JP7334662B2 - 温度測定装置、温度測定方法、及び温度測定プログラム - Google Patents

温度測定装置、温度測定方法、及び温度測定プログラム Download PDF

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Description

本発明は、温度測定装置、温度測定方法、及び温度測定プログラムに関する。
温度測定を行う装置の1つとして、光ファイバ温度分布測定装置(DTS:Distributed Temperature Sensor)が知られている。この装置は、パルス光を入射させた光ファイバで生じる後方散乱光の到来時刻、及び、後方散乱光のうちのラマン散乱光のストークス成分とアンチストークス成分との強度比から、当該光ファイバの長さ方向の温度分布を得るというものである。
このような光ファイバ温度分布測定装置の測定精度を向上させる技術が幾つか知られている(例えば、特許文献1、2、3、及び4参照)。
また、光線路の接続損失,ケーブル損失,反射量等の諸特性を定期的に把握し、これらの経時変化から光線路の劣化時期を推定するという技術が知られている(例えば、特許文献5参照)。
国際公開第2018/211634号 特開2017-9509号公報 特開2016-17797号公報 特開2012-27001号公報 特開平6-167425号公報
光ファイバ温度分布測定装置において、伝送される光の強度を低下させる光ファイバの伝送損失は測定精度に影響を及ぼす。この伝送損失の原因のひとつとして、光ファイバ内のOH基(ヒドロキシ基)による吸収損失が知られている。
OH基は、光ファイバの素材である石英ガラスと水素との化学反応により形成され、一旦形成されると殆ど消失しない。このようなOH基の形成は、光ファイバの光伝送特性の劣化(伝送損失の増加)として顕在化する。特に、光ファイバを保護している被覆材料の耐熱性が問題となるような高温の環境下では、水分の光ファイバ内への侵入によって、OH基の形成が顕著に進行する。
従って、上述のような高温にもなり得る環境下において光ファイバ温度分布測定装置を継続使用すると、光ファイバの特性劣化の進行により、測定精度が徐々に低下していく。
1つの側面において、本発明は、温度測定装置の継続使用時における測定精度の低下を抑制することを目的とする。
1つの案では、温度測定装置は、強度取得部と、格納部と、補償部と、温度算出部とを備える。強度取得部は、光を入射させた光ファイバからの後方散乱光の強度の測定値を取得する。格納部は、所定の基準温度の環境下における光ファイバの劣化の進行度と光ファイバの当該劣化による損失量との対応関係を表している劣化損失プロファイルを格納する。補償部は、損失量暫定推定部と、強度暫定補償部と、温度暫定算出部と、損失量推定部と、強度補償部とを備えており、当該強度の測定値を劣化損失プロファイルに基づいて補償する。なお、損失量暫定推定部は、当該強度の測定時における光ファイバの劣化による損失量の暫定的な推定を劣化損失プロファイルに基づいて行って当該損失量の暫定推定値を取得する。強度暫定補償部は、当該強度の測定値を当該損失量の暫定推定値に基づいて補償して当該強度の暫定補償値を取得する。温度暫定算出部は、当該強度の測定時における光ファイバの設置環境の温度の算出を、当該強度の暫定補償値を用いて行うことによって、当該設置環境についての暫定推定温度を取得する。損失量推定部は、当該強度の測定時における当該損失量の暫定推定値を暫定推定温度と基準温度とに基づいて補正して当該測定時における光ファイバの劣化による損失量の推定値を取得する。強度補償部は、当該強度の測定値を当該損失量の推定値に基づいて補償する。そして、温度算出部は、当該強度の測定時における当該設置環境の温度の算出を、当該損失量の推定値に基づいて補償した当該強度の測定値を用いて行う。
実施形態によれば、温度測定装置の継続使用時における測定精度の低下を抑制することができる。
例示的な温度測定装置の構成を示す図である。 光ファイバにおける入射光及び後方散乱光の波長スペクトルの一般的な例を表した図である。 劣化損失プロファイルの一例を示す図である。 光ファイバの実際の劣化の進行度合いについての、劣化損失プロファイルからの相違を説明する図である。 光ファイバの劣化の進行度と当該劣化による損失量とを劣化損失プロファイルに基づいて推定する手法を説明する図である。 補償部による後方散乱光の強度の測定値の補償の様子を表した図である。 コンピュータのハードウェア構成を示す図である。 温度測定処理の処理内容を示したフローチャートである。
以下、図面を参照しながら、幾つかの実施形態について詳細に説明する。
図1は、例示的な温度測定装置1の構成を示している。
図1に示されている温度測定装置1は、光ファイバ10、光源11、ビームスプリッタ12、フィルタ13、検出器14a、検出器14b、及び制御部100を備えている。
光源11は、例えば半導体レーザであり、制御部100の光源制御部101の制御の下で、所定の単一波長光であるレーザ光をパルス光として出射する。
このパルス光は、ビームスプリッタ12を透過して光ファイバ10に入射する。入射した光は光ファイバ10内で散乱を起こしながら進行する。この散乱によって生じる散乱光の一部は、後方散乱光として、光ファイバ10内を逆行してビームスプリッタ12に入射する。ビームスプリッタ12は、この後方散乱光をフィルタ13へ出射する。
フィルタ13は、入射した後方散乱光のうちの所定の長波長成分と所定の短波長成分とを抽出して、それぞれ検出器14aと検出器14bとへ出射する。このようなフィルタ13として、例えば波長分割多重フィルタ(WDMフィルタ)が用いられる。
検出器14a及び14bは、それぞれ、後方散乱光のうちの当該所定の長波長成分と当該所定の短波長成分との強度を測定する。検出器14a及び14bは受光素子を備えており、それぞれ、後方散乱光のうちの当該所定の長波長成分と当該所定の短波長成分との受光強度の測定値を表している強度データを、後方散乱光の強度の測定値として制御部100へ出力する。
