JP7339534B2 - 処理装置、処理方法、およびプログラム - Google Patents

処理装置、処理方法、およびプログラム Download PDF

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Description

本発明は、処理装置、処理方法、およびプログラムに関し、特に、加速度から変位を導出するために用いて好適なものである。
軌道上を鉄道車両が走行すると鉄道車両からの荷重により軌道の位置が変化する。このような軌道の変化が生じると、鉄道車両が異常な挙動を示す虞がある。そこで、従来から、鉄道車両を軌道上で走行させることにより、軌条(レール)の不整量(軌道狂い)の測定が行われる。軌道狂いを導出する方法として、特許文献1等に記載されている慣性測定法と称される方法がある。一般に慣性測定法では、加速度を2階積分すると変位が計算できるという物理法則を利用して、軸箱や車体に取り付けた加速度センサで測定された加速度データに基づいて、軌道狂いを導出する。
加速度を2階積分する際には積分器を用いる。完全な積分器は0Hzで無限大となる特性を有する。このため、積分器に入力する加速度データにオフセットが存在すると積分値が発散する虞がある。そこで、特許文献2等に記載されているように、相対的に低い空間周波数での2階積分値の出力が抑制されるフィルタ(ハイパスフィルタ)の特性を積分器に持たせることが行われる。また、特許文献3には、車両の加速度を2階積分することで軌道狂いを導出する際に、車両の走行速度に応じてベッセルフィルタのゲインおよび遮断周波数を調整することが記載されている。
特開2011-156995号公報 特開2001-63570号公報 特開2009-300398号公報
しかしながら、特許文献2、3に記載の技術では、加速度を2階積分する際にフィルタを適用する。フィルタにおいて、線形位相特性を実現することは容易ではなく、遮断周波数付近において位相の変化が顕著になる。このため、フィルタを通過した信号の波形は歪む。このため、加速度から変位を高精度に導出することが容易ではないという問題点がある。
本発明は、以上のような問題点に鑑みてなされたものであり、通過周波数帯域を制限する線形フィルタを用いずに加速度から変位を導出することができるようにすることを目的とする。
本発明の処理装置は、加速度センサで測定された加速度の時系列データを取得する取得手段と、前記取得手段により取得された加速度の時系列データをフーリエ変換することにより加速度のフーリエ変換関数を導出する第1の加速度導出手段と、前記第1の加速度導出手段により導出された加速度のフーリエ変換関数から予め設定された0Hzを上回る周波数以下の低周波数成分を除去した加速度のフーリエ変換関数を導出する第2の加速度導出手段と、前記第2の加速度導出手段により導出された加速度のフーリエ変換関数を逆フーリエ変換することにより加速度の時系列データを導出する第3の加速度導出手段と、前記第3の加速度導出手段により導出された加速度の実部の時系列データを時間積分することにより速度の時系列データを導出する第1の速度導出手段と、前記第1の速度導出手段により導出された速度の時系列データをフーリエ変換することにより速度のフーリエ変換関数を導出する第2の速度導出手段と、前記第2の速度導出手段により導出された速度のフーリエ変換関数から0Hzの周波数成分を除去した速度のフーリエ変換関数を導出する第3の速度導出手段と、前記第3の速度導出手段により導出された速度のフーリエ変換関数を逆フーリエ変換することにより速度の時系列データを導出する第4の速度導出手段と、前記第4の速度導出手段により導出された速度の実部の時系列データを時間積分することにより変位の時系列データを導出する第1の変位導出手段と、を有することを特徴とする。
本発明の処理方法は、加速度センサで測定された加速度の時系列データを取得する取得工程と、前記取得工程により取得された加速度の時系列データをフーリエ変換することにより加速度のフーリエ変換関数を導出する第1の加速度導出工程と、前記第1の加速度導出工程により導出された加速度のフーリエ変換関数から予め設定された0Hzを上回る周波数以下の低周波数成分を除去した加速度のフーリエ変換関数を導出する第2の加速度導出工程と、前記第2の加速度導出工程により導出された加速度のフーリエ変換関数を逆フーリエ変換することにより加速度の時系列データを導出する第3の加速度導出工程と、前記第3の加速度導出工程により導出された加速度の時系列データを時間積分することにより速度の時系列データを導出する第1の速度導出工程と、前記第1の速度導出工程により導出された速度のフーリエ変換関数から0Hzの周波数成分を除去した速度のフーリエ変換関数を導出する第2の速度導出工程と、前記第2の速度導出工程により導出された速度のフーリエ変換関数を逆フーリエ変換することにより速度の時系列データを導出する第3の速度導出工程と、前記第3の速度導出工程により導出された速度の時系列データを時間積分することにより変位の時系列データを導出する第1の変位導出工程と、を有することを特徴とする。
本発明のプログラムは、前記処理装置の各手段としてコンピュータを機能させるためのものである。
本発明によれば、通過周波数帯域を制限する線形フィルタを用いずに加速度から変位を導出することができる。
図1Aは、鉄道車両の概略の一例を示す図である。 図1Bは、鉄道車両の車体の下方の部分の構成の一例を示す図である。 図2は、処理装置の機能的な構成の一例を示す図である。 図3は、加速度の上下方向成分の時系列データの一例を示す図である。 図4は、加速度の上下方向成分のパワースペクトルの一例を示す図である。 図5は、低周波除去後の加速度の上下方向成分の時系列データの一例を示す図である。 図6は、速度の上下方向成分の時系列データの一例を示す図である。 図7は、速度の上下方向成分のパワースペクトルの一例を示す図である。 図8は、0周波除去後の速度の上下方向成分の時系列データの一例を示す図である。 図9は、変位の上下方向成分の時系列データの一例を示す図である。 図10は、変位の上下方向成分のパワースペクトルの一例を示す図である。 図11は、0周波除去後の変位の上下方向成分の時系列データの一例を示す図である。 図12は、変位の時系列データの時間積分値とカット周波数との関係の一例を示す図である。 図13は、処理装置における処理の一例を説明するフローチャートである。 図14は、計算例における変位の時系列データを示す図である。
