JP7338254B2 - 装置、及び液体吐出装置 - Google Patents

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Description

本発明は、装置、及び液体吐出装置に関する。
インク等の液体が付与された基材を温度調節部材により搬送しながら乾燥させる技術が知られている。
また、液体が付与されたフィルム等の基材の第1面側から基材を加熱する加熱乾燥部と、基材のうち第1面とは反対側の第2面側から基材の温度を調節する温度調節部とを備え、基材の種類に応じて、加熱乾燥部及び温度調節部のそれぞれによる基材の乾燥を制御する技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、特許文献1の装置では、乾燥効率が低下する場合があった。
開示の技術は、乾燥効率の低下を抑制することを課題とする。
開示の技術の一態様に係る装置は、液体が付与されて搬送される基材に外周面を接触させ、前記基材を加熱又は冷却する温度調節部材と、前記基材が前記温度調節部材との接触を開始する箇所の搬送方向における上流側に設けられ、少なくとも一部が前記基材に接触する第1面と、少なくとも一部が前記温度調節部材の外周面に接触する第2面とを含む部材と、前記温度調節部材の周囲に配置され、温風を前記基材に吹き送ることにより、前記基材を加熱する温風発生部と、を備え、前記温度調節部材の内部は、70度に保たれた温水が充填され、前記温風の温度は300度以上350度以下である。
開示の技術によれば、乾燥効率の低下を抑制することができる。
第1の実施形態に係る画像形成装置の構成例を示す図である。 温水温度維持機構の構成例を示す図である。 比較例に係る画像形成装置の構成を示す図である。 比較例に係る画像形成装置における空気の引き込みを説明する図である。 温度調節部材とフィルムとの間に空気が介在する状態を説明する図である。 温度調節部材とフィルムとの間に空気が介在しない状態を説明する図である。 第2の実施形態に係る画像形成装置の構成例を示す図である。 フィルム搬送に伴うしわ発生の実験結果例を示す図である。
以下、図面を参照して発明を実施するための形態について説明する。各図面において、同一の構成部には同一符号を付し、重複した説明を省略する場合がある。
実施形態の用語における、画像形成、記録、印字、印写、印刷、造形はいずれも同義語とする。
また実施形態において、「液体を吐出する装置」は、液体吐出ヘッド又は液体吐出ユニットを備え、液体吐出ヘッドを駆動させて、液体を吐出させる装置である。なお、「液体を吐出する装置」と「液体吐出装置」は同義である。
この「液体を吐出する装置」は、液体が付着可能なものの給送、搬送、排紙に係わる手段、その他、前処理装置、後処理装置なども含むことができる。
例えば、「液体を吐出する装置」として、インク等の液体を吐出させて用紙に画像を形成する装置である画像形成装置等がある。
上記「液体が付着可能なもの」とは、液体が少なくとも一時的に付着可能なものであって、付着して固着するもの、付着して浸透するものなどを意味する。
また、「液体」は、ヘッドから吐出可能な粘度や表面張力を備えるものであればよく、特に限定されないが、常温、常圧下において、または加熱、冷却により粘度が30mPa・s以下となるものであることが好ましい。より具体的には、水や有機溶媒等の溶媒、染料や顔料等の着色剤、重合性化合物、樹脂、界面活性剤等の機能性付与材料、DNA、アミノ酸やたんぱく質、カルシウム等の生体適合材料、天然色素等の可食材料、などを含む溶液、懸濁液、エマルジョンなどであり、これらは例えば、インクジェット用インク、表面処理液、電子素子や発光素子の構成要素や電子回路レジストパターンの形成用液、3次元造形用材料液等の用途で用いることができる。
また、「液体を吐出する装置」は、液体吐出ヘッドと液体が付着可能なものとが相対的に移動する装置があるが、これに限定するものではない。具体例としては、液体吐出ヘッドを移動させるシリアル型装置、液体吐出ヘッドを移動させないライン型装置などが含まれる。
「液体吐出ユニット」とは、液体吐出ヘッドに機能部品、機構が一体化したものであり、液体の吐出に関連する部品の集合体である。例えば、「液体吐出ユニット」は、ヘッドタンク、キャリッジ、供給機構、維持回復機構、主走査移動機構の構成の少なくとも一つを液体吐出ヘッドと組み合わせたものなどが含まれる。
