JP7335108B2 - 分散剤包装体及び水硬性組成物 - Google Patents
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Description
他方、細骨材の粗悪化は、増粘性コンクリートの分散保持性(分散性の持続性)を悪化させて、所望の分散性を発現した増粘性コンクリートの可使時間を短くしてしまう傾向にある。
また、粉末増粘剤に、粉末分散剤を予混合し、同時にコンクリートに添加する方法が特許文献2や特許文献3に記載されている。しかしながら、この方法によっても、近年求められている増粘性コンクリートの分散保持性を持続させるには不十分である。
即ち、本発明者らは、下記の〔1〕~〔6〕を提供する。
〔1〕リグニン誘導体粉末、又はリグニンスルホン酸とポリカルボン酸系共重合体の混合粉末である減水剤成分と、増粘剤成分と、を少なくとも含む分散剤を水溶紙に内包し、前記水溶紙の溶解度Aに対する前記分散剤の溶解度Bの比率(B/A)が、20~100%である分散剤包装体。
〔2〕前記減水剤成分が、前記混合粉末であり、前記リグニンスルホン酸に対する前記ポリカルボン酸系共重合体の質量比(ポリカルボン酸系共重合体/リグニンスルホン酸)が、固形分換算で、30~90%である上記〔1〕に記載の分散剤包装体。
〔3〕前記水溶紙の溶解度Aが、10~100mL/gである上記〔1〕又は〔2〕に記載の分散剤包装体。
〔4〕前記リグニン誘導体粉末の溶解度が、1.0~5.0mL/gである上記〔1〕~〔3〕のいずれかに記載の分散剤包装体。
〔5〕前記混合粉末の溶解度が、1.0~5.0mL/gである上記〔1〕~〔4〕のいずれかに記載の分散剤包装体。
〔6〕水硬性材料、水及び上記〔1〕~〔5〕のいずれかに記載の分散剤包装体を含む水硬性組成物。
リグニン誘導体粉末、又はリグニンスルホン酸とポリカルボン酸系共重合体の混合粉末である減水剤成分と、増粘剤成分と、を少なくとも含む分散剤を水溶紙に内包する。
また、水溶紙の溶解度Aに対する分散剤の溶解度Bの比率(B/A)は、20~100%であり、好ましくは20~80%である。比率(B/A)が、100%超であると、コンクリートへの増粘性の溶解が遅延し、増粘性コンクリートを得るために長時間を要する場合がある。一方、20%未満であると、分散剤の溶解が速すぎ、コンクリートの分散保持性が発現しない場合がある。
分散剤は、所定の減水剤成分と、増粘剤成分と、を少なくとも含む。また、分散剤は、水溶紙に内包される。
分散剤を水溶紙に内包することにより、本発明の分散剤包装体を含水材料に投入した後、水溶紙が溶解し、分散剤が含水材料と接触する。そして、減水剤成分の効果により増粘剤成分が速やかに分散して、増粘性コンクリートを短時間に得ることができる。ただし、この減水剤成分の分散が極めて速い場合には、減水剤成分が速やかにセメントに吸着する。そのため、コンクリートの分散保持性を長時間に維持することは困難となる。
質量比が0.5未満であると、減水剤成分による分散剤成分の分散性能が不足し、増粘剤成分が十分に分散しない場合がある。そのため、作業時間の増大を招く場合がある。従って、作業性に劣る場合がある。また、分散性能よりも増粘性能が優位になるため、所定の分散性が発現しない場合もある。従って、分散保持性が不十分な場合がある。
一方、質量比が10超であると、相対的に増粘剤成分の量が不足し、材料分離抑制作用が得られ難くなる場合がある。従って、分散保持性が不十分な場合がある。
減水剤成分は、リグニン誘導体粉末、又はリグニンスルホン酸とポリカルボン酸系共重合体の混合粉末である。
リグニン誘導体粉末又は上記混合粉末を有効成分とする減水剤成分は、コンクリート中での徐放性に優れている。すなわち、当該減水剤成分は、増粘剤成分の分散を補助するのみでなく、増粘性コンクリートの分散性を保持する効果も有する。従って、分散保持性を持続し得る。また、当該減水剤成分は、一般に用いられる分散保持剤に懸念されるコンクリートの硬化遅延を引き起こさない。そのため、施工性を悪化させずに増粘性コンクリートの可使時間を増大し得る。従って、作業性を向上し得る。
