JP7327133B2 - 車両の運動制御装置 - Google Patents

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Description

本開示は、車両の運動制御装置に関する。
特許文献1には、「特にセンサ等を付加することなく、路面のカントに応じた正確な目標ヨーレイトの補正を行うことができ、精度良く車両の挙動制御を行う」ことを目的に、「目標ヨーレイト補正部15では、車両が横に傾斜した傾斜路面を走行中であるか否かを判定し、傾斜路面走行中であれば、検出した横加速度と予め求めておいた車両のロール特性とに基づき実際に生じている横加速度を、ロール運動による誤差成分を除いて正確に推定し、これら横加速度を基に路面のカントの影響で小さくなると予想される横加速度を基としたヨーレイトを演算する。そして、この横加速度を基とするヨーレイトと検出される実ヨーレイトとから路面のカントによる目標ヨーレイトに対する影響を目標ヨーレイト補正量として推定し、この目標ヨーレイト補正量を用いて目標ヨーレイト算出部14からの目標ヨーレイトを補正する」ことが記載されている。
ところで、路面外乱(例えば、路面の凹凸や勾配)において、或る特定の操舵操作が行われると、車両安定性制御(所謂、ESC)が不必要に開始され、車両挙動が振動的になる状況(「揺動」という)が稀に生じ得る。この様な状況に対応するよう、車両安定性制御の制御パラメータと適合すると、路面外乱のない通常路面での性能確保がされ難い。即ち、上記の外乱を有する路面(外乱路面)での揺動の抑制と、通常路面での性能向上とはトレードオフの関係にある。車両安定性制御を実行可能な車両の運動制御装置においては、該トレードオフ関係が両立され得るものが望まれている。
特開2001-138886号
本発明の目的は、車両安定性制御が実行される車両の運動制御装置において、外乱路面での揺動抑制と通常路面での性能確保とが両立され得るものを提供することである。
本発明に係る車両の運動制御装置は、車両のヨーレイト(Yr)、及び、前記車両の横加速度(Gy)に基づいて、前記車両の旋回外側に位置する前輪(WHsf)の制動力(Fxsf)を増加して、前記車両の安定性を向上する安定性制御(ESC)を実行するものであって、前記車両が旋回し、前記安定性制御が実行され、前記車両の操舵操作部材(SW)が保舵されている場合に、前記ヨーレイト(Yr)の極大値(Px)と前記ヨーレイト(Yr)の極小値(Pz)との偏差(hP)を演算し、前記偏差(hP)が所定偏差(hx)以上になった回数である揺動回数(Ny)が所定回数(nx)に達した場合に前記制動力(Fxsf)が小さくなるように修正する。
上記構成によれば、路面外乱に起因する不必要な制動力Fxsfの増加が抑制されるため、外乱路面での車両の揺動が適切に抑制されるともに、通常路面での安定性制御の性能が十分に確保され得る。
本発明に係る車両の運動制御装置CSを搭載した車両の全体構成図である。 揺動抑制制御を含む車両安定性制御の演算処理を説明するためのフロー図である。 揺動抑制制御の作動を説明するための時系列線図である。
<構成部材等の記号、記号末尾の添字、及び、移動方向>
以下の説明において、「CW」等の如く、同一記号を付された構成部材、演算処理、信号、特性、及び、値は、同一機能のものである。各種記号の末尾に付された添字「i」~「l」は、それが何れの車輪に関するものであるかを示す包括記号である。具体的には、「i」は右前輪、「j」は左前輪、「k」は右後輪、「l」は左後輪を示す。例えば、4つの各ホイールシリンダにおいて、右前輪ホイールシリンダCWi、左前輪ホイールシリンダCWj、右後輪ホイールシリンダCWk、及び、左後輪ホイールシリンダCWlと表記される。更に、記号末尾の添字「i」~「l」は省略され得る。添字「i」~「l」が省略された場合には、各記号は、4つの各車輪の総称を表す。例えば、「WH」は各車輪、「CW」は各ホイールシリンダを表す。
