JP7324052B2 - 手術器具 - Google Patents

Description

本発明は、請求項１の前文に記載の手術器具に関する。

以下、用語「遠位」は、常に、使用者から離れた器具または構成要素の部分を説明し、用語「近位」は、使用者に向けられた器具または構成要素の部分を表す。

欧州特許出願公開第２８４５５５０号明細書は、例えば血管のような生体組織を凝固し、密封し、そして切断するための手術器具を説明している。器具は、枢動運動の様式でプル／プッシュ要素を介して閉じることができる２つのブランチを含み、この場合、ナイフが、長手方向に摺動できるようにプッシュ／プル要素間に支持される。

欧州特許出願公開第２５７４２９９号明細書から、組織を掴んでクランプするため、および電流の導入による凝固のための１つの可動であるブランチおよび１つの固定式ブランチを備える器具が、知られている。作動レバーの運動は、ロッドアセンブリを介して工具に伝達される。ロッドアセンブリはシャフトを通って延びる。ロッドアセンブリは、Ｕ字形断面のプロファイルを有する駆動ロッドと、その中に位置決めされたナイフロッドとから構成される。

欧州特許出願公開第２３６１３１６号明細書は、組織を掴むために別のブランチに向かって移動することができる可動であるブランチを備えた手術器具を開示している。この器具は、ハンドルおよび作動レバーを備える。作動レバーの運動は、作動ギア機構を介して、シャフトを通って延びるプル／プッシュ要素および摺動要素によって工具に伝達される運動に変換される。

米国特許第８６３２５３９号明細書は、２つのブランチと、スロットを備えたナイフとを備える手術器具であって、プル／プッシュロッドが配置され、プル／プッシュロッドを介してブランチを作動させることができる、手術器具を開示している。

米国特許出願公開第２０１３／００６６３０３号明細書は、２つのブランチとナイフとを有する器具を説明しており、この場合、ナイフは、ブランチのチャネル内で長手方向に移動することができる。

独国特許出願公開第１０２０１６１０６３９７号明細書は、シャフト内に支持されたブランチを備えた手術器具であって、シャフト内には、前記ブランチを開位置から閉位置に移動させるために、ブランチの近位端セクションを案内するための接続リンクが形成される、手術器具を開示している。作動ピンがブランチの近位端セクション上に設けられ、前記ピンは、ブランチを閉じるために引っ張り／圧力ロッド内のそれぞれ１つの凹部と係合状態にある。

米国特許出願公開第２０１０／００３１９７７号明細書は、２つの鉗子レバーを備えた器具であって、２つのクランプが１つの鉗子レバー上に設けられ、前記クランプは、２つの鉗子レバーを一緒に保持するために配置されている、器具を開示している。

この先行技術を考慮して、本発明の目的は、改良された手術器具を述べることである。

この目的は、請求項１に記載の手術器具によって達成される。

本発明の第１の態様による手術器具は、第１のブランチおよび第２のブランチを備えた工具（顎工具）を備え、前記ブランチの少なくとも１つは、枢動可能であるように支持される。ブランチは、爪部または顎部とも呼ばれ得る。器具は、第１の工具が保持される遠位端を有するシャフトを備える。本発明による手術器具のプッシュ／プル要素は、結合構造を介して、ブランチを閉じるために少なくとも１つの枢動可能に可動に支持されたブランチと結合される。例えば、プル／プッシュ要素は、シャフトを通って延びることができる。代替的にまたは追加的に、プル／プッシュ要素は、例えばシャフトに隣接して延びることができ、および／またはプル／プッシュ要素は、例えばシャフトを囲むことができる。本発明による手術器具は、プル／プッシュ要素と枢動可能に可動に支持されたブランチとの間の結合部が作動ピンと結合トラック、特に摺動リンクトラックとを有し、作動ピンが、枢動可能に可動に支持されたブランチをプル／プッシュ要素に結合するためにスリーブを介して結合トラックと係合状態にあり、前記スリーブは作動ピンによって回転可能に支持される点において、区別される。

結合トラックの支持体と作動ピンの支持体との間に、力が、結合トラックおよび作動ピンを介して、プル／プッシュ要素から枢動可能に可動に支持されたブランチに伝達される。好ましくは、結合トラックは、プル／プッシュ要素の並進運動から枢動可能に可動に支持されたブランチの枢動運動への変換を明示する摺動リンクトラックである。

作動ピンによって回転可能に支持されるスリーブは、結合トラックから転がり、作動ピン上を摺動する。好ましい実施形態では、作動ピン、および摺動リンクトラックを形成する結合トラックは、摺動リンクトラックから転がるスリーブを介して互いに係合状態にあるため、プル／プッシュ要素の引っ張り／押し込み運動は、少なくとも１つのブランチの開閉運動に変換される。作動ピンが結合トラック、特に摺動リンクトラック上をスリーブ無しで摺動し、そのために作動ピンが結合トラック上で摺動摩擦状態にある器具とは反対に、本発明による器具では、スリーブと結合トラック、特に摺動リンクトラックとの間の転がり摩擦、および作動ピンとスリーブとの間の摺動摩擦が存在することになる。特定された結合トラックの場合、作動ピンとスリーブとの間の、摺動摩擦を発生させる接触面は、スリーブの円形形状により、作動ピンと結合トラックとの間に摺動摩擦を起こしながら特定された結合トラック上をスリーブ無しで摺動する、スリーブの外径を有する作動ピンとの間より大きくなり得る。