制御部100は、光源11の制御を行うと共に、検出器14a及び14bから出力された強度データで表されている受光強度に基づいて光ファイバ10の設置環境の温度を得る。
ここで、温度測定装置1における温度測定の手法について、図2を参照しながら説明する。図2は、光ファイバにおける入射光及び後方散乱光の波長スペクトルの一般的な例を表した図である。
図2において、破線の曲線は入射光のスペクトルを表しており、実線の曲線は後方散乱光のスペクトルを表している。なお、図2に示されているグラフにおいて、横軸は波長を表しており、縦軸は強度を表している。このグラフのように、後方散乱光の波長スペクトルには概ね5つのピークが現れる。
光ファイバにおいて生じる後方散乱光は、レイリー(Rayleigh)、ブリルアン(Brillouin)、及びラマン(Raman)の3種類の散乱光に大別される。このうちのレイリー散乱光は入射光と同一の波長の散乱光であり、図2の波長スペクトルにおいて符号RSによって示されているピークを形成する散乱光である。また、ブリルアン散乱光は、図2の波長スペクトルにおいて符号BSによって示されている、長波長側と短波長側とのそれぞれにおいてラマン散乱光よりも入射光の波長に近いピークを形成する散乱光である。そして、ラマン散乱光は、図2の波長スペクトルにおいて符号STと符号ASとによって示されている、長波長側と短波長側とのそれぞれにおいてピークを形成する散乱光である。
なお、ラマン散乱光には、符号STによって示されている、長波長側のピークを形成するストークス(Stokes)成分と、符号ASによって示されている、短波長側のピークを形成するアンチストークス(Anti-Stokes)成分との2つの成分が含まれる。なお、以下の説明では、ストークス成分を「ST成分」とも称することとし、アンチストークス成分を「AS成分」とも称することとする。
ラマン散乱光は、その強度が、散乱が生じた光ファイバの位置の温度に依存することが広く知られており、当該位置の温度変化に対する強度変化は、AS成分がST成分よりも大きいことも広く知られている。また、光ファイバの長さ方向の位置iの温度θi
は下記の式により得られることが広く知られている。
Figure 0007334662000001
この[数1]式において、STi 及びASi は、それぞれ位置iでの散乱により生じたラマン散乱光の2成分についての測定された強度である。また、a及びbは定数である。
図1の温度測定装置1は、この[数1]式を用いて温度測定を行う。このために、フィルタ13には、入射した後方散乱光のうちのラマン散乱光のST成分とAS成分との各々に相当する波長の光を抽出するものが用いられる。このようなフィルタ13を用いると、検出器14a及び14bでは、ラマン散乱光のST成分とAS成分とのそれぞれの強度が測定される。得られた両成分の強度データを用いて[数1]式の計算を逐次行うと、算出された温度と算出に用いた強度の検出時刻との関係が得られる。
後方散乱光を生じさせた散乱が起こった光ファイバ10上の長さ方向の位置(入射端と当該位置との間の1往復の距離)は、入射光が光ファイバ10に入射してから後方散乱光が光ファイバ10から出射されるまでに要する時間から求めることができる。従って、上記の温度と検出時刻との関係における時間軸を、入射光の光ファイバ10への入射の時刻を基準点とする位置情報に置き換えることで、長さ方向の任意の位置においての光ファイバ10の設置環境の温度が得られる。
ところで、光ファイバ10には伝送損失があるため、後方散乱光は、検出器14a及び14bに到達するまでに強度が低下する。この強度の低下は、上述した手法による温度測定に誤差を生じさせる。
そこで、温度測定装置1では、制御部100が、これより説明するようにして、光ファイバ10の伝送損失により低下した後方散乱光の強度の測定値を補償し、補償した測定値を用いて温度の算出を行うようにする。
制御部100の詳細構成について説明する。制御部100は、光源制御部101、強度取得部110、格納部120、補償部130、及び温度算出部140を備えている。
光源制御部101は、光源11を制御して光パルスを出射させる。
強度取得部110は、検出器14a及び14bによりそれぞれ測定された、光ファイバ10からの後方散乱光であるラマン散乱光のST成分とAS成分との各々の強度の測定値を表している強度データを取得する。
格納部120は、所定の基準温度の環境下における光ファイバ10についての劣化の進行度と劣化による損失量(劣化損失量)との対応関係を表している劣化損失プロファイルが格納されている。本実施形態では、格納部120には、ラマン散乱光のST成分とAS成分との各々についての劣化損失プロファイルが格納されている。
劣化損失プロファイルの一例を図3に示す。この例は、光源11からの光を入射させた光ファイバ10により生じるラマン散乱光のAS成分についてのものである。この劣化損失プロファイルでは、光ファイバ10を当該所定の基準温度の環境下に置いてからの経過時間と、当該経過時間の経過によって進行する光ファイバ10の劣化損失量との関係を表している。
本実施形態では、この劣化損失プロファイルを、実測結果に基づいて予め求めて格納部120に格納しておくようにする。すなわち、まず、入射端から前述した位置iまでの距離に相当する長さの光ファイバ10を当該所定の基準温度の環境下に置く。そして、光源11が出射する光についてのラマン散乱光のAS成分の波長に相当する単一波長の光を当該光ファイバ10の一端から入射させ、この入射光についての他端からの出射光の強度の時系列データを実際に測定する。得られた時系列データに対して回帰分析を行い、時間経過に対する強度変化の回帰曲線を求める。この回帰曲線における測定開始時刻の強度を、光ファイバ10の劣化損失量がゼロであるときの出射光の強度とし、時間経過に対する強度の低下量を劣化により生じた損失量とすることで、光ファイバ10についての劣化損失プロファイルが得られる。ラマン散乱光のST成分についての劣化損失プロファイルも同様の手法により得られる。
