(実施の形態1)
以下、本発明の実施の形態1に係る空調制御システム1について、図面を参照しつつ詳細に説明する。
実施の形態1に係る空調制御システム1は、図1に示すように、空調の集中制御を行う集中制御装置100と、空調対象空間の空気温度及び湿度を調整する複数の空調機200と、空調機200に対するユーザの操作指示を受け付けるリモコン300とを含む。
集中制御装置100は、空調機200をグループ単位で監視し、遠隔から制御する。実施の形態1においては、集中制御装置100は空調機200を集中制御する。例えば、集中制御装置100は、空調機200に対して、冷房運転を開始することを指示する制御信号を送信する。空調機200は、集中制御装置100からの制御信号に応答して、冷房運転を開始する。また、集中制御装置100は、遠隔操作により、空調機200の電源をオンまたはオフすることもできる。
また、集中制御装置100は、グループ単位で空調機200のファームウェアの更新を実行する。ファームウェアは、空調機200の空調運転の制御に係る制御用プログラムのことであり、本発明の制御プログラムの一例である。実施の形態1においては、集中制御装置100は、同一グループにおいて2以上の空調機200が空調の運転を行っている場合に、運転中の空調機200について、運転中の空調機200が全て停止することがないようにファームウェアを更新する順序を決定し、決定した順序でファームウェアの更新を実行する。
集中制御装置100は、各種データを記憶するメモリ101と、集中制御装置100がユーザと情報のやり取りを行うユーザインタフェース102と、他の装置と通信する通信インタフェース103と、集中制御装置100全体を制御するプロセッサ104とを有する。メモリ101と、ユーザインタフェース102と、通信インタフェース103とはそれぞれバス109を介してプロセッサ104に接続されている。
メモリ101は、揮発性メモリと、不揮発性メモリとを含み、各種プログラムと、プログラムの実行時に使用されるデータとを記憶する。メモリ101は、空調機200の集中制御に係るプログラム、空調機200から送信された運転データ等を記憶する。また、メモリ101は、プロセッサ104が実行することにより後述のファームウェアの更新処理を実現するためのプログラム1010を格納している。ユーザインタフェース102は、キーボード、マウス、タッチパネル等の入力装置と、表示装置とを含む。ユーザインタフェース102は、ユーザの入力操作を検出し、検出したユーザの入力操作を示す信号をプロセッサ104に供給する。また、ユーザインタフェース102は、プロセッサ104から供給された信号に基づいた画像を表示装置に表示する。
通信インタフェース103は、空調機200と集中制御線500を介して通信可能に接続され、プロセッサ104の制御に従って、空調機200と通信を行う。プロセッサ104は、CPU(Central Processing Unit)を含み、メモリ101に記憶される各種プログラムを実行して、集中制御装置100の各種機能を実現する。例えば、プロセッサ104は、メモリ101のプログラム1010を実行して、後述のファームウェアの更新処理を行う。
空調機200は、室内ユニット10と室外ユニット20とを備え、室内ユニット10が設置された空調対象空間である室内の空気環境を調整する。空気環境の調整とは、空調対象空間の空気の温度、湿度、気流等を調整することである。
室内ユニット10と室外ユニット20とは、内外通信線51を介して相互に通信可能となるように接続されている。室内ユニット10と室外ユニット20とは、冷媒を循環させるための冷媒配管52によっても接続されている。また、室内ユニット10は、リモコン通信線56を介して、後述のリモコン300と通信可能となるように接続されている。
室内ユニット10は、図1に示すように、ファン11と、熱交換器12と、温度センサ13と、制御基板14とを備える。ファン11は、室内ユニット10が設置された室内の空気を不図示の吸込口から室内ユニット10内部に取り込み、熱交換器12により熱交換された空気を不図示の吐出口から室内ユニット10の外に吐出する。ファン11は、通信線53を介して制御基板14に接続されており、制御基板14から供給される制御信号に従って、指定された回転数で回転し、また、停止する。
熱交換器12は、ファン11により室内ユニット10内部に取り込まれた空気と室外ユニット20からの冷媒との熱交換を行う。熱交換器12は、冷房運転時においては、蒸発器として機能し、暖房運転時においては、凝縮器として機能する。温度センサ13は、ファン11により取り込まれた空気の温度を計測する。温度センサ13は、通信線54を介して制御基板14に接続されており、計測した温度のデータを制御基板14に送信する。
