JP7330096B2 - グロメット - Google Patents

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Description

この発明は、パネルに形成した貫通孔に取り付けられるグロメットに関するものである。
自動車等の車両や船舶、或いは航空機といった各種の乗物は、鋼板等により形成されたパネルにより複数の空間に仕切られており、当該パネルに形成した貫通孔を通したワイヤハーネスや各種配管により仕切られた空間に配置した機材同士を繋ぐようにしている。そして、パネルの貫通孔にワイヤハーネスなどを通す場合には、この貫通孔にゴムなどの弾性体で形成したグロメットを取り付けるようにし、貫通孔の縁部への接触による損傷を防止すると共に、貫通孔からの音や水、埃等の侵入を防止するようになっている。例えば、自動車等の車両では、車室内とエンジンルームとを隔てるダッシュパネル等の車体パネルに形成した貫通孔にグロメットを取り付け、このグロメットに挿通したワイヤハーネスによりエンジンルームに設置した電力供給源としてバッテリーと車室側に配置した各種電気機器とを繋ぐようにしている。
ここで、パネルの貫通孔に対してグロメットが不正常な状態で取り付けられていると、車両などの取付対象で発生する振動等によりグロメットが貫通孔から脱落といった不具合が起きかねない。このため、パネルにグロメットが正常に取り付けられているかを把握し得るような工夫が提案されている。例えば特許文献1のグロメットは、パネルの貫通孔を通過すると共に当該貫通孔が嵌合する周溝の縁部を形成する小径環状部に節度感用突起を設けて、パネルにグロメットを取り付ける際に、小径環状部と共に節度感用突起が貫通孔を通過する際に高まった挿入抵抗が、貫通孔に嵌まった際に急激に消失することでグロメットが正常に取り付けられたことを感触で把握できるようにしている。
特許第6490448号公報
しかしながら、特許文献1のように、グロメットに節度用突起を設ける構成では、当該節度用突起が貫通孔を通過する際に大きな抵抗になり、貫通孔への挿入荷重が過大になって作業負荷が過大になる。また、節度用突起を別途成形するために金型形状が複雑になりやすく、製造コストが嵩む要因ともなる。
すなわち本発明は、簡単な形状で良好な節度感が得られるグロメットを提供することを目的とする。
前記課題を克服し、所期の目的を達成するため、第1の手段は、
弾性ゴムにより形成されてパネルの貫通孔に取り付けられるグロメットであって、
内径が漸次縮小する錐台状の基体部と、
前記基体部の小径側に設けられて両端が開口する貫通状管部と、
前記基体部の大径側に設けられて前記パネルの表面に係合して抜け止めする抜止部と、
前記基体部の大径の端部と前記抜止部との間に設けられて前記貫通孔の内周縁が係合するパネル係合溝と、
前記基体部の内側に設けられ、前記パネルの貫通孔に取り付ける際に押し込む押込部と、を備え、
前記押込部を押し込んで前記パネルの貫通孔に取り付ける際に、前記基体部の体積歪みが0.3以上となるように形成されていることを要旨とする。
このように、パネルの貫通孔に取り付ける際における基体部の体積歪みが0.3以上となるようにすることで、当該基体部が貫通孔を通り抜けた際に急激な抵抗変化を生起させることができ、パネル係合溝にパネルが嵌合した確かな感触、すなわち良好な節度感が得られる。また、パネルの貫通孔を基体部が通り抜けるだけで当該貫通孔の内周縁がパネル係合溝に係合し、グロメットがパネルに取り付けられるから、グロメット全体を簡単な形状にすることができ、パネルへの取り付け時の挿入荷重の増大を抑制することができる。
第2の手段は、
前記押込部は、前記基体部においてパネルの貫通孔に挿通される大径側の端部から押込面までの押し込み方向の間隔が-1mm~+5mmの範囲となるように形成されていることを要旨とする。
このように、基体部における大径側の端部から押込面までの押し込み方向の間隔が-1mm~+5mmの範囲となるように押込部を形成することで、パネルの貫通孔に取り付ける際における基体部の体積歪みを0.3以上として良好な節度感を得ることができる。
第3の手段は、
前記基体部は、JIS K6253に基づく硬度が50~80の範囲となる弾性ゴムにより形成されていることを要旨とする。
このように、基体部を硬度が50~80の範囲となる弾性ゴムで形成することで、パネルの貫通孔に取り付ける際における基体部の体積歪みを0.3以上とすることができ、良好な節度感が得られる。
本発明に係るによれば、簡単な形状で良好な節度感を得ることができる。
