JP7324673B2 - 複合樹脂発泡板及び樹脂パレット、並びに複合樹脂発泡板の製造方法 - Google Patents
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Description
例えば、特許文献1には、木材に代えて、発泡合成樹脂を押出成形してなる長尺の板材をパレット形状に組むことにより形成した荷役用パレットが提案されている。特許文献1の荷役用パレットでは、板状樹脂発泡体の内部に金属材を内在させて強度の向上を図っている。
[1]長尺の樹脂発泡体と、前記樹脂発泡体に内在し、前記樹脂発泡体の長手方向に延びる板状の金属材とを有する複合樹脂発泡板において、前記樹脂発泡体の連続気泡率が20%以下であり、前記樹脂発泡体の発泡倍率が1.5倍以上2.5倍以下である、複合樹脂発泡板。
[2]前記樹脂発泡体は、表面にスキン層を有する、[1]に記載の複合樹脂発泡板。
[3]前記樹脂発泡体を構成する樹脂のメルトマスフローレート(MFR)が1.5g/10min以上6.0g/10min以下である、[1]又は[2]に記載の複合樹脂発泡板。
[4]前記樹脂発泡体を構成する樹脂がポリスチレン系樹脂である、[1]~[3]のいずれか一項に記載の複合樹脂発泡板。
[5]前記ポリスチレン系樹脂がリサイクル樹脂である、[4]に記載の複合樹脂発泡板。
[6]互いに長手を平行にして並ぶ複数のデッキ板と、前記デッキ板を固定する複数のケタ板と、を有し、前記デッキ板及び前記ケタ板が、[1]~[5]のいずれか一項に記載の複合樹脂発泡板である、樹脂パレット。
[7]隣り合う前記ケタ板同士の間隔は、前記デッキ板の長手方向の中央寄りよりも前記長手方向の端部寄りの方が広い、[6]に記載の樹脂パレット。
本発明の複合樹脂発泡板は、長尺の樹脂発泡体と、前記樹脂発泡体に内在し、前記樹脂発泡体の長手方向に延びる板状の金属材とを有する。
以下、本発明の複合樹脂発泡板の一例について、図面を参照して説明する。
図1に示すように、複合樹脂発泡板1は、±X方向を幅、±Y方向を長さ、±Z方向を厚さとする直方体である。
複合樹脂発泡板1の幅及び長さは特に限定されず、複合樹脂発泡板1の用途に応じて適宜調整できる。
複合樹脂発泡板1の曲げ強度は、以下の測定方法によって測定できる。
複合樹脂発泡板1から、幅55mm×長さ300mm×厚さ18mmの試験片を得る。得られた試験片をJIS K 7100:1999の記号23/50(温度23℃、相対湿度50%)、2級の環境下で16時間保管した後、同じ環境下で測定を行う。曲げ強度の測定は、以下の試験条件で行う。
《試験条件》
・測定装置:テンシロン(登録商標)万能試験機(RTG-1310、株式会社エー・アンド・デイ製)。
・試験片の数:3。
・試験速度:20mm/分。
・支点間距離:220mm。
・先端治具:加圧くさび 15R。
・支持台:15R。
複合樹脂発泡板1の押し抜き強度は、以下の方法によって測定できる。
複合樹脂発泡板1から金属材20が3mm突出するように樹脂発泡体10のみを削って試験片を得る。得られた試験片を万力に固定し、突出している金属材20に荷重を掛けて、金属材20が動いたときの荷重を押し抜き強度とする。押し抜き強度の測定は、以下の試験条件で行う。
《試験条件》
・測定環境:温度23℃、相対湿度50%。
・測定装置:テンシロン(登録商標)万能測定器(UCT-5T、株式会社エー・アンド・デイ製)。
・試験片の数:3。
・試験速度:2mm/分。
・ロードセル定格:50000N。
