図1は、本発明に係る歩行経路情報提示システム100の一例を示すブロック図である。図1に示すように、本実施形態における歩行経路情報提示システム100は、端末機1と、車両2と、サーバ3と、電気通信回線網を構成するネットワーク4とを含む。端末機1、車両2、及びサーバ3は、ネットワーク4を介した無線通信により互いに情報を授受する。本実施形態のシステムでは、端末機1を操作する主体はユーザ(人間)である。また、図1には、2台の車両2を示しているが、本実施形態における車両2の台数は特に限定されず、本実施形態のシステムは、複数台の車両2で構成することができる。以降では、一台の車両2を例に挙げて説明するが、その他の車両2についても同様に適用される。
本実施形態のシステムは、車両2の配車システムの一部に適用される。車両2の配車システムとは、車両2の利用要求をしたユーザに対して車両2を配車するシステムである。ユーザは、端末機1を操作することで、車両2の利用要求をすることができる。サーバ3は、ユーザからの利用要求に応じて、所定の地点へ車両2を配車する配車機能を備えている。
ここで、図2を用いながら、車両2の配車システムの概要を説明するとともに、車両2の配車システムにおける歩行経路情報提示システム100の役割について説明する。図2は、配車システムの概要を説明するための図である。
まず、車両2の配車システムの概要について説明する。図2に示すユーザU1は、リクエスト地点P0から目的地P3へ移動するにあたり、配車システムを利用しようと考えている。そこで、ユーザU1は、図1に示す端末機1を介して、サーバ3に対して配車要求(配車リクエストともいう)を行う。サーバ3は、ユーザU1からの配車要求を受け付けると、リクエスト地点P0及び目的地P3の位置情報に基づいて、複数の車両2の中から、ユーザU1が利用可能な車両2を特定する。この際に、ユーザU1から利用時間の指定がある場合、サーバ3は、指定された時間帯に利用可能な車両2を特定する。
サーバ3は、ユーザU1に配車するための車両2(以降、配車車両2’ともいう)を特定すると、ユーザU1が配車車両2’に乗車する地点(乗車地点P1)と、ユーザU1が配車車両から降車する地点(降車地点P2)を設定するとともに、配車車両2’が乗車地点P1から降車地点P2まで走行するための経路を走行経路TR1として算出する。
サーバ3は、端末機1を介して、乗車地点P1及び降車地点P2の位置情報、配車車両2’に関する情報(車種、乗車地点P1への配車車両2’の到着予定時刻、及び降車地点P2への配車車両2’の到着予定時刻など)を、ユーザU1に提示する。ユーザU1は、提示された乗車地点P1及び降車地点P2の位置情報を確認し、配車車両2’の到着予定時刻までに乗車地点P1に到着するよう、リクエスト地点P0から乗車地点P1まで移動する。その後、ユーザU1は、乗車地点P1で配車車両2’に乗車して降車地点P2まで移動する。ユーザU1は、降車地点P2で配車車両2’から降車すると、降車地点P2から目的地P3まで移動する。
以上が車両2の配車システムの概要である。次に、上記配車システムにおける歩行経路情報提示システム100の役割について説明する。上記の配車システムにおいて、ユーザは、リクエスト地点P0から乗車地点P1まで及び降車地点P2から目的地P3まで何らかの移動手段で移動する必要がある。歩行経路情報提示システム100は、このリクエスト地点P0から乗車地点P1までの経路、及び降車地点P2から目的地P3までの経路のうち、不特定多数の人間が歩行することが可能な経路(以降、歩行経路ともいう)に関する情報を、ユーザに提示するシステムである。歩行経路の移動手段としては、例えば、徒歩、車椅子が挙げられる。一方、本実施形態における歩行経路の移動手段には、自転車、自動車、タクシー、バス、電車など、配車された車両2を利用する際に乗り換えを要する手段は含まれない。
図2の例において、乗車地点P1及び降車地点P2が決定される前に、ユーザU1には、予め歩行経路WR1(リクエスト地点P0から乗車地点P1までの歩行経路)及び歩行経路WR2(降車地点P2から目的地P3までの歩行経路)に関する情報が提示される。歩行経路WR1に関する情報としては、歩行経路WR1のルート情報(経路情報)、乗車地点P1の位置情報、及び歩行経路WR1の属性情報が含まれる。また、歩行経路WR2に関する情報としては、歩行経路WR2のルート情報(経路情報)、降車地点P2の位置情報、及び歩行経路WR2の属性情報が含まれる。各情報の詳細については後述する。また、以降の説明においては、歩行経路に関する情報を歩行経路情報ともいう。
このように、本実施形態における歩行経路情報提示システム100は、配車システムにおいて乗車地点及び降車地点が設定される前に、予め歩行経路情報をユーザに提示して、ユーザに乗車地点及び降車地点を選択させるためのシステムである。以上が本実施形態の歩行経路情報提示システム100の概要である。
再び、図1に戻り、歩行経路情報提示システム100の各構成について説明する。
本実施形態のシステムの前提として、端末機1は、ユーザにより操作される。この種の端末機1としては、スマートフォン、携帯電話機、可搬コンピュータなどを用いることができる。また、本実施形態では、ユーザは端末機1を所有しているものとする。
図1に示すように、端末機1は、入力装置11と、出力装置12と、端末通信装置13と、位置検出装置14と、情報処理装置15とを備える。
入力装置11は、ユーザにより操作される機器であり、車両2の配車要求や乗車地点及び降車地点の選択などの各種操作を行うために用いられる。入力装置11としては、例えば、ディスプレイ上に配置されるタッチパネル、キーボード上に配置されるボタン、又はジョイスティックなどのユーザの手操作による入力が可能な装置であってもよい。ユーザが入力装置11を介して入力した入力情報は、情報処理装置15に出力される。
出力装置12は、ユーザに対して各種情報を提示する機器である。出力装置12としては、例えば、ディスプレイなどのユーザの視覚へ作用する画像又は映像を出力可能な装置が挙げられる。ディスプレイの種別や数量は特に限定されるものではない。本実施形態では、出力装置12をディスプレイとして説明する。
端末通信装置13は、ネットワーク4を介して、サーバ3と通信する機器である。端末通信装置13には、情報処理装置15から配車要求等の情報が入力される。端末通信装置13は、情報処理装置15から入力される情報をサーバ3に送信する。また、端末通信装置13は、サーバ3から歩行経路情報等の各種情報を受信し、受信した情報を情報処理装置15に出力する。端末通信装置13としては、4G LTEのモバイル通信機能を備えたデバイス、Wifi通信機能を備えたデバイス等が例示できる。
位置検出装置14は、端末機1の現在位置を検出する。位置検出装置14としては、GPS(Global Positioning System)が挙げられる。位置検出装置14により検出された端末機1の位置情報は、情報処理装置15に出力される。なお、本実施形態では、ユーザが端末機1を所有しているため、端末機1の位置情報は、ユーザの位置情報に対応する。
情報処理装置15は、ハードウェア及びソフトウェアを備えたコンピュータにより構成され、プログラムを格納したROM(Read Only Memory)と、このROMに格納されたプログラムを実行するCPU(Central Processing Unit)と、アクセス可能な記憶装置として機能するRAM(Random Access Memory)とから構成されている。図1に示す端末制御装置150はCPUに相当し、また図1に記憶装置154はROM及びRAMに相当する。
