JP7327716B1 - 銅被覆鋼線 - Google Patents

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Abstract

銅被覆鋼線は、オーステナイト系ステンレス鋼からなる芯線と、芯線の外周面を覆い、Niからなる第1被覆層と、第1被覆層の外周面を覆い、銅または銅合金からなる第2被覆層と、を備える。芯線は、外周面を構成するように配置され、1μm以上10μm以下の厚みを有し、オーステナイト組織の体積率が80%以上であるオーステナイト層と、オーステナイト層の内周側に配置され、マルテンサイト組織の体積率が80%以上であるマルテンサイト層と、を含む。

Description

本開示は、銅被覆鋼線に関するものである。
本出願は、2022年5月30日出願の日本出願第2022-87545号に基づく優先権を主張し、前記日本出願に記載された全ての記載内容を援用するものである。
電線において強度および導電性の両立が求められる場合、鋼からなる芯線と、銅(Cu)または銅合金からなる被覆層とを含む銅被覆鋼線が採用される場合がある(たとえば、特開平1-289021号公報(特許文献1)、特開2002-270039号公報(特許文献2)および特開2020-021620号公報(特許文献3)参照)。鋼からなる芯線が強度の向上に寄与し、銅または銅合金からなる被覆層が高い導電性を担う。
特開平1-289021号公報 特開2002-270039号公報 特開2020-021620号公報
本開示に従った銅被覆鋼線は、オーステナイト系ステンレス鋼からなる芯線と、芯線の外周面を覆い、Niからなる第1被覆層と、第1被覆層の外周面を覆い、銅または銅合金からなる第2被覆層と、を備える。芯線は、外周面を構成するように配置され、1μm以上10μm以下の厚みを有し、オーステナイト組織の体積率が80%以上であるオーステナイト層と、オーステナイト層の内周側に配置され、マルテンサイト組織の体積率が80%以上であるマルテンサイト層と、を含む。
図1は、銅被覆鋼線の構造を示す概略図である。 図2は、銅被覆鋼線の構造を示す概略断面図である。 図3は、銅被覆鋼線の製造方法の概略を示すフローチャートである。 図4は、圧縮試験において剥離が発生しなかったサンプルの断面の一例を示す写真である。 図5は、圧縮試験において剥離が発生したサンプルの断面の一例を示す写真である。
[本開示が解決しようとする課題]
上記銅被覆鋼線の使用環境によっては、耐食性が必要となる場合がある。この場合、芯線を構成する鋼として耐食性に優れたオーステナイト系ステンレス鋼を採用することができる。このとき、芯線の表面にニッケル(Ni)からなる第1被覆層を形成し、第1被覆層上に銅または銅合金からなる第2被覆層を形成する。オーステナイト系ステンレス鋼からなる芯線の表面は、不働態膜で覆われている。そのため、芯線の表面に直接銅または銅合金からなる被覆層を形成すると、芯線と被覆層との間の十分な密着性が得られない。オーステナイト系ステンレス鋼からなる芯線および銅または銅合金からなる第2被覆層の両方と密着可能なニッケルからなる第1被覆層を採用することにより、芯線から被覆層が剥離することを抑制することができる。
しかし、上記ニッケルからなる第1被覆層を採用した場合でも、圧着端子にて銅被覆鋼線を加締める場合、芯線から被覆層が剥離する場合がある。圧着端子との接続は、簡易的な接続方法として、銅被覆鋼線にとって重要である。被覆層の剥離が発生した場合、圧着端子との接続部分における強度の低下、芯線の隙間腐食などが懸念される。
そこで、耐食性を有し、強度および導電性の両立を達成するとともに、圧着端子との接続時における被覆層の剥離を抑制することが可能な銅被覆鋼線を提供することを本開示の目的の1つとする。
[本開示の効果]
上記銅被覆鋼線によれば、耐食性を有し、強度および導電性の両立を達成するとともに、圧着端子との接続時における被覆層の剥離を抑制することが可能な銅被覆鋼線を提供することができる。
