JP7326180B2 - コンクリートの吹付方法及びコンクリート吹付装置 - Google Patents
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Description
すなわち、本発明は、吹付対象面にコンクリートを吹付ける方法であって、前記吹付対象面の3次元座標を取得するステップと、赤外線カメラを用いて前記吹付対象面の赤外線熱画像を撮影するステップと、前記赤外線熱画像と前記吹付対象面の3次元座標とを用いて、前記吹付対象面の各位置の座標に対応する温度を求めるステップと、前記吹付対象面にコンクリートを吹付けるステップと、を備え、前記コンクリートを吹付けるステップでは、前記吹付対象面の3次元座標に対応する温度に応じて、前記吹付対象面に吹付けるコンクリートに混合する急結剤の添加量を変化させることを特徴とする。
これにより、吹付けられたコンクリートの厚さの管理を効果的に行うことができる。また、予め付着試験を行うことなく、吹付け対象面に吹付けるコンクリートに混入される急結剤の添加量を調整できるので、吹付施工の効率を著しく向上させることができる。
また、本発明は、吹付対象面にコンクリートを吹付ける装置であって、前記吹付対象面を撮影する複数台のカメラと、前記複数台のカメラのうちの少なくとも2台のカメラでステレオ撮影された、前記吹付対象面の画像から、前記吹付対象面の各位置の3次元座標を算出する3次元座標算出手段と、前記吹付対象面の赤外線熱画像を撮影する赤外線カメラと、前記赤外線熱画像と前記吹付対象面の3次元座標とを用いて、前記吹付対象面の温度分布画像を作成する温度分布画像作成手段と、吹付ノズルを有し、前記吹付対象面にコンクリートを吹付ける吹付機と、前記コンクリートと前記コンクリートに混合する急結剤とを前記吹付ノズルに供給する吹付コンクリート供給手段と、を備え、前記吹付コンクリート供給手段は、前記吹付対象面の3次元座標に対応する温度に応じて、前記吹付ノズルに供給する吹付コンクリートに混合する急結剤の添加量を変化させることを特徴とする。
このような構成を採ることにより、吹付られたコンクリートの厚さや強度のバラつきを大幅に低減できるとともに、吹付施工を率よく行うことのできるコンクリートの吹付装置を得ることができる。
また、前記赤外線カメラと前記複数台のカメラとを前記吹付機に設置することで、撮影後に直ちに吹付作業を開始することができるようにしたので、効率よく吹付作業を行うことができる。
図2は、吹付機2の一例を示す図で、吹付機2は、走行機構21aやアウトトリガー機構21bを備えた吹付機本体(以下、本体21という)と、先端側に吹付コンクリート供給手段7に接続された吹付ノズル22が搭載された吹付ロボット23と、バケット24bを支持する一対のバケットブーム24と、支保工を組立てるための一対のエレクタブーム25とを備えたもので、本体21には、吹付コンクリート供給手段7が搭載されている。
吹付機2の吹付ロボット23が、吹付ノズル22の位置と吹付コンクリートの吹付方向とを設定して、吹付対象面にコンクリートを吹き付ける。
吹付機2は、図3(a),(b)に示すように、トンネル10のトンネル切羽11のコンクリートの吹付けが完了していない区間Lkの後方(トンネル切羽11とは反対側)に配置されて、トンネル側壁12(側面12aと天端面12b)に吹付コンクリートを吹付ける。なお、図3(b)の斜線部である符号12Aで示す部分が既にコンクリートの吹付けが完了した側壁で、符号12Bで示す白抜きの部分が、これから吹付コンクリートを吹付ける側壁である。
吹付機2の制御は、後述する吹付機制御手段8により行う。
吹付機制御手段8は、トンネル10内もしくは坑外などの吹付機2から離れた箇所に設置された遠隔操作室9内に配置される。
