以下、本発明を具体化した実施例を図面を参照しつつ説明する。
図1及び図2に示すように、実施例の電動圧縮機は、ハウジング本体1と、フロントハウジング3と、電動モータ5と、圧縮機構7と、インバータハウジング9と、インバータ装置11と、電源コネクタ13と、第1絶縁部材17と、第2絶縁部材19とを備えている。
本実施例では、図1に示す各矢印によって、電動圧縮機の前後方向及び上下方向を規定している。そして、図2以降では、図1に対応して電動圧縮機の前後方向及び上下方向を規定している。また、図3~図5では、電動圧縮機の前後方向及び上下方向に加えて、電動圧縮機の左右方向を規定している。なお、これらの各方向は説明の便宜上のための一例であり、電動圧縮機は、搭載される車両等に対応して、その姿勢が適宜変更される。
図1に示すように、ハウジング本体1はアルミニウム合金製である。ハウジング本体1は、第1底壁1aと、第1周壁1bと、第1締結部1cとを有している。第1底壁1aは、ハウジング本体1の後端に位置しており、電動圧縮機の径方向に延びている。第1底壁1aは、前方に面する前面101と、前面101の反対側に位置して後方に面する後面102とを有している。前面101には、電動圧縮機の軸方向で前方に向かって突出する支持部103が形成されている。支持部103は円筒状をなしており、内部にラジアル軸受41が配置されている。
第1周壁1bは、第1底壁1aと連続しており、第1底壁1aから電動圧縮機の軸方向で前方に向かって延びている。これらの第1底壁1a及び第1周壁1bにより、ハウジング本体1は、前方が開口した有底の筒状をなしている。また、第1周壁1bの後方には、ハウジング本体1内に連通する吸入口(図示略)が形成されている。これにより、ハウジング本体1内には、冷媒が吸入される吸入室としても機能する。冷媒は、本発明における「流体」の一例である。
第1締結部1cは、ハウジング本体1の前方で第1周壁1bと一体をなしており、第1周壁1bから電動圧縮機の径方向に突出している。第1締結部1c内には、第1ボルト孔104が形成されている。
フロントハウジング3もアルミニウム合金製である。フロントハウジング3は、第2底壁3aと、第2周壁3bと、第2締結部3cとを有している。第2底壁3aは、フロントハウジング3の前端に位置しており、電動圧縮機の径方向に延びている。第2周壁3bは、第2底壁3aと連続しており、第2底壁3aから電動圧縮機の軸方向で後方に向かって延びている。これらの第2底壁3a及び第2周壁3bにより、フロントハウジング3は、後方が開口した有底の筒状をなしている。第2締結部3cは、フロントハウジング3の後方で第2周壁3bと一体をなしており、第2周壁3bから電動圧縮機の径方向に突出している。第2締結部3c内には、第2ボルト孔301が形成されている。
フロントハウジング3は、第2締結部3cをハウジング本体1の第1締結部1cに整合させた状態でハウジング本体1の前方に配置されている。そして、ハウジング本体1とフロントハウジング3とは、第1、2挿通孔104、301に挿通されたボルト43の他、図示しない複数のボルトによって互いに締結されている。これにより、ハウジング本体1とフロントハウジング3とが一体化されている。なお、ハウジング本体1及びフロントハウジング3をアルミニウム合金以外で形成しても良い。
電動モータ5は、ハウジング本体1内に収容されている。電動モータ5は、ステータ31と、ロータ33と、駆動軸35とを有している。ステータ31は、ハウジング本体1内で第1周壁1bの内周面に固定されている。ロータ33は、ステータ31の内側に配置されている。駆動軸35は、軸方向で前後に延びており、後端がラジアル軸受41に回転可能に支持されている。また、駆動軸35は、ロータ33に固定されており、ロータ33と一体で回転可能となっている。
圧縮機構7は、ハウジング本体1内に収容されており、電動モータ5の前方に位置している。圧縮機構7としては、公知のスクロール型圧縮機構が採用されている。圧縮機構7は、第1周壁1bの内周面に固定された固定スクロールと、固定スクロールに対向して配置された可動スクロールとを有している。可動スクロールは駆動軸35と動力伝達可能に接続されおり、駆動軸35によって回転可能となっている。固定スクロールと可動スクロールとは噛合して両者の間に圧縮室を形成している。また、固定スクロールとフロントハウジング3との間に吐出室が形成されている。なお、固定スクロール、可動スクロール、圧縮室及び吐出室については、いずれも図示を省略する。また、圧縮機構7として、ベーン型圧縮機構等を採用しても良い。