図1に示すように、端末制御装置150には、現在位置取得部151と、配車要求部152と、情報提示部153が含まれ、これらのブロックは、ROMに確立されたソフトウェアによって、後述する各機能を実現する。
現在位置取得部151の機能について説明する。現在位置取得部151は、位置検出装置14により検出された端末機1の現在位置の情報を取得する。現在位置取得部151は、所定の周期ごとに、端末機1の位置情報を取得する。位置情報は、例えば、地図における座標情報として表される。
次に、配車要求部152の機能について説明する。配車要求部152は、端末通信装置13を介して、配車要求をする旨の信号(配車要求信号ともいう)をサーバ3に送信する。例えば、ユーザが入力装置11に対して車両2の配車要求をする操作を行った場合、情報処理装置15には、配車要求の情報が入力される。配車要求部152は、ユーザによる操作に起因して、サーバ3に対して配車要求信号を送信する。
また、配車要求部152は、配車要求信号を送る際に、配車要求信号に端末機1の位置情報及びユーザの最終目的地の情報を加える処理を実行する。そして、配車要求部152は、これらの情報を含む信号を配車要求信号としてサーバ3に送信する。端末機1の位置情報とは、位置検出装置14により検出された端末機1の現在位置、すなわち、ユーザが配車要求を行った地点(以降、リクエスト地点ともいう)を示す。また、ユーザの最終目的地とは、ユーザが配車要求をする際に、入力装置11に対して入力した目的地の情報である。例えば、ユーザは、配車要求をする際に最終目的地である住所、建物名、施設名、又は店名を入力することで、最終目的地の情報を入力する。あるいは、例えば、ユーザは、端末機1のタッチパネル(出力装置12に相当)に表示される地図に最終目的地である地点をタッチすることで、最終目的地の情報を入力する。
上記において、歩行経路の移動手段には、配車された車両2を利用する際に乗り換えを要する手段(自転車等)は含まれないことを説明したが、これらの手段を用いて最終目的地に到着するまでの一例について説明する。例えば、ユーザが車両2を利用し、かつ、駐輪所に止めてある自転車で自宅に帰宅したい場合、ユーザは配車システムを利用する際に、当該駐輪所を目的地P3として設定することで、駐輪所から自宅までの間を自転車で移動することができる。なお、上記説明は、歩行経路情報提示システム100の利用例の一つにすぎず、利用方法について限定するものではない。
次に、情報提示部153の機能について説明する。情報提示部153は、サーバ3から端末通信装置13を介して受信した各種情報を、出力装置12に出力する。これにより、サーバ3から送信された各種情報はユーザに提示される。例えば、サーバ3が歩行経路情報を端末機1に対して送信した場合、情報処理装置15には、歩行経路情報が入力される。情報提示部153は、サーバ3からの送信処理に起因して、ユーザに対してサーバ3から受信した各種情報をユーザに提示する。
次に、車両2について説明する。本実施形態に係る車両2は、自律走行が可能な車両である。車両2は、ナビゲーション装置が搭載されているとともに走行制御(速度制御と操舵制御)を自動制御する機能を備える自動車であって人間が運転する自動車、又はナビゲーション装置が搭載されているとともに走行制御を自動制御する自動車であって無人で運転する自動車のいずれかを用いることができる。以下の実施形態では、車両2をナビゲーション装置が搭載されているとともに走行制御を自動制御する自動車であって無人で運転する自動車として説明する。配車システムを構成する車両2の一例として、ロボットタクシーが挙げられる。
車両2は、図1に示すように、車載センサ群21と、ECU22と、車載通信装置23を備える。車両2を構成する各装置は、相互に情報の授受を行うためにCAN(Controller Area Network)その他の車載LANによって接続されている。
車載センサ群21は、車両2の周辺の状況及び車両2の走行状態を検出するための各種センサである。車載センサ群21としては、例えば、CCD、CMOS等の撮像素子を備えるカメラ、車両2の周辺に存在する障害物を検出するレーダー等、車両2の周辺状況を検出するためのセンサが挙げられる。また、その他のセンサとしては、例えば、車速センサ、操舵角センサ、アクセル操作センサ、ブレーキ操作センサ等、車両2の走行状態を検出するためセンサや、車両2の現在位置を検出する検出装置が挙げられる。車載センサ群21により検出された各種情報は、ECU22に送信される。
ECU22は、いわゆるエレクトリックコントロールユニット(Electronic Control Unit, ECU)と呼ばれる車載コンピュータである。ECU22は、車両2の自律走行させる自律走行機能を有する。
ECU22は、自律走行機能により、所定の走行経路に沿って車両2を自律走行させる。例えば、ECU22は、サーバ3から送信された走行経路に沿って、車両2を自律走行するよう、車両2に搭載された駆動装置(図示しない)を制御する。本実施形態において、サーバ3から送信される走行経路には、ユーザが車両2に乗車する乗車地点及びユーザが車両2から降車する降車地点が含まれる。なお、乗車地点は、リクエスト地点と一致する場合がある。車両2がリクエスト地点にそのまま到着することが可能な場合、乗車地点がリクエスト地点と一致する。このような場面としては、例えば、ユーザが公道に面した場所(歩道、建物内)で配車要求をした場面が挙げられる。また、降車地点は、ユーザの最終目的地(以降、単に目的地ともいう)と一致する場合がある。車両2が目的地にそのまま到着することが可能な場合、降車地点が目的地と一致する。このような場面としては、例えば、ユーザの自宅が公道に面しており、ユーザが自宅の玄関前を目的地として設定した場面が挙げられる。また、車両2を自律走行させる技術は特に限定されるものではなく、本願出願時における技術を適宜援用できる。
車載通信装置23は、ネットワーク4を介して、サーバ3と通信可能な機器である。車載通信装置23は、サーバ3からの情報を受信して、ECU22へ出力するとともに、ECU22から出力された各種の情報をサーバ3へ送信する。ECU22から出力された情報としては、例えば、車両2の位置情報が挙げられる。車載通信装置23としては、4G LTEのモバイル通信機能を備えたデバイス、Wifi通信機能を備えたデバイス等が例示できる。
次に、サーバ3について説明する。サーバ3は、図1に示すように、データベース31と、サーバ通信装置32と、制御装置33とを備える。サーバ3を構成する各装置は、有線又は無線の通信回線を介して互いに情報の授受が可能となっている。
データベース31は、地図情報311と、ユーザ属性情報312を記憶している。地図情報311としては、例えば、高精細地図が挙げられる。また、本実施形態に係る地図情報311には、単に地図の情報だけでなく、地図上に示される歩道に関する情報(以降、歩道情報ともいう)及び施設に関する情報(以降、施設情報ともいう)が含まれている。歩道情報及び施設情報は、後述する制御装置33での歩行経路特定処理及びユーザビリティ度算出処理等に用いられる。
