JP7336134B2 - 遠隔気流観測装置、遠隔気流観測方法及びプログラム - Google Patents

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Description

本発明は、例えば航空機が着陸進入中に使用する遠隔気流観測装置、遠隔気流観測方法及びプログラムに関する。本発明は、例えば地上からの観測時における厚い雲、鳥・飛行機などの飛翔物に対しても適用可能な遠隔気流観測装置、遠隔気流観測方法及びプログラムに関する。
航空機事故の主要因として近年乱気流が注目されており、航空機に搭載して乱気流を事前に検出する遠隔気流計測装置として、レーザー光を利用したドップラーライダーなどの遠隔気流観測装置に関する技術が研究開発されている(例えば、非特許文献1を参照。)。
ドップラーライダーは大気中の塵(エアロゾル)に対しレーザーを照射し、その散乱光のドップラーシフト成分を抽出する。これにより、各距離の対象の速度を検出することができる。
ドップラーライダーを航空機の乱気流事故防止用として使用するには、例えば特許文献1に示すように飛行方向前方の乱気流情報をパイロットに伝達し、パイロットが回避飛行やシートベルトサイン点灯などにより対処する方法があり、特に低高度ではドップラーライダーから送信されるレーザー光を散乱するエアロゾル粒子の濃度が高いため、着陸進入中の乱気流、ウインドシア、突風(以下、乱気流等という)は遠方から検出できる可能性が高い。
上記に加えて、着陸進入中は航空機の飛行速度が低いという点と、管制官の許可なくパイロットが独自に着陸復行の判断ができるという点で、高高度巡航中と比較すると、現状の技術であってもドップラーライダーの有用性が高い。
本発明者らは、前記ドップラーライダーの性能を向上させる手法として特許文献2に提唱し、不要なノイズを低減する手法として特許文献3に提唱し、気流ベクトルを精度良く求める手法として特許文献4に提唱し、誤検出を除去する手法として特許文献5に提唱した。
特許第5618313号 特許第5252696号 特許第5881099号 特願2015-195895 特願2017-234165
H.Inokuchi, H.Tanaka, and T.Ando, "Development of an Onboard Doppler LIDAR for Flight Safety," Journal of Aircraft,Vo1.46, No.4, PP.1411-1415, AIAA, July-August, 2009.
これまでのドップラーライダーでは、例えば着陸進入中の地面からの反射による誤検出については考慮していなかった。図28は航空機に搭載されるドップラーライダーの着陸進入時のS/Nの変化例をあらわしている。約11km先の大きな信号が地面からの反射信号であり、約10km地点の信号に対し、約25dB倍程度大きい信号が得られていることがわかる。
本発明者らは、受信光としての大気中のエアロゾル粒子による散乱光が地面や何らかの物体から影響を受け、ドップラーライダーによる気流観測の信頼性を低下させる、という新たな知見を得た。例えば、着陸進入中にドップラーライダーを利用した場合、飛行方向前方には滑走路が存在する。したがって、ドップラーライダーは、飛行方向前方の大気中のエアロゾル粒子と地面からの散乱光を同時に受信することになる。エアロゾル粒子は非常に軽いため気流とともに運動するのに対して、地面は静止している。定常的な気流は何の危険性もなく、重要なのは気流の変化であるが、ドップラーライダーは、危険性のない定常風と静止した地面との速度差から、大きな気流変化があると誤認することがあった。地面反射の強度は、空気中のエアロゾル粒子による反射よりもはるかに高いため、もし機体が安定していてレーザー光が同一方向を照射するならば、特許文献1に示すように遠方で受信強度が急増する部分の計測値を無視するアルゴリズムを採用すればよいわけであるが、航空機は経路角-3度程度の浅い角度で滑走路に進入し、しかも気流が乱れていると航空機の姿勢角が激しく変化するため、レーザー光が地面を照射するレンジが大きく変化する。このとき、受信光をパルス積分して風速を求めているために、複数のレンジビンの中で、大気中のエアロゾル粒子からの散乱光と地面からの散乱光とが混在することになる。したがって、受信光のパルス積分後では、気流データと地面反射による不要データとの判別が困難であることが実証試験により判明した。
以上の事情に鑑み、本発明の目的は、地面や何らかの物体からの散乱波の影響を除去し、気流観測の信頼性を向上させることができる遠隔気流観測装置、遠隔気流観測方法及びプログラムを提供することにある。
本発明に係る遠隔気流観測装置は、パルス状のレーザー光からなる送信光を放射し、前記放射した送信光の反射光を受信光として受信し、前記送信光及び前記受信光に基づき風速値を算出するための受信信号を出力する計測部と、前記受信信号を時分割することにより前記受信信号をレンジビンに振り分けると共に、前記受信信号から、ハードターゲットに由来する信号を除去するための処理を行う信号処理器とを具備する。
本発明に係る遠隔気流観測装置では、前記信号処理器は、前記放射した送信光が前記ハードターゲットに反射した場合に前記受信光の強度が増加する現象又は前記受信信号の周波数変動が極小となる現象に基づき、前記受信信号から、前記ハードターゲットに由来する信号が含まれたレンジビンを検出し、各前記レンジビンの前記受信信号に応じたデジタル信号のスペクトルを積分する際に、前記ハードターゲットに由来する信号を含んでいると判定されたレンジビン及び前記レンジビン以遠のレンジビンを前記スペクトルの積分から除外する。
本発明では、地面などのハードターゲット照射時に発生する固有の特徴である、強度値の急峻な上昇や取得スペクトル幅の狭小化の空間変化情報を基に、各パルス、各距離に相当するデータに対しハードターゲットの検出し、検出結果をハードターゲットに由来する信号を除去するため用いることで、地面や何らかの物体からの散乱波の影響を除去し、気流観測の信頼性を向上させることができる。また、本発明では、地面などからの受信信号、さらに地面以降の雑音しかない信号の積算による精度劣化を回避し、精度・データ信頼性の向上を図ることができる。
本発明に係る遠隔気流観測装置では、前記信号処理器は、各前記レンジビンの前記受信信号の平均と標準偏差の和を指標と定義し、前記レーザー光1パルスごとに得られる前記受信信号に対し遠方の前記レンジビンから前記指標が所定の閾値を超えるか否かの判定を行い、前記指標が前記所定の閾値以上となった最初の前記レンジビンの受信信号は前記ハードターゲットに由来する信号を含んでいると判定する。
本発明に係る遠隔気流観測装置では、前記レーザー光1パルスごとの受信信号のSN比において、近距離からn番目のレンジビンの受信信号のSN比が遠方に隣接するn-1番目のレンジビンの受信信号のSN比の所定の閾値を超えたとき、前記n番目のレンジビンの受信信号は前記ハードターゲットに由来する信号を含んでいると判定する。ここで、前記所定の閾値とは、例えば、
THratio=(RHT/π)/β
HT:ハードターゲットの反射率、
β:後方散乱係数
で示されるTHratioである。
本発明に係る遠隔気流観測装置では、前記信号処理器は、前記レーザー光1パルスごとの受信信号の時間波形において、所定時間幅の検出用のウィンドウを時間軸方向に近傍側より走査し、前記ウィンドウ内の前記受信信号に係る所定の指標が所定の閾値よりも大きくなったときに、当該ウィンドウが含まれる前記レンジビンの受信信号は前記ハードターゲットに由来する信号を含んでいると判定する。
