JP7323332B2 - 水性ボールペン用インク組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、筆記を休止した直後の書き出し時にインクが出渋る現象(初筆性の低下)を解消することができる水性ボールペン用インク組成物に関する。
従来より、水性ボールペン等に用いられている熱変色性マイクロカプセルのような粒子径の大きい着色樹脂粒子などの着色剤は、一般的な染料・顔料と比較してインク中での流動性が低いものである。したがって、静から動、或いは動から静状態への応答性がやや鈍いものである。
ボールペンのような動作の切り替えが頻繁で、インクに対する剪断力の変化が大きい筆記具においては、その特性が描線に現れやすく、特に、筆記を休止した直後の書き出しに時にインクが出渋る現象(初筆性の低下)が見られている。
一方、従来の水性ボールペン用インク組成物において、着色剤、キサンタンガムやポリビニルアルコールなどを用いたものとしては、例えば、
(1)水と着色剤と樹脂とから少なくともなるボールペン用水性インキにおいて、前記樹脂がキサンタンガムとポリビニルピロリドンであり、このキサンタンガムとポリビニルピロリドンの含有比が1:5.7~1:7.0であるボールペン用水性インキ(例えば、特許文献1参照)、
(2)一種又は二種以上のビニル系単量体を少なくとも原料とする乳化重合体であって、呈色性化合物と顕色剤とを含有することにより発色していることを特徴とする乳化重合体、この乳化重合体をインキとして、実施例2には、平均粒子径0.17μm、粘度3.9mPa・s(25℃、150s-1)の鮮明な緑色の乳化重合体の微粒子分散液50gと、PVP K-15(アイエスピー・ジャパン株式会社製、ポリビニルピロリドン、消色剤、商品名)2g、キサンタンガム0.25gを加え撹拌混合されたジェルインキボールペン用インキ(例えば、特許文献2参照)、
(3)キサンタンガム又はサクシノグリカンから選ばれる剪断減粘性付与剤と、ポリビニルピロリドンと、着色剤と、水溶性有機溶剤と、水とを少なくとも含むボールペン用水性インキ組成物であって、前記剪断減粘性付与剤とポリビニルピロリドンの含有比率が1:1~1:5.5であるボールペン用水性インキ組成物(例えば、特許文献3参照)、
(4)着色剤と、水と、水溶性有機溶剤と、キサンタンガム、ウェランガム、サクシノグリカンから選ばれる剪断減粘性付与剤と、増粘抑制剤と、イオン性物質とから少なくともなり、インキ中のイオン性物質の含有量がインキ組成物全量に対し1質量%以上であり、水溶性有機溶剤がインキ組成物中10質量%以下であり、且つ、増粘抑制剤がポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、セルロース系高分子化合物、ポリアルキレンオキサイド基を有する高分子化合物から選ばれるボールペン用水性インキ組成物、及び、それを収容したボールペン(例えば、特許文献4参照)
などが知られている。
上記特許文献1~4は、本発明の水性ボールペン用インク組成物の近接技術等を開示するものであるが、特許文献1は、平均粒子径が小さい蛍光顔料等を用いるものであり、平均粒子径が0.5μm超過の着色樹脂粒子を用いることの記載や示唆等はなく、また、発明の課題は、ボールペンチップのボールの回転によるボール受け座の摩耗や変形を極力防止することによって良好なインキの吐出性を確保し、長筆記距離を可能となしたものであり、本発明とは、発明の課題及び構成が相違するものである。
上記特許文献2は、平均粒子径0.17μmと小さな熱変色性粒子等を用いるものであり、平均粒子径が0.5μm超過の着色樹脂粒子を用いることの記載や示唆等はなく、また、発明の課題は、消色手段として加熱のみでなく、有機溶剤を利用することができるボールペン用インキであり、本発明とは、発明の課題及び構成が相違するものである。
上記特許文献3は、平均粒子径が小さい顔料等を用いるものであり、平均粒子径が0.5μm超過の着色樹脂粒子を用いることの記載や示唆等はなく、また、発明の課題は、ペン先近傍でのインキの乾燥固化を抑制(ペン先を露出した状態で横向き状態にて25℃、30日放置した後で良好な筆記できるか否かの試験:耐ドライアップ性)等であり、本発明とは、発明の課題及び構成が相違するものである。