歩道情報としては、例えば、道路に歩道が設けられているか否か、道路の種別が歩行者専用道路であるか否か、歩道には段差があるか否か、段差がある場合には当該段差の段数、歩道には屋根又はアーケードが設けられているか否か、横断歩道には歩行者信号機が設けられているか否か、歩道と車道の間にはガードレール等の構造物が設けられているか否か、歩道の傾斜角、歩道のカーブの数、歩道の幅員、及び歩道の長さの情報が挙げられる。また、その他の歩道情報としては、例えば、歩道に視覚障碍者誘導用ブロックが設けられているか否か、横断歩道に設けられた歩行者信号機が音響式信号機であるか否か、当該歩行者信号機が青延長用押しボタン付き信号機であるか否かの情報が挙げられる。
また、施設情報としては、例えば、施設の種別(家、公共施設、商業施設など)、施設が商業施設の場合には当該商業施設の利用可能時間又は営業時間、道路の特定区間における施設の数(POI数ともいう)の情報が挙げられる。また、その他の施設情報としては、例えば、施設がバリアフリーに対応しているか否かの情報が挙げられる。なお、POIとはPoint of Interestの略語である。
また、サーバ通信装置32は、ネットワーク4上に存在する各種サーバから、ユーザが車両2を利用する際の歩行環境に関する情報を取得する。例えば、サーバ通信装置32は、交通情報を管理するサーバから、道路の渋滞情報を取得する。道路の渋滞情報とは、道路がどの時間帯に交通渋滞が起きているかを示す情報であり、道路の種別ごと及び/又は時間帯ごとに細分化が可能な情報である。
ユーザ属性情報312は、ユーザのプライベートに関する情報(ユーザの個人情報ともいう)であって、ユーザごとに異なる情報である。ユーザ属性情報312としては、例えば、ユーザの年齢、性別、及び住所、ユーザが妊婦であるか否か、車椅子の利用者か否か、障碍者か否か、障碍者の場合にはその障碍等級及び内容、病気にかかっているか否か、病気の場合にはその症状の情報が挙げ有られる。また、その他のユーザ属性情報312としては、例えば、配車システムの利用回数、配車システムの利用頻度の情報が挙げられる。これらの各種個人情報は、ユーザの識別情報(例えば、会員登録番号など)と紐づけられている。ユーザ属性情報312は、後述する制御装置33での重み係数処理の際に用いられる。
ユーザ属性情報312がデータベース31に記憶される経緯としては、例えば、配車システムの利用にあたりユーザ自身が入力した場合が挙げられる。例えば、配車システムが会員登録を要する会員専用のシステムの場合、会員登録手続きの際に、ユーザは個人情報を端末機1に入力する。端末機1は、端末通信装置13を介して、ユーザにより入力された個人情報をサーバ3に送信する。これにより、サーバ3のデータベース31には、ユーザごとに異なるユーザ属性情報312が記憶される。なお、上記のデータベース31にユーザ属性情報312が記憶される経緯は、一例であって特に限定されるものではない。
次に、サーバ通信装置32は、ネットワーク4を介して、端末機1及び車両2と通信可能な機器である。サーバ通信装置32は、端末機1又は車両2から受信した情報を、制御装置33に出力するとともに、制御装置33から入力される情報を、端末機1又は車両2に送信する。
制御装置33は、ハードウェア及びソフトウェアを備えたコンピュータにより構成され、プログラムを格納したROM(Read Only Memory)と、このROMに格納されたプログラムを実行するCPU(Central Processing Unit)と、アクセス可能な記憶装置として機能するRAM(Random Access Memory)とから構成されている。なお、動作回路としては、CPUに代えて又はこれとともに、MPU(Micro Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)などを用いることができる。
図1に示すように、制御装置33には、配車要求受付部331と、歩行経路特定部332と、ユーザビリティ度算出部333と、歩行経路抽出部334と、歩行経路情報送信部335と、配車管理部336が含まれ、これらのブロックは、ROMに確立されたソフトウェアによって、後述する各機能を実現する。
配車要求受付部331の機能について説明する。配車要求受付部331は、ユーザからの配車要求を受け付ける。既述のとおり、ユーザが端末機1に対して配車を要求する操作を行うと、端末機1の端末通信装置13からサーバ3に対して配車要求信号が送信される。配車要求受付部331は、サーバ通信装置32を介して入力された配車要求信号により、ユーザが配車を要求していることを検出する。
次に、歩行経路特定部332の機能について説明する。歩行経路特定部332は、配車要求信号及び地図情報311に基づいて、ユーザが車両2を利用して最終目的地までに到着するまでの経路のうち、ユーザ自身で移動するための複数の歩行経路の候補を特定する。言い換えると、歩行経路の候補とは、車両2の乗車前及び降車後において、ユーザが移動するための経路である。図2の例を用いて説明すると、歩行経路の候補には、リクエスト地点P0から乗車地点P1までの歩行経路WR1の候補、及び降車地点P2から目的地P3までの歩行経路WR2の候補が含まれる。なお、歩行経路は、不特定多数の人間が歩行することが可能な経路を示し、移動手段を限定した経路ではない。ユーザは、徒歩に限られず車椅子でも歩行経路を移動する。
また、本実施形態では、複数の歩行経路には、乗車地点が異なるためリクエスト地点から乗車地点までの歩行経路が複数ある場合と、乗車地点は同じ地点であるが経路が異なるためリクエスト地点から乗車地点までの歩行経路が複数ある場合のいずれの場合も含む。同様に、複数の歩行経路には、降車地点が異なるため降車地点から目的地までの歩行経路が複数ある場合と、降車地点は同じ地点であるが経路が異なるため降車地点から目的地までの歩行経路が複数ある場合のいずれの場合も含む。
次に、リクエスト地点から乗車地点までの歩行経路の候補の特定について説明する。例えば、歩行経路特定部332は、リクエスト地点を中心にして所定の範囲内に車両2が停車可能な複数の場所を特定する。所定の範囲とは、実験的に求められた範囲である。また、車両2が停車可能な場所とは、ユーザが車両2に乗車可能な場所であって、かつ、交通法規を順守する範囲内で車両2が停車可能な場所である。なお、場所の種別は特に限定されない。例えば、歩行経路特定部332は、歩道及び車道で構成される道路上を車両2が停車可能な場所として特定してもよいし、あるいは、車両2が待機している特定のステーション(待機ステーションともいう)を車両2停車可能な場所として特定してもよい。
歩行経路特定部332は、車両2が停車可能な複数の場所を特定すると、特定した場所ごとに、リクエスト地点から当該場所までの歩行経路を特定する。これにより、歩行経路特定部332は、リクエスト地点から乗車地点までに存在する複数の歩行経路の候補を特定する。なお、歩行経路特定部332は、この処理を実行する際に、ある一定の基準に基づいて、歩行経路の候補の数に制限をかけてもよい。例えば、歩行経路特定部332は、リクエスト地点から車両2が停車可能な場所とは反対側に進み、その後、所定の場所で折り返して車両2が停車可能な場所に至るような特異な歩行経路を除外する処理を実行してもよい。これにより、複数の歩行経路の候補の数を制限することができるため、演算負荷を軽減することができる。
次に、降車地点からユーザの目的地までの歩行経路の候補の特定について説明する。例えば、歩行経路特定部332は、目的地を中心にして所定の範囲内に車両2が停車可能な複数の場所を特定する。そして、歩行経路特定部332は、車両2が停車可能な複数の場所を特定すると、特定した場所ごとに、当該場所からユーザの目的地までの歩行経路を特定する。これにより、歩行経路特定部332は、降車地点からユーザの目的地までに存在する複数の歩行経路の候補を特定する。なお、乗車地点からの所定の範囲と降車地点からの所定の範囲は、同じ範囲であってもよいし、異なる範囲であってもよい。