制御基板14は、図2Aに示すように、室内ユニット10全体を制御するプロセッサ141と、ファームウェアを含む各種プログラム及びデータを記憶するメモリ142と、他の装置と通信する通信インタフェース143とを含む。図1に示すように、制御基板14は、集中制御装置100と集中制御線500を介して通信可能に接続されている。例えば、制御基板14のプロセッサ141は、一定の時間間隔で、あるいは、集中制御装置100からの要求に応じて、温度センサ13が測定した空気の温度と現在の運転モードとを含む運転データを、通信インタフェース143を介して、集中制御装置100に送信する。運転モードは、例えば、冷房モード、暖房モード、送風モードを含む。
また、制御基板14は、リモコン300とリモコン通信線56を介して通信可能に接続されている。例えば、制御基板14のプロセッサ141は、リモコン300から受信した室内の空気温度及び室内の風量の測定値をメモリ142に格納し、一定の時間間隔で、あるいは、集中制御装置100からの要求に応じて、これらの測定値を集中制御装置100に送信する。
室外ユニット20は、冷媒回路21と、制御基板22とを備える。冷媒回路21と制御基板22は、通信線55を介して通信可能に接続される。冷媒回路21は、圧縮機、凝縮器、膨張弁、蒸発器等を備える。図2Bに示すように、制御基板22は、室外ユニット20全体を制御するプロセッサ221と、ファームウェアを含む各種プログラム及びデータを記憶するメモリ222と、他の装置と通信する通信インタフェース223とを含む。例えば、制御基板22のプロセッサ221は、室内ユニット10の制御基板14から通知されたファン11の送風量に基づいて、冷媒回路21の運転を制御する。
リモコン300は、室内の壁に設置されており、ユーザから空調機200に対する空調に係る操作を受け付ける。リモコン300は、各空調機200の室内ユニット10とリモコン通信線56を介して通信可能に接続されている。図示する例では、ユーザは、1つのリモコン300を使用して複数の空調機200を操作する。
リモコン300は、計測部31と、メモリ32と、ユーザインタフェース33と、通信インタフェース34と、プロセッサ35とを備える。計測部31とメモリ32とユーザインタフェース33と通信インタフェース34とはそれぞれバス39を介してプロセッサ35に接続されている。
計測部31は、温度センサと風量センサとを含む。計測部31は、リモコン300が設置された室内の空気温度を計測し、計測した空気温度を示す信号をプロセッサ35に出力する。また、計測部31は、リモコン300が設置された室内の風量を計測し、計測した風量を示す信号をプロセッサ35に出力する。例えば、計測部31は、一定時間間隔で、これらの測定値をプロセッサ35に出力する。
メモリ32は、揮発性メモリと、不揮発性メモリとを含み、各種プログラムと、プログラムの実行時に使用されるデータとを記憶する。例えば、メモリ32は、リモコン300の動作に係るプログラムを記憶する。
ユーザインタフェース33は、押しボタン、タッチパネル等の入力装置と、表示装置とを含む。ユーザインタフェース33は、ユーザの入力操作を検出し、検出したユーザの入力操作を示す信号をプロセッサ35に供給する。また、ユーザインタフェース33は、プロセッサ35から供給された信号に基づいた画像を表示装置に表示する。例えば、ユーザインタフェース33は、プロセッサ35の制御の下、空調に関する操作を受け付けるための操作画面と、現在の室温、湿度等のモニタ画面とを表示装置に表示する。
通信インタフェース34は、室内ユニット10と通信を行う。プロセッサ35は、CPU(Central Processing Unit)を含み、メモリ32に記憶される各種プログラムを実行して、リモコン300の各種機能を実現する。例えば、プロセッサ35は、ユーザがユーザインタフェース33を操作して、目標温度の変更を指示すると、通信インタフェース34を介して目標温度を室内ユニット10に送信する。また、例えば、プロセッサ35は、一定時間間隔で計測部31が測定した室内の空気温度の測定値及び室内の風量の測定値を、通信インタフェース34を介して室内ユニット10に送信する。
図3に、複数の空調機200の集中制御を行う集中制御装置100及び空調機200の機能構成を示す。図示する例では、空調機200は、空調機200A~200Eを含む。空調機200A~200Eを一括りにして空調機200と呼ぶことがあるものとする。なお、図3においてはリモコン300の図示を省略している。
集中制御装置100は、機能的には、空調機200と通信する通信部110と、空調機200の更新用のファームウェアを記憶する記憶部120と、空調機200が空調運転を行っているか否かを判別する判別部130と、対象グループに所属するすべての空調機200のファームウェアを更新する更新部140と、を備える。判別部130は、本発明の判別手段の一例である。更新部140は、本発明の更新手段の一例である。