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。本開示の銅被覆鋼線は、オーステナイト系ステンレス鋼からなる芯線と、芯線の外周面を覆い、Niからなる第1被覆層と、第1被覆層の外周面を覆い、銅または銅合金からなる第2被覆層と、を備える。芯線は、外周面を構成するように配置され、1μm以上10μm以下の厚みを有し、オーステナイト組織の体積率が80%以上であるオーステナイト層と、オーステナイト層の内周側に配置され、マルテンサイト組織の体積率が80%以上であるマルテンサイト層と、を含む。
本発明者らは、圧着端子との接続時における被覆層の剥離を抑制する方策について検討を行った。その結果、通常は伸線加工によってマルテンサイト組織(加工誘起マルテンサイト組織)が主体の組織となっている芯線の表層部をオーステナイト組織主体の組織とすることにより、被覆層の剥離を抑制できることを見出した。これは、以下のような理由によるものと考えることができる。通常は伸線加工によって芯線の表層部が加工誘起マルテンサイト組織主体の組織となっている。加工誘起マルテンサイト組織の結晶構造は体心正方格子であり、格子定数は0.284~0.296nm(2.84~2.96Å)である。これに対し、第1被覆層を構成するNiの結晶構造は面心立方格子であり、格子定数は0.352nm(3.52Å)である。このように、芯線の表層部と第1被覆層との間で結晶構造が異なり、格子定数の差も大きいことが、圧着端子との接続時における被覆層の剥離の原因となっているものと考えられる。一方、オーステナイト組織の結晶構造は面心立方格子であり、格子定数は0.364nm(3.64Å)である。芯線の表層部をオーステナイト組織主体の組織とすることにより、芯線の表層部と第1被覆層との間で結晶構造が一致し、格子定数の差も小さくなることで、圧着端子との接続時における被覆層の剥離が抑制される。
本開示の銅被覆鋼線においては、芯線を構成する鋼としてオーステナイト系ステンレス鋼が採用されることにより、優れた耐食性が確保される。また、鋼製の芯線、特に強度の高いマルテンサイト層が、強度の向上に寄与する。さらに、銅または銅合金からなる第2被覆層が、高い導電性を担う。そして、芯線の外周面を構成するように、1μm以上10μm以下の厚みを有し、オーステナイト組織の体積率が80%以上であるオーステナイト層が配置される。これにより、圧着端子との接続時における被覆層の剥離が抑制される。このように、本開示の銅被覆鋼線によれば、耐食性を有し、強度および導電性の両立を達成するとともに、圧着端子との接続時における被覆層の剥離を抑制することができる。
上記銅被覆鋼線において、芯線の外径は0.05mm以上1mm以下であってもよい。芯線の外径が0.05mm未満の場合、芯線に占めるオーステナイト層の割合が大きくなる。その結果、十分な強度を確保することが難しくなる。一方、芯線の外径が1mmを超える場合、オーステナイト層の厚みを1μm以上10μm以下となるような製造条件の設定が難しくなる。芯線の外径を0.05mm以上1mm以下とすることにより、十分な強度を有する上記銅被覆鋼線を製造することが容易となる。なお、本願において「線径」とは、長手方向に垂直な断面が円形である場合、その直径を意味する。上記断面が円径以外である場合、断面に外接する円の直径を意味する。
上記銅被覆鋼線において、第1被覆層の厚みは0.001μm以上50μm以下であってもよい。第1被覆層の厚みを0.001μm以上とすることにより、第2被覆層との密着性をより確実に得ることができる。一方、第1被覆層の厚みについては、50μmを超えて厚くしても効果が飽和する。そのため、第1被覆層の厚みは50μm以下とすることが好ましく、30μm以下としてもよい。より確実に第2被覆層との密着性を得る観点から、第1被覆層の厚みは0.015μm以上とすることが好ましい。
上記銅被覆鋼線の引張強さは600MPa以上2500MPa以下であってもよい。引張強さを600MPa以上することにより、銅被覆鋼線として、特に電線として使用される銅被覆鋼線として十分な強度を得ることが容易となる。引張強さを2500MPa以下とすることにより、十分な靱性を確保することが容易となる。上記銅被覆鋼線の引張強さは、900MPa以上であることが好ましい。上記銅被覆鋼線の引張強さは、2200MPa以下であることが好ましい。
上記銅被覆鋼線の導電率は20%IACS以上80%IACS以下であってもよい。このようにすることにより、特に電線として使用することに適した銅被覆鋼線を得ることが容易となる。
