JP7321398B1 - 魚肉代替素材 - Google Patents

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Abstract

【課題】従来よりも保形性に優れた魚肉代替素材およびその製造方法を提供する。【解決手段】植物性タンパク質およびアルギン酸カルシウムを含むアルギン酸ゲル繊維と、メチルセルロース類(セルロース中の一部のヒドロキシ基がメチル基を含む置換基によって誘導体化されている、食品添加物用のセルロース誘導体)とを含む食品組成物からなる、魚肉代替素材。植物性タンパク質、アルギン酸塩水溶液およびカルシウム塩水溶液を混合して繊維化したアルギン酸ゲル繊維と、メチルセルロース類とを混合する工程を含む、魚肉代替素材の製造方法。植物性タンパク質としては、例えば、大豆タンパク質、米タンパク質およびエンドウ豆タンパク質からなる群より選ばれる1種または2種以上が好ましい。【選択図】なし

Description

本発明は、魚肉代替素材、より詳しくはアルギン酸ゲル繊維を含む魚肉代替素材に関する。
近年、地球規模での人口増加による食料不足が発生し、牛・豚・鶏・魚を主とする畜肉・魚肉類に依存していたタンパク質を、別のタンパク質源(植物、菌類など)から摂取することへの転換が求められる。このような状況下で、畜肉・魚肉タンパク質に代わる新たなタンパク質として、植物性(植物由来)タンパク質を用いることが浸透してきている。近年最も開発が進んでいる植物性タンパク質は大豆タンパク質であり、大豆タンパク質を加工することで、肉様の粒状タンパク質を作り、ひき肉を加熱して得られるようなそぼろ肉に近い食感を再現している。また、大豆タンパク質からは、粒状タンパク質だけではなく繊維状タンパク質を作り出すこともでき、それを用いて一枚肉を焼成し焼き肉のような食感を再現したものや、魚肉のような食感を再現したものも存在する。このように、大豆タンパク等の植物性タンパク質からは、畜肉様の食感を様々な方法で作り出している。
畜肉・魚肉類以外のタンパク質源を用いた代替素材に関して、例えば特許文献1には、身層と、中間層と、皮層とを含有する、動物由来原料を使用しないウナギ様食品であって、前記身層は、繊維状植物蛋白と、メチルセルロースと、分離大豆蛋白粉末と、油脂とを含む層であり、前記中間層は、油脂を含み、キサンタンガムおよびHAジェランガムを含む増粘剤でゲル化した層であり、前記皮層は、アルギン酸ナトリウムをカルシウム塩でゲル化した、またはメチルセルロースをゲル化した層である、ウナギ様食品が記載されている。また、特許文献1には、前記皮層がアルギン酸ナトリウムをカルシウム塩でゲル化した層からなる場合、身層と中間層の間、および中間層と皮層の間に結着剤(例えば、アルギン酸ナトリウムとカルシウム塩を含む粉末製剤や、メチルセルロース粉末)を塗布して接着し、身層、中間層、皮層の三層構造物とすることも記載されている。
特開2021-159076号公報
従来の魚肉代替素材には、フライなどの加工品にするために製造ラインにのせたときに形が崩れやすいという、保形性に対する問題があった。本発明は、従来よりも保形性に優れた魚肉代替素材およびその製造方法を提供することを課題とする。
また、従来の魚肉代替素材には、魚肉のような繊維感や硬さ、さらにこれらに魚肉様の見た目(表面および、食品を食べたとき(咀嚼時)や切ったときに見える断面)を加えた総合的な魚肉らしさの観点から改善の余地があった。本発明は、別の側面において、保形性に加えて、繊維感、硬さ、魚肉様の見た目(これらを含む総合的な魚肉らしさ)においても従来よりも優れた魚肉代替素材およびその製造方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、植物性タンパク質およびアルギン酸カルシウムを含むアルギン酸ゲル繊維と、メチルセルロース類(セルロース中の一部のヒドロキシ基がメチル基を含む置換基によって誘導体化されている、食品添加物用のセルロース誘導体)とを含む食品組成物が、魚肉代替素材として優れていることを見出した。メチルセルロース類は、増粘安定剤として知られている他の成分(例えば、キサンタンガム、ローカストビーンガム、カードラン)に比べて、アルギン酸ゲル繊維と組み合わせて用いたときに、保形性が良好なものとなる。また、メチルセルロース類のうち、特にメチルセルロース(セルロース中の一部のヒドロキシ基がメトキシ基に置換されているセルロース誘導体)を用いた場合は、保形性に加えて、硬さ、魚肉様の見た目などの面でも良好な魚肉代替素材となる。