本発明に係る遠隔気流観測装置では、前記指標は、前記ウィンドウ内の前記受信信号の時間波形に対しヒルベルト変換を行って位相値を導出後、アンラップ処理を施した位相値変動波形に対し最小二乗近似による一次直線関数との残差のRMS(Root Mean Square)である。
本発明に係る遠隔気流観測装置では、前記信号処理器は、最初に前記ウィンドウ内の前記受信信号に係る所定の指標が前記所定の閾値よりも大きくなった時点の前記受信信号の強度を、前記最初以降の前記時点の受信信号の強度として埋め込み、前記受信信号の強度を用いて前記時点に対応する前記レンジビンを積算処理に用い、それより後ろの前記レンジビンを積算から除外する。
本発明に係る遠隔気流観測装置では、前記信号処理器は、前記レーザー光1パルスごとに各前記レンジビンの前記受信信号に応じたデジタル信号のスペクトルを算出し、前記レーザー光1パルスごとの各前記レンジビンのスペクトルの線幅が所定の閾値以下の場合に、当該レンジビンは前記ハードターゲットに由来する信号を含んでいると判定する。
本発明に係る遠隔気流観測装置では、前記信号処理器は、当該遠隔気流観測装置が搭載される航空機の地上高度を含む情報に基づき前記送信光が前記ハードターゲットである地面にあたるレンジビンを算出し、各前記レンジビンの前記受信信号に応じたデジタル信号のスペクトルを積分する際に、前記地面に由来する信号を含んでいると判定されたレンジビン及び前記レンジビン以遠のレンジビンの前記スペクトルの積分を除外する。
本発明に係る遠隔気流観測装置では、前記計測部は、前記航空機の真なる進行方向の情報を取得し、現在の姿勢と前記送信光との相対角度差を補正する可動式の光学ミラー又はプリズムを有する。これにより、地面等の照射の影響を除去し、かつ、パルス間で同領域の風速測定を可能とする。
本発明に係る遠隔気流観測装置では、前記信号処理器は、前記レーザー光1パルスごとの前記レンジビンごとに、前記レンジビンの受信信号から算出される風速値の絶対値が所定の閾値以下であるかを判定し、所定の閾値以下の場合には、当該レンジビンの受信信号は前記ハードターゲットに由来する信号を含んでいると判定する。
本発明に係る遠隔気流観測装置では、前記信号処理器は、前記レーザー光1パルスごとに、当該遠隔気流観測装置が搭載される航空機の速度値をフィードバックして前記速度値を中心としたバンドパスフィルタを形成し、前記レンジビンに分割する前の前記受信信号に対し前記バンドパスフィルタによるフィルタ処理を行う。これにより、ハードターゲットからの強い反射信号を抑圧することができ、A/D変換器の飽和を抑圧できる効果を有する。
本発明に係る遠隔気流観測装置では、前記信号処理器は、前記ハードターゲットに由来する信号を含んでいると判定されたレンジビンのスペクトルの第一ピークと前記第一ピークの前後の所定の周波数領域の信号値を0にした後の前記受信信号のスペクトルに基づき前記風速値を算出する。これにより、地上等からの反射光を削除すると共に大気エコーが含まれるスペクトル信号を積算することが可能となり、フレームレートを落とすことなく、観測が可能となる。
本発明に係る遠隔気流観測方法は、パルス状のレーザー光からなる送信光を放射し、前記放射した送信光の反射光を受信光として受信し、前記送信光及び前記受信光に基づき風速値を算出するための受信信号を出力し、前記受信信号を時分割することにより前記受信信号をレンジビンに振り分け、前記受信信号から、ハードターゲットに由来する信号を除去する。
本発明に係るプログラムは、パルス状のレーザー光からなる送信光を放射し、前記放射した送信光の反射光を受信光として受信し、前記送信光及び前記受信光に基づき風速値を算出するための受信信号を出力する計測部を具備する遠隔気流観測装置に用いられるプログラムであって、前記受信信号を時分割することにより前記受信信号をレンジビンに振り分けるステップと、前記受信信号から、ハードターゲットに由来する信号を除去するステップとをコンピュータに実行させる。
本発明によれば、地面や何らかの物体からの散乱波の影響を除去し、気流観測の信頼性を向上させることができる。
本発明の第1の実施形態に係るドップラーライダーの構成を示すブロック図である。 ドップラーライダーによる測定原理を説明するための図であり、ドップラーライダーがエアロゾルに送信光を放射して反射光である受信光を受光する様子を示した図である。 ドップラーライダーによる測定原理の説明するための図であり、送信光及び受信光の時間軸上の信号強度を示したグラフである。 ドップラーライダーにおいてN回積分によるSN比の改善を説明するための図であり、受信信号の周波数と信号強度との関係を示したグラフである。 本発明の第1の実施形態に係る信号処理器の構成を示すブロック図である。 本発明の第1の実施形態に係る信号処理器の動作を示すフローチャートである。 本発明の第1の実施形態に係る信号処理器において遮光時に得られる受信信号と検出例の模擬図である。 本発明の第1の実施形態に係る信号処理器において観測時に得られる受信信号と検出例の模擬図である。 本発明の第2の実施形態に係る信号処理器の動作を示すフローチャートである。 本発明の第2の実施形態に係る信号処理器において観測時に得られる受信信号と検出例の模擬図である。 本発明の第3の実施形態に係る信号処理器の動作を示すフローチャートである。 本発明の第3の実施形態に係る信号処理器において観測時に得られる受信信号と検出例の模擬図である。 本発明の第3の実施形態に係る信号処理器において地面の反射信号がレンジビンをまたいだ場合の検出例の模擬図である。 本発明の第3の実施形態の変形例に係る信号処理器の動作を示すフローチャートである。 本発明の第3の実施形態の変形例に係る信号処理器において観測時に得られる受信信号と検出例の模擬図である。 本発明の第3の実施形態の変形例に係る信号処理器において観測時に得られる大気、地面の受信信号と検出例の模擬図である。 本発明の第4の実施形態に係る信号処理器の動作を示すフローチャートである。 本発明の第4の実施形態に係る信号処理器において観測時に得られる受信信号と検出例の模擬図である。 本発明の第4の実施形態に係る信号処理器において地面の反射信号がレンジビンをまたいだ場合の検出例の模擬図と本発明に第3の実施形態に係る検出例との比較を示す図である。 本発明の第5の実施形態に係る信号処理器の動作を示すフローチャートである。 本発明の第6の実施形態に係る信号処理器の動作を示すフローチャートである。 本発明の第6の実施形態に係る信号処理器に用いる数式記号の説明図である。 本発明の第6の実施形態の変形例に係るドップラーライダーの構成を示すブロックである。 本発明の第6の実施形態の変形例に係る信号検出器に用いる数式記号の説明図である。 本発明の第7の実施形態に係る信号処理器の動作を示すフローチャートである。 本発明の第7の実施形態に係る信号処理器のフィルタ特性を説明する図である。 本発明の第8の実施形態に係る信号処理器の処理内容を示す模擬図である。 航空機に搭載されるドップラーライダーの着陸進入時のS/Nの変化の計測結果を示すグラフである。
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。
<第1の実施形態>
図1は、本発明の第1の実施形態に係るドップラーライダーの構成を示すブロック図である。
図1に示すように、ドップラーライダー100は、計測部110と、信号処理器8と、航空機情報取得装置9と、表示器10とを有する。
