JP7339669B2 - 軟質塩化ビニル樹脂シート及びその製造方法 - Google Patents

軟質塩化ビニル樹脂シート及びその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、屋内外の間仕切り・カーテン・暖簾(これらは巻き上げ開閉式を含む)、シートハウス(温室、菜園など)、採光膜(窓、天井など)、日除けパラソル、防風雨シート(自転車荷台、ベビーカーなど)、カバーシート(バイク、自転車、家電製品、家具、楽器、書籍、衣類、靴、日用雑貨、備蓄食品など)、横断幕、などの製品加工用の原反シートに関し、特にフラットかつ鏡面の原反シートが巻回体の状態とされた際に、巻回で重なり合ったシート同士のブロッキング現象が起こり難く、巻き解き性に優れ、寝せ置きや積み置きに適した軟質塩化ビニル樹脂シートと、その製造方法に関する。
フィルムやシートの長尺品は製品時に巻回体の態様で流通し、巻回体のまま在庫され、また巻回体から随時使用されている。軟質塩化ビニル樹脂シートは任意の可塑剤を任意量で含むことでフレキシブル性が多様にコントロール可能なシートで、可塑剤量を多く配合する程、柔軟性を増し触感を天然ゴム様とする。特にジオクチルアジペート(DOA)、ジオクチルフタレート(DOP)、トリクレジルフォスフェート(TCP)などの液状可塑剤が多量に配合した軟質塩化ビニル樹脂製シートの巻回体では、シートの柔軟化によってシート同士が気密状態で密着して剥がれ難くなるというブロッキングのトラブルを往々に生じている。特にラップフィルムのように薄い軟質塩化ビニル樹脂製フィルムの巻回体では、密着したフィルム同士を無理に引き剥がそうとするとフィルムが千切れたり、伸びて変形することもある。さらに軟質塩化ビニル樹脂製シート類の巻回体では、経時的に可塑剤が表面に移行(ブリード)する現象も加担して、シート同士が気密状態で癒着することで、さらに剥がれ難いものとし、引き剥がすことができたとしてもブロッキング痕を残して製品の外観品位を損なう欠点となる。またブリードした可塑剤はシート類の表面に滞留し、この移行滞留可塑剤に煤塵や埃が付着することで汚れの蓄積となり不衛生なものなる懸念があった。
軟質塩化ビニル樹脂シートの巻回体(寝せ置き、積み置き)における経時的なブロッキング現象を回避する手段として、1)シート表面にコーンスターチなどの粉体を散布する方法、セパレーター紙やフィルムを挟む方法が古くから知られているが、シート原反の使用時に洗浄清拭の手間と粉体飛散の問題、セパレーターのゴミ問題がある。またシート原反でのブロッキングを回避出来たとしても、加工製品でのブロッキング問題が解決される訳ではない。2)シート表面に、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、フッ素系樹脂などのクリア塗料で表面塗装を行う方法はシート原反にも加工製品にとっても効果的であるが、塗装手段によっては液流れのまま乾燥すること、また軟質塩化ビニル樹脂と塗料樹脂との屈折率差によって透明シート越しの視認像を歪んで見せることがあり、またシート両面の塗装の工程を要する分コスト高とする。3)DOA、DOP、TCPなどの液状可塑剤を分子量の大きいポリエステル系可塑剤に置換する方法、同様にエチレン-一酸化炭素-酢酸ビニル共重合体のような高分子可塑剤に置換する方法が効果的であるが、これらの方法では風合いを硬くして目的用途での風合いに合致せず、特に寒冷時の折曲強度を脆弱とする欠点がある。4)シート表面に微小凹凸のエンボス賦形を設けること、あるいはシート表面に球状粒子を露出させる表面加工によって、シート同士の接触面積を減じる方法が効果的であるが、これらの方法ではシートの透明性を損ねて透視性を悪いものとする。5)軟質塩化ビニル樹脂シートシートの配合に、界面活性剤、ポリエチレンワックス、シリコーンオイルなどの滑性付与剤を添加する方法が効果的であるが、これらの方法では可塑剤と同様にこれらの滑性付与剤がシート表面にブリードして滞留することでシートへの印刷性を損なう欠点がある。
本出願人は以前に、タックが小さく、耐ブロッキング効果の持続性に優れたターポリンで、特に産業資材、膜構造物などの製造工程における縫製作業時の取り扱い性に優れるターポリンとして、基材の繊維織物に、シクロヘキサンジカルボン酸ジアルキルエステル(可塑剤)、及び塩素化ポリエチレンを含有する軟質塩化ビニル樹脂層を設けてなる光透過性膜材に関する発明(特許文献1)を開示した。この光透過性膜材の耐ブロッキング効果は主に併用する塩素化ポリエチレンによるもので、塩素化ポリエチレンのブレンド量を増すほどに耐ブロッキング効果を顕著に増すものである反面、軟質塩化ビニル樹脂層が白濁外観となって視認性を悪くする欠点を有していた。また特に軟質塩化ビニル樹脂製の透明間仕切りシートの仕様では表面をよりフラットで、しかも鏡面外観とすることで視認精度を向上させているが、このようなフラットで鏡面のシートでは巻回体の保管状態でシート同士の表裏面が気密状態で密着し、温度環境や時間経過によってはシートの引き剥がしを困難とする程の強ブロッキングを生じさせる態様であった。従ってフラットかつ鏡面で、巻回体での保管状態でシート同士の表裏面が極度にブロッキングすることなく、シートの巻き解きを容易とするような、寝せ置きや積み置きに適した軟質塩化ビニル樹脂シートが切望されていて、このような仕様のシート原反を用いたことによるシート状加工製品が望まれていた。
特開2016-74161号公報
本発明は、屋内外の間仕切り・カーテン・暖簾(これらは巻き上げ開閉式を含む)、シートハウス(温室、菜園など)、採光膜(窓、天井など)、日除けパラソル、防風雨シート(自転車荷台、ベビーカーなど)、カバーシート(バイク、自転車、家電製品、家具、楽器、書籍、衣類、靴、日用雑貨、備蓄食品など)、横断幕、などの製品加工用の軟質塩化ビニル樹脂シート原反において、特にフラットかつ鏡面の原反シートを巻回体の状態とした際に、巻回で重なり合ったシート同士のブロッキング現象が起こり難く、巻き解きにストレスがなく、寝せ置きや積み置きに適する軟質塩化ビニル樹脂シートを提供しようとするものである。
本発明者は上記の現状に鑑みて、巻回体の状態でブロッキング現象を生じ難い軟質塩化ビニル樹脂シートについて検討を重ねた結果、粗目空隙ネット状物を内包する軟質塩化ビニル樹脂シートにおいて、このシートを、特定比率の実体領域、及び粗目空隙領域とで構成し、粗目空隙領域の厚さを実体領域の厚さよりも特定範囲内に薄く設定し、かつ粗目空隙領域の硬度を特定することによって得られた製品加工用の原反だと、特に鏡面の原反シートを巻回体の状態とした際に、巻回で重なり合ったシート同士の経時的なブロッキング現象が起こり難く、巻き解きにストレスがなく、寝せ置きや積み置きに適した軟質塩化ビニル樹脂シートが得られることを見出して本発明を完成させるに至った。