また、光ファイバ10の長さ方向における所定の単位長さ当たりの劣化損失量を劣化損失プロファイルで表すようにし、この単位長さ当たりの損失量から、入射光が入射端から前述の位置iへ伝送されるまでに受ける劣化損失量を算出するようにしてもよい。
補償部130は、強度取得部110が取得した強度データで表されている、ラマン散乱光のST成分とAS成分との各々についての強度の測定値を、格納部120に格納されている、2つの成分のそれぞれについての劣化損失プロファイルに基づいて補償する。
温度算出部140は、ラマン散乱光のST成分とAS成分との各々についての補償した強度の測定値を前掲の[数1]式に代入することによって、当該強度の測定時における、光ファイバ10の設置環境の温度を算出する。
制御部100は以上のようにして光ファイバ10の設置環境の温度を得る。但し、格納部120に格納されている劣化損失プロファイルは、光ファイバ10が一定の基準温度の環境下に置かれている場合についてのものである。このため、光ファイバ10の実際の劣化の進行度合いは、設置環境の温度によっては劣化損失プロファイルとは違うものとなり得る。このような、光ファイバ10の実際の劣化の進行度合いについての、劣化損失プロファイルからの相違について、図4を用いて更に説明する。
図4のグラフでは、光ファイバ10に入射させた光についてのラマン散乱光のAS成分の強度の時間変化の一例を実線で表している。なお、このグラフにおいて、横軸は経過時間を表しており、縦軸は光強度を対数値で表している。
このグラフにおける点線は、光ファイバ10についての損失劣化プロファイルで表されている、一定の基準温度の環境下で時間の経過に対して一定の割合で増加していく劣化損失による光強度の低下の様子を表現している。また、このグラフにおける破線は、光ファイバ10の実際の設置環境下での劣化損失(「真の劣化損失」)による光強度の低下の様子を表現している。この例では、基準温度よりも低い温度である摂氏400度以下の期間において光強度の低下(すなわち劣化の進行)が一時的に停止していることが表現されている。このような、劣化の進行が停止する期間は、温度測定装置1の継続使用時にはしばしば発生するものである。このような期間が発生すると、損失劣化プロファイルで表されている劣化損失と真の劣化損失との間に乖離が生じる。この乖離は損失劣化プロファイルに基づいた後方散乱光の強度の補償の精度を低下させ、結果として、温度測定の精度の低下をもたらすことになる。
そこで、本実施形態の温度測定装置1では、補償部130が、これより説明するようにして、強度取得部110が取得した強度データで表されている、ラマン散乱光のST成分とAS成分との各々についての強度の測定値の補償を行う。
補償部130は、損失量暫定推定部131、強度暫定補償部132、温度暫定算出部133、損失量推定部134、及び強度補償部135と、記憶部136とを備えている。
損失量暫定推定部131は、検出器14a及び14bによる後方散乱光の強度の測定時における光ファイバ10の劣化損失量の暫定的な推定を劣化損失プロファイルに基づいて行って、当該劣化損失量の暫定推定値を取得する。なお、損失量暫定推定部131は、ラマン散乱光のST成分とAS成分との各々についての劣化損失量の暫定的な推定を、2つの成分のそれぞれの劣化損失プロファイルに基づいて行って、2つの成分のそれぞれについての当該劣化損失量の暫定推定値を取得する。
強度暫定補償部132は、強度取得部110が取得した強度データで表されている、強度の測定値を、損失量推定部134が取得した劣化損失量の暫定推定値に基づいて補償して、当該強度の暫定補償値を取得する。なお、強度暫定補償部132は、ラマン散乱光のST成分とAS成分とのそれぞれについての強度の測定値を、2つの成分のそれぞれについての劣化損失量の暫定推定値に基づいて補償して、2つの成分についての当該強度の暫定補償値を取得する。
温度暫定算出部133は、検出器14a及び14bによる後方散乱光の強度の測定時における光ファイバ10の設置環境の温度の算出を、強度暫定補償部132が取得した当該強度の暫定補償値を用いて行って、当該設置環境についての暫定推定温度を取得する。なお、温度暫定算出部133は、当該設置環境の温度の算出を、ラマン散乱光のST成分とAS成分との各々についての当該強度の暫定補償値を用いて行うことによって、当該暫定推定温度を取得する。
損失量推定部134は、検出器14a及び14bによる後方散乱光の強度の測定時における光ファイバ10の劣化損失量の推定値を取得する。この推定値の取得は、損失量暫定推定部131が取得した当該測定時における劣化損失量の暫定推定値を、温度暫定算出部133が取得した暫定推定温度と、基準温度とに基づいて補正することによって行われる。この基準温度とは、劣化損失プロファイルの生成に用いた出射光の強度の時系列データを測定したときの光ファイバ10の設置環境の温度である。なお、損失量推定部134は、ラマン散乱光のST成分とAS成分との各々についての劣化損失量の暫定推定値を当該暫定推定温度と当該基準温度とに基づいて補正することによって、2つの成分のそれぞれについての当該劣化損失量の推定値を取得する。
強度補償部135は、強度取得部110が取得した強度データで表されている、強度の測定値を、損失量推定部134が取得した劣化損失量の推定値に基づいて補償する。この補償により得られた強度の補償値は、温度算出部140による、検出器14a及び14bによる後方散乱光の強度の測定時における光ファイバ10の設置環境の温度の算出に用いられる。なお、強度補償部135は、ラマン散乱光のST成分とAS成分との各々についての強度の測定値の補償を、2つの成分のそれぞれについての当該劣化損失量の推定値に基づいて行う。
