JP7334294B2 - 多色固形化粧料 - Google Patents
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Description
また、特にファンデーションでは塗布色の選択は非常に重要であることから、主要部分の外観色と予想される塗布色が概ね同一となる多色充填ファンデーションが提案されており、複数の充填組成物の外観色の色度差を一定以下とするファンデーションが開示されている(例えば、特許文献2参照)。
本発明は、良好な奥行き感を付与できる多色固形化粧料を提供することを課題とする。
前記複数の着色固形組成物は、進出色を少なくとも1色と後退色を少なくとも1色とを含み、
前記複数の着色固形組成物の配置面において、着色固形組成物数が20超100未満である、多色固形化粧料である。
また、前記複数の着色固形組成物の配置面において、着色固形組成物数が30以上95以下であることが好ましい。
また、前記複数の着色固形組成物が、10色未満からなることが好ましい。
また、前記複数の着色固形組成物がマーブル状に配置されてなる箇所を少なくともその一部に有することが好ましい。
また、肌に塗布した際に、肌色を呈するファンデーションであることが好ましい。
また、多色固形化粧料全量に対し、顔料酸化チタンを1質量%以上、40質量%以下含有することが好ましい。
本実施形態に係る多色固形化粧料は、複数の着色固形組成物が、規則性を有し又はアトランダムに配置され、多色固形化粧料を形成する。本明細書において、複数の着色固形組成物の配置方向は、媒体を介して、又は直接的に、肌に塗布する方向である。具体的には、固形ファンデーションであれば、化粧料をパフ上に転写するためパフを摺動する平面方向に、スティックファンデーションであれば、肌に塗布する塗布平面方向に、複数の着色固形組成物が配置される。
後述する実施例1及び比較例1のパウダーファンデーションを準備した。
ポリジョイントJN(大成ファインケミカル株式会社製)を用いて、0.5ミルのドクターブレードにより均一に製膜した。その上に実施例1及び比較例1のパウダーファンデーションを均一塗布し、これを試験サンプルとした。各試験サンプルから無作為に4か所画像撮影を行い、顔料の偏在度合を解析した。なお、画像解析は、ビデオマイクロスコープ(キーエンス HVX1000)を用いた。
600倍画像を目視した結果、実施例1のファンデーションを塗布した試験サンプルは
、顔料が偏在して存在することが確認できた。一方で、比較例1のファンデーションは顔料の偏在が確認できなかった。
また、試験サンプルでの、顔料の含有面積比率(一定面積中に顔料が占める割合)(%)を、赤色顔料と黄色顔料について算出し、含有面積比率の標準偏差を比較した。結果を表1に示す。
後述する実施例1、比較例1及び比較例2のパウダーファンデーションを準備した。
実験1と同様の方法で準備した試験サンプルを撮像し、得られたデジタル画像をPhotoshop CS6を用いて、画像を構成するピクセルの色分布をRGB画像に変換し、一定面積(200×200ピクセル)を対象としてヒストグラム解析を実施した。なお、R画像及びG画像と比較して、B画像が最も標準偏差が大きく出るため、B画像を用いてヒストグラム解析を行い、色のバラツキを評価した。結果を表2に示す。
後述する実施例1、比較例1及び比較例2のパウダーファンデーションを準備した。
それぞれのファンデーションを4cm×5cmのパフに転写させ、ファンデーション転写後のパフを撮像し、デジタル画像から実験2と同様に、一定面積におけるB画像を用いてヒストグラム解析を行い、色のバラツキを評価した。結果を表3に示す。
上記実験1~3を受け、パフに転写されたファンデーションのスポット数と、スポットの色の数と、を変化させることで、奥行き感がどのように変化するかを実験した。スポットを構成する色は以下のとおり。なお、各スポットには、少なくとも1種の進出色と、少なくとも1種の後退色を含ませた。
2色:オレンジ、緑
3色:赤、黄、青
4色:赤、黄、青、緑
