JP2009023228A - 樹脂中空成形体の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】複雑な内面形状の中空形状の樹脂中空成形体の製造方法を提供する。
【解決手段】樹脂中空成形体の製造方法は、水溶性若しくは加水分解性の樹脂Aを用いて射出成形して中子を形成する工程と、樹脂Aの中子を金型内に少なくとも一部分が外部と接触できるように配置し、該中子の外側周囲に、所望する中空成形体の外部構造を形成するように非加水分解性でかつ疎水性の樹脂Bを、次式:樹脂Aの融点(TmA℃)>樹脂Bの射出成形温度(T℃)−150(℃)を満足する射出温度で射出成形して、該中子と一体化された成形体を形成する工程と、一体化成形体を、加圧下かつ該樹脂Bの融点より低い温度下でのオートクレーブ養生により、中子を形成している該樹脂Aのみを、該中子が外部と接触できる部分より除去して中空部を形成する工程とを備えている。
【選択図】図1

Description

本発明は、樹脂中空成形体の製造方法に関し、特に複雑な中空形状を有する、樹脂からなる中空成形体の製造方法に関する。
一般に、中空構造を有する部品等の成形体を製造する場合には、複数の部材を組み合わせた後に所望の中空空間を成形できるように、予め別個に設計・製造されたこれらの複数の部材を、接着・接合して製造することが前提となっている。
これらの複数部材の接着・接合は、通常、接着剤、パッキン、ネジ締結、溶着・溶融などの手段を用いて行われており、接合界面のシール性能を確保して、成形された後の内部中空空間を外部と遮断、安定化するための工夫・製法がとられている。
このような中空体の製造方法としては、特開2004−216672号公報(文献1)や特開2006−015738号公報(文献2)等に開示されている方法がある。
しかし、このような複数の部材を接合する工程では、複数の部材を製造するための複数の金型を準備する工程、複数の部材を組立てする工程や接合部を接合する工程が必ず必要である。
更に、所望の中空空間形状を組み立てによって形成させるために、個別に製造する個々の部材を設計する設計工程や、接合面において接合が十分であるか等の、界面のシール性の評価工程も必要となる。
従って従来の方法では、このように製造工程が複雑で多くなってしまい煩雑であり、また、製造コストが上昇する。
更に、部材を接合等するので、組み立て後の成形体の外部には接合部、即ち継ぎ目が存在することになり、使用しているうちに接合部が劣化して、例えば成形体内部に含有される液体等が漏洩する場合があった。
また、他の中空成形体の製造方法として、圧縮気体を吹き込んで中空構造をつくるブロー成形や、光硬化性樹脂を用いた成形方法などがあり、例えば、ブロー成形方法としては、特開2001−096610号公報に記載された中空成形体の製造方法(文献3)等や、光硬化成形方法としては、例えば、特許第3650216号公報(文献4)に記載された方法等がある。
しかしブロー成形は専用の装置が必要となる上に、精密な中空構造の作製が困難である。
また、光硬化を用いた方法は、光硬化装置が高価である上に成形に長時間を要するため、大量生産するには適切な方法ではない。
また、特開平8−174565号公報(文献5)には、低融点の第1の樹脂からなる中子を成形型中にセットし、これに前記第1の樹脂を使用し前記中子の少なくとも一部が内部を貫通するように射出成形したのち、前記成形型より取り出し、この取り出した成形品を前記第1の樹脂の融点よりも高く、かつ前記第2の樹脂の融点よりも低い温度に加熱するとともに、前記成形品のうち第1の樹脂で形成された中子に空気や液体などの流体で圧力を加え、前記溶融した中子を前記成形品のうち第2の樹脂で成形した第2樹脂体から流出することにより分離し、合成樹脂製の中空体を製造することを特徴とする合成樹脂中空体の製造方法が開示されている。
