以下、本開示に係る電気品箱及びヒートポンプ装置の実施の形態について図面を参照して説明する。以下の実施の形態では、ヒートポンプ装置を構成する室外機について説明する。本開示は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、本開示の主旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、本開示は、以下の実施の形態及びその変形例に示す構成のうち、組み合わせ可能な構成のあらゆる組み合わせを含むものである。また、各図において、同一の符号を付したものは、同一の又はこれに相当するものであり、これは明細書の全文において共通している。なお、各図面では、各構成部材の相対的な寸法関係又は形状等が実際のものとは異なる場合がある。
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係る電気品箱を搭載した状態における室外機の外観を示す概略正面図である。図2は、実施の形態1に係る電気品箱の電気回路図である。図1において、空気の流れる方向が白抜き矢印で示されている。図1~2を参照しつつ、室外機の構成について説明する。室外機600は、筐体600aと、圧縮機601と、室外熱交換器604と、第1のファン602と、第2のファン603と、圧力センサ605aと、電気品箱1とを備えている。また室外機600は、第1のファン602を駆動させる第1のファンモータ602aと、第2のファン603を駆動させる第2のファンモータ603aとを備えている。図2に示されるように、電気品箱1は各種センサ605と接続されている。各種センサ605は、室外機600に搭載された圧力センサ605a、室外機600あるいは不図示の室内機に設けられた温度センサ等である。
筐体600aは、例えば直方体形状を有している。筐体600aは、底面部、複数の側面パネル及び天面パネル等から構成されており、複数の側面パネル及び天面パネルは取り外し可能である。側面パネルには吸込口が形成されており、天面パネルには吹出口が形成されている。以下、図1の矢印X方向は室外機600の幅方向を表し、矢印Y方向は室外機600の奥行き方向を表し、矢印Z方向は室外機600の高さ方向を表している。
圧縮機601は、冷媒を吸入し圧縮して高温高圧の状態にするものである。圧縮機601は、圧縮機本体601bと、圧縮機本体601bを駆動させる圧縮機モータ601aとを有し、容量制御可能なインバータ圧縮機である。後述する制御装置の速度指令によりインバータが周波数を変えて圧縮機モータ601aを駆動することにより、圧縮機本体601bの回転数が制御されている。
第1のファン602は、第1のファンモータ602aにより風量自在に駆動され、室外熱交換器604に送風するものである。第2のファン603は、第2のファンモータ603aにより風量自在に駆動され、第1のファン602と同様に室外熱交換器604に送風するものである。第1のファン602及び第2のファン603はそれぞれ、例えばプロペラファンで構成される。室外熱交換器604は冷媒と空気とを熱交換させるものである。
図1に示される例では、室外熱交換器604は室外機600の筐体600aの前後左右の四側面それぞれに配置され、第1のファン602及び第2のファン603は、室外機600の上部に設けられている。第1のファン602及び第2のファン603の少なくとも一方が駆動しているとき、側面パネルの吸込口を介して筐体600a内に空気が吸い込まれ、天面パネルの吹出口を介して筐体600aの外へ空気が吹き出される。このとき、室外機600の側面に沿うように配置された室外熱交換器604において空気は冷媒と熱交換を行い、筐体600aの天面パネルに設けられた吹出口から筐体600aの外へ吹き出される。
室外機600は、室内熱交換器及び減圧装置を搭載した不図示の室内機と冷媒配管を介して接続されおており、圧縮機601と、室外熱交換器604と、室内熱交換器と、減圧装置等とが冷媒配管を介して接続されることにより冷媒回路が形成されている。
図1に示されるようなトップフロー型の室外機600では、筐体600a内を通過する風量が阻害されないように、冷媒制御部品及び電気電子部品は風路を避けて熱交換器よりも下方に配置されるのが望ましい。ここで、冷媒制御部品とは、冷媒回路を循環する冷媒の状態を制御するために使用される例えば圧縮機601、圧力センサ605a及び電磁弁といった部品である。これに対して電気電子部品とは、上記の冷媒制御部品を制御する部品であって、制御装置を構成する電気品箱1に含まれる部品である。冷媒制御部品は電気品箱1と配線接続されるため、電気品箱の近くに配置されていることが望ましい。
図1に示される室外機600では、前面を、作業者が作業を行うサービス面とし、筐体600aの前面右半部の室外熱交換器604よりも下方に設けられた部分をサービスパネル600a1としている。サービスパネル600a1は、取り外し可能なパネルである。図1に示されるように、電気品箱1は、室外機600の筐体600a内の右側の空間に配置されている。すなわち、電気品箱1は、室外機600においてサービスパネル600a1の奥に位置しており、電気品箱1のメンテナンス又は修理といったサービスが行われる際には、サービスパネル600a1を外すことにより作業者は電気品箱1にアクセスできる。また、電気品箱1が室外機600に組込まれる際、筐体600aのサービスパネル600a1が外された状態で、サービス面を介して筐体600a内に電気品箱1が組込まれる。つまり、サービスパネル600a1は、電気品箱1と対向する位置において筐体600aの前面の一部を構成するものであって、筐体600aを開閉可能なものである。
図3は、実施の形態1に係る電気品箱の簡易表示図である。電気品箱1は、金属ケースから成る電気品箱本体に、複数の電気品及び複数の基板等が取り付けられて構成されている。電気品箱1はヒートポンプ装置の制御装置であり、複数の電気電子部品によりヒートポンプ装置の運転を制御する。複数の電気部品等は、電気品箱本体内に複数の層に分かれて配置されており、電気品箱1は、第一層部10と、第二層部20と、回転支点30と、蓋部40等とで構成されている。第一層部10と第二層部20とは、回転支点30により開閉可能なように接続されている。図3に示される例では、回転支点30は第一層部10の左側に設けられ、第一層部10に対して第二層部20が左開きとなるように構成されている。電気品箱1が複数の層で構成されているので、電気品箱1の小型化、及び形状の自由度の向上を図ることができる。
回転支点30は、例えば蝶番で構成される。回転支点30は、サビないよう耐候性を有するステンレス又はメッキ処理が施された金属等で構成される。また回転支点30は、塩害又は硫黄雰囲気等の耐腐食が必要な場合には塗装が施されていることが好ましい。あるいは、回転支点30は、セラミック又は樹脂成型品から成るものでもよい。
なお、電気品箱1において回転支点30が設けられる位置は上述した位置に限定されない。例えば、第二層部20が右開きとなるように回転支点30は第一層部10の右側に設けられている場合、右利きの作業者にとって作業が行い易い。また回転支点30は、電気品箱本体内に位置するように設けられていてもよく、あるいは、電気品箱本体の外に位置するように設けられてもよい。
図4は、実施の形態1に係る電気品箱の組立て時の形態を示す簡易表示図である。図5は、実施の形態1に係る電気品箱における室外機への組込み時の形態を示す簡易表示図である。図5には、蓋部40を外した状態の電気品箱が示されている。電気品箱1の第一層部10と第二層部20とが閉じた状態で、第一層部10が室外機600の奥側に位置するように、サービス面を介して電気品箱1が室外機600に組込まれ、第一層部10が室外機600の筐体600aに固定される。
