JP7326759B2 - GaN単結晶製造方法 - Google Patents
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[1]GaN単結晶製造方法であって、該製造方法は、単結晶GaN(0001)基板を準備するシード準備工程と、該単結晶GaN(0001)基板の(0001)表面上にHVPEでGaN結晶を成長させるHVPE工程とを有し、該HVPE工程では、ピット化層(pitted layer)を成長させた後、成長条件を変更して平坦化層を成長させる操作が行われることを特徴とする方法。
[2]前記単結晶GaN(0001)基板の(0001)表面における転位密度が106cm-2台前半である、前記[1]に記載の方法。
[3]前記単結晶GaN(0001)基板の酸素濃度が2×1016atoms/cm3以下である、前記[2]に記載の方法。
[4]前記ピット化層の厚さが100μm以下である、前記[1]~[3]のいずれかに記載の方法。
[5]前記ピット化層の成長温度が900℃以下である、前記[1]~[4]のいずれかに記載の方法。
[6]前記平坦化層の成長温度が1000℃以上である、前記[5]に記載の方法。
[7]前記HVPE工程では前記操作が2回以上行われる、前記[1]~[6]のいずれかに記載の方法。
[8]前記HVPE工程で最後に成長される平坦化層の厚さが1mm以上である、前記[1]~[7]のいずれかに記載の方法。
[9]前記平坦化層を加工してc面単結晶GaN基板を得る工程を有する、前記[1]~[8]のいずれかに記載の方法。
[10]前記シード準備工程で準備される前記単結晶GaN(0001)基板が、サファイア基板上に剥離層を介してGaN結晶厚膜をHVPEで成長させ、次いで該GaN結晶厚膜を自発的に該ヘテロ基板から剥離させることにより製造される、前記[1]~[9]のいずれかに記載の方法。
[11]前記単結晶GaN(0001)基板が、HVPE装置のリアクター内で製造されるとともに、該リアクターから取り出されることなく前記HVPE工程に供される、前記[10]に記載の方法。
[12]前記シード準備工程と前記HVPE工程の間で、前記HVPE装置のガリウムボートおよびサセプターの少なくとも一方の温度を700℃以上に保つ、前記[11]に記載の方法。
GaN結晶では、[0001]および[000-1]に平行な結晶軸がc軸、<10-10>に平行な結晶軸がm軸、<11-20>に平行な結晶軸がa軸と呼ばれる。c軸に直交する結晶面はc面(c-plane)、m軸に直交する結晶面はm面(m-plane)、a軸に直交する結晶面はa面(a-plane)と呼ばれる。
以下において、結晶軸、結晶面、結晶方位等に言及する場合には、特に断らない限り、GaN結晶の結晶軸、結晶面、結晶方位等を意味する。
六方晶のミラー指数(hkil)は、h+k=-iの関係があることから、(hkl)と3桁で表記されることもある。例えば、(0004)を3桁で表記すると(004)である。
特に断らない限り、本明細書にいう転位は貫通転位(threading dislocation)を意味する。本明細書では、螺旋転位、混合転位および刃状転位を区別せず、総称して貫通転位と呼ぶ。
以下、適宜図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。
本発明の実施形態に係るGaN単結晶製造方法では、図1にフロー図を示すように、単結晶GaN(0001)基板を準備するシード準備工程P1と、該シード準備工程P1で準備した単結晶GaN(0001)基板の(0001)表面上に、HVPEでGaN結晶を成長させるHVPE工程P2が、この順に実行される。
HVPE工程P2は、ピット化層(pitted layer)を成長させた後、成長条件を変更して平坦化層を成長させることを含む。
各工程について以下に詳述する。
シード準備工程P1で準備される単結晶GaN(0001)基板は、後に続くHVPE工程P2でGaN結晶層を成長させるときにシードとしての役割を果たす。
単結晶GaN(0001)基板は、GaN単結晶のみからなる自立したウエハであって、(0001)結晶面と平行または(0001)結晶面から僅かにオフカットされた大面積表面を有し、この大面積表面を(0001)表面と呼ぶ。オフカットは、好ましくは2.5°以下、より好ましくは1.5°以下である。