樹脂発泡体10は、樹脂と発泡剤とを含有する樹脂組成物が発泡されてなる。樹脂発泡体10を構成する樹脂としては、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂等が挙げられる。樹脂発泡体10を構成する樹脂としては、成形しやすく、発泡後の強度に優れるポリプロピレン系樹脂、ポリスチレン系樹脂が好ましく、ポリスチレン系樹脂がより好ましい。
ブロックPPは、ホモPPの中にポリエチレンが分散された樹脂である。ブロックPPは、ポリエチレンの周囲にEPR相(エチレン-プロピレン-ラバー相)を有することが好ましい。このようなブロックPPは、前段でプロピレンガスの重合によってホモPPを得て、続く後段でエチレンガスを共存させてEPRを重合することにより生産される。
HMS-PPとしては、例えば、ウェイマックス(登録商標、日本ポリプロ株式会社製)、Daploy(商品名、Borealis社製)等が挙げられる。230℃での溶融張力は、例えば、ツインボアキャピラリーレオメーターRheologic5000T(イタリア、チアスト社製)を用いて測定できる。
ここで、「(メタ)アクリレート」は、「アクリレート」と「メタクリレート」の一方又は双方を表し、「(メタ)アクリロニトリル」は、「アクリロニトリル」と「メタクリロニトリル」の一方又は双方を表す。
これらのポリスチレン系樹脂は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
リサイクル樹脂は、使用済みのポリスチレン系樹脂発泡成形体である。リサイクル樹脂は、食品包装用トレー、魚箱、家電緩衝材等を回収し、リモネン溶解方式や加熱減容方式によって再生したもの等である。また、使用できるリサイクル樹脂は、家電製品(例えば、テレビ、冷蔵庫、洗濯機、エアコン等)や事務用機器(例えば、複写機、ファクシミリ、プリンター等)から分別回収された非発泡のポリスチレン系樹脂成形体を粉砕し、溶融混練してリペレット化したものでもよい。
MFRは、JIS K 7210:1999「プラスチック―熱可塑性プラスチックのメルトマスフローレート(MFR)及びメルトボリュームフローレート(MVR)の試験方法」に準拠して測定することによって求められる。
本明細書において、MFRは、230℃、0.23MPaにおける値である。
発泡剤としては、例えば、プロパン、ノルマルブタン、イソブタン、ノルマルペンタン、イソペンタン、ネオペンタン、シクロペンタン、シクロペンタジエン、ヘキサン等の炭化水素、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、メチルエチルエーテル、石油エーテル等のエーテル類、二酸化炭素、窒素、アンモニア、水等が挙げられる。
また、前記発泡剤として、アゾジカルボンアミド、ジニトロソペンタメチレンテトラミン、炭酸水素ナトリウム、クエン酸等の有機酸又はその塩と炭酸水素ナトリウム(重曹)との混合物等の分解性の発泡剤が用いられてもよい。
これらの発泡剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
発泡剤としては、低倍率発泡でも均一に発泡しやすいことから、二酸化炭素が好ましい。
発泡剤の含有量は、特に限定されないが、樹脂100質量部に対して0.1~10質量部が好ましい。
任意成分としては、気泡調整剤、安定剤、紫外線吸収剤、着色剤(顔料)、結晶化促進剤、滑剤、架橋剤、界面活性剤、収縮防止剤、難燃剤、劣化防止剤等が挙げられる。
なお、樹脂、発泡剤及び任意成分の合計は、100質量%を超えない。
具体的には、以下の方法で測定する。
樹脂発泡体10から、縦25mm×横25mm×厚さ18mmの試験片を得る。得られた試験片の外寸を、株式会社ミツトヨ製「デジマチックキャリパ」を用いて、1/100mmまで測定し、見掛けの体積(cm3)を求める。