インバータハウジング9は、インバータボックス21と、インバータカバー23とで構成されている。これらのインバータボックス21及びインバータカバー23、すなわちインバータハウジング9は、アルミニウム合金製である。インバータボックス21は、第3底壁21aと、第3周壁21bとを有している。第3底壁21aは、インバータボックス21の前端に位置しており、ハウジング本体1の第1底壁1aに沿いつつ、電動圧縮機の径方向に延びている。第3底壁21aは、前方に面する前面211と、前面211の反対側に位置して後方に面する後面212とを有している。第3周壁21bは、第3底壁21aと連続しており、第3底壁21aから電動圧縮機の軸方向で後方に向かって延びている。これらの第3底壁21a及び第3周壁21bにより、インバータボックス21は、後方が開口した有底の筒状をなしている。
インバータカバー23は、第4底壁23aと、第4周壁23bとを有している。第4底壁23aは、インバータカバー23の後端に位置しており、電動圧縮機の径方向に延びている。第4底壁23aは、前方に面する前面231と、前面231の反対側に位置して後方に面する後面232とを有している。また、第4底壁23aには、コネクタ取付部23cが形成されている他、貫通孔23d及び複数のねじ孔23eが形成されている。図2に示すように、コネクタ取付部23cは、第4底壁23aの後面232よりも後方に突出している。貫通孔23dは、コネクタ取付部23c内を前後方向に貫通しており、前面231に開口している。ねじ孔23eは、コネクタ取付部23cに形成されており、コネクタ取付部23c内を軸方向で前方に延びている。なお、本実施例では、コネクタ取付部23cに対して4つのねじ孔23eが形成されており、図1及び図2では、4つのねじ孔23eのうちの2つを図示している。
第4周壁23bは、第4底壁23aと連続しており、第4底壁23aから電動圧縮機の軸方向で前方に向かって延びている。これらの第4底壁23a及び第4周壁23bにより、インバータカバー23は、前方が開口した有底の筒状をなしている。
図1に示すように、インバータハウジング9は、ハウジング本体1の後端に固定されている。具体的には、インバータハウジング9では、インバータボックス21がインバータカバー23とハウジング本体1との間に配置されている。ここで、インバータボックス21とハウジング本体1とは、第3底壁21aの前面211と第1底壁1aの後面102とを当接させている。また、インバータボックス21とインバータカバー23とは、第4周壁23bと第1周壁1bとの間にガスケット(図示略)を介在させつつ、第4周壁23bの前端と第1周壁1bの後端とを対向させている。そして、この状態で、複数のボルト(図示略)が第4底壁23aの後面232からインバータカバー23、インバータボックス21及びハウジング本体1に挿通されて螺合されている。こうして、インバータカバー23、インバータボックス21及びハウジング本体1が軸方向に締結されて一体化されているとともに、インバータハウジング9がハウジング本体1の後端に固定されている。
また、インバータボックス21とインバータカバー23とが締結されることにより、インバータハウジング9内には、インバータ室25が形成されている。図2に示すように、インバータ室25は、貫通孔23dと連通している。また、インバータ室25内では、第3底壁21aの後面212と、第4底壁23aの前面231とが対向している。つまり、後面212及び前面231は、インバータ室25に面している。
インバータ装置11は、1つの回路基板51と、半導体53a~53cと、フィルタ部品55とを有している。回路基板51は板状に形成されており、前方に面する第1面51aと、第1面51aの反対側に位置して後方に面する第2面51bとを有している。また、図3に示すように、回路基板51には、第1接続孔51cと第2接続孔51dとが形成されている。第1接続孔51c及び第2接続孔51dは、本発明における「接続孔」の一例である。第1接続孔51cと第2接続孔51dとは、左右方向に離隔して配置されており、第1面51aから第2面51bまで回路基板51を貫通している。
また、回路基板51には、第1挿通孔51eと、図1に示す第2挿通孔51fとが形成されている。第1挿通孔51e及び第2挿通孔51fは、第1、2接続孔51c、51dとは異なる位置で回路基板51に形成されている。第1挿通孔51e及び第2挿通孔51fについても、第1面51aから第2面51bまで回路基板51を貫通している。