すなわち本発明の軟質塩化ビニル樹脂シートは、粗目空隙ネット状物を内包する軟質塩化ビニル樹脂シートであって、この軟質塩化ビニル樹脂シートが、前記粗目空隙ネット状物を含む実体領域(A)、及び前記粗目空隙ネット状物を含まない粗目空隙領域(B)とで構成され、この実体領域(A):粗目空隙領域(B)の面積比が1:2~1:8であり、前記粗目空隙領域(B)の厚さが前記実体領域(A)の最小厚さよりも0.25mm~2mm薄く、かつ前記粗目空隙領域(B)のデュロメータA硬度(JIS K6253:10秒後)がA60~85であり、前記実体領域(A)の表裏何れか一方に、アクリル樹脂塗膜、フッ素系樹脂塗膜、及びアクリル樹脂/フッ素系樹脂による塗膜の何れか1種の離形層が設けられ、前記粗目空隙領域(B)には当該離形層が設けられていないことが好ましい。これによって特に鏡面の原反シートを巻回体の状態とした際に、凸状の実体領域(A)よりも薄く設けられた粗目空隙領域(B)が巻回体での規則的な隙間となってブロッキング現象の発生を抑止し、シート同士の密着を防ぎ、この隙間が外力で潰れたとしても、凸状の実体領域(A)が圧着の障害となって粗目空隙領域(B)同士の圧着に負荷を掛けないように作用し、さらに粗目空隙領域(B)の硬度をA60を下回らない条件とすることにより、巻回で重なり合うシート同士の経時的なブロッキング現象を起こり難いものとし、巻き解きにストレスがなく、寝せ置きや積み置きにも適した軟質塩化ビニル樹脂シートを得ることができる。
本発明の軟質塩化ビニル樹脂シートは、前記軟質塩化ビニル樹脂シートが、K値65~85(JIS K7367-2)の塩化ビニル樹脂、及び分子量400以上の可塑剤とを少なくとも含むことが好ましい。K値が65~85を有する塩化ビニル樹脂を用いることで、特に鏡面の原反シートを巻回体の状態とした際のブロッキング現象発生を緩和し、また分子量390以上の可塑剤を用いることで、可塑剤のブリード(表面移行)を緩和させることにより、特に鏡面の原反シートを巻回体の状態とした際のブロッキング現象の助長を抑止する作用に寄与する。
本発明の軟質塩化ビニル樹脂シートは、前記実体領域(A)の表裏何れか一方に、アクリル樹脂塗膜、フッ素系樹脂塗膜、及びアクリル樹脂/フッ素系樹脂による塗膜の何れか1種の離形層が設けられていて、粗目空隙領域(B)には離形層が設けられていないことが好ましい。これによって特に鏡面の原反シートを巻回体の状態とした際のブロッキング現象発生をより緩和し、巻き解き性をよりスムーズなものとすることができる。この離形層は実体領域(A)の表裏において凸が大きい側に設けることが好ましい。
本発明の軟質塩化ビニル樹脂シートは、前記空隙ネット状物が、モノフィラメント糸条、芯鞘モノフィラメント糸条、マルチフィラメント糸条、及び樹脂被覆マルチフィラメント糸条、から選ばれた1種以上を軸糸として、経/緯、経/右上がりバイアス/左上がりバイアス、及び経/緯/右上がりバイアス/左上がりバイアス、から選ばれた何れか1種の軸構成であることが好ましい。この存在によって実体領域(A)及び粗目空隙領域(B)を二分し、粗目空隙領域(B)の厚さを実体領域(A)の厚さよりも平均0.05mm~1mm薄く設定するための支持体とすることができる。またこの支持体は軟質塩化ビニル樹脂シートの寸法安定にも寄与する。
本発明の軟質塩化ビニル樹脂シートの製造方法は、粗目空隙ネット状物の表裏面各々に軟質塩化ビニル樹脂フィルムが積層されるようにラミネート装置にこれらの構成要素を配置し、前記軟質塩化ビニル樹脂フィルムを加熱軟化した状態で、前記ラミネート装置が付帯する1対の回転ロール間を通過させ、前記構成要素を熱圧着して一体化することで前記粗目空隙ネット状物を含む実体領域(A)、及び前記粗目空隙ネット状物を含まない粗目空隙領域(B)とで構成される軟質塩化ビニル樹脂シートを製造する工程において、表裏に配置する前記軟質塩化ビニル樹脂フィルムの厚さの総和を前記粗目空隙ネット状物の最小厚さを超えない条件とし、また前記回転ロールの対を加熱金属ロール/ゴムロールとし、それによって前記粗目空隙領域(B)の厚さを前記実体領域(A)の最小厚さよりも0.25mm~2mm薄く設けること、さらに前記実体領域(A)の表裏何れか一方に、アクリル樹脂塗膜、フッ素系樹脂塗膜、及びアクリル樹脂/フッ素系樹脂による塗膜の何れか1種の離形層を設け、前記粗目空隙領域(B)には当該離形層を設けないことが好ましい。
本発明の軟質塩化ビニル樹脂シートの製造方法は、前記実体領域(A)及び前記粗目空隙領域(B)の面積比が1:2~1:8であり、さらに前記粗目空隙領域(B)のデュロメータA硬度(JIS K6253:10秒後)が、A60~85とすることが好ましい。
本発明の軟質塩化ビニル樹脂シートの製造方法は、前記実体領域(A)の表裏何れか一方に、アクリル樹脂塗膜、フッ素系樹脂塗膜、及びアクリル樹脂/フッ素系樹脂による塗膜の何れか1種の離形層が設けられていることが好ましい。
本発明の軟質塩化ビニル樹脂シートは、特に鏡面の原反シートを巻回体の状態とした際に、凸状の実体領域(A)よりも薄い粗目空隙領域(B)の存在が巻回体での隙間となり、シート同士の密着を防ぎ、この隙間が外力で潰れたとしても粗目空隙領域(B)に過大な圧力が掛からないよう凸状の実体領域(A)で圧力を受け止め粗目空隙領域(B)への影響を緩和する効果を発現すること、さらに粗目空隙領域(B)の硬度を、A60を下回らない条件とすること、実体領域(A)の表裏何れか一方に離形層を設けることにより、巻回で重なり合ったシート同士の経時的なブロッキング現象を生じ難く、巻き解きにストレスのないものとするので、寝せ置きや積み置きを行ってもブロッキング現象の心配がなく、屋内外の間仕切り・カーテン・暖簾(これらは巻き上げ開閉式を含む)、シートハウス(温室、菜園など)、採光膜(窓、天井など)、日除けパラソル、防風雨シート(自転車荷台、ベビーカーなど)、カバーシート(バイク、自転車、家電製品、家具、楽器、書籍、衣類、靴、日用雑貨、備蓄食品など)、横断幕、などの製品加工用の軟質塩化ビニル樹脂シート原反に最適かつ有用である。
本発明の軟質塩化ビニル樹脂シートは、粗目空隙ネット状物を内包する軟質塩化ビニル樹脂シートであって、この軟質塩化ビニル樹脂シートが、粗目空隙ネット状物を含む実体領域(A)、及び粗目空隙ネット状物を含まない粗目空隙領域(B)とで構成され、この実体領域(A):粗目空隙領域(B)の面積比が1:2~1:8であり、粗目空隙領域(B)の厚さが実体領域(A)の最小厚さよりも0.25mm~2mm薄く、かつ粗目空隙領域(B)のデュロメータA硬度(JIS K6253:10秒後)がA60~85である態様、及び軟質塩化ビニル樹脂シートが、K値65~85(JIS K7367-2)の塩化ビニル樹脂、及び分子量390以上の可塑剤とを少なくとも含む態様。及び実体領域(A)の表裏何れか一方に、アクリル樹脂塗膜、フッ素系樹脂塗膜、及びアクリル樹脂/フッ素系樹脂による塗膜の何れか1種の離形層が設けられている態様。及び空隙ネット状物が、モノフィラメント糸条、芯鞘モノフィラメント糸条、マルチフィラメント糸条、及び樹脂被覆マルチフィラメント糸条、から選ばれた1種以上を軸糸として、経/緯、経/右上がりバイアス/左上がりバイアス、及び経/緯/右上がりバイアス/左上がりバイアス、から選ばれた何れか1種の軸構成とする態様である
