JP7339669B2 - 軟質塩化ビニル樹脂シート及びその製造方法 - Google Patents
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Description
但し、本段落以下の記載、及び表1における実施例1~8の記載は、各々「参考実施例1~8」と読み換えるものとする。
〈ブロッキング抑止効果:積重法〉
10cm×10cmサイズの正方形試料2枚を重ね、2枚のガラス板(10cm×10cmサイズ×5mm厚)で挟み、ガラス板1枚の質量を含めた10kgの荷重を掛けた状態、35℃で平置した状態で240時間静置し、取り出した積重試料の一角を2cm(対角を結ぶ線上の距離)剥がしてスタンドにクリップ止めで固定し、もう一方の一角2cm(対角を結ぶ線上の距離)部を重り(100g,200g,300g)を装備したクリップで掴み、重りから手を離した瞬間から2枚の試料が分離するまでの時間(荷重した試料が落下するまでの時間)を計測した。この試験試料の密着面積は92cm2である。
※この試験は巻回体を横に寝せ長期間積置した状態を想定したものである。
1(極めて良好):分離して即時落下
2(良好):3秒以内
3(やや不良):3秒超10秒以内
4(不良):10秒を超えても分離しない
5(劣悪):癒着して樹脂層が剥がれる
〈粗目空隙ネット状物1〉
1000d(1111dtex)、幅2mm、厚さ0.75mmの、断面が横長扁平なポリエステル(PET)マルチフィラメント糸条(アクリル系樹脂被覆:被覆率5質量%)を経緯の軸糸として、緯軸4本/10cmの密度で配置し、この上に経軸4本/10cmの密度で配置したものを熱圧着してなる粗目空隙ネット状物1(質量15g/m2:空隙率88%)を用いた。
〈軟質塩化ビニル樹脂シート1〉
〔配合1〕による軟質塩化ビニル樹脂コンパウンド(170℃熱混練物)を用意し、これをカレンダー成型機に掛け、〔配合1〕による厚さ0.2mmの鏡面外観の軟質塩化ビニル樹脂フィルムを得た。粗目空隙ネット状物1の表裏面各々に軟質塩化ビニル樹脂フィルムが積層されるようにラミネート装置にこれらの構成要素を配置し、軟質塩化ビニル樹脂フィルムを170℃に加熱軟化した状態で、ラミネート装置が付帯する1対の回転ロール間を通過させ、構成要素を170℃で熱圧着して一体化することで粗目空隙ネット状物1を含む実体領域(A)、及び粗目空隙ネット状物1を含まない粗目空隙領域(B)とで構成される質量563g/m2の軟質塩化ビニル樹脂シート1を得た。表裏に配置する軟質塩化ビニル樹脂フィルムの厚さの総和は溶融圧着で0.4mmとなり、軸糸の厚さ0.75mmを超えないものである。また回転ロールの対は170℃の加熱金属ロール/A硬度70のEPDMゴムを被覆した金属ロールで、それによって粗目空隙領域(B)の厚さ(0.4mm)は実体領域(A)の最小厚さ(1.15mm)よりも0.75mm薄く、実体領域(A)と粗目空隙領域(B)の面積比は1:7.5で、粗目空隙領域(B)のデュロメータA硬度(JIS K6253:10秒後)はA83(可塑剤量40部相当)であった。比較的粗目空隙領域(B)の占有比が大きくても、粗目空隙領域(B)のデュロメータA硬度が大きいことで、このシートの巻回体での、巻き解き性は良好でブロッキング痕を残さず、また粗目空隙領域(B)の占有比が大きいことで視認性にも優れていた。
〔配合1〕軟質塩化ビニル樹脂コンパウンド組成物
懸濁重合ポリ塩化ビニル樹脂(K値77:重合度1700) 100質量部
フタル酸ジイソノニル(C9:MW418)(可塑剤) 35質量部
トリキシレニルホスフェート(MW410)(防炎可塑剤) 5質量部
エポキシ化大豆油(液状安定剤) 5質量部
バリウム/亜鉛複合安定剤 2質量部
ベンゾトリアゾール化合物(紫外線吸収剤) 0.3質量部
