JP7337176B2 - 帯電ロール - Google Patents

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Description

本発明は、電子写真式の画像形成装置に用いられる帯電ロールに関する。
電子写真式複写機等の画像形成装置における画質は、感光体の帯電状態の均一性に依存しており、帯電ロールの表面粗さが、帯電状態の均一性に影響する。従来、帯電ロールの表面粗さに言及した技術としては、特許文献1~3が知られている。
特許文献1には、導電性支持体と、導電性支持体上に積層された導電性弾性体層と、導電性弾性体層上に最外層として積層された導電性樹脂層とからなる帯電部材(帯電ロール)に関する技術が記載されている。導電性樹脂層はマトリックス材料と、樹脂粒子及び無機粒子からなる群より選択される少なくとも一種の粒子を含有し、粒子は第一の粒子を含有し、導電性樹脂層におけるマトリックス材料単独で形成される部分の層厚をA[μm]、粒子の平均粒子径をB1[μm]、及び粒子の粒子間距離をS[μm]としたとき、Aが10μm~7.0μmであり、B1/Aが5.0~30.0であり、Sが50μm~400μmである。
特許文献2には、正帯電単層型電子写真感光体と、感光体の表面を帯電するための接触帯電部材を有する帯電装置と、帯電された像担持体の表面を露光して、像担持体の表面に静電潜像を形成するための露光装置と、静電潜像をトナー像として現像するための現像装置と、トナー像を像担持体から被転写体へ転写するための転写装置とを備える画像形成装置に関する技術が記載されている。接触帯電部材は、ゴム硬度がAsker-C硬度で62°~81°である導電性のゴムからなる帯電ローラであり、接触帯電部材の帯電ローラのローラ表面粗度が、凹凸の平均間隔Sで55μm~130μmであり、かつ十点平均粗さRで9μm~19μmである。
特許文献3には、導電性支持体と、導電性支持体上にロール状に形成された半導電性弾性層と、半導電性弾性層の表面に形成された保護層とを具備する帯電ローラに関する技術が記載されている。保護層は、保護層への外部物質の付着を防止する機能を発現する微粒子を含有した保護層形成用塗工液を塗工することにより形成され、微粒子の体積平均粒径は保護層の表面粗さが1μm以下となるように微細化されている。
特許文献1~3によれば、帯電ロールの最表面の表面粗さを、表層に含有させた微粒子により調整することで、帯電ロールと感光体間の放電をできるだけ均一化して、画像品質を向上させようとする。
特開2015-121769号公報 特開2012-14141号公報 特開2005-91414号公報
画像形成装置に対して、高い画像品質の要求が高まっている。
本発明は、画像ムラを低減することが可能な帯電ロールを提供することを目的とする。
本発明のある態様に係る帯電ロールは、芯材と、前記芯材の周囲に配置されたゴム基材と、前記ゴム基材の周囲に配置された表層とを備える。前記表層の表面の凹凸の平均円柱面に対する前記表層の表面の複数の凸部の輪郭の高さの平均が2.0μm以上、8.4μm以下であり、前記表層の表面の前記複数の凸部の頂点の間隔の平均が6.7μm以上、39.8μm以下である。
この態様によれば、画像ムラを低減することができる。
本発明の実施形態に係る帯電ロールの用途を示す概略図である。 本発明の実施形態に係る帯電ロールの一例を示す断面図である。 帯電ロールの軸線を含む平面で切断したゴム基材と表層の断面図である。 帯電ロールの軸線に直交する平面で切断したゴム基材と表層の断面図である。 帯電ロールの円柱状の表層の表面を平面に投影したと想定したときの表面の概略斜視図である。 帯電ロールの表層の表面の一領域にある複数の凸部を示す概略図である。 図6に示す複数の凸部を領域内の複数の区画に均等に割り当てたと想定したときの仮想的概略図である。