図2に示すように、半導体53a~53cは、それぞれ回路基板51の第1面51aに配置されている。半導体53a~53cは公用品であり、回路基板51に電気的に接続されている。半導体53a~53cは、スイッチング回路等を構成している。
フィルタ部品55は、コイル55aと、第1コンデンサ55bと、第2コンデンサ55cと、ホルダ55dとで構成されている。第1、2コンデンサ55b、55cは、本発明における「コンデンサ」の一例である。
コイル55a及び第1、2コンデンサ55b、55cは、ホルダ55dに保持された状態で後述する収容部17b内に収容されている。これにより、コイル55a及び第1、2コンデンサ55b、55cは、回路基板51を挟んで半導体53a~53cの反対側、すなわち、回路基板51の後方に配置されている。また、詳細な図示を省略するものの、コイル55a及び第1、2コンデンサ55b、55cは、収容部17b内に収容された状態で回路基板51に実装されており、回路基板51と電気的に接続されている。なお、図1~図3では、説明を容易にするため、半導体53a~53c及びフィルタ部品55を簡略化して図示している。
また、インバータ装置11には、第1絶縁部材17が設けられている。第1絶縁部材17は、電気絶縁性を有する樹脂によって形成されている。図4及び図5に示すように、第1絶縁部材17は、案内部17aと、収容部17bと、第1取付部17cと、第2取付部17dとを有している。なお、第1絶縁部材17をセラミック等の絶縁材料で形成しても良い。
案内部17aは収容部17bの上方、つまり、第1絶縁部材17における上部に位置している。案内部17aは略矩形状をなしており、上端面170と、第1前端面171と、第1後端面172と、右端面173と、左端面174とを有している。
案内部17aには、第1入口部61と第2入口部63とが形成されている。また、案内部17aには、第1出口部651と第2出口部671とが形成されている。さらに、案内部17aには、第1案内部653と第2案内部673とが形成されている。第1入口部61及び第2入口部63は、本発明における「入口部」の一例である。第1出口部651及び第2出口部671は、本発明における「出口部」の一例である。そして、第1案内部653及び第2案内部673は、本発明における「案内部」の一例である。
図3に示すように、第1入口部61及び第2入口部63は、案内部17aに凹設されており、それぞれ第1後端面172に開口しつつ、第1後端面172から前方に向かって延びている。つまり、第1、2入口部61、63は、第2絶縁部材19に向かって開口する形状である。また、第1、2入口部61、63は、第1、2出口部651、671よりも大型の矩形状に形成されており、第1、2出口部651、671よりも開口面積が大きくなっている。ここで、第1入口部61と第2入口部63とは、左右方向に離隔しており、互いに非連通となっている。第1入口部61は、後述する第1部位19aの前端部分と、第1バスバー73の第1被接続部701及び連絡部702が進入可能となっている。一方、第2入口部63は、第1部位19aの前端部分と、第2バスバー75の第1被接続部701及び連絡部702が進入可能となっている。
第1出口部651及び第2出口部671は矩形状に形成されている。第1出口部651及び第2出口部671についても左右方向に離隔しており、互いに非連通となっている。第1、2出口部651、671は、案内部17a内を前後方向に延びており、案内部17aの前端に開口している。つまり、第1出口部651は、回路基板51の第1接続孔51cに向かって開口しており、第2出口部671は、回路基板51の第2接続孔51dに向かって開口している。第1出口部651は、第1バスバー73の第1被接続部701及び連絡部702が進入可能となっている。第2出口部671は、第2バスバー75の第1被接続部701及び連絡部702が進入可能となっている。
第1案内部653は、案内部17aにおいて、第1入口部61と第1出口部651との間に形成されており、第1入口部61と第1出口部651とに接続している。第1案内部653は、第1出口部651から第1入口部61に向かって次第に拡大するテーパ形状をなしている。第2案内部673は、案内部17aにおいて、第2入口部63と第1出口部671との間に形成されており、第2入口部63と第2出口部671とに接続している。第2案内部673は、第2出口部671から第2入口部63に向かって次第に拡大するテーパ形状をなしている。第1案内部653及び第2案内部673についても左右方向に離隔しており、互いに非連通となっている。第1案内部653は、第1バスバー73の第1被接続部701及び連絡部702が進入可能となっている。第2案内部673は、第2バスバー75の第1被接続部701及び連絡部702が進入可能となっている。