本発明による手術器具の顎工具は、少なくとも１つのブランチの多数の閉鎖運動、例えば２５０回の閉鎖運動後でも、円滑に、そして摩擦によって誘発される磨耗によって不具合が引き起こされることなく、依然として作動され得る。特に、第１の工具の制御性を損なう可能性がある、作動ピンまたは結合トラックまたは摺動リンクトラック上の再成形またはアブレーションは、スリーブによって防止されるか、または最小限に抑えられ得る。特に、結合トラックまたは摺動リンクトラック上のバリまたはノッチ形成が、最小限に抑えられる。したがって、顎工具の耐用年数が増大する。スリーブにより、摩擦によって引き起こされる磨耗および／または摩擦損失による損失を減少させることが可能であるため、ブランチの先端部にかかる大きい所望のクランプ力も、依然として許容可能な手動力で加えることができる。コーティングされたまたはコーティングされない金属、特にステンレス鋼、またはセラミックのスリーブが好ましい。

作動ピンによって支持されるスリーブは、好ましくは、底部、特に閉鎖底部を有する。したがって、底部がスリーブの安定性を高めるので、スリーブは薄い壁で作製可能である。このようにして、薄い壁のスリーブであっても、スリーブの縁がへこむことはない。閉鎖底部を有し得るカップ形状のスリーブにより、薄い壁のスリーブであっても、特に縁部において、その安定性が著しく向上する。

好ましくは、作動ピンは円錐状であり、特にその自由端に向かって円錐状にテーパである。好ましくは、スリーブによって区切られた空間も円錐状であり、特に円錐断面のような形状である。スリーブが底部を有する場合、スリーブの内側空間は、好ましくは、底部に向かって円錐状にテーパである。スリーブの外側形態は、好ましくは、円錐断面または円筒形の形態を有する。

特に摺動摩擦力がピンの表面またはスリーブの内側表面に均一に伝達される場合、円錐状であるか、または円錐断面の形状を有する作動ピンは、内側で円錐状にテーパであるスリーブと最適に相互作用することができる。さらに、手術器具の組み立て中に利点が得られる。作動ピンを支承する部分、例えばブランチである前記部分は、例えば金属粉末射出成形部分であり得る。作動ピンが円錐状であるとき、この成形部分は、射出成形型からより容易に離型され得る。スリーブもまた円錐状である場合、それぞれカップの形状により、および底部によって、スリーブが正しい方向に取り付けられることを確実にすることが可能である。さもなければ、スリーブの作動ピンおよび／または摺動リンクトラックのアブレーションの増大または変形の増大が結果として起こり得ることもある。

スリーブと作動ピンとの間には、好ましくは、スリーブおよび／または作動ピンのコーティングが実施される。例えば、コーティングは、作動ピン上に、特に作動ピン上にのみ配置され得る。コーティングされていないスリーブまたはコーティングされたスリーブおよび／またはコーティングされた作動ピンまたはコーティングされていない作動ピンと一緒に、コーティングは、スリーブの基材と作動ピンの基材との間の摺動摩擦よりも小さい摺動摩擦を有する摩擦対を形成する。

作動ピンと摺動リンクトラックとの間には、好ましくは、固体、すなわち特に粉末状、液体様またはペーストのような潤滑剤がないことが効果的である。そのような潤滑剤は、本明細書の上記で説明したスリーブが、摺動リンクトラックから転がり、摺動リンクトラックと作動ピンとの間に力を伝達するために作動ピンによって回転可能に支持されるとき、および／または作動ピンおよび／または摺動リンクトラックがコーティングされるとき、繰り返し使用した後でも第１の工具の作動を損なうことなく省かれ得る。

手術器具は、別の工具、特にナイフまたはウォータージェットプローブを備え得る。

好ましくは、第１のブランチおよび第２のブランチは、枢動可能に可動であるように支持される。

好ましい実施形態では、プル／プッシュ要素の遠位端には、互いに対向して配置されている第１の側壁および第２の側壁を有する結合要素が設けられる。側壁は開口部を有していても、閉じられ得る。側壁は、側壁間に受け入れ空間を区切る。受け入れ空間は、例えば、チャネル、スロット、またはギャップであり得る。好ましくは、第１の側壁は、第１の結合構造を支承し、第２の側壁は、好ましくは第２の結合構造を支承する。第１の結合構造は第１のブランチと係合状態にあり、対向の側壁の第２の結合構造は、第２のブランチと係合状態にある。受け入れ空間内では、好ましくは別の工具、特にナイフが、結合構造間にシャフトの長手方向に配置されるか、または結合構造間をシャフトの長手方向に摺動可能に案内される。結合要素は、結合体を形成するために、２つの側壁の少なくとも１つの接合部を備える。例えば、結合要素は、Ｕ字形断面を有することができ、その場合、受け入れ空間は、ナイフを案内するためにＵ字形の２つの「脚部」間のスロットであり得る。第２の工具、特にナイフによって、第２の工具の外側限界間で占有される受け入れ空間のセクションは、好ましくは、中断されない。したがって、第２の工具、特にナイフは、受け入れ空間が案内される領域内に長円形の穴を必要としない。第２の工具は、結合要素内の、側壁間または結合構造間に結合要素内に形成された受け入れ空間内で確実に案内され得る。