実施例1の〔配合1〕を下記〔配合2〕に変更した以外は実施例1と同様の手順、及び仕様として554g/m2の軟質塩化ビニル樹脂シート2を得た。粗目空隙領域(B)の厚さ(0.4mm)は実体領域(A)の最小厚さ(1.15mm)よりも0.75mm薄く、実体領域(A)と粗目空隙領域(B)の面積比は1:7.5で、粗目空隙領域(B)のデュロメータA硬度(JIS K6253:10秒後)はA64(可塑剤量70部相当)であった。比較的粗目空隙領域(B)の占有比が大きく、粗目空隙領域(B)のデュロメータA硬度が実施例1のシートよりも低いことで、このシートの巻回体での、巻き解き性は実施例1のシートよりもやや劣っていたが、ブロッキング痕は残さず、また粗目空隙領域(B)の占有比が大きいことで視認性に優れていた。(実用的に特に問題なし)
〔配合2〕軟質塩化ビニル樹脂コンパウンド組成物
懸濁重合ポリ塩化ビニル樹脂(K値77:重合度1700) 100質量部
フタル酸ジイソノニル(C9:MW418)(可塑剤) 55質量部
トリキシレニルホスフェート(MW410)(防炎可塑剤) 15質量部
エポキシ化大豆油(液状安定剤) 5質量部
バリウム/亜鉛複合安定剤 2質量部
ベンゾトリアゾール化合物(紫外線吸収剤) 0.3質量部
実施例1で用いた粗目空隙ネット状物1を下記粗目空隙ネット状物2に変更した以外は実施例1と同様の手順、及び仕様として585g/m2の軟質塩化ビニル樹脂シート3を得た。粗目空隙領域(B)の厚さ(0.4mm)は実体領域(A)の最小厚さ(1.15mm)よりも0.75mm薄く、実体領域(A)と粗目空隙領域(B)の面積比は1:2で、粗目空隙領域(B)のデュロメータA硬度(JIS K6253:10秒後)はA83(可塑剤量40部相当)であった。比較的粗目空隙領域(B)の占有比が小さく、粗目空隙領域(B)のデュロメータA硬度が高いことで、このシートの巻回体での、巻き解き性は実施例1のシートよりも良好でブロッキング痕を残さないものであるが、粗目空隙領域(B)の占有比が小さいことで視認性では実施例1のシートよりもやや劣るものであった。(実用的に特に問題なし)
〈粗目空隙ネット状物2〉
1000d(1111dtex)、幅2mm、厚さ0.75mmの断面が横長扁平なポリエステル(PET)マルチフィラメント糸条(アクリル系樹脂被覆:被覆率5質量%)を経緯の軸糸として、緯軸10本/10cmの密度で配置し、この上に経軸10本/10cmの密度で配置したものを熱圧着してなる粗目空隙ネット状物1(質量37g/m2:空隙率67%)を用いた。
実施例2で用いた粗目空隙ネット状物1を、実施例3で用いた粗目空隙ネット状物2に変更した以外は実施例2と同様の手順、及び仕様として576g/m2の軟質塩化ビニル樹脂シート4を得た。粗目空隙領域(B)の厚さ(0.4mm)は実体領域(A)の最小厚さ(1.15mm)よりも0.75mm薄く、実体領域(A)と粗目空隙領域(B)の面積比は1:2で、粗目空隙領域(B)のデュロメータA硬度(JIS K6253:10秒後)はA64(可塑剤量70部相当)であった。比較的粗目空隙領域(B)の占有比が小さいことで、粗目空隙領域(B)のデュロメータA硬度が低くても、このシートの巻回体での、巻き解き性は実施例2のシートよりも良好でブロッキング痕を残さないものであるが、粗目空隙領域(B)の占有比が小さいことで視認性では実施例2のシートよりもやや劣るものであった。(実用的に特に問題なし)
実施例1で用いた粗目空隙ネット状物1を下記粗目空隙ネット状物3に変更した以外は実施例1と同様の手順、及び仕様として571g/m2の軟質塩化ビニル樹脂シート5を得た。粗目空隙領域(B)の厚さ(0.4mm)は実体領域(A)の最小厚さ(1.15mm)よりも0.75mm薄く、実体領域(A)と粗目空隙領域(B)の面積比は1:4.5で、粗目空隙領域(B)のデュロメータA硬度(JIS K6253:10秒後)はA83(可塑剤量40部相当)であった。この三軸粗目空隙ネット状物3を用いたことで比較的粗目空隙領域(B)の占有比が適度で、粗目空隙領域(B)のデュロメータA硬度が高いことで、このシートの巻回体での、巻き解き性は良好でブロッキング痕を残さないもので、粗目空隙領域(B)の占有比が適度なことで視認性にも優れているが、実施例1のシートよりは劣るものであった。(実用的に特に問題なし)