それゆえ、水溶紙に当該減水剤成分と増粘剤成分を内包することにより、優れたコンクリートの分散保持性を発揮し、分散保持性を持続し得るという本発明の効果を奏する。
「リグニン誘導体」とは、リグニンスルホン酸系化合物由来の構成単位と水溶性化合物由来の構成単位を含むポリマーをいう。また、リグニン誘導体は、他の芳香族系化合物由来の構成単位を含んでもよい。なお、リグニン誘導体の化学構造を、一般式などで一律に特定することは困難である。その理由は、リグニン誘導体を構成するリグニンスルホン酸系化合物の骨格であるリグニンが木材由来のため非常に複雑な分子構造をしているためである。
アニオン性官能基は、リグニン誘導体のうち、水溶性化合物由来の構成単位に含まれていてもよいし、リグニンスルホン酸系化合物由来の構成単位の一部に含まれていてもよいし、両者に含まれていてもよい。
なお、リグニン誘導体中のアニオン性官能基は、NMR、IR等の機器分析により、定量的又は定性的に観測し得る。
アルキレンオキシド単位の平均付加モル数は、25以上が好ましく、30以上がより好ましく、35以上がさらに好ましい。これにより、分散性が良好となり得る。上限は、300以下が好ましく、200以下がより好ましく、150以下がさらに好ましい。これにより、分散保持性の低下を抑制し得る。従って、平均付加モル数は、好ましくは25~300であり、より好ましくは30~200であり、さらに好ましくは35~150である。
ポリアルキレンオキシド鎖は、リグニン誘導体のうち、リグニンスルホン酸系化合物由来の構成単位の一部に含まれていてもよいし、水溶性化合物に由来する構成単位に含まれていてもよいし、両者に含まれていてもよく、両者に含まれることが好ましい。
なお、リグニン誘導体中のポリアルキレンオキシド鎖は、NMR、IR等の機器分析により、定量又は定性的に観測し得る。
リグニンスルホン酸系化合物とは、リグニンのヒドロキシフェニルプロパン構造の側鎖α位の炭素が開裂してスルホ基(スルホン酸基)が導入された骨格を有する化合物である。骨格部分の構造を式(0)に示す。
「水溶性化合物」とは、水溶性を示す化合物をいう。水溶性化合物としては、例えば、水溶性の塩類、アクリル酸誘導体、メタクリル酸誘導体、グルコン酸系化合物、多糖類、ポリアルキレングリコール系化合物、ポリカルボン酸系化合物、ナフタレンスルホン酸系化合物、芳香族系水溶性化合物が挙げられる。
水溶性化合物は、亜硫酸パルプ廃液、即ち、亜硫酸パルプ廃液の主成分と反応し得る化合物が好ましく、リグニンスルホン酸系化合物に含まれる官能基(例えば、フェノール性水酸基やアルコール性水酸基、カルボキシル基、チオール基)と化学反応により結合しうる化合物がより好ましい。化学反応の形式も特に限定されない。例えば、ラジカル反応、イオン結合、配位結合、縮合反応、加水分解を伴う反応、脱水を伴う反応、酸化を伴う反応、還元を伴う反応、中和を伴う反応が挙げられる。
ポリアルキレンオキシド鎖を構成するアルキレンオキシド単位の炭素原子数は、特に限定されない。炭素原子数は、通常、2~18であり、好ましくは2~4であり、より好ましくは2~3である。アルキレンオキシド単位としては、例えば、エチレンオキシド単位、プロピレンオキシド単位、ブチレンオキシド単位が挙げられる。中でも、エチレンオキシド単位又はプロピレンオキシド単位が好ましい。
アルキレンオキシド単位の平均付加モル数は、25以上が好ましく、30以上がより好ましく、35以上がさらに好ましい。これにより、分散性が良好となり得る。上限は、300以下が好ましく、200以下がより好ましく、150以下がさらに好ましい。これにより、分散保持性の低下を抑制し得る。従って、平均付加モル数は、好ましくは25~300であり、より好ましくは30~200であり、さらに好ましくは35~150である。
なお、平均付加モル数は目安であり、上述の範囲を満たすか否かに拘らず、〔A〕は、アルキレンオキシド単位が繰り返し付加していないもの(モノアルキレンオキシド単位)を有していてもよい。