通信部110は、集中制御線500を介して空調機200と通信する。例えば、通信部110は、判別部130の制御の下、空調機200それぞれが空調運転中であるか否かを問い合わせる信号をそれぞれの室内ユニット10に送信する。また、通信部110は、室内ユニット10から空調機200が空調運転中であるか否かを示す信号を受信し、判別部130に出力する。また、通信部110は、更新部140の制御の下、室内ユニット10に対して、更新用のファームウェアを送信する。通信部110の機能は、図1に示す通信インタフェース103により実現される。
図3に示す記憶部120は、更新用のファームウェア、即ち、空調機200に対してアップデートするべき最新のファームウェアを記憶する。ここで、空調機200の更新用のファームウェアは、室内ユニット10のための更新用のファームウェアと、室外ユニット20のための更新用のファームウェアとを含む。さらに記憶部120は、図4に示すような空調機200のグルーピング情報1201を記憶する。グルーピング情報1201は、空調機200がどのグループに所属するかを示す情報である。実施の形態1においては、空調機200はグループ化されて制御されるからである。記憶部120の機能は、図1に示すメモリ101により実現される。
図3に示す判別部130は、記憶部120のグルーピング情報に基づいて、同一グループに属する空調機200に対して、それぞれが空調運転中であるか否かを通信部110を介して問い合わせる。判別部130は、通信部110を介して、空調機200から受信した応答に基づいて、同一グループに属する空調機200の全てが空調運転中であるか否か等を判別する。判別部130の機能は、図1に示すプロセッサ104により実現される。
図3に示す更新部140は、記憶部120のグルーピング情報に基づいて、同一グループに属する空調機200の室内ユニット10にそれぞれファームウェアを送信する。実施の形態1においては、判別部130が判別した同一グループ内において運転中の空調機200が同時に停止することを避けるため、例えば、更新部140は、同一グループの空調機200のうちから、1つの空調機200を選択し、まず、選択した空調機200のファームウェアを更新する。ファームウェアの更新が完了すると、更新部140は、ファームウェアを更新した空調機200を再起動する。当該空調機200の再起動が完了した後、更新部140は、次の空調機200に対してファームウェアの更新を実行する。このように更新部140は、更新のタイミングをずらしてファームウェアの更新を実行する。更新部140の機能は図1に示すプロセッサ104により実現される。更新部140が、まず更新の対象として選択した空調機200は本発明の第1の空調機の一例である。更新部140が、次に更新の対象として選択した空調機200は本発明の第2の空調機の一例である。
実施の形態においては、ファームウェアは、自動インストール機能を備えたものであってもよい。この場合、例えば、室内ユニット10が、受信したファームウェアを制御基板14のメモリ142に保存すると、自動インストールが実行され、室内ユニット10のファームウェアが更新される。室外ユニット20においても同様である。あるいは、ファームウェアは、インストーラを付帯したものであってもよい。この場合、室内ユニット10は、受信したファームウェアをメモリ142に保存し、インストーラを実行して、ファームウェアを更新する。室外ユニット20においても同様である。
図3に示す空調機200は、機能的には、集中制御装置100と通信する通信部210と、ファームウェアを記憶する記憶部220と、空調運転に関して制御が行われる対象である被制御部230と、ファームウェアを実行して被制御部230を制御する制御部240とを備える。記憶部220は本発明の記憶手段の一例である。制御部240は本発明の制御手段の一例である。
通信部210は、集中制御線500を介して、集中制御装置100と通信する。例えば、通信部210は、ファームウェアを集中制御装置100から受信する。また、通信部210は、制御部240の制御の下、運転データを集中制御装置100に送信する。通信部210の機能は、図1に示す室内ユニット10の制御基板14の通信インタフェース143と、室外ユニット20の制御基板22の通信インタフェース223とが協働することにより実現される。
図1に示すように、室内ユニット10は、集中制御装置100と集中制御線500を介して接続されている。一方、室外ユニット20は、集中制御装置100と集中制御線500を介して接続されていない。このため、室内ユニット10の制御基板14は、集中制御装置100から室外ユニット20用のファームウェアを受信すると、当該プログラムを、内外通信線51を介して、室外ユニット20の制御基板22に送信する。
図3に示す記憶部220は、ファームウェアを記憶する。具体的には、図1に示す室内ユニット10のファームウェアは、図2Aに示す制御基板14のメモリ142に格納され、図1に示す室外ユニット20のファームウェアは、図2Bに示す制御基板22のメモリ222に格納される。図3に示す記憶部220の機能は、図2A、2Bに示す室内ユニット10の制御基板14のメモリ142と、室外ユニット20の制御基板22のメモリ222とにより実現される。
