JP7320805B1 - エポキシ樹脂組成物、その硬化物及び積層体 - Google Patents

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Abstract

本発明によれば、柔軟性と強靭性と接着性を兼備することができ、加熱による易解体性を発揮できるエポキシ樹脂組成物、その硬化物及び積層体を提供することができる。本発明のエポキシ樹脂組成物は、エポキシ当量が500~10,000g/eqのエポキシ樹脂(A)と、エポキシ当量が100~300g/eqのエポキシ樹脂(B)と、アントラセン二量体骨格を有する化合物(C)と、を含有する。前記エポキシ樹脂(A)が下記一般式(1)で表され、前記化合物(C)が、2つ以上のエポキシ基含有基、又は2つ以上の硬化性基含有基を有する。[化1]TIFF0007320805000117.tif19170

Description

本発明は、エポキシ樹脂組成物、その硬化物及び積層体に関する。
本願は、2021年11月24日に、日本に出願された特願2021-190532号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
二酸化炭素排出量削減や燃費向上の観点から、自動車・飛行機等の軽量化についての技術は希求されており、例えば、スポット溶接数の低減やCFRPと金属の併用などによる軽量化が進められてきている。これを実現するためには、構造材料用接着剤の高性能化が必須であり、特に、熱膨張差の大きいアルミとCFRPの加熱接着においては、膨張と収縮に伴う、界面応力による反りや波打ちの発生が問題視され、応力を緩和する接着剤が必要となる。
その一方で、高い接着性能の達成はリサイクル困難な製品を生み出す要因ともなっており、使用後の解体性や再利用性は制限される。昨今の環境意識の高まりを背景とし、高い接着性能を維持しつつ、使用期間後には容易にはがせる接着剤の開発も重要となる。
このような背景下、易解体性接着剤の開発が盛んに行われてきている。一般には、熱可塑樹脂の熱溶融を利用する場合が多いが、近年は熱硬化性樹脂に熱膨張性の材料や、熱分解性の化合物をあらかじめ混合し、使用後に主に熱エネルギーを与えることで、接着力を低減させて剥離をするような技術も提案されている(例えば、特許文献1、2参照)。
しかしながら、前記特許文献1の技術では、基本的に従来のエポキシ樹脂組成物を接着剤として用いるものであり、硬化物(接着層)内での熱膨張性材料による発泡が十分に発現されにくい結果、剥離性が不十分であったり、接着層の堅脆さに起因して、きれいに除去できなくなったりすることがある。また前記特許文献2の技術では、あらかじめ熱分解性の化合物が含まれていることによって、硬化反応時の加熱温度を高度にコントロール必要があるという使用上の煩雑性があり、特に熱伝導性の高い金属基材を用いる際に、予期せぬ場所で接着剤に熱がかかりすぎて不具合が生じる可能性も否定できない。
特開2003-286464号公報 特開2013-256557号公報
上記事情を鑑み、本発明の課題は、変形に強い柔軟性と強靭性、基材への密着性に優れるとともに、使用後の易解体性(剥離性)を容易に実現することが可能である、構造用接着剤等として好適に使用できるエポキシ樹脂組成物を提供することにある。
本発明者らは、鋭意検討した結果、特定構造を有するエポキシ樹脂を用い、樹脂組成物中にアントラセン二量体骨格を有する化合物を配合することによって、前記課題を解決可能であることを見出し、発明を完成した。
すなわち本発明は、本開示の内容は、以下の実施態様[1]~[15]を含む。
[1] エポキシ当量が500~10,000g/eqのエポキシ樹脂(A)と、
エポキシ当量が100~300g/eqのエポキシ樹脂(B)と、
アントラセン二量体骨格を有する化合物(C)と、
を含有し、
前記エポキシ樹脂(A)が下記一般式(1)で表され、
前記化合物(C)が、2つ以上のエポキシ基含有基、又は2つ以上の硬化性基含有基を有することを特徴とするエポキシ樹脂組成物。
Figure 0007320805000001
〔式(1)中、Arはそれぞれ独立して、無置換又は置換基を有する芳香環を有する構造であり、
Xは下記一般式(2)で表される構造単位であり、Yは下記一般式(3)で表される構造単位であり、
Figure 0007320805000002
[式(2)、(3)中、Arは前記と同じであり、
、Rはそれぞれ独立して水素原子、メチル基又はエチル基であり、
R’は炭素原子数2~12の2価の炭化水素基であり、
、R、R、Rはそれぞれ独立して水酸基、グリシジルエーテル基又は2-メチルグリシジルエーテル基であり、
、R、R、R10はそれぞれ独立して水素原子又はメチル基であり、
1は4~16の整数であり、
は繰り返し単位の平均値で2~30である。]
11、R12はそれぞれ独立して、グリシジルエーテル基又は2-メチルグリシジルエーテル基であり、
13、R14はそれぞれ独立して水酸基、グリシジルエーテル基又は2-メチルグリシジルエーテル基であり、
15、R16は水素原子又はメチル基であり、
1、m、p1、p、qは繰り返しの平均値であって、
1、mは、それぞれ独立して0~25であり、且つm1+m≧1であり、
1、pはそれぞれ独立して0~5であり、
qは0.5~5である。ただし、前記一般式(2)で表されるXと前記一般式(3)で表されるYとの結合は、ランダムであってもブロックであってもよく、1分子中に存在する各構造単位X、Yの数の総数がそれぞれm1、mであることを示す。〕
[2] 前記一般式(1)~(3)中のArが、それぞれ独立して下記構造式(4)
Figure 0007320805000003
〔式(4)中の芳香環は置換又は無置換であってよく、*は結合点を表す。〕
で表される何れかである[1]に記載のエポキシ樹脂組成物。
[3] 前記一般式(2)中のn1が6~12であり、R及びRが水酸基であり、R及びRが水素原子である、[1]又は[2]に記載のエポキシ樹脂組成物。
[4] 前記一般式(3)中の、R’が炭素原子数2~6の2価の炭化水素基であり、R及びRが水酸基であり、R及びR10が水酸基である、[1]~[3]の何れかに記載のエポキシ樹脂組成物。
[5] 前記アントラセン二量体骨格を有する化合物(C)が、以下一般式(I-1)で表さる化合物(C―i1)である、[1]~[4]の何れかに記載のエポキシ樹脂組成物。
Figure 0007320805000004
〔一般式(I-1)中、
複数のR1aはそれぞれ独立に水素原子または1価の置換基を表し、ただし少なくとも1つのR1aはエポキシ基含有基であり、
複数のR2aはそれぞれ独立に水素原子または1価の置換基を表し、ただし少なくとも1つのR2aはエポキシ基含有基である。〕
[6] 前記アントラセン二量体骨格を有する化合物(C)が、以下一般式(I-2)で表される化合物(C―i2)であるである、[1]~[4]の何れかに記載のエポキシ樹脂組成物。
Figure 0007320805000005
〔一般式(I-2)中、
複数のR11aはそれぞれ独立に水素原子または1価の置換基を表し、ただし少なくとも1つのR11aは、硬化性基含有基であり、
複数のR21aはそれぞれ独立に水素原子または1価の置換基を表し、ただし少なくとも1つのR21aは、硬化性基含有基である。〕
[7] 前記一般式(I-2)で表される前記化合物(C―i2)において、少なくとも1つのR11aおよび少なくとも1つのR21aがアミノ基含有基、ヒドロキシ基含有基およびカルボキシ基含有基からなる群より選ばれる、[6]に記載のエポキシ樹脂組成物。
[8] 前記一般式(I-2)で表される前記化合物(C―i2)において、少なくとも1つのR11aおよび少なくとも1つのR21aがカルボキシ基含有基である、[6]又は[7]に記載のエポキシ樹脂組成物。
[9] 更に硬化剤(D)を含む[1]~[8]の何れかに記載のエポキシ樹脂組成物。
[10] 接着剤である[1]~[9]の何れかに記載のエポキシ樹脂組成物。
[11] [1]~[10]の何れかに記載のエポキシ樹脂組成物の硬化物。
[12] 前記エポキシ樹脂組成物の硬化物は、海部と島部からなる海島構造を有し、
前記海部の平均粒子径が10nm~100μmである、[11]に記載のエポキシ樹脂組成物の硬化物。
[13] 基材と、[11]又は[12]に記載の硬化物とを積層してなる積層体。
[14] 第一の基材、[11]又は[12]に記載の硬化物からなる層、第二の基材の順に積層されてなる積層体。
[15] 前記第一の基材が金属又は金属酸化物からなる基材であり、前記第二の基材がプラスチックからなる基材である[14]記載の積層体。
本発明によれば、1分子中に長鎖アルキレン鎖あるいはポリエーテル鎖を有するエポキシ樹脂を用いることにより、硬化物が応力緩和能に優れる。2種類の特定なエポキシ樹脂の硬化からなる相分離により、柔軟性のあるマトリックス相と剛直な島相が生じ、柔軟性と強靭性を兼ね備えることができる。また、硬化物に弾性変形を前提とする柔軟性と、基材に対する高い接着性を兼備することが出来る。更に解離機能を有するアントラセン二量体骨格の活用により、加熱による易解体性を発揮できる。その結果として、易解体性(剥離性)を有する。これらのことから、本発明のエポキシ樹脂組成物は構造用接着剤等として好適に用いることが出来る。
以下、本発明をさらに詳細に説明する。なお、本発明は以下に示す実施形態のみに限定されるものではない。
「~」は「~」という記載の前の値以上、「~」という記載の後の値以下を意味する。
本明細書における基(原子団)の表記において、置換か無置換かを記していない表記は、置換基を有しないものと置換基を有するものの両方を包含するものである。例えば「アルキル基」とは、置換基を有しないアルキル基(無置換アルキル基)のみならず、置換基を有するアルキル基(置換アルキル基)をも包含するものである。
本明細書における「有機基」の語は、特に断りが無い限り、有機化合物から1つ以上の水素原子を除いた原子団のことを意味する。例えば、「1価の有機基」とは、任意の有機化合物から1つの水素原子を除いた原子団のことを表す。
(エポキシ樹脂組成物)
本実施形態のエポキシ樹脂組成物は、エポキシ当量が500~10,000g/eqのエポキシ樹脂(A)と、エポキシ当量が100~300g/eqのエポキシ樹脂(B)と、アントラセン二量体骨格を有する化合物(C)と、を含有する。エポキシ樹脂(A)と、エポキシ樹脂(B)と、化合物(C)について、後に詳細説明する。
本実施形態のエポキシ樹脂組成物において、前記化合物(C)が、アントラセン二量体骨格を有し、かつ、エポキシ基含有基、又は硬化性基含有基を有するため、本実施形態のエポキシ樹脂組成物硬化体の架橋構造中にアントラセン二量体骨格が導入されることとなる。