好ましい実施形態では、摺動リンクトラックは、結合構造として結合要素上に設けられており、枢動可能に可動に支持されているブランチは、好ましくは、リンクガイドと関連する作動ピンを有する。あるいは、摺動リンクトラックは、枢動可能に可動に支持されたブランチ上に構成されてよく、摺動リンクトラックと係合状態にある作動ピンは、結合要素上に構成されてよい。

リンクガイド、特に結合要素の側壁上に配置されたリンクガイドは、例えば、凹部、特に溝またはスロットを区切る２つの対向する壁面によって形成され得る。好ましくは、凹部は、底部を有する。壁面は、引っ張り運動または押し込み運動をブランチの対応する閉鎖運動または開放運動に変換するための摺動リンクトラックを形成する。ブランチまたは結合要素上に配置された作動ピンは凹部と係合し、好ましくは凹部内で終わる。

摺動リンクトラックは、湾曲され得る。好ましくは、摺動リンクトラックは、並進運動方向に対して傾斜しているか、またはシャフトの長手方向に対して傾斜して配向されている。好ましくは、摺動リンクトラックは、並進運動方向に対して異なる傾斜で配向されるか、またはシャフトの長手方向に対して傾斜しているセクションを有する。好ましくは、摺動リンクトラックは、少なくとも１つの屈曲部を有する。例えば、対向する摺動リンクトラックまたは壁面は、屈曲部を有するかまたは屈曲部を描く凹部、特に溝を画定するように屈曲部を有することができる。このようにして、プル／プッシュ要素による枢動可能なブランチへの運動の伝達は、ブランチの開位置から閉位置への２つの異なる変換、特に変換ステップを伴う進行運動中、連続的に行われる。

枢動可能に可動であるように支持されたブランチは、好ましくは、シャフト上の支承ピンによって枢動可能に可動であるように支持される。例えば、支承ピンは、ブランチ上に設けられ得る。少なくとも１つのブランチは、好ましくは、枢動運動中にブランチがシャフトに対して並進運動を実行しないように枢動可能に支持される。

好ましい実施形態では、第１のブランチおよび第２のブランチは、シャフト上に枢動可能に支持され、この場合、ブランチの枢動軸は互いに対してずれている。

好ましくは、枢動可能に可動に支持されたブランチの近位端部が中で案内されるチャネルが、シャフト内またはシャフト上に配置されるため、枢動可能に可動に支持されたブランチの近位端が枢動される枢動平面に対して横方向の枢動可能なブランチの近位端の運動は、その限界が定められるか、または防止される。

本発明による手術器具の第１および第２のブランチの各々は、好ましくは、第１のブランチおよび第２のブランチをＲＦ発電機に接続するための電気接続を有する。好ましくは、熱融合用のバイポーラ器具を形成するために、ＲＦ電力が、第１のブランチおよび第２のブランチに印加され得る。

上記で説明した実施形態によって本明細書の上記で説明した特徴のうちの１つまたは複数の組み合わせは、追加の好ましい実施形態を形成する。第１の態様による手術器具の追加の有利な特徴および実施形態は、従属請求項、ならびに以後の説明および図面から習得され得る。

本発明の第２の態様によれば、請求項１の前文による手術器具であって、第１のブランチおよび第２のブランチが枢動可能に可動に支持され、結合要素がプル／プッシュ要素の遠位端上に設けられ、前記結合要素が、結合要素の各々対向する側壁上に、結合構造を有し、そのうち１つの結合構造は、１つのブランチと係合状態にあり、対向する側壁の結合構造は、他のブランチと係合状態にあり、結合要素は、側壁間に受け入れ空間を画定し、受け入れ空間内では、追加の工具が、結合構造間にシャフトの長手方向に配置されるか、またはシャフトの長手方向に可動に案内されることを特徴とする、手術器具が、追加的に述べられる。第２の態様による手術器具を参照すると、典型的な実施形態では、プル／プッシュ要素と枢動可能に可動に支持されたブランチとの間に、作動ピンによる結合部を設けることができ、この場合スリーブが、前記ピンの各々によって回転可能に支持される。本発明の第２の態様による手術器具の典型的な実施形態は、本特許出願の発明による手術器具の特徴の任意の１つまたは複数を用いて開発され得る。

本発明の第１の態様および第２の態様と一致する本発明による手術器具の一実施形態の概略斜視図である。 図１による第１の工具の斜視図である。 図２による第１の工具に属するシャフトの基部の斜視図である。 ブランチの作動ピン上に配置するためのスリーブを有する、図２のような本発明による器具の第１の工具のブランチの斜視図である。 図１および図２におけるような本発明による器具の第１の工具のスリーブの斜視図である。 図５ａによるスリーブの中心を通る長手方向断面図である。 図４におけるようなブランチの作動ピン上の図５ａ、図５ｂによるスリーブの詳細な長手方向断面図である。 ナイフが追加の工具として案内されている結合要素を有する、図１から３のような本発明による器具のプル／プッシュ要素の図である。 結合要素の他方側の、図６ａによる結合要素の斜視図である。 図２による第１の工具の詳細の拡大斜視図である。