図3に示す被制御部230は、図1に示す室内ユニット10のファン11と、室外ユニット20の冷媒回路21とを含む。被制御部230は、制御部240から供給された制御信号に従って動作する。例えば、被制御部230に対して次のような制御が行われる。室内ユニット10のファンの回転数が変更される。また、室外ユニット20の冷媒回路21の圧縮機を動作させるモータの回転数が変更される。また、室外ユニット20の冷媒回路21の膨張弁の開閉のため電磁弁が駆動される。
図3に示す制御部240は、ファームウェアを実行して被制御部230を制御する。制御部240は、図2Aに示す制御基板14のプロセッサ141と、図2Bに示す制御基板22のプロセッサ221とにより実現される。例えば、制御部240として機能する制御基板14のプロセッサ141は、室内ユニット10のファームウェアを実行して、図1に示すリモコン300から供給された室内の空気温度及び室内の風量に基づいて、ファン11の回転数を変更する。例えば、制御部240として機能する制御基板22のプロセッサ221は、室外ユニット20のファームウェアを実行して、リモコン300が測定した室内の空気温度及び室内の風量に基づいて、室外ユニット20の冷媒回路21の圧縮機を動作させるモータの回転数を変更する。また、制御部240は、集中制御装置100から制御信号が供給されると、制御信号に従って、被制御部230を制御する。
上述の構成を有する空調制御システム1において、空調機200のファームウェアの更新を行う手順を説明する。
集中制御装置100のプロセッサ104は、プログラム1010を実行することで、以下の処理を行う。なお、以下の処理は、例えば、空調制御システム1のメンテナンスの管理者が、ユーザインタフェース102を介して、ファームウェアの更新の指示を出した場合に実行される。ここでは、管理者が、グループ1001の室内ユニット10のファームウェアの更新の指示を出したと仮定する。また、記憶部120には、室内ユニット10の更新用のファームウェアが予め格納されているものとする。
図5に示すように、プロセッサ104は、ファームウェアの更新の対象となるグループ1001に所属する空調機200の運転状態を確認する(ステップS11)。具体的には、プロセッサ104は、グルーピング情報1201から、グループ1001に所属する空調機200が空調機200A、200B、200Cであると判別し、空調機200A、200B、200Cに対して、運転状態を問い合わせる信号を、集中制御線500を介して送信する。
プロセッサ104から運転状態を問い合わせる信号を受信すると、空調機200A、200B、200Cは、それぞれ自機の運転状態を示すデータを集中制御装置100に送信する。運転状態を示すデータには、それぞれの空調機200の現在の運転モードと、室内の室温及び送風量の測定値とを含む。
プロセッサ104は、空調機200から供給された運転状態を示すデータから、空調運転を停止している空調機200があるか否かを判別する(ステップS12)。なお、プロセッサ104は、空調機200のファームウェアの更新を順番に実行するため、ステップS12においては、ファームウェアの更新が完了した空調機200については、判別対象から除くものとする。
プロセッサ104は、空調運転を停止している空調機200があると判別すると(ステップS12;Yes)、更新対象として空調運転を停止している空調機200を選択する(ステップS13)。ここでは、空調機200Aが空調運転を停止しており、更新対象として選択されたと仮定する。
プロセッサ104は、選択した空調機200Aに室内ユニット10の更新用のファームウェアを送信する。空調機200Aの制御部240は、通信部210を介して受信したファームウェアを記憶部220に保存する。例えば、ファームウェアが自動インストール機能を備えている場合、当該ファームウェアの自動インストールが実行される。この結果、空調機200Aの室内ユニット10のファームウェアが更新される(ステップS14)。
プロセッサ104は、更新対象の空調機200である空調機200Aを再起動する(ステップS15)。プロセッサ104は、更新が完了したことを示すログとして、ファームウェアが更新した空調機200を識別する情報、例えば、IPアドレスを、ワークメモリに格納しておく。さらに、プロセッサ104は、空調機200Aが再起動すると、空調機200Aに対して、遠隔制御により空調運転を開始する。
プロセッサ104は、ワークメモリに格納した、ファームウェアの更新が完了した空調機200を識別する情報から、対象グループであるグループ1001の全ての空調機200のファームウェアの更新が完了したか否かを判別する(ステップS16)。プロセッサ104は,対象グループの全ての空調機200のファームウェアの更新が完了していないと判別すると(ステップS16;No)、再び、ステップS12の処理を実行する。