ここで、一体化とは、例えば、液体吐出ヘッドと機能部品、機構が、締結、接着、係合などで互いに固定されているもの、一方が他方に対して移動可能に保持されているものを含む。また、液体吐出ヘッドと、機能部品、機構が互いに着脱可能に構成されていても良い。
例えば、液体吐出ユニットとして、液体吐出ヘッドとヘッドタンクが一体化されているものがある。また、チューブなどで互いに接続されて、液体吐出ヘッドとヘッドタンクが一体化されているものがある。ここで、これらの液体吐出ユニットのヘッドタンクと液体吐出ヘッドとの間にフィルタを含むユニットを追加することもできる。
また、液体吐出ユニットとして、液体吐出ヘッドとキャリッジが一体化されているものがある。
また、液体吐出ユニットとして、液体吐出ヘッドを走査移動機構の一部を構成するガイド部材に移動可能に保持させて、液体吐出ヘッドと走査移動機構が一体化されているものがある。また、液体吐出ヘッドとキャリッジと主走査移動機構が一体化されているものがある。
また、液体吐出ユニットとして、液体吐出ヘッドが取り付けられたキャリッジに、維持回復機構の一部であるキャップ部材を固定させて、液体吐出ヘッドとキャリッジと維持回復機構が一体化されているものがある。
また、液体吐出ユニットとして、ヘッドタンク若しくは流路部品が取付けられた液体吐出ヘッドにチューブが接続されて、液体吐出ヘッドと供給機構が一体化されているものがある。このチューブを介して、液体貯留源の液体が液体吐出ヘッドに供給される。
主走査移動機構は、ガイド部材単体も含むものとする。また、供給機構は、チューブ単体、装填部単体も含むものする。
「液体吐出ヘッド」とは、ノズルから液体を吐出・噴射する機能部品である。
液体を吐出するエネルギー発生源として、圧電アクチュエータ(積層型圧電素子及び薄膜型圧電素子)、発熱抵抗体などの電気熱変換素子を用いるサーマルアクチュエータ、振動板と対向電極からなる静電アクチュエータなどを使用するものが含まれる。
以下、実施形態では、「液体が付着可能なもの」をフィルムとし、「液体」をインクとし、「液体を吐出する装置」をインクジェット方式の画像形成装置とした場合を一例として説明する。なお、フィルムとは、食品包装用途等で用いられ、ポリエチレンテレフタレート等のプラスチックを材質とする薄い膜である。また、フィルムは「基材」の一例である。
[第1の実施形態]
<第1の実施形態に係る画像形成装置の構成>
第1の実施形態に係る画像形成装置について説明する。図1は、本実施形態の画像形成装置の構成の一例を示す図である。
図1に示すように、画像形成装置100は、インク吐出ユニット1と、乾燥ユニット2とを備える。画像形成装置100において、フィルムFは供給ユニットから供給され、搬送精度を確保するために供給ユニットにより矢印20の方向に張力を加えられながら、搬送方向10に沿って搬送ユニットにより搬送される。なお、供給ユニット及び搬送ユニットは、図1では図示が省略されている。
画像形成装置100は、搬送されるフィルムFに対してインク吐出ユニット1からインクを吐出し、フィルムFの表面にインクを付与させて画像を形成する。図1におけるインク5は、フィルムFの表面に付与されたインクを示している。
フィルムFは、巻き取り可能なロール状の連帳のフィルムである。例えば、延伸ポリプロピレン(OPP;Oriented Poly-Propylene)を材質とした食品包装等の軟包装用途で用いられるフィルムである。
また、インク吐出ユニット1から吐出されるインクは、例えば水性インクである。水性インクは、溶剤と着色剤を主成分とし、溶剤として主に水を使用したインクである。
インク吐出ユニット1は、ホワイト用のインク吐出ヘッド1Wと、ブラック用のインク吐出ヘッド1Kと、シアン用のインク吐出ヘッド1Cと、マゼンタ用のインク吐出ヘッド1Mと、イエロー用のインク吐出ヘッド1Yとを備える。
インク吐出ヘッド1Wはホワイト(W)のインクを吐出し、インク吐出ヘッド1Kはブラック(K)のインクを吐出して、フィルムFの表面にそれぞれインクを付与する。また、インク吐出ヘッド1Cはシアン(C)のインクを吐出し、インク吐出ヘッド1Mはマゼンタ(M)のインクを吐出し、インク吐出ヘッド1Yはイエロー(Y)のインクを吐出して、フィルムFの表面にそれぞれインクを付与する。
