以下、本発明を実施するための形態について、添付図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下の実施形態は、各請求項に係る発明を限定するものではなく、また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
[第1実施形態]
第1実施形態に係るビレットプッシャー装置40について、図1乃至図4を参照しながら説明する。発明の理解を容易にするため、第1実施形態に係るビレットプッシャー装置40を、特許文献1に開示されている一般的なリアローディング式押出プレス装置(以後、押出プレス装置1)に組み合わせる形態を前提とし、押出プレス装置1については特許文献1の図4と同じ符号を付して説明する。
まず、押出プレス装置1について説明する。図1に示すように、エンドプラテン101とメインシリンダ107(メインシリンダハウジング)とが、4本のタイロッド104によって連結されている。そして、エンドプラテン101に配置されたコンテナシリンダ111により、コンテナ103が収納されるコンテナホルダ103aが、エンドプラテン101に対して接近及び離間可能に配置される。また、エンドプラテン101のコンテナ103側の面にダイス102が配置される。
メインシリンダ107には、メインラム108の一部が収納され、メインラム108のメインシリンダ107からの突出側にメインクロスヘッド106が固定されている。そして、メインクロスヘッド106は、メインシリンダ107に本体部が配置されたサイドシリンダ109のシリンダロッドと連結されている。また、メインクロスヘッド106のコンテナ103側の面に、ステムスライド(図示せず)を介して押出ステム105が押出中心線Cから平行に、且つ、水平に移動可能に配置される。図1は、コンテナ103へのビレット110の供給のため、ステムスライドにより、押出ステム105を押出中心線Cから平行に離間するように移動(図1の下方)させた状態を示す。
図示はしていないが、押出工程時、押出ステム105は押出中心線C上にあり、押出ステム105はメインラム108及びサイドシリンダ109により、メインクロスヘッド106を介してコンテナ103側に移動され、コンテナ103に挿入されたビレット110をダイス102に押圧させる。この押圧により、ダイス102の押出製品の断面形状を模した開口部からビレット110が押し出され、エンドプラテン101の開口部から押出製品が連続して押出成形される。
一方、押出工程完了後、サイドシリンダ109によりメインクロスヘッド106及びメインラム108が押出ステム105と一体で押出開始位置まで移動される。以後、押出プレス装置1の押出中心線C方向において、図1におけるエンドプラテン101側(図1右側)を前方、関連構成のエンドプラテン101への接近を前進とし、メインシリンダ107側(図1左側)を後方、関連構成のエンドプラテン101からの離間を後退とする。
ビレットヒータ121からコンテナ103へビレット110を供給させる工程も、ビレットプッシャー装置40を除き、先に説明した従来の工程と同様である。ビレットヒータ121で予熱されたビレット110は、フリーローラ122を通過して、ビレット挿入装置トレイ123に載置される。ビレット110が載置された該トレイ123は、レール125上を移動して押出プレス装置1のビレット供給位置Tまで搬送される。
ビレット供給位置Tにあるビレット110は、第1実施形態に係るビレットプッシャー40により、その中心軸BC方向に移動され、待機位置にあるビレットローダ127のビレット挿入装置134に載置される。その後、ビレットローダ127が押出中心線Cまで移動し、押出中心線C上において、ビレット挿入装置134によりビレット110がコンテナ103に挿入される。説明を分かり易くするため、ビレット供給位置Tにあるビレット110の後端面位置を位置T’、待機位置にあるビレットローダ127のビレット挿入装置134への載置を完了したビレット110の後端面位置を位置BL、その間の距離を前進ストロークSTとする。
ビレット挿入装置134には、チェーン駆動等により押出中心線C方向に移動可能に構成されるビレット挿入部材(図示せず)が配置されている。ビレットプッシャー装置40による、ビレット供給位置Tからビレット挿入装置134へのビレット110の載置時には、ビレット挿入部材はビレット挿入装置134の後方且つその下方に待機しており、ビレット挿入装置134へのビレット110の載置後、ビレット挿入部材をビレット110の後端面側に移動させた後そのまま前進させて、ビレット110をコンテナ103内に挿入させる。
