JP7331674B2 - ホール輸送層材料及びホール輸送層材料を用いた太陽電池 - Google Patents

ホール輸送層材料及びホール輸送層材料を用いた太陽電池 Download PDF

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Description

本発明は、ホール輸送層材料及びホール輸送層材料を用いた太陽電池に関する。
太陽電池には、シリコン系、化合物半導体、有機半導体などの素子を用いたものが一般的であるが、高い光捕集能に加え、薄膜化や低コスト化の可能なハイブリッド型太陽電池が注目されている。
非特許文献1には、透明導電膜付きガラス基板と、緻密な二酸化チタン(TiO2)膜からなるブロッキング層と、光によって励起して電子を発生するペロブスカイト化合物としてヨウ化鉛(PbI2)及びメチルアンモニウムアイオダイド(CH3NH3I)を、多孔質の二酸化チタン(TiO2)に積層させて形成される発電層と、ホール輸送層と、電極とを備えたハイブリッド型太陽電池が示されている。
この発電層は、スピンコート法を用いてPbI2を多孔質TiO2の孔内部に浸透させた後、CH3NH3Iを含んだ溶液に浸漬させる二段階工程を用いて製造される。その結果、速やかにペロブスカイト化合物(CH3NH3 PbI3)の結晶が生成されるので、光電変換効率の向上が図られている。
また、ホール輸送層に用いられるホール輸送層材料として、下記一般式(A)に示す2,2',7,7'-テトラキス(N,N'-ジ-p-メトキシフェニルアミノ)-9,9'-スピロビフルオレン(2,2',7,7'-tetrakis(N,N'-di-p-methoxyphenylamine)-9,9'-spirobifluorene(一般呼称「Spiro-OMeTAD」、以下、本呼称を使用))が使用されている。ペロブスカイト化合物の結晶が光を吸収することによって電子とホールを生じる。ホールは、ホール輸送層材料により対向電極に輸送され、電子は光電極に移動するといったサイクルを繰り返すことで発電する。
Figure 0007331674000001
また、非特許文献2には、ホール輸送層材料として、ポリトリアリールアミン(poly(triarylamine)(一般呼称「PTAA」、以下、本呼称を使用))などの高分子化した材料を利用した太陽電池も報告されている。
前述したように、ハイブリッド型太陽電池は高い光捕集能を備えており、室内などの弱い光のエネルギー下でも発電性能が高いことから、様々な環境下での利用が期待されている。しかしながら、非特許文献1及び非特許文献2のハイブリッド型太陽電池においてホール輸送層材料として使用されるSpiro-OMeTADやPTAAは、耐久性に劣り、大気中放置では数日でその機能を喪失するという問題点があった。その要因としてはSpiro-OMeTADやPTAAは、分子構造が嵩高く、分子間の電気的な接触が得られ難いことが挙げられる。そのため、ドーパントとしてコバルト錯体等を添加することによってホール輸送層として機能するが、このドーパントの添加量や混ざり具合(濃度分布)によって、太陽電池の性能が変化し、安定して同一の機能を発揮させることが難しかった。
例えば、Spiro-OMeTADをホール輸送層材料として積層した場合等において、前述の分子構造に起因して隣接する分子間に隙間が生じ、この隙間に様々な分子が取り込まれる可能性がある。そのため、Spiro-OMeTADによりホール輸送層を作製する際には、例えば、Spiro-OMeTADをドーパント等と混合し、この混合物を溶媒に溶解して塗布後、加温して溶媒を蒸発させる。しかしながら、Spiro-OMeTAD分子間の隙間に溶媒分子が取り込まれると、この分子を完全に取り除くことは困難であり、これに起因して太陽電池性能が安定しないという問題点もあった。しかも、太陽電池として構築した場合において、使用時において、環境中の水分子が前記隙間に入り込み、太陽電池性能や耐久性の低下を招くおそれがあった。
また、Spiro-OMeTAD及びPTAAの合成は、その反応工程が煩雑で工程数も多く、精製に際しても多くの工程数が必要である。結果として、Spiro-OMeTAD及びPTAAの高価格化を招いていた。更に、Spiro-OMeTAD及びPTAAをホール輸送層材料として使用する太陽電池においても、作製に必要な工程数が増加し、価格の高騰を招いていた。
そこで、上記非特許文献1及び非特許文献2に記載のホール輸送層材料等の従来技術の問題点を鑑みて、本発明者らは、特許文献1にて、下記一般式(B)に示すホール輸送層材料を構築した。当該ホール輸送層材料は、分子内にフタロシアニン骨格を有し、かつ、フタロシアニン骨格外周に特定の置換基を有するものであり、分子の平面性が高く、分子を重ねた場合にπ共役系等の分子間の電気的結合が良好に確保でき、優れたホール輸送性を有することを報告している。また、当該ホール輸送層材料は耐久性の面でも優れた性質を有することを報告している。更に、当該ホール輸送層材料をハイブリッド型太陽電池等のホール輸送層に用いた場合、当該ホール輸送層材料が優れたホール輸送性を発揮し、初期実験において優れた電池性能を示し、耐久性の面でも優れていることをも報告している。詳細には、特許文献1に記載のホール輸送層材料の骨格をなすフタロシアニンは、高い平面性を持つ環状の構造物であり、環状に連続したπ電子雲を形成している。フタロシアニン分子間でこのπ電子雲同士が重なり、フタロシアニン分子は平皿を複数重ねたような配置(「π-πスタッキング」という)で安定化する。特許文献1に記載のホール輸送層材料は、平皿を重ねた方向にホールを移動させることができ、良好なホール輸送性を発揮できるものである。
しかしながら、特許文献1に記載のホール輸送層材料は、フタロシアニン分子において、置換基をβ位の一箇所(下記一般式(B)のR1a又はR1b、R1a又はR1b、R2a又はR2b、R3a又はR3b、及び、R4a又はR4b)に導入した構造を有する。合成に際して、幾何異性体が生じ、これらの幾何異性体混合物から所望の幾何異性体のみを分離することは困難であるため、完全な純品を提供することは困難である。そのためホール輸送性は、幾何異性体の存在により阻害されるという問題がある。
一方、置換基をβ位の二箇所(下記一般式(B)のR1a及びR1b、R1a及びR1b、R2a及びR2b、R3a及びR3b、並びに、R4a及びR4b)に導入することにより、幾何異性体の存在しないフタロシアニン分子をホール輸送層材料として提供することができるが、置換基による立体障害が大きく、フタロシアニン分子間のπ-πスタッキングが阻害され、ホール輸送性が低下する。同様に、α位の二箇所に置換基を導入することによっても、同様に立体障害が大きくなり、ホール輸送性が低下する。
Figure 0007331674000002
特開2017-66096号公報
Burschka, J. et al, Sequential deposition as a route to high-performance perovskite-sensitized solar cells, Nature, 2013.07.10, volume499, p316-319, doi:10.1038/nature12340 Jun Hong Noh et al, Chemical Management for Colorful, Efficient, and Stable Inorganic-Organic Hybrid Nanostructured Solar Cells, Nano Letter, 2013, 13 (4), p1764-1769
そこで、上記従来技術の問題点を鑑み、安定した優れたホール輸送性を有するホール輸送層材料の提供が求められていた。また、ホール輸送層材料を安価に提供することが求められていた。更に、電池性能の高い太陽電池を安価で提供することが求められていた。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、分子内にベンゾポルフィリン骨格を有し、かつ、ベンゾポルフィリン骨格のメソ位に特定の置換基を導入したホール輸送層材料が、分子の平面性が高く、分子を重ねた場合にπ共役系等の分子間の電気的結合が良好に確保でき、優れたホール輸送性を有することを見出した。また、メソ位に置換基を導入することで幾何異性体が存在せず、ホール輸送性を安定的に発揮し得ることが見出した。また、イソインドールとアルデヒドを縮合させることで合成でき、かかるアルデヒドの種類を適宜選択することにより、ベンゾポルフィリン骨格のメソ位に所望の置換基を導入できることから、安価かつ簡便に所望のホール輸送層材料を提供できることを見出した。また、従来のフタロシアニン系のホール輸送層材料に比べて、深いHOMOエネルギー準位を有することから、ペロブスカイトの価電子帯準位との配置を適切に調節でき、ホール輸送性を向上し得ることをも見出した。更に、当該ホール輸送層材料をハイブリッド型太陽電池等のホール輸送層に用いた場合、当該ホール輸送層材料が優れたホール輸送性を発揮し、初期実験において優れた電池性能を示すことを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明は、ホール輸送層材料に関するものであり、その特徴構成は下記一般式(I)に示す化合物である点にある。