無置換のアントラセン二量体骨格は、これまでの研究や発明者の知見によれば、熱解離温度100℃から220℃程度の加熱により分解して単量体構造になる(熱解離する)。例えば、本実施形態のエポキシ樹脂組成物を被着体の表面に付着させ、使用するアントラセン二量体骨格の熱解離温度よりも低い温度で第1の熱処理を行うことにより、エポキシ樹脂と硬化剤とを反応させて、被着体に接合する硬化体を得ることができる。その後、その硬化体をその熱解離温度以上の温度で加熱する第2の熱処理を行うことにより、硬化体中のアントラセン二量体骨格を熱解離させる。この第2の熱処理により「脱架橋」が起こり、解体性が発現する。一方、第1の熱処理で得られる硬化体は、通常80℃よりも低い温度では安定である。よって、良好な接着強度と易解体性とが両立されうる。
また、アントラセン二量体骨格を単量体構造とする(解離する)ためには、熱以外を必要としない。このことは、例えば、不透明/複雑な形状のものを接着してその後解体する際に好ましい性質である。
以下、本実施形態のエポキシ樹脂組成物に関してより具体的に説明する。
本実施態様に係るエポキシ樹脂組成物が、エポキシ当量が500~10,000g/eqのエポキシ樹脂(A)と、エポキシ当量が100~300g/eqのエポキシ樹脂(B)と、アントラセン二量体骨格を有する化合物(C)と、を含有する、前記化合物(C)が、2つ以上のエポキシ基含有基、又は2つ以上の硬化性基含有基を有する。前記エポキシ樹脂(A)が下記一般式(1)で表される。
Figure 0007320805000006
〔式(1)中、Arはそれぞれ独立して、無置換又は置換基を有する芳香環を有する構造であり、
Xは下記一般式(2)で表される構造単位であり、Yは下記一般式(3)で表される構造単位であり、
Figure 0007320805000007
[式(2)、(3)中、Arは前記と同じであり、
、Rはそれぞれ独立して水素原子、メチル基又はエチル基であり、
R’は炭素原子数2~12の2価の炭化水素基であり、
、R、R、Rはそれぞれ独立して水酸基、グリシジルエーテル基又は2-メチルグリシジルエーテル基であり、
、R、R、R10はそれぞれ独立して水素原子又はメチル基であり、
1は4~16の整数であり、
は繰り返し単位の平均値で2~30である。]
11、R12はそれぞれ独立して、グリシジルエーテル基又は2-メチルグリシジルエーテル基であり、
13、R14はそれぞれ独立して水酸基、グリシジルエーテル基又は2-メチルグリシジルエーテル基であり、
15、R16は水素原子又はメチル基であり、
1、m、p1、p、qは繰り返しの平均値であって、
1、mは、それぞれ独立して0~25であり、且つm1+m≧1であり、
1、pはそれぞれ独立して0~5であり、
qは0.5~5である。ただし、前記一般式(2)で表されるXと前記一般式(3)で表されるYとの結合は、ランダムであってもブロックであってもよく、1分子中に存在する各構造単位X、Yの数の総数がそれぞれm1、mであることを示す。〕
[エポキシ樹脂(A)]
本実施形態にかかるエポキシ樹脂(A)は、その構造中に一般式(2)で表される構造単位X及び/又は一般式(3)で表される構造単位Yを含有するものであり、それぞれの構造単位中のアルキレン鎖あるいはポリエーテル鎖の存在によって、硬化物に高い柔軟性を発現させることが可能となる。特にアルキレン鎖による柔軟性は、これを接着剤として用いた際に基材の熱膨張に追従することが可能となり、またポリエーテル鎖はエポキシ樹脂(A)自体の粘度を低くする効果がある点から、エポキシ樹脂組成物としての塗工性、加工性の向上に寄与できる。
前記エポキシ樹脂(A)において、構造単位X、Yはそれぞれを単独で有するものであってもよく、また、1分子中に構造単位X及びYの両者を有するものであってもよい。この時、XとYとが、ブロック結合であってもランダム結合であってもよく、1分子中に含まれる構造単位Xと構造単位Yの総数が、それぞれ、m、mであることを示すものである。
前記エポキシ樹脂(A)を表す一般式(1)中のAr、構造単位Xを表す一般式(2)中のAr、構造単位Yを表す一般式(3)中のArは、いずれも無置換又は置換基を有する芳香環を有する構造であるが、この芳香環としては、特に限定されるものではなく、例えばベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、フルオレン環が挙げられる。
これらの中でも、Arとしては、下記構造式(4)で表される何れかの構造であることが好ましい。
Figure 0007320805000008
〔式(4)中の芳香環は置換又は無置換であってよく、*は結合点を表す。〕
また、以下のような式で表される構造もArとして挙げられる。
Figure 0007320805000009
(式中、芳香環は置換または無置換であってよく、n=1~4であり、*は結合点を表す。)
Arが有する芳香環は置換または無置換であってよく、Arが置換基を有する場合、置換基としては好ましくはアルキル基、ハロゲン原子、グリシジルエーテル基、2-メチルグリシジルエーテル基等が挙げられる。好ましくは無置換、あるいはアルキル基、グリシジルエーテル基、2-メチルグリシジルエーテル基である。置換基は芳香環あたり2つ以下であることが好ましく、さらに好ましくは1つ以下であり、特に好ましくは無置換である。
前記Arの構造としては以下のものが特に好ましい。*は結合点を表す。
Figure 0007320805000010
置換基を有するArとしての特に好ましい構造としては、以下の構造が挙げられる。*は結合点を表す。
Figure 0007320805000011
前記一般式(2)で表される構造単位Xにおいて、繰り返し単位n1としては、4~16の整数である。n1が4以上であることで、接着力が向上する上、硬化物の変形モードが弾性変形となる。また、n1が16以下であることで、架橋密度の低下を抑制できる。好ましくは4~15であり、さらに好ましくは6~12である。
前記一般式(2)で表される構造単位Xにおいて、R、Rはそれぞれ独立して水素原子、メチル基又はエチル基であり、R、Rはそれぞれ独立して水酸基、グリシジルエーテル基又は2-メチルグリシジルエーテル基であり、R、Rはそれぞれ独立して水素原子又はメチル基である。
これらの中でも、R、Rとしては、水酸基であることが好ましく、R、Rは水素原子であることが好ましい。
前記一般式(3)で表される構造単位Yにおいて、nは繰り返し単位の平均値で2~30である。この範囲であると、エポキシ樹脂(A)の粘度と得られる硬化物の架橋密度のバランスが良好となる点から好ましい。好ましくは2~25であり、さらに好ましくは4~20である。
前記一般式(3)で表される構造単位Yにおいて、R’は炭素原子数2~12の2価の炭化水素基である。この範囲であると、接着力が向上するうえ、硬化物の変形モードが弾性変形となる。好ましくはR’が炭素原子数2~6の2価の炭化水素基である。
前記2価の炭化水素基としては、特に限定されず、直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、シクロアルキレン基、アリーレン基、アラルキレン基(アルキレン基及びアリーレン基を有する2価の基)などを挙げることができる。
アルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、へキシレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基等が挙げられる。アルケニレン基としては、ビニレン基、1-メチルビニレン基、プロペニレン基、ブテニレン基、ペンテニレン基等が挙げられる。アルキニレン基としては、エチニレン基、プロピニレン基、ブチニレン基、ペンチニレン基、へキシニレン基等が挙げられる。シクロアルキレン基としては、シクロプロピレン基、シクロブチレン基、シクロペンチレン基、シクロへキシレン基等が挙げられる。アリーレン基としては、フェニレン基、トリレン基、キシリレン基、ナフチレン基等が挙げられる。
これらの中でも、原料入手容易性、得られるエポキシ樹脂(A)の粘度、硬化物としたときの柔軟性のバランスの観点から、エチレン基、プロピレン基、テトラメチレン基であることが好ましい。
前記一般式(3)で表される構造単位Yにおいて、R、Rはそれぞれ独立して水酸基、グリシジルエーテル基または2-メチルグリシジルエーテル基であり、R、R10はそれぞれ独立して水素原子またはメチル基である。R、Rとしては、水酸基であることが好ましく、R、R10はとしては水素原子であることが好ましい。
前述の通り、本実施形態で用いるエポキシ樹脂(A)は、前記一般式(1)で表されるものである。前記一般式(1)中のm1、mはそれぞれ前述の構造単位X、構造単位Yの繰り返しの平均値であり、それぞれ独立して0~25であって、かつm1+m≧1である。
また、前記一般式(1)中のR11、R12はそれぞれ独立して、グリシジルエーテル基又は2-メチルグリシジルエーテル基であり、R13、R14はそれぞれ独立して水酸基、グリシジルエーテル基又は2-メチルグリシジルエーテル基であり、R15、R16は水素原子又はメチル基であり、p1、p、qは繰り返しの平均値であって、p1、pはそれぞれ独立して0~5であり、qは0.5~5である。これらの中でも、R11、R12がグリシジルエーテル基であることが好ましく、R13、R14は水酸基であることが好ましく、R15、R16は水素原子であることが好ましい。また、p1、pは0~2であることが好ましく、qは0.5~2であることが好ましい。
更に、本実施形態で用いるエポキシ樹脂(A)のエポキシ当量としては、500~10,000g/eqである。この範囲であることによって、得られる硬化物の柔軟性と架橋密度とのバランスに優れたものとなる。取り扱い上の容易性の観点と、柔軟性・架橋密度のより一層のバランスより、600~8,000g/eqの範囲であることが好ましく、800~5000g/eqの範囲であることがより好ましい。
本実施形態でのエポキシ樹脂(A)の中でも、前記構造単位Xと構造単位Yとの両者を1分子中に有するものとして、例えば以下の構造式の樹脂を挙げることが出来る。
Figure 0007320805000012
Figure 0007320805000013
Figure 0007320805000014
Figure 0007320805000015
Figure 0007320805000016
Figure 0007320805000017
Figure 0007320805000018
Figure 0007320805000019
Figure 0007320805000020
Figure 0007320805000021
Figure 0007320805000022
Figure 0007320805000023
上記各構造式(A-1)~(A-12)において、ranはランダム結合を表し、Gはグリシジル基であり、R’は炭素数2~12の2価の炭化水素基を示し、n1は4~16の整数であり、nは繰り返し単位の平均値で2~30であり、m1、m、p1、p、qは繰り返しの平均値であり、m1、mはそれぞれ独立して0.5~25であり、p1、pはそれぞれ独立して0~5であり、qは0.5~5である。但し、繰り返し単位中に存在する各繰り返し単位はそれぞれ同一であっても異なっていても構わない。