シード準備工程P1で準備すべき単結晶GaN(0001)基板は、転位密度の均一性が良好であり、好適例では、(0001)表面において転位密度が最も低い場所と最も高い場所の間の転位密度差が4倍以下である。ここでいう転位密度は、観察面積を100μm×100μmとして測定される転位密度をいう。
この好適例の単結晶GaN(0001)基板は、周囲の領域に比べ突出して高い転位密度を有する局所領域を例外的に有し得るが、かかる例外的領域の密度は1領域/cm2未満であり、その総面積は(0001)表面の面積の0.1%未満である。
シード準備工程P1で準備すべき単結晶GaN(0001)基板の(0001)表面における転位密度は、例えば106cm-2台前半である。実施形態に係るGaN単結晶製造方法の特徴のひとつは、かかる転位密度を有するGaN基板の上に、より低減された転位密度を有するGaN単結晶を成長させ得ることである。
ヘテロ基板とは、GaNとは組成の異なる化合物からなる単結晶基板であり、例えばサファイア基板である。
かかる剥離層の上にHVPEでGaN結晶厚膜を成長させ、その後、該GaN結晶厚膜をサファイア基板から自発的に剥離させる単結晶GaN基板の製造方法は、VAS(Void-Assisted Separation)法として知られている[Y. Oshima, et al., Japanese Journal of Applied Physics 42 (2003) pp. L1-L3]。
好ましい一例において、単結晶GaN(0001)基板は、後のHVPE工程P2で使用されるHVPE装置のリアクター内で、上記のVAS法により製造された後、該リアクターから取り出されることなくHVPE工程P2に供される。
他の一例では、リアクター内でGaN結晶厚膜をサファイア基板から確実に剥離させるために、HVPE工程に移る前にサセプターの温度を該GaN結晶厚膜の成長温度から400℃以上、500℃以上または600℃以上低下させてもよい。
HVPE工程P2では、シード準備工程P1で準備された単結晶GaN(0001)基板の(0001)表面上に、HVPE法でGaN結晶が成長される。
HVPE工程P2では、ピット化層(pitted layer)を成長させた後、成長条件を変更して平坦化層を成長させる操作が1回以上行われる。この操作は2回以上繰り返すことができる。
図2(a)~(c)は、それぞれ、HVPE工程P2において形成され得る積層体を表す断面図である。各積層体は、単結晶GaN(0001)基板1と、その(0001)表面上に成長したGaN結晶2とからなっている。
図2(b)の例では、GaN結晶2が、単結晶GaN(0001)基板1の直上に平坦に成長した下地層21と、下地層21の上に積層されたピット化層22と、ピット化層22の上に積層された平坦化層24とからなっている。
図2(c)の例では、ピット化層22を成長させ、その上に平坦化層24を成長させる操作を2回繰り返すことにより、GaN結晶2が形成されている。
ピット化層の厚さは、通常10μm以上、好ましくは30μm以上、より好ましくは50μm以上である。驚くべきことに、100μm以下の厚さしか持たないピット化層の形成によって、十分に効果的な転位密度の低減が生じる。
一方、同じシード基板、同じV/III比、同じキャリアガスのF値を用いたときに、温度950℃以上で成長したGaN結晶層の表面はピット化せず平坦であった。
ここで、V/III比とは原料として供給されるNH3(アンモニア)とGaCl(塩化ガリウム)のモル比のことであり、キャリアガスのF値とはリアクター内に導入されるキャリアガスに占めるH2(水素ガス)のモル比である。
平坦化層の表面におけるピット密度は、好ましくは0.5ピット/cm2以下、より好ましくは0.1ピット/cm2以下、最も好ましくは0ピット/cm2である。
平坦化層の成長途中で、平坦層の表面から実質的にピットが消失してもよい。
ピット化層と平坦化層で特に濃度が異なる不純物は酸素であり、ピット化層は平坦化層よりも高い酸素濃度を有する。
図2(a)および(b)の各例では、GaN結晶2にひとつだけ含まれる平坦化層24が最終平坦化層である。図2(c)の例では、GaN層2に2つ含まれる平坦化層24のうち、後から成長される方が最終平坦化層である。