次に、ビレットプッシャー装置40について、図2乃至図4を参照しながら説明する。図2に示すように、ビレットプッシャー装置40は、押出プレス装置1の押出中心線Cと平行に配置されるガイド部材41と、ガイド部材41に案内されて、電動機42aにより押出中心線C方向に移動可能に構成される移動体42と、移動体42の前方に配置される押込み部材43と、を備える。そして、ガイド部材41が、ビレット供給位置Tにあるビレット110の中心軸BCから押出中心線C側に離間して配置されるとともに、押込み部材43が、ビレット供給位置Tにあるビレット110の後方端面に接触可能な位置まで、移動体42から突出している。
ここで、ガイド部材41は、図2に示すビレットプッシャー装置40の概略平面図において、ガイド部材41のビレット供給位置T側の端面が、ビレット供給位置Tまでビレット110を搬送する搬送手段から所定距離離間するように配置されることが好ましい。例えば、第1実施形態においては、ガイド部材41のビレット供給位置T側の端面を、レール125や、ビレット供給位置Tにあるビレット挿入装置トレイ123から距離D1離間させてガイド部材41が配置されている。
移動体42を案内するガイド部材41が上記のように配置されることにより、移動体42を押出中心線C方向に前進させて、位置T’から位置BLまでビレット110を前進ストロークST分前進させても、移動体42を、平面図上においてビレット供給位置Tの範囲、すなわち、レール125やビレット挿入装置トレイ123にオーバーラップさせずに前進させることができる。そのため、ビレット供給位置Tまでビレットを搬送する手段、例えば、レール125やビレット挿入装置トレイ123等が、押出プレス装置メーカー及び該押出プレス装置を購入する顧客のいずれの側の範囲であっても、ビレットプッシャー装置がエアシリンダである従来の形態と同様に、それぞれの供給範囲の取り合い(バッテリーリミット)に大きな制約が発生することはない。
ここで、移動体42を案内するガイド部材41が上記のように配置されても、位置T’から位置BLまでビレット110を前進ストロークSTだけ、移動体42により前方へ押込めるように、移動体42の前方に配置される押込み部材43が、ビレット供給位置Tにあるビレット110の後方端面(位置T’)に接触可能な位置まで、移動体42から突出している。
また、上記のガイド部材41の配置を鑑みれば、移動体42の前方に配置される押込み部材43の前端面が、図2に示すように、ビレット供給位置Tまでビレット110を搬送する搬送手段から所定距離離間するように配置されることが好ましい。第1実施形態においては、移動体42の押込み部材43の前端面を、レール125やビレット挿入装置トレイ123から距離D2離間させた位置を、移動体42の待機位置としている。このような構成は、上記のようなビレット供給位置Tにおける供給範囲の取り合い(バッテリーリミット)の制約の抑制のために好ましい。
さらに、上記のガイド部材41の配置を鑑みれば、ガイド部材41に案内されて、押出中心線C方向に移動可能に構成される移動体42は、ガイド部材41の、少なくともビレット供給位置T側の端面より、ビレット供給位置T側(図2の上方)に突出しないように構成されることが好ましい。このような構成も、上記のようなビレット供給位置Tにおける供給範囲の取り合い(バッテリーリミット)の制約の抑制のために好ましい。
なお、第1実施形態においては、電動機42aが移動体42の本体部42dの上面に搭載されている。すなわち、移動体42は、搭載される電動機42aにより押出中心線C方向に移動可能に構成される。ここで、図2(概略平面図)においては、電動機42aがわずかにガイド部材41のビレット供給位置T側の端面より突出している。しかしながら、電動機42aは、図4に示すように、ビレット供給位置Tにあるビレット110の中心軸BCよりも上方に配置される。そして、ビレット供給位置Tまでビレット110を搬送する搬送手段、すなわち、ビレット挿入装置トレイ123やレール125は、その機能上、ビレット110の中心軸BCよりも下方に位置する。そのため、上記のような電動機42aの突出は問題にならない。