以降の説明において、矢印X方向、矢印Y方向、及び矢印Z方向はそれぞれ、電気品箱1が室外機600に組込まれた状態における第一層部10の幅方向、奥行き方向、及び高さ方向を表している。また、以降の説明において、第一層部10の幅方向と室外機600の幅方向、第一層部10の奥行き方向と室外機600の奥行き方向、及び第一層部10の高さ方向と室外機600の高さ方向幅方向とがそれぞれ一致しているものとする。
以下、図2~5を参照しつつ、電気品箱1の構成について説明する。電気品箱1は、電源端子台12と、ノイズフィルタ基板13と、インバータと、電源基板24と、制御基板22等とを有している。インバータには、例えば、第1インバータ基板14、第2インバータ基板15、及び第3インバータ基板16といった複数のインバータ基板が含まれている。図2中、実線矢印は強電線において電力が供給される方向、破線矢印は弱電線において制御用電力が供給される方向又は電気信号が送信される方向、一点鎖線矢印は通信線53において通信データが送信される方向を表している。
ノイズフィルタ基板13は、例えばコモンモードチョークコイル等を実装しており、三相交流電源500から供給される電気のノイズを低減する。第1インバータ基板14は、圧縮機モータ601aを制御するパワーデバイス等を実装しており、圧縮機モータ601aに可変周波数及び可変電圧の三相出力を供給する。第2インバータ基板15は、第1のファンモータ602aを制御するパワーデバイス等を実装しており、第1のファンモータ602aに可変周波数及び可変電圧の三相出力を供給する。第3インバータ基板16は、第2のファンモータ603aを制御するパワーデバイス等を実装しており、第2のファンモータ603aに可変周波数及び可変電圧の三相出力を供給する。
電源基板24は、三相交流電源500を直流電源に変換し各部へ制御電源を供給する電源回路を搭載している。電源基板24には、第一層部10の電気電子部品と接続される第3コネクタ241等が設けられている。以下、第一層部10の電気電子部品を第一層電気部品という場合がある。制御基板22は、各部の動作を制御する制御回路を搭載している。制御基板22には、冷媒制御部品と接続される第1コネクタ221、第一層電気部品と接続される第2コネクタ222等が設けられている。また制御基板22には、外部及び内部の機器と通信を行う通信部23、液晶ディスプレイ等から成る表示部224、複数のスイッチ等で構成される操作部225等が設けられている。
三相交流電源500と接続された電源端子台12は、ノイズフィルタ基板13と強電線により接続されている。またノイズフィルタ基板13は、複数の強電線を介して第1インバータ基板14、第2インバータ基板15、第3インバータ基板16、電源基板24及び制御基板22と接続されている。圧縮機モータ601aと接続される第1インバータ基板14は、第2インバータ基板15及び第3インバータ基板16それぞれが制御する電流よりも大きい電流を制御するように構成されている。
電源基板24は、複数の弱電線を介して制御基板22、第1インバータ基板14、第2インバータ基板15及び第3インバータ基板16と接続されている。制御基板22は、各種センサと弱電線により接続されており、各種センサ605からの電気信号が弱電線を介して制御基板22に入力される。また制御基板22は、複数の通信線53を介して第1インバータ基板14、第2インバータ基板15、第3インバータ基板16及び電源基板24と接続されており、各基板へ制御指令を出力している。また制御基板22は、外部及び内部の機器と通信するための通信部23を有し、一端が通信部23につながった通信線53が電気品箱1の外に引き出されている。
なお、以降の説明において、上記の強電線及び弱電線を区別せずに単に電線51という場合があり、また、電線51、通信線53、及び冷媒制御部品との接続線54を区別せずに単に配線という場合がある。
図5に示されるように、実施の形態1において電気品箱本体は、前面が開口した略直方体の箱形状を有している。以下、電気品箱本体の開口した前面を第一開口面31という。電気品箱1が室外機600に組込まれた状態において、電気品箱本体における第一開口面31が筐体600aのサービス面を向くように配置される。電気品箱本体には、ねじ等を介して板金で構成された蓋部40が取り外し可能に取り付けられている。ヒートポンプ装置が使用されているときには、電気品箱本体の第一開口面31は蓋部40によって塞がれており、雨水及び砂塵等の電気品箱本体内への進入を抑制する。なお、蓋部40と電気品箱本体とを接続する蝶番をさらに設け、回転支点により蓋部40が第一開口面31を開閉する構成としてもよい。この場合、サービス性を向上させることができる。
電気品箱本体は、奥行き方向(矢印Y方向)で二つに分割されており、奥側の第一層本体11と、手前側の第二層本体21とを有している。つまり、電気品箱本体を前面から見た場合に、第一層本体11と第二層本体21のサイズが略同一となっている。第一層本体11は、上下左右の四側面と背面とに配置された板金で構成され、前面が開口した箱形状を有している。第二層本体21の前面の開口は電気品箱本体における第一開口面31である。第二層本体21は、上下左右の四側面に配置された板金から成り、前面及び背面が開口した枠形状を有している。以下、第二層本体21の開口した背面を第二開口面32といい、第一層本体11の開口した前面を第三開口面33という。第一層本体11に、電気品箱に含まれる複数の電気電子部品の一部の部品(第一層電気部品)が取り付けられて上記の第一層部10を構成し、第二層本体21に、複数の電気電子部品の残りの部品が取り付けられて上記の第二層部20を構成している。図5に示されるように第一層部10と第二層部20とが閉じた状態において、第二層本体21における第二開口面32の縁部と第一層本体11における第三開口面33の縁部とが向かい合わせとなる。
また電気品箱1は、電気品箱本体に形成された各開口部の止水のために、止水部材57を備えている。止水部材57は、例えば、エプトシーラーといった発泡シール材、又はゴム材で構成されている。止水部材57は、図3に示されるように第一層本体11における第三開口面33の縁部、及び、図4に示されるように第二層本体21における第一開口面31の縁部に取付けられている。止水部材57は、第一層本体11と第二層本体21との間、及び、第二層本体21と蓋部40との間において各開口面からの雨水等の侵入を抑制する。第一層本体11における第三開口面33の縁部、及び第二層本体21における第一開口面31の縁部にはそれぞれ、止水部材57が貼り付けられる貼り付け代としてフランジが形成されている。フランジは、第一層本体11及び第二層本体21をそれぞれ構成する板金を折り曲げて構成されてもよく、あるいは、別の板金で構成されていてもよい。なお、止水部材57は、第二層本体21における第二開口面32の縁部、及び蓋部40の背面側の縁部に取り付けられる構成であってもよい。この場合においても、上記の場合と同様の効果が得られる。
また、第一層本体11を構成する板金及び第二層本体21を構成する板金にはそれぞれ一又は複数の配線を通す配線孔が形成されており、配線孔にはゴムブッシュ56が設けられている。第一層本体11及び第二層本体21において配線孔を設ける位置は、配線が接続される電気電子部品の位置によって選択される。図3に示される例では、配線孔は、第一層本体11の下面を構成する板金と、第二層本体21の下面を構成する板金とにそれぞれ形成される。なお、配線孔は、第一層本体11及び第二層本体21において回転支点30が設けられている側面に形成されてもよい。