上記特許文献4の実施例6、7では、平均粒子径が2μm、3μmの可逆熱変色性顔料(熱変色性マイクロカプセル)を用いるものであるが、発明の課題は、キャップを外した状態での50℃、30日放置した後で良好な筆記できるか否かの試験:耐ドライアップ性)等であり、しかも、ポリビニルピロリドンとキサンタンガムの質量比は本発明の範囲から外れるものであり、本発明とは、発明の課題及び構成が相違するものである。
以上のように、上記特許文献1~4は、本発明の水性ボールペン用インク組成物の近接技術等を開示するものであるが、本発明とは、発明の課題及び構成などが相違するものといえる。
本発明の課題は、水性ボールペンにおいて、上記特許文献3や4に記載される、キャップを外した状態で、長期間放置した後でのペン先近傍でのインクの乾燥固化を抑制(耐ドライアップ性)でなく、熱変色性マイクロカプセル等のような平均粒子径の大きい着色樹脂粒子を用いた場合に発生する現象であり、動作の切り替えが多く、剪断力の変化が大きいボールペンにおいては、その特性が描線に現れやすく、特に、筆記を休止した直後(数分間後)の書き出しに時にインクが出渋る現象(初筆性の低下)の解消であり、上記耐ドライアップ性と本発明の書き出し時にインクが出渋る現象(初筆性の低下)はその発生原因、その解決手段などが明確に区別化できるものである。
特開平10-279875号公報(特許請求の範囲、実施例等) 特開2003-221405号公報(特許請求の範囲、実施例等) 特開2006-77074号公報(特許請求の範囲、実施例等) 特開2009-40825号公報(特許請求の範囲、実施例等)
本発明は、上記従来技術の課題及び現状に鑑み、これを解消しようとするものであり、筆記を休止した直後の書き出し時にインクが出渋る現象、すなわち、初筆性の低下を解消することができる水性ボールペン用インク組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記従来の課題等に鑑み、鋭意研究を行った結果、少なくとも、平均粒子径が0.5~6μmの着色樹脂粒子と、キサンタンガム及びポリビニルピロリドンを含有し、前記ポリビニルピロリドン/キサンタンガムの質量比を特定の範囲とすることにより、上記目的の水性ボールペン用インク組成物が得られることを見出し、本発明を完成するに至ったのである。
すなわち、本発明の水性ボールペン用インク組成物は、少なくとも、平均粒子径が0.5~6μmの着色樹脂粒子と、キサンタンガム及びポリビニルピロリドンを含有し、前記ポリビニルピロリドン/キサンタンガムの質量比が1~9であることを特徴とする。
前記ポリビニルピロリドンのK値は10~40であることが好ましい。
前記ポリビニルピロリドンの含有量は、インク組成物全量に対して、0.5~5質量%が好ましい。
本発明の水性ボールペンは、上記組成の水性ボールペン用インク組成物を搭載したことを特徴とする。
本発明によれば、筆記を休止した直後の書き出し時にインクが出渋る現象(初筆性の低下)を解消することができる水性ボールペン用インク組成物、このインク組成物を搭載した水性ボールペンが提供される。
以下に、本発明の実施形態を詳しく説明する。
本発明の水性ボールペン用インク組成物は、少なくとも、平均粒子径が0.5~6μmの着色樹脂粒子と、キサンタンガム及びポリビニルピロリドンを含有し、前記ポリビニルピロリドン/キサンタンガムの質量比が1~9であることを特徴とするものである。
〈着色樹脂粒子〉
本発明に用いる着色樹脂粒子としては、着色された樹脂粒子から構成されるものであれば特に限定されず、例えば、1)樹脂粒子中にカーボンブラック、酸化チタン等の無機顔料、フタロシアニン系顔料、アゾ系顔料等の有機顔料などの顔料からなる着色剤が分散された着色樹脂粒子、2)樹脂粒子の表面が上記顔料からなる着色剤で被覆された着色樹脂粒子、3)樹脂粒子に直接染料、酸性染料、塩基性染料、食料染料、蛍光染料などの染料からなる着色剤が染着された着色樹脂粒子、4)ロイコ色素等を用いて熱変色性とした着色樹脂粒子、5)光変色性色素となるフォトクロミック色素(化合物)、蛍光色素等を用いて光変色性とした着色樹脂粒子などが挙げられる。
