JP7338818B2 - 熱処理炉 - Google Patents
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Description
図1に示す本願の熱処理炉10は、容器状の圧力容器12、圧力容器12の内部空間14に配置された断熱体16、断熱体16の内部空間18に配置されたヒーター20、被処理物22が収容されるタイトボックス(インナーケース)24、圧力容器12の内部空間14に冷却ガスを供給する第1ポート26、圧力容器12の外部に冷却ガスを排気する第2ポート28、冷却ガスを断熱体16の内部空間18に導くための第1貫通孔30、冷却ガスを断熱体16の内部空間18から排気するための第2貫通孔32、冷却ガスを循環させるための冷却ユニット34を備える。
図2および図3に示すように、圧力容器12は容器本体42および容器蓋44を備える。容器本体42は円筒形状になっている(図4)。容器蓋44は容器本体42の両端を開閉するものである。容器本体42の両端を容器蓋44で閉じると、圧力容器12の内部空間14は気密にされた空間になる。圧力容器12の内部空間14は減圧されたり、加圧されたりする。圧力容器12の耐圧はたとえば約10MPaであり、各種設計によって変更できる。圧力容器12は内壁46と外壁48からなる二重構造であり、内壁46と外壁48の間を冷却液が流れる。内部空間14の温度を下げるときに、冷却液によって下げることができる。
断熱体16は圧力容器12の内部空間14に配置されている。断熱体16は断熱体本体50および断熱体蓋52を備える。断熱体本体50は筒状になっている。図2に示すように断熱体本体50は断熱体突出部54を備え、その断熱体突出部54が圧力容器12の内壁46に接している。断熱体突出部54は断熱体16の長手方向両端における上部と下部に設けられる。圧力容器12と断熱体16との間に隙間を有する。断熱体蓋52は断熱体本体50の両端を開閉するものである。容器蓋44が閉じた状態で断熱体蓋52が開閉できるように、断熱体蓋52の開閉装置(図示せず)を備える。断熱体16はグラファイトフェルトまたはグラファイトフォイルなどの耐熱性材料で構成される。
断熱体16の内部空間18にヒーター20が配置されている。ヒーター20としてグラファイト製のロッドヒーターが挙げられる。ヒーター20はタイトボックス24に対して平行に配置されている。また、タイトボックス24の周囲を回るように複数のヒーター20が配置されている(図4)。ヒーター20は電極(図示省略)から三相交流の電力が供給され、発熱する。
断熱体16の内部空間18の中にタイトボックス24が配置されている。タイトボックス24はグラファイトなどで構成されている。タイトボックス24はタイトボックス本体56とタイトボックス蓋58を備える。タイトボックス本体56は筒状になっている。タイトボックス蓋58はタイトボックス本体56の両端を開閉する。図2および図3に示すように、タイトボックス蓋58が開閉できるように、タイトボックス蓋58の開閉装置60を備える。開閉装置60は断熱体蓋52に取り付けられており、タイトボックス蓋58を断熱体蓋52に向けて移動させる装置である。タイトボックス本体56の両端をタイトボックス蓋58で閉じることで、タイトボックス24の内部空間が密閉される。
タイトボックス24の内部空間36に被処理物22が配置される。被処理物22の材料は、超硬金属、鉄系金属、非鉄金属、磁性材料、セラミックス、グラファイト、ハイス鋼、ダイス鋼または低合金鋼などであり、金属は合金を含む。被処理物22は、粉体または所定形状を有した固体である。タイトボックス24の中に被処理物22が収容されることで、被処理物22を脱脂処理したときに被処理物22から放出されるバインダー(ガスおよびワックス)がタイトボックス24の外に放出されるのを防ぐことができる。圧力容器12の内壁46、断熱体16およびヒーター20などが汚染されることを防止できる。