記号末尾の添字「f」、「r」は、車両の前後方向において、それが何れに関するものであるかを示す包括記号である。具体的には、「f」は前輪、「r」は後輪を示す。例えば、車輪において、前輪WHf、及び、後輪WHrと表記される。更に、記号末尾の添字「f」、「r」は省略され得る。添字「f」、「r」が省略された場合には、各記号は、その総称を表す。例えば、「WH」は、4つの各車輪を表す。
<本発明に係る車両の運動制御装置の全体構成>
図1の全体構成図を参照して、本発明に係る運動制御装置CSの実施形態について説明する。運動制御装置CSを備える車両には、制動操作部材BP、操舵操作部材SW、ブレーキキャリパCP、ホイールシリンダCW、回転部材KT、及び、摩擦部材MSが備えられる。
制動操作部材(例えば、ブレーキペダル)BPは、運転者が車両を減速させるために操作する部材である。制動操作部材BPが操作されることによって、車輪WH(=WHi~WHl)に対する制動トルクが調整され、車輪WHに制動力Fx(=Fxi~Fxl)が発生される。
操舵操作部材(例えば、ステアリングホイール)SWは、運転者が車両を旋回させるために操作する部材である。操舵操作部材SWが操作されることによって、操向車輪(例えば、前輪WHf)に操舵角が付与され、車輪WHに横力が発生され、車両が旋回される。
車両の各車輪WHには、回転部材(例えば、ブレーキディスク)KT(=KTi~KTl)が固定され、これを挟み込むようにブレーキキャリパCP(=CPi~CPl)が配置されている。ブレーキキャリパCPには、ホイールシリンダCW(=CWi~CWl)が設けられる。ホイールシリンダCW内の液圧(制動液圧)Pw(=Pwi~Pwl)が調整(増減)されることによって、摩擦部材(例えば、ブレーキパッド)MSが、回転部材KTに押し付けられ、押圧力が発生する。回転部材KTと車輪WHとは、一体となって回転するように固定されている。このため、押圧力にて生じる摩擦力によって、車輪WHに制動トルク(結果、制動力Fx)が発生される。
≪運動制御装置CS≫
運動制御装置CSは、制動操作量センサBA、操舵角センサSA、車輪速度センサVW、ヨーレイトセンサYR、前後加速度センサGX、横加速度センサGY、制動アクチュエータ(単に、「アクチュエータ」ともいう)BR、及び、コントローラECUにて構成される。
制動操作部材(ブレーキペダル)BPの操作量Baを検出するよう、制動操作量センサBAが設けられる。具体的には、制動操作量センサBAとして、マスタシリンダCM内の液圧(マスタシリンダ液圧)を検出するマスタシリンダ液圧センサ、制動操作部材BPの操作変位を検出する操作変位センサ、及び、制動操作部材BPの操作力を検出する操作力センサのうちの少なくとも1つが採用される。つまり、制動操作量Baは、マスタシリンダ液圧、制動操作変位、及び、制動操作力のうちの少なくとも1つに基づいて決定される。
操向車輪(例えば、前輪WHf)の操舵角を検出するよう、例えば、操舵操作部材SWの回転角度(操舵角)Saを検出する操舵角センサSAが設けられる。操舵角Saは、車両の直進走行に対応する操舵中立位置「Sa=0」からの回転角度である。例えば、操舵角Saでは、左旋回方向が正符号(+)で、右旋回方向が負符号(-)で表現される。
車両の各車輪WHには、車輪WHの回転速度である車輪速度Vwを検出する車輪速度センサVWが備えられる。また、車両には、車両の実際のヨーレイト(ヨー角速度)Yrを検出するヨーレイトセンサYR、車両の前後方向における加速度(前後加速度)Gxを検出する前後加速度センサGX、及び、車両の横方向における加速度(横加速度)Gyを検出する横加速度センサGYが設けられる。
