メンテナンス性の高い印刷装置の構成を実現するためには、例えば、機能単位でモジュール化した交換可能なユニット部品を用いて印刷装置を製造することが考えられる。このように構成した場合、ユニット部品単位での交換が可能になるため、例えば印刷装置が故障した場合にも、ユニット部品を交換することで、より容易かつ適切に修理を行うことができる。
一方で、ユニット部品を用いて印刷装置を製造する場合、ユニット部品単位での検査を行うことが必要になる場合がある。そして、この場合、ユニット部品の検査を行うための準備等に多くの工数や時間がかかる場合がある。より具体的に、ユニット部品の検査を行う場合、例えば、検査対象のユニット部品が取り付けられる装置である検査治具等を用いて検査を行うことが考えられる。また、この場合、例えば、検査治具や印刷装置の本体の動作を制御するプログラムであるファームウェア(F/Wプログラム)に対する変更(修正)等を行って、ユニット基板毎の検査を実行するための検査メニュー等を作成することが必要になる。
また、この場合、例えば、それぞれの印刷装置等でユニット部品の初期動作を確認した後に、動作の確認に使用したプログラムを利用して、検査メニュー等を新たに追加で作成することになる。そして、この場合、検査を行うためのプログラムや検査治具を作成するためには、印刷装置の開発がある程度まで進むのを待つことが必要になる。また、この場合、例えば検査工程に変更が生じると、その度にファームウェア等を修正して対応すること等が必要になる。そのため、従来、ユニット部品の検査をより適切に行う方法が望まれていた。そこで、本発明は、上記の課題を解決できる検査方法及び検査システムを提供することを目的とする。
本願の発明者は、ユニット部品の検査をより容易に行う方法について、鋭意研究を行った。そして、ユニット部品よりも上位側に設置した制御装置(出力装置)からコマンドによる指示(コマンド指令)を出力することで、ユニット部品に対する検査の工程を実行することを考えた。このように構成した場合、様々なコマンドを自由に組み合わせることで、例えば、下位側の装置の構成やファームウェア等を修正することなく、様々な検査を実行することができる。
また、本願の発明者は、更なる鋭意研究により、このような効果を得るために必要な特徴を見出し、本発明に至った。上記の課題を解決するために、本発明は、印刷装置に取り付けられることで前記印刷装置の機能の一部を担う部品である印刷装置用のユニット部品の検査を行う検査方法であって、前記ユニット部品が取り付けられる装置の外部に設置される制御装置である外部制御装置と通信する入出力部を用い、前記入出力部は、前記外部制御装置から受け取るコマンドに基づき、前記ユニット部品に対して信号の入出力を行い、かつ、前記ユニット部品に対して所定の検査を行うことを示す前記コマンドである検査指示コマンドを前記外部制御装置から受け取った場合、前記検査指示コマンドに予め対応付けられている信号である検査用信号を前記ユニット部品へ出力し、前記検査指示コマンドを前記外部制御装置から前記入出力部へ送信させる検査指示コマンド出力段階と、前記検査指示コマンドに対応する前記検査用信号を前記入出力部から前記ユニット部品へ出力させる検査用信号出力段階と、前記検査用信号に応じて前記ユニット部品が行う動作を前記入出力部に検知させる動作検知段階と、前記動作検知段階で前記入出力部が検知した前記動作を示すデータである結果データを前記入出力部から前記外部制御装置へ送信させる検査結果送信段階と、前記入出力部から受け取る前記結果データに対する判定を前記外部制御装置に行わせる検査結果判定段階とを備える。
このように構成すれば、例えば、コマンド指令により、ユニット部品の検査を容易かつ適切に行うことができる。また、この場合、例えば入出力部の動作を制御するプログラム(ファームウェア)を作成しておけば、印刷装置の開発の進行を待つことなく、ユニット部品の検査を適切に行うことができる。また、例えば検査工程に変更が生じた場合にも、例えば、使用するコマンドの組み合わせを変更すること等で適切に対応することができる。