次に、乾式自動密度計アキュビックII1340(米国マイクロメリティックス社製)を用いて、1-1/2-1気圧法により試験片の体積(cm3)を求める。
下記式(1)により連続気泡率(%)を計算する。
連続気泡率(%)={見掛けの体積(cm3)-試験片の体積(cm3)}/見掛けの体積(cm3)×100 ・・・(1)
5つの試験片の連続気泡率の平均値を求める。試験片をJIS K7100:1999の記号23/50、2級の環境下で16時間保管した後、JIS K7100:1999の記号23/50、2級の環境下で測定を行う。
樹脂発泡体10の発泡倍率は、「1」を樹脂発泡体10の見掛け密度で除した値である。
樹脂発泡体10の見掛け密度は、JIS K 7222:2005「発泡プラスチック及びゴム-見掛け密度の求め方」に準拠して測定することによって求められる。
樹脂発泡体10の密度は、樹脂発泡体10を切り出した試験片の体積と、質量を測定することによって求められる。
内層12は、樹脂組成物が発泡されて形成された発泡層である。
スキン層14は、樹脂発泡体10を製造する際に表面に形成される層であり、気泡を含んでいない薄皮部分のことを指す。
スキン層14の厚さは、100μm以上が好ましく、200μm以上がより好ましく、300μm以上がさらに好ましい。スキン層14の厚さが上記下限値以上であると、樹脂発泡体10の強度をより高められる。スキン層14の厚さの上限値は特に限定されないが、例えば、500μmである。
本明細書において、スキン層の厚さは、以下の測定方法によって測定される厚さの平均値のことをいう。
樹脂発泡体10をその表面に対して垂直な方向(厚さ方向)に切断し、この切断面の表面付近をマイクロスコープ(VHX-1000、株式会社キーエンス製)を用いて30~100倍に拡大して観察する。スキン層14の厚さは、樹脂発泡体10の表面から、最表層側の気泡表面までの長さとし、無作為に選ばれる最表層側の8つの気泡について各気泡につき3箇所測定する。24箇所の測定値の平均値をスキン層の厚さ(μm)とする。
金属材20は、樹脂発泡体10の長手方向に延びる板状に加工された金属製の部材である。金属材20は、±Y方向を長手方向とする部材である。
複合樹脂発泡板1の曲げ強度を高める観点から、図2に示すように、金属材20は、幅方向(±Z方向)を縦にして、樹脂発泡体10に内在することが好ましい。
金属材20は、幅方向を横にして、樹脂発泡体10に内在していてもよい。
金属材20の幅方向の長さと厚さ方向(±X方向)の長さとは、同じであってもよい。
金属材20を形成する金属としては、充分な強度を有し、かつ、加工しやすいことからアルミニウム、鉄が好ましく、軽量で取り扱いやすいことから、アルミニウムがより好ましい。アルミニウムの中でも、マグネシウム、ケイ素等を微量に(例えば、2~4質量%)含有させ、引張強度を向上させたグレードのアルミニウム5052(マグネシウム2.5質量%含有)等がさらに好ましい。
複合樹脂発泡板は、樹脂及び発泡剤を含む樹脂組成物を発泡させながら押出成形して樹脂発泡体を形成する際に、金属材を金型(インサートダイ)の後方から押出方向に供給して、樹脂発泡体と金属材とを同時に押出成形することにより得られる。
複合樹脂発泡板の製造方法の一例について、図3を用いて説明する。
押出機210は、ホッパー212を備える。
サイジングダイ220は、空気による冷却を行う空冷部222と、水による冷却を行う水冷部224とを備える。サイジングダイ220のインサートダイ214に近いゾーンが空冷部222である。
