JP7321648B2 - 電鋳砥石 - Google Patents

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Description

本発明は、被加工物の切削に用いられる電鋳砥石に関する。
デバイスチップの製造工程では、格子状に配列された複数の分割予定ライン(ストリート)によって区画された複数の領域にそれぞれIC(Integrated Circuit)、LSI(Large Scale Integration)等のデバイスが形成されたウェーハが用いられる。このウェーハを分割予定ラインに沿って分割することにより、デバイスをそれぞれ備える複数のデバイスチップが得られる。デバイスチップは、携帯電話、パーソナルコンピュータ等の様々な電子機器に搭載される。
ウェーハの分割には、ウェーハを保持するチャックテーブルと、ウェーハを切削する切削ユニットとを備える切削装置が用いられる。切削ユニットはスピンドル(回転軸)を備えており、このスピンドルの先端部にウェーハを切削するための環状の電鋳砥石(切削ブレード)が装着される。例えば電鋳砥石は、円盤状の基台と、基台の外周に沿って形成された切刃とによって構成される。電鋳砥石を回転させ、チャックテーブルによって保持されたウェーハに電鋳砥石の切刃を切り込ませることにより、ウェーハが切削され、分割される(特許文献1参照)。
電鋳砥石でウェーハを切削する際には、電鋳砥石に切削液が供給される。この切削液により、電鋳砥石とウェーハとが冷却されるとともに、切削によって生じた屑(切削屑)が洗い流される。切削液としては主に純水が用いられるが、純水は抵抗率が高く、ウェーハの加工時に純水が供給されるとウェーハに静電気が生じやすい。この静電気は、ウェーハに形成されたデバイスの静電破壊等を生じさせるため、デバイスチップの不良の原因となる。
そこで、切削液として二酸化炭素が混合された純水(炭酸水)が用いられることがある(特許文献2、3参照)。炭酸水は、純水と比較して抵抗率が小さく、切削加工中に電鋳砥石及びウェーハに供給されても静電気を生じさせにくい。これにより、デバイスの静電破壊が抑制され、デバイスチップの不良の発生が防止される。
特開2000-87282号公報 特開平8-130201号公報 特開平11-300184号公報
切削加工の際に電鋳砥石への切削液の供給が継続されると、電鋳砥石の切刃が切削液によって腐食し、消耗する。特に、切削液として二酸化炭素が混合された純水を用いると、切刃の腐食が進行しやすい。切刃の腐食が生じると、切刃の強度が低下し、電鋳砥石の破損やウェーハの加工不良が生じやすくなる。
本発明はかかる問題に鑑みてなされたものであり、切刃の腐食を抑制することが可能な電鋳砥石の提供を目的とする。
本発明の一態様によれば、中央部に開口を備える環状の基台と、該基台の外周縁に沿って形成された切刃と、を有する電鋳砥石であって、該切刃は、砥粒と、該砥粒を固定する結合材とを有し、該基台には、該結合材を構成する材質よりもイオン化傾向が大きい材質でなる腐食層が形成され、該結合材及び該腐食層は、硫黄を含有するニッケルめっき層によって構成され、該腐食層における硫黄の含有率は、該結合材における硫黄の含有率よりも高い電鋳砥石が提供される。また、本発明の他の一態様によれば、中央部に開口を備える環状の基台と、該基台の外周縁に沿って形成された切刃と、を有する電鋳砥石であって、該切刃は、砥粒と、該砥粒を固定する結合材とを有し、該基台には、該結合材を構成する材質よりもイオン化傾向が大きい材質でなる腐食層が形成され、該腐食層は、該基台に形成された溝の内部に設けられている電鋳砥石が提供される。
なお、好ましくは、該腐食層における硫黄の含有率は、該結合材における硫黄の含有率の1.2倍以上である。また、好ましくは、該腐食層は、該基台のうち該切刃と該開口との間の領域に、環状に形成されている
本発明の一態様に係る電鋳砥石は、切刃の結合材を構成する材質よりもイオン化傾向が大きい材質でなる腐食層が形成された基台を備える。これにより、電着砥石に切削液が供給された際、腐食層が優先して犠牲的に腐食し、切刃の結合材の腐食が抑制される。