計測部110は、図2に示すように、パルス状のレーザー光からなる送信光を大気に放射し、放射したレーザー光のエアロゾル(風により移動)からの反射光である散乱光を受信光として受信し、受信光を用いて風速値を算出するための受信信号を出力する。
信号処理器8は、図3に示すように、受信信号の時間軸波形に対し、時間ゲートを設け、そのゲート内でのスペクトル演算を行うことで風速値を算出する。当該ゲートをレンジビンと呼ぶ。エアロゾルからの散乱光は非常に小さく、当該反射率は10-6オーダーのため、図4に示すように、上記スペクトルを複数回インコヒーレント積算することによってSNR(Signal to Noise Ratio)を向上させ、検出を行うことができる。なお、ライダーに関する技術は、インコヒーレント積分する点で、コヒーレント積分するレーダーに関する技術と明らかに区別される。
図1に示した計測部110は、光発振器1と、光カプラ2と、光変調器3と、光サーキュレータ4と、光学系5と、光カプラ6と、光受信器7とを有する。
光発振器1はレーザー光を発振する光発振器であり、光カプラ2に接続され、発振したレーザー光を光カプラ2に出力する。例えば、光発振器1には半導体レーザー、固体レーザーなどが用いられる。
光カプラ2は光発振器1により発振されたレーザー光を送信光とローカル光に分配して、その送信光を光変調器3に出力するとともに、そのローカル光を光受信器7に出力する。 ローカル光とは、光カプラ2を介して光受信器7につながる経路を通る光を表し、送信光とは、光カプラ2から光変調器3を介して光学系5につながる経路を通る光を表す。光カプラ2は、光発振器1、光変調器3及び光カプラ6に接続され、ローカル光を光カプラ6に出力し、送信光を光変調器3に出力する。例えば、光カプラ2には、溶融ファイバカプラ、誘電体多層膜フィルタを用いたフィルタ型カプラなどが用いられる。
光変調器3は光カプラ2が出力した送信光の周波数をシフトさせる変調器である。送信光に対し位相変調または周波数変調を行うと共に、パルス化を行う。光変調器3は、光カプラ2および光サーキュレータ4に接続される。光変調器3は、例えばAOM(Acousto-Optic Modulator)などの光学変調器で構成されており、光カプラ2から出力された送信光をパルス変調することで、パルスを出力する。
光サーキュレータ4は光変調器3から出力されたパルスを光学系5に出力する一方、光学系5により受信されたパルスの反射光である受信光を光カプラ6に出力する。例えば、光サーキュレータ4には、波長板とビームスプリッタを用いて構成されるサーキュレータなどで、空間伝搬型、ファイバ結合型のものが用いられる。
光学系5は光サーキュレータ4から出力されたパルスを大気に放射した後、観測対象であるエアロゾルに反射されて戻ってきたパルスの反射光を受信する。光学系5は、光サーキュレータ4、信号処理器8に接続される。光学系5は光を遮光するシャッター機構(図示を省略)を有し、信号処理器8は光学系5のレンズに対しシャッターを切るための電気信号を送信する。例えば、光学系5には光学望遠鏡、カメラレンズが用いられ、また、シャッターにはメカニカルシャッターやエレクトロニックシャッターが用いられる。ここでは光学系に対するシャッター機能と示したが、センサ前面に光を遮光する機構がある構成としてもよい。
光カプラ6は、光カプラ2から出力されたローカル光と光サーキュレータ4から出力された受信光を合波し、光信号を光受信器7に出力する。例えば、光カプラ6には、溶融ファイバカプラ、誘電体多層膜フィルタを用いたフィルタ型カプラなどが用いられる。
光受信器7は光カプラ2から出力されたローカル光と光サーキュレータ4から出力された受信光をカプラにて合波し、そのローカル光の周波数と受信光の周波数とを足し合わせた周波数を有する合波光を電気信号に変換する。当該電気信号変換には例えばバランスドレシーバにより構成され、上記カプラから出力された合波光を電気信号に変換し、その電気信号を信号処理器8に出力する。
信号処理器8は航空機情報取得装置9より入力された航空機速度に相当する電気信号と光受信器7から出力された受信電気信号を解析することで、エアロゾルの移動速度である風速を算出する。
図5は第1の実施形態に係るドップラーライダー100の信号処理器8の構成を示すブロック図である。
図5に示すように、信号処理器8は、A/D変換器101と、地面検出器102及びスペクトル積算処理器103と、風速算出処理器104とを有する。
A/D変換器101は光受信器7から出力された受信電気信号をデジタル信号に変換するアナログ・デジタル変換器である。A/D変換器101はデジタル変換された信号を地面検出器102に出力する。
地面検出器102は、得られたデジタル信号の時系列データを時分割し、レンジビンごとのデータに分けた後、それぞれに対しFFT処理を施すことによってスペクトルを得、最遠方のレンジビンより所定の閾値以上となるレンジビンを捜索し、レンジビンごとに積分対象か、除外するかを判定する「積分フラグ」に相当する電気信号をスペクトル積算処理器103に出力すると共に、算出した各レンジビンのスペクトルをスペクトル積算処理器103に出力する。
スペクトル積算処理器103は、地面検出器102より得られた積分フラグに従い、スペクトルを積分する、もしくは除外し、規定回数積分されたスペクトルに相当する電気信号を風速算出処理器104に出力する。
風速算出処理器104は、スペクトル積算処理器103より出力されたスペクトル信号と航空機情報取得装置9より出力される対地速度情報を入力とし、スペクトルのピークより、速度に相当するドップラーシフト量を導出し、航空機速度を減算することによって得られる風速値を表示器10に出力する。本実施形態では各部を専用のハードウェアにより構成することができる。専用のハードウェアとしては、例えば、CPUを実装している半導体集積回路や、ワンチップマイコンなどが考えられる。ただし、信号処理器8はコンピュータにインストールされたソフトウェアにより構成してもよい。
図1及び図5に示す航空機情報取得装置9はジャイロセンサや加速度センサで構成されるINS(Inertial Navigation System)、電波情報を取得可能なGPS受信器などの電波高度計、気圧より高度を推定する気圧高度計により構成され、航空機速度、高度、航空機の姿勢(ロール、ピッチ、ヨー)に相当する電気信号を信号処理器8に出力する。
図1及び図5に示す表示器10は、信号処理器8が算出した視線方向風速値を表示する表示器である。表示器10は、信号処理器8に接続される。表示器10は、信号処理器8が算出したデータ、例えば、視線方向風速値、そのSNRを表示する。例えば、表示器10には、液晶ディスプレイ、有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイなどが用いられる。表示器10は、RAM(Random Access Memory)またはハードディスクなどの記憶装置を有し、時間に対して、視線方向風速値、そのSNRを記憶するようにしてもよい。
次に、第1の実施形態に係るドップラーライダー100の動作を説明する。
まず、光発振器1はレーザー光を発振し、光カプラ2は対応する光を2つに分配する。この光カプラ2により分配された一方の光は対応する光変調器3に出力され、他方の光は光カプラ6に出力される。
次いで、光変調器3は、対応する光カプラ2からのレーザー光に対し、変調周波数を変更してパルス変調を行う。