ステップS12において、プロセッサ104は、空調運転を停止している空調機200があるか否かを判別する。なお、前述のとおり、ファームウェアの更新が完了した空調機200については判別対象から除くものとする。プロセッサ104は、空調運転を停止している空調機200がないと判別すると(ステップS12;No)、予め決められたルールで、更新対象の空調機200を選択する。例えば、プロセッサ104は、ファームウェアのアップデートが完了していない空調機200のうち、IPアドレスが小さい順に空調機200を選択する。
プロセッサ104は、ステップS14及びステップS15の処理を実行して、選択した更新対象の空調機200のファームウェアを更新する。プロセッサ104はステップS16において、対象グループであるグループ1001の全ての空調機200のファームウェアの更新が完了したと判別すると(ステップS16;Yes)、更新処理を終了する。
以上説明したように、実施の形態1においては、集中制御装置100は、同一グループに属する空調機200から決められたルールで更新対象を順次選択し、選択した空調機200の更新と再起動を行う。
(実施の形態2)
続いて、実施の形態2を説明する。実施の形態1では、集中制御装置100が空調機200に対して空調運転の状態を問い合わせ、問い合わせの結果からファームウェアのアップデートの順序を決定したが、実施の形態2においては、同一グループ内の空調機200同士が通信を行い、運転中の空調機200全てが停止することがないように、決められたルールで更新のタイミングを判別して、ファームウェアの更新を行う。集中制御装置100は、空調機200に対して、更新用のファームウェアの提供を行うだけである。
実施の形態2に係る空調制御システム1のハードウェア構成も、図1に示した実施の形態1に係る構成とほぼ同じである。図6Aに示すように、実施の形態2においては、空調機200の室内ユニット10の制御基板14のメモリ142にはプログラム1420が格納されている。プログラム1420を、制御基板14のプロセッサ141が実行することにより、後述の更新処理が実現される。
また、図6Bに示すように、集中制御装置100のメモリ101には、ファームウェアを配信するためのプログラム1011が格納されている。プロセッサ104がプログラム1011を実行することにより、更新用のファームウェアが空調機200に配信される。
図7に、実施の形態2に係る空調制御システム1の機能構成を示す。以下、実施の形態1と異なる構成を中心に説明する。図示する例では、空調機200は、空調機200F~200Gを含む。空調機200F~200Gを一括りにして空調機200と呼ぶことがあるものとする。
集中制御装置100は、機能的には、空調機200と通信する通信部110と、空調機200の更新用のファームウェアを記憶する記憶部120と、対象グループに所属するすべての空調機200のファームウェアを送信する送信部150と、を備える。
通信部110は、空調機200と通信する。例えば、通信部110は、送信部150から供給された更新用のファームウェアを空調機200に送信する。通信部110の機能は、通信インタフェース103により実現される。
記憶部120に係る構成は、実施の形態1の記憶部120と同様である。更新部140は、管理者からの指示を受け付けると、記憶部120に格納されている室内ユニット10のファームウェアあるいは室外ユニット20のファームウェアを、グルーピング情報1201に基づいて、通信部110を介して指定されたグループの空調機200に送信する。送信部150の機能は図1に示すプロセッサ104により実現される。
空調機200は、機能的には、集中制御装置100と通信する通信部210と、ファームウェアを記憶する記憶部220と、空調運転に関して制御が行われる対象である被制御部230と、ファームウェアを実行して被制御部230を制御する制御部240と、リモコン通信線56を介して他の空調機200と通信する第2通信部250と、更新の順序を判別する判別部260と、ファームウェアの更新を実行する更新部270とを有する。第2通信部250は本発明の通信手段の一例である。判別部260は本発明の判別手段の一例である。更新部270は本発明の更新手段の一例である。
通信部210、被制御部230、制御部240それぞれに係る構成は実施の形態1の対応する構成と同様である。第2通信部250は、リモコン通信線56を介して、他の空調機200と通信する。例えば、第2通信部250は、判別部260の制御の下、他の空調機200が集中制御装置100からファームウェアを受信したか否かを問い合わせる信号を送信する。図7に示す例では、1つのリモコン300にリモコン通信線56を介して接続された空調機200Fと200Gとが同一のグループに属するものとする。