しかし、上記製造方法は、中子が外殻樹脂の一部を貫通するように形成されており、これは第1の中子形成樹脂の貫通部位の片方に直接圧力等をかけて、もう片方の貫通部位より第1の中子形成樹脂を溶融流出させることにより中空成形体を製造することとしており、かかる方法では、得られる成形体を中子が貫通している場合、即ち一体成形の中空成形体としては成形体外殻に中空部分と連通する2箇所以上の部位が在る形状の中空成形体を製造することしかできず、従って製造できる成形体の形状に制限がある。
また更に、上記製造方法では、第1の樹脂体に圧力をかけて第1の樹脂体を流出させていることから、複雑な中空形状を有する場合には、中子を形成する樹脂に圧力が均一にかかることは困難であり、圧力が均一にかからない細部には、中子を形成する樹脂が残存してしまい、複雑な中空形状の成形体を大量に一体成形することは困難であるという問題があった。
特に、内面が複雑な凹凸状の部分を有する場合や、中空部に外側に向かって拡出する部分を有する場合には、上記方法では、中空部を形成する中子を完全に取り除くことはできず、所望する正確な内部形状を有する中空成形品を得ることはできない。
特開2004−216672号公報 特開2006−015738号公報 特開2001−096610号公報 特許第3650216号公報 特開平8−174565号公報
本発明の目的は、上記問題を解決し、複雑な内面形状の中空形状の成形体を、工程数を少なくした簡便な方法で、継ぎ目を有することなく一体成形して大量に製造することができる、樹脂中空成形体の製造方法を提供することである。
更に、中空形状が極めて複雑な形状であっても、簡易な方法で、寸法精度も良好に一体成形することができる、樹脂中空成形体の製造方法を提供することである。
本発明者らは、上記課題に鑑みて、水溶性若しくは加水分解性の樹脂Aで中子を作成し、該中子の周囲に非加水分解性でかつ疎水性の樹脂Bを、該樹脂Aの融点と一定の温度関係を有する温度で射出成形し、次いで高温・高圧のオートクレーブ養生により、中子を形成する樹脂Aを完全に除去することができることを見出し、本発明に至ったものである。
即ち、本発明の樹脂中空成形体の製造方法は、水溶性若しくは加水分解性の樹脂Aを用いて中空部に相当する形状の中子を射出成形して中子を形成する工程と、前記樹脂Aの中子を金型内に少なくとも一部分が外部と接触できるように配置し、前記中子の外部と接触できる当該部分以外の該中子の外側周囲に、所望する中空成形体の外部構造を形成するように非加水分解性でかつ疎水性の樹脂Bを、下記式:
樹脂Aの融点(TmA℃)>樹脂Bの射出成形温度(T℃)−150(℃)
を満足する射出温度で射出成形して、該中子と一体化された成形体を形成する工程と、前記一体化成形体を、加圧下かつ該樹脂Bの融点より低い温度下でのオートクレーブ養生により、中子を形成している該樹脂Aのみを、該中子が外部と接触できる前記部分より除去して中空部を形成する工程とを備えたことを特徴とする、樹脂中空成形体の製造方法である。
また本発明の他の樹脂中空成形体の製造方法は、水溶性若しくは加水分解性の樹脂Aを用いて中空部に相当する形状の中子を射出成形する工程と、前記樹脂Aの中子を金型内に配置し、該中子の外側周囲に、所望する中空成形体の外部構造を形成するように非加水分解性でかつ疎水性の樹脂Bを、下記式:
樹脂Aの融点(TmA℃)>樹脂Bの射出成形温度(T℃)−150(℃)
を満足する射出温度で射出成形して、該中子と一体化された成形体を形成する工程と、該成形体の少なくとも一部分に外部と中子とが連通する孔を設け、前記一体化成形体を、加圧下かつ該樹脂Bの融点より低い温度下でのオートクレーブ養生により、中子を形成している該樹脂Aのみを該孔より除去して中空部を形成する工程とを備えたことを特徴とする、樹脂中空成形体の製造方法である。
好適には、上記本発明の樹脂中空成形体の製造方法において、水溶性若しくは加水分解性の樹脂Aの除去は、オートクレーブ内で、前記中子一体化成形体を高圧水蒸気雰囲気下に設置することにより、または高圧蒸気内の熱水と接触させることにより実施することを特徴とするものである。