図4及び図5に示すように、収容部17bは、第1壁176と第2壁177とで構成されている。第1壁176は、上下方向に延びる略矩形の板状をなしており、前方に面する第2前端面176aと、後方に面する第2後端面176bとを有している。また、第1壁176には、前後方向に貫通する第1~4取付孔178a~178dが形成されている。第1~4取付孔178a~178dは、第2前端面176aよりも僅かに前方に突出している。第2壁177は、第1壁176の外周縁に沿って延びる略矩形の環状をなしている。第2壁177は、前端で第1壁176の外周縁と連続しており、第1壁176から後方に向かって延びている。これらの第1壁176及び第2壁177により、収容部17bは、後方が開口する有底の筒状をなしている。
第1絶縁部材17では、第2壁177の上方に案内部17aが一体に形成されることにより、案内部17aと収容部17bとが一体をなしている。ここで、案内部17aは、収容部17bの左右方向の中央よりも左方にオフセットされた状態で収容部17bと一体をなしている。また、第1絶縁部材17では、案内部17aの第1前端面171が第1壁176の第2前端面176aよりも後方に位置している。これにより、第1前端面171と第2前端面176aの間には段差が存在している。
第1取付部17cは、案内部17aの左方に位置している。第1取付部17cは、案内部17aの左端面174及び収容部17bの第2壁177と一体をなす板状に形成されている。第1取付部17cには、第3挿通孔179aが貫設されている。第2取付部17dは、収容部17bの下方に位置している。第2取付部17dは、第2壁177と一体をなす板状に形成されている。第2取付部17dには、第4挿通孔179bが貫設されている。
図1~図3に示すように、インバータ装置11及び第1絶縁部材17は、インバータ室25内に収容されている。そして、インバータ装置11では、回路基板51が図示しない複数の固定ねじによって、インバータカバー23の第4周壁23bに固定されている。また、回路基板51では、半導体53a~53cがインバータボックス21の第3底壁21aに当接している。より具体的には、半導体53a~53cは、第3底壁21aの後面212に当接している。なお、回路基板51をインバータボックス21の第3周壁21bに固定する構成としても良い。また、回路基板51と第1絶縁部材17とを共締めしつつ、第3底壁21a又は第4底壁23aに固定する構成としても良い。
一方、第1絶縁部材17は、回路基板51に固定されている。これにより、第1絶縁部材17は、インバータ室25内において、インバータ装置11の回路基板51よりも後方に配置されている。ここで、図3に示すように、第1絶縁部材17を回路基板51に固定するに当たっては、第1取付部17cと回路基板51との間に第1スペーサ44を介在させつつ、回路基板51側から第1挿通孔51e、第1スペーサ44及び第3挿通孔179aの順に第1固定ボルト45を挿通し、第1取付部17c側から第1ナット46を第1固定ボルト45に締結する。また、図1に示すように、第2取付部17dと回路基板51との間に第2スペーサ47を介在させつつ、回路基板51側から第2挿通孔51f、第2スペーサ47及び第4挿通孔179bの順に第2固定ボルト48を挿通し、第2取付部17d側から第2ナット49を第2固定ボルト48に締結する。
こうして、第1絶縁部材17が回路基板51に固定されることにより、第1出口部651と、回路基板51の第1接続孔51cとが対向する。同様に、第2出口部671と、回路基板51の第2接続孔51dとが対向する。
また、図2及び図3に示すように、第1絶縁部材17では、収容部17bがインバータ室25の後方に臨んだ状態となっている。そして、収容部17b内には、フィルタ部品55、すなわち、コイル55aと、第1、2コンデンサ55b、55cと、ホルダ55dとが収容されている。そして、図示しない固定ねじによってホルダ55dが第1~4取付孔178a~178dに固定されることにより、収容部17b内にフィルタ部品55が固定されている。なお、収容部17bにはコイル55aのみが収容されても良く、第1、2コンデンサ55b、55cのみが収容されても良い。
