JP7330912B2 - 送信部、送信機及び中継装置 - Google Patents
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Description
地上デジタル放送システムにおけるサテライト局の中継装置は、他の中継装置が放送した放送波を受信して、異なる周波数で再度放送する。
中継装置は、主として受信部と送信部とを備えており、受信部で受信した信号を、送信部で別の周波数に変換し、増幅して無線出力する。
従来の中継装置における送信部の構成について図8を用いて説明する。図8は、従来の送信部の構成を示す概略構成図である。
図8に示すように、従来の送信部は、入力部71と、AGC制御部72と、ミキサ73と、高周波(RF:Radio Frequency)部74と、AGC(Auto Gain Control)検出部75と、出力可変スケルチ部76と、出力部77とを備えている。
AGC制御部72は、可変アッテネータを備えており、アンテナへの出力レベルを一定にするよう、入力信号を可変制御する。可変アッテネータは、外部から印加されるAGC制御電圧に応じて出力を調整する。
RF部74は、高周波信号を所望の周波数帯に帯域制限する。
AGC検出部75は、帯域制限された信号を2つに分岐して一方をそのまま通過させると共に、他方を検波して、AGC検波電圧を出力する。AGC検出部75は、入力部71から入力検知の信号が入力されると、検波動作を行う。
そして、増幅された高周波信号が、アンテナから発放される。
従来のスケルチ制御について説明する。
出力可変スケルチ部76は、AGC検出部75からのAGC検波電圧の状態によってスケルチ動作のオン/オフを切り替える。
AGC検波電圧は、電源投入時等の入力不安定な状態では、大きく上下するが、入力が安定すると、一定の範囲に収束する。
尚、送信機の従来技術としては、特開2012-138752号公報「無線装置」(特許文献1)がある。
特許文献1には、期待送信電力と実送信電力とを比較して、その大小に基づいて送信レベルの制御を行うと共に、利得制御値が適正範囲から外れた場合には増幅停止処理を行う無線装置が記載されている。
[実施の形態の概要]
本発明の実施の形態に係る送信部(本送信部)は、スケルチ制御を行う制御部と、出力可変スケルチ部の可変アッテネータに印加する電圧を、出力を抑制する固定電圧又は抑制を解除する調整電圧に切り替えるリレー部とを備え、制御部が、AGC検波電圧を特定時間に亘って蓄積して移動平均を算出し、移動平均値が設定された収束範囲に入るまでは、リレー部を固定電圧側に切り替えると共にスケルチをオンとしておき、移動平均値が収束範囲に入った場合に、リレー部を調整電圧側に切り替えると共にスケルチをオフとするよう制御するようにしており、AGC検波電圧の瞬間値に左右されることなく安定したスケルチ制御を行うことができ、また、電源投入時のソフトウェア起動前であっても出力を抑制して、過大出力を確実に防ぎ、電力増幅器の破損を防止することができるものである。
本送信部の構成について図1を用いて説明する。図1は、本送信部の概略構成図である。
図1に示すように、本送信部は、入力部11と、AGC制御部12と、ミキサ13と、RF部14と、AGC検出部15と、出力可変スケルチ部16と、出力部17と、CPU(Central Processing Unit)18とを備えている。
上記構成部分の内、ミキサ13と、RF部14と、出力部17は、図8に示した従来の送信部と同様であり、説明は省略する。
具体的には、CPU18は、AGC検波電圧の移動平均値に基づくスケルチ制御処理を行い、また、電源投入直後の送信信号の出力を抑制する出力抑制処理を行う。CPU18の処理の詳細については後述する。
CPU18は、請求項に記載したスケルチ・出力制御部に相当する。
入力部11は、従来と同様にIF信号の入力を検知して入力検知信号を出力するが、本送信部では出力先はCPU18としている。
AGC制御部12は、CPU18によって制御されるAGC制御電圧に基づいて、出力レベルを一定にするようレベル調整を行う。
AGC検出部15の構成について図2を用いて説明する。図2は、AGC検出部15の回路図である。
図2に示すように、AGC検出部15は、アンプ21と、分岐部22と、アッテネータ(ATT)23と、アンプ24と、検波部(DET)25と、アンプ26とを備えている。