上記各構造式の中でも、得られる硬化物の物性バランスにより優れる観点から、前記構造式(A-1)、(A-2)、(A-3)、(A-5)、(A-7)、(A-8)、(A-9)で表されるものを用いることが最も好ましい。
前記エポキシ樹脂(A)のうち、前述の構造単位Xを有するエポキシ樹脂としては、例えば以下の構造式で表される樹脂を挙げることが出来る。
Figure 0007320805000024
Figure 0007320805000025
Figure 0007320805000026
Figure 0007320805000027
Figure 0007320805000028
Figure 0007320805000029
Figure 0007320805000030
Figure 0007320805000031
Figure 0007320805000032
Figure 0007320805000033
Figure 0007320805000034
Figure 0007320805000035
上記各構造式(A-13)~(A-24)において、Gはグリシジル基であり、n1は4~16の整数であり、m1、p1、p、qは繰り返しの平均値であり、m1は0.5~25であり、p1、pはそれぞれ独立して0~5であり、qは0.5~5である。但し、繰り返し単位中に存在する各繰り返し単位はそれぞれ同一であっても異なっていても構わない。
上記各構造式の中でも、得られる硬化物の物性バランスにより優れる点から、前記構造式(A-13)、(A-14)、(A-15)、(A-17)、(A-19)、(A-20)、(A-21)で表されるものを用いることが好ましい。
前記エポキシ樹脂(A)のうち、前述の構造単位Yを有するエポキシ樹脂としては、例えば以下の構造式で表される樹脂を挙げることが出来る。
Figure 0007320805000036
Figure 0007320805000037
Figure 0007320805000038
Figure 0007320805000039
Figure 0007320805000040
Figure 0007320805000041
Figure 0007320805000042
Figure 0007320805000043
Figure 0007320805000044
Figure 0007320805000045
Figure 0007320805000046
Figure 0007320805000047
上記各構造式(A-25)~(A-36)において、Gはグリシジル基であり、R’は炭素原子数2~12の2価の炭化水素基であり、nは繰り返し単位の平均値で2~30であり、m、p1、p、qは繰り返しの平均値であり、mは0.5~25であり、p1、pはそれぞれ独立して0~5であり、qは0.5~5である。但し、繰り返し単位中に存在する各繰り返し単位はそれぞれ同一であっても異なっていても構わない。
上記各構造式の中でも、得られる硬化物の物性バランスにより優れる点から、前記構造式(A-25)、(A-26)、(A-27)、(A-29)、(A-31)、(A-32)、(A-33)で表されるものを用いることが最も好ましい。
本実施形態で用いる前記エポキシ樹脂(A)の製造方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、アルキレン鎖、ポリエーテル鎖を有するジヒドロキシ化合物のジグリシジルエーテル(a1)と、芳香族ヒドロキシ化合物(a2)とを、モル比(a1)/(a2)が1/1.01~1/5.0の範囲で反応させ、ヒドロキシ化合物〔エポキシ樹脂(A)の前駆体、あるいは中間体に相当〕を得た後、エピハロヒドリン(a3)と反応させる方法が、原料入手や反応が容易である点から好ましい。
前記、アルキレン鎖、ポリエーテル鎖を有するジヒドロキシ化合物のジグリシジルエーテル(a1)と、芳香族ヒドロキシ化合物(a2)とを反応させてヒドロキシ化合物を得る反応で得られる生成物中には、未反応の芳香族ヒドロキシ化合物(a2)が含まれることがあるが、本実施形態で用いるエポキシ樹脂(A)の合成の際には、そのまま次工程であるエピハロヒドリン(a3)との反応に供してもよく、また、当該未反応の芳香族ヒドロキシ化合物(a2)を取り除いても良い。ただし、得られるエポキシ樹脂(A)を含む本実施形態のエポキシ樹脂組成物から得られる硬化物の強靭性と柔軟性のバランスの観点からは、次工程に供するヒドロキシ化合物中の未反応の前記芳香族ヒドロキシ化合物(a2)の存在率は、質量基準で0.1~30%の範囲であることが好ましい。
未反応の前記芳香族ヒドロキシ化合物(a2)の除去方法としては、特に限定されるものではなく、種々の方法に準じて行うことができる。例えば、極性の違いを利用するカラムクロマトグラフィー分離法、沸点の違いを利用する蒸留分留法、アルカリ水への溶解度の違いを利用するアルカリ水溶抽出法などが挙げられる。なかでも、熱変質を伴わないため、アルカリ水溶抽出法が効率などの点で好ましく、この時、目的物を溶解させるために使用する有機溶媒としては、トルエンやメチルイソブチルケトンなど水と混合しないものなら使用可能であるが、目的物との溶解性の観点からメチルイソブチルケトンを用いることが特に好ましい。
前記アルキレン鎖、ポリエーテル鎖を有するジヒドロキシ化合物のジグリシジルエーテル(a1)としては、特に限定されるものではない。例えば、アルキレン鎖を有するジグリシジルエーテルとしては、1,4-ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、1,9-ノナンジオールジグリシジルエーテル、1,11-ウンデカンジオールジグリシジルエーテル、1,12-ドデカンジオールジグリシジルエーテル、1,13-トリデカンジオールジグリシジルエーテル、1,14-テトラデカンジオールジグリシジルエーテル、1,15-ペンタデカンジオールジグリシジルエーテル、1,16-ヘキサデカンジオールジグリシジルエーテル、2-メチル-1,11-ウンデカンジオールジグリシジルエーテル、3-メチル-1,11-ウンデカンジオールジグリシジルエーテル、2,6,10-トリメチル-1,11-ウンデカンジオールジグリシジルエーテル等が挙げられる。またポリエーテル鎖を有するジグリシジルエーテルとしては、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリテトラメチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリペンタメチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリヘキサメチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリヘプタメチレングリコールジグリシジルエーテル等が挙げられる。これらは、ヒドロキシ化合物のグリシジルエーテル化において生成する有機塩素不純物を含有していても良く、下記構造で表される1-クロロメチル-2-グリシジルエーテル(クロルメチル体)等の有機塩素を含有していても良い。これらのジグリシジルエーテルは単独でも、2種類以上を併用しても良い。
Figure 0007320805000048
これらの中でも、得られる硬化物の柔軟性と耐熱性のバランスに優れる点から、1,4-ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、1,9-ノナンジオールジグリシジルエーテル、1,12ドデカンジオールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリテトラメチレングリコールジグリシジルエーテルを用いることが好ましい。
また、前述のアルキレン鎖を有するジグリシジルエーテルとポリエーテル鎖を有するジグリシジルエーテルとを、同時に芳香族ヒドロキシ化合物(a2)と反応させることで、構造単位Xと構造単位Yの両方を有するヒドロキシ化合物を得ることが出来、これを更にエピハロヒドリン(a3)と反応させることで、構造単位Xと構造単位Yの両方を有するエポキシ樹脂(A)を得ることが出来る。
前記芳香族ヒドロキシ化合物(a2)としては、特に限定されるものではなく、例えば、ハイドロキノン、レゾルシン、カテコール等のジヒドロキシベンゼン類、ピロガロール、1,2,4-トリヒドロキシベンゼン、1,3,5-トリヒドロキシベンゼン等のトリヒドロキシベンゼン類、4,4‘,4“-トリヒドロキシトリフェニルメタン等のトリフェニルメタン型フェノール類、1,6-ジヒドロキシナフタレン、2,7-ジヒドロキシナフタレン、1,4-ジヒドロキシナフタレン、1,5-ジヒドロキシナフタレン、2,3-ジヒドロキシナフタレン、2,6-ジヒドロキシナフタレン等のジヒドロキシナフタレン類、ジヒドロキシナフタレン類をカップリング反応させた、1,1‘-メチレンビスー(2,7-ナフタレンジオール)、1,1’-ビナフタレン-2,2‘,7,7’-テトラオール、1,1‘-オキシビスー(2,7-ナフタレンジオール)等の4官能フェノール類、ビス(4-ヒドロキシフェニル)メタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、及び1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-1-フェニルエタン、及びビス(4-ヒドロキシフェニル)スルホン等のビスフェノール類、2,2’―ビフェノール、4,4‘-ビフェノール、(1,1’-ビフェニル)-3,4-ジオール、3,3’-ジメチル-(1,1‘-ビフェニル)-4,4’-ジオール、3-メチル-(1,1‘-ビフェニル)-4,4’-ジオール、3,3’、5,5’-テトラメチルビフェニル-2,2’-ジオール、3,3’、5,5’-テトラメチルビフェニル-4,4’-ジオール、5-メチル-(1,1‘-ビフェニル)-3,4’ジオール、3‘-メチル-(1,1‘-ビフェニル)-3,4’ジオール、4’-メチル-(1,1‘-ビフェニル)-3,4’ジオール等のビフェノール類、フェノールとジシクロペンタジエンとの重付加物、及びフェノールとテルペン系化合物との重付加物等の脂環式構造含有フェノール類、ビス(2-ヒドロキシ-1-ナフチル)メタン、及びビス(2-ヒドロキシ-1-ナフチル)プロパン等のナフトール類、フェノールとフェニレンジメチルクロライド又はビフェニレンジメチルクロライドとの縮合反応生成物である所謂ザイロック型フェノール樹脂が挙げられ、単独でも、2種以上を併用して用いても良い。更に、上記の各化合物の芳香核に置換基としてメチル基、t-ブチル基、又はハロゲン原子が置換した構造の化合物も挙げられる。尚、前記脂環式構造含有フェノール類や、前記ザイロック型フェノール樹脂は、2官能成分のみならず、3官能性以上の成分も同時に存在し得るが、本実施形態ではそのまま用いてもよく、又、カラム等の精製工程を経て、2官能成分のみを取り出して用いても良い。