図１は、ハンドル１１を有するハウジング１２を備える手術器具１０を示す。手術器具１０は、シャフト１３を有し、その近位端１４はハウジング１２上に保持されている。シャフト１３の遠位端１５は、例えばクランプ、凝固および融合のために、生物学的材料上に作用するための第１の工具１６を支承する。シャフト１３を通って延びて、第２の工具１７、例えばナイフ１７、または組織、例えば血管のその後の切断のために配置された流体ラインが存在する。手術器具１０は、好ましくは、ＲＦ発電機１８に接続される。好ましくは、本発明による手術器具１０は、熱融合用のバイポーラ器具である。

図２は、第１の工具１６を単独で示している。第１の工具は、第１のブランチ２０ａおよび第２のブランチ２０ｂを備え、そのうちの少なくとも１つ、本発明の典型的な実施形態では両方のブランチ２０ａ、２０ｂは、枢動軸周りで枢動可能に可動であるように支持される。各ブランチ２０ａ、２０ｂはブランチ支持体２１ａ、２１ｂと、この支持体に固定された電極ユニット２２ａ、２２ｂとからなる。そのようにする際、ブランチ支持体２１ａ、２１ｂは、機械的な力を伝達し、ブランチ２０ａ、２０ｂを支持するために配置される。接続部２３ａを介して、電極ユニット２２ａ、２２ｂは電線に接続され、この接続により、ＲＦ発電機１８は電気的ＲＦ電力で充電され得る。混乱を避けるために、電線は図には示されていない。図２では、第２のブランチ２０ｂ用の接続は隠されている。

ここでは例として第１のブランチ２０ａを参照して説明され、この場合第２のブランチ２０ｂにも適用可能である、特に図４で分かり得るように、ブランチ支持体２１ａは、作動セクション２４と、支持セクション２５ａとを備える。支持セクション２５ａは、電極ユニット２２ａを支持する。電極ユニット２２ａの中心には、両側が絶縁されたチャネル２６、またはナイフ１７（特に図６ａ、６ｂを参照）を収容し案内するように配置されたナイフ案内溝が設けられる。

本発明の典型的な実施形態では、シャフト１３は、基部３０として形成された遠位セクションを有する。基部は、図３に別個に示される。基部３０は、例えばプラスチック材料で作製され得る。基部３０は、スナップロック接続を介してシャフト１３の近位端まで延びるシャフトの残りの部分に接合され得る。この目的のために、図示された基部３０は、係止キャッチ３２を備える。図２は、シャフト１３の残りの部分を示していない。第１の工具１６のブランチ２０ａ、２０ｂは、基部３０によって枢動可能に支持される。そうするために、基部３０は、支承凹部３３ａ、３３ｂを有する。支承凹部３３ａ、３３ｂは、枢動軸が一致しないように互いから離れているが、好ましくは、互いから離れて平行である。したがって、第２の工具１７は、基部３０を通って支承凹部３３ａ、３３ｂ間に案内され得る。本発明の典型的な実施形態では、ナイフ１７は、基部３０を通って案内される。そうするために、ナイフ１７のためのガイドを形成するために、スロット３５が、基部の遠位端に設けられる。基部３０は、空間をその間に画定する２つの対向する側壁３６、３７を有する。側壁３６、３７の各々は窓３８、３９を有し、この場合、窓３８、３９は互いに向かい合って配置される。基部３０は、２つの横方向延在部４０を有する。側壁３６、３７と一緒になって、延在部４０は、それぞれチャネル４１を形成する。

ブランチ２０ａ、２０ｂ（特に、例として第１のブランチ２０ａを使用する図４を参照）は、支持セクション２４ａと作動セクション２４との間に、それぞれ１つの支承ピン４５を有し、前記支承ピンは、ブランチ２０ａ、２０ｂを基部３０内で枢動可能に可動に支持するために、基部３０内の関連する支承凹部３３ａ、３３ｂ内に配置される。一例として第１のブランチ２０ａを用いる図４に示すように、ブランチ２０ａ、２０ｂの作動セクション２４上に作動ピン４６が配置されている。作動ピン４６は、側壁３６の窓３８を通って基部３０の対応する側に突出する。基部３０の側壁３６、３７によって画定された空間には、空間を通って長手方向に、結合要素５１（結合体）を有するプル／プッシュ要素５０が延びており、この結合要素は、プル／プッシュ要素５０の伝達セクション５２に接合され、特に溶接されるか、または前記伝達作用を有して一体的に継ぎ目無しに構成される。図示する実施形態におけるプル／プッシュ要素５０はシャフト１３を通って延びているが、本発明による器具１０の他の実施形態におけるプル／プッシュ要素５０は、例えばシャフト１３の隣で平行に延びることができ、またはこの要素は、例えば管状であり、シャフト１３を取り囲み得る。