記憶部136は、劣化損失プロファイルにおいて損失量推定部134が取得した光ファイバ10の劣化損失量の推定値に対応付けられている進行度を、検出器14a及び14bによる後方散乱光の強度の測定時における劣化の進行度の推定値として記憶する。なお、記憶部136は、ラマン散乱光のST成分とAS成分との各々についての劣化損失プロファイルのそれぞれにおいて当該劣化損失量の推定値に対応付けられている進行度を、2つの成分のそれぞれについての当該劣化進行度の推定値として記憶する。また、記憶部136は、損失量推定部134が取得した、検出器14a及び14bによる後方散乱光の強度の測定時における光ファイバ10の劣化損失量の推定値を記憶する。なお、記憶部136は、損失量推定部134が取得した、ラマン散乱光のST成分とAS成分との各々についての当該劣化損失量の推定値を記憶する。
以上の各構成要素を備えている補償部130による、後方散乱光の強度の測定値の補償の手法について、図5を用いて更に説明する。図5は、補償部130によって行われる、光ファイバ10の劣化の進行度と当該劣化による損失量とを劣化損失プロファイルに基づいて推定する手法を説明する図である。
図5は、図3に例示した劣化損失プロファイルを部分的に拡大したものである。この図5を用いて、検出器14a及び14bによるラマン散乱光のST成分とAS成分との強度の測定時k(kは1以上の整数)における、光ファイバ10の劣化による2つの成分の各々についての損失量の推定値を求める手法を説明する。
まず、損失量暫定推定部131は、AS成分についての、測定時kにおける光ファイバ10の劣化の進行度の暫定推定値T’AS[k]の推定を行う。
この推定には、AS成分についての、ラマン散乱光のAS成分の強度の測定時kにおける劣化進行度差ΔTAS[k]と当該強度の前回の測定時k-1における劣化の進行度の推定値TAS[k-1]とが用いられる。劣化進行度差ΔTAS[k]は、検出器14a及び14bによる当該強度の前回の測定時k-1から当該強度の測定時kとまでの経過時間である。損失量暫定推定部131は、上述した劣化進行度差ΔTAS[k]を上述した推定値TAS[k-1]に加算して得られる値を、暫定推定値T’AS[k]とする。
次に、損失量暫定推定部131は、AS成分についての損失劣化プロファイルを参照する。前述したように、損失劣化プロファイルは、光ファイバ10についての劣化の進行度と当該劣化による損失量との対応関係を表している。損失量暫定推定部131は、この対応関係において、AS成分についての光ファイバ10の劣化の進行度の暫定推定値T’AS[k]に対応付けられている劣化損失量を特定する。損失量暫定推定部131は、特定した劣化損失量を、AS成分についての、測定時kにおける光ファイバ10の劣化損失量の暫定推定値l’AS[k]として取得する。
損失量暫定推定部131は、ST成分についての、測定時kにおける光ファイバ10の劣化損失量の暫定推定値についても同様の手法により取得する。
なお、損失量暫定推定部131は、ラマン散乱光の強度の最初の測定時(k=1)における光ファイバ10の劣化の進行度の前回の推定値及び劣化損失量の前回の推定値については、ST成分とAS成分との各々について、どちらも0とする。
強度暫定補償部132は、測定時kにおけるラマン散乱光のAS成分の強度の測定値に対し、光ファイバ10の劣化損失の補償を行う。強度暫定補償部132は、この測定値に、AS成分についての上述した劣化損失量の暫定推定値l’AS[k]を加算することによって、AS成分についての強度の暫定補償値を得る。また、強度暫定補償部132は、ST成分の強度の測定値についても同様の補償を行い、ST成分についての強度の暫定補償値を得る。
温度暫定算出部133は、強度暫定補償部132が取得したラマン散乱光のST成分とAS成分との各々の強度の暫定補償値を前掲した[数1]式に代入して式の計算を行う。この計算によって算出される値を、測定時kについての光ファイバ10の設置環境の暫定推定温度とする。
損失量推定部134は、まず、損失量暫定推定部131が取得した、AS成分についての、測定時kにおける劣化損失量の暫定推定値l’AS[k]と測定時k-1における当該劣化損失量の推定値lAS[k-1]との差の値を算出する。この値を、AS成分についての、測定時kにおける損失劣化プロファイル上の損失量差ΔlAS[k]とする。損失量推定部134は、この損失量差ΔlAS[k]に係数αを乗算した値を、当該劣化損失量についての前回の測定時(k-1)の推定値lAS[k-1]に加算し、この加算により得られる値を、測定時kにおける劣化損失量の推定値lAS[k]として取得する。但し、損失量推定部134は、この係数αの値を、温度暫定算出部133が算出した暫定推定温度と、損失劣化プロファイルについての前述した基準温度とに基づき、以下の値に設定して上述の計算を行う。
まず、暫定推定温度が基準温度よりも低い所定温度よりも更に低い場合には、損失量推定部134は、係数αの値を0とする。なお、所定温度とは、劣化の進行が停止する上限の温度であり、図4の例では、摂氏400度が所定温度となる。
一方、暫定推定温度が上述の所定温度以上である場合には、損失量推定部134は、係数αの値を、暫定推定温度の高さに応じて単調増加する値とする。但し、損失量推定部134は、暫定推定温度が基準温度と等しい場合に当該単調増加する値が1となるようにする。
損失量推定部134は、このような測定時kにおける暫定推定温度と基準温度とに基づいて値が設定される係数αを用いて、AS成分についての劣化損失量の暫定推定値l’AS[k]の補正を行うことによって、推定値lAS[k]を取得する。また、損失量推定部134は、ST成分についての劣化損失量の暫定推定値についても係数αを用いて同様の補正を行い、ST成分についての測定時kにおける劣化損失量の推定値を得る。
強度補償部135は、測定時kにおけるラマン散乱光のAS成分の強度の測定値を、AS成分についての上述した劣化損失量の推定値lAS[k]に基づいて補償する。強度補償部135は、当該測定値に当該劣化損失量の推定値lAS[k]を加算することによって、AS成分についての強度の補償値を得る。また、強度補償部135は、ST成分の強度の測定値についても同様の補償を行い、ST成分についての強度の補償値を得る。このようにして得られた強度の補償値が、温度算出部140による、測定時kにおける光ファイバ10の設置環境の温度の算出に用いられる。