但し、実施形態では、ホワイト(W)、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)及びイエロー(Y)の5色のインク吐出ヘッドを備える画像形成装置100を説明するが、これに限定されるものではない。画像形成装置100は、グリーン(G)、レッド(R)、ライトシアン(LC)及び/又はその他の色に対応するインク吐出ヘッドを更に備えても良い。また、ブラック用のインク吐出ヘッド1Kのみを備えても良い。
「装置」の一例としての乾燥ユニット2は、温度調節部材3と、温風発生部4と、シール部材6とを備え、フィルムFの表面に付与されたインク5を乾燥させる。
温度調節部材3は、円筒軸周りに回転可能な円筒状部材であり、フィルムFの液体が付与された面とは反対側の面(以下、裏面という)を外周面に接触させながら回転し、フィルムFを搬送方向10に沿って搬送する。なお、図1では、温度調節部材3を回転軸方向から見た図が示されている。
また、温度調節部材3の内部は、所定の温度に保たれた温水が充填されている。温度調節部材3は、温水の熱を裏面からフィルムFに伝達することで、フィルムFの温度を所定の温度に維持することができる。この所定の温度は、一例として70度である。
温風発生部4は、ヒータ等により加熱して発生させた温風を、フィルムFの液体が付与された面(以下、表面という)に吹き送り、フィルムを加熱するとともにインク温度を上昇させて乾燥を促進させる。なお、乾燥ユニット2は、温風発生部4に代えて、又は温風発生部4に加えて、赤外線加熱器を備え、フィルムFの表面に赤外線を照射することで、乾燥を促進させても良い。
ここで、実施形態では、温度調節部材3によりフィルムFの裏面に伝熱し、温風発生部4によりフィルムFの表面を加熱するが、フィルムFの厚み方向における全体的な温度は、熱容量が大きい温度調節部材3の温度に支配される。
実験結果の一例として、温度調節部材3の内部の温水の温度を70度とし、温風発生部4の温風の温度を300度とした場合、フィルムFの裏面の温度は85度で、フィルムFの表面のインクの温度は150度となった。このことから、フィルムFの表面のインクを、温風発生部4により水性インクの沸点である100度以上とし、フィルムFの温度を、温度調節部材3により一般的な耐熱温度である100度以下できることが分かる。このような温度調節部材3の作用により、フィルムFの熱のダメージが防止され、またインクの乾燥が促進される。
次に、シール部材6について説明する。シール部材6は、バルク状の部材であり、温度調節部材3の円筒軸に沿った方向(以下、円筒軸方向という)と搬送方向10とを含む平面61を含む。また、シール部材6は、所定の方向に徐々に厚みが薄くなるテーパ部62を含み、テーパ部62は、図1に斜線ハッチングで示したように、平面61及び平面63を含んで形成されている。平面61及び63は、円筒軸方向においてフィルムFの長さ以上の長さを備えている。
シール部材6は、搬送方向10において、フィルムFが温度調節部材3との接触を開始する箇所3a(以下、接触開始箇所3aという)の上流側に設けられ、フィルムFと温度調節部材3の間で搬送方向10の上流方向に徐々に狭くなる空間に、テーパ部62の先端部が挿入されるようにして配置されている。また、平面61の少なくとも一部は、フィルムFにおける温度調節部材3に接触する側の面に接触し、また、平面63の少なくとも一部は、温度調節部材3の外周面に接触している。さらに、シール部材6は、フッ素樹脂を素材として構成されている。ここで、平面61は第1面の一例であり、平面63は第2面の一例である。
次に、図2は、温度調節部材3の内部の温水を所定の温度に維持するための温水温度維持機構の構成の一例を示す図である。図2に示すように、温水温度維持機構30は、チラー31と、入口側ホース32と、出口側ホース33とを備え、温度調節部材3の内部に充填された温水を循環させて温水の温度を一定に維持する機能を備える。
より詳しくは、チラー31は、熱交換により所定の温度に制御した温水を、入口側ホース32を介して温度調節部材3の内部に温水を送り込む。また、チラー31は、出口側ホース33を介して温度調節部材3の内部の温水を引き込み、引き込んだ温水を熱交換により所定の温度に制御する。このようなチラー31による温度制御技術は、公知の技術が適用できるため、ここでは、更に詳細な説明は省略する。
<第1の実施形態に係る画像形成装置の作用効果>