次に、ユーザビリティ度算出部333の機能について説明する。ユーザビリティ度算出部333は、歩行経路特定部332により特定された歩行経路の候補ごとに、ユーザの属性情報に基づいて、ユーザビリティ度を算出する。本実施形態におけるユーザビリティ度とは、ユーザが乗車地点又は目的地に至るまでの間に、ユーザがストレスを感じることなく移動することができるかを表す指数(指標)である。
ユーザの属性としては、例えば、ユーザの年齢が所定の年齢よりも高いか否か、ユーザの性別が男性又は女性か、女性の場合には妊婦であるか否か、ユーザが車椅子の利用者であるか否か、ユーザが障碍者であるか否か、障碍者の場合には当該障碍の等級及び当該障碍の内容、ユーザが病気にかかっているか否か、病気の場合には当該病気の種別、ユーザが配車システムの利用回数が多い又は利用頻度が高いか否かなどのカテゴリに応じて定められる。なお、上記の例は、ユーザの属性を構成するカテゴリの一例であって、特に限定するものではない。
ユーザがストレスを感じやすい場面は、ユーザの属性によって、ストレスに影響を与える歩行環境が異なっている。例えば、高齢者のユーザ、車椅子を利用しているユーザ、又は妊婦のユーザの場合、歩行経路の距離が長かったり、歩道の段差が多かったり、あるいは、歩道の傾斜角が急であったりすると、乗車地点又は目的地に至るまでの間に疲弊し、ユーザはストレスを感じやすくなる。また、例えば、視覚障碍者のユーザの場合、歩道に視覚障碍者誘導用ブロックが設置されていなかったり、あるいは、歩道に音響式信号機が設置されていなかったりすると、乗車地点又は目的地に至るまでの間に不安に感じ、ユーザはストレスを感じやすくなる。なお、ユーザの属性ごとにストレスを感じやすい場面を説明したが、上記の説明は一例であって特に限定されるものではない。また、以降の説明では、ユーザビリティ度を、歩行経路に対するユーザの適正度とも称して説明する。上記歩行経路の属性情報については後述する。
ここで、図3を用いて、ユーザビリティ度の算出処理の一例について説明する。また、図4A及び図4Bを用いて、図3における重み係数処理の具体的な内容について説明する。図3は、ユーザビリティ度の算出処理の一例である。図3に示すように、ユーザビリティ度算出部333は、属性情報入力処理と、重み係数処理と、合算処理を順次実行することで、歩行経路の候補ごとにユーザビリティ度を算出する。
ユーザビリティ度算出部333は、属性情報入力処理を実行する。属性情報には、歩行経路の属性を示す情報と、ユーザの属性を示す情報が含まれる。ユーザビリティ度算出部333は、地図情報311に含まれる歩道情報及び施設情報に基づいて、歩道経路の属性情報を入力する。歩行経路の属性情報は、例えば、図3に示すような歩行距離(歩行経路長)と、歩行環境(段差、休憩施設、視覚障碍者向け設備)と、歩行者施設と、POI数で構成されており、それぞれの情報は数値化されている。歩行経路の属性情報の数値は、歩行経路に対してどの程度ユーザが適正であるかを示す指数であり、数値が高いほど、ユーザの適正度が高いことを示している。すなわち、属性情報の数値が高いほど、ユーザがストレスを感じる可能性は低くなる。また、歩行経路の属性情報は、ユーザの属性情報に応じて変動する。ユーザの属性情報に応じて歩行経路の属性情報の数値がどのように変更されるかについては後述する。ここでは、歩行経路の属性情報の一例について説明する。なお、図3、図4A、図4Bの説明で用いられている歩行経路の属性情報は、歩道情報及び施設情報の一部であって特に限定するものではない。ユーザビリティ度算出部333は、その他の歩道情報及び施設情報に基づいて、図3、図4A、図4Bの説明で用いられている情報以外で歩行経路の属性情報を構成することができる。
属性情報としての「歩行距離」とは、歩行経路の長さを示すパラメータである。例えば、歩行距離が短いほど歩行距離の数値は高く設定されている。これは、歩行距離が短い歩行経路ほど、車両2に乗車するまで、あるいは、車両2を降車してから目的地に到着するまでの間に、ユーザが疲れを感じる可能性は低くなるため、ユーザにストレスを与える可能性は低いという観点に基づくものである。
また、属性情報としての「段差」とは、段差の少なさを示すパラメータ、言い換えると、歩行経路の平坦度を示すパラメータである。例えば、平坦な歩行経路の場合、当該属性情報の数値は、段差が多数存在する歩行経路に比べて高い数値となる。これは、平坦な歩行経路の場合、例えば、ユーザが車椅子の利用者であっても、ユーザはスムーズに移動することができるため、ユーザにストレスを与える可能性は低いという観点に基づくものである。
また、属性情報としての「休憩施設」とは、歩行経路に沿ってユーザが一時的に休憩することが可能な施設の多さを示すパラメータである。例えば、休憩施設が多数存在する歩行経路の場合、当該属性情報の数値は、休憩施設が全く設けられていない歩行経路に比べて高い数値となる。これは、休憩施設が設けられている歩行経路の場合、例えば、ユーザが高齢者であっても、ユーザは乗車地点又は目的地に至るまでの間に一時的に休憩することができるため、ユーザにストレスを与える可能性は低いという観点に基づくものである。
また、属性情報としての「視覚障碍者向け設備」とは、歩行経路に沿って視覚障碍者向けの施設(例えば、視覚障碍者誘導用ブロック、音響式信号機など)の多さを示すパラメータである。例えば、視覚障碍者向け設備が多数存在する歩行経路の場合、当該属性情報の数値は、視覚障碍者向け設備が全く設けられていない歩行経路に比べて高い数値となる。これは、視覚障碍者向け設備が設けられている歩行経路の場合、例えば、ユーザが視覚障碍者であっても、乗車地点又は目的地に至るまでの間にユーザが不便さを感じる可能性が低くなるため、ユーザにストレスを与える可能性は低いという観点に基づくものである。
また、属性情報としての「歩行者施設」とは、歩行経路に沿って歩行者のために設けられた施設又は設備の多さを示すパラメータである。「歩行者施設」としては、例えば、歩行者信号機(歩行者のための設備)の設置率が挙げられる。例えば、横断歩道の数に対して歩行者信号機の設置率が高い歩行経路の場合、当該属性情報の数値は、横断歩道に全く歩行者信号機が設けられていない歩行経路に比べて高い数値となる。これは、歩行者信号機の設置率が高い歩行経路の場合、例えば、ユーザが車椅子の利用者であっても、横断歩道を渡る際に、ユーザは車両、バイク、自転車等の乗り物の存在を過度に気にすることなく歩行できるため、ユーザにストレスを与える可能性は低いという観点に基づくものである。
また、属性情報としての「POI数」とは、歩行経路に沿って存在するPOIの多さを示すパラメータである。例えば、特定の区間あたりのPOIの数が所定数よりも多い歩行経路の場合、当該属性情報の数値は、特定区間あたりのPOIの数が所定数以下の歩行経路に比べて高い数値となる。これは、POIの数が所定数よりも多い歩行経路の場合、例えば、土地勘のないユーザであり、乗車地点又は目的地に到着する前に道に迷ったとしても、いずれかのPOIにおいて乗車地点又は目的地に関する情報を聞くことができるため、ユーザにストレスを与える可能性は低いという観点に基づくものである。