好ましくは、結合要素５１は金属部品、特にステンレス鋼のものである。結合要素５１は本体５５からなる。本体５５は、底部５７を介して互いに接合された２つの側壁５６ａ、５６ｂを有する。側壁５６ａ、５６ｂの間に画定されたスロット形状の受け入れ空間５８において、この典型的な実施形態ではナイフである第２の工具１７は、長手方向に案内される。この状況は、図６ａおよび図６ｂによって示されている。図６ａおよび図６ｂは、結合要素５１の２つの斜視図であり、その受け入れ空間５８内では、ナイフ１７が案内される。ナイフ１７は、受け入れ空間５８を通って伝達セクション５２内に延びる。

好ましくは、図示する典型的な実施形態のように、各側壁５６ａ、５６ｂは、溝６０ａ、６０ｂを有し、そのうち説明の都合上、図６ａは、側壁５６ａの溝６０ａのみを示す。第１のブランチ２０ａの作動ピン４６は、この溝６０ａに係合する。図６ｂは、溝６０ｂを有する他方側からの結合要素５１を示しており、この溝内に第２のブランチ２０ｂの作動ピンが係合する。溝６０ａ、６０ｂは、それぞれ底部６１、６１Ｂを有する。受け入れ空間５８は、底部６１ａ、６１ｂの間に配置される。溝６０ａ、６０ｂは、各側壁５６ａ、５６ｂ上に溝６０ａ、６０ｂの形態で構成される摺動リンクガイドの摺動リンクトラック６５ａ、６５ｂ、６６ａ、６６ｂを形成する２つの対向する壁面によって横方向に区切られている。結合要素５１が摺動リンクトラック６５ａ、６５ｂ、６６ａ、６６ｂの支持体（キャリア）となるように結合要素５１上に摺動リンクトラック６５ａ、６５ｂ、６６ａ、６６ｂを設け、作動ピン４６が枢動可能に可動であるブランチ２０ａ、２０ｂ上に設けられる代わりに、その逆として、摺動リンクトラック６５ａ、６５ｂ、６６ａ、６６ｂをブランチ２０ａ、２０ｂ上に配置し、作動ピン４６を結合要素５１上に配置することも可能である。第１のブランチ２０ａの作動ピン４６は、第１の側壁５６ａ上の溝６０ａ内で終わっている。この状況にしたがって、第２のブランチ２０ｂの図示しない作動ピンは、第２の側壁５６ｂの溝６０ｂ内で終わっている。第１の側壁５６ａ上の摺動リンクトラック６５ａ、６６ａは、シャフト１３の長手方向のプル／プッシュ要素５０の並進運動をブランチ２０ａの枢動運動に変換するために、第１のブランチ２０ａの作動ピン４６と相互作用する。同じことが第２のブランチ２０ｂの作動ピンおよび関連する摺動リンクトラック６５ｂ、６６ｂにも当てはまる。

摺動リンクトラック６５ａ、６６ａおよび６５ｂ、６６ｂはそれぞれ、対向する屈曲部を有するため（図６ａの参照符号６７ａおよび６８ａ、ならびに図６ｂの６７ｂおよび６８ｂを参照）、屈曲部を有する溝６０ａ、６０ｂが形成され、この場合、案内方向は、案内方向の変化と比較して、屈曲部の前後で急激に変化する。摺動リンクトラック６５ａ、６６ａおよび６５ｂ、６６ｂによってそれぞれ特定される案内方向は、摺動リンクトラック６５ａ、６６ａおよび６５ｂ、６６ｂの各々のセクション上に、引っ張り／押し込み方向と反対の成分をそれぞれ有する。屈曲部は、作動ピン４６が屈曲部を越えて、または作動ピン４６上の屈曲部を越えて移動される前後に、プル／プッシュ要素５０の並進運動のブランチ２０ａ、２０ｂの枢動運動への異なる変換を結果としてもたらす。摺動リンクトラックの屈曲部前後のセクションは、直線状または曲線状であり得る。

図６ａおよび図６ｂに示すように、ナイフ１７は、第１の側壁５６ａ上に摺動リンクトラック６５ａ、６６ａを有する結合構造と、第２の側壁５６ｂ上の側壁５６ａ、５６ｂ間に摺動リンクトラック６５ｂ、６６ｂを有する結合構造との間を案内される。ナイフによって、ナイフ１７の外側縁間で占有される受け入れ空間５８のセクションは、好ましくは、例えば側壁５６ａ、５６ｂの間のストリップによって中断されない。この結果として、ナイフ１７は、結合要素５１によって案内されるナイフ１７のセクション内に細長いスロットを必ずしも有する必要はない。