AGC検出部15の動作について説明する。
RF部14から入力された高周波信号は、アンプ21で増幅され、分岐部22で2つに分岐されて、一方の信号は出力可変スケルチ部16に出力される。
AGC検波電圧は、CPU18に入力される。
次に、本送信部の出力可変スケルチ部16の構成について図3を用いて説明する。図3は、出力可変スケルチ部16の概略回路図である。
図3に示すように、出力可変スケルチ部16は、可変アッテネータ31と、アンプ32と、フィルタ33と、RFスイッチ34と、ドライバ(DRV)35,36と、固定電圧出力部37と、リレー部39と、オペアンプ(OP AMP)40とを備えている。また、外部に調整電力出力部38が設けられている。
フィルタ33は、入力された信号を帯域制限する。
RFスイッチ34は、ドライバ36によって駆動され、オフの場合には出力が特性インピーダンス50Ωに終端(図示せず)し、オンになるとフィルタ33からの高周波信号を出力する。
同様に、ドライバ36は、CPU18からのスケルチ制御信号に基づいて、RFスイッチ34のオン/オフを切り替える。
そして、リレー部39は、電源投入前はデフォルトとして固定電圧出力部37側に切り替えられており、その後は、後述するように、CPU18からのリレー制御信号に基づいて切り替えられる。
調整電力出力部38は、固定電圧とは異なる、従来と同様の定格調整電圧(外部VR電圧)を出力する。
スケルチ制御手段及びリレー制御手段は、CPU18が、接続される記憶部(図示省略)からプログラムを読み込んで起動(ソフトウェア起動/ソフト起動)することで実現される。
また、CPU18は、AGC検出部15からのAGC検波電圧が予め設定された収束範囲に収束するよう、AGC制御部12におけるAGC制御電圧を調整する。
つまり、電源投入直後でCPU18の各処理手段が起動していない状態では、スケルチによって過出力を防ぐことはできない。
CPU18におけるスケルチ制御処理について図4を用いて説明する。図4は、スケルチ制御処理のフローチャートである。
スケルチ制御処理は、CPU18のスケルチ制御手段によって行われる。
図4に示すように、CPU18は、AGC検出部15からAGC検波電圧が入力されると(100)、所定時間に亘って移動平均値を算出し(102)、算出された移動平均値が予め設定されたAGC収束電圧範囲内かどうかを判断する(104)。
このようにしてCPU18におけるスケルチ制御処理が行われるものである。
尚、処理104で移動平均値が収束電圧範囲内となったことを判断した場合に、後述する出力抑制処理における第3の条件を満たしたことになる。
次に、CPU18における出力抑制処理について図5を用いて説明する。図5は、出力抑制処理を示す説明図である。尚、図5は、CPU18における処理の内容を回路図的に表したものである。
出力抑制処理は、CPU18の出力抑制手段によって行われる。
図5に示すように、AND回路には、「AGC収束状態」と、「ソフト起動(ソフト起動完了状態)」と、「電源起動(電源投入状態)」の3つの情報が入力される。これらの情報は、出力抑制を行うか、抑制を解除するかの条件として用いられる。
「AGC収束状態」は、請求項に記載した第3の条件に相当する。
「ソフト起動」は、請求項に記載した第2の条件に相当する。
「電源起動」は、請求項に記載した第1の条件に相当する。
これにより、出力可変スケルチ部16のリレー部39は、固定電圧出力部37側に切り替えられ、可変アッテネータ31に固定電圧が供給されて、送信部の出力は抑制される。
同様に、電源投入後、ソフト起動が完了しても、AGC検波電圧の移動平均値が所定の範囲内に収束していない場合には、まだAND回路からの出力はローレベルで、リレーOFFとなる。
これにより、出力可変スケルチ部16のリレー部39が調整電圧出力部38側に切り替えられ、本来の調整電圧が可変アッテネータ31に供給されて、出力の抑制が解除される。
この状態では、上述したスケルチ制御も連動してスケルチOFFとなるため、本送信部からの高周波信号の出力が開放されるものである。
この場合、AGC検波電圧が瞬間的に収束範囲に入って、第1、第2、第3の条件を全て満たし、リレーONとなったとしても、移動平均値は収束していないため、スケルチ制御においてはスケルチONの状態を継続しており、過出力となるのを防ぐことが可能である。