ユーザビリティ度算出部333は、歩行経路の候補ごとに、重み係数処理を実行する。重み係数処理とは、ユーザの属性に合わせて、属性情報の数値を調整するための処理である。重み係数処理の例については後述する。
そして、ユーザビリティ度算出部333は、重み付け処理が終了すると、歩行経路の候補ごとに、属性情報の数値を合算する。ユーザビリティ度算出部333は、属性情報の合計値をユーザビリティ度とする。これにより、歩行経路に対するユーザの適正の度合いを数値化する。図3の例では、歩行経路候補A~歩行経路候補Cのうち、属性情報の合計値が一番高い歩行経路候補Bがユーザに対して最も適正度が高い歩行経路であることを示している。
図4Aは、図3における重み係数処理の一例、図4Bは、図3における重み係数処理の他の例を示す図である。図4Aの例は、高齢者であるユーザがリクエスト地点Oにおいて配車要求をした場面である。この場面において、ユーザビリティ度算出部333は、歩行経路特定部332により特定された、歩行経路候補A(リクエスト地点Oから乗車地点候補Aまでの歩行経路)と歩行経路候補B(リクエスト地点Oから乗車地点候補Bまでの歩行経路)のそれぞれに対して、現在の歩行環境に合わせて重み係数を変更する処理(重み係数処理)を実行する。
図4Aに示す上段の表は、重み係数処理を実行する前の歩行経路候補A及び歩行経路候補Bの属性情報の数値を示している。重み係数の調整前であるため、重み係数は属性情報の種別に関わらず全て「1」で統一されている。ユーザビリティ度算出部333は、地図情報311に含まれる歩道情報及び施設情報に基づいて、歩行経路候補ごとに属性情報の入力処理を実行して、図4Aに示す上段の表を作成する。
ユーザビリティ度算出部333は、ユーザの属性を特定するために、データベース31に記憶されているユーザ属性情報312から、配車要求をしたユーザに対応するユーザ属性情報を取得する。そして、ユーザビリティ度算出部333は、ユーザの属性に対応したユーザビリティ度を算出するために、重み係数の数値を調整する。
図4Aの例では、ユーザが高齢者のため、ユーザビリティ度算出部333は、属性情報のうち「歩行距離」の重み係数を「1」から「2」へ変更する。これにより、「歩行距離」の数値は、重み係数処理実行前に比べて2倍の値になる。これは、ユーザの属性を考慮すると、歩行経路の属性情報のうち「歩行距離」のパラメータがユーザへのストレスに大きく影響を与えるという観点に基づくものである。ユーザビリティ度算出部333は、重み係数処理を実行して、図4Aに示す下段の表を作成する。
そして、ユーザビリティ度算出部333は、合算処理を実行することで、歩行経路候補A及び歩行経路候補Bそれぞれの属性情報の合計値を算出する。これにより、ユーザビリティ度算出部333は、歩行経路候補ごとに、ユーザの属性に対応したユーザビリティ度を算出する。図4Aの例では、重み係数処理により重み係数を変更した結果、歩行経路候補Bに比べて歩行距離が短い歩行経路候補Aのユーザビリティ度が、歩行経路候補Bのユーザビリティ度よりも高く算出される。
その他の例について説明する。図4Bの例は、車椅子利用者であるユーザがリクエスト地点Oにおいて配車要求をした場面である。この場面において、ユーザビリティ度算出部333は、歩行経路特定部332により特定された、歩行経路候補Aと歩行経路候補Bのそれぞれに対して、重み係数処理を実行する。図4Bの例は、図4Aの例と比べて、ユーザの属性のみが異なる例であって、図4Bの例におけるその他の情報(リクエスト地点Oの位置など)は、図4Aの例のものと同じものとする。
図4Bに示す上段の表は、重み係数処理を実行する前の歩行経路候補A及び歩行経路候補Bの属性情報の数値を示している。重み係数は属性情報の種別に関わらず全て「1」で統一されている。ユーザビリティ度算出部333は、地図情報311に含まれる歩道情報及び施設情報に基づいて、歩行経路候補ごとに属性情報の入力処理を実行して、図4Bに示す上段の表を作成する。なお、図4Bに示す上段の表は、図4Aに示す上段の表と同じ表である。
ユーザビリティ度算出部333は、ユーザの属性を特定するために、データベース31に記憶されているユーザ属性情報312から、配車要求をしたユーザに対応するユーザ属性情報を取得する。そして、ユーザビリティ度算出部333は、ユーザの属性に対応したユーザビリティ度を算出するために、重み係数の数値を調整する。
図4Bの例では、ユーザが車椅子利用者のため、ユーザビリティ度算出部333は、属性情報のうち「段差」、「休憩施設」、及び「歩行者施設」の重み係数を「1」から「2」へ変更する。これにより、「段差」、「休憩施設」、及び「歩行者施設」のそれぞれの数値は、重み係数処理実行前に比べて2倍の値になる。これは、ユーザの属性を考慮すると、歩行経路の属性情報のうち「段差」、「休憩施設」、及び「歩行者施設」のパラメータがユーザへのストレスに大きく影響を与えるという観点に基づくものである。ユーザビリティ度算出部333は、重み係数処理を実行して、図4Bに示す下段の表を作成する。
そして、ユーザビリティ度算出部333は、合算処理を実行することで、歩行経路候補A及び歩行経路候補Bそれぞれの属性情報の合計値を算出する。これにより、ユーザビリティ度算出部333は、歩行経路候補ごとに、ユーザの属性に対応したユーザビリティ度を算出する。図4Bの例では、重み係数処理により重み係数を変更した結果、歩行経路候補Bのユーザビリティ度が歩行経路候補Aのユーザビリティ度よりも高く算出される。なお、図4Bの例では、歩行経路候補Bは、歩行経路候補Aに比べて歩行距離が長いが、歩行経路候補Aに比べて平坦であり(段差が少なく)、また歩行者施設が多く設けられている歩行経路である。
次に、歩行経路抽出部334の機能について説明する。歩行経路抽出部334は、ユーザビリティ度算出部333により算出されたユーザビリティ度に基づいて、歩行経路特定部332により特定された複数の歩行経路候補の中から、ユーザに提示するための歩行経路を抽出する。
歩行経路抽出部334は、複数の歩行経路候補の中に、ユーザビリティ度が所定値以上の歩行経路候補が存在する場合、該当する歩行経路候補を抽出する。抽出対象の歩行経路候補の数は特に限定されず、一又は複数であればよい。また、所定値は実験的に求められた値である。
また、歩行経路抽出部334は、ユーザビリティ度が所定値以上の歩行経路候補が存在する場合、複数の歩行経路候補の中から、ユーザビリティ度の数値とは無関係に、サーバ3又はユーザに対して効率的な歩行経路候補を抽出する。本実施形態における効率的な歩行経路とは、車両2の配車に要する時間が最短である歩行経路(例えば、車両2が最短時間で到着可能な乗車地点までの歩行経路)、及びユーザが車両2を利用する際に要する移動コストが最小の歩行経路(例えば、歩行距離が最短の歩行経路)のうち少なくとも何れか一つの歩行経路である。ユーザビリティ度とは無関係に効率を求めた歩行経路を抽出するのは、ユーザに対して選択肢の幅を広げるためという観点に基づくものである。
例えば、歩行経路抽出部334は、サーバ通信装置32により取得された道路の渋滞情報に基づいて、車両2が最短時間で到着可能な乗車地点までの歩行経路を、サーバ3に対して効率的な歩行経路として算出する。また、例えば、歩行経路抽出部334は、各歩行経路の距離の情報から、歩行距離が最短の歩行経路候補を特定する。そして、サーバ3は、特定した歩行経路をユーザに対して効率的な歩行経路として算出する。
