JP7335708B2 - 射出成形品及び射出成形品の製造方法 - Google Patents

射出成形品及び射出成形品の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、射出成形品及び射出成形品の製造方法に関する。
従来、複数の層が積層された射出成形品が知られている(例えば、特許文献1参照)。
射出成形品は、例えば分岐管継手であり、内層(第1層)と、及び内層の径方向外側に積層された外層(第2層)と、を備えている。
内層は、合成樹脂の射出成形により、外層よりも先に単独で形成される。外層が内層に対して射出成形されることで、射出成形品が製造される。
特開2012-214021号公報
しかしながら、一般的に、第1層を射出成形により形成するための第1ゲートの跡である第1ゲート跡は、第1層の外面から突出している。このため、第2層を射出成形により形成するための第2ゲートの跡である第2ゲート跡の位置が、第1ゲート跡の位置と干渉すると、射出成形品の成形が困難になる。
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであって、成形を容易に行うことができる射出成形品、及びこの射出成形品の製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、この発明は以下の手段を提案している。
本発明の射出成形品は、第1ゲート跡が形成された第1層と、第2ゲート跡が形成され、前記第1層に積層された第2層と、を備え、前記第1ゲート跡と前記第2ゲート跡とが、前記第1層の主面に沿う方向において互いにずれた位置に配置されている射出成形品であって、前記射出成形品は、第1端部に受口又は挿し口が形成されるとともに、前記第1端部とは異なる第2端部に受口又は挿し口が形成された継手であり、前記第1ゲート跡は、前記第1端部の前記受口又は前記挿し口における前記第1層の外周面に形成され、前記第2ゲート跡は、前記第2端部の前記受口又は前記挿し口における前記第2層の外周面に形成されていることを特徴としている。
ここで言う第1層の主面とは、第1層の外面のうち、第1層と第2層とが積層される方向に交差する面のことを意味する。
この発明によれば、第1ゲート跡と第2ゲート跡とが、第1層の主面に沿う方向において互いにずれた位置に配置されているため、第1層に形成された第1ゲート跡が、第2層を形成するための第2ゲートに対して、第2層が第1層に対して積層される方向に干渉するのが抑えられる。従って、第1層及び第2層が積層された射出成形品の成形を容易に行うことができる。
また、上記の射出成形品において、前記第1層は非晶性樹脂で形成され、前記第2層は結晶性樹脂で形成されていてもよい。
また、上記の射出成形品において、前記第1層から前記第2層に向かって突出する突部を備え、前記第1ゲート跡は、前記突部における突出方向の先端面に形成されていてもよい。
この発明によれば、突部により第1層と第2層とが第1層の外面に沿う方向にずれ難くするとともに、第1ゲート跡が突部からさらに突出方向に突出することにより、第1層と第2層とが第1層の外面に沿う方向にさらにずれ難くすることができる。
また、本発明の射出成形品の製造方法は、上記に記載の射出成形品の製造方法であって、第1金型の第1ゲートから前記第1金型内に第1射出成形原料を供給して、前記第1金型内で第1層を射出成形により形成する第1射出成形工程と、第2金型の第2ゲートから前記第2金型内に第2射出成形原料を供給して、前記第2金型内で前記第1層に積層させた第2層を射出成形により形成する第2射出成形工程と、を行い、前記第1射出成形工程における前記第1層に対する前記第1ゲートの位置と前記第2射出成形工程における前記第1層に対する前記第2ゲートの位置とが、前記第1層の主面に沿う方向において互いにずれていることを特徴としている。
この発明によれば、第1射出成形工程における第1層に対する第1ゲートの位置と第2射出成形工程における第1層に対する第2ゲートの位置とが、第1層の主面に沿う方向において互いにずれている。このため、第1射出成形工程により第1層に形成された第1ゲート跡が、第2射出成形工程において第2層を形成するための第2ゲートに対して、第2層が第1層に対して積層される方向に干渉するのが抑えられる。従って、第1層及び第2層が積層された射出成形品の成形を容易に行うことができる。