以下、図面を参照しながら、本発明の一実施形態を説明する。
<鉄道車両の概略>
まず、本実施形態で例示する鉄道車両について説明する。図1Aは、鉄道車両の概略の一例を示す図である。図1Bは、鉄道車両の車体の下方の部分の構成の一例を示す図である。尚、図1A、図1Bにおいて、鉄道車両は、x軸の正の方向に進むものとする(x軸は、鉄道車両の走行方向に沿う軸である)。また、z軸は、軌道30(地面)に対し垂直方向(鉄道車両の高さ方向)であるものとする。y軸は、鉄道車両の走行方向に対して垂直な水平方向(鉄道車両の走行方向と高さ方向との双方に垂直な方向)であるものとする。また、鉄道車両は、営業車両であるものとする。尚、各図において、○の中に●が付されているものは、紙面の奥側から手前側に向かう方向を示し、○の中に×が付されているものは、紙面の手前側から奥側に向かう方向を示す。
図1A、図1Bに示すように本実施形態では、鉄道車両は、車体11と、台車12a~12bと、輪軸13a~13dとを有する。このように本実施形態では、1つの車体11に、2つの台車12a~12bと4組の輪軸13a~13dとが備わる鉄道車両を例に挙げて説明する。輪軸13a~13dは、車軸15a~15dとその両端に設けられた車輪14a~14dとを有する。本実施形態では、台車12a~12bが、ボルスタレス台車である場合を例に挙げて説明する。尚、図1Aでは、表記の都合上、輪軸13a~13dの一方の車輪14a~14dのみを示すが、図1Bに示すように輪軸13a~13dの他方にも車輪が設けられている(図1に示す例では、車輪は合計8個ある)。また、鉄道車両は、図1A、図1Bに示す構成要素以外の構成要素を有するが、表記の都合上、図1A、図1Bでは、当該構成要素の図示を省略する。また、図1Bでは、台車12bにおける輪軸13dに対する構成要素(軸箱17a~17b、軸バネ18a~18bと、軸ダンパ19a~19b等)のみを示すが、その他の輪軸に対する構成要素も図1Bに示すものと同じもので実現される。
各輪軸13a~13dのy軸に沿う方向の両側には、軸箱17a~17bが配置される。台車枠16と軸箱17a~17bは、軸箱支持装置により相互に結合される。図1Bに示す例では、軸箱支持装置は、軸バネ18a~18bと、軸ダンパ19a~19bと、を有する。軸箱支持装置は、軸箱17a~17bおよび台車枠16の間に配置される装置(サスペンション)である。軸箱支持装置は、軌道30から鉄道車両に伝わる振動を吸収する。また、軸箱支持装置は、軸箱17a~17bが台車枠16に対してx軸に沿う方向およびy軸に沿う方向に移動することを抑制するように軸箱17a~17bの台車枠16に対する位置を規制した状態で軸箱17a~17bを支持する。軸箱支持装置は、各輪軸13a~13dのy軸に沿う方向の両側に配置される。
台車枠16の上方には、枕ばり21が配置される。枕ばり21と車体11との間には、空気バネ22a~22bと、左右動ダンパ23とが配置される。
ここで、本実施形態において、右側、左側とは、それぞれ、鉄道車両の進行方向(x軸の正の方向)に向かって右側、左側を意味するものとする。軸箱17a、軸バネ18a、軸ダンパ19a、空気バネ22aは、鉄道車両の左側に配置され、軸箱17b、軸バネ18b、軸ダンパ19b、空気バネ22bは、鉄道車両の右側に配置される。
尚、鉄道車両自体は公知の技術で実現できるので、ここでは、その詳細な説明を省略する。
鉄道車両が軌道30上を走行すると、車輪14a~14dと軌道30との間の作用力(クリープ力)が振動源となり、輪軸13a~13d、台車12a~12b、車体11に振動が順次伝搬する。
以下の説明では、軌道30に対し垂直な方向を、必要に応じて上下方向と称する。図1Aおよび図1Bに示す例では、上下方向は、z軸に沿う方向である。また、以下の説明では、鉄道車両の走行方向を、必要に応じて前後方向と称する。また、前後方向(鉄道車両の走行方向)と上下方向(軌道30に対し垂直な方向)との双方に垂直な方向を、必要に応じて左右方向と称する。前後方向は、x軸に沿う方向であり、左右方向は、y軸に沿う方向である。
軸箱17aには、加速度センサ24が取り付けられている。本実施形態では、加速度センサ24は、少なくとも加速度の上下方向成分(z成分)と左右方向成分(y成分)とを測定することができる場合を例に挙げて説明する。
尚、加速度センサが測定する加速度の成分、加速度センサの数、および加速度センサを取り付ける位置は、慣性測定法により軌道狂いを導出するために用いられるものと同様にすることができ、特に限定されない。例えば、加速度の上下方向成分を測定する加速度センサと、加速度の左右方向成分を測定する加速度センサとのそれぞれを軸箱17aに取り付けてもよい。また、左右方向において間隔を有して並ぶ軸箱17a~17bの双方に加速度センサを取り付けてもよい。また、鉄道車両の全ての軸箱に加速度センサを取り付けても、一部の軸箱のみに加速度センサを取り付けてもよい。また、軸箱に加速度センサを取り付ければ輪軸の振動による加速度を可及的に正確に検出することができるので好ましいが、軸箱以外の位置に加速度センサを取り付けてもよい。
また、慣性測定法により軌道狂いを導出するために測定が必要なその他の測定器も鉄道車両に取り付けられる。例えば、左右の軌条(レール)との間の左右方向および上下方向の変位を測定する変位計を鉄道車両に取り付けてもよい。また、加速度センサ(車体11)の傾きを測定するジャイロセンサを鉄道車両に取り付けてもよい。