これらの中でも、硬化物にした際の柔軟性と強靭性のバランスに優れる点からビスフェノール類が好ましく、特に靱性付与の性能が顕著である点からビス(4-ヒドロキシフェニル)メタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパンが好ましい。又、硬化物の硬化性や耐熱性を重視する場合には、ジヒドロキシナフタレン類が好ましく、特に速硬化性の付与が顕著である点から2,7-ジヒドロキシナフタレンが好ましい。又、硬化物の耐湿性を重視する場合には、脂環式構造を含有する化合物を用いることが好ましい。
前記アルキレン鎖、ポリエーテル鎖を有するジヒドロキシ化合物のジグリシジルエーテル(a1)と前記芳香族ヒドロキシ化合物(a2)との反応比率は、反応効率の観点より(a1)/(a2)が1/1.01~1/5.0(モル比)で用いることが好ましく、(a1)/(a2)が1/1.02~1/3.0(モル比)であることがより好ましい。
前記アルキレン鎖、ポリエーテル鎖を有するジヒドロキシ化合物のジグリシジルエーテル(a1)と前記芳香族ヒドロキシ化合物(a2)との反応は、触媒の存在下で行うことが好ましい。前記触媒としては、種々のものが使用でき、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化カルシウム等のアルカリ(土類)金属水酸化物、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属炭酸塩、トリフェニルホスフィン等のリン系化合物、DMP-30、DMAP、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム、ベンジルトリブチルアンモニウム等のクロライド、ブロマイド、ヨーダイド、テトラメチルホスホニウム、テトラエチルホスホニウム、テトラブチルホスホニウム、ベンジルトリブチルホスホニウム等のクロライド、ブロマイド、ヨーダイド等の4級アンモニウム塩、トリエチルアミン、N,N-ジメチルベンジルアミン、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン、1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン等の3級アミン類、2-エチル-4-メチルイミダゾール、2-フェニルイミダゾール等のイミダゾール類等が挙げられる。これらは2種以上の触媒を併用しても構わない。なかでも反応が速やかに進行すること、および不純物量の低減効果が高い点から水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、トリフェニルホスフィン、DMP-30が好ましい。これら触媒の使用量は特に限定されるものではないが、前記芳香族ヒドロキシ化合物(a2)中の芳香族性水酸基1モルに対し0.0001~0.1モル用いるのが好ましい。これら触媒の形態も特に限定されず、水溶液の形態で使用してもよいし、固形の形態で使用しても構わない。
また、前記アルキレン鎖、ポリエーテル鎖を有するジヒドロキシ化合物のジグリシジルエーテル(a1)と前記芳香族ヒドロキシ化合物(a2)との反応は、無溶剤下で、あるいは有機溶剤の存在下で行うことができる。用いうる有機溶剤としては、例えば、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、トルエン、キシレン、メチルイソブチルケトン、ジメチルスルホキシド、プロピルアルコール、ブチルアルコールなどが挙げられる。有機溶剤の使用量としては、仕込んだ原料の総質量に対して通常50~300質量%、好ましくは100~250質量%である。これらの有機溶剤は単独で、あるいは数種類を混合して用いることが出来る。反応を速やかに行うためには無溶媒が好ましく、一方、最終生成物の不純物を低減できる点からはジメチルスルホキシドの使用が好ましい。
前記反応を行う場合の反応温度としては、通常50~180℃、反応時間は通常1~30時間である。最終生成物の不純物を低減できる点からは反応温度は100~160℃が好ましい。また、得られる化合物の着色が大きい場合は、それを抑制するために、酸化防止剤や還元剤を添加しても良い。酸化防止剤としては特に限定されないが、例えば2,6-ジアルキルフェノール誘導体などのヒンダードフェノール系化合物や2価のイオウ系化合物や3価のリン原子を含む亜リン酸エステル系化合物などを挙げることができる。還元剤としては特に限定されないが、例えば次亜リン酸、亜リン酸、チオ硫酸、亜硫酸、ハイドロサルファイトまたはこれら塩などが挙げられる。
前記反応の終了後、反応混合物のpH値が3~7、好ましくは5~7になるまで中和あるいは水洗処理を行うこともできる。中和処理や水洗処理は常法にしたがって行えばよい。例えば塩基性触媒を用いた場合は塩酸、リン酸二水素ナトリウム、p-トルエンスルホン酸、シュウ酸等の酸性物質を中和剤として用いることができる。中和あるいは水洗処理を行った後、必要時には減圧加熱下で溶剤を留去し生成物の濃縮を行い、ヒドロキシ化合物を得ることが出来る。
前記アルキレン鎖を有するグリシジルエーテルと、ポリエーテル鎖を有するグリシジルエーテルとを併用することによって、前記構造単位Xと前記構造単位Yの両方を有するヒドロキシ化合物を得ることが出来るが、この時好ましい構造としては、例えば、以下の構造式で表される化合物を挙げることが出来る。
Figure 0007320805000049
Figure 0007320805000050
Figure 0007320805000051
Figure 0007320805000052
Figure 0007320805000053
Figure 0007320805000054
Figure 0007320805000055
Figure 0007320805000056
Figure 0007320805000057
Figure 0007320805000058
Figure 0007320805000059
Figure 0007320805000060
上記各構造式において、ranはランダム結合を表し、R’は炭素数2~12の2価の炭化水素基であり、n1は4~16の整数であり、nは繰り返し単位の平均値で2~30であり、m1、mは繰り返しの平均値で、それぞれ独立して0.5~25である。但し、繰り返し単位中に存在する各繰り返し単位はそれぞれ同一であっても異なっていても構わない。
また、前記アルキレン鎖を有するグリシジルエーテルを原料とすることにより、前記構造単位Xを有するヒドロキシ化合物を得ることが出来るが、この時好ましい構造としては、例えば、以下の構造式で表される化合物を挙げることが出来る。
Figure 0007320805000061
Figure 0007320805000062
Figure 0007320805000063
Figure 0007320805000064
Figure 0007320805000065
Figure 0007320805000066
Figure 0007320805000067
Figure 0007320805000068
Figure 0007320805000069
Figure 0007320805000070
Figure 0007320805000071
Figure 0007320805000072
上記各構造式において、n1は4~16の整数であり、m1は繰り返しの平均値であり、0.5~25である。
また、前記ポリエーテル鎖を有するグリシジルエーテルを原料とすることにより、前記構造単位Yを有するヒドロキシ化合物を得ることが出来るが、この時好ましい構造としては、例えば、以下の構造式で表される化合物を挙げることが出来る。
Figure 0007320805000073
Figure 0007320805000074
Figure 0007320805000075
Figure 0007320805000076
Figure 0007320805000077
Figure 0007320805000078
Figure 0007320805000079
Figure 0007320805000080
Figure 0007320805000081
Figure 0007320805000082
Figure 0007320805000083
Figure 0007320805000084
上記各構造式において、R’は炭素数2~12の2価の炭化水素基であり、nは繰り返し単位の平均値で2~30であり、mは繰り返しの平均値で0.5~25である。但し、繰り返し単位中に存在する各繰り返し単位はそれぞれ同一であっても異なっていても構わない。
[エポキシ樹脂(A)の製造方法]
前記エポキシ樹脂(A)の製造方法において、前記で得られた前駆体(中間体)ヒドロキシ化合物のグリシジルエーテル化反応の手法については特に限定は無く、フェノール性水酸基とエピハロヒドリンとを反応させる方法や、フェノール性水酸基をオレフィン化し、オレフィンの炭素―炭素二重結合を酸化剤で酸化する方法等が挙げられる。これらの中でも、エピハロヒドリン(a3)を用いる方法が、原料入手や反応が容易である点から好ましい。
エピハロヒドリン(a3)を用いる方法にとしては、例えば、前記で得られたヒドロキシ化合物の芳香族性水酸基1モルに対し、エピハロヒドリン(a3)0.3~100モルを添加し、この混合物に、該ヒドロキシ化合物の芳香族性水酸基1モルに対し0.9~2.0モルの塩基性触媒を一括添加または徐々に添加しながら20~120℃の温度で0.5~10時間反応させる方法が挙げられる。このエピハロヒドリン(a3)の添加量は、エピハロヒドリン(a3)の過剰量が多くなる程、得られるエポキシ樹脂は理論構造に近いものとなり、未反応芳香族性水酸基とエポキシ基との反応で生じる2級水酸基の生成を抑制することができる。かかる観点から中でも2.5~100当量の範囲であることが好ましい。この塩基性触媒は固形でもその水溶液を使用してもよく、水溶液を使用する場合は、連続的に添加すると共に、反応混合物中から減圧下、または常圧下、連続的に水及びエピハロヒドリン(a3)を留出させ、更に分液して水は除去しエピハロヒドリン(a3)は反応混合物中に連続的に戻す方法でもよい。
なお、工業生産を行う際は、エポキシ樹脂生産の初バッチでは仕込みエピハロヒドリン(a3)の全てを新しいものを使用するが、次バッチ以降は、粗反応生成物から回収されたエピハロヒドリン(a3)と、反応で消費される分及び消失する分に相当する新しいエピハロヒドリン(a3)とを併用することが好ましい。この時、使用するエピハロヒドリン(a3)は特に限定されないが、例えばエピクロルヒドリン、エピブロモヒドリン等が挙げられる。なかでも入手が容易なことからエピクロルヒドリンが好ましい。
また、塩基性触媒も特に限定されないが、アルカリ土類金属水酸化物、アルカリ金属炭酸塩及びアルカリ金属水酸化物等が挙げられる。特にエポキシ樹脂合成反応の触媒活性に優れる点からアルカリ金属水酸化物が好ましく、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が挙げられる。使用に際しては、これらのアルカリ金属水酸化物を10~55質量%程度の水溶液の形態で使用してもよいし、固形の形態で使用しても構わない。