最終平坦化層の成長条件は終始同じとしてもよいし、あるいは、成長の途中で変更してもよい。
最終平坦化層は、Si(ケイ素)やGe(ゲルマニウム)のようなドナー不純物でドープしたり、あるいは、Fe(鉄)、Mn(マンガン)、Cr(クロム)およびC(炭素)のような、ドナー不純物の補償を通してGaNを半絶縁性にする作用のある不純物でドープしたりすることができる。
最終平坦化層のドーピングは、表面のピットが実質的に消失した後から開始してもよい。
平坦化層を複数回成長させる場合、最終平坦化層のみ不純物でドープし、他の平坦化層は全てアンドープで成長させることができる。
c面単結晶GaN基板とは、GaN単結晶のみからなる自立したウエハであって、c面と平行またはc面から僅かにオフカットされた大面積表面であるc面表面を有する。c面単結晶GaN基板の厚さは、c面表面の面積に応じて、200μm~1mmの間で適宜設定することができる。
最終平坦化層のうち、c面単結晶GaN基板の材料として特に好ましいのは、表面からピットが実質的に消失した後に成長した部分である。
実施形態に係るGaN単結晶製造方法により製造されるc面単結晶GaN基板は、発光ダイオード(LED)、レーザダイオード(LD)などの発光デバイス、および、整流器、バイポーラトランジスタ、電界効果トランジスタ、HEMT(High Electron Mobility Transistor)などの電子デバイスを含む、各種の窒化物半導体デバイスの製造に使用することができる。
窒化物半導体は、窒化物系III-V族化合物半導体、III族窒化物系化合物半導体、GaN系半導体などとも呼ばれ、GaNを含む他、GaNのガリウムの一部または全部を他の周期表第13族元素(B、Al、In等)で置換した化合物を含む。
以下に、本発明者等が行なった実験の結果を記す。
3.1.実験1
(1)シード基板の準備
HVPEで成長させたGaN結晶からなる、単結晶GaN(0001)基板を準備した。該基板の(0001)表面は、研削により平坦化された後、CMP処理された。該基板の(0001)表面の転位密度は良好な均一性を有し、カソードルミネセンス像観察から2×106cm-2から4×106cm-2の間と見積もられた。
石英製のホットウォール型リアクターと、その内部に設置された石英製のガリウムボートおよびパイロリティックグラファイト製のサセプターとを備えるHVPE装置を用いて、上記(1)で準備した単結晶GaN(0001)基板の(0001)表面上にGaN結晶を成長させた。
成長時間は合計8時間で、最初の1時間は下記表1に示す条件1を用い、残りの7時間は下記表1に示す条件2を用いた。
GaN結晶の成長により形成された積層体の、c面に垂直な断面の蛍光顕微鏡像を図3に示す。蛍光顕微鏡像に明瞭に観察される三層構造は、中央がピット化層、下が単結晶GaN(0001)基板、上が平坦化層である。成長したGaN結晶の厚さはトータルで440μmであり、ピット化層の厚さは78μmであった。
カソードルミネセンス像観察によれば、平坦化層の表面における転位密度は7.0×105~8.5×105cm-2で、シードGaN基板の(0001)表面における転位密度の半分未満であった。
GaN結晶層を成長させるときに、上記条件1での1時間の成長と上記条件2での4時間の成長を交互に2回ずつ行った点を除き、上記実験1と同様にして、単結晶GaN(0001)基板上にGaN結晶を成長させた。
成長後のGaN結晶の表面には、外周からの距離が5mm以下の領域を除いて実質的にピットがなく、ピット密度は0.6ピット/cm2であった。
GaN結晶層の成長により形成された積層体の、c面に垂直な断面の蛍光顕微鏡像を図4に示す。蛍光顕微鏡像は、積層体が五層構造を有することを明瞭に示している。五層構造の一番下にあるのがシード基板、その次が最初のピット化層、その次が最初の平坦化層、その次が第二のピット化層で、一番上の層が第二の平坦化層である。
カソードルミネセンス像観察によれば、第二の平坦化層の表面における転位密度は5.1×105~7.6×105cm-2で、実験1で成長させたGaN結晶の表面における転位密度より低かった。
2 GaN結晶
21 下地層
22 ピット化層
24 平坦化層
P1 シード準備工程
P2 HVPE工程
Claims (18)
