JP7330910B2 - ファイブラスケーシングの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、ファイブラスケーシングの製造方法に関し、特にレーザー光線照射による穿孔がなされたファイブラスケーシングを製造する方法に関する。
いわゆるハム等の豚肉のもも肉等の畜肉加工食品は、食肉製品製造用のケーシング等に畜肉を充填した後、塩漬けやスモーク加工等を行うことによって得られる。これらケーシングは、例えばビスコース加工紙からなるファイブラスケーシングがあり、シート状の原紙を筒状体に成形し、該筒状体の外面側あるいは外面側及び内面側にビスコースをと着したのち、所定の洗浄処理等を経て得られる(例えば、特許文献1参照。)。
ファイブラスケーシングは畜肉等の充填に際して、該ファイブラスケーシングの先端をクリップ等で封止することから、充填時に畜肉により押し出される空気や、畜肉の水分や肉汁の抜け穴として筒状体に貫通孔が形成される。該貫通孔は金属針による穿孔が行われ、ファイブラスケーシングは一定の硬度があるため、貫通孔にバリ等が残ってしまうことがある。そのため、充填時の畜肉の滑りが良好でなかったり、畜肉にバリが引っ掛かって裂けや破れが生じるきらいがあった。
また、融点の低い樹脂よりなるフィルムからなり、レーザー照射による穿孔がなされた食肉製品製造用ケーシングチューブが提案されている(例えば、特許文献2参照。)。この発明によれば、前述の金属針による穿孔における破れ等を、ケーシングの基材を樹脂に変更し、レーザー照射による穿孔を行うことによって解消することを提案するものである。
しかしながら、内容物へのスモーク加工のために特殊な加工を施さなければならない樹脂よりも、天然材料由来のビスコースを材料とした加工紙の方がスモーク加工に適しており、取り回しがよい。このような経緯から、ビスコース加工紙からなるファイブラスケーシングにおいて、畜肉の安定した充填が可能であって破れ等が生じにくいファイブラスケーシングが所望されていた。
特開2012-76062号公報 特開2018-134756号公報
出願人は、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、精製セルロース又は再生セルロースを主部材とするファイブラスケーシングに対し、レーザー光線の照射による穿孔が可能であることを見出し、本発明に至った。そこで、本発明は、精製セルロース又は再生セルロースを主部材とするファイブラスケーシングにおいて、畜肉等の内容物の充填性、充填時のケーシング内の空気や内容物から生ずる水分等の排出性に優れ、かつ破れ等が生じにくく取り回しに優れるファイブラスケーシングの製造方法を提供する。
すなわち、第1の発明は、精製セルロース又は再生セルロースを主部材とするシート状物の筒状体からなるファイブラスケーシングの表面に筒内の空気や充填される内容物の水分等を排出するための貫通孔を形成するに際して、前記筒状体はその直径部分を介して上面側シート及び下面側シートに折り重ねられた状態でその筒方向に移送され、移送中の前記筒状体の上方からレーザー光線を照射して前記上面側シートに上面側貫通孔を形成するとともに前記上面側貫通孔を貫通して前記下面側シートにも下面側貫通孔を形成する方法であって、一対の前記貫通孔の形成にあたり、移送中の前記筒状体の上方より前記レーザー光線が複数回照射され、前記筒状体の前記上面側シート及び前記下面側シートにそれぞれ孔径100~500μmの範囲の前記貫通孔を形成するとともに、前記下面側シートに形成された前記下面側貫通孔の孔径が前記上面側シートに形成された前記上面側貫通孔の孔径の50%以上となるよう形成することを特徴とするファイブラスケーシングの製造方法に係る。
第2の発明は、第1の発明において、前記レーザー光線の出力が100W以上であることを特徴とするファイブラスケーシングの製造方法に係る。
第3の発明は、第1又は2の発明において、前記レーザー光線の照射による前記貫通孔の形成が3回以上の照射によってなされることを特徴とするファイブラスケーシングの製造方法に係る。
第4の発明は、第3の発明において、前記下面側貫通孔の孔径が前記上面側貫通孔の孔径の80%以上となることを特徴とするファイブラスケーシングの製造方法に係る。