一方、第1実施形態のビレットプッシャー装置40は、ガイド部材41に案内されて、電動機42aにより押出中心線C方向に移動可能に構成される移動体42によりビレット110を前進させるため、ビレット110の位置T’から位置BLまでの前進ストロークSTをガイド部材41の長さで確保できる。このような構成により、特許文献1の図4に図示されている、エアシリンダを駆動源とするビレットプッシャー126に対して、図2に示す、移動体42の待機位置から、移動体42の後方、すなわち、図1における左側へ、ビレットプッシャー装置40から突出する部位がない。また、移動体42は電動機42aを駆動源とするため、公知の様々な構成により移動体42の全長を抑制することが容易である。これにより、第1実施形態に係るビレットプッシャー装置40は、押出プレス装置1の機側からの、点検やメンテナンスの際の、メインシリンダ107やサイドシリンダ109、及び、メインシリンダ107の後方(特許文献1の図4の左側)に配置されるプレフィルバルブ(図示せず)等への機側からのアクセスを阻害せず、アクセス性に優れる。
一例として、第1実施形態における、ガイド部材41に案内される移動体42の構成を説明する。図3に示すように、ガイド部41は架台44に支持されている。架台44は、押出プレス装置1の機側基礎上に据え付けられる。ここで、ビレットプッシャー装置40の重量は大きくなく、ビレット110の垂直荷重を支持する必要もない。また、ガイド部材41が、ビレット供給位置Tにあるビレット110の中心軸BCから押出中心線C側に離間して配置されることから、従来のエアシリンダで構成されるビレットプッシャー装置よりも押出プレス装置1に接近して配置される。そのため、ねじ穴等が加工された取り付け座を押出プレス装置1のマシンベース(図示せず)の側面に予め溶接しておき、架台44をボルト等で該取り付け座に固定する形態であっても良い。この形態であれば、押出プレス装置1の据付工事における、押出プレス装置1に対するガイド部材41(ビレットプッシャー装置40)の位置決めや固定が非常に容易である。
また、図2に示すように、電動機42aの出力軸(図示せず)には、ギアボックス42bが直結されており、仕様上必要な回転トルクや減速比を得るとともに、移動体42の全長の抑制に寄与する。ギアボックス42bにおいては電動機42aの出力軸が90度直交する向きに変更され、チェーン及びチェーンホイールで構成される伝達機構42cにより、電動機42aの出力が、2組配置される車輪部45の1組に伝達される。
図4は図3のB-B矢視断面図である。図を見易くするために、後述する本体部42dの、伝達機構42cが貫通する部分を除き、断面を示す斜線表示を省略している。図4に示すように、車輪部45は、両端に車輪45aが固定された車軸45bが移動体42の本体部42dの側板に、軸受等の回転支持部材(図示せず)を介して回転支持されている。車輪45aの外周面には全周に連続する凹部が形成されている。そして、ガイド部材41上面に配置され、連続する凸部が上面に形成される車輪ガイド41aによって、移動体42がガイド部材41上を押出中心線C方向に案内される。車輪ガイド41a上面の凸部が車輪45aの外周面の凹部と組み合わせられるように構成されることは言うまでもない。
そして、2組配置される車輪部45の1組、第1実施形態においては前方の1組の車軸45bにピニオンギア45c及び伝達機構42cのチェーンホイールが固定されている。ピニオンギア45cは、ガイド部材41上面の2つの車輪ガイド41a間に配置されるラックギア41bと組み合わされる。電動機42aの出力は、ギアボックス42b、伝達機構42cとしてのチェーンホイール及びチェーンを介して車軸45bに固定されたピニオンギア45cに伝達され、車輪45aとともにピニオンギア45cを回転させることにより、ガイド部材41(ラックギア41b)に対して移動体42を押出中心線C方向に移動させることができる。なお、伝達機構42cは、プーリ及びプーリベルトの組み合わせであっても良いし、公知の回転伝達機構が適宜採用されれば良い。
