JP7333573B1 - 接着細胞の細胞剥離方法、接着細胞の培養方法および接着細胞培養用のキット - Google Patents

接着細胞の細胞剥離方法、接着細胞の培養方法および接着細胞培養用のキット Download PDF

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Abstract

課題:トリプシンを用いる場合よりも、接着細胞の剥離を簡易に行うことができる細胞培養基材、細胞培養容器、および接着細胞の細胞剥離方法を提供する。解決手段:細胞培養容器をコーティングするための基材であり、シルクプロテイン、シルクプロテインの加水分解物、フィブロイン、フィブロインの加水分解物のうちいずれか1以上のタンパク質を有効成分として含有する、細胞培養基材。

Description

本発明は、細胞培養基材、細胞培養容器および接着細胞の細胞剥離方法に関する。
従来、接着細胞を培養した後に、細胞培養容器に接着した接着細胞をトリプシンを用いて剥離することで、培養した接着細胞を回収する技術が知られている。
また、接着細胞の細胞培養容器への接着性を高めるために、細胞培養容器の表面に、プラズマ処理、ゼラチンコーティング、コラーゲンコーティングなどの表面処理を行う技術が知られている(たとえば、特許文献1)。
特開平5-260950号公報
従来の接着細胞の細胞剥離処理では、接着細胞を細胞培養容器から剥離するためにトリプシンを用いたトリプシン処理が行われていた。トリプシン処理では、液体培地に含まれる成分とトリプシンとが反応しないように、トリプシンを添加する前に、液体培地を除去し、緩衝液で洗浄した後に、洗浄した緩衝液を除去する工程が必要であった。さらに、トリプシンは培養した接着細胞の表面にも損傷を与えるため、トリプシンを一定時間反応させた後は、液体培地を加えて液体培地中の成分と反応させることで、トリプシンを不活性化させる工程が必要であった。このように、トリプシンを用いた接着細胞の剥離は手間がかかり、製造コストの低減のために、より簡易な接着細胞の剥離方法が希求されていた。
さらに、接着細胞の接着性を高めるために、従来、プラズマ処理、ゼラチンコーティング、コラーゲンコーティングなどの表面処理を行った細胞培養容器が提供されていたが、これら表面処理を行った細胞培養容器は高価であり、このような点も、製造コストを増大する要因となっていた。
本発明は、トリプシンを用いる場合よりも、接着細胞の剥離を簡易に行うことができる、接着細胞の細胞剥離方法、接着細胞の培養方法および接着細胞培養用のキットを提供することを目的とする。
発明に係る接着細胞の細胞剥離方法ルクプロテイン、シルクプロテインの加水分解物、フィブロイン、フィブロインの加水分解物のうちいずれか1以上のタンパク質を有効成分として含有する細胞培養基材がコーティングされた細胞培養容器で培養した接着細胞を、前記細胞培養基材から剥離する接着細胞の剥離方法であって、前記接着細胞の剥離剤として、Protease XIVを用いることを特徴とする
上記接着細胞の細胞剥離方法において、前記接着細胞の培養に使用した液体培地を除去することなく、前記Protease XIVを添加して、前記接着細胞を剥離する構成とすることができる。
上記接着細胞の細胞剥離方法において、前記接着細胞の培養に使用した液体培地を除去し、前記液体培地を除去した後に、前記細胞培養基材を洗浄することなく、前記Protease XIVを添加して、前記接着細胞を剥離する構成とすることができる。
上記接着細胞の細胞剥離方法において、前記剥離工程の後に、前記剥離工程で添加した前記プロテアーゼを失活させる処理をすることなく、剥離した前記接着細胞を回収する回収工程をさらに有する構成とすることができる。
上記接着細胞の細胞剥離方法において、前記Protease XIVが、Streptomyces griseus由来のプロテアーゼである構成とすることができる。
本発明に係る接着細胞の培養方法は、接着細胞を前記細胞培養容器で培養する培養工程と、上記接着細胞の細胞剥離方法による剥離工程と、を有する。
本発明に係る接着細胞培養用のキットは、シルクプロテイン、シルクプロテインの加水分解物、フィブロイン、フィブロインの加水分解物のうちいずれか1以上のタンパク質を有効成分として含有する細胞培養基材、または、前記細胞培養基材がコーティングされた細胞培養容器と、前記細胞培養基材に接着した接着細胞の剥離剤であるProtease XIVとを含む。
本発明によれば、足場材料として機能するシルクプロテイン、シルクプロテインの加水分解物、フィブロイン、フィブロインの加水分解物のいずれかのタンパク質を、当該タンパク質を分解可能な酵素を用いて分解することで、接着細胞を培養容器から剥離することができるため、トリプシンを用いることなく、接着細胞の剥離を簡易に行うことができる。
従来のトリプシンを用いた接着細胞の剥離方法の手順を説明するためのフローチャートである。 本実施形態に係る接着細胞の剥離方法の手順を説明するためのフローチャートである。 従来の細胞培養容器での接着細胞の剥離と、本実施形態に係る細胞培養容器での細胞培養の剥離とを説明するための図である。 実施例1の細胞培養の検証結果を示すシャーレの撮像画像であり、(A)は本実施形態に係る細胞培養基材をコーティングしていないシャーレを用いて接着細胞を3日間培養した後の画像であり、(B)は本実施形態に係る細胞培養基材をコーティングしたシャーレを用いて接着細胞を3日間培養した後の画像である。 実施例2における、本実施形態に係る方法で接着細胞を培養した場合の増殖曲線と、従来の方法で接着細胞を培養した場合の増殖曲線を示すグラフである。 実施例3における、本実施形態に係る方法での培養後に継代した接着細胞の撮像画像と、従来の方法での培養後に継代した接着細胞の撮像画像とを示す図である。 実施例4における検証結果を示す図である。 実施例5における検証結果を示す図である。 実施例6における検証結果を示す図であり、メタノールを用いて不溶化処理を行った場合を示す図である。 実施例6における検証結果を示す図であり、メタノールを用いて不溶化処理を行った場合を示す図である。 実施例6における検証結果を示す図であり、水蒸気飽和状態で放置して不溶化処理を行った場合を示す図である。 実施例6における検証結果を示す図であり、水蒸気飽和状態で放置して不溶化処理を行った場合を示す図である。 実施例7の検証結果を示す図である。 実施例8において、本実施例に係る細胞培養基材をオートクレーブ滅菌して製作した細胞培養容器を用いて培養した接着細胞を観察した撮像画像を示す図である。 実施例8において、本実施例に係る細胞培養基材をオートクレーブ滅菌して製作した細胞培養容器を用いて培養した接着細胞を剥離した状態を観察した撮像画像を示す図である。 実施例9の検証結果を示す図である。 実施例10の検証結果を示す図であり、本実施例に係る細胞培養容器を用いた場合を示す図である。 実施例10の検証結果を示す図であり、従来の細胞培養容器を用いた場合を示す図である。 実施例11で作製した細胞培養容器を用いた細胞培養の検証結果を説明するための図である。 実施例11で作製した細胞培養容器を用いた細胞剥離の検証結果を説明するための図である。 実施例12で作製した細胞培養容器を用いた細胞培養の検証結果を説明するための図である。 実施例12で作製した細胞培養容器を用いた細胞剥離の検証結果を説明するための図である。 実施例13で作製した細胞培養容器を用いた細胞培養の検証結果を説明するための図である。 実施例13で作製した細胞培養容器を用いた細胞剥離の検証結果を説明するための図である。