この構成において、外部制御装置としては、例えば、プログラマブルロジックコントローラ(PLC)等を好適に用いることができる。また、外部制御装置としては、所定のプログラムに従って動作するコンピュータ等を用いてもよい。また、コマンドとしては、例えば、株式会社ミマキエンジニアリングにより配布されるMDLコマンドSDKを用いて作成されるコマンドであるMDLコマンド等を好適に用いることができる。このように構成すれば、例えば、外部制御装置と入出力部との間で、コマンドを用いた双方向の通信を適切に行うことができる。また、この場合、検査指示コマンドに対応するMDLコマンドとして、ユニット部品に合わせたコマンドを容易かつ適切に作成することができる。また、様々なMDLコマンドを用いることで、入出力部に対し、様々な制御を適切に行うことができる。
また、この構成において、ユニット部品とは、交換可能な機能部品のことである。また、印刷装置においては、例えば、機能が互いに異なる複数のユニット部品を用いることが考えられる。この場合、検査指示コマンドや検査用信号としては、ユニット部品毎に用意されたコマンドや信号を用いることが考えられる。また、この構成において、検査用信号が検査指示コマンドに予め対応付けられているとは、例えば、入出力部の動作を制御するファームウェアに従った動作において対応付けられていることである。また、ファームウェアに従った動作において対応付けられているとは、例えば、ファームウェアに従った動作により、検査指示コマンドに応じて入出力部が検査用信号を出力することである。
また、動作検知段階において、入出力部は、例えば、ユニット部品の動作を検知するセンサの出力に基づき、ユニット部品の動作を検知する。このように構成すれば、例えば、ユニット部品の動作を適切に検知することができる。このようなセンサとしては、例えば、ユニット部品の外部に設置されたセンサを用いることが考えられる。また、センサとして、例えば、ユニット部品が内蔵するセンサを用いてもよい。
また、ユニット部品が内蔵するセンサを用いる場合や、ユニット部品がセルフテストの機能を有する場合において、ユニット部品が検査用信号を受け取った場合、ユニット部品は、受け取った検査用信号に対応する検査の結果を示す信号である結果信号を入出力部へ出力してもよい。この場合、結果信号としては、例えば、センサの出力を示す信号や、セルフテストの結果を示す信号を用いることが考えられる。また、この場合、動作検知段階において、入出力部は、例えば、ユニット部品から受け取る結果信号に基づき、ユニット部品の動作を検知する。このように構成すれば、例えば、ユニット部品の動作を適切に検知することができる。
また、この構成において、入出力部は、例えば、ユニット部品を用いる印刷装置に合わせて製造された検査用の装置である検査治具内に配設される。このように構成すれば、例えば、印刷装置の開発中において、印刷装置の本体が完成する前であっても、ユニット部品の検査を適切に行うことができる。検査治具については、例えば、印刷装置の構成や機能のうち、検査に必要のない部分を省略又は簡略化した装置等と考えることもできる。
また、印刷装置の開発が進行して印刷装置の本体が製造された後や、印刷装置の開発が完了した後には、検査用治具を用いずに、印刷装置を直接用いてユニット部品の検査を行ってもよい。この場合、入出力部は、例えば、印刷装置内に配設される。このように構成すれば、例えば、ユニット部品の検査をより容易かつ適切に行うことができる。また、この場合、入出力部については、印刷装置内でユニット部品に対して入出力を行う構成等と考えることができる。
また、印刷装置内に設置した入出力部を用いてユニット部品の検査を行う場合、印刷装置の製造時の検査等に限らず、印刷装置の出荷後のメンテナンス時におけるユニット部品の検査等を行うことも考えられる。このように構成すれば、例えば、印刷装置にユニット部品を組み込んだままの状態で、ユニット部品の検査を適切に行うことができる。また、この場合、例えば、遠隔地からの操作によりユニット部品の検査を行うこと等も考えられる。より具体的に、この場合、外部制御装置は、例えば、印刷装置が設置されている拠点の遠隔地から、インターネット等の通信ネットワークを介して、入出力部と通信する。更に具体的に、この場合、外部制御装置は、例えば、インターネットを介して、MDLコマンドを用いて、入出力部と双方向の通信を行う。また、この場合、検査指示コマンド出力段階では、例えば、インターネットを介して、検査指示コマンドを外部制御装置から入出力部へ送信させる。そして、検査結果送信段階では、インターネットを介して、結果データを入出力部から外部制御装置へ送信させる。このように構成すれば、例えば、遠隔地からのコマンド指令により、ユニット部品の検査を適切に行うことができる。また、これにより、例えば、印刷装置が設置されている拠点にまで印刷装置の製造者(メーカ)のエンジニア等を派遣することなく、印刷装置のメンテナンスを適切に行うことができる。