本発明の軟質塩化ビニル樹脂シートに用いる粗目空隙ネット状物は、モノフィラメント糸条、芯鞘モノフィラメント糸条、マルチフィラメント糸条、及び樹脂被覆マルチフィラメント糸条、から選ばれた1種以上を軸糸として、経/緯(二軸ネット)、経/右上がりバイアス/左上がりバイアス(三軸ネット)、及び経/緯/右上がりバイアス/左上がりバイアス(四軸ネット)、から選ばれた何れか1種の軸構成とする、空隙率66.6~88.9%、質量5~100g/mのネット状物で、上述の軸糸を織ったもの、上述の軸糸を編んだもの、上述の軸糸をネット状に積み重ねて出来た交点部を溶融接着して固定したもの、上述の軸糸をネット状に重ねて出来た交点部(全交点部の軸糸の重なり順を同一とする)を樹脂で固定したもの、の何れかである。織りは、平織、綾織、朱子織、摸紗織、バスケット織が挙げられる。マルチフィラメント糸条による軸糸は、合成繊維、半合成繊維、または無機繊維を用いることが出来、またモノフィラメント糸条による軸糸には合成樹脂の延伸物を用いることが好ましい。経/緯(二軸ネット)の空隙は四角形、または長方形であり、経/右上がりバイアス/左上がりバイアス(三軸ネット)の空隙は、正三角形、二等辺三角形、または籠目であり、経/緯/右上がりバイアス/左上がりバイアス(四軸ネット)の空隙は、直角三角形である。本願において粗目空隙ネット状物の空隙率とは、特定面積(例えばタテ10cm×ヨコ10cm)の粗目空隙ネット状物に占める粗目空隙の総和の率で、粗目空隙は軸糸の交差で生じる最小単位の隙間である。
モノフィラメント糸条は、ナイロン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート)などの結晶性の高い熱可塑性樹脂を熱溶融させて紡糸口金から押し出した溶融物を線状に延伸した態様で、芯鞘モノフィラメント糸条は、断面が芯鞘の2層構造を有する態様で、芯成分とする熱可塑性樹脂Aと鞘成分とする熱可塑性樹脂Bとを個別に溶融し、これらをコア・シェル型の二重口径を有する紡糸口金を通過させて押し出して製造されたものである。芯鞘モノフィラメント糸条の例として、芯成分がポリプロピレンで鞘成分がポリエチレンの構成が挙げられ、鞘成分のポリエチレンは芯成分のポリプロピレンよりも低融点であるため軸糸同士の熱融着が低温度で可能となる。鞘成分は接着層を担う存在なので鞘層は薄くてよい。芯鞘断面の構成面積比は、芯:鞘が1:1~5:1が好ましい。軸糸の熱融着は粗目空隙ネット状物を織った状態で軸糸の交点を熱融着して固定した態様、もしくは、軸糸の全ての交点において各軸糸の重なり順を同一とする軸糸配置と連動して軸糸の交点を熱融着して固定した非織物の態様の何れであってもよい。マルチフィラメント糸条は、ナイロン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート)などの結晶性の高い熱可塑性樹脂を熱溶融させて紡糸口金から押し出した溶融物を線状に延伸した直径1~20μmの単糸を50~500本収束し、無撚りまたは撚って束ねた態様で、樹脂被覆マルチフィラメント糸条は、このマルチフィラメント糸条を熱溶融樹脂バス、または液状樹脂バス中を通過させることでマルチフィラメント糸条の全表面を熱可塑性樹脂で被覆し、被覆層を設けた芯鞘構造(芯:マルチフィラメント糸条/鞘:熱可塑性樹脂)の態様である。この熱可塑性樹脂は、軟質塩化ビニル樹脂、ウレタン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、エチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂、アクリル-スチレン共重合体樹脂などが使用できる。樹脂被覆層は接着層を担う存在なので樹脂被覆層は薄くてよい。芯鞘断面の構成面積比は、芯:鞘が1:1~5:1が好ましい。軸糸の熱融着は粗目空隙ネット状物を織った状態で軸糸の交点を熱融着して固定した態様、もしくは、軸糸の全ての交点において各軸糸の重なり順を同一とする軸糸配置と連動して軸糸の交点を熱融着して固定した非織物の態様の何れであってもよい。特にマルチフィラメント糸条、及び樹脂被覆マルチフィラメント糸条は、上記以外に、炭素繊維、ガラス繊維、シリカ繊維、バサルト繊維、シリカ/アルミナ繊維、アラミド繊維、超高分子量ポリエチレン繊維、ポリベンズイミダゾール繊維、ポリベンズオキサゾール繊維、ポリベンズチアゾール繊維、などを用いることができる。
粗目空隙ネット状物を形成する上述の糸条の繊度は、50~1500デニールのもの、特に100~1000デニールが好ましく、糸条の幅は1~3mmが好ましく、糸条の断面形状は、円形、楕円形、扁平の何れであってもよく、糸条の厚さは0.2~2mm、特に0.5~1mmが好ましい。糸条の厚さが厚いほど実体領域(A)の厚さと、粗目空隙領域(B)との厚み差を大きく設定することがでる。実体領域(A)の最小厚さとは粗目空隙ネット状物を構成する軸糸の厚さである。このように厚み差を大きく設定することで、特に鏡面の本発明の軟質塩化ビニル樹脂シートを巻回体の状態とした際に、凸状の実体領域(A)よりも薄く設けられた粗目空隙領域(B)が巻回体での規則的な隙間となってブロッキング現象の発生を抑止してシート同士を密着させず、この規則的な隙間が外力で潰れたとしても、凸状の実体領域(A)が圧着の障害となって粗目空隙領域(B)同士の圧着に負荷を掛けないように作用する。実体領域(A)の最小厚さと粗目空隙領域(B)との厚みの差は0.25mm~2mmが好ましく、特に0.75mm~2mmが好ましい。厚みの差が0.25mm未満だとブロッキング現象の抑止効果に乏しく、2mmを超えると巻回体を解いた時にシートに圧着痕を生じることがある。粗目空隙ネット状物における粗目空隙1個当たりの面積は1~10cm、特に1~6cmが好ましい。粗目空隙ネット状物の軸糸の打ち込み密度は、二軸ネットの場合、経/緯共に3~10本/10cmが好ましく、三軸ネットの場合、経/右上がりバイアス/左上がりバイアス共に2.5~8本/10cmが好ましく、四軸ネットの場合、経/緯/右上がりバイアス/左上がりバイアス共に1.5~5本/10cmが好ましい。また本発明の軟質塩化ビニル樹脂シートにおいて、粗目空隙ネット状物を含む実体領域(A)と粗目空隙ネット状物を含まない粗目空隙領域(B)の面積比は1:2~1:8が好ましく、実体領域(A)の占める割合がより大きいほどブロッキング現象の発生を抑止する。これは圧着の障害となる凸状の実体領域(A)が規則的に増すことで粗目空隙領域(B)同士の圧着が物理的に困難となるためである。但し視認性を必要とする透明間仕切りシート・カーテンなどの用途では、実体領域(A)の占有率を増すほど視認性を阻害するので、実体領域(A)と粗目空隙領域(B)の面積比を1:1近傍とする態様は任意で決定される。また本発明の軟質塩化ビニル樹脂シートは無色透明、着色透明、着色半透明、着色不透明など、何れの態様であってもよく、透視性重視の透明シートのみに特化したものではない。