冷却水槽230は、ポンプ232を備える。
引取機240は、上下一対のベルトローラー242を備える。
切断機250は、上部カッター252と、下部カッター254とを備える。
加熱温度は、樹脂の種類等を勘案して、樹脂が溶融しかつ添加剤が変性しない範囲で適宜決定される。
サイジングダイ220へと押出された樹脂溶融物は、空冷部222を経て水冷部224へと供給される。空冷部222の後に水冷部224を設けることにより、樹脂溶融物を所望の発泡倍率まで発泡させつつ、樹脂溶融物を効率よく急速に冷却でき、樹脂発泡体の発泡倍率を低く抑えられる。加えて、表面にスキン層を有する樹脂発泡体が得られやすい。このため、連続気泡率の小さい樹脂発泡体が得られやすく、複合樹脂発泡板1の強度をより高めやすい。
このように、サイジングダイ220での冷却は、空気による空冷と、水による水冷とを併用することが好ましい。
なお、サイジングダイは、空冷部のみでもよいし、水冷部のみでもよい。また、サイジングダイは、水冷部の後に空冷部を備えていてもよい。
水冷部224における水冷は、サイジングダイ220の外周に設けられた円筒(不図示)の内部に水を通流させることにより行う。
水冷部224における通流させる水の温度(以下、第一水温ともいう。)は、5~20℃が好ましく、10~20℃がより好ましい。第一水温が上記下限値以上であると、樹脂溶融物が適度に発泡しやすい。第一水温が上記上限値以下であると、樹脂発泡体の発泡倍率を低く抑えやすい。
水冷部224における通流させる水の流量(以下、第一流量ともいう。)は、20~40L/minが好ましく、25~35L/minがより好ましい。第一流量が上記下限値以上であると、樹脂発泡体の発泡倍率を低く抑えやすい。第一流量が上記上限値以下であると、樹脂溶融物が適度に発泡しやすい。
冷却水槽230では、水を所定の時間噴霧し、成形体を冷却する。冷却水槽は、脱熱効率に優れる観点から、一定量の水を溜められる貯蔵水槽よりも、噴霧設備を有する冷却水槽が好ましい。
冷却水槽230において水を噴霧する時間(以下、噴霧時間ともいう。)は、5~20分が好ましく、5~15分がより好ましい。噴霧時間が上記下限値以上であると、成形体の内部まで冷却され、成形体を充分に硬化しやすい。噴霧時間が上記上限値以下であると、複合樹脂発泡板の生産効率が高められる。
冷却水槽230における噴霧する水の温度(以下、第二水温ともいう。)は、5~20℃が好ましく、10~20℃がより好ましい。第二水温が上記下限値以上であると、成形体の強度を維持しやすい。第二水温が上記上限値以下であると、成形体の内部まで冷却され、成形体を充分に硬化しやすい。
冷却水槽230における噴霧する水の流量(以下、第二流量ともいう。)は、50~150L/minが好ましく、80~120L/minがより好ましい。第二流量が上記下限値以上であると、成形体の内部まで冷却され、成形体を充分に硬化しやすい。第二流量が上記上限値以下であると、使用する水の量を節約しやすい。
第二流量は、冷却水槽230に接続されたポンプ232によって調整できる。
樹脂発泡体10は、連続気泡率が20%以下である。このため、樹脂発泡体10は、強度に優れ、複合樹脂発泡板1の強度をより高められる。
樹脂発泡体10は、発泡倍率が1.5倍以上2.5倍以下である。このため、樹脂発泡体10は、耐衝撃性及び強度に優れ、複合樹脂発泡板1の強度をより高められる。
複合樹脂発泡板1は、2本の金属材20を有するが、複合樹脂発泡板に内在する金属材の本数は、1本でもよく、3本以上でもよい。
複合樹脂発泡板は、幅方向(±X方向)の長さと厚さ方向(±Z方向)の長さとが同じであってもよい。
