JP7322837B2 - シリコーン変性ポリイミド樹脂組成物 - Google Patents

シリコーン変性ポリイミド樹脂組成物 Download PDF

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Description

本発明は、シリコーン変性ポリイミド樹脂組成物に関する。
ポリイミド樹脂は、耐熱性が高く、電気絶縁性に優れているため、プリント回線基板や耐熱性接着テープの材料に利用されている。また、ポリイミド樹脂は、樹脂ワニスとして電気部品や半導体材料の表面保護膜、層間絶縁膜としても利用されているが、限られた溶剤にしか溶解しない。そのため、一般的には種々の有機溶剤に比較的溶解しやすいポリイミド前駆体であるポリアミック酸を基材に塗布し、高温加熱処理により脱水環化してポリイミド樹脂からなるフィルムの硬化物を得る方法が採られている。
また、シリコーンゴムを代表とするシリコーン樹脂は、低弾性体であり、極低温にガラス転移点(Tg)があるため広い温度範囲での機械・熱特性が良く、低表面張力により良い撥水性を示す樹脂である。
上記のシリコーン樹脂とポリイミド樹脂との共重合体であるシリコーン変性ポリイミド樹脂を合成することも可能であり、ポリイミド樹脂の電気絶縁性を損なうことなく、ポリイミド樹脂単体と比較して耐水性が改善され、他の有機樹脂変性樹脂に比べ低弾性のシリコーン変性ポリイミド樹脂を与える(特許文献1)。
しかしながら、シリコーン変性ポリイミド樹脂は、シロキサン結合を含むため耐酸性やフッ化物イオンに対する耐性が低く、それをコーティング剤として使用した場合、そのコーティング層が酸性水溶液やフッ化物イオンを含む水溶液によって破壊されてしまうという問題がある。
特開2019-172894号公報
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、各種金属フレームや半導体素子との接着性が良好で、防湿性が高く、低弾性率を示し、耐酸性が改善された硬化物を与えるシリコーン変性ポリイミド樹脂組成物、この組成物からなる接着剤およびコーティング剤を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討した結果、特定のシリコーン単位を導入したポリイミド樹脂、硬化剤、酸化防止剤およびベンゾトリアゾール誘導体を含む組成物が、各種金属フレームや半導体素子との接着性が良好で、防湿性が高く、低弾性率を示し、耐酸性に優れた硬化物を与えることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、
1. (A)下記式(1)で表されるシリコーン変性ポリイミド樹脂:100質量部、
Ee-Ff-Gg (1)
(式(1)中、E、FおよびGは、ランダムに結合する繰り返し単位であり、Eは、式(2)で示されるジアミノ変性シリコーン由来の2価の基であり、Fは、式(3)で示されるテトラカルボン酸二無水物由来の2価の基であり、Gは、ジアミン由来の2価の基である。ただし、f+e+g=100mol%であり、f/(e+g)のmol比は、0.9~1.1であり、前記eとgの和を100とすると前記eは30~90である。)
Figure 0007322837000001
(式(2)中、RAは、互いに独立して、置換または非置換の炭素原子数1~10の2価炭化水素基を表し、R1およびR2は、互いに独立して、置換または非置換の炭素原子数1~10の1価炭化水素基を表し、R3およびR4は、互いに独立して、置換または非置換の炭素原子数1~10の脂肪族不飽和結合を含んでいてもよい1価炭化水素を表し、R5およびR6は、互いに独立して、置換もしくは非置換の、炭素原子数1~10のアルキル基、炭素原子数6~10のアリール基、または炭素原子数7~16のアラルキル基を表し、mは、10~30、nは、10~30、oは、0~30、m+n+o=20~60を満たす整数を表す。なお、m、n、oが付された括弧内のシロキサン単位の配列は、ランダム、交互またはブロックのいずれであってもよい。)
-Im-X-Im- (3)
(式(3)中、Imは、環状イミド構造を端に含む環状の基を表し、Xは、単結合、-O-、-S-、-S(→O)-、-S(=O)2-、-C(=O)-、-NRN-(RNは、炭素原子数1~12の1価炭化水素基を表す。)、-CRB 2-(RBは、互いに独立して、水素原子またはハロゲン原子を含んでいてもよい炭素原子数1~12の1価炭化水素基を表す。)、-RAr h-(RArは、炭素原子数6~12の2価のアリーレン基を表し、hは、1~6の整数を表す。hが2以上のとき、RArは互いに同一でも異なっていてもよい。)、-RAr h-(ORAri-(RArおよびhは、前記と同じ意味を表し、iは、1~5の整数を表す。)、炭素原子数1~12の直鎖状または分岐状アルキレン基、炭素原子数5~12のシクロアルキレン基、および炭素原子数7~12のアリーレンアルキレン基から選択される2価の基を表す。)
(B)硬化剤:0.1~10質量部、
(C)溶剤:100~700質量部、
(D)酸化防止剤:0.01~1質量部、および
(E)下記一般式(4)で表されるベンゾトリアゾール誘導体:0.001~0.1質量部
Figure 0007322837000002
〔式(4)中、R7は、互いに独立して、水素原子または炭素原子数1~6の1価炭化水素基を表し、R8は、-(CH2p-Si(OR93で示される基または下記式(5)で示される基を表し、R9は、互いに独立して、水素原子、炭素原子数1~4のアルキル基またはSi(OR103で示される基(R10は、炭素原子数1~4のアルキル基を表す。)を表し、pは、1~6の整数を表す。
Figure 0007322837000003
(式(5)中、R9およびpは、前記と同じ意味を表し、波線を付した線は、結合手を表す。)〕
を含むことを特徴とするシリコーン変性ポリイミド樹脂組成物、
2. 前記Imが、下記の基から選ばれる少なくとも1種である1のシリコーン変性ポリイミド樹脂組成物、
Figure 0007322837000004
(式中、波線を付した線は、結合手を表す。窒素原子に結合している結合手は、EまたはGに結合し、他の結合手はXに結合する。)
3. 前記Gで表されるジアミン由来の2価の基において、ジアミンが、テトラメチレンジアミン、1,4-ジアミノシクロヘキサン、4,4'-ジアミノジシクロヘキシルメタン、フェニレンジアミン、4,4'-ジアミノジフェニルエーテル、2,2-ビス(4-アミノフェニル)プロパン、2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、および4,4'-(4,4'-イソプロピルジエンジフェニル-1,1'-ジイルジオキシ)ジアニリンから選ばれる1または2のシリコーン変性ポリイミド樹脂組成物、
4. 前記式(1)で示されるシリコーン変性ポリイミド樹脂の重量平均分子量が、30,000~100,000である1~3のいずれかのシリコーン変性ポリイミド樹脂組成物、
5. 前記(B)硬化剤が、熱分解性ラジカル開始剤である1~4のいずれかのシリコーン変性ポリイミド樹脂組成物、
6. 1~5のいずれかのシリコーン変性ポリイミド樹脂組成物の硬化物、
7. (α)25℃における貯蔵弾性率が0.1~100MPa
(β)ガラス転移点(Tg)が0℃未満、かつ、
(γ)1mm厚のシートにおける40℃での水蒸気透過度が100g/m2・day以下である6の硬化物、
8. 1~5のいずれかのシリコーン変性ポリイミド樹脂組成物からなる接着剤、
9. 1~5のいずれかのシリコーン変性ポリイミド樹脂組成物からなるコーティング剤
を提供する。
本発明のシリコーン変性ポリイミド樹脂組成物は、各種金属フレームやエポキシ封止樹脂との接着性を示し、防湿性が高く(低水蒸気透過性)、低弾性率を示す上に、耐酸性に優れる硬化物を与える。
したがって、本発明のシリコーン変性ポリイミド樹脂組成物は、電子材料、光学材料および車載機器等の接着剤やコーティング剤として好適に利用でき、特に、高信頼性が必要な半導体デバイスを使用するための接着剤やコーティング剤として好適に使用できる。
以下、本発明について具体的に説明する。