以下、添付の図面を参照しながら本発明に係る様々な実施の形態を説明する。図面の縮尺は必ずしも正確ではなく、一部の特徴は誇張または省略されることもある。
図1に示すように、本発明の実施形態に係る画像形成装置は、感光体ドラム1と、感光体ドラム1の周囲に配置された帯電ロール2を有する。感光体ドラム1の周囲には、現像ユニット、露光ユニット、転写ユニット、クリーニングユニットが配置されるが、これらは周知であるので図示を省略する。
円柱状であり回転する感光体ドラム1と円柱状であり回転する帯電ロール2は、ニップ3で接触する。感光体ドラム1と帯電ロール2の回転方向におけるニップ3の手前の領域4(場合によっては、手前の領域4に加えてニップ3の後の領域5)において、感光体ドラム1と帯電ロール2の間で放電が起こり、感光体ドラム1の表面が帯電される。一般に、感光体ドラム1の表面の帯電状態は、感光体ドラム1の周方向および軸線方向にわたって一様であることが好ましいと考えられている。
図2に示すように、帯電ロール2の一例は、芯材21と、芯材21の外周面に形成されたゴム基材22と、ゴム基材22の外周面にコーティングされた表層23を有する。ゴム基材22の外周面にコーティング成分によって表層23を形成し、その表層23の表面粗さを適切にすることにより、感光体ドラム1と帯電ロール2の間の放電ムラが解消されて、感光体ドラム1に均一に放電することが可能となり、露光で形成された潜像に正確に対応する量のトナーを感光体ドラム1の表面に付着させることができる。
芯材21は、熱伝導性及び機械的強度に優れた金属または樹脂材料から形成することができる。芯材21の材料は、限定されないが、例えば、ステンレス鋼、ニッケル(Ni)、ニッケル合金、鉄(Fe)、磁性ステンレス、コバルト-ニッケル(Co-Ni)合金等の金属材料、またはPI(ポリイミド樹脂)等の樹脂材料から形成することができる。芯材21の構造については、特に制限はなく、中空であっても、中空でなくてもよい。
ゴム基材22は、導電性を有する導電性ゴムによって形成されている。ゴム基材22は、1層であってもよいし、2層以上であってもよい。芯材21とゴム基材22の間に、必要に応じて密着層や調整層等を設けてもよい。
ゴム基材22は、導電性ゴムに導電性付与材および架橋剤等を添加して得られたゴム組成物を、芯材21の周囲に、成形することによって形成できる。導電性ゴムには、ポリウレタンゴム(PUR)、エピクロルヒドリンゴム(ECO)、ニトリルゴム(NBR)、スチレンゴム(SBR)、クロロプレンゴム(CR)等が含まれる。
導電性付与材としては、カーボンブラック、金属粉等の電子導電性付与材、イオン導電付与材、またはこれらの混合物を用いることができる。イオン導電付与材としては、有機塩類、無機塩類、金属錯体、イオン性液体等が含まれる。有機塩類としては、三フッ化酢酸ナトリウム等が含まれ、無機塩類としては、過塩素酸リチウム、4級アンモニウム塩等が含まれる。また、金属錯体としては、ハロゲン化第二鉄-エチレングリコール等が含まれ、具体的には、特許第3655364号公報に記載されたものを使用することができる。イオン性液体は、室温で液体である溶融塩であり、常温溶融塩とも呼ばれるものであり、特に、融点が70℃以下、好ましくは30℃以下のものをいう。具体的には、特開2003-202722号公報に記載されたものを使用することができる。
架橋剤としては、特に限定されず、例えば、硫黄や過酸化物加硫剤等を使用することができる。
さらに、ゴム組成物には、必要に応じて架橋剤の働きを促進させる架橋助剤等を加えてもよい。架橋助剤としては、無機系の酸化亜鉛や酸化マグネシウム、有機系のステアリン酸やアミン類等が含まれる。また、架橋時間の短縮等の目的で、チアゾール系、またはその他の架橋促進剤を用いてもよい。ゴム組成物には、必要に応じて他の添加剤を加えてもよい。