本発明の樹脂パレットは、互いに長手を平行にして並ぶ複数のデッキ板と、デッキ板を固定する複数のケタ板とを有し、デッキ板及びケタ板が、本発明の複合樹脂発泡板で形成される。すなわち、本発明の樹脂パレットは、上述した本発明の複合樹脂発泡板をパレット形状に組むことにより形成されるものである。
本発明の一実施形態に係る樹脂パレットについて、図面を参照して説明する。
樹脂パレット100は、上面デッキ30と、下面デッキ40と、複数のケタ板50とを有する。
上面デッキ30は、±X方向を長手方向とする上面デッキ板32を±Y方向に複数並べることにより形成されている。
下面デッキ40は、±X方向を長手方向とする下面デッキ板42を±Y方向に複数並べることにより形成されている。
ケタ板50は、±Y方向を長手とし、上面デッキ板32と下面デッキ板42とを固定している。ケタ板50は、±X方向に複数並べられ、各々のケタ板50は、上面デッキ板32と下面デッキ板42とを連結している。隣り合うケタ板50同士の間には、±Y方向に開口する孔60が形成されている。
ケタ板50は、本発明の樹脂発泡体の中心部に金属材22が1本内在している。ケタ板50は、上面デッキ板32及び下面デッキ板42よりも幅が狭く、肉厚に形成されている。
ケタ板50において、金属材22は、幅方向(±Z方向)を縦にして内在している。このため、樹脂パレット100は、±Z方向の外力に対する強度により優れる。
隣り合うケタ板50同士の間隔(孔60の幅)は、-X方向に位置する孔60から、順にa、b、c、d、eである。
幅a又は幅eが幅cよりも大きいと、樹脂パレット100の上面デッキ30の中央部の強度がより高められる。このため、上面デッキ30の中央部に重量の重い荷物を置くことができ、樹脂パレット100に荷物を載置して運搬する際に荷物が安定しやすい。加えて、幅a又は幅eが幅cよりも大きいと、孔60にフォークリフトのツメを差し込みやすく、荷物を運搬する際の作業性を良好にしやすい。
孔60の幅は、幅a>幅b>幅c、かつ、幅e>幅d>幅cが好ましい。孔60の幅が幅a>幅b>幅c、かつ、幅e>幅d>幅cであると、より安定して荷物を運搬しやすい。
樹脂パレットの製造方法は、特に限定されず、常法により製造できる。
例えば、樹脂パレット100の場合、複数並べたケタ板50に直交するように上面デッキ板32を載せ、ビスや釘等により接合する。釘としては、抜けにくいスクリュー釘が好ましい。所定の枚数の上面デッキ板32をケタ板50と接合したら、上面デッキ板32とケタ板50との接合面に対向する面で、ケタ板50と下面デッキ板42とをビスや釘等により接合する。所定の枚数の下面デッキ板42をケタ板50と接合することにより、樹脂パレット100が得られる。
また、上面デッキ板32とケタ板50とを先に接合する必要はなく、下面デッキ板42とケタ板50とを先に接合してもよく、これらの接合を同時に行ってもよい。
樹脂パレットは、木材等のパレットに比べて腐敗等することがないため、耐久性に優れる。
樹脂パレットの原料にリサイクル樹脂を用いることで、地球環境に優れる。
樹脂パレットは、仮に破損等しても、樹脂を溶融して繰り返し製造することができ、廃棄物を低減できる。
樹脂パレット100では、上面デッキ30を荷物の載置面としているが、下面デッキ40を荷物の載置面としてもよい。
樹脂パレット100では、上面デッキ板32と下面デッキ板42とが同じ形状であるが、上面デッキ板と下面デッキ板とは、異なる形状であってもよい。
樹脂パレット100では、デッキ板とケタ板50との厚さが異なるが、デッキ板とケタ板との厚さは、同じであってもよい。