8色:赤、オレンジ、黄色、黄緑、青、緑、グレー、白
10色:赤、ピンク、オレンジ、黄色、黄緑、青、緑、青紫、白、グレー
×××:単一色で平面的に感じる。
××:色ムラと認識する。
×:やや色ムラと認識する。
△:若干奥行きを感じる。
○:奥行きを感じる。
◎:とても奥行きを感じる。
このような結果となった理由としては、肌の色は一定ではなく、場所によって明度、色相がばらついているところ、化粧料においても異なる色の集合体で、適度に色を分散させて肌色を表現したことで、良好な奥行き感が得られたと本発明者らは考察する。
後退色とは、背景になる色から奥に引っ込んで見える色の総称であり、通常マンセルの表色系における、緑色、青緑色、青色、青紫色、紫色に分類される色から選択される。一般に明度が低く、彩度も低い色である。具体的には、緑色、青緑色、青色、青紫色、紫色などがその代表色としてあげられる。
それぞれの着色固形組成物の大きさ(面積)は特段限定されないが、最小面積の着色固形組成物に対する最大面積の着色固形組成物の面積比が5以下であってよく、4以下であってよく、3以下であってよく、2以下であってよく、それぞれの着色固形組成物の大きさが略同一であることが好ましい。また、最小の着色固形組成物の面積は、良好な奥行きの観点から0.04cm2以上であってよく、0.25cm2以上であってよく、また3cm2以下であってよく、1.5cm2以下であってよい。
一方で、スティックファンデーションの場合には、通常スティック状であり、その長さ、径は、適宜設定される。
以下、本実施形態に係る多色固形化粧料に用いる原料について、説明する。
本実施態様で使用し得る粉体は、水、油脂、界面活性剤、アルコール類、シリコーン類などの化粧料原料には溶解しない、有機或いは無機の固形物の総称を意味する。
粉体の具体例としては、カオリン、タルク、マイカ、セリサイト、チタンマイカ、積層樹脂小片(グリッター)、ホウケイ酸Ca/Al、チタンセリサイト、二酸化チタン、酸化鉄、酸化亜鉛、群青、紺青、赤色102号、赤色226号、黄色4号アルミニウムレーキ、シリカ、アルミナ、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、メチルシロキサン網状重合体、架橋型メチルポリシロキサン樹脂、アクリル酸アルキル樹脂類、ナイロン、シルク、セルロース或いはこれらの複合材料などが例示できる。
粉体の形状は、球状、不定形、多孔質状、中空状、繊維状、板状或いは塊状であってもよい。更に、その表面は、シリコーン被覆処理、金属石けん被覆処理、アシルアミノ酸塩被覆処理など、通常知られている表面処理が為されていてもよい。
形組成物が得られる。一方で、多色固形化粧料を肌に塗布した際に肌色を呈させるためには、黒色粉体が必要となる。黒色粉体の例としては、黒酸化鉄、カーボンブラック、チタンブラック等があげられる。その他の色は適宜調整されるが、通常マンセルの表色系における赤、赤黄色、黄色、青、青緑、緑、などの色から選択されることが一般的である。
本実施態様において粉体は、パウダーファンデーションの場合には、多色固形化粧料中、及び/又は着色固形組成物中通常65質量%以上であり、70質量%以上であることが好ましく75質量%以上であることがより好ましく、80質量%以上であることが更に好ましい。また、通常95質量%以下であり、90質量%以下であることが好ましく、85質量%以下であることがより好ましい。
オイルゲルタイプのスティックファンデーションの場合には、多色固形化粧料中、及び/又は着色固形組成物中通常30質量%以上であり、40質量%以上であることが好ましい。また、通常70質量%以下であり、60質量%以下であることが好ましい。
粉体のうち、顔料酸化チタンを配合させることが好ましく、多色固形化粧料全量に対し通常1質量%以上、好ましくは2質量%以上、より好ましくは3質量%以上であり、また通常40質量%以下、好ましくは15質量%以下、より好ましくは10質量%以下である。なお、顔料酸化チタンとは、酸化チタンのうち一次粒子径が0.1μm以上の酸化チタンを意味する。
