JP7322594B2 - 炭化珪素基板及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、炭化珪素基板及びその製造方法に関する。
炭化珪素(SiC)は、硬度、耐熱性及び化学的安定性に優れており、研磨材、耐火物又は発熱体などに使用されている。また、半導体特性を示すことから半導体への用途にも適用可能である。特に炭化珪素はバンドギャップが大きく絶縁破壊電界強度が高い。そのため、炭化珪素を半導体基板に適用すると、従来のシリコン基板を用いた場合に比べて、高耐圧及び/又は低損失で半導体素子を動作させることができる。その上、炭化珪素は熱伝導率が高く放熱特性に優れている。これらの特性を活かして、パワー半導体の基板として炭化珪素基板が実用化されている。
炭化珪素は、これにドナーやアクセプター等の不純物元素を添加することで、半導体特性を調整することができる。ドナー元素を添加することで、バンドギャップ内に準位を形成することができ、炭化珪素をn型半導体とすることが可能である。また、アクセプター元素を添加することでp型半導体することが可能である。さらに、ドナー元素及びアクセプター元素を同時に添加することでi型半導体とすることが可能である。
ところで、炭化珪素基板は、反りの少ないことが望ましい。反りの大きな基板上に炭化珪素エピタキシャル層を成長させると、エピタキシャル層の膜厚ばらつき、割れ又は剥がれなどの問題が生じるからである。このような反り低減の技術を開示する文献として、特許文献1や特許文献2が挙げられる。
特許文献1(特開2015-063429号公報)には、第1の主面と、前記第1の主面と反対の第2の主面を備え、不純物として窒素を含む炭化珪素半導体基板であって、前記炭化珪素半導体基板の厚みを前記第1の主面の最大径で除した比は4×10-3以下であり、かつ前記窒素の濃度は1×1018cm-3以上である、炭化珪素半導体基板が開示され、炭化珪素半導体基板が含む窒素の濃度を1×1018cm-3以上とすることにより、炭化珪素半導体基板を硬化させ、高温時における炭化珪素半導体基板の反りを効果的に低減することができる旨が記載されている(請求項1及び[0014])。
特許文献2(国際公開第2017/175799号)には、多結晶SiCで形成された多結晶SiC基板であって、前記多結晶SiC基板の両面のうち一方の面を第1面とするとともに他方の面を第2面として、前記第1面における多結晶SiCの結晶粒径の平均値と、前記第2面における多結晶SiCの結晶粒径の平均値との差分を、前記多結晶SiC基板の厚さで除した値である基板粒径変化率が0.43%以下であり、かつ、前記多結晶SiC基板の反りの曲率半径が142m以上である多結晶SiC基板が開示され、該多結晶SiC基板によれば、基板内部の結晶粒径変化率が小さくなることで多結晶SiC基板の内部における残留応力の影響を低減し、多結晶SiC基板の反りを低減することができる旨、多結晶SiC基板の抵抗率を下げる目的では、不純物として窒素、リン、などを含んでもよい旨が記載されている(特許文献2の請求項1、[0013]及び[0014])。
特開2015-063429号公報 国際公開第2017/175799号
このように、特許文献1及び2には炭化珪素基板の反り低減を図ることが提案されている。しかしながら、これらの文献に開示される手法で基板の反り低減を図るには限界がある。特に半導体基板にはより一層の大面積化及び/又は薄板化の要求があり、この要求に応じつつ反り低減を図るにはより一層の改良が望ましい。その上、特許文献1記載の要件では不純物が窒素に限定されており、かつその層の窒素濃度や厚さにも制限があり、デバイス設計が限定されてしまうという問題がある。また、特許文献2の技術では、第1の面と第2の面とで結晶粒径を一定の関係にする必要があり、多結晶成膜条件(温度や圧力など)が限定されるという問題がある。
本発明者はこのような問題点に鑑みて、炭化珪素基板の反りをより低減できる方策の検討を行った。その結果、基板厚さ方向における不純物元素濃度を特定の関係をもつように制御することで、炭化珪素基板の反りをより効果的に低減できるとの知見を得た。
本発明はこのような知見に基づき完成されたものであり、反りをより効果的に低減できる炭化珪素基板及びその製造方法の提供を課題とする。
本発明は、下記(1)~(8)の態様を包含する。なお、本明細書において、「~」なる表現は、その両端の数値を含む。すなわち、「X~Y」は「X以上Y以下」と同義である。
(1)炭素と珪素のいずれでもない不純物元素を含有する炭化珪素基板であり、前記炭化珪素基板は平行な表面と裏面とを有し、各不純物元素qはその各々の濃度が表面に平行な面内において一様であり、かつ表面からその法線軸に沿った深さz(単位:cm)における各不純物元素qの濃度を[q(z)]とすると、少なくとも一つの不純物元素qの濃度勾配(Δ[q(z)]/Δz)の絶対値が1×1020cm-4を超える層を含み、さらに前記炭化珪素基板の厚さをt(単位:cm)とすると、表面及び裏面での各不純物元素の濃度差([q(t)]-[q(0)])の絶対値が5×1016cm-3以下である、炭化珪素基板。
(2)前記各不純物元素qは、炭化珪素の結晶格子位置を置換する元素であり、窒素(N)、酸素(O)、リン(P)、ゲルマニウム(Ge)、セレン(Se)、ヒ素(As)、ホウ素(B)、アルミニウム(Al)及びインジウム(In)のうちの何れかである、上記(1)の炭化珪素基板。
(3)前記炭化珪素基板が単結晶炭化珪素からなる、上記(1)又は(2)の炭化珪素基板。
(4)前記炭化珪素基板は、その表面の最大径が1cm以上である、上記(1)~(3)のいずれかの炭化珪素基板。
(5)前記炭化珪素基板は、その厚さ(t)が0.005~10cmである、上記(1)~(4)のいずれかの炭化珪素基板。
(6)上記(1)~(5)のいずれかの炭化珪素基板の製造方法であって、
不純物元素が一様に添加された炭化珪素コア基板を準備する準備工程と、
前記炭化珪素コア基板の表面側及び裏面側の両方に、不純物元素を添加した炭化珪素層を堆積する堆積工程と、を含み、
前記堆積工程の際、不純物元素の添加操作の時間変化を炭化珪素コア基板の表面側と裏面側とで等しくする、方法。
(7)上記(1)~(5)のいずれかの炭化珪素基板の製造方法であって、
保持基板を準備する準備工程と、
前記保持基板上に、不純物元素を添加した炭化珪素層を堆積する堆積工程と、
炭化珪素層を堆積させた前記保持基板から保持基板を除去して、炭化珪素層のみとする除去工程と、を含み、
前記堆積工程で、不純物元素の添加操作を時間変化させて、少なくとも一つの不純物元素qの濃度勾配(Δ[q(z)]/Δz)が正の値になる操作と、濃度勾配(Δ[q(z)]/Δz)が負の値になる操作とを、それぞれ1回以上行う、方法。
