JP7328772B2 - 配管用部材 - Google Patents
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Description
前記ゴム輪本体においてゴム輪径方向内側に形成されたゴム輪周方向に延在するフラップ部であって、前記第1面側から前記第2面側に向かって傾斜しながら延びるフラップ部と、
前記フラップ部においてゴム輪径方向内側を向く第1傾斜面に形成された被膜であって、固体湿潤剤及びバインダー樹脂を含む被膜と
を備えることを特徴とする。
本発明の1つの態様は、ゴム輪径方向に沿う第1面及び第2面を有するゴム輪本体と、前記ゴム輪本体においてゴム輪径方向内側に形成されたゴム輪周方向に延在するフラップ部であって、前記第1面側から前記第2面側に向かって傾斜しながら延びるフラップ部と、前記フラップ部においてゴム輪径方向内側を向く第1傾斜面に形成された被膜であって、固体湿潤剤及びバインダー樹脂を含む被膜とを備える、ゴム輪である。
以下に、本発明のゴム輪を、図を参照しながら詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
図1は、本発明のゴム輪の一例の断面図であり、図2は、図1において丸で囲んだ領域Aの拡大図である。図示例のゴム輪1は、環状のゴム輪本体2と、ゴム輪本体2においてゴム輪径方向内側に形成されたゴム輪周方向に延在するフラップ部3と、フラップ部3においてゴム輪径方向内側を向く第1傾斜面4に形成された被膜5とを備える。図1及び図2においては、ゴム輪軸方向に平行な断面におけるゴム輪1の断面形状が示されるが、図示例のゴム輪1は、全周に亘って同一形状の断面を有する。
なお、本明細書において、ゴム輪径方向とは、ゴム輪の中心軸を中心とした円の径方向を意味し、ゴム輪周方向とは、該中心軸を中心とした円の円周方向を意味し、ゴム輪軸方向とは、該中心軸が延びる方向を意味する。図1においてゴム輪の中心軸Cを示す。また、ゴム輪径方向内側とは、ゴム輪径方向においてゴム輪の中心軸に近い側を意味し、ゴム輪径方向外側とは、ゴム輪径方向においてゴム輪の中心軸から遠い側を意味する。
なお、図示例のゴム輪本体2において、第1面6は、フラップ部3の第1傾斜面4と、ゴム輪本体2においてゴム輪径方向外側を向く面(外周面)8とを接続する面であり、第2面7は、後述する突条部9の表面と外周面8とを接続する面である。ここで、ゴム輪1が突条部9を備えていない場合においては、第2面7は、ゴム輪本体2においてゴム輪径方向内側を向く面(内周面)10と外周面8とを接続する面となる。
本発明のゴム輪が配管用部材に用いられる場合、フラップ部は、配管用部材の受口側から奥側に向かって縮径している。このような配管用部材に管が挿入されると、管との当接によりゴム輪が圧縮され、管とゴム輪の接合部において封止を達成することができるが、配管用部材の受口側から奥へと傾斜しながら延びるように縮径したフラップ部が存在することにより、確実で効果的なゴム輪の圧縮が可能となる。
なお、図示例のフラップ部3は、ゴム輪軸方向に平行な断面において先端面12に向けて先細りとなったテーパー面を形成するが、本発明のゴム輪においてフラップ部の形状はこれに限定されるものではない。
本発明のゴム輪においては、被膜を除く部分がゴムで構成されていることが好ましく、具体的にはゴム輪本体、フラップ部及び必要に応じて形成される突条部がゴムで構成されていることが好ましい。
また、本発明のゴム輪は、少なくともフラップ部の第1傾斜面に被膜が形成されることから、老化防止剤等の配合剤をゴム表面に滲出させる傾向にあるスチレンブタジエンゴムのようなゴム成分と比べて、クロロプレンゴムやエチレンプロピレンジエンゴムをゴム成分として用いることが好ましい。
本明細書において、固体潤滑剤の平均粒子径は、体積基準粒度分布の50%粒子径(D50)を指し、レーザ回折/散乱式粒度分布測定装置を用いて測定される粒度分布から求めることができる。そして、本明細書における粒子径は、レーザ回折・散乱法による球相当径で表される。