上記銅被覆鋼線において、芯線を構成するオーステナイト系ステンレス鋼は、JIS規格SUS301(SUS301-CSP)、SUS304またはSUS316であってもよい。強度および耐食性等の観点から、SUS301、SUS304およびSUS316は、芯線を構成する材料として好適である。なお、本願において、上記オーステナイトステンレス鋼とは、JIS規格(Japan Industrial Standard)のJIS G4308およびJIS G4313に規定される成分組成を有する鋼を意味する。
[本開示の実施形態の詳細]
次に、本開示にかかる銅被覆鋼線の実施の形態を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、以下の図面において同一または相当する部分には同一の参照番号を付しその説明は繰返さない。
図1は、銅被覆鋼線の構造を示す概略図である。図2は、銅被覆鋼線の構造を示す概略断面図である。図2は、銅被覆鋼線の長手方向に垂直な面における断面図であって、第1被覆層の近傍を拡大して示す。
図1および図2を参照して、本実施の形態における銅被覆鋼線1は、芯線10と、第1被覆層30と、第2被覆層20とを備える。銅被覆鋼線1の長手方向に垂直な断面の形状は円形である。芯線10は、オーステナイト系ステンレス鋼からなる。芯線10を構成するオーステナイト系ステンレス鋼としては、たとえばSUS301、SUS304またはSUS316を採用することができる。芯線10の外径は、たとえば0.05mm以上1mm以下とすることができる。芯線10の長手方向に垂直な断面の形状は円形である。
第1被覆層30は、芯線10の外周面10Aを全域にわたって覆うように配置されている。第1被覆層30は、内周面30Aにおいて、芯線10の外周面10Aに接触している。第1被覆層30は、Niから構成される。第1被覆層30の厚みは、たとえば0.001μm以上50μm以下とすることができる。第1被覆層30は、たとえばめっきにより形成されためっき層であってもよい。本実施の形態において、第2被覆層20は、純Niからなっている(Niおよび不可避的不純物からなっている)。
第2被覆層20は、第1被覆層30の外周面30Bを全域にわたって覆うように配置されている。第2被覆層20は、内周面20Aにおいて第1被覆層30の外周面30Bと接触している。第2被覆層20は、CuまたはCu合金から構成される。第2被覆層20の厚みは、たとえば5μm以上150μm以下とすることができる。第2被覆層20は、たとえばめっきにより形成されためっき層であってもよい。第2被覆層20は、Cuめっき層であってもよい。すなわち、第2被覆層20は、純銅からなっていてもよい(銅および不可避的不純物からなっていてもよい)。本実施の形態において、第2被覆層20が、銅被覆鋼線1の表面(外周面)を構成している。他の実施の形態においては、銅被覆鋼線1の表面(外周面)を構成するように、金、銀、スズ、パラジウムおよびニッケルからなる群から選択される1以上の金属からなる表面層が形成されていてもよい。
図2を参照して、芯線10は、オーステナイト層12と、マルテンサイト層11とを含んでいる。オーステナイト層12は、芯線10の外周面10Aを構成するように配置されている。芯線10の外周面10Aは、全域にわたってオーステナイト層12により構成されている。オーステナイト層12は、オーステナイト組織の体積率が80%以上の層である。オーステナイト層12の厚みは、1μm以上10μm以下である。
マルテンサイト層11は、オーステナイト層12の内周側に配置されている。マルテンサイト層11は、マルテンサイト組織の体積率が80%以上の層である。マルテンサイト層11とオーステナイト層12との間には、マルテンサイト組織の体積率およびオーステナイト組織の体積率がいずれも80体積%未満である中間層が形成されていてもよい。本実施の形態において、マルテンサイト層11は、オーステナイト層12の内周側(または中間層の内周側)の全域を構成している。マルテンサイト層11は、芯線10のコアを構成している。マルテンサイト層11は、芯線10のうち、80体積%以上を占めることが好ましい。なお、マルテンサイト層11およびオーステナイト層12の存在は、たとえば芯線10の長手方向に垂直な断面に対してX線回折による分析を行い、オーステナイト組織に対応するピークおよびマルテンサイト組織に対応するピークから確認することができる。