本発明の軟質塩化ビニル樹脂シートは、K値65~85(JIS K7367-2)の塩化ビニル樹脂、及び分子量390以上の可塑剤とを少なくとも含むことが好ましい。K値65~85の塩化ビニル樹脂としては、懸濁重合により合成された1000~2500の平均重合度(旧JIS K6721)のストレートPVCが使用できる。K値が65を下回る塩化ビニル樹脂を用いることで、得られる軟質塩化ビニル樹脂シート同士のブロッキング現象を引き起こし易くなることがあり、また可塑剤がシート表面に移行するブリード現象を促進することでよりブロッキング現象を過酷なものとすることがある。また分子量390以上の可塑剤としては、例えば、フタル酸ジ(2-エチルヘキシル)(C8:MW390)、フタル酸ジノニル(C9:MW418)、フタル酸ジイソノニル(C9:MW418)、フタル酸ジイソデシル(C10:MW447)、フタル酸ジデシル(C10:MW447)などのフタル酸ジアルキルエステル系可塑剤などのフタル酸系可塑剤が例示できる。またフタル酸系可塑剤の位置異性体である、ベンゼン環に対するC8以上のジカルボン酸ジアルキルエステルの結合位置が、メタ位(1,3位)のイソフタル酸系可塑剤、パラ位(1,4位)のテレフタル酸系可塑剤などであってもよい。また例えば、1,2-シクロヘキサンジカルボン酸ジオクチル(C8:MW393)、1,2-シクロヘキサンジカルボン酸ジノニル(C9:MW421)、1,2-シクロヘキサンジカルボン酸ジイソノニル(C9:MW421)、1,2-シクロヘキサンジカルボン酸ジイソデシル(C10:MW450)、1,2-シクロヘキサンジカルボン酸ジデシル(C10:MW450)などのシクロヘキサンジカルボン酸ジアルキルエステル系可塑剤が例示される。シクロヘキサンジカルボン酸ジアルキルエステル系可塑剤は、シクロヘキサン環に対するC8以上のジカルボン酸ジアルキルエステルの結合位置が、メタ位(1,3位)、パラ位(1,4位)の位置異性体であってもよい。また4-シクロヘキセン-1,2-ジカルボン酸ビス(2-エチルヘキシル)(C8:MW395)、4-シクロヘキセン-1,2-ジカルボン酸ジノニル(C9:MW423)、4-シクロヘキセン-1,2-ジカルボン酸ジイソノニル(C9:MW423)、4-シクロヘキセン-1,2-ジカルボン酸ジイソデシル(C10:MW452)、4-シクロヘキセン-1,2-ジカルボン酸ジデシル(C10:MW452)などのシクロヘキセンジカルボン酸ジアルキルエステル系可塑剤が例示される。シクロヘキセンジカルボン酸ジアルキルエステル系可塑剤は、シクロヘキセン環に対するC8以上のジカルボン酸ジアルキルエステルの結合位置が、メタ位(1,3位)、パラ位(1,4位)の位置異性体であってもよい。
またアジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、フタル酸などのジカルボン酸とエチレングリコール、1,2-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオールなどのグリコール類との反応によって得られる分子量600~2500のオリゴマー、またはトリマーであるポリエステル系可塑剤を用いることができ、段落〔0020〕に記載の可塑剤と併用することができる。またトリキシレニルホスフェート(MW410)、ビス-(t-ブチルフェニル)フェニルホスフェート(MW438)、トリス-(t-ブチルフェニル)ホスフェート(MW494)などの芳香族リン酸エステルを用いることができ、段落〔0020〕に記載の可塑剤、及びポリエステル系可塑剤と併用することができる。また分子末端または側鎖に(メタ)アクリロイル基を2個以上有する反応性アクリル系化合物、アリル基を2個以上有するアリルフタレート系化合物などを段落〔0020〕に記載の可塑剤、及びポリエステル系可塑剤などと併用することができる。分子量390を下回る可塑剤を主体に使用することで可塑剤がシート表面に移行するブリード現象を促進し、シート同士のブロッキング現象を過酷なものとすることがある。
軟質塩化ビニル樹脂シートには、塩化ビニル樹脂、及び可塑剤を主体に含み、塩化ビニル樹脂用安定剤として、カルシウム亜鉛複合系、バリウム亜鉛複合系、有機錫ラウレート、有機錫メルカプタイト、エポキシ系などの公知の安定剤を単独あるいは複数種併用できる。塩化ビニル樹脂100質量部に対する、段落〔0020〕に記載の可塑剤量は特に35~80質量部が好ましい。可塑剤量が80質量部を超えると得られる軟質塩化ビニル樹脂シートの風合いがラバー化してブロッキング現象を引き起こし易くなる。特に可塑剤量はデュロメータA硬度(JIS K6253:10秒後)がA60~85の範囲に軟質塩化ビニル樹脂シートの粗目空隙領域(B)を調整することが好ましい。硬度がA60を下回ると、得られる軟質塩化ビニル樹脂シートの風合いがラバー化してブロッキング現象を引き起こし易くなる。必要に応じて、軟質塩化ビニル樹脂シートには、難燃剤、耐光安定剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、抗菌剤、防黴剤、着色剤(顔料)、蛍光増白剤、帯電防止剤、ワックス、香料などを含んでもよい。
粗目空隙ネット状物を内包する軟質塩化ビニル樹脂シートを製造する方法として、粗目空隙ネット状物の表裏面各々に軟質塩化ビニル樹脂フィルムが積層されるようにラミネート装置にこれらの構成要素を配置し、軟質塩化ビニル樹脂フィルムを加熱軟化した状態で、ラミネート装置が付帯する1対の回転ロール間を通過させ、構成要素を熱圧着して一体化することで粗目空隙ネット状物を含む実体領域(A)、及び粗目空隙ネット状物を含まない粗目空隙領域(B)とで構成される軟質塩化ビニル樹脂シートを製造する工程において、表裏に配置する軟質塩化ビニル樹脂フィルムの厚さの総和を粗目空隙ネット状物の最小厚さ(2mm)を超えない条件とし、また回転ロールの対を加熱金属ロール/ゴムロールとし、それによって粗目空隙領域(B)の厚さを実体領域(A)の最小厚さよりも0.25mm~2mm薄く設ける方法が好ましい。軟質塩化ビニル樹脂フィルムは、例えば、塩化ビニル樹脂(100質量部)に、可塑剤35~80質量部、及び安定剤を1~3質量部含有するコンパウンド組成物を用い、これをカレンダー法で厚さ0.1mm~1mmに圧延成型したもの、またはTダイス法で厚さ0.1mm~1mmに押出成型したものが好ましい。