上記1)~3)の着色樹脂粒子の樹脂成分としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、スチレン、アクリロニトリル、ブタジエン等の重合体もしくはこれらの共重合体、ベンゾグアナミン、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂等から選択される少なくとも1種が挙げられ、必要に応じて架橋などの処理を行ったものであってもよい。これらの樹脂への着色方法としては、従来公知の懸濁重合、分散重合などの手法が用いられる。
上記4)の熱変色性の着色樹脂粒子としては、電子供与性染料であって、発色剤としての機能するロイコ色素と、該ロイコ色素を発色させる能力を有する成分となる顕色剤及び上記ロイコ色素と顕色剤の呈色において変色温度をコントロールすることができる変色温度調整剤を少なくとも含む熱変色性組成物を、所定の平均粒子径となるように、マイクロカプセル化することにより製造された熱変色性の着色樹脂粒子などを挙げることができる。
マイクロカプセル化法としては、例えば、界面重合法、界面重縮合法、insitu重合法、液中硬化被覆法、水溶液からの相分離法、有機溶媒からの相分離法、融解分散冷却法、気中懸濁被覆法、スプレードライニング法などを挙げることができ、用途に応じて適宜選択することができる。例えば、水溶液からの相分離法では、ロイコ色素、顕色剤、変色温度調整剤を加熱溶融後、乳化剤溶液に投入し、加熱攪拌して油滴状に分散させ、次いで、カプセル膜剤として、壁膜がウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アミノ樹脂等となる樹脂原料を使用、例えば、アミノ樹脂溶液、具体的には、メチロールメラミン水溶液、尿素溶液、ベンゾグアナミン溶液などの各液を徐々に投入し、引き続き反応させて調製後、この分散液を濾過することにより熱変色性のマイクロカプセル顔料からなる熱変色性の着色樹脂粒子を製造することができる。この熱変色性の着色樹脂粒子では、ロイコ色素、顕色剤及び変色温度調整剤の種類、量などを好適に組み合わせることにより、各色の発色温度、消色温度を好適な温度に設定することができる。
なお、前記熱変色性の着色樹脂粒子は、可逆熱変色性となるものが好ましい。可逆熱変色性となるものは、発色状態から加熱により消色する加熱消色型、発色状態又は消色状態を互変的に特定温度域で記憶保持する色彩記憶保持型、又は、消色状態から加熱により発色し、発色状態からの冷却により消色状態に復する加熱発色型等、種々のタイプを単独又は併用して構成することができる。
上記5)の光変色性の着色樹脂粒子としては、例えば、少なくともフォトクロミック色素(化合物)、蛍光色素などから選択される1種以上と、テルペンフェノール樹脂などの樹脂とにより構成される光変色性の着色樹脂粒子や、少なくともフォトクロミック色素(化合物)、蛍光色素などから選択される1種以上と、有機溶媒と、酸化防止剤、光安定剤、増感剤などの添加剤とを含む光変色性組成物を、所定の平均粒子径となるように、マイクロカプセル化することにより製造された光変色性の着色樹脂粒子などを挙げることができる。マイクロカプセル化法としては、上述の熱変色性の樹脂粒子の製造と同様に調製することができる。
この光変色性の着色樹脂粒子樹脂粒子は、フォトクロミック色素(化合物)、蛍光色素などを好適に用いることにより、例えば、室内照明環境(室内での白熱灯、蛍光灯、ランプ、白色LEDなどから選ばれる照明器具)において無色であり、紫外線照射環境(200~400nm波長の照射、紫外線を含む太陽光での照射環境)で発色する性質を有するものとすることができる。
上記1)~5)の各着色樹脂粒子は、蛍光顔料、熱変色性顔料や光変色性顔料のマイクロカプセル顔料など(色材)として使用することができる。また、上記1)~5)の各樹脂粒子は、公知の各製造法により製造した各樹脂粒子を使用することができ、市販品があれば、それらを使用してもよいものである。
これらの着色樹脂粒子は、着色力、分散安定性などの点から、平均粒子径が0.5~6μmとなるものが使用され、好ましくは、1~5μmの使用が望ましい。