第一層部10は、複数の電気電子部品のうち重量物及び積極的な冷却が必要となる発熱部品を内包している。積極的な冷却が必要となる発熱部品とは、第1インバータ基板14、第2インバータ基板15及び第3インバータ基板16それぞれに実装されているパワーデバイス等である。具体的には、第1インバータ基板14には、整流回路、IGBTモジュール、昇圧コンバータ、降圧コンバータ、電源用三端子レギュレータ、主回路コンデンサ及びリアクトルといった発熱部品が含まれている。第2インバータ基板15及び第3インバータ基板16それぞれについても、第1インバータ基板14と同様の発熱部品が含まれている。また第一層部10は、複数の電気電子部品のうち電源端子台12及びノイズフィルタ基板13等を内包している。このように、第一層部10の重量が第二層部20の重量よりも重くなるように、電気品箱1が構成されている。特に、インバータの重力が、第二層部20よりも重い構成であってもよい。
図6は、図5の電気品箱の背面図である。第一層部10は、例えばヒートシンク等の冷却部材300を備えている。上述した発熱部品それぞれの放熱面と冷却部材300との熱抵抗が小さくなるように、第一層本体11に、第1インバータ基板14、第2インバータ基板15、第3インバータ基板16が取り付けられている。具体的には、第一層部10本体の背面を構成している板金の内面に、第1インバータ基板14、第2インバータ基板15及び第3インバータ基板16の各裏面が接触するように配置されている。第一層本体11の背面を構成している板金の外面に冷却部材300が配置されている。
冷却部材300としてヒートシンクが使用される場合には、第1のファン602及び第2のファン603により生じたトップフローの風により発熱部品を冷却する構成でもよく、あるいは、上記複数のインバータ基板を空冷する軸流ファンを別途設けてもよい。
なお、冷却部材300はヒートシンクに限定されない。例えば、発熱部品の放熱面に接触するように冷媒冷却器を設け、室外機600の筐体600a内に流れる冷媒の一部又は全流量を冷媒冷却器に流すことで発熱部品が冷却される構成でもよい。筐体600a内に流れる冷媒の一部を冷媒冷却器に流す構成とする場合、主回路から分岐した冷媒冷却器が設けられる配管に電子膨張弁を設け、冷媒冷却器に流れる冷媒流量を制御することにより冷却量が調整可能である。電子膨張弁は、上記の冷媒制御部品の一つであり、室外機600において室外熱交換器604よりも下方に配置されるのが好ましい。
さらに、軸流ファンの風により発熱部品を冷却する場合において風量が不足する場合には、風の吹く位置まで、水を使用したヒートパイプにより熱を移動させる構成とすることで、冷却量を向上させることができる。また、冷却部材300と発熱部品との熱抵抗を小さくするために、炭素系材料を使用した放熱用グリス又はシート、シリコン、あるいはアクリルが、冷却部材300と発熱部品との間に介在する構成としてもよい。
また電気品箱1は、力率改善のために直流リアクトル17を搭載している。直流リアクトル17は、重量物であり且つ発熱部品であるので第一層部10に内包されており、具体的には、第一層本体11に、第一層本体11を構成している板金を介して冷却部材300と熱接触するように、ねじ等の締結部材により取付けられている。
ところで、第1インバータ基板14、第2インバータ基板15及び第3インバータ基板16を気流の方向に沿うように並べて配置する場合には、第1インバータ基板14を、第1のファン602及び第2のファン603から最も離れた位置に配置するのがよい。これは、圧縮機モータ601aを駆動させる第1インバータ基板14では、制御される電流が、第2インバータ基板15及び第3インバータ基板により制御される電流よりも大きく、発熱量も大きいからである。図1に示されるトップブロー型の室外機600では、図3~4に示されるように、電気品箱1が室外機600に組込まれた状態で第2インバータ基板15及び第3インバータ基板16よりも下に、第1インバータ基板14が配置されている。このような構成により、第1インバータ基板14を冷却する冷却部材300をより低温の風で冷却することができる、冷却部材300の小型化、及び第1インバータ基板14の品質向上が図れる。
図3~5に示されるように、第二層部20は、基本的には発熱部品を内包しておらず、制御基板22及び電源基板24を内包している。以降の説明において、第二層本体21に取り付けられた電子基板を「第二層基板部」という場合がある。実施の形態1において、制御基板22及び電源基板24が第二層基板部220である。つまり、第二層基板部220は、冷媒制御部品の動作を制御し、第一層電気部品に制御電源を供給する機能を有する。第二層基板部220は、第二層部20の開閉時に第二層本体21とともに動く。
第二層部20は、制御基板22、電源基板24、及び配線等を第二層本体21に固定する補助をする補助支柱201を備えている。補助支柱201は、第二層本体21に取り付けられる制御基板22及び電源基板24の各基板サイズに合わせて自由に固定位置を決めることができる。補助支柱201は、例えば、電気品箱1の幅方向の略中央位置に設けられた上下方向に延びる部材であり、左右位置を変更可能なように、上端部及び下端部を介して第二層本体21の内面に取り付けられている。
正面視において、制御基板22と電源基板24とは並んで配置されている。図5に示される例では、第二層本体21の内部の空間の右半分に制御基板22が配置され、制御基板22よりも回転支点30に近い左半分に電源基板24が配置されている。制御基板22の外周の右側面及び上面が第二層本体21の内面に接触し、且つ制御基板22の外周の左側面が補助支柱201の右側面に接触するように制御基板22は第二層本体21に固定されている。電源基板24の外周の左側面及び上面が第二層本体21の内面に接触し、且つ電源基板24の外周の右側面が補助支柱201の左側面に接触するように電源基板24は第二層本体21に固定されている。
以下、電源基板24において、第一層電気部品と接続される第3コネクタ241等が設けられている面をC面24Cと称し、C面24Cの裏面をS面24Sと称する。電源基板24が第二層本体21に取り付けられた状態において、電源基板24のC面24Cは、第二層本体21の背面である第二開口面32側に位置し、電源基板24のS面24Sは、第二層本体21の前面である第一開口面31側に位置している。
以下、制御基板22において、表示部224が設けられている面をC面22Cと称し、C面22Cの裏面をS面22Sと称する。制御基板22が第二層本体21に取り付けられた状態において、制御基板22のC面22Cは、第二層本体21の前面である第一開口面31側に位置し、制御基板22のS面22Sは、第二層本体21の背面である第二開口面32側に位置している。ここで、制御基板22のC面22C及びS面22Sそれぞれはコネクタを設けることが可能な面である。制御基板22の電子部品は、リフロー・リフローで半田付けされており、C面22CとS面22Sにおいて実装できる部品の違いは無い。なお、リフロー・リフローに対応していない部品は、スポット溶接機等で、リフロー・リフロー工程後に取付けられている。また制御基板22のC面22Cには、上記の表示部224、操作部225及び通信部23等が設けられている。制御基板22において、冷媒制御部品との接続線54が接続される第1コネクタ221はすべてC面22Cに設けられており、第一層電気部品と接続される第2コネクタ222はS面22Sに設けられている。