本実施の形態の銅被覆鋼線1においては、芯線10を構成する鋼としてオーステナイト系ステンレス鋼が採用されることにより、優れた耐食性が確保されている。また、鋼製の芯線10、特に強度の高いマルテンサイト層11が、強度の向上に寄与している。さらに、銅または銅合金からなる第2被覆層20が、高い導電性を担う。そして、芯線10の外周面10Aを構成するように、オーステナイト層12が配置されている。これにより、圧着端子との接続時における被覆層20,30の剥離が抑制される。このように、本実施の形態の銅被覆鋼線1は、耐食性を有し、強度および導電性の両立を達成するとともに、圧着端子との接続時における被覆層の剥離を抑制することが可能な銅被覆鋼線となっている。
銅被覆鋼線1の引張強さは、600MPa以上2500MPa以下であることが好ましい。引張強さを600MPa以上することにより、銅被覆鋼線として、特に電線として使用される銅被覆鋼線として十分な強度を得ることが容易となる。引張強さを2500MPa以下とすることにより、十分な靱性を確保することが容易となる。
銅被覆鋼線1の導電率は、20%IACS以上80%IACS以下であることが好ましい。このようにすることにより、銅被覆鋼線1を、特に電線として使用することに適したものとすることができる。
次に、銅被覆鋼線1の製造方法の一例について、主に図3に基づいて説明する。図3を参照して、本実施の形態の銅被覆鋼線1の製造方法においては、まず工程S10として原料鋼線準備工程が実施される。この工程S10では、芯線10となるべき原料鋼線が準備される。具体的には、たとえばJIS規格SUS301、SUS304またはSUS316に対応する成分組成を有する鋼線が準備される。原料鋼線の外径は、たとえば0.1mm以上2mm以下とすることができる。
次に、工程S20として伸線工程が実施される。この工程S20では、工程S10において準備された原料鋼線に対して伸線加工(引抜き加工)が実施される。工程S20の伸線加工における加工度(減面率)は、たとえば90%以上98%以下とすることができる。伸線加工は、複数回に分けて実施してもよい。
この工程S20において、マルテンサイト層11およびオーステナイト層12が形成される。工程S10において準備される原料鋼線は、全域にわたってオーステナイト組織が主体の組織を有している。上記の通り、工程S20における減面率を高い値とすることにより、芯部を含む領域をマルテンサイト層11とすることができる。一方、オーステナイト層12を形成するためには、工程S20において原料鋼線の表面を通常よりも高温、具体的には200℃以上として、表層部における加工誘起マルテンサイト変態を抑制する必要がある。原料鋼線の表面を200℃以上とするためには、たとえば複数回に分けて伸線加工を実施する場合の1回あたりの減面率を大きくする、伸線に用いるダイスのダイス半角を加工が可能な範囲で大きくする、伸線速度を加工が可能な範囲で大きくする等の加工条件の調整を実施してもよい。また、別途準備した加熱手段によって原料鋼線の表面温度を調整してもよい。以上のように工程S20を実施することにより、マルテンサイト層11とオーステナイト層12とを含む芯線10を得ることができる。
次に、工程S30として第1被覆層形成工程が実施される。この工程S30では、工程S20において得られた芯線10の表面を覆うように、Niからなる第1被覆層30が形成される。具体的には、たとえばNiストライクめっきにより、所望の厚みを有する第1被覆層30を形成することができる。
次に、工程S40として第2被覆層形成工程が実施される。この工程S40では、工程S30において形成された第1被覆層30の表面を覆うように、CuまたはCu合金からなる第2被覆層20が形成される。具体的には、たとえばCuめっきを実施することにより、所望の厚みを有する第2被覆層20を形成することができる。以上の手順により、本実施の形態の銅被覆鋼線1を容易に製造することができる。
本開示の銅被覆鋼線において、圧着端子との接続を想定した加工を実施した際の被覆層の剥離の発生について確認する実験を行った。実験の手順は以下の通りである。
