線W11,W11を介して、一対の電力線P1がそれぞれ電気的に接続される。結果的に、トランスシステム100の2つの一次巻線1は、2つの入力端子15Aを介して、一対の電力線P1と電気的に接続される。
また2つの一次巻線1の2つの出力端子15Bは、一対の第2接続部X12,X12とそれぞれ電気的に接続される。なお、一対の第2接続部X12,X12には、配線W12,W12の一端がそれぞれ電気的に接続され、配線W12,W12の他端は、電源ユニットS1の雑音阻止回路140に接続される。結果的に、トランスシステム100の2つの一次巻線1は、2つの出力端子15Bを介して、雑音阻止回路140と電気的に接続される。
二次巻線2は、2つの一次巻線1と電磁結合される。二次巻線2は、銅等の金属の線材が絶縁材料で被覆されてなり、コア4に複数回巻き付けられている。二次巻線2の線材として、例えば、単線、複数の単線を撚り合わせたリッツ線、及び平角線が挙げられる。本実施形態では、二次巻線2が、電力線P1に重畳される通信信号の入出力を行う通信部120と電気的に接続される。
二次巻線2は、コア4に巻き付けられたコイル部23と、コイル部23の両端からそれぞれ引き出されている一対の引き出し線24と、一対のリード端子25(図示例では挿入実装用のリードピン)と、を有している。一対の引き出し線24は、線材の周囲の絶縁材料が剥がされて形成されている。一対のリード端子25は、一対の引き出し線24の先端に、それぞれ半田付けしたりすることによって固定される。
二次巻線2は、一対の二次側端子部20を有している。本実施形態では、二次側「端子部」は、上述したリード端子25(リードピン)に相当する。一対の二次側端子部20は、一対の第3接続部X13,X13と、それぞれ電気的に接続される。
本実施形態では、例えば、コア4に対する、二次巻線2の巻き方向は、第1の一次巻線1Aの巻き方向と逆向きで、第2の一次巻線1Bの巻き方向と同じ向きである。
なお、トランスシステム100にとって、6本のリード端子(15、25)が設けられていることは必須の構成ではなく、6本のリード端子の少なくとも一部は、適宜に省略されてもよい。例えば、リード端子15が省略される場合、一次側「端子部」は、引き出し線14の先端部に相当してもよい。またリード端子25が省略される場合、二次側「端子部」は、引き出し線24の先端部に相当してもよい。
以下、トランスシステム100の組立手順の一例について、簡単に説明する。先ず2つの一次巻線1と二次巻線2とを、コア4に巻き付ける。そして、コア4の中心の孔40に突起部52を差し込む。その結果、コア4が端子台5に対して位置決めされる。
次に2つの一次巻線1のコイル部13の両端部及び4本の引き出し線14を、本体部50の8つの溝部51のうち左側4つの溝部51にそれぞれ挿入して絡めつける。さらに4本の引き出し線14の先端を、4本のリード端子15に、例えば半田付けでそれぞれ固定する。
同様に、二次巻線2のコイル部23の両端部及び2本の引き出し線24を、本体部50の8つの溝部51のうち右端の2つの溝部51にそれぞれ挿入して絡めつける。さらに2本の引き出し線24の先端を、2本のリード端子25に、例えば半田付けでそれぞれ固定する。
その結果、トランスシステム100の組立が完了し、コア4、2つの一次巻線1、及び二次巻線2が、端子台5に安定的に保持される。そして、トランスシステム100は、6つのリード端子(15,25)を有するリード部品としてカプラ装置X1の実装基板に実装され得る。
なお、本実施形態では、一対の電力線P1は、互いに極性が異なるため、2つの一次巻線1も、互いに異極性となる。電源ユニットS1のスイッチング電源130は、一対の電力線P1から、トランスシステム100を介して、例えば実効値100Vの交流電力の供給を受け、直流電力を生成して、通信部120に出力する。