帯電ロール2の製造において、芯材21の外周面に形成されたゴム基材22の表面を研磨機で研磨し、ゴム基材22を所定の厚さに合わせた後、研磨砥石による乾式研磨を行った後に、ゴム基材22の外周面に表層23を形成する。このように研磨を行うのは、ゴム基材22の表面粗さを適切に調整し、その外側の表層23の表面粗さを調整するためである。
ゴム基材22の表面粗さを極力小さくする場合、ゴム基材22の表面粗さ(JIS B 0601:1994に準拠する十点平均粗さ(ten point height of irregularities))Rは、8.5μm以下であることが好ましい。この場合、表面粗さRは、接触式の表面粗さ計により測定された値である。
乾式研磨は、例えば、ゴム基材22を回転させた状態で、回転砥石をゴム基材22に接触させながら芯材21の軸線方向に移動させることにより行う(トラバース研磨)。ゴム基材22の表面粗さを極力小さくする場合には、回転の際に、例えば、研磨機の砥石回転数を1000rpm、2000rpm、3000rpmのように順次上げてもよい。或いは、研磨砥石の種類を変更してもよく、例えば、GC(green carborundum)砥石番手をGC60、GC120、GC220のように順次上げて研磨してもよい。
また、ゴム基材22の表面を乾式研磨した後に、更に耐水研磨ペーパー等を用いて湿式研磨機で湿式研磨を施して研磨してもよい。湿式研磨は、耐水研磨ペーパー、例えば、耐水性のサンドペーパーを用い、これに研磨液を供給しながらゴム基材22を回転させた状態で接触させることにより研磨する。
デュロメータ(「JIS K 6253」および「ISO 7619」に準拠した「タイプA」)を用いて測定したゴム基材22の硬度は、50°~64°の範囲が好ましい。
ゴム基材22の外側の表層23は薄いため、帯電ロール2の表面の硬度は、ゴム基材22に影響される。ゴム基材22の硬度が50°未満であると、帯電ロール2の表面の凸部が潰れて、感光体ドラム1が汚れやすく、画像不良が発生する。一方、ゴム基材22の硬度が64°より大きいと、帯電ロール2の表面の凸部が画像に反映されるおそれがある。
表層23は、ゴム基材22の外周面に、コーティング液を塗布し、乾燥硬化させることにより、形成することができる。コーティング液を塗布する方法としては、ディップコート法、ロールコート法、スプレーコート法等を用いることができる。
図3および図4に示すように、硬化した表層23は、導電性マトリックス24と、導電性マトリックス24に分散された例えば絶縁性の表面粗さ付与材(粗さ付与材ともいう。)の粒子25を有する。
粗さ付与材の粒子25は、表層23に適切な表面粗さを与える。表層23の表面が平滑すぎると、表層23と感光体ドラム1の間の摩擦係数が増大し、感光体ドラム1と帯電ロール2のトルクが増加するだけでなく、摩擦に起因する静電気が電状態に悪影響を及ぼす。これは画像ムラの原因となると考えられる。本実施形態においては、表面粗さが調整されたゴム基材22の上に形成された表層23に粗さ付与材の粒子25が分散されていることにより、表層23の表面粗さが調整されている。
導電性マトリックス24は、粗さ付与材の粒子25を固定位置に保持する役割と、感光体ドラム1に対する放電を行う役割を果たす。導電性マトリックス24は、ベース材とベース材に分散された導電剤を有する。上記の通り、領域4(および場合により領域5)において、帯電ロール2と感光体ドラム1の間で放電が起こる。