このフィルム2枚の間に粗目空隙ネット状物を挟んで熱圧着することで、「フィルム/粗目空隙ネット状物/フィルム」構造の軟質塩化ビニル樹脂シートが得られる。この熱圧着用の加熱金属ロールは電気ヒーターを内蔵し、少なくとも100~250℃に制御可能、かつ鏡面仕様、ゴムロールは、EPDM、シリコーンなどの耐熱ゴム製の鏡面仕様、またはこれらの耐熱ゴムを被覆した金属ロール(外装のゴムは鏡面)が好ましく、耐熱ゴムの硬度はデュロメータA硬度(JIS K6253:10秒後)A50~85が好ましい。このような回転ロールの対を通過させることで得られるシートは、加熱金属ロール側の面に接した軟質塩化ビニル樹脂フィルムは鏡面でほぼ平坦な外観となり、ゴムロール側の面に接した軟質塩化ビニル樹脂フィルムは凹部及び凸部を伴う外観とする。この凹部は粗目空隙領域(B)であり、また凸部は実体領域(A)で粗目空隙ネット状物を内包する。実体領域(A)の最小厚さは0.4mm程度(軸糸厚さ0.2mm、フィルム0.1mm×2層)~実体領域(A)の最小厚さが4mm程度(軸糸厚さ2mm、フィルム1mm×2層)の態様、粗目空隙領域(B)の厚さは0.2~2mm程度である。
本発明の軟質塩化ビニル樹脂シートの構成要素である、粗目空隙ネット状物を含む実体領域(A)の表または裏で凸の大きい側の実体領域(A)上には、アクリル樹脂塗膜、またはフッ素樹脂塗膜、またはアクリル樹脂/フッ素樹脂による塗膜が形成され、これらの塗膜が離形層として作用することにより、特にフラットかつ鏡面の原反シートを巻回体の状態とした際のブロッキング現象発生をより緩和し、巻き解き性をよりスムーズなものとすることができる。この離形層は実体領域(A)の表裏において凸が大きい側に設けることが好ましく、粗目空隙領域(B)には特に離形層の形成を必要としない。凸部となる実体領域のみに離形層を形成するには、80~120メッシュの彫刻ロールによるグラビア転写印刷により実施可能である。アクリル樹脂は、アクリル樹脂、メタクリレート樹脂、アクリルモノマー同士による共重合体樹脂、アクリルモノマーとアクリル以外のモノマーとの共重合体樹脂を包含する。またフッ素樹脂は、フッ素樹脂、フッ素モノマー同士による共重合体樹脂、フッ素モノマーとフッ素モノマー以外のモノマーとの共重合体樹脂を包含する。アクリル樹脂/フッ素樹脂は、上記アクリル樹脂とフッ素樹脂との混合物である。これらの塗料は溶剤系、エマルジョン系の何れであってもよい。また離形層には、シリカ、コロイダルシリカを含むことができる。
以下、本発明について実施例を挙げて具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。以下に実施例及び比較例のシートの評価方法を説明する。
但し、本段落以下の記載、及び表1における実施例1~8の記載は、各々「参考実施例1~8」と読み換えるものとする。
〈ブロッキング抑止効果:積重法〉
10cm×10cmサイズの正方形試料2枚を重ね、2枚のガラス板(10cm×10cmサイズ×5mm厚)で挟み、ガラス板1枚の質量を含めた10kgの荷重を掛けた状態、35℃で平置した状態で240時間静置し、取り出した積重試料の一角を2cm(対角を結ぶ線上の距離)剥がしてスタンドにクリップ止めで固定し、もう一方の一角2cm(対角を結ぶ線上の距離)部を重り(100g,200g,300g)を装備したクリップで掴み、重りから手を離した瞬間から2枚の試料が分離するまでの時間(荷重した試料が落下するまでの時間)を計測した。この試験試料の密着面積は92cmである。
※この試験は巻回体を横に寝せ長期間積置した状態を想定したものである。
1(極めて良好):分離して即時落下
2(良好):3秒以内
3(やや不良):3秒超10秒以内
4(不良):10秒を超えても分離しない
5(劣悪):癒着して樹脂層が剥がれる
[実施例1]
〈粗目空隙ネット状物1〉
1000d(1111dtex)、幅2mm、厚さ0.75mmの、断面が横長扁平なポリエステル(PET)マルチフィラメント糸条(アクリル系樹脂被覆:被覆率5質量%)を経緯の軸糸として、緯軸4本/10cmの密度で配置し、この上に経軸4本/10cmの密度で配置したものを熱圧着してなる粗目空隙ネット状物1(質量15g/m:空隙率88%)を用いた。
〈軟質塩化ビニル樹脂シート1〉
〔配合1〕による軟質塩化ビニル樹脂コンパウンド(170℃熱混練物)を用意し、これをカレンダー成型機に掛け、〔配合1〕による厚さ0.2mmの鏡面外観の軟質塩化ビニル樹脂フィルムを得た。粗目空隙ネット状物1の表裏面各々に軟質塩化ビニル樹脂フィルムが積層されるようにラミネート装置にこれらの構成要素を配置し、軟質塩化ビニル樹脂フィルムを170℃に加熱軟化した状態で、ラミネート装置が付帯する1対の回転ロール間を通過させ、構成要素を170℃で熱圧着して一体化することで粗目空隙ネット状物1を含む実体領域(A)、及び粗目空隙ネット状物1を含まない粗目空隙領域(B)とで構成される質量563g/mの軟質塩化ビニル樹脂シート1を得た。表裏に配置する軟質塩化ビニル樹脂フィルムの厚さの総和は溶融圧着で0.4mmとなり、軸糸の厚さ0.75mmを超えないものである。また回転ロールの対は170℃の加熱金属ロール/A硬度70のEPDMゴムを被覆した金属ロールで、それによって粗目空隙領域(B)の厚さ(0.4mm)は実体領域(A)の最小厚さ(1.15mm)よりも0.75mm薄く、実体領域(A)と粗目空隙領域(B)の面積比は1:7.5で、粗目空隙領域(B)のデュロメータA硬度(JIS K6253:10秒後)はA83(可塑剤量40部相当)であった。比較的粗目空隙領域(B)の占有比が大きくても、粗目空隙領域(B)のデュロメータA硬度が大きいことで、このシートの巻回体での、巻き解き性は良好でブロッキング痕を残さず、また粗目空隙領域(B)の占有比が大きいことで視認性にも優れていた。
〔配合1〕軟質塩化ビニル樹脂コンパウンド組成物
懸濁重合ポリ塩化ビニル樹脂(K値77:重合度1700) 100質量部
フタル酸ジイソノニル(C9:MW418)(可塑剤) 35質量部
トリキシレニルホスフェート(MW410)(防炎可塑剤) 5質量部
エポキシ化大豆油(液状安定剤) 5質量部
バリウム/亜鉛複合安定剤 2質量部
ベンゾトリアゾール化合物(紫外線吸収剤) 0.3質量部
[実施例2]
実施例1の〔配合1〕を下記〔配合2〕に変更した以外は実施例1と同様の手順、及び仕様として554g/mの軟質塩化ビニル樹脂シート2を得た。粗目空隙領域(B)の厚さ(0.4mm)は実体領域(A)の最小厚さ(1.15mm)よりも0.75mm薄く、実体領域(A)と粗目空隙領域(B)の面積比は1:7.5で、粗目空隙領域(B)のデュロメータA硬度(JIS K6253:10秒後)はA64(可塑剤量70部相当)であった。比較的粗目空隙領域(B)の占有比が大きく、粗目空隙領域(B)のデュロメータA硬度が実施例1のシートよりも低いことで、このシートの巻回体での、巻き解き性は実施例1のシートよりもやや劣っていたが、ブロッキング痕は残さず、また粗目空隙領域(B)の占有比が大きいことで視認性に優れていた。(実用的に特に問題なし)