図1(A)は電鋳砥石の表面側を示す斜視図であり、図1(B)は電鋳砥石の裏面側を示す斜視図である。 電鋳砥石を示す正面図である。 切削装置を示す斜視図である。 切削ユニットを示す斜視図である。 製造装置を示す断面図である。 図6(A)は腐食層を形成するためのマスクが形成された基台を示す断面図であり、図6(B)は腐食層が形成された基台を示す断面図である。 図7(A)は切刃を形成するためのマスクが形成された基台を示す断面図であり、図7(B)は切刃が形成された基台を示す断面図である。 エッチングされた基台を示す断面図である。 溝が形成された基台を示す断面図である。 切刃の幅の減少量を示すグラフである。
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態を説明する。まず、本実施形態に係る電鋳砥石(切削ブレード)の構成例について説明する。図1(A)及び図2(B)に、電鋳砥石(切削ブレード)10を示す。図1(A)は電鋳砥石10の表面側(第1面側)を示す斜視図であり、図1(B)は電鋳砥石10の裏面側(第2面側)を示す斜視図である。
電鋳砥石10は、環状の基台12と、基台12の外周部に形成された環状の切刃14とを備える。基台12は、導電性の金属でなり、表面(第1面)12a及び裏面(第2面)12bと、表面12a及び裏面12bと接続された外周縁(側面)12cとを備える。基台12の表面12a側には、表面12aから基台12の厚さ方向に突出する円形の凸部12dが設けられている。また、基台12の中央部には、基台12を厚さ方向に貫通する円形の開口12eが形成されている。
基台12の外周部には、切刃14が外周縁12cに沿って環状に形成されている。切刃14は、ダイヤモンド、立方晶窒化ホウ素(cBN:cubic Boron Nitride)等でなる砥粒と、金属等でなり砥粒を固定する結合材とを有する。例えば切刃14は、基台12の外周部に電着されたニッケルで砥粒を固定することによって形成される。この場合には、切刃14の結合材がニッケルめっき層によって構成される。
電鋳砥石10は、後述の切削装置20(図3参照)に装着され、被加工物を切削する。例えば、格子状に配列された複数の分割予定ライン(ストリート)によって区画された複数の領域にそれぞれIC(Integrated Circuit)、LSI(Large Scale Integration)等のデバイスを備えるシリコンウェーハが、電鋳砥石10によって切削される。このシリコンウェーハを分割予定ラインに沿って切削して分割することにより、デバイスをそれぞれ備える複数のデバイスチップが製造される。
ただし、被加工物の材質、形状、構造、大きさ等に制限はない。例えば、被加工物は、シリコン以外の半導体(GaAs、InP、GaN、SiC等)、ガラス、セラミックス、樹脂、金属等の材料でなる、任意の形状及び大きさのウェーハであってもよい。また、被加工物に形成されるデバイスの種類、数量、形状、構造、大きさ、配置等にも制限はなく、被加工物にはデバイスが形成されていなくてもよい。また、被加工物は、CSP(Chip Size Package)基板、QFN(Quad Flat Non-leaded package)基板等のパッケージ基板であってもよい。
電鋳砥石10を回転させながら、切刃14を被加工物に切り込ませることにより、被加工物が切削される。そして、電鋳砥石10で被加工物を切削する際には、電鋳砥石10及び被加工物に切削液が供給される。この切削液により、電鋳砥石10と被加工物とが冷却されるとともに、切削によって生じた屑(切削屑)が洗い流される。
切削液としては、例えば純水が用いられる。また、切削加工中に被加工物に静電気が発生することを防止するため、純水よりも抵抗率が小さい液体が用いられることもある。例えば、切削液として、二酸化炭素が混合された純水(炭酸水)等を用いることもできる。
切削加工の際に電鋳砥石10への切削液の供給が継続されると、電鋳砥石10の切刃14が切削液によって腐食し、消耗する。特に、二酸化炭素が混合された純水を用いると、切刃14の腐食が進行しやすい。切刃14の腐食が生じると、切刃14の強度が低下し、電鋳砥石10の破損や被加工物の加工不良が生じやすくなる。
そこで、本実施形態に係る電鋳砥石10においては、図1(B)に示すように、基台12に金属等でなる腐食層(犠牲層)16が形成される。腐食層16は、切刃14の結合材を構成する材質よりもイオン化傾向が大きい材質でなり、基台12を介して切刃14の結合材と電気的に接続されている。