図3に示す例では、粗さ付与材の粒子25は導電性マトリックス24内に完全に埋没し、粗さ付与材の粒子25は導電性マトリックス24の薄膜で被覆されている。導電性マトリックス24の厚さが小さい場合には、粗さ付与材の粒子25を保持する能力が低いため、粗さ付与材の粒子25の直径に対して、導電性マトリックス24は十分な厚さを有するのが好ましい。一方、導電性マトリックス24の厚さが大きすぎる場合には、表層23の表面粗さが小さくなりすぎて、表層23と感光体ドラム1の間の摩擦係数が増大してしまう。したがって、導電性マトリックス24の厚さは、適切な範囲内にあることが好ましい。
粗さ付与材の粒子25が絶縁体であって、導電性マトリックス24の厚さが大きく、導電性マトリックス24の電気抵抗が大きい場合には、放電が発生しにくくなりがちであるが、導電性マトリックス24に含まれる導電剤の割合を向上させることにより、導電性マトリックス24の電気抵抗を低減して、放電を発生させやすくすることができる。
表層23の粗さ付与材の粒子25の含有率は、適切な数値範囲内にあることが好ましいと考えられる。粒子含有量が多い場合、粒子同士が重なり合うため、表層23の表面が粗くなり、画像ムラの原因となると考えられる。
本実施形態において、表層23の材料であるコーティング液の成分は、ベース材、導電剤及び表面粗さ付与材の粒子25を少なくとも含有する。コーティング液の硬化後に、ベース材と導電剤は、導電性マトリックス24の成分となる。
コーティング液は、例えば、下記組成の成分を希釈溶剤に溶解させて得られる。
・ベース材:10重量部~80重量部。
・導電剤:1重量部~50重量部。
・表面粗さ付与材:コーティング液全量の70重量%以下。
表層23の表面状態が適切である場合に、帯電ロール2と感光体ドラム1が接触するニップ3の手前の領域4において、帯電ロール2と感光体ドラム1間の放電がほぼ均一化され、画像形成時に放電ムラが生じることなく、所望の濃度の画像が形成され、画像品質が向上すると考えられる。
表面粗さ付与材の粒子25の粒径および添加量を適切に調整することにより、表層23の表面状態を適切に調整することができると考えられる。
コーティング液に含まれるベース材は絶縁体である。ベース材として好適な絶縁体には、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、アクリルウレタン樹脂、アミノ樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、メラミン樹脂、ナイロン樹脂等が含まれる。これらの絶縁材は、単独でまたは任意の組み合わせで、ベース材として用いることができる。
コーティング液に含まれるのに好適な導電剤には、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、トーカブラック等のカーボンブラック、カーボンナノチューブ、過塩素リチウム等のイオン、ヘキサフルオロリン酸1-ブチル-3-メチルイミダゾリウム等のイオン性液体、酸化スズ等の金属酸化物、導電性ポリマーが含まれる。これらの導電剤は、単独でまたは任意の組み合わせで、コーティング液に用いることができる。
コーティング液に含まれるのに好適な表面粗さ付与材の粒子25としては、アクリル粒子、ウレタン粒子、ポリアミド樹脂粒子、シリコーン樹脂粒子、フッ素樹脂粒子、スチレン樹脂粒子、フェノール樹脂粒子、ポリエステル樹脂粒子、オレフィン樹脂粒子、エポキシ樹脂粒子、ナイロン樹脂粒子、カーボン、グラファイト、炭化バルン、シリカ、アルミナ、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、硫酸カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、タルク、カオリンクレー、珪藻土、ガラスビーズ、中空ガラス球等が含まれる。これらの粒子は、単独でまたは任意の組み合わせで、コーティング液に用いることができる。
画像品質を向上するために、コーティング液中の表面粗さ付与材の粒子25の粒径と粒子含有率との関係については、好ましい範囲があると考えられる。