変調されたレーザー光は光サーキュレータ4、光学系5を介して大気中に放出され、大気中のエアロゾル(塵)より散乱された散乱光であるレーザー光は光学系5、光サーキュレータ4を介して受信される。
受信されたレーザー光は光カプラ6においてローカル光と合波され、光受信器7にてヘテロダイン検波され、電気信号へと変換される。この光受信器7により検出されたビート信号は信号処理器8に出力される。
次いで、信号処理器8は、航空機情報取得装置9より得られる自機速度と光受信器7からのビート信号から視線方向の風速値を算出し、表示器10へ出力する。
以下、信号処理器8の動作について説明する。
信号処理器8のA/D変換器101は光受信器7から電気信号を受けると、その電気信号をデジタル信号に変換する。
地面検出器102の処理内容を図6のフローチャートに示す。同時に、その際の模式的な信号を図7に示す。
図6において、ST01は、閾値算出フラグがOFFである場合、後述の積分フラグを導出するフローST07に移行し、閾値算出フラグがONである場合、以降の処理を行う。ここで、地面検出器102では、信号をインコヒーレント積算するか否かを判定するための積算フラグの閾値THvarを所定の値に設定可能であり、閾値算出フラグとは、その閾値設定処理を実行するか(ON)、否か(OFF)を決めるフラグである。
ST02は、遮光するための電気信号を光学系5に送信し、遮光を行った後、遮光状態で再度A/D変換器101においてデジタル信号を得る。得られた電気信号を時分割し、複数のレンジビンに分ける(ST03、図7(a))。
スペクトル算出処理ST04では、レンジビンに分割された電気信号に対し、事前に設定されたデータ数になるよう0の値を付与(0パッド)した後にFFT処理し、それぞれのレンジビンについてスペクトル(SPC(1)~SPC(N))に変換する(図7(b))。得られた各スペクトルに対し、ピーク検出を行い、当該ピーク値をそれぞれSNR(N)として定義する。Nはレンジビン番号を表す。これを試行回数M回繰り返し、遮光時のスペクトルピーク値SNR(N、M)のデータを得る(図7(c))。Nはレンジビン最大値であり、Mは自然数である。最後に、閾値THvarの算出を行う。閾値THvarは例えば以下式により求められ、オフセットと標準偏差を組み合わせたものとして定義する。
THvar=mean(SNR)+A×std(SNR) (1)
式(1)のSNRは全てのレンジビンのSNRの値、meanは平均、stdは標準偏差を表す。Aは検出確率を表す係数であり、99%以上の検出確率を達成したい場合、3.3などの値を入力する。平均によってノイズのオフセット、標準偏差によってそのばらつきを評価する指標とすることで、信号飽和等によるオフセット変動と、熱などによる機械雑音の増加をも検出可能としている。ゆえに、地面を検出すると共に、機器の異常状態、ひいては信号の信頼性をも評価可能とできる利点がある。当該処理の後、閾値算出フラグをOFFし、遮光をやめるための電気信号を光学系5に送信して遮光をやめさせ、A/D変換器101の処理へと戻る。閾値算出フラグはユーザによる動的な設定値としてもよいし、例えばタイマー等によって3時間に1度取得する方式としてもよい。
ST01において閾値算出フラグがOFFである場合、ST07の処理へ移行する。レンジビン分割処理ST07は上述のST03、スペクトル算出処理ST08はST04、ピーク値SNR算出処理ST09はST05と同じ処理を行う。
ST07の処理以降で得られた各レンジビンのSNRに対し、閾値THvarを用いて判定を行う(ST11)。その際の模式的な信号を図8に示す。図8(a)は得られたSNRの時間(距離)特性を表し、任意距離から地面等のH/T(ハードターゲット)からの反射があった場合を模擬している。これに対し、上記判定を行った結果を図8(b)に示す。大気からの受信信号は環境に依存し、時として閾値以上となる。同図はこの状況を模擬している(例えば図8(b)左側の「ON」)。ST11の判定は図8(b)における矢印の如く最遠レンジビンN、つまり最遠方より判定を行っていき、最初に積算フラグがON(1)となる箇所(図8(b)の星印)を捜索する。この箇所がH/Tからの反射であると判定する。
これは、H/T以降では光は透過せず、さらに遠いレンジビンにおいては雑音信号のみしか得られない特徴を用いている。最遠方から当該判定を行わせることによって、誤検出を低減する効果がある。
次に、ST12では、検出されたH/Tが存在するレンジビン以遠の積算フラグをOFF(0)として当該処理を終了する。図8(c)にその際の模擬的な信号を示す。
一方、すべてのレンジビンにおいて積算フラグがすべてOFF(0)となっていた場合は、地面への照射がなかったとして各レンジビンの積算フラグをON(1)として出力する(ST13)。
スペクトル積算処理器103は上記積算フラグがONの場合スペクトル信号を積算し、OFFの場合は地面からの信号もしくは信号成分が存在しない雑音信号であるとし、積算処理を行わない。規定数の観測を実施した後に、スペクトル積算処理器103は、積算した個数で除算し正規化する。これは各レンジビンに対して行うため、レンジビンによって除算する値が異なる。地面のみのレンジビンを除去するだけでなく、信号成分が存在しないレンジビンも積算処理を行わないことで、SNRの向上効果を確保している。これは、上述の通り、信号、雑音の量が一定の場合、積算することによってSNRの向上効果が得られる。しかし、信号が混入していない雑音のみを積算した場合は、逆にSNRが低下する問題がある。本処理を行うことによって、当該問題を低減することが可能となるメリットがある。
風速算出処理器104では、積算されたスペクトルのピークスペクトルビン番号をp、サンプリング周波数をfs、波長をλ、FFT処理に用いたデータ点数をNFFT、を用いて以下式によりn番目のレンジビンの視線方向風速値Vlosを算出する。
Vlos(n)=λ×{(p(n)-1)×fs/NFFT-IF)}/2-Vvehicle
(2)
IFは中心周波数、Vvehicleは航空機の速度であり、当該情報は航空機情報取得装置9より得られた速度情報を用いる。
表示器105では、得られた各距離の視線方向風速値Vlosや、ST09などで得られたスペクトルピーク値の強度値を表示する。
本発明の第1の実施形態に係るドップラーライダー100は、事前に取得されたスペクトル強度の平均値と標準偏差を用いた指標(閾値THvar)を用い、最遠方から当該指標を用いたH/T検出判定を行うことによって、誤検出を低減しつつ、信号積算の効率向上を可能とし、航空機におけるロバストな風計測を果たすレーザーレーダ装置に適している。
上述した実施形態では、FFTを行った後、スペクトルピークを用いた検出としていた。これを時間信号の振幅値を代替として用いてもよい。その場合、判定にFFT処理を行う必要がなく、計算機コストの低減が可能となるメリットがある。
<第2の実施形態>
上記の第1の実施形態では、信号処理器8における地面検出器102においてスペクトル強度値に対する閾値判定を行い、その後、判定結果に対する距離変動から地上の検出を行っていた。第2の実施形態では、隣接するスペクトル強度の比を用いることによって地面検出を行う。
本発明の第2の実施形態に係る信号処理器8における地面検出器102の処理内容を図9のフローチャートに示す。また、その概念図を図10に示す。