次に、本発明の配管用部材を詳細に説明する。本発明の配管用部材は、上述した本発明のゴム輪を備えることを特徴とする。なお、本発明の配管用部材は、通常、管又は継手等の他の配管用部材と接合するために他の配管用部材の挿し口が挿入される端部(受口)を備える。そして、本発明の配管用部材の受口側にはゴム輪受容部を設けており、上記ゴム輪は、ゴム輪本体の第1面が配管用部材の受口を向くように配置され、ゴム輪本体に形成されたフラップ部が配管用部材の受口側から奥へと傾斜しながら延びるように配置されている。このときのフラップ部は、配管用部材の受口側から奥側に向かって縮径している。
本発明の配管用部材では、上述した本発明のゴム輪を備えたことにより、挿入試験における挿入・引き抜き荷重がいずれも500N以下とされており、350N以下であることが好ましい。また、長期間使用したときの管の伸縮によるゴム輪表面への影響を想定した長期疲労試験後の挿入・引き抜き試験において、挿入・引き抜き荷重がいずれも500N以下とされており、350N以下であることが好ましい。
なお、本明細書において、継手径方向とは、継手の中心軸を中心とした円の径方向を意味し、継手周方向とは、該中心軸を中心とした円の円周方向を意味し、継手軸方向とは、該中心軸が延びる方向を意味する。ここで、継手の中心軸とは、継手の円形断面の中心を通る軸である。また、継手径方向内側とは、継手径方向において継手の中心軸に近い側を意味し、継手径方向外側とは、継手径方向において継手の中心軸から遠い側を意味する。
表1に示す材質で且つ図1~2に示す構造(但し、被膜を除く)のゴム輪(外径90mm)を常法に従い作製した。
表1に示す組成の被膜を形成するためのコーティング剤を常法に従い調製した。なお、コーティング剤の調製の際には、溶剤としてメチルエチルケトンを用いた。
次いで、表1に示すコーティング箇所にて表1に示す膜厚となるようにスプレー塗装によりゴム輪のコーティングを行い、その後、80℃にて8時間乾燥させ、被膜を有するゴム輪を作製した。
また、積水化学工業社製差込ソケット(呼び径75)にゴム輪を装着して図3に示す構造の試験用継手を用意し、以下の試験を行った。ここで、比較例1については、継手に装着されたゴム輪のフラップ部の第1傾斜面に水を塗布した。なお、継手に挿入するための管として、積水化学工業社製エスロンパイプ(呼び径75)を用いた。結果を表1に示す。
島津製作所社製一連型疲労試験機EHF-ED10-70Lを用いて、100mm/minの挿入速度で、継手の受口部の端部から管を挿入し、管の端面がゴム輪に当接している状態から、管の端面がゴム輪の先端面12を通過して管の側面がゴム輪に当接するまでの荷重(管端面)と、管の側面がゴム輪に当接してから管の端面がゴム輪の第2面を通過するまでの荷重(管側面)を測定した。
次に、100mm/minの引き抜き速度で管を引き抜いて、管の端面がゴム輪の第2面より下部にある状態から管の端面がゴム輪の先端面12を通過するまでの荷重(管側面)と、管の側面がゴム輪に当接している状態から管の端面がゴム輪と接触しなくなるまでの荷重(管端面)を測定した。
継手と管を接合してから、島津製作所社製一連型疲労試験機EHF-ED10-70Lを用いて、14mm×0.5minの挿入と引き抜きのサイクルを10,000回行う長期疲労試験を行った。
次いで、「(1)挿入・引き抜き試験」と同様に挿入・引き抜き試験を行い、荷重を測定した。
*2 PTFE:ポリテトラフルオロエチレン(平均粒子径4μm)
*3 黒鉛:グラファイト(平均粒子径2.5μm)
*4 バインダー樹脂:ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂
*5 EPDM:エチレンプロピレンジエンゴム
*6 CR:クロロプレンゴム
*7 SBR:スチレンブタジエンゴム
*8 コーティング箇所:第1傾斜面に「○」の付いた例は、図2に示すゴム輪の第1傾斜面4及び第1面6に被膜が形成されている。第1傾斜面及び第2傾斜面に「○」が付いた例は、ゴム輪の全面に被膜が形成されている。