コーティング液に含まれる希釈溶剤としては、特に限定されないが、水系の溶剤、または、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン(MIBK)、メタノール、エタノール、ブタノール、2-プロパノール(IPA)、アセトン、トルエン、キシレン、ヘキサン、ヘプタン、クロロホルム等の溶剤等が含まれる。
発明者は、帯電ロール2と感光体ドラム1間の放電状態を制御する表層23の表面状態を表すパラメータとして、表層23の凸部の高さHと、表層23の凸部の間隔Dに注目する(図3および図4参照)。ここで「凸部」とは、表層23の表面の凹凸を平均して得られる平均円柱面Pよりも径方向外側に突出した部分である。これに対して、平均円柱面Pよりも径方向内側にある部分を以下「凹部」と呼ぶ。図3および図4では、理解の容易のため、凸部の高さとして凸部の頂点の高さHを示す。
ニップ3の手前の領域4において、表層23のうち感光体ドラム1に最も近い凸部で感光体ドラム1に対する放電が主に発生すると想定する。この場合、領域4での感光体ドラム1と帯電ロール2の間の放電距離は、凸部の高さHに支配される。また、領域4での放電は、帯電ロール2の表面に対する接平面において、局部的な箇所(凸部に対応する)で発生すると考えられ、局部的な放電箇所同士の間隔は、凸部の間隔Dに等しい。
発明者は、画像ムラを低減するのに適した、帯電ロール2の表層23の表面の凸部の輪郭の高さの平均と凸部の頂点の間隔の平均を調べる実験を行った。
実験1
実験1では、実施形態に係る帯電ロール2としてサンプル1~4を製造した。
サンプル1~4のゴム基材22は、下記のように形成した。
エピクロルヒドリンゴム(エピクロマーCG-102;株式会社大阪ソーダ(日本国大阪府)製)100重量部に、導電性付与材としてトリフルオロ酢酸ナトリウム0.5重量部、亜鉛華3重量部、ステアリン酸2重量部、架橋剤1.5重量部を添加したゴム組成物をロールミキサーで混練りした。
混練りしたゴム組成物をシート状の生地にして、直径6mmの芯材21の表面に巻いて、プレス成形し、架橋したエピクロルヒドリンゴムからなるゴム基材22を得た。
デュロメータ(「JIS K 6253」および「ISO 7619」に準拠した「タイプA」)を用いて、得られたゴム基材22の硬度を測定した結果、測定値は、50°~64°であった。
次に、ゴム基材22の表面を研磨機で研磨した。具体的には、ゴム基材22の表面を研磨機で研磨して、ゴム基材22を所定の厚さ(1.25mm)に合わせた後、研磨機の砥石回転数を1000rpm、2000rpm、3000rpmのように順次上げて乾式研磨で研磨した。すなわち、実験1では、ゴム基材22の表面粗さを極力小さくした。
上記のゴム基材22の外周面に表層23を形成するためのコーティング液を作製した。コーティング液の組成は、表1に示す通りである。
Figure 0007337176000001
コーティング液中のウレタン粒子としては、根上工業株式会社(日本国石川県)製のウレタンビーズを用いた。実験1,2で使用したウレタンビーズの平均粒径と製品名との関係は以下の通りである。但し、実際には、一つの製品は、平均粒径と異なる粒径の粒子を含む。
6μm:ウレタンビーズ「C-800」
10μm:ウレタンビーズ「C-600」
15μm:ウレタンビーズ「C-400」
22μm:ウレタンビーズ「C-300」
32μm:ウレタンビーズ「C-200」
実験1では、異なる粒径と異なる量の表面粗さ付与材の粒子25を含むコーティング液の塗布によって、表層23の表面状態が異なるサンプル1~4を製造した。
上記組成のコーティング液を、ボールミルで3時間分散混合した。