〔配合2〕軟質塩化ビニル樹脂コンパウンド組成物
懸濁重合ポリ塩化ビニル樹脂(K値77:重合度1700) 100質量部
フタル酸ジイソノニル(C9:MW418)(可塑剤) 55質量部
トリキシレニルホスフェート(MW410)(防炎可塑剤) 15質量部
エポキシ化大豆油(液状安定剤) 5質量部
バリウム/亜鉛複合安定剤 2質量部
ベンゾトリアゾール化合物(紫外線吸収剤) 0.3質量部
[実施例3]
実施例1で用いた粗目空隙ネット状物1を下記粗目空隙ネット状物2に変更した以外は実施例1と同様の手順、及び仕様として585g/mの軟質塩化ビニル樹脂シート3を得た。粗目空隙領域(B)の厚さ(0.4mm)は実体領域(A)の最小厚さ(1.15mm)よりも0.75mm薄く、実体領域(A)と粗目空隙領域(B)の面積比は1:2で、粗目空隙領域(B)のデュロメータA硬度(JIS K6253:10秒後)はA83(可塑剤量40部相当)であった。比較的粗目空隙領域(B)の占有比が小さく、粗目空隙領域(B)のデュロメータA硬度が高いことで、このシートの巻回体での、巻き解き性は実施例1のシートよりも良好でブロッキング痕を残さないものであるが、粗目空隙領域(B)の占有比が小さいことで視認性では実施例1のシートよりもやや劣るものであった。(実用的に特に問題なし)
〈粗目空隙ネット状物2〉
1000d(1111dtex)、幅2mm、厚さ0.75mmの断面が横長扁平なポリエステル(PET)マルチフィラメント糸条(アクリル系樹脂被覆:被覆率5質量%)を経緯の軸糸として、緯軸10本/10cmの密度で配置し、この上に経軸10本/10cmの密度で配置したものを熱圧着してなる粗目空隙ネット状物1(質量37g/m:空隙率67%)を用いた。
[実施例4]
実施例2で用いた粗目空隙ネット状物1を、実施例3で用いた粗目空隙ネット状物2に変更した以外は実施例2と同様の手順、及び仕様として576g/mの軟質塩化ビニル樹脂シート4を得た。粗目空隙領域(B)の厚さ(0.4mm)は実体領域(A)の最小厚さ(1.15mm)よりも0.75mm薄く、実体領域(A)と粗目空隙領域(B)の面積比は1:2で、粗目空隙領域(B)のデュロメータA硬度(JIS K6253:10秒後)はA64(可塑剤量70部相当)であった。比較的粗目空隙領域(B)の占有比が小さいことで、粗目空隙領域(B)のデュロメータA硬度が低くても、このシートの巻回体での、巻き解き性は実施例2のシートよりも良好でブロッキング痕を残さないものであるが、粗目空隙領域(B)の占有比が小さいことで視認性では実施例2のシートよりもやや劣るものであった。(実用的に特に問題なし)
[実施例5]
実施例1で用いた粗目空隙ネット状物1を下記粗目空隙ネット状物3に変更した以外は実施例1と同様の手順、及び仕様として571g/mの軟質塩化ビニル樹脂シート5を得た。粗目空隙領域(B)の厚さ(0.4mm)は実体領域(A)の最小厚さ(1.15mm)よりも0.75mm薄く、実体領域(A)と粗目空隙領域(B)の面積比は1:4.5で、粗目空隙領域(B)のデュロメータA硬度(JIS K6253:10秒後)はA83(可塑剤量40部相当)であった。この三軸粗目空隙ネット状物3を用いたことで比較的粗目空隙領域(B)の占有比が適度で、粗目空隙領域(B)のデュロメータA硬度が高いことで、このシートの巻回体での、巻き解き性は良好でブロッキング痕を残さないもので、粗目空隙領域(B)の占有比が適度なことで視認性にも優れているが、実施例1のシートよりは劣るものであった。(実用的に特に問題なし)
〈粗目空隙ネット状物3〉
1000d(1111dtex)、幅2mm、厚さ0.75mmの断面が横長扁平なポリエステル(PET)マルチフィラメント糸条(アクリル系樹脂被覆:被覆率5質量%)を経/右上がりバイアス/左上がりバイアスの軸糸として、各軸糸4本/10cmの密度で三軸籠目平織したものを熱圧着してなる粗目空隙ネット状物3(質量23g/m:空隙率82%)を用いた。
[実施例6]
実施例2で用いた粗目空隙ネット状物1を、実施例5で用いた粗目空隙ネット状物3に変更した以外は実施例2と同様の手順、及び仕様として584g/mの軟質塩化ビニル樹脂シート6を得た。粗目空隙領域(B)の厚さ(0.4mm)は実体領域(A)の最小厚さ(1.15mm)よりも0.75mm薄く、実体領域(A)と粗目空隙領域(B)の面積比は1:4.5で、粗目空隙領域(B)のデュロメータA硬度(JIS K6253:10秒後)はA64(可塑剤量70部相当)であった。この三軸粗目空隙ネット状物3を用いたことで比較的粗目空隙領域(B)の占有比が適度で、粗目空隙領域(B)のデュロメータA硬度が幾分低くても、このシートの巻回体での、巻き解き性は実施例2のシートよりも良好でブロッキング痕を残さないもので、粗目空隙領域(B)の占有比が適度なことで視認性にも優れているが、実施例2のシートよりは劣るものであった。(実用的に特に問題なし)
[実施例7]
実施例1で用いた粗目空隙ネット状物1を下記粗目空隙ネット状物4に変更した以外は実施例1と同様の手順、及び仕様として571g/mの軟質塩化ビニル樹脂シート7を得た。粗目空隙領域(B)の厚さ(0.4mm)は実体領域(A)の最小厚さ(0.9mm)よりも0.5mm薄く、実体領域(A)と粗目空隙領域(B)の面積比は1:4.5で、粗目空隙領域(B)のデュロメータA硬度(JIS K6253:10秒後)はA83(可塑剤量40部相当)であった。この四軸粗目空隙ネット状物4を用いたことで比較的粗目空隙領域(B)の占有比が適度で、粗目空隙領域(B)のデュロメータA硬度が高いことで、このシートの巻回体での、巻き解き性は良好でブロッキング痕を残さないもので、粗目空隙領域(B)の占有比が適度なことで視認性にも優れているが、実施例1のシートよりは劣るものであった。(実用的に特に問題なし)
〈粗目空隙ネット状物4〉
1000d(1111dtex)、幅2mm、厚さ0.5mmの断面が横長扁平なポリエステル(PET)マルチフィラメント糸条(アクリル系樹脂被覆:被覆率5質量%)を経/緯/右上がりバイアス/左上がりバイアスの軸糸として、各軸糸3本/10cmの密度で四軸平織したものを熱圧着してなる粗目空隙ネット状物4(質量23g/m:空隙率82%)を用いた。
[実施例8]