第5の発明は、第1ないし4の発明のいずれかにおいて、前記筒状体の移送スピードが10m/min以上であるファイブラスケーシングの製造方法に係る。
第6の発明は、第1ないし5の発明のいずれかにおいて、前記貫通孔の開孔面積の合計の前記筒状体の表面積に対する割合が0.02~0.60%であることを特徴とするファイブラスケーシングの製造方法に係る。
第1の発明に係るファイブラスケーシングの製造方法によると、精製セルロース又は再生セルロースを主部材とするシート状物の筒状体からなるファイブラスケーシングの表面に筒内の空気や充填される内容物の水分等を排出するための貫通孔を形成するに際して、前記筒状体はその直径部分を介して上面側シート及び下面側シートに折り重ねられた状態でその筒方向に移送され、移送中の前記筒状体の上方からレーザー光線を照射して前記上面側シートに上面側貫通孔を形成するとともに前記上面側貫通孔を貫通して前記下面側シートにも下面側貫通孔を形成する方法であって、一対の前記貫通孔の形成にあたり、移送中の前記筒状体の上方より前記レーザー光線が複数回照射され、前記筒状体の前記上面側シート及び前記下面側シートにそれぞれ孔径100~500μmの範囲の前記貫通孔を形成するとともに、前記下面側シートに形成された前記下面側貫通孔の孔径が前記上面側シートに形成された前記上面側貫通孔の孔径の50%以上となるよう形成するため、畜肉等の内容物の充填性、充填時のケーシング内の空気や内容物から生ずる水分等の排出性に優れ、かつ破れ等が生じにくく取り回しに優れる。
第2の発明に係るファイブラスケーシングの製造方法によると、第1の発明において、前記レーザー光線の出力が100W以上であるため、安定して貫通孔の形成が可能となる。
第3の発明に係るファイブラスケーシングの製造方法によると、第1又は第2の発明において、前記レーザー光線の照射による前記貫通孔の形成が3回以上の照射によってなされるため、安定して貫通孔の形成が可能となり、均一性に優れた貫通孔の形成が可能となる。
第4の発明に係るファイブラスケーシングの製造方法によると、第3の発明において、前記下面側貫通孔の孔径が前記上面側貫通孔の孔径の80%以上となるため、均一性の高い貫通孔を形成することができ、空気抜けがよく充填効率の向上、ないしは排水性の向上を図ることができる。
第5の発明に係るファイブラスケーシングの製造方法によると、第1ないし4の発明のいずれかにおいて、前記筒状体の移送スピードが10m/min以上であるため、ファイブラスケーシングの製造効率に優れる。
第6の発明に係るファイブラスケーシングの製造方法によると、第1ないし5の発明のいずれかにおいて、前記貫通孔の開孔面積の合計の前記筒状体の表面積に対する割合が0.02~0.60%であるため、空気抜けがよく充填効率の向上、ないしは排水性の向上を図ることができる。
レーザー光線により形成された上面側貫通孔を撮影した拡大写真である。 レーザー光線により形成された下面側貫通孔を撮影した拡大写真である。 針により形成された上面側貫通孔を撮影した拡大写真である。 針により形成された下面側貫通孔を撮影した拡大写真である。
本発明のファイブラスケーシングの製造方法は、折りたたまれた筒状体が移送される際に、該筒状体の上面側からレーザー光線が照射されることによって、筒状体の上面側シート及び下面側シートの両面に貫通孔を形成する。
従来のファイブラスケーシングは、針による穿孔が通常行われていた。例えば、本発明と同様に折りたたまれた筒状体が筒方向に移送され、複数の針状部材が装着されたローラが筒状部材の上面から押し当てられることによって貫通孔(針穴)が形成される。そうすると、上面側の針孔の内側には凸状のバリが生ずることとなる。内容物の充填時には、このようなバリが内容物に引っ掛かってケーシングの破れや裂けが生じたりすることがある。また、内容物を充填する際に、ケーシング内側の滑りが悪くなり効率よく充填ができない場合がある。
このため、針による穿孔以外でファイブラスケーシングに貫通孔を形成することが望まれていた。また、セルロースは強固な水素結合により熱可塑性がないことから、セルロースを主部材とするシート状物ないし筒状体は、レーザー光線による貫通孔の形成において高エネルギーが必要であった。そのため、レーザー光線の出力を高めるか、照射時間を長くすることによる解決が考えられる。ところが、従来では該シート状物ないし筒状体にレーザー光線によって貫通孔を形成する際には、停止した状態での照射による加工しかできなかった。しかし、移送中に穿孔加工がなされなければ製造効率が非常に悪くなるため、実用的でない。そこで本発明によるファイブラスケーシングの製造方法は、筒状体の移送中にレーザー光線の照射による良好な貫通孔を形成する方法を提供する。