Figure 0007331674000003
[一般式(I)において、
Mは、亜鉛(Zn)、銅(Cu)、コバルト(Co)、鉄(Fe)、ニッケル(Ni)、鉛(Pb)、マンガン(Mn)、及び、スズ(Sn)から選択され、
X1、X2、X3、及び、X4は互いに独立的な同一の置換基であり、下記(a)~(i)から選択される。
Figure 0007331674000004
(ここで、
(a)において、kaは0~3の整数であり、R1a、R2a、及び、R3aは互いに独立的であり、何れか1つの基がC1~C10アルキル基であり、他の2つの基は水素である、
(b)において、R1b、及び、R2bは互いに独立的であり、何れか1つの基がC1~C10アルキル基であり、他方の基は水素である、
(c)において、R1c、及び、R2cは互いに独立的であり、何れか1つの基がC1~C10アルキル基であり、他方の基は水素である、
(d)において、R1d、及び、R2dは互いに独立的であり、何れか1つの基がC1~C10アルキル基であり、他方の基は水素である、
(e)において、keは0~3の整数であり、R1eはC1~C10アルキル基である、
(f)において、R1f、及び、R2fは互いに独立的であり、同一であっても異なっていてもよい、C1~C10アルキル基である、
(g)Lgは、芳香族炭化水素環基、芳香族複素環基、及び、エチニル基から選択され、kgは0又は1であり、R1g、及び、R2gは互いに独立的であり、同一であっても異なっていてもよい、C1~C10アルキル基である、
(h)Lhは、芳香族炭化水素環基、芳香族複素環基、及び、エチニル基から選択され、khは0又は1であり、R1h、及び、R2hは互いに独立的であり、同一であっても異なっていてもよい、C1~C5アルキル基である、
(i)Liは、芳香族炭化水素環基、芳香族複素環基、及び、エチニル基から選択され、kiは0又は1であり、R1i、及び、R2iは互いに独立的であり、同一であっても異なっていてもよい、C1~C10アルキル基である。)]
上記構成によれば、安定的かつ効率的にホールを捕捉し移動させることができる優れたホール輸送性を有しているホール輸送層材料を提供することができる。詳細には、本構成のホール輸送層材料の主骨格をなすベンゾポルフィリン骨格は、高い平面性を持つ環状の構造物であり、環状に連続したπ電子雲を形成している。ベンゾポルフィリン分子間でこのπ電子雲同士が重なり、ベンゾポルフィリン分子は平皿を複数重ねたような配置(「π-πスタッキング」という)で安定化する。これにより、ベンゾポルフィリン分子は、平皿を重ねた方向にホールを移動させることができ、良好なホール輸送性を発揮することができる。
また、本構成のホール輸送層材料は、長期の耐久性の面でも優れた特性を有している。前述のベンゾポルフィリン分子におけるπ-πスタッキング状態は、非常に安定かつ強固であり、外部からの酸化(電子の放出)や還元(電子の注入)は、複数の分子にその攻撃が拡散することにより、全体として安定状態を保つことができ、耐候性が高い。本構成のホール輸送層材料は、かかる耐候性を有するベンゾポルフィリン骨格を有することから、光照射や温度によって分解することなく耐久性が高いという特性を有する。
また、本構成のホール輸送層材料は、前述の通り平面性が高いことから分子間に空隙が生じず、ホール輸送性を低下させる要因と成り得る他の分子が分子間に混入する等の不具合を防止することができる。また、分子間の電気的結合を確保することができる。これにより、ホール輸送性能が安定し、かつ耐久性の面でも優れた性能を発揮することができる。
また、本構成のホール輸送層材料は、溶媒への溶解性の面でも優れた特性を有する。ベンゾポルフィリンは、前述のπ-πスタッキングにより分子同士が強く相互作用していることから溶媒に対する溶解度が極めて低く、その利用が制限されていた。しかしながら、本構成のホール輸送層材料は、ベンゾポルフィリン骨格のメソ位に、π-πスタッキングを妨げない程度に嵩高くし、溶媒への可溶性を向上させるため置換基を導入した。これにより、本構成のホール輸送層材料は、クロロベンゼンなどの溶媒への溶解性を向上させつつ、ウェットプロセスによる太陽電池の作製が容易となる。
また、本構成のホール輸送層材料によれば、ベンゾポルフィリン骨格のメソ位に置換基を導入することで、幾何異性体が存在せず、純品のホール輸送層材料を提供することができる。これにより、ホール輸送性を安定的に向上させることができる。
また、本構成のホール輸送層材料は、深いHOMOエネルギー準位を有することから、ペロブスカイトの価電子帯準位との配置を適切に調節でき、ホール輸送性を向上させることができる。
また、本構成のホール輸送層材料は、イソインドールとアルデヒドを縮合させることで安価かつ簡便に合成できる。合成に際して、かかるアルデヒドの種類を適宜選択することにより、ベンゾポルフィリン骨格のメソ位に所望の置換基を導入できることから、安価かつ簡便に所望のホール輸送層材料を提供できる。このように、本構成のホール輸送層材料は、ベンゾポルフィリン骨格のメソ位に導入する置換基や中心金属を変更することにより、HOMOエネルギー特性等の電気的特性、及び溶媒への溶解性を制御することができる。これにより、更に、高い性能を有するホール輸送層材料を提供することができる。
このように、本構成のホール輸送層材料は、優れた特性を有することから、太陽電池のホール輸送層材料として好適に利用することができる。
本発明の他の特徴構成は、前記化合物が、下記一般式(II)~(IV)から選択される点にある。
Figure 0007331674000005
Figure 0007331674000006
Figure 0007331674000007
本構成によれば、ホール輸送層材料の分子間のπ-πスタッキングを妨げない程度に嵩高くし、溶媒への可溶性を向上させるため特に好適な置換基が導入されたホール輸送層材料を提供することができ、電気的特性及び溶媒への溶解性を特に好適に制御することができ、更に、高い性能を有するホール輸送層材料を提供することが可能となる。
本発明は、太陽電池に関する発明をも含み、本発明に係る太陽電池の特徴構成は、透明導電膜を有する基板、電子を前記透明導電膜に受け渡し、かつ逆電子移動を防止するブロッキング層、光によって励起して前記電子を発生するペロブスカイト層を多孔質半導体に積層させて形成される発電層、前記ペロブスカイト層から発生したホールが通過し、前記本発明のホール輸送層材料を有するホール輸送層、の順に積層される積層体と、前記透明導電膜を介して前記電子を放出する光電極、及び、前記ホール輸送層の表面に設けられた対向電極で構成される電極と、を備えている点にある。
本構成のように、優れたホール輸送性を有するホール輸送層材料を太陽電池のホール輸送層に用いることで、光電変換効率が向上する。特に、本構成のホール輸送層材料は幾何異性体によるホール輸送性の低下のような問題が生じず、ホール輸送性を安定的に向上させることができる。更に、ホール輸送層材料の優れた耐久性によって、太陽電池の耐久性が高まる。特に、吸湿により性能劣化が起こりやすいペロブスカイト化合物の結晶を耐候性を有するホール輸送層材料で被覆することになるため、更に長期の耐久性を期待できる。このように、優れた特性を有するホール輸送層材料を有するホール輸送層によって、太陽電池の電池性能の向上を図ることができる。また、安価かつ簡便に合成が可能なホール輸送層材料を利用することによって、太陽電池自体の価格の低減を図ることが可能となる。