図2は、電鋳砥石10を示す正面図である。例えば腐食層16は、基台12の裏面12b側のうち、切刃14と基台12の開口12eとの間に位置する環状の領域の一部に形成される。図2では、腐食層16が、基台12の裏面12b側に、開口12eを囲むように所定の幅で環状に形成されている例を示している。
ただし、腐食層16の大きさ及び形状、腐食層16が設けられる位置等に制限はない。例えば腐食層16は、切刃14と開口12eとの間の領域の全体に形成されてもよいし、多角形状に形成されてもよい。また、腐食層16は基台12の表面12a側に形成されてもよい。
切削加工時には、切削液が電鋳砥石10の全体に所定の流量で連続的に供給される。そのため、電鋳砥石10の切刃14及び腐食層16が、切削液にさらされる。ここで、腐食層16は、切刃14の結合材よりもイオン化傾向が大きい金属でなる。よって、電鋳砥石10に切削液が供給されている間、腐食層16は切刃14の結合材よりも腐食しやすい。
具体的には、二酸化炭素が混合された純水等が切削液として電鋳砥石10に供給されると、切刃14の結合材よりも腐食層16から金属イオンが優先的に溶け出し、腐食層16の腐食が進行する。その結果、腐食層16の腐食によって切刃14の結合材の腐食が抑制される、犠牲防食作用(電気防食作用)が生じると考えられる。
腐食層16の材質は、切刃14の結合材の材質に応じて適宜選択できる。例えば、切刃14の結合材がニッケルめっき層によって構成される場合には、アルミニウムや亜鉛等の金属でなる腐食層16を用いることができる。
ただし、切刃14の結合材と腐食層16とは、同一の材料を用いて形成することもできる。例えば、切刃14の結合材と腐食層16とは共に、硫黄を含有するニッケルめっき層によって構成されてもよい。この場合、切刃14の結合材と腐食層16とのイオン化傾向の大きさを、硫黄の含有量によって制御することができる。具体的には、腐食層16における硫黄の含有率を、切刃14の結合材における硫黄の含有率よりも高くすることにより、腐食層16のイオン化傾向を切刃14の結合材よりも大きくすることができる。
なお、切刃14の結合材と腐食層16とのイオン化傾向の差を十分に確保するため、腐食層16における硫黄の含有率は、切刃14の結合材における硫黄の含有率の1.2倍以上とすることが好ましい。例えば、切刃14の結合材における硫黄の含有率は、0.17質量%以上0.22質量%以下であり、腐食層16における硫黄の含有率は、0.27質量%以上0.33質量%以下である。
図3は、切削装置20を示す斜視図である。腐食層16が形成された電鋳砥石10は、切削装置20に装着され、被加工物を加工する。
切削装置20は、切削装置20を構成する各構成要素を支持する基台22を備える。基台22の上側には、基台22の上面側を覆うカバー24が設けられている。カバー24の内部には、被加工物11の加工が行われる空間が形成されており、この空間内には電鋳砥石10が装着される切削ユニット26が配置されている。切削ユニット26は、移動機構(不図示)に接続されており、この移動機構は切削ユニット26をY軸方向(前後方向、割り出し送り方向)及びZ軸方向(鉛直方向、上下方向)に沿って移動させる。
図4は、切削ユニット26を示す斜視図である。切削ユニット26は、Y軸方向に沿って配置された円筒状のハウジング40を備え、このハウジング40には円筒状のスピンドル(回転軸)42が収容されている。スピンドル42の先端部(一端側)はハウジング40の外部に露出しており、この先端部には電鋳砥石10が装着されるマウント44が固定されている。また、スピンドル42の基端部(他端側)には、スピンドル42を回転させるモータ等の回転駆動源(不図示)が連結されている。
マウント44は、円盤状のフランジ部46と、フランジ部46の表面46aの中央部から突出する円筒状の支持軸(ボス部)48とを備える。フランジ部46の外周部の表面46a側には、表面46aから突出する環状の凸部46bが、フランジ部46の外周縁に沿って設けられている。この凸部46bの先端面は、表面46aと概ね平行に形成されている。また、支持軸48の外周面にはねじ部48aが形成されている。