熱処理炉10は圧力容器12の内部空間14に冷却ガスを供給する第1ポート26および冷却ガスを排気する第2ポート28を備える。第1ポート26は圧力容器12の下部に備えられる。第2ポート28は圧力容器12の上部に備えられる。第1ポート26と第2ポート28は圧力容器12の中心に対して対称となる位置に配置されている。第1ポート26から圧力容器12の内部空間14を横切って第2ポート28に冷却ガスが流れる。各ポート26、28の数は限定されない。
断熱体16の内部空間18に冷却ガスを供給する第1貫通孔30および冷却ガスを排出する第2貫通孔32が備えられる。第1貫通孔30は断熱体本体50の下部に備えられる。第2貫通孔32は断熱体本体50の上部に備えられる。第1貫通孔30と第2貫通孔32は断熱体16の中心に対して対称となる位置に配置されている。第1貫通孔32から断熱体16の内部空間18を横切って第2貫通孔32に冷却ガスが流れる。各貫通孔30、32は複数であり、各貫通孔30、32の数は限定されない。断熱体16の内部空間18の中で冷却ガスが均一に流れるようにする。
図1に示すように冷却ユニット34は第1ファン74および冷却装置76を備える。第1ファン74と冷却装置76は筐体78に収納されている。第1ファン74は冷却ガスを循環させる。第1ファン74を回転させるために第1モーター80が設けられている。冷却装置76は水冷式の熱交換器である。冷却ユニット34と第1ポート26が第1パイプ82で繋げられ、冷却ユニット34と第2ポート28が第2パイプ84で繋げられている。冷却装置76で冷却された冷却ガスが第1パイプ82および第1ポート26を通って圧力容器12に送風される。また、第2ポート28および第2パイプ84を通って冷却ガスが冷却ユニット34に戻される。冷却ユニット34で冷却ガスが冷却されて再び圧力容器12に送られる。なお、第1パイプ82および第2パイプ84にそれぞれバルブを設け、冷却ガスの流れを制御してもよい。
ガス源38は窒素、アルゴン、水素、一酸化炭素、ヘリウム、メタンなどを貯蔵、生成またはその両方をおこなう。ガス源38と圧力容器12の内部空間14およびタイトボックス24の内部空間36は第3パイプ90で接続されている。第3パイプ90は分岐しており、それぞれにバルブ92、94が設けられている。バルブ92、94の開閉によってガスの流量を制御できる。ガス源38から第3パイプ90を介して圧力容器12の内部空間14およびタイトボックス24の内部空間36にガスが導入される。ガス源38を複数にして、複数種のガスを圧力容器12の内部空間14およびタイトボックス24の内部空間36に供給してもよい。第3パイプ90を複数設け、複数種のガスが供給されるようにする。なお、断熱体16は完全に気密にされていないため、断熱体16の内部空間18から圧力容器12の内部空間14にガスを導入することができる。
ポンプ40は圧力容器12の内部空間14およびタイトボックス24の内部空間36に対して排気をおこなう。ポンプ40と圧力容器12は第4パイプ96で接続されており、ポンプ40とタイトボックス24は第5パイプ98で接続されている。ポンプ40によって、圧力容器12の内部空間14およびタイトボックス24の内部空間36が減圧される。第4パイプ96と第5パイプ98にはそれぞれバルブ100、102が備えられていて、バルブ100、102の開閉によっても排気を制御することができる。
圧力容器12の内部空間14に第2ファン108が備えられてもよい。第2ファン108は、容器蓋44が閉じられ、断熱体蓋52が開けられたときに回転する。圧力容器12の内部空間14および断熱体16の内部空間18をガスが循環する。ガスはガス源38から内部空間14、18に導入されたガスであってもよい。タイトボックス蓋58が開けられる場合もある。第2ファン108を回転させるための第2モーター110が容器蓋44に取り付けられている。