記憶部220は、ファームウェアを記憶する。さらに、記憶部220は、図8に示すようなグルーピング情報2201を記憶する。実施の形態2においては、同一グループの空調機200の間で通信を行いファームウェアの更新のタイミングをずらすからである。さらに、記憶部220は、後述の判別部260が判別した更新の順序を記憶する。記憶部220の機能は、図2Aに示す制御基板14のメモリ142により実現される。
図7に示す判別部260は、記憶部220のグルーピング情報2201に基づいて、同一グループに属する空調機200に対して、集中制御装置100から更新用のファームウェアが供給されたか否かを第2通信部250を介して問い合わせ、問い合わせの結果から更新の順序を判別する。実施の形態2においても、複数の空調機200の間でファームウェアの更新のタイミングをずらすからである。判別部260の機能は、図2Aに示す制御基板14のプロセッサ141により実現される。
実施の形態2においては、同一グループ内の空調機200のうち、例えば、更新用のファームウェアを最初に受信した判別部260が、グループ内の更新の順序を判別する。同一グループ内の空調機200それぞれの判別部260において、更新の順序を決定する必要はないからである。
具体的には、更新用のファームウェアを最初に受信した判別部260(以下、マスタの判別部260という)は、集中制御装置100から更新用のファームウェアを受信すると、他の空調機200から更新用のファームウェアを受信したか否かの問い合わせを受信していない場合に、リモコン通信線56を介して同一グループの他の空調機200に対して、更新用のファームウェアを受信したか否かを問い合わせる。問い合わせの結果、他の空調機200が更新用のファームウェアを受信していると判別した場合、マスタの判別部260は、グループ内における空調機200のファームウェアの更新の順序を判別する。例えば、判別部260は、更新用のファームウェアを受信した空調機200のうち、図8に示すグルーピング情報2201から、リモコン通信用のアドレスの値が小さい順に更新を行うと決める。マスタの判別部260は、判別した更新の順序を他の空調機200に送信する。
一方、判別部260(以下、スレーブの判別部260)は、他の空調機200から更新用のファームウェアの受信の有無についての問い合わせを受けた後に、集中制御装置100から更新用のファームウェアを受信した場合、あるいは、集中制御装置100から更新用のファームウェアを受信したが、他の空調機200に更新用のファームウェアの受信の有無についての問い合わせを送信する前に、他の空調機200のマスタの判別部260から更新用のファームウェアの受信の有無についての問い合わせを受けた場合には、他の空調機200に対して、更新用ファームウェアの受信の有無の問い合わせを送信しない。更新用のファームウェアの受信の有無についての問い合わせの送信元、即ち、マスタの判別部260に宛てて、更新用のファームウェアを受信した旨を送信するだけである。その後、スレーブの判別部260は、ファームウェアの受信の有無の問い合わせを送信した空調機200のマスタの判別部260から更新の順序を受信すると、更新の順序を記憶部220に格納する。
図7に示す更新部270は、判別部260が決定した更新の順序が示すタイミングで、集中制御装置100から供給された更新用のファームウェアで記憶部220のファームウェアを更新する。更新部270の機能は、図2Aに示す制御基板14のプロセッサ141により実現される。
具体的には、更新部270は、自機の更新の順序が一番初めである場合には、他の空調機200のファームウェアの更新完了を待たずに、ファームウェアを更新し、空調機200の再起動が完了すると、同一グループの空調機200にファームウェアの更新の完了を通知する。また、自機の更新の順序が2番目以降である場合、更新部270は、更新の順序において自機のひとつ前にファームウェアを更新すべき空調機200から、更新の完了の通知を受信すると、ファームウェアの更新を実行する。
上述の構成を有する空調制御システム1において、空調機200がファームウェアの更新を行う手順を説明する。
図6Aに示すように、空調機200の制御基板14のプロセッサ141は、プログラム1420を実行することで、以下の処理を行う。なお、以下の処理は、集中制御装置100から空調機200が更新用のファームウェアを受信した場合に実行される。集中制御装置100は、例えば、空調制御システム1のメンテナンスを管理者が、ユーザインタフェース102を介して、ファームウェアの更新の送信を指示した場合に、空調機200に更新用のファームウェアを送信する。
ここでは、管理者が、図8に示すように、グループ1003の空調機200F、200Gそれぞれの室内ユニット10及び室外ユニット20の更新用のファームウェアを送信することを、集中制御装置100に指示したものとする。集中制御装置100の記憶部120には、室内ユニット10及び室外ユニット20それぞれの更新用のファームウェアが予め格納されているものとする。