すなわち、本発明は少なくとも下記の事項を包含する。
[1]
植物性タンパク質およびアルギン酸カルシウムを含むアルギン酸ゲル繊維と、
セルロース中の一部のヒドロキシ基がメチル基を含む置換基によって誘導体化されている、食品添加物用のセルロース誘導体(以下「メチルセルロース類」と呼ぶ。)と
を含む食品組成物からなる、魚肉代替素材。
[2]
前記植物性タンパク質が、大豆タンパク質、米タンパク質およびエンドウ豆タンパク質からなる群より選ばれる1種または2種以上を含む、項1に記載の魚肉代替素材。
[3]
前記メチルセルロース類の含量が、前記食品組成物の全量に対して0.5~2質量%である、項1または2に記載の魚肉代替素材。
[4]
前記メチルセルロース類がメチルセルロース(MC)である、項1~3のいずれか一項に記載の魚肉代替素材。
[5]
前記アルギン酸ゲル繊維の繊維長が1~50mmである、項1~4のいずれか一項に記載の魚肉代替素材。
[6]
項1~5のいずれか一項に記載の魚肉代替素材を含む、魚肉代替食品。
[7]
植物性タンパク質およびアルギン酸カルシウムを含むアルギン酸ゲル繊維と、メチルセルロース類とを混合し、食品組成物を調製する工程を含む、項1~5のいずれか一項に記載の魚肉代替素材の製造方法。
[8]
前記アルギン酸ゲル繊維および前記メチルセルロース類の混合を、前記アルギン酸ゲル繊維と、前記メチルセルロース類を含むカードとの混練により行う、項7に記載の製造方法。
[9]
前記アルギン酸ゲル繊維を調製するための工程として、植物性タンパク質、アルギン酸塩水溶液、およびカルシウム塩水溶液を混合し、撹拌しながらゲル化および繊維化する工程を含む、項7または8に記載の製造方法。
[10]
項1~5のいずれか一項に記載の魚肉代替素材を加工する工程を含む、請求項6に記載の魚肉代替食品の製造方法。
本発明により、各種の魚肉代替食品、例えばフライの製造にとって、好ましい保形性(任意の形にまとまり成形することができる性質)を有する魚肉代替素材、さらには、好ましい保形性に加えて、好ましい繊維感、硬さ、魚肉様の見た目(これらを含む総合的な魚肉らしさ)を有する魚肉代替素材を製造することができる。
図1は、魚肉を用いて製造した食品、魚肉すり身を用いて製造した食品、および本発明(実施例3)の魚肉代替素材を用いて製造した食品の一実施形態(断面)を示す写真である。 図2は、本発明の魚肉代替素材のうち、植物性タンパク質として大豆タンパク質を用いた実施例3、米タンパク質を用いた実施例9、エンドウ豆タンパク質を用いた実施例10、およびジャガイモタンパク質を用いた実施例11、それぞれに魚肉代替素材を用いて製造した食品の一実施形態(断面)を示す写真である。
-魚肉代替素材(食品組成物)-
本発明の魚肉代替素材は、(I)植物性タンパク質およびアルギン酸カルシウムを含むアルギン酸ゲル繊維と、(II)メチルセルロース類と、を含む食品組成物からなるものである。
「植物性タンパク質」は、公知の魚肉代替素材または食肉代替素材の製造に用いられているものと同様のものを本発明でも用いることができ、特に限定されるものではない。植物性タンパク質としては、例えば、大豆タンパク質(大豆から抽出され、必要に応じて精製された、タンパク質を含む成分)、エンドウ豆タンパク質、ひよこ豆タンパク質、小麦タンパク質、ジャガイモタンパク質、米タンパク質、その他の豆類、種子類、穀類等に由来するタンパク質が挙げられる。植物性タンパク質は、いずれか1種を単独で用いてもよいし、2種以上を任意の比率で混合して用いてもよい。本発明における植物性タンパク質としては、例えば、魚肉のような繊維感、硬さ、見た目の観点から、大豆タンパク質、米タンパク質、エンドウ豆タンパク質が好ましく、大豆タンパク質、米タンパク質がより好ましく、大豆タンパク質が特に好ましい。