(8)前記炭化珪素層を堆積させる工程を、気相法、昇華法又は液相法のいずれかの方法で行う、上記(6)又は(7)の方法。
本発明によれば、大面積化及び/又は薄板化した炭化珪素基板であっても、反りを十分に低減できる炭化珪素基板及びその製造方法が提供される。
不純物濃度勾配により発生するせん断応力を示す図である。 複数の不純物濃度勾配による反り低減のメカニズムを示す図である。 炭化珪素基板の断面模式図を示す図である。 炭化珪素基板の厚さ方向における不純物元素濃度の分布の例を示す図である。 炭化珪素(SiC)の成膜装置の一例を示す図である。 成膜装置内で保持基板を載置する態様の一例を示す図である。 成膜時間に対するガス流量変化の一例を示す図である。 保持基板上に炭化珪素が形成される態様の一例を示す図である。 炭化珪素中の窒素濃度の変化の一例を示す図である。 成膜時間に対するガス流量の変化の一例を示す図である。 炭化珪素中の窒素濃度の変化の一例を示す図である。 成膜装置内でコア基板を保持する態様の一例を示す図である。 コア基板の表裏面に炭化珪素が形成される態様の一例を示す図である。 成膜時間に対するガス流量変化の一例を示す図である。 炭化珪素中の窒素濃度とアルミニウム濃度の変化の一例を示す図である。 成膜時間に対するガス流量の変化の一例を示す図である。 炭化珪素中の窒素濃度とアルミニウム濃度の変化の一例を示す図である。 成膜時間に対するガス流量の変化の一例を示す図である。 炭化珪素中の不純物濃度の一例を示す図である。 成膜装置内でコア基板を載置する態様の一例を示す図である。 コア基板上に炭化珪素が形成される態様の一例を示す図である。
炭化珪素基板
本発明の炭化珪素基板は、炭素と珪素のいずれでもない不純物元素を含有する。この炭化珪素基板は平行な表面と裏面とを有し、各不純物元素qはその各々の濃度が表面に平行な面内において一様である。またこの炭化珪素基板は、表面からその法線軸に沿った深さz(単位:cm)における各不純物元素qの濃度を[q(z)]とすると、少なくとも一つの不純物元素qの濃度勾配(Δ[q(z)]/Δz)の絶対値が1×1020cm-4を超える層を含む。さらにこの炭化珪素基板は、その厚さをt(単位:cm)とすると、表面及び裏面での各不純物元素の濃度差([q(t)]-[q(0)])の絶対値が5×1016cm-3以下である。
本発明の炭化珪素基板は炭化珪素を主成分とする。バンドギャップが大きく熱伝導率の高い炭化珪素(SiC)を主成分とすることで、炭化珪素基板を半導体、特にパワー半導体の基板として有効に活用できる。ここで、主成分とは50mol%以上の成分をいう。したがって、炭化珪素基板は炭化珪素を50mol%以上の量で含有する。炭化珪素基板は、炭化珪素以外の成分をその固溶限界以下であれば含んでいてもよい。しかしながら、炭化珪素の特長を活かすため、炭化珪素の含有量は、70mol%以上が好ましく、80mol%以上がより好ましく、90mol%以上がさらに好ましく、95mol%以上が特に好ましい。また、炭化珪素基板は、単結晶、配向多結晶及び無配向多結晶のいずれからなるものであってよい。しかしながら、炭化珪素基板は、その上にエピタキシャル層を成膜できる単結晶炭化珪素からなるものが好ましい。
炭化珪素(SiC)には、六方晶又は菱面体晶系に属するα型(α-SiC)と、立方晶(等軸晶)系に属するβ型(β-SiC)がある。このうち、β型は2000℃以上で高温型のα型に相転移しはじめる。本発明の炭化珪素はα型及びβ型のいずれであってもよい。また、炭化珪素には多くの結晶多形(ポリタイプ)、例えば2H、3C、4H、6H、8H、10H及び15Rが存在することが知られている。2H、4H、6H、8H及び10Hは六方晶系(α型)、そして15Rは菱面体晶系(α型)であり、3Cは立方晶系(β型)である。本発明の炭化珪素はいずれの結晶多形を有するものであってよい。
本発明の炭化珪素基板は、炭素と珪素のいずれでもない不純物元素を含有する。この不純物元素は炭化珪素の結晶格子を占め、キャリア密度を変化させる。そのため不純物元素はドナーやアクセプターなどとして働く。したがって炭化珪素に不純物元素を含ませることで、キャリア密度などの半導体特性を変化させることができる。不純物元素として、例えば、窒素(N)、酸素(O)、リン(P)、ゲルマニウム(Ge)、セレン(Se)、ヒ素(As)、ホウ素(B)、アルミニウム(Al)及び/又はインジウム(In)などが例示される。
炭化珪素基板は少なくとも1種の不純物元素を含有する。すなわち1種のみの不純物元素を含んでもよく、複数種の不純物元素を含んでいてもよい。複数種の不純物元素を組み合わせることで、抵抗率やその温度変化を所望の値に調整することができる。例えば、半導体デバイスであるMOSFET用基板に炭化珪素基板を適用する場合、窒素とリンを共ドープすることでソース電極のコンタクト抵抗を下げることができる。これは、炭素(C)位置に収まる窒素の固溶限界が1019cm-3オーダーに留まるのに対し、珪素(Si)位置に収まるリンを共存させれば、ドナー濃度を1021cm-3にまで上げられる(低抵抗化できる)ためである。その他、残留ドナーをアクセプタで補償することで、高抵抗層を形成することができる。また、ドナーとアクセプターとを組み合わせることでキャリア同士を補償し、疑似的にi型半導体を得ることができる。ただし、複数種の不純物元素を組み合わせて使用する場合には、各不純物元素の割合を基板面内で一定にすることが好ましい。これにより、基板の反りを効果的に抑制することができる。
本発明の炭化珪素基板は平行な表面と裏面とを有し、各不純物元素qはその各々の濃度が表面に平行な面内において一様である。ここで、「一様」とは、面内方向における不純物元素濃度のバラツキが±5%以下であることを意味する。このように炭化珪素基板中の各不純物元素の濃度分布を面内で均一にすることで、基板の反りを効果的に抑制することができる。
炭化珪素の各不純物濃度は基板の方向にも均一であることが反りを低減するうえでは望ましい。しかしながら、炭化珪素を半導体デバイスの素材として用いる場合、デバイスの設計に応じて基板の厚さ方向に不純物濃度の分布(たとえば、pn接合、電界緩和構造、電極とのコンタクト部分など)を形成する必要がある。本発明の炭化珪素基板は、このような半導体デバイスとしての要件(厚さ方向に不純物濃度の分布がある)を満たしつつも、基板の反りを低減するため、以下のような構造をもつ。すなわち、表面からその法線軸方向に沿った深さz(単位:cm)における各不純物元素qの濃度を「q(z)」とすると、少なくとも一つの不純物元素qの濃度勾配(Δ[q(z)]/Δz)の絶対値が1×1020cm-4を超える層(領域)を含む。すなわち少なくとも一つの不純物元素qの濃度分布は、面内方向において均一であるものの、厚さ方向(表面法線軸方向)に沿って不均一となっている。不純物元素濃度が厚さ方向に不均一な層を設けることで、炭化珪素基板の特性を厚さ方向で変化させ、印加電圧のブロッキングや少数キャリア注入など多様な基板特性を付与することができる。なお、ここで、「層」とは厚さが確定された領域のみならず、厚さが不確定な領域をも含む。すなわち、不純物元素濃度([q(z)])が連続的に変化しており、層の境界が明確でない領域をも含む。いずれの場合であっても、濃度勾配(Δ[q(z)]/Δz)の絶対値が1×1020cm-4を超える領域を含んでいればよい。