本発明において、「平均粒子径」とは、レーザー回折法で測定される体積基準により算出された粒度分布の体積累積50%時の粒子径(D50)の値である。ここで、レーザー回折法による平均粒子径の測定は、例えば、日機装株式会社の粒子径分布解析装置HRA9320-X100を用いて行うことができる。
これらの着色樹脂粒子の含有量は、インク組成物全量に対して、3~30%とすることが好ましく、更に好ましくは、10~30%とすることが望ましい。この着色樹脂粒子の含有量が3%未満であると、好ましい描線濃度が得られなくなり、また、30%を越えると、筆記感が重くなったり、描線にカスレが生じやすくなり、好ましくない。
〈キサンタンガム〉
本発明に用いるキサンタンガムは、増粘剤として用いるものであり、ポリビニルピロリドンとの併用等により、本発明の効果を発揮せしめるものとなる。
用いることができるキサンタンガムとしては、市販品では、三晶社製のKELSAN S、KELSAN AR KELSAN T、KELSAN RD、KELSAN ST、KELSAN M、KELSAN HP、KELSAN ASX、大日本製薬社製のエコーガム、モナートガムGSなどが挙げられ、これらは少なくとも1種(各単独で又は2種以上の混合)用いることができる。
これらのキサンタンガムの含有量は、後述するポリビニルピロリドンの含有量、含有割合により設定される。
〈ポリビニルピロリドン〉
本発明に用いるポリビニルピロリドンは、N-ビニル-2-ピロリドンを重合して得られる高分子化合物である。本発明では、ポリビニルピロリドンとキサンタンガムとの併用及びその含有割合(質量比)を特定範囲とすることにより、初めて本発明の効果を発揮せしめるものとなる。
用いるポリビニルピロリドンの中でも、そのK値が10~40のものを用いることが望ましい。
ポリビニルピロリドンのK値は、分子量と相関する粘度特性値である。本発明におけるK値は、毛細管粘度計によって測定される相対粘度値(25℃)を下記の式(1)に適用して算出される粘性特性値をいう。
〔式〕
K=(1.5logηrel-1)/(0.15+0.003c)+[300clogηrel+(c+1.5clogηrel1/2/(0.15c+0.003c) …(1)
ηrel:ポリビニルピロリドン水溶液の水に対する相対粘度
c:ポリビニルピロリドン水溶液中のポリビニルピロリドン濃度(%)
用いるポリビニルピロリドンの中でも、そのK値が10~40のもの用いることにより、着色樹脂粒子の凝集を抑え、分散安定性をより向上するので好ましい使用となるものである。
具体的に用いることができるポリビニルピロリドンとしては、市販品では、ASHLAND社製のPVP K-15(K値:13~19)、PVP K-30(K値:26~35)、第一工業製薬社製のピッツコールK-17(K値:15~19)、ピッツコールK-30(K値:27~33)、日本触媒社製のポリビニルピロリドンK-30(K値:27~33)などの少なくとも1種(各単独、2種以上の混合物)が挙げられる。
これらのポリビニルピロリドンの含有量は、インク組成物全量に対して、0.5~5%とすることが好ましく、更に好ましくは、0.5~3.0%とすることが望ましい。このポリビニルピロリドンの含有量が0.5%未満であると、本発明の効果を十分に発揮することができず、一方、5%を越えると、着色樹脂粒子の凝集が強くなり、分散安定性が低下するので、好ましくない。
本発明では、用いるポリビニルピロリドンとキサンタンガムの含有割合、すなわち、ポリビニルピロリドン/キサンタンガム(質量比)を1~9とすることが必要であり、好ましくは、2~8とすることが望ましい。
この割合が1未満、並びに、9超過であると、本発明の効果を発揮できないものとなる。この配合割合(1~9)の範囲とする理由は、ポリビニルピロリドンとキサンタンガムは共にインクの増粘剤ではあるが、物理的特性が異なる。これらを併用すると、お互いの物理的特性を打ち消しあうことなく、剪断減粘性を有しながら着色樹脂粒子の凝集を抑制することで良好な流動性が保たれ、初筆性が良好となるので、上記範囲で用いるものとなる。
〈水性ボールペン用インク組成物〉
本発明の水性ボールペン用インク組成物には、少なくとも、平均粒子径が0.5~6μmの着色樹脂粒子と、キサンタンガム及びポリビニルピロリドンを含有し、前記ポリビニルピロリドン/キサンタンガムの質量比が1~9であることを特徴とするものであり、その他に、上記着色樹脂粒子以外に汎用の着色剤、水溶性溶剤が含有される。