本発明に係るグロメットを取り付けた車両の概略図である。 (a)は実施例に係るグロメットの側面図であり、(b)はグロメットの縦断面図であり、(c)はグロメットの要部拡大断面図である。 (a)は実施例に係る接続管の側面図であり、(b)はグロメットに接続管を取り付けた状態での縦断面図である。 パネルに対するグロメットの取付工程を示す説明図であって、(a)はパネルの貫通孔の縁部に基体部の外周面が接触した状態を示し、(b)はグロメットを押し込んで貫通孔の開口縁に基体部の環状端部が接した状態を示し、(c)はパネルにグロメットが取り付けられた状態を示している。 接続管を省略した状態でグロメットとパネルの関係を示す説明図であって、パネルの貫通孔の縁部に基体部の外周面が接触したグロメットを押込力Fで押した状態を示している。
次に、本発明にグロメットにつき、添付図面を参照して以下に説明する。本実施形態では、水素と酸素との化学反応により発電して電動モータを駆動する燃料電池自動車の車両のパネルに設けられた貫通孔に取り付けられるグロメットを例示して説明する。
(実施例)
このグロメット10は、図1に示すように、EPDMゴム等の弾性変形可能な弾性ゴムにより一体成形されており、自動車MTの車室HRの前方に設けられた電動モータが設置された車両前方のモータルームMRと燃料電池BATの収容室HR内とを隔てるパネル50の貫通孔50aに取り付けて用いられる。またこのグロメット10には、燃料電池に対するガス排出用のホース(図示せず)を中継接続する接続管30が取り付けられており、モータルームMR側のホースと収容室HR側のホースの夫々を接続管30に接続して中継することで、発熱時に燃料電池BATで発生するガスを収納室HR外に放出し得るようにしている。
このグロメット10は、図2に示すように、パネル50の貫通孔50aに弾性変形を伴って通過可能に形成された基体部12と、パネル50の貫通孔50aより大径に形成されて当該貫通孔50aを通過不能な抜止部14と、当該基体部12および抜止部14の間に設けられてパネル50の貫通孔50aの内周縁が係合可能な溝状のパネル係合溝16と、当該基体部12に対してパネル係合溝16と反対側に位置するよう設けられて両端が開口する貫通孔18aが形成された貫通状管部18と、を備えている。具体的に、基体部12は、内径が漸次拡大する円錐台状に傾斜するよう形成されて、大径側の端部にパネル係合溝16を介して抜止部14が連なるように設けられている。そして、基体部12の小径側の端部に貫通状管部18が形成されて、当該貫通状管部18の貫通孔18aが基体部12の内側および外側で開口するようになっている。このように、グロメット10は、基体部12と貫通状管部18により漏斗状をなしている。なお、以下において、グロメット10の貫通状管部18の形成側を前側とし、基体部12の大径側の開口側を後側として説明する場合がある。
ここで、基体部12の大径側の端部(以下、環状端部12bという場合がある)の外周縁は、パネル50の貫通孔50aより大径になるよう形成されると共に、パネル係合溝16の外周縁は、この環状端部12bより小径でかつ貫通孔50aより僅かに大径になるよう形成されている。すなわち、図4に示すように、パネル50の一方側(例えばモータルームMR側)から基体部12の小径側(貫通状管部18)を貫通孔50aに臨ませて、基体部12の傾斜した外周面12aを貫通孔50aの縁部に接した状態で押し込むことにより、基体部12を含むグロメット10の全体的な弾性変形を伴って基体部12が貫通孔50aを通り抜けるようになっている。そして、基体部12が貫通孔50aを通り抜けることで、パネル係合溝16に貫通孔50aの内周縁が係合すると共に、基体部12の環状端部12bと抜止部14との間にパネル50が挟まれるようにしてパネル50にグロメット10が取り付けられるようになっている。このように、パネル50の貫通孔50aに対してグロメット10を装着することで、パネル50の貫通孔50aのエッジからホースを保護すると共に、当該貫通孔50aを介して水や埃等が浸入するのを防止している。
また、図2(b)に示すように、グロメット10には、基体部12の内側からパネル50の貫通孔50aに押し込み可能にする押込部20が設けられている。この押込部20は、基体部12の内側において当該基体部12の小径側の端部に、貫通状管部18の貫通孔18aに連通する円筒状に設けられている。すなわち、貫通状管部18および押込部20により連続した貫通孔18aを形成している。ここで、押込部20の後端面をなす押込面20aから基体部12までの離間間隔は、押込部20の全周に亘って一定になるよう形成されており、グロメット10をパネル50に取り付ける際に、貫通状管部18を貫通孔50aに臨ませた状態で押込部20の押込面20aを前方に向けて押した際に、貫通孔50aの縁部に宛がった基体部12に対して概ね均等に力を作用させて、基体部12の全体を弾性変形させ得るようにしてある。ここで、基体部12は、図2(c)に示すように、押込部20との連設位置(押込部20の基端部)に肉厚部12cが設けられている。すなわち、基体部12における押込部20との連設位置に肉厚部12cを設けることで、基体部12の内側への弾性変形を抑制すると共に、弾性変形した基体部12が弾発的に原形に復帰し易くしてある。