このような構成により、図4に示されるように、電気品箱1の製造段階では、回転支点30により第一層本体11と第二層本体21とを左右に開いた状態で、電気品箱1が製造ラインに置かれる。したがって、電気品箱1の製造段階には、第一層本体11及び第二層本体21への電気電子部品の取り付け作業、あるいは第一層本体11と第二層本体21に跨る配線の取り付け作業が、接続先を確認しながら容易にできる。
また、第一層本体11から第二層本体21へ跨る配線は、電気品箱1の下部に形成された配線孔より一旦電気品箱1の外に出してから接続される。このような構成により、第二層本体21を開閉する際に配線のたるみが電気品箱本体の内部に発生するのを回避でき、結果、配線と電気電子部品との接触、及び、配線と電気品箱本体の板金との接触を低減できる。
また配線が通される配線孔に設けられたゴムブッシュ56により、さらに配線の可動域が狭まり、また、電気品箱本体内への水侵入、及び板金の縁部との接触が回避できる。特に回転支点30に近い位置にゴムブッシュ56が設けられる場合、さらに配線の可動域が狭まり、上記の水侵入の回避及び板金との接触回避の効果が高まる。
したがって、第二層部20に内包され、第一層部10へ電源を供給する電源基板24も、ゴムブッシュ56が配置される回転支点30に近い位置に配置されているのが好ましい。電源基板24からの出力は弱電であるため、ノイズ伝搬の観点から、第1インバータ基板14、第2インバータ基板15及び第3インバータ基板16といった強電系の基板と離して配置することが好ましい。また、強電線も、電気品箱本体内において回転支点30から離れた位置に配置することが好ましい。
電気品箱1が室外機600に組込まれるとき、電気品箱1は、図5に示されるように第二層部20を閉じた状態で、サービス面から筐体600a内に配置される。冷媒制御部品からの接続線54は、作業者により、電気品箱1が筐体600a内に設置された後、第二層部20の制御基板22の第1コネクタ221へ接続される。第1コネクタ221は、第一開口面31を向いて配置されている制御基板22のC面22Cに設けられているので、作業者は、第一層部10に対して第二層部20を開くことなく室外機600への組付けを行うことができる。
以上のように、実施の形態1においては、電気品箱1は、第一開口面31を有し、第一層本体11及び第二層本体21により構成される電気品箱本体を備える。また電気品箱1は、冷媒制御部品を制御する部品であって第二層本体21に取り付けられた第二層基板部220と、冷媒制御部品を制御する部品であって第一層本体11に取り付けられた第一層電気部品とを備える。また電気品箱1は、第一層本体11と第二層本体21とを接続する回転支点30とを備え、第二層本体21は、回転支点30により第一層本体11に対して開閉可能である。また第二層基板部220は、第一開口面31側の第一面と、第一面の裏面である第二面とを有し、第一面に、冷媒制御部品と接続される第1コネクタ221が設けられ、第二面に第一層電気部品と接続された第2コネクタ222が設けられたものである。
これにより、製造段階では第二層部20を開いて第一層部10と第二層部20とが一度に見える状態で両者間の配線接続ができる。また、室外機への組付段階では第二層部20を開かずに第二層部20の前面に設けられている第1コネクタ221へ冷媒制御部品との接続線54をつなぐことができるので、作業が容易となる。よって、階層構造を有する電気品箱1においてサービス性と組立性とを両立することができる。
また、実施の形態1において、ヒートポンプ装置(室外機600)は、上記の電気品箱1と、冷媒回路に設けられた、圧力センサ605a、電磁弁及び電子膨張弁の少なくとも一つを備えている。第1コネクタ221が接続される冷媒制御部品は、圧力センサ605a、電磁弁又は電子膨張弁である。このため、ヒートポンプ装置においてもサービス性と組立性とを両立することができる
実施の形態2.
図7は、実施の形態2に係る電気品箱の組立て時の形態を示す簡易表示図である。図8は、実施の形態2に係る電気品箱の室外機への組込み時の形態を示す簡易表示図である。図7~8を参照しつつ、実施の形態2における電気品箱について実施の形態1と異なる構成について説明する。なお、実施の形態2の電気品箱1においても、実施の形態1の場合と同様に、第一層部10に対して開閉可能な第二層部20に搭載されている第二層基板部220の表面及び裏面の双方にコネクタが設けられているので、実施の形態1の場合と同様の効果が得られる。
上記の実施の形態1においては、第二層基板部220が、個別に形成されている制御基板22と電源基板24で構成される場合について説明した。実施の形態2においては、実施の形態1の制御基板22内に電源基板24の機能を集約させる構成としている。
具体的には、第二層部20に搭載されている第二層基板部220は、一つの基板に、制御回路と電源回路とが実装されて構成されている。第二層基板部220のC面220Cは、第二層本体21の前面である第一開口面31側に位置し、第二層基板部220のS面220Sは、第二層本体21の背面である第二開口面32側に位置している。以降の説明において、第二層基板部220において表示部224及び操作部225等が設けられている面をC面220Cと称し、C面220Cの裏面をS面220Sと称する。第二層基板部220のS面220S及びC面220Cのいずれもコネクタを設けることが可能な面であり、実施の形態1の制御基板22の場合と同様に、C面220CとS面220Sにおいて実装できる部品の違いは無い。制御回路において冷媒制御部品と接続線54を介して接続される第1コネクタ221はすべて第二層基板部220のC面220Cに設けられている。一方、電源回路において第一層部10の電気電子部品すなわち第一層電気部品と接続される第3コネクタ241は、第二層基板部220のS面220Sに設けられている。
このような構成により、制御基板22と電源基板24とを並べて配置するよりも、第二層部20における電気電子部品が配置される面積を削減できる。したがって、従来よりも基板枚数が低減でき、コストが削減できる。
また、第二層部20における電気電子部品が配置される面積を削減できることにより、第二層本体21内に基板等が配置されていない空間を設けることができる。これにより、図8に示されるように第二層部20が閉じられた状態においても、空間を介して第一層本体11の内部が視認可能となる。第二層部20において、第一層部10の電源端子台12及びノイズフィルタ基板13と正面視で重複する領域に、電気電子部品が配置されていない開口部が設けられている。図8に示される例では、第二層基板部220の外周の左側面及び上面が第二層本体21の内面に接触する。また、第二層基板部220の外周の右側面が補助支柱201の左側面に接触する。このようにして、第二層基板部220が、第二層本体21内の回転支点30側すなわち左側に配置されるように第二層本体21に固定されている。第一層部10において、電源端子台12及びノイズフィルタ基板13は、回転支点30から離すように右側に配置されている。つまり、電気品箱本体の正面視において、第二層基板部220は、回転支点30側に配置され、電源端子台12は、第二層基板部220よりも回転支点30から離れた位置に配置されている。したがって、第二層部20が閉じられた状態においても、作業者は、第一開口面31から第二層部20内の開口部を介して第一層部10の電源端子台12及びノイズフィルタ基板13等を目視できる。
以上のように、実施の形態2において、第二層本体21内には、第一開口面31を正面視した場合において、部品が取り付けられていない領域すなわち開口部が設けられている。これにより、作業者は、前面の第一開口面31及び第二層本体21内の開口部を介して、第一層部10の電源端子台12等を見ることができるので、室外機600の据付け時において、第二層部20を開かずに配線接続を容易に行うことができる。
実施の形態3.