樹脂パレット100では、ケタ板50同士の間に形成される孔60を5個有するが、荷物の荷重に応じて孔の数は適宜設定できる。ケタ板同士の間に形成される孔の数は、例えば、2個以上4個以下でもよく、6個以上でもよい。
本実施例において使用した原料は下記の通りである。
・主原料A:ポリスチレン樹脂、HRM-52(製品名)、東洋スチレン株式会社製、MFR=2.1g/10min。
・主原料B:使用済みのHRM-52(製品名)を主原料とする回収ペレット、MFR=4.0g/10min、数平均分子量9万。
・主原料C:ポリスチレン樹脂、HRM-12N(製品名)、東洋スチレン株式会社製、MFR=5.4g/10min。
<発泡剤>
・化学発泡剤:セルマイク(登録商標)6067、三協化成株式会社製。
<任意成分>
・ゴム成分:タフプレン(登録商標)A、旭化成株式会社製。
・着色剤:顔料、大日精化工業株式会社製。
樹脂として主原料A100質量部に発泡剤1.1質量部、ゴム成分1.0質量部、着色剤3.0質量部を混合して、口径が65mmで、かつL/D比が32の単軸押出機に供給して200℃にて溶融させ混練して樹脂溶融物とした。その後、樹脂温度を165℃とし、開口形状7.5mm(金属材通過部は13mm)×92mmのインサートダイより幅10mm×厚さ1.0mmの2本のアルミニウム板と共に、樹脂溶融物を押出した。インサートダイ直前での樹脂温度を表1に示す。樹脂溶融物を吐出量55kg/hで押出発泡させるとともにアルミニウム板を同じ速度で18mm×110mm×600mmのサイジングダイに供給した。サイジングダイでは、入口から50mmまでは空冷(28℃)とし、50mm~600mmまでは、水温15℃、水量(流量)30L/minの水をサイジングダイの外周に設けられた円筒内に通流して、樹脂溶融物とアルミニウム板とを水冷して成形体とした。この成形体を長さ6mの冷却水槽に供給し、水温15℃、水量100L/minの水を7分間噴霧して、冷却した。冷却された成形体は、上下一対のベルトローラーで引っ張られ、切断機にて所定の長さに切り出され、厚さ18mm×幅110mm×長さ2205mmの複合樹脂発泡板を得た。得られた複合樹脂発泡板の断面を観察すると、幅方向両端より9mmの位置に2本のアルミニウム板が縦向きに接着剤を使用せずに挿入されていることが確認できた。
樹脂として主原料Cを用いた以外は、実施例1と同様にして複合樹脂発泡板を得た。樹脂温度を表1に示す。
樹脂として主原料Bを用いた以外は、実施例1と同様にして複合樹脂発泡板を得た。樹脂温度を表1に示す。
実施例3の条件を基に、樹脂温度が表1の値となるように調整した以外は、実施例3と同様にして複合樹脂発泡板を得た。
実施例3の条件を基に、樹脂温度、サイジングダイでの水温、サイジングダイでの水量が表1の値になるように調整し、実施例1と同様にして複合樹脂発泡板を得た。
複合樹脂発泡板の樹脂発泡体をその表面に対して垂直な方向(厚さ方向)に切断し、この切断面の表面付近をマイクロスコープ(VHX-1000、株式会社キーエンス製)を用いて30~100倍に拡大して観察した。スキン層の厚さは、樹脂発泡体の表面から、最表層側の気泡表面までの長さとし、無作為に選んだ最表層側の8つの気泡について各気泡につき3箇所測定した。24箇所の測定値の平均値をスキン層の厚さ(μm)とした。
複合樹脂発泡板の樹脂発泡体から、縦25mm×横50mm×厚さ18mmの試験片を切り出した。得られた試験片の外寸を、株式会社ミツトヨ製「デジマチックキャリパ」を用いて、1/100mmまで測定し、見掛けの体積(cm3)を求めた。
次に、乾式自動密度計アキュビックII1340(米国マイクロメリティックス社製)を用いて、1-1/2-1気圧法により試験片の体積(cm3)を求めた。