また、図3に示すように、グロメット10に取り付けられる接続管30は、長手方向に沿って貫通孔32aが形成された管体32と、当該管体32の両端に設けられてホースの端部に差し込まれる係止爪部38とを備えている。この係止爪部38は、当該係止爪部38を設けた管体32の端部から他方側の端部に向けて、管体32の外周面から離れるように傾斜したテーパ状に形成されており、当該係止爪部38により接続したホースが抜け止めされるようになっている。なお、この実施例の管体32は、グロメット10(貫通状管部18)の貫通孔18aに後方から挿通される第1管部34と、当該グロメット10の外側において第1管部34から屈曲するように延在する第2管部36とから形成されているが、当該管体32の形状は任意であり、例えば管体32の全体を直線状に形成してもよい。ここで、貫通状管部18の貫通孔18aに第1管部34を挿通した際に、当該第1管体34に設けた係止爪部38が貫通状管部18の前端面18bに係止するようになっており、これにより接続管30のグロメット10からの離脱を防止している。
また、第1管部34には、第1管部34の径方向外方に延出するように押圧板40が設けられている。この押圧板40は、当該第1管部34の係止爪部38をグロメット10の貫通状管部18の貫通孔18aに挿通して係止した状態で、当該グロメット10の押込部20の押込面20aに当接するようになっている。ここで、第1管部34の係止爪部38から押圧板40までの間隔は、貫通状管部18の前端面18bから押込部20の押込面20aまでの間隔とほぼ一致するよう形成されており、貫通状管部18の前端面18bに第1管部34の係止爪部38が係止すると共に押込部20の押込面20aに押圧板40が当接することにより、接続管30がグロメット10に対して所定位置に安定して保持されるようになっている。
また、第1管部34には、押圧板40よりも第1管部34の端部から離れた位置に保護板42を設けてある。この保護板42は、押圧板40よりも大径に形成されて、基体部12の後方開口の外側において当該後方開口を塞ぐように覆っている。すなわち、保護板42により基体部12の内側への異物侵入を防止し、グロメット10の損傷を防ぐようにしてある。
次に、グロメット10の構成についてパネル50への取り付け時の作用とより詳細に説明する。なお、接続管30は、パネル50に対するグロメット10の取り付け前および取り付け後の何れのタイミングでグロメット10に取り付けるようにしてもよいが、ここでは接続管30を取り付けた状態でグロメット10をパネル50に取り付けるものとする。図4(a)に示すように、グロメット10をパネル50に取り付ける際に、貫通状管部18を貫通孔50aに臨ませた状態で押込部20の押込面20aを前方に向けて押して、基体部12をパネル50の貫通孔50aに押し込む。ここで、接続管30をグロメット10に取り付けた状態では、接続管30を把持して前方に押し込むことで、当該接続管30の押圧板40により押込部20の押込面20aを前方に向けて押すことができる。
基体部12をパネル50の貫通孔50aに押し込んでいる間は、貫通孔50aの縁部に摺動しながら基体部12が内側に向けて弾性変形する。そして、図4(b)に示すように、基体部12の弾性変形は、基体部12の環状端部12bが貫通孔50aの開口縁に臨む状態で最大になる。そして、基体部12の環状端部12bが貫通孔50aを通り抜けることで、基体部12が弾発的に原形に復帰し、パネル係合溝16にパネル50が係合する(図4(c)参照))。
ここで、押込部20は、基体部12の傾斜した外周面12aを貫通孔50aの縁部に接した状態で前方に向けて押した際に、基体部12を外側に押す力を作用するよう形成されて、基体部12の体積歪みを増加させるようにしてある。ここで、体積歪みとは、体積変形に関わる歪みであり、基体部12の体積変化をもとの基体部12の体積で除したものである。すなわち、体積歪みをε、変形前の基体部12の体積をV、変形後の基体部12の体積をVとした場合に、ε=(V-V)/Vにより表される。この体積歪みは、CAE解析によって求めるようにしてもよく、また実際に試験品を作製して実測により求めるようにしてもよい。この実施形態ではCAE解析によって体積歪みを求めている。すなわち、図5に示すように、押込部20の押込面20aを前方に向けて所定の押込力Fで押した際に、基体部12がパネルの貫通孔50aの縁部に接触することで、基体部12を外側に押すように力F1が作用し、基体部12の内面側が圧縮するように変形すると共に外面側が伸張するように変形して(図4(b)参照)、基体部12とパネルの貫通孔50aの縁部との接触部に応力が集中して基体部12の体積歪みが増加する。