研磨したゴム基材22の外周面に、上記コーティング液を塗布して表層23を形成し、帯電ロール2を作製した。具体的には、コーティング液を撹拌し、その液をゴム基材22の表面にスプレーコートして、電気炉にて120℃で60分間乾燥し、ゴム基材22の外周面に表層23を形成し、帯電ロールのサンプル1~4を作製した。
これらのサンプル1~4について、下記の手順で、表層23の表面の凸部の輪郭の高さの平均と凸部の頂点の間隔の平均を計算した。
まず、帯電ロール2の軸線方向の中央部の1カ所の表面を非接触式のレーザー顕微鏡を用いて撮影した。使用したレーザー顕微鏡は、株式会社キーエンス(日本国大阪府)製の「VK-X200」であった。倍率は400倍であり、使用した対物レンズの倍率は20倍であって、撮影された視野は、帯電ロール2の周方向に535.048μmの長さを有し、帯電ロール2の軸線方向に713.397μmの長さを有し、視野の面積は381701.6μmであった。
次に、株式会社キーエンス製のマルチファイル解析アプリケーション「VK-H1XM」のVersion1.3.0.116で、撮影で得られた幾何学データの2次曲面補正を行った。2次曲面補正は、撮影で得られた幾何学データから、帯電ロール2の円柱状の表面の円柱面に相当するデータ成分を除去する処理である。換言すれば、撮影で得られた円柱表面の幾何学データを、図5に示すように平面に対する幾何学データに変換する処理である。
次に、そのアプリケーションの機能である「体積面積計測」を利用して、撮影された視野において、表面の凹凸の(表面の輪郭の)平均高さを計算した。計算では、「体積面積計測」の機能での「微小領域を無視」を選択し、さらに微小領域として「100 pixel」を選択した。つまり、レーザー顕微鏡で撮影された画像において、100ピクセルのピッチで表面の凹凸を含む輪郭の高さが取得され、表面の輪郭の平均高さが計算された。「体積面積計測」の機能での「高さしきい値の設定」では「最小値」を選択した。
図5において平均高さに相当する平均平面P1を示す。平均平面P1は、上記の平均円柱面Pを平面に投影したと想定したときの平面である。
次に、そのアプリケーションの機能である「体積面積計測」を利用して、計算された表面の凹凸の平均高さをゼロ水準として、凸部10の輪郭の高さの平均を計算した。具体的には、「体積面積計測」の機能での「高さしきい値の設定」において、計算された表面の凹凸の平均高さを「高さしきい値」として入力した。これにより、平均高さ以上の高さを有する部分(平均平面P1より高い部分)が図5に示す凸部10として認識され、これらの凸部10の輪郭の高さの平均が計算された。つまり、平均高さ未満の高さを有する部分である凹部12は無視された。計算では、「体積面積計測」の機能での「微小領域を無視」を選択し、さらに微小領域として「100 pixel」を選択した。つまり、レーザー顕微鏡で撮影された画像において、100ピクセルのピッチで表面の凸部10の輪郭の高さが取得され、凸部10の輪郭の高さの平均が計算された。
さらに、そのアプリケーションの機能である「体積面積計測」を利用して、撮影された視野において、すべての凸部10の体積(合計体積)を計算した。「微小領域を無視」は上記と同様であり、「高さしきい値の設定」において、凹凸の平均高さを「高さしきい値」として使用したままであった。
次に計算された凸部10の合計体積を凸部10の輪郭の高さの平均で除算した。この結果をすべての凸部10の面積(合計面積)とみなした。つまり、平均平面P1より高い部分の合計面積を得た。
こうして得られた凸部10の合計面積を、平均粒径を有する粗さ付与材の粒子25の最大断面積で除算することによって、凸部10の合計面積あたりの粗さ付与材の粒子25の個数を計算した。平均粒径を有する粗さ付与材の粒子25の最大断面積は、平均粒径の半分の2乗にπを乗算することにより計算された。さらに撮影された視野の面積(撮影面積)を、凸部10の合計面積あたりの粗さ付与材の粒子25の個数で除算することによって、視野内に凸部10を均等に分配したと仮定した場合の各凸部10が分配された区画の面積を計算した。さらにこの区画の面積の平方根を凸部10の頂点の間隔の平均として計算した。