コンデンサ6は、図1に示すように、2つの一次巻線1の2つの出力端子15Bを繋ぐ電路L1の途中に挿入されている。なお、電路L1は、例えば、トランスシステム100が実装される実装基板に形成されるパターン配線により構成される。具体的には、コンデンサ6の第1端は、第1の一次巻線1Aの出力端子15Bと電気的に接続され、コンデンサ6の第2端は、第2の一次巻線1Bの出力端子15Bと電気的に接続される。なお、第1の一次巻線1Aの出力端子15Bは、電路L2を介して、一対の第2接続部X12,X12の一方と電気的に接続され、第2の一次巻線1Bの出力端子15Bは、電路L3を介して、一対の第2接続部X12,X12の他方と電気的に接続される。
コンデンサ6は、商用交流電源の周波数の交流電流に対して、大きなインピーダンスを有し、商用周波数(例えば50/60Hz)よりも高い周波数(例えば2~30MHz)の通信信号に対して小さいインピーダンスを有している。したがって、結合トランスX2を介して入出力される通信信号は、電源ユニットS1のスイッチング電源130に漏れにくくなる。
なお、コンデンサ6も、トランスシステム100の構成要素の1つとして、端子台5に搭載されてもよい。
(2.3)巻線の端子部の配置関係
ところで、トランスシステム100では、各一次巻線1の一対の一次側端子部10は、第1方向D1(図2及び図4Aでは上下方向)において互いに対向するように配置される。つまり、各一次巻線1の入力端子15Aと出力端子15Bとは、第3方向に沿って見て、第1方向D1において互いに対向するように配置される。ここでいう「第1方向D1において互いに対向」とは、各一次巻線1の一対の一次側端子部10を結ぶ(仮想的な)線分が、第1方向D1と厳密に平行であることに限定されず、当該線分は、第1方向D1に対して若干傾斜(例えば±30度)してもよい。
またトランスシステム100では、各一次巻線1の一対の一次側端子部10は、第1方向D1の一方側(上側)に配置される第1端子部11と、第1方向D1の他方側(下側)に配置される第2端子部12と、を含む。ここでは、第1端子部11が入力端子15Aに相当し、第2端子部12が出力端子15Bに相当する。言い換えると、本実施形態では一例として、複数(ここでは2つ)の第1端子部11は、全て入力側の端子部であり、複数(ここでは2つ)の第2端子部12は、全て出力側の端子部である。
そして本実施形態では、2つの一次巻線1の2つの第1端子部11(2つの入力端子15A)は、第2方向D2において互いに対向する。また2つの一次巻線1の2つの第2端子部12(2つの出力端子15B)は、第2方向D2において互いに対向する。ここでいう「第2方向D2において互いに対向」とは、2つの第1端子部11(又は2つの第2端子部12)を結ぶ仮想的な線分が、第2方向D2と厳密に平行であることに限定されず、当該線分は、第2方向D2に対して若干傾斜(例えば±30度)してもよい。
つまり、2つの一次巻線1の4つの端子部が、第1方向D1において、一方側と他方側とに分かれて配置されている。したがって、2つの一次巻線1の間における絶縁離隔距離を確保しつつ、第1方向D1におけるトランスシステム100の寸法を小さくしやすくなる。結果的に、トランスシステム100は、電気的信頼性の低下を抑制しつつ、小型化を図ることができる、という利点がある。
ここで、トランスシステム100の利点をより理解しやすくするために、図4A及び図4Bを参照しながら説明する。図4Aは、図2に示すトランスシステム100における6つの端子部(11,12,20)の配置関係を分かりやすくするために、更に模式化した図である。図4Aでは、一対の入力線71の一端が、2つの一次巻線1の2つの第1端子部11(2つの入力端子15A)とそれぞれ電気的に接続される。なお、一対の入力線71の他端は、一対の第1接続部X11,X11(図1参照)とそれぞれ電気的に接続される。入力線71は、例えば、トランスシステム100が実装される実装基板に形成されるパターン配線により構成される。
また一対の出力線72の一端が、2つの一次巻線1の2つの第2端子部12(2つの出力端子15B)にそれぞれ電気的に接続される。なお、一対の出力線72の他端は、一対の第2接続部X12,X12(図1参照)とそれぞれ電気的に接続される。出力線72も、例えば、トランスシステム100が実装される実装基板に形成されるパターン配線により構成される。図4Aでは、コンデンサ6の図示を省略する。