図9は、実施の形態3に係る電気品箱の組立て時の形態を示す簡易表示図である。図10は、実施の形態3に係る電気品箱における室外機への組込み時の形態を示す簡易表示図である。図9~10を参照しつつ、実施の形態3における電気品箱について実施の形態2と異なる構成について説明する。なお、実施の形態3の電気品箱1においても、実施の形態1の場合と同様に、第一層部10に対して開閉可能な第二層部20に搭載されている第二層基板部220の表面及び裏面の双方にコネクタが設けられているので、実施の形態1の場合と同様の効果が得られる。
上記の実施の形態2において、第一層本体11と第二層本体21は、略直方体の箱形状の電気品箱本体が前後方向(矢印Y方向)で二つに分割された形状を成し、図8に示されるように正面視において第一層本体11と第二層本体21のサイズは略同一であった。実施の形態3においては、図9~10に示されるように、実施の形態2における第二層本体21のサイズが、第二層基板部220の基板サイズに合わせて第一層本体11よりも小さく構成されている。具体的には、第二層本体21の左側面及び右側面を構成する板金間の距離が、第二層基板部220の横方向(矢印X方向)の幅と一致している。このように、第二層本体21のサイズを、第二層基板部220の基板サイズに合わせて小さくすることにより、第二層本体21に使用される板金量を低減でき、また、補助支柱201が不要となる。
上記の実施の形態2において、蓋部40は、四角形状を有する板金から成り、第二層本体21の第一開口面31を覆うように第二層本体21の前面に取り付けられていた。実施の形態3では、蓋部40は、第二層本体21を閉じた状態の電気品箱1の正面視で、第一層本体11において第二層本体21の外側にはみ出した部分の前面を覆う第一蓋部41と、第二層本体21の前面を覆う第二蓋部42と、蓋接続部43とを有している。蓋接続部43は、第一蓋部41と第二蓋部42とを接続する。蓋部40は平面視で略S字状を有し、例えば図10に示されるように、一枚の板金を2箇所折り曲げて形成されてもよい。
このような構成によれば、蓋部40を電気品箱本体から取り外すことにより、作業者は、第二層本体21の内部、及び第一層本体11において第二層本体21の外側にはみ出した部分の電気電子部品を、正面から見ることができる。よって、作業者は、回転支点30により第二層本体21を開くことなく、容易に第一層本体11の内部の電気電子部品の状態を確認することができる。図10に示されるように蓋部40を外した状態で、電気品箱1の正面視において、第二層本体21内に配置されている第二層基板部220のC面220Cと、第一層本体11内の右側に配置されている電源端子台12及びノイズフィルタ基板13等が視認可能となる。
以上のように、実施の形態3において、第二層本体21は、第二層基板部200の大きさに合わせて第一層本体11よりも小さく形成されている。これにより、作業者は、第一層本体11内における第二層本体21の外側に配置されている例えば電源端子台12等の電気電子部品を見ることができるので、実施の形態3においても実施の形態2の場合と同様の効果が得られる。
なお、蓋部40は、上記のように1枚板金の折り曲げで構成してもよいし、蓋接続部43を設けずに第一蓋部41及び第二蓋部42の2枚の板金により構成してもよい。蓋部40が第一蓋部41及び第二蓋部42の2枚の板金により構成される場合、枚数が増えるものの、作業者は、電気品箱1の据付け時に蓋部40を構成する2枚の板金を外すだけで済み、第二層部20を開くことなく作業ができる。以下、蓋部40が蓋接続部43を備えておらず、第一蓋部41と第二蓋部42とが個別に構成されている場合の構成例について説明する。
図11は、実施の形態3に係る電気品箱の第1変形例における組立て時の形態を示す簡易表示図である。図12は、実施の形態3に係る電気品箱の第1変形例における室外機への組込み時の形態を示す簡易表示図である。第1変形例の蓋部40において、第一蓋部41は、第二層本体21を構成している板金の一部により構成されている。具体的には、第一蓋部41は、図12に示されるように第二層部20が閉じた状態において、第二層本体21の右側面を構成する板金の背面側の端部から右側へ延びた板金により構成されている。
図13は、実施の形態3に係る電気品箱の第2変形例における組立て時の形態を示す簡易表示図である。図14は、実施の形態3に係る電気品箱の第2変形例における室外機への組込み時の形態を示す簡易表示図である。第2変形例の蓋部40は、第1変形例の蓋部40に、第一蓋部41と第一層本体11とを固定する固定部45をさらに設けたものである。固定部45は、回転支点30により第二層部20を閉じた状態において第一層本体11と、第二層本体21から延出した第一蓋部41とが接触する部分に設けられている。具体的には、固定部45は、第一層本体11において第二層本体21の外側にはみ出した部分の第三開口面33の縁部に設けられた第一固定部46と、第一蓋部41の外周部において第一固定部46と対向する位置に設けられた第二固定部47とを有する。図13において、第一固定部46は、第二層本体21における第三開口面33の右側の縁部に設けられ、第二固定部47は、第一蓋部41の外周部における右側の縁部に設けられている。第一固定部46及び第二固定部47はそれぞれねじ穴を有しており、ねじ締めによって第一層本体11と第二層本体21との密着度が高まる。固定と解除を容易にできるように、第一固定部46及び第二固定部47のうち第二固定部47のねじ穴は、ねじ穴に通すねじの外径よりも大きく形成されている。
以上のように、実施の形態3の第1変形例において、第二層本体21は、第一層本体11の前面の一部を塞ぐ第一蓋部41を有し、第一蓋部41は、第二層本体21の板金の一部が延出して構成されている。これにより、蓋部40の構成が簡素化できる。また、実施の形態3の第2変形例において、電気品箱本体は固定部45を備えている。固定部45は、第一層本体11に設けられ、ねじ穴が形成されている第一固定部46と、第二層本体21に設けられ、第一固定部46のねじ穴よりも大きいねじ穴が形成されている第二固定部47とを有する。これにより、第一層部10の第三開口面33の開閉を容易にしつつ、上記の止水部材57による止水効果を高めることができる。
実施の形態4.