更に好適には、上記本発明の樹脂中空成形体の製造方法において、オートクレーブ養生でのオートクレーブ内の圧力は2〜15気圧、温度は該樹脂Bの融点よりも低くかつ樹脂Aの融点よりも高くかつ105〜200℃であることを特徴とするものである。
本発明の中空成形体の製造方法は、継ぎ目がなく、密閉性または外部遮断性に対する信頼性が優れ、複雑な内面形状の中空構造の樹脂中空成形体を大量にかつ簡便に製造することが可能となる。
また、従来のように複数の部材を別個に作成する必要がないため、組み立てや接合・接着に関する工程は不要となり、従って製造工程が簡便なものとなるので、複雑な内面形状を有する樹脂中空成形体を低コストで製造することができることとなる。
このように本発明の製造方法によれば、複雑な内面凹凸中空形状を有する中空成形体や中空内部に外側に向かって拡出する部分や逆テーパー部分を有する場合であっても、寸法精度良く、樹脂製のシームレスな中空成形体を得ることが可能となる。
本発明を以下の最良の形態例について説明するが、これらに限定されるものではない。
本発明の樹脂中空成形体の製造方法は、水溶性若しくは加水分解性の樹脂Aを用いて中空部に相当する形状の中子を射出成形して中子を形成する工程と、前記樹脂Aの中子を金型内に少なくとも一部分が外部と接触できるように配置し、前記中子の外部と接触できる当該部分以外の該中子の外側周囲に、所望する中空成形体の外部構造を形成するように非加水分解性でかつ疎水性の樹脂Bを射出成形して、該中子と一体化された成形体を形成する工程と、前記一体化成形体を、加圧下かつ該樹脂Bの融点より低い温度下でのオートクレーブ養生により、中子を形成している該樹脂Aのみを、該中子が外部と接触できる前記部分より除去して中空部を形成する工程とを備えるものである。
また、本発明の他の樹脂中空成形体の製造方法は、水溶性若しくは加水分解性の樹脂Aを用いて中空部に相当する形状の中子を射出成形する工程と、前記樹脂Aの中子を金型内に配置し、該中子の外側周囲に、所望する中空成形体の外部構造を形成するように非加水分解性でかつ疎水性の樹脂Bを射出成形して、該中子と一体化された成形体を形成する工程と、該成形体の少なくとも一部分に外部と中子とが連通する孔を設け、前記一体化成形体を、加圧下かつ該樹脂Bの融点より低い温度下でのオートクレーブ養生により、中子を形成している該樹脂Aのみを該孔より除去して中空部を形成する工程とを備えるものである。
本発明の製造方法は、上記構成を採用することで、継ぎ目がなく、密閉性または外部遮断性に対する信頼性が優れ、複雑な内面形状を有する中空構造の、樹脂製の中空成形体を大量にかつ簡便に製造することが可能となるものである。
ここで、本発明においては、樹脂Aの融点と樹脂Bの射出成形温度とは、以下の関係を満足するものである。
樹脂Aの融点(TmA℃)>樹脂Bの射出成形温度(T℃)−150(℃)
本発明の製造方法では、先ず所望する中空部の形状に相当する中子を樹脂Aにより形成する。
かかる中子の形成は、例えば中子形状のキャビティを有する中子用金型に樹脂Aを射出する射出成形方法等により形成することができる。
該中子の形成に用いられる樹脂Aは、水溶性若しくは加水分解性の樹脂であれば任意の樹脂を使用することができ、例えば、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリオキシメチレン(POM)、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリヒドロキシエチルメタクリレート(PHEMA)等の水溶性ポリアクリル酸・ポリメタクリル酸誘導体等を用いることができる。
ここで、樹脂Aは、水溶性若しくは加水分解性の樹脂でなければならず、これは後の工程でのオートクレーブ養生において、樹脂Aを水蒸気または熱水により容易にかつ完全に除去することが可能となるからである。