次に、画像形成装置100の作用効果について、図3~図6を参照して説明する。
図3は、比較例に係る画像形成装置101の構成を示す図である。図3に示すように、画像形成装置101は、インク吐出ユニット1と、乾燥ユニット2とを備える。また、乾燥ユニット2は、温度調節部材3と、温風発生部4とを備える。つまり、画像形成装置101は、画像形成装置100とは異なり、シール部材6を備えていない。
図4は、図3において破線の丸で囲った部分E1の部分拡大図であり、温度調節部材3とフィルムFとの間への空気の引き込みについて説明する図である。
フィルムFを搬送する搬送速度が速くなると、温度調節部材3とフィルムFの走行に伴う空気の流れが大きくなる。そして、図4に示すように、接触開始箇所3aの搬送方向の上流側において、フィルムFと温度調節部材3の間に引き込まれる気流7が大きくなる。その結果、フィルムFと温度調節部材3との間に空気が入り込んで、温度調節部材3に接触して巻き回されたフィルムFと温度調節部材3との間に空気が介在しやすくなる。
図5は、図4に破線の丸で囲った部分E2を示す部分拡大図であり、温度調節部材3とフィルムFとの間に空気が介在する状態を説明する図である。図5の2aは、フィルムFと温度調節部材3との間に介在する空気を示している。この部分では、フィルムFと温度調節部材3は非接触の状態となる。
温度調節部材3による熱量は、主にフィルムFと温度調節部材3との接触部分2bを通じてフィルムFに伝達され、非接触の部分から伝達される熱量は極めて少なくなる。そのため、フィルムFと温度調節部材3との間の空気の介在が多くなり、非接触部分の面積が大きくなると、温度調節部材3からフィルムFに伝達される熱量が減少して乾燥効率が低下する場合がある。
また、図1を用いて説明したように、温度調節部材3の外周面に裏面が接触したフィルムFの表面に、温風発生部4から温風を吹き送って乾燥を促進させる場合、温度調節部材3の外周面の温度より温風発生部4からの温風の温度が高くなると、温度調節部材3とフィルムFの非接触部分において、温度調節部材3による温風に対する冷却効果が低下し、フィルムFの厚み方向における全体的な温度は温風の温度に近くなる。温風の温度がフィルムFの軟化点より高い場合、フィルムFが熱変形し、フィルムFにしわが発生する場合がある。
さらに、フィルムFの温度調節部材3と接触する部分では、白抜きの矢印2cで示す方向に静摩擦力が生じる。この静摩擦力が反力となり、供給ユニットから矢印20の方向に張力を加えても、フィルムFに対する引っ張り応力は低減される。しかしながら、フィルムFと温度調節部材3との間の空気の介在が多くなり、非接触部分の面積が大きくなると、静摩擦力が減少し、フィルムFへの引っ張り応力の低減効果が小さくなる。その結果、フィルムFに温風発生部4からの温風で熱量が伝達された状態で、大きな引っ張り応力が加えられ、熱量と引っ張り応力の相乗的なストレスで、フィルムFが更に変形しやすくなる場合がある。
一例として、比較例に係る画像形成装置101において、フィルムFを搬送速度2mpm(meter per minute)で搬送している時に、温風発生部4から300度の温風をフィルムFに吹き送った場合は、フィルムFに変形が見られなかった。しかし、搬送速度を32mpmに上げると、フィルムFにしわが発生し、しわの発生を防ぐには温風の温度を180度まで下げる必要があった。この条件では、温風の温度が低いため、インクの乾燥効率が低下する。
従来技術では、フィルムFと温度調節部材3との間に入り込んだ空気による密着性の低下等について開示されておらず、上述した課題を解決することはできない。
図6は、本実施形態に係る画像形成装置100において、図4において破線の丸で囲った部分E2に対応する部分の一例を示す部分拡大図であり、温度調節部材3とフィルムFとの間に空気が介在しない状態を説明する図である。
上述したように、画像形成装置100では、シール部材6は、搬送方向10において、接触開始箇所3aの上流側に設けられ、フィルムFと温度調節部材3の間で搬送方向10の上流方向に徐々に狭くなる空間に、テーパ部62の先端部が挿入されるようにして配置されている。また、平面61の少なくとも一部はフィルムFにおける温度調節部材3と接触する側の面に接触し、平面63の少なくとも一部は温度調節部材3の外周面に接触している。