次に、本送信機の構成について図6を用いて説明する。図6は、本送信機の概略構成図である。
図6に示すように、本送信機5は、送信部51と、電力増幅器52と、フィルタ53と、アンテナ54とを備えている。ここで、送信部51は、上述した本送信部である。
これにより、送信部51からの過大出力による電力増幅器52の破損を防ぐことができるものである。
次に、本中継装置の構成について図7を用いて説明する。図7は、本中継装置の構成ブロック図である。
本中継装置6は、例えば、地上デジタル放送システムにおけるサテライト局として用いられるものであり、別の中継局から発放された放送信号を受信して、別の周波数で改めて放送するものである。ここでは主系と予備系の2系統を備えた構成としているが、一つの系のみを備えたものであってもよい。
フィルタ62は、受信した放送信号を帯域制限する。
2分配器63は、入力された信号を主系と予備系の2つに分配する。
ここでは、受信部64a、送信部65a、電力増幅器66a、フィルタ67aの系を主系とし、受信部64b、送信部65b、電力増幅器66b、フィルタ67bの系を予備系としている。
送信部65は、IF信号を送信周波数の高周波信号に変換する。
電力増幅器66は、高周波信号を増幅する。
フィルタ67は、所望の送信周波数となるよう帯域制限する。
送信アンテナ69は、切替器68からの高周波信号を発放する。送信信号はUHF帯であるが、干渉を防ぐため、受信アンテナ61で受信される信号とは異なる周波数としている。
本送信部によれば、出力可変スケルチ部16に、可変アッテネータ31に印加する電圧を、出力を抑制する固定電圧又は抑制しない調整電圧のいずれかに切り替えるリレー部39を備え、CPU18が、電源が投入され、ソフトウェアの起動が完了し、AGC検波電圧の特定時間に亘る移動平均値が設定範囲内に収束するという3つの条件がそろうまでは、リレーOFFのリレー制御信号を出力して、リレー部39を固定電圧側に切り替えておき、電源投入、ソフトウェア起動完了、AGC検波電圧が設定範囲内に収束するという3つの条件が全てそろった場合に、リレーONのリレー制御信号を出力して、リレー部39を調整電圧側に切り替える送信部としているので、電源投入直後からCPU18が起動前でスケルチ制御を行うことができない期間についても出力を抑制でき、AGC検波電圧の移動平均値が収束するまで抑制を続けて、過大出力を確実に防ぐことができる効果がある。
Claims (4)
- スケルチ制御を行う送信部であって、
アンプを備え、前記アンプのオン/オフに伴って送信信号の出力をオン/オフさせるスケルチ部と、
前記送信信号のレベルが一定になるよう調整するAGC制御部と、
前記AGC制御部から出力され、周波数変換された信号を検波してAGC検波電圧を出力するAGC検出部と、
前記スケルチ部からの出力レベルを制御するスケルチ・出力制御部とを備え、
前記スケルチ部が、前記出力レベルを調整する可変アッテネータと、前記可変アッテネータに、前記出力レベルを抑制させる固定電圧又は前記固定電圧とは異なる調整電圧のいずれかを切り替えて印加するリレー部とを有し、
前記スケルチ・出力制御部が、電源投入状態を検知する第1の条件と、ソフトウェアの起動完了状態を検知する第2の条件と、前記AGC検波電圧が収束したことを検知する第3の条件の全てを満たしたか否かを判断し、前記3つの条件のいずれか又は全てを満たしていない場合には、前記リレー部を前記固定電圧側に切り替え、前記3つの条件の全てを満たした場合には、前記リレー部を前記調整電圧側に切り替えることを特徴とする送信部。 - スケルチ・出力制御部が、AGC検波電圧を入力して、特定時間の移動平均値を算出し、前記移動平均値が設定された収束範囲外であれば、前記AGC検波電圧が収束していないことを検知して、スケルチ部のアンプをオフとし、前記移動平均値が前記収束範囲内であれば、前記AGC検波電圧が収束したことを検知して、前記アンプをオンとすることを特徴とする請求項1記載の送信部。
- 請求項1又は2記載の送信部と、電力増幅器と、フィルタと、送信アンテナとを備えたことを特徴とする送信機。
- 受信部と、請求項1又は2記載の送信部と、電力増幅器と、フィルタと、送信アンテナとを備え、
前記受信部で受信した周波数とは異なる周波数で送信することを特徴とする中継装置。
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