〔B〕としては、例えば、少なくとも1つのカルボキシル基を有する、ナフタレン環又はベンゼン環誘導体が挙げられる。より詳細には、イソフタル酸、オキシナフトエ酸、安息香酸、ヒドロキシ安息香酸、これらの異性体が挙げられる。反応性が良好であるため、o-ヒドロキシ安息香酸、m-ヒドロキシ安息香酸、p-ヒドロキシ安息香酸が好ましい。〔B〕は、1種でもよいし、2種以上の組み合わせでもよい。
〔C〕としては、例えば、アルキルナフタレンスルホン酸、アルキルフェノールスルホン酸、アニリンスルホン酸、アルキルベンゼンスルホン酸が挙げられる。より詳細には、ナフタレンスルホン酸、メチルナフタレンスルホン酸、ブチルナフタレンスルホン酸、フェノールスルホン酸、クレゾールスルホン酸、アニリンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、これらの異性体及び縮合物が挙げられる。縮合物としては、例えば、ナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物が挙げられる。反応性が良好であるため、スルホ基を有するフェノール誘導体、アニリンスルホン酸が好ましく、フェノールスルホン酸、アニリンスルホン酸がより好ましい。〔C〕は、1種でもよいし、2種以上の組み合わせでもよい。
〔D〕としては、〔A〕~〔C〕以外の芳香族系水溶性化合物が挙げられ、例えば、フェノール、クレゾール等の(アルキル)フェノールが挙げられる。〔D〕は、1種でもよいし、2種以上の組み合わせでもよい。
リグニン誘導体は、上記のリグニンスルホン酸系化合物由来の構成単位と水溶性化合物由来の構成単位の他に、他の芳香族系化合物由来の構成単位を含んでもよい。〔E〕としては、例えば、ベンゼン、ナフタレン等の単純芳香族炭化水素化合物が挙げられる。〔E〕は、1種でもよいし、2種以上の組み合わせでもよい。
リグニン誘導体の調製は、リグニンスルホン酸系化合物、水溶性化合物、必要に応じて他の芳香族系化合物を反応させる方法であればよい。例えば、リグニンスルホン酸系化合物と水溶性化合物とを化学的に結合する方法(リグニンスルホン酸系化合物中の官能基(例えば、フェノール性水酸基やアルコール性水酸基、カルボキシル基、チオール基)と、水溶性化合物中の官能基とを結合させる方法、或いはリグニンスルホン酸系化合物の芳香族骨格部分と水溶性化合物や他の芳香族系化合物を反応させる方法)が挙げられる。
以下、水溶性化合物として芳香族系水溶性化合物を用いる場合を例に説明する。
なお、溶媒は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用(例えば、水-アルコール混合溶剤)してもよい。
リグニン誘導体の調製においては、反応を安定に進行させることが好ましい。そのため、溶液重合により反応させる場合、使用する溶媒の25℃における溶存酸素濃度を、好ましくは5ppm以下、より好ましくは0.01~4ppm、さらに好ましくは0.01~2ppm、さらにより好ましくは0.01~1ppmの範囲に調節し得る。溶存酸素濃度の調節は、反応槽で行ってもよく、反応前に予め済ませてもよい。
反応の進行に伴って、反応溶媒の粘度が増大する。そのため、反応溶媒が所望の粘度に達した時に、冷却又は中和によって反応を停止すればよい。
水溶性化合物由来の構成単位〔M〕の重量比率が1.0重量%以上であると、得られるリグニン誘導体は、元来リグニン骨格が有する性能、すなわち分散性を向上させる効果を発現し得る。一方、水溶性化合物由来の構成単位〔M〕の重量比率が99重量%以下であると、リグニン誘導体の分子量が適度な範囲となり、凝集性の発揮を抑制し、分散性能を発揮し得る。
リグニンスルホン酸系化合物と水溶性化合物を反応させてリグニン誘導体を得る場合、〔L〕/〔M〕は、(反応前のリグニンスルホン酸系化合物の固形分重量)/(反応前の芳香族系水溶性化合物の固形分重量)で定義され、後述の実施例でもこの方法で測定している。
ここで、〔A〕~〔E〕は上記した化合物に対応する。
得られたリグニン誘導体は、反応終了後、乾燥して粉末化する。乾燥方法は、公知の方法で行い得る。例えば、カルシウム、マグネシウム等の二価金属の水酸化物で中和して多価金属塩とした後に乾燥する方法;シリカ系微粉末等の無機粉体に担持して乾燥する方法;乾燥装置(例えば、ドラム型乾燥装置、ディスク型乾燥装置又はベルト式乾燥装置)の支持体上に薄膜状に乾燥固化する方法;スプレードライヤによって乾燥固化する方法が挙げられる。