図3(a)に示すように、遠隔操作室9には、吹付機制御手段8の他に、3次元座標算出手段4、急結剤添加量設定手段6、監視カメラC1,C2の画像を表示するモニター9Mなどが配置される。
3次元座標算出手段4は、ステレオカメラ3でステレオ撮影された画像から、吹付対象面である側壁12Bの各位置の3次元座標を算出する。具体的には、右カメラ3Rの画像の各位置点(xi,yi)のデータを、その位置における3次元座標座標(Xi,Yi,Zi)に置き換える。なお、本例では、図3(a)に示すように、トンネル幅方向を3次元座標座標のX方向、上下方向をY方向、トンネル掘削方向(前後方向)をZ方向とした。
赤外線カメラ5は、吹付機2の本体21の前方に設置されて、吹付対象面である側壁12Bを含む撮影対象面の赤外線熱画像を撮影する。なお、本例では、赤外線熱画像を撮影した後、ステレオ画像の撮影を行うので、ステレオカメラ3の右カメラ3Rの位置を、赤外線熱画像を撮影したときの赤外線カメラ5の位置と同一になるように、ステレオカメラ3を移動させるようにしている。これにより、赤外線熱画像の各座標(xi,yi)の3次元座標と右カメラ3Rの画像の各位置点(xi,yi)の3次元座標座標)とは同じに座標(Xi,Yi,Zi)となる。
なお、ステレオカメラ3でステレオ撮影された画像から算出された、吹付対象面である側壁12の各位置の3次元座標を、赤外線カメラ5の位置を原点とした3次元座標に変換してもよい。
また、側壁12Bの温度分布は急激な変化がなく、温度分布の測定誤差は小さいので、ステレオカメラ3を赤外線カメラ5の近傍に設置し、右カメラ3Rで撮影した画像の3次元座標を、赤外線カメラ5で撮影した画像の3次元座標としても問題はない。
図4に示すように、温度分布画像作成部6aは、同図の左上に示す、赤外線カメラ5で撮影した赤外線熱画像G1と、同図の左下に示す、3次元座標算出手段4で算出した吹付対象面の3次元データ画像G2とを用いて、同図の右側に示す、吹付対象面の温度分布データ画像G3を作成する。
赤外線熱画像G1は、画像上の点(xi,yi)における温度Tiを色(ここでは、ドットの密度)で表している。なお、同図の符号6Bは、温度Tiと色との関係を示す温度バーである。
一方、温度分布データ画像G3は、各座標(xi,yi)のデータが、赤外線熱画像G1の各座標(xi,yi)における温度Tiデータと、3次元データ画像G2の各座標(xi,yi)における3次元座標(Xi,Yi,Zi)のデータを併せたものである。したがって、温度分布データ画像G3の、画像上の点(xi,yi)を指定すれば、その点における3次元座標座標(Xi,Yi,Zi)のデータと温度Tiのデータとが得られる。
逆に、これから吹付コンクリートを吹付ける側壁である側壁12Bの座標(xi,yi)を指定すれば、座標(xi,yi)における3次元座標(Xi,Yi,Zi)と温度Tiとがわかる。すなわち、コンクリートの吹付位置の軌跡である吹付経路を指定すれば、吹付経路に沿って側壁12Bの表面温度がどのように変化していくかが分かる。
なお、本例では、温度分布データ画像G3を見やすくするため、温度分布を表示する箇所を、これからコンクリートを吹付ける側壁12Bのみとした。また、既にコンクリートの吹付けが終了した側壁12Aを斜線で示し、切羽11などの他の箇所は白抜きとした。
温度変化図作成部6bは、後述する、吹付ノズル22の吹付経路に沿った側壁12Bの表面温度の変化をプロットした温度変化図GTを作成する。
記憶部6cは、予め求めておいた表面温度と急結剤の添加量との関係を示す温度-添加量対応図6G(もしくは、表面温度と急結剤の添加量との対応表)を記憶する。
添加量変化図作成部6dは、記憶部に6cに記憶しておいた表面温度と急結剤の添加量との関係を示す図6Gを参照して、上記の温度変化図GTを、側壁12Bの吹付経路上の位置に対応する急結剤の添加量をプロットした添加量変化図GAに変換する。