本発明に係るシリコーン変性ポリイミド樹脂組成物は、(A)シリコーン変性ポリイミド樹脂、(B)硬化剤、(C)溶剤、(D)酸化防止剤および(E)ベンゾトリアゾール誘導体を含むものである。
(1)(A)成分
(A)成分のシリコーン変性ポリイミド樹脂は、本組成物の主剤(ベースポリマー)であって、本発明では下記式(1)で表されるものを用いる。
Ee-Ff-Gg (1)
式(1)中、E、FおよびGは、ランダムに結合する繰り返し単位(ただし、E-E、F-F、G-G、およびE-Gで表される隣接単位の組み合わせは除く)であり、Eは、下記式(2)で示されるジアミノ変性シリコーン由来の2価の基であり、Fは、下記式(3)で示されるテトラカルボン酸二無水物由来の2価の基であり、Gは、ジアミン由来の2価の基である。ただし、f+e+g=100mol%であり、f/(e+g)のmol比は、0.9~1.1であり、eとgの和を100とするとeは30~90である。
Figure 0007322837000005
式(2)において、RAは、互いに独立して、置換または非置換の炭素原子数1~10の2価炭化水素基を表し、R1およびR2は、互いに独立して、置換または非置換の炭素原子数1~10の1価炭化水素基を表し、R3およびR4は、互いに独立して、炭素原子数1~10の1価炭化水素基を表すが、R3およびR4の少なくとも一方は脂肪族不飽和結合を有し、R5およびR6は、互いに独立して、置換もしくは非置換の、炭素原子数1~10のアルキル基、炭素原子数6~10のアリール基、または炭素原子数7~16のアラルキル基を表し、mは、10~30、nは、10~30、oは、0~30、m+n+o=20~60を満たす整数である。なお、m、n、oが付された括弧内のシロキサン単位の配列は、ランダム、交互またはブロックのいずれであってもよい。
-Im-X-Im- (3)
式(3)中、Imは、環状イミド構造を端に含む環状の基を表し、Xは、単結合、-O-、-S-、-S(→O)-、-S(=O)2-、-C(=O)-、-NRN-(RNは、炭素原子数1~12の1価炭化水素基を表す。)、-CRB 2-(RBは、互いに独立して、水素原子またはハロゲン原子を含んでいてもよい炭素原子数1~12の1価炭化水素基を表す。)、-RAr h-(RArは、炭素原子数6~12の2価のアリーレン基を表し、hは、1~6の整数を表す。hが2以上のとき、RArは互いに同一でも異なっていてもよい。)、-RAr h-(ORAri-(RArおよびhは、上記と同じ意味を表し、iは、1~5の整数を表す。)、炭素原子数1~12の直鎖状または分岐状アルキレン基、炭素原子数5~12のシクロアルキレン基、および炭素原子数7~12のアリーレンアルキレン基から選択される2価の基を表す。
式(2)において、RAの炭素原子数1~10、好ましくは3~8の2価炭化水素基は、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよく、また、酸素原子、窒素原子等のヘテロ原子を含んでもよく、例えば、アルキレン基、アリーレン基、アラルキレン基、アリーレンアルキレン基等が挙げられるが、アルキレン基が好ましい。
具体的には、メチレン、エチレン、トリメチレン、1,3-ブチレン、テトラメチレン、1,3-ペンチレン、1,4-ペンチレン、ペンタメチレン、ヘキサメチレン、ヘプタメチレン、オクタメチレン、ノナメチレン、デカメチレン、2-(3-プロポ-1-オキシ)エタ-1-イレン、3-(3-プロポ-1-オキシ)プロパ-1-イレン、4-(3-プロポ-1-オキシ)ブタ-1-イレン、5-(3-プロポ-1-オキシ)ペンタ-1-イレン、6-(3-プロポ-1-オキシ)ヘキサ-1-イレン、1,3-シクロヘキシレン、1,4-シクロヘキシレン、1,3-シクロヘプチレン、1,4-シクロヘプチレン、N,N-ピペリジニレン、1,4-ジオキサシクロヘキサ-2,5-イレン基等が好ましく、入手の容易性からトリメチレン基がより好ましい。
1およびR2の炭素原子数1~10の1価炭化水素基としては、直鎖状、分岐状または環状のアルキル基、例えば、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、ネオペンチル、n-ヘキシル、シクロヘキシル、n-ヘプチル、n-オクチル、n-ノニル、n-デシル、デカリル基等が挙げられ、これらの中でも、炭素原子数1~4のアルキル基が好ましく、メチル、エチル、n-プロピル基がより好ましく、R1およびR2がいずれもメチル基またはエチル基がより一層好ましい。
なお、上記アルキル基は、それらの水素原子の一部または全部がフッ素、塩素、臭素、ヨウ素原子等のハロゲン原子で置換されていてもよい。
3およびR4の炭素原子数1~10の1価の脂肪族炭化水素基としては、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよく、例えば、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、ネオペンチル、n-ヘキシル、シクロヘキシル、n-ヘプチル、n-オクチル、n-ノニル、n-デシル、デカリル基等の炭素原子数1~10のアルキル基;ビニル、1-プロペニル、アリル(2-プロペニル)、イソプロペニル、ヘキセニル、オクテニル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル基等の炭素原子数2~10のアルケニル基などが挙げられるが、これらの中でも、炭素原子数1~6の1価の脂肪族炭化水素基が好ましく、炭素原子数1~6のアルキル基または炭素原子数2~6のアルケニル基がより好ましく、メチル基、エチル基、n-プロピル基、ビニル基がより一層好ましい。
特に、R3、R4のいずれか一方または双方が炭素原子数2~6のアルケニル基であることが好ましく、したがって、R3,R4の組み合わせとしては、メチル基とビニル基、エチル基とビニル基、プロピル基とビニル基、ビニル基とビニル基が好適である。
5およびR6の炭素原子数1~10のアルキル基の具体例としては、上記R1で例示した基と同様のものが挙げられるが、この場合も、炭素原子数1~4のアルキル基が好ましく、メチル、エチル、n-プロピル基がより好ましく、メチル基またはエチル基がより一層好ましい。
また、炭素原子数6~10のアリール基は、その水素原子の一部または全部が上述した炭素原子数1~10のアルキル基等で置換されていてもよく、芳香環中にヘテロ原子を含んでいてもよい。
その具体例としては、フェニル、2-メチルフェニル、3-メチルフェニル、4-メチルフェニル、2,3-ジメチルフェニル、2,4-ジメチルフェニル、2,6-ジメチルフェニル、3,4-ジメチルフェニル、3,5-ジメチルフェニル、2,3,4-トリメチルフェニル、2,3,5-トリメチルフェニル、2,4,6-トリメチルフェニル、インデニル基等が挙げられる。
さらに、炭素原子数7~16のアラルキル基も、その水素原子の一部または全部が上述した炭素原子数1~10のアルキル基等で置換されていてもよく、芳香環中にヘテロ原子を含んでいてもよい。
その具体例としては、フェニルメチル、2-フェニル-1-エチル、3-フェニル-1-プロピル、フェニルブチル、3-フェニル-1-ペンチル、4-フェニル-1-ペンチル、5-フェニル-1-ペンチル、6-フェニル-1-ヘキシル、7-フェニル-1-ヘプチル、8-フェニル-1-オクチレン、9-フェニル-1-ノニル、10-フェニル-1-デシル、2,3-ジヒドロ-1H-インデニル基等が挙げられる。
これらの中でも、R3およびR4としては、メチル基、フェニル基、2-フェニル-1-エチル基、2-フェニル-2-メチル-1-エチル基、3-フェニル-2-プロピル基が好ましい。
特に、R3、R4の組み合わせとしては、メチル基とフェニル基、メチル基と2-フェニル-1-エチル基、メチル基と2-フェニル-2-メチル-1-エチル基、フェニル基とフェニル基が好適である。
また、式(2)において、mは、10~30、nは、10~30、oは、0~30、かつ、m+n+o=20~60を満たす整数を表すが、mは、15~25の整数が好ましく、nは、15~20の整数が好ましく、oは、0~5の整数が好ましく、m+n+oは20~40が好ましく、30~50がより好ましい。