一方、図2に示す移動体42の待機位置を含め、ガイド部材41に対する移動体42の押出中心線C方向の停止位置は、電動機42aをサーボモータとして、ギアボックス42bの減速比や、ピニオンギア45c及びラックギア41bの仕様に基づき移動体42の位置を算出させ、これに基づき任意の位置で停止制御される形態であっても良い。しかしながら、移動体42の停止制御が必要な位置は、先に説明した待機位置と、ビレット挿入装置134へビレット110の載置を完了させる位置BLと、の2か所だけである。また、それぞれの停止位置の停止精度は高くなくても特に問題はない。そのため、図示はしていないが、待機位置及び位置BLにある移動体42を検知可能なセンサ、例えば、機械的なリミットスイッチや、非接触式の近接センサ等を、ガイド部材41や近隣部材に配置させて、それぞれの位置における移動体42の停止制御を行わせる形態であっても良い。
また、ビレット供給位置Tまでビレット110を搬送する手段が、押出プレス装置メーカー及び該押出プレス装置を購入する顧客のいずれの側の範囲であっても、コンテナ103に供給させるビレット110について、その全長の範囲(上限及び下限)が予め仕様として決められている。そして、ビレット供給位置Tにおけるビレット110の位置は、基本的に、平面図上においては、ビレット供給位置Tにあるビレット110中心軸BCの位置と、ビレット110の後端面の位置T’で規定される。そのため、上記範囲内で異なる全長のビレット110が使用される場合であっても、ビレットプッシャー装置40の制御対象である、先に説明した待機位置、位置BL、及び、前進ストロークSTを変更する必要はない。
ここで、待機位置にあるビレットローダ127のビレット挿入装置134においてビレット110の下方を支持するローラ等の支持部材は、ビレット110を載置した際のその中心軸が、ビレット供給位置Tにおけるビレット110の中心軸BCと略同軸になるように構成されることは言うまでもない。そのため、移動体42を押出中心線C方向に前進させて、位置T’から位置BLまでビレット110を前進ストロークST分前進させる際、その前進に必要な押込み力が想定を超えて過大になることは通常はない。
しかしながら、ビレット挿入装置134のローラ等の支持部材上に異物があったり、該支持部材が何らかの要因で破損したりして、ビレット110を前進させる押込み力が想定を超える場合や、地震や水害等の自然災害により、移動体42の車輪42aが車輪ガイド41aから脱輪したり、ガイド部材41から移動体42が落下したりする可能性はゼロではない。そのため、ガイド部材41が、移動体42の上方への移動を阻止する構成を備えることが好ましい。
第1実施形態においては、図4に示すように、移動体42の押出プレス装置1側(図4の右側)の側方にカムフォロアブラケット42eを介して配置されるカムフォロア47と、ガイド部材41の上面に支持部材41dを介して配置されるカムフォロアガイド41cと、により、移動体42の上方への移動が阻止される。
具体的には、2個のカムフォロア47が、外輪部が下方側に、また、カムフォロアガイド41cを通すために間隔を開けてカムフォロアブラケット42eに固定されている。この2個のカムフォロア47が固定されるカムフォロアブラケット42eを1組として、移動体42の本体部42dの前方及び後方に、カムフォロアブラケット42eがそれぞれ1組ずつ配置されている。
ここで、カムフォロア47とカムフォロアガイド41cとの配置関係について説明する。カムフォロアガイド41cは、2つのカムフォロア47の軸部の間を通る上部と、2つのカムフォロア47の外輪部の間を通る下部とで、幅が異なる断面形状を有している。カムフォロアガイド41cの上面は、カムフォロアブラケット42eの下面(カムフォロア47の固定面)とは接触せず、カムフォロアガイド41cの上方及び下方の側面はカムフォロア47とは接触しない。また、カムフォロア47の軸部下方端面及び外輪部下面は支持部材41dの上面とは接触しない。
また、カムフォロアガイド41cの下方から水平方向に突出する上方の下面も、カムフォロア47の外輪部上面とは接触しない。そして、このカムフォロアガイド41cの上方の下面と、カムフォロア47の外輪部上面と、の間隔を、移動体42の車輪45aが車輪ガイド41aから脱輪しない間隔とすることより、このようなカムフォロア47及びカムフォロアガイド41cを備える構成が、移動体42の押出中心線C方向の移動の摺動抵抗を増加させることなく、移動体42の上方への移動を阻止する構成となる。