リグニン誘導体の重量平均分子量は、好ましくは1,000~500,000であり、より好ましくは2,000~300,000であり、さらに好ましくは5,000~100,000である。なお、重量平均分子量は、ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)にてポリエチレングリコール換算する公知の方法にて測定できる。
GPCの測定条件は、以下の条件である。
測定装置;東ソー製
使用カラム;Shodex Column OH-pak SB-806HQ、SB-804HQ、SB-802.5HQ
溶離液;0.05mM硝酸ナトリウム/アセトニトリル 8/2(v/v)
標準物質;ポリエチレングリコール(東ソー製又はGLサイエンス製)
検出器;示差屈折計(東ソー製)
混合粉末は、リグニンスルホン酸とポリカルボン酸系共重合体の混合粉末である。ポリカルボン酸は、一般に、液状物である。そのため、一般のポリカルボン酸系共重合体を水溶紙に内包すると、水溶紙は直ちに溶解する。従って、一般のポリカルボン酸系共重合体を分散剤として利用する場合、水溶紙に内包して袋状分散剤とすることはできない。
一方、リグニンスルホン酸とポリカルボン酸系共重合体の混合物は、乾燥により固形化して混合粉末となる。そのため、液状物である一般のポリカルボン酸系共重合体を分散剤として利用する場合であっても、水溶紙に内包して袋状分散剤とすることができる。
リグニンスルホン酸については、上記のリグニンスルホン酸系化合物の記載の通りである。
ポリカルボン酸系共重合体は、一般式(1)で表される単量体に由来する構成単位(I)、一般式(2)で表される単量体に由来する構成単位(II)、及び一般式(3)で表される単量体に由来する構成単位(III)からなる群から選択される少なくとも2種の構成単位を有する共重合体である。
構成単位(I)は、下記一般式(1)で表される単量体に由来する構成単位である。
R1は、水素原子であることが好ましい。R2は、水素原子又は炭素原子数1~3のアルキル基が好ましく、水素原子又はメチル基がより好ましい。R3は、水素原子が好ましい。
異なるオキシアルキレン基が混在する態様において、2種類以上のオキシアルキレン基の付加は、ブロック状の付加であってもよく、ランダム状の付加であってもよい。
これらの中でも、親水性及び疎水性のバランスの観点から、(ポリ)エチレングリコール(メタ)アリルエーテル、(ポリ)エチレングリコール(ポリ)プロピレングリコール(メタ)アリルエーテル、(ポリ)エチレン(ポリ)プロピレングリコール(メタ)アリルエーテル、(ポリ)エチレングリコール3-メチル-3-ブテニルエーテル、(ポリ)エチレン(ポリ)プロピレングリコール3-メチル-3-ブテニルエーテルが好ましい。
これらの中でも、(ポリ)アルキレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシ(ポリ)エチレングリコール(メタ)アクリレートが好ましく、メトキシ(ポリ)エチレングリコール(メタ)アクリレートがより好ましい。
構成単位(II)は、下記一般式(2)で表される単量体に由来する構成単位である。
R5は、水素原子が好ましい。R6は、水素原子、メチル基又は(CH2)rCOOM2が好ましい。R7は、水素原子が好ましい。
構成単位(III)は、下記一般式(3)で表される単量体に由来する構成単位である。
炭素原子数1~3のアルキル基の例は、R1~R3における例と同様である。R8は、水素原子が好ましい。R9は、水素原子が好ましい。R10は、水素原子が好ましい。
構成単位(IV)は、上記一般式(1)~(3)で表される単量体と共重合可能な単量体に由来する構成単位である。上記一般式(1)~(3)で表される単量体と共重合可能な単量体は、上記一般式(1)~(3)により表される単量体と構造上区別される。構成単位(IV)を構成する単量体は特に限定されなく、例えば、下記の各単量体を挙げることができる。