式(2)で表される基の具体例としては、以下のものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
Figure 0007322837000006
(式中、Phはフェニル基を表す。m、n、oは上記と同じ意味を表す。括弧内のシロキサン単位の配列はランダム、交互またはブロックのいずれであってもよい。)
式(3)において、テトラカルボン酸二無水物由来の環状イミド構造を持つImは、環状イミド構造を端に含む基であり、例えば、下記式から選択される基が挙げられる。
Figure 0007322837000007
(式中、波線が付された手は結合手を示す(以下、同じ)。なお、窒素原子から出ている結合手以外の環上炭素原子から出ている結合手はXとの結合に使用される。)
式(3)中、Xの-NRN-において、RNの炭素原子数1~12、好ましくは炭素原子数1~8の1価炭化水素基は、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよく、例えば、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、ネオペンチル、n-ヘキシル、シクロヘキシル、n-ヘプチル、n-オクチル、n-ノニル、n-デシル、デカリル基等の炭素原子数1~12のアルキル基;ビニル、1-プロペニル、アリル(2-プロペニル)、ヘキセニル、オクテニル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル基等の炭素原子数2~12のアルケニル基;フェニル、ナフチル基等の炭素原子数6~12のアリール基;トリル、キシリル、エチルフェニル、プロピルフェニル、ブチルフェニル、ペンチルフェニル、ヘキシルフェニル基等の炭素原子数7~12のアルキルアリール基;ベンジル、フェネチル基等の炭素原子数7~12のアラルキル基などが挙げられるが、特に、メチル、エチル、n-プロピル、n-ブチル、n-ペンチル、n-ヘキシル、n-ヘプチル、n-オクチル基等の炭素原子数1~8の直鎖状のアルキル基や、これらの基の水素原子の一部または全部がフッ素原子で置換された、トリフルオロメチル基、3,3,3-トリフルオロプロピル基が好ましく、メチル基、トリフルオロメチル基がより好ましい。
Xの-CRB 2-において、RBのハロゲン原子を含んでいてもよい炭素原子数1~12の1価炭化水素基としては、上記RNで例示した1価炭化水素基等が挙げられ、ハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素原子等が挙げられるが、中でも、メチル、エチル、n-プロピル、トリフルオロメチル、3,3,3-トリフルオロプロピル、シクロヘキシル基等のフッ素原子で置換されていてもよいアルキル基;フェニル、ナフチル、パーフルオロフェニル基等のフッ素原子で置換されていてもよいアリール基;フェニルエチル、ペンタフルオロフェニルエチル基等のフッ素原子で置換されていてもよいアラルキル基が好ましい。
特に、RBとしては、水素原子、メチル基、トリフルオロメチル基、フェニル基が好適である。
Xの-RAr h-において、RArの炭素原子数6~12の2価のアリーレン基の具体例としては、フェニレン、ビフェニレン、ナフチレン基等が挙げられる。なお、RArのアリーレン基は、その水素原子の一部が、水酸基、スルフィド基、2,3-オキソ-1-プロピル基、メトキシ基、エトキシ基、t-ブトキシ基、メチル基、エチル基、プロピル基、t-ブチル基、N,N-ジメチルアミノ基、シアノ基、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、ホルミル基、メチルカルボニル基、エチルカルボニル基、フッ素原子等で置換されていてもよい。
また、hは1~6の整数である。
好適なRArとしては、下記で示される基が挙げられる。
Figure 0007322837000008
(式中、subは水素原子、または水酸基、スルフィド基、2,3-オキソ-1-プロピル基、メトキシ基、エトキシ基、t-ブトキシ基、メチル基、エチル基、プロピル基、t-ブチル基、N,N-ジメチルアミノ基、シアノ基、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、ホルミル基、メチルカルボニル基、エチルカルボニル基、およびフッ素原子から選択される置換基を表し、置換数は1~4個の範囲内である。)
Xの-RAr h(ORAri-において、RArとhは上記と同様の意味を表し、iは1~5の整数を表す。
-RAr h(ORAri-の具体例としては、下記のような基が挙げられる。下記式において、-O-はどの位置に結合されていてもよく、結合数も1~4個の範囲内である。
Figure 0007322837000009
Xの炭素原子数1~12の直鎖状または分岐状アルキレン基および炭素原子数5~12のシクロアルキレン基の具体例としては、メチレン、エチレン、トリメチレン、1,3-ブチレン、テトラメチレン、1,3-ペンチレン、1,4-ペンチレン、ペンタメチレン、ヘキサメチレン、ヘプタメチレン、オクタメチレン、ノナメチレン、デカメチレン、1,3-シクロヘキシレン、1,4-シクロヘキシレン、1,3-シクロヘプチレン、1,4-シクロヘプチレン基等が挙げられる。
炭素原子数7~12のアリーレンアルキレン基の具体例としては、2-(4-(2-エタ-1-イレン)-1-フェニレン)エタ-1-イレン基等が挙げられる。
上記式(1)中のGで表されるジアミン由来の2価の基は、特に限定されるものではないが、本発明では耐熱性により優れるジアミン由来の2価の基が好ましい。
そのような2価の基を与えるジアミンの具体例としては、テトラメチレンジアミン、1,4-ジアミノシクロヘキサン、4,4'-ジアミノジシクロヘキシルメタン等の脂肪族ジアミン;o-フェニレンジアミン、m-フェニレンジアミン、p-フェニレンジアミン、4,4'-ジアミノジフェニルエーテル、2,2-ビス(4-アミノフェニル)プロパン、2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、4,4'-(4,4'-イソプロピルジエンジフェニル-1,1'-ジイルジオキシ)ジアニリン等の芳香族ジアミンなどが挙げられ、これらはそれぞれ単独で用いても、2種以上組み合わせて用いてもよい。
上記式(1)で示されるシリコーン変性ポリイミド樹脂は、末端が酸無水物により封鎖されていることが好ましい。
また、f+e+gのmolの和が100mol%で、f/(e+g)のmol比が0.9~1.1であるが、適度な分子量を維持するために、f/(e+g)のmol比は0.95~1.05が好ましく、0.98~1.02がより好ましい。
さらに、eとgの和を100とするとeは30~90であるが、防湿性を考慮すると30~70が好ましい。
(A)成分のシリコーン変性ポリイミド樹脂の重量平均分子量は、特に限定されるものではないが、当該樹脂を含む組成物から得られる皮膜の強度および耐酸性を高めるとともに、架橋剤等の他成分との相溶性や溶剤への溶解性を高めることを考慮すると、30,000~100,000が好ましく、40,000~80,000がより好ましい。
なお、本発明における重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(以下、GPCと略すこともある)によるポリスチレン換算値である(以下、同じ)。
(A)成分のシリコーン変性ポリイミド樹脂は、公知の方法で製造することができる。
例えば、まず、テトラカルボン酸二無水物、ジアミンおよび上記式(2)で表される化合物の両末端にそれぞれアミノ基が結合したジアミノ変性シリコーンを溶剤中に仕込み、低温、即ち20~50℃程度で反応させて、ポリイミド樹脂の前駆体であるポリアミック酸を製造する。次に、得られたポリアミック酸の溶液を、好ましくは80~200℃、より好ましくは140~180℃の温度に昇温し、ポリアミック酸の酸アミドを脱水閉環反応させることにより、シリコーン変性ポリイミド樹脂の溶液を得、この溶液を水、メタノール、エタノール、アセトニトリル等の溶剤に投入して沈殿させ、沈殿物を乾燥することにより、シリコーン変性ポリイミド樹脂を得ることができる。