本発明の炭化珪素基板は、その厚さをt(単位:cm)とすると、表面と裏面での各不純物元素の濃度差([q(t)]-[q(0)])の絶対値が5×1016cm-3以下である。このように表面と裏面における各不純物元素qの濃度差を小さくすることで、基板の反りを効果的に小さくすることができる。その理由を以下に説明する。
ドナーやアクセプターとなる不純物元素が炭化珪素(SiC)の結晶格子を占めると、結晶格子間隔(格子間距離)が局所的に変化する。この局所的な変化は内部応力(弾性変形)を発生させる。この内部応力を緩和するため、不純物濃度が変化している箇所において転位が運動し、弾性変形を塑性変形に変化させる。しかしながら、内部応力は完全には解消されず、転位運動の臨界応力に相当する内部応力が残留して基板の反りを発生させる。
このことを図1を用いて説明する。例えば、図1に示されるように、炭化珪素(SiC)格子中の炭素(C)が窒素(N)で置換されると、珪素(Si)-窒素(N)間の結合距離は珪素(Si)-炭素(C)間の結合距離に対して2.4%長くなる。また、珪素(Si)がアルミニウム(Al)で置換されると、炭素(C)-アルミニウム(Al)間の結合距離は珪素(Si)-炭素(C)間の結合距離に対して5.3%長くなる。一方、珪素(Si)がホウ素(B)で置換されると、炭素(C)-ホウ素(B)間の結合距離は珪素(Si)-炭素(C)間の結合距離に対して1.6%短くなる。このような不純物による格子間隔の変化は第一原理計算で予測することができる。そこで、例えば炭化珪素(SiC)結晶格子を0.1%の割合で窒素(N)で置換する窒素添加領域(1)を設けると、不純物の単位長さ当たりの割合は10%であるから、この領域における結晶格子の平均距離は、無添加領域(2)に比べて0.24%拡大して内部応力を発生させる。窒素添加領域(1)と無添加領域(2)の境界には濃度勾配領域(3)が存在するが、内部応力は濃度勾配領域(3)にせん断応力(4)を生じさせ、これが転位の運動(5)を引き起こす。転位の運動(5)により内部応力はある程度は緩和されるが、完全に解消されることはなく、若干のせん断応力(4’)が残留する。基板厚さ方向に沿って残留せん断応力に大きな差があると、基板一方の面に働く応力が強くなるため、これが基板の反りを生じさせてしまう。
これに対して、本発明では、炭化珪素基板内部に不純物元素濃度が変化する領域を設けて転位の運動を促す一方、それぞれに残留する内部応力同士が相殺するように不純物濃度変化領域を配置することで、炭化珪素基板全体の反りを抑制する。例えば、図2に示すように、炭化珪素(SiC)結晶内に複数の濃度勾配領域(3)を設け、それぞれの領域間に発生するせん断応力が等しくなるようにすれば転位運動(5)の有無にかかわらず、内部応力同士が釣り合うように、反りの発生が抑制される。このことを以下に詳細に説明する。
不純物元素を添加することで、炭化珪素の結晶格子平均間隔(L)は無添加の場合に比べて変化する。各不純物元素qによるLの変化量(ΔL)は、下記式(1)に示すように各不純物元素の濃度([q(z)])の三乗根に比例する。
Figure 0007322594000001
なお、上記ΔLは各不純物元素q添加による変化量であり、複数種の不純物元素が添加された場合には、総変化量はΔLの線形結合(総和)となる。また、後述する内部応力(IS)、せん断応力(SS)についても同様であり、複数種の不純物元素が添加された場合の総内部応力及び総せん断応力は、それぞれIS及びSSの線形結合となる。
結晶格子平均間隔が変化した領域(不純物元素を添加した領域)には、内部応力(IS)が発生し、qが寄与する内部応力の変化量(ΔIS)は、SiCを線形弾性体と見做せる範囲において下記式(2)に示すように、ΔLとSiCのヤング率(E)の積に比例、すなわち[q(z)]の三乗根とEの積に比例する。
Figure 0007322594000002
厚さ(z)方向で内部応力が変化すれば、そこにせん断応力(SS)が発生する。このせん断応力の絶対値(SS)は、厚さ方向における内部応力の変化量(ΔIS)に相当するので、下記式(3)に示される関係式を満足する。
Figure 0007322594000003
各濃度勾配領域に発生するせん断応力は、炭化珪素結晶内での転位の運動により緩和されるが、相対的な比率は変わらない。そのため濃度勾配(Δ[q(z)]1/3/Δz)をz軸に沿って積算した値が十分に小さくなるように不純物濃度の添加プロファイルを調整すれば、残留応力同士が均衡して基板の反りが抑制される。
具体的には、基板内のせん断応力の絶対値(SS)を基板厚さ全体に亘って求めた積算値(TSS)は、基板の厚さをtとすると、下記式(4)に示される関係式で表される。
Figure 0007322594000004
[q(0)]及び[q(t)]は、それぞれ基板の表面(z=0)及び裏面(z=t)での各不純物元素qの濃度である。したがって、各不純物元素qの濃度差([q(t)]-[q(0)])が小さければ小さいほど、せん断応力の積算値(TSS)が小さくなり、基板の反りが小さくなる。なお、上記TSSは各々の不純物元素q添加によるせん断応力の積算値であり、複数種の不純物元素が添加された場合の総和は、各TSSの線形結合となる。
本発明の炭化珪素基板は、各不純物元素qの濃度差の絶対値(|q(t)-q(0)|)が5.0×1016cm-3以下(すなわち、SiC結晶を構成する格子点数の約0.1ppm以下)と小さく、基板の反りが顕著に小さくなる。差の絶対値(|q(t)-q(0)|)は、好ましくは1.0×1016cm-3以下、より好ましくは1.0×1015cm-3以下である。すなわち、たとえば[q(0)]をゼロ(無添加)とした場合、各不純物元素qの濃度の三乗根の差の絶対値(|q(t)1/3-q(0)1/3|)は3.7×10cm-1以下が好ましく、2.2×10cm-1以下がより好ましく、1.0×10cm-1以下がさらに好ましい。差の絶対値(|q(t)-q(0)|、|q(t)1/3-q(0)1/3|)が0(ゼロ)であることが最も望ましい。