また、樹脂Aは、その熱伝導率が2W/(m・K)以下、好ましくは1W/(m・K)以下、より好ましくは0.5W/(m・K)以下であって、0.1W/(m・K)以上の水溶性若しくは加水分解性樹脂が好ましく用いられる。
このような熱伝導率範囲を有する樹脂Aを用いることで、中子の周囲に樹脂Bを射出した際であっても、樹脂Bの熱が樹脂Aに伝導しにくくなり、中子一体成形体の寸法精度がより向上する。
次いで得られた中子を、所望する成形体製品用金型内のキャビティ内の所定の位置に配置して、該中子の外面と該製品用金型のキャビティ面との間に設けられた空隙に溶融状態の樹脂Bを射出し、該樹脂Bを冷却固化させることで、樹脂Aの中子の周囲に樹脂Bが一体となった状態の射出中子一体化成形体が形成される。
中子を該製品用金型内のキャビティに設置する際には、該中子を該キャビティ内に、少なくとも該中子の一部分が外部と接触できるように設置して、樹脂Bを射出することができる。
外部と接触できる該部分は、得られた射出中子一体化成形体をオートクレーブ養生して該中子を除去する際に、中子が除去される孔として機能する部分であり、該部分は少なくとも1箇所あれば、本発明における上記効果を奏することができるものである。
または中子を該製品用金型内のキャビティに設置して、該中子の周囲に樹脂Bを射出することもできる。
かかる場合には、得られた射出中子一体化成形体を次のオートクレーブ養生工程に課する前に、該射出中子一体化成形体の少なくとも一部分に、中子と成形体外部とを連通する孔を設ける工程が必要であり、該孔は上記したと同様に、オートクレーブ養生工程での中子の除去孔として機能するものである。
本発明の中空成形体の外殻形状を構成する樹脂Bとしては、非加水分解性でかつ疎水性の樹脂であれば任意の樹脂を使用することができ、例えば、高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート(PC)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)などの汎用樹脂及びエンジニアリングプラスチック等がある。
ここで、樹脂Bは、非加水分解性でかつ疎水性の樹脂でなければならず、更に好ましくは結晶性の樹脂であり、これは後の工程でのオートクレーブ養生において、樹脂Aが水蒸気または熱水により容易にかつ完全に除去される際にも、成形体の外殻を形成する樹脂Bが該オートクレーブ養生によって影響を及ぼされず、良好な形態保持性を維持することが可能となるからである。
また、本発明においては、上記水溶性若しくは加水分解性樹脂Aの融点(TmA℃)と、樹脂Bの射出成形温度(T℃)とは、以下の関係を有する。
樹脂Aの融点(TmA℃)>樹脂Bの射出成形温度(T℃)−150(℃)
望ましくは、
樹脂Aの融点(TmA℃)>樹脂Bの射出成形温度(T℃)−120(℃)
の関係を有する。
かかる関係を有することにより、樹脂Aにより形成された中子が、融解した樹脂Bの射出による応力と熱によって変形することなく、所望の中空構造の寸法安定性を保持することができる。
なお、この関係を満たさない場合は中子が変形・損傷し、所望の中空構造を得ることが困難となる。
ここで、本発明においては、樹脂Bの射出成形温度とは、樹脂Bを射出する金型内のノズル先端の設定温度を意味するものであり、該設定温度は、樹脂Bの射出成形時の溶融温度とほぼ同一である。
また、樹脂の融点とは、JIS K7121 プラスチックの転移温度測定方法で測定した温度をいうものである。
次いで、得られた射出中子一体化成形体から中子を除去して、所望する中空成形体を製造する。
まず、該射出中子一体化成形体をオートクレーブ内に設置してオートクレーブ養生等することで、該中子樹脂Aを完全に溶出させて除去し、中空部が複雑な形状を有する樹脂中空成形体を、寸法精度良好に製造することができる。