吹付ノズル22は、これら供給された吹付コンクリートと急結剤とをノズル内にて混合して、ノズル先端から、吹付対象面である側壁12Bの表面に、急結剤が添加された吹付コンクリートを吹付ける。
本例では、吹付機制御手段8により吹付コンクリート供給手段7を制御して、急結剤添加量設定手段6の温度分布画像作成部6aで作成された温度分布データ画像G3を参照して、吹付ノズル22に供給するコンクリートに混合する急結剤の添加量を、側壁12Bの表面温度に応じて変化させるようにしている。
吹付機制御手段8は、吹付機制御部8aと、吹付経路設定部8bと、急結剤添加量制御部8cとを備える。
吹付機制御部8aは、上記のように、吹付ノズル22や吹付ロボット23の制御の他にも、走行機構21aの制御なども行う。
吹付経路設定部8bは、吹付コンクリートを吹付ける箇所の軌跡である吹付経路を設定する。
急結剤添加量制御部8cは、急結剤添加量設定手段6の添加量変化図作成部6dで作成された添加量変化図に基づいて、吹付ノズル22に供給する吹付コンクリートに混合される急結剤の添加量を変化させるよう、吹付コンクリート供給手段7を制御する。
監視カメラC1,C2は、例えば、吹付機2のバケット24bやエレクタブーム25などに搭載されて、吹付作業の状況を撮影して、遠隔操作室9のモニター9Mに送信する。なお、モニター9Mの表示画面に、吹付作業の状況を映した画面に加えて、吹付コンクリートの吹付経路を映すようにしてもよい。
まず、吹付機2を所定の位置まで走行させた後停止させ、赤外線カメラ5により、吹付対象面である側壁12Bを含む撮影対象面の赤外線熱画像G1を撮影する(ステップS10)。
次に、ステレオカメラ3により、赤外線熱画像の撮影領域を含む撮影対象面、もしくは、赤外線熱画像G1の撮影領域と同じ撮影領域のステレオ画像を撮影し(ステップS11)、撮影されたステレオ画像を3次元座標算出手段4に送る。
そして、3次元座標算出手段4にて、ステレオカメラ3でステレオ撮影された画像から、吹付対象面である側壁12Bの各位置の3次元座標を算出して、吹付対象面の3次元データ画像G2を作成する(ステップS12)。
ステップS13では、図4に示すように、ステップS11で撮影した赤外線熱画像G1とステップS12で作成した3次元データ画像G2とを用いて、吹付対象面の温度分布データ画像G3を作成する。
上記したように、赤外線熱画像G1では、画像上の点(xi,yi)のデータが、温度Tiであり、3次元データ画像G2では、点(xi,yi)のデータが、3次元座標(Xi,Yi,Zi)である。また、温度分布データ画像G3では、点(xi,yi)のデータが、(Xi,Yi,Zi,Ti)、すなわち、温度Tiのデータと3次元座標(Xi,Yi,Zi)のデータを併せたものである。
次に、吹付位置の軌跡である吹付経路を指定する(ステップS14)。
本例では、吹付経路を、図6(a),(b)の太線で示すような、トンネル10の進行方向に垂直な面(XY平面)で切った時の側壁12Bの輪郭に沿った経路とした。吹付経路はz=zk(k=1~m)で表せる。すなわち、吹付経路は、図6(b)に示すように、側面12aでは上下方向に平行な直線で、天端面12bでは円弧状となる。
なお、z方向の吹付幅Δを、Δ<zk+1-zkとした。これは、z=zkとz=zk+1との中間の領域では、コンクリートを重複して吹付けた方が均一性が高まるからである。
次に、軌跡上の側壁12の表面温度の変化をプロットした温度変化図をzk毎に作成する(ステップS15)。
ステップS16では、予め求めておいた表面温度と急結剤の添加量との関係を示す温度-添加量対応図6Gを参照して、zk毎の温度変化図GT(k)を、zk毎の添加量変化図GA(k)に変換する。