なお、損失量推定部134は、ラマン散乱光のST成分とAS成分との各々について取得した、測定時kにおける劣化損失量の推定値を記憶部136に記憶させる。記憶させた劣化損失量の推定値は、ラマン散乱光の強度の次回の測定時(k+1)における損失量暫定推定部131による劣化損失量の暫定推定値の算出の際に、当該劣化損失量についての当該強度の前回の測定時における推定値として使用される。
また、損失量推定部134は、ラマン散乱光のST成分とAS成分との各々についての劣化損失プロファイルにおいて、2つの成分の各々について取得した測定時kにおける劣化損失量の推定値にそれぞれ対応付けられている進行度を取得する。損失量推定部134は、2つの成分の各々について取得した、測定時kにおける当該進行度を記憶部136に記憶させる。記憶させた進行度は、ラマン散乱光の強度の次回の測定時(k+1)における損失量暫定推定部131による光ファイバ10の劣化の進行度の暫定推定値の推定の際に、当該進行度についての当該強度の前回の測定時における推定値として使用される。
補償部130は、以上のようにしてラマン散乱光のST成分とAS成分との各々についての強度の測定値の補償を行う。
ここで図6について説明する。図6は、補償部130による後方散乱光の強度の測定値の補償の様子を表している。
図6において、横軸は経過時間を表しており、縦軸は光強度を対数値で表している。
図6における[A]の実線は、光ファイバ10についてのラマン散乱光のAS成分の強度の測定値の時間変化を表している。また、[B]の点線は、AS成分についての光ファイバ10の損失劣化プロファイルで表されている、一定の基準温度の環境下で時間の経過に対して一定の割合で増加していく劣化損失による、光強度の低下の様子を表している。また、[C]の破線は、損失量推定部134によって順次取得される、AS成分についての劣化損失量の推定値による光強度の低下の様子を表している。
なお、この図において、破線[C]が横軸と平行となっている期間は、光ファイバ10の設置環境の温度が前述した所定温度よりも低い温度となっている期間であり、従って、光ファイバ10の劣化の進行が停止している期間である。一方、この他の期間は、光ファイバ10の設置環境の温度を基準温度としている期間である。
この図では、破線[C]が横軸と平行となっている期間よりも前である始めの期間では実線[A]と点線[B]及び破線[C]とがほぼ重なっている。その後、破線[C]が横軸と平行となっている期間は、光ファイバ10の設置環境の温度が基準温度よりも低い温度となっている期間であるので、[A]の実線で表されているAS成分の強度の測定値が急激に低下している。この後の期間は、光ファイバ10の設置環境の温度が基準温度に戻っているので、[A]の実線で表されている強度の測定値も急激に回復する。但し、この期間では、[A]の実線は点線[B]とは重ならずに破線[C]とほぼ重なるようになる。これは、損失量推定部134による光ファイバ10の劣化損失量の推定が良好に行われていることを表している。
図6における実線[D]は、光ファイバ10の設置環境の温度の違いによる劣化進行度の変動を考慮せずに、損失劣化プロファイルをそのまま用いた場合における、AS成分の強度の測定値の補償の結果を表している。また、図6における実線[E]は、補償部130によって行われる、光ファイバ10の設置環境の温度の違いによる劣化進行度の変動を考慮した、AS成分の強度の測定値の補償の結果を表している。
破線[C]が横軸と平行となっている期間の前の期間及び後の期間では、どちらも光ファイバ10の設置環境の温度を基準温度としているが、当該後の期間では、実線[D]は、当該前の期間よりも、測定値の補償結果の値が大きくなってしまっている。これに対し、実線[E]は、当該後の期間も、当該前の期間と測定値の補償結果の値がほぼ同じになっている。これは、補償部130による強度の測定値の補償が良好に行われていることを表している。
以上のようにしてラマン散乱光のST成分とAS成分との各々についての強度の測定値の補償を補償部130が行うことで、前述した乖離に起因する温度測定の精度の低下が抑制される。
図1の温度測定装置1は、以上のようにして光ファイバ10の設置環境の温度の測定を行う。なお、温度測定装置1が備えている制御部100を、コンピュータとソフトウェアとの組合せにより構成することも可能である。
図7は、コンピュータ700のハードウェア構成例を示している。このコンピュータ700は、構成要素として、例えば、プロセッサ701、メモリ702、記憶装置703、読取装置704、通信インタフェース706、及び入出力インタフェース707を備えている。なお、これらの構成要素は、例えば、バス708を介して互いに接続されている。
プロセッサ701は、例えば、シングルプロセッサであっても、マルチプロセッサ及びマルチコアであってもよい。プロセッサ701は、メモリ702を利用して例えば後述の温度測定処理の手順を記述した温度測定プログラムを実行することにより、光源制御部101、強度取得部110、補償部130、及び温度算出部140の機能を提供する。
メモリ702は、例えば半導体メモリであり、RAM領域及びROM領域を含んでよく、記憶部136の機能を提供してもよい。記憶装置703は、例えばハードディスク、フラッシュメモリ等の半導体メモリ、または外部記憶装置であり、格納部120の機能を提供する。なお、RAMは、Random Access Memoryの略称である。また、ROMは、Read
Only Memoryの略称である。