このようにシール部材6が配置されることで、接触開始箇所の搬送方向10における上流側における開口部をシール部材6で塞ぐことができ、フィルムF及び温度調節部材3の間に空気が入り込むことを防ぐことができる。
その結果、図6に示すように、温度調節部材3とフィルムFとの間に空気が介在しない状態にすることができる。これにより、フィルムFと温度調節部材3との接触部分2bの面積が大きくなるため、温度調節部材3からフィルムFに伝達される熱量の増大により、乾燥効率が向上する。
また、接触部分の面積が大きいため、温度調節部材3とフィルムFの非接触部分において、温度調節部材3による温風に対する冷却効果を確保できる。その結果、フィルムFの厚み方向における全体的な温度を温度調節部材3の温度に近づけることができ、フィルムFにしわが発生することを抑制できる。
さらに、接触面積の増大により、白抜きの矢印2cで示す方向への静摩擦力も大きくなるため、静摩擦力が反力となってフィルムFに対する引っ張り応力が低減され、熱量と引っ張り応力の相乗的なストレスによるフィルムFの変形を抑制できる。
このように、乾燥ユニット2の温風発生部4により吹き送る温風の温度を上げてもフィルムFのしわや変形を防止でき、フィルムFと温度調節部材3との間の密着性の低下を抑制し、乾燥効率の低下を抑制することができる。また、乾燥効率が低くなると、十分に乾燥させるために、乾燥工程におけるフィルムFの搬送距離を長くする必要があり、乾燥ユニット2が大型化する。本実施形態により乾燥効率を確保することで、フィルムFの搬送距離を短くでき、コンパクトで生産性の高い乾燥ユニット2を提供できる。
ここで、シール部材6は、温度調節部材3に接触して加熱されるため、耐熱性が優れた部材であることが好ましい。また、乾燥工程では温度調節部材3は常に回転し、フィルムFは常に搬送されているため、温度調節部材3やフィルムFを傷つけないように、シール部材6は、低摩擦係数の部材であることが好ましい。本実施形態では、耐熱性が高く、且つ摩擦係数が低いフッ素樹脂を素材としてシール部材6を構成する。これにより、上述した条件を好適に満足することができる。より具体的には、フッ素樹脂のうちのテフロン(登録商標)は、260度の温度まで耐えられ、且つ摩擦係数が0.04と低いため、シール部材6に用いるとより好適である。
[第2の実施形態]
次に、第2の実施形態に係る画像形成装置100aについて説明する。図7は、画像形成装置100aの構成の一例を説明する図である。図7に示すように、画像形成装置100aは、シール部材6aを備える。
シール部材6aは、テーパ部62aを含み、テーパ部62aは、図7に斜線ハッチングで示した平面61及び円筒面63aを含んで形成されている。円筒面63aは、温度調節部材3の外周面である円筒面に沿った形状に形成され、円筒面63aの少なくとも一部は温度調節部材3の外周面に接触している。ここで、円筒面63aは、第2面の一例である。
次に、図8は、種々の搬送速度でフィルムFを搬送した場合におけるしわ発生の実験結果例を説明する図である。図8の横軸は、フィルムFの搬送速度を示し、図8の右に向かうほど搬送速度は速い。また、縦軸はしわのランクを示している。5段階で示したしわランクのうち、ランクの数値が大きいほどしわが少なく、数値が小さいほどしわが多い。一例として、しわランク4以上が許容できるしわランクである。
図8の実験では、ドラム温度を70度に設定し、温風発生部4には温風ノズル3個を用い、350度の温風をフィルムFに対して吹き送った。また、フィルムFは、厚み20μmのOPPであり、OPPに付与される液体は、インクジェット用の水性インクである。
図8における黒丸プロット81は、本実施形態に係る画像形成装置100aによる実験結果を示し、黒四角プロット82は、比較例に係る画像形成装置101による実験結果を示している。
図8に示すように、画像形成装置101(黒四角プロット82)は、何れの搬送速度においても、しわランク4以上を満足しておらず、また、搬送速度が速くなるほどしわランクが悪化している。一方、画像形成装置100a(黒丸プロット81)は、何れの搬送速度においても、しわランク4以上を満足し、また、搬送速度によらず高いしわランクを示している。特に、搬送速度30mpm以上において、比較例に対する本実施形態の優位性が顕著になっている。