また、有機溶媒を併用することにより、エポキシ樹脂の合成における反応速度を高めることができる。このような有機溶媒としては特に限定されないが、例えば、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、メタノール、エタノール、1-プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、1-ブタノール、セカンダリーブタノール、ターシャリーブタノール等のアルコール類、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ等のセロソルブ類、テトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン、1,3-ジオキサン、ジエトキシエタン等のエーテル類、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド等の非プロトン性極性溶媒等が挙げられる。これらの有機溶媒は、それぞれ単独で使用してもよいし、また、極性を調整するために適宜二種以上を併用してもよい。
これらのグリシジル化反応の反応物を水洗後、加熱減圧下、蒸留によって未反応のエピハロヒドリン(a3)や併用する有機溶媒を留去する。また更に加水分解性ハロゲンの少ないエポキシ樹脂とするために、得られたエポキシ樹脂を再びトルエン、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトンなどの有機溶媒に溶解し、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸化物の水溶液を加えてさらに反応を行うこともできる。この際、反応速度の向上を目的として、4級アンモニウム塩やクラウンエーテル等の相間移動触媒を存在させてもよい。
相間移動触媒を使用する場合のその使用量としては、用いるエポキシ樹脂に対して0.1~3.0質量%の範囲が好ましい。反応終了後、生成した塩を濾過、水洗などにより除去し、更に、加熱減圧下トルエン、メチルイソブチルケトンなどの溶剤を留去することにより高純度のエポキシ樹脂を得ることができる。
本実施形態では、エポキシ樹脂組成物を硬化して得られる硬化物において、より一層の柔軟性を付与し、後述する化合物(C)による易解体性発現を容易にする観点から、硬化物が相分離構造になることが好ましい。この観点より、前記エポキシ樹脂(A)にエポキシ当量が100~300g/eqのエポキシ樹脂(B)を併用することに特徴がある
[エポキシ化合物B]
本実施形態に係るエポキシ樹脂(B)としては、そのエポキシ当量が100~300g/eqの範囲であればよく、その構造としては限定されない。例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂、ポリヒドロキシベンゼン型エポキシ樹脂、ポリヒドロキシナフタレン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、テトラメチルビフェニル型エポキシ樹脂等の液状エポキシ樹脂、ブロム化フェノールノボラック型エポキシ樹脂等の臭素化エポキシ樹脂、固形ビスフェノールA型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、トリフェニルメタン型エポキシ樹脂、テトラフェニルエタン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン-フェノール付加反応型エポキシ樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、フェニレンエーテル型エポキシ樹脂、ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂、ナフトールノボラック型エポキシ樹脂、ナフトールアラルキル型エポキシ樹脂、ナフトール-フェノール共縮ノボラック型エポキシ樹脂、ナフトール-クレゾール共縮ノボラック型エポキシ樹脂、芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂変性フェノール樹脂型エポキシ樹脂、ビフェニル変性ノボラック型エポキシ樹脂等が挙げられ、単独でも、2種以上を併用してもよく、目的とする用途や硬化物の物性等に応じて種々選択して用いることが好ましい。
これらの中でも、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂、ポリヒドロキシベンゼン型エポキシ樹脂、ポリヒドロキシナフタレン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、テトラメチルビフェニル型エポキシ樹脂等の液状エポキシ樹脂のうちエポキシ当量が100~300g/eqであるエポキシ樹脂を用いることが好ましく、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂のうちエポキシ当量が100~300g/eqであるエポキシ樹脂を用いることが特に好ましい。
本実施形態において、前記エポキシ樹脂(A)と前記エポキシ樹脂(B)との使用割合としては、特に限定はないが、硬化物中に相分離しやすい観点から、エポキシ樹脂(A)とエポキシ樹脂(B)との質量比率(A):(B)が97:3~3:97であり、好ましくは10:90~90:10、特に好ましくは80:20~20:80である。硬化物中で相分離することで、海島構造となり、硬化物の接着性と応力緩和能が両立され、特に広い温度領域で高い接着力を発揮し、且つ、樹脂組成物の加熱硬化前後における成形収縮率を低減する効果を有する。
なお、後述のアントラセン二量体骨格を有する化合物(C)がエポキシ基含有基を有する場合、本実施形態に係るエポキシ樹脂(B)は、アントラセン二量体骨格を有する化合物(C)を含まないこととする。
[アントラセン二量体骨格を有する化合物(C)]
アントラセン二量体骨格を含む化合物(C)は、分子中に1のみのアントラセン二量体骨格を含んでいてもよいし、分子中に2以上(例えば2から4)のアントラセン二量体骨格を含んでいてもよい。前記化合物(C)が、分子中に2以上のアントラセン二量体骨格を含むことで、より良好な易解体性が得られると考えられる。前記化合物(C)が、2つ以上のエポキシ基含有基、又は2つ以上の硬化性基含有基を有する。
前記エポキシ基含有基としては、一般式-L-Eで表される基(Lは単結合または2価の連結基、Eはエポキシ基)を挙げることができる。Lの2価の連結基は特に限定されない。Lは、アルキレン基、シクロアルキレン基、アリーレン基、エーテル基、カルボニル基、カルボキシ基(-COOまたは-OCO-)、スルフィド基、これら基から選ばれる2種以上の基を連結して構成される2価の基などであることができる。Lは、例えば炭素数1から10の2価の有機基である。
前記硬化性基含有基の硬化性基としては、エポキシ基と反応しうる置換基が挙げられる。硬化性基含有基は、アミノ基含有基、ヒドロキシ基含有基、カルボキシル基含有基、酸無水物基含有基、アミド基含有基、イミド基含有基、チオール基含有基、エステル基含有基、マレイミド基含有基等からなる群より選ばれる少なくともいずれかであることが好ましく、より好ましくはアミノ基含有基、ヒドロキシ基含有基、カルボキシル基含有基である。
前記エポキシ基含有基及び前記硬化性基含有基の好ましい形態及び具体例は、後述の一般式(I-1)及び(I-2)を用いて詳細に説明する。
(アントラセン二量体骨格を含む化合物(C―i1))
アントラセン二量体骨格を含む化合物(C)としては、以下の一般式(I-1)で表されるアントラセン二量体骨格を含む化合物(C―i1)(以後、単に、「化合物(C―i1)」ということがある。)が好ましい。
Figure 0007320805000085
一般式(I-1)中、複数のR1aはそれぞれ独立に水素原子または1価の置換基を表し、ただし少なくとも1つのR1aはエポキシ基含有基であり、複数のR2aはそれぞれ独立に水素原子または1価の置換基を表し、ただし少なくとも1つのR2aはエポキシ基含有基である。
接着性と易解体性の両立の観点から、R1aのうち1から3個がエポキシ基含有基であることが好ましく、R1aのうち1から2個がエポキシ基含有基であることがより好ましく、R1aのうち1個がエポキシ基含有基であることがさらに好ましい。同様に、R2aのうち1から3個がエポキシ基含有基であることが好ましく、R2aのうち1から2個がエポキシ基含有基であることがより好ましく、R2aのうち1個がエポキシ基含有基であることがさらに好ましい。
1aおよびR2aのエポキシ基含有基としては、一般式-L-Eで表される基(Lは単結合または2価の連結基、Eはエポキシ基)を挙げることができる。Lの2価の連結基は特に限定されない。Lは、アルキレン基、シクロアルキレン基、アリーレン基、エーテル基、カルボニル基、カルボキシ基(-COOまたは-OCO-)、スルフィド基、これら基から選ばれる2種以上の基を連結して構成される2価の基などであることができる。Lは、例えば炭素数1から10の2価の有機基である。一般式(I-1)中には複数個のLが存在しうるが、それらのLは互いに同一であっても異なっていてもよい。
1aがエポキシ基含有基ではない場合、R1aは水素原子または1価の置換基である。1価の置換基としては、アルキル基、アルコキシ基、シクロアルキル基、アリール基、アルケニル基、アルキニル基、アリールオキシ基、アミノ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、シアノ基、ニトロ基、シリル基、ハロゲノ基(例えばフルオロ基)等が挙げられる。原料の入手容易性などの観点では、R1aは水素原子であることが好ましい。R2aがエポキシ基含有基ではない場合のR2aの具体的態様は、R1aと同様である。
原料の入手性や合成の容易性の観点から、エポキシ基含有基は、一般式(I-1)における上下の各アントラセン構造における1位、2位または9位に置換していることが好ましい。具体的には、一般式(I-1)において、以下の丸で囲われたR1aおよびR2aがエポキシ基含有基であることが好ましい。これらの中でも、二量化の際の立体障害なども考慮すると、最初の3つの置換位置が好ましく挙げられる。
また、解体処理前(第2の熱処理前)における接着強度をより高める点では、エポキシ基含有基は、一般式(I-1)における上下の各アントラセン構造における1位または2位に置換していることが好ましく、2位に置換していることがより好ましい。本発明者の知見などによれば、エポキシ基含有基が一般式(I-1)における上下の各アントラセン構造における1位または2位に置換している場合、エポキシ基含有基が一般式(I-1)における上下の各アントラセン構造における9位に置換している場合と比べて、二量体の分解温度が高くなる傾向がある。よって、被着体の接着(第1の熱処理)の際の、アントラセン二量体骨格の分解が抑えられて、結果、接着強度がより高まると推測される。