読取装置704は、プロセッサ701の指示に従って着脱可能記憶媒体705にアクセスする。着脱可能記憶媒体705は、例えば、半導体デバイス(USBメモリ等)、磁気的作用により情報が入出力される媒体(磁気ディスク等)、光学的作用により情報が入出力される媒体(CD-ROM、DVD等)などにより実現される。なお、USBは、Universal Serial Busの略称である。CDは、Compact Discの略称である。DVDは、Digital Versatile Diskの略称である。
通信インタフェース706は、例えば、プロセッサ701の指示に従って通信ネットワークを介してデータを送受信する。
入出力インタフェース707は、図1の温度測定装置1における光源11へ制御データを出力し、検出器14a及び14bの各々から、検出データを入力として受け取る。
このコンピュータ700のプロセッサ701により実行される温度測定プログラムは、例えば、下記の形態で提供される。
(1)記憶装置703に予めインストールされている。
(2)着脱可能記憶媒体705により提供される。
(3)プログラムサーバなどのサーバから通信ネットワークを介して通信インタフェース706へ提供される。
なお、コンピュータ700のハードウェア構成は、例示であり、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、上述の機能部の一部または全部の機能がFPGA及びSoCなどによるハードウェアとして実装されてもよい。なお、FPGAは、Field Programmable Gate Arrayの略称である。SoCは、System-on-a-chipの略称である。
以下、プロセッサ701により実行される温度測定プログラムに記述される制御処理について説明する。
図8は、温度測定処理の処理内容を示したフローチャートである。この温度測定処理は、温度測定装置1を起動させると開始される。
なお、この温度測定処理の開始時において、格納部120の機能を提供する記憶装置703には、ラマン散乱光のST成分及びAS成分の各々についての劣化損失プロファイルが既に格納されているものとする。
まず、S801において、ST成分及びAS成分のそれぞれについての光ファイバ10の劣化の進行度の推定値及び劣化損失量の推定値を、初期値である「0」に設定して記憶する処理が行われる。この設定値は、ラマン散乱光の強度の最初の測定時における、劣化の進行度の前回の推定値及び劣化損失量の前回の推定値として用いられる。
S802において、光源11を制御して光パルスを出射させる処理が行われる。この処理は、光源制御部101の前述した機能を提供する。
S803において、サンプリング時間が経過したか否かを判定する処理が行われる。この判定には、時間の経過を調べるために、例えば、コンピュータ700が有している不図示のタイマが用いられる。プロセッサ701は、この判定処理において、当該時間が経過したと判定したとき(判定結果がYESのとき)にはS803に処理を進める。一方、プロセッサ701は、この判定処理において、当該時間が経過していないと判定したとき(判定結果がNOのとき)には、当該時間が経過したとの判定を下すまで当該判定処理を繰り返す。
S804において、検出器14a及び14bによりそれぞれ測定された、光ファイバ10からのラマン散乱光のST成分及びAS成分の各々の強度についての、この時における測定値を表している強度データを取得する処理が行われる。この処理は強度取得部110の前述した機能を提供する。
S805において、強度データが表している強度の測定時における光ファイバ10の劣化の進行度の暫定的な推定を、記憶装置703に格納されている劣化損失プロファイルに基づき前述のようにして行う処理が行われる。この処理はST成分及びAS成分の各々について行われ、当該劣化の進行度の暫定推定値が取得される。なお、このS805の処理が温度測定処理の開始後に初めて実行されるときには、前回の測定時における劣化の進行度の推定値として、S801の処理により設定された値「0」が用いられる。
次に、S806において、上記測定時における光ファイバ10の劣化損失量の暫定推定値を、劣化損失プロファイルと、S805の処理で取得した劣化の進行度の暫定推定値とに基づき前述したようにして取得する処理が行われる。この処理は、ST成分及びAS成分の各々について行われる。
以上のS805及びS806の処理は損失量暫定推定部131の前述した機能を提供する。
S807において、上記測定時におけるラマン散乱光の強度の測定値を、S806の処理により取得された光ファイバ10の劣化損失量の暫定推定値に基づき前述したようにして補償して、当該強度の暫定補償値を取得する処理が行われる。この処理は、ST成分及びAS成分の各々について行われ、強度暫定補償部132の前述した機能を提供する。
S808において、上記測定時における光ファイバ10の暫定推定温度を、S807の処理により取得した、ラマン散乱光のST成分及びAS成分の各々についての強度の暫定補償値に基づき、前述したようにして算出する処理が行われる。この処理は、温度暫定算出部133の前述した機能を提供する。
S809において、上記測定時における光ファイバ10の劣化損失量の暫定推定値の補正に損失量推定部134が用いる、前述した係数αを設定する処理が行われる。この処理は、S808の処理により算出した暫定推定温度と、記憶装置703に格納されている損失劣化プロファイルについての前述した基準温度とに基づき、前述したようにして行われる。
次に、S810において、S809の処理により値が設定された係数αを用いて、上記測定時における光ファイバ10の劣化損失量の暫定推定値を前述したようにして補正して、当該劣化損失量の推定値を取得する処理が行われる。この処理は、ST成分及びAS成分の各々について行われる。なお、このS810の処理が温度測定処理の開始後に初めて実行されるときには、前回の測定時における劣化損失量の推定値として、S801の処理により設定された値「0」が用いられる。
以上のS809及びS810の処理は損失量推定部134の前述した機能を提供する。