また、この構成において、例えば、ユニット部品に接続される計測器を更に用いること等も考えられる。この場合、計測器としては、例えば、公知のオシロスコープや各種のテスタ等を用いることが考えられる。また、この場合、外部制御装置は、例えば、計測器と更に通信する。また、これにより、例えば、検査結果送信段階において、計測器の出力値を計測器から外部制御装置へ送信させる。このように構成すれば、例えば、必要に応じて、ユニット部品の動作等をより詳細に確認することができる。また、この場合、計測器についても、外部制御装置からMDLコマンドを送信することで制御することが考えられる。
また、この場合、外部制御装置は、例えば、入出力部を介さずに、計測器と通信する。このように構成すれば、例えば、入出力部のファームウェアやハードウェア構成に変更を加えることなく、様々な計測器を適切に用いることができる。
また、本発明の構成として、上記と同様の特徴を有する検査システム等を用いることも考えられる。この場合も、例えば、上記と同様の効果を得ることができる。
本発明によれば、ユニット部品の検査をより適切に行うことができる。
以下、本発明に係る実施形態を、図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る検査システム10の構成の一例を示す。本例において、検査システム10は、印刷装置用のユニット部品の検査を行うシステムであり、検査治具12、外部制御装置14、及び計測器16を備える。この場合、印刷装置用のユニット部品とは、印刷装置に取り付けられることで印刷装置の機能の一部を担う部品のことである。また、印刷装置とは、例えば、印刷対象の媒体(メディア)に対して画像を描く装置のことである。より具体的に、本例において、ユニット部品は、インクジェット方式での印刷を行う印刷装置であるインクジェットプリンタ用の部品である。また、検査システム10の構成の変形例においては、ユニット部品として、インクジェットプリンタ以外の印刷装置の部品を用いてもよい。また、ユニット部品として、例えば、3Dプリンタ用の部品を用いること等も考えられる。この場合、3Dプリンタについては、例えば、立体的な造形物の造形を行う3次元印刷装置等と考えることができる。
また、検査システム10の構成のうち、検査治具12は、本例において行う検査時にユニット部品が取り付けられる装置である。また、本例において、検査治具12には、図中にユニットA~C等として示すように、複数のユニット部品104が取り付けられる。また、これらの複数のユニット部品104としては、機能が互いに異なる部品を用いる。
また、本例において、ユニット部品104は、交換可能な機能部品である。この場合、それぞれのユニット部品104については、例えば、印刷装置に取り付けられることで印刷装置の一部を構成するモジュール(プリンタモジュール)等と考えることもできる。また、ユニット部品104については、例えば、複数の電子部品を搭載し、かつ、交換の単位として予め設計された部品等と考えることもできる。また、検査治具12に取り付けられる複数のユニット部品104について、機能が互いに異なるとは、例えば、印刷装置に取り付けられた場合に発揮する機能が異なることである。また、より具体的に、検査治具12において検査の対象とするユニット部品104としては、例えば、インクジェットヘッドを有するヘッドユニット部品、スライダ基板を有するスライダ基板ユニット部品、印刷装置における電装部品の少なくとも一部として機能する電装ユニット部品、印刷装置にオプション機能を提供するオプションユニット部品、インクの供給を行う機能の少なくとも一部を担うインク供給ユニット部品、及びネットワーク制御機能を担うNCUユニット部品等を用いることが考えられる。また、ユニット部品104としては、上記以外の機能の部品を用いてもよい。また、印刷装置に対しては、必要に応じて、上記のうちの一部のユニット部品104を取り付けてもよい。