ハイブリッド型太陽電池の模式断面図である。 ハイブリッド型太陽電池の上方からの斜視図である。 ハイブリッド型太陽電池の発電説明図である。 ハイブリッド型太陽電池の作製手順を示す説明図である。 ホール輸送層材料の好適例を示す図である。 ホール輸送層材料の好適例を示す図である。 実施例1において合成を行ったホール輸送層材料(EHTBPo-Zn)の合成スキームと、合成結果を示す図である。 実施例2において合成を行ったホール輸送層材料(MTPABPo-Zn)の合成スキームを示す図である。 EHTBPo-Zn及びMTPABPo-Znをホール輸送層材料として備えた太陽電池の性能評価-1を行った実施例4の結果を示すグラフであって、光電変換効率(以下、「IPCE」と称する場合がある)スペクトルを示す。 EHTBPo-Zn及びMTPABPo-Znをホール輸送層材料として備えた太陽電池の性能評価-1を行った実施例4の結果を示すグラフであって、電圧電流(以下、「IV」と称する場合がある)特性を示す。 EHTBPo-Znをホール輸送層材料として備えた太陽電池の性能評価-1を行った実施例5の結果を示すグラフであって、IPCEスペクトルを示す。 EHTBPo-Znをホール輸送層材料として備えた太陽電池の性能評価-1を行った実施例5の結果を示すグラフであって、IV特性を示す。
以下に、本発明の実施形態に係るホール輸送層材料を用いたハイブリッド型太陽電池10(太陽電池の一例。以下、「太陽電池10」と記載する。)の実施形態について、図面に基づいて説明する。太陽電池10は、有機及び無機のハイブリッド化合物で生成されるペロブスカイト層44を備えて構成されている。ただし、以下の実施形態に限定されることなく、その要旨を逸脱しない範囲内で種々の変形が可能である。
(本実施形態に係る太陽電池の基本構成)
図1及び図2に示すように、本実施形態に係る太陽電池10は、透明基板21及び透明導電膜22を有する基板2と、基板2上に設けられ、電子を透明導電膜22に受け渡し、且つホール輸送層5と透明導電膜22とを分離して電子とホールとの再結合(逆電子移動)を防止するブロッキング層3と、ブロッキング層3上に設けられ、光によって励起して電子を発生するペロブスカイト層44を多孔質半導体41に積層させて形成される発電層4と、発電層4上に設けられペロブスカイト層44で発生したホールが通過するホール輸送層5とで構成される積層体11を備えている。また、ブロッキング層3の表面に設けられ、透明導電膜22を介して電子を放出する光電極61と、ホール輸送層5の表面に設けられ、電子を受け取る対向電極62とで構成される電極6を備えている。なお、電極6の配置は、例えば透明導電膜22に導線接続して光電極61を形成するなど、電子の受け渡しが可能なものであれば特に限定されない。また、太陽電池10の耐久性を高めるため、対向電極62を透明基板21などで保護しても良い。
透明基板21は、光透過性を有するもので構成される。例えば、透明ガラス基板、すりガラス状の半透明ガラス基板、透明樹脂基板等を適用することができる。また、透明導電膜22は、例えば、フッ素ドープ酸化スズ(FTO)、酸化スズ(TO)、スズドープ酸化インジウム(ITO)、酸化亜鉛(ZnO)やアルミニウムドープ酸化亜鉛(AZO)などを用いることができる。
ブロッキング層3及び多孔質半導体41は、金属酸化物が適しており、例えば、二酸化チタン(TiO2)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化ニオブ(Nb2O5)、二酸化スズ(SnO2)や酸化アルミニウム(Al2O3)などが用いられる。特に、ペロブスカイト層44を積層するための表面積を多く確保できる二酸化チタン(TiO2)の焼結体として構成することが好ましい。また、ブロッキング層3は、一部が透明導電膜22に延出して形成され、透明導電膜22が区画される。更に、ブロッキング層3は、電子が積層方向に通過することができるが、横方向への移動がし難いように緻密な絶縁層31を形成している。つまり、ブロッキング層3から侵入した電子は、透明導電膜22の積層方向に円滑に移動して光電極61に供給されると共に、絶縁層31によって対向電極62への移動が防止されるので短絡しない。
ペロブスカイト層44は、鉛及びハロゲン元素Xで構成される化合物(PbX2、X=ハロゲン元素)と、メチルアンモニウムアイオダイド(CH3NH3I:以下、「MAI」と略する場合がある)とを反応させて生成される。具体的には、多孔質半導体41の孔内部に鉛及びハロゲン元素Xを含む溶液42を浸透・乾燥させた後、MAIの混合溶液43に浸漬して、ペロブスカイト層44を形成するペロブスカイト化合物(X=Iの場合、CH3NH3 PbI3)の結晶が速やかに生成される。なお、ハロゲン元素Xは、ヨウ素、臭素や塩素などを用いることができるが、形態安定性の高いヨウ素を用いることが好ましい。また、臭化メチルアンモニウム(CH5N・HBr:以下、「MABr」と称する場合がある)と0.2Mの臭化鉛(PbBr2)、ホルムアミジンヨウ化水素酸塩(CH4N2・HI:以下、「FAI」と称する場合がある)とPbI2を利用した混合カチオン-混合ハライド((FAPbI3)1-x(MAPbBr3)x)としてもよい。
ホール輸送層5には、後述するホール輸送層材料を用いる。電極6は、例えば、金、白金、銀、銅等の金属の単体や合金、あるいはフッ素ドープ酸化スズ(FTO)やスズドープ酸化インジウム(ITO)といった酸化物導電体などを用いることができる。
ここで、図3に基づいて太陽電池10が発電する原理について説明する。透明基板21に太陽光や室内光等の光が入射すると、この入射光はほとんど吸収されることなく基板2やブロッキング層3を透過して、大部分が発電層4に到達する。そして、発電層4に到達した入射光がペロブスカイト層44に照射されると、このペロブスカイト層44は光エネルギーを吸収して励起する。この励起により、ペロブスカイト層44のエネルギー準位が多孔質半導体41である金属酸化物の伝導帯電位よりも所定レベル以上高くなると、ペロブスカイト層44から多孔質半導体41へと電子が注入される。注入された電子は、ブロッキング層3を経て光電極61で集電される。
一方、ペロブスカイト層44で発生したホールは、ホール輸送層5を経由して対向電極62へ到達し、ここで外部負荷7を経由してきた電子と再結合する。つまり、光電極61と対向電極62との間に電位勾配が生じるので、両極間に外部負荷7を接続することによって、電力を供給することができる。
(本実施形態に係る太陽電池10の作製手順)
本実施形態に係る太陽電池10の作製手順を、図4に基づいて説明する。ただし、以下の実施形態に限定されることなく、その要旨を逸脱しない範囲内で種々の変形が可能である。
まず、透明基板21の上に透明導電膜22を形成して基板2を作製する。透明導電膜22は、例えば、CVD(化学的気相成長法)やスパッタリングなどにより透明基板21上に積層される。次いで、レーザースクライブを施して透明導電膜22を部分的に除去し絶縁層31が入る凹部221を形成した後、洗浄する。次いで、基板2上の全面に、ALD法(原子層堆積法)やSPD法(スプレー熱分解法)などによりブロッキング層3を形成する。ブロッキング層は、好ましくは、TiO2緻密層として形成される。次いで、マスキングを施した基板2及びブロッキング層3上の中央付近に、ナノ粒子焼結層である多孔質半導体41を形成する。好ましくはTiO2の多孔質層(p-TiO2)として形成される。この多孔質半導体41は、ナノ粒子ペーストを溶媒によって希釈し、例えば、4000rpm~6000rpmの回転速度のスピンコート法で塗布・乾燥した後、マスキングを取り除いて450℃~550℃で加熱し、焼結形成される。
例えばPbI2のN,N-ジメチルホルムアミド溶液42を調製し、多孔質半導体41上に滴下後、例えば、5000rpm~8000rpmの回転速度のスピンコートにより孔(p-TiO2)内部への浸透と余分な溶液の除去を行う。60℃~120℃(好ましくは70℃~90℃)で乾燥させてPbI2層を形成する。
MAI(CH3NH3I)のイソプロピルアルコール溶液43(2~20mg/ml)に、基板2・ブッロキング層3・ヨウ化鉛が浸透した多孔質半導体41を0℃~80℃(好ましくは常温)で浸漬する(MAI浸漬法)。PbI2とMAIが反応によりペロブスカイト化合物[(CH3NH3)PbI3(MAPbI3)]をペロブスカイト層44として多孔質半導体41の孔内部及び上部に形成した後、純イソプロピルアルコール溶液で灌ぎ、60℃~120℃(好ましくは70℃~100℃)で乾燥させる。混合カチオン-混合ハライド((FAPbI3)1-x(MAPbBr3)x)系のペロブスカイト化合物についても同様にして調製することができる。
本実施形態に係るホール輸送層材料を、例えば、クロロベンゼン溶液60~90mg/ml(若干の添加物を含む。)として調製する。これを滴下し、スピンコート法により余分な溶液の除去を行い、乾燥させることでホール輸送層5を形成する。PbI2層形成からホール輸送層5形成までの工程は、グローブボックスなど乾燥窒素雰囲気下で行うことが好ましい。最後に、真空蒸着法などによって、金などの薄膜をブロッキング層3及びホール輸送層5の表面に付着させ、電極6を形成する。