一方、図4Bは、比較例としてトランスシステム100Xの模式的な図である。トランスシステム100Xは、2つの一次巻線1Xと二次巻線2Xとを備えている。ただし、トランスシステム100Xでは、2つの一次巻線1Xの2つの入力端子及び2つの出力端子が全て一方側(図示例では左側)に配置されていることに起因して、2本の入力線71及び2本の出力線72も、一方側に寄せ集まるように配線される。ここでは、2本の入力線71の間に、2本の出力線72が配置される。また二次巻線2Xの一対の端子は、2つの一次巻線1Xの4つの端子がある上記一方側とは反対側(図示例では右側)に配置されている。
トランスシステム100Xでは、互いに異極性の一対の出力線72間の絶縁離隔距離を確保する絶縁領域H3(ドットハッチング)が設けられている。またトランスシステム100Xでは、2つの一次巻線1Xと二次巻線2Xとの間の絶縁離隔距離を確保する絶縁領域H4(ドットハッチング)が設けられている。そのため、トランスシステム100Xでは、縦方向及び横方向の両方向において、絶縁離隔距離を稼ぐために寸法が大きくなり得る。つまり、トランスシステム100Xは、絶縁離隔距離に関する制約を受けやすい巻線の端子部の配置関係となっている。なお、絶縁領域H3,H4は、絶縁離隔距離を分かりやすくするために例示的に示しており、その範囲を厳密に規定する趣旨で図示していない。
またトランスシステム100Xでは、2つの一次巻線1Xにおいて、入力線71と出力線72とが交差する箇所が発生しやすく(図4Bでは2箇所)、多層基板の使用を避けにくい。また一次側における異極間の配線禁止範囲が複雑になり、基板配線が可能な面積が減少してしまう可能性がある。
一方、本実施形態に係るトランスシステム100では、第2方向D2に対する絶縁離隔距離を確保すればよい(ドットハッチングの絶縁領域H1,H2参照)。したがって、トランスシステム100の第1方向D1に対する寸法を小さくしやすい巻線の端子部の配置関係となっていて、端子台5の縦方向(第1方向D1)の寸法も小さくしやすくなる。その結果、トランスシステム100では、電気的信頼性の低下を抑制しつつ、小型化を図ることができる。なお、絶縁領域H1,H2は、絶縁離隔距離を分かりやすくするために例示的に示しており、その範囲を厳密に規定する趣旨で図示していない。
またトランスシステム100Xが電力線搬送通信システムに適用される場合、例えばAC100Vの電力が、結合トランスを介して、入力側から出力側(スイッチング電源側)にそのまま送り出す形態においては、配線が交差してしまう可能性が高い。その点でも、トランスシステム100では、上側の2つの第1端子部11が全て入力側の端子部であり、下側の2つの第2端子部12が全て出力側の端子部であるため、2つの一次巻線1において、入力線71と出力線72とが交差する箇所が発生しにくい。なお、図1(回路図)では配線の交差箇所が存在するが、実際のトランスシステム100では、図4Aに示すように、トランスシステム100Xに比べて交差箇所が発生しにくい。そのため、多層基板を使う必要性を低減できる。また基板配線が可能な面積の減少を抑制できる。
本実施形態では、2つの第1端子部11は、図4Aに示すように、第2方向D2において、所定の間隔W1で配置される。また2つの第2端子部12も、図4Aに示すように、第2方向D2において、所定の間隔W1で配置される。したがって、図4Aにおいてドットハッチングで示す絶縁領域H1から分かるように、極性が互いに異なる2つの一次巻線1の、2つの第1端子部11間における絶縁離隔距離、並びに、2つの第2端子部12間における絶縁離隔距離が確保されやすくなる。結果的に、より電気的信頼性の低下を抑制しつつ、小型化を図ることができる。