また、本例において、検査治具12は、電装部102を有する。電装部102は、複数のユニット部品104に対して信号の入出力を行う構成であり、それぞれのユニット部品104の検査を行う場合において、それぞれのユニット部品104に対し、検査に必要な信号の入出力を行う。電装部102としては、例えば、複数のユニット部品104が取り付けられる筐体を有する電装ボックス等を好適に用いることができる。
また、本例において、電装部102は、外部制御装置14と通信する入出力部の一例であり、外部制御装置14との間で双方向の通信を行う。また、より具体的に、本例において、電装部102は、MDLコマンドを用いて、外部制御装置14との間で、通信を行う。この場合、MDLコマンドについては、例えば、株式会社ミマキエンジニアリングにより配布されるMDLコマンドSDK(Software Development Kit)を用いて作成されるコマンド等と考えることができる。また、MDLコマンドについては、例えば、MDLコマンドに対応する印刷装置をユーザの生産システムや周辺装置で制御できるようにするコマンド等と考えることもできる。また、MDLコマンドとしては、例えば、バージョン3のMDLコマンドSDK等を用いて作成されたMDLコマンド(MDLコマンドVer.3)等を好適に用いることができる。
また、本例において、MDLコマンドについては、例えば、外部制御装置14と検査治具12との間での通信に用いるコマンドの一例等と考えることもできる。また、コマンドについては、例えば、所定の同じ仕様に基づくSDKを用いて作成された命令等と考えることができる。この場合、同じ仕様に基づくSDKとは、例えば、同じ仕様の開発環境を提供するSDKのことである。また、同じ仕様に基づくSDKについては、同一の配布者により所定の互換性のあるものとして配布されたSDK等と考えることもできる。また、この場合、様々なMDLコマンドを用いることで、例えば、電装部102に対し、様々な制御を適切に行うことができる。
また、本例において、外部制御装置14と検査治具12との間での通信に用いるコマンド(MDLコマンド)としては、例えば、ユニット部品104に対して所定の検査を行うことを示すコマンドである検査指示コマンド等を用いる。また、この場合、検査指示コマンドとしては、例えば、互いに機能が異なるユニット部品104毎に用意されたコマンドを用いる。この場合、コマンドとしてMDLコマンドを用いることで、例えば、様々な種類のユニット部品104に合わせた検査指示コマンドを容易かつ適切に作成することができる。
また、本例において、検査指示コマンドを外部制御装置14から受け取った場合、電装部102は、検査指示コマンドに予め対応付けられている信号である検査用信号をユニット部品104へ出力する。この場合、検査用信号が検査指示コマンドに予め対応付けられているとは、例えば、電装部102の動作を制御するファームウェアに従った動作において対応付けられていることである。また、ファームウェアに従った動作において対応付けられているとは、例えば、ファームウェアに従った動作により、検査指示コマンドに応じて電装部102が検査用信号を出力することである。また、上記のように、検査指示コマンドとしては、例えば、互いに機能が異なるユニット部品104毎に用意されたコマンドを用いる。そして、この場合、それぞれの検査指示コマンドに対応する検査用信号についても、互いに機能が異なるユニット部品104毎に用意された信号を用いることが考えられる。
また、この場合、電装部102は、検査用信号をユニット部品104へ出力することで、所定の動作を電装部102に実行させる。そして、電装部102は、検査用信号に応じてユニット部品104が行う動作を検知し、その結果を、外部制御装置14へ通知する。また、より具体的に、本例において、電装部102は、MDLコマンドを用いて、外部制御装置14への通知を行う。このように構成すれば、例えば、外部制御装置14から電装部102へ送るコマンドに基づき、ユニット部品104の検査を適切に行うことができる。ユニット部品104に対して検査を行う動作については、後に更に詳しく説明をする。