以下に、図に基づいて、本実施形態に係る細胞培養基材、細胞培養容器、および細胞剥離方法について説明する。
(細胞培養基材)
本実施形態に係る細胞培養基材は、接着細胞の培養容器への接着性を高めるための足場材料として機能する基材であり、細胞培養容器をコーティングするコーティング剤として用いることができる基材である。本実施形態において、細胞培養基材は、酵素により分解可能であるとともに、細胞培養容器の底部表面に固着して足場材料として機能する、接着細胞が有しないタンパク質を有効成分として含有することを特徴とする。より具体的には、細胞培養基材は、シルクプロテイン、シルクプロテインの加水分解物、フィブロイン、または、フィブロインの加水分解物を有効成分として含有することを特徴とする。
シルクプロテインは、蚕等の昆虫あるいはクモから分泌される、タンパク質繊維の一種を構成するものである。シルクプロテインとしての形態や精練方法は特に限定されず、蚕等から得られるまゆ糸、生糸もしくは絹糸を原材料として使用するのみならず、たとえばそれらを物理的に粉砕し粉末状にしたもの(粉砕型)や、繊維を酸またはアルカリで加水分解したもの(加水分解型)を原料として用いることができる。また、フィブロインは、セリシンとともに、シルクプロテインを構成するタンパク質である。フィブロインは、公知の方法を用いて抽出することができる。たとえば、セリシンは水溶性タンパク質であるため、シルクプロテインを水で煮沸するなどしてセリシンを取り除くことで、繊維状タンパク質であるフィブロインを抽出することができる。また、フィブロインとして、市販のシルクパウダーを用いることもできる。
また、本実施形態において、シルクプロテインには、フィブロインとセリシンの混合物を含むものとする。フィブロインとセリシンの混合物には、シルクプロテインをそのまま水などで煮沸してセリシンを取り除いてない状態の混合物を含み、また、市販のフィブロインまたはシルクプロテインから抽出し精製したフィブロインに、シルクプロテインから抽出し精製したセリシンを加えた混合物も含むものとする。なお、フィブロインおよびセリシンの生成方法については後述する。
本実施形態に係る細胞培養基材の作製方法は、特に限定されず、後述する実施例において詳細は説明するが、たとえば、フィブロインを有効成分として含有する細胞培養基材は、以下のように作製することができる。すなわち、乾燥させた家蚕繭を1cm四方程度にカットし、加熱した炭酸ナトリウム溶液内で加熱状態で30分程度撹拌しセリシンを取り除き、炭酸ナトリウムを除去した後、乾燥させることで、精練繭(フィブロイン繊維)を得る。そして、得られた精練繭(フィブロイン繊維)を溶解し、フィブロイン溶液を得る。さらに、フィブロイン溶液を透析フィルムに入れ、イオン交換水または純水で透析し、溶解に用いた塩や溶媒を除去する。さらに、本実施形態では、透析を終えたフィブロイン溶液を、フィブロインの濃度が0.1~1.0%となるように調整することで、フィブロインを有効成分とする細胞培養基材を得ることができる。 なお、本実施形態では、フィブロインなどの濃度を、1%などとして表示するが、いずれも重量%を意味するものである。
また、本実施形態に係る細胞培養基材は、シルクプロテイン、シルクプロテインの加水分解物、フィブロイン、または、フィブロインの加水分解物を有効成分として含有するものに限定されず、たとえば、卵タンパク質、乳タンパク質、あるいは、大豆たんぱく質などの植物性タンパク質を有効成分として含有する構成とすることもできる。また、本実施形態に係る細胞培養基材は、有効成分であるタンパク質に加え、水や緩衝液を含む構成とすることができる。また、本実施形態に係る細胞培養基材は、シルクプロテイン、シルクプロテインの加水分解物、フィブロイン、または、フィブロインの加水分解物のうち2以上を混合して含有する構成とすることもできる。さらに、本実施形態に係る細胞培養基材は、フィブロネクチン、コラーゲン、ラミニン、ビトロネクチンおよびプロネクチンなどの細胞接着因子をさらに含有する構成としてもよい。
さらに、本実施形態に係る細胞培養基材は、滅菌処理が実施されたものであることが好ましい。滅菌処理としては、オートクレーブによる高圧蒸気滅菌や、従来の細胞培養基材に対して用いられるγ線や電子線、フィルターによる滅菌処理が例示される。また、オートクレーブ滅菌処理したシルクプロテイン、シルクプロテインの加水分解物、フィブロイン、または、フィブロインの加水分解物などを、滅菌された既存の細胞培養基材とともに用いることで、滅菌処理を省略することもできる。オートクレーブ滅菌したシルクプロテイン、シルクプロテインの加水分解物、フィブロイン、または、フィブロインの加水分解物などを用いた細胞培養基材においても好適に接着細胞の増殖および剥離が可能であることが確認されている。
(細胞培養容器)
本実施形態に係る細胞培養容器は、上述した本実施形態に係る細胞培養基材を、未処理の細胞培養容器の底部表面に塗布し、コーティングしたものである。具体的には、シルクプロテイン、シルクプロテインの加水分解物、フィブロイン、または、フィブロインの加水分解物を有効成分として含有する液体状の細胞培養基材を、表面未処理の細胞培養容器の底部表面に滴下あるいはスプレーして底部表面にまんべんなく塗布した後に、乾燥機に入れるなどして底部表面を乾燥させる。あるいは、シルクプロテイン、シルクプロテインの加水分解物、フィブロイン、または、フィブロインの加水分解物などの有効成分が液体培地に溶け出てしまわないように、乾燥させた細胞培養容器の底部表面に、エタノールやメタノールを添加して接触させることで、あるいは、水蒸気飽和状態で1晩程度放置することで、シルクプロテイン、シルクプロテインの加水分解物、フィブロイン、または、フィブロインの加水分解物などの有効成分の不溶化処理が行われる。これらの処理の後に本実施形態の細胞培養容器を乾燥しても良い。