ここで、グロメット10は、パネル50の貫通孔50aに取り付ける際に、基体部12の体積歪みが0.3以上となるように形成される。基体部12の体積歪みが0.3以上となるようにすることで、基体部12の環状端部12bが貫通孔50aを通り抜けて基体部12が弾発的に原形に復帰した際にグロメット10の挿入抵抗が急激に消失し、パネル係合溝16にパネル50が間違いなく嵌合したという触覚(節度感)を得ることができる。また、パネル係合溝16の外周縁を貫通孔50aより僅かに大径になるよう形成してあるから、基体部12が弾発的に原形に復帰した際にパネル50の貫通孔50aの開口縁がパネル係合溝16に勢いよく接触し、挿入抵抗が急激に消失する触覚だけでなく接触音などの聴覚を通じてパネル係合溝16にパネル50が間違いなく嵌合したという節度感を得ることができる。
また、基体部12の体積歪みは0.33以上となるようにすることがより好ましく、体積歪みが0.36以上となることがより好ましい。基体部12の体積歪みこのような範囲にすることで、節度感をより際立たせることができる。特に、体積歪みを0.36以上とした場合には、際立った節度感が得られることから、取付状態の目視による確認が不可能であったり困難な場所にグロメット10を取り付ける場合に好適である。また、基体部12の体積歪みが増大すると、基体部12の弾性変形に伴う挿入抵抗が過大になり、作業性を損なうことに繋がる。このため、グロメット10をパネル50に取り付ける際の基体部12の体積歪みは0.5以下であることが好ましく、0.48以下であることがより好ましい。
具体的に、図2(c)に示すように、押込部20は、パネル50に対するグロメット10の取付姿勢を基準として、基体部12の環状端部12bの突出端から押込面20aまでの貫通孔50a開口方向(押し込み方向)の間隔Lが-1mm~+5mmとなるように形成される。なお、押込部20の押込面20aが環状端部12bの突出端より前側に位置する状態を(-)で示し、環状端部12bの突出端より後側に位置する状態を(+)で示している。押込部20の押込面20aが基体部12の環状端部12bに対して上記範囲に位置することで、基体部12をパネル50の貫通孔50aに押し込む過程で基体部12の環状端部12bが貫通孔50aの縁部の内側に接触し、基体部12の弾性変形が最大になった状態(図 の状態)で基体部12の体積歪みを0.3~0.5とすることができる。
更に、グロメット10は、JIS K6253に基づいてデュロメータ硬さ試験機(タイプA)で測定した硬度が50~80の範囲となる弾性ゴムにより形成することが望ましい。また、グロメット10の押込部20の厚みTは、パネル50の貫通孔50aの内径D(直径)に対して、T/D×100≧10(%)の厚みとなるように形成することが望ましい。すなわち、押込部20の厚みTが貫通孔50aの内径Dに対して薄すぎる場合には、押込部20の押込面20aを押し込んだ際に、当該押込部20が座屈しやすくなり、押込部20の押込面20aのパネル面52に対する位置を前述した範囲に保持できなくなる可能性がある。
すなわち、押込部20の押込面20aのパネル面52に対する位置関係や、弾性ゴムの硬度、押込部20の厚みを、上記の範囲となるようにグロメット10を形成することで、基体部12の体積歪みを0.3~0.5となるようにすることができ、グロメット10のパネル50の貫通孔50aに対する挿入荷重を過大に高めることなく、パネル50への取り付け時には良好な節度感を得ることができる。また、このグロメット10をパネル50に取り付ける際には、パネル50の貫通孔50aを基体部が通過するだけでパネル係合溝16に貫通孔50aの内周縁が係合する。すなわち、グロメット10の取り付け時の節度感を高めるために突起などを形成する必要が無く、グロメット10全体を簡単な形状にすることができ、パネル50への取り付け時の挿入荷重の増大を抑制することができる。また、グロメット10を簡単な形状にすることができるから、グロメット10を成形するための金型形状を単純にでき、製造コストを安価に抑制することができる利点がある。
(試験例)