前述の作成手順では、ペロブスカイト層44を形成するペロブスカイト化合物を2ステップによって結晶成長制御したものであるが、これを1ステップで行ってよい。例えば、ペロブスカイト((CH3NH3 )PbI3)溶液をスピンコート法により、多孔質半導体41の孔内部に浸透させる。スピン中にトルエンを滴下し、微小結晶を析出させて表面を鏡面化する(貧溶媒析出法)。続いて、本実施形態に係るホール輸送層材料によりホール輸送層5を形成してもよい。
(本実施形態に係るホール輸送層材料)
本実施形態に係るホール輸送層材料は、中心構造体としてベンゾポルフィリン骨格を有する。ベンゾポルフィリンは、4つのイソインドールが炭素原子を介して架橋した巨大な環状構造体であり、金属元素を中心に配位した金属ベンゾポルフィリン錯体を形成する。また、ベンゾポルフィリン骨格は、上記した〔従来技術〕の項で説明した特許文献1のホール輸送層材料の中心構造体であるフタロシアニン骨格の4つのメソ位の窒素原子(N)を炭素原子(CH)に置換した構造体である。本実施形態に係るホール輸送層材料は、溶媒への溶解性獲得と電気的特性の向上のために、ベンゾポルフィリン骨格のメソ位の炭素原子に置換基が導入されている。つまり、非特許文献1に記載のフタロシアニンを主骨格とするホール輸送層材料においては、フタロシアニン骨格の内側の環に8個の窒素原子を含むものであるのに対して、本実施形態に係るホール輸送層材料の中心構造体であるベンゾポルフィリンは4個の窒素原子と4個の炭素原子からなり、この4個の炭素原子部分であるメソ位に置換基を導入することが可能となる。
本実施形態に係るホール輸送層材料は、下記一般式(I)に示す化合物が好適に例示される。一般式(I)に示す化合物は、ベンゾポルフィリン骨格の4つのメソ位に置換基が導入されている。本実施形態に係るホール輸送層材料の代表例を提示する。しかしながら、これに限定するものではない。
Figure 0007331674000008
本実施形態に係るホール輸送層材料は、金属元素が中心に配位する金属ベンゾポルフィリン錯体として構成される。したがって、一般式(I)において、Mは、金属原子、金属酸化物又は金属ハロゲン化物であり、好ましくは、亜鉛(Zn)、銅(Cu)、コバルト(Co)、鉄(Fe)、ニッケル(Ni)、鉛(Pb)、マンガン(Mn)又はスズ(Sn)として構成する。特に好ましくは亜鉛である。
本実施形態に係るホール輸送層材料は、溶媒への溶解性獲得と電気的特性の向上のために、ベンズポルフィリン骨格のメソ位に置換基が導入されている。好適な置換基を以下に示す。
一般式(I)において、X1、X2、X3、及び、X4は互いに独立であり、下記(a)~(i)から選択される。X1、X2、X3、及び、X4は、同一である。
Figure 0007331674000009
ここで、
(a)において、kaは0~3の整数であり、R1a、R2a、及び、R3aは互いに独立的であり、何れか1つの基がC1~C10アルキル基であり、他の2つの基は水素である、
(b)において、R1b、及び、R2bは互いに独立的であり、何れか1つの基がC1~C10アルキル基であり、他方の基は水素である、
(c)において、R1c、及び、R2cは互いに独立的であり、何れか1つの基がC1~C10アルキル基であり、他方の基は水素である、
(d)において、R1d、及び、R2dは互いに独立的であり、何れか1つの基がC1~C10アルキル基であり、他方の基は水素である、
(e)において、keは0~3の整数であり、R1eはC1~C10アルキル基である、
(f)において、R1f、及び、R2fは互いに独立的であり、同一であっても異なっていてもよい、C1~C10アルキル基である、
(g)Lgは、芳香族炭化水素環基、芳香族複素環基、及び、エチニル基から選択され、kgは0又は1であり、R1g、及び、R2gは互いに独立的であり、同一であっても異なっていてもよい、C1~C10アルキル基である、
(h)Lhは、芳香族炭化水素環基、芳香族複素環基、及び、エチニル基から選択され、khは0又は1であり、R1h、及び、R2hは互いに独立的であり、同一であっても異なっていてもよい、C1~C5アルキル基である、
(i)Liは、芳香族炭化水素環基、芳香族複素環基、及び、エチニル基から選択され、kiは0又は1であり、R1i、及び、R2iは互いに独立的であり、同一であっても異なっていてもよい、C1~C10アルキル基である。
前記(a)において、kaは0~3の整数であることから、下記(aI)、(aII)、(aIII)、(aIV)が含まれる。
Figure 0007331674000010
また、前記(a(aI、aII、aIII、aIV))において、R1a、R2a、及び、R3aは互いに独立的であり、何れか1つの基がC1~C10アルキル基であり、他の2つの基は水素であるが、好ましくは、R1aがC1~C10アルキル基であり、R2a、及び、R3aが水素である。
ここで、C1~C10アルキル基とは、炭素数が1~10のアルキル基であり、直鎖状及び分岐状の別を問わない。具体的には、アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、s-ブチル基、t-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、t-ペンチル基、s-ペンチル基、2-メチルブチル基、1-エチルプロピル基、2-エチルプロピル基、n-ヘキシル基、イソヘキシル基、ネオヘキシル基、t-ヘキシル基、2,2-ジメチルブチル基、2-メチルペンチル基、3-メチルペンチル基、1-エチルブチル基、2-エチルブチル基、1-プロピルプロピル基、n-ヘプチル基、イソヘプチル基、s-ヘプチル基、t-ヘプチル基、2,2-ジメチルペンチル基、3,3-ジメチルペンチル基、1-メチルヘキシル基、2-メチルヘキシル基、3-メチルヘキシル基、4-メチルヘキシル基、1-エチルペンチル基、2-エチルペンチル基、3-エチルペンチル基、1-プロピルブチル基、2-プロピルブチル基、n-オクチル基、イソオクチル基、t-オクチル基、ネオオクチル基、2,2-ジメチルヘキシル基、3,3-ジメチルヘキシル基、4,4-ジメチルヘキシル基、1-メチルヘプチル基、2-メチルヘプチル基、3-メチルヘプチル基、4-メチルヘプチル基、5-メチルヘプチル基、1-エチルヘキシル基、2-エチルヘキシル基、3-エチルヘキシル基、4-エチルヘキシル基、1-プロピルペンチル基、2-プロピルペンチル基、3-プロピルペンチル基、n-ノニル基、イソノニル基、t-ノニル基、1-メチルオクチル基、2-メチルオクチル基、3-メチルオクチル基、4-メチルオクチル基、5-メチルオクチル基、6-メチルオクチル基、n-デシル基、イソデシル基、t-デシル基、1-メチルノニル基、2-メチルノニル基、3-メチルノニル基、4-メチルノニル基、5-メチルノニル基、6-メチルノニル基、7-メチルノニル基等が挙げられるが、これらに限定するものではない。なお、“n”は、“normal”の略、“s”は、“sec”及び“secondery”の略、“t”は、“tert”及び“tertiary”の略である。好ましくは、2-エチルヘキシル基又はヘキシル基である。
特に好ましくは、前記(a)は、以下から選択される置換基が挙げられるが、これらに限定するものではない。
Figure 0007331674000011
前記(b)において、R1b、及び、R2bは互いに独立的であり、何れか1つの基がC1~C10アルキル基であり、他方の基は水素であるが、好ましくは、R1bがC1~C10アルキル基であり、R2bが水素である。C1~C10アルキル基は、直鎖状及び分岐状の別を問わず、上記したものが挙げられる。好ましくは、ヘキシル基である。
特に好ましくは、前記(b)は、以下の置換基が挙げられるが、これに限定するものではない。
Figure 0007331674000012
前記(c)において、R1c、及び、R2cは互いに独立的であり、何れか1つの基がC1~C10アルキル基であり、他方の基は水素であるが、好ましくは、R1cがC1~C10アルキル基であり、R2cが水素である。C1~C10アルキル基は、直鎖状及び分岐状の別を問わず、上記したものが挙げられる。好ましくはヘキシル基である。