図6に示すように、撮影された視野においては、凸部10はランダムに分散されており、中には複数の凸部10が重畳していることもある。撮影面積を、凸部10の合計面積あたりの粗さ付与材の粒子25の個数で除算することによって、図7に示すように、視野内に凸部10を均等に分配したと仮定した場合の各凸部10が分配された正方形の区画Aの面積が計算される。正方形の区画Aの平方根は、正方形の区画Aの一辺の長さであり、かつ均等に分散された凸部10の頂点の間隔である。
このようにして計算された各サンプルの表層23の表面の凸部10の輪郭の高さの平均と凸部10の頂点の間隔の平均を表2に示す。計算された表層23の表面の凸部10の輪郭の高さの平均は、表層23の表面の凹凸の平均円柱面Pに対する複数の凸部10の輪郭の高さの平均であると考えられる。計算された表層23の表面の凸部10の頂点の間隔の平均は、表層23の表面の複数の凸部10の頂点の間隔の平均であると考えられる。
Figure 0007337176000002
複写機を用いて帯電ロール2の各サンプルの画像評価試験を行った。複写機は、コニカミノルタ株式会社(日本国東京都)製のカラー複合機(MFP)「bizhub C3850」(直流電圧印加式)であった。
テスターにより、帯電印加電圧を計測した。実験1では、通常電圧(REF)より100V下げた電圧(REF-100V)を、外部電源を用いて印加した。
帯電ロールを複写機に適用し、下記印刷条件で印刷した画像(ハーフトーン画像および白ベタ画像)について、画像ムラを評価した。結果を表2に示す。
[印刷条件]
速度 :38枚/分
印刷環境:温度23℃、湿度55%
画像ムラの評価は、ハーフトーン画像について局所放電の判定を行い、白ベタ画像について明度判定を行った。
局所放電があったことは、ハーフトーン画像において、白点、黒点、白スジ、黒スジの発生を目視で発見することで確認することができた。表2において、「良」は局所放電に起因する画像ムラがなかったことを表し、「不良」は局所放電に起因する画像ムラがあったことを表す。
明度判定においては、白ベタ画像について、色彩色差計(chroma meter、コニカミノルタ株式会社製「CR-400」)を用いて、画像内7箇所についてL*値(L* value、明度)を測定した。明度の判定は以下の評価基準で評価した。明度を測定する理由は、地汚れ、すなわちカブリ(印刷されるべきでない箇所に印刷されること)の有無を判断するためである。
[明度判定の評価基準]
良:地汚れなし(L*95.5以上)
不良:地汚れあり(L*95.5より低い)
局所放電に起因する画像ムラまたは地汚れが発生したサンプルについては、画像総合判定で良と判定し、表2にこれらを記載した。
実験2
実験2では、実施形態に係る帯電ロール2としてサンプル5~23を製造した。
サンプル5~23のゴム基材22は、実験1のゴム機材22と同じ手法で形成した。
上記ゴム基材22の表面を研磨機で研磨した。具体的には、得られたゴム基材22の表面を研磨機で研磨して、ゴム基材22を所定の厚さ(2mm)に合わせた後、さらに乾式研磨で研磨した。実験2では、砥石回転数を変化させなかった。
上記のゴム基材22の外周面に表層23を形成するためのコーティング液を作製した。コーティング液の組成は、表1に示す通りである。コーティング液中のウレタン粒子としては、根上工業株式会社製のウレタンビーズを用いた。
実験2では、表2に示す粒径と量の表面粗さ付与材の粒子25を含むコーティング液の塗布によって、表層23の表面状態が異なるサンプル5~23を製造した。