ここで、試験体1~試験体5とするグロメット10を作成し、パネル50に形成した内径25mmとした貫通孔50aにグロメット10を取り付ける取付試験を行った。その取付試験の結果を表1に示す。この試験体1~試験体5のグロメット10は、JIS K6253に基づいてデュロメータ硬さ試験機(タイプA)で測定した硬度が60のEPDMゴムを用いて基体部12の厚み:1.4mm、基体部12の環状端部12bの外周径:17.8mm、パネル係合溝16の外周径2.6mm、押込部20の厚み:2.5mmとなるように形成した。また、基体部12をパネル50の貫通孔50aに押し込む過程で基体部12の環状端部12bが貫通孔50aの開口縁に臨んだ状態で、パネル面52に対する押込部20の押込面20aは、試験体1では+4.5mmに位置し、試験体2では+0.2mmに位置し、試験体3では-0.5mmに位置し、試験体4では-2.5mmに位置し、試験体5では-4.5mmに位置するように、各試験体に押込部20を形成してある。なお、パネル50の貫通孔50aに対するグロメット10の挿入速度は、10mm/minとした。
Figure 0007330096000001
表1に示すように、試験体1~3に係るグロメット10は、基体部12の体積歪みがそれぞれ46、36、32となり、基体部12の環状端部12bが貫通孔50aを通り抜けてグロメット10がパネル50に取り付けられた際に、その挿入抵抗が急激に消失してパネル係合溝16にパネル50が嵌合したことを触覚および聴覚で把握できる良好な節度感を得ることができた。一方で、試験体4~5に係るグロメット10は、基体部12の体積歪みがそれぞれ26、24となり、基体部12の環状端部12bが貫通孔50aを通り抜けてグロメット10がパネル50に取り付けられた際の挿入抵抗の変化に乏しく、充分な節度感を得ることができなかった。すなわち、この官能試験の結果からも、基体部12の体積歪みを0.3~0.5の範囲になるようにグロメット10を形成することで、グロメット10をパネル50に取り付けた際に良好な節度感が得られることが分かる。
(変更例)
前述した実施例の構成に限定されず、例えば以下のように変更することができる。
(1) 押込部20を円筒状に形成するようにしたが、円筒状である必要はなく、例えば角筒状に形成するようにしてもよい。
(2) 押込部20は、壁面が連続した円筒状である必要はなく、押込部20を複数形成し、複数の押込部20で例えば円筒状をなすようにしてもよい。また、分割した複数の押込部20の間に隙間を形成するようにしてもよい。押込部20の壁面を連続した形状に形成した場合には、当該押込部20の押込面20aを押し込んだ際に、基体部12に対して均等になるように力を作用させることができる利点がある。
(3) 実施例では、グロメット10に接続管30を取り付けるようにしたが、接続管30を省略することも可能である。すなわち、グロメット10の押込部20の押込面20aを作業者の手指や工具等で押し込むようにしてもよい。また貫通孔18aにワイヤハーネスを挿通するグロメット10に適用し得ることは当然である。また、グロメット10は、収容室HRを隔てるパネル50に取り付ける構成に限られず、空間を仕切るように設けた各種パネルに取り付けることができるものである。
10 グロメット,12 基体部,14 抜止部,16 パネル係合溝
18 貫通状管部,20 押込部

Claims (3)

  1. 弾性ゴムにより形成されてパネルの貫通孔に取り付けられるグロメットであって、
    内径が漸次縮小する錐台状の基体部と、
    前記基体部の小径側に設けられて両端が開口する貫通状管部と、
    前記基体部の大径側に設けられて前記パネルの表面に係合して抜け止めする抜止部と、
    前記基体部の大径の端部と前記抜止部との間に設けられて前記貫通孔の内周縁が係合するパネル係合溝と、
    前記基体部の内側に設けられ、前記パネルの貫通孔に取り付ける際に押し込む押込部と、を備え、
    前記押込部を押し込んで前記パネルの貫通孔に取り付ける際に、前記基体部の体積歪みが0.3~0.5となるように形成されている
    ことを特徴とするグロメット。
  2. 前記押込部は、前記基体部においてパネルの貫通孔に挿通される大径側の端部から押込面までの押し込み方向の間隔が-1mm~+5mmの範囲となるように形成されていることを特徴とする請求項1記載のグロメット。
  3. 前記基体部は、JIS K6253に基づく硬度が50~80の範囲となる弾性ゴムにより形成されていることを特徴とする請求項1または2記載のグロメット。
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