最後に、zkを変化させながらコンクリートの吹付を行う(ステップS17)。
図6(c)~(e)に温度変化図GT(k)と添加量変化図GA(k)の一例を示す。
k=1である図GT(1)と図GA(1)とが吹付機2側(手前側)で、k=mである図GT(m)と図GA(m)とが切羽11側(奥側)である。また、各図の横軸は吹き付け経路に沿った吹付位置で、温度変化図GT(k)の縦軸は側壁12Bの表面温度T(℃)、温度変化図GA(k)の縦軸は吹付コンクリートに混合される急結剤の添加量P(%)である。
急結剤の添加量P(%)としては、急結剤の種類にもよるが、強度や養生時間等を考慮すると、4~12%とすることが好ましい。
吹付作業は、k=1から始めてk=mで終了する。
また、前記実施の形態では、ステレオカメラ3でステレオ撮影された画像から、吹付対象面である側壁12Bの3次元座標を算出したが、トンネル切羽11の位置とトンネル10の設計図面とから側壁12Bの3次元座標を取得してもよい。
また、前記実施の形態では、吹付対象面をトンネル10の側壁12としたが、これに限るものでなく、本発明は、法面などの他の吹付対象面のコンクリート吹付にも適用可能であることはいうまでもない。
23 吹付ロボット、24 バケットブーム、24b バケット、
25 エレクタブーム、3 ステレオカメラ、3R 右カメラ、3L 左カメラ、
4 3次元座標算出手段、5 赤外線カメラ、
6 急結剤添加量設定手段、6a 温度分布画像作成部、6b 温度変化図作成部、
6c 記憶部、6d 添加量変化図作成部、
7 吹付コンクリート供給手段、7a 吹付コンクリート供給部、7b 急結剤供給部、8 吹付機制御手段、8a 吹付機制御部、8b 吹付経路設定部、
8c 急結剤添加量制御部、9 遠隔操作室、9M モニター、
10 トンネル、11 トンネル切羽、12 トンネル側壁、12a 側面、
12b 天端面、13 トンネル底面、C1,C2 監視カメラ。
Claims (3)
- 吹付対象面にコンクリートを吹付ける方法であって、
前記吹付対象面の3次元座標を取得するステップと、
赤外線カメラを用いて前記吹付対象面の赤外線熱画像を撮影するステップと、
前記赤外線熱画像と前記吹付対象面の3次元座標とを用いて、前記吹付対象面の各位置の座標に対応する温度を求めるステップと、
前記吹付対象面にコンクリートを吹付けるステップと、を備え、
前記コンクリートを吹付けるステップでは、
前記吹付対象面の3次元座標に対応する温度に応じて、前記吹付対象面に吹付けるコンクリートに混合する急結剤の添加量を変化させることを特徴とするコンクリートの吹付方法。 - 吹付対象面にコンクリートを吹付ける装置であって、
前記吹付対象面を撮影する複数台のカメラと、前記複数台のカメラのうちの少なくとも2台のカメラでステレオ撮影された、前記吹付対象面の画像から、前記吹付対象面の各位置の3次元座標を算出する3次元座標算出手段と、
前記吹付対象面の赤外線熱画像を撮影する赤外線カメラと、
前記赤外線熱画像と前記吹付対象面の3次元座標とを用いて、前記吹付対象面の温度分布画像を作成する温度分布画像作成手段と、
吹付ノズルを有し、前記吹付対象面にコンクリートを吹付ける吹付機と、
前記コンクリートと前記コンクリートに混合する急結剤とを前記吹付ノズルに供給する吹付コンクリート供給手段と、を備え、
前記吹付コンクリート供給手段は、
前記吹付対象面の3次元座標に対応する温度に応じて、前記吹付ノズルに供給する吹付コンクリートに混合する急結剤の添加量を変化させることを特徴とするコンクリート吹付装置。 - 前記赤外線カメラと前記複数台のカメラとが、前記吹付機に設置されていることを特徴とする請求項2に記載のコンクリート吹付装置。
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