上記組成のコーティング液を、ボールミルで3時間分散混合した。
実験1と同じ手法で、研磨したゴム基材22の外周面に、上記コーティング液を塗布して表層23を形成し、帯電ロール2を作製した。
これらのサンプル5~23について、実験1と同じ手順で、表層23の表面の凸部の輪郭の高さの平均と凸部の頂点の間隔の平均を計算した。計算された各サンプルの表層23の表面の凸部の輪郭の高さの平均と凸部の頂点の間隔の平均を表2に示す。計算された表層23の表面の凸部10の輪郭の高さの平均は、表層23の表面の凹凸の平均円柱面Pに対する複数の凸部10の輪郭の高さの平均であると考えられる。計算された表層23の表面の凸部10の頂点の間隔の平均は、表層23の表面の複数の凸部10の頂点の間隔の平均であると考えられる。
実験1と異なる複写機を用いて帯電ロール2の各サンプルの画像評価試験を行った。複写機は、株式会社リコー(日本国東京都)製のカラー複合機(MFP)「MP C5503」(交流直流電圧重畳印加式)であった。
直流電圧は通常電圧(REF)であり、交流電圧Vppは、複写機の制御に依存した。実験2では、複写機の通常交流電流(REF)よりも低い交流電流(1.40mA)に設定した。
帯電ロールを複写機に適用し、下記印刷条件で印刷した画像(ハーフトーン画像および白ベタ画像)について、画像ムラを評価した。結果を表2に示す。
[印刷条件]
速度 :30枚/分
印刷環境:温度23℃、湿度55%
画像ムラの評価は、ハーフトーン画像について局所放電の判定を行い、白ベタ画像について、目視によって、地汚れ、すなわちカブリの判定を行った。
局所放電があったことは、ハーフトーン画像において、白点、黒点、白スジ、黒スジの発生を目視で発見することで確認することができた。表2において、「良」は局所放電に起因する画像ムラがなかったことを表し、「不良」は局所放電に起因する画像ムラがあったことを表す。
白ベタ画像について、目視によって、地汚れ、すなわちカブリ(印刷されるべきでない箇所に印刷されること)の有無を判定した。表2において、「良」は地汚れがなかったことを表し、「不良」は地汚れがあったことを表す。
表2から明らかな通り、表層23の表面の凹凸の平均円柱面Pに対する複数の凸部10の輪郭の高さの平均が2.0μm以上、8.4μm以下であって、表層23の表面の複数の凸部10の頂点の間隔の平均が6.7μm以上、39.8μm以下であることが好ましい。
1 感光体ドラム
2 帯電ロール
3 ニップ
10 凸部
12 凹部
21 芯材
22 ゴム基材
23 表層
24 導電性マトリックス
25 粗さ付与材の粒子
P 平均円柱面
P1 平均平面

Claims (3)

  1. 芯材と、前記芯材の周囲に配置されたゴム基材と、前記ゴム基材の周囲に配置された表層とを備え、
    前記表層の表面の凹凸の平均円柱面に対する前記表層の表面の複数の凸部の輪郭の高さの平均が2.0μm以上、8.4μm以下であり、
    前記表層の表面の前記複数の凸部の頂点の間隔の平均が6.7μm以上、39.8μm以下であり、前記表層の表面の前記複数の凸部の頂点の間隔の平均は、撮影された視野内に凸部を均等に分配したと仮定した場合の各凸部が分配された区画の面積の平方根として計算された
    ことを特徴とする帯電ロール。
  2. 前記表層は、ウレタン樹脂から形成されたベース材と前記ベース材に分散された導電材を含む導電性マトリックスと、前記導電性マトリックスに分散されたウレタン製の表面粗さ付与材の粒子を有する
    ことを特徴とする請求項1に記載の帯電ロール。
  3. 前記表面粗さ付与材の粒子は、6μmから32μmの平均粒径を有する
    ことを特徴とする請求項2に記載の帯電ロール。
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