なお、本発明の食品組成物は、必要に応じて、本発明の効果を阻害しない範囲で、植物性タンパク質と共にそれ以外のタンパク質、例えば魚肉、畜肉、卵、乳等の動物性タンパク質を含むことも可能である。
「アルギン酸カルシウム」は、アルギン酸塩(例:アルギン酸ナトリウム)と、その凝固剤(架橋剤)としてのカルシウム塩(例:乳酸カルシウム、クエン酸カルシウム)との反応により生成する、ゲル状の化合物である。なお、アルギン酸塩自体を、アルギン酸と、適切な塩(例えば炭酸ナトリウム)との反応により生成させることもできる。
アルギン酸ゲル繊維は、植物性タンパク質およびアルギン酸カルシウムを用いて調製することができる。例えば、植物性タンパク質と、アルギン酸塩水溶液と、カルシウム塩水溶液とを混合し、攪拌することにより、植物性タンパク質およびアルギン酸カルシウムを含むアルギン酸ゲル繊維が得られる。アルギン酸ゲル繊維の繊維長は特に限定されるものではなく、適宜調節することができるが、例えば、1~50mmとすることが好ましい。
アルギン酸ゲル繊維は、通常、ある程度の水分を含んだ状態にある。アルギン酸ゲル繊維の含水率(アルギン酸ゲル繊維の全質量に対する水分の質量の比率)は特に限定されるものではなく、アルギン酸ゲル繊維の種類、繊維長などに応じて、適宜調節することができる。例えば、本発明の魚肉代替素材の硬さの観点から、アルギン酸ゲル繊維の含水率は、70~90%とすることができ、70~85%とすることが好ましい。アルギン酸ゲル繊維の含水率は、後述するような調製方法における脱水工程の条件により、また必要に応じて脱水後に水分を加えることにより、調節することができる。
「メチルセルロース類」は、本発明においては、セルロース中の一部のヒドロキシ基がメチル基を含む置換基によって誘導体化されている、食品添加物用のセルロース誘導体の総称(「広義のメチルセルロース」と呼ぶこともできる。)である。メチルセルロース類には、例えば、(a)セルロース中のヒドロキシ基が、無置換であるか、メトキシ基に置換されている(-O-メチル基が形成されている)セルロース誘導体である、メチルセルロース(MC、「狭義のメチルセルロース」と呼ぶこともできる。)、(b)セルロース中のヒドロキシ基が、無置換であるか、メトキシ基またはヒドロキシプロポキシ基に置換されている(-O-メチル基または-O-ヒドロキシプロピル基が形成されている)セルロース誘導体である、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、および(c)セルロース中のヒドロキシ基が、無置換であるか、カルボキシメトキシ基に置換されている(-O-カルボキシメチル基が形成されている)セルロース誘導体である、カルボキシメチルセルロース(CMC)が包含される。メチルセルロース類は、いずれか1種を単独で用いてもよいし、2種以上を任意の比率で混合して用いてもよい。本発明におけるメチルセルロース類としては、食品組成物の保形性に対する効果に加えて、繊維感、硬さ、魚肉様の見た目等のさらなる効果の観点から、MC(狭義のメチルセルロース)が好ましい。
メチルセルロース類、例えばMC、HPMCおよびCMCは、食品添加物用のセルロース誘導体として一般的に用いられており、水酸基の置換度(メトキシ基の含量、またはメトキシ基とヒドロキシプロポキシ基の合計の含量)や粘度の異なる、様々な種類のものを製品として入手したり、製造したりすることができる。本発明では、所望の置換度および粘度、その他の性状を有するメチルセルロース類を用いることができる。