前記(d)において、R1d、及び、R2dは互いに独立的であり、何れか1つの基がC1~C10アルキル基であり、他方の基は水素であるが、好ましくは、R1dがC1~C10アルキル基であり、R2dが水素である。C1~C10アルキル基は、直鎖状及び分岐状の別を問わず、上記したものが挙げられる。好ましくは、ヘキシル基である。
前記(e)において、keは0~3の整数であることから、下記(eI)、(eII)、(eIII)、(eIV)が含まれる。
Figure 0007331674000013
また、前記(e(eI、eII、eIII、eIV))において、C1~C10アルキル基は、直鎖状及び分岐状の別を問わず、上記したものが挙げられる。特に好ましくは、ヘキシル基である。
特に好ましくは、前記(e)は、以下の置換基が挙げられるが、これらに限定するものではない。
Figure 0007331674000014
前記(f)において、R1f、及び、R2fは互いに独立的であり、同一であっても、異なっていてもよいが、好ましくは同一である。C1~C10アルキル基は、直鎖状及び分岐状の別を問わず、上記したものが挙げられる。好ましくは、ヘキシル基である。
特に好ましくは、前記(f)は、以下の置換基が挙げられるが、これに限定するものではない。
Figure 0007331674000015
前記(g)において、Lgは、芳香族炭化水素環基、芳香族複素環基、及び、エチニル基から選択される。
芳香族炭化水素環基は、芳香環を有する限り特に制限はない。単環だけでなく、縮合環やスピロ環等の環集合を持つものも含まれる。環員数についても特に制限はない。例えば、炭素原子数が、好ましくは6~22個、特に好ましくは、6~14個である芳香族炭化水素環基が挙げられる。芳香族炭化水素環基としては、単環式の六員環フェニル基等、二環式のナフチル基、ペンタレニル基、インデニル基、アズレニル基等、三環式のビフェニレニル基、インダセニル基、アセナフチレニル基、フルオレニル基、フェナレニル基、フェナントリル基、アントリル基等、四環式のフルオランテニル、アセアントリレニル基、トリフェニレニル基、ピレニル基、ナフタセニル基等、五環式のペリレニル基、テトラフェニレニル等、六環式のペンタセニル基等、七環式のルビセニル基、コロネニル基、ヘプタセニル基等が挙げられるが、これらに限定するものではない。好ましくは、フェニル基である。
芳香族複素環基は、環構成原子として1個又は複数個のヘテロ原子を有する芳香族環である限り制限はない。単環だけでなく、縮合環やスピロ環等の環集合を持つものも含まれる。環員数についても特に制限はない。ヘテロ原子の数及び位置に制限はない。ヘテロ原子としては、好ましくは、酸素原子、窒素原子、硫黄原子等が例示される。例えば、炭素原子数が、好ましくは1~5個、特に好ましくは、3~5個、ヘテロ原子数が、好ましくは1~4個、特に好ましくは1~3個である芳香族複素環基が挙げられる。なお、複数個のヘテロ原子を有する場合には、同一種類の原子であっても異なる種類の原子であってもよい。例えば、単環式の芳香族複素環基としては、五員環式のピロリル基、ピラゾリル基、ピリジル基、イミダゾリル基等、六員環式のピラジニル基、ピリミジニル基、ピリダジニル基等の含窒素芳香族複素環基、五員環式のフリル基等の含酸素芳香族複素環基、五員環式のチエニル基等の含酸素芳香族複素環基、五員環式のオキサゾリル基、イソオキサゾリル基、フラザニル基等の含窒素酸素芳香族複素環基、五員環式のチアゾリル基、イソチアゾリル基等の含窒素硫黄芳香族複素環基等が挙げられるが、これらに限定するものではない。多環式の芳香族複素環基としては、二環式のインドリジニル基、イソインドリル基、インドリル基、インダゾリル基、プリニル基、イソキノリル基、キノリル基、フタラジニル基、ナフチリジニル基、キノキサリニル基、キナゾリニル基、シンノリニル基等、三環式のカルバゾリル基、カルボリニル基、フェナトリジニル基、アクリジニル基、ペリミジニル基、フェナントロリニル基、フェナジニル基等の含窒素芳香族複素環基、二環式のベンゾフラニル基、イソベンゾフラニル基、ベンゾピラニル基等の含酸素芳香族複素環基、二環式のベンゾチエニル基等、三環式のチアントレニル基等の含硫黄芳香族複素環基、二環式のベンゾオキサゾリル基、ベンゾイソオキサゾリル基等の含窒素酸素芳香族複素環基、二環式のベンゾチアゾリル基、ベンゾイソチアゾリル基、三環式のフェノチアジニル基等の含窒素硫黄芳香族複素環基、三環式のフェノキサチイニル基等の含酸素硫黄芳香族複素環基等が挙げられるが、これらに限定するものではない。好ましくは、チエニル基である。
エチニル基は、炭素原子同士が三重結合により連結されている基である。
また、前記(g)において、kgは0又は1であり、kgが0である場合は、フェニル基部分が直接ベンゾポルフィリン骨格のメソ位に導入される。
更に、前記(g)において、R1g、及び、R2gは互いに独立的であり、同一であっても、異なっていてもよいが、好ましくは同一である。C1~C10アルキル基は、酸素原子を介してアルコキシ基としてフェニル基に導入される。C1~C10アルキル基は、直鎖状及び分岐状の別を問わず、上記したものが挙げられる。好ましくは、メチル基(メトキシ基として導入)、オクチル基(オクチロキシ基として導入)、tert-ブチル基(tert-ブトキシ基として導入)である。
特に好ましくは、前記(g)は、以下から選択される置換基が挙げられるが、これらに限定するものではない。
Figure 0007331674000016
前記(h)において、Lhは、芳香族炭化水素環基、芳香族複素環基、及び、エチニル基から選択され、これらの基については、上記で説明した。
また、前記(h)において、khは0又は1であり、khが0である場合は、フェニル基部分が直接ベンゾポルフィリン骨格のメソ位に導入される。
更に、前記(h)において、R1h、及び、R2hは互いに独立的であり、同一であっても、異なっていてもよいが、好ましくは同一である。C1~C5アルキル基は、炭素数が1~5のアルキル基であり、直鎖状及び分岐状の別を問わない。上記したものアルキル基のうち炭素数が1~5までのものが挙げられる。好ましくは、ブチル基である。
特に好ましくは、前記(h)は、以下の置換基が挙げられるが、これに限定するものではない。
Figure 0007331674000017
前記(i)において、Liは、芳香族炭化水素環基、芳香族複素環基、及び、エチニル基から選択され、これらの基については、上記で説明した。
また、前記(i)において、kiは0又は1であり、kiが0である場合は、フェニル基部分が直接ベンゾポルフィリン骨格のメソ位に導入される。
更に、前記(i)において、R1i、及び、R2iは互いに独立的であり、同一であっても、異なっていてもよいが、好ましくは同一である。C1~C10アルキル基は、酸素原子を介してアルコキシ基としてフェニル基に導入される。C1~C10アルキル基は、直鎖状及び分岐状の別を炭素数が1~10のアルキル基でありメチル基(メトキシ基として導入)である。
特に好ましくは、前記(i)は、以下から選択される置換基が挙げられるが、これに限定するものではない。
Figure 0007331674000018
〔本実施形態に係るホール輸送層材料の好適例〕
本実施形態に係るホール輸送層材料の好適例を図5-1及び図5-2に示す。特には、下記一般式(II)~(IV)に示す化合物が好ましい。一般式(II)に示す化合物は、中心金属として亜鉛を配位子し、ベンゾポルフィンリン骨格の4か所のメソ位に、同一の置換基である5-(2-エチルヘキシル)チエニル基を導入したものである。かかる一般式(II)に示す化合物を「EHTBPo-Zn」と称する場合がある。一般式(III)に示す化合物は、中心金属として亜鉛を配位子し、ベンゾポルフィンリン骨格の4か所のメソ位に、同一の置換基である5-ヘキシルチエニル基を導入したものである。かかる一般式(III)に示す化合物を「HTBPo-Zn」と称する場合がある。一般式(IV)に示す化合物は、中心金属として亜鉛を配位し、ベンゾポルフィンリン骨格の4か所のメソ位に、同一の置換基である4-[ビス(4-メトキシフェニル)アミノ]フェニル基を導入したものである。かかる一般式(IV)に示す化合物を「MTPABPo-Zn」と称する場合がある。
Figure 0007331674000019
Figure 0007331674000020
Figure 0007331674000021
〔本実施形態に係るホール輸送層材料の合成方法〕
本実施形態に係るホール輸送層材料の合成方法は、下記の実施例1及び2に記載の合成方法を参照して容易に合成することができる。なお、実施例1は、ホール輸送層材料の好適例であるEHTBPo-Znの合成方法の一例を、実施例2は「MTPABPo-Zn」の合成方法の一例を示すものでありが、これらに限定するものではなく、適宜他の方法を用いて合成することができる。