本発明の射出成形品及び射出成形品の製造方法によれば、成形を容易に行うことができる。
本発明の一実施形態の継手の縦断面図である。 同継手の内管を形成する第1金型の縦断面図である。 同継手を形成する第2金型の縦断面図である。 本発明の一実施形態の第1変形例における継手の直管部の軸線に直交する方向の縦断面図である。 本発明の一実施形態の第2変形例における継手の縦断面図である。 本発明の一実施形態の第3変形例における継手の縦断面図である。 同継手の直管部の軸線に直交する方向の縦断面図である。 本発明の一実施形態の第4変形例におけるエルボの縦断面図である。 本発明の一実施形態の第5変形例におけるソケットの縦断面図である。
以下、本発明に係る射出成形品の一実施形態を、射出成形品が継手である場合等を例にとって、図1から図9を参照しながら説明する。
図1に示すように、本実施形態の継手1は、複数の層が積層された、いわゆる多層射出成形品である。継手1は、いわゆるチーズ型の継手であり、直管部11と、直管部11に接続された枝管部21と、を備えている。
直管部11は、直管本体12と、直管本体12の軸方向の両端部にそれぞれ形成された受口13,14と、を備えている。直管本体12は、直管状に形成されている。受口13,14の外径、内径は、直管本体12の外径、内径よりもそれぞれ大きい。
直管本体12は、直管状に形成された第1層12aと、第1層12aの径方向外側に積層された第2層12bと、を備えている。第1層12a及び第2層12bは、それぞれ直管状に形成され、同軸に配置されている。第2層12bは、第1層12aの径方向外側を覆っている。第1層12aと第2層12bとは、第1層12aの径方向に積層されている。第1層12aの外周面(主面)12a1は、第1層12aの径方向に交差する面である。
受口13は、直管本体12の軸方向の第1の端部に接続されている。受口13と直管本体12との接続部分には、段部16が形成されている。
受口13は、円筒状に形成された第1層13aと、第1層13aの径方向外側に積層された第2層13bと、を備えている。
第1層13aの内径、外径は、直管本体12の第1層12aの内径、外径よりもそれぞれ大きい。第2層13bの内径、外径は、直管本体12の第2層12bの内径、外径よりもそれぞれ大きい。
第2層13bの外周面には、第2ゲート跡13cが形成されている。第2ゲート跡13cは、第2層13bの外周面から径方向外側に向かって突出している。第2ゲート跡13cは、第2層13bを含む後述する外管26bを射出成形により形成したときに用いたゲートの跡である。第2ゲート跡13cは、第2層13bの軸方向の一部であって、第2層13bの周方向の一部に形成されている。
受口14は、直管本体12の軸方向における第1の端部とは反対の第2の端部に接続されている。受口14と直管本体12との接続部分には、段部17が形成されている。
受口14は、円筒状に形成された第1層14aと、第1層14aの径方向外側に積層された第2層14bと、を備えている。
第1層14aの内径、外径は、直管本体12の第1層12aの内径、外径よりもそれぞれ大きい。第2層14bの内径、外径は、直管本体12の第2層12bの内径、外径よりもそれぞれ大きい。
第1層14aの外周面には、第1ゲート跡14cが形成されている。第1ゲート跡14cは、第1層14aの外周面から径方向外側に向かって突出し、第2層14b内に埋設されている。第1ゲート跡14cが第1層14aの外周面から突出する長さは第2層14bの厚さ未満であり、第1ゲート跡14cが第2層14bの外周面に達しないことが好ましい。
第1ゲート跡14cは、第1層14aを含む後述する内管26aを射出成形により形成したときに用いたゲートの跡である。第1ゲート跡14cは、第1層14aの軸方向の一部であって、第1層14aの周方向の一部に形成されている。
枝管部21は、直管部11の直管本体12の外周面から直管本体12の軸線に直交するように延びている。枝管部21は、円筒状に形成された第1層21aと、第1層21aの径方向外側に積層された第2層21bと、を備えている。