〈粗目空隙ネット状物3〉
1000d(1111dtex)、幅2mm、厚さ0.75mmの断面が横長扁平なポリエステル(PET)マルチフィラメント糸条(アクリル系樹脂被覆:被覆率5質量%)を経/右上がりバイアス/左上がりバイアスの軸糸として、各軸糸4本/10cmの密度で三軸籠目平織したものを熱圧着してなる粗目空隙ネット状物3(質量23g/m2:空隙率82%)を用いた。
実施例2で用いた粗目空隙ネット状物1を、実施例5で用いた粗目空隙ネット状物3に変更した以外は実施例2と同様の手順、及び仕様として584g/m2の軟質塩化ビニル樹脂シート6を得た。粗目空隙領域(B)の厚さ(0.4mm)は実体領域(A)の最小厚さ(1.15mm)よりも0.75mm薄く、実体領域(A)と粗目空隙領域(B)の面積比は1:4.5で、粗目空隙領域(B)のデュロメータA硬度(JIS K6253:10秒後)はA64(可塑剤量70部相当)であった。この三軸粗目空隙ネット状物3を用いたことで比較的粗目空隙領域(B)の占有比が適度で、粗目空隙領域(B)のデュロメータA硬度が幾分低くても、このシートの巻回体での、巻き解き性は実施例2のシートよりも良好でブロッキング痕を残さないもので、粗目空隙領域(B)の占有比が適度なことで視認性にも優れているが、実施例2のシートよりは劣るものであった。(実用的に特に問題なし)
実施例1で用いた粗目空隙ネット状物1を下記粗目空隙ネット状物4に変更した以外は実施例1と同様の手順、及び仕様として571g/m2の軟質塩化ビニル樹脂シート7を得た。粗目空隙領域(B)の厚さ(0.4mm)は実体領域(A)の最小厚さ(0.9mm)よりも0.5mm薄く、実体領域(A)と粗目空隙領域(B)の面積比は1:4.5で、粗目空隙領域(B)のデュロメータA硬度(JIS K6253:10秒後)はA83(可塑剤量40部相当)であった。この四軸粗目空隙ネット状物4を用いたことで比較的粗目空隙領域(B)の占有比が適度で、粗目空隙領域(B)のデュロメータA硬度が高いことで、このシートの巻回体での、巻き解き性は良好でブロッキング痕を残さないもので、粗目空隙領域(B)の占有比が適度なことで視認性にも優れているが、実施例1のシートよりは劣るものであった。(実用的に特に問題なし)
〈粗目空隙ネット状物4〉
1000d(1111dtex)、幅2mm、厚さ0.5mmの断面が横長扁平なポリエステル(PET)マルチフィラメント糸条(アクリル系樹脂被覆:被覆率5質量%)を経/緯/右上がりバイアス/左上がりバイアスの軸糸として、各軸糸3本/10cmの密度で四軸平織したものを熱圧着してなる粗目空隙ネット状物4(質量23g/m2:空隙率82%)を用いた。
実施例2で用いた粗目空隙ネット状物1を、実施例7で用いた粗目空隙ネット状物4に変更した以外は実施例2と同様の手順、及び仕様として584g/m2の軟質塩化ビニル樹脂シート8を得た。粗目空隙領域(B)の厚さ(0.4mm)は実体領域(A)の最小厚さ(0.9mm)よりも0.5mm薄く、実体領域(A)と粗目空隙領域(B)の面積比は1:4.5で、粗目空隙領域(B)のデュロメータA硬度(JIS K6253:10秒後)はA64(可塑剤量70部相当)であった。この四軸粗目空隙ネット状物4を用いたことで比較的粗目空隙領域(B)の占有比が適度で、粗目空隙領域(B)のデュロメータA硬度が幾分低くても、このシートの巻回体での、巻き解き性は実施例2のシートよりも良好でブロッキング痕を残さないもので、粗目空隙領域(B)の占有比が適度なことで視認性にも優れているが、実施例2のシートよりは劣るものであった。(実用的に特に問題なし)