また本実施形態では、2つの一次巻線1は、コア4に巻き付けられた状態で、端子台5に保持される。言い換えると、端子台5は、複数(ここでは2つ)の一次巻線1の、複数(2つ)の第1端子部11及び複数(2つ)の第2端子部12を保持する。したがって、上述した「端子部の配置関係」がより安定した形態で保たれたトランスシステム100を提供できる。
ここで本実施形態では、複数の一次巻線1の重心G1(図2及び図4A参照)は、第3方向D3から見て、第1方向D1における一対の一次側端子部10の間に位置する。したがって、更にトランスシステム100の小型化を図ることができる。なお、本実施形態では、コア4の重心G2(図2参照)も、第3方向D3から見て、第1方向D1における一対の一次側端子部10の間に位置する。また本実施形態では、二次巻線2の重心G3(図2参照)も、第1方向D1における一対の一次側端子部10の間に位置する。本実施形態のように絶縁材料で被覆された巻線に使用する場合には、二次巻線2は、一次巻線1と同じ位置に配置されてもよく、二次巻線2の重心G3は、一次巻線1の重心G1と概ね一致してもよい。
二次巻線2の一対の二次側端子部20は、図4Aに示すように、上側と下側とに分かれて配置される。特に上側の二次側端子部20、及び2つの入力端子15Aは、第1の辺V1(上辺)において並ぶ。また下側の二次側端子部20、及び2つの出力端子15Bは、第2の辺V2(下辺)において並ぶ。第1の辺V1は、端子台5の本体部50の第1縁501に沿った辺であり、第2の辺V2は、端子台5の本体部50の第2縁502に沿った辺である。なお、第1の辺V1(上辺)の両端と、第2の辺V2(下辺)の両端とをそれぞれ繋ぐ第3の辺V3(左辺)及び第4の辺V4(右辺)は、本体部50の第3縁503及び第4縁504にそれぞれ沿った辺である。第1の辺V1~第4の辺V4は、矩形状の四辺を構成する。
言い換えると、一対の二次側端子部20の一方は、第2方向D2において第1端子部11と対向するように、第1方向D1の一方側に配置される。また一対の二次側端子部20の他方は、第2方向D2において第2端子部12と対向するように、第1方向D1の他方側に配置される。したがって、トランスシステム100の第1方向D1に対する寸法を更に小さくしやすい。
また二次巻線2の一対の二次側端子部20は、図4Aに示すように、2つの一次巻線1のうち、二次側端子部20に近い方の第2の一次巻線1Bの一対の一次側端子部10と、それぞれ、間隔W2を空けて対向している。間隔W2は、所定の間隔W1より大きい。言い換えると、一対の二次側端子部20の各々は、複数の第1端子部11、及び複数の第2端子部12のいずれに対しても、所定の間隔W1より大きい距離を空けて配置される。したがって、一対の一次側端子部10と一対の二次側端子部20との絶縁離隔距離を確保しやすくなる。ここでは一例として、間隔W2は、所定の間隔W1の約2倍である。
特に、一対の二次側端子部20は、第3方向D3から見て、複数(ここでは2つ)の第1端子部11、及び複数(ここでは2つ)の第2端子部12により囲まれた領域R1(図4A参照)の外側に配置される。したがって、一対の一次側端子部10と一対の二次側端子部20との絶縁離隔距離を確保しやすくなる。
(3)変形例
上記実施形態は、本開示の様々な実施形態の一つに過ぎない。上記実施形態は、本開示の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。
以下、上記実施形態の変形例を列挙する。以下に説明する変形例は、適宜組み合わせて適用可能である。以下では、上記実施形態を「基本例」と呼ぶこともある。
(3.1)変形例1
以下、変形例1のトランスシステム100Aについて、図5を参照しながら説明する。図5は、トランスシステム100Aを示し、図4Aと同様に、6つの端子部(11,12,20)の配置関係を分かりやすくするために、模式化した図である。以下では、基本例と実質的に共通する構成要素については、同じ参照符号を付して適宜にその説明を省略する場合がある。
基本例では、上側の二次側端子部20、及び2つの入力端子15Aは、第1縁501に沿った上辺において並び、下側の二次側端子部20、及び2つの出力端子15Bは、第2縁502に沿った下辺において並ぶ。しかし、二次側端子部20は、基本例の配置に限定されない。