制動アクチュエータ(単に、「アクチュエータ」ともいう)BRは、ホイールシリンダCWに、制動配管HK(=HKi~HKl)を介して接続されている。アクチュエータBRは、マスタシリンダCM、及び、流体ユニットHUにて構成される。例えば、流体ユニットHUは、複数の電磁弁、流体ポンプ、電気モータ等を含んで構成される。
後述する揺動抑制制御を含む車両安定性制御の非実行時には、アクチュエータBR(特に、マスタシリンダCM)によって、運転者による制動操作部材BPの操作に応じた制動液圧Pwが、各車輪WHのホイールシリンダCWに、夫々、供給される。そして、各車輪WHに対して、制動操作部材(ブレーキペダル)BPの操作量Baに応じた制動トルクが付与される。結果、車輪WHに制動力Fxが発生される。
アンチロックブレーキ制御、トラクション制御、車両安定性制御等の制動制御の実行時には、アクチュエータBR(特に、流体ユニットHU)によって、制動操作部材BPの操作とは独立して、ホイールシリンダCW毎で制動液圧Pwが制御される。即ち、各車輪WHの制動力Fxが、独立して調整される。
車両には、アクチュエータBR、及び、上記の各種センサ(ヨーレイトセンサYR等)と電気的に接続された電子制御ユニットECU(「コントローラ」ともいう)が備えられる。コントローラECUは、通信バスBSを介して、他の制御システムのコントローラと接続される。各種センサの信号(センサ値)、及び、各コントローラ内で演算された信号(演算値)は、通信バスBSを介して共有されている。
コントローラECUによって、アクチュエータBRが制御される。コントローラECBには、制動操作量Ba、操舵角Sa、車輪速度Vw、ヨーレイトYr、前後加速度Gx、横加速度Gy等の信号が入力される。コントローラECUでは、マイクロプロセッサ内にプログラムされた制御アルゴリズムに基づいて、上記の制動制御(車両安定性制御等)を実行するよう、流体ユニットHUに駆動信号Huを指示する。この駆動信号Huによって、流体ユニットHU内の電気モータ、電磁弁が駆動され、制動制御が実行される。
<揺動抑制制御を含む車両安定性制御の演算処理>
図2のフロー図を参照して、揺動抑制制御を含む車両安定性制御(単に、「安定性制御」ともいう)の演算処理について説明する。「安定性制御」は、ヨーレイトYr、及び、横加速度Gyに基づいて、車両の旋回外側に位置する前輪WHsfの制動力Fxsfを増加して、過度のオーバステア挙動を抑制して車両安定性を向上する公知の制動制御である。「揺動抑制制御」は、安定性制御の実行中に、路面外乱等に起因して発生する車両の揺動(周期的なヨー方向の動き)を抑制するものである。換言すれば、揺動抑制制御は、安定性制御の実行開始後に実行される制御である。これらの演算処理は、コントローラECU(電子制御ユニット)内のマイクロプロセッサにプラグラムされている。
ステップS110にて、操舵角センサSA、車輪速度センサVW、ヨーレイトセンサYR、横加速度センサGY、等の検出信号(操舵角Sa、車輪速度Vw、ヨーレイトYr、横加速度Gy等)が読み込まれる。
ステップS120にて、車両運動に係る各種の状態量(状態変数)が演算される。具体的には、車輪速度Vw、及び、公知の演算方法に基づいて、車体速度Vxが演算される。また、車体速度Vx、ヨーレイトYr、横加速度Gy、操舵角Sa、及び、公知の演算方法に基づいて、ヨーレイト偏差hY、横滑り角β、及び、横滑り角速度dβが演算される。ここで、横滑り角βは、車両(車体)の向きと、その進行方向とのなす角度である。また、横滑り角速度dβは、横滑り角βの時間変化量である。なお、ヨーレイト偏差hYは、操舵角Sa、及び、車体速度Vxに基づいて演算される規範ヨーレイトYsと、ヨーレイトセンサYRによって検出される実際のヨーレイトYrとの偏差として演算される。