実施例1~8で得た各々軟質塩化ビニル樹脂シート1~8を用い、凹凸差の大きい側の面、すなわちラミネート圧着時にシートが接触した回転ロールの対のゴムロール側に接触したシート面側の凸部に下記〔配合3〕樹脂溶液の塗工を100メッシュピラミッド刻印ロールによるグラビア転写法によって行い(100℃熱風乾燥工程を含む)、粗目空隙ネット状物を含む実体領域(A)のみに離形層1を形成し、各々軟質塩化ビニル樹脂シート9~16を得た。シートの凹部となる実体領域(A)表面にアクリル樹脂塗膜による離形層を設けたことで、これら個々のシートの巻回体での巻き解き性は、個々実施例1~8のシートの巻回体よりも一層向上するものとなった。
〔配合3〕アクリル樹脂溶液(固形分15質量%)
メチルメタクリレート樹脂 15質量部
メチルエチルケトン(溶剤) 50質量部
トルエン(溶剤) 35質量部
実施例1~8で得た各々軟質塩化ビニル樹脂シート1~8を用い、凹凸差の大きい側の面、すなわちラミネート圧着時にシートが接触した回転ロールの対のゴムロール側に接触したシート面側の凸部に下記〔配合4〕樹脂溶液の塗工を100メッシュピラミッド刻印ロールによるグラビア転写法によって行い(100℃熱風乾燥工程を含む)、粗目空隙ネット状物を含む実体領域(A)のみに離形層2を形成し、各々軟質塩化ビニル樹脂シート9~16を得た。シートの凹部となる実体領域(A)表面にフッ素系樹脂塗膜による離形層を設けたことで、これら個々のシートの巻回体での巻き解き性は、個々実施例1~8のシートの巻回体よりも一層向上するものとなった。
〔配合4〕フッ素系樹脂溶液(固形分15質量%)
水酸基含有フルオロオレフィンビニルエーテル共重合体 14質量部
ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート3量体(硬化剤) 1質量部
トルエン(溶剤) 50質量部
酢酸ブチル(溶剤) 50質量部
実施例1の粗目空隙ネット状物1を下記粗目空隙ネット状物5に変更した以外は実施例1と同様の手順、及び仕様として559g/m2の軟質塩化ビニル樹脂シート25を得た。粗目空隙領域(B)の厚さ(0.4mm)は、実体領域(A)の最小厚さ(1.15mm)よりも0.75mm薄いもので、また粗目空隙領域(B)のデュロメータA硬度がA83ではあるが、実体領域(A)と粗目空隙領域(B)の面積比が1:12.7と、実施例1のシートよりも実体領域(A)の占有率が小さくなったことによって、シート巻回体における鏡面外観の粗目空隙領域(B)同士のブロッキングを抑止する効果が損なわれ、ブロッキングの発生が顕著となり、巻回体の巻き剥がしに力を要し、シートの引っ張りで一部変形を伴うものとなった。また引き剥がした粗目空隙領域(B)の表面にブロッキング痕が残り視認性に曇りを生じるものであった。
〈粗目空隙ネット状物5〉
1000d(1111dtex)、幅2mm、厚さ0.75mmの断面が横長扁平なポリエステル(PET)マルチフィラメント糸条(アクリル系樹脂被覆:被覆率5質量%)を経緯の軸糸として、緯軸3本/10cmの密度で配置し、この上に経軸3本/10cmの密度で配置したものを熱圧着してなる粗目空隙ネット状物5(質量11.2g/m2:空隙率92%)を用いた。
実施例1の〔配合1〕による厚さ0.2mmの軟質塩化ビニル樹脂フィルムを、〔配合1〕による厚さ0.5mmの軟質塩化ビニル樹脂フィルムに変更した以外は実施例1と同様の手順、及び仕様として1103g/m2の軟質塩化ビニル樹脂シート26を得た。実体領域(A)と粗目空隙領域(B)の面積比は1:7.5であり、また粗目空隙領域(B)のデュロメータA硬度がA83であるが、粗目空隙領域(B)の厚さ(1mm)は実体領域(A)の最小厚さ(熱溶融圧着で1.02mmに押し潰された軸糸部分)よりも0.2mm程度薄いものでしかないため、このシートの巻回体では、鏡面外観の粗目空隙領域(B)同士のブロッキングを抑止する効果が大きく損なわれ、ブロッキングの発生が顕著となり、巻回体の巻き剥がしに大きな力を要し、シートの引っ張りで一部変形を伴うものとなった。また引き剥がした粗目空隙領域(B)の表面にブロッキング痕が残り視認性に曇りを生じるものであった。