なお、上記f/(e+g)は、原料の物質量から換算した、テトラカルボン酸二無水物のモル数に対するジアミンおよびジアミノ変性シリコーンのモル数の合計の割合(モル比)であり、反応に際して、[テトラカルボン酸二無水物(モル)/(ジアミン+ジアミノ変性シリコーン(モル))]を、通常0.8~1.2、好ましくは0.95~1.05、より好ましくは0.98~1.02の範囲に調節する。
(A)成分の製造に使用できる溶剤としては、N-メチル-2-ピロリドン、シクロヘキサノン、γ-ブチロラクトン、N,N-ジメチルアセトアミド等が挙げられる。また、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類を併用し、イミド化の際に生成する水を共沸により除去しやすくすることも可能である。これらの溶剤は、単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
なお、シリコーン変性ポリイミド樹脂の分子量を調整するために、無水フタル酸、無水マレイン酸、ヘキサヒドロ-1,3-イソベンゾフランジオン、無水コハク酸、グルタル酸無水物、ケイ素数が10~60の酸無水物変性シリコーン等の酸無水物や、アニリン、ベンジルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ペンチルアミン、ヘキシルアミン、シクロヘキシルアミン等の炭素原子数3~6の直鎖状、分岐状または環状アルキルアミン等のアミン化合物の一官能性原料を添加することも可能である。
また、アルデヒド化合物として、ベンズアルデヒド、フェニルアセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ブチロアルデヒド等の炭素原子数2~6のアルキルを含むアルデヒド化合物を添加することもできる。
この場合の添加量は、原料の酸無水物に対し、目的の分子量に合わせ、1~10モル%の範囲で使用することが好ましい。
また、イミド化過程において、脱水剤およびイミド化触媒を添加し、必要に応じて50℃前後に加熱してイミド化させる方法を用いてもよい。
上記脱水剤の具体例としては、無水酢酸、無水プロピオン酸、無水ピバル酸、無水トリフルオロ酢酸、無水安息香酸等の酸無水物が挙げられる。脱水剤の使用量は、ジアミン1モルに対して1~10モルとするのが好ましい。
イミド化触媒の具体例としては、トリエチルアミン(Et3N)、ジイソプロピルエチルアミン(DIPEA)、トリ-n-ブチルアミン、トリ-n-ペンチルアミン、トリ-n-ヘキシルアミン、トリ-n-へプチルアミン、トリ-n-オクチルアミン、N-メチルピロリジン、N-メチルピペラジン、N-メチルモルホリン、N,N,N’,N’-テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)、N-メチルイミダゾール(NMI)、ピリジン、2,6-ルチジン、1,3,5-コリジン、N,N-ジメチルアミノピリジン、ピラジン、キノリン、1,8-ジアザビシクロ-[5,4,0]-7-ウンデセン(DBU)、1,4-ジアザビシクロ-[2,2,2]オクタン(DABCO)等の第3級アミンが挙げられる。イミド化触媒の使用量は、使用する脱水剤1モルに対して0.5~10モルとするのが好ましい。
本イミド化手法は工程中で反応液が高温にさらされることが無く、得られる樹脂が着色しにくいという点で有効である。
ジアミンおよびテトラカルボン酸二無水物の少なくとも一方を複数種使用する場合も、反応方法は特に限定されるものではなく、例えば、原料を予め全て混合した後に共重縮合させる方法や、用いる2種以上のジアミンまたはテトラカルボン酸二無水物を個別に反応させながら順次添加する方法等を採用できる。
(2)(B)成分
(B)成分である硬化剤としては、熱でラジカルを発生して樹脂を重合させて硬化物を形成することができる熱分解性ラジカル開始剤が好ましい。
熱分解性ラジカル開始剤としては、アゾ化合物や有機過酸化物を用いることができる。
アゾ化合物(有機アゾ系化合物)としては、富士フイルム和光純薬(株)製のV-30、V-40、V-59、V-60、V-65、V-70、V-501、V-601等のアゾニトリル化合物類;VA-080、VA-085、VA-086、VF-096、VAm-110、VAm-111等のアゾアミド化合物類;VA-044、VA-061等の環状アゾアミジン化合物類;V-50、VA-057等のアゾアミジン化合物類;2,2-アゾビス(4-メトキシ-2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2-アゾビス(2-メチルプロピオニトリル)、2,2-アゾビス(2,4-ジメチルブチロニトリル)、1,1-アゾビス(シクロヘキサン-1-カーボニトリル)、1-[(1-シアノ-1-メチルエチル)アゾ]ホルムアミド、2,2-アゾビス{2-メチル-N-[1,1-ビス(ヒドロキシメチル)-2-ヒドロキシエチル]プロピオンアミド}、2,2-アゾビス[2-メチル-N-(2-ヒドロキシブチル)プロピオンアミド]、2,2-アゾビス[N-(2-プロペニル)-2-メチルプロピオンアミド]、2,2-アゾビス(N-ブチル-2-メチルプロピオンアミド)、2,2-アゾビス(N-シクロヘキシル-2-メチルプロピオンアミド)、2,2-アゾビス[2-(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]ジヒドロクロリド、2,2-アゾビス[2-(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]ジスルフェートジヒドレート、2,2-アゾビス{2-[1-(2-ヒドロキシエチル)-2-イミダゾリン-2-イル]プロパン}ジヒドロクロリド、2,2-アゾビス[2-(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]、2,2-アゾビス(1-イミノ-1-ピロリジノ-2-メチルプロパン)ジヒドロクロリド、2,2-アゾビス(2-メチルプロピオンアミジン)ジヒドロクロリド、2,2-アゾビス[N-(2-カルボキシエチル)-2-メチルプロピオンアミジン]テトラヒドレート、ジメチル2,2-アゾビス(2-メチルプロピオネート)、4,4-アゾビス(4-シアノバレリックアシッド)、2,2-アゾビス(2,4,4-トリメチルペンタン)等が挙げられ、これらの中でもV-30、V-40、V-59、V-60、V-65、V-70、VA-080、VA-085、VA-086、VF-096、VAm-110、VAm-111が好ましく、V-30、V-40、V-59、V-60、V-65、V-70がより好ましい。
有機過酸化物としては、日本油脂(株)製のパーヘキサH等のケトンパーオキサイド類;パーヘキサTMH等のパーオキシケタール類;パーブチルH-69等のハイドロパーオキサイド類;パークミルD、パーブチルC、パーブチルD、パーブチルO等のジアルキルパーオキサイド類;ナイパーBW等のジアシルパーオキサイド類;パーブチルZ、パーブチルL等のパーオキシエステル類;パーロイルTCP等のパーオキシジカーボネート類;ジイソブチリルパーオキサイド、クミルパーオキシネオデカノエート、ジ-n-プロピルパーオキシジカーボネート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ-sec-ブチルパーオキシジカーボネート、1,1,3,3-テトラメチルブチルパーオキシネオデカノエート、ジ(4-t-ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジ(2-エチルヘキシル)パーオキシジカーボネート、t-ヘキシルパーオキシネオデカノエート、t-ブチルパーオキシネオデカノエート、t-ブチルパーオキシネオヘプタノエート、t-ヘキシルパーオキシピバレート、t-ブチルパーオキシピバレート、ジ(3,5,5-トリメチルヘキサノイル)パーオキサイド、ジラウロイルパーオキサイド、1,1,3,3-テトラメチルブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、ジコハク酸パーオキサイド、2,5-ジメチル-2,5-ジ(2-エチルヘキサノイルパーオキシ)ヘキサン、t-ヘキシルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、ジ(4-メチルベンゾイル)パーオキサイド、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、ジ(3-メチルベンゾイル)パーオキサイド、ベンゾイル(3-メチルベンゾイル)パーオキサイド、ジベンゾイルパーオキサイド、1,1-ジ(t-ブチルパーオキシ)-2-メチルシクロヘキサン、1,1-ジ(t-ヘキシルパーオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、1,1-ジ(t-ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1-ジ(t-ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、2,2-ジ[4,4-ジ-(t-ブチルパーオキシ)シクロヘキシル]プロパン、t-ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t-ブチルパーオキシマレイン酸、t-ブチルパーオキシ-3,5,5-トリメチルヘキサノエート、t-ブチルパーオキシラウレート、t-ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキシルモノカーボネート、t-ヘキシルパーオキシベンゾエート、2,5-ジメチル-2,5-ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t-ブチルパーオキシアセテート、2,2-ジ(t-ブチルパーオキシ)ブタン、t-ブチルパーオキシベンゾエート、n-ブチル-4,4-ジーt-ブチルパーオキシバレレート、ジ(2-t-ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、ジクミルパーオキサイド、ジ-t-ヘキシルパーオキサイド、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルパーオキシ)ヘキサン、t-ブチルクミルパーオキサイド、ジ-t-ブチルパーオキサイド、p-メタンヒドロパーオキサイド、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルパーオキシ)ヘキサン-3-イン、ジイソプロピルベンゼンヒドロパーオキサイド、1,1,3,3-テトラメチルブチルヒドロパーオキサイド、クメンヒドロパーオキサイド、t-ブチルヒドロパーオキサイド、2,4-ジクロロベンゾイルパーオキサイド、o-クロロベンゾイルパーオキサイド、p-クロロベンゾイルパーオキサイド、トリス(t-ブチルパーオキシ)トリアジン、2,4,4-トリメチルペンチルパーオキシネオデカノエート、α-クミルパーオキシネオデカノエート、t-アミルパーオキシ2-エチルヘキサノエート、t-ブチルパーオキシイソブチレート、ジ-t-ブチルパーオキシヘキサヒドロテレフタレート、ジ-t-ブチルパーオキシトリメチルアジペート、ジ‐3-メトキシブチルパーオキシジカーボネート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、t-ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、1,6-ビス(t-ブチルパーオキシカルボニルオキシ)ヘキサン、ジエチレングリコールビス(t-ブチルパーオキシカーボネート)、t-ヘキシルパーオキシネオデカノエートや、化薬アクゾ(株)製のトリゴノックス36-C75、ラウロックス、パーカドックスL-W75、パーカドックスCH-50L、トリゴノックスTMBH、カヤクメンH、カヤブチルH-70、パーカドックスBC-FF、カヤヘキサAD、パーカドックス14、カヤブチルC、カヤブチルD、パーカドックス12-XL25、トリゴノックス22-N70(22-70E)、トリゴノックスD-T50、トリゴノックス423-C70、カヤエステルCND-C70、トリゴノックス23-C70、トリゴノックス257-C70、カヤエステルP-70、カヤエステルTMPO-70、トリゴノックス121、カヤエステルO、カヤエステルHTP-65W、カヤエステルAN、トリゴノックス42、トリゴノックスF-C50、カヤブチルB、カヤカルボンEH、カヤカルボンI-20、カヤカルボンBIC-75、トリゴノックス117、カヤレン6-70等が挙げられる。
なお、上述した硬化剤は、単独で用いても、2種以上組み合わせて用いてもよい。
(B)成分の配合量は、(A)成分100質量部に対して、0.1~10質量部であるが、好ましくは1~5質量部である。配合量が0.1質量部未満であると硬化性が不十分となり、10質量部を超えると硬化剤由来のアウトガスが多量に発生し、硬化収縮が起こったり、想定より樹脂が硬く、高弾性率になったりする。
(3)(C)成分
(C)成分である溶剤は、組成物の粘度を下げ、基板などへの塗布性や、作業性を改善するために用いられる。
溶剤の具体例としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤;ジオキサン、ジオキソラン、テトラヒドロフラン、1,2-ジメトキシエタン、ビス(2-メトキシエチル)エーテル、1,2-ビス(2-メトキシエトキシ)エタン、ビス-2-(2-メトキシエトキシ)エチルエーテル、メチルtert-ブチルエーテル等のエーテル系溶剤;酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸アミル、γ-バレロラクトン、(株)ダイセル製のセルトールシリーズの3-メトキシブチルアセテート(MBA)、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート(BMGAC)、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート(EDGAC)、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート(BDGAC)、シクロヘキサノールアセテート(CHXA)、ジプロピレングリコールジメチルエーテル(DMM)、ジプロピレングリコールメチル-n-プロピルエーテル(DPMNP)、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート(DPMA)、1,4-ブタンジオールジアセテート(1,4-BDDA)、1,3-ブチレングリコールアセテート(1,3-BGDA)、1,6-ヘキサンジオールジアセテート(1,6-HDDA)等のエステル系溶剤;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン、N-メチルカプロラクタム、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン等のアミド系溶剤などの有機溶剤が挙げられ、これらは単独で用いても、2種以上組み合わせて用いてもよい。
(C)溶剤は、(A)成分のシリコーン変性ポリイミド樹脂の溶解性を損なわない範囲で用いることができ、通常、(A)成分に対し、100~700質量部で用いることができる。
(4)(D)成分
(D)成分である酸化防止剤は、得られる硬化物の耐熱性を改善させる目的で添加される成分であり、フェノール化合物系酸化防止剤、有機硫黄化合物系酸化防止剤、アミン化合物系酸化防止剤、リン化合物系酸化防止剤等の従来公知の酸化防止剤から適宜選択して用いることができる。