ステップS130にて、「車両安定性制御の実行が必要か、否か」が判定される。例えば、ヨーレイト偏差hYが所定値yx未満であり、過度のオーバステア挙動が発生していない場合には、ステップS130は否定され、処理は、ステップS110に戻される。一方、ヨーレイト偏差hYが所定値yx以上であり、過度のオーバステア挙動が発生している場合には、ステップS130は肯定され、処理は、ステップS140に進められる。ここで、所定値yxは、車両安定性制御の実行の要否を判定するためのしきい値であり、予め設定された定数である。
ステップS130の車両安定性制御の実行の要否は、操舵角偏差hSに基づいて判定されてもよい。ヨーレイトYrと操舵角Saとは、所定の関係があるため、ヨーレイトYrが操舵角Saの次元(物理量)に変換され、変換後の値(実際値)と操舵角Sa(規範値)との偏差が、操舵角偏差hSとして演算される。そして、「hS<sx」の場合には、ステップS130は否定され、処理は、ステップS110に戻される。一方、「hS≧sx」の場合には、ステップS130は肯定され、処理は、ステップS140に進められる。ここで、しきい角度sxは、車両安定性制御の要否判定のための所定値であり、予め設定された定数である。
ステップS140にて、横滑り角β、及び、横滑り角速度dβに基づいて、制御量Ftが演算される。制御量Ftは、車両を安定化(即ち、オーバステア、アンダステアを抑制)するために、各車輪に付与されるべき制動力Fxの目標値である。例えば、オーバステア挙動が発生している場合において、車両の旋回方向に対して外側に位置する前輪の制御量Ftsfは、以下の式(1)によって決定される。
Ftsf=Ka×β+Kb×dβ …式(1)
ここで、「Ka、Kb」は、予め設定された所定の係数(定数)である。つまり、制御量Ftsf(旋回外側前輪制動力Fxsfの目標値)は、「Ka×β(「横滑り角成分」という)」、及び、「Kb×dβ(「横滑り角速度成分」という)」に基づいて演算される。
車両安定性制御が対象とする最終的な状態量は、制動力Fxである。しかし、制動力Fxは、「制動液圧Pw」→「制動トルク」→「車輪スリップ」→「制動力Fx」の順で発生する。このため、制御量(目標値)Ftsfは、制動液圧Pwから制動力Fxに至るまでの何れの物理量(状態変数)で演算されてもよい。
ステップS150にて、「揺動抑制制御の実行が必要か、否か」が判定される。揺動抑制制御の実行は、「(条件1)車両が旋回中であること」、「(条件2)車両安定性制御が実行されていること」、及び、「(条件3)操舵操作部材SWが保舵状態であること」が前提とされて判定される。例えば、条件1は、「操舵角Saが所定角度sz以上であること」に基づいて判定される。また、条件3は、「操舵速度dS(操舵角Saの微分値)が所定速度dz未満である状態が、所定時間tdに亘って継続されたこと」に基づいて判定される。ここで、所定角度sz、所定速度dz、及び、所定時間tdは、予め設定された所定値(定数)である。なお、所定速度dz、及び、所定時間tdは、「0」に近い、僅かな値である。
更に、ステップS150では、ヨーレイトYrの極大値Px、及び、ヨーレイトYrの極小値Pzが演算される。そして、極大値Pxと極小値Pzとの偏差(「極値偏差」という)hPが演算される。そして、極値偏差hPが所定偏差hx以上となる回数(「揺動回数」という)Nyが演算(カウント)される。揺動抑制制御の実行は、揺動回数Nyに基づいて行われる。具体的には、揺動回数Nyが、所定回数nxに達した時点(即ち、「揺動回数Nyが所定回数nx以上であること」が満足される演算周期)で、揺動抑制制御の実行が行われる。ここで、所定偏差hx、所定回数nxは、予め設定された所定値(定数)である。なお、ヨーレイトYrに係る極大値Px、極小値Pzは、車両の旋回方向(即ち、ヨーレイトYrの符号)に対応して演算される。