図6及び図7に示すように、電源コネクタ13は、コネクタハウジング71と、第1バスバー73と、第2バスバー75と、スリーブ77とを有している。第1バスバー73及び第2バスバー75は、本発明における「バスバー」の一例である。また、電源コネクタ13には、第2絶縁部材19が設けられている。
コネクタハウジング71は樹脂製である。コネクタハウジング71は、本体部71aとフランジ部71bとを有している。本体部71aは、コネクタハウジング71の後方部分を構成している。本体部71aは略矩形状をなしており、前後方向に延びている。コネクタハウジング71の前方部分を構成している。フランジ部71bは、本体部71aの前端で本体部71aと一体をなしている。フランジ部71bは、本体部71aよりも大きい矩形の板状をなしている。なお、コネクタハウジング71の形状は、図1に示す相手コネクタ201の形状に応じて適宜設計可能である。
また、コネクタハウジング71には、図7に示す第1凹部711と、第2凹部712と、挿通部713とが形成されている他、図6に示す4つのねじ孔714が形成されている。図7に示すように、第1凹部711は本体部71aに凹設されており、本体部71aの後端から前方に向かって延びている。第2凹部712はフランジ部71bに凹設されており、フランジ部71bの前端から後方に向かって延びている。挿通部713は本体部71a内及びフランジ部71b内を前後方向に延びており、後方で第1凹部711と連通しているとともに、前方で第2凹部712と連通している。各ねじ孔714はフランジ部71bに形成されており、フランジ部71bを前後方向に貫通している。なお、ねじ孔714の個数は、インバータカバー23に形成されたねじ孔23eの個数に応じて適宜設計可能である。
第1バスバー73及び第2バスバー75は、金属の板材によって形成されており、電気伝導性を有している。第1バスバー73と第2バスバー75とは同一の構成であり、それぞれ前後方向に延びている。以下、第1バスバー73を基に構成を説明する。
図7に示すように、第1バスバー73は、第1被接続部701と、連絡部702と、延在部703と、第2被接続部704とを有している。第1被接続部701は、本発明における「端部」の一例である。また、連絡部702は、本発明における「突出部」の一例である。
第1被接続部701は、第1バスバー73の前端に位置しており、前後方向に直線状に延びている。図6に示すように、第1被接続部701は、連絡部702及び延在部703に比べて、幅方向に細く形成されている。連絡部702は、第1被接続部701の後端と接続している。連絡部702は、第1被接続部701から後方に向かって直線状に延びた後、上方に向かって屈曲し、さらに後方に向かって直線状に延びている。
図7に示すように、延在部703は、連絡部702の後端と接続している。これにより、延在部703は、連絡部702を介して第1被接続部701と接続している。延在部703は、連絡部702と等しい幅で後方に向かって延びている。より具体的には、延在部703は、連絡部702から後方に向かって直線状に延びた後、上方に向かって僅かに屈曲し、さらに後方に向かって直線状に延びている。第2被接続部704は、第1バスバー73の後端に位置している。第2被接続部704は、延在部703の後端と接続しつつ、第1バスバー73の後方に向かって直線状に延びている。第2被接続部704は、延在部703に比べて、幅方向に細く形成されている。
図6に示すように、第1バスバー73と第2バスバー75とは、左右方向に離隔して配置された状態で第2絶縁部材19にインサート成形されており、第2絶縁部材19と一体をなしている。
第2絶縁部材19は、第1絶縁部材17と同様、電気絶縁性を有する樹脂によって形成されている。第2絶縁部材19は、略矩形状をなしており前後方向に延びている。図7に示すように、第2絶縁部材19は、第1部位19aと、第2部位19bと、第3部位19cとを有している。なお、第2絶縁部材19についても、セラミック等の絶縁材料で形成しても良い。また、第1絶縁部材17と第2絶縁部材19とを異なる絶縁材料で形成しても良い。