慣性測定法により軌道狂いを導出するために必要な測定器そのものは、特許文献1~3等に記載のように公知の技術で実現することができるので、ここでは、その詳細な説明を省略する。
<処理装置200>
図2は、処理装置200の機能的な構成の一例を示す図である。処理装置200のハードウェアは、例えば、CPU、ROM、RAM、HDD、および各種のインターフェースを備える情報処理装置、または、専用のハードウェアを用いることにより実現される。
<<データ取得部201>>
データ取得部201は、慣性測定法により軌道狂い量を導出するために必要な測定データを所定のサンプリング周期で鉄道車両の走行中に取得する。本実施形態では、データ取得部201は、各サンプリング時刻において、少なくとも、加速度センサ24により測定された加速度の左右方向成分および上下方向成分を取得する。以下の説明において、上下方向成分に対して加速度から変位を導出することについての具体例を説明するが、特に断りがない場合、加速度、速度、および変位に関する以下の説明は、左右方向成分および上下方向成分の何れに対しても適用されるものであるものとする。つまり、左右方向成分に対する説明は、以下の加速度導出部202、速度導出部203、および変位導出部204の説明において、上下方向成分を左右方向成分に置き換えればよい。
図3は、加速度センサ24により測定された加速度の上下方向成分の時系列データの一例を示す図である。
<<加速度導出部202>>
加速度導出部202は、加速度センサ24により測定された加速度の上下方向成分の時系列データから、0Hzを含む予め設定された低周波数成分が除去された加速度の上下方向成分の時系列データを導出する。加速度導出部202の処理の具体例を説明する。
尚、以下の説明では、時間領域上の関数(時系列データ)をフーリエ変換して得られる周波数領域上の関数をフーリエ変換関数と呼ぶことにする。
まず、加速度導出部202は、第1の加速度導出処理として、加速度センサ24により測定された加速度の上下方向成分の時系列データをフーリエ変換することにより、加速度の上下方向成分のフーリエ変換関数を導出する。
図4は、加速度の上下方向成分のパワースペクトルの一例を示す図である。図4は、図3に示す加速度の上下方向成分の時系列データから導出された加速度の上下方向成分のパワースペクトルである。パワースペクトルは、フーリエ変換関数の絶対値の2乗で定義され、図4に示すように、各周波数における信号強度を示すものである。
図4に示す加速度の上下方向成分のパワースペクトルには、周波数が0Hzのときに大きなピークが存在する。このことは、加速度センサ24により測定された加速度の上下方向成分の時系列データの正の値の積算値の絶対値と負の値の積算値の絶対値とが等しくならず、オフセット成分が存在することを示す。従って、周波数が0Hzの成分を除去すれば、加速度の上下方向成分の時系列データに含まれるオフセット成分を除去できるとも考えられる。しかしながら、加速度の上下方向成分の時系列データは、加速度センサ24による測定データである。このため、加速度センサ24の特性等に起因して、0Hzを上回る低周波数のノイズが測定データに重畳されることがある。
そこで、本実施形態では、加速度導出部202は、第2の加速度導出処理として、加速度の上下方向成分のフーリエ変換関数から、予め設定された0Hzを上回る周波数以下の周波数成分を除去する。以下の説明では、予め設定された0Hzを上回る周波数を必要に応じてカット周波数と称する。本実施形態では、カット周波数の一例として、4.0Hzを採用する。カット周波数として、4.0Hzを採用することについての詳細は後述する。
次に、加速度導出部202は、第3の加速度導出処理として、以上のようにしてカット周波数以下の周波数成分が除去された加速度の上下方向成分のフーリエ変換関数を逆フーリエ変換することにより、カット周波数以下の周波数成分が除去された加速度の上下方向成分の時系列データを導出する。以下の説明では、カット周波数以下の周波数成分が除去された加速度の上下方向成分の時系列データを、必要に応じて、低周波除去後の加速度の上下方向成分の時系列データと称する。
図5は、低周波除去後の加速度の上下方向成分の時系列データの一例を示す図である。図5は、図4に示す加速度の上下方向成分のフーリエ変換関数から4.0Hz以下の周波数成分を除去して逆フーリエ変換することにより導出されたものである。図5(a)は、低周波除去後の加速度の上下方向成分の実部の時系列データを示す。図5(b)は、低周波除去後の加速度の上下方向成分の虚部の時系列データを示す。加速度の上下方向成分のフーリエ変換関数から4.0Hz以下の周波数成分を除去して逆フーリエ変換すると、低周波除去後の加速度の上下方向成分には、実部だけでなく虚部が含まれる。
一般に、フーリエ変換、逆フーリエ変換により得られる関数は、複素数値関数であるため、数値計算上は低周波除去後の加速度の上下方向成分に虚部が含まれるが、加速度センサ24により測定された加速度の上下方向成分の時系列データ自体は実数値関数であるので、図5(b)に示すように、低周波除去後の加速度の上下方向成分の虚部の値は、低周波除去後の加速度の上下方向成分の実部の値に比べて圧倒的に小さく、無視できる大きさ(略0)である。このため、低周波除去後の加速度の上下方向成分の実部を、変位の導出に用いる加速度としても、実用上要求される精度で、変位を導出することができる。尚、本実施形態では、低周波除去後の加速度の上下方向成分の虚部は、変位の導出に使用されずに破棄される。
<<速度導出部203>>
速度導出部203は、加速度導出部202により導出された低周波除去後の加速度の上下方向成分の実部の時系列データから、0Hzの周波数成分が除去された速度の上下方向成分の時系列データを導出する。速度導出部203の処理の具体例を説明する。
まず、速度導出部203は、第1の速度導出処理として、低周波除去後の加速度の上下方向成分の実部の時系列データを時間積分することにより、速度の上下方向成分の時系列データを導出する。