なお、本実施形態において、細胞培養容器の種類は特に限定されず、たとえばシャーレ、プレート、フラスコ、多層フラスコなどで提供することもできる。また、本実施形態に係る細胞培養容器の素材も特に限定されず、たとえば、プラスチック製、ガラス製などの容器を用いることができる。さらに、本実施形態に係る細胞培養基材をコーティングする前の容器は、特殊な表面処理は不要であり、たとえばポリスチレンシャーレなどの表面未処理(疎水性)で安価な容器を用いることができる。さらに、本実施形態に係る細胞培養容器は、容器の底面だけではなく、容器の側面も、本実施形態に係る細胞培養基材でコーティングしたものとしてもよい。加えて、本実施形態に係る細胞培養容器は、液体状の細胞培養基材を用いて作成するため、複雑な形状の底面や側面を有する構成とすることもできる。
(細胞剥離方法)
次に、本実施形態に係る細胞培養容器を用いて培養した接着細胞の剥離方法について説明する。まず、図1および図2に基づいて、従来のトリプシンを用いた細胞剥離方法の手順と、本実施形態に係る細胞剥離方法の手順とについて説明する。図1は、従来のトリプシンを用いた接着細胞の剥離方法の手順を説明するためのフローチャートであり、図2は、本実施形態に係る接着細胞の剥離方法の手順を説明するためのフローチャートである。
トリプシンを用いた従来の接着細胞の剥離方法では、液体培地を除去することなくトリプシンを添加してしまうと、トリプシンが、液体培地に含まれる成分と反応してしまい、接着細胞を十分に剥離することができなかった。そのため、細胞培養容器で接着細胞を培養した後(ステップS101)、トリプシンを添加する前に、液体培地を除去する処理が行われる(ステップS102)。さらに、リン酸緩衝液でシャーレを洗浄し(ステップS103)、洗浄したリン酸緩衝液を除去する工程(ステップS104)も行われる。そして、トリプシンを添加し(ステップS105)、一定の温度でトリプシンを一定時間反応させる処理が行われる(ステップS106)。また、トリプシン処理を行った後は、トリプシンによる接着細胞へのダメージを抑制するために、液体培地を再び添加し(ステップS107)、トリプシンを不活化する処理が行われる。そして、遠心分離により接着細胞を沈降させ(ステップS108)、上澄みである液体培地を除去した後(ステップS109)、保存用に液体培地を再度添加することで(ステップS110)、沈降した接着細胞を回収することができる(ステップS111)。
これに対して、本実施形態に係る細胞培養容器では、表面処理として、シルクプロテイン、シルクプロテインの加水分解物、フィブロイン、または、フィブロインの加水分解物によるコーティング加工がされており、シルクプロテイン、シルクプロテインの加水分解物、フィブロイン、または、フィブロインの加水分解物を足場材料として、接着細胞が細胞培養容器に接着している。シルクプロテイン、シルクプロテインの加水分解物、フィブロイン、または、フィブロインの加水分解物は、シルクプロテイン分解酵素と反応し分解されるため、液体培地中にシルクプロテイン分解酵素を添加することで、接着細胞の剥離が可能となっている。また、接着細胞の液体培地に含有されるタンパク質成分とは反応しにくいシルクプロテイン、シルクプロテインの加水分解物、フィブロイン、または、フィブロインの加水分解物を分解するシルクプロテイン分解酵素を使用することで、液体培地を除去する必要がなくなる。
そのため、本実施形態に係る接着細胞の剥離工程では、接着細胞を培養した後は(ステップS201)、図1に示したトリプシンを用いる場合のように、液体培地の除去、リン酸緩衝液での洗浄、洗浄したリン酸緩衝液の除去を行うことなく、シルクプロテイン、シルクプロテインの加水分解物、フィブロイン、または、フィブロインの加水分解物を分解する酵素をそのまま添加し(ステップS202)、一定温度で酵素を一定時間反応させることで(ステップS203)、接着細胞を細胞培養容器から剥離することができる。また、シルクプロテイン、シルクプロテインの加水分解物、フィブロイン、または、フィブロインの加水分解物を分解する酵素は、トリプシンと比べて、接着細胞自体に作用する程度が低いため、本実施形態では、酵素を添加し反応させた後に、図1のステップS107のように、液体培地を添加して酵素の働きを阻害する必要はなく、そのまま遠心分離を行い(ステップS204)、液体培地の上澄みを除去した後に(ステップS205)、保存用に液体培地を再度添加することで(ステップS206)、沈降した接着細胞を回収することができる(ステップS207)。
ここで、図3は、従来の細胞培養容器での接着細胞の剥離と、本実施形態に係る細胞培養容器での細胞培養の剥離とを説明するための図であり、図3(A)は、従来の細胞培養容器(たとえば真空プラズマ処理したシャーレ)で培養した接着細胞をトリプシンを用いて剥離した場合を示し、図3(B)は、本実施形態に係る細胞培養容器で培養した接着細胞を酵素を用いて剥離した場合を示している。図3(A)に示すように、従来の細胞培養容器は、接着細胞の接着性を高めるために、プラズマ処理、ゼラチンコーティング、コラーゲンコーティングなどの表面処理が行われており、トリプシンを添加することで、接着細胞の剥離が行われる。しかしながら、トリプシンは、接着細胞同士の結合だけではなく、接着細胞と細胞外マトリックスとの結合や、細胞外マトリックス同士の結合も分解するため、図3(A)に示すように、接着細胞がバラバラとなってしまうという問題があった。また、接着細胞自体に作用してしまい、接着細胞を損傷してしまうという問題もあった。
これに対して、本実施形態に係る細胞培養容器では、図3(B)に示すように、シルクプロテイン、シルクプロテインの加水分解物、フィブロイン、または、フィブロインの加水分解物がコーティングされており、接着細胞がシルクプロテイン、シルクプロテインの加水分解物、フィブロイン、または、フィブロインの加水分解物を足場材料として接着している。そのため、シルクプロテイン、シルクプロテインの加水分解物、フィブロイン、フィブロインとセリシンの混合物、または、フィブロインの加水分解物を分解する酵素を用いてシルクプロテイン、シルクプロテインの加水分解物、フィブロイン、フィブロインとセリシンの混合物、または、フィブロインの加水分解物を分解することで、細胞培養容器から接着細胞を剥離することができる。また、シルクプロテイン、シルクプロテインの加水分解物、フィブロイン、または、フィブロインの加水分解物に特異的に作用するシルクプロテイン分解酵素(たとえばProtease XIV)を用いることで、図3(B)に示すように、接着細胞はバラバラとならず、接着細胞をシート状で剥離することができるとともに、接着細胞自体に対する損傷も抑制することができる。
次に、本実施形態に係る細胞培養容器を用いた細胞剥離の実施例について説明する。まず、本実施で用いる細胞培養用基材および細胞培養容器の製作方法について説明する。
(細胞培養用基材の製作)
後述する実施例1~10では、特に明示する場合を除いて、以下に説明するように、フィブロインを有効成分とする細胞培養基材を作製した。具体的には、まず、乾燥させた家蚕繭を1cm四方程度にカットした。そして、乾燥した家蚕繭10gに対して、0.02M(mol/L)の炭酸ナトリウム溶液1Lを加え、95~98℃で30分程度撹拌し家蚕繭からセリシンを取り除き、フィブロイン繊維を得た。その後、得られたフィブロイン繊維をイオン交換水または超純水で洗浄し、炭酸ナトリウムを除去し乾燥させた。乾燥させた精練繭(フィブロイン繊維)3gに対して、9M(mol/L)の臭化リチウム溶液を50ml加えて、精練繭を溶解した。なお、臭化リチウム溶液を加えた後は、25℃程度の室温にて、一定時間、手作業で撹拌し、精練繭が溶液化したことを確認してから、スターラーで1晩撹拌した。そして、溶解した50ml程度のフィブロイン溶液を透析フィルム(直径28mm程度、分画分子量12,000~14,000)に入れ8Lのイオン交換水または超純水で半日程度かけて透析する工程を6回繰り返した。これにより、溶液中の臭化リチウムを取り除いた。さらに、透析を終えたフィブロイン水溶液の濃度を測定し、イオン交換水または超純水を加えて0.1~1.0%の濃度に調整した。なお、透析を終えたフィブロイン水溶液の濃度の測定は、直接重量法(透析を終えたフィブロイン水溶液を全蒸発させた残留物(フィブロイン)の重量を求めることで、フィブロイン水溶液の濃度を測定する方法)により行った。これにより、以下に説明する実施例1~10で用いる細胞培養基材(以下、本実施例に係る細胞培養基材ともいう)を得た。
また、後述する実施例11~13では、フィブロインおよびセリシンを有効成分とする細胞培養基材、または、フィブロインの加水分解物を有効成分とする細胞培養基材を作製した。実施例11~13における細胞培養基材の作製方法については、実施例11~13でそれぞれ説明する。
(細胞培養容器の製作)
本実施例では、特に明示する場合を除き、以下のように、細胞培養基材をコーティングした細胞培養容器を作製した。具体的には、本実施例に係る細胞培養基材を、シャーレの内側底部に塗布した。なお、塗布する細胞培養基材は、容器の底面表面が全体的になじむ程度の量とし、多く塗布した場合は、不要分をスポイトなどで取り除いた。そして、シャーレを乾燥機に入れ、細胞培養基材の水分を蒸発させた。さらに、シャーレ表面を完全に乾燥させた後に、80%メタノールをシャーレの底面表面に全体的になじむ程度に塗布し、室温または乾燥機でメタノールを蒸発させることで、不溶化処理を行った。また、80%メタノールで不溶化する代わりに、水蒸気飽和状態で1晩程度放置することで不溶化処理も行った。このようにして、本実施例で用いる細胞培養容器(以下、本実施例に係る細胞培養容器ともいう。)を製作した。
なお、以下の実施例1~13では、接着細胞としてNIH3T3を用いた。また、以下の実施例1~13においては、特に明示する場合を除き、上述のとおり製作した本実施例に係る細胞培養容器を用いて接着細胞を培養した。さらに、以下の実施例1~13においては、特に明示する場合を除き、上述した図2に示す方法により、各条件を同じにして培養および剥離を行った。なお、本実施例に係る細胞培養容器で培養した接着細胞の剥離は、特に明示する場合を除き、シルクプロテイン、シルクプロテインの加水分解物、あるいは、フィブロイン、または、フィブロインの加水分解物を分解する酵素として、Protease XIV(SIGMA製)を用いた。
(実施例1)
実施例1では、本実施例に係る細胞培養容器を用いて、接着細胞を培養できるかを検証した。具体的には、実施例として、本実施例に係る細胞培養容器を用いて、接着細胞を培養し、比較例として、本実施例に係る細胞培養基材をコーティングしていない表面未処理(疎水性)のポリスチレンシャーレを用いて接着細胞を培養した。図4は、実施例1における細胞培養の検証結果を示す図であり、(A)は本実施例に係る細胞培養基材をコーティングしていない表面未処理のシャーレを用いて接着細胞を3日間培養した後のシャーレの撮像画像であり、(B)は本実施例に係る細胞培養基材をコーティングしたシャーレ(本実施例に係る細胞培養容器)を用いて接着細胞を3日間培養した後のシャーレの撮像画像である。なお、(B)においては、フィブロインを1%含有する細胞培養基材を用いて細胞培養容器を製作した。
本実施例に係る細胞培養基材をコーティングした細胞培養容器を用いて接着細胞の細胞培養を行った実施例では、図4(B)に示すように、接着細胞の増殖が確認できた。これに対して、本実施例に係る細胞培養基材をコーティングしていない表面未処理(疎水性)のポリスチレンシャーレを用いて接着細胞を培養した比較例では、図4(A)に示すように、接着細胞の増殖を確認することができなかった。このことから、本実施形態に係る細胞培養容器を用いることで、接着細胞を増殖させることができることがわかった。
(実施例2)
実施例2では、本実施例に係る接着細胞の培養と、従来の接着細胞の培養とを比較し相違があるかを検証した。具体的には、実施例として、本実施例に係る細胞培養容器を用いて接着細胞をそれぞれ異なる培養時間で培養した後、酵素を用いて培養した接着細胞を剥離して回収し、回収した接着細胞群における乳酸脱水素酵素の活性量を計測し、接着細胞の細胞数を算出することで、本実施例に係る方法での増殖曲線を作成した。また、比較例として、従来の細胞培養容器(真空プラズマ処理を施した細胞培養容器)を用いて接着細胞の培養をそれぞれ異なる培養時間で培養した後、トリプシンを用いて培養した接着細胞を剥離し回収することで、従来の方法での増殖曲線も作成した。図5に、本実施例に係る方法で接着細胞を培養した実施例における増殖曲線と、従来の方法で接着細胞を培養した比較例における増殖曲線とを示す。図5に示すように、本実施形態に係る細胞培養容器を用いて接着細胞を培養した場合でも、従来と同様の(むしろ従来よりも多くの)接着細胞の増殖が観察され、従来と同様の(むしろ従来よりも多くの)接着細胞が得られることがわかった。
(実施例3)
実施例3では、本実施例に係る細胞培養容器を用いて培養した接着細胞を継代した場合でも、継代前と同様に、継代後の接着細胞も培養することができるかを検証した。具体的には、実施例として、本実施例に係る細胞培養容器を用いて接着細胞を培養した後、新たに、本実施例に係る細胞培養容器に継代を行い、1~6日目の接着細胞の様子を顕微鏡により観察した。また、比較例として、従来の細胞培養容器(真空プラズマ処理を行った細胞培養容器)を用いて接着細胞を培養した後に、新たに、従来の細胞培養容器に継代を行い、1~6日目の接着細胞の様子を顕微鏡により観察した。図6は、実施例3の検証結果を示す図であり、本実施例に係る方法で培養した接着細胞の継代後の撮像画像(実施例)と、従来の方法で培養した接着細胞の継代後の撮像画像(比較例)とを示す。図6に示すように、本実施例に係る細胞培養容器を用いて培養した接着細胞の継代後の増殖形態も、継代から6日経っても、従来の細胞培養容器を用いて培養した接着細胞の継代後の増殖形態と同様となり、本実施形態に係る細胞培養容器を用いて培養した接着細胞も、継代後も適切に培養することができることがわかった。
(実施例4)
実施例4では、本実施例に係る細胞培養容器を用いて培養した接着細胞を、酵素を用いて剥離することができるかを検証した。図7(A)は、実施例1において、本実施例に係る細胞培養基材をコーティングしたシャーレ(本実施例に係る細胞培養容器)を用いて接着細胞を3日間培養した後のシャーレの撮像画像(図4の(B)と同じ撮像画像)であり、図7(B)は、(A)の接着細胞を0.1U/mlのProtease XIVを用いて剥離した後のシャーレの撮像画像である。図7(B)に示すように、本実施形態に係る細胞培養基材をコーティングした本実施形態に係る細胞培養容器を用いて培養した接着細胞は、フィブロインを分解可能な酵素(Protease XIV)により剥離することができることがわかった。
(実施例5)
実施例5では、従来の細胞培養容器(真空プラズマ処理を行った細胞培養容器)で培養した接着細胞を、本実施例に係る酵素を用いて剥離できるかを検証した。図8は、実施例5における検証結果を示す図であり、(A)は、従来の細胞培養容器で培養した接着細胞を、トリプシンを用いて剥離した場合のシャーレの撮像画像を示し、(B)~(F)は、従来の細胞培養容器で培養した接着細胞を、酵素(Protease XIV)を用いて剥離を試みた場合のシャーレの撮像画像である。なお、(B)では0.1U/mlのProtease XIVを用い、(C)では0.5U/mlのProtease XIVを用い、(D)では1.0U/mlのProtease XIVを用い、(E)では2.0U/mlのProtease XIVを用い、(F)では5.0U/mlのProtease XIVを用いた。また、(A)~(F)においては、各酵素を37℃で10分間反応させた。図8(A)に示すように、従来の細胞培養容器で培養した接着細胞はトリプシンにより剥離することができたが、図8(B)~(F)に示すように、Protease XIVを用いて剥離することはできなかった。
(実施例6)
実施例6では、本実施例に係る細胞培養基材におけるフィブロインの濃度を変えた場合、また、細胞培養容器を製作する際の不溶化処理の方法によって、接着細胞の増殖のしやすさや剥離のしやすさに変化があるかを検証した。ここで、図9~12は、実施例6における検証結果を示す図であり、図9,10は、80%メタノールを用いて不溶化処理を行った場合、図11,12は、水蒸気を用いて不溶化処理を行った場合を示す。また、実施例6では、接着細胞を3日間培養した後、リン酸緩衝液でシャーレを洗浄し、その後、1U/mlのProtease XIVを0.5ml添加し、37℃で5分反応させた後、リン酸緩衝液を用いて再度洗浄を行った。なお、図9~12において、(1)は細胞培養基材におけるフィブロインの濃度が1%の場合、(2)は細胞培養基材におけるフィブロインの濃度が0.5%の場合、(3)は細胞培養基材におけるフィブロインの濃度が0.1%の場合、(4)は細胞培養基材におけるフィブロインの濃度が0.05%の場合、(5)は細胞培養基材におけるフィブロインの濃度が0.01%の場合、(6)は細胞培養基材におけるフィブロインの濃度が0.005%の場合を示す。また、図9~12の(1)~(6)において、上段の画像は、Protease XIVによる接着細胞の剥離前の状態を示し、中段の画像は、Protease XIVによる接着細胞の剥離直後の状態を示し、下段の画像は、Protease XIVによる接着細胞の剥離後さらにリン酸緩衝液で洗浄した後の状態を示す。
図9~図12に示すように、細胞培養基材におけるフィブロインの濃度を0.005%以上とすることで、接着細胞を適切に増殖および剥離させることができ、細胞培養基材におけるフィブロインの濃度を0.1%以上とすることで、接着細胞をより好適に剥離させることができることがわかった。また、不溶化処理の方法にかかわらず、酵素(Protease XIV)を用いて接着細胞を剥離することができることもわかった。なお、図9~12における剥離後および洗浄後の撮像画像において、白く斑状に見えるのは、細胞培養容器から全部または一部遊離した接着細胞であり、剥離前と比べて、接着細胞の剥離が進んでいることがわかる。
(実施例7)
実施例7では、酵素の濃度による接着細胞の剥離の影響を検証した。具体的には、フィブロインを0.1%含有する細胞培養基材を用い、メタノールで不溶化した細胞培養容器を用いて接着細胞を3日間培養し、液体培地を除去し、リン酸緩衝液で洗浄した後に、各濃度のProtease XIVを添加し、37℃で5分反応させた。図13は、実施例7の検証結果を示す図であり、(A)はProtease XIVによる剥離前の状態を示す図であり、(B)は0.01U/mlのProtease XIVによる剥離後の状態を示す図であり、(C)は0.05U/mlのProtease XIVによる剥離後の状態を示す図であり、(D)は0.1U/mlのProtease XIVによる剥離後の状態を示す図であり、(E)は0.5U/mlのProtease XIVによる剥離後の状態を示す図であり、(F)は1.0U/mlのProtease XIVによる剥離後の状態を示す図である。図13(B)~(F)に示すように、Protease XIVは0.01U/ml以上とすることで接着細胞を十分に剥離することができることがわかった。また、Protease XIVを(D)~(F)の0.1U/ml以上とすることで、より好適に接着細胞を剥離することができることがわかった。なお、図示していないが、フィブロインを1%含有する細胞培養基材を用いた場合でも、フィブロインを0.1%含有する細胞培養基材を用いた場合と同様の結果が得られた。また、水蒸気を用いて不溶化した場合も、メタノールで不溶化した場合と同様の結果が得られた。
(実施例8)
実施例8では、本実施例に係る細胞培養基材をオートクレーブで滅菌し、オートクレーブ滅菌した細胞培養基材でコーティングした細胞培養容器を用いて接着細胞の培養および剥離が可能であるかを検証した。具体的には、本実施例に係る細胞培養基材を120℃および20分でオートクレーブにかけた後、滅菌済みの表面未処理(疎水性)のポリスチレンプレートに、滅菌した細胞培養基材を塗布し乾燥させた後に、不溶化処理を行い、細胞培養容器を製作した。そして、製作した細胞培養容器を用いて接着細胞を4日間培養した後に、0.1U/mlのProtease XIVを5分間反応させて、接着細胞の剥離を行った。なお、図14および図15は、実施例8における検証結果を示す図であり、図14は、本実施例に係る細胞培養基材をオートクレーブで滅菌した後、滅菌した細胞培養基材を用いて製作した細胞培養容器で培養した接着細胞を観察した撮像画像を示し、図15は、本実施例に係る細胞培養基材をオートクレーブで滅菌した後、滅菌した細胞培養基材を用いて製作した細胞培養容器で培養した接着細胞を剥離した状態を観察した撮像画像を示す。
図14および図15において、(A)は、0.1%のフィブロイン溶液を塗布し、メタノールで不溶化した場合を示し、(B)は、1%のフィブロイン溶液を塗布し、メタノールで不溶化した場合を示し、(C)は、0.1%のフィブロイン溶液を塗布し、水蒸気を用いて不溶化した場合を示し、(D)は、1%のフィブロイン溶液を塗布し、水蒸気飽和状態で1晩程度放置して不溶化した場合を示す。また、図14(E)は、従来の組織培養用ポリスチレンプレートで接着細胞を培養した場合を示す。図14に示すように、細胞培養容器としてオートクレーブで滅菌した本実施形態に係る細胞培養基材(フィブロイン溶液)を、表面処理されていない滅菌済み容器に塗布した細胞培養容器でも、従来の細胞培養用ポリスエチレンプレートと同様に、接着細胞を培養することができることがわかった。また、0.1%のフィブロイン溶液よりも、1%以上のフィブロイン溶液を用いたほうが、剥離が容易になる傾向があることがわかった。さらに、図15に示すように、細胞培養容器としてオートクレーブで滅菌した本本実施形態に係る細胞培養基材(フィブロイン溶液)を、表面処理されていない滅菌済み容器に塗布した細胞培養容器でも、培養した接着細胞をProtease XIVにより剥離できることもわかった。また、図示していないが、0.01U/mlのProtease XIVを5分反応させて接着細胞の剥離を行った場合も、接着細胞を剥離することができた。ただし、Protease XIVは0.1Uml以上のほうが、接着細胞の剥離が容易になる傾向が認められた。
(実施例9)
実施例9では、本実施例に係る細胞培養容器を用いて接着細胞を培養し、液体培地を除去した後に、リン酸緩衝液で洗浄することなく、酵素を添加し、接着細胞を剥離できるかを検証した。具体的には、本実施形態に係る細胞培養基材(フィブロイン溶液)を120℃および20分でオートクレーブにかけて滅菌処理した後に、表面未処理(疎水性)のポリスチレンプレートに、フィブロイン溶液を塗布し不溶化処理を行うことで、本実施例に係る細胞培養容器を製作し、この細胞培養容器を用いて接着細胞の培養を4日間行った。その後、細胞培養容器から液体培地を除去し、かつ、リン酸緩衝液で洗浄しない状態のままで、シャーレに0.1U/mlのProtease XIVを添加し5分間反応させて、培養した接着細胞を剥離させた。図16は、実施例9の検証結果を示す図であり、(A),(D)は、0.1%のフィブロイン溶液を塗布し、水蒸気飽和状態で1晩程度放置して不溶化した場合を示し、(B),(E)は1%のフィブロイン溶液を塗布し、水蒸気飽和状態で1晩程度放置して不溶化した場合を示す。また、図16(C),(F)は、比較例であり、従来の組織培養用ポリスチレンプレートで培養した接着細胞を、培養液除去後、リン酸緩衝液で洗浄することなく、トリプシンを用いて剥離した場合を示す。図16(C),(F)に示すように、組織培養用ポリスチレンプレートで培養した接着細胞では、液体培養を除去した後、リン酸緩衝液で洗浄しない場合には、トリプシンを用いても剥離が不十分となり、リン酸緩衝液での洗浄が必要となることがわかった。これに対して、図16(A),(B),(D),(E)に示すように、本実施形態に係る細胞培養容器で培養した接着細胞は、液体培地を除去した後、リン酸緩衝液で洗浄しなくても、Protease XIVにより十分に接着細胞を剥離できることがわかった。
(実施例10)
実施例10では、本実施例に係る細胞培養容器を用いて接着細胞を培養した後、液体培地を除去することなく、酵素を添加し、接着細胞を剥離できるかを検証した。具体的には、本実施形態に係る細胞培養基材(フィブロイン溶液)を120℃および20分でオートクレーブにかけて滅菌処理した後に、表面未処理(疎水性)のポリスチレンシャーレ(60mmφ)に、フィブロイン溶液1mlを添加し、室温で30分後にフィブロイン溶液を取り除き、インキュベーター内で一晩放置して不溶化処理を行った。そして、製作した細胞培養容器に、接着細胞(40,000セル/シャーレ)を播種し、接着細胞の培養を3日間行った。その後、細胞培養容器から液体培地を除去することなく、細胞培養容器にProtease XIVを添加し5~30分間反応させて、培養した接着細胞を剥離させた。図17および図18は、実施例10の検証結果を示す図であり、図17では、本実施例に係る細胞培養容器を用いて接着細胞を培養した後に、液体培地中におけるProtease XIVの濃度が0.1U/ml、0.5U/mlまたは1.0U/mlとなるように、Protease XIVを添加し、添加後、5分、15分および30分での状態を観察した。図17に示すように、0.1U/ml以上となるようにProtease XIVを添加すると、添加から5分程度で接着細胞の一部がめくれるように剥離した。ただし、Protease XIVの濃度が0.1U/mlの場合には、添加30分後においても剥離せずに接着したままの接着細胞が残った。一方、Protease XIVの濃度が0.5U/mlの場合は、添加15分後において多くの細胞が剥離し、添加30分後においてほとんどの細胞が剥離した。Protease XIVの濃度が1.0U/mlの場合は、添加15分後においてほとんどの細胞が剥離した。
なお、図18では、従来の細胞培養容器(真空プラズマ処理を行った細胞培養容器)を用いて接着細胞を培養した後に、液体培地を除去することなく、培養培地におけるProtease XIVの濃度が1.0U/mlとなるように、Protease XIVを添加し、添加後、5分、15分および30分での状態を観察した。図18に示すように、従来の細胞培養容器を用いて接着細胞を培養し、液体培地を除去することなく、Protease XIVを反応させた場合、接着細胞を剥離することができなかった。
(実施例11)
実施例11では、セリシンとフィブロインとを混合した細胞培養基材を用いた細胞培養容器を作製した。具体的には、繭から精錬したフィブロインを、塩化カルシウム、エタノールおよび純水を8:2:1で混合した溶液に溶解させ、フィブロインを1重量%含むフィブロイン溶液を作製した。また、繭0.25gに20ml程度の純水を加え、120℃で20分間、加熱処理して抽出して、セリシンを1重量%含むセリシン水溶液を作製した。そして、フィブロイン溶液とセリシン水溶液とを重量比で7:3、5:5、3:7、0:10の割合でそれぞれ混合して混合液を調製した。調整した混合液を120℃および20分でオートクレーブ滅菌し、シャーレに各混合液をそれぞれ塗布した後に、50℃で一晩乾燥させ、実施例11に係る細胞培養容器を作製した。なお、実施例11では不溶化処理は行わなかった。そして、完成した細胞培養容器を用いて、接着細胞(HIH3T3細胞)を4日間培養した。
図19に、実施例11に係る細胞培養容器を用いて接着細胞を培養した後のシャーレの撮像画像を示す。図19に示すように、フィブロイン溶液とセリシン水溶液とを重量比でそれぞれ7:3、5:5、3:7、0:10の割合で混合した細胞培養基材を用いた細胞培養容器の全てにおいて、接着細胞を培養できることがわかった。次いで、これら4つの細胞培養容器において培地を除去した後に、Protease XIVを1U/ml加え、5~7分経過後に、接着細胞の剥離の状態を観察した。その結果、図20に示すように、フィブロイン溶液とセリシン水溶液とをそれぞれ7:3、5:5、3:7で混合した細胞培養基材については、細胞をシート状に剥離することができることが確認できた。一方で、フィブロイン溶液を含まず、セリシンのみを含有する細胞培養基材(フィブロイン溶液とセリシン水溶液とを0:10で混合した細胞培養基材)を用いた細胞培養容器では細胞の剥離を確認できなかった。このように、セリシン水溶液とフィブロイン溶液とを混合した細胞培養基材でも、プロテアーゼを用いた細胞剥離が可能であることがわかった。なお、図20は、実施例11での細胞剥離の検証結果を説明するための図であり、実施例11に係る細胞培養容器で培養した接着細胞を剥離させた後のシャーレの撮像画像を示す。また、図20において、フィブロイン溶液とセリシン水溶液とを0:10で混合した細胞培養基材については、高倍率での写真画像のみを表示する。
(実施例12)
上述した実施例11では、フィブロインを含まず、セリシンのみを含有する細胞培養基材を用いた細胞培養容器では、接着細胞の培養は可能であったが、プロテアーゼを用いた剥離ができないことがわかった。そこで、実施例12では、セリシンとフィブロインとを混合した細胞培養基材において、どの程度フィブロインが必要となるか(必要となるフィブロインの割合)を検証した。具体的には、実施例12では、フィブロイン溶液とセリシン水溶液とを重量比でそれぞれ1:9、0.5:9.5、0.1:9.9で混合した細胞培養基材を調製した。なお、フィブロイン溶液とセリシン水溶液の作製方法は、実施例11と同じである。そして、混合した混合液を120℃および20分でオートクレーブ滅菌を行い、シャーレに塗布することで、実施例12に係る細胞培養容器を作製した。なお、細胞培養基材を細胞培養容器に塗布した後、50℃で一晩乾燥させ、不溶化処理は行わなかった。そして、作製した細胞培養容器を用いて、接着細胞(HIH3T3細胞)を3日間培養した。図21に、実施例12の細胞培養容器を用いて接着細胞を培養した後のシャーレの撮像画像を表示する。図21に示すように、フィブロイン溶液とセリシン水溶液とをそれぞれ1:9、0.5:9.5、0.1:9.9で混合した混合液を含有する細胞培養基材を用いた細胞培養容器の全てで、接着細胞を培養することができたが、実施例11と比べて、接着細胞の細胞培養基材への接着は低下傾向にあった。
次いで、これらの細胞培養容器について、培地を除去した後に、Protease XIVを1U/ml加え、5分経過後に、細胞剥離の様子を観察した。その結果、図22に示すように、フィブロイン溶液とセリシン水溶液とをそれぞれ1:9および0.5:9.5で混合した細胞培養基材を用いた細胞培養容器では、剥離された接着細胞が浮いて丸く見えおり、肉眼においても接着細胞をシート状に剥離できることが確認できた。一方、図22に示すように、フィブロイン溶液とセリシン水溶液とを0.1:9.9で混合した細胞培養基材を用いた細胞培養容器では、接着細胞が接着により伸展して見えており、接着細胞の剥離を確認できなかった。なお、図22は、実施例12での細胞剥離の検証結果を説明するための図であり、実施例12の細胞培養容器で培養した接着細胞を剥離処理した後のシャーレの撮像画像である。
(実施例13)
実施例13では、フィブロインを加水分解した、フィブロイン加水分解物を有効成分とする細胞培養基材を含有する細胞培養容器を用いて、接着細胞の培養および細胞剥離を行った。具体的には、フィブロインを8重量%含むフィブロイン水溶液に、2Nとなるように水酸化ナトリウムを加え、60℃で1時間加水分解を行った。さらに、得られた加水分解物を塩酸により中和し、透析により加水分解フィブロイン水溶液を製作した。次いで、加水分解フィブロイン水溶液を120℃で20分、オートクレーブ滅菌し、フィブロイン当たりの重量が1重量%および0.1重量%となる濃度となる細胞培養基材を作製した。そして、作成した細胞培養基材を細胞培養容器に塗布した後、50℃で一晩乾燥させた。なお、フィブロイン当たりの重量が0.1重量%の細胞培養基材を用いた細胞培養容器では80%メタノールによる不溶化処理を実施し、フィブロイン当たりの重量が1重量%の細胞培養基材を用いた細胞培養容器では不溶化処理は行わなかった。そして、作製した細胞培養容器を用いて、接着細胞(HIH3T3細胞)を3日間培養した。図23に、実施例13で作製した細胞培養容器を用いて接着細胞を培養した後のシャーレの撮像画像を示す。図23に示すように、加水分解フィブロイン水溶液を有する細胞培養基材を用いた細胞培養容器の全てで接着細胞を培養することができたが、他の実施例と比べて接着細胞の増殖にバラツキが見られた。また、培地を除去した後に、Protease XIVを1U/ml加え、5分経過後に、細胞剥離の様子を観察した。その結果、図24に示すように、フィブロイン加水分解物を有効成分とする細胞培養基材を用いた細胞培養容器でも、剥離された接着細胞が浮いて丸く見えおり、接着細胞を剥離できることが確認できた。なお、図24は、実施例13で作製した細胞培養容器を用いた細胞剥離を説明するための図であり、実施例13の細胞培養容器で培養した接着細胞を剥離した後のシャーレの撮像画像を示す図である。このように、フィブロイン加水分解物を含む細胞培養基材でも、接着細胞の培養と細胞剥離を行うことができるが、接着細胞の培養については、他の実施例の方が好ましい結果となった。
以上のように、本実施形態に係る細胞培養基材は、細胞培養容器をコーティングするための基材であり、シルクプロテイン、シルクプロテインの加水分解物、フィブロイン、および、フィブロインの加水分解物のうちいずれか1以上のタンパク質を有効成分として含有する。これにより、本実施形態に係る細胞培養基材をコーティングした細胞培養容器において、シルクプロテイン、シルクプロテインの加水分解物、フィブロイン、および、フィブロインの加水分解物のうちいずれか1以上のタンパク質が、接着細胞の足場材料として機能するとともに、シルクプロテイン、シルクプロテインの加水分解物、フィブロイン、および、フィブロインの加水分解物のうちいずれか1以上のタンパク質を分解可能な酵素で分解することで、培養した接着細胞を剥離することができる。特に、シルクプロテイン、シルクプロテインの加水分解物およびフィブロインは、化粧品分野や医療分野で広く利用されているタンパク質であり、廉価に製造することが可能であり、本実施形態に係る細胞培養基材でコーティングした細胞培養容器を安価に製造することができる。
また、本実施形態に係る細胞培養基材は、オートクレーブにより滅菌処理を行っても、接着細胞の培養能力および剥離能力に影響は見られず、細胞培養基材を無菌状態で提供することが可能となる。さらに、細胞培養基材を容器に塗布した後に、シルクプロテイン、シルクプロテインの加水分解物、フィブロイン、または、フィブロインの加水分解物を不溶化できる溶剤をさらに添加することにより、または、水蒸気を用いることにより不溶化処理を行うことで、細胞培養基材に含まれるシルクプロテイン、シルクプロテインの加水分解物、フィブロイン、または、フィブロインの加水分解物を、容器に固定化することができる。
さらに、シルクプロテイン、シルクプロテインの加水分解物、フィブロイン、または、フィブロインの加水分解物に特異的に作用するシルクプロテイン分解酵素を用いることで、シルクプロテイン分解酵素が、液体培地中のタンパク質成分により失活することなく、シルクプロテイン、シルクプロテインの加水分解物、フィブロイン、または、フィブロインの加水分解物に反応することができるとともに、トリプシンと比べて、細胞外マトリックスや接着細胞自身と反応することも抑制することができる。そのため、トリプシンを用いた場合の接着細胞の剥離処理で必要であった、液体培地を除去する工程(図1のステップS102)、リン酸緩衝液で洗浄する工程(図1のステップS103)、洗浄したリン酸緩衝液を除去する工程(図1のステップS104)、トリプシンによる接着細胞へのダメージを抑制するために液体培地を再び添加する工程(図1のステップS107)が不要となり、工程の簡略化や、迅速化、コストの削減が可能となる。
さらに、本実施形態に係る細胞培養基材では、細胞外マトリックスや接着細胞自身と反応することも少ない酵素を用いるため、剥離後の接着細胞がバラバラとならず、接着細胞をシート状で得ることも可能となる。
以上、本発明の好ましい実施形態例について説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態の記載に限定されるものではない。上記実施形態例には様々な変更・改良を加えることが可能であり、そのような変更または改良を加えた形態のものも本発明の技術的範囲に含まれる。
たとえば、上述した実施形態では、本発明に係る細胞培養基材を、シルクプロテイン、シルクプロテインの加水分解物、フィブロイン、または、フィブロインの加水分解物を有効成分とする液体状または半液体状の基材を例示して説明したが、これに限定されず、たとえばシート状またはフィルム状の基材として提供することもできる。この場合、シャーレの表面にシート状またはフィルム状の細胞培養基材を貼付することで、本発明に係る細胞培養容器を製作することができる。
また、上述した実施形態では、接着細胞の剥離工程として、液体培地の除去、リン酸緩衝液での洗浄、および、洗浄したリン酸緩衝液の除去を行わない工程を例示したが、この構成に限定されず、たとえば、本実施形態に係る細胞培養容器を用いて培養した接着細胞を、液体培地の除去し、リン酸緩衝液で洗浄し、洗浄したリン酸緩衝液の除去することで、接着細胞の剥離を行う工程としてもよい。
さらに、上述した実施例11では、繭から精錬したフィブロインを用いたフィブロイン溶液に、繭から抽出したセリシンのセリシン水溶液を混合して、フィブロインとセリシンとの混合液を調製したが、この構成に限定されず、市販のフィブロインを用いたフィブロイン溶液に、繭から抽出したセリシン水溶液を混合して、フィブロインとセリシンとの混合液を調製する構成とすることもできる。また、シルクプロテインをそのまま水で煮沸することで、フィブロインとセリシンとの混合液を調製する構成としてもよい。この場合、フィブロインとセリシンとが重量比で7:3~8:2と含まれることとなる。

Claims (7)

  1. シルクプロテイン、シルクプロテインの加水分解物、フィブロイン、フィブロインの加水分解物のうちいずれか1以上のタンパク質を有効成分として含有する細胞培養基材がコーティングされた細胞培養容器で培養した接着細胞を、前記細胞培養基材から剥離する接着細胞の剥離方法であって、
    前記接着細胞の剥離剤として、Protease XIVを用いることを特徴とする、接着細胞の細胞剥離方法。
  2. 前記接着細胞の培養に使用した液体培地を除去し、前記液体培地を除去した後に、前記細胞培養基材を洗浄することなく、前記Protease XIVを添加して、前記接着細胞を剥離する、請求項に記載の接着細胞の細胞剥離方法。
  3. 前記接着細胞の培養に使用した液体培地を除去することなく、前記Protease XIVを添加して、前記接着細胞を剥離する、請求項に記載の接着細胞の細胞剥離方法。
  4. 添加した前記Protease XIVを失活させる処理をすることなく、剥離した前記接着細胞を回収する、請求項1に記載の接着細胞の細胞剥離方法
  5. 前記Protease XIVが、Streptomyces griseus由来のプロテアーゼ混合物である、請求項1に記載の接着細胞の細胞剥離方法
  6. 接着細胞を前記細胞培養容器で培養する培養工程と、
    請求項1ないし5のいずれかに記載の接着細胞の細胞剥離方法による剥離工程と、を有する、接着細胞の培養方法
  7. シルクプロテイン、シルクプロテインの加水分解物、フィブロイン、フィブロインの加水分解物のうちいずれか1以上のタンパク質を有効成分として含有する細胞培養基材、または、前記細胞培養基材がコーティングされた細胞培養容器と、
    前記細胞培養基材に接着した接着細胞の剥離剤であるProtease XIVとを含む、接着細胞培養用のキット
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CHEN, Ruru et al.,Degradation Behavior and Immunological Detection of Silk Fibroin Exposure to Enzymes,Analytical Sciences,2019年07月26日,Vol.35,p.1243-1249
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