まず、上記実施の形態と同様の手順にて銅被覆鋼線1を作製した。原料鋼線として、JIS規格SUS304製の鋼線を準備した。第2被覆層20としては、純Cu層をめっきにて形成した。芯線10の外径、第2被覆層20の厚みを変化させた複数のサンプルを作製した(実施例)。一方、工程S20における伸線加工の条件を変更し、オーステナイト組織の体積率が80%以上であるオーステナイト層12が存在しないサンプルも作製した(比較例)。そして、各サンプルの導電率、引張強さおよび芯線10の外周面10Aから5μmの深さにおけるオーステナイト組織の割合を確認するとともに、銅被覆鋼線1の圧縮試験を実施した。圧縮試験は、銅被覆鋼線1を径方向に圧縮し、高さが元の外径の40%となった時点で荷重を解除する条件にて実施した。そして、圧縮試験後における被覆層30,20の剥離の有無を観察した。
図4は、圧縮試験において剥離が発生しなかったサンプルの断面の一例を示す写真である。図5は、圧縮試験において剥離が発生したサンプルの断面の一例を示す写真である。図4および図5を参照して、図4のように芯線10と第2被覆層20との間に隙間Gが形成されていないものを剥離無し、図5のように隙間Gが形成されているものを剥離あり、と判定した。実験の条件および結果を表1に示す。
Figure 0007327716000001
表1を参照して、サンプルA~Iが本開示の実施例、サンプルJ~Lが本開示の条件を満たさない比較例に対応する。導電率については、導電性を純Cu製の第2被覆層20が担うことから、銅被覆鋼線1の長手方向に垂直な断面における第2被覆層20の面積率に依存した導電率となっていることが確認された。また、引張強さについては、引張強さを芯線10が担うことから、芯線10の外径に依存した引張強さとなっていることが確認された。そして、芯線10がオーステナイト層12を有さないサンプルJ~Lにおいては、圧縮試験において剥離が発生した一方で、芯線10がオーステナイト層12を有するサンプルA~Iについては、線径、導電率、引張強さに関わらず、剥離が発生しなかった。このことから、本開示の銅被覆鋼線によれば、芯線10がオーステナイト層12を有することにより、圧着端子との接続時における被覆層の剥離を抑制できることが確認された。
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって、どのような面からも制限的なものではないと理解されるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなく、請求の範囲によって規定され、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1 銅被覆鋼線、10 芯線、10A 外周面、11 マルテンサイト層、12 オーステナイト層、20 第2被覆層、20A 内周面、30 第1被覆層、30A 内周面、30B 外周面、G 隙間。

Claims (6)

  1. オーステナイト系ステンレス鋼からなる芯線と、
    前記芯線の外周面を覆い、Niからなる第1被覆層と、
    前記第1被覆層の外周面を覆い、銅または銅合金からなる第2被覆層と、を備え、
    前記芯線は、
    外周面を構成するように配置され、1μm以上10μm以下の厚みを有し、オーステナイト組織の体積率が80%以上であるオーステナイト層と、
    前記オーステナイト層の内周側に配置され、マルテンサイト組織の体積率が80%以上であるマルテンサイト層と、を含む、銅被覆鋼線。
  2. 前記芯線の外径は0.05mm以上1mm以下である、請求項1に記載の銅被覆鋼線。
  3. 前記第1被覆層の厚みは0.001μm以上50μm以下である、請求項1に記載の銅被覆鋼線。
  4. 前記銅被覆鋼線の引張強さは600MPa以上2500MPa以下である、請求項1に記載の銅被覆鋼線。
  5. 前記銅被覆鋼線の導電率は20%IACS以上80%IACS以下である、請求項1に記載の銅被覆鋼線。
  6. 前記芯線を構成する前記オーステナイト系ステンレス鋼は、JIS規格SUS301、SUS304またはSUS316である、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の銅被覆鋼線。
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