本発明の製造方法により製造されるファイブラスケーシングの筒状体は、精製セルロースや再生セルロースを主部材とする原紙の内面ないし外面にビスコース等が塗着されたシート状物を筒状に成形されてなる。
該筒状物は、筒状物の内側の空気を抜くようにして直径部分を介して折り重ねられ、その状態のまま折り重ね物として筒方向に移送される。移送スピードは、ファイブラスケーシングの製造効率の観点から10m/min以上が望ましい。
そして、該折り重ね物の上面側に配置されたレーザー照射装置のノズルから照射されるレーザー光線により、筒状物は穿孔される。筒状物は、移送中に穿孔されることから、常に移動しており、均一な貫通孔形成のためにはレーザー光線は短時間照射が望ましい。そのため、安定した貫通孔を形成するために、レーザー光線の出力を高めることが望ましく、後述の実施例を鑑みると100W以上とするのがよい。
レーザー光線の照射により、折り重ねられた筒状物の上面側シート及び下面側シートの両方の同位置に、上面側貫通孔と下面側貫通孔の一対の貫通孔が形成されることとなる。照射されたレーザー光線は、まず上面側シートに上面側貫通孔を形成し、該上面側貫通孔を通って(貫通して)下面側シートに照射され、そのまま下面側シートに下面側貫通孔を形成する。ファイブラスケーシングに使用されるシート状物は、通常、透明体ないし透過性を有するため、上面側貫通孔の形成前から上面側シートを透過して下面側シートにレーザー光線が届くものの、レーザー光線の減衰を鑑みれば上面側貫通孔の形成後に下面側貫通孔が形成されると考えられる。
上面側貫通孔及び下面側貫通孔の孔径はおおよそ100~500μmの範囲がよいと考えられる。ファイブラスケーシングは、先端をクリップ等で留められて畜肉等が充填されるため、ケーシング内の空気の抜け穴としての貫通孔の孔径が規定される。また、貫通孔は、畜肉の充填後には畜肉の水分や肉汁の抜け穴としても作用する。そして、畜肉は一般的に勢いをつけてケーシングに充填される。このため、十分に空気や畜肉等の水分が抜けつつ、破れが生じにくい孔径の範囲として、100~500μmの範囲が望ましい。
筒状体の上面側からレーザー光線が照射されるため、下面側シートに形成される下面側貫通孔は上面側シートに形成された上面側貫通孔と比して小さくなる。そのため、内容物である畜肉充填時のケーシング内の空気抜け性や畜肉の水分抜け性等の確保の観点から、下面側貫通孔の孔径は上面側貫通孔の孔径の50%以上とするのがよい。下面側貫通孔の孔径を上面側貫通孔の孔径の50%以上とすれば、十分に畜肉充填時の空気、内容物の水分や肉汁等の排出が可能である。また、下面側貫通孔の孔径を上面側貫通孔の孔径の80%以上とすると、充填時の空気や内容物の水分はより均一に排出が可能となる。
下面側貫通孔の孔径を上面側貫通孔の孔径に近づけさせるためには、レーザー光線をより高出力にするか、レーザー光線の照射を複数回にわたって行うことが考えられる。1回のレーザー光線照射によって上面側シートに貫通孔が形成されると、2回目以降に照射されるレーザー光線は直接下面側シートに到達可能となるため、下面側貫通孔の孔径は上面側貫通孔の孔径により近似することとなる。これらのことから、上面側貫通孔と下面側貫通孔の一対の貫通孔の孔径をより均一に形成するためには、一対の貫通孔の形成にあたりレーザー光線の照射を複数回、好ましくは3回ないしそれ以上の照射によってなされるのがよいと考えられる。
貫通孔の開孔面積の合計は、筒状体の表面積に対しておおよそ0.02~0.60%とするのがよいと考えられる。開孔面積が小さすぎると、内容物の充填時の空気抜けが不十分でスムーズな充填ができなかったり、内容物の水分の排出が不十分となるおそれがある。また、開孔面積が大きすぎると、破れが生じやすくなったりして強度的な観点から好ましくない。
[滑り性及び水抜け性]