第2の実施形態に係る信号処理器8では、上記の第1の実施形態と同様に、A/D変換された受信信号に対し、レンジビン分割処理ST03により時分割し、時系列波形をレンジビンに区切る。スペクトル算出処理ST04では、各レンジビンに対しFFT処理を行い、ピーク値SNR算出処理ST05では、当該スペクトルピーク値をSNR(n)として抽出する。
次に、信号処理器8における地面検出器102では、隣接するレンジビンのピーク値との比(SNR(n)/SNR(n-1))をST05においてとり、これに対し閾値処理を行う(ST201)。すなわち、ST201では、SNR(n)/SNR(n-1)≦閾値THratioかどうかを判定する。
当該閾値THratioは、式(3)の通り、理論的に決定されるH/Tからの反射率と後方散乱係数の比率で決定してもよい。RHTはターゲットの反射率を表し、例えば黒いアスファルトでは0.1%などの値を用い、後方散乱係数βには、平均的なその土地の後方散乱係数を入力し、閾値としてもよいし、天候等に合わせ随時当該後方散乱係数を変更してもよく、これに限るものではない。
THratio=(RHT/π)/β (3)
図10に示すように、H/Tからの受信信号が得られた場合、大気に対し大幅な変動が得られる(図10(a)参照)。上記ピーク比が閾値以下の場合は大気の変動であるとし、積算フラグをON(1)とする。一方、当該閾値以下とはならない場合は任意点から強い信号が得られた、すなわち、地上からの反射があったとして積算フラグをOFF(0)とし、当該レンジビンを含む以降のレンジビンの積算フラグをOFFとする(図10(b)参照)。図10(b)に示すように、H/Tからの受信信号が得られたレンジビンの星印以降の積分フラグをOFFとする(ST202)。
以降、上記の第1の実施形態と同様に、上記の積分フラグを用いて積分処理を行う。
なお、第2の実施形態では、遮光すなわちシャッター機構は不要であるが、精度の高い検出を行うためには、得られたスペクトルから遮光時のスペクトルを減算することで、有色雑音に影響を受けない地面検出が可能となる。
<第3の実施形態>
上記の第1の実施形態では、時系列受信信号をレンジビンに分割後、各レンジビンに対し積算を行うか否かの判定を行っていた。第3の実施形態では、レンジビンとは異なる探知用ウィンドウを形成し、当該ウィンドウ内において判定を行った後、H/Tが混入した時系列データのみを削除し、大気信号のみの時系列データに形成後、FFT処理を行わせ積算を行う。これにより、有用なデータを破棄することなくデータレートやSNRを比較的均一化させることができる。
第3の実施形態における信号処理器8の地面検出器102の動作について以下に示す。図11はその処理内容を示すフローチャートであり、図12はその処理内容を示す模擬図である。
まず、地面検出器102は、A/D変換器101より取得されたデジタル信号に対し、探知用ウィンドウを設定する。ウィンドウの幅は、得られるデジタル波形の波の個数が1以上となるように設定する。例えば、検出したい速度に相当するドップラー周波数fd/fsが1以上なるように設定する。一方、安定した検出を行うためにレンジビン相当としてもよく、これに限るものではない。
ST301では、設定した探知用ウィンドウにおいて、デジタル信号データ番号をj=1・・・J、ウィンドウサイズをWwinとすると、データ番号1・・・Wwinのデジタル信号Vに対し、以下を算出し、閾値THRFとする。
(4)
αRFは係数であり、2.0等の値を入力する。ここでは指標をRMS(Root Mean Square)としたが、最大値や、標準偏差としてもよく、これに限るものではない。また、最初のデータを閾値作成に用いたが、任意位置を基準としてもよく、これに限るものではない。一般的に、レーザーレーダの距離特性は光学系の集光位置が無限遠である場合、距離に対し二乗で受信強度値が減少するためである。一方、光学系が無限遠でないケースを鑑み、当該閾値作成に光学系の集光位置を設定してもよい。
次に、データ点数2~(Wwin+1)、すなわち、ウィンドウをずらしながら検出を行っていく。
ST302では、ずらされたウィンドウ(図12(a)参照)に対し、以下式を用いて各データ番号のH/T検出用の指標RF_varを計算する。
(5)
ST303では、指標RF_varと閾値THRFとを比較し、各データ番号に対し判定を行う。指標RF_varが閾値THRFよりも大きい場合はH/Tであるとみなし、HTフラグをON(1)とし、そうでない場合はHTフラグをOFF(0)とする。結果、各データに対しHTフラグが生成される(図12(b)参照)。
当該処理終了後、上述のレンジビン分割処理ST03を同様に行い、データを時分割した後、各レンジビン内のデータに対しST304においてON(1)のHTフラグが閾値個数TH_num以上あるかどうかの判定を行う。
これは、急峻な変動を抑圧し、安定した検出を可能とするためである。なお、ここでは個数としたが、パーセンテージ等の指標としてもよい。ON(1)のHTフラグが閾値個数TH_num以上存在する場合は、積分フラグをONとし、そうでない場合は、現在判定しているレンジビンを含む以降のレンジビン全てH/TもしくはH/T以後の雑音信号しか含まれていないものとして積算フラグをOFFとする(図12(c)参照)。
図13は、H/Tからの受信信号がレンジビンをまたいだ場合の影響を模擬した図を示している。またいでいる個数が閾値以上の場合、積分フラグはOFFとなる。大気以外の信号を用いた風速推定は、推定精度を劣化させる要因となるため、風速測定精度向上のメリットがある。以降、上記の第1、第2の実施形態と同様に、スペクトル積算処理器、風速算出処理器、表示器による処理を行う。なお、上述ではウィンドウを1データ点づつずらす手法について述べたが、計算機コスト低減のためにウィンドウ幅づつずらしてもよく、これに限るものではない。
この形態の変形例として、ST301の閾値THRF算出処理、ST302のウィンドウ内の指標RF_var算出処理において、指標を以下のようにしてもよい。以下のように瞬時位相値を用いることによって、周波数のゆらぎと信号強度を含んだ指標を作成し、地上検出の精度を向上する。
図14はこの変形例におけるST301の処理内容のフローチャートである。
上記の実施形態と同様にして、探知用ウィンドウを設け、そのウィンドウ内の受信信号に対しhilbert変換を行い(ST306)、下式のように瞬時位相を導出する(図15(a)参照)。
phase(j)=angle(hilbert(V(j))) (6)
次に、位相の回転を滑らかにするために、位相をつなげるunwrap処理を行う(ST307、図15(b)参照)。
phase'(j)=unwrap(phase(j)) (7)
unwrapされた点群phase'(j)らに対し、最小二乗近似を行い(ST308)、一次近似直線f(t)=ax+bを導出する(図15(b)参照)。得られた近似直線の傾きは受信信号の周波数(∝ドップラー速度)に相当し、以下式で求められる。fsはサンプリング周波数を表す。
fr=a×fs/2π
ここで、最小二乗近似直線に対する各データ点の差をferrorとして、RMSE(Root Mean Square Error)を用いて、以下式のように指標RFvarを算出する。
(8)
また、上述同様に、最近傍のウィンドウのRFvarのαRF倍を閾値THRFとして設定する。