支持軸48には、環状の固定ナット50が装着される。固定ナット50の中央部には、固定ナット50を厚さ方向に貫通する円形の開口50aが形成されている。そして、開口50aの内部で露出する固定ナット50の側面(内周面)には、支持軸48のねじ部48aに対応するねじ溝が形成されている。
電鋳砥石10が備える基台12の開口12eに支持軸48を挿入すると、電鋳砥石10がスピンドル42の先端部(マウント44)に装着される。なお、基台12の凸部12dは、電鋳砥石10をマウント44に装着する際に把持される把持部に相当する。
電鋳砥石10がマウント44に装着された状態で、固定ナット50を支持軸48のねじ部48aに締め付けると、電鋳砥石10がフランジ部46の凸部46bの先端面と固定ナット50とによって挟持される。これにより、電鋳砥石10がスピンドル42の先端部に固定される。そして、回転駆動源でスピンドル42を回転させると、電鋳砥石10がY軸方向と概ね平行な回転軸の周りで回転する。
図3に示すように、切削ユニット26の下方には、被加工物11を保持するチャックテーブル(保持テーブル)28が設けられている。チャックテーブル28の上面は被加工物11を保持する保持面28aを構成しており、この保持面28aは吸引路(不図示)を介してエジェクタ等の吸引源(不図示)に接続されている。被加工物11をチャックテーブル28上に配置した状態で、保持面28aに吸引源の負圧を作用させると、被加工物11がチャックテーブル28によって吸引保持される。
チャックテーブル28は移動機構(不図示)に接続されており、この移動機構はチャックテーブル28をX軸方向(左右方向、加工送り方向)に沿って移動させる。また、チャックテーブル28は回転機構(不図示)に接続されており、この回転機構はチャックテーブル28をZ軸方向と概ね平行な回転軸の周りで回転させる。
基台22の前方側の角部には、カセットエレベータ30が設置されている。このカセットエレベータ30上に、複数の被加工物11を収容可能なカセット32が載置される。カセットエレベータ30は、Z軸方向に沿って昇降可能に構成されており、カセット32からの被加工物11の搬出、及びカセット32への被加工物11の搬入が適切に行われるように、カセット32の高さ(Z軸方向における位置)を調整する。
カセットエレベータ30の近傍には、被加工物11を搬送する搬送機構(不図示)が設けられている。この搬送機構は、カセット32に収容された加工前の被加工物11をチャックテーブル28上に搬送するとともに、切削ユニット26によって加工された被加工物11をカセット32に収容する。
カバー24の前面24a側には、切削装置20に関する情報を表示する表示部(表示ユニット)34が設けられている。例えば表示部34は、チャックテーブル28によって保持された被加工物11の画像や、被加工物11の加工に関する情報(加工条件等)を表示する。
なお、表示部34は、タッチパネル式のディスプレイであってもよい。この場合、表示部34がユーザーインタフェースとなり、オペレーターは表示部34のタッチ操作によって切削装置20に加工条件等の情報を入力できる。すなわち、表示部34は、切削装置20に情報を入力するための入力部(入力ユニット)としても機能する。ただし、入力部は表示部34とは別途独立して設けられていてもよい。この場合、入力部は、キーボード、マウス等によって構成される。
切削装置2を構成する各構成要素(切削ユニット26、切削ユニット26に接続された移動機構、チャックテーブル28、チャックテーブル28に接続された移動機構及び回転機構、カセットエレベータ30、搬送機構、表示部34等)は、制御部(制御ユニット、不図示)に接続されている。この制御部よって、切削装置20の各構成要素の動作が制御される。
制御部は、例えばコンピュータによって構成される。具体的には、制御部は、切削装置20の制御に必要な演算等の処理を行う処理部と、処理部による処理に用いられる各種のデータ、プログラム等が記憶される記憶部とを備える。処理部は、例えばCPU(Central Processing Unit)等のプロセッサを含んで構成される。また、記憶部は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等のメモリによって構成される。処理部と記憶部とは、バスを介して互いに接続されている。