図15は、実施の形態4に係る電気品箱の組立て時の形態を示す簡易表示図である。図16は、実施の形態4に係る電気品箱における室外機への組込み時の形態を示す簡易表示図である。図17は、図16の電気品箱の蓋部40を閉じた状態を示す側面図である。図15~17を参照しつつ、実施の形態4における電気品箱1について実施の形態2と異なる構成について説明する。なお、実施の形態4の電気品箱1においても、実施の形態1の場合と同様に、第一層部10に対して開閉可能な第二層部20に搭載されている第二層基板部220の表面及び裏面の双方にコネクタが設けられているので、実施の形態1の場合と同様の効果が得られる。
上記の実施の形態2において、第一層本体11と第二層本体21は、略直方体の箱形状の電気品箱本体が前後方向(矢印Y方向)で二つに分割された形状を有していた。また、第一層本体11の上面を構成する板金及び第二層本体21の上面を構成する板金はそれぞれ水平に設けられていた。実施の形態4において電気品箱は、回転支点30により第二層部20が閉じた状態において、第一層部10の上部に設置され、第二層本体21の上面を覆うように前方へ延びた屋根部101を有する。さらに実施の形態4では、第二層本体21の上面は、回転支点30により第二層本体21を閉じる際に第二層本体21の上面を構成している板金と第一層本体11に設置されている屋根部101との衝突を回避するために、前方に向かって低くなる構成である。一方、第一層本体11の上面、及び、第一層本体11の上面に設置されている屋根部101は、後方に向かって次第に低くなるように構成されている。なお、屋根部101が、第一層本体11の上面を構成する板金とは別部材で構成される場合を例に説明したが、屋根部101は、第一層本体11の上面を構成する板金を前方へ延出させて構成されたものでもよい。
以上のように、実施の形態4において、第一層部10は、第一層本体11の上面及び第二層本体21の上面をともに覆う屋根部101を備えている。これにより、図16及び図17に示されるように回転支点30を閉じた状態において、第一層本体11と第二層本体21の接触部における上からの雨水の侵入を抑制することができ、止水性が向上する。
実施の形態5.
図18は、実施の形態5に係る電気品箱の組立て時の形態を示す簡易表示図である。図19は、図18の電気品箱の第二層本体の構成を示す分解斜視図である。図20は、実施の形態5に係る電気品箱における室外機への組込み時の形態を示す簡易表示図である。図18~20を参照しつつ、実施の形態5における電気品箱について実施の形態2と異なる構成について説明する。なお、実施の形態5の電気品箱1においても、実施の形態1の場合と同様に、第一層部10に対して開閉可能な第二層部20に搭載されている第二層基板部220の表面及び裏面の双方にコネクタが設けられているので、実施の形態1の場合と同様の効果が得られる。
上記の実施の形態2において、第一層本体11と第二層本体21は、略直方体の箱形状の電気品箱本体が前後方向(矢印Y方向)で二つに分割された形状を成し、第二層本体21は、上下左右の四側面に板金が配置され、前面及び背面が開口した枠形状を有していた。実施の形態5において、第二層本体21は、箱形状を有する電気品箱本体のうち回転支点30が設けられている側面の前部分を構成しており、第一層本体11が、電気品箱本体の残りの部分を構成している。図18及び図20に示される例では、電気品箱本体において左側面に回転支点30が設けられており、第二層本体21は、電気品箱本体の左側面の前部分を構成している。
また、上記の実施の形態2において第二層基板部220は基板により第二層本体21に取り付けられていたが、実施の形態5において第二層本体21には取付部210が設けられ、第二層基板部220は取付部210を介して第二層本体21に取り付けられている。図20に示される例では、第二層本体21の内面に取付部210の左側面が接触するように、第二層本体21に対して取付部210が固定されている。図19に示されるように、取付部210は、板状部材の中央に開口した窓部215が形成された枠形状を有している。取付部210に第二層基板部220が取り付けられた状態で、取付部210の一方の面における窓部215の縁部又は窓部215の内周面に第二層基板部220が接触している。
電気品箱1が、上記のような電気品箱本体及び取付部210を備えることにより、作業者は、回転支点30により第二層部20を開閉し、取付部210に取り付けられている第二層基板部220の両面を見ることができる。実施の形態5では、第一層本体11の下面を構成する板金の奥側の位置に、第一層部10に接続された配線を通す第一の配線孔102aが形成されている。そして、第一層本体11の下面を構成する板金の前側の位置に、第二層部20に接続された配線を通す第二の配線孔102bが形成されている。また、ノイズ低減の観点から、第一層本体11において第二の配線孔102bは第一の配線孔102aよりも回転支点30の近くに設けられているとよい。また、第二層本体21の開閉により生じる配線と電気電子部品との接触を低減するために、第一の配線孔102a及び第二の配線孔102bにはゴムブッシュ56が設けられている。
以上のように、実施の形態5において、電気品箱本体の開口面を少なくでき、また第二層部20が閉じられた状態で第二層部20の上面は第一層本体11の上面で覆われているので、実施の形態4の場合と同様に、雨水等の侵入等を抑制できる。
また、実施の形態5において、回転支点30に近い位置に取付部210が設けられ、取付部210に第二層基板部220が取り付けられているので、実施の形態1で用いたような補助支柱201を設ける必要がない。ただし、トラック等の輸送振動に対して、第二層基板部220における回転支点30と逆側の端部が不安定になるのを回避するために、第一層本体11に補助支柱201を設け、補助支柱201によって第二層基板部220の端部を固定する構成としてもよい。
実施の形態6.