本実施形態に係るホール輸送層材料は、ベンゾポルフィリンを主骨格とし、当該ベンゾポルフィリン骨格のメソ位に置換基が導入されている。メソ位に置換基を有するベンゾポルフィリン骨格は、イソインドールにアルデヒドを縮合させることにより合成することができ、アルデヒドの種類を適宜変更することにより種々の置換基を有するホール輸送層材料を容易に提供することができる。合成したベンゾポルフィリン骨格に、中心金属を配位させることにより本実施形態に係るホール輸送層材料を合成することができ、配位させる金属の種類を適宜変更することにより、種々の中心金属を有するホール輸送層材料を提供することができる。このように置換基の種類や金属の種類を最適化することによりホール輸送層材料の電気的特性を制御することができ、更に高い性能を有するホール輸送層材料を構築することが可能となる。したがって、ホール輸送性が更に向上した化合物やドーパントの添加を一切必要としない化合物のホール輸送層材料としての提供が期待できる。
〔本実施形態に係るホール輸送層材料の特性〕
本実施形態に係るホール輸送層材料は、安定的かつ効率的にホールを捕捉し移動させることができる優れたホール輸送性を有している。本実施形態に係るホール輸送層材料の主骨格をなすベンゾポルフィリン骨格は、高い平面性を持つπ共役系環状分子であり、環状に連続したπ電子雲を形成している。ベンゾポルフィリン分子間でこのπ電子雲同士が重なり、ベンゾポルフィリン分子は平皿を複数重ねたような配置(「π-πスタッキング」という)で安定化する。これにより、ベンゾポルフィリン分子は、平皿を重ねた方向にホールを移動させることができ、良好なホール輸送性を発揮することができる。
本実施形態に係るホール輸送層材料は、長期の耐久性の面でも優れた特性を有している。前述のベンゾポルフィリン分子におけるπ-πスタッキング状態は、非常に安定かつ強固であり、外部からの酸化(電子の放出)や還元(電子の注入)は、複数の分子にその攻撃が拡散することにより、全体として安定状態を保つことができ、耐候性が高い。本構成のホール輸送層材料は、かかる耐候性を有するベンゾポルフィリン骨格を有することから、光照射や温度によって分解することなく耐久性が高いという特性を有する。
また、上記〔背景技術〕の項の非特許文献1に記載のSpiro-OMeTADをホール輸送層材料として積層する等、基板上に固定化した際には、その分子構造より分子間に隙間が生じ、他の分子が混入する等の不具合があった。詳細には、Spiro-OMeTADの分子中心のスピロ環構造が5員環構造であり分子が90%程度ねじれた構造をとる。そのため、分子構造が嵩高くなり、分子間隙間に溶媒分子が侵入しホール輸送を遮ったり、またドーパントとして添加したコバルト錯体の脱落等が生じる等、ホール輸送性を安定的かつ持続的に発揮することができなかった。しかしながら、本実施形態に係るホール輸送層材料は、前述のとおり平面性が高いことから分子間に空隙が生じず、分子間の電気的結合を確保することができ、また、ホール輸送性を低下させる要因と成り得る他の分子が分子間に混入する等の不具合を防止することができる。これにより、ホール輸送性能が安定し、かつ耐久性の面でも優れた性能を発揮することができる。
本実施形態に係るホール輸送層材料は、溶媒への溶解性の面でも優れた特性を有する。ベンゾポルフィリンは、前述のπ-πスタッキングにより分子同士が強く相互作用していることから、水だけでなく有機溶媒に対する溶解度が極めて低く、その利用が制限されていた。本実施形態に係るホール輸送層材料は、ベンゾポルフィリン骨格のメソ位に、π-πスタッキングを妨げない程度に嵩高くし、溶媒への可溶性を向上させるため置換基を導入した。これにより、本実施形態に係るホール輸送層材料は、クロロベンゼンなどの溶媒への溶解性を向上させつつ、スピンコートによる塗布法等のウェットプロセスによるハイブリッド型の太陽電池10のホール輸送層5を形成が容易となる。
また、本実施形態に係るホール輸送層材料によれば、ベンゾポルフィリン骨格のメソ位に置換基を導入することで、幾何異性体が存在せず、純品のホール輸送層材料を容易に提供することができる。したがって、上記〔背景技術〕の項の特許文献1に記載のフタロシアニン骨格を中心構造体とするホール輸送層材料のような幾何異性体の存在によるホール輸送性の低下等の問題が生じることなく、本実施形態に係るホール輸送層材料はホール輸送性を安定的に向上させることができる。
また、本実施形態に係るホール輸送層材料は、深いHOMOエネルギー準位を有することから、ペロブスカイトの価電子帯準位との配置を適切に調節でき、ホール輸送性を向上させることができ、更に太陽電池効率を向上させ易いとの利点もある。
また、本実施形態に係るホール輸送層材料は、イソインドールとアルデヒドを縮合させることで安価かつ簡便に合成できる。本実施形態に係るホール輸送層材料は、上記した非特許文献1に記載のSpiro-OMeTAD等のスピロ環構造を持つ化合物と比較して、少ない工程で合成することができ、精製も容易である。また、上記した特許文献1に記載のフタロシアニン骨格中心構造体とするホール輸送層材料は、フタロニトリルに対して鈴木カップリングにより置換基を導入することにより合成されていたが、鈴木カップリングはパラジウム触媒等の高価な触媒を利用するものであり、その操作も煩雑であった。一方、本実施形態に係るホール輸送層材料は、高価な試薬や煩雑な工程を要せず、合成に要するコストを低減することができる。
更に、合成に際して、かかるアルデヒドの種類を適宜選択することにより、ベンゾポルフィリン骨格のメソ位に所望の置換基を導入できることから、安価かつ簡便に所望のホール輸送層材料を提供できる。このように、本構成のホール輸送層材料は、ベンゾポルフィリン骨格のメソ位に導入する置換基や中心金属を変更することにより、HOMOエネルギー特性等の電気的特性、及び溶媒への溶解性を制御することができる。これにより、更に、高い性能を有するホール輸送層材料を提供することができる。したがって、ベンゾポルフィリン分子間の電気的結合の確保を更に適切に制御することが可能となり、ホール輸送性が更に向上した化合物やドーパントの添加を一切必要としない化合物の提供が期待できる。
このように、本実施形態に係る本構成のホール輸送層材料は、優れた特性を有することから、太陽電池10のホール輸送層材料として好適に利用することができる。
〔本実施形態に係る太陽電池10の特性〕
本実施形態に係る太陽電池10は、前述通り優れた特性を有する本実施形態のホール輸送層材料を用いて形成されたホール輸送層5を備える。詳細には、本実施形態に係るホール輸送層材料は優れた安定的かつ効率的にホールを捕捉し移動させることができる優れたホール輸送性を有していることから、本発明の太陽電池10は、これをホール輸送層5として用いることで、光電変換効率の向上、ひいては電池性能が向上する。特に、本実施形態に係るホール輸送層材料は、幾何異性体が存在しないことから、上記〔背景技術〕の項の特許文献1に記載のフタロシアニン骨格を中心構造体とするホール輸送層材料のような幾何異性体の存在によるホール輸送性の低下等の問題が生じることがない。また、本実施形態に係るホール輸送層材料は、深いHOMOエネルギー準位を有することから、ペロブスカイトの価電子帯準位との配置を適切に調節でき、ホール輸送性を向上させることができる。したがって、本実施形態のホール輸送層材料を用いて形成されたホール輸送層5を備える太陽電池10は、更なる性能向上が期待できる。
また、本実施形態のホール輸送層材料の組成が安定であることから常に同一の性能が得ることが期待できる。上記した〔先行技術〕の項の非特許文献1に記載の従来のSpiro-OMeTADを、ホール輸送層材料を使用する場合には、ホール輸送効率を向上させる機能を有するドーパントの添加を要した。一方、本実施形態のホール輸送層材料はドーパントを添加せずとも良好なホール輸送性を実現し得る可能性がある。
本実施形態に係るホール輸送層材料は耐久性の面も優れていることから、本実施形態に係る太陽電池10は、これをホール輸送層5として用いることで、当該太陽電池10の長期の耐久性を向上することができる。更には、ホール輸送層材料としてSpiro-OMeTADを利用する従来のペロブスカイト型太陽電池において、吸湿によるペロブスカイト結晶の性能劣化が問題となっていたが、ペロブスカイト結晶は、耐候性のある本実施形態に係るホール輸送層材料により被覆されることとなり、かかる側面からも当該太陽電池の長期の耐久性を向上できる。