H/Tからの反射光の場合、単一初期位相での受信信号が得られ、また、その信号強度が高いことから、得られる瞬時位相値の確度は高く、上記RFvarの値は小さくなる(図16(a)参照)。一方、大気散乱の場合、様々な初期位相値の受信信号であることや、受信信号強度が弱いことにより白色雑音の成分が混入し、その分散は大きくなり、上記RFvarの値は大きくなる(図16(b)参照)。以上から、RFvarに対する閾値判定処理を行うことによって、ゲート内の受信信号がH/Tからの信号かどうかを判定することが可能となる。上記の実施形態では強度のみを用いた判定であったが、第3の実施形態では、強度のみならず周波数変動に伴う風速変動も単一の指標として組み込み、判定を行わせることにより、検出精度の向上が可能になるというメリットがある。
以上の実施形態では、最近傍は大気のH/Tからの反射光ではなく、大気からのエコーであるという前提を用いていた。一方、当該状況以外にもなりうる場合、遮光等により閾値を事前に取得してもよい。
<第4の実施形態>
第4の実施形態は、最初にウィンドウ内の受信信号に係る所定の指標が所定の閾値よりも大きくなった時点jの受信信号の強度を、最初以降の時点jの受信信号の強度として埋め込み、受信信号の強度を用いて時点jに対応するレンジビンを積算処理に用い、それより後ろのレンジビンを積算から除外するものである。
第3の実施形態では、HTフラグONとなっているデータが規定数以上存在した場合でもスペクトル積算を許可する構成としていた。これは、データの取得率を確保するためである。航空機搭載の目的を鑑みると、データの取得率も非常に重要な要素である。第4の実施形態は、H/Tからの反射光を含む不要なデータのみを削除し、残ったデータを使ってスペクトル積算に用いることでデータ取得率の向上を図るものである。
図17はその処理内容のフローチャートであり、図18はその処理内容の概念図である。第3の実施形態と同様に、ST301、ST302、ST303の処理を介しH/Tの検出を行う。その後、HTフラグが初めて1となった場合、データ番号jの値の受信強度値を一定値として埋め込む(ST401、図18(a)参照)。以降、得られた受信信号を上記と同様にレンジビンに分割し(ST03)、各レンジビンにおいてHTフラグがTH_num以上存在するかどうかを判定する(ST304)。TH_num以上のHTフラグが存在する場合、次のレンジビン番号より積算フラグをOFF(0)とし、そうでない場合は、大気を観測できているとして積算フラグをON(1)とする。
上述のように、得られた信号は図18(a)のように途中までとなり、これに対し後段のスペクトル算出処理を行うと、図18(b)のようにデータの削除を行っていない場合と比較して広がったスペクトルとなる。しかし、スペクトルのピークの場所は変わらないことから、積算効果によるSNR向上効果が発生し、データを無駄にすることなく観測を継続することが可能となる。
図19に、第3の実施形態と第4の実施形態の積分フラグの比較を示す。H/Tがレンジビンをまたいでいた場合(図19(a)、(b)参照)、第3の実施形態ではH/Tが存在する2つのレンジビンに対し積算しないこととし、大気からの反射光が混入しているレンジビンも切り捨てていた(図19(c)参照)。これに対し、第4の実施形態では有効に扱うことが可能となる(図19(d)参照)。
<第5の実施形態>
大気条件や、搭載されているドップラーライダーの望遠鏡の集光距離特性によっては、大気からの受信信号強度と地面からの受信信号強度が同等となる可能性がある。第5の本実施形態では、これに対しスペクトル幅を用いた検出を行う。第5の実施形態の地面検出器102の処理内容を示すフローチャートを図20に示す。
受信信号の線幅Wr_theoryは、理論的に光源線幅W、送信パルス帯域W、風速変動の標準偏差Wを用いて以下の式で表される。
(9)
一方、受信されたスペクトル幅はスペクトルSPCの2次モーメントより演算可能である。添え字nはレンジビン番号を表す。ST501では、以下の式を用いてスペクトル幅を導出する。
(10)

ST502では、得られたスペクトル幅に対し、閾値WTHを用いて判定、W>WTHを行う。xは周波数ビンの番号を表す。H/Tの場合、静止物体のため、標準偏差Wは0となる。ゆえに、閾値WTHを以下のように事前に設定しておく。
(11)

αは閾値の尤度のための係数であり、例えば1.5などの値を入力する。上記では理論値を用いた閾値としたが、遮光し実測値に基づいて閾値を設定してもよい。
もしくは、以下のように、最近傍の風速幅を基準としてもよいが、本実施形態はこれに限るものではない。
<α×W(1) (12)
以降は上記の各実施形態と同様に、ST502での判定に応じて積算フラグをON/OFFし、積算処理を行う。
<第6の実施形態>
第6の実施形態は、航空機の姿勢・高度情報より得られる地面までの高度を用いて地面のデータが混入するレンジビンを算出し、当該レンジビン以降はスペクトル積算から除外することにより、地面からの信号を判断可能とする。
図21は第6の実施形態の処理内容を示すフローチャートであり、図22はその処理内容を示す概念図である。第6の実施形態に係るドップラーライダーは例えば図1に示したものと同様に構成することができる。
第6の実施形態に係る信号処理器8は、航空機情報取得装置9より得られる航空機の高度情報と角度情報から地面に対応するレンジビンRGを算出する(ST601)。以下、本実施形態における説明では、簡易化のためにピッチのみの姿勢角を用いて示す。
(13)
resは分解能、右辺を囲む括弧は切り下げ、θpitch 、θbeamはそれぞれ俯角、ビーム照射角度、hは航空機の地上高度を表す。ここでは観測するオフセットの距離を0と仮定して定式化をしているが、オフセットを設けてもよい。ST602では、上式によって得られるRGが処理を行っているレンジビンn未満の場合、地上ではなく大気を観測しているとして積分フラグをON(1)とし、そうでない場合、地上、もしくはそれ以降を測定しているとして積分フラグをOFF(0)とする(ST202)。
本実施形態の変形例を図23に示す。上式ではθpitchを式に加え、視線ごとに異なる方向にレーザー光が照射されることを許容した構成となっているが、図23に示すように、光学系から出力されるレーザー光の軌道を光学ミラー112によって変更可能な光学系12と、理想的な航路を取得する航路取得装置11とを備える構成としてもよい。図24に示すように、信号処理器8は航空機情報取得装置9より取得される現在の姿勢角(φ、θ、ψ)、(φ:ロール、θ:ピッチ、ψ:ヨー)の値と航路取得装置11より取得される本来とるべき真の値(進行すべき方向の値)である(φ、θ、ψ)との差を以下より算出する。
Θcom=(φ、θ、ψ)-(φ、θ、ψ)
上記角度配列Θcomを補正値として光学系12に対しビーム角度を制御する電気信号を送信する。光学系12が具備する光学ミラー112には典型的にはガルバノミラーなどの平面ミラーがある。光学ミラー112以外にもプリズムを用いることができる。また、電気信号によってレーザー光射出角を調整可能な電気光学レンズを備えた望遠鏡としてもよく、これに限るものではない。その際、Θcomを用いて上記RGを算出し、地上検出を行う。これにより、同一空間を観測しつつ、地上の検出を行わせることが可能となり、風速測定精度の向上が可能となる。
<第7の実施形態>
第7の実施形態は、レーザー光1パルスごとのレンジビンごとに、レンジビンの受信信号から算出される風速値の絶対値が所定の閾値以下であるかを判定し、所定の閾値以下の場合には、当該レンジビンの受信信号はハードターゲットに由来する信号を含んでいると判定し、各レンジビンの受信信号に応じたデジタル信号のスペクトルを積分する際に、ハードターゲットに由来する信号を含んでいると判定されたレンジビン及びレンジビン以遠のレンジビンのスペクトルの積分を除外するものである。