また、外部制御装置14は、検査治具12の外部に設置される制御装置である。本例において、外部制御装置14は、例えば検査治具12及び計測器16と同一のローカルネットワーク(LAN)内に設置されて、検査治具12及び計測器16との間で、通信を行う。また、外部制御装置14としては、MDLコマンドの送受信を行うことが可能な制御装置を用いる。このような外部制御装置14としては、例えば公知の様々な制御装置を好適に用いることができる。より具体的に、外部制御装置14としては、例えば、プログラマブルロジックコントローラ(PLC)等を好適に用いることができる。この場合、例えば、タッチパネル等の入出力装置を用いて、ユーザと外部制御装置14との間での入出力を行うことが考えられる。また、このような入出力としては、例えば、ユーザからの検査の開始の指示や、検査の結果の表示等を行うことが考えられる。また、外部制御装置14としては、例えば、PC等のコンピュータ等を用いることも考えられる。この場合、コンピュータについて、例えば、所定のプログラムに従って動作することで外部制御装置14として機能すると考えることができる。
また、計測器16は、検査治具12の外部においていずれかのユニット部品104と接続される測定装置である。また、本例において、計測器16は、MDLコマンドの送受信により外部制御装置14との通信が可能であり、例えばユニット部品104の検査時において、外部制御装置14からの指示に応じて、外部制御装置14へ測定結果を通知する。このように構成すれば、例えば、計測器16についても、外部制御装置14からMDLコマンドを送信することで適切に制御することができる。また、これにより、例えばユニット部品104の検査時等に、必要に応じて、ユニット部品104の動作や状態等をより詳細に確認することができる。計測器16としては、例えば、公知のオシロスコープや各種のテスタ等を用いることが考えられる。また、本例において、計測器16は、電装部102を介さずに、外部制御装置14と通信する。このように構成すれば、例えば、電装部102の動作を制御するファームウェアや電装部102のハードウェア構成等に変更を加えることなく、様々な計測器16を適切に用いることができる。また、この場合、検査治具12や電装部102について、計測器16の出力値に関知せずに動作すると考えることができる。
以上の構成により、本例によれば、例えば、MDLコマンドを用いたコマンド指令により、様々なユニット部品104の検査を容易かつ適切に行うことができる。また、この場合、例えば検査工程に変更が生じた場合にも、使用するコマンドの組み合わせを変更すること等で適切に対応することができる。また、本例においては、検査治具12内に配設された電装部102を用いて、ユニット部品104に対する信号の入出力を行う。そして、この場合、例えば電装部102の動作を制御するプログラム(ファームウェア)を作成しておけば、印刷装置の開発の進行を待つことなく、ユニット部品104の検査を適切に行うことができる。そのため、本例によれば、例えば、印刷装置の開発中において、印刷装置の本体が完成する前であっても、ユニット部品104の検査を適切に行うことができる。
ここで、本例において用いる検査治具12については、例えば、ユニット部品104を用いる印刷装置に合わせて製造された検査用の装置等と考えることができる。検査治具12としては、例えば、印刷装置の構成や機能のうち、検査に必要のない部分を省略又は簡略化した装置等を好適に用いることができる。より具体的に、検査治具12としては、例えば、対応する印刷装置のYバーを短くした構成等を好適に用いることができる。この場合、Yバーとは、主走査動作時にインクジェットヘッドの移動をガイドするガイドレール等が配設される構成のことである。
また、検査治具12は、図示した構成以外に、例えば、公知の印刷装置と同一又は同様の構成を更に有してよい。例えば、検査治具12は、検査治具12の各部を制御する制御部等を更に有する。この場合、上記及び以下において説明をする電装部102等の動作について、制御部の制御に応じて行う動作等と考えることができる。また、この場合、制御部は、例えば、電装部102用のファームウェアに従って、電装部102の動作を制御する。
また、検査治具12における電装部102としては、例えば、検査治具12に対応する印刷装置(例えば、量産用の印刷装置等)の電装部(例えば、電装ボックス)と同じハードウェア構成を用いることが考えられる。このように構成すれば、例えば、印刷装置での使用時に近い条件でのユニット部品104の検査をより適切に行うことができる。また、電装部102としては、複数の機種の印刷装置に対して共通のハードウェア構成を用いることが好ましい。このように構成すれば、例えば、部品の共通化等により、より低コストで検査治具12を作成することができる。また、この場合、電装部102の動作を制御するファームウェア(例えば、検査用のファームウェア)については、対応する印刷装置の機種毎に作成してもよい。