これまで説明したように、第1実施形態に係るビレットプッシャー装置40は、ビレット供給位置Tまでビレット110を搬送する手段が、押出プレス装置メーカー及び該押出プレス装置を購入する顧客のいずれの側の範囲であっても、ビレットプッシャー装置がエアシリンダである従来の形態と同様に、それぞれの供給範囲の取り合い(バッテリーリミット)に大きな制約を発生させない。一方、移動体42の待機位置から、移動体42の後方、すなわち、図1における左側へ、ビレットプッシャー装置40から突出する部位がない。また、移動体42は電動機42aを駆動源とするため、公知の様々な構成により移動体42の全長を抑制することは容易である。これにより、第1実施形態に係るビレットプッシャー装置40は、押出プレス装置の機側からの、点検やメンテナンスの際の機側からのアクセスを阻害せず、アクセス性に優れる。
また、第1実施形態において、ガイド部材41に案内されて、搭載される電動機42aにより押出中心線C方向に移動可能に構成される移動体42の具体的な構成の一例を説明した。しかしながら、移動体42の構成については、全長を抑制可能な構成を含め、図5(a)から図5(c)に示すような様々な構成が適宜採用できる。なお、図2乃至図4に記載されている符号と同じ構成要素については、同じ符号を付して説明は省略する。なお、第1実施形態との比較を容易にするために、図5(a)乃至図5(c)は、第1実施形態における図4と同じ矢視断面図とする。
初めに、図5(a)は、車輪45a及び車輪ガイド41aの代わりに直動ガイド51a及びカムフォロア57を採用して、移動体42の押出中心線C方向の案内機能及び上方への移動の阻止機能の両方の機能を直動ガイド51aに持たせる構成である。移動体42の上方への移動を阻止するカムフォロア47、カムフォロアガイド41d及び関連部材、また、車輪45aが不要となるため、移動体42の本体部42dの幅の抑制に寄与するとともに、移動体42の構成を簡素化できる。
次に、図5(b)は、図5(a)における電動機42aを横向きに配置させるとともに、電動機42aの出力軸及び車軸45b間の伝達機構42cを、移動体42の本体部42dの側方外部に配置させる構成である。こちらも、移動体42の本体部42dの長さに及ぼす電動機42aの全長の影響が少なく、移動体42の本体部42dの長さの抑制に寄与するとともに、本体部42dや車軸45bの構成を簡素化できる。
次に、図5(c)は、図5(a)におけるカムフォロア57の代わりに直動ガイド51aを採用し、移動体42の押出中心線C方向の案内機能及び上方への移動の阻止機能の両方の機能を直動ガイド51a2個に持たせるとともに、出力軸が下方になるように電動機42aを搭載させて、伝達機構42cをかさ歯車とする構成である。移動体42の本体部42dの長さに及ぼす電動機42aの全長の影響が少なく、移動体42の本体部42dの長さの抑制に寄与する。
一方、図5(a)乃至図5(c)は、それぞれが図示する構成に、移動体42やガイド部材41の構成が限定されるものではない。それぞれが図示する構成の一部、例えば、直動ガイド51aの個数、カムフォロア57の有無、伝達機構42cの種類、あるいは、電動機42aの本体部42dへの搭載向き等が、第1実施形態で説明した移動体42の各構成要素も含めて、適宜、選択的に組み合わされても良い。
[第2実施形態]
第2実施形態に係るビレットプッシャー装置について、図6を参照しながら説明する。
第2実施形態に係るビレットプッシャー装置40’は、第1実施形態に係るビレットプッシャー装置40に対して、移動体42’に電動機42aが搭載されない形態の一例である。なお、図6においては、第1実施形態のビレットプッシャー装置40に対して、基本的には、相当する構成であるが構造が異なる構成には、相当する構成と同じ符号に「’」を付けて付し、ほぼ同じ構成には同じ符号を付すものとする。また、構造の差異についてのみ説明しそれ以外の説明は省略するものとする。
図6(a)は第2実施形態に係るビレットプッシャー装置40’の概略平面図である。同図は第1実施形態のビレットプッシャー装置40の概略平面図(図2)に相当する。図6(b)は概略側面図であり、同様に第1実施形態の図3に相当する。図6(c)は図6(b)のC-C矢視断面図であり、同図も同様に第1実施形態の図4に相当する。
図6に示すように、ガイド部材41’も第1実施形態と同様に架台44に支持されている。第1実施形態と異なるのは、ガイド部41’がボールねじ軸141aと、その下方に平行に配置されるガイドロッド141cとから構成される点である。ボールねじ軸141aは、ベアリング等の図示しない回転支持手段により架台44に回転可能に支持される。一方、ガイドロッド141cは架台44にその両端が固定支持される。