実施例2で用いた粗目空隙ネット状物1を、実施例7で用いた粗目空隙ネット状物4に変更した以外は実施例2と同様の手順、及び仕様として584g/mの軟質塩化ビニル樹脂シート8を得た。粗目空隙領域(B)の厚さ(0.4mm)は実体領域(A)の最小厚さ(0.9mm)よりも0.5mm薄く、実体領域(A)と粗目空隙領域(B)の面積比は1:4.5で、粗目空隙領域(B)のデュロメータA硬度(JIS K6253:10秒後)はA64(可塑剤量70部相当)であった。この四軸粗目空隙ネット状物4を用いたことで比較的粗目空隙領域(B)の占有比が適度で、粗目空隙領域(B)のデュロメータA硬度が幾分低くても、このシートの巻回体での、巻き解き性は実施例2のシートよりも良好でブロッキング痕を残さないもので、粗目空隙領域(B)の占有比が適度なことで視認性にも優れているが、実施例2のシートよりは劣るものであった。(実用的に特に問題なし)
[実施例9~16]
実施例1~8で得た各々軟質塩化ビニル樹脂シート1~8を用い、凹凸差の大きい側の面、すなわちラミネート圧着時にシートが接触した回転ロールの対のゴムロール側に接触したシート面側の凸部に下記〔配合3〕樹脂溶液の塗工を100メッシュピラミッド刻印ロールによるグラビア転写法によって行い(100℃熱風乾燥工程を含む)、粗目空隙ネット状物を含む実体領域(A)のみに離形層1を形成し、各々軟質塩化ビニル樹脂シート9~16を得た。シートの凹部となる実体領域(A)表面にアクリル樹脂塗膜による離形層を設けたことで、これら個々のシートの巻回体での巻き解き性は、個々実施例1~8のシートの巻回体よりも一層向上するものとなった。
〔配合3〕アクリル樹脂溶液(固形分15質量%)
メチルメタクリレート樹脂 15質量部
メチルエチルケトン(溶剤) 50質量部
トルエン(溶剤) 35質量部
[実施例17~24]
実施例1~8で得た各々軟質塩化ビニル樹脂シート1~8を用い、凹凸差の大きい側の面、すなわちラミネート圧着時にシートが接触した回転ロールの対のゴムロール側に接触したシート面側の凸部に下記〔配合4〕樹脂溶液の塗工を100メッシュピラミッド刻印ロールによるグラビア転写法によって行い(100℃熱風乾燥工程を含む)、粗目空隙ネット状物を含む実体領域(A)のみに離形層2を形成し、各々軟質塩化ビニル樹脂シート9~16を得た。シートの凹部となる実体領域(A)表面にフッ素系樹脂塗膜による離形層を設けたことで、これら個々のシートの巻回体での巻き解き性は、個々実施例1~8のシートの巻回体よりも一層向上するものとなった。
〔配合4〕フッ素系樹脂溶液(固形分15質量%)
水酸基含有フルオロオレフィンビニルエーテル共重合体 14質量部
ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート3量体(硬化剤) 1質量部
トルエン(溶剤) 50質量部
酢酸ブチル(溶剤) 50質量部
[比較例1]
実施例1の粗目空隙ネット状物1を下記粗目空隙ネット状物5に変更した以外は実施例1と同様の手順、及び仕様として559g/mの軟質塩化ビニル樹脂シート25を得た。粗目空隙領域(B)の厚さ(0.4mm)は、実体領域(A)の最小厚さ(1.15mm)よりも0.75mm薄いもので、また粗目空隙領域(B)のデュロメータA硬度がA83ではあるが、実体領域(A)と粗目空隙領域(B)の面積比が1:12.7と、実施例1のシートよりも実体領域(A)の占有率が小さくなったことによって、シート巻回体における鏡面外観の粗目空隙領域(B)同士のブロッキングを抑止する効果が損なわれ、ブロッキングの発生が顕著となり、巻回体の巻き剥がしに力を要し、シートの引っ張りで一部変形を伴うものとなった。また引き剥がした粗目空隙領域(B)の表面にブロッキング痕が残り視認性に曇りを生じるものであった。
〈粗目空隙ネット状物5〉
1000d(1111dtex)、幅2mm、厚さ0.75mmの断面が横長扁平なポリエステル(PET)マルチフィラメント糸条(アクリル系樹脂被覆:被覆率5質量%)を経緯の軸糸として、緯軸3本/10cmの密度で配置し、この上に経軸3本/10cmの密度で配置したものを熱圧着してなる粗目空隙ネット状物5(質量11.2g/m:空隙率92%)を用いた。
[比較例2]
実施例1の〔配合1〕による厚さ0.2mmの軟質塩化ビニル樹脂フィルムを、〔配合1〕による厚さ0.5mmの軟質塩化ビニル樹脂フィルムに変更した以外は実施例1と同様の手順、及び仕様として1103g/mの軟質塩化ビニル樹脂シート26を得た。実体領域(A)と粗目空隙領域(B)の面積比は1:7.5であり、また粗目空隙領域(B)のデュロメータA硬度がA83であるが、粗目空隙領域(B)の厚さ(1mm)は実体領域(A)の最小厚さ(熱溶融圧着で1.02mmに押し潰された軸糸部分)よりも0.2mm程度薄いものでしかないため、このシートの巻回体では、鏡面外観の粗目空隙領域(B)同士のブロッキングを抑止する効果が大きく損なわれ、ブロッキングの発生が顕著となり、巻回体の巻き剥がしに大きな力を要し、シートの引っ張りで一部変形を伴うものとなった。また引き剥がした粗目空隙領域(B)の表面にブロッキング痕が残り視認性に曇りを生じるものであった。
[比較例3]
実施例1のラミネート装置が付帯する回転ロール(加熱金属ロール/EPDMゴムを被覆した金属ロール)の対を、「加熱金属ロール/加熱金属ロール」の対に変更した以外は実施例1と同様の手順、及び仕様として563g/mの軟質塩化ビニル樹脂シート27を得た。得られたシートは、実体領域(A)と粗目空隙領域(B)の面積比が1:7.5で、粗目空隙領域(B)のデュロメータA硬度がA83であるものの、「加熱金属ロール/加熱金属ロール」の対で熱圧着を実施したため、実体領域(A)の軸糸部分が過度に押し潰され、実施例1のシートに較べ、粗目空隙領域(B)の厚さ(0.4mm)が実体領域(A)の最小厚さ(熱溶融圧着で0.6mmに過度に押し潰された凸部)よりも0.2mm薄い程度となった。このシートの巻回体では、鏡面外観の粗目空隙領域(B)同士のブロッキングを抑止する効果が大きく損なわれ、ブロッキングの発生が顕著となり、巻回体の巻き剥がしに力を要し、シートの引っ張りで一部変形を伴うものとなった。また引き剥がした粗目空隙領域(B)の表面にブロッキング痕が残り視認性に曇りを生じるものであった。
[実施例4]
実施例1の〔配合1〕を下記〔配合4〕に変更した以外は実施例1と同様の手順、及び仕様として550g/mの軟質塩化ビニル樹脂シート28を得た。粗目空隙領域(B)の厚さ(0.4mm)は実体領域(A)の最小厚さ(1.15mm)よりも0.75mm薄く、実体領域(A)と粗目空隙領域(B)の面積比は1:7.5であるが、粗目空隙領域(B)のデュロメータA硬度(JIS K6253:10秒後)がA50(可塑剤量100部相当)と低いため、鏡面外観の粗目空隙領域(B)が天然ゴムのような風合いとなり、このシートが巻回体となることで、鏡面外観の粗目空隙領域(B)同士のブロッキングが顕著となり、巻回体の巻き剥がしに大きな力を要し、シートの引っ張りで一部破壊を伴うものとなった。また引き剥がした粗目空隙領域(B)は一部変形し、フィルム表面にはブロッキング痕が残り視認性に曇りを生じるものであった。