なお、これらの単量体は1種単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることが可能である。
ポリカルボン酸系共重合体は、それぞれ所定の単量体を、公知の方法によって共重合して調製し得る。該方法としては、例えば、溶媒中での重合、塊状重合等の重合方法が挙げられる。
重合温度は、用いる溶媒、重合開始剤の種類等の重合条件によって適宜異なるけれども、通常は40~120℃である。
これらの連鎖移動剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
ポリカルボン酸系共重合体における固形分濃度の下限は、5重量%以上が好ましく、15重量%以上がより好ましい。また、その上限は、70重量%以下が好ましく、65重量%以下がより好ましい。
混合粉末は、リグニンスルホン酸とポリカルボン酸系共重合体を乾燥して調製し得る。乾燥方法は、リグニン誘導体の乾燥方法と同じことがいえる。
増粘剤成分は、粉末であればよい。例えば、セルロース系増粘剤、アクリル系増粘剤、リグニン系増粘剤、ビニル系増粘剤、その他のバイオポリマー系多糖類(デンプン系増粘剤、各種天然ガム類など)が挙げられる。
セルロース系増粘剤としては、例えば、カルボキシメチルセルロース、アルキルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース、ヒドロキシアルキルアルキルセルロースが挙げられる。
リグニン系増粘剤としては、例えば、リグニンスルホン酸のホルムアルデヒド重縮合物が挙げられる。
アクリル系増粘剤としては、例えば、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリアクリルアミドが挙げられる。
ビニル系増粘剤としては、例えば、ポリビニルアルコールが挙げられる。
デンプン系増粘剤としては、例えば、デンプン及び加工デンプンが挙げられる。
天然ガム類としては、例えば、ローカストビーンガム、キサンタンガム、ジェランガムが挙げられる。
水溶紙は、少なくとも減水剤成分と増粘剤成分とを内包する。
水溶紙としては、例えば、セルロース繊維を主成分とする可溶性紙袋が挙げられる。このような可溶性紙袋としては、市販品を用いてもよい。市販品としては、「水溶紙A6015」「水溶紙A3030」(日本製紙パピリア社製)が挙げられる。
本発明の水硬性組成物は、水硬性材料、水、及び上記の分散剤包装体を含む。
水硬性材料としては、例えば、セメント、石膏(半水石膏、二水石膏等)、ドロマイトが挙げられる。最も一般的な水硬性材料は、セメントである。
以下、水硬性組成物がセメント組成物である形態を説明する。
セメントは、高炉スラグ、フライアッシュ、シンダーアッシュ、クリンカーアッシュ、ハスクアッシュ、シリカヒューム、シリカ粉末、石灰石粉末等の微粉体、石膏等が添加されてもよい。
本発明の水硬性組成物について、その製造方法の一実施形態を以下に説明する。しかしながら、水硬性組成物の製造方法は、下記実施形態に限定されない。
まずベースコンクリートを作製する。ここで、「ベースコンクリート」とは、通常のコンクリートをいい、セメント、細骨材、粗骨材、及び水の混合物をいう。
ベースコンクリートの混合製造は、例えば二軸ミキサ、パン型ミキサ、傾胴ミキサ等の任意の装置を用いて行うことができる。
ポリカルボン酸系化合物としては、例えば、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリオキシアルキレン修飾ポリアクリル酸、ポリオキシアルキレン修飾ポリメタクリル酸又はその塩、ポリアルキレングリコール等をグラフト鎖とする3以上のカルボキシル基を有する櫛形高分子化合物等を主成分とするものが挙げられる。
リグニンスルホン酸系化合物としては、例えば、(変性)リグニンスルホン酸、(変性)リグニンスルホン酸塩が挙げられる。
また、分散剤包装体に内包されるAE減水剤に対する減水剤成分の重量比(減水剤成分/AE減水剤)は、固形分換算で、0.20~2.0が好ましく、0.30~1.0がより好ましい。