図6は、速度の上下方向成分の時系列データの一例を示す図である。図6は、図5(a)に示す低周波除去後の加速度の上下方向成分の実部の時系列データから導出された速度の上下方向成分の時系列データである。
前述したように、低周波除去後の加速度の上下方向成分の実部の時系列データでは、カット周波数以下の周波数成分が除去されている。従って、図6に示すように、低周波除去後の加速度の上下方向成分の実部の時系列データを時間積分しても、時間積分値の発散を回避することができる。
次に、速度導出部203は、第2の速度導出処理として、速度の上下方向成分の時系列データをフーリエ変換することにより、速度の上下方向成分のフーリエ変換関数を導出する。
図7は、速度の上下方向成分のパワースペクトルの一例を示す図である。図7は、図6に示す速度の上下方向成分の時系列データから導出された速度の上下方向成分のパワースペクトルである。
図7に示す速度の上下方向成分のパワースペクトルには、周波数が0Hzのときに比較的大きなピークが存在する。このことは、速度の上下方向成分の時系列データの正の値の積算値の絶対値と負の値の積算値の絶対値とが等しくならず、オフセット成分が存在することを示す。また、図6に示す速度の上下方向成分の時系列データは、測定器で測定されたデータそのものではない。従って、速度の上下方向成分の時系列データには、図3に示す加速度の上下方向成分の時系列データのように、測定器(加速度センサ24)による測定に起因する、0Hzを上回る低周波数のノイズは含まれない。
そこで、本実施形態では、速度導出部203は、第3の速度導出処理として、速度の上下方向成分のフーリエ変換関数から、0Hzの周波数成分のみを除去する。前述したように、速度の上下方向成分の時系列データには、0Hzを上回る低周波数のノイズは含まれないので、ここで0Hzを上回る低周波数成分も除去するように処理したとしても、実質的には0Hzの周波数成分のみを除去したことになる。
次に、速度導出部203は、第4の速度導出処理として、0Hzの周波数成分が除去された速度の上下方向成分のフーリエ変換関数を逆フーリエ変換することにより、0Hzの周波数成分が除去された速度の上下方向成分の時系列データを導出する。以下の説明では、0Hzの周波数成分が除去された速度の上下方向成分の時系列データを、必要に応じて、0周波除去後の速度の上下方向成分の時系列データと称する。
図8は、0周波除去後の速度の上下方向成分の時系列データの一例を示す図である。図8は、図7に示す速度の上下方向成分のフーリエ変換関数から0Hzの周波数成分を除去して逆フーリエ変換することにより導出されたものである。図8(a)は、0周波除去後の速度の上下方向成分の実部の時系列データを示す。図8(b)は、0周波除去後の速度の上下方向成分の虚部の時系列データを示す。速度の上下方向成分のフーリエ変換関数から0Hzの周波数成分を除去して逆フーリエ変換すると、0周波除去後の速度の上下方向成分には、実部だけでなく虚部が含まれる。
前述したように、数値計算上は0周波除去後の速度の上下方向成分に虚部が含まれるが、速度の上下方向成分の時系列データ自体は実数値関数であるので、図8(b)に示すように、0周波除去後の速度の上下方向成分の虚部の値は、0周波除去後の速度の上下方向成分の実部の値に比べて圧倒的に小さく、無視できる大きさ(略0)である。このため、0周波除去後の速度の上下方向成分の実部を、変位の導出に用いる速度としても、実用上要求される精度で、変位を導出することができる。尚、本実施形態では、0周波除去後の速度の上下方向成分の虚部は、変位の導出に使用されずに破棄される。
<<変位導出部204>>
変位導出部204は、速度導出部203により導出された0周波除去後の速度の上下方向成分の実部の時系列データから、0Hzの周波数成分が除去された変位の上下方向成分の時系列データを導出する。変位導出部204の処理の具体例を説明する。
まず、変位導出部204は、第1の変位導出処理として、0周波除去後の速度の上下方向成分の実部の時系列データを時間積分することにより、変位の上下方向成分の時系列データを導出する。
図9は、変位の上下方向成分の時系列データの一例を示す図である。図9は、図8(a)に示す0周波除去後の速度の上下方向成分の実部の時系列データから導出された変位の上下方向成分の時系列データである。
前述したように、0周波除去後の速度の上下方向成分の実部の時系列データでは、0Hzの周波数成分が除去されている。従って、図9に示すように、0周波除去後の速度の上下方向成分の実部の時系列データを時間積分しても、時間積分値の発散を回避することができる。
次に、変位導出部204は、第2の変位導出処理として、変位の上下方向成分の時系列データをフーリエ変換することにより、変位のフーリエ変換関数を導出する。
図10は、変位の上下方向成分のパワースペクトルの一例を示す図である。図10は、図9に示す変位の上下方向成分の時系列データから導出された変位の上下方向成分のパワースペクトルである。
図10に示す変位の上下方向成分のパワースペクトルには、周波数が0Hzのときに大きなピークが存在する。このことは、変位の上下方向成分の時系列データの正の値の積算値の絶対値と負の値の積算値の絶対値とが等しくならず、オフセット成分が存在することを示す。また、図9に示す変位の上下方向成分の時系列データは、測定器で測定されたデータそのものではない。従って、変位の上下方向成分の時系列データには、図3に示す加速度の上下方向成分の時系列データのように、測定器(加速度センサ24)による測定に起因する、0Hzを上回る低周波数のノイズは含まれない。
そこで、本実施形態では、変位導出部204は、第3の速度導出処理として、変位の上下方向成分のフーリエ変換関数から、0Hzの周波数成分のみを除去する。前述したように、変位の上下方向成分の時系列データには、0Hzを上回る低周波数のノイズは含まれないので、ここで0Hzを上回る低周波数成分も除去するように処理したとしても、実質的には0Hzの周波数成分のみを除去したことになる。