炭化珪素基板の厚さ方向における不純物元素の濃度分布の例を、図3及び図4を用いて説明する。図3は炭化ケイ素基板の断面模式図を示し、図4は基板厚さ方向における不純物元素の濃度分布の例を示す。図4において、縦軸は基板表面からの厚さ方向の距離(z)を、横軸は不純物元素濃度([q(z)])を表す。図4中の記号a、b、d及びeは、表裏面での不純物元素濃度([q(t)]、[q(0)])が等しく、本発明の要件を満足する。記号c及びfは、表裏面での不純物元素濃度が大きく異なり、本発明の要件を満足しない。記号gは、不純物元素濃度([q(t)]、[q(0)])が等しいものの、不純物元素濃度が厚さ方向に一様であり、全領域において濃度勾配([Δq(z)]/Δz)がゼロとなっている。したがって記号gは本発明の要件を満足しない。
本発明の炭化珪素基板は、不純物元素の濃度差([q(t)]-[q(0)])が所定の関係式を満足する限り、厚さ方向での濃度分布は限定されない。例えば、図4中の記号d及びeに示されるように、表面側と裏面側とで不純物元素が対称な濃度分布を示す態様であってよい。あるいは、図4中の記号a及びbに示されるように、不純物元素が非対称な濃度分布を示す態様であってもよい。不純物元素が非対称な分布を示していても、線形弾性体と見做せる限り、炭化珪素基板の反りが効果的に抑制される。
各不純物元素qは、炭化珪素の結晶格子を占める珪素(Si)及び炭素を置換する元素であり、窒素(N)、酸素(O)、リン(P)、ゲルマニウム(Ge)、セレン(Se)、ヒ素(As)、ホウ素(B)、アルミニウム(Al)及びインジウム(In)のうちの何れかであるのが好ましい。このうちIII属元素であるホウ素(B)、アルミニウム(Al)及びインジウム(In)はアクセプターとして働きp型半導体を形成する。V属元素である窒素(N)、リン(P)及びヒ素(As)はドナーとして働きn型半導体を形成する。IV属元素でありセレン(Se)はバンドギャップ内に準位を形成して電気抵抗を変化させる。酸素(O)及びゲルマニウム(Ge)は深い準位を形成して少数キャリアの寿命や抵抗率を変化させる。
炭化珪素基板は、その表面の最大径が、好ましくは1cm以上、より好ましくは10cm以上、さらに好ましくは15cm以上であり、また、厚さ(t)が、好ましくは0.005~10cm、より好ましくは0.05~0.8cmである。本発明によれば、このように大面積化及び/又は薄板化した炭化珪素基板であっても、反り抑制の効果を十分に発揮できる。そのため、本発明の炭化珪素基板は、半導体基板、特にパワー半導体基板として有用である。
炭化珪素基板の製造方法
本発明の炭化珪素基板は、その製造方法が限定されるものではない。しかしながら、以下に示す方法で製造するのが好適である。
第1の態様
第1の態様における炭化珪素基板の製造方法は、不純物元素が一様に添加された(含有する)炭化珪素コア基板を準備する準備工程と、この炭化珪素コア基板の表面側及び裏面側の両方に、不純物元素を添加した(含有する)炭化珪素層を堆積する堆積工程と、を含む。また、堆積工程の際、不純物元素の添加操作の時間変化を炭化珪素コア基板の表面側と裏面側とで等しくする。各工程の詳細について以下に説明する。
準備工程では、炭化珪素コア基板を準備する。このコア基板を構成する炭化珪素はいずれの結晶多形を有するものであってよい。また、コア基板は、単結晶、配向多結晶及び無配向多結晶のいずれからなるものであってよいが、好ましくは単結晶炭化珪素からなる。コア基板の大きさは、求められる炭化珪素基板の大きさに応じて決めればよい。しかしながら、炭化珪素コア基板は、その表面の最大径が、好ましくは1cm以上、より好ましくは10cm以上、さらに好ましくは15cm以上である。また、コア基板の厚さは、ハンドリングのし易さや、後続の堆積工程で求められる機械的強度を考慮すると、好ましくは0.02~10cm、より好ましくは0.03~0.8cmである。
炭化珪素コア基板は、不純物元素が一様に添加されている。すなわち、炭化珪素コア基板の面内方向及び厚さ方向において不純物元素が均一分布となっている。このような炭化珪素コア基板を用いることで、最終的に得られる炭化珪素基板において、不純物元素の面内濃度分布を一様にすることができるとともに、厚さ濃度分布を対称にすることができる。
堆積工程では、炭化珪素コア基板の表面側及び裏面側の両方に不純物元素を添加した炭化珪素層を堆積させる。炭化珪素層の堆積工程は、公知の手法で行えばよく、例えば気相法、昇華法及び液相法のいずれかの方法で行えばよい。気相法の一例として、化学気相成長法(CVD法)が挙げられる。化学気相成長法では、反応管内に炭化珪素コア基板を配置し、これを1000℃以上に加熱する。次いで原料ガスを導入して炭化珪素コア基板上に炭化珪素層を堆積させる。原料ガスとして、例えばシランと炭化水素の混合気体や、塩化シランと炭化シランの混合気体を用いることができる。不純物元素の添加は、原料ガス中にガス状不純物元素源を導入すればよい。例えば、窒素、アンモニア、トリメチルアルミニウム及び/又は塩化アンモニウム等の不純物元素源を導入することができる。不純物元素濃度の調整は、不純物元素源の導入量を制御することで行うことができる。
昇華法は、炭化珪素の昇華現象を利用した手法であり、大型のバルク単結晶の成長に好適である。昇華法の一例として、改良レーリー法が挙げられる。改良レーリー法では、黒鉛製坩堝に原料粉末を入れ、この原料粉末と離間した上部に種結晶を配置する。原料粉末として、炭化珪素粉末及び/又は炭素粉末と珪素粉末の混合粉末などを用いる。また、種結晶として炭化珪素コア基板を用いる。その後、坩堝を高温に加熱して原料を昇華させ、これを種結晶(炭化珪素コア基板)上で再結晶化させて、種結晶と同様の結晶構造を有する炭化珪素層を堆積させる。不純物の添加は、坩堝内の雰囲気ガスにガス状不純物元素源を導入する、或いは炭化珪素源に不純物元素を混ぜる等の手法が挙げられる。
液相法(溶液法)では、珪素(Si)又は珪素合金(Si合金)の融液に炭素(C)が溶解した溶液を坩堝内に準備し、この溶液に種結晶を接触させる。種結晶として炭化珪素コア基板を用いる。その後、種結晶近傍の溶液を過冷却することで、種結晶(炭化珪素コア基板)上に炭化珪素層を堆積させる。不純物の添加は、坩堝内の雰囲気ガスにガス状不純物元素源を導入する、あるいは溶液に不純物元素を加える等の手法が挙げられる。
第1の態様では、堆積工程の際に不純物元素の添加操作の時間変化を炭化珪素コア基板の表面側と裏面側とで等しくする。ここで、添加操作とは炭化珪素層の堆積条件及び不純物元素の添加条件のことである。例えば、ガス状不純物元素源を用いて不純物元素を添加する場合には、温度、圧力、各ガスの流量などの堆積条件(添加条件)を意味する。また、固体状不純物元素源を用いる場合には、不純物元素源の添加量や添加タイミングなどの添加条件を意味する。このように不純物元素の添加操作の時間変化を表面側と裏面側とで等しくすることにより、最終的に得られる炭化珪素基板において、厚さ方向での不純物元素の濃度分布を対称にすることができる。図4中の記号d及びeが、このような対称分布の例である。