上記の条件1~3、及び、「Ny≧nx」のうちの少なくとも1つが満足されない場合には、ステップS150は否定され、処理は、ステップS170に進められる。一方、条件1~3が満足された状態で、「Ny≧nx」が満足される場合には、ステップS150は肯定され、処理は、ステップS160に進められる。
ステップS160では、ステップS140にて演算された制御量Ftが、減少されて調整される。特に、ステップS160では、車両の旋回外側に位置する前輪WHsfに対応する制御量Ftsfが減少調整される。例えば、制御量Ftsfの減少調整が、ブロックX160の吹き出し部に示す様に、「Kb×dβ(横滑り角速度成分)」が減少されることによって達成されることが好適である。具体的には、ステップS140では、横滑り角速度dβの増加に従って、横滑り角速度成分は増加される(図中の実線を参照)。しかし、ステップS160では、横滑り角速度dβの増加に対する横滑り角速度成分(=Kb×dβ)の増加勾配(傾き)が減少される(図中の破線を参照)。このとき、横滑り角成分(=Ka×β)は、揺動抑制制御が実行されても、実行されなくとも同じであることが望ましい。即ち、制御量Ftsfの減少調整が、横滑り角速度成分の減少のみによって行われる。これは、路面外乱に起因するヨーレイトYrの変動が相対的に速く、横滑り角速度成分が減少されることが、揺動の抑制に効果的であることに基づく。
ステップS170では、ステップS140にて決定された制御量Ft(Ftsf等)、又は、ステップS160にて減少して調節された制御量Ft(Ftsf等)に基づいて、アクチュエータBRを介して、制動力Fxが調整(制御)される。制動力Fxは、上述した順にて発生されるため、制御量Ftが、制動液圧Pw、制動トルク、車輪スリップ、及び、制動力Fxのうちの何れかの物理量として演算され、目標値である制御量に対応する実際値が一致するようにサーボ制御される。例えば、図1に例示した液圧を利用する運動制御装置CSでは、ステップS140、又は、ステップS160にて、各車輪WHの目標液圧Ptが演算され、実際の制動液圧Pwが一致するようにサーボ制御が行われる。また、制動力Fxは、車輪スリップ(車輪回転方向のスリップ)に対して、概ね比例関係にあるため、制御量Ftとして、車輪スリップの目標値が演算され、実際の車輪スリップが、この目標値に一致するように、制動液圧Pwが制御されてもよい。
<揺動抑制制御の作動>
図3の時系列線図(時間Tに対する状態変数Sa、Yr等の変化を表す線図)を参照して、揺動抑制制御の作動について説明する。揺動抑制制御によって、車両安定性制御の実行中において、路面外乱に起因して発生する周期的なヨーイング変動(揺動)が抑制される。線図では、以下の状況が想定されている。
運転者によって、車両の走行中に、操舵操作部材SWが中立位置(車両の直進方向に相当し、「Sa=0」)に操作されている。時点t0にて、操舵操作部材SWが反時計回り方向に操作され、操舵角Saが増加される。そして、時点t1にて、操舵角Saが所定角度sz以上となる(即ち、上記の条件1が満足される)。時点t2にて、車両安定性制御の実行が開始される(即ち、上記の条件2が満足される)。時点t3にて、操舵操作部材SWが保舵され、操舵角Saが値saで一定となる。時点t3の直後(詳細には、時点t3から所定時間tdを経過後)に、操舵角Saに基づいて、「操舵操作部材SWが保舵状態であること」が判定される(即ち、上記の条件3が満足される)。なお、揺動回数Nyに関するしきい値である所定回数nxは、「2」に設定されている。
時点t0から、運転者の操舵操作部材SWに応じて、左旋回方向(正符号の方向)に、ヨーレイトYrが発生する。時点t2にて、路面外乱に起因して、車両安定性制御の実行が開始される。このため、旋回外側前輪WHsf(即ち、右前輪WHi)の制動力Fxiが増加される。時点t4にて、ヨーレイトYrは極大値Px4となるが、右前輪制動力Fxiの付与によって、時点t4以降は、ヨーレイトYrは減少される。ヨーレイトYrは、時点t5にて、極小値Pz5となり、再度、増加する。路面外乱によって引き起こされる制動力Fxsfによって、該状態が繰り返され、ヨーレイトYrの変動(揺動)が生じる。