〔配合4〕軟質塩化ビニル樹脂コンパウンド組成物
懸濁重合ポリ塩化ビニル樹脂(K値77:重合度1700) 100質量部
フタル酸ジイソノニル(C9:MW418)(可塑剤) 80質量部
トリキシレニルホスフェート(MW410)(防炎可塑剤) 20質量部
エポキシ化大豆油(液状安定剤) 5質量部
バリウム/亜鉛複合安定剤 2質量部
ベンゾトリアゾール化合物(紫外線吸収剤) 0.3質量部
[参考例1]
実施例1の〔配合1〕を下記〔配合5〕に変更した以外は実施例1と同様の手順、及び仕様として556g/mの軟質塩化ビニル樹脂シート29を得た。粗目空隙領域(B)の厚さ(0.4mm)を実体領域(A)最小の厚さ(1.15mm)よりも0.75mm薄く、実体領域(A)と粗目空隙領域(B)の面積比は1:7.5で、粗目空隙領域(B)のデュロメータA硬度がA81と実施例1のシートと同一であるが、軟質塩化ビニル樹脂フィルムの配合に用いた懸濁重合ポリ塩化ビニル樹脂のK値が61(重合度800)を採用したことで、実施例1のシートよりも幾分可塑剤のブリードを生じ易く、幾分ブロッキングを生じ易いものとなった。
〔配合5〕軟質塩化ビニル樹脂コンパウンド組成物
懸濁重合ポリ塩化ビニル樹脂(K値61:重合度800) 100質量部
フタル酸ジイソノニル(C9:MW418)(可塑剤) 55質量部
トリキシレニルホスフェート(MW410)(防炎可塑剤) 5質量部
エポキシ化大豆油(液状安定剤) 5質量部
バリウム/亜鉛複合安定剤 2質量部
ベンゾトリアゾール化合物(紫外線吸収剤) 0.3質量部
[参考例2]
実施例1の〔配合1〕を下記〔配合6〕に変更した以外は実施例1と同様の手順、及び仕様として556g/mの軟質塩化ビニル樹脂シート30を得た。粗目空隙領域(B)の厚さ(0.4mm)は実体領域(A)の最小厚さ(1.15mm)よりも0.75mm薄く、実体領域(A)と粗目空隙領域(B)の面積比は1:7.5で、粗目空隙領域(B)のデュロメータA硬度(JIS K6253:10秒後)はA83と実施例1のシートと同一であるが、軟質塩化ビニル樹脂フィルムの配合に用いた可塑剤2種類の分子量が390を下回る可塑剤(分子量334,及び369)を採用したことで、実施例1のシートよりも幾分可塑剤のブリードを生じ易く、幾分ブロッキングを生じ易いものとなった。
〔配合6〕軟質塩化ビニル樹脂コンパウンド組成物
懸濁重合ポリ塩化ビニル樹脂(K値77:重合度1700) 100質量部
フタル酸ジノルマルヘキシル(C7:MW334)(可塑剤) 35質量部
トリクレジルホスフェート(MW369)(防炎可塑剤) 5質量部
エポキシ化大豆油(液状安定剤) 5質量部
バリウム/亜鉛複合安定剤 2質量部
ベンゾトリアゾール化合物(紫外線吸収剤) 0.3質量部
本発明による軟質塩化ビニル樹脂シートだと、特に鏡面の原反シートを巻回体の状態とした際に、凸状の実体領域(A)よりも薄い粗目空隙領域(B)の存在が巻回体での規則的な隙間となり、シート同士の密着を防ぎ、この隙間が外力で潰れたとしても粗目空隙領域(B)に過大な圧力が掛からないよう凸状の実体領域(A)で圧力を食い止め粗目空隙領域(B)への影響を緩和する効果を発現すること、さらに粗目空隙領域(B)の硬度をA60を下回らない条件により、巻回で重なり合ったシート同士の経時的なブロッキング現象が起こり難く、巻き解きにストレスのないものとするので、寝せ置きや積み置き時のブロッキング現象の心配がなく、そして屋内外の間仕切り・カーテン・暖簾(これらは巻き上げ開閉式を含む)、シートハウス(温室、菜園など)、採光膜(窓、天井など)、日除けパラソル、防風雨シート(自転車荷台、ベビーカーなど)、カバーシート(バイク、自転車、家電製品、家具、楽器、書籍、衣類、靴、日用雑貨、備蓄食品など)、横断幕、などの製品加工用の軟質塩化ビニル樹脂シート原反に最適かつ有用である。

Claims (5)

  1. 粗目空隙ネット状物を内包する軟質塩化ビニル樹脂シートであって、この軟質塩化ビニル樹脂シートが、前記粗目空隙ネット状物を含む実体領域(A)、及び前記粗目空隙ネット状物を含まない粗目空隙領域(B)とで構成され、この実体領域(A):粗目空隙領域(B)の面積比が1:2~1:8であり、前記粗目空隙領域(B)の厚さが前記実体領域(A)の最小厚さよりも0.25mm~2mm薄く、かつ前記粗目空隙領域(B)のデュロメータA硬度(JIS K6253:10秒後)がA60~85であり、前記実体領域(A)の表裏何れか一方に、アクリル樹脂塗膜、フッ素系樹脂塗膜、及びアクリル樹脂/フッ素系樹脂による塗膜の何れか1種の離形層が設けられ、前記粗目空隙領域(B)には当該離形層が設けられていないことを特徴とする軟質塩化ビニル樹脂シート。
  2. 前記軟質塩化ビニル樹脂シートが、K値65~85(JIS K7367-2)の塩化ビニル樹脂、及び分子量390以上の可塑剤とを少なくとも含む請求項1に記載の軟質塩化ビニル樹脂シート。
  3. 前記空隙ネット状物が、モノフィラメント糸条、芯鞘モノフィラメント糸条、マルチフィラメント糸条、及び樹脂被覆マルチフィラメント糸条、から選ばれた1種以上を軸糸として、経/緯、経/右上がりバイアス/左上がりバイアス、及び経/緯/右上がりバイアス/左上がりバイアス、から選ばれた何れか1種の軸構成である請求項1または2に記載の軟質塩化ビニル樹脂シート。
  4. 粗目空隙ネット状物の表裏面各々に軟質塩化ビニル樹脂フィルムが積層されるようにラミネート装置にこれらの構成要素を配置し、前記軟質塩化ビニル樹脂フィルムを加熱軟化した状態で、前記ラミネート装置が付帯する1対の回転ロール間を通過させ、前記構成要素を熱圧着して一体化することで前記粗目空隙ネット状物を含む実体領域(A)、及び前記粗目空隙ネット状物を含まない粗目空隙領域(B)とで構成される軟質塩化ビニル樹脂シートを製造する工程において、表裏に配置する前記軟質塩化ビニル樹脂フィルムの厚さの総和を前記粗目空隙ネット状物の最小厚さを超えない条件とし、また前記回転ロールの対を加熱金属ロール/ゴムロールとし、それによって前記粗目空隙領域(B)の厚さを前記実体領域(A)の最小厚さよりも0.25mm~2mm薄く設けること、さらに前記実体領域(A)の表裏何れか一方に、アクリル樹脂塗膜、フッ素系樹脂塗膜、及びアクリル樹脂/フッ素系樹脂による塗膜の何れか1種の離形層を設け、前記粗目空隙領域(B)には当該離形層を設けないこと、を特徴とする軟質塩化ビニル樹脂シートの製造方法。
  5. 前記実体領域(A)及び前記粗目空隙領域(B)の面積比が1:2~1:8であり、さらに前記粗目空隙領域(B)のデュロメータA硬度(JIS K6253:10秒後)が、A60~85とする請求項に記載の軟質塩化ビニル樹脂シートの製造方法。
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