該オートクレーブ養生は、好ましくは、該射出成形体を高温・高圧水蒸気雰囲気下にさらす方法、または高温・高圧水蒸気内の熱水と接触させる方法(例えば、高温・高圧の水蒸気雰囲気内に設置された水槽内の熱水中に該射出成形体が浸漬される方法等)等により行なう。
該オートクレーブ養生により、中子を形成する樹脂Aを完全に、前記孔(外部と接触している中子の部分または、中子と外部が連通するようにオートクレーブ工程前に設けられた孔)から溶出・除去させることができる。
中子は水溶性若しくは加水分解性の樹脂を使用し、成形体の外殻を構成する樹脂Bは非加水分解性樹脂で疎水性の樹脂を使用していることで、オートクレーブ養生手段、例えば射出成形体全体を一定の高温、高圧水蒸気下等にさらすことで、該樹脂Aは、水蒸気及び熱水による樹脂Aの加水分解や溶解(主として)、熱による溶融や融解が起こり完全に溶出され、一方樹脂Bは溶出されず、変形しない。
また、該オートクレーブ養生における温度は、樹脂Bの融点よりも低く、かつ樹脂Aの融点よりも高いことが必要であり、例えばオートクレーブ内の圧力や温度は、より具体的には、圧力が2〜15気圧、望ましくは3〜10気圧、より望ましくは7〜10気圧、温度が105℃〜200度、望ましくは130〜180℃、より望ましくは165〜180℃であることが好ましい。
これらの条件でオートクレーブ養生を行なうことにより、24時間以内、望ましくは15時間以内、更に望ましくは0.5〜5時間以内で、樹脂Aが完全に溶出し、中空部が複雑な形状を有する樹脂中空成形体を、寸法精度が良好に製造することができる。
このようにして得られた中空の成形体を乾燥させることにより、所望の複雑な中空構造を有し、継ぎ目のない樹脂中空成形体を得ることができる。
本発明を次の実施例、比較例及び試験例により説明する。
(実施例1〜16、比較例1〜11)
表1の樹脂A及び樹脂Bとの組み合わせを用いて、図1及び図2に示す中空構造成形体を作成した。
なお、表1に示す樹脂A及び樹脂Bは、以下のものを用いた。
樹脂A:
(ア)ポリビニルアルコール(1)(PVA(1);耐熱性グレード、製品名:クラレポバール CP−1000、株式会社クラレ製)、TmA(融点)175℃)
(イ)ポリビニルアルコール(2)(PVA(2);通常グレード、製品名:クラレポバール PVA−102、株式会社クラレ製)、TmA(融点)145℃)
(ウ)ポリエチレングリコール(PEG、製品名:PEG−20000、日本油脂株式会社製)、T(融点)65℃)
樹脂B:
(1)高密度ポリエチレン(HDPE、製品名:ハイゼックス 2200J、プライムポリマー株式会社製、融点135℃)
(2)ポリプロピレン(PP、製品名:プライムポリプロ J108M、プライムポリマー株式会社製、融点170℃)
(3)ポリスチレン(PS、製品名:GPPS G590、日本ポリスチレン株式会社製、融点230〜260℃)
(4)ポリ塩化ビニル(PVC、製品名:信越PVC 硬質グレード、信越化学工業株式会社製、融点210℃)
(5)ポリエチレンテレフタレート(PET、製品名:クラペット KS750RC、株式会社クラレ製、融点265℃)
(6)ポリカーボネート(PC、製品名:ユーピロン S−3000R、三菱エンジニアリングプラスチックス株式会社製、融点230〜260℃)
(7)ポリフェニレンスルフィド(PPS、製品名:H−1G、大日本インキ化学工業株式会社、融点280℃)
上記各樹脂A及び樹脂Bを下記表1の組み合わせで用いて、まず、中子一体化成形体を作成した。
所望する最終的な樹脂中空成形体の中空構造を型作る図1及び図2中の中子2又は2’の形状の中子成形体を、上記各樹脂Aにより製造した。
具体的には、該各樹脂Aを溶融して、最終的な中空成形体1又は1’の中空構造を型作る図1及び図2中の中子2又は2’に相当する形状のキャビティを有する各中子用金型に樹脂Aを射出成形して、冷却することにより、それぞれ中子2又は2’を製造した。