トランスシステム100Aは、二次巻線2の二次側端子部20が、2つの一次巻線1の4つの一次側端子部10が並ぶ辺とは違う辺に配置されている点で、基本例と相違する。ここでは一例として、二次巻線2の一対の二次側端子部20は、その両方が第4の辺V4において並ぶ。言い換えると、一対の二次側端子部20は、第3方向D3から見て、同一の側において並んで配置される。この場合、本体部50の第4縁504に、二次巻線2のコイル部23の両端部及び2本の引き出し線24を絡めつけるための一対の溝部51が設けられる。また一対のリード端子25を固定するための一対の凹部54が、当該一対の溝部51に隣接して設けられる。
この構成によれば、基本例に比べて、一対の二次側端子部20が、互いに近い位置に配置されやすくなる。一対の二次側端子部20は、高周波の通信信号が入出力されるためラインに接続されるため、互いに近い位置となることで、結果的に、耐ノイズ性が向上されやすくなる。
(3.2)変形例2
以下、変形例2のトランスシステム100Bについて、図6を参照しながら説明する。図6は、トランスシステム100Bの下方から見た斜視図である。以下では、基本例と実質的に共通する構成要素については、同じ参照符号を付して適宜にその説明を省略する場合がある。
基本例では、コア4がトロイダルコアである。しかし、コアの種類はトロイダルコアに限定されない。
変形例2のトランスシステム100Bにおける結合トランスX2は、コア4の代わりに、一対の分割型のE字のコア4A(又はEIコアでもよい)を備えている点で相違する。結合トランスX2の2つの一次巻線1及び二次巻線2は、一対のコア4Aの中央部位に巻き付けられている。なお、図示例では、絶縁テープが巻線の上から巻かれている。
またトランスシステム100Bは、一対のコア4Aを保持する略矩形の箱状のボビン8を備えている。ボビン8は、電気絶縁性を有する絶縁部3に相当する。ボビン8は、結合トランスX2の一部を露出する窓部80を有している。またボビン8は、窓部80の、互いに対向する一対の開口縁において、結合トランスX2から離れる方向にそれぞれ突出する一対の脚部81を有している。脚部81は、ボビン8の本体部と一体となって形成されている。変形例2では、一対の脚部81が基本例の端子台5に相当する。すなわち、一対の脚部81は、2つの一次巻線1の2つの第1端子部11及び2つの第2端子部12を保持する。また一対の脚部81は、二次巻線2の2つの二次側端子部20も保持する。コア4Aは、一対の脚部81(端子台5)の上に搭載される。
各脚部81は、第2方向D2に沿って並ぶ複数(ここでは7つ)の溝部51を有している。すなわち、一例として、計14個の溝部51が設けられている。2つの一次巻線1の計4本の引き出し線14は、第2方向D2における一方側の端にある4つの溝部51にそれぞれ挿入されて絡めつけられる。一方、二次巻線2の2本の引き出し線24は、第2方向D2における他方側の端にある2つの溝部51にそれぞれ挿入されて絡めつけられる。
各一次巻線1は、一対の一次側端子部10として、一対の脚部81から外側に突出する、表面実装用の一対のリード端子15を有している。また二次巻線2は、一対の二次側端子部20として、一対の脚部81から外側に突出する、表面実装用の一対のリード端子25を有している。
変形例2のトランスシステム100Bは、表面実装型の部品としてカプラ装置X1の実装基板に実装され得る。
この構成においても、各一次巻線1の一対の一次側端子部10は、第1方向D1において互いに対向し、2つの第1端子部11が、第2方向D2において互いに対向し、2つの第2端子部12は、第2方向D2において互いに対向している。つまり、2つの一次巻線1の4つの端子部が、第1方向D1において、一方側と他方側とに分かれて配置されている。したがって、トランスシステム100Bにおいても、電気的信頼性の低下を抑制しつつ、小型化を図ることができる、という利点がある。
(3.3)その他の変形例