フェノール化合物系酸化防止剤の具体例としては、2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノール、n-オクタデシル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,2'-メチレンビス-(4-メチル-6-t-ブチルフェノール)、3,9-ビス[2-〔3-(3-t-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオニルオキシ〕-1,1-ジメチルエチル]-2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン、4,4'-ブチリデンビス-(6-t-ブチル-3-メチルフェノール)、4,4'-チオビス(6-t-ブチル-3-メチルフェノール)、テトラキス[メチレン-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、2,2-チオ-ジエチレンビス[3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、N,N'-ヘキサメチレンビス[3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオンアミド]、イソオクチル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、1,3,5-トリメチル-2,4,6-トリス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)ベンゼン、4,6-ビス(ドデシルチオメチル)-o-クレゾール、ビス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジルホスホン酸エチル)カルシウム、2,4-ビス[(オクチルチオ)メチル]-o-クレゾール、1,6-ヘキサンジオール-ビス[3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2-t-ブチル-6-(3-t-ブチル-2-ヒドロキシ-5-メチルベンジル)-4-メチルフェニルアクリレート、2-[1-(2-ヒドロキシ-3,5-ジ-t-ペンチルフェニル)エチル]-4,6-ジ-t-ペンチルフェニルアクリレート、2,2'-メチレンビス-(4-エチル-6-t-ブチルフェノール)、2,6-ジ-t-ブチル-4-エチルフェノール、1,1,3-トリス(2-メチル-4-ヒドロキシ-5-t-ブチルフェニル)ブタン、トリエチレングリコール-ビス[3-(3-t-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオネート]、トリス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、ジエチル[〔3,5-ビス(1,1-ジメチルエチル)-4-ヒドロキシフェニル〕メチル]ホスホネート、2,5,7,8-テトラメチル-2(4',8',12'-トリメチルトリデシル)クロマン-6-オール、2,4-ビス-(n-オクチルチオ)-6-(4-ヒドロキシ-3,5-ジ-t-ブチルアニリノ)-1,3,5-トリアジン等が挙げられる。
なお、フェノール化合物系酸化防止剤では、フェノール水酸基に加え、以下の例示と重複するが、リン原子、硫黄原子、アミンのいずれかを少なくとも一つ以上同一分子中に含む化合物も列挙した。
有機硫黄化合物系酸化防止剤の具体例としては、ジラウリル-3,3'-チオジプロピオネート、ジミリスチル-3,3'-チオジプロピオネート、ジステアリル-3,3’-チオジプロピオネート、ペンタエリスリチルテトラキス(3-ラウリルチオプロピオネート)、ジトリデシル-3,3'-チオジプロピオネート、2-メルカプトベンズイミダゾール、4,4'-チオビス(6-t-ブチル-3-メチルフェノール)、2,2-チオ-ジエチレンビス[3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、4,6-ビス(ドデシルチオメチル)-o-クレゾール、2,4-ビス[(オクチルチオ)メチル]-o-クレゾール、2,4-ビス-(n-オクチルチオ)-6-(4-ヒドロキシ-3,5-ジ-t-ブチルアニリノ)-1,3,5-トリアジン等が挙げられる。
アミン化合物系酸化防止剤の具体例としては、N,N'-ジアリル-p-フェニレンジアミン、N,N'-ジ-sec-ブチル-p-フェニレンジアミン、オクチル化ジフェニルアミン、2,4-ビス-(n-オクチルチオ)-6-(4-ヒドロキシ-3,5-ジ-t-ブチルアニリノ)-1,3,5-トリアジン等が挙げられる。
リン化合物系酸化防止剤の具体例としては、トリスノニルフェニルフォスファイト、トリフェニルフォスファイト、ビス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジルホスホン酸エチル)カルシウム、トリス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)フォスファイト、ジエチル[〔3,5-ビス(1,1-ジメチルエチル)-4-ヒドロキシフェニル〕メチル]ホスホネート等が挙げられる。
また、酸化防止剤としては、各種市販品を用いることもでき、そのような市販品としては、例えば、(株)アデカ製のアデカスタブAO-60、アデカスタブAO-50、アデカスタブAO-80、アデカスタブAO-330、アデカスタブLA-52、アデカスタブLA-57、アデカスタブLA-63P、アデカスタブLA-68、アデカスタブLA-72、アデカスタブLA-77Y、アデカスタブLA-77G、アデカスタブLA-81、アデカスタブLA-82、アデカスタブLA-87、アデカスタブLA-402AF、アデカスタブLA-502XP、アデカスタブ2112;ビーエーエスエフ(BASF)ジャパン(株)製のイルガノックス1010、イルガノックス1010FF、イルガノックス1035、イルガノックス1035FF、イルガノックス1076、イルガノックス1076FF、イルガノックス1098、イルガノックス1135、イルガノックス1330、イルガノックス1726、イルガノックス1425WL、イルガノックス1520L、イルガノックス245、イルガノックス245FF、イルガノックス259、イルガノックス3114、イルガノックス5057、イルガノックス565、イルガフォス168;住友化学(株)製スミライザー GA-80、スミライザー MDP-S、スミライザー WX-R、スミライザー WX-RC、スミライザー TP-D;住化ケムテックス(株)製Sumilizer BBM-S等が挙げられる。
以上で示した各酸化防止剤は、1種単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(D)成分の配合量は、(A)成分100質量部に対して、0.01~1質量部であり、0.01質量部未満では耐熱性改善の効果が乏しく、1質量部より多いと、高温時のアウトガスが多くなる。
(5)(E)成分
(E)成分のベンゾトリアゾール誘導体は、各種金属との接着性をさらに強固にする成分であり、下記一般式(4)で示される化合物である。
Figure 0007322837000010
式(4)において、R7は、水素原子または炭素原子数1~6の一価炭化水素基を表し、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、tert-ブチル、ペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、シクロヘキシル基等のアルキル基や、これらの基の水素原子の一部または全部をフッ素、臭素、塩素等のハロゲン原子、シアノ基等で置換したもの、例えばクロロメチル基、クロロプロピル基、ブロモエチル基、トリフロロプロピル基、シアノエチル基等が挙げられる。これらのうち、合成し易さの点から水素原子またはメチル基が好ましい。
8は、-(CH2p-Si(OR93で表される基または下記式(5)で表される基である。
Figure 0007322837000011
9は、水素原子、炭素原子数1~4、特に1~3のアルキル基または-Si(OR103で示される基を表し、R10は、炭素原子数1~4、好ましくは1~3のアルキル基を表し、pは1~6、好ましくは1~3の整数である。
このようなベンゾトリアゾール誘導体の具体例としては、下記に示されるものが挙げられる。
Figure 0007322837000012
(式中、R9は、アルキル基またはトリアルコキシシリル基である。)
これらのうち、下記式で示すものが好適である。
Figure 0007322837000013
(E)成分の配合量は、(A)成分100質量部に対して、0.001~0.1質量部である。使用量が少ないと防錆効果を示さず、添加量が多すぎると被膜が硬くなり、応力緩和性を示さなくなる。