次いで、該各中子2又は2’を、最終的な中空成形体製品用の金型内のキャビティの所定の位置に設置し、該各中子の周囲に各樹脂Bを、表1に示す各射出温度で射出成形して(5又は5’)、図1及び図2に示す形状の中子一体化成形体1又は1’を得た。
但し、図1の中子一体化成形体1を製造するにあたっては、中子2の一部分3が直径4mmの円形状で成形体1の外部に連通するように、該中子2を、該成形体製品用の金型キャビティ内の所定の位置に設置して、一口開放型の中子一体化成形体1を製造した。
図1(a)は、一口開放型の中子一体化成形体の透視図、図1(b)は図1(a)のY軸に垂直な中央部の断面図、図1(c)は図1(a)のZ軸に垂直な中央部の断面図を示す。
また、図2の成形体1’を製造するにあたっては、中子2’の2箇所3及び4部分が直径4mmの円形状で、成形体1’の外部と連通するように、該中子2’を、該成形体製品用の金型キャビティ内の所定の位置に設置して、二口開放型の中子一体化成形体1’を製造した。
図2(a)は、二口開放型の中子一体化成形体の透視図、図2(b)は図2(a)のY軸に垂直な中央部の断面図、図2(c)は図2(a)のZ軸に垂直な中央部の断面図を示す。
ただし、上記射出成形は、日精樹脂工業株式会社製の60t堅型成形機HT−60を用いて行った。
また、表1の樹脂Bの射出温度とは、樹脂Bを射出する際の温度であり、具体的には製品用金型内の樹脂Bを射出するノズル先端温度の設定温度を示す。
各中子一体化成形体の成形性について、表1にその評価を示す。
評価は、得られた各中子一体化成形体を切断して、該中子の形状保持性等により、以下の基準で評価した。
○・・・中子(樹脂A)の変形がなく、中子一体化成形体が得られた。
×・・・樹脂Bの射出成形時に、中子(樹脂A)が変形した。
表1より、比較例1〜5のものは、樹脂Bの射出時に中子が変形していたことが明らかとなった。
次いで、得られた実施例1〜16、比較例6〜8の前記中子一体化成形体(成形性の評価が○の各中子一体化成形体)を、表1に示す各条件下のオートクレーブ内に表1に示す時間の間設置して、オートクレーブ養生を行い、中子を構成する樹脂Aを、図1の一口開放型の中子一体化成形体の円柱孔3より、または、図2の二口開放型の中子一体化成形体の円柱孔3及び4より溶出させて、図3の一口開放型中空成形体及び図4の二口開放型中空成形体を得た。
但し、オートクレーブ養生は、予め準備した水を張った水槽内に、各成形体を開口部を下向き(図1の成形体)または上下方向(図2の成形体)にして浸漬し、該水槽を高温・高圧の水蒸気雰囲気であるオートクレーブ内に設置して行った。
また、比較例9〜11の各中子一体化成形体を、オートクレーブ養生ではなく、200℃の乾燥状態の常圧のオーブンにて、3時間の、乾燥オーブン養生を行なった。
但し、図1に示す各一口開放型の中子一体化成形体は、前記乾燥オーブン中に設置させた状態で行ったが、図2に示す各二口開放型の中子一体化成形体については、前記乾燥オーブン中で各中子一体化成形体を設置させるとともに開口部3から開口部4に向かって加圧(10〜100Mpa程度の圧縮空気)しながら、上記乾燥オーブン養生を行なった。
次いで、該オートクレーブまたは乾燥オーブン養生後の各中空成形体を切断して、中子が除去され所望する複雑な中空形状の成形体が得られているかどうかを評価した。
○・・・図1及び図2の中子が完全に除去され、得られた中空形状の寸法精度
も良好な成形体
×・・・図2の中子の逆テーパー部6以外の樹脂Aは除去されたが、図1の中子が
残存している成形体
××・・図1及び図2の中子がほとんど残存している成形体
Figure 2009023228
表1より、中子を形成する樹脂Aの融点が外郭構造を形成する樹脂Bの融点よりも低い樹脂を組み合わせた比較例6〜9の中子一体化成形体であっても、樹脂Aが加水分解性または水溶性の樹脂で樹脂Bが非加水分解性または疎水性の樹脂の組み合わせでない場合には、複雑な形状の中空成形体を製造するのは困難であることがわかる。