また、検査システム10の具体的な構成については、上記において説明をした構成に限らず、様々に変形を行うことができる。図2は、検査システム10の構成の変形例を示す。尚、以下において説明をする点を除き、図2において、図1と同じ符号を付した構成は、図1における構成と、同一又は同様の特徴を有してよい。
本変形例において、複数のユニット部品104の検査は、ユニット部品104が印刷装置18に取り付けられた状態で行う。この場合、印刷装置18について、検査時にユニット部品104が取り付けられる装置と考えることができる。また、本変形例の構成については、図1に示した構成における検査治具12(図1参照)の代わりに印刷装置18を用いていると考えることもできる。
また、本変形例において、印刷装置18は、検査治具12と同様に、電装部102を有する。このように構成すれば、例えば、検査治具12を用いる場合と同様に、ユニット部品104の検査を適切に行うことができる。また、この場合、複数のユニット部品104が印刷装置18に取り付けられることで、例えば、印刷装置18において、印刷に必要な様々な機能を適切に実現することができる。本変形例によれば、例えば、印刷の動作を実行する印刷装置18を用いることで、ユニット部品104の検査を適切に行うことができる。
また、印刷装置18は、図示した構成以外に、印刷の動作に必要な各種の構成を更に有してもよい。例えば、印刷装置18は、図示した構成以外に、公知の印刷装置と同一又は同様の構成を更に有してよい。より具体的に、印刷装置18は、例えば、印刷装置18の各部を制御する制御部等を更に有する。この場合、印刷装置18における電装部102の動作について、制御部の制御に応じて行う動作等と考えることができる。また、この場合、制御部は、例えば、電装部102用のファームウェアに従って、電装部102の動作を制御する。
また、本変形例において、電装部102については、例えば、印刷装置18の内部でユニット部品104に対して入出力を行う構成等と考えることができる。また、本変形例の構成については、例えば、ユニット部品104に対して入出力を行う入出力部が印刷装置18内に配設された構成等と考えることもできる。また、本変形例によるユニット部品104の検査については、例えば、検査治具12等を用いずに印刷装置18を直接用いて行う検査等と考えることができる。また、このような検査については、例えば、印刷装置18の開発が進行して印刷装置18の本体が製造された後や、印刷装置18の開発が完了した後に、好適に行うことができる。
また、本変形例のように、印刷装置18を直接用いてユニット部品104の検査を行う場合、印刷装置18の製造時の検査等に限らず、印刷装置18の出荷後のメンテナンス時におけるユニット部品104の検査を行うことも考えられる。また、このような検査として、例えば、遠隔地からの操作によりユニット部品104の検査を行うこと等も考えられる。この場合、遠隔地とは、例えば、印刷装置18が設置されている拠点(建物等)と異なる拠点のことである。また、遠隔地については、同一人物による手動操作を同時に行えない場所等と考えることもできる。また、より具体的に、本例において、外部制御装置14については、例えば、印刷装置18とは異なる建物内に設置されていると考えることができる。
また、印刷装置18のメンテナンス時等にユニット部品104の検査を行う場合、印刷装置18について、互いに距離が大きく離れた様々な拠点に設置されていることも考えられる。そして、この場合、例えば印刷装置18の製造者(メーカ)のエンジニア等を派遣してユニット部品104の検査を行うとすれば、検査に多くのコストがかかることになる。