カセット32に収容された被加工物11は、搬送機構によってチャックテーブル28上に搬送され、チャックテーブル28によって保持される。そして、切削ユニット26は、チャックテーブル28によって保持された被加工物11に切削加工を施す。加工後の被加工物11は、搬送機構によって搬送され、カセット32に収容される。
チャックテーブル28によって保持された被加工物11を切削する際は、まず、電鋳砥石10の下端が被加工物11の上面よりも下方に位置付けられるように、切削ユニット26の高さ(Z軸方向における位置)を調整する。また、電鋳砥石10の切刃14が被加工物11の所望の位置に切り込むように、切削ユニット26のY軸方向における位置を調整する。この状態で、電鋳砥石10を回転させながらチャックテーブル28をX軸方向に沿って移動させると、電鋳砥石10の切刃14が被加工物11に切り込み、被加工物11が切削される。
また、切削ユニット26は、電鋳砥石10及び被加工物11に切削液を供給するためのノズル(不図示)を備える。ノズルの先端部は、電鋳砥石10に向かって開口している。切削加工中は、このノズルを介して電鋳砥石10及び被加工物11に切削液が供給される。切削液としては、例えば二酸化炭素が混合された純水が用いられる。
なお、前述の通り、電鋳砥石10の基台12には腐食層16が形成されている(図2等参照)。そのため、切削加工中にノズルから電鋳砥石10に向かって切削液が供給されても、腐食層16によって切刃14の結合材の腐食が抑制される。
次に、電鋳砥石10の製造方法について説明する。図5は、電鋳砥石10の製造に用いられる製造装置60を示す断面図である。以下では一例として、切刃14の結合材と腐食層16とがニッケルめっき層によって構成された電鋳砥石10の製造方法を説明する。
製造装置60は、めっき液を貯留するめっき槽62を備える。めっき槽62には、ニッケルめっき液64が充填される。ニッケルめっき液64は、ニッケルを含む電解液であり、例えば、硫酸ニッケル、塩化ニッケル、スルファミン酸ニッケル等が用いられる。
めっき槽62に貯留されたニッケルめっき液64には、基台12と、ニッケル電極68とが浸漬される。基台12は、スイッチ70等を介して直流電源72のマイナス端子(負極)に接続され、ニッケル電極68は直流電源72のプラス端子(正極)に接続される。さらに、ニッケルめっき液64には、ニッケルめっき液64を攪拌するファン74が浸漬される。ファン74には、ファン74を回転させるモータ等の回転駆動源76が接続されている。
まず、製造装置60を用いて、基台12に腐食層16を形成する。図6(A)は、腐食層16を形成するためのマスク80が形成された基台12を示す断面図である。腐食層16を形成する際は、マスク80を基台12の全体を覆うように形成する。
マスク80のうち腐食層16を形成すべき領域と重なる位置には、基台12を露出させる開口80aが形成される。例えば、基台12の裏面12bに環状の腐食層16(図2参照)を形成する場合には、基台12の裏面12b側の一部が平面視で環状に露出するように、開口80aが形成される。そして、マスク80が形成された基台12を、ニッケル電極68と共に、めっき槽62に貯留されたニッケルめっき液64に浸漬させる(図5参照)。
なお、腐食層16を形成する際には、ニッケルめっき液64に、腐食層16(図2等参照)に含有させる硫黄が添加される。具体的には、硫黄を所定の濃度で含有する添加液66が、ニッケルめっき液64に添加される。添加液66の添加量は、腐食層16のイオン化傾向の目標値に応じて調整される。
そして、回転駆動源76によってファン74を回転させてニッケルめっき液64を攪拌しながら、スイッチ70を導通状態とする。これにより、基台12が陰極、ニッケル電極68が陽極となり、ニッケルめっき液64に直流電流が流れる。そして、マスク80に形成された開口80aの内部で基台12にニッケルが電着され、基台12の裏面12b側に環状のニッケルめっき層が形成される。
このようにして基台12に形成されたニッケルめっき層が、腐食層16に相当する。なお、このニッケルめっき層は、ニッケルめっき液64に添加された硫黄を所定の含有量で含んでいる。