このように優れた特性を有する本実施形態に係るホール輸送層材料により形成されたホール輸送層5によって、本実施形態に係る太陽電池10の電池性能の向上を図ることができる。
また、前述の通り、本実施形態に係るホール輸送層材料は、高価な試薬類や煩雑な工程を要せず、安価かつ簡便に合成が可能であることから、これをホール輸送層5とする本実施形態に係る太陽電池10自体の価格低減を図ることが可能となる。
[その他の実施形態]
前述の実施形態では、本実施形態に係るホール輸送層材料を用いた太陽電池10としてハイブリッド型太陽電池を例に示したが、このホール輸送層材料をOPV(有機薄膜太陽電池)、有機EL、有機半導体を用いたデバイスなどに用いても良い。
本発明を、以下の実施例をもって詳細に説明する。以下の実施例においては、ホール輸送層材料として「EHTBPo-Zn」、「MTPABPo-Zn」を例示するが、本発明はこれらに限定されるものではない。したがって、種々の置換基をベンゾポルフィリン骨格に導入したもの、及び、種々の金属を中心金属として導入した化合物も本発明に含まれる。
(実施例1)ホール輸送層材料(EHTBPo-Zn)の合成
本実施例で合成を行ったホール輸送層材料は、前述の一般式(II)に示す「EHTBPo-Zn」と称するものであり、ベンゾポルフィリン骨格のメソ位に5-(2-エチルヘキシル)チエニル基を導入した化合物である。合成スキームを要約する図6に基づいて説明する。
(工程1)4,7-ジヒドロイソインドール(4,7-Dihydroisoindole:中間体1)の合成
2-tertブトキシカルボニル-4,7-ジヒドロイソインドール(2-tertbutoxycarbonyl-4,7-dihydroisoindole:化合物1A:5.0g,22.8mmol)及び水酸化カリウム(KOH:6.37 g, 114.0 mmol)をエチレングリコール(ethylene glycol)75mLに溶解し、アルゴン(Ar)ガス置換後30分還流した。混合物を氷冷し(0℃)ここにジクロロメタン200mlを加えた。この溶液を蒸留水、次いで飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させたのち溶媒を留去した。残留物はジクロロメタンを移動溶媒としてシリカゲルで濾過し、濾液から溶媒を留去することで黄色油状の中間体1(2.32g,85%)を得た。この中間体1は室温で不安定であるため、これ以上の精製や分析を行わずに即座に次の反応に使用した。
(工程2)中間体3の合成
工程1で合成した4,7-ジヒドロイソインドール(中間体1:2.32g,19.0mmol)をジクロロメタン(1.9L)に溶解し、-40℃に冷却した。アルゴン気流下において、ここにジクロロメタンに溶解したアルデヒド化合物の5-(2-エチルヘキシル)-チオフェン-2-カルボキシアルデヒド(5-(2-Ethyl hexyl)thiophene-2-carboxaldehyde:化合物2:4.37g, 19.0mmol)を滴下した。次いでトリフッ化ジエチルエーテル錯体(BF3・Et2O:0.55g,3.89mmol)を加えた。-40℃冷却を維持しつつ3時間撹拌を続けた。次に反応溶液を室温までゆっくり加温しつつ一晩撹拌を継続した。2,3-ジクロロ-5,6-ジシアノ-p-ベンゾキノン(DDQ:4.95g,21.8mmol)を加えて更に1時間撹拌後、溶液を10%亜硫酸ナトリウム水溶液で洗浄し、硫酸ナトリウムを用いて乾燥させた。溶媒を留去後、残渣をジクロロメタン、次いでジクロロメタン/トリエチルアミン(Et3N)(50:1)を移動相としてシリカゲルを充填したカラムを用いたクロマトグラムを行って、緑色を呈する層を分別した。溶媒を留去して得た緑色の個体をジクロロメタン/メタノールを用いて再結晶させ中間体3(2.0g,収率7.9%)を得た。
(工程3)EHTBPo-NHの合成
工程2で合成した中間体3(1.9g,1.1mmol)をトルエン180mlに溶解し、ここにDDQ(1.49g,6.5mmol)を加え還流させた。還流開始後5分間継続後、加熱を停止し冷却した。亜硫酸ナトリウム水溶液、蒸留水、飽和食塩水の順で洗浄後、硫酸ナトリウムで乾燥させたのち溶媒を留去した。残渣をジクロロメタン/メタノールで再結晶させることで緑色の金属フリーのベンゾポルフィリン化合物であるEHTBPo-NH(1.0g,53.2%)を得た。
(工程4)EHTBPo-Zn(一般式(II))の合成
工程3で合成したEHTBPo-NH(0.9g,0.69mmol)及び無水酢酸亜鉛(II)(1.84g,8.38mmol)を丸底フラスコに秤量しトリクロロメタン/メタノール(CHCl3/MeOH:180/30mL)を加え、乾燥窒素気流下、室温で4時間撹拌した。反応終了後、約200mlの水を加え有機層を分離し、無水硫酸ナトリウムを用いて乾燥させたのちに溶媒を留去した。残渣をジクロロメタン:n-ヘキサンを移動相としてシリカゲルカラムで濾過し、得られた固形物を更にジクロロメタン/メタノールで再結晶することで緑色の個体として、最終目的生成物であるEHTBPo-Zn(一般式(II):0.4g,42.55%収率)を得た。1H NMR(重水素化クロロホルム(CDCl3)中)、定性HPLC、DSC、及び、紫外可視吸収分光法(UV-Vis Abs spectroscopy:CB中0.01mM)による分析を行った。定性HPLCは、Zodiac(登録商標)-Phenylカラム(250×4.6mm、5μ)で、移動相をA:THF、B:0.5%酢酸/水、流速1.0ml/分、カラム温度35℃、グラジエント0.01分:50%B、10.0分:5%B、40.0分:5%B、40.10分:50%B、サンプル0.3mg/ml/THFで行った。その結果、リテンションタイム12.062分:ピーク面積98023(0.429%)、リテンションタイム12.251分:ピーク面積22774945(99.571%)、トータル22872968であり、純度99.6%であった。
(実施例2)ホール輸送層材料(MTPABPo-Zn)の合成
本実施例で合成を行ったホール輸送層材料は、前述の一般式(IV)に示す「MTPABPo-Zn」と称するものであり、ベンゾポルフィリン骨格のメソ位に4-[ビス(4-メトキシフェニル)アミノ]フェニル基を導入した化合物である。合成スキームを要約する図7に基づいて説明する。
実施例1で示したホール輸送層材料(EHTBPo-Zn)の合成において、工程2のアルデヒド化合物を、4-[ビス(4-メトキシフェニル)アミノ]ベンズアルデヒド(4-[Bis(4-methoxyphenyl)amino]benzaldehyde:化合物4)に代え、中間体5及びMTPABPo-NHを経た以外は、実施例1と同様にして合成した。
このようにアルデヒド化合物を変更することにより種々の置換基をベンゾポルフィリン骨格のメソ位に導入したホール輸送層材料を容易に合成することができる。また、実施例1の最終工程において種々の金属種を用いることで、亜鉛以外の中心金属を持つホール輸送層材料を容易に合成することができる。
(実施例3)太陽電池10の作製
以下、実施例3として、太陽電池10の作製例を示す。
透明基板21にはフッ素ドープ酸化スズ(FTO)ガラス(23mm × 14mm × 3mm)を使用した。このFTOガラスにレーザースクライブを施してFTOを除去した凹部221を形成し、十分に洗浄した。次に、ブロッキング層3としてTiO2緻密膜を原子層堆積法(ALD)法により形成した。更に、マスキングを施したブロッキング層3上に、市販のTiO2ナノ粒子ペーストをエタノールで5倍に希釈した溶液を滴下し、スピンコートにより塗布し、マスキングを取り除いた後、70℃で乾燥させた。乾燥後、500℃で焼成することで、多孔質半導体41となるTiO2ナノ粒子層を形成した。焼成後、室温まで冷却した。
次に、ペロブスカイト層44を形成するペロブスカイト化合物の調製を行った。ペロブスカイト前駆体溶液はMAI(CH3NH3I)を秤量し、この中にあらかじめ調製しておいた1.4MのPbI2/ジメチルスルホキシド(DMSO)溶液を注入することで調製した。このときMAIとPbI2のモル比が1:1となるようにした。またDMSOで希釈することによって、それぞれの濃度が共に1.1Mになるように調製した(MAPbI3溶液)。
更に、ペロブスカイト組成を変更したペロブスカイト化合物の調製をも行った。ペロブスカイト前駆体溶液として、MABrを0.2M、臭化鉛(PbBr2)を0.2M、FAI(CH4N2・HI)を1.09M、PbI2を1.15M秤量し、溶媒はN,N-ジメチルホルムアミド(DMF)とDMSOの体積比が4:1になるようにして、室温で溶解させて調製した(混合カチオン-混合ハライド溶液:(FAPbI3)1-x(MAPbBr3)x溶液)。