S811において、上記測定時におけるラマン散乱光の強度の測定値を、S810の処理により取得された光ファイバ10の劣化損失量の推定値に基づき前述したようにして補償して、当該強度の補償値を取得する処理が行われる。この処理は、ST成分及びAS成分の各々について行われ、強度補償部135の前述した機能を提供する。
S812において、上記測定時における光ファイバ10の温度を、S811の処理により取得した、ラマン散乱光のST成分及びAS成分の各々についての強度の補償値に基づき、前述したようにして算出する処理が行われる。そして続くS813において、算出した温度を、温度測定装置1によって光ファイバ10の位置iにおいて測定された、光ファイバ10の設置環境の温度の測定値として出力する処理が行われる。これらのS811及びS812の処理は、温度算出部140の前述した機能を提供する。
S814では、S810の処理により取得された、ST成分及びAS成分の各々についての光ファイバ10の劣化損失量の推定値を記憶する処理が行われる。この処理により記憶された劣化損失量の推定値は、この処理の後に改めて実行されるS810の処理において、前回の測定時における劣化損失量の推定値として用いられる。
S815では、S803の処理により取得された強度データが表している強度の測定時における光ファイバ10の劣化の進行度の推定値を取得して記憶する処理が、ST成分及びAS成分の各々について行われる。この進行度の推定値は、S810の処理により取得された光ファイバ10の劣化損失量の推定値と、記憶装置703に格納されている劣化損失プロファイルとに基づき、前述したようにして取得される。この処理により記憶された劣化の進行度の推定値は、この処理の後に改めて実行されるS805の処理において、前回の測定時における劣化の進行度の推定値として用いられる。
S816では、サンプリング時間が、温度測定装置1に対して予め設定されている、温度測定の時間間隔に相当する時間に達して、次回の測定時刻が到来したか否かを判定する処理が行われる。この判定には、時間の経過を調べるために、例えば、コンピュータ700が有している不図示のタイマが用いられる。プロセッサ701は、この判定処理において、次回の測定時刻が到来したと判定したとき(判定結果がYESのとき)には、S802へ処理を戻し、上述した処理をS802から再度実行する。一方、プロセッサ701は、この判定処理において、次回の測定時刻が未だ到来していないと判定したとき(判定結果がNOのとき)には、次回の測定時刻が到来したとの判定を下すまで当該判定処理を繰り返す。
以上までの処理が温度測定処理であり、この処理をプロセッサ701が実行することによってコンピュータ700が制御部100として機能して、温度測定装置1による温度測定が行われる。
以上のように、開示の実施形態とその利点について詳しく説明したが、当業者は、特許請求の範囲に明確に記載した本発明の範囲から逸脱することなく、様々な変更、追加、省略をすることができるであろう。
例えば、実施形態の温度測定装置1では、光パルスを入射させる光ファイバ10の位置を常に一方の端に固定している、いわゆる「シングルエンド方式」を採用している。この代わりに、例えば引用文献1に記載されているような、光パルスを入射させる位置を光ファイバ10の両端のうちのどちらか一方とし、この位置の選択を一定周期で切り替える、いわゆる「ダブルエンド方式」を採用して、本発明を実施するようにしてもよい。
また、実施形態温の温度測定装置1では、ST成分とAS成分との両方についての劣化損失量を推定して両成分の強度を補正し、補正後の両成分の強度を用いて温度算出を行うようにしていた。この代わりに、ST成分とAS成分とのうちのどちらか一方のみについての劣化損失量を推定して強度を補正し、補正後の成分の強度と他方の成分の強度とを用いて温度算出を行うようにしてもよい。
1 温度測定装置
10 光ファイバ
11 光源
12 ビームスプリッタ
13 フィルタ
14a、14b 検出器
100 制御部
101 光源制御部
110 強度取得部
120 格納部
130 補償部
131 損失量暫定推定部
132 強度暫定補償部
133 温度暫定算出部
134 損失量推定部
135 強度補償部
136 記憶部
140 温度算出部
700 コンピュータ
701 プロセッサ
702 メモリ
703 記憶装置
704 読取装置
705 着脱可能記憶媒体
706 通信インタフェース
707 入出力インタフェース
708 バス

Claims (9)

  1. 光を入射させた光ファイバからの後方散乱光の強度の測定値を取得する強度取得部と、
    所定の基準温度の環境下における前記光ファイバの劣化の進行度と前記光ファイバの該劣化による損失量との対応関係を表している劣化損失プロファイルを格納する格納部と、
    前記強度の測定値を前記劣化損失プロファイルに基づいて補償する補償部であって、
    前記強度の測定時における前記光ファイバの劣化による損失量の暫定的な推定を前記劣化損失プロファイルに基づいて行って該損失量の暫定推定値を取得する損失量暫定推定部と、
    前記強度の測定値を前記損失量の暫定推定値に基づいて補償して前記強度の暫定補償値を取得する強度暫定補償部と、
    前記強度の測定時における前記光ファイバの設置環境の温度の算出を、前記強度の暫定補償値を用いて行うことによって、該設置環境についての暫定推定温度を取得する温度暫定算出部と、
    前記強度の測定時における前記損失量の暫定推定値を前記暫定推定温度と前記基準温度とに基づいて補正して該測定時における前記光ファイバの劣化による損失量の推定値を取得する損失量推定部と、
    前記強度の測定値を前記損失量の推定値に基づいて補償する強度補償部と、
    を備える前記補償部と、
    前記強度の測定時における前記設置環境の温度の算出を、前記損失量の推定値に基づいて補償した前記強度の測定値を用いて行う温度算出部と、
    を備えることを特徴とする温度測定装置。