基本例では、一次巻線1の数は、2つであるが、2つ以上であれば特に限定されない。例えば、三相の電力線がトランスシステム100に接続される場合、一次巻線1の数は、例えば3つでもよい。
基本例では、2つの第1端子部11は全て入力側の端子部であり、2つの第2端子部12は全て出力側の端子部である。しかし、2つの第1端子部11は全て出力側の端子部で、2つの第2端子部12は全て入力側の端子部であってもよい。
或いは、2つの第1端子部11のうちの一方が入力側の端子部で、その他方が出力側の端子部であってもよい。この場合、2つの第2端子部12のうちの一方が出力側の端子部で、その他方が入力側の端子部となる。
基本例では、2つの第1端子部11、及び2つの第2端子部12が、いずれも第2方向D2に沿って並ぶ、すなわち、互いに平行となるように並ぶ。しかし、2つの第1端子部11、又は2つの第2端子部12の、少なくとも一方は、第2方向D2に対して若干傾斜した線に沿って並んでもよい。また第1端子部11(又は第2端子部12)の数が3つ以上の場合、複数の第1端子部11(又は第2端子部12)は、第2方向D2においてジグザク状に並んでもよい。
基本例では、トロイダルコアであるコア4の中心の孔40の軸方向は、第3方向D3と平行である。しかし、コア4は、軸方向が第1方向D1及び第2方向D2を含む平面と平行となるように立ち状態で、端子台5に搭載されてもよい(図7参照)なお、図7は、第1方向D1に沿って見た模式的な側面図で、図7では巻線の図示を省略している。特に軸方向を第1方向D1と平行にすることで、トランスシステム100の第1方向D1における寸法を更に小さくし得る。
(4)まとめ
以上説明したように、第1の態様に係るトランスシステム(100,100A,100B)は、複数の一次巻線(1)と、複数の一次巻線(1)と電磁結合される二次巻線(2)と、を備える。複数の一次巻線(1)の各々は、いずれか一方が入力側となり他方が出力側となる一対の一次側端子部(10)を有する。一対の一次側端子部(10)は、第1方向(D1)において互いに対向するように配置される。一対の一次側端子部(10)は、第1方向(D1)の一方側に配置される第1端子部(11)と、第1方向(D1)の他方側に配置される第2端子部(12)と、を含む。複数の一次巻線(1)の複数の第1端子部(11)は、第1方向(D1)と交差する第2方向(D2)において互いに対向する。複数の一次巻線(1)の複数の第2端子部(12)は、第2方向(D2)において互いに対向する。第1の態様によれば、電気的信頼性の低下を抑制しつつ、小型化を図ることができる。
第2の態様に係るトランスシステム(100,100A,100B)に関して、第1の態様において、複数の一次巻線(1)の重心(G1)は、第3方向(D3)から見て、第1方向(D1)における一対の一次側端子部(10)の間に位置する。第3方向(D3)は、第1方向(D1)及び第2方向(D2)を含む平面と直交する。第2の態様によれば、更に小型化を図ることができる。
第3の態様に係るトランスシステム(100,100A,100B)に関して、第1又は第2の態様において、複数の第1端子部(11)は、全て入力側の端子部である。複数の第2端子部(12)は、全て出力側の端子部である。第3の態様によれば、配線が交差する箇所を減らすことができる。
第4の態様に係るトランスシステム(100,100A,100B)に関して、第1~第3の態様のいずれか1つにおいて、複数の第1端子部(11)、及び複数の第2端子部(12)は、第2方向(D2)において所定の間隔(W1)で配置される。第4の態様によれば、より電気的信頼性の低下を抑制しつつ、小型化を図ることができる。
第5の態様に係るトランスシステム(100,100A,100B)に関して、第4の態様において、二次巻線(2)は、一対の二次側端子部(20)を有する。一対の二次側端子部(20)の各々は、複数の第1端子部(11)、及び複数の第2端子部(12)のいずれに対しても、所定の間隔(W1)より大きい距離を空けて配置される。第5の態様によれば、一対の一次側端子部(10)と一対の二次側端子部(20)との絶縁離隔距離を確保しやすくなる。