第1部位19aは、第2絶縁部材19の前方部分を構成している。第1部位19aは前方が左右方向に離れる二又形状となっており、図3に示す第1入口部61と第2入口部63とにそれぞれ進入可能となっている。図7に示すように、第2部位19bは、第2絶縁部材19における前後方向の中央方部分を構成している。第2部位19bは、第1部位19aの後端と接続して後方に延びている。図2に示すように、第2部位19bは、第2絶縁部材19において最も大きく形成されており、インバータカバー23の貫通孔23dと略同径となっている。図7に示すように、第3部位19cは、第2絶縁部材19の後方部分を構成している。第3部位19cは、第2部位19bの後端と接続して後方に延びている。また、第3部位19cにはコネクタ進入部190が形成されている。コネクタ進入部190は、第3部位19cに凹設されており、第3部位19cの後端、すなわち第2絶縁部材19の後端から前方に向かって延びている。
第2絶縁部材19は、第1バスバー73及び第2バスバー75の各延在部703を内部に位置させることにより、第1、2バスバー73、75を支持しつつ覆っている。ここで、第2絶縁部材19は、各第1被接続部701と、各連絡部702とについては、第1部位19aから突出させている。つまり、各連絡部702は、第2絶縁部材19から突出し、屈曲しつつ各第1被接続部701まで延在している。こうして、各第1被接続部701及び各連絡部702は、第2絶縁部材19から露出した状態となっている。また、第2絶縁部材19は、第2被接続部704をコネクタ進入部190内に位置させている。なお、各連絡部702は、第2絶縁部材19から突出して各第1被接続部701まで延在する形状であれば、他の形状に形成されていても良い。
スリーブ77は電気伝導性を有する金属によって形成されている。スリーブ77は、第2絶縁部材19の第3部位19cを挿通可能な筒状に形成されている。また、スリーブ77の前端には、スリーブ77の外部に向かって延びる当接部77aが形成されている。
電源コネクタ13では、コネクタハウジング71の第1、2凹部711、712及び挿通部713に対して、スリーブ77及び第2絶縁部材19が前方から挿通されている。これにより、コネクタハウジング71にスリーブ77及び第2絶縁部材19が取り付けられている。この際、スリーブ77では、当接部77aが第2凹部712内に位置してコネクタハウジング71の外部に露出している。また、第2絶縁部材19では、第3部位19cが第1、2凹部711、712及び挿通部713内、つまりコネクタハウジング71内に位置している一方、第1部位19a及び第2部位19bがコネクタハウジング71の前方に突出している。
図2に示すように、電源コネクタ13は、インバータ室25の外部でインバータカバー23のコネクタ取付部23cに固定されつつ、インバータ装置11の回路基板51に接続されている。この電源コネクタ13を回路基板51に接続するに当たっては、インバータカバー23の貫通孔23dに対して、第1、2バスバー73、75と、第2絶縁部材19の第1部位19a及び第2部位19bとを挿通する。これにより、第1、2バスバー73、75は、第2絶縁部材19によって支持されつつ、インバータ室25内を第1絶縁部材17及び回路基板51に向かって前方に移動する。
そして、図2に示すように、第1、2バスバー73、75は、第1、2入口部61、63に至ることにより、第1バスバー73の第1被接続部701及び連絡部702が第1入口部61内に進入する。第1入口部61内に進入した第1被接続部701及び連絡部702は、第1案内部653に進入する。そして、第1被接続部701及び連絡部702は、第1案内部653に案内されて第1出口部651に至る。同様に、第2入口部63内に進入した第2バスバー75の第1被接続部701及び連絡部702についても、第2案内部673に案内されて第2出口部671に至る。こうして、第1、2バスバー73、75の各第1被接続部701は、第1、2出口部651、671において、回路基板51の第1、2接続孔51c、51dと対向する状態となる。
そして、第1、2入口部61、63に対して第1、2バスバー73、75をより深く進入させることにより、図3に示すように、第1バスバー73の第1被接続部701が第1出口部651から突出して、第1接続孔51cに挿通される。また、第2バスバー75の第1被接続部701が第2出口部671から突出して、第2接続孔51dに挿通される。このように、第1、2出口部651、671に至った第1、2バスバー73、75の各第1被接続部701は、第1、2出口部651、671から第1、2接続孔51c、51dに案内されて、第1、2接続孔51c、51dに挿通される。
ここで、第1、2入口部61、63に第1、2バスバー73、75を深く進入させることにより、第1部位19aの一部、つまり、第1部位19aの前端部分についても、それぞれ第1、2入口部61、63内に進入する。この結果、各連絡部702は、第1、2入口孔61、63に自己の後端を含めて、つまり、第2絶縁部材19の第1部位19aから突出して第1部位19aと隣接する部分を含めて、それぞれ囲繞される。換言すれば、第1、2入口孔61、63は、各連絡部702の全体を囲繞するように、第1絶縁部材17の案内部17aに配置されている。