第1層21aにおける直管本体12側の端部には、第1層21aの内周面から径方向内側に向かって突出したストッパ22が形成されている。ストッパ22は、第1層21aの全周にわたって環状に形成されている。このように構成された枝管部21は、受口として機能する。
なお、枝管部21、受口13,14のそれぞれは、配管の内部に挿入される挿し口であってもよい。
枝管部21の第2層21bと、受口13,14の第2層13b,14bとは、補強リブ23により接続されている。
なお、第1層12a、第1層13a、第1層14a、第1層21a、及びストッパ22で、内管26aを構成する。第2層12b、第2層13b、第2層14b、第2層21b、及び補強リブ23で、外管26bを構成する。外管26bは、内管26aの径方向外側で内管26aに積層させるように配置されている。
第1ゲート跡14cと第2ゲート跡13cとは、第1層12aの外周面12a1に沿う方向である第1層12aの軸方向において互いにずれた位置に配置されている。この例では、第1ゲート跡14cと第2ゲート跡13cとは、第1層12aの周方向において互いに同じ位置に配置されている。
例えば、内管26aは、ポリ塩化ビニル樹脂、ABS(アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン)樹脂、AES(アクリロニトリル・エチレン-プロピレン-ジエン・スチレン)樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂等で形成されていることが好ましい。非晶性樹脂は、接着剤により接着可能である。この場合、内管26aの受口に挿入される非晶性樹脂で形成された配管と、内管26aとを接着剤で接続することができる。また、非晶性樹脂は、JIS K7152-4に従って測定される成形収縮率が0.2~1.0%と小さいため、受口の内径の寸法精度を高くすることができ、受口が収縮して配管の挿入が阻害されるのを防ぐことができる。
外管26bは、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリブテン樹脂、PTFE(四フッ化エチレン)樹脂等の結晶性樹脂で形成されていることが好ましい。結晶性樹脂は耐薬品性に優れており、溶剤による割れ(ソルベントクラック)や膨潤等が起こりにくい。特に、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリブテン樹脂等のポリオレフィン系樹脂は、JIS K 6815-1、JIS K 6815-3に従って測定される引張破断伸びが高い。例えば硬質塩化ビニルの引張破断伸びが50~150%であるのに対して、オレフィン系樹脂の引張破断伸びは350%以上である。特に、高密度ポリエチレンを用いた場合には引張破断伸びは500%以上となるため、振動や衝撃により破損し難い。
なお、内管26aが結晶性樹脂であり、外管26bが非晶性樹脂であってもよい。また、内管26aと外管26bがいずれも結晶性樹脂または非晶性樹脂であってもよい。
本実施形態では、第2ゲート跡13c及び第1ゲート跡14cは受口13,14に形成されている。
継手1は、排水配管、給水配管、温水配管、薬液配管、ガス配管、空調用ダクト等の配管のほか、住宅内装品、自動車内装品、バルブ等に用いることができる。その際に、継手1の受口13,14、及び直管部11内に、配管を接続して用いられる。
次に、以上のように構成された継手1の製造方法について説明する。内管26aは、図2に示す第1金型101を用いて射出成形により形成される。
第1金型101は、第1成形金型102と、コア103と、を備えている。第1成形金型102と、コア103と、を所定の位置に組み合わせることにより、内管26aを形成するための第1キャビティ104及び第1ゲート105が形成される。第1ゲート105は、内管26aの第1層14aの径方向外側に配置される。
図示はしないが、第1成形金型102とコア103とは、型締装置により開閉される。第1ゲート105には、射出成形機から溶融させた射出成形原料が供給される。
コア103は、第1層13a等を形成するための第1片107と、第1層14a等を形成するための第2片108と、第1層21a等を形成するための第3片109と、を備えている。