これに対し、本変形例においては、外部制御装置14と電装部102との間での通信について、例えば図中に示すように、インターネットを介して行うことが考えられる。この場合、インターネットは、公共の通信回線の一例である。また、この場合、外部制御装置14と計測器16との間での通信についても、インターネットを介して行うことが考えられる。また、より具体的に、本変形例において、外部制御装置14は、例えば、印刷装置18が設置されている拠点の遠隔地から、印刷装置18内に設置された電装部102に対し、インターネットを介して、MDLコマンドを用いて、双方向の通信を行う。このように構成すれば、例えば、遠隔地からのコマンド指令により、ユニット部品104の検査を適切に行うことができる。また、これにより、例えば、印刷装置18が設置されている拠点にまでエンジニア等を派遣することなく、印刷装置18のメンテナンスを適切に行うことができる。また、この場合、コマンドを用いて外部制御装置14と印刷装置18との間で双方向の通信を行うことで、遠隔地から印刷装置18の詳細な状態を確認すること等も可能になる。
続いて、ユニット部品104に対して検査を行う動作について、更に詳しく説明をする。また、以下においては、説明の便宜上、図1及び図2に示した検査システム10において行うユニット部品104(図1、2参照)の検査について、まとめて、本例という。
図3は、本例における検査の動作の一例を示すフローチャートである。本例の検査の動作では、先ず、検査指示コマンドを外部制御装置14(図1、2参照)から電装部102(図1、2参照)へ送信させる(S102)。この場合、電装部102とは、検査治具12(図1参照)又は印刷装置18(図2参照)における電装部102のことである。また、検査指示コマンドとは、上記においても説明をしたように、ユニット部品104に対して所定の検査を行うことを示すコマンドのことである。検査治具12又は印刷装置18に複数のユニット部品104が取り付けられている場合、検査指示コマンドとしては、いずれかのユニット部品104に対して所定の検査を行うことを示すコマンドであってよい。また、本例において、外部制御装置14と電装部102との間での通信に用いるコマンドとしては、MDLコマンドを用いる。また、ステップS102の動作は、検査指示コマンド出力段階の動作の一例である。
また、例えば図2に示した構成のように、外部制御装置14と電装部102とがインターネットを介して接続されている場合、ステップS102では、インターネットを介して、検査指示コマンドを外部制御装置14から電装部102へ送信させる。また、例えば図1、2に図示した構成のように、計測器16(図1、2参照)を更に用いる場合、ステップS102において、計測器16へのコマンド(例えば、MDLコマンド)の送信も行うことが考えられる。この場合、所定の測定を計測器16に行わせることを示すコマンドを計測器16へ送信することが考えられる。
また、ステップS102の動作に続いて、検査指示コマンドに対応する検査用信号を電装部102からユニット部品104へ出力させる(S104)。この場合、検査用信号とは、上記においても説明をしたように、検査指示コマンドに予め対応付けられている信号のことである。また、この場合、電装部102は、ユニット部品104へ検査用信号を出力することで、所定の検査を行うために必要な動作をユニット部品104に行わせる。また、この場合、検査用信号を受け取ったユニット部品104は、検査用信号に応じて、所定の動作(応答動作)を行う。また、本例において、ステップS104の動作は、検査用信号出力段階の動作の一例である。
また、ステップS104の動作に続いて、ユニット部品104の応答動作の検知を行う(S106)。この場合、応答動作の検知を行うとは、例えば、検査用信号に応じてユニット部品104が行う動作を電装部102に検知させることである。また、本例において、ステップS106の動作は、動作検知段階の動作の一例である。
また、より具体的に、ステップS106において、電装部102は、例えば、ユニット部品104の動作を検知するセンサの出力に基づき、ユニット部品104の動作を検知する。このように構成すれば、例えば、ユニット部品104の動作を適切に検知することができる。このようなセンサとしては、例えば、ユニット部品104の外部に設置されたセンサを用いることが考えられる。この場合、センサについて、例えば、検査治具12又は印刷装置18が有するセンサ等と考えることができる。また、センサとしては、例えば、ユニット部品104が内蔵するセンサを用いること等も考えられる。