用いることができる着色剤としては、水溶性染料、本発明の効果を損なわない範囲で顔料、例えば、無機顔料、有機顔料等も適宜量必要に応じて使用できる。
水溶性染料としては、直接染料、酸性染料、食用染料、塩基性染料のいずれも本発明の効果を損なわない範囲で適宜量用いることができる。
用いることができる水溶性溶剤としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、3-ブチレングリコール、チオジエチレングリコール、グリセリン等のグリコール類や、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、単独或いは混合して使用することができる。この水溶性溶剤の含有量は、インク組成物全量に対して、5~40%とすることが望ましい。
本発明の水性ボールペン用インク組成物には、少なくとも、上記平均粒子径が0.5~6μmの着色樹脂粒子と、キサンタンガム及びポリビニルピロリドンを含有し、前記ポリビニルピロリドン/キサンタンガムの質量比が1~9であることを特徴とするものであり、上記着色樹脂粒子以外の着色剤、水溶性溶剤の他、残部として溶媒である水(水道水、精製水、蒸留水、イオン交換水、純水等)の他、本発明の効果を損なわない範囲で、分散剤、潤滑剤、pH調整剤、防錆剤、防腐剤もしくは防菌剤などを適宜含有することができる。
用いることができる分散剤としては、ノニオン、アニオン界面活性剤や水溶性樹脂が用いられる。好ましくは水溶性高分子が用いられる。
潤滑剤としては、顔料の表面処理剤にも用いられる多価アルコールの脂肪酸エステル、糖の高級脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレン高級脂肪酸エステル、アルキル燐酸エステルなどのノニオン系や、高級脂肪酸アミドのアルキルスルホン酸塩、アルキルアリルスルホン酸塩などのアニオン系、ポリアルキレングリコールの誘導体やフッ素系界面活性剤、ポリエーテル変性シリコーンなどが挙げられる。
pH調整剤としては、アンモニア、尿素、モノエタノーアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンや、トリポリリン酸ナトリウム、炭酸ナトリウムなとの炭酸やリン酸のアルカリ金属塩、水酸化ナトリウムなどのアルカリ金属の水和物などが挙げられる。また、防錆剤としては、ベンゾトリアゾール、トリルトリアゾール、ジシクロへキシルアンモニウムナイトライト、サポニン類など、防腐剤もしくは防菌剤としては、フェノール、ナトリウムオマジン、安息香酸ナトリウム、チアゾリン系化合物、ベンズイミダゾール系化合物などが挙げられる。
上記分散剤、潤滑剤、pH調整剤、防錆剤、防腐剤もしくは防菌剤などの各成分は、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。また、これらの市販品があればそれを使用することができる
本発明の水性ボールペン用インク組成物は、少なくとも、上記平均粒子径が0.5~6μmの着色樹脂粒子と、キサンタンガムと、ポリビニルピロリドンと、水溶性溶剤、その他の各成分をボールペン用インクの用途に応じて適宜組み合わせ、前記ポリビニルピロリドン/キサンタンガムの質量比が1~9となるように配合せしめて、ホモミキサー、ホモジナイザーもしくはディスパー等の攪拌機により撹拌混合することにより、更に必要に応じて、ろ過や遠心分離によってインク組成物中の粗大粒子を除去すること等によって水性ボールペン用インク組成物を調製することができる。
水性ボールペンでは、該水性ボールペン用インク組成物を、直径が0.18~2.0mmのボールを備えた水性ボールペン体に充填することにより作製することができる。
用いる水性ボールペン体として、直径が上記範囲のボールを備えたものであれば、特に限定されず、特に、上記水性インク組成物をポリプロピレンチューブのインク収容管に充填し、先端のステンレスチップ(ボールは超鋼合金)を有するリフィールの水性ボールペンに仕上げたものが望ましい。
本発明の水性ボールペン用インク組成物は、他の水性インク組成物の製造方法と比べて特に変わるところはなく製造することができる。