炭化珪素層の堆積を炭化珪素コア基板の表面側と裏面側とで同時に行ってもよく、あるいは別々に行ってもよい。表面側と裏面側とで同時に堆積する場合には、炭化珪素層の堆積条件及び不純物元素の添加条件を、表面側と裏面側とで同時に同じになるように調整すればよい。別々に行う場合、表面側に炭化珪素層を堆積した後に裏面側に堆積させてもよく、あるいはこの逆であってもよい。この場合には、炭化珪素層を表面側(又は裏面側)に堆積するとともに、その堆積条件及び不純物元素添加条件を記録しておき、この記録に基づき、裏面側(又は表面側)にも同様に条件で炭化珪素層を堆積すればよい。いずれにしても、最終的に得られる炭化珪素基板において、不純物元素の厚さ方向での濃度分布が対称である限り、その堆積手法は限定されるものではない。
第2の態様
第2の態様における炭化珪素基板の製造方法は、保持基板を準備する準備工程と、この保持基板上に、不純物元素を添加した(含有する)炭化珪素層を堆積する堆積工程と、炭化珪素層を堆積させた保持基板から保持基板を除去して、炭化珪素層のみとする除去工程と、を含む。また、堆積工程で、不純物元素の添加操作を時間変化させて、少なくとも一つの不純物元素qの濃度勾配(Δ[q(z)]/Δz)が正の値になる操作と、濃度勾配(Δ[q(z)]/Δz)が負の値になる操作とを、それぞれ1回以上行う。各工程の詳細について以下に説明する。
準備工程では、保持基板を準備する。保持基板は、後述する堆積工程で炭化珪素層をその上に堆積でき且つ除去工程で除去できるものであれば特に限定されない。しかしながら、機械的強度や後段の工程での耐熱性を考慮すると、無機材料からなる基板(無機基板)が好ましく、炭化珪素層との密着性の観点から、珪素及び/又は炭素を含む無機基板がより好ましい。このような基板として、例えば、シリコン(Si)ウエハ、酸化膜付きシリコン(Si)ウエハ、炭素(C)ウエハ又は炭化珪素(SiC)ウエハが挙げられる。保持基板の大きさは、求められる炭化珪素基板の大きさに応じて決めればよく、表面の最大径が、好ましくは1cm以上、より好ましくは10cm以上、さらに好ましくは15cm以上である。また、保持基板の厚さは、ハンドリングのし易さや、後続の堆積工程で求められる機械的強度を考慮すると、好ましくは0.02~10cm、より好ましくは0.03~0.8cmである。
堆積工程では、保持基板上に、不純物元素を添加した炭化珪素層を堆積させる。炭化珪素層の堆積は、第1の態様と同様の手法で行えばよく、例えば気相法、昇華法及び液相法のいずれかの方法で行えばよい。ただし、第2の態様では、少なくとも一つの不純物元素の添加操作を時間変化させて、不純物元素の濃度勾配(Δq(z)/Δz)が正の値となる操作と、濃度勾配(Δq(z)/Δz)が負の値となる操作とを、それぞれ1回以上行う。このような操作を行うことで、不純物元素の厚さ方向での濃度分布が複雑に制御された炭化珪素基板を得ることができる。例えば、図4中の記号aやbに示されるように、表面側と裏面側とで不純物元素が非対称な濃度分布を示す炭化珪素基板を得ることができる。
最後に、炭化珪素層を堆積させた保持基板から保持基板を除去して、炭化珪素層のみとする。保持基板の除去は公知の手法で行えばよい。例えば、保持基板の融点以上且つ炭化珪素層の昇華や構造変化が顕著にならない温度範囲で加熱して保持基板を融解除去する手法がある。保持基板がシリコン(Si)ウエハや酸化膜付きシリコン(Si)ウエハである場合には、1410℃以上に加熱することで保持基板を除去することができる。ただし、炭化珪素の昇華や相転移を避ける観点から、加熱温度は2000℃以下とすることが好ましい。また、薬液を用いて保持基板を選択的に除去することもできる。具体的に、保持基板がシリコンウエハである場合には、これを水酸化カリウム溶液や水酸化ナトリウム溶液といった強アルカリ溶液に浸漬させて、シリコン(Si)を選択エッチングすることができる。また、保持基板を、フッ化水素と硝酸の混合溶液に浸漬させてケイ素(Si)を硝酸で酸化しつつ、フッ化水素で酸化ケイ素を四フッ化珪素(気体)に転換することでエッチング除去することも可能である。このようにして、炭化珪素基板を得ることができる。
以下に、本発明の具体的態様をより詳細に説明する。ただし、本発明はここで示される具体的態様に限定されるものではない。
[実施形態1]
実施形態1は、第2の態様による炭化珪素基板の製造方法の一例を示す実施例である。この例ではカーボン製保持基板の片面に炭化珪素を成膜する。また不純物元素として窒素を添加するが、基板表裏面で不純物元素濃度に差を設けない。
まず保持基板としてカーボン製支持基板(等方性黒鉛、熱膨張係数5.5ppm/K)を準備する。保持基板の口径は6インチで厚さ500μmである。
SiCを成膜する際の装置の一例を図5に示す。この装置は、ステンレス製の真空容器(51)内に設置した等方性黒鉛(G530)製の内筒(52)を有し、内筒を取り巻くカーボン製のヒーター(53)で内筒全体を均一に加熱する構造を有する。内筒上部には、原料ガス、キャリアガス、不活性ガス及び/又は不純物源を導入するためのノズル(54)が設置される。原料ガスとして四塩化珪素(STC)及びプロパン、キャリアガスとして水素、不活性ガスとしてアルゴン、不純物(N、Al)源として窒素及びトリメチルアルミニウム(TMA)を用いる。真空容器(51)には内部の圧力調整用のスロットルバルブ(55)が取り付けられている。スロットルバルブ(55)の後段にはメカニカルブースターポンプ(56)とドライポンプ(57)とが取り付けられており、これらにより排気される。望まざる不純物を排除するため、成膜に先立ち、真空容器(51)内を0.1Pa以下まで真空排気し、そののちに純度9Nのアルゴンで大気圧までパージする。炉内の圧力はピラニーゲージ(58)で検出され、スロットルバルブ(55)で所定の圧力になるように調整される。また炉内の温度は内筒に取り付けられた熱電対(59)で測定され、所定の温度になるようにヒーター(53)への通電電流をPIDで調整する。
図6に示すように、内筒(52)内部に等方性黒鉛(G530)製のサセプタ(61)を設置し、サセプタ上に保持基板(62)を載置する。次に内筒(52)内に3slmの水素と0.3slmのプロパンを導入し、室温から1550℃まで100K/分の昇温速度で加熱する。その後、スロットルバルブ(55)を用いて炉内の圧力を130hPaに保つ。保持基板(62)の温度を均一にするため、内筒(52)の温度が1550℃になってから10分を経た後にSTCと窒素ガスを導入して成膜を開始する。STCの流量を1.2slmとし、窒素の流量を0から3slmの間で変化させる。成膜時間に対する各ガス流量の変化を図7に示すとおりにする。ここでは成膜開始時と成膜終了時のガス流量を一致させる。この成膜により、図8に示されるように保持基板(62)上に炭化珪素(63)が形成される。140分の成膜で形成される炭化珪素の膜厚は448μmになる。