第6の態様に係るトランスシステム(100,100A,100B)に関して、第4又は第5の態様において、二次巻線(2)は、一対の二次側端子部(20)を有する。一対の二次側端子部(20)は、第1方向(D1)及び第2方向(D2)を含む平面と直交する第3方向(D3)から見て、複数の第1端子部(11)、及び複数の第2端子部(12)により囲まれた領域(R1)の外側に配置される。第6の態様によれば、一対の一次側端子部(10)と一対の二次側端子部(20)との絶縁離隔距離を確保しやすくなる。
第7の態様に係るトランスシステム(100,100B)に関して、第1~第6の態様のいずれか1つにおいて、二次巻線(2)は、一対の二次側端子部(20)を有する。一対の二次側端子部(20)の一方は、第2方向(D2)において第1端子部(11)と対向するように、第1方向(D1)の一方側に配置される。一対の二次側端子部(20)の他方は、第2方向(D2)において第2端子部(12)と対向するように、第1方向(D1)の他方側に配置される。第7の態様によれば、第1方向(D1)に関するトランスシステム(100,100B)の小型化を図りやすくなる。
第8の態様に係るトランスシステム(100,100A,100B)は、第1~第7の態様のいずれか1つにおいて、電気絶縁性を有する絶縁部(3)を更に備える。二次巻線(2)は、一対の二次側端子部(20)を有する。絶縁部(3)は、一対の一次側端子部(10)の間における絶縁性を確保する第1部位(31)と、一対の一次側端子部(10)に対する、一対の二次側端子部(20)の絶縁性を確保する第2部位(32)と、を含む。第1部位(31)と第2部位(32)とは、同一部材で形成されている。第8の態様によれば、第1部位(31)と第2部位(32)とが別々の部材で形成されている場合に比べて、部材点数の増加を抑制できる。
第9の態様に係るトランスシステム(100,100A,100B)は、第1~第8の態様のいずれか1つにおいて、コア(4,4A)と、端子台(5)と、を更に備える。コア(4,4A)は、複数の一次巻線(1)及び二次巻線(2)が巻回される。端子台(5)は、複数の一次巻線(1)の、複数の第1端子部(11)及び複数の第2端子部(12)を保持する。コア(4,4A)は、端子台(5)の上に搭載される。第9の態様によれば、トランスシステム(100,100A,100B)における配置関係をより安定した形態で提供しやすくなる。
第10の態様に係るトランスシステム(100A)に関して、第9の態様において、コア(4,4A)の重心(G2)は、第3方向(D3)から見て、第1方向(D1)における一対の一次側端子部(10)の間に位置する。第3方向(D3)は、第1方向(D1)及び第2方向(D2)を含む平面と直交する。第10の態様によれば、更に小型化を図ることができる。
第11の態様に係るトランスシステム(100A)に関して、第1~第10の態様のいずれか1つにおいて、二次巻線(2)は、一対の二次側端子部(20)を有する。一対の二次側端子部(20)は、第1方向(D1)及び第2方向(D2)を含む平面と直交する第3方向(D3)から見て、同一の側において並んで配置される。第11の態様によれば、耐ノイズ性が向上されやすくなり、電気的信頼性の低下を抑制することができる。
第12の態様に係るトランスシステム(100,100A,100B)は、第1~第11の態様のいずれか1つにおいて、電力線搬送通信システム(A1)に適用されるトランスシステムである。複数の一次巻線(1)が、電力線(P1)と電気的に接続される。二次巻線(2)が、電力線(P1)に重畳される通信信号の入出力を行う通信部(120)と電気的に接続される。第12の態様によれば、電力線搬送通信システム(A1)に適用される場合に、電気的信頼性の低下を抑制しつつ、小型化を図ることができる。
第2~第12の態様に係る構成については、第1の態様に係るトランスシステム(100,100A,100B)に必須の構成ではなく、適宜省略可能である。