次に、変位導出部204は、第4の変位導出処理として、0Hzの周波数成分が除去された変位の上下方向成分のフーリエ変換関数を逆フーリエ変換することにより、0Hzの周波数成分が除去された変位の上下方向成分の時系列データを導出する。以下の説明では、0Hzの周波数成分が除去された変位の上下方向成分の時系列データを、必要に応じて、0周波除去後の変位の上下方向成分の時系列データと称する。
図11は、0周波除去後の変位の上下方向成分の時系列データの一例を示す図である。図11は、図10に示す変位の上下方向成分のフーリエ変換関数から0Hzの周波数成分を除去して逆フーリエ変換することにより導出されたものである。図11(a)は、0周波除去後の変位の上下方向成分の実部の時系列データを示す。図11(b)は、0周波除去後の変位の上下方向成分の虚部の時系列データを示す。変位の上下方向成分のフーリエ変換関数から0Hzの成分を除去して逆フーリエ変換すると、0周波除去後の変位の上下方向成分には、実部だけでなく虚部が含まれる。
前述したように、数値計算上は0周波除去後の変位の上下方向成分に虚部が含まれるが、変位の上下方向成分の時系列データ自体は実数値関数であるので図11(b)に示すように、0周波除去後の変位の上下方向成分の虚部の値は、0周波除去後の変位の上下方向成分の実部の値に比べて圧倒的に小さく、無視できる大きさ(略0)である。このため、0周波除去後の変位の上下方向成分の実部を、加速度センサ24により測定された加速度に基づく変位として採用しても、実用上要求される精度の変位となる。尚、本実施形態では、0周波除去後の変位の上下方向成分の虚部は、破棄される。
本実施形態では、以上のようにして、0周波除去後の変位の上下方向成分の実部が導出され、軌道不整量導出部205に出力される。前述したように本実施形態では、0周波除去後の変位の左右方向成分の実部も導出され、軌道不整量導出部205に出力される。前述したように、0周波除去後の変位の左右方向成分の実部の導出は、以上の説明において、上下方向を左右方向に置き換えることにより実現される。
<<カット周波数の具体例>>
ここで、加速度導出部202が第2の加速度導出処理で使用するカット周波数(図4に示す加速度の上下方向成分のフーリエ変換関数から除去する周波数成分の上限値)の設定方法の一例を説明する。
図12は、変位の時系列データの時間積分値とカット周波数との関係の一例を示す図である。
図12において、縦軸の時間積分値は、0周波除去後の変位の上下方向成分の実部の時系列データの時間積分値を表す。グラフ1201、1202、1203、1204は、それぞれ、台車12aの輪軸13a、台車12aの輪軸13b、台車12bの輪軸13c、台車12bの輪軸13dに取り付けられた加速度センサ24により測定された加速度の上下方向成分を用いて、加速度導出部202、速度導出部203、および変位導出部204による処理を行うことにより導出された0周波除去後の変位の上下方向成分の実部の時系列データの時間積分値を示す。ノイズが十分に除去されれば、当該時間積分値は、略0m・sになると考えられる。
図12に示すように、何れの輪軸13a~13dに取り付けられた加速度センサ24により測定された加速度の上下方向成分を用いた場合でも、カット周波数が4.0Hzにおいて、0周波除去後の変位の上下方向成分の実部の時系列データの時間積分値は略0m・sに収束する。従って、0Hzを含む予め設定された低周波数成分に4.0Hz以下の成分が含まれれば、ノイズが十分に除去される。しかしながら、カット周波数を大きくすると、有効な信号が除去される虞も生じることから、カット周波数は、6Hz以下とするのが好ましい。前述したように、本実施形態では、加速度導出部202が第2の加速度導出処理で使用するカット周波数を4.0Hzとする。
このように、本実施形態では、処理装置200を実際に稼働する前に、加速度センサ24により測定された加速度に基づいて、処理装置200が行う処理(加速度導出部202、速度導出部203、および変位導出部204)と同じ処理で変位の時系列データを導出することを、カット周波数を異ならせて行う。そして、それぞれのカット周波数における0周波除去後の変位の時系列データの時間積分値を導出する。0周波除去後の変位の時系列データの時間積分値の大きさが0m・sまたは0m・sと同等であると見なせる所定値以下となるカット周波数の最低値を、加速度導出部202で用いるカット周波数とする。前記所定値は、例えば、10-14m・s以下の値を設定すればよい。
<<軌道不整量導出部205>>
軌道不整量導出部205は、変位導出部204により導出された0周波除去後の変位の実部の時系列データに基づいて、軌道不整量(軌道狂い量)を導出する。本実施形態では、軌道不整の一例として通り狂いおよび高低狂いを導出する場合を例に挙げて説明する。通り狂いとは、日本工業規格(JIS E 1001:2001)に記載されているように、レールの長手方向の左右の変位である。通り狂い量は、その変位の量である。高低狂いとは、日本工業規格(JIS E 1001:2001)に記載されているように、レールの長手方向の上下の変位である。高低狂い量は、その変位の量である。
軌道不整量導出部205は、変位導出部204により導出された0周波除去後の変位の左右方向成分の実部を用いて、通り狂い量を導出する。また、軌道不整量導出部205は、変位導出部204により導出された0周波除去後の変位の上下方向成分の実部を用いて、高低狂い量を導出する。軌道不整量導出部205は、当該通り狂い量および高低狂い量が導出されたサンプリング時刻における鉄道車両の走行位置を特定し、特定した走行位置と、当該通り狂い量および高低狂い量とを相互に関連付ける。鉄道車両の走行位置は、例えば、GPS(Global Positioning System)を用いて特定される。また、鉄道車両の走行位置は、鉄道車両の各時刻における速度の積算値等から求めてもよい。