そして、図6(b)に示すように、電動機42aは、その出力軸がボールねじ軸141aと平行になるように架台44の下方に配置されている。また、ボールねじ軸141aの端部が、図示しない架台44の回転支持手段を介して電動機42aの出力軸と同じ側に突出している。そして、電動機42aの出力軸と、ボールねじ軸141aの突出している端部との間には、チェーン及びチェーンホイール等から構成される伝達機構142cが配置され、電動機42aの出力がボールねじ軸141aに伝達される。
一方、ガイド部材41’に案内される移動体42’には、押出中心線C方向に貫通するようにボールナット141bが配置されている。ボールナット141bはボールねじ軸141aと組み合わされる。そして、移動体42’には、もう一つ、ガイドロッド141cに対応する位置に、押出中心線C方向に貫通するようにブッシング等の直線摺動案内部材141dが配置され、該直線摺動案内部材141dを貫通するガイドロッド141cに案内される。
また、図6(a)及び図6(c)に示すように、移動体42’と一体で形成された押込み部143が、ビレット供給位置Tにあるビレット110の後方端面に接触可能な位置まで、移動体42’から突出している。第2実施形態においても、移動体42’の押込み部143の前端面が、レール125や、ビレット供給位置Tにあるビレット挿入装置トレイ123から所定距離(図6(a)における距離D2)離間させた位置を、移動体42’の待機位置とし、また、ガイド部材41’(第2実施形態においてはガイド部材41’を支持する架台44)のビレット供給位置T側の端面が、レール125や、ビレット供給位置Tにあるビレット挿入装置トレイ123から所定距離(図6(a)における距離D1)離間するように構成されることが好ましいことは言うまでもない。
なお、押込み部143は、必ずしも移動体42’と一体で形成させる必要はない。図6(c)では、押込み部143をビレット供給位置Tにあるビレット110の後方端面に接触可能な位置まで、ほぼ水平に移動体42’から突出させている。しかしながら、図6(c)に示す架台44(ボールねじ軸141a及びガイドロッド141c)を、例えば、ビレット110に対してもっと下方に配置できるように、43を移動体42’と別体として、ビレット110及び架台44の所望する位置関係を満足する形状(例えばくの字状)に形成させて、移動体42’に固定する形態であっても良い。
このような構成により、電動機42aの出力は伝達機構142cを介してボールねじ軸141aに伝達され、ボールねじ軸141aを回転させることにより、ガイド部材41’(ボールねじ軸141a)に対して、ボールナット141bが配置される移動体42’のボールねじ軸141aとの連れ回りを防止しつつ、移動体42’を押出中心線C方向に移動させることができる。なお、伝達機構142cは、プーリ及びプーリベルトの組み合わせであっても良いし、公知の回転伝達機構が適宜採用されれば良い。また、直線摺動案内部材141dは、ガイドレールと該ガイドレールに直線運動を案内されるガイドブロックとから構成される直動ガイドが採用されて、ガイドレールが架台44に、ガイドブロックが移動体42’に固定される形態であっても良い。
第2実施形態においては、移動体42’を貫通する2つの軸、すなわち、ボールねじ軸141a及びガイドロッド141cにより、移動体42’の上方への移動が阻止される。また、電動機42aを移動体42’に搭載する必要がない。そのため、第1実施形態のビレットプッシャー装置40の移動体42に対して、移動体42’の押出中心線C方向の全長をより小さく構成できるとともに、ガイド部材41’の全長の抑制も期待でき、押出プレス装置1の機側からの、点検やメンテナンスの際のアクセス性向上に寄与する。
また、電動機42aが移動体42’に搭載されず架台44に配置されるため、電動機42aへの電力配線や制御配線の移動を考慮した養生等が不要になる。この点は、ビレット供給位置Tにおける供給範囲の取り合い(バッテリーリミット)の制約の抑制のために好ましい。
以上、発明を実施するための形態について、第1実施形態及び第2実施形態を説明したが、本発明は、上記の実施の形態に限定されることなく、特許請求の範囲に記載された内容を逸脱しない範囲で、色々な形で実施できる。