Figure 0007320805000086
Figure 0007320805000087
Figure 0007320805000088
Figure 0007320805000089
また、前記化合物(C―i1)は、エポキシ基含有基の置換位置が異なる複数種の化合物の混合物であってもよい。
前記化合物(C―i1)の具体例としては、以下に挙げるアントラセン単量体が光化学反応により二量化したものを挙げることができる。
Figure 0007320805000090
は水素原子またはメチル基を表す。
また、特開2010-270022号公報(高屈折率材料に関する文献であり、易解体性接着技術に関する文献ではない)に記載の以下化合物も、前記化合物(C―i1)の具体例として挙げることができる。
Figure 0007320805000091
(アントラセン二量体骨格を含む化合物(C―i2))
アントラセン二量体骨格を含む化合物(C)としては、以下一般式(I-2)で表されるアントラセン二量体骨格を含む化合物(C―i2)(以後、単に、「化合物(C―i2)」ということがある。)が好ましい。
Figure 0007320805000092
一般式(I-2)中、複数のR11aはそれぞれ独立に水素原子または1価の置換基を表し、ただし少なくとも1つのR11aは、硬化性基含有基であり、複数のR21aはそれぞれ独立に水素原子または1価の置換基を表し、ただし少なくとも1つのR21aは、硬化性基含有基である。硬化性基含有基は、アミノ基含有基、ヒドロキシ基含有基およびカルボキシ基含有基からなる群より選ばれる少なくともいずれかであることが好ましい。
接着性と易解体性の両立の観点から、R11aのうち1から3個が硬化性基含有基であることが好ましく、R11aのうち1から2個が硬化性基含有基であることがより好ましく、R11aのうち1個が硬化性基含有基であることがさらに好ましい。同様に、R21aのうち1から3個が硬化性基含有基であることが好ましく、R21aのうち1から2個が硬化性基含有基であることがより好ましく、R21aのうち1個が硬化性基含有基であることがさらに好ましい。
11aおよびR21aの硬化性基含有基としては、一般式-L-Zで表される基(Lは単結合または2価の連結基、Zはアミノ基、ヒドロキシ基またはカルボキシ基)を挙げることができる。Lの2価の連結基は特に限定されない。Lは、アルキレン基、シクロアルキレン基、アリーレン基、エーテル基、カルボニル基、カルボキシ基(-COOまたは-OCO-)、スルフィド基、これら基から選ばれる2種以上の基を連結して構成される2価の基などであることができる。Lは、例えば炭素数1から10の2価の有機基である。一般式(I-2)中には複数個のLが存在しうるが、それらのLは互いに同一であっても異なっていてもよい。
11aが硬化性基含有基ではない場合、R11aは水素原子または1価の置換基である。1価の置換基としては、アルキル基、アルコキシ基、シクロアルキル基、アリール基、アルケニル基、アルキニル基、アリールオキシ基、アミノ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、シアノ基、ニトロ基、シリル基、ハロゲノ基(例えばフルオロ基)等が挙げられる。原料の入手容易性などの観点では、R11aは水素原子であることが好ましい。
21aが硬化性基含有基ではない場合のR2aの具体的態様は、R11aと同様である。
原料の入手性や合成の容易性の観点から、硬化性基含有基は、一般式(I-2)における上下の各アントラセン構造における1位、2位または9位に置換していることが好ましい。具体的な置換位置については一般式(I-1)で丸を囲って説明したとおりである(R1aをR11aに、R2aをR21aに読み替え)。また、解体処理前(第2の加熱前)における接着強度をより高める点では、硬化性基含有基は、一般式(I-1)における上下の各アントラセン構造における1位または2位に置換していることが好ましく、2位に置換していることがより好ましい。本発明者の知見などによれば、硬化性基含有基が一般式(I-1)における上下の各アントラセン構造における1位または2位に置換している場合、硬化性基含有基が一般式(I-1)における上下の各アントラセン構造における9位に置換している場合と比べて、二量体の分解温度が高くなる傾向がある。よって、被着体の接着(第1の熱処理)の際の、アントラセン二量体骨格の分解が抑えられて、結果、接着強度がより高まると推測される。
念のため述べておくと、アントラセン二量体骨格を含む硬化剤(b1)は、硬化性基含有基の置換位置が異なる複数種の硬化剤の混合物であってもよい。
アントラセン二量体骨格を含む硬化剤(b1)の具体例としては、以下に挙げるアントラセン単量体が光化学反応により二量化したものを挙げることができる。
Figure 0007320805000093
Figure 0007320805000094
Figure 0007320805000095
Figure 0007320805000096
以下において、nは例えば6から12の整数である。
Figure 0007320805000097
Figure 0007320805000098
Figure 0007320805000099
本実施形態のエポキシ樹脂組成物において、前記化合物(C)の配合量としては、本実施形態のエポキシ樹脂組成物を硬化させる際の接着性や硬化物の柔軟性を損なうことなく、使用後の解体時に十分に膨張して接着性を低下させる効果を発現させる観点から、前記エポキシ樹脂(A)と前記エポキシ樹脂(B)との合計100質量部に対して3~40質量部の範囲で用いることが好ましく、特に5~30質量部の範囲で用いることが好ましい。
[硬化剤(D)]
本実施形態のエポキシ樹脂組成物としては、更に一般的なエポキシ樹脂と反応可能な硬化剤(D)を含むことが好ましい。
前記硬化剤(D)としては、特に限定されるものではなく、例えば、アミン化合物、酸無水物、アミド化合物、フェノ-ル性水酸基含有化合物、カルボン酸系化合物や、前述のエポキシ樹脂(A)の前駆体であるヒドロキシ化合物などが挙げられる。
前記アミン化合物としては、例えば、トリメチレンジアミン、エチレンジアミン、N,N,N’,N’-テトラメチルエチレンジアミン、ペンタメチルジエチレントリアミン、トリエチレンジアミン、ジプロピレンジアミン、N,N,N’,N’-テトラメチルプロピレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、トリメチルヘキサメチレンジアミン、N,N,N’,N’-テトラメチルヘキサメチレンジアミン、N,N-ジメチルシクロヘキシルアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ジメチルアミノプロピルアミン、ジエチルアミノプロピルアミン、ジブチルアミノプロピルアミン、1,4-ジアザビシクロ(2,2,2)オクタン(トリエチレンジアミン)、ポリオキシエチレンジアミン、ポリオキシプロピレンジアミン、ビス(2-ジメチルアミノエチル)エーテル、ジメチルアミノエトキシエトキシエタノール、トリエタノールアミン、ジメチルアミノヘキサノール、ベンジルメチルアミン、ジメチルベンジルアミン、m-キシレンジアミン(メタキシリレンジアミン)等の脂肪族アミン化合物;
ピペリジン、ピペラジン、メンタンジアミン、イソホロンジアミン、メチルモルホリン、エチルモルホリン、N,N’,N”-トリス(ジメチルアミノプロピル)ヘキサヒドロ-s-トリアジン、3,9-ビス(3-アミノプロピル)-2,4,8,10-テトラオキシスピロ(5,5)ウンデカンアダクト、N-アミノエチルピペラジン、トリメチルアミノエチルピペラジン、ビス(4-アミノシクロヘキシル)メタン、N,N’-ジメチルピペラジン、1,8-ジアザビシクロ-[5.4.0]-ウンデセン(DBU)等の脂環式及び複素環式アミン化合物;
o-フェニレンジアミン、m-フェニレンジアミン、p-フェニレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルホン、ピリジン、ピコリン、α-メチルベンジルメチルアミン等の芳香族アミン化合物;
エポキシ化合物付加ポリアミン、マイケル付加ポリアミン、マンニッヒ付加ポリアミン、チオ尿素付加ポリアミン、ケトン封鎖ポリアミン、ジシアンジアミド、グアニジン、有機酸ヒドラジド、ジアミノマレオニトリル、アミンイミド、三フッ化ホウ素-ピペリジン錯体、三フッ化ホウ素-モノエチルアミン錯体等の変性アミン化合物等が挙げられる。
前記酸無水物としては、無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、無水マレイン酸、無水マレイン酸ポリプロピレングリコール、テトラヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、無水メチルナジック酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸などが挙げられる。
前記フェノ-ル性水酸基含有化合物としては、ビスフェノール類化合物、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂変性フェノール樹脂、ジシクロペンタジエンフェノール付加型樹脂、フェノールアラルキル樹脂(ザイロック樹脂)、ナフトールアラルキル樹脂、トリメチロールメタン樹脂、テトラフェニロールエタン樹脂、ナフトールノボラック樹脂、ナフトール-フェノール共縮ノボラック樹脂、ナフトール-クレゾール共縮ノボラック樹脂、ビフェニル変性フェノール樹脂(ビスメチレン基でフェノール核が連結された多価フェノール化合物)、ビフェニル変性ナフトール樹脂(ビスメチレン基でフェノール核が連結された多価ナフトール化合物)、アミノトリアジン変性フェノール樹脂(メラミン、ベンゾグアナミンなどでフェノール核が連結された多価フェノール化合物)やアルコキシ基含有芳香環変性ノボラック樹脂(ホルムアルデヒドでフェノール核及びアルコキシ基含有芳香環が連結された多価フェノール化合物)等の多価フェノール化合物が挙げられる。
前記ビスフェノール類化合物としては、例えば、ビス(4-ヒドロキシフェニル)メタン(ビスフェノールF)、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)、2,2-ビス(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、及び1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-1-フェニルエタン、及びビス(4-ヒドロキシフェニル)スルホン(ビスフェノールS)等が挙げあれる。
前記アミド系化合物としては、例えばジシアンジアミドやポリアミドアミン等が挙げられる。前記ポリアミドアミンは、例えば、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸等の脂肪族ジカルボン酸や、脂肪酸、ダイマー酸等のカルボン酸化合物と、脂肪族ポリアミンやポリオキシアルキレン鎖を有するポリアミン等を反応させて得られるものが挙げられる。