例えば、第6の実施形態では、地面のデータが混入するレンジビンの検出に航空機の姿勢・高度情報を用いたが、第7の実施形態では、レーザー光1パルスごとに、航空機の速度値をフィードバックして速度値に対応する周波数帯域の信号を中心としたバンドパスフィルタを形成し、レンジビンに分割する前の受信信号に対しバンドパスフィルタによるフィルタ処理を行う。つまり、本実施形態では、航空機速度0に対応する周波数帯域の信号を除去するフィードバック系とすることで地面からの反射信号を抑圧し風速測定精度を向上することができる。
図25は第7の実施形態の処理内容を示すフローチャートであり、図26はその処理内容を示す概念図である。第7の実施形態に係るドップラーライダーは例えば図1に示したものと同様に構成することができる。
第7の実施形態に係る信号処理器8の地面検出器102は、航空機情報取得装置9より得られた航空機の進行速度を用い、以下の式により航空機速度に対応する周波数fvehicleを算出する。vは航空機速度、λはレーザー光源の波長を表す。
vehicle=2v/λ (14)
フィルタ処理ST701では、fvehicleを中心とした帯域幅fBPのデジタルフィルタを形成する(図26参照)。当該フィルタには、例えばバタワースフィルタ等が用いることができるが、これに限るものではない。
目的として、0に近い風速値やH/T信号(ドップラー0)に対する感度を要しないため、風速値0、すなわち航空機速度周波数近傍をカットするようなフィルタ処理を施す。
本実施形態では、ソフトウェア(図25のST701)による構成としたが、ハードウェアによるフィルタ構成としてもよい。その場合、A/D変換器が有するべきダイナミックレンジを低減することにも寄与できる。主だって地面からの反射光は非常に高いため、信号が飽和することが多い。そのため広いA/D変換器のダイナミックレンジを必要とするが、本構成により緩和が可能となる。
以下、空機速度周波数近傍をカットした受信信号に対し、レンジビン分割処理ST03により時分割し、スペクトル算出処理ST04では、各レンジビンに対しFFT処理を行い、風速算出を行う。
<第8の実施形態>
第8の実施形態では、ハードターゲットに由来する信号を含んでいると判定されたレンジビンのスペクトルの第一ピークと第一ピークの前後の所定の周波数領域の信号値を0にした後の受信信号のスペクトルに基づき風速値を算出するものである。
図27は第8の実施形態の処理内容を示す図である。第8の実施形態に係るドップラーライダーは例えば図1に示したものと同様に構成することができる。
第8の実施形態では、レーザー光1パルスごとの処理で、上記の第7の実施形態において地上と判定された周波数帯域の信号を第一ピークとし(図27(a)参照)、第一ピークとその前後任意の周波数帯域の信号を0とする(図27(b)参照)。第一ピークとその前後任意の周波数帯域の信号を0とした後の信号を使ってピーク検出とともに風速推定を行う。これにより、地上からの反射光を削除すると共に大気エコーが含まれるスペクトル信号を積算することが可能となり、フレームレートを落とすことなく、観測が可能となる。
例えば、信号処理器8の地面検出器102において、航空機情報取得装置9より進行方向の航空機速度を取得し、後段の風速算出処理器104におけるスペクトルピーク算出において積分フラグが初めて0になった、すなわち、上記の各実施形態における各判定処理(例えば、たとえばST11、ST201、ST304)にて積分フラグが0となったレンジビンに対しては積分フラグを1とする。その後、スペクトルに対して第一ピーク±Mgの周波数ビンを0とした後、再度ピーク検出を行い、その後、上記の第1の実施形態等に記載の風速算出を行う。
<第9の実施形態>
第9の実施形態では、上記の第1~第7の実施形態に記載の地面検出器を並列に組み合わせ、各処理から出力された積分フラグをOR(論理和)回路に接続し、この出力を用いてスペクトル積算を行うものである。例えば、第1の実施形態では遠方から周回計算を行い、地上検出を実施している一方、第2の実施形態では近距離側から地上検出を行っている。地上からの反射がレンジビンをまたいでいる場合、もしくはパルス幅よりもレンジビンが非常に小さい場合等、複数のレンジビンをまたいでいる場合、様々な検出手法による結果の和をとることで、検出漏れを抑圧し、その精度を向上させることが可能となる。風速値が一様であればスペクトル幅が細くなり、スペクトル幅のみでは弁別困難な場合や、大気密度が濃い、ならびにA/D変換器のダイナミックレンジが小さい場合、飽和により強度値を用いた弁別が困難となる場合、機器故障等により航空機情報が取得できない環境となった場合、いずれにも対応が可能となり、安定した地上検出が可能となるメリットがある。
なお、本実施形態では、論理積をとり、上記測定精度を向上させてもよく、これに限るものではない。
<その他>
遠隔気流観測装置は晴天時でも遠隔気流が観測できるという特長があり、航空機の着陸進入中の乱気流等情報提供の実現が期待されている。本発明の適用により、地面反射の影響による誤警報を低減することが可能で、乱気流等による事故防止用として旅客機への適用が可能となる。
本発明は、上記の実施形態に限定されるものではなく、様々に変形して実施することが可能であり、その実施の範囲も本発明の技術的思想の範囲に属するものである。例えば、本発明は、その発明の範囲内において、各実施形態の自由な組み合わせ、あるいは各実施形態の任意の構成要素の変形、もしくは各実施形態において任意の構成要素の省略が可能である。
1 :光発振器
2 :光カプラ
3 :光変調器
4 :光サーキュレータ
5 :光学系
6 :光カプラ
7 :光受信器
8 :信号処理器
9 :航空機情報取得装置
10 :表示器
11 :航路取得装置
12 :光学系
100 :ドップラーライダー(遠隔気流観測装置)
101 :A/D変換器
102 :地面検出器
103 :スペクトル積算処理器
104 :風速算出処理器
105 :表示器
110 :計測部
112 :光学ミラー

Claims (16)

  1. パルス状のレーザー光からなる送信光を放射し、前記放射した送信光の反射光を受信光として受信し、前記送信光及び前記受信光に基づき風速値を算出するための受信信号を出力する計測部と、
    前記受信信号を時分割することにより前記受信信号をレンジビンに振り分けると共に、前記受信信号から、ハードターゲットに由来する信号を除去するための処理を行う信号処理器と
    を具備し、
    前記信号処理器は、前記レンジビンに振り分けられた受信信号に基づき前記送信光が前記ハードターゲットである地面にあたるレンジビンを捜索し、各前記レンジビンの前記受信信号に応じたデジタル信号のスペクトルを積分する際に、前記地面にあたると捜索されたレンジビン及び前記レンジビン以遠のレンジビンの前記スペクトルの積分を除外する
    遠隔気流観測装置。
  2. 請求項1に記載の遠隔気流観測装置であって、
    前記信号処理器は、前記放射した送信光が前記ハードターゲットに反射した場合に前記受信光の強度が増加する現象又は前記受信信号の周波数変動が極小となる現象に基づき、前記レンジビンに振り分けられた受信信号から、前記送信光が前記ハードターゲットである地面にあたるレンジビンを捜索する
    遠隔気流観測装置。
  3. 請求項2に記載の遠隔気流観測装置であって、