図４には、第１のブランチ２０ａの斜視図に加えて、スリーブ７０が斜視図で示されており、前記スリーブ７０は、作動ピン４６上の図２による組み立てられた第１の工具内に回転可能に支持されるように配置される。図５ａ、図５ｂ、図５ｃによっても示すように、スリーブ７０は、好ましくは、底部７１を有するカップの形状を有する。図示する実施形態におけるように、底部７１は、好ましくは、閉鎖されている。そうでなければ、底部７１は、例えばスポークからなることができる。底部７１は、底部７１が配置されているスリーブの縁部７２を安定化させる。スリーブ７０は、底部７１が、底部７１を有しない場合よりも薄い壁を有するように作製され得る。さらに、底部７１は、作動ピンの長手方向に作動ピン４６のための画定された当接部を表す（作動ピン４６および取り付けられたスリーブ７０を通る作動セクション２４を通る断面図を表している図５ｃを参照）。結合要素５１の溝６０ａ内での作動ピン４６の相対運動の間、スリーブ７０は、プル／プッシュ要素の並進運動に対応して摺動リンクトラック６５ａまたは６５ｂから転がり、前記トラックは、溝６０ａを区切る壁表面によって画定されている。そのようにする際、スリーブ７０は、作動ピン４６上を摺動する。スリーブ７０が摺動リンクトラック６５ａまたは６５ｂ上でそこから転がることを確実にし、スリーブ７０が作動ピン４６上で摺動することを確実にするために、スリーブ７０の外径とスリーブ７０の内径との比は、この状況に応じて選択される。溝６０ａ、６０ｂの底部６１ａ、６１ｂは、作動ピン４６上で、作動ピン４６の長手方向のスリーブ７０の運動のための境界を形成する。

スリーブ７０の基体は、好ましくは金属、特にステンレス鋼、またはセラミックである。スリーブ７０と作動ピン４６との間には、摺動摩擦を低減させるために、好ましくは、コーティング７４が効果的である。好ましくは、作動ピン４６には、摩擦低減コーティング７４が設けられる。代替的にまたは付加的に、スリーブ７０の内周面７２は、摺動摩擦低減コーティングでコーティングされてよい。摺動摩擦低減コーティングは、例えば、金属コーティング、有機コーティング、またはセラミックコーティングであり得る。例えば、コーティングは、ダイヤモンド様カーボン層であり得る。ダイヤモンド様カーボンとは、ダイヤモンド様のアモルファスカーボンを指す。

スリーブ７０の外側表面７３は、円筒形であることが好ましい。スリーブの内径は、作動ピン４６の外周面４７のセクションと摺動摩擦状態にある内周面７２のセクション内でスリーブ７０の底部７１に向かってわずかに円錐状にテーパであり得る。同様に、作動ピン４６は、内周面７２と摩擦対を形成する円周面４７のセクション内でわずかに円錐状に作動ピン４６の自由端に向かってテーパであり得る。作動ピン４６の円錐形態およびスリーブ７０の内側によって画定される内周面７２のセクションおよび円周面４７のセクションの開口角は、同じであり得る。円錐断面の形状を有する作動ピン４６は、特に摺動摩擦力が作動ピン４６の円周面４７とスリーブ７０の内周面７２それぞれに均一に伝達されるとき、内部に円錐状にテーパであるスリーブ７０と最適に相互作用することができる。加えて、手術器具１０の組み立てにおいて利点が結果として得られる。例えば、ブランチ２０ａ、２０ｂの場合、これらのブランチはそれぞれ、金属粉末噴射された構成要素であり得る。円錐形状の作動ピン４６の場合、このピンは、射出成形型によってより良好に離型され得る。スリーブ７０もまた内側で円錐状に成形される場合、カップ形状により、または底部７１によって、スリーブ７０の作動ピン４６および／または摺動リンクトラック６５ａ、６５ｂおよび６６ａ、６６ｂそれぞれのいかなるアブレーションの増大または変形の増大も回避するために、スリーブ７０が作動ピン４６上に正しい方向に置かれることを確実にしなければならない。

枢動可能に可動に支持された第１のブランチ２０ａの作動セクション２４の近位端は、好ましくは、シャフト１３の基部３０によって支持された延在部４０と、チャネル４１内の基部３０との間で案内される。この状況は、図２による第１の工具の詳細の拡大図を示す図７によってさらに示される。この結果として、基部３０から離れるように枢動面に対して横方向にブランチ２０ａの近位端が移動するのが、防止されるかまたは制限される。この状況は、本発明による器具１０の安定性を促進する。

これまで説明した器具１０は、以下のように動作する。

作動されないとき、ブランチ２０ａ、２０ｂは、互いに離れるように広げられており、ナイフ１７は、後退位置にある。この位置では、プル／プッシュ要素５０を、圧縮ばね（図示せず）によって遠位方向に付勢させることができるため、ブランチ２０ａ、２０ｂは広げられたままである。

ここで使用者がハンドル１１上の制御レバー１９を作動させると、この作動運動は、ハウジング１２内に配置された歯車機構によって、プル／プッシュ要素５０の近位端に伝達される引っ張り運動に変換される。近位方向のこの引っ張り運動は、随意に付勢要素の力に抗して、ブランチ２０ａ、２０ｂを閉じる。ブランチ２０ａ、２０ｂが、プル／プッシュ要素５０を近位方向に後退させることによって閉じられているとき、作動ピン４６は、摺動リンクトラックから転がるスリーブ７０を介して摺動リンクトラック６５ａ上で移動され、その結果、プル／プッシュ要素５０の並進運動は、ブランチ２０ａの枢動運動に変換される。同じことが、第２のブランチ２０ｂにも当てはまる。