前記カルボン酸化合物としては、カルボン酸末端ポリエステル、ポリアクリル酸、マレイン酸変性ポリプロピレングリコール等のカルボン酸ポリマ等が挙げられる。
これらの硬化剤を用いる場合、硬化剤は1種類のみで用いてもよく、2種以上を混合してもよい。例えば、ジシアンジアミドなどの前記アミン系化合物とビスフェノールFなどの前記フェノ-ル性水酸基含有化合物を混合してもよい。尚、アンダーフィル材等の用途や一般塗料用途においては、前記アミン系化合物、カルボン酸系化合物、及びまたは酸無水物系化合物を用いることが好ましい。また、接着剤やフレキシブル配線基板用途においてはアミン系化合物、特にジシアンジアミドが作業性、硬化性、長期安定性の点から好ましい。また、半導体封止材料用途においては硬化物の耐熱性の点から固形タイプのフェノール系化合物が好ましい。
なお、本実施形態のアントラセン二量体骨格を有する化合物(C)が硬化性基含有基を有する場合、本実施形態の硬化剤(D)が、前記化合物(C)を含まないこととする。
[硬化促進剤]
また、本実施形態のエポキシ樹脂組成物には、硬化促進剤を含んでいてもよい。前記硬化促進剤としては種々のものが使用できるが、例えば、ウレア化合物、リン化合物、第3級アミン、イミダゾール、イミダゾリン、有機酸金属塩、ルイス酸、アミン錯塩等が挙げられる。接着剤用途として使用する場合には、作業性、低温硬化性に優れる点から、ウレア化合物、特に3-(3,4-ジクロロフェニル)-1,1-ジメチルウレア(DCMU)が好ましい。半導体封止材料用途として使用する場合には、硬化性、耐熱性、電気特性、耐湿信頼性等に優れる点から、リン系化合物ではトリフェニルホスフィン、第3級アミンでは1,8-ジアザビシクロ-[5.4.0]-ウンデセンが好ましい。
前記リン化合物としては、例えば、エチルホスフィン、ブチルホスフィン等のアルキルホスフィン、フェニルホスフィン等の第1ホスフィン;ジメチルホスフィン、ジプロピルホスフィン等のジアルキルホスフィン;ジフェニルホスフィン、メチルエチルホスフィン等の第2ホスフィン;トリメチルホスフィン、トリエチルホスフィン、トリフェニルホスフィン等の第3ホスフィン等が挙げられる。
前記第3級アミンとしては、トリエチルアミン、N,N-ジメチルベンジルアミン、N,N-ジエチルベンジルアミン、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン、1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン等の3級アミン類等が挙げられる。
前記イミダゾールとしては、例えば、イミダゾール、1-メチルイミダゾール、2-メチルイミダゾール、3-メチルイミダゾール、4-メチルイミダゾール、5-メチルイミダゾール、1-エチルイミダゾール、2-エチルイミダゾール、3-エチルイミダゾール、4-エチルイミダゾール、5-エチルイミダゾール、1-n-プロピルイミダゾール、2-n-プロピルイミダゾール、1-イソプロピルイミダゾール、2-イソプロピルイミダゾール、1-n-ブチルイミダゾール、2-n-ブチルイミダゾール、1-イソブチルイミダゾール、2-イソブチルイミダゾール、2-ウンデシル-1H-イミダゾール、2-ヘプタデシル-1H-イミダゾール、1,2-ジメチルイミダゾール、1,3-ジメチルイミダゾール、2,4-ジメチルイミダゾール、2-エチル-4-メチルイミダゾール、1-フェニルイミダゾール、2-フェニル-1H-イミダゾール、4-メチル-2-フェニル-1H-イミダゾール、2-フェニル-4-メチルイミダゾール、1-ベンジル-2-メチルイミダゾール、1-ベンジル-2-フェニルイミダゾール、1-シアノエチル-2-メチルイミダゾール、1-シアノエチル-2-エチル-4-メチルイミダゾール、1-シアノエチル-2-ウンデシルイミダゾール、1-シアノエチル-2-フェニルイミダゾール、2-フェニルイミダゾールイソシアヌル酸付加物、2-メチルイミダゾールイソシアヌル酸付加物、2-フェニル-4,5-ジヒドロキシメチルイミダゾール、2-フェニル-4-メチル-5-ヒドロキシメチルイミダゾール、1-シアノエチル-2-フェニル-4,5-ジ(2-シアノエトキシ)メチルイミダゾール、1-ドデシル-2-メチル-3-ベンジルイミダゾリウムクロライド、1-ベンジル-2-フェニルイミダゾール塩酸塩等が挙げられる
前記イミダゾリン化合物は、例えば、2-メチルイミダゾリン、2-フェニルイミダゾリン等が挙げられる。
前記ウレア化合物としては、例えば、p-クロロフェニル-N,N-ジメチル尿素、3-フェニル-1,1-ジメチル尿素、3-(3,4-ジクロロフェニル)-N,N-ジメチル尿素、N-(3-クロロ-4-メチルフェニル)-N’,N’-ジメチル尿素等が挙げられる。
なお、本実施形態のアントラセン二量体骨格を有する化合物(C)が硬化促進剤の機能を有する場合でも、本実施形態の硬化促進剤が、前記化合物(C)を含まないこととする。
[その他の成分]
本実施形態のエポキシ樹脂組成物には、前記エポキシ樹脂(A)、前記エポキシ樹脂(B)以外に、本実施形態の効果を損なわない範囲において、その他のエポキシ樹脂を併用しても良い。このとき、本実施形態のエポキシ樹脂組成物中におけるエポキシ樹脂(A)とエポキシ樹脂(B)の総量が、全エポキシ樹脂中30質量%以上であることが好ましく、特に40質量%以上であることが好ましい。
併用できるエポキシ樹脂としては、エポキシ樹脂(A)、エポキシ樹脂(B)に属さない以外なんら制限されるものではなく、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂、ポリヒドロキシベンゼン型エポキシ樹脂、ポリヒドロキシナフタレン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、テトラメチルビフェニル型エポキシ樹脂等の液状エポキシ樹脂、ブロム化フェノールノボラック型エポキシ樹脂等の臭素化エポキシ樹脂、固形ビスフェノールA型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、トリフェニルメタン型エポキシ樹脂、テトラフェニルエタン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン-フェノール付加反応型エポキシ樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、フェニレンエーテル型エポキシ樹脂、ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂、ナフトールノボラック型エポキシ樹脂、ナフトールアラルキル型エポキシ樹脂、ナフトール-フェノール共縮ノボラック型エポキシ樹脂、ナフトール-クレゾール共縮ノボラック型エポキシ樹脂、芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂変性フェノール樹脂型エポキシ樹脂、ビフェニル変性ノボラック型エポキシ樹脂等が挙げられ、単独でも、2種以上を併用してもよく、目的とする用途や硬化物の物性等に応じて種々選択して用いることが好ましい。
本実施形態のエポキシ樹脂組成物中におけるエポキシ樹脂と硬化剤との使用量としては、特に制限されるものではないが、得られる硬化物の機械的物性等が良好である点から、エポキシ樹脂組成物中のエポキシ基の合計1当量に対して、硬化剤中の活性基(硬化性基)が0.4~2.0当量になる量が好ましい。
本実施形態のエポキシ樹脂組成物中に含まれている化合物(C)がエポキシ基含有基を有する場合、例えば、本実施形態のエポキシ樹脂組成物中に含まれている化合物(C-I1)である実施形態では、前記硬化剤の使用量はとして、エポキシ樹脂組成物中のエポキシ基の合計1当量に対して、硬化剤中の活性基が0.4~2.0当量になる量が好ましい。前記ポキシ樹脂組成物中のエポキシ基の合計としては、本実施形態のエポキシ樹脂組成物中に含まれているエポキシ樹脂A、エポキシ樹脂B,化合物(C-I1)、及びその他任意で配合したそれらの以外のエポキシ樹脂のエポキシ基の合計である。
本実施形態のエポキシ樹脂組成物中に含まれている化合物(C)が硬化性基含有基を有する場合、例えば、本実施形態のエポキシ樹脂組成物中に含まれている化合物(C-I2)である実施形態では、前記硬化剤の使用量はとして、エポキシ樹脂組成物中のエポキシ基の合計1当量に対して、硬化剤中の活性基と化合物(C-I2)中の硬化性基の合計が0.4~2.0当量になる量が好ましい。
なお、エポキシ基と硬化性基が反応した際、ヒドロキシル基など、エポキシ基や硬化性基と反応しうる新たな活性基が生じる。そのため、樹脂組成物中のエポキシ基もしくは硬化性基のいずれかが過剰であった場合も、それらは新たに生じた活性基との反応が進行する。これにより、性能低下に繋がる未反応成分を低減することができる。
本実施形態のエポキシ樹脂組成物は、更に前記化合物(C)に属さないフィラーを含有してもよい。フィラーとしては、無機フィラーと有機フィラーが挙げられる。無機フィラーとしては、例えば無機微粒子が挙げられる。
無機微粒子としては、例えば、耐熱性に優れるものとしては、アルミナ、マグネシア、チタニア、ジルコニア、シリカ(石英、ヒュームドシリカ、沈降性シリカ、無水ケイ酸、溶融シリカ、結晶性シリカ、超微粉無定型シリカ等)等;熱伝導に優れるものとしては、窒化ホウ素、窒化アルミ、酸化アルミナ、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化ケイ素、ダイヤモンド等;導電性に優れるものとしては、金属単体又は合金(例えば、鉄、銅、マグネシウム、アルミニウム、金、銀、白金、亜鉛、マンガン、ステンレスなど)を用いた金属フィラー及び/又は金属被覆フィラー、;バリア性に優れるものとしては、マイカ、クレイ、カオリン、タルク、ゼオライト、ウォラストナイト、スメクタイト等の鉱物等やチタン酸カリウム、硫酸マグネシウム、セピオライト、ゾノライト、ホウ酸アルミニウム、炭酸カルシウム、酸化チタン、硫酸バリウム、酸化亜鉛、水酸化マグネシウム;屈折率が高いものとしては、チタン酸バリウム、酸化ジルコニア、酸化チタン等;光触媒性を示すものとしては、チタン、セリウム、亜鉛、銅、アルミニウム、錫、インジウム、リン、炭素、イオウ、ルテニウム、ニッケル、鉄、コバルト、銀、モリブデン、ストロンチウム、クロム、バリウム、鉛等の光触媒金属、前記金属の複合物、それらの酸化物等;耐摩耗性に優れるものとしては、シリカ、アルミナ、ジルコニア、酸化マグネシウム等の金属、及びそれらの複合物及び酸化物等;導電性に優れるものとしては、銀、銅などの金属、酸化錫、酸化インジウム等;絶縁性に優れるものとしては、シリカ等;紫外線遮蔽に優れるものとしては、酸化チタン、酸化亜鉛等である。これらの無機微粒子は、用途によって適時選択すればよく、単独で使用しても、複数種組み合わせて使用してもかまわない。また、上記無機微粒子は、例に挙げた特性以外にも様々な特性を有することから、適時用途に合わせて選択すればよい。