成膜後に、内筒(52)内に3slmの水素と0.3slmのプロパンのみを導入して自然冷却する。内筒の温度が100℃以下なった後、全てのガスの供給を停止し、内筒内部を大気圧のアルゴンガスで復圧してから保持基板を取り出す。保持基板との界面からの距離(z)に対する炭化珪素中の窒素濃度([N])の変化を図9に示す。ここで成膜した炭化珪素断面を二次イオン質量分析法(SIMS)で分析することにより不純物濃度のz依存性が判明する。z=0μmとz=448μmにおいて[N]は1×1014/cmで一致する。また、濃度勾配の最大値は1.56×1020/cmである。
SiCが成膜された保持基板の端面を研削し、保持基板の炭素を露出させたのち、空気中800℃で加熱して炭素を酸化させて除去し、単体のSiC基板を得る。SiC基板の反りを三次元形状測定器で測定して基板の反りを求める。基板の曲率は200m以上(例えば250m)である。なお基板の曲率が大きいほど、基板の反りは小さい。
[実施形態2(比較)]
実施形態2は、第2の態様による炭化珪素基板の製造方法に対する比較例である。この例ではカーボン製保持基板の片面に炭化珪素を成膜する。また基板表裏面での不純物元素濃度を異ならせる。
まず保持基板としてカーボン製支持基板を準備する。保持基板の口径は6インチで厚さ500μmである。保持基板上のSiC成膜には実施形態1と同様の装置を用いる。図6に示すように、内筒(52)内部に等方性黒鉛(G530)製のサセプタ(61)を設置し、サセプタ(61)上に保持基板(62)をその表面が上となるように載置する。次に内筒内に3slmの水素と0.3slmのプロパンを導入し、室温から1550℃まで100K/分の昇温速度で加熱する。スロットルバルブ(55)を用いて炉内の圧力を130hPaに保つ。保持基板(62)の温度を均一にするため、内筒(52)の温度が1550℃になってから10分を経た後にSTCと窒素ガスを導入する。STCの流量を1.2slmとする一方で、窒素の流量を0から3slmの間で経時的に変化させて、表裏面で不純物濃度が異なるようにする。成膜時間に対する各ガス流量の変化を図10に示すとおりにする。ここでは成膜開始時と成膜終了時のガス流量は一致しない。この成膜により、図8に示されるように保持基板(62)上に炭化珪素(63)が形成される。150分の成膜で形成される炭化珪素の膜厚は480μmになる。
保持基板との界面からの距離(z)に対する炭化珪素中の窒素濃度([N])の変化を図11に示す。z=0μmにおいて[N]は1×1014/cmである一方で、z=480μmにおいて[N]は2.1×1019/cmになり、これは本発明の要件を満たさない。濃度勾配の最大値は1.56×1020/cmである。
成膜後に内筒(52)内に3slmの水素と0.3slmのプロパンのみを導入して自然冷却する。内筒の温度が100℃以下なった後、全てのガスの供給を停止し、内筒内部を大気圧のアルゴンガスで復圧してから保持基板を取り出す。
SiCが成膜された保持基板の端面を研削し、保持基板の炭素を露出させたのち、空気中800℃で加熱して炭素を酸化させて除去し、単体のSiC基板を得る。SiC基板の反りを三次元形状測定器で測定し、基板の反りを求める。基板は表面側(保持基板に接していない面、即ち窒素濃度が高い面)が凸面となり、その曲率は10m以下(例えば10m)である。
[実施形態3]
実施形態3は、第1の態様による炭化珪素基板の製造方法の一例を示す実施例である。この例では多結晶SiC製コア基板の両面に炭化珪素を同時成膜する。また不純物ガスの流量を時間変化させるが、基板表裏面で不純物元素濃度に差を設けない。
まずコア基板としてCVD多結晶3C-SiC基板(熱膨張係数4.5ppm/K)を準備する。コア基板の口径は6インチで厚さは500μmである。コア基板には抵抗率を低下させるため窒素が均一に添加されており、その濃度は1×1018/cmである。
コア基板上へのSiC成膜には実施形態1と同様の装置を用いる。図12に示すように、内筒(52)内部に等方性黒鉛(G530)製のボート(81)を載置し、ボート(81)のスロットにコア基板(82)を垂直に保持する。次に内筒内に3slmの水素と0.3slmのプロパンを導入し、室温から1550℃まで100K/分の昇温速度で加熱する。スロットルバルブ(55)を調整して炉内の圧力を130hPaに保つ。コア基板(82)の温度を均一にするため、内筒(52)の温度が1550℃になってから10分を経た後にSTCと窒素ガスを導入する。STCの流量を1.2slmとし、窒素の流量を0から3slmの間で変化させる。各ガスの流量の時間変化を図10に示すとおりにする。この成膜により、図13に示されるようにコア基板(82)の表裏面に同一条件で炭化珪素(83)が形成される。150分の成膜で表裏面のそれぞれに厚さ480μmの炭化珪素が成膜され、全体の板厚は1460μmになる。
成膜された炭化珪素中の窒素濃度分布は図11に示すとおりである。コア基板との界面(z=0μm)において[N]は1×1014/cmであるが、表面または裏面(z=480μm)において[N]は2.1×1019/cmとなる。また、濃度勾配の最大値は1.56×1020/cmである。ただし、濃度分布は基板表裏面で対称となっており、本発明の要件を満たしている。
成膜後に内筒(52)内に3slmの水素と0.3slmのプロパンのみを導入して自然冷却する。内筒の温度が100℃以下なった後、全てのガスの供給を停止し、内筒内部を大気圧のアルゴンガスで復圧してからコア基板を取り出す。取り出されたコア基板の反りを三次元形状測定器で測定し、基板の反りを求める。基板の曲率は200m以上(例えば300m)である。
[実施形態4]
実施形態4は、第2の態様による炭化珪素基板の製造方法の一例を示す実施例である。この例ではカーボン製保持基板の片面に炭化珪素を成膜する。また2種類の不純物ガスを用いそのガス流量を時間変化させるが、基板表裏面で不純物元素濃度に差を設けない。
まず保持基板としてカーボン製保持基板を準備する。保持基板の口径は6インチで厚さは500μmである。保持基板上のSiC成膜には実施形態1と同様の装置を用いる。図6に示すように、内筒(52)内部に等方性黒鉛(G530)製のサセプタ(61)を載置し、サセプタ(61)上に保持基板(62)を載置する。次に内筒(52)内に3slmの水素と0.3slmのプロパンを導入し、室温から1550℃まで100K/分の昇温速度で加熱する。スロットルバルブ(55)を用いて炉内の圧力を130hPaに保つ。保持基板(62)の温度を均一にするため、内筒(52)の温度が1550℃になってから10分を経た後にSTCと窒素ガスを導入する。STCの流量を1.2slmとする一方で、窒素の流量を0から3slmの間、TMAの流量を0から0.5slmの間で変化させて2種類の不純物ガス流量を時間的に変化させる。成膜時間に対する各ガスの流量変化を図14に示すとおりにする。この成膜により、図8に示されるように保持基板(62)上に炭化珪素(63)が形成される。