本発明のシリコーン変性ポリイミド樹脂組成物は、例えば、(A)シリコーン変性ポリイミド樹脂と(D)酸化防止剤を(C)溶剤で溶解し、シリコーン変性ポリイミド樹脂溶液を調製した後、そこに、(B)硬化剤および(E)ベンゾトリアゾール誘導体を添加し、撹拌して製造することができる。
本発明のシリコーン変性ポリイミド樹脂組成物の粘度は、塗布方法に応じて(C)溶剤の添加量により調整することができる。ディスペンサーで塗布する場合や、ディッピングを使用する場合の粘度は、25℃において100~5,000mPa・s程度が好ましく、スプレー塗布では、50~200mPa・sが好ましい。
ただし、塗布装置等により使用可能な粘度は異なるため、上記の粘度に限定されるものではない。
本発明のシリコーン変性ポリイミド樹脂組成物の硬化条件としては、特に限定されるものではないが、硬化温度は好ましくは40~200℃、より好ましくは50~150℃、硬化時間は好ましくは1~300分、より好ましくは10~240分である。
本発明のシリコーン変性ポリイミド樹脂組成物は、上述のとおり、各種金属フレームとの接着性が良好で、防湿性が高く、低弾性、高耐酸性を発揮する硬化物を与えるものであり、具体的には、(α)25℃における貯蔵弾性率が0.1~100MPa、(β)ガラス転移点(Tg)が0℃未満、(γ)1mm厚のシートにおける40℃での水蒸気透過度が100g/m2・day以下という優れた特性を有する硬化物が得られる場合もある。
このような硬化物を与える本発明のシリコーン変性ポリイミド樹脂組成物は、接着剤やコーティング剤として好適に利用できる。
この接着剤やコーティング剤は、電子材料、光学材料および車載機器等に使用でき、特に、高信頼性が必要な半導体デバイスを使用する分野に好適に使用できる。
以下、合成例、実施例および比較例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
また、本実施例において、分子量測定は、東ソー(株)製GPC装置HLC-8320GPCを用い、移動相としてテトラヒドロフラン(THF)を使用し、ポリスチレン換算で行った。赤外線吸収スペクトル(IR)測定には、サーモフィッシャーサイエンティフィック(株)製NICOLET6700を使用した。貯蔵弾性率測定には、(株)日立ハイテクサイエンス製DMS7100を使用した。ガラス転移点測定には、(株)日立ハイテクサイエンス製DMS7100を使用し、tanδが最大になったときの温度をガラス転移点とした。粘度は、回転粘度計により測定した25℃における値である。
なお、下記例で「部」は質量部を示す。
[1]シリコーン変性ポリイミド樹脂の合成
[合成例1]
撹拌羽、温度計、および窒素導入管を備えた反応容器に、2,2-ビス(3,4-アンハイドロジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン44.4g(0.1mol)、4,4'-(4,4'-イソプロピルジエンジフェニル-1,1'-ジイルジオキシ)ジアニリン〔2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン〕12.3g(0.03mol)、無水フタル酸1.48g(0.01mol)、およびシクロヘキサノン559gを入れ、25℃で2時間撹拌後、下記式(i)で表されるオルガノポリシロキサン221.2g(0.07mol)を25℃にて滴下し、滴下終了後、25℃にて12時間撹拌を行った。次に、反応容器に、トルエン56gを添加し、145℃にて共沸脱水を行った。得られた反応溶液をメタノールに滴下して再沈殿を行い、シロキサン量が79質量%のシリコーン変性ポリイミド樹脂を得た。
この樹脂の赤外線吸光スペクトルにおいて未反応のポリアミック酸に基づく吸収は観測されず、1,780cm-1および1,720cm-1にイミド基の吸収が確認された。また、GPCによるこの樹脂の重量平均分子量は27,000であった。
Figure 0007322837000014
[合成例2]
撹拌羽、温度計、および窒素導入管を取り付けた反応容器に、2,2-ビス(3,4-アンハイドロジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン44.4g(0.1mol)、4,4'-(4,4'-イソプロピルジエンジフェニル-1,1'-ジイルジオキシ)ジアニリン<2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン>12.3g(0.03mol)、無水フタル酸1.48g(0.01mol)、およびシクロヘキサノン336gを入れ、25℃で2時間撹拌後、下記式(ii)で表されるオルガノポリシロキサン112.0g(0.07mol)を25℃にて滴下し、滴下終了後、25℃にて12時間撹拌を行った。次に、反応容器に、トルエン37gを添加し、145℃にて共沸脱水を行った。得られた反応溶液をメタノールに滴下して再沈殿を行い、シロキサン量が66質量%のシリコーン変性ポリイミド樹脂を得た。この樹脂の赤外線吸光スペクトルにおいて未反応のポリアミック酸に基づく吸収は観測されず、1,780cm-1および1,720cm-1にイミド基の吸収が確認された。また、GPCによるこの樹脂の重量平均分子量は54,000であった。
Figure 0007322837000015
[合成例3]
撹拌羽、温度計、および窒素導入管を取り付けた反応容器に、2,2-ビス(3,4-アンハイドロジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン44.4g(0.1mol)、4,4'-(4,4'-イソプロピルジエンジフェニル-1,1'-ジイルジオキシ)ジアニリン<2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン>12.3g(0.03mol)、無水フタル酸1.48g(0.01mol)、およびシクロヘキサノン336gを入れ、25℃で2時間撹拌後、下記式(iii)で表されるオルガノポリシロキサン112.0g(0.07mol)を25℃にて滴下し、滴下終了後、25℃にて12時間撹拌を行った。次に、反応容器に、トルエン37gを添加し、145℃にて共沸脱水を行った。得られた反応溶液をメタノールに滴下して再沈殿を行い、シロキサン量が66質量%のシリコーン変性ポリイミド樹脂を得た。
この樹脂の赤外線吸光スペクトルにおいて未反応のポリアミック酸に基づく吸収は観測されず、1,780cm-1および1,720cm-1にイミド基の吸収が確認された。また、GPCによるこの樹脂の重量平均分子量は54,000であった。
Figure 0007322837000016
[実施例1~6、比較例1、2]
表1に示す組成で下記の各成分を混合し、シリコーン変性ポリイミド樹脂組成物を得た。
(A1):合成例1で得られたシリコーン変性ポリイミド樹脂
(A2):合成例2で得られたシリコーン変性ポリイミド樹脂
(A3):合成例3で得られたシリコーン変性ポリイミド樹脂
(B):カヤレン6-70(化薬アクゾ(株)製)
(C):プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)
(D1):アデカスタブLA-77Y((株)ADEKA製)
(D2):イルガノックス3114(BASFジャパン(株)製)
(E1):特開2016-79130号公報の実施例1記載の方法で製造された、下記構造式で表されるベンゾトリアゾール誘導体
Figure 0007322837000017
(E2):下記構造式で表されるベンゾトリアゾール誘導体
Figure 0007322837000018
Figure 0007322837000019
上記各実施例および比較例で調製した組成物の硬化物について、密着性、貯蔵弾性率を下記手法にて測定、評価した。これらの結果をガラス転移点とともに表2に示す。
(1)密着性
各実施例および比較例のシリコーン変性ポリイミド樹脂組成物を無酸素銅板(スタンドテストピース社製)上に厚さ80μmとなるように塗布し、50℃,30分、100℃,60分、150℃,120分の順で熱硬化させて硬化皮膜を得た。