すなわち、本発明の水性ボールペン用インク組成物は、少なくとも、上記平均粒子径が0.5~6μmの着色樹脂粒子と、キサンタンガム及びポリビニルピロリドン、その他の成分を含有せしめ、前記ポリビニルピロリドン/キサンタンガムの質量比が1~9となるようにミキサー等、更に、例えば、強力な剪断を加えることができるビーズミル、ホモミキサー、ホモジナイザー等を用いて撹拌条件を好適な条件に設定等して混合撹拌することによって、水性ボールペン用インク組成物を製造することができる。
また、本発明の水性ボールペン用インク組成物のpH(25℃)は、使用性、安全性、インク自身の安定性、インク収容体とのマッチング性の点からpH調整剤などにより5~10に調整されることが好ましく、更に好ましくは、6~9.5とすることが望ましい。
本発明の水性ボールペン用インク組成物は、ボールペンチップなどのペン先部を備えたボールペンに搭載される。
本発明における水性ボールペンとしては、上記組成の水性ボールペン用インク組成物をボールペン用インク収容体(リフィール)に収容すると共に、該インク収容体内に収容された水性インク組成物とは相溶性がなく、かつ、該水性インク組成物に対して比重が小さい物質、例えば、ポリブテン、シリコーンオイル、鉱油等がインク追従体として収容されるものが挙げられる。
なお、水性ボールペンの構造は、特に限定されず、例えば、軸筒自体をインク収容体として該軸筒内に上記構成の水性ボールペン用インク組成物を充填したコレクター構造(インク保持機構)を備えた直液式のボールペンであってもよいものである。
このように構成される本発明の水性ボールペン用インク組成物にあっては、少なくとも、上記平均粒子径が0.5~6μmの着色樹脂粒子と、キサンタンガム及びポリビニルピロリドンを含有し、前記ポリビニルピロリドン/キサンタンガムの質量比が1~9であることを特徴とするものであり、例えば、熱変色マイクロカプセル(熱変色性粒子)のような平均粒子径0.5μm超過となる大きい着色樹脂粒子の場合には、一般的な染料・顔料と比較してインク中での流動性が低く、それに伴い静から動、或いは動から静状態への応答性がやや鈍く、ボールペンのような動作の切り替えが頻繁で、インクに対する剪断力の変化が大きい筆記具においては、その特性が描線に現れやすく、特に筆記を休止した直後の書き出しに時にインクが出渋る現象、すなわち、初筆性の低下が見られるものであつたが、本発明では、書き出し時のインクが出渋る現象である初筆性の低下がない水性ボールペン用インク組成物が得られるものとなる。
次に、用いる着色樹脂粒子の製造例1~3、水性ボールペン用インク組成物の実施例1~8及び比較例1~4により本発明を更に詳細に説明するが、本発明は下記実施例等に限定されるものではない。また、製造例1~3で得た着色樹脂粒子などの平均粒子径(D50:μm)は、日機装株式会社の粒子径分布解析装置HRA9320-X100を用いて測定した。
〔製造例1:着色性樹脂粒子;熱変色性粒子の製造〕
ロイコ色素として、ETAC(山田化学工業社製)1質量部(以下、単に「部」という)、顕色剤として、ビスフェノールA2部、及び変色性温度調整剤として、ミリスチン酸 ミリスチル24部を100℃に加熱溶融して、均質な組成物27部を得た。上記で得た組成物27部の均一な熱溶液にカプセル膜剤として、イソシアネート10部 及びポリオール10部を加えて攪拌混合した。次いで、保護コロイドとして12%ポリビニルアルコール水溶液60部を用いて、25℃で乳化して分散液を調製した。次いで、5%の多価アミン5部を用いて、80℃で60分間処理してコアシェル型のマイクロカプセルを得た。
この着色樹脂粒子の平均粒子径(D50)は、3.5μmであった。
〔製造例2:着色性樹脂粒子;ウレタン系黒色粒子〕
油相溶液として、酢酸エチル12.5質量部を60℃に加温しながら、油溶性黒染料(Oil Black 860、オリヱント化学工業社製)3.5質量部及びテルペンフェノール樹脂(YSポリスターN125 ヤスハラケミカル社製)0.5質量部を加えて十分に溶解させた。次いで、ここにプレポリマーとしてのヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート変性体(TLA-100、旭化成社製)8質量部を加えて、油相溶液を作製した。