  2. 前記損失量暫定推定部は、前記強度の測定時における前記光ファイバの劣化の進行度の暫定推定値を、前記強度の前回の測定時における前記劣化の進行度の推定値と前記強度の前回の測定時から前記強度の測定時までの経過時間とに基づいて推定し、前記劣化損失プロファイルにおいて前記進行度の暫定推定値に対応付けられている損失量を、前記強度の測定時における前記損失量の暫定推定値として取得することを特徴とする請求項1に記載の温度測定装置。
  3. 前記劣化損失プロファイルにおいて前記損失量の推定値に対応付けられている進行度を、前記強度の測定時における前記劣化の進行度の推定値として記憶する記憶部を更に備え、
    前記損失量暫定推定部は、前記強度の前回の測定時における前記劣化の進行度の推定値を、前記記憶部から取得する、
    ことを特徴とする請求項2に記載の温度測定装置。
  4. 前記損失量推定部は、前記強度の測定時における前記光ファイバの劣化による損失量の推定値として、該測定時における前記損失量の暫定推定値と前記強度の前回の測定時における前記損失量の推定値との差の値に係数を乗算した値を該前回の測定時における前記損失量の推定値に加算して得られる値を取得し、前記基準温度より低い所定温度よりも前記暫定推定温度が更に低い場合には前記係数の値を0とし、前記暫定推定温度が該所定温度以上である場合には、前記係数の値を前記暫定推定温度の高さに応じて単調増加する値として、前記暫定推定温度が前記基準温度と等しい場合に前記単調増加する値が1となるようにすることを特徴とする請求項1または2に記載の温度測定装置。
  5. 前記強度の測定時における前記損失量の推定値を記憶する記憶部を更に備え、
    前記損失量推定部は、前記強度の前回の測定時における前記損失量の推定値を、前記記憶部から取得する、
    ことを特徴とする請求項4に記載の温度測定装置。
  6. 前記劣化損失プロファイルは、前記劣化の進行度と該劣化による損失量との対応関係として、前記光ファイバを前記基準温度の環境下に置いてからの経過時間と該経過時間の経過によって進行する前記光ファイバの劣化により生じる損失量との関係を表しており、
    前記損失量暫定推定部は、前記強度の測定時と前記強度の前回の測定時との時間差を、前記前回の測定時における前記劣化の進行度の推定値に相当する前記劣化損失プロファイルでの経過時間に加算して得られる時間を、前記強度の測定時についての前記劣化損失プロファイルでの経過時間とし、該経過時間が前記劣化損失プロファイルにおいて対応付けられている損失量を、前記強度の測定時における前記損失量の暫定推定値として取得する、
    ことを特徴とする請求項1から5のうちのいずれか一項に記載の温度測定装置。
  7. 前記格納部には、ラマン散乱光におけるストークス成分とアンチストークス成分との各々についての前記劣化損失プロファイルが格納されており、
    前記強度取得部は、前記ストークス成分の強度の測定値と前記アンチストークス成分の強度の測定値とを取得し、
    前記補償部は、前記ストークス成分と前記アンチストークス成分との各々の強度の測定値を、前記ストークス成分と前記アンチストークス成分とのそれぞれについての前記劣化損失プロファイルに基づいて補償し、
    前記温度算出部は、前記強度の測定時における前記設置環境の温度の算出を、前記ストークス成分と前記アンチストークス成分との各々についての、前記補償部により補償された前記強度の測定値を用いて行う、
    ことを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の温度測定装置。
  8. 温度測定装置が行う温度測定方法であって、
    光を入射させた光ファイバからの後方散乱光の強度の測定値を取得し、
    前記強度の測定時における前記光ファイバの劣化による損失量の暫定的な推定を、所定の基準温度の環境下における前記光ファイバの劣化の進行度と前記光ファイバの該劣化による損失量との対応関係を表している劣化損失プロファイルに基づいて行って、該損失量の暫定推定値を取得し、
    前記強度の測定値を前記損失量の暫定推定値に基づいて補償して前記強度の暫定補償値を取得し、
    前記強度の測定時における前記光ファイバの設置環境の温度の算出を、前記強度の暫定補償値を用いて行うことによって、該設置環境についての暫定推定温度を取得し、
    前記強度の測定時における前記損失量の暫定推定値を前記暫定推定温度と前記基準温度とに基づいて補正して該測定時における前記光ファイバの劣化による損失量の推定値を取得し、
    前記強度の測定値を前記損失量の推定値に基づいて補償し、
    前記強度の測定時における前記設置環境の温度の算出を、前記損失量の推定値に基づいて補償した前記強度の測定値を用いて行う、
    ことを特徴とする温度測定方法。
  9. 光を入射させた光ファイバからの後方散乱光の強度の測定値を取得し、
    前記強度の測定時における前記光ファイバの劣化による損失量の暫定的な推定を、所定の基準温度の環境下における前記光ファイバの劣化の進行度と前記光ファイバの該劣化による損失量との対応関係を表している劣化損失プロファイルに基づいて行って、該損失量の暫定推定値を取得し、
    前記強度の測定値を前記損失量の暫定推定値に基づいて補償して前記強度の暫定補償値を取得し、
    前記強度の測定時における前記光ファイバの設置環境の温度の算出を、前記強度の暫定補償値を用いて行うことによって、該設置環境についての暫定推定温度を取得し、
    前記強度の測定時における前記損失量の暫定推定値を前記暫定推定温度と前記基準温度とに基づいて補正して該測定時における前記光ファイバの劣化による損失量の推定値を取得し、
    前記強度の測定値を前記損失量の推定値に基づいて補償し、
    前記強度の測定時における前記設置環境の温度の算出を、前記損失量の推定値に基づいて補償した前記強度の測定値を用いて行う、
    処理をコンピュータに行わせることを特徴とする温度測定プログラム。
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