実施例4は、第2傾斜面にコーティングが施されていないため、長期疲労試験後の挿入・引き抜き試験における荷重が実施例1~3に比べ大きくなった。
実施例5は、初期挿入・引き抜き試験は良好な結果であったが、ゴム輪のSBRから老化防止剤の影響により、長期疲労試験後の挿入・引き抜き試験における荷重が500Nよりも大きくなった。
比較例1は、初期挿入・引き抜き試験および長期疲労試験後の挿入・引き抜き試験における荷重がいずれも500Nよりも大きくなった。
2 ゴム輪本体
3 フラップ部
4 第1傾斜面
5 被膜
6 第1面
7 第2面
8 外周面
9 突条部
10 内周面
11 第2傾斜面
12 先端面
13 凹部
21 継手
22 挿し口部
23 受口部
24 中央部
25 継手本体
26 キャップ部
27 ゴム輪
28 係止構造
29a,29b,29c 補強フランジ
Claims (10)
- ゴム輪を備える配管用部材であって、
前記ゴム輪が、
ゴム輪径方向に沿う第1面及び第2面を有するゴム輪本体と、
前記ゴム輪本体においてゴム輪径方向内側に形成されたゴム輪周方向に延在するフラップ部であって、前記第1面側から前記第2面側に向かって傾斜しながら延びるフラップ部と、
前記フラップ部においてゴム輪径方向内側を向く第1傾斜面及びゴム輪径方向外側を向く第2傾斜面に形成された被膜であって、固体潤滑剤及びバインダー樹脂を含む被膜と
を備え、
前記配管用部材が、管が挿入される受口を備え、
前記管が前記配管用部材の受口から挿入されている場合に、挿入された前記管を伸縮可能に保持できるように、前記ゴム輪が、前記配管用部材の受口に配置されていることを特徴とする配管用部材。 - 前記被膜が、更に、前記フラップ部において前記第1傾斜面と前記第2傾斜面とを接続する先端面に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の配管用部材。
- 前記固体潤滑剤が、二硫化モリブデン、ポリテトラフルオロエチレン、グラファイト及び窒化ホウ素よりなる群から選択される少なくとも一種であることを特徴とする請求項1又は2に記載の配管用部材。
- 前記固体潤滑剤は、平均粒子径が0.1μm以上40μm以下であることを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の配管用部材。
- 前記バインダー樹脂が、ポリウレタン樹脂、水酸基含有フッ素樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン変性エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、及びポリアミドイミド樹脂よりなる群から選択される少なくとも一種であることを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載の配管用部材。
- 前記被膜は、膜厚が1μm以上100μm以下であることを特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載の配管用部材。
- 前記ゴム輪を構成するゴムが、クロロプレンゴム及びエチレンプロピレンジエンゴムのうち少なくとも一方を含むことを特徴とする請求項1~6のいずれか一項に記載の配管用部材。
- 前記ゴム輪が、更に、前記ゴム輪本体においてゴム輪径方向内側に形成されたゴム輪周方向に延在する突条部であって、前記フラップ部が固定されている前記ゴム輪本体の位置よりも前記第2面側に位置する突条部を備えることを特徴とする請求項1~7のいずれか一項に記載の配管用部材。
- 前記ゴム輪が、更に、前記ゴム輪本体においてゴム輪径方向外側に形成されたゴム輪周方向に延在する凹部を備えることを特徴とする請求項1~8のいずれか一項に記載の配管用部材。
- 前記第1面及び前記第2面がいずれも平坦であることを特徴とする請求項1~9のいずれか一項に記載の配管用部材。
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