第1片107は、図示しない駆動装置により、第1層13aの軸方向に移動できる。第2片108は、駆動装置により第1層14aの軸方向に移動できる。第3片109は、駆動装置により第1層21aの軸方向に移動できる。
駆動装置により第1片107、第2片108、及び第3片109を所定の位置に配置して、コア103を構成する。型締装置により第1成形金型102とコア103とを閉めると、第1キャビティ104及び第1ゲート105が形成された第1金型101が構成される。
継手1の製造方法では、まず、第1射出成形工程において、射出成形機により、第1金型101の第1ゲート105から第1キャビティ104(第1金型101内)に第1射出成形原料を供給する。例えば、第1射出成形原料が第1ゲート105から第1キャビティ104を矢印A1で示す方向に流れ、第1キャビティ104で内管26aが成形される。型締装置により第1成形金型102とコア103とを開くと、成形された内管26aから第1成形金型102が離間する。内管26aから第1ゲート105が離間する際に、第1ゲート105により第1層14aの外周面に第1ゲート跡14cが形成される。
第1射出成形工程が終了すると、第2射出成形工程に移行する。
次に、第2射出成形工程において、図3に示すように、コア103上に形成された内管26aと、第1成形金型102とは異なる第2成形金型112とを型締装置により閉める。第2成形金型112には、第1成形金型102の内部空間よりも広い内部空間が形成されている。第2成形金型112及びコア103で、第2金型111を構成する。
型締装置により、第2成形金型112とコア103とを所定の位置に組み合わせて閉めることにより、内管26aの径方向外側で積層させるように外管26bを形成するための第2キャビティ114及び第2ゲート115が形成される。第2ゲート115は、外管26bの第2層13bの径方向外側に配置される。
この第2ゲート115及び前記第1ゲート105は、流動性が互いに異なる第1射出成形原料、及び外管26b用の後述する第2射出成形原料に対応して、径及び形状が調節される。
射出成形機により、第2金型111の第2ゲート115から第2キャビティ114(第2金型111内)に第2射出成形原料を供給すると、例えば、第2射出成形原料が第2ゲート115から第2キャビティ114における内管26aの径方向外側を矢印A2で示す方向に流れ、第2キャビティ114で、内管26aの径方向外側で積層させるように外管26bが射出成形により形成される。型締装置により第2成形金型112とコア103とを開くと、成形された外管26bから第2成形金型112が離間する。外管26bから第2ゲート115が離間する際に、第2ゲート115により第2層13bの外周面に第2ゲート跡13cが形成される。
第2射出成形工程で外管26bを射出成形しているときの内管26aに対する第2ゲート115の位置と、第1射出成形工程で内管26aを射出成形しているときの内管26aに対する第1ゲート105の位置とは、第1層12aの軸方向において互いにずれている。
駆動装置により第1片107、第2片108、及び第3片109を移動すると、内管26aからコア103が取外され、継手1から第2成形金型112が取外される。
第2射出成形工程が終了すると、継手1の製造方法の全ての工程が終了し、継手1が製造される。
以上説明したように、本実施形態の継手1によれば、第1ゲート跡14cと第2ゲート跡13cとが第1層12aの軸方向において互いにずれた位置に配置されているため、内管26aに形成された第1ゲート跡14cが、外管26bを形成するための第2ゲート115に対して、第1層12aの径方向に干渉するのが抑えられる。従って、内管26a及び外管26bが積層された継手1の成形を容易に行うことができる。
また、流動性が互いに異なる第1,第2射出成形原料に対応してゲート105,115の径及び形状を調節することができる。これにより、金型101,111内に第1,第2射出成形原料が均一に充填され、内管26aの第1層12a等と外管26bの第2層12b等との間に空気層が発生して、内管26aの第1層12a等と外管26bの第2層12b等とが剥離するのを抑えることができる。