ここで、ヨーレイト極大値(Px4等)、及び、ヨーレイト極小値(Pz5等)は、操舵操作部材SWの操舵方向(即ち、ヨーレイトYrの発生方向)に対応している。時系列線図では、左旋回方向を正符号としているため、ヨーレイトYrの極大値は正符号であり、極小値は、極大値よりも小さい値となる。例えば、右旋回方向の場合には、操舵角Sa、及び、ヨーレイトYrに係る線図は、上下が逆転されたものとなる。
ヨーレイトYrの極大値Px、及び、極小値Pzは、フィルタ処理された後のヨーレイトYrの時系列データに基づいて演算される。具体的には、ヨーレイトYrが増加している場合には、「Yr(n)>Yr(n-1)」から、「Yr(n)<Yr(n-1)」に切り替わった時点(演算周期)にて、ヨーレイトYr(n-1)が、ヨーレイト極大値Pxとして演算され記憶される。ここで、「n」は、演算周期を表し、「Yr(n)」は今回値、「Yr(n-1)」は前回値を表す。ヨーレイトYrの増加中と同様に、ヨーレイトYrが減少している場合には、「Yr(n)<Yr(n-1)」から、「Yr(n)>Yr(n-1)」に切り替わった時点(演算周期)にて、ヨーレイトYr(n-1)が、ヨーレイト極小値Pzとして演算され記憶される。
時点t5にて、ヨーレイト極大値Px4とヨーレイト極小値Pz5との極値偏差hP5が演算される。そして、極値偏差hP5が、所定偏差hxと比較される。この例では、極値偏差hP5は、所定偏差hx未満であるため、揺動回数Nyのカウントは行われず、揺動回数Nyは、「0」のままである。
時点t6にて、極大値Px6が演算される。時点t7にて、極小値Pz7が演算される。時点t7にて、極大値Px6と極小値Pz7との極値偏差hP7が演算され、所定偏差hxと比較される。この例では、極値偏差hP7は、所定偏差hx以上であるため、揺動回数Nyのカウントが行われ、揺動回数Nyは「1」にされる。
時点t8にて、極大値Px8が演算され、時点t9にて、極小値Pz9が演算される。時点t9にて、極大値Px8と極小値Pz9との極値偏差hP9が演算され、所定偏差hxと比較される。このとき、極値偏差hP9は、所定偏差hx以上であるため、揺動回数Nyは、「2」にされる。この例では、「nx=2」に設定されているため、時点t9にて、上記の条件1~3、及び、揺動回数Nyに係る条件が、全て満足される。即ち、ステップS150の判定が肯定され、旋回外側前輪WHsfに係る制御量(目標値)Ftsfが減少され、それに対応する実際の制動力Fxsfが減少される。このため、時点t9以降は、ヨーレイトYrの変動が抑制される(即ち、車両の揺動が抑制される)。
<作用・効果>
以下、本発明に係る運動制御装置CSの構成、及び、作用・効果についてまとめる。
運動制御装置CSでは、車両のヨーレイトYr、及び、車両の横加速度Gyに基づいて、車両の旋回外側に位置する前輪WHsfの制動力Fxsfを増加して、車両の安定性を向上する安定性制御(所謂、ESC)が実行される。そして、運動制御装置CSでは、車両が旋回し、安定性制御が実行され、車両の操舵操作部材SWが保舵されている場合に、ヨーレイトYrの極大値PxとヨーレイトYrの極小値Pzとの偏差hP(極値偏差)が演算される。この偏差hPが所定偏差hx以上になった回数である揺動回数Nyが所定回数nxに達した場合に(時点で)、車両の旋回外側前輪WHsfの制動力Fxsfが小さくなるように修正される。該制御が、揺動抑制制御である。