水相溶液としては、蒸留水200質量部を60℃に加温しながら、ここに分散剤としてのポリビニルアルコール(PVA-205、クラレ社製)15質量部を溶解して、水相溶液を作製した。
60℃の水相溶液に油相溶液を投入し、ホモジナイザーで6時間撹拌することにより乳化混合して重合を完了した。
得られた分散体を遠心処理することで着色性樹脂粒子(ウレタン系黒色粒子)を得た。この着色樹脂粒子の平均粒子径(D50)は、1.4μmであった。
〔製造例3:着色性樹脂粒子;ウレタン系白色粒子〕
油相溶液として、ミリスチン酸ミリスチル9.6部を60℃に加温しながら、酸化チタン2.4部を加えて十分に分散させた。次いで、メチレンジフェニル -4,4´-ジイソシアネート(3モル)のトリメチロールプロパン(1モル)付加物( D-109、三井化学社製)9部を加え、更にエチレングリコールモノベンジルエーテル2部を加えた。水相溶液としては、蒸留水600部に対して、ポリビニルアルコール(PVA-205、クラレ社製)15部を溶解し、これに前記油相溶液を投入し、ホモジナイザーで乳化混合して重合を完了した。得られた分散体を遠心処理することでマイクロカプセルを回収し、マイクロカプセル顔料を得た。この着色樹脂粒子の平均粒子径(D50)は、0.6μmであった。
〔実施例1~8及び比較例1~4〕
製造例1~3の着色性樹脂粒子を用いると共に、下記表1に示す配合組成のキサンタンガム、ポリビニルピロリドンなどにより、常法により、各水性ボールペン用インク組成物を調整した。
上記実施例1~8及び比較例1~4で得られた水性ボールペン用インク組成物について、下記方法により水性ボールペンを作製して、下記評価方法で初筆性について評価を行った。
これらの結果を下記表1に示す。
(水性ボールペンを作製)
上記で得られた各インク組成物を用いて水性ボールペンを作製した。具体的には、ボールペン〔三菱鉛筆株式会社製、商品名:シグノUM-100〕の軸を使用し、内径4.0mm、長さ113mmのポリプロピレン製インク収容管とステンレス製チップ(超硬合金ボール、ボール径0.7mm)及び該収容管と該チップを連結する継手からなるリフィールに上記各水性インクを充填し、インク後端に鉱油を主成分とするインク追従体を装填し、水性ボールペンを作製した。
〔初筆性の評価方法〕
上記で得た各水性ボールペンについて、キャップをしない状態で、25℃、50%RH下で60分放置後、PPC用紙に直線を筆記し、下記評価基準で初筆性を評価した。
評価基準:
A:書き始めから問題なく筆記可能
B:書き始めから0mm超、5mm未満のカスレが確認される
C:書き始めから5mm以上のカスレが確認される
Figure 0007323332000001
上記表1の結果から明らかなように、本発明範囲となる実施例1~8の水性ボールペン用インク組成物は、本発明の範囲外となる比較例1~4に較べ、初筆性に優れることが確認された。
これに対して、比較例1~4を見ると、比較例1及び2は、キサンタンガム、ポリビニルピロリドン単独配合であり、また、比較例3及び4はポリビニルピロリドン/キサンタンガムの質量比が1~9の範囲を外れる場合であり、これらの場合は書き始めから初筆性が悪くなることが確認された。
以上の実施例1~8及び比較例1~4の各評価結果を総合してみると、本発明範囲となる実施例1~8の水性ボールペン用インク組成物とすることにより、初めて、初筆性が著しく向上し、特有の作用効果が発揮できることが判った。
水性ボールペンに好適なインク組成物が得られる。

Claims (3)

  1. 少なくとも、平均粒子径が0.5~6μmのウレタン系着色樹脂粒子3~30質量%と、キサンタンガムと、ポリビニルピロリドン0.5~5質量%とを含有し、前記ポリビニルピロリドン/キサンタンガムの質量比が1~9であることを特徴とする水性ボールペン用インク組成物。
  2. 前記ポリビニルピロリドンのK値が10~40であることを特徴とする請求項1に記載の水性ボールペン用インク組成物。
  3. 請求項1又は2に記載の水性ボールペン用インク組成物を搭載したことを特徴とする水性ボールペン。
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