例えば無機微粒子としてシリカを用いる場合、特に限定はなく粉末状のシリカやコロイダルシリカなど公知のシリカ微粒子を使用することができる。市販の粉末状のシリカ微粒子としては、例えば、日本アエロジル(株)製アエロジル50、200、旭硝子(株)製シルデックスH31、H32、H51、H52、H121、H122、日本シリカ工業(株)製E220A、E220、富士シリシア(株)製SYLYSIA470、日本板硝子(株)製SGフレ-ク等を挙げることができる。
また、市販のコロイダルシリカとしては、例えば、日産化学工業(株)製メタノ-ルシリカゾル、IPA-ST、MEK-ST、NBA-ST、XBA-ST、DMAC-ST、ST-UP、ST-OUP、ST-20、ST-40、ST-C、ST-N、ST-O、ST-50、ST-OL等を挙げることができる。
表面修飾をしたシリカ微粒子を用いてもよく、例えば、前記シリカ微粒子を、疎水性基を有する反応性シランカップリング剤で表面処理したものや、(メタ)アクリロイル基を有する化合物で修飾したものがあげられる。(メタ)アクリロイル基を有する化合物で修飾した市販の粉末状のシリカとしては、日本アエロジル(株)製アエロジルRM50、R711等、(メタ)アクリロイル基を有する化合物で修飾した市販のコロイダルシリカとしては、日産化学工業(株)製MIBK-SD等が挙げられる。
前記シリカ微粒子の形状は特に限定はなく、球状、中空状、多孔質状、棒状、板状、繊維状、または不定形状のものを用いることができる。また一次粒子径は、5~200nmの範囲が好ましい。
酸化チタン微粒子としては、体質顔料のみならず紫外光応答型光触媒が使用でき、例えばアナターゼ型酸化チタン、ルチル型酸化チタン、ブルッカイト型酸化チタンなどが使用できる。更に、酸化チタンの結晶構造中に異種元素をドーピングさせて可視光に応答させるように設計された粒子についても用いることができる。酸化チタンにドーピングさせる元素としては、窒素、硫黄、炭素、フッ素、リン等のアニオン元素や、クロム、鉄、コバルト、マンガン等のカチオン元素が好適に用いられる。また、形態としては、粉末、有機溶媒中もしくは水中に分散させたゾルもしくはスラリーを用いることができる。市販の粉末状の酸化チタン微粒子としては、例えば、日本アエロジル(株)製アエロジルP5、テイカ(株)製ATM100等を挙げることができる。また、市販のスラリー状の酸化チタン微粒子としては、例えば、テイカ(株)TKD-701等が挙げられる。
本実施形態のエポキシ樹脂組成物は、更に繊維質基質を含有してもよい。前記繊維質基質は、特に限定はないが、繊維強化樹脂に用いられるものが好ましく、無機繊維や有機繊維が挙げられる。
無機繊維としては、カーボン繊維、ガラス繊維、ボロン繊維、アルミナ繊維、炭化ケイ素繊維等の無機繊維のほか、炭素繊維、活性炭繊維、黒鉛繊維、タングステンカーバイド繊維、シリコンカーバイド繊維(炭化ケイ素繊維)、セラミックス繊維、天然繊維、玄武岩などの鉱物繊維、窒化ホウ素繊維、炭化ホウ素繊維、及び金属繊維等を挙げることができる。上記金属繊維としては、例えば、アルミニウム繊維、銅繊維、黄銅繊維、ステンレス繊維、スチール繊維を挙げることができる。
有機繊維としては、ポリベンザゾール、アラミド、PBO(ポリパラフェニレンベンズオキサゾール)、ポリフェニレンスルフィド、ポリエステル、アクリル、ポリアミド、ポリオレフィン、ポリビニルアルコール、ポリアリレート等の樹脂材料からなる合成繊維や、セルロース、パルプ、綿、羊毛、絹といった天然繊維、タンパク質、ポリペプチド、アルギン酸等の再生繊維等を挙げる事ができる。
中でも、カーボン繊維とガラス繊維は、産業上利用範囲が広いため、好ましい。これらのうち、一種類のみ用いてもよく、複数種を同時に用いてもよい。
前記繊維質基質は、繊維の集合体であってもよく、繊維が連続していても、不連続状でもかまわず、織布状であっても、不織布状であってもかまわない。また、繊維を一方方向に整列した繊維束でもよく、繊維束を並べたシート状であってもよい。また、繊維の集合体に厚みを持たせた立体形状であってもかまわない。
[分散媒]
本実施形態のエポキシ樹脂組成物は、樹脂組成物の固形分量や粘度を調整する目的として、分散媒を使用してもよい。分散媒としては、本発明の効果を損ねることのない液状媒体であればよく、各種有機溶剤、液状有機ポリマー等が挙げられる。
前記有機溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン(MIBK)等のケトン類、テトラヒドロフラン(THF)、ジオキソラン等の環状エーテル類、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、トルエン、キシレン等の芳香族類、カルビトール、セロソルブ、メタノール、イソプロパノール、ブタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテルなどのアルコール類が挙げられ、これらを単独又は併用して使用可能であるが、中でもメチルエチルケトンが塗工時の揮発性や溶媒回収の面から好ましい。
前記液状有機ポリマーとは、硬化反応に直接寄与しない液状有機ポリマーであり、例えば、カルボキシル基含有ポリマー変性物(フローレンG-900、NC-500:共栄社)、アクリルポリマー(フローレンWK-20:共栄社)、特殊変性燐酸エステルのアミン塩(HIPLAAD ED-251:楠本化成)、変性アクリル系ブロック共重合物(DISPERBYK2000;ビックケミー)などが挙げられる。
[その他の樹脂]
また、本実施形態の樹脂組成物は、本実施形態の前述した各種化合物以外の樹脂を有していてもよい。樹脂としては、本実施形態の効果を損なわない範囲であれば公知慣用の樹脂を配合すればよく、例えば熱硬化性樹脂や熱可塑性樹脂を用いることができる。
熱硬化性樹脂とは、加熱または放射線や触媒などの手段によって硬化される際に実質的に不溶かつ不融性に変化し得る特性を持った樹脂である。その具体例としては、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、アルキド樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、ジアリルテレフタレート樹脂、シリコーン樹脂、ウレタン樹脂、フラン樹脂、ケトン樹脂、キシレン樹脂、熱硬化性ポリイミド樹脂、ベンゾオキサジン樹脂、活性エステル樹脂、アニリン樹脂、シアネートエステル樹脂、スチレン・無水マレイン酸(SMA)樹脂、マレイミド樹脂などが挙げられる。これらの熱硬化性樹脂は1種または2種以上を併用して用いることができる。
熱可塑性樹脂とは、加熱により溶融成形可能な樹脂を言う。その具体例としてはポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ゴム変性ポリスチレン樹脂、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン(ABS)樹脂、アクリロニトリル-スチレン(AS)樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、エチレンビニルアルコール樹脂、酢酸セルロース樹脂、アイオノマー樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリ乳酸樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、変性ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリサルホン樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリエーテルサルフォン樹脂、ポリアリレート樹脂、熱可塑性ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリケトン樹脂、液晶ポリエステル樹脂、フッ素樹脂、シンジオタクチックポリスチレン樹脂、環状ポリオレフィン樹脂などが挙げられる。これらの熱可塑性樹脂は1種または2種以上を併用して用いることができる。
[その他の配合物]
本実施形態の樹脂組成物は、その他の配合物を有していてもかまわない。例えば、触媒、重合開始剤、無機顔料、有機顔料、体質顔料、粘土鉱物、ワックス、界面活性剤、安定剤、流動調整剤、カップリング剤、染料、レベリング剤、レオロジーコントロール剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、難燃剤、可塑剤、反応性希釈剤等が挙げられる。
[エポキシ樹脂組成物の硬化方法]
本実施形態の樹脂組成物を硬化させることで、硬化物を得ることができる。硬化させる場合には、常温または加熱による硬化をおこなえばよい。熱硬化を行う場合、1回の加熱で硬化させてもよいし、多段階の加熱工程を経て硬化させてもかまわない。
本実施形態のエポキシ樹脂組成物の硬化温度は、エポキシ樹脂組成物に含まれているアントラセン二量体骨格の解離開始温度より低い温度であることが好ましい。
本実施形態のエポキシ樹脂組成物の硬化温度は、このアントラセン二量体骨格の解離開始温度より20度低い温度であることがより好ましい。このアントラセン二量体骨格の解離開始温度より30度低い温度であることがさらに好ましい。
アントラセン二量体骨格の解離開始温度について、例えば、置換アントラセン二量体化合物またはその溶液を所定の温度で加熱し、熱解離によって生じる置換アントラセン単量体化合物の発生量をNMR、GPC、ガスクロマトグラフィー等の分析装置で定量することにより、解離開始温度の挙動を見積もることができる。
また、本発明のエポキシ樹脂組成物は、活性エネルギー線にて硬化させることも可能である。その際には、重合開始剤として光カチオン重合開始剤を用いればよい。活性エネルギー線としては、可視光線、紫外線、X線、電子線等を用いることができる。
光カチオン重合開始剤としては、アリール-スルフォニウム塩、アリール-ヨードニウム塩等が挙げられ、具体的には、アリールスルホニウムヘキサフルオロホスフェート、アリールスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、アリールスルホニウムテトラキス(ペンタフルオロ)ホウ酸塩、トリ(アルキルフェニル)スルホニウムヘキサフルオロホスフェート等を用いることができる。光カチオン重合開始剤は単独で使用しても良いし、2種以上併用しても良い。
[エポキシ樹脂組成物の調製方法]
本実施形態のエポキシ樹脂組成物は、前述の各成分を均一に混合すればよく、その方法として特に限定されるものではない。例えば、ポットミル、ボールミル、ビーズミル、ロールミル、ホモジナイザー、スーパーミル、ホモディスパー、万能ミキサー、バンバリーミキサー、ニーダー等を用いて均一に混合することにより調製することができる。
[硬化