図6(B)は、腐食層16が形成された基台12を示す断面図である。マスク80の開口80aの内部に硫黄を含有するニッケルめっき層が形成された後、マスク80を除去すると、環状の腐食層16が形成された基台12が得られる。
次に、製造装置60を用いて、基台12に切刃14を形成する。図7(A)は、切刃14を形成するためのマスク82が形成された基台12を示す断面図である。切刃14を形成する際は、マスク82を、基台12及び腐食層16の全体を覆うように形成する。
マスク82のうち切刃14が形成すべき領域と重なる位置には、基台12を露出させる開口82aが形成される。具体的には、基台12の裏面12b側の外周部が外周縁12cに沿って露出するように、開口82aが形成される。そして、マスク82が形成された基台12を、ニッケル電極68と共に、めっき槽62に貯留されたニッケルめっき液64に浸漬させる(図5参照)。
なお、切刃14を形成する際には、ダイヤモンドや立方晶窒化ホウ素等の砥粒が分散されたニッケルめっき液64が用いられる。また、切刃14の形成に用いられるニッケルめっき液64には、微量の硫黄が添加されることが好ましい。ニッケルめっき液64に適量の硫黄を添加することにより、切刃14の剛性を向上させることができる。ただし、切刃14の形成に用いられるニッケルめっき液64に含まれる硫黄の量は、腐食層16の形成に用いられるニッケルめっき液64に含まれる硫黄の量よりも少ない。
そして、回転駆動源76によってファン74を回転させてニッケルめっき液64を攪拌しながら、スイッチ70を導通状態とする。これにより、マスク82の開口82aの内部で基台12にニッケルが電着され、基台12の裏面12b側に、砥粒を含む環状のニッケルめっき層が外周縁12cに沿って形成される。このニッケルめっき層が、切刃14に相当する。
図7(B)は、切刃14が形成された基台12を示す断面図である。マスク82の開口82aの内部に砥粒を含むニッケルめっき層が形成された後、マスク82を除去すると、環状の切刃14が形成された基台12が得られる。なお、上記では腐食層16の形成後に切刃14を形成する例について説明したが、切刃14の形成後に腐食層16を形成してもよい。
また、切刃14の形成には、腐食層16の形成に用いられた製造装置60とは別途準備された他の製造装置が用いられてもよい。この場合、切刃14の形成に用いられる製造装置の構成は、図5に示す製造装置60と同様である。
次に、切刃14及び腐食層16が形成された基台12をエッチングすることにより、基台12から切刃14を突出させる。図8は、エッチングされた基台12を示す断面図である。基台12の外周部を選択的にエッチングすると、基台12の外周縁12cから切刃14の一部が基台12の半径方向外側に突出する。これにより、図1(A)及び図1(B)に示す電鋳砥石10が得られる。
なお、上記では腐食層16が基台12の裏面12bから基台12の厚さ方向に突出するように形成される例について説明したが、腐食層16の形成の態様はこれに限定されない。例えば、腐食層16は、基台12に埋め込まれるように設けられていてもよい。
図9は、溝12fが形成された基台12を示す断面図である。例えば基台12の裏面12b側には、切刃14と開口12eとの間の領域に、平面視で環状の溝12fが開口12eを囲むように形成される。そして、腐食層16は溝12fの内部に形成される。なお、溝12fの形状及び大きさは、所望の腐食層16の形状及び大きさに対応するように適宜設定される。このように、腐食層16を溝12fの内部に設けることにより、腐食層16の剥離が生じにくくなる。
次に、電鋳砥石10の腐食を評価した結果について説明する。本評価では、基台12に腐食層16が形成されていない電着砥石Aと、基台12に腐食層16が形成されている電着砥石Bとを用いて、腐食による切刃14の厚さの減少量を観察した。
電着砥石A,Bの切刃14は、ダイヤモンドでなる砥粒を、硫黄の含有量が0.20質量%であるニッケルめっき層でなる結合材で固定することによって形成した。また、電着砥石Bの基台12には、硫黄の含有量が0.29質量%であるニッケルめっき層でなる腐食層16を、基台12の開口12eを囲むように環状に形成した(図2参照)。