下記式(1)により連続気泡率(%)を計算した。
連続気泡率(%)={見掛けの体積(cm3)-試験片の体積(cm3)}/見掛けの体積(cm3)×100 ・・・(1)
5つの試験片の連続気泡率の平均値を求めた。連続気泡率を計算する際は、試験片をJIS K7100:1999の記号23/50、2級の環境下で16時間保管した後、JIS K7100:1999の記号23/50、2級の環境下で測定を行った。
複合樹脂発泡板の樹脂発泡体の見掛け密度を、JIS K 7222:2005「発泡プラスチック及びゴム-見掛け密度の求め方」に準拠して測定することによって求めた。「1」を樹脂発泡体の見掛け密度で除して、発泡倍率を計算した。
複合樹脂発泡板の樹脂発泡体から、縦25mm×横50mm×厚さ18mmの試験片を切り出した。乾式自動密度計アキュビックII1340(米国マイクロメリティックス社製)を用いて、1-1/2-1気圧法により試験片の体積(cm3)を求めた。次いで、試験片の質量(g)を測定し、試験片の質量(g)を試験片の体積(cm3)で除して密度を計算した。密度は、5つの試験片の平均値とした。
複合樹脂発泡板から、幅55mm×長さ300mm×厚さ18mmの試験片を得た。得られた試験片をJIS K 7100:1999の記号23/50(温度23℃、相対湿度50%)、2級の環境下で16時間保管した後、同じ環境下で曲げ強度の測定を行った。試験条件は以下の通りとした。
《試験条件》
・測定装置:テンシロン(登録商標)万能試験機(RTG-1310、株式会社エー・アンド・デイ製)。
・試験片の数:3。
・試験速度:20mm/分。
・支点間距離:220mm。
・先端治具:加圧くさび 15R。
・支持台:15R。
複合樹脂発泡板からアルミニウム板が3mm突出するように樹脂発泡体のみを削って試験片を得た。得られた試験片を万力に固定し、突出しているアルミニウム板の長手方向に荷重を掛けて、アルミニウム板が動いたときの荷重を測定し、押し抜き強度とした。試験条件は以下の通りとした。
《試験条件》
・測定環境:温度23℃、相対湿度50%。
・測定装置:テンシロン(登録商標)万能測定器(UCT-5T、株式会社エー・アンド・デイ製)。
・試験片の数:3。
・試験速度:2mm/分。
・ロードセル定格:50000N。
実施例1と同じ組成の樹脂組成物を実施例1と同じ押出機に供給して200℃にて溶融させ混練して樹脂溶融物とした。その後、樹脂温度を165℃とし、開口形状20mm(中央部は16mm)×79.5mmのインサートダイより幅30mm×厚さ1.0mmの1本のアルミニウム板と共に、樹脂溶融物を押出した。樹脂溶融物を吐出量55kg/hで押出発泡させるとともにアルミニウム板を同じ速度で40mm×80mm×600mmのサイジングダイに供給した。サイジングダイでは、実施例1と同様に冷却して成形体を得た。この成形体を実施例1と同じ冷却水槽に供給し、水温15℃、水量100L/minの水を11分間噴霧して、冷却した。冷却された成形体は、上下一対のベルトローラーで引っ張られ、切断機にて所定の長さに切り出され、厚さ40mm×幅80mm×長さ2195mmの複合樹脂発泡板(ケタ板)を得た。得られたケタ板の断面を観察すると、中央部に1本のアルミニウム板が横向きに接着剤を使用せずに挿入されていることが確認できた。