実施例1のラミネート装置が付帯する回転ロール(加熱金属ロール/EPDMゴムを被覆した金属ロール)の対を、「加熱金属ロール/加熱金属ロール」の対に変更した以外は実施例1と同様の手順、及び仕様として563g/m2の軟質塩化ビニル樹脂シート27を得た。得られたシートは、実体領域(A)と粗目空隙領域(B)の面積比が1:7.5で、粗目空隙領域(B)のデュロメータA硬度がA83であるものの、「加熱金属ロール/加熱金属ロール」の対で熱圧着を実施したため、実体領域(A)の軸糸部分が過度に押し潰され、実施例1のシートに較べ、粗目空隙領域(B)の厚さ(0.4mm)が実体領域(A)の最小厚さ(熱溶融圧着で0.6mmに過度に押し潰された凸部)よりも0.2mm薄い程度となった。このシートの巻回体では、鏡面外観の粗目空隙領域(B)同士のブロッキングを抑止する効果が大きく損なわれ、ブロッキングの発生が顕著となり、巻回体の巻き剥がしに力を要し、シートの引っ張りで一部変形を伴うものとなった。また引き剥がした粗目空隙領域(B)の表面にブロッキング痕が残り視認性に曇りを生じるものであった。
実施例1の〔配合1〕を下記〔配合4〕に変更した以外は実施例1と同様の手順、及び仕様として550g/m2の軟質塩化ビニル樹脂シート28を得た。粗目空隙領域(B)の厚さ(0.4mm)は実体領域(A)の最小厚さ(1.15mm)よりも0.75mm薄く、実体領域(A)と粗目空隙領域(B)の面積比は1:7.5であるが、粗目空隙領域(B)のデュロメータA硬度(JIS K6253:10秒後)がA50(可塑剤量100部相当)と低いため、鏡面外観の粗目空隙領域(B)が天然ゴムのような風合いとなり、このシートが巻回体となることで、鏡面外観の粗目空隙領域(B)同士のブロッキングが顕著となり、巻回体の巻き剥がしに大きな力を要し、シートの引っ張りで一部破壊を伴うものとなった。また引き剥がした粗目空隙領域(B)は一部変形し、フィルム表面にはブロッキング痕が残り視認性に曇りを生じるものであった。
〔配合4〕軟質塩化ビニル樹脂コンパウンド組成物
懸濁重合ポリ塩化ビニル樹脂(K値77:重合度1700) 100質量部
フタル酸ジイソノニル(C9:MW418)(可塑剤) 80質量部
トリキシレニルホスフェート(MW410)(防炎可塑剤) 20質量部
エポキシ化大豆油(液状安定剤) 5質量部
バリウム/亜鉛複合安定剤 2質量部
ベンゾトリアゾール化合物(紫外線吸収剤) 0.3質量部
実施例1の〔配合1〕を下記〔配合5〕に変更した以外は実施例1と同様の手順、及び仕様として556g/m2の軟質塩化ビニル樹脂シート29を得た。粗目空隙領域(B)の厚さ(0.4mm)を実体領域(A)最小の厚さ(1.15mm)よりも0.75mm薄く、実体領域(A)と粗目空隙領域(B)の面積比は1:7.5で、粗目空隙領域(B)のデュロメータA硬度がA81と実施例1のシートと同一であるが、軟質塩化ビニル樹脂フィルムの配合に用いた懸濁重合ポリ塩化ビニル樹脂のK値が61(重合度800)を採用したことで、実施例1のシートよりも幾分可塑剤のブリードを生じ易く、幾分ブロッキングを生じ易いものとなった。
〔配合5〕軟質塩化ビニル樹脂コンパウンド組成物
懸濁重合ポリ塩化ビニル樹脂(K値61:重合度800) 100質量部
フタル酸ジイソノニル(C9:MW418)(可塑剤) 55質量部
トリキシレニルホスフェート(MW410)(防炎可塑剤) 5質量部
エポキシ化大豆油(液状安定剤) 5質量部
バリウム/亜鉛複合安定剤 2質量部
ベンゾトリアゾール化合物(紫外線吸収剤) 0.3質量部