本発明の食品組成物中のメチルセルロース類の含有量は、用いるメチルセルロース類およびアルギン酸ゲル繊維の種類に応じて、また必要に応じて用いられるその他の成分の種類および配合量に応じて、適宜調節することができるが、例えば、0.5~2質量%とすることができ、1.2~1.6質量%とすることが好ましい。
メチルセルロース類としては、水および油と混合されたカード(凝乳、凝固物)の形態にあるもの(本明細書において「メチルセルロース類カード」、または単に「カード」と呼ぶ。)を用いてもよい。メチルセルロース類カードは、メチルセルロース類、油および水を適切な割合で混合(強攪拌)することにより得られる。カード中のメチルセルロース類、油および水それぞれの配合量、すなわちこれら3成分の配合比は、用いるメチルセルロース類および油の種類等に応じて適宜調節することができる。例えば、カードの全量に対して、メチルセルロース類が1~5質量%、油が10~40質量%、水が55~89質量%の配合比とすることができる。カードの調製に用いる油は特に限定されるものではないが、例えば常温で液体の植物油(例:菜種油、大豆油、コーン油、胡麻油、綿実油、紅花油、またはこれらの2種以上を含むサラダ油)が好ましい。
本発明の食品組成物中のアルギン酸ゲル繊維およびメチルセルロース類(カード)それぞれの配合量、すなわちこれら2成分の配合比は、用いるアルギン酸ゲル繊維およびメチルセルロース類の種類、アルギン酸ゲル繊維の含水率、メチルセルロース類カードの配合組成などに応じて、また必要に応じて用いられるその他の成分の種類および配合量に応じて、適宜調節することができる。例えば、アルギン酸ゲル繊維とメチルセルロース類カードの配合比は、5:5~8:2とすることが好ましい。
本発明の食品組成物は、必要に応じて、アルギン酸ゲル繊維およびメチルセルロース類以外の成分をさらに含むことができる。そのような任意成分としては、例えば、調味料、着色料、加工デンプンなどが挙げられる。任意成分は、いずれか1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
調味料は、本発明の食品組成物の呈味を調整するために用いることができる成分である。調味料としては、例えば、アラニン、グリシン、グルタミン酸ナトリウム、コハク酸二ナトリウムなどの、アミノ酸、有機酸等が挙げられる。調味料は、いずれか1種を単独で用いてもよいし、2種以上を任意の比率で混合して用いてもよい。調味料を用いる場合、本発明の食品組成物中の含有量は、調味料の種類に応じて、またアルギン酸ゲル繊維およびメチルセルロース類の含有量などに応じて、所望の呈味を達成する観点から適宜調節することができる。
着色料は、本発明の食品組成物の呈色を調整し、好ましくは魚肉(例:白身魚)のような色を再現するために用いることができる成分である。着色料としては、例えば、二酸化チタン(白色)、モナスカス色素(橙赤~赤色)、クチナシ色素(黄色、赤色)、コチニール色素(赤色)、アナトー色素(黄色~橙色)、パプリカ色素(黄色、オレンジ色)、カラメル色素(茶色~黒色)、ココア色素(茶色)、ベニコウジ色素(赤色)、トマト色素(赤色)、カロテン色素(橙色)などが挙げられる。着色料は、いずれか1種を単独で用いてもよいし、2種以上を任意の比率で混合して用いてもよい。着色料を用いる場合、本発明の食品組成物中の含有量は、着色料の種類に応じて、またアルギン酸ゲル繊維およびメチルセルロース類の含有量などに応じて、所望の呈色を達成する観点から適宜調節することができるが、例えば0.01~3質量%とすることが好ましい。
加工デンプンは、本発明の食品組成物に、例えばアルギン酸ゲル繊維に、必要に応じて添加することができる。加工デンプンとしては、例えば、アセチル化アジピン酸架橋デンプン、アセチル化リン酸架橋デンプン、アセチル化酸化デンプン、オクテニルコハク酸デンプンナトリウム、酢酸デンプン、酸化デンプン、ヒドロキシプロピルデンプン、ヒドロキシプロピルリン酸架橋デンプン、リン酸モノエステル化リン酸架橋デンプン、リン酸化デンプン、リン酸架橋デンプンが挙げられる。加工デンプンは、いずれか1種を単独で用いてもよいし、2種以上を任意の比率で混合して用いてもよい。加工デンプンを用いる場合、本発明の食品組成物中の含有量は、加工デンプンの種類に応じて、またアルギン酸ゲル繊維およびメチルセルロース類の含有量や、水分の含有量などに応じて適宜調節することができるが、例えば1~10質量%とすることが好ましい。