まず、レーザー光線の照射によって形成された貫通孔の滑り性能の評価及び水抜け性能の評価を行った。試作例1~3のファイブラスケーシングについて、原紙であるシート状物を筒状体に成形し、上面側からレーザー光線を照射して貫通孔を形成した。また、比較例1~3のファイブラスケーシングについて、試作例1~3と同じ筒状体を用いて針による穿孔を施した。
[使用シート状物]
各試作例及び比較例について、厚み100μmの麻由来のセルロースからなる原紙(フタムラ化学株式会社製「ミートロン5FWEX」)をシート状物(S1)として使用した。また、原紙の両面にはビスコースが塗着されている。
<試作例1>
シート状物(S1)を筒状に成形した筒状体に対し、直径400μmの貫通孔を形成するように、出力150Wのレーザー光線を上面側から照射した。一対の貫通孔形成にあたりのレーザー光線の照射は3回とした。貫通孔は100cm2あたり100個形成し、試作例1のファイブラスケーシングとした。なお、貫通孔の開孔面積の合計の筒状体の表面積に対する割合はおよそ0.13%である。
<試作例2>
貫通孔の直径を300μmとし、貫通孔の数を100cm2あたり140個とした以外は、試作例1と同様として試作例2のファイブラスケーシングとした。なお、貫通孔の開孔面積の合計の筒状体の表面積に対する割合はおよそ0.10%である。
<試作例3>
貫通孔の直径を200μmとし、貫通孔の数を100cm2あたり140個とした以外は、試作例1と同様として試作例3のファイブラスケーシングとした。なお、貫通孔の開孔面積の合計の筒状体の表面積に対する割合はおよそ0.04%である。
<試作例4>
貫通孔の直径を300μmとし、貫通孔の数を100cm2あたり820個とした以外は、試作例1と同様として試作例4のファイブラスケーシングとした。なお、貫通孔の開孔面積の合計の筒状体の表面積に対する割合はおよそ0.58%である。
<比較例1>
シート状物(S1)を筒状に成形した筒状体に対し、直径300μmの針を上面から押し当てて貫通孔(針穴)を形成した。貫通孔(針穴)は、100cm2あたり45個形成し、比較例1のファイブラスケーシングとした。なお、貫通孔の開孔面積の合計の筒状体の表面積に対する割合はおよそ0.03%である。
<比較例2>
貫通孔の数を100cm2あたり100個とした以外は、比較例1と同様として比較例2のファイブラスケーシングとした。なお、貫通孔の開孔面積の合計の筒状体の表面積に対する割合はおよそ0.07%である。
<比較例3>
針の直径を400μmとし、貫通孔の数を100cm2あたり100個とした以外は、比較例1と同様として比較例3のファイブラスケーシングとした。なお、貫通孔の開孔面積の合計の筒状体の表面積に対する割合はおよそ0.13%である。
[滑り性]
各試作例及び比較例のファイブラスケーシングの滑り性の良否判断に際し、動摩擦荷重を計測し、滑り性(μk)を算出した。各試作例及び比較例を110mm×320mmのサンプルに切り取り恒温恒湿度(温度20±2℃、湿度65±5%)条件下で2時間調湿した。テンシロン万能試験機(株式会社エー・アンド・デイ、「RTG-1210」)の滑り性測定用下部持具にサンプルを固定し、65mm×170mmとしたフィルター(日本無機株式会社製「DS-150」)を上部持具(236gf)に固定して動摩擦荷重を計測し、記録計チャートの最大値と最小値の平均値を整数値で読み取り平均動摩擦荷重とした。次の式(i)を用いて滑り性(μk)を算出した。
Figure 0007330910000001
[水抜け性]
各試作例及び比較例のファイブラスケーシングの内容物の充填時の空気抜けや水分の抜けの良さを評価するための指標として、水抜試験を行った。2mに切ったファイブラスケーシングを5分以上水に浸して飽和含水状態とし、ファイブラスケーシングの一端を結んで最下点として立てかけ、高さ1150mmで切断した。内部を水で満たして溢れさせた後に水を止め、水位が845mmから445mmになるまで(400mm減少する)までの時間(s)を測定し水抜時間とした。水抜時間が短いものほど排気性、排水性に優れるとして、水抜け性の評価を行った。
滑り性及び水抜け性の評価を表1に示す。滑り性(μk)が0.50以下のものを「〇」、0.50より大きいものを「×」とした。水抜時間が15.0s以下のものを「〇」、15.0~20.0sの範囲のものを「△」、20.0sよりも遅いものを「×」とした。それぞれの評価とともに、貫通孔の数(個/100cm2)、直径(μm)及び貫通孔の開孔面積の合計の筒状体の表面積に対する割合(%)についても表1及び表2に示した。