このように、本実施形態では、シール部材6aが円筒面63aを備えることで、シール部材6aにおける温度調節部材3の外周面と接触する面が平面である場合と比較して、温度調節部材3の外周面と円筒面63aとの接触面積をより大きくすることができ、温度調節部材3の外周面の近傍から、フィルムFと温度調節部材3との間に空気が入り込むことをより効率的に防ぐことができる。
ここで、温度調節部材3の半径方向における円筒面63aの曲率は、温度調節部材3の曲率と絶対値が等しく、また符号は異なるように形成されると、接触面積を大きくできるため、より好適である。
なお、上述した以外の効果は、第1の実施形態で説明したものと同様である。
上述した第1及び第2の実施形態では、シール部材6がバルク状部材である例を示したが、これに限定されるものではない。例えば、平面61を含む面と、平面63又は円筒面63aを含む面とを備え、中空部を有する部材としてシール部材6を構成しても良い。また、平面61を含む部材と、平面63又は円筒面63aを含む部材とを組み合わせてシール部材6を構成しても良い。但し、シール部材6をバルク状の部材で構成すると、樹脂成形加工や切削加工等を用いてシール部材6を容易に製作できるという利点がある。
また、フィルムFにおける温度調節部材3に接触する側の面と、平面61とが接触する面積は、できるだけ広い方が、空気が入り込む面積を小さくできるため、より好適である。同様に、温度調節部材3の外周面と平面63又は円筒面63aとが接触する面積は、できるだけ広い方が、空気が入り込む面積を小さくできるため、より好適である。
さらに、フッ素樹脂を素材としてシール部材6を構成する例を説明したが、これに限定されるものではない。シール部材6におけるフィルムFと接触する部分、及び温度調節部材3と接触する部分が少なくともフッ素樹脂で構成されていれば良い。例えば、フッ素樹脂とは異なる素材で構成した部材にフッ素樹脂で構成した部材を取り付けるようにしてシール部材6を構成しても良い。
以上、実施形態を説明したが、本発明は、具体的に開示された上記の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲から逸脱することなく、種々の変形や変更が可能である。
100 画像形成装置(液体吐出装置の一例)
1 インク吐出ユニット
2 乾燥ユニット(装置の一例)
3 温度調節部材
3a 接触開始箇所
4 温風発生部
5 インク(液体の一例)
6 シール部材(部材の一例)
61 平面(第1面の一例)
62 テーパ部
63 平面(第2面の一例)
63a 円筒面(第2面の一例)
10 搬送方向
F フィルム(基材の一例)
特開2016-114284号公報

Claims (5)

  1. 液体が付与されて搬送される基材に外周面を接触させ、前記基材を加熱又は冷却する温度調節部材と、
    前記基材が前記温度調節部材との接触を開始する箇所の搬送方向における上流側に設けられ、少なくとも一部が前記基材に接触する第1面、及び少なくとも一部が前記温度調節部材の外周面に接触する第2面を含む部材と、
    前記温度調節部材の周囲に配置され、温風を前記基材に吹き送ることにより、前記基材を加熱する温風発生部と、を備え、
    前記温度調節部材の内部は、70度に保たれた温水が充填され、
    前記温風の温度は300度以上350度以下である
    装置。
  2. 前記第2面は、前記温度調節部材の外周面に沿った形状に形成されている
    請求項1に記載の装置。
  3. 前記部材はフッ素樹脂を含む
    請求項1又は2に記載の装置。
  4. 前記基材の搬送速度は30mpm(meter per minute)以上である
    請求項1乃至3の何れか1項に記載の装置。
  5. 液体が付与されて搬送される基材に外周面を接触させ、前記基材を加熱又は冷却する温度調節部材と、
    前記基材が前記温度調節部材との接触を開始する箇所の搬送方向における上流側に設けられ、少なくとも一部が前記基材に接触する第1面と、少なくとも一部が前記温度調節部材の外周面に接触する第2面とを含む部材と、
    前記温度調節部材の周囲に配置され、温風を前記基材に吹き送ることにより、前記基材を加熱する温風発生部と、を備え、
    前記温度調節部材の内部は、70度に保たれた温水が充填され、
    前記温風の温度は300度以上350度以下である
    液体吐出装置。
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