完全に開いたブランチ２０ａ、２０ｂから始めて、これらのブランチは、プル／プッシュ要素５０が、第１の角速度の一定の速度で後退され、また、作動ピン４６が屈曲点間の溝の領域を通って移動した後に第２の角速度で閉じられたときに閉じられ、この第２の角速度は第１の角速度より小さい。しかし、屈曲部が作動ピン４６を越えて移動された後、力伝達は、以前よりも大きい。屈曲部により、可動に支持されたブランチへのプル／プッシュ要素５０の並進運動の伝達が、段階的に起こる。

好ましくは、結合要素５１または摺動リンクトラックの並進運動は、０°から約２５°の角度内でブランチ２０ａ、２０ｂの回転運動をもたらす。典型的な実施形態では、約７０ニュートンの制御レバー１９上の作動力は、好ましくは、ブランチ２０ａ、２０ｂの遠位端に約４０ニュートンのクランプ力を達成することができる。

顎工具１６にかかるこのような高いクランプ力により、各ブランチ２０ａ、２０ｂへの片側の力注入によって引き起こされて、反対方向のトルク（非対称力注入）が、ブランチ２０ａ、２０ｂ上に作用する。スリーブ７０がなければ、大きな摩擦力を、作動ピン４６と結合要素５１との間の結合部に結果としてもたらすことになる。しかし、スリーブ７０は、摺動リンクトラック６５ａ、６５ｂ上をそこから転がることができ、したがって生成される摩擦はより小さい。したがって、手動力と顎工具のクランプ作用との間の有効性の程度が増大し、工具１６の長い耐用年数が達成される。

ブランチ２０ａ、２０ｂは、ブランチ間に配置されている生体組織をつかみ、この組織を定位置にクランプして保持する。具体的に図示しないスイッチによって、また、接続された発電機を起動させることによって、電流が電極ユニット２２ａ、２２ｂを介して組織に印加され、そして凝固が実行され得る。凝固組織が次に切断される場合、例えば、ナイフ１７は、ハウジング内に配置された機構によって遠位方向に移動される。図２および図４に示されるように支持セクション２５ａ、２５ｂがブランチの枢動面から離れるように湾曲していても、前記ナイフは、結合要素５１および基部３０内で確実に案内される。このガイドにより、ナイフ１７は、横方向に外方向に屈曲できず、ナイフ案内溝２６内で確実に案内され、前記組織をきれいに切って安全に切断するために必要な力で変性した組織を通して案内される。

本発明による手術器具１０は、組織をつかむために閉じることができる２つのブランチ２０ａ、２０ｂを有する顎工具１６を備える。閉鎖力を少なくとも１つのブランチ２０ａ、２０ｂに伝達するために、ブランチ２０ａ、２０ｂは、好ましくは手動で作動可能なプル／プッシュ要素５０と結合され、結合のために、スリーブ７０を支持する作動ピン４６が、スリーブを介して結合トラック６５ａ、６５ｂ；６６ａ、６６ｂと相互作用し、この場合、スリーブは、結合トラック６５ａ、６５ｂ；６６ａ、６６ｂから転がる。このようにして、結合トラック６５ａ、６５ｂ；６６ａ、６６ｂ上のあらゆる変形、アブレーションまたはバリの形成は、ブランチ２０ａ、２０ｂの多数の閉鎖運動の後でさえも、前記ブランチが結合トラック６５ａ、６５ｂ；６６ａ、６６ｂおよび作動ピン４６それぞれのいかなる磨耗によっても損なわれずに依然として作動できる程度に防止される。

１０ 手術器具
１１ ハンドル
１２ ハウジング
１３ シャフト
１４ 近位端
１５ 遠位端
１６ 第１の工具
１７ 第２の工具
１８ ＲＦ発電機
１９ 制御レバー
２０ａ 第１のブランチ
２０ｂ 第２のブランチ
２１ａ ブランチ支持体
２１ｂ ブランチ支持体
２２ａ 電極ユニット
２２ｂ 電極ユニット
２３ａ 接続部
２４ 作動セクション
２５ａ 支持セクション
２５ｂ 支持セクション
２６ チャネル／ナイフガイド溝
３０ 基部
３２ 係止キャッチ
３３ａ 支承凹部
３３ｂ 支承凹部
３５ スロット
３６ 側壁
３７ 側壁
３８ 窓
３９ 窓
４０ 突出部
４１ チャネル
４５ 支承ピン
４６ 作動ピン
４７ 外側表面
５０ プッシュ／プル要素
５１ 結合要素
５２ 伝達セクション
５５ 本体
５６ａ、５６ｂ 側壁
５７ 底部
５８ 受け入れ空間
６０ａ、６０ｂ 溝
６１ａ、６１ｂ 底部
６５ａ、６５ｂ 摺動リンクトラック
６６ａ、６６ｂ 摺動リンクトラック
６７ａ、６７ｂ 屈曲部
６８ａ、６８ｂ 屈曲部
７０ スリーブ
７１ 底部
７２ 内周面
７３ 外側面
７４ コーティング

Claims (12)