この皮膜の密着性を碁盤目剥離試験(JIS K5400)の方法で評価し、100マス中に残存したマス目の数Xを示した。
(2)貯蔵弾性率
各実施例および比較例のシリコーン変性ポリイミド樹脂組成物をフッ素系コーティングが施された鉄板上に塗布し、50℃,30分、100℃,60分、150℃,120分の順で熱硬化させて厚さ0.3mmのシートを作製した。このシートについて、貯蔵弾性率を測定した。
Figure 0007322837000020
さらに、上記実施例1,6および比較例1,2で調製した組成物の硬化物について、下記手法にてダイシェア強度、水蒸気透過度および耐酸性を評価した。結果を表3に示す。
(3)ダイシェア強度測定
シリコーン変性ポリイミド樹脂組成物をそれぞれ無酸素銅板(スタンドテストピース社製)上に3μLを塗布し、そこに1mm角のケイ素チップを置いた。それを、50℃,30分、100℃,60分、および150℃,120分の順で熱硬化させ、25℃まで冷却したものを測定用試験片とした。
得られた試験片について、万能型ボンドテスタ(デイジ社製、4000シリーズ)を用いてケイ素チップを水平方向に押し、チップが剥がれた時のせん断強度を測定した。なお、測定は各7回行い、最大値および最小値を除いた5点の平均値を記載した。
(4)水蒸気透過度
シリコーン変性ポリイミド樹脂組成物をそれぞれフッ素系コーティングが施された鉄板上に塗布し、50℃,30分、100℃,60分、150℃,120分の順で熱硬化させて厚さ1mmのシートを作製した。このシートについて、L80-5000型水蒸気透過度計(Systech Instruments社製)を使用し、40℃(JIS K7129A)の条件にて水蒸気透過度を測定した。
(5)耐酸性
JASO M611-92(自動車技術会)を参考に、以下の手順で行った。
1.シリコーン変性ポリイミド樹脂組成物をそれぞれバーコーターNo.44を使用して無酸素銅板(スタンドテストピース社製)上に塗布し、50℃,30分、100℃,60分、および150℃,120分の順で熱硬化させてコート基材を作製した。
2.作製したコート基材をガラス瓶内に立て掛け、コート基材が酸性水溶液(硫酸:400ppm、フッ化アンモニウム:200ppmおよび酢酸:20,000ppm含有)に全浸漬されるように充填し、80℃,24時間の条件で耐久試験を行った。
3.コート基材を取り出し、イオン交換水で洗浄を行った後、基材表面の外観を確認した。
4.上記2、3の工程を繰り返し、基材表面のコーティングを保つことができた日数を評価した。
Figure 0007322837000021
表3に示されるように、実施例1,6の組成物から作製した硬化物は、優れた耐酸性を示した一方、比較例1,2の組成物から作製した硬化物は耐酸性に劣っていた。

Claims (9)

  1. (A)下記式(1)で表されるシリコーン変性ポリイミド樹脂:100質量部、
    Ee-Ff-Gg (1)
    (式(1)中、E、FおよびGは、ランダムに結合する繰り返し単位であり、Eは、式(2)で示されるジアミノ変性シリコーン由来の2価の基であり、Fは、式(3)で示されるテトラカルボン酸二無水物由来の2価の基であり、Gは、ジアミン由来の2価の基である。ただし、f+e+g=100mol%であり、f/(e+g)のmol比は、0.9~1.1であり、前記eとgの和を100とすると前記eは30~90である。)
    Figure 0007322837000022
    (式(2)中、RAは、互いに独立して、置換または非置換の炭素原子数1~10の2価炭化水素基を表し、R1およびR2は、互いに独立して、置換または非置換の炭素原子数1~10のアルキル基を表し、R3およびR4は、互いに独立して、置換または非置換の炭素原子数1~10の脂肪族不飽和結合を含んでいてもよい一価炭化水素を表し、R5およびR6は、互いに独立して、置換もしくは非置換の、炭素原子数1~10のアルキル基、炭素原子数6~10のアリール基、または炭素原子数7~16のアラルキル基を表し、mは、15~30、nは、10~30、oは、0~30、m+n+o=25~60を満たす整数を表す。なお、m、n、oが付された括弧内のシロキサン単位の配列は、ランダム、交互またはブロックのいずれであってもよい。)
    -Im-X-Im- (3)
    (式(3)中、Imは、環状イミド構造を端に含む環状の基を表し、Xは、単結合、-O-、-S-、-S(→O)-、-S(=O)2-、-C(=O)-、-NRN-(RNは、炭素原子数1~12の1価炭化水素基を表す。)、-CRB 2-(RBは、互いに独立して、水素原子またはハロゲン原子を含んでいてもよい炭素原子数1~12の1価炭化水素基を表す。)、-RAr h-(RArは、炭素原子数6~12の2価のアリーレン基を表し、hは、1~6の整数を表す。hが2以上のとき、RArは互いに同一でも異なっていてもよい。)、-RAr h-(ORAri-(RArおよびhは、前記と同じ意味を表し、iは、1~5の整数を表す。)、炭素原子数1~12の直鎖状または分岐状アルキレン基、炭素原子数5~12のシクロアルキレン基、および炭素原子数7~12のアリーレンアルキレン基から選択される2価の基を表す。)
    (B)硬化剤:0.1~10質量部、
    (C)溶剤:100~700質量部、
    (D)酸化防止剤:0.01~1質量部、および
    (E)下記一般式(4)で表されるベンゾトリアゾール誘導体:0.001~0.1質量部
    Figure 0007322837000023
    〔式(4)中、R7は、互いに独立して、水素原子または炭素原子数1~6の一価炭化水素基を表し、R8は、-(CH2p-Si(OR93で示される基または下記式(5)で示される基を表し、R9は、互いに独立して、水素原子、炭素原子数1~4のアルキル基またはSi(OR103で示される基(R10は、炭素原子数1~4のアルキル基を表す。)を表し、pは、1~6の整数を表す。
    Figure 0007322837000024
    (式(5)中、R9およびpは、前記と同じ意味を表し、波線を付した線は、結合手を表す。)〕
    を含むことを特徴とするシリコーン変性ポリイミド樹脂組成物。
  2. 前記Imが、下記の基から選ばれる少なくとも1種である請求項1記載のシリコーン変性ポリイミド樹脂組成物。
    Figure 0007322837000025
    (式中、波線を付した線は、結合手を表す。窒素原子に結合している結合手は、EまたはGに結合し、他の結合手はXに結合する。)
  3. 前記Gで表されるジアミン由来の2価の基において、ジアミンが、テトラメチレンジアミン、1,4-ジアミノシクロヘキサン、4,4'-ジアミノジシクロヘキシルメタン、フェニレンジアミン、4,4'-ジアミノジフェニルエーテル、2,2-ビス(4-アミノフェニル)プロパン、2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、および4,4'-(4,4’-イソプロピルジエンジフェニル-1,1'-ジイルジオキシ)ジアニリンから選ばれる請求項1または2記載のシリコーン変性ポリイミド樹脂組成物。
  4. 前記式(1)で示されるシリコーン変性ポリイミド樹脂の重量平均分子量が、30,000~100,000である請求項1~3のいずれか1項記載のシリコーン変性ポリイミド樹脂組成物。
  5. 前記(B)硬化剤が、熱分解性ラジカル開始剤である請求項1~4のいずれか1項記載のシリコーン変性ポリイミド樹脂組成物。
  6. 請求項1~5のいずれか1項記載のシリコーン変性ポリイミド樹脂組成物の硬化物。
  7. (α)25℃における貯蔵弾性率が0.1~100MPa
    (β)ガラス転移点(Tg)が0℃未満、かつ、
    (γ)1mm厚のシートにおける40℃での水蒸気透過度が100g/m2・day以下である請求項6記載の硬化物。
  8. 請求項1~5のいずれか1項記載のシリコーン変性ポリイミド樹脂組成物からなる接着剤。
  9. 請求項1~5のいずれか1項記載のシリコーン変性ポリイミド樹脂組成物からなるコーティング剤。
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