Figure 0007330910000002
Figure 0007330910000003
表1及び表2に示されるように、各試作例のファイブラスケーシングは比較例に比べて滑り性能が良いことがわかった。図1及び図2に示す試作例1の貫通孔の拡大写真と、図3及び図4に示す比較例1の貫通孔の拡大写真から理解されるように、レーザー光線によって形成された貫通孔には、上面側及び下面側ともにバリがなく、針によって形成された貫通孔にはバリが形成されている。これらのことから、レーザー光線によって形成された貫通孔は、針によって形成された貫通孔に比べて摩擦が少なくなる。そして、内容物のスムーズな充填が可能となる。
また、貫通孔の数及び大きさがほぼ同じ試作例1と比較例3とを比較すると、水抜け性能も向上していることがわかった。レーザー光線によって形成された貫通孔は形状や大きさが安定することから、水抜け性能が向上したと考えられる。水抜け性能が向上したことにより、畜肉等の充填時の空気抜けが良好となり、充填作業の効率化を図ることが可能になるとともに、内容物の水分や肉汁等の排出性も良好とすることができる。貫通孔の数を増加させた試作例4においては、ケーシング内に水を入れるスピードよりも水抜けの方が早く、時間を計測することができなかった(表1中、水抜時間は「※」としている。)。貫通孔の数を増加させて水抜け性を向上させた場合においても、滑り性が低下することはなかった。
これら滑り性評価及び水抜け性評価によれば、針により形成された貫通孔を有するファイブラスケーシングに比べ、レーザー光線により形成された貫通孔を有するファイブラスケーシングの方が、畜肉等の内容物の充填性及び排水性に優れることがわかった。そして、レーザー光線により形成された貫通孔を有するファイブラスケーシングは、貫通孔にバリが形成されないことから滑り性が向上するとともに、内容物が充填時にバリに引っ掛かることがなくなり、ファイブラスケーシングの破れ等の破損が生ずるおそれを小さくすることができる。
[貫通孔の形成条件]
レーザー光線の照射による穿孔の優位性が示されたことから、次に、良好な貫通孔の形成条件を決定すべく試作例を作成した。
<試作例5>
シート状物(S1)を筒状に成形した筒状体を折りたたんで40m/minの送り出しスピードで移送し、直径200μmの貫通孔を形成するように、出力150Wのレーザー光線を上面側から照射した。一対の貫通孔形成にあたりレーザー光線の照射は1回とした。貫通孔は100cm2あたり113個形成し、試作例5のファイブラスケーシングとした。なお、貫通孔の開孔面積の合計の筒状体の表面積に対する割合はおよそ0.04%である。
<試作例6>
一対の貫通孔形成にあたりレーザー光線の照射を2回とした以外は試作例5と同様とし、試作例6のファイブラスケーシングとした。なお、貫通孔の開孔面積の合計の筒状体の表面積に対する割合はおよそ0.06%である。
<試作例7>
一対の貫通孔形成にあたりレーザー光線の照射を3回とした以外は試作例5と同様とし、試作例7のファイブラスケーシングとした。なお、貫通孔の開孔面積の合計の筒状体の表面積に対する割合はおよそ0.08%である。
<試作例8>
レーザー光線の出力を125Wとした以外は試作例6と同様とし、試作例8のファイブラスケーシングとした。なお、貫通孔の開孔面積の合計の筒状体の表面積に対する割合はおよそ0.03%である。
<試作例9>
一対の貫通孔形成にあたりレーザー光線の照射を3回とした以外は試作例8と同様とし、試作例8のファイブラスケーシングとした。なお、貫通孔の開孔面積の合計の筒状体の表面積に対する割合はおよそ0.07%である。
<試作例10>
レーザー光線の出力を100Wとした以外は試作例6と同様とし、試作例10のファイブラスケーシングとした。なお、貫通孔の開孔面積の合計の筒状体の表面積に対する割合はおよそ0.04%である。
<試作例11>
一対の貫通孔形成にあたりレーザー光線の照射を3回とした以外は試作例10と同様とし、試作例11のファイブラスケーシングとした。なお、貫通孔の開孔面積の合計の筒状体の表面積に対する割合はおよそ0.05%である。