1. 第１のブランチ（２０ａ）および第２のブランチ（２０ｂ）を備えた第１の工具（１６）を備える手術器具（１０）であって、前記ブランチ（２０ａ、２０ｂ）の少なくとも１つは、枢動可能に可動であるように支持され、前記手術器具は、前記第１の工具（１６）が保持される遠位端（１５）を有するシャフト（１３）を備え、前記ブランチ（２０ａ、２０ｂ）を閉じるために、前記少なくとも１つの枢動可能に可動に支持されたブランチ（２０ａ、２０ｂ）と結合構造（４６、６５ａ、６５ｂ、６６ａ、６６ｂ）を介して結合されたプル／プッシュ要素（５０）を備える、手術器具において、
   前記プル／プッシュ要素（５０）と前記枢動可能に可動に支持されたブランチ（２０ａ、２０ｂ）との間の前記結合構造は、作動ピン（４６）および摺動リンクトラック（６５ａ、６５ｂ；６６ａ、６６ｂ）を備え、前記枢動可能に可動に支持されたブランチと前記プル／プッシュ要素（５０）を結合するための前記作動ピン（４６）は、前記作動ピン（４６）によって回転可能に支持されたスリーブ（７０）を介して前記摺動リンクトラックと係合状態にあり、
   前記スリーブは、閉鎖されている底部を有する、手術器具。
2. 前記作動ピン（４６）は、円錐状にテーパであり、前記スリーブ（７０）が、内側で円錐状にテーパである、請求項１に記載の手術器具（１０）。
3. 前記スリーブ（７０）と前記作動ピン（４６）との間に、前記スリーブ（７０）および／または前記作動ピン（４６）のコーティング（７４）が実施される、請求項１または２に記載の手術器具（１０）。
4. 前記摺動リンクトラック（６５ａ、６５ｂ；６６ａ、６６ｂ）と前記作動ピン（４６）との間に、固体、液体、またはペーストのような潤滑剤は全く作用しない、請求項１～３のいずれか一項に記載の手術器具（１０）。
5. 前記第１のブランチ（２０ａ）および前記第２のブランチ（２０ｂ）は、枢動可能に可動であるように支持され、前記プル／プッシュ要素（５０）の遠位端上には、結合要素（５１）が設けられ、前記結合要素（５１）の対向する側壁（５６ａ、５６ｂ）上にはそれぞれ、前記結合構造（６５ａ、６５ｂ）を有し、前記結合構造の一方（６５ａ、６６ａ）は、前記第１のブランチおよび前記第２のブランチの一方のブランチ（２０ａ）と係合状態にあり、前記結合構造の他方（６５ｂ、６６ｂ）は、前記第１のブランチおよび前記第２のブランチの他方のブランチ（２０ｂ）と係合状態にあり、前記結合要素（５１）は、前記側壁間に、別の工具（１７）が前記結合構造の一方および他方間に配置されるか、前記シャフトの長手方向に摺動可能に案内される、受け入れ空間（５８）を画定する、請求項１～４のいずれか一項に記載の手術器具（１０）。
6. 前記摺動リンクトラック（６５ａ、６５ｂ；６６ａ、６６ｂ）は、少なくとも１つの屈曲部（６７ａ、６７ｂ；６８ａ、６８ｂ）を有するため、前記枢動可能なブランチ（２０ａ、２０ｂ）への前記プル／プッシュ要素（５０）からの運動の伝達は、完全な開位置から閉位置への進行運動中に連続的に起こる、請求項１～５のいずれか一項に記載の手術器具（１０）。
7. 前記結合構造は、前記枢動可能に可動に支持されたブランチ（２０ａ、２０ｂ）と前記プル／プッシュ要素を結合するために、底部を有する溝（６１ａ、６１ｂ）として設けられ、前記溝を区切る対向する壁面が、前記摺動リンクトラック（６５ａ、６５ｂ；６６ａ、６６ｂ）を形成する、請求項１～６のいずれか一項に記載の手術器具（１０）。
8. 前記摺動リンクトラック（６５ａ、６５ｂ；６６ａ、６６ｂ）は、前記結合要素（５１）上に形成され、前記作動ピン（４６）は、前記枢動可能に可動であるブランチ（２０ａ、２０ｂ）上に形成される、請求項５に記載の手術器具（１０）。
9. 前記枢動可能に可動に支持されたブランチ（２０ａ、２０ｂ）は、支承ピン（４５）によって前記シャフト（１３）上に枢動可能に支持される、請求項１～８のいずれか一項に記載の手術器具（１０）。
10. 前記第１のブランチ（２０ａ）および前記第２のブランチ（２０ｂ）は、枢動可能に可動であるように前記シャフト（１３）によって支持され、前記第１のブランチおよび前記第２のブランチの枢動軸は、互いに対してずらされている、請求項１～９のいずれか一項に記載の手術器具（１０）。
11. 前記枢動可能に可動に支持されたブランチ（２０ａ、２０ｂ）の近位端は、前記シャフト（１３）内または前記シャフト上に配置されたチャネル（４１）内で案内される、請求項１～１０のいずれか一項に記載の手術器具（１０）。
12. 前記第１のブランチ（２０ａ）および前記第２のブランチ（２０ｂ）はそれぞれ、前記第１のブランチ（２０ａ）および前記第２のブランチ（２０ｂ）をＲＦ発電機（１８）に接続するための電気接続（２３ａ）を有する、請求項１～１１のいずれか一項に記載の手術器具（１０）。

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