該重量比が0.20未満であると、減水剤成分によるセメントへの流動性が低下する上、増粘剤成分の効果発現に時間を要する場合がある。従って、作業性に劣る場合がある。
一方、該重量比が2.0超であると、相対的にAE減水剤の量が不足し、ベースコンクリートとしての分散性が低く、ミキサでの混錬に大きな設備負荷が掛かる場合がある。
ドラム型ミキサ、特にコンクリートアジテータ車としては、一般に使用されている任意のアジテータ車を用いることができる。
測定装置;東ソー製
使用カラム;Shodex Column OH-pak SB-806HQ、SB-804HQ、SB-802.5HQ
溶離液;0.05mM硝酸ナトリウム/アセトニトリル 8/2(v/v)
標準物質;ポリエチレングリコール(東ソー製又はGLサイエンス製)
検出器;示差屈折計(東ソー製)
(AE減水剤)
(A-1):ポリカルボン酸系減水剤、商品名「SF-500S」(フローリック社製)
(A-2):リグニン系減水剤、商品名「SV-10」(フローリック社製)
(減水剤成分)
(B-1):製造例1で製造したリグニン誘導体粉末
(B-2):製造例2で製造したリグニン誘導体粉末
(B-3):製造例3で製造したリグニンスルホン酸とポリカルボン酸系共重合体の混合粉末
(B-4):ポリカルボン酸粉末分散剤、商品名「ビスコクリート225」(シーカ社製)
(B-5):ポリカルボン酸粉末分散剤、商品名「ビスコクリート125」(シーカ社製)
(増粘剤成分)
(C-1):ヒドロキシプロピルメチルセルロース(信越化学工業社製)
(C-2):ポリビニルアルコール(和光純薬社製)
(C-3):製造例4で製造したリグニン系増粘剤
温度計、撹拌装置、還流装置、及び滴下装置を備えたガラス反応容器に、水229g、ポリ(エチレンオキシド)モノフェニルエーテル(EO付加モル数:50)92g、サンフローRH(リグニンスルホン酸塩、日本製紙社製)60g、37%ホルムアルデヒド水溶液13g、72%硫酸水溶液55g、及び消泡剤プロナール753(東邦化学社製)0.05gを仕込み、撹拌下で反応容器を105℃に昇温した。反応は、液温が105℃、14時間で完結した。反応終了後、反応物温度を90℃に降温し、250g/L水酸化カルシウム水溶液93g及び31%水酸化ナトリウム水溶液24gを添加し、さらに1時間撹拌した。これら混合物を濾過して中和で生じた石膏を除去することで、重量平均分子量41,300の共重合体を含むリグニン誘導体溶液を得た。このリグニン誘導体溶液をスプレードライヤ(商品名「TR120」、プリス社製)を用いて180℃で乾燥を行い、リグニン誘導体(B-1)を粉末固形物として得た。
温度計、撹拌装置、還流装置、及び滴下装置を備えたガラス反応容器に、水275g、ポリ(エチレンオキシド)モノフェニルエーテル(EO付加モル数:50)69g、サンフローRH(リグニンスルホン酸塩、日本製紙社製)150g、37%ホルムアルデヒド水溶液12g、72%硫酸水溶液40g、及び消泡剤プロナール753(東邦化学社製)0.05gを仕込み、撹拌下で反応容器を105℃に昇温した。反応は、液温が105℃、10時間で完結した。反応液の冷却後に、250g/L水酸化カルシウム水溶液85gを反応容器に添加した。これら混合物を濾過して中和で生じた石膏を除去することで、重量平均分子量22,800の共重合体を含むリグニン誘導体溶液を得た。このリグニン誘導体溶液をスプレードライヤ(商品名「TR120」、プリス社製)を用いて180℃で乾燥を行い、リグニン誘導体(B-2)を粉末固形物として得た。
有姿175g、固形分量70gのリグニンスルホン酸(商品名「サンフローRH」、日本製紙社製)と、有姿120g、固形分量30gのポリカルボン酸系分散剤(商品名「SF-500S」、フローリック社製)とを混合し、スプレードライヤ(商品名「TR120」、プリス社製)を用いて180℃で乾燥し、リグニンスルホン酸とポリカルボン酸系共重合体の混合粉末(B-3)を得た。