このとき、軌道不整量導出部205は、ジャイロセンサで測定された加速度センサ(車体11)の傾きを用いて、変位導出部204により導出された変位に対して、傾きを補正することができる。また、軌道不整量導出部205は、左右の軌条(レール)と変位計(車体11)との間の左右方向および上下方向の変位から、軌条(レール)と車体11との相対的な変位の変化を導出し、導出した変化を、変位導出部204により導出された変位に対して加算することができる。このとき、左右の軌条(レール)と変位計(車体11)との間の左右方向および上下方向の変位に対してハイパスフィルタ処理を行ってもよい。尚、軌道不整量の導出方法は、特に限定されず、公知の慣性測定法で用いられる技術を適用することができる。例えば、特許文献1、2に記載の技術において、積分器からの出力を、変位導出部204により導出された0周波除去後の変位の実部に置き換えることにより、軌道不整量を導出することができる。
<<出力部206>>
出力部206は、軌道不整量導出部205により導出された軌道不整量(軌道狂い量)の情報を出力する。軌道不整量(軌道狂い量)の情報には、例えば、軌道不整量と鉄道車両の走行位置とが相互に関連づけられた情報が含まれる。出力の形態は、例えば、コンピュータディスプレイへの表示、処理装置200の外部の装置の送信、および、処理装置200の外部または内部の記憶媒体への記憶のうち、少なくとも1つを採用することができる。また、出力部206は、軌道不整量導出部205により導出された軌道不整量(軌道狂い量)の情報に代えてまたは加えて、変位導出部204により導出された変位の情報を出力してもよい。この場合、例えば、変位導出部204により導出された変位と、当該変位が得られた鉄道車両の走行位置とが相互に関連づけられた情報が出力される。
<フローチャート>
次に、図13のフローチャートを参照しながら、本実施形態の処理装置200における処理の一例を説明する。
ステップS1301において、処理装置200は、検査対象の鉄道車両が検査区間に入るまで待機する。鉄道車両が検査区間に入ったか否かは、例えば、鉄道車両の走行位置に基づいて判定される。検査対象の鉄道車両が検査区間に入ると、処理は、ステップS1302に進む。処理がステップS1302に進むと、データ取得部201は、加速度センサ24により測定された加速度の上下方向成分。左右方向成分のデータを取得する。データ取得部201は、例えば、慣性測定法により軌道狂い量を導出するために必要な数のデータを取得する。例えば、データ取得部201は、1回のステップS1301において、所定の期間、所定のサンプリング周期でデータを取得する。
次に、ステップS1303において、加速度導出部202は、加速度センサ24により測定された加速度の上下方向成分・左右方向成分の時系列データをフーリエ変換することにより、加速度の上下方向成分・左右方向成分のフーリエ変換関数を導出する。
次に、ステップS1304において、加速度導出部202は、ステップS1303で導出された加速度の上下方向成分・左右方向成分のフーリエ変換関数から、カット周波数以下の周波数成分を除去する。
次に、ステップS1305において、加速度導出部202は、ステップS1304においてカット周波数以下の周波数成分が除去された加速度の上下方向成分・左右方向成分のフーリエ変換関数を逆フーリエ変換することにより、低周波除去後の加速度の上下方向成分・左右方向成分の時系列データを導出する。
次に、ステップS1306において、速度導出部203は、ステップS1305で導出された低周波除去後の加速度の上下方向成分・左右方向成分の実部の時系列データを時間積分することにより、速度の上下方向成分・左右方向成分の時系列データを導出する。
次に、ステップS1307において、速度導出部203は、ステップS1306で導出された速度の上下方向成分・左右方向成分の時系列データをフーリエ変換することにより、速度の上下方向成分・左右方向成分のフーリエ変換関数を導出する。
次に、ステップS1308において、速度導出部203は、ステップS1307で導出された速度の上下方向成分・左右方向成分のフーリエ変換関数から、0Hzの周波数成分を除去する。
次に、ステップS1309において、速度導出部203は、ステップS1308において0Hzの周波数成分が除去された速度の上下方向成分・左右方向成分のフーリエ変換関数を逆フーリエ変換することにより、0周波除去後の速度の上下方向成分・左右方向成分の時系列データを導出する。
次に、ステップS1310において、変位導出部204は、ステップS1309で導出された0周波除去後の速度の上下方向成分・左右方向成分の実部の時系列データを時間積分することにより、変位の上下方向成分・左右方向成分の時系列データを導出する。
次に、ステップS1311において、変位導出部204は、ステップS1310で導出された変位の上下方向成分・左右方向成分の時系列データをフーリエ変換することにより、変位の上下方向成分・左右方向成分のフーリエ変換関数を導出する。
次に、ステップS1312において、変位導出部204は、ステップS1311で導出された変位の上下方向成分・左右方向成分のフーリエ変換関数から、0Hzの周波数成分を除去する。
次に、ステップS1313において、変位導出部204は、ステップS1312において0Hzの周波数成分が除去された変位の上下方向成分・左右方向成分のフーリエ変換関数を逆フーリエ変換することにより、0周波除去後の変位の上下方向成分・左右方向成分の時系列データを導出する。
次に、ステップS1314において、軌道不整量導出部205は、変位導出部204により導出された0周波除去後の変位の実部の時系列データに基づいて、軌道不整量を導出する。尚、本実施形態では、軌道不整量導出部205は、0周波除去後の変位の左右方向成分の実部に基づいて通り狂い量を導出し、0周波除去後の変位の上下方向成分の実部に基づいて高低狂い量を導出する。
次に、ステップS1315において、出力部206は、ステップS1314で導出された軌道不整量の情報を出力する。