本発明の魚肉代替素材の用途は特に限定されるものではなく、様々な魚肉代替食品を製造するための原料として使用することができる。魚肉代替食品としては、例えば、魚肉代替素材のフライ(フィッシュフライ)、煮物(煮魚)、焼物(焼き魚)などが挙げられ、中でもフライは本発明による魚肉代替食品として好ましい。
なお、本発明の魚肉代替素材は、目的とする魚肉代替食品に適した実施形態のものとすることができる。例えば、フライにするための魚肉代替素材は、繊維感、硬さ、魚肉様の見た目などが、フライとして一般的な魚種、例えばサーモンなどの白身魚、に近いものとなるよう調整することが好ましい。
-魚肉代替素材(食品組成物)および魚肉代替食品の製造方法-
本発明の魚肉代替素材の製造方法は、(I)植物性タンパク質およびアルギン酸カルシウムを含むアルギン酸ゲル繊維と、(II)メチルセルロース類とを混合し、食品組成物を調製する工程(以下「食品組成物調製工程」と呼ぶ。)を含む。
食品組成物調製工程は、一般的な混合手段(装置、方法等)を用いて行うことができる。例えば、所定量のアルギン酸ゲル繊維およびメチルセルロース類、さらに必要に応じてその他の任意成分(調味料、着色料等)を同時または順次、ミキサーに投入し、攪拌しながら混合することにより、魚肉(練り肉)様の食品組成物が得られる。アルギン酸ゲル繊維(通常、下記のような脱水により、所定の含水率で回収されたもの)およびメチルセルロース類の投入量は、前述したような食品組成物の実施形態に関する記載を参照することができる。例えば、メチルセルロース類の投入量は、食品組成物の全量に対して0.5~2質量%、好ましくは1.2~1.6質量%とすることができる。このような混合は、例えば押出機を用いて、混練により行うことが好ましい。
食品組成物調製工程のために用いるメチルセルロース類は、前述したような、水および油と混合されたカードの形態にあるもの(メチルセルロース類カード)であってもよい。すなわち、アルギン酸ゲル繊維およびメチルセルロース類の混合は、アルギン酸ゲル繊維とメチルセルロース類カードとの混練により行ってもよい。この場合、アルギン酸ゲル繊維およびメチルセルロース類カードの投入量は、前述したような食品組成物の実施形態に関する記載を参照することができ、例えば、5:5~8:2とすることができる。メチルセルロース類カードは、例えば、油にメチルセルロース類を分散させ、この分散液を水に投入し、強攪拌することで調製することができる。メチルセルロース類カードを用いる場合は、そのような調製工程をあらかじめ行っておけばよい。
本発明の魚肉代替素材の製造方法は、植物性タンパク質およびアルギン酸カルシウムを含むアルギン酸ゲル繊維を調製するための工程(以下「アルギン酸ゲル繊維調製工程」と呼ぶ。)をさらに含むことができる。アルギン酸ゲル繊維調製工程も、一般的な混合手段(装置、方法等)を用いて行うことができる。例えば、所定量の植物性タンパク質、アルギン酸塩水溶液およびカルシウム塩水溶液、さらに必要に応じてその他の任意成分を同時または順次、ミキサーに投入し、攪拌しながら混合することにより、アルギン酸ゲル繊維が得られる。この際、攪拌を続けることにより、ゲル化および繊維化が進行し、所望の繊維長とすることができる。所望の繊維長に達したら攪拌を止め、静置してゲル化(カルシウムイオンによるアルギン酸の架橋反応)を進行させることが好ましい。ゲル化の完了後、アルギン酸ゲル繊維を脱水工程にかけ、所定の含水率(例えば90%以下)となるまで脱水することが好ましい。必要に応じて、脱水工程の後に、アルギン酸ゲル繊維に水を添加し、含水率を調節するようにしてもよい。