- GaN単結晶製造方法であって、該製造方法は、単結晶GaN(0001)基板を準備するシード準備工程と、該単結晶GaN(0001)基板の(0001)表面上にHVPEでGaN結晶を成長させるHVPE工程とを有し、該HVPE工程では、ピット化層(pitted layer)を成長させた後、成長条件を変更して平坦化層を成長させる操作が行われ、
前記単結晶GaN(0001)基板の(0001)表面における転位密度が10 6 cm -2 台前半であり、
前記ピット化層の成長温度が900℃以下であることを特徴とする方法。 - GaN単結晶製造方法であって、該製造方法は、単結晶GaN(0001)基板を準備するシード準備工程と、該単結晶GaN(0001)基板の(0001)表面上にHVPEでGaN結晶を成長させるHVPE工程とを有し、該HVPE工程では、ピット化層(pitted layer)を成長させた後、成長条件を変更して平坦化層を成長させる操作が行われ、
前記単結晶GaN(0001)基板の(0001)表面における転位密度が10 6 cm -2 台前半であり、
前記HVPE工程では前記操作が2回以上行われることを特徴とする方法。 - 前記HVPE工程では前記操作が2回以上行われる、請求項1に記載の方法。
- 前記ピット化層の成長温度が900℃以下である、請求項2に記載の方法。
- 前記平坦化層の成長温度が1000℃以上である、請求項1、3又は4に記載の方法。
- 前記単結晶GaN(0001)基板の酸素濃度が2×1016atoms/cm3以下である、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
- 前記シード準備工程で準備される前記単結晶GaN(0001)基板が、サファイア基板上に剥離層を介してGaN結晶厚膜をHVPEで成長させ、次いで該GaN結晶厚膜を自発的に該サファイア基板から剥離させることにより製造される、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
- 前記単結晶GaN(0001)基板が、HVPE装置のリアクター内で製造されるとともに、該リアクターから取り出されることなく前記HVPE工程に供される、請求項7に記載の方法。
- GaN単結晶製造方法であって、該製造方法は、単結晶GaN(0001)基板を準備するシード準備工程と、該単結晶GaN(0001)基板の(0001)表面上にHVPEでGaN結晶を成長させるHVPE工程とを有し、該HVPE工程では、ピット化層(pitted layer)を成長させた後、成長条件を変更して平坦化層を成長させる操作が行われ、
前記シード準備工程で準備される前記単結晶GaN(0001)基板が、サファイア基板上に剥離層を介してGaN結晶厚膜をHVPEで成長させ、次いで該GaN結晶厚膜を自発的に該サファイア基板から剥離させることにより製造され、
前記単結晶GaN(0001)基板が、HVPE装置のリアクター内で製造されるとともに、該リアクターから取り出されることなく前記HVPE工程に供されることを特徴とする方法。 - 前記単結晶GaN(0001)基板の(0001)表面における転位密度が106cm-2台前半である、請求項9に記載の方法。
- 前記単結晶GaN(0001)基板の酸素濃度が2×1016atoms/cm3以下である、請求項10に記載の方法。
- 前記ピット化層の成長温度が900℃以下である、請求項9~11のいずれか一項に記載の方法。
- 前記平坦化層の成長温度が1000℃以上である、請求項12に記載の方法。
- 前記HVPE工程では前記操作が2回以上行われる、請求項9~13のいずれか一項に記載の方法。
- 前記シード準備工程と前記HVPE工程の間で、前記HVPE装置のガリウムボートおよびサセプターの少なくとも一方の温度を700℃以上に保つ、請求項8~14のいずれか一項に記載の方法。
- 前記ピット化層の厚さが100μm以下である、請求項1~15のいずれか一項に記載の方法。
- 前記HVPE工程で最後に成長される平坦化層の厚さが1mm以上である、請求項1~16のいずれか一項に記載の方法。
- 前記平坦化層を加工してc面単結晶GaN基板を得る工程を有する、請求項1~17のいずれかに記載の方法。
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