得られたケタ板6本を、表2に示すように、a、b、c、d、eの間隔で配置し、上部に19枚の実施例1で得られた複合樹脂発泡板(上面デッキ板)を等間隔に並べ、下部に17枚の実施例1で得られた複合樹脂発泡板(下面デッキ板)を等間隔に並べた。両端のケタ板と上面デッキ板とが接する箇所に、1箇所につき3本のプラシートねじ(マックス株式会社製)でねじ止めをした。両端のケタ板と下面デッキ板とが接する箇所についても、同様に1箇所につき3本のプラシートねじ(マックス株式会社製)でねじ止めをした。残り4本のケタ板と上面デッキ板とが接する箇所は、1箇所につき2本のメッキ釘(首下の長さ65mm、胴部径φ2.9mm、マックス株式会社製)で釘止めをした。残り4本のケタ板と下面デッキ板とが接する箇所についても、同様に1箇所につき2本の前記メッキ釘で釘止めをして、縦2200mm×横2200mm×高さ116mmの樹脂パレットを製造した。
得られた各例の樹脂パレットに、ロール状のポリスチレン系樹脂発泡シート(質量50kg)10本を積載し、2本のツメの間隔が1800mm、ツメの長さが1850mmのフォークリフトで樹脂パレットを持ち上げて、樹脂パレットの撓み具合を目視で確認した。樹脂パレットの撓み具合及びフォークリフトのツメの差し込みやすさを、以下の評価基準に従って評価した。結果を表2に示す。なお、実験例2の樹脂パレットは、ケタ板の数を5本としたものである。
《評価基準》
◎:樹脂パレットが撓まず、かつ、フォークリフトのツメを差し込みやすい。
○:樹脂パレットは撓まないが、フォークリフトのツメは若干差し込みにくい。
△:樹脂パレットがわずかに撓む、又は、フォークリフトのツメが差し込みにくい。
×:樹脂パレットが撓む。
一方、連続気泡率及び発泡倍率が本発明の範囲外である比較例1~4は、曲げ強度が20MPa未満、かつ、押し抜き強度が2500N未満だった。
樹脂パレットのケタ板同士の間隔(孔の幅)を変えて行った実験例1~6によると、デッキ板の長手方向の端部寄りの孔の幅(a及びe)が広いと、樹脂パレットが撓まず、かつ、フォークリフトのツメを差し込みやすいことが分かった。実験例2では、ケタ板の数が少なく、全ての孔の幅が広いため、樹脂パレットの全体が撓んだ。樹脂パレットが撓むと、積載した荷物が動き、作業を中断する場合があり、好ましくない。
Claims (5)
- 長尺の樹脂発泡体と、前記樹脂発泡体に内在し、前記樹脂発泡体の長手方向に延びる板状の金属材とを有する複合樹脂発泡板において、
前記樹脂発泡体の連続気泡率が20%以下であり、
前記樹脂発泡体の発泡倍率が1.5倍以上2.5倍以下である、
前記樹脂発泡体は、表面に厚さ100~500μmのスキン層を有し、
前記樹脂発泡体を構成する樹脂がポリスチレン系樹脂であり、
前記ポリスチレン系樹脂がリサイクル樹脂を含む、複合樹脂発泡板。 - 前記樹脂発泡体を構成する樹脂は、JIS K 7210:1999に記載のプラスチック-熱可塑性プラスチックのメルトマスフローレート(MFR)の測定方法に準拠して測定することによって求められるメルトマスフローレート(MFR)が1.5g/10min以上6.0g/10min以下である、請求項1又は2に記載の複合樹脂発泡板。
- 互いに長手を平行にして並ぶ複数のデッキ板と、
前記デッキ板を固定する複数のケタ板と、を有し、
前記デッキ板及び前記ケタ板が、請求項1又は2に記載の複合樹脂発泡板である、樹脂パレット。 - 隣り合う前記ケタ板同士の間隔は、前記デッキ板の長手方向の中央寄りよりも前記長手方向の端部寄りの方が広い、請求項3に記載の樹脂パレット。
- 樹脂及び発泡剤を含む樹脂組成物を溶融して樹脂溶融物とし、前記樹脂溶融物を前記金属材と共に押し出し、前記金属材と一体となった前記樹脂溶融物を発泡しながら、20~50℃で空冷し、次いで5~20℃で水冷して、前記樹脂発泡体を形成する、請求項1に記載の複合樹脂発泡板の製造方法。
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