管理者の指示に応答して、集中制御装置100は、室内ユニット10及び室外ユニット20それぞれの更新用のファームウェアを、グループ1001に所属する空調機200A、200B、200Cに対して送信したとする。
以下、図8に示す空調機200Fが最初にファームウェアを受信したものと仮定して説明を行う。図9に示すように、空調機200Fの制御基板14のプロセッサ141は、更新用のファームウェアを受信すると(ステップS21)、他の空調機200がファームウェアを受信したかを問い合わせる(ステップS22)。具体的には、プロセッサ141は、図8に示す記憶部220に格納されているグルーピング情報2201から、同一グループの空調機200Gに対して、ファームウェアの受信の有無を問い合わせる信号を送信する。このとき、プロセッサ141は、空調機200Gのファームウェアの受信の完了を待つために一定期間待機してから、空調機200Gにファームウェアの受信の有無を問い合わせる信号を送信するようにしてもよい。
図9に示すように、プロセッサ141は、空調機200Gから、ファームウェアの受信の有無を示す信号を受信して、受信した信号から、他の空調機200である空調機200Gがファームウェアを受信したと判別すると(ステップS23;Yes)、更新の順序を判別する(ステップS24)。例えば、プロセッサ141は、図8に示すグルーピング情報2201から、リモコン通信用のアドレスの値が小さい順にファームウェアの更新を行うと判別する。プロセッサ141は、ファームウェアの更新の順序を他の空調機200である空調機200Gに送信する。
プロセッサ141は、自機が次の更新の対象となったか否かを判別し(ステップS25)、次の更新対象になるまで待機する。具体的には、更新の順序が一番最初の空調機200は、他の空調機200からの更新完了通知の受信を待たずにファームウェアの更新を行えばよい。更新の順序が2番目以降の空調機200は、他の空調機200からの更新完了の通知を受信し、更新完了の順序が自機の前の空調機200の更新が完了したと判別すると、ファームウェアの更新を行えばよい。例えば、更新の順序が、空調機200F、200Gの順であるとする。この場合、空調機200Fのプロセッサ141は次の更新対象であるため(ステップS25;Yes)、ファームウェアの更新と空調機200Fの再起動を行う(ステップS26)。
具体的には、プロセッサ141は、まず、集中制御装置100から受信した室内ユニット10の更新用のファームウェア用のインストーラを実行し、ファームウェアのインストールを実行する。この結果、空調機200Aの室内ユニット10のファームウェアが更新される。その後、プロセッサ141は、内外通信線51を介して、集中制御装置100から受信した室外ユニット20に室外ユニット20の更新用ファームウェアを送信する。
室外ユニット20の制御基板22のプロセッサ221は、更新用ファームウェアのインストーラを実行する。この結果、空調機200Fの室外ユニット20のファームウェアが更新される。その後、室外ユニット20の制御基板22のプロセッサ221はファームウェアの更新が完了した旨を、内外通信線51を介して室内ユニット10のプロセッサ141に送信する。室内ユニット10のプロセッサ141は、室外ユニット20のファームウェアの更新が完了したと判別すると、空調機200Fの再起動を行う。
空調機200Fのプロセッサ141は、自機を識別する情報としてリモコン通信用のアドレスの値とともに、ファームウェアの更新が完了した旨を同一グループの他の空調機200である空調機200Gに通知する(ステップS27)。
一方、更新の順が後である空調機200Gにおいては次のように処理が行われる。空調機200Gのプロセッサ141は、ステップS25において、空調機200Fの更新が終わるまで、自機が次の更新対象とならないため(ステップS25;Nо)、空調機Fの更新完了の通知を待ち受ける(ステップS29;No)。空調機200Gのプロセッサ141は、空調機200Fから更新完了の通知を受信すると(ステップS29;Yes)、自機のひとつ前に更新を行うべき空調機200Gの更新が完了したので、自機が次の更新の対象となったと判別する(ステップS25;Yes)。従って、空調機200Gのプロセッサ141は、ステップS26、S27の処理を実行する。また、更新順序が最後の空調機200は、他の空調機200に更新完了通知を送信する際に、更新順序が最後の空調機200である旨を送信する。空調機200Fのプロセッサ141は、最後の空調機200から更新完了通知を受信すると、全ての空調機200の更新が完了したと判別して(ステップS28;Yes)、更新処理を終了する。また、空調機200Gのプロセッサ141も、全ての空調機200の更新が完了したため更新処理を終了する。
一方、ステップS23において、プロセッサ141は、同一グループの他の空調機200がファームウェアを受信していないと判別すると(ステップS23;Nо)、ファームウェアの更新と再起動を実行し(ステップS30)、更新処理を終了する。この場合、グループ内の複数の空調機200のファームウェアの更新と再起動が行われるわけではなく、室内環境の快適性の低減には影響しないためである。