本発明の魚肉代替食品の製造方法は、本発明の魚肉代替素材を加工する工程を含む。魚肉代替食品の製造方法は、例えば、魚肉代替素材を製造するための工程(食品組成物調製工程等)の後、当該工程と連続的に、魚肉代替素材を加工するための工程を行い、魚肉代替素材を含む魚肉代替食品を製造するような実施形態とすることができる。あるいは、魚肉代替食品の製造方法は、別途調製され、保管されていた魚肉代替素材を用いて、それを加工する工程を行うような実施形態であってもよい。魚肉代替素材を加工するための工程は、従来の加工工程と同様のものとすることができる。例えば、魚肉代替素材を用いたフライは、魚を具材として用いる通常のフライと同様の工程により製造することができる。一般的には、魚肉代替素材(食品組成物)を適切な形状に成型し、具材とする工程、この具材にバッター液を付着させ、さらにパン粉を付着させる工程、油中でフライ加熱する工程、さらに得られたフライを凍結する工程、などを行うことができる。凍結したフライは、喫食時には再度フライ加熱して、またはレンジ加熱して、調理することができる。
1.アルギン酸ゲル繊維の製造
粉末状大豆タンパク質75g(アルギン酸等混合液全体に対して5質量%、以下同様)、加工でんぷん75g(5質量%)、アルギン酸ナトリウム30g(2質量%)および水1320g(88質量%)を混合し、アルギン酸等混合液を得た。十分に攪拌したアルギン酸等混合液と、別途調製しておいた十分な量の乳酸カルシウム水溶液(濃度3質量%)とを混合し、直後に攪拌をしながら繊維形成を行った。1~50mm程度の繊維ができたところで攪拌を完了し、その後30分以上静置して反応させた。含水率82%以下まで脱水し、植物性タンパク質として大豆タンパク質を用いたアルギン酸ゲル繊維を得た。
上記の手順において、粉末状大豆タンパク質の代わりに粉末状米タンパク質、粉末状エンドウ豆タンパク質または粉末状ジャガイモタンパク質を用いたこと以外は同様にして、それぞれ植物性タンパク質として米タンパク質、エンドウ豆タンパク質またはジャガイモタンパク質を用いたアルギン酸ゲル繊維を得た。
2.カードの製造
表1に示す配合組成に従って、(A)サラダ油に各種メチルセルロース類、粉末状大豆タンパク質を分散させた後、5℃以下の水に投入し、カードT1~T5、T8を作製し、(B)各種多糖類等を5℃以下の水に投入し、カードT6およびT7を作製した。
3.魚肉代替素材の製造
表2に示す配合組成に従って、アルギン酸ゲル繊維(大豆タンパク質、米タンパク質、エンドウ豆タンパク質、ジャガイモタンパク質のいずれかを用いたもの)およびカード(T1~T8のいずれか)を混合し、魚肉代替素材を得た。20gの魚肉代替素材を長方形に成型した後、スチーム加熱し、80℃達温後、凍結した。凍結物を常温で2時間解凍後、95℃で5分間再加熱して、評価試験のサンプルとした。
6人のパネラーが、下記の評価基準に従って各項目の評価を行い、評価点の平均値を算出した。
<保形性評価>
◎:成型でき、持ち上げた時に形が崩れない
〇:成型でき、持ち上げた時に形が崩れることがあるが、その後の工程(例えば、バッター液を付着させる工程等)の問題はない
△:成型できるが、持ち上げた時に形が崩れる
×:成型できない
<繊維感>
繊維感がある(実際の魚肉と同等)10点 ~ 繊維感がない0点
<硬さ>
硬い10点 ~ 柔らかい0点
10点:弾力が強く、食感が硬い
5点 :適度な弾力があり、しなやかさがある
0点 :弾力が弱く、食感が柔らかい
<総合評価>(上記3つの評価項目とは別の、繊維感、硬さ、魚肉様の見た目(表面と断面)を含む総合的な魚肉らしさの評価)
魚肉らしい10点 ~ 魚肉らしくない0点