本実施形態に係る多色粉末固形化粧料は、油性成分を含んでもよい。
油性成分の具体例としては、例えば、マカデミアナッツ油、アボガド油、トウモロコシ油、オリーブ油、ナタネ油、ゴマ油、ヒマシ油、サフラワー油、綿実油、ホホバ油、ヤシ油、パーム油、液状ラノリン等の動植物油;流動パラフィン、スクワラン、プリスタン等の炭化水素油;オレイン酸、イソステアリン酸等の液状脂肪酸;イソステアリルアルコール、オクチルドデカノール等の液状高級アルコール;イソオクタン酸セチル、ミリスチン酸イソプロピル、イソステアリン酸ヘキシルデシル、アジピン酸ジイソプロピル、セバチン酸ジ-2-エチルヘキシル、乳酸セチル、リンゴ酸ジイソステアリル、ジ-2-エチルヘキサン酸エチレングリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、ジ-2-ヘプチルウンデカン酸グリセリン、トリ-2-エチルヘキサン酸グリセリン、エチルヘキサン酸セチル、トリ-2-エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、テトラ-2-エチルヘキサン酸ペンタンエリトリット、グリセリルトリイソステアレート、グリセリルトリイソオクタネート等の合成エステル油;ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、ジフェニルポリシロキサン等の鎖状ポリシロキサン;オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサンシロキサン等の環状ポリシロキサン;アミノ変性ポリシロキサン、ポリエーテル変性ポリシロキサン、アルキル変性ポリシロキサン、フッ素変性ポリシロキサン等の変性ポリシロキサン等のシリコーン油;が挙げられる。但し、後述する特定の界面活性剤群に属するものは、油性成分として取り扱わないものとする。
本実施態様において油性成分を配合する場合、パウダーファンデーションの場合には、多色固形化粧料中通常5質量%以上であり、10質量%以上であることが好ましい。また
、通常25質量%以下であり、20質量%以下であることが好ましい。
オイルゲルタイプのスティックファンデーションの場合には、多色固形化粧料中通常30質量%以上であり、40質量%以上であることが好ましい。また、通常70質量%以下であり、60質量%以下であることが好ましい。
本実施態様に係る固形化粧料は、通常固形化粧料に使用される成分を広く配合することが可能である。
また、界面活性剤としては、脂肪酸セッケン(ラウリン酸ナトリウム、パルミチン酸ナトリウム等)、ラウリル硫酸カリウム、アルキル硫酸トリエタノールアミンエーテル等のアニオン界面活性剤類、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ベンザルコニウム、ラウリルアミンオキサイド等のカチオン界面活性剤類、
ベタイン系界面活性剤(アルキルベタイン、アミドベタイン、スルホベタイン等)、イミダゾリン系両性界面活性剤(2-ココイル-2-イミダゾリニウムヒドロキサイド-1-カルボキシエチロキシ2ナトリウム塩等)、アシルメチルタウリン等の両性界面活性剤類、
ソルビタン脂肪酸エステル類(ソルビタンモノステアレート、セスキオレイン酸ソルビタン等) 、グリセリン脂肪酸類(モノステアリン酸グリセリン等)、プロピレングリコ
ール脂肪酸エステル類(モノステアリン酸プロピレングリコール等)、硬化ヒマシ油誘導体、グリセリンアルキルエーテル、POEソルビタン脂肪酸エステル類(POEソルビタンモノオレエート、モノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン等)、POEソルビット脂肪酸エステル類(POE-ソルビットモノラウレート等)、POEグリセリン脂肪酸エステル類(POE-グリセリンモノイソステアレート等)、POE脂肪酸エステル類(ポリエチレングリコールモノオレート、POEジステアレート等) 、POEアルキル