保持基板との界面からの距離(z)に対する炭化珪素中の窒素濃度([N])とアルミニウム濃度([Al])の変化を図15に示す。z=0μmにおいて[N]は1×1014/cmで、[Al]は5×1018/cmである。この値は炭化珪素(63)の表面(z=448μm)の濃度と一致する。一方で、96μm以上352μm以下のzにおいて[N]は3.0×1019/cm、[Al]は7.0×1017/cmである。また、濃度勾配の最大値は1.56×1020/cmである。
成膜後に内筒内に3slmの水素と0.3slmのプロパンのみを導入して自然冷却する。内筒の温度が100℃以下なった後、全てのガスの供給を停止し、内筒内部を大気圧のアルゴンガスで復圧してから保持基板を取り出す。
SiCが成膜された保持基板の端面を研削し、保持基板の炭素を露出させたのち、空気中800℃で加熱して炭素を酸化させて除去し、単体のSiC基板を得る。SiC基板の反りを三次元形状測定器で測定し、基板の反りを求める。基板の曲率は200m以上(例えば300m)である。
[実施形態5]
実施形態5は、第2の態様による炭化珪素基板の製造方法の一例を示す実施例である。この例ではカーボン製保持基板の片面に炭化珪素を成膜し、その際に炭素/珪素比(C/Si比)を時間変化させる。また2種類の不純物ガスを一定流量で導入して、基板表裏面での不純物元素濃度に差を設けない。
まず保持基板としてカーボン製保持基板を準備する 保持基板の口径は6インチで厚さは500μmである。保持基板上のSiC成膜には実施形態1と同様の装置を用いる。図6に示すように、内筒(52)内部に等方性黒鉛(G530)製のサセプタ(61)を載置し、サセプタ(61)上に保持基板(62)を載置する。内筒(52)内に3slmの水素と0.3slmのプロパンを導入し、室温から1550℃まで100K/分の昇温速度で加熱する。スロットルバルブ(55)を用いて炉内の圧力を130hPaに保つ。保持基板(62)の温度を均一にするため、内筒(52)の温度が1550℃になってから10分を経た後にSTCと窒素ガスを導入する。STCの流量を1.2slm、窒素の流量を2slm、TMAの流量を0.5slmとし、プロパンの流量を0.1slmから2slmの間で変化させて、気相中のC/Si比を0.25から5の間で時間的に変化させる。ガス流量の時間変化を図16に示すとおりにする。この成膜により、図8に示すように保持基板(62)上に炭化珪素(63)が形成される。140分の成膜で形成される炭化珪素(63)の膜厚は448μmになる。
得られる炭化珪素中の窒素濃度([N])とアルミニウム濃度([Al])を図17に示す。不純物濃度勾配の最大値は8.94×1021/cmである。窒素は炭化珪素の炭素位置を置換するので、C/Si比が高いほど、[N]は低下する。反面、Alは炭化珪素の珪素位置を置換するので、C/Si比が高いほど[Al]は増加する。
成膜後に内筒(52)内に3slmの水素と0.3slmのプロパンのみを導入して自然冷却する。内筒の温度が100℃以下なった後、全てのガスの供給を停止し、内筒内部を大気圧のアルゴンガスで復圧してから保持基板を取り出す。SiCが成膜された保持基板の端面を研削し、保持基板の炭素を露出させたのち、空気中800℃で加熱して炭素を酸化させて除去し、単体のSiC基板を得る。取り出されたSiC基板の反りを三次元形状測定器で測定し、基板の反りを求める。基板の曲率は200m以上(例えば300m)である。
[実施形態6(比較)]
実施形態6は、第1及び第2の態様による炭化珪素基板の製造方法に対する比較例である。この例では多結晶SiC製コア基板の片面のみに炭化珪素を成膜し、その際に炭素/珪素比(C/Si比)を時間変化させる。また2種類の不純物ガスを一定流量で導入するが、基板表裏面で不純物元素の濃度を異ならせる。
まずコア基板としてCVD多結晶3C-SiC基板を準備する。コア基板の口径は6インチで厚さは500μmである。コア基板には抵抗率を低下させるため窒素が均一に添加されており、その濃度は1×1018/cmである。コア基板上のSiC成膜には実施形態1と同様の装置を用いる。図6に示すように、内筒(52)内部に等方性黒鉛(G530)製のサセプタ(61)を設置し、サセプタ(61)上にコア基板(62)を載置する。次に内筒(52)内に3slmの水素と0.3slmのプロパンを導入し、室温から1550℃まで100K/分の昇温速度で加熱する。スロットルバルブ(55)を用いて炉内の圧力を130hPaに保つ。コア基板(62)の温度を均一にするため、内筒(52)の温度が1550℃になってから10分を経た後にSTCと窒素ガスを導入する。STCの流量を1.2slm、窒素の流量を2slm、TMAの流量を0.5slmとし、プロパンの流量を0.1slmから2slmの間で変化させて、気相中のC/Si比を0.25から5の間で時間的に変化させる。ガス流量の時間変化を図18に示すとおりにする。この成膜により、図8に示されるようにコア基板(62)上に炭化珪素(63)が形成される。110分の成膜で形成される炭化珪素(63)の膜厚は352μmになる。
得られる炭化珪素中の不純物濃度を図19に示す。不純物濃度勾配の最大値は8.94×1021/cmである。また窒素濃度及びアルミニウム濃度のいずれもがコア基板との界面(z=0μm)と表面(z=352μm)とで一致しない。そのため本発明の要件を満たさない。
成膜後に内筒(52)内に3slmの水素と0.3slmのプロパンのみを導入して自然冷却する。内筒の温度が100℃以下なった後、全てのガスの供給を停止し、内筒内部を大気圧のアルゴンガスで復圧してからコア基板を取り出す。取り出したコア基板及び成膜された炭化珪素(合計厚さ852μm)の反りを3次元形状測定器で測定し、基板の反りとする。基板は[N]と[Al]の合計が高い面(コア基板側面)が凸面となる。基板の曲率は20m以下(例えば20m)である。
[実施形態7]
実施形態7は、第1の態様による炭化珪素基板の製造方法の一例を示す実施例である。この例では多結晶SiC製コア基板の両面に炭化珪素を成膜する。基板表面の成膜と裏面の成膜とを別々に行うが、基板表裏面での不純物元素濃度に差を設けない。