一方、歩行経路抽出部334は、複数の歩行経路候補の中に、ユーザビリティ度が所定値以上の歩行経路候補が存在しない場合、複数の歩行経路候補の中から、既述のサーバ3又はユーザに対して効率的な歩行経路候補を抽出する。抽出対象の歩行経路候補の数は特に限定されず、一又は複数であればよい。
次に、歩行経路情報送信部335の機能について説明する。歩行経路情報送信部335は、サーバ通信装置32を介して、歩行経路抽出部334により抽出された一又は複数の歩行経路候補に関する情報を歩行経路情報として、端末機1に送信する。歩行経路情報には、歩行経路の経路情報(ルート情報)、乗車地点及び降車地点の位置情報、歩行経路の属性情報が含まれる。端末機1の情報提示部153は、既述の通り、端末通信装置13を介して受信した歩行経路情報を出力装置12に出力することで、歩行経路情報をユーザに提示する。
図5Aは、ユーザに提示される歩行経路情報の一例である。図5Aの例では、歩行経路抽出部334は、ユーザビリティ度が所定値(例えば、15)以上の歩行経路として歩行経路候補Bを抽出するとともに、サーバ3又はユーザに対して効率的な歩行経路として歩行経路候補Aを抽出しているものとする(各歩行経路候補のユーザビリティ度については、下段の表を参照)。端末機1は、配車要求したユーザ(車椅子の利用者)に対して、降車地点に関する2つの歩行経路情報を提示する。
図5Aの例において、車椅子の利用者であるユーザは、歩行経路候補A又は歩行経路候補Bのいずれかを目的地Cまでの歩行経路として選択する。歩行経路候補Aは、歩行距離が歩行経路候補Bよりも短く最短時間で目的地Cに到着可能であるが、目的地Cまでに上り坂がある歩行経路である。一方、歩行経路候補Bは、歩行距離が歩行経路候補Aよりも長く目的地Cまでの到着に時間がかかるが、平坦な歩行経路である。ユーザには、歩行経路の属性情報も提示されるため、ユーザは歩行経路候補Aの属性情報と歩行経路候補Bの属性情報を見比べることで、歩行経路候補Bの歩行距離が長いにも関わらず提示されている理由を理解することができる。図5Aの例において、ユーザは、目的地までにある上り坂の存在、及び歩行距離を総合的に判断して、歩行経路候補A又は歩行経路候補Bを選択する。
また、図5Bは、ユーザに提示される歩行経路情報の他の例である。図5Bの例では、ユーザビリティ度が所定値(例えば、15)以上の歩行経路が存在しない。そのため、歩行経路抽出部334は、サーバ3又はユーザに対して効率的な歩行経路として歩行経路候補A及び歩行経路候補Bを抽出しているものとする(各歩行経路候補のユーザビリティ度については、下段の表を参照)。端末機1は、配車要求したユーザ(高齢者)に対して、降車地点に関する2つの歩行経路情報を提示する。
図5Bの例において、高齢者であるユーザは、歩行経路候補A又は歩行経路候補Bのいずれかを目的地Cまでの歩行経路として選択する。歩行経路候補Aは、歩行経路候補Bよりも短時間で目的地Cに到着可能な歩行経路である。また、歩行経路候補Bは、歩行経路候補Aよりも目的地Cまでの到着に時間がかかる歩行経路である。図5Bの例の場合、図5Aの例と異なり、ユーザは高齢者である。また、歩行経路候補Aに存在する上り坂の傾斜角度は5度と比較的浅い角度である。図5Bの例において、ユーザは、目的地までにある上り坂の傾斜角度、及び歩行距離を総合的に判断して、歩行経路候補A又は歩行経路候補Bを選択する。
次に、配車管理部336の機能について説明する。配車管理部336は、車両2に対して移動指示等を行い、ユーザが選択した乗車地点へ車両2を配車させる。例えば、配車管理部336は、ユーザにより一の乗車地点及び降車地点が選択されると、複数の車両2の中から、当該乗車地点に最短で到着することが可能な車両2を配車車両2’として特定する。そして、配車管理部336は、乗車地点に到着するまでの走行経路と、乗車地点から降車地点までの走行経路を算出し、サーバ通信装置32を介して、乗車地点、降車地点、及び各走行経路の情報を配車車両2’に送信する。さらに、配車管理部336は、サーバ通信装置32を介して、乗車地点への移動を開始するよう移動指示を配車車両2’に送信する。また、配車管理部336は、サーバ通信装置32を介して、配車車両2’に関する情報(車種等)を配車車両情報として端末機1に送信する。
次に、図6を用いて、ユーザが配車要求を行ってからユーザ及び配車車両2’が乗車地点へ移動するまでのタイムチャートの一例を説明する。また、図7を用いて、サーバ3が実行する歩行経路情報に関する処理の一例について説明する。
ステップS1では、ユーザにより配車要求が行われる。端末機1の情報処理装置15は、端末通信装置13を介して、配車要求信号をサーバ3に送信する。配車要求信号には、配車要求の旨を示す情報の他に、リクエスト地点及び目的地の位置情報が含まれる。
ステップS2では、サーバ3は、ステップS1で端末機1から送信された配車要求信号を受信する。そして、ステップS3では、サーバ3により歩行経路情報に関する処理が実行される。具体的な処理の内容については、図7を用いて後述する。
ステップS3での処理が終了すると、ステップS4へ進む。サーバ3は、サーバ通信装置32を介して、ステップS3の処理結果である歩行経路情報を端末機1に送信する。
ステップS5では、端末機1は、歩行経路情報を受信する。歩行経路情報には、歩行経路の経路情報(ルート情報)、乗車地点及び降車地点の位置情報、歩行経路の属性情報が含まれる。歩行経路情報は、一又は複数の歩行経路の候補に関する情報である。
ステップS6では、端末機1は、ステップS5で受信した歩行経路情報をユーザに提示する。例えば、端末機1の情報処理装置15は、図5A又は図5Bで示すように、地図の静止画に歩行経路候補のルート、降車地点候補の位置、及び目的地の位置を重畳させてディスプレイ(出力装置12に相当)表示させる。また、情報処理装置15は、図5A又は図5Bに示すように、歩行経路候補ごとに、歩行経路の属性情報をディスプレイに表示させる。なお、リクエスト地点から乗車地点候補までの歩行経路候補についても同様の表示方法を適用することができる。
ステップS7では、ユーザにより乗車地点及び降車地点が決定される。例えば、ステップS6で端末機1のディスプレイに複数の歩行経路候補が表示される場合、ユーザは、複数の歩行経路候補の中から、現在の状況やユーザの都合等に合わせて、リクエスト地点から乗車地点までの歩行経路、及び降車地点から目的地までの歩行経路を選択する。なお、ユーザは、歩行経路候補を選択せずに、対応する乗車地点候補及び降車地点候補を選択してもよい。
ステップS8では、端末機1は、ステップS6にてユーザにより選択された乗車地点及び降車地点の情報(位置情報)をサーバ3に送信し、ステップS9では、サーバ3は、端末機1から乗車地点及び降車地点の情報を受信する。
ステップS10では、サーバ3は、ステップS9で受信した乗車地点及び降車地点の位置情報に基づいて、複数の車両2の中から、ユーザに配車可能な車両2を配車車両2’として特定する。また、サーバ3は、特定した配車車両2’が乗車地点まで移動するために、配車車両2’の現在位置から乗車地点までの走行経路を算出する。さらに、サーバ3は、配車車両2’を乗車地点から降車地点まで移動させるために、乗車地点から降車地点までの走行経路を算出する。
ステップS11では、サーバ3は、配車車両2’に関する情報(配車車両情報)を、端末機1に送信する。配車車両情報には、配車車両2’の車種や色などユーザが配車車両2’を特定するための情報が含まれる。