結果を表2にあわせて示す。なお、比較例3は、保形性の評価が×(成型できない)であるため、その他の評価を行うことができなかった(ND:データなし)。メチルセルロース類をアルギン酸ゲル繊維と併用した魚肉代替素材(実施例1~11)は、それ以外の多糖類等をアルギン酸ゲル繊維と併用したもの(比較例1~3)に比べて、保形性の評価が良好であり、加工品(魚肉代替食品)の製造の際に支障がないように成型できることが示されている。また、メチルセルロース類としてメチルセルロース(MC)を用いたカードT1またはT2を含む魚肉代替素材(実施例1~5、9~11)、好ましくは植物性タンパク質として大豆タンパク質、米タンパク質またはエンドウ豆タンパク質を用いたアルギン酸ゲル繊維と併用した魚肉代替素材(実施例1~5、9、10)は、保形性に加えて、繊維感、硬さ、魚肉様の見た目を含む総合評価にも優れたものとなることが示されている。
4.魚肉代替食品(フライ)の製造
実施例3の魚肉代替素材にバッター液およびパン粉を付けてフライ加熱した。対比のため、魚肉または従来の魚肉すり身にもバッター液およびパン粉を付けてフライ加熱した。得られた各フライの断面を図1に示す。本発明の魚肉代替素材を用いた場合は、魚肉すり身を用いた場合よりも、魚肉に近い好ましい見た目を有することが明らかである。
また、アルギン酸ゲル繊維の調製に用いた植物性タンパク質が、大豆タンパク質である実施例3、米タンパク質である実施例9、エンドウ豆タンパク質である実施例10、ジャガイモタンパク質である実施例11、それぞれの魚肉代替素材を用いて、上記と同様にフライを製造した。得られた各フライの断面を図2に示す。図1(実施例3)のときと同様、各種の植物性タンパク質を用いて得られたアルギン酸ゲル繊維を含む本発明の魚肉代替素材はいずれも、魚肉に近い好ましい見た目を有する。実施例11(ジャガイモタンパク質)に比べて、実施例3(大豆タンパク質)、実施例9(米タンパク質)および実施例10(エンドウ豆タンパク質)の方が、よりしっかりとしたゲル繊維となるため、魚肉様の繊維感を再現しやすい。

Claims (11)

  1. 植物性タンパク質およびアルギン酸カルシウムを含むアルギン酸ゲル繊維と、
    セルロース中の一部のヒドロキシ基がメチル基を含む置換基によって誘導体化されている、食品添加物用のセルロース誘導体(以下「メチルセルロース類」と呼ぶ。)と
    を含む(畜肉タンパク質をさらに含む場合を除く。)食品組成物からなる、魚肉代替素材。
  2. 前記メチルセルロース類が前記アルギン酸ゲル繊維中に含まれている場合を除く、請求項1に記載の魚肉代替素材。
  3. 前記植物性タンパク質が、大豆タンパク質、米タンパク質およびエンドウ豆タンパク質からなる群より選ばれる1種または2種以上を含む、請求項1に記載の魚肉代替素材。
  4. 前記メチルセルロース類の含量が、前記食品組成物の全量に対して0.5~2質量%である、請求項1に記載の魚肉代替素材。
  5. 前記メチルセルロース類がメチルセルロース(MC)である、請求項1に記載の魚肉代替素材。
  6. 前記アルギン酸ゲル繊維の繊維長が1~50mmである、請求項1に記載の魚肉代替素材。
  7. 請求項1~6のいずれか一項に記載の魚肉代替素材を含む、魚肉代替食品。
  8. 植物性タンパク質およびアルギン酸カルシウムを含むアルギン酸ゲル繊維と、メチルセルロース類とを混合し、食品組成物を調製する工程を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の魚肉代替素材の製造方法。
  9. 前記アルギン酸ゲル繊維および前記メチルセルロース類の混合を、前記アルギン酸ゲル繊維と、前記メチルセルロース類を含むカードとの混練により行う、請求項8に記載の製造方法。
  10. 前記アルギン酸ゲル繊維を調製するための工程として、植物性タンパク質、アルギン酸塩水溶液、およびカルシウム塩水溶液を混合し、撹拌しながらゲル化および繊維化する工程を含む、請求項8に記載の製造方法。
  11. 請求項1~6のいずれか一項に記載の魚肉代替素材を加工する工程を含む、請求項7に記載の魚肉代替食品の製造方法。
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