揺動抑制制御によって、路面外乱(例えば、路面の凹凸、路面の傾き)に起因する不必要な旋回外側前輪制動力Fxsfの増加が抑制されるため、車両のヨーイング変動が低減され得る。このため、外乱路面(凹凸や傾き等の路面外乱を有する走行路)での車両の揺動が適切に抑制されるともに、通常路面での車両安定性制御の性能が十分に確保され得る。なお、極値偏差hPは、突発的な外乱(横風、路面の段差等)によっても引き起こされるため、所定回数nxは、複数回(「2」以上の整数)に設定されることが望ましい。
運動制御装置CSでは、操舵操作部材SWの操舵角Saが、所定角度sz(予め設定された定数)以上の場合に揺動抑制制御の実行(制動力Fxsfの減少修正)が許可され、所定角度sz未満の場合には、それが禁止される。旋回の程度が小さい場合には、上記の不必要な制動力Fxsfの増加が僅かであることに基づく。
極値偏差hPが所定偏差hx以上になった初回時(即ち、「Ny=1」が演算された時点t7)から、リセット時間tzを経過した時点で、揺動回数Nyは「0」に戻される。ここで、リセット時間tzは、車両のヨーイング共振周波数に対応する時間(「ヨーイング周期」という)である。具体的には、リセット時間tzは、ヨーイング共振周波数の逆数でとして決定される予め設定された所定値(定数)である。一般的な車両では、ヨーイング共振周波数は、「1~1.5Hz」程度である。従って、リセット時間tzは、「0.67~1.0sec」程度に設定される。車両のヨーイング周期が長い場合には、車両の揺動が発生し難いことに基づく。
<他の実施形態>
以下、他の実施形態について説明する。他の実施形態においても、上記同様の効果を奏する。
上記実施形態では、ディスク型制動装置(ディスクブレーキ)の構成が例示された。この場合、摩擦部材MSはブレーキパッドであり、回転部材KTはブレーキディスクである。ディスク型制動装置に代えて、ドラム型制動装置(ドラムブレーキ)が採用され得る。ドラムブレーキの場合、キャリパCPに代えて、ブレーキドラムが採用される。また、摩擦部材MSはブレーキシューであり、回転部材KTはブレーキドラムである。
上記実施形態では、車輪WHに制動トルクを付与するアクチュエータBRとして、制動液を介した液圧式のものが例示された。これに代えて、電気モータによって駆動される、電動式のものが採用され得る。電動式のアクチュエータBRでは、電気モータの回転動力が、直線動力に変換され、これによって、摩擦部材MSが回転部材KTに押し付けられる。従って、制動液の圧力に依らず、電気モータによって、直接、制動トルクが発生される。さらに、前輪用が制動液を介した液圧式であり、後輪用が電動式である、複合型のアクチュエータBRが採用されてもよい。
CS…運動制御装置、ECU…コントローラ、BR…アクチュエータ、VW…車輪速度センサ、YR…ヨーレイトセンサ、GX…前後加速度センサ、GY…横加速度センサ、SA…操舵角センサ、BA…制動操作量センサ、Yr…ヨーレイト(検出値)、Px…ヨーレイト極大値、Pz…ヨーレイト極小値、hP…極値偏差、Vx…車体速度、Ny…揺動回数、Fxsf…旋回外側前輪の制動力。


Claims (1)

  1. 車両のヨーレイト、及び、前記車両の横加速度に基づいて、前記車両の旋回外側に位置する前輪の制動力を増加して、前記車両の安定性を向上する安定性制御を実行する車両の運動制御装置であって、
    前記車両が旋回し、前記安定性制御が実行され、前記車両の操舵操作部材が保舵されている場合に、
    前記ヨーレイトの極大値と前記ヨーレイトの極小値との偏差を演算し、
    前記偏差が所定偏差以上になった回数である揺動回数が所定回数に達した場合に前記制動力が小さくなるように修正する、車両の運動制御装置。



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* Cited by examiner, † Cited by third party
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