ステップS12では、端末機1は、サーバ3から配車車両情報を受信する。ステップS13では、端末機1は、ステップS12で受信した配車車両をディスプレイに表示させる。これにより、ユーザは乗車地点に配車される車両2の特徴を把握することができる。ステップS14では、ユーザは乗車地点への移動を開始する。
また、ステップS11の処理が終了すると、サーバ3は、ステップS15の処理を実行する。ステップS15では、サーバ3は、配車車両2’を乗車地点まで移動させるため、移動指示を配車車両2’に送信する。ステップS16では、配車車両2’のECU22により、配車車両2’は乗車地点への移動を開始する。
次に、図7を用いて、図6に示すステップS3の詳細について説明する。図7は、サーバ3が実行する歩行経路情報に関する処理を示すフローチャートである。
ステップS21では、サーバ3は、複数の歩行経路候補を特定する。例えば、サーバ3は、リクエスト地点から所定の範囲内に車両2が停車可能な場所を複数特定する。そして、サーバ3は、特定した各地点について、リクエスト地点から車両2の停車可能地点までの歩行経路を特定することで、複数の歩行経路候補を特定する。
ステップS22では、サーバ3は、ステップS21で特定した歩行経路候補ごとに、ユーザビリティ度を算出する。例えば、図3に示すように、サーバ3は、歩行経路候補ごとに、歩行経路候補に対応する属性情報及び配車要求をしたユーザの属性情報を入力する入力処理を実行する。そして、サーバ3は、ユーザの属性に合わせるための調整処理として、重み係数処理を実行する。例えば、図4Aに示すように、サーバ3は、歩行距離がユーザへのストレスに大きな影響を及ぼすとされる場合、属性情報のうち「歩行距離」の重み係数を他の属性情報の重み係数よりも大きな値に設定する。重み係数処理が終了すると、サーバ3は、図3に示すように、歩行経路候補ごとに、属性情報の数値を合算する合算処理を実行する。これにより、図3、図4A、図4Bに示すように、歩行経路候補ごとにユーザビリティ度が算出される。
ステップS23では、サーバ3は、ステップS22の処理結果に基づいて、ユーザビリティ度が所定値以上の歩行経路候補が存在するか否かを判定する。所定値は、実験的に定められた値である。ユーザビリティ度が所定値以上の歩行経路候補が存在する場合、ステップS24に進む。反対に、ユーザビリティ度が所定値以上の歩行経路候補が存在しない場合、ステップS27に進む。
ステップS23において、ユーザビリティ度が所定値以上の歩行経路候補が存在する場合、ステップS24に進む。ステップS24では、サーバ3は、ステップS21で特定した複数の歩行経路候補の中から、ユーザビリティ度が所定値以上の歩行経路候補を抽出する。
ステップS25では、サーバ3は、サーバ3又はユーザに対して効率的な歩行経路候補を抽出する。例えば、サーバ3は、複数の歩行経路候補の中から、ユーザが最短時間で到着することが可能な乗車地点を含む歩行経路候補を、ユーザに対して効率的な歩行経路候補として抽出する。また、例えば、サーバ3は、複数の歩行経路候補の中から、配車車両2’が最短時間で到着することが可能な乗車地点を含む歩行経路候補を、サーバ3に対して効率的な歩行経路候補として抽出する。
ステップS26では、サーバ3は、ステップS24及びステップS25のそれぞれにおいて抽出した歩行経路候補に関する情報を歩行経路情報として準備する。
ステップS23において、ユーザビリティ度が所定値以上の歩行経路候補が存在しない場合、ステップS27に進む。ステップS27では、サーバ3は、ステップS25の処理と同様に、サーバ3又はユーザに対して効率的な歩行経路候補を抽出する。
ステップS28では、サーバ3は、ステップS27で抽出した歩行経路候補に関する情報を歩行経路情報として準備する。
以上のように、本実施形態に係る歩行経路情報提示システム100は、ユーザのリクエストに応じて車両2を所定地点へ移動させる配車機能を有するサーバ3と、地図情報311及びユーザ属性情報312を記憶するデータベース31と、ユーザにより操作可能な端末機1を含む。サーバ3は、ユーザのリクエスト及び地図情報311に基づいて、車両2の乗車前及び降車後においてユーザが移動するための複数の歩行経路を特定し、歩行経路ごとに、ユーザの属性情報に基づいて、歩行経路のユーザビリティ度を算出し、端末機1を介して、ユーザビリティ度に応じた歩行経路情報をユーザに提示する。これにより、ユーザは、ユーザの属性に応じたユーザビリティ度の観点から、乗車地点及び降車地点を選択することができる。その結果、配車リクエストをしたユーザにとって有益で適切な情報を提供することができる。
また、本実施形態では、サーバ3は、ユーザビリティ度が所定値以上の歩行経路が存在する場合、ユーザビリティ度が所定値以上の歩行経路に関する情報をユーザに提示する。これにより、ユーザはユーザビリティ度がある一定の基準を満たす歩行経路を選択することができる。ユーザは、配車システムに対して過度なストレスを感じることなく、車両2を利用して目的地に到着することができる。
さらに、本実施形態では、ユーザの属性情報は、ユーザの年齢、ユーザの性別、ユーザが妊婦であるか否か、ユーザが車椅子の利用者であるか否か、ユーザが障碍者であるか否か、当該障碍の等級及び当該障碍の内容、ユーザが病気にかかっているか否か、当該病気の種別、ユーザによる車両2の利用回数又は利用頻度、ユーザの住所のうち少なくとも何れか一つを含む。これにより、ユーザの属性を考慮して、歩行経路を評価することができる。
加えて、本実施形態では、サーバ3は、ユーザの属性情報を歩行経路の属性情報に関連付け、関連付けられた歩行経路の属性情報に基づいて、ユーザビリティ度を算出する。歩行経路の属性情報には、歩行経路の距離、歩行経路に存在する段差、歩行経路の傾斜角、歩行経路の経路幅、歩行経路に沿って設けられた施設又は設備の数、及び当該施設又は当該設備の種別のうち少なくとも何れか一つを含む。これにより、ユーザの属性に応じたユーザビリティ度を算出することができる。
また、本実施形態では、サーバ3は、歩行経路の距離が短いほど、歩行経路の段差が少ないほど、歩行経路の傾斜が緩やかなほど、ユーザが休憩可能な施設の数が多いほど、ユーザビリティ度が高くなるように算出する。この際に、サーバ3は、ユーザの年齢が所定の年齢以上の場合、あるいはユーザが妊婦又は車椅子の利用者の場合には、ユーザの年齢が所定の年齢未満の場合、ならびにユーザが妊婦及び車椅子の利用者でない場合に比べて、ユーザビリティ度を高くする割合(重み係数)を大きくする。これにより、高齢者、妊婦、又は車椅子の利用者のユーザにとってのユーザビリティ度を適切に算出することができる。その結果、これらのユーザにとって有益で適切な情報を提供することができ、ユーザの属性に関わらず利便性に優れた配車システムを実現することができる。
また、本実施形態では、サーバ3は、歩行経路における視覚障碍者誘導用ブロックの設置率が高いほど、歩行経路における音響装置付き信号機の設置率が高いほど、適正度が高くなるように算出する。この際に、サーバ3は、ユーザが視覚障碍者の場合には、ユーザが健常者の場合に比べて、ユーザビリティ度を高くする割合(重み係数)を大きくする。これにより、視覚障碍者にとってのユーザビリティ度を適切に算出することができる。その結果、視覚障碍者のユーザにとって有益で適切な情報を提供することができ、ユーザの属性に関わらず利便性に優れた配車システムを実現することができる。