そして、電着砥石A,Bをそれぞれスピンドル42の先端部に装着し(図4参照)、電着砥石A,Bに向かって切削液を供給しながら、電着砥石A,Bをそれぞれ回転させた(回転時間:6時間)。なお、スピンドル42の回転数は30000/minに設定した。
切削液としては、二酸化炭素を混合した純水(抵抗率:0.1MΩ・cm)を用いた。また、切削液の供給には、切削液を電着砥石A,Bの表裏面側から供給するノズル(シャワーノズル)と、切削液を電着砥石A,Bの半径方向外側から電着砥石A,Bの外周縁に向かって供給するノズル(クーラーノズル)とを用いた。シャワーノズル及びクーラーノズルから供給される切削液の流量は、それぞれ1.0L/minに設定した。
そして、電着砥石A,Bのそれぞれについて、上記の試験後の切刃14の厚さを測定した。なお、試験後の電着砥石A,Bを観察すると、切刃14が切削液の供給によって腐食し、切刃14の厚さが減少していた。そして、試験前後における切刃14の厚さの差から、切刃14の厚さの減少量を電着砥石A,Bのそれぞれについて算出した。
図10は、電着砥石A,Bの切刃14の厚さの減少量を示すグラフである。図10には、電着砥石Aの切刃14の厚さの減少量を100とした場合の、電着砥石Bの切刃14の厚さの減少量を示している。この評価結果から、腐食層16が形成された電着砥石Bでは、腐食層16が形成されていない電着砥石Aと比較して、切刃14の厚さの減少量が40%以上低減されたことが確認できた。
以上の通り、本実施形態に係る電鋳砥石10は、切刃14の結合材を構成する材質よりもイオン化傾向が大きい材質でなる腐食層16が形成された基台12を備える。これにより、電鋳砥石10に切削液が供給された際、腐食層16が優先して犠牲的に腐食し、切刃14の結合材の腐食が抑制される。
なお、上記実施形態に係る構造、方法等は、本発明の目的の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更して実施できる。
10 電鋳砥石(切削ブレード)
12 基台
12a 表面(第1面)
12b 裏面(第2面)
12c 外周縁(側面)
12d 凸部
12e 開口
12f 溝
14 切刃
16 腐食層(犠牲層)
20 切削装置
22 基台
24 カバー
24a 前面
26 切削ユニット
28 チャックテーブル(保持テーブル)
28a 保持面
30 カセットエレベータ
32 カセット
34 表示部(表示ユニット)
40 ハウジング
42 スピンドル(回転軸)
44 マウント
46 フランジ部
46a 表面
46b 凸部
48 支持軸(ボス部)
48a ねじ部
50 固定ナット
50a 開口
60 製造装置
62 めっき槽
64 ニッケルめっき液
66 添加液
68 ニッケル電極
70 スイッチ
72 直流電源
74 ファン
76 回転駆動源
80 マスク
80a 開口
82 マスク
82a 開口
11 被加工物

Claims (4)

  1. 中央部に開口を備える環状の基台と、該基台の外周縁に沿って形成された切刃と、を有する電鋳砥石であって、
    該切刃は、砥粒と、該砥粒を固定する結合材とを有し、
    該基台には、該結合材を構成する材質よりもイオン化傾向が大きい材質でなる腐食層が形成され、
    該結合材及び該腐食層は、硫黄を含有するニッケルめっき層によって構成され、
    該腐食層における硫黄の含有率は、該結合材における硫黄の含有率よりも高いことを特徴とする電鋳砥石。
  2. 中央部に開口を備える環状の基台と、該基台の外周縁に沿って形成された切刃と、を有する電鋳砥石であって、
    該切刃は、砥粒と、該砥粒を固定する結合材とを有し、
    該基台には、該結合材を構成する材質よりもイオン化傾向が大きい材質でなる腐食層が形成され、
    該腐食層は、該基台に形成された溝の内部に設けられていることを特徴とする電鋳砥石。
  3. 該腐食層における硫黄の含有率は、該結合材における硫黄の含有率の1.2倍以上であることを特徴とする請求項1に記載の電鋳砥石。
  4. 該腐食層は、該基台のうち該切刃と該開口との間の領域に、環状に形成されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の電鋳砥石。
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