ペロブスカイト層44の製膜は、上記した各溶液をTiO2多孔質膜上に滴下し、スピンコートにより塗布した。塗布完了後、100℃で60分間加熱を行い、続いて室温まで冷却した。
続いて、ホール輸送層5の調製を行った。ホール輸送層材料としては、上記実施例1及び実施例2で合成したEHTBPo-Zn、及び、MTPABPo-Znを用いた。ホール輸送層材料溶液は初めにストック溶液としてアセトニトリルにリチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(LiTFSI)が1.8Mとなるように添加して調製した。次にクロロベンゼンにホール輸送層材料が30mMになるように調製した。更に、この溶液に対して4-tert-ブチルピリジン(TBP)が100mM、Li-TFSIが15mMとなるようにそれぞれ添加し、超音波に付すことで充分に拡散させた。ホール輸送層5の製膜は、ホール輸送層材料溶液をペロブスカイト膜上に滴下し、スピンコート法により形成した。
ホール輸送層5の製膜後、真空蒸着法で約100nmの金を製膜して、これを取り出して電極6とし、これを積層した。
(実施例4)太陽電池の性能評価-1
以下、実施例4として、太陽電池10の性能評価を行った。
図8及び図9は、実施例1及び2で取得したEHTBPo-Zn、及び、MTPABPo-Znをホール輸送層材料とし、実施例3に従って作製した太陽電池10の電池性能評価の結果を示すグラフである。比較例として、上記〔背景技術〕の項で説明した非特許文献1のspiro-OMeTAD、及び、同特許文献1のSym HTPcH5-Znについても同様に内部標準として評価を行った。図8は、IPCEスペクトルを示すグラフであり、図9は、IV特性を示すグラフである。表1には、太陽電池10の電池性能の各パラメータを要約する。なお、以下において、短絡電流密度を「Jsc」、開放電圧を「Voc」、曲線因子(フィルファクター)を「FF」、変換効率を「PCE」、直列抵抗を「Rs」と略する場合がある。FFとは、電流と電圧の積が最大となる点における最大出力Pmaxを(Voc×Jsc)で割って算出し、PCEは、(Voc×Jsc×FF÷入射光強度)で算出したものである。なお、本実施例では、ペロブスカイト組成をMAPbI3として検討を行った。
Figure 0007331674000022
IPCEスペクトルから、EHTBPo-ZnはMTPABPo-Znに対して400nmよりも長波長領域で向上しており、この影響を受けてJscが向上した。また、FFもEHTBPo-Znは0.65、MTPABPo-Znは0.53と変化が認められ、太陽電池特性はJscと同様に置換基の種類によって変化した。また、EHTBPo-Znは650~700nm領域に落ち込みが認められるが、これはポルフィリン由来のQ帯にある吸収の影響を受けたためである。一方で、EHTBPo-Znの太陽電池特性は、内部標準として取り入れたspiro-OMeTADに対しては低下したが、Sym HTPcH5-Znに対しては向上した。かかる結果を鑑みて、次に、EHTBPo-Znの太陽電池特性を向上させるために、ペロブスカイト組成を混合カチオン-混合ハライド((FAPbI3)1-x(MAPbBr3)x)に変更して、650~700nm領域の落ち込みが改善できるかを以下の実施例で検討した。
(実施例5)太陽電池の性能評価-2
以下、実施例5では、実施例4の結果を受け、ペロブスカイト組成を変更して太陽電池10の性能評価を行った。
図10及び図11は、実施例4で性能評価を行った太陽電池から、ペロブスカイト組成を混合カチオン-混合ハライドに変更した太陽電池10の電池性能評価の結果を示すグラフである。本実施例では、ホール輸送層材料としてEHTBPo-Znの性能評価を行った。なお、比較例としてSym HTPcH5-Znについても同様に内部標準として評価を行った。図10は、IPCEスペクトルを示すグラフであり、図11は、IV特性を示すグラフである。表2には、太陽電池10の電池性能の各パラメータを要約する。
Figure 0007331674000023
ペロブスカイト組成の変更によって650~700nm領域の落ち込みが改善され、IPCE特性が向上した。この影響を受けて、MAPbI3に対してJscが向上して、変換効率も14.0%から14.6%へ向上した。これはペロブスカイト層44の膜厚が厚くなり、十分に光吸収できた効果である。更に、ペロブスカイト組成の最適化と共に、溶液濃度の最適化や置換基の最適化等によって、更なる性能向上ができる。このとこから、ホール輸送層材料として、実施例にて検討を行ったEHTBPo-ZnはMTPABPo-Zn等のメソ位に置換基を導入したベンゾポルフィン誘導体を用いることで、太陽電池の光電変換効率が大きく向上できる。
本発明は、有機及び無機のハイブリッド化合物で生成されるペロブスカイト化合物を備えたハイブリッド型太陽電池などに用いられるホール輸送層材料として利用可能である。
2 基板
3 ブロッキング層
4 発電層
5 ホール輸送層
6 電極
10 太陽電池
11 積層体
21 透明基板
22 透明導電膜
41 多孔質半導体
44 ペロブスカイト層
61 光電極
62 対向電極

Claims (3)

  1. 下記一般式(I)に示す化合物であるホール輸送層材料。
    Figure 0007331674000024
    [一般式(I)において、
    Mは、亜鉛(Zn)、銅(Cu)、コバルト(Co)、鉄(Fe)、ニッケル(Ni)、鉛(Pb)、マンガン(Mn)、及び、スズ(Sn)から選択され、
    X1、X2、X3、及び、X4は互いに独立的な同一の置換基であり、下記(a)~(i)から選択される。
    Figure 0007331674000025
    (ここで、
    (a)において、kaは0~3の整数であり、R1a、R2a、及び、R3aは互いに独立的であり、何れか1つの基がC1~C10アルキル基であり、他の2つの基は水素である、
    (b)において、R1b、及び、R2bは互いに独立的であり、何れか1つの基がC1~C10アルキル基であり、他方の基は水素である、
    (c)において、R1c、及び、R2cは互いに独立的であり、何れか1つの基がC1~C10アルキル基であり、他方の基は水素である、
    (d)において、R1d、及び、R2dは互いに独立的であり、何れか1つの基がC1~C10アルキル基であり、他方の基は水素である、
    (e)において、keは0~3の整数であり、R1eはC1~C10アルキル基である、
    (f)において、R1f、及び、R2fは互いに独立的であり、同一であっても異なっていてもよい、C1~C10アルキル基である、
    (g)Lgは、芳香族炭化水素環基、芳香族複素環基、及び、エチニル基から選択され、kgは0又は1であり、R1g、及び、R2gは互いに独立的であり、同一であっても異なっていてもよい、C1~C10アルキル基である、
    (h)Lhは、芳香族炭化水素環基、芳香族複素環基、及び、エチニル基から選択され、khは0又は1であり、R1h、及び、R2hは互いに独立的であり、同一であっても異なっていてもよい、C1~C5アルキル基である、
    (i)Liは、芳香族炭化水素環基、芳香族複素環基、及び、エチニル基から選択され、kiは0又は1であり、R1i、及び、R2iは互いに独立的であり、同一であっても異なっていてもよい、C1~C10アルキル基である。)]
  2. 前記化合物が、下記一般式(II)~(IV)から選択される請求項1に記載のホール輸送層材料。
    Figure 0007331674000026
    Figure 0007331674000027
    Figure 0007331674000028
  3. 請求項1又は2に記載のホール輸送層材料を用いた太陽電池であって、
    透明導電膜を有する基板、
    電子を前記透明導電膜に受け渡し、かつ逆電子移動を防止するブロッキング層、
    光によって励起して前記電子を発生するペロブスカイト層を多孔質半導体に積層させて形成される発電層、
    前記ペロブスカイト層から発生したホールが通過し、前記ホール輸送層材料を有するホール輸送層、の順に積層される積層体と、
    前記透明導電膜を介して前記電子を放出する光電極、及び、前記ホール輸送層の表面に設けられた対向電極で構成される電極と、を備えている、太陽電池。
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