    前記信号処理器は前記受信信号に対し遠方の前記レンジビンから所定の閾値を超えるか否かの判定を行い、所定の閾値以上となった最初の前記レンジビンの受信信号は前記ハードターゲットである地面にあたる信号を含んでいると判定する
    遠隔気流観測装置。
  4. 請求項2に記載の遠隔気流観測装置であって、
    前記信号処理器は、前記受信信号に対し遠方の前記レンジビンから、前記レンジビンの受信信号のピーク値(SNR(n))と近距離側に隣接する前記レンジビンの受信信号のピーク値(SNR(n-1))との比(SNR(n)/SNR(n-1))が所定の閾値を超えたとき、前記n番目のレンジビンの受信信号は前記ハードターゲットである地面にあたる信号を含んでいると判定する
    遠隔気流観測装置。
  5. 請求項4に記載の遠隔気流観測装置であって、
    前記所定の閾値とは、
    THratio=(RHT/π)/β
    HT:ハードターゲットの反射率、
    β:後方散乱係数
    で示されるTHratioである
    遠隔気流観測装置。
  6. 請求項2に記載の遠隔気流観測装置であって、
    前記信号処理器は、前記レーザー光1パルスごとの受信信号の時間波形において、所定時間幅の検出用のウィンドウを時間軸方向に近傍側より走査し、前記ウィンドウ内の前記受信信号に係る所定の指標が所定の閾値よりも大きくなったときに、当該ウィンドウが含まれる前記レンジビンの受信信号は前記ハードターゲットである地面にあたる信号を含んでいると判定する
    遠隔気流観測装置。
  7. 請求項6に記載の遠隔気流観測装置であって、
    前記指標は、前記ウィンドウ内の前記受信信号の時間波形に対しヒルベルト変換を行って位相値を導出後、アンラップ処理を施した位相値変動波形に対し最小二乗近似による一次直線関数との残差のRMS(Root Mean Square)である
    遠隔気流観測装置。
  8. 請求項6又は7に記載の遠隔気流観測装置であって、
    前記信号処理器は、最初に前記ウィンドウ内の前記受信信号に係る所定の指標が前記所定の閾値よりも大きくなった時点の前記受信信号の強度を、前記最初以降の前記時点の受信信号の強度として埋め込み、前記受信信号の強度を用いて前記時点に対応する前記レンジビンを積算処理に用い、それより後ろの前記レンジビンを積算から除外する
    遠隔気流観測装置。
  9. 請求項2に記載の遠隔気流観測装置であって、
    前記信号処理器は、前記レーザー光1パルスごとに各前記レンジビンの前記受信信号に応じたデジタル信号のスペクトルを算出し、前記レーザー光1パルスごとの各前記レンジビンのスペクトルの線幅が所定の閾値以下の場合に、当該レンジビンは前記ハードターゲットに由来する信号を含んでいると判定する
    遠隔気流観測装置。
  10. パルス状のレーザー光からなる送信光を放射し、前記放射した送信光の反射光を受信光として受信し、前記送信光及び前記受信光に基づき風速値を算出するための受信信号を出力する計測部と、
    前記受信信号を時分割することにより前記受信信号をレンジビンに振り分けると共に、前記受信信号から、ハードターゲットに由来する信号を除去するための処理を行う信号処理器とを有する遠隔気流観測装置であって、
    前記信号処理器は、当該遠隔気流観測装置が搭載される航空機の地上高度を含む情報に基づき前記送信光が前記ハードターゲットである地面にあたるレンジビンを算出し、各前記レンジビンの前記受信信号に応じたデジタル信号のスペクトルを積分する際に、前記地面に由来する信号を含んでいると判定されたレンジビン及び前記レンジビン以遠のレンジビンの前記スペクトルの積分を除外する
    遠隔気流観測装置。
  11. 請求項10に記載の遠隔気流観測装置であって、
    前記計測部は、前記航空機の真なる進行方向の情報を取得し、現在の姿勢と前記送信光との相対角度差を補正する可動式の光学ミラー又はプリズムを有する
    遠隔気流観測装置。
  12. パルス状のレーザー光からなる送信光を放射し、前記放射した送信光の反射光を受信光として受信し、前記送信光及び前記受信光に基づき風速値を算出するための受信信号を出力する計測部と、
    前記受信信号を時分割することにより前記受信信号をレンジビンに振り分けると共に、前記受信信号から、ハードターゲットに由来する信号を除去するための処理を行う信号処理器とを有する遠隔気流観測装置であって、
    前記信号処理器は、前記レーザー光1パルスごとの前記レンジビンごとに、前記レンジビンの受信信号から算出される風速値の絶対値が所定の閾値以下であるかを判定し、所定の閾値以下の場合には、当該レンジビンの受信信号は前記ハードターゲットに由来する信号を含んでいると判定する
    遠隔気流観測装置。
  13. 請求項12に記載の遠隔気流観測装置であって、
    前記信号処理器は、前記レーザー光1パルスごとに、当該遠隔気流観測装置が搭載される航空機の速度値をフィードバックして前記速度値を中心としたバンドパスフィルタを形成し、前記レンジビンに分割する前の前記受信信号に対し前記バンドパスフィルタによるフィルタ処理を行う
    遠隔気流観測装置。
  14. 請求項12又は13に記載の遠隔気流観測装置であって、
    前記信号処理器は、前記ハードターゲットに由来する信号を含んでいると判定されたレンジビンのスペクトルの第一ピークと前記第一ピークの前後の所定の周波数領域の信号値を0にした後の前記受信信号のスペクトルに基づき前記風速値を算出する
    遠隔気流観測装置。
  15. パルス状のレーザー光からなる送信光を放射し、
    前記放射した送信光の反射光を受信光として受信し、前記送信光及び前記受信光に基づき風速値を算出するための受信信号を出力し、
    コンピュータにより、前記受信信号を時分割することにより前記受信信号をレンジビンに振り分け、
    コンピュータにより、前記受信信号から、ハードターゲットに由来する信号を除去する
    遠隔気流観測方法であって、
    コンピュータにより、前記レンジビンに振り分けられた受信信号に基づき前記送信光が前記ハードターゲットである地面にあたるレンジビンを捜索し、
    コンピュータにより、各前記レンジビンの前記受信信号に応じたデジタル信号のスペクトルを積分する際に、前記地面にあたると捜索されたレンジビン及び前記レンジビン以遠のレンジビンの前記スペクトルの積分を除外する
    遠隔気流観測方法。
  16. パルス状のレーザー光からなる送信光を放射し、前記放射した送信光の反射光を受信光として受信し、前記送信光及び前記受信光に基づき風速値を算出するための受信信号を出力する計測部を具備する遠隔気流観測装置に用いられるプログラムであって、
    前記受信信号を時分割することにより前記受信信号をレンジビンに振り分けるステップと、
    前記受信信号から、ハードターゲットに由来する信号を除去するステップと
    をコンピュータに実行させるプログラムであって、
    前記レンジビンに振り分けられた受信信号に基づき前記送信光が前記ハードターゲットである地面にあたるレンジビンを捜索するステップと、
    各前記レンジビンの前記受信信号に応じたデジタル信号のスペクトルを積分する際に、前記地面にあたると捜索されたレンジビン及び前記レンジビン以遠のレンジビンの前記スペクトルの積分を除外するステップと
    をコンピュータに実行させるプログラム
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