加えて、本実施形態では、サーバ3は、歩行経路におけるユーザの歩行距離の長さに応じて、ユーザビリティ度を算出する。これにより、例えば、歩行距離が短い歩行経路のユーザビリティ度は、歩行距離が長い歩行経路のユーザビリティ度に比べて、高く算出することができる。ユーザは、歩行距離が比較的短い歩行経路を歩行した場合、歩行距離が長い場合に比べて疲れずに歩行できるため、ユーザが受けるストレスの度合いを適切に数値化することができる。その結果、ユーザにとって利便性に優れた配車システムを実現することができる。
加えて、本実施形態では、サーバ3は、ユーザビリティ度が所定値以上の歩行経路が存在した場合、複数の歩行経路の中から、サーバ3又はユーザに対して効率的な歩行経路を抽出し、ユーザビリティ度が所定値以上の歩行経路に関する情報に加えて、抽出した効率的な歩行経路に関する情報をユーザに提示する。これにより、例えば、目的地へ急いで向かいたいユーザは、乗車地点まで最短時間で到着可能な歩行経路を選択することができる。その結果、ユーザの事情に対応することが可能な実用的な配車システムを実現することができる。
また、本実施形態では、サーバ3は、ユーザビリティ度が所定値以上の歩行経路が存在しない場合、複数の歩行経路の中から、サーバ3又はユーザに対して効率的な歩行経路を抽出し、抽出した効率的な歩行経路に関する情報をユーザに提示する。ユーザがある程度のストレスを受ける可能性がある場面においても、代替案として、効率的な視点での歩行経路に関する情報を提示することができる。
さらに、本実施形態では、サーバ3に対して効率的な歩行経路は、車両2の配車に要する時間が最短である歩行経路及び車両2を配車するために要する運用コストが最小である歩行経路のうち少なくとも何れか一つの歩行経路である。これにより、サーバ3にとって効率的な視点での歩行経路に関する情報を提示することができる。
加えて、本実施形態では、ユーザに対して効率的な歩行経路は、ユーザによる歩行時間が最短である歩行経路及びユーザが車両を利用する際に要する移動コストが最小である歩行経路のうち少なくとも何れか一つの歩行経路である。これにより、ユーザにとって効率的な視点での歩行経路に関する情報を提示することができる。
また、本実施形態では、歩行経路は、少なくとも車両2の乗車地点及び車両2の降車地点のうち何れか一つの地点を含み、歩行経路に関する情報は、歩行経路及び歩行経路の属性情報を含む。これにより、ユーザは、乗車地点又は降車地点の位置だけでなく、乗車地点又は目的地に至る歩行経路及び当該歩行経路の属性情報を確認することができるため、歩行経路の情報も踏まえて、乗車地点及び降車地点を選択することができる。
なお、以上に説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記の実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
例えば、上記の実施形態では、歩行経路の属性情報として、歩行経路の距離、歩行経路に存在する段差、歩行経路の傾斜角、歩行経路の経路幅、歩行経路に沿って設けられた施設又は設備の数、及び当該施設又は当該設備の種別を例に挙げて説明したが、歩行経路の属性情報にはその他の情報を加えてもよい。例えば、歩行経路の属性情報には、ユーザが車両2を利用する時間帯、及びユーザが車両2を利用する際の天気うち少なくとも何れか一つの情報が含まれていてもよい。
天気に関する情報は、例えば、サーバ通信装置32により取得される。例えば、サーバ通信装置32は、天気情報を管理するサーバから、現在の天気の情報又は天気予報の情報を取得する。これらの情報は、時間ごと及び/又は地域ごとに細分化が可能な情報である。そして、サーバ3は、天気が雨又は雪の場合、歩行経路にアーケード又は屋根が設置されているか否かに応じて、ユーザビリティ度を算出してもよい。これにより、サーバ3は、例えば、アーケードが設けられている歩行経路のユーザビリティ度は、アーケードが全く設けられていない屋外の歩行経路のユーザビリティ度に比べて高く算出することができる。ユーザは、傘をささずに歩行する場合、傘をさしながら歩行する場合と比べて衣服が濡れる心配をすることなく歩行できるため、ユーザが受けるストレスの度合いを適切に数値化することができる。その結果、ユーザにとって利便性に優れた配車システムを実現することができる。
また、例えば、上記の実施形態では、図3、図4A、図4Bで示す各属性情報に基づいて、ユーザビリティ度を算出する構成を例に挙げて説明したが、ユーザビリティ度算出部333は、その他の属性情報に基づいて、ユーザビリティ度を算出してもよい。例えば、ユーザビリティ度算出部333は、歩行経路に沿って設けられている施設が退避可能な施設か否かに応じて、ユーザビリティ度を算出してもよい。これにより、退避可能な施設が設けられている歩行経路のユーザビリティ度を、当該施設が全く設けられていない歩行経路のユーザビリティ度よりも高く算出することができる。ユーザが何らかの理由で歩行経路から退避しなければならない場面においても、対応可能な歩行経路に関する情報をユーザに提示することができる。
また、例えば、ユーザビリティ度算出部333は、歩行経路が歩行者専用であるか否かに応じて、ユーザビリティ度を算出してもよい。これにより、歩行者専用の歩行経路のユーザビリティ度を、それ以外の歩行経路のユーザビリティ度よりも高く算出することができる。例えば、ユーザが高齢者の場合、ユーザは周辺を走る自転車に対して気を配ることなく歩行することができる。
さらに、例えば、上記の実施形態では、ユーザビリティ度の算出方法を説明する際に、重み係数処理において、図4A及び図4Bの例を用いて、重み係数を「1」から「2」に変更する構成を例に挙げて説明したが、重み係数を変更する割合は特に限定されない。例えば、天気が雨の場合であっても、降水量に応じて重み係数を変更する割合を変えてもよい。例えば、降水量が比較的多い場合には、降水量が比較的少ない場合に比べて、重み係数を変更する割合を大きくしてもよい。また、夜間の時間帯であっても、特定の基準の時間を境にして重み係数を変更する割合を変えてもよい。例えば、午後11時~午後12時の寝静まった時間帯の場合には、午後7時~午後8時の人通りがある間帯の場合に比べて、重み係数を変更する割合を大きくしてもよい。これにより、ユーザビリティ度を精度良く算出することができるため、ユーザにとってより利便性のある配車システムを実現することができる。
加えて、例えば、上記の実施形態では、乗車地点及び降車地点の選択をユーザが行う構成を例に挙げて説明したが、乗車地点及び降車地点の選択はサーバ3の処理として行ってもよい。例えば、サーバ3は、ユーザビリティ度が所定値以上の歩行経路候補が存在する場合、当該歩行経路候補に含まれる乗車地点又は降車地点を、ユーザの乗車地点又は降車地点として設定してもよい。また、サーバ3は、該当する歩行経路候補が複数存在する場合、ユーザビリティ度がより高い歩行経路候補を優先して選択することもできる。
本明細書では、本発明に係る歩行経路情報提示システムの一態様として、歩行経路情報提示システム100を例にして説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。また、本明細書では、本発明に係るサーバの一態様として、サーバ3を例にして説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。また、本明細書では、本発明に係る端末機の一態様として、端末機1を例にして説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。