実施形態6で作製されたコア基板(炭化珪素付き)を実施形態1と同様の装置に載置する。載置にあたって、図20に示すように、実施形態1と同様の装置内にサセプタ(61)を設置し、サセプタ(61)上にコア基板を成膜された炭化珪素(63)が下向きになるように載置し、アドマップ製多結晶3C-SiCの裏面が露出するようにする。内筒(52)内に3slmの水素と0.3slmのプロパンを導入し、室温から1550℃まで100K/分の昇温速度で加熱する。スロットルバルブ(55)を用いて炉内の圧力を130hPaに保つ。コア基板(62)と多結晶炭化珪素(63)の温度を均一にするため、内筒(52)の温度が1550℃になってから10分を経た後にSTCと窒素ガスを導入する。STCの流量を1.2slm、窒素の流量を2slm、TMAの流量を0.5slmとし、プロパンの流量を0.1slmから2slmの間で変化させて、気相中のC/Si比を0.25から5の間で時間的に変化させる。ガス流量の時間変化を図18に示すとおりにする。この成膜により、図21に示されるように炭化珪素(64)をコア基板(62)上に成膜する。110分の成膜で形成される炭化珪素(64)の膜厚は352μmになる。
得られる炭化珪素中の不純物濃度を図19に示す。濃度勾配の最大値は8.94×1021/cmである。成膜される炭化珪素において、窒素濃度及びアルミニウム濃度のいずれもがコア基板との界面(z=0μm)と表面(z=352μm)とで一致しない。しかしながら、コア基板の反対側に成膜された炭化珪素中の不純物濃度プロファイルに対して対称的な配置となっている。そのため本発明の要件を満たしている。
成膜後に内筒(52)内に3slmの水素と0.3slmのプロパンのみを導入して自然冷却する。内筒の温度が100℃以下なった後、全てのガスの供給を停止し、内筒内部を大気圧のアルゴンガスで復圧してからコア基板を取り出す。取り出したコア基板及び成膜された炭化珪素(合計厚さ1204μm)の反りを3次元形状測定器で測定し、基板の反りとする。基板の曲率は300m以上(例えば300m)である。
このように、本発明に従えば、実施形態1、3、4、5及び7で示されるように、SiC基板表面に垂直方向に不純物の濃度勾配を有しつつも、反りの抑制が実現され、デバイス設計に制限を与えることなく、デバイス製造などのプロセス処理に支障をきたさない基板を得ることができる。
なお本実施例では処理するコア基板や保持基板を1枚としている。しかしながら、実際の処理枚数に制限はなく、装置内に複数枚のコア基板や保持基板を混在させて設置してSiC成膜を実施しても同様の効果が得られる。またSiCの原料となるガスや不純物原料となるガスについての制限もなく、例えばモノシラン、ジシラン、ジクロルシラン、トリクロルシラン、メタン、エタン、アセチレン、トリメチルシラン、テトラメチルシラン、アンモニア、フォスフィン、ジボラン、アルシン及び三塩化アルミニウムなどのガスやこれらを組み合わせて用いることでも同様の結果を得ることができる。さらに本実施例では減圧のホットウォール型CVD装置を用いているが、実際には成膜装置の方式に制限は無く、常圧気相成長装置やコールドウォール型でも同様の効果が得られる。基板の載置方法やガスの導入方法についても制限は無く、例えばガスを下部から導入して上部から排気するフェイスダウン方式のような方式でも同様の結果が得られる。
保持基板については製造メーカーの限定はない。しかしながら、炭化珪素を成膜する際の温度において安定であり、成膜された炭化珪素からの分離が容易であるものが望ましい。また所望の形状加工が可能であり、炭化珪素成膜時に不純物を放出することなく、かつ炭化珪素の熱膨張係数との差が1ppm/Kの材質であるものが望ましい。一方でコア基板について、炭化珪素製であり均一な不純物濃度である限り、その結晶構造や抵抗率には制限は無く、適宜、製造メーカーや製造方法を選定することが可能である。
また本実施例では不純物の濃度プロファイルを表裏で対称的なものとしたが、必ずしも対称的な濃度プロファイルを形成する必要は無く、少なくとも表裏面での不純物濃度差を5×1016/cm以下とすれば本発明の効果が得られる。
1 窒素添加領域
2 無添加領域
3 濃度勾配領域
4 せん断応力
5 転位の運動
51 真空容器
52 内筒
53 ヒーター
54 ノズル
55 スロットルバルブ
56 メカニカルブースターポンプ
57 ドライポンプ
58 ピラニーゲージ
59 熱電対
61 サセプタ
62 保持基板(コア基板)
63 炭化珪素
64 炭化珪素
81 ボート
82 コア基板
83 炭化珪素

Claims (8)

  1. 炭素と珪素のいずれでもない不純物元素を含有する炭化珪素基板であり、前記炭化珪素基板は平行な表面と裏面とを有し、各不純物元素qはその各々の濃度が表面に平行な面内において一様であり、前記炭化珪素基板の表面側と裏面側とで各不純物元素qは対称な濃度分布を示し、かつ表面からその法線軸に沿った深さz(単位:cm)における各不純物元素qの濃度を[q(z)]とすると、少なくとも一つの不純物元素qの濃度勾配(Δ[q(z)]/Δz)の絶対値が1×1020cm-4を超える層を含み、さらに前記炭化珪素基板の厚さをt(単位:cm)とすると、表面及び裏面での各不純物元素の濃度差([q(t)]-[q(0)])の絶対値が5×1016cm-3以下である、炭化珪素基板。
  2. 前記各不純物元素qは、炭化珪素の結晶格子位置を置換する元素であり、窒素(N)、酸素(O)、リン(P)、ゲルマニウム(Ge)、セレン(Se)、ヒ素(As)、ホウ素(B)、アルミニウム(Al)及びインジウム(In)のうちの何れかである、請求項1に記載の炭化珪素基板。
  3. 前記炭化珪素基板が単結晶炭化珪素からなる、請求項1又は2に記載の炭化珪素基板。
  4. 前記炭化珪素基板は、その表面の最大径が1cm以上である、請求項1~3のいずれか一項に記載の炭化珪素基板。
  5. 前記炭化珪素基板は、その厚さ(t)が0.005~10cmである、請求項1~4のいずれか一項に記載の炭化珪素基板。
  6. 請求項1~5のいずれか一項に記載の炭化珪素基板の製造方法であって、
    不純物元素が一様に添加された炭化珪素コア基板を準備する準備工程と、
    前記炭化珪素コア基板の表面側及び裏面側の両方に、不純物元素を添加した炭化珪素層を堆積する堆積工程と、を含み、
    前記堆積工程の際、不純物元素の添加操作の時間変化を炭化珪素コア基板の表面側と裏面側とで等しくする、方法。
  7. 請求項1~5のいずれか一項に記載の炭化珪素基板の製造方法であって、
    保持基板を準備する準備工程と、
    前記保持基板上に、不純物元素を添加した炭化珪素層を堆積する堆積工程と、
    炭化珪素層を堆積させた前記保持基板から保持基板を除去して、炭化珪素層のみとする除去工程と、を含み、
    前記堆積工程で、不純物元素の添加操作を時間変化させて、少なくとも一つの不純物元素qの濃度勾配(Δ[q(z)]/Δz)が正の値になる操作と、濃度勾配(Δ[q(z)]/Δz)が負の値になる操作とを、それぞれ1回以上行う、方法。
  8. 前記炭化珪素層を堆積させる工程を、気相法、昇華法又は液相法のいずれかの方法で行う、請求項6又は7に記載の方法。
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