また、本実施形態の継手1の製造方法によれば、第1射出成形工程における内管26aに対する第1ゲート105の位置と第2射出成形工程における内管26aに対する第2ゲート115の位置とが第1層12aの軸方向において互いにずれている。このため、第1射出成形工程により内管26aに形成された第1ゲート跡14cが、第2射出成形工程において外管26bを形成するための第2ゲート115に対して、第1層12aの径方向に干渉するのが抑えられる。従って、内管26a及び外管26bが積層された継手1の成形を容易に行うことができる。
本実施形態の継手1は、以下に説明するようにその構成を様々に変形させることができる。
図4に示す第1変形例の継手1Aのように、第2ゲート跡12cが射出成形品1Aのうち受口である受口13,14、及び枝管部21とは異なる位置に形成されていてもよい。具体的には、第2ゲート跡12cは、直管本体12の第2層12bの外周面に形成されている。この第1変形例では、第1ゲート跡12dは、直管本体12の第1層12aの外周面に形成されている。
第1ゲート跡12dと第2ゲート跡12cとは、第1層12aの外周面12a1に沿う方向である第1層12aの周方向において互いにずれた位置に配置されている。この例では、第1ゲート跡12dと第2ゲート跡12cとは、第1層12aの軸方向において互いに同じ位置に配置されている。
第1変形例の継手1Aのように構成することにより、第2ゲート跡12cの第2層12bからの突出量により、受口13,14の外径が変化して、受口13,14に他の部品が接続し難くなるのを抑制することができる。
図5に示す第2変形例の継手1Bのように、本実施形態の継手1の各構成に加えて、受口14の第1層14aに抜け防止構造31が形成されてもよい。抜け防止構造31は、第1層14aから第2層14bに向かって突出する突部31aを複数備えている。複数の突部31aは、それぞれ環状に形成され、第1層14aの軸方向に互いに間隔を開けて配置されている。
この場合、第1ゲート跡14cは、複数の突部31aのうちの1つの突部31aにおける突出方向の先端面に形成されている。
なお、抜け防止構造31が備える突部31aの数は特に限定されず、1つでもよい。
第2射出成形原料の粘度が低く流動性が高い場合には、軸方向に隣り合う複数の突部31aの間に第2射出成形原料が充填されやすい。従って、複数の突部31aから第2層14bが第1層14aの軸方向に移動して第2層14bが抜けるのを抑えることができる。
突部31aにより第1層14aと第2層14bとが第1層14aの軸方向にずれ難くするとともに、第1ゲート跡14cが突部31aからさらに突出方向に突出することにより、第1層14aと第2層14bとが第1層14aの軸方向にさらにずれ難くすることができる。
図6及び図7に示す第3変形例の継手1Cのように、変形例の継手1Bの各構成に加えて、抜け防止構造32,33を備えてもよい。抜け防止構造32が備える複数の突部32aは、受口13の第1層13aの外周面に形成されている。複数の突部32aのうちの1つの突部32aには、第1ゲート跡13dが形成されている。抜け防止構造33が備える複数の突部33aは、枝管部21の第1層21a外周面に形成されている。第1ゲート跡14c,13dは、第1ゲート105,105aに対応して形成される。
図7に示すように、直管本体12の第2層12bの外周面には、第2ゲート跡12cが形成されている。第2ゲート跡12cは、第2ゲート115aに対応して形成される。
このように構成された継手1Cは、以下のように製造される。
内管26aを形成するには、第1ゲート105,105aから第1射出成形原料を同時に供給する。これにより、第1射出成形原料が粘度の低い樹脂であっても、第1金型内に第1射出成形原料を均一にバランス良く充填することができる。これにより、内管26aに残留応力が生じるのを抑えることができる。
その後、外管26bを形成するには、第2ゲート115aから第2射出成形原料を供給する。
この場合には、第1ゲート105、105aの反対側の位置に形成されるウェルドライン(第1金型内での第1射出成形原料の合流痕)と、第2ゲート115aの反対側の位置に形成されるウェルドラインとが重なることがない。ウェルドラインは他の部分に比べて強度が劣るため、内管26aと外管26bのウェルドラインを重ならないようにすることで、射出成形品である継手1Cの強度を向上させることができる。