また、ユニット部品104が内蔵するセンサを用いる場合や、ユニット部品104がセルフテストの機能を有する場合において、ユニット部品104が検査用信号を受け取った場合、ユニット部品104は、受け取った検査用信号に対応する検査の結果を示す信号である結果信号を入出力部へ出力してもよい。この場合、結果信号としては、例えば、センサの出力を示す信号や、セルフテストの結果を示す信号を用いることが考えられる。また、この場合、ステップS106において、電装部102は、例えば、ユニット部品104から受け取る結果信号に基づき、ユニット部品104の動作を検知する。このように構成すれば、例えば、ユニット部品104の動作をより確実に検知することができる。
また、ステップS106の動作に続いて、検知した動作を示すデータである結果データを電装部102から外部制御装置14へ送信させる(S108)。本例において、ステップS108の動作は、検査結果送信段階の動作の一例である。また、例えば図2に示した構成のように、外部制御装置14と電装部102とがインターネットを介して接続されている場合、ステップS106では、インターネットを介して、結果データを電装部102から外部制御装置14へ送信させる。また、例えば図1、2に図示した構成のように、計測器16を更に用いる場合、例えば、ステップS108において、計測器16の出力値を計測器16から外部制御装置14へ送信させる。
また、ステップS108の動作に続いて、受け取った結果データに対する判定を外部制御装置14に行わせる(S110)。この場合、結果データに対する判定を外部制御装置14に行わせるとは、例えば、ユニット部品104に対する検査の結果の判定を外部制御装置14に行わせることである。また、ユニット部品104に対する検査の結果とは、例えば、ユニット部品104の動作が正常であるか否かを示す結果のことである。また、検査の結果の判定としては、例えば、単に正常であるか否かのみではなく、ユニット部品104の様々な状態の判定を行ってもよい。また、本例において、ステップS110の動作は、検査結果判定段階の動作の一例である。
また、例えば図1、2に図示した構成のように、計測器16を更に用いる場合、ステップS108において、外部制御装置14は、例えば、計測器16の出力値に更に基づき、ユニット部品104に対する検査の結果の判定をしてもよい。このように構成すれば、例えば、より多様なデータに基づき、ユニット部品104の検査をより高い精度で適切に行うことができる。また、この場合、必要に応じて様々な計測器16を用いることで、例えば遠隔地からユニット部品104の検査を行う場合等にも、ユニット部品104の状態をより適切に把握することができる。
以上の動作により、本例の検査の動作は終了する。本例によれば、例えば、ユニット部品104の検査を適切に行うことができる。また、この場合において、MDLコマンド等のコマンドを用いて外部制御装置14と電装部102との間で双方向の通信を行うことで、様々な検査をより容易かつ適切に行うことができる。より具体的に、この場合、例えば、電装部102の動作を制御するファームウェア(検査用のファームウェア)について、外部制御装置14との間での双方向の通信や、コマンドへの応答(例えば、検査動作の指示、及びユニット部品104の状態の返答等)の動作を行うように作成しておくことで、ユニット部品104に対する様々な検査を適切に行うことができる。また、検査治具12や印刷装置18において、外部制御装置14から受け取るコマンドに応じて、検査の動作の実行や、ユニット部品104の動作の検知結果(例えば、センサの出力値)の返答等を適切に行うことができる。
また、この場合、検査用のファームウェアについて、特定の検査治具12や印刷装置18に対応するものではなく、様々なコマンドの組み合わせによる単機能動作の組み合わせで動作を実行するようにすることが考えられる。このように構成すれば、例えば、外部制御装置14の動作を制御するプログラムにより、ユニット部品104に対する検査の内容を様々に設定することができる。この場合、外部制御装置14の動作を制御するプログラムとは、例えば、外部制御装置14から電装部102へ出力させるコマンドを指定するプログラムのことである。
また、このように構成した場合、例えば、検査用のファームウェアが複雑になりすぎること等を適切に防ぐこともできる。また、例えば検査用のファームウェアに変更や修正等が必要になった場合にも、変更や修正等をより容易に行うことができる。また、例えば、ユニット部品104に対して行う検査の内容が変更になり、検査治具12や印刷装置18の動作の変更が必要になった場合等にも、電装部102用のファームウェアを変更することのみで適切に対応することができる。