図21は、実施の形態6に係る電気品箱における組立て時の形態を示す簡易表示図である。図22は、図21の電気品箱の第二層本体の構成を示す分解斜視図である。図23は、実施の形態6に係る電気品箱における室外機への組込み時の形態を示す簡易表示図である。図21~23を参照しつつ、実施の形態6における電気品箱1について実施の形態2と異なる構成について説明する。
実施の形態6において、第二層基板部220の構成、電気品箱本体を構成する第一層本体11及び第二層本体21の形状、並びに電気品箱が取付部210を備えている点が、実施の形態2の場合と異なる。
上記の実施の形態2において、第二層部20に搭載されている第二層基板部220は、一つの基板に制御回路と電源回路とが実装された構成であった。実施の形態6において、第二層基板部220は、制御回路が実装された制御基板22と電源回路が実装された電源基板24とにより構成され、制御基板22及び電源基板24のそれぞれは、電子部品の実装面22a、24aと非実装面22b、24bとを有する。制御基板22の実装面22aに、表示部224と、操作部225と、冷媒制御部品からの接続線54が接続される第1コネクタ221等とが設けられている。電源基板24の実装面24aに、第一層部10の電気電子部品すなわち第一層電気部品と接続される第3コネクタ241等が設けられている。
実施の形態6において、第二層本体21は、箱形状を有する電気品箱本体のうち回転支点30が設けられている側面の前部分を構成しており、第一層本体11が、電気品箱本体の残りの部分を構成している。図21及び図23に示される例では、電気品箱本体において左側面に回転支点30が設けられており、第二層本体21は、電気品箱本体の左側面の前部分を構成している。
また実施の形態6において、第二層本体21には取付部210が設けられ、第二層基板部220は取付部210を介して第二層本体21に取り付けられている。図23に示される例では、第二層本体21の内面に取付部210の左側面が接触するように取付部210が第二層本体21に固定されている。図22に示されるように、取付部210は、外周の一部に切り欠き部211が設けられた板状部材で構成されており、図23に示されるように第二層部20を閉じた状態において前面となる第一面210aと、背面となる第二面210bとを有している。取付部210の第一面210aには、制御基板22の非実装面22bが接触するように制御基板22が取り付けられ、取付部210の第二面210bには、電源基板24の非実装面24bが接触するように電源基板24が取り付けられる。すなわち、実施の形態6の第二層基板部220は、制御基板22と電源基板24とが取付部210を介して背中合わせに配置されて構成されている。制御基板22と電源基板24と接続する配線は切り欠き部211に通されている。
電気品箱が、上記のような電気品箱本体及び取付部210を備えることにより、作業者は、第二層部20の開閉により、制御基板22の実装面22aと電源基板24の実装面24aとを見ることができる。実施の形態6においては、第一層本体11の下面を構成する板金の奥側の位置に、第一層部10に接続された配線を通す第一の配線孔102aが形成されている。第一層本体11の下面を構成する板金の前側の位置に、第二層部20に接続された配線を通す第二の配線孔102bが形成されている。また、ノイズ低減の観点から、第一層本体11において第二の配線孔102bは第一の配線孔102aよりも回転支点30の近くに設けられているとよい。また、第二層部20の開閉により生じる配線と電気電子部品との接触を低減するために、第二の配線孔102bにはゴムブッシュ56が設けられているのが好ましい。
以上のように、実施の形態6において、制御基板22と電源基板24とが背中合わせとなるように取付部210に取り付けられたものが、表裏面に第1コネクタと第2コネクタが設けられた第二層基板部220に相当する。よって、実施の形態6においても、実施の形態1の場合と同様の効果が得られる。
また実施の形態6において、第二層基板部220を構成する制御基板22及び電源基板24のそれぞれは、非実装面22b、24bを有するので、フロー工程で実装した制御基板22及び電源基板24を使用することができ、基板の工作が容易となる。
なお、電気品箱1の電気電子部品は、上記の電気電子部品に限定されない。電源基板24の代わりに非接触給電機構400が用いられてもよい。非接触給電機構400は、送電部400aと受電部400bとを有し、送電部400aから受電部400bへ非接触で給電するものである。非接触給電機構400は、例えば、コイルから成る送電部400aから電磁誘導コイルで構成される受電部400bへ非接触で給電する構成とできる。また非接触給電機構400は、通信データをのせて給電を行う機能を有している。なお、送電部400aから受電部400bへの電力供給には、例えば磁界共鳴方式又は電界結合方式が採用されてもよい。また、第一層部10と第二層部20との通信線53を削減するために電気品箱本体内で無線通信が可能な構成であればよく、例えば、非接触給電機構400とは別に無線通信を行う通信手段が設けられ、通信手段によりに通信データが送受信されてもよい。
図24は、実施の形態6に係る電気品箱の第1変形例における電気回路図である。第1変形例において、非接触給電機構400の受電部400bは第一層部10に搭載されており、非接触給電機構400の送電部400aは第二層部20に搭載されている。具体的には、受電部400bは第1インバータ基板14に設けられ、送電部400aは取付部210の第二面210bに設けられている。なお、受電部400b及び送電部400aが設けられる場所はどこでもよく、第二層部20が閉じた状態において受電部400bと送電部400aとが向かい合うように配置されていればよい。
以上のように、実施の形態6の第1変形例においては、非接触給電機構400により第1層部の電気電子部品へ制御電源が供給されるので、第一層部10の電気電子部品に制御電源を供給する又は電気信号を送信するための弱電線を設ける必要がない。また、非接触給電機構400が通信データをのせて給電を行う機能を有しているので、第一層部10の電気電子部品に制御基板22からの制御信号を送信する通信線53を設ける必要もない。よって、電源基板24の代わりに非接触給電機構400を設ける場合、第一層部10と第二層部20を跨る配線を減らすことができ、構成が簡素化できる。
なお、非接触給電機構400の送電部400a及び受電部400bの配置は、第1変形例における配置に限定されない。図25は、実施の形態6に係る電気品箱の第2変形例における電気回路図である。第2変形例において、電源端子台12が設けられている第一層部10に非接触給電機構400の送電部400aが搭載され、第二層部20に非接触給電機構400の受電部400bが搭載されている。上記のとおり、圧縮機モータ601aに接続された第1インバータ基板14、第1のファンモータ602aに接続された第2インバータ基板15、及び第2のファンモータ603aに接続された第3インバータ基板16は全て第一層部10に設けられている。したがって、第2変形例では、第一層部10に設けられたノイズフィルタ基板13から第二層部20に強電線をつなぐ必要が無く、第一層部10と第二層部20を跨る配線を減らすことができる。
図26は、実施の形態6に係る電気品箱の第3変形例における電気回路図である。第3変形例では、ノイズフィルタ基板13と制御基板22とを接続する、制御電源用に電力を供給する配線にダウントランス70が設けられている。電源電圧が高く、三相交流電源500から直接には制御電源を生成できない場合には、上記の第2変形例又は、第3変形例の構成により制御電源を規定値以下とすることができる。
実施の形態7.