なお、ゲート跡も他の部分に比べて強度が劣るため、内管26aのウェルドラインが形成される位置に第2ゲート115aを設けないことが好ましい。
図8では、射出成形品がエルボ2である場合を第4変形例として示している。エルボ2は、曲管本体36と、曲管本体36の軸方向の両端部にそれぞれ形成された受口13,14と、を備えている。
曲管本体36は、曲がった管状に形成された第1層36aと、第1層36aの径方向外側に積層された第2層36bと、を備えている。例えば、曲管本体36の中心角は90°である。
受口13は、曲管本体36の軸方向の第1の端部に接続されている。受口14は、曲管本体36の軸方向の第1の端部とは反対の第2の端部に接続されている。
この例では、第1層14aの外周面には、第1ゲート跡14cが形成されている。第2層13bの外周面には、第2ゲート跡13cが形成されている。
第1ゲート跡14cと第2ゲート跡13cとは、第1層36aの外周面(主面)36a1に沿う方向である第1層36aの軸方向において、互いにずれた位置に配置されている。
図9では、射出成形品がソケット3である場合を第5変形例として示している。ソケット3は、受口13と、受口14と、を備えている。
受口14の外径、内径は、受口13の外径、内径よりもそれぞれ大きい。受口13、受口14は互いに同軸に配置されている。
以上、本発明の一実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の構成の変更、組み合わせ、削除等も含まれる。
例えば、前記実施形態では、第1層及び第2層は管状や筒状に形成されているとしたが、第1層及び第2層は平板状等に形成されているとしてもよい。第1層及び第2層が平板状に形成されている場合、第2層は、第1層の厚さ方向に積層される。第1ゲート跡と第2ゲート跡とは、第1層の厚さ方向に交差する第1層の主面に沿う方向において、互いにずれた位置に配置されている。
1,1A,1B,1C 継手(射出成形品)
2 エルボ(射出成形品)
3 ソケット(射出成形品)
12a,13a,14a,21a,36a 第1層
12a1,36a1 外周面(主面)
12b,13b,14b,21b,36b 第2層
12c 第2ゲート跡
13,14 受口
14c,12d 第1ゲート跡
31a,32a,33a 突部
101 第1金型
105 第1ゲート
111 第2金型
115 第2ゲート

Claims (4)

  1. 第1ゲート跡が形成された第1層と、
    第2ゲート跡が形成され、前記第1層に積層された第2層と、
    を備え、
    前記第1ゲート跡と前記第2ゲート跡とが、前記第1層の主面に沿う方向において互いにずれた位置に配置されている射出成形品であって、
    前記射出成形品は、第1端部に受口又は挿し口が形成されるとともに、前記第1端部とは異なる第2端部に受口又は挿し口が形成された継手であり、
    前記第1ゲート跡は、前記第1端部の前記受口又は前記挿し口における前記第1層の外周面に形成され、
    前記第2ゲート跡は、前記第2端部の前記受口又は前記挿し口における前記第2層の外周面に形成されている射出成形品。
  2. 前記第1層は非晶性樹脂で形成され、
    前記第2層は結晶性樹脂で形成されている請求項1に記載の射出成形品。
  3. 前記第1層から前記第2層に向かって突出する突部を備え、
    前記第1ゲート跡は、前記突部における突出方向の先端面に形成されている請求項1又は2に記載の射出成形品。
  4. 請求項1に記載の射出成形品の製造方法であって、
    第1金型の第1ゲートから前記第1金型内に第1射出成形原料を供給して、前記第1金型内で第1層を射出成形により形成する第1射出成形工程と、
    第2金型の第2ゲートから前記第2金型内に第2射出成形原料を供給して、前記第2金型内で前記第1層に積層させた第2層を射出成形により形成する第2射出成形工程と、
    を行い、
    前記第1射出成形工程における前記第1層に対する前記第1ゲートの位置と前記第2射出成形工程における前記第1層に対する前記第2ゲートの位置とが、前記第1層の主面に沿う方向において互いにずれている射出成形品の製造方法。
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