実施例1の〔配合1〕を下記〔配合6〕に変更した以外は実施例1と同様の手順、及び仕様として556g/m2の軟質塩化ビニル樹脂シート30を得た。粗目空隙領域(B)の厚さ(0.4mm)は実体領域(A)の最小厚さ(1.15mm)よりも0.75mm薄く、実体領域(A)と粗目空隙領域(B)の面積比は1:7.5で、粗目空隙領域(B)のデュロメータA硬度(JIS K6253:10秒後)はA83と実施例1のシートと同一であるが、軟質塩化ビニル樹脂フィルムの配合に用いた可塑剤2種類の分子量が390を下回る可塑剤(分子量334,及び369)を採用したことで、実施例1のシートよりも幾分可塑剤のブリードを生じ易く、幾分ブロッキングを生じ易いものとなった。
〔配合6〕軟質塩化ビニル樹脂コンパウンド組成物
懸濁重合ポリ塩化ビニル樹脂(K値77:重合度1700) 100質量部
フタル酸ジノルマルヘキシル(C7:MW334)(可塑剤) 35質量部
トリクレジルホスフェート(MW369)(防炎可塑剤) 5質量部
エポキシ化大豆油(液状安定剤) 5質量部
バリウム/亜鉛複合安定剤 2質量部
ベンゾトリアゾール化合物(紫外線吸収剤) 0.3質量部
Claims (5)
- 粗目空隙ネット状物を内包する軟質塩化ビニル樹脂シートであって、この軟質塩化ビニル樹脂シートが、前記粗目空隙ネット状物を含む実体領域(A)、及び前記粗目空隙ネット状物を含まない粗目空隙領域(B)とで構成され、この実体領域(A):粗目空隙領域(B)の面積比が1:2~1:8であり、前記粗目空隙領域(B)の厚さが前記実体領域(A)の最小厚さよりも0.25mm~2mm薄く、かつ前記粗目空隙領域(B)のデュロメータA硬度(JIS K6253:10秒後)がA60~85であり、前記実体領域(A)の表裏何れか一方に、アクリル樹脂塗膜、フッ素系樹脂塗膜、及びアクリル樹脂/フッ素系樹脂による塗膜の何れか1種の離形層が設けられ、前記粗目空隙領域(B)には当該離形層が設けられていないことを特徴とする軟質塩化ビニル樹脂シート。
- 前記軟質塩化ビニル樹脂シートが、K値65~85(JIS K7367-2)の塩化ビニル樹脂、及び分子量390以上の可塑剤とを少なくとも含む請求項1に記載の軟質塩化ビニル樹脂シート。
- 前記空隙ネット状物が、モノフィラメント糸条、芯鞘モノフィラメント糸条、マルチフィラメント糸条、及び樹脂被覆マルチフィラメント糸条、から選ばれた1種以上を軸糸として、経/緯、経/右上がりバイアス/左上がりバイアス、及び経/緯/右上がりバイアス/左上がりバイアス、から選ばれた何れか1種の軸構成である請求項1または2に記載の軟質塩化ビニル樹脂シート。
- 粗目空隙ネット状物の表裏面各々に軟質塩化ビニル樹脂フィルムが積層されるようにラミネート装置にこれらの構成要素を配置し、前記軟質塩化ビニル樹脂フィルムを加熱軟化した状態で、前記ラミネート装置が付帯する1対の回転ロール間を通過させ、前記構成要素を熱圧着して一体化することで前記粗目空隙ネット状物を含む実体領域(A)、及び前記粗目空隙ネット状物を含まない粗目空隙領域(B)とで構成される軟質塩化ビニル樹脂シートを製造する工程において、表裏に配置する前記軟質塩化ビニル樹脂フィルムの厚さの総和を前記粗目空隙ネット状物の最小厚さを超えない条件とし、また前記回転ロールの対を加熱金属ロール/ゴムロールとし、それによって前記粗目空隙領域(B)の厚さを前記実体領域(A)の最小厚さよりも0.25mm~2mm薄く設けること、さらに前記実体領域(A)の表裏何れか一方に、アクリル樹脂塗膜、フッ素系樹脂塗膜、及びアクリル樹脂/フッ素系樹脂による塗膜の何れか1種の離形層を設け、前記粗目空隙領域(B)には当該離形層を設けないこと、を特徴とする軟質塩化ビニル樹脂シートの製造方法。
- 前記実体領域(A)及び前記粗目空隙領域(B)の面積比が1:2~1:8であり、さらに前記粗目空隙領域(B)のデュロメータA硬度(JIS K6253:10秒後)が、A60~85とする請求項4に記載の軟質塩化ビニル樹脂シートの製造方法。
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