試作例5~11に形成されたそれぞれの上面側貫通孔の直径と下面側貫通孔の直径を計測した。また、各試作例について水抜け性の評価も行った。水抜け性の評価は前述の水抜試験と同様である。これらを表2及び表3にまとめ、上面側貫通孔の孔径に対する下面側貫通孔の孔径の割合を示した。下側貫通孔の孔径の割合が80%以上のものを「◎」、50%以上のものを「〇」とし、下側貫通孔が形成されなかったものは「×」として貫通孔の均一性を評価した。
Figure 0007330910000004
Figure 0007330910000005
表3及び表4に示されるように、一対の貫通孔形成にあたり、2回以上のレーザー光線の照射により良好な貫通孔の形成がなされることが示された。なお、出力が150Wのレーザー光線では1回の照射による下側貫通孔の形成が見られなかった。一対の貫通孔の形成にあたり、レーザー光線を3回照射とするとより均一な貫通孔の形成を図ることができた。さらに、レーザー光線の出力を上げると下側貫通孔の孔径が大きくなる傾向がある。そのため、レーザー光線の出力を高めたり、照射回数を増やしたりすれば、上側貫通孔と下側貫通孔の孔径が近似すると考えられる。上側貫通孔と下側貫通孔の均一性が向上すれば水抜け性能も向上することから、内容物の充填性や加工性に優れたファイブラスケーシングとすることができた。
[まとめ]
一連の試作例の検証よって、レーザー光線の照射による穿孔がなされたファイブラスケーシングは、良好な滑り性及び水抜け性を有し、内容物の充填性及び排水性、加工性に優れることが示された。また、一対の貫通孔を形成する際にレーザー光線を複数回照射することにより、貫通孔の均一性を高めることができたため、品質の安定に資する。また、本発明によれば、筒状体の移送中に連続して均一な貫通孔を形成することができたため、製造効率も優れる。
以上のとおり、本発明の製造方法により製造されたファイブラスケーシングは、針による穿孔に起因するようなバリがほとんどない貫通孔が形成されるため、畜肉等の内容物の充填が容易かつ効率的に可能となり、破損が生じにくい。また、畜肉充填時のケーシング内の空気や内容物から生ずる水分等の排出性にも優れる。さらに、製造効率にも優れることから、経済的である。

Claims (6)

  1. 精製セルロース又は再生セルロースを主部材とするシート状物の筒状体からなるファイブラスケーシングの表面に筒内の空気や充填される内容物の水分等を排出するための貫通孔を形成するに際して、
    前記筒状体はその直径部分を介して上面側シート及び下面側シートに折り重ねられた状態でその筒方向に移送され、
    移送中の前記筒状体の上方からレーザー光線を照射して前記上面側シートに上面側貫通孔を形成するとともに前記上面側貫通孔を貫通して前記下面側シートにも下面側貫通孔を形成する方法であって、
    一対の前記貫通孔の形成にあたり、移送中の前記筒状体の上方より前記レーザー光線が複数回照射され、前記筒状体の前記上面側シート及び前記下面側シートにそれぞれ孔径100~500μmの範囲の前記貫通孔を形成するとともに、
    前記下面側シートに形成された前記下面側貫通孔の孔径が前記上面側シートに形成された前記上面側貫通孔の孔径の50%以上となるよう形成する
    ことを特徴とするファイブラスケーシングの製造方法。
  2. 前記レーザー光線の出力が100W以上であることを特徴とする請求項1に記載のファイブラスケーシングの製造方法。
  3. 前記レーザー光線の照射による前記貫通孔の形成が3回以上の照射によってなされることを特徴とする請求項1又は2に記載のファイブラスケーシングの製造方法。
  4. 前記下面側貫通孔の孔径が前記上面側貫通孔の孔径の80%以上となることを特徴とする請求項3に記載のファイブラスケーシングの製造方法。
  5. 前記筒状体の移送スピードが10m/min以上である請求項1ないし4のいずれか1項に記載のファイブラスケーシングの製造方法。
  6. 前記貫通孔の開孔面積の合計の前記筒状体の表面積に対する割合が0.02~0.60%であることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載のファイブラスケーシングの製造方法。
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