以上説明したように、実施の形態2においては、同一グループ内の空調機200同士が通信を行い、決められたルールで更新のタイミングを判別して、ファームウェアの更新を行う。
実施の形態1、2のいずれにおいても、同一グループ内において空調機200のファームウェアの更新のタイミングをずらすことにより、更新中の空調機200の空調運転が停止している間も、他の空調機200の空調の運転は継続されている。即ち、対象グループの空調機200が全て同時に停止することがない。従って、室内の快適性が低下することを抑制しつつ、例えば、空調機200の空調運転が停止する予定の日に限られず、任意のタイミングでファームウェアを実行することができる。
(変形例1)
さらに、実施の形態1、2のいずれにおいても空調制御システム1は下記のような構成を備えてもよい。ファームウェアの更新時には、更新対象以外の空調機200に対して、空調の運転を強くする、例えば、冷房運転時には、設定された温度より目標温度を下げた冷房運転を行う、暖房運転時には、設定された温度より目標温度を上げた暖房運転を行うようにしてもよい。このような制御を行うことで、更新中の空調機200の空調運転が停止するにもかかわらず室内の快適性の低下を抑制することが可能である。
(変形例2)
また、実施の形態1、2のいずれにおいても、空調機200のファームウェアの更新が完了した後、決められた時間が経過してから、次の空調機200のファームウェアの更新を開始するようにしてもよい。ファームウェアの更新完了から決められた時間の経過を待つことにより、ファームウェアの更新が完了した空調機200の空調運転が再開し、安定したところで、次の空調機200のファームウェアの更新を行うことになるので、室内の快適性の低下を抑えることができる。
実施の形態1、2においては、図示する例では、1つの室外ユニット20には、1つの室内ユニット10が接続されていたが、これに限られない。例えば、1つの室外ユニット20に、複数の室内ユニット10が接続されていてもよい。また、実施の形態1、2においては、同一グループの空調機200が1つのリモコン300により操作される例を説明したが、同一グループの複数の空調機200を操作するリモコン300は複数設けられていてもよい。
実施の形態1、2においては、集中制御装置100と空調機200とは、集中制御線500を介して通信を行う例を説明したが、集中制御装置100と空調機200とは有線通信に限らず、無線通信により通信してもよい。また、実施の形態1、2においては、空調機200とリモコン300とはリモコン通信線56を介して通信を行ったが、空調機200とリモコン300とは無線通信により通信してもよい。
実施の形態2においては、室内ユニット10の制御基板14のプロセッサ141が判別部、更新部として機能したが、これに限られない。例えば、室内ユニット10のファームウェアの更新の際には、室内ユニット10の制御基板14のプロセッサ141が判別部及び更新部として機能し、室外ユニット20のファームウェアの更新の際には、室外ユニット20の制御基板22のプロセッサ221が判別部及び更新部として機能してもよい。
実施の形態1、2においては、同一グループに属する空調機200のファームウェアの更新のタイミングを制御する例を説明したが、これに限られない。複数のグループに属する空調機200のファームウェアの更新のタイミングを実施の形態1又は2に係る構成で制御してもよい。例えば、同一室内の複数の空調機200のうち一部がグループAに属し、他の空調機200がグループBに属する場合がある。このような場合には、これらのグループA、Bに属する全ての空調機200のファームウェアを、実施の形態1、2で説明したような方法で更新することで、運転停止する空調機200の数を管理して、室内の快適性の低下を低減することができる。また、あるいは、同一グループをいくつかのサブグループに分けて、サブグループ単位で空調機200のファームウェアの更新のタイミングを実施の形態1又は2に係る構成で制御してもよい。
上記のプログラムを記録する記録媒体としては、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、フラッシュメモリ、半導体メモリ、磁気テープを含むコンピュータ読取可能な記録媒体を使用することができる。
本発明は、広義の精神と範囲を逸脱することなく、様々な実施形態及び変形が可能とされるものである。また、上述した実施形態は、本発明を説明するためのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。つまり、本発明の範囲は、実施形態ではなく、請求の範囲によって示される。そして、請求の範囲内及びそれと同等の発明の意義の範囲内で施される様々な変形が、本発明の範囲内とみなされる。