次に本願の熱処理炉10を使用した熱処理について説明する。なお、説明する熱処理は一例であり、被処理物22の種類および処理方法に応じて適宜変更される。
実施形態1に対して、第1ポート26と第2ポート28の位置を入れ替えてもよい。第1ポート26が圧力容器12の上部、第2ポート28が圧力容器12の下部に配置される。さらに、第1貫通孔30が断熱体16の上部、第2貫通孔32が断熱体16の下部に配置される。冷却ガスは圧力容器12の上部から下部に向けて流れる。
第1ポート26を開閉するポート蓋を設けてもよい。第1ポート26、第2ポート28またはその両方のポート26、28にポート蓋72を設ける。ポート蓋72を閉じることで断熱体16の断熱性能を高める。被処理物22を冷却するときはポート蓋72を開ける。
風路66における圧力容器12と断熱体16の間にシャワープレート122を配置してもよい(図7)。シャワープレート122は板体に複数の開口124を設けてものである。シャワープレート122によって冷却ガスの流れを均一にする。シャワープレート122の開口234の密度を場所によって変えてもよい。たとえば、ポート26、28に近い位置では開口124の密度を疎にして、ポート26、28に遠い位置では開口124の密度を密にする。
12:圧力容器
14:圧力容器の内部空間
16:断熱体
18:断熱体の内部空間
20:ヒーター
22:被処理物
24:タイトボックス
26、28:ポート
30、32:貫通孔
34:冷却ユニット
36:タイトボックスの内部空間
68:バック断熱体
72:第2ポート蓋
74:第1ファン
76:冷却装置
80:第1モーター
122:シャワープレート
124:シャワープレートの開口
Claims (10)
- 容器状の圧力容器と、
前記圧力容器の内部空間に配置された断熱体と、
前記断熱体によって形成された内部空間に配置されたヒーターと、
前記圧力容器の内部空間に冷却ガスを供給する第1ポートと、
前記圧力容器の外部に冷却ガスを排気する第2ポートと、
前記断熱体に複数形成され、前記冷却ガスを断熱体によって形成された内部空間に導くための第1貫通孔と、
前記断熱体に形成され、前記冷却ガスを断熱体によって形成された内部空間から排気するための第2貫通孔と、
前記冷却ガスを循環させる第1ファンと、
前記冷却ガスを冷却させる冷却装置と、
前記断熱体によって形成された内部空間に配置され、被処理物を収容し、前記冷却ガスで冷却され、熱の輻射によって該被処理物を冷却するタイトボックスと、
を備えた熱処理炉。 - 前記第1ポートが圧力容器の下部、第2ポートが圧力容器の上部に設けられ、または、第1ポートが圧力容器の上部、第2ポートが圧力容器の下部に設けられた請求項1の熱処理炉。
- 前記タイトボックスが、筒状のタイトボックス本体と該タイトボックス本体の両端を開閉するタイトボックス蓋とで構成され、
前記タイトボックス蓋の開閉装置を備え、
前記冷却ガスが断熱体の内部空間に供給されているときにタイトボックス蓋の開閉可能である請求項1または2の熱処理炉。 - 前記圧力容器と断熱体との間にシャワープレートを配置した請求項1から3のいずれかの熱処理炉。
- 前記第1ファンと冷却装置が圧力容器の外部に備えられた請求項1から4のいずれかの熱処理炉。
- 前記圧力容器の内部空間に第2ファンを備えた請求項1から5のいずれかの熱処理炉。
- 前記圧力容器の内壁にバック断熱体を配置した請求項1から6のいずれかの熱処理炉。
- 前記第1ポート、第2ポートまたはその両方のポートに該ポートを開閉可能なポート蓋を備えた請求項1から7のいずれかの熱処理炉。
- 前記第2貫通孔が、前記断熱体に複数形成されている請求項1から8のいずれかの熱処理炉。
- 前記第1貫通孔が、前記タイトボックスの長手側の面に対向して前記断熱体に形成されている請求項1から9のいずれかの熱処理炉。
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