エーテル類(POE2-オクチルドデシルエーテル等)、POEアルキルフェニルエーテル類(POEノニルフェニルエーテル等)、プルロニック型類、POE・POPアルキルエーテル類(POE・POP2-デシルテトラデシルエーテル等)、テトロニック類、POEヒマシ油・硬化ヒマシ油誘導体(POEヒマシ油、POE硬化ヒマシ油等)、ショ糖脂肪酸エステル、アルキルグルコシド等の非イオン界面活性剤類、等が挙げられる。
吸収剤、サリチル酸系紫外線吸収剤、桂皮酸系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、糖系紫外線吸収剤、2-(2'-ヒドロキシ-5'-t-オクチルフェニル)ベンゾ
トリアゾール、4-メトキシ-4'-t-ブチルジベンゾイルメタン等の紫外線吸収剤類
、等が挙げられる。
下記表5に従って、多色固形ファンデーションを作成した。
まず、各実施例、比較例におけるそれぞれの着色組成物を調製した。成分(A)をヘンシェルミキサで混合し、その後成分(B)を加えて更に混合して混合物を得た。得られた混合物はパルペライザを用いて粉砕し、それぞれの着色組成物を得た。
次に、49等分に隔壁を設けた、一辺5cmの略矩形の金皿に、隔壁で仕切られた区域に、種類の異なる化粧料組成物同士が混合しないように充填し、隔壁をはずして、ハンドプレス20Kgにて加圧成型して実施例1に係る、図1の模式図で概略を示すような49区画に区分された多色固形ファンデーション、及び比較例1に係る単色肌色ファンデーションを得た。また、実施例1と同様の4色の着色組成物を用い、区画を大きくし、区画数を16とした比較例2に係る多色固形ファンデーションを得た。
得られた実施例1、比較例1及び比較例2に係る固形ファンデーションの評価を行った。
・ファンデーションの官能試験(いきいきとした肌、肌の奥行き感、肌の透明感)
化粧料専門のパネラー10名に、実施例1、比較例1及び比較例2の固形ファンデーションを実際に使用してもらい、「固形ファンデーションを塗布した肌がいきいきとして見えるか否か」、「固形ファンデーションを塗布した肌に奥行き感を感じるか」、及び「固形ファンデーションを塗布した肌に透明感を感じるか否か」の3点について二択評価を行った。結果を表6に示す。なお、評価基準は以下のとおり。
(評価基準)
◎肯定評価が9人以上
○肯定評価が7~8人
△肯定評価が4-6人
×肯定評価が3人以下
Claims (6)
- 複数の着色固形組成物が、規則性を有し又はアトランダムに配置されてなる、多色固形化粧料であって、
前記複数の着色固形組成物は、進出色を少なくとも1色と後退色を少なくとも1色とを含み、
前記複数の着色固形組成物が、10色未満からなり、
前記複数の着色固形組成物の配置面において、着色固形組成物数が20超100未満であり、
前記複数の着色固形組成物の最小面積が、0.04cm2以上3cm2以下であり、
最小面積の着色固形組成物に対する最大面積の着色固形組成物の面積比が5以下であり、
肌に塗布した際に、肌色を呈するファンデーションである、多色固形化粧料。 - 前記進出色は、マンセルの表色系における赤色、赤黄色、及び黄色に分類される色から選択され、前記後退色は、マンセルの表色系における緑色、青緑色、及び青色に分類される色から選択される、請求項1に記載の多色固形化粧料。
- 前記進出色の着色固形組成物は黒色粉体を該組成物全量に対し0.8質量%以下含有し、及び/又は
前記後退色の着色固形組成物は黒色粉体を該組成物全量に対し0.05質量%以上含有する、請求項1または2に記載の多色固形化粧料。 - 前記複数の着色固形組成物の配置面において、着色固形組成物数が30以上95以下である、請求項1~3のいずれか1項に記載の多色固形化粧料。
- 前記複数の着色固形組成物がマーブル状に配置されてなる箇所を少なくともその一部に有する、請求項1~4のいずれか1項に記載の多色固形化粧料。
- 多色固形化粧料全量に対し、顔料酸化チタンを1質量%以上、40質量%以下含有する
、請求項1~5のいずれか1項に記載の多色固形化粧料。
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