温度計、攪拌装置、還流装置を備え、ガラスライニングが施されたステンレス製反応容器に、リグニンスルホン酸であるサンフローRH(日本製紙社製、固形分量40.0%)を250部、イオン交換水25部、37%ホルムアルデヒド液(和光純薬製)7部、72%硫酸(和光純薬製)38部を仕込み、攪拌下で100℃に昇温した。昇温後100℃に保持した状態で5時間反応させた。その後冷却し、水酸化カルシウムでpH7に中和した後、中和により生じた石膏を濾過により除去して、重量平均分子量281,500の高分子量リグニン溶液を得た。得られた溶液をスプレードライヤ(プリス社製、TR120)により粉末化し、リグニン系増粘剤(C-3)を得た。
(D-1):水溶紙A3030(日本製紙パピリア社製、主成分:セルロース系繊維)
さらに、この調製したベースコンクリートを室温環境下(20℃)にて所定時間静置し、表5に記載の添加のタイミングにて、表5記載の分散剤包装体1~10のいずれかを1袋(12g)添加した。添加した後、80秒間傾胴ミキサで混合した。ベースコンクリートの混錬終了時を起点とし、各30分後、60分後、90分後、120分後に上記フレッシュコンクリート試験を実施した。結果を表5に示す。
C:以下のセメント3種を等重量混合
普通ポルトランドセメント(宇部三菱セメント社製、比重3.16)
普通ポルトランドセメント(太平洋セメント社製、比重3.16)
普通ポルトランドセメント(トクヤマ製、比重3.16)
W:水道水
S1:大分県津久見産石灰砕砂(細骨材、比重2.66)
S2:山口県周南産砕石砕砂(細骨材、比重2.66)
G1、G2:山口県岩国産砕石(粗骨材、比重2.73(G1)、2.66(G2))
Claims (6)
- リグニン誘導体粉末、又はリグニンスルホン酸とポリカルボン酸系共重合体の混合粉末である減水剤成分と、増粘剤成分と、からなる分散剤を水溶紙に内包し、
前記水溶紙の溶解度Aに対する前記分散剤の溶解度Bの比率(B/A)が、20~80%であり、
リグニン誘導体がリグニンスルホン酸系化合物由来の構成単位と水溶性化合物由来の構成単位を含むポリマーであり、
増粘剤は、セルロース系増粘剤、ビニル系増粘剤、及びリグニン系増粘剤(但し、リグニンスルホン酸系化合物由来の構成単位と水溶性化合物由来の構成単位を含むポリマーを除く)から選ばれる1種以上であり、
前記水溶紙は、セルロース繊維を主成分とする可溶性紙袋であり、その溶解度Aが、10~100mL/gであり、
前記分散剤の溶解度Bが、6.0~30.0mL/gである分散剤包装体。 - 前記減水剤成分が、前記混合粉末であり、
前記リグニンスルホン酸に対する前記ポリカルボン酸系共重合体の質量比(ポリカルボン酸系共重合体/リグニンスルホン酸)が、固形分換算で、30~90%である請求項1に記載の分散剤包装体。 - 前記リグニン誘導体粉末の溶解度が、1.0~5.0mL/gである請求項1又は2に記載の分散剤包装体。
- 前記混合粉末の溶解度が、1.0~5.0mL/gである請求項1~3のいずれか1項に記載の分散剤包装体。
- 水硬性材料、水及び請求項1~4のいずれか1項に記載の分散剤包装体を含む水硬性組成物。
- リグニン誘導体粉末、又はリグニンスルホン酸とポリカルボン酸系共重合体の混合粉末である減水剤成分と、増粘剤成分と、からなる分散剤を水溶紙に内包して分散剤包装体を調製すること、及び、
ベースコンクリートにAE減水剤を混合し、混合開始から10分以上経過後に前記分散剤包装体を混合すること、を含み、
前記水溶紙の溶解度Aに対する前記分散剤の溶解度Bの比率(B/A)が、20~80%であり、
リグニン誘導体がリグニンスルホン酸系化合物由来の構成単位と水溶性化合物由来の構成単位を含むポリマーであり、
増粘剤は、セルロース系増粘剤、ビニル系増粘剤、及びリグニン系増粘剤(但し、リグニンスルホン酸系化合物由来の構成単位と水溶性化合物由来の構成単位を含むポリマーを除く)から選ばれる1種以上であり、
前記水溶紙は、セルロース繊維を主成分とする可溶性紙袋であり、その溶解度Aが、10~100mL/gであり、
前記分散剤の溶解度Bが、6.0~30.0mL/gである、
水硬性組成物の製造方法。
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