次に、ステップS1316において、処理装置200は、検査対象の鉄道車両が検査区間を出たか否かを判定する。この判定の結果、検査対象の鉄道車両が検査区間を出ていない場合、処理は、ステップS1302に戻り、検査対象の鉄道車両が検査区間を出るまで、ステップS1302~S1316の処理が繰り返し実行される。そして、ステップS1316において、検査対象の鉄道車両が検査区間を出たと判定されると、図13のフローチャートによる処理が終了する。
<計算例>
次に、計算例を説明する。ここでは、発明例として、図3示す加速度の上下方向成分の時系列データに対して本実施形態のようにして、変位の時系列データ(0周波除去後の変位の上下方向成分の実部の時系列データ)を導出した。また、比較例として、図3示す加速度の上下方向成分の時系列データに対して、遮断周波数を5Hzとしたハイパスフィルタを適用して、従来の時間積分を行って速度の時系列データを導出し、導出した速度の時系列データに対して、再度同様のハイパスフィルタを適用して、従来の時間積分を行って変位の時系列データを導出した。加速度に対してハイパスフィルタを2回適用したのは、1回では結果が発散することが理由である。
図14は、発明例および比較例における変位の時系列データを示す図である。図14(a)は、遮断周波数を5Hzとしたハイパスフィルタを適用した場合の変位の時系列データを示す。図14(b)は、本実施形態の手法で導出した変位の時系列データ(0周波除去後の変位の上下方向成分の実部の時系列データ)である。尚、図14(b)は、図11(a)と同じものである。
図14(a)に示すように、ハイパスフィルタを適用した場合には、導出される変位の発散を回避することはできるが、図14(b)と比較して、低周波領域の信号がそぎ落とされていることが分かる。ハイパスフィルタは線形位相特性の実現が難しく、遮断波長付近での位相の変化が顕著なため、必然的に波形ひずみを生じ、装置の出力波形は実際の軌道形状と一致しないという弊害があり、ハイパスフィルタを2回適用するという前記行為は、この傾向を増幅してしまうという問題がある。
<まとめ>
以上のように本実施形態では、処理装置200は、加速度センサ24により測定された加速度の時系列データをフーリエ変換して加速度のフーリエ変換関数を導出し、当該加速度のフーリエ変換関数からカット周波数以下の周波数成分を除去した加速度のフーリエ変換関数を逆フーリエ変換して低周波除去後の加速度の時系列データを導出する。処理装置200は、低周波除去後の加速度の時系列データを時間積分した速度の時系列データをフーリエ変換して速度のフーリエ変換関数を導出し、当該速度のフーリエ変換関数から0Hzの周波数成分を除去した速度のフーリエ変換関数を逆フーリエ変換して0周波除去後の速度の時系列データを導出する。処理装置200は、0周波除去後の速度の時系列データを時間積分して変位の時系列データを導出する。従って、通過周波数帯域を制限する線形フィルタを用いずに加速度から変位を導出することができる。通過周波数帯域を制限する線形フィルタを用いる場合よりも、除去する周波数を限定することができるので、変位が発散することと、変位の時系列データから低周波数成分等の変位の特定に有用な周波数成分が欠落することを抑制することができる。これにより、加速度から変位を高精度に導出することができる。
また、本実施形態では、処理装置200は、変位の時系列データをフーリエ変換して変位のフーリエ変換関数を導出し、当該変位のフーリエ変換関数から0Hzの周波数成分を除去した変位のフーリエ変換関数を逆フーリエ変換して0周波除去後の変位の時系列データを導出する。従って、オフセットが除去された変位を導出することができる。よって、変位をより高精度に導出することができる。
<変形例>
本実施形態では、データ取得部201は、加速度センサ24により測定された加速度の左右方向成分および上下方向成分を、鉄道車両の走行中に取得する場合を例に挙げて説明した。しかしながら、必ずしもこのようにする必要はない。例えば、データ取得部201は、鉄道車両が検査区間を走行している間に加速度センサ24により測定された加速度の時系列データの全体を一度に取得してもよい。また、加速度の成分は、左右方向成分および上下方向成分に限定されない。例えば、加速度の成分は、左右方向成分のみであってもよいし、上下方向成分のみであってもよい。また、加速度の成分は、これらの成分に代えてまたは加えて、前後方向成分を含んでいてもよい。
また、本実施形態では、加速度導出部202は、第2の加速度導出処理として、加速度の上下方向成分のフーリエ変換関数から、カット周波数(4.0Hz)以下の周波数成分を除去する場合を例に挙げて説明した。しかしながら、カット周波数は、4.0Hzに限定されず、加速度センサ24の仕様等に応じて定められるものである。また、例えば、加速度センサにより測定される加速度の時系列データに含まれる0Hzを上回る低周波数成分の影響が小さい場合には、カット周波数を0Hzとしてもよい。
また、本実施形態のように、変位導出部204により、変位の時系列データをフーリエ変換して変位のフーリエ変換関数を導出し、当該変位のフーリエ変換関数から0Hzの周波数成分を除去した変位のフーリエ変換関数を逆フーリエ変換して0周波除去後の変位の時系列データを導出するのが好ましい。しかしながら、必ずしも、このようにする必要はない。例えば、オフセット成分を予め見積もることができる場合や、時間の変化に伴う変位(軌道不整量(軌道狂い量))の相対的な関係を検査する場合には、第1の変位導出処理(0周波除去後の速度の実部の時系列データを時間積分することにより、変位の時系列データを導出する処理)を行い、当該変位の時系列データを用いて軌道不整量(軌道狂い量)を導出してもよい。
また、本実施形態では、処理装置200が、鉄道車両の車体11内に配置される場合を例に挙げて説明した。しかしながら、必ずしもこのようにする必要はない。例えば、処理装置200を車体11内に配置せず、鉄道車両の外部に配置してもよい。このようにする場合、鉄道車両で測定されるデータは、例えば、無線通信により、鉄道車両から処理装置200に送信されるようにする。