また、表1より、中子一体化成形体を適正に得た比較例9〜11のものであっても、オートクレーブ養生ではなく、単に加熱しながら一方の開口部より中子を加圧する乾燥オーブン養生では、複雑な形状の中空成形体を製造するのは困難であることも明らかである。
一方、表1より、実施例1〜16のものは複雑な中空形状の成形体を寸法精度も良好に製造することが可能であることが明らかである。
ここで、図3は本発明の製造方法により得られた、実施例1〜16の一口開放型中空成形体のZ軸(図1参照)に垂直な中央部の透視断面図を示し、図4は本発明の製造方法により得られた、実施例1〜16の二口開放型中空成形体のZ軸(図2参照)に垂直な中央部の透視断面図を示す。
これらの図3及び図4より明らかなように、本発明の製造方法により得られた中空成形体は中子が完全に除去されており、所望する中空形状が得られている。
本発明の中空成形体の製造方法は、外部に接続部を有さないため、複雑な中空形状を有する中空成形体、特に、成形体内部に液体や気体等を封入ないし流動させて用いるような用途、例えば冷媒液体の循環、排気マニホルド等の用途に使用する複雑な中空形状の中空成形体の製造に有効に適用することができる。
一口開放型の中子一体化成形体の例を示す図である。 二口開放型の中子一体化成形体の例を示す図である。 本発明の一口開放型中空成形体の透視断面図である。 本発明の二口開放型中空成形体の透視断面図である。
符号の説明
1、1’ 中空成形体
2、2’ 中子
3,4 開口部(円柱孔)
5,5’ 外殻体(樹脂B)
6 逆テーパー部

Claims (4)

  1. 水溶性若しくは加水分解性の樹脂Aを用いて中空部に相当する形状の中子を射出成形して中子を形成する工程と、
    前記樹脂Aの中子を金型内に少なくとも一部分が外部と接触できるように配置し、前記中子の外部と接触できる当該部分以外の該中子の外側周囲に、所望する中空成形体の外部構造を形成するように非加水分解性でかつ疎水性の樹脂Bを、下記式:
    樹脂Aの融点(TmA℃)>樹脂Bの射出成形温度(T℃)−150(℃)
    を満足する射出温度で射出成形して、該中子と一体化された成形体を形成する工程と、
    前記一体化成形体を、加圧下かつ該樹脂Bの融点より低い温度下でのオートクレーブ養生により、中子を形成している樹脂Aのみを、該中子が外部と接触できる前記部分より除去して中空部を形成する工程とを備えたことを特徴とする、樹脂中空成形体の製造方法。
  2. 水溶性若しくは加水分解性の樹脂Aを用いて中空部に相当する形状の中子を射出成形する工程と、
    前記樹脂Aの中子を金型内に配置し、該中子の外側周囲に、所望する中空成形体の外部構造を形成するように非加水分解性でかつ疎水性の樹脂Bを、下記式:
    樹脂Aの融点(TmA℃)>樹脂Bの射出成形温度(T℃)−150(℃)
    を満足する射出温度で射出成形して、該中子と一体化された成形体を形成する工程と、
    該成形体の少なくとも一部分に外部と中子とが連通する孔を設け、
    前記一体化成形体を、加圧下かつ該樹脂Bの融点より低い温度下でのオートクレーブ養生により、中子を形成している該樹脂Aのみを該孔より除去して中空部を形成する工程とを備えたことを特徴とする、樹脂中空成形体の製造方法。
  3. 請求項1または2記載の中空成形体の製造方法において、水溶性若しくは加水分解性の樹脂Aの除去は、オートクレーブ内で、前記中子一体化成形体を高圧水蒸気雰囲気下に設置することにより、または高圧蒸気内の熱水と接触させることにより実施することを特徴とする、樹脂中空成形体の製造方法。
  4. 請求項3記載の樹脂中空成形体の製造方法において、オートクレーブ養生でのオートクレーブ内の圧力は2〜15気圧、温度は該樹脂Bの融点よりも低くかつ樹脂Aの融点よりも高くかつ105〜200℃であることを特徴とする、樹脂中空成形体の製造方法。
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