図27は、実施の形態7に係る電気品箱の組立て時の形態を示す簡易表示図である。図28は、実施の形態7に係る電気品箱における室外機への組込み時の形態を示す簡易表示図である。実施の形態7において、第一層本体11の構成、及び電気品箱本体内における電気電子部品の配置が、実施の形態1の場合と異なる。図27~28を参照しつつ、実施の形態7における電気品箱1について実施の形態1と異なる構成について説明する。
実施の形態7の電気品箱1は、第一層部10と、第二層部20と、回転支点30等とで構成されている。実施の形態7の電気品箱1は、実施の形態1の蓋部40を備えておらず、電気品箱本体は、略直方体の箱形状を有している。電気品箱本体は、奥行き方向(矢印Y方向)の前後において略対称な第一層本体11と第二層本体21とにより構成されている。すなわち、第一層本体11は、上下左右の四側面と背面とに配置された板金で構成され、第二層本体21は、上下左右の四側面と前面とに配置された板金で構成されている。以下、第二層本体21の開口した背面を第二開口面32といい、第一層本体11の開口した前面を第三開口面33という。実施の形態1の場合と同様に、電気品箱1の第一層部10と第二層部20とが閉じた状態で、第一層部10が室外機600の奥側に位置するように、サービス面を介して電気品箱1が室外機600に組込まれる。第一層部10が室外機600の筐体600aに固定される。
実施の形態7の電気品箱1は、電源端子台12と、ノイズフィルタ基板13と、第1インバータ基板14と、第2インバータ基板15と、第3インバータ基板16と、直流リアクトル17と、制御回路を搭載した制御基板22等とを有している。実施の形態7の電気品箱1は、実施の形態1の電源基板24を備えていない。また、実施の形態7において制御基板22は、実装面22aと、実装面22aの裏面の非実装面22bとを有しており、実装面22aに、上記の通信部23、表示部224、操作部225、第1コネクタ221及び第2コネクタ222が設けられている。
実施の形態7では、電気品箱1に含まれる複数の電気電子部品のうち重量物及び積極的な冷却が必要となる発熱部品は、第二層部20に内包されている。第二層本体21に、第1インバータ基板14と、第2インバータ基板15と、第3インバータ基板16と、直流リアクトル17とが設けられて第二層部20を構成している。以下、第二層部20の電気電子部品を第二層電気部品という場合がある。第二層部20において各電気電子部品は、第二層本体21の前面を構成する板金の内面に取り付けられている。第一層本体11に、電源端子台12、ノイズフィルタ基板13及び制御基板22が設けられて第一層部10を構成している。第一層部10において各電気電子部品は、第一層本体11の背面を構成する板金の内面に取り付けられている。制御基板22の実装面22aは、第三開口面33を向くように配置される。
実施の形態7において、冷却部材300は、第二層部20の前面を構成する板金の前側の面に取り付けられており、第二層部20に取り付けられている各電気電子部品を冷却する。また、実施の形態7においては、全ての基板が第一層本体11あるいは第二層本体21の板金に取り付けられているので、固定のために実施の形態1の補助支柱201を設ける必要がない。
第一層本体11及び第二層本体21のそれぞれには、配線を通すための複数の配線孔102が設けられている。また、各配線孔102にはゴムブッシュ56が設けられており、配線の移動、水侵入及び板金との接触を抑制している。配線孔102は、第一層本体11及び第二層本体21それぞれの下面及び回転支点30が設けられている側面に形成されている。第一層本体11内において、電源端子台12及びノイズフィルタ基板13は、制御基板22よりも回転支点30に近い左側の位置に配置されている。第二層本体21内において、第1インバータ基板14は回転支点30から一定の距離を有して配置されており、第1インバータ基板14と回転支点30との間の空間に、第二層部20の各基板と第一層部10とを接続する電線51等の配線が配置されている。第一層本体11と第二層本体21を跨る配線は、複数の配線孔102のうち回転支点30に近い板金に形成された配線孔102を介して一度外に出すようにして接続されている。このため、第二層部20の回転動作に対して、配線の移動が少なく、且つ回転支点30に近い板金にとの接触による劣化を回避することができる。
このような構成により、図27に示されるように、電気品箱1の製造時には、回転支点30により第一層本体11と第二層本体21とを左右に開いた状態で、電気品箱1が製造ラインに置かれる。したがって、電気品箱1の製造時には、第一層本体11及び第二層本体21への電気電子部品の取り付け作業、あるいは第一層本体11と第二層本体21に跨る配線の取り付け作業が、配線の接続先を確認しながら容易にできる。
また据付け時には、図28に示されるように、電気品箱1が閉じた状態で筐体600a内に設置された後、作業者は、第二層部20を開いて、制御基板22の前面に設けられている第1コネクタ221へ冷媒制御部品からの接続線54を接続する。ここで、制御基板22の第1コネクタ221は、筐体600aに固定されている第一層本体11に設けられているので、冷媒制御部品と接続されている接続線54を動かすことなく第二層部20が開閉可能である。
以上のように、実施の形態7において、電気品箱1は、電気品箱本体を二分割した第一層本体11及び第二層本体21を備える。また電気品箱1は、第一層本体11に取り付けられた電子基板(制御基板22)と、第二層本体21に取り付けられた第二層電気部品と、第一層本体11と第二層本体21とを接続する回転支点30とを備える。第一層本体11は、室外機600の筐体600aに固定されるものであり、第二層本体21は、回転支点30により第一層本体11に対して開閉可能である。電子基板(制御基板22)において第二層電気部品と対向する面には、冷媒制御部品と接続される第1コネクタ221が設けられている。
これにより、製造段階では第二層部20を開いて第一層部10と第二層部20とが一度に見える状態で両者間の配線接続ができる。また、室外機600への組付段階では第二層部20を開き、開いた状態で正面となる第一層部10に設けられている第1コネクタ221へ冷媒制御部品との接続線54をつなぐことができる。ここで、固定された第一層部10に制御基板22が設けられているので、冷媒制御部品との接続線54を動かすことなく第二層本体21の開閉作業をすることができる。よって、実施の形態7においても、実施の形態1の場合と同様に、階層構造を有する電気品箱においてサービス性と組立性を両立することができる。
なお、上記の電気品箱1が適用されるヒートポンプ装置の室外機は、図1の室外機600に限定されない。例えば、室外機600には、1つ又は3つ以上のファンが設けられていてもよい。また、室外機600は、ファンを筐体600aの側面に取り付けたサイドフロー型の室外機であってもよい。また冷媒回路は、上述した構成に限定されず、例えば、室外機600に四方弁等の流路切替装置を設け、暖房運転と冷房運転を切り替え可能なものであってもよい。また、電気品箱1についても、電気品箱本体の形状、第一層本体11及び第二層本体21の各形状は、室外機の構成によって適宜変更可能である。