また、本実施形態では、変位が、軌道狂いに係る変位である場合を例に挙げて説明した。しかしながら、加速度の測定データを用いて変位を導出するものであれば、変位は、軌道狂いに係る変位に限定されない。例えば、地盤、建築物、機械構造物へ加速度センサを取り付け、振動時のこれらの変位を導出してもよい。
尚、以上説明した本発明の実施形態は、コンピュータがプログラムを実行することによって実現することができる。また、前記プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体及び前記プログラム等のコンピュータプログラムプロダクトも本発明の実施形態として適用することができる。記録媒体としては、例えば、フレキシブルディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROM等を用いることができる。
また、以上説明した本発明の実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその技術思想、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
11:車体、12a~12b:台車、13a~13d:輪軸、14a~14d:車輪、15a~15d:車軸、16:台車枠、17a~17b:軸箱、18a~18b:軸バネ、19a~19b:軸ダンパ、21:枕ばり、22a~22b:空気バネ、23:左右動ダンパ、24:加速度センサ、30:軌道、200:処理装置、201:データ取得部、202:加速度導出部、203:速度導出部、204:変位導出部、205:軌道不整量導出部、206:出力部

Claims (7)

  1. 加速度センサで測定された加速度の時系列データを取得する取得手段と、
    前記取得手段により取得された加速度の時系列データをフーリエ変換することにより加速度のフーリエ変換関数を導出する第1の加速度導出手段と、
    前記第1の加速度導出手段により導出された加速度のフーリエ変換関数から予め設定された0Hzを上回る周波数以下の低周波数成分を除去した加速度のフーリエ変換関数を導出する第2の加速度導出手段と、
    前記第2の加速度導出手段により導出された加速度のフーリエ変換関数を逆フーリエ変換することにより加速度の時系列データを導出する第3の加速度導出手段と、
    前記第3の加速度導出手段により導出された加速度の実部の時系列データを時間積分することにより速度の時系列データを導出する第1の速度導出手段と、
    前記第1の速度導出手段により導出された速度の時系列データをフーリエ変換することにより速度のフーリエ変換関数を導出する第2の速度導出手段と、
    前記第2の速度導出手段により導出された速度のフーリエ変換関数から0Hzの周波数成分を除去した速度のフーリエ変換関数を導出する第3の速度導出手段と、
    前記第3の速度導出手段により導出された速度のフーリエ変換関数を逆フーリエ変換することにより速度の時系列データを導出する第4の速度導出手段と、
    前記第4の速度導出手段により導出された速度の実部の時系列データを時間積分することにより変位の時系列データを導出する第1の変位導出手段と、
    を有することを特徴とする処理装置。
  2. 前記予め設定された低周波数成分には、4.0Hz以下の成分が含まれることを特徴とする請求項1に記載の処理装置。
  3. 前記第1の変位導出手段により導出された変位の時系列データをフーリエ変換することにより変位のフーリエ変換関数を導出する第2の変位導出手段と、
    前記第2の変位導出手段により導出された変位のフーリエ変換関数から0Hzの周波数成分を除去した変位のフーリエ変換関数を導出する第3の変位導出手段と、
    前記第3の変位導出手段により導出された変位のフーリエ変換関数を逆フーリエ変換することにより変位の時系列データを導出する第4の変位導出手段と、を更に有することを特徴とする請求項1または2に記載の処理装置。
  4. 前記加速度センサは、鉄道車両に取り付けられており、
    前記変位は、軌道狂いに係る変位であることを特徴とする請求項1~の何れか1項に記載の処理装置。
  5. 前記加速度センサは、鉄道車両の軸箱に取り付けられていることを特徴とする請求項に記載の処理装置。
  6. 加速度センサで測定された加速度の時系列データを取得する取得工程と、
    前記取得工程により取得された加速度の時系列データをフーリエ変換することにより加速度のフーリエ変換関数を導出する第1の加速度導出工程と、
    前記第1の加速度導出工程により導出された加速度のフーリエ変換関数から予め設定された0Hzを上回る周波数以下の低周波数成分を除去した加速度のフーリエ変換関数を導出する第2の加速度導出工程と、
    前記第2の加速度導出工程により導出された加速度のフーリエ変換関数を逆フーリエ変換することにより加速度の時系列データを導出する第3の加速度導出工程と、
    前記第3の加速度導出工程により導出された加速度の時系列データを時間積分することにより速度の時系列データを導出する第1の速度導出工程と、
    前記第1の速度導出工程により導出された速度のフーリエ変換関数から0Hzの周波数成分を除去した速度のフーリエ変換関数を導出する第2の速度導出工程と、
    前記第2の速度導出工程により導出された速度のフーリエ変換関数を逆フーリエ変換することにより速度の時系列データを導出する第3の速度導出工程と、
    前記第3の速度導出工程により導出された速度の時系列データを時間積分することにより変位の時系列データを導出する第1の変位導出工程と、
    を有することを特徴とする処理方法。
  7. 請求項1~の何れか1項に記載の処理装置の各手段としてコンピュータを機能させるためのプログラム。
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