このように第1、2接続孔51c、51dに対して各第1被接続部701が挿通された状態で、第1、2接続孔51c、51dと、各第1被接続部701とをそれぞれハンダ81によって固定する。こうして、第1、2バスバー73、75を通じて、電源コネクタ13が回路基板51に通電可能に接続される。
また、図2に示すように、電源コネクタ13では、コネクタハウジング71の各ねじ孔714に対して、固定ねじ83が挿通される。そして、各固定ねじ83がインバータカバー23の各ねじ孔23eにそれぞれ螺合することにより、電源コネクタ13は、インバータカバー23のコネクタ取付部23cに固定される。この際、電源コネクタ13では、スリーブ77の当接部77aがコネクタ取付部23c、ひいてはインバータカバー23に当接する。
図1に示すように、電源コネクタ13には、車両のバッテリ200に接続された相手コネクタ201が接続される。バッテリ200は、本発明における「外部電源」の一例である。そして、相手コネクタ201が図7に示すコネクタ進入部190に進入しつつ、第1、2バスバー73、75の各第2被接続部704と通電することにより、電源コネクタ13は、バッテリ200とインバータ装置11とを電気的に接続する。なお、図示を省略するものの、インバータ装置11は、通信コネクタを通じて車両の制御装置と接続されている。
以上のように構成された電動圧縮機では、電源コネクタ13を通じて、バッテリ200からインバータ装置11に電力が供給される。ここで、この電動圧縮機では、バッテリ200からインバータ装置11に対して、約800ボルトの高電圧を有する電力が供給される。そして、電動圧縮機では、インバータ装置11がバッテリ200から供給された直流電流を交流電流に変換する。この際、フィルタ部品55は、作動時に生じるノイズの除去を行う。こうして、インバータ装置11は、電動モータ5に交流電力を供給しつつ、電動モータ5の駆動制御を行う。これにより、電動モータ5は駆動軸35を通じて圧縮機構7を駆動させる。こうして、圧縮機構7は、吸入口から吸入された冷媒を圧縮し、圧縮された冷媒を吐出口から吐出する。
この電動圧縮機では、第1絶縁部材17がインバータ装置11の回路基板51に設けられている。また、第1絶縁部材17は、第1、2入口部61、63と、第1、2出口部651、671と、第1、2案内部653、673とを有している。これにより、第1絶縁部材17では、第1、2バスバー73、75を回路基板51に接続するに当たり、第1案内部653によって、第1バスバー73の第1被接続部701及び連絡部702を第1入口部61から第1出口部651に案内できる。同様に、第2案内部673によって、第2バスバー75の第1被接続部701及び連絡部702を第2入口部63から第2出口部671に案内できる。この際、第1、2案内部653、673が第1、2出口部651、671から第1、2入口部61、63に向かって次第に拡大するテーパ形状であるため、第1、2案内部653、673は、第1、2出口部651、671に対する各第1被接続部701及び各連絡部702の位置のずれを修正しつつ、各第1被接続部701及び各連絡部702を第1、2出口部651、671に好適に案内することが可能となっている。こうして、この電動圧縮機では、電源コネクタ13とインバータ装置11とを接続するに当たり、各第1被接続部701を回路基板51の第1、2接続孔51c、51dに容易に接続させることが可能となっている。
一方、第2絶縁部材19は電源コネクタ13に設けられており、インバータ室25内で第1絶縁部材17とともに第1、2バスバー73、75を覆っている。ここで、第1、2バスバー73、75では、連絡部702が第2絶縁部材19から突出しているものの、この連絡部702については、後端を含めて第1絶縁部材17の第1、2入口部61、63が囲繞する。このため、連絡部702については、第1絶縁部材17によってインバータハウジング9と絶縁される。また、この電動圧縮機では、第2絶縁部材19が第1、2バスバー73、75の各延在部703を被覆している。このため、第2絶縁部材19によって、インバータハウジング9と、各延在部703とを絶縁させることができる。
こうして、この電動圧縮機では、インバータ室25内において、第1、2バスバー73、75に対する第1、2接続孔51c、51dへの案内機能を有する第1絶縁部材17と、第1、2バスバー73、75の支持機能を有する第2絶縁部材19とによって、回路基板51側と電源コネクタ13側の双方から第1、2バスバー73、75を覆うことが可能となっている。これにより、この電動圧縮機では、バッテリ200から高電圧の電力が供給されても、第1、2バスバー73、75からインバータハウジング9への短絡が生じ難くなっている。
したがって、実施例の電動圧縮機によれば、第1、2バスバー73、75を有する電源コネクタ13とインバータ装置11との接続を容易化しつつ、第1、2バスバー73、75からインバータハウジング9への短絡を確実性高く防止できる。
また、このように、第1、2案内部17、19によって、インバータハウジング9と、第1、2バスバー73、75とを好適に絶縁させることができるため、この電動圧縮機では、図3に示すように、インバータボックス21及びインバータカバー23と、第1、2バスバー73、75とを径方向に可及的に近づけることが可能となっている。さらに、この電動圧縮機では、貫通孔23dを小径化することができる。この結果、この電動圧縮機では、インバータカバー23に対して、貫通孔23dを設けるためのスペースを過度に大きく設ける必要がない。これらにより、この電動圧縮機では、第1、2バスバー73、75からインバータハウジング9への短絡を防止しつつ、インバータハウジング9を可及的に小型化することも可能となっている。
さらに、この電動圧縮機では、第1絶縁部材17の第1、2入口部61、63に対して、第2絶縁部材19の一部、各連絡部702及び各第1被接続部701が進入する。これにより、この電動圧縮機では、各連絡部702が第1、2入口部61、63の外部、ひいては第1絶縁部材17の外部に露出することがないため、第1、2絶縁部材17、19によって、各バスバー73、75とインバータハウジング9とを十分に絶縁することが可能となっている。また、この電動圧縮機では、電源コネクタ13とインバータ装置11とを接続するに当たり、インバータカバー23の軸方向、つまり、電動圧縮機の前後方向に第1絶縁部材17と第2絶縁部材19とをより接近させることが可能となっている。この点においても、この電動圧縮機では、小型化が可能となっている。
また、第1絶縁部材17には収容部17bが形成されており、収容部17bには、フィルタ部品55が収容されている。これにより、この電動圧縮機では、第1絶縁部材17がフィルタ部品55を収容するための収容部材を兼ねていることから、その分、部品点数を削減することが可能となっている。
さらに、この電動圧縮機では、インバータ室25内において、回路基板51の各半導体53a~53cがインバータボックス21の第3底壁21aと当接している。より具体的には、各半導体53a~53cは、第3底壁21aの後面212と当接している。ここで、第3底壁21aは、前面211がハウジング本体1の第1底壁1aと当接している。そして、ハウジング本体1内には、吸入口を通じて冷媒が吸入される。このため、冷媒によって第1底壁1aが低温となり、第1底壁1aによって第3底壁21aも低温となる。こうして、この電動圧縮機では、低温の第3底壁21aによって各半導体53a~53cを好適に冷却することが可能となっている。
以上において、本発明を実施例に即して説明したが、本発明は上記実施例に制限されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更して適用できることはいうまでもない。
例えば、実施例の電動圧縮機では、インバータボックス21とインバータカバー23とによってインバータハウジング9を構成している。しかし、これに限らず、ハウジング本体1の第1底壁1aにインバータカバー23を接合させることにより、第1底壁1aとインバータカバー23とでインバータハウジング9を構成しても良い。
また、実施例の電動圧縮機では、インバータ装置11が1つの回路基板51を有しているが、これに限らず、インバータ装置11は、電源コネクタ13と接続される回路基板51の他に、他の回路基板を有していても良い。
さらに、フィルタ部品55とは別の大型の抵抗部品を回路基板51に実装し、この抵抗部品を収容部17bに収容する構成としても良い。
また、収容部17bを省略して第1絶縁部材17を構成しても良い。
さらに、実施例の電動圧縮機では、圧縮機構7が冷媒を圧縮する構成としているが、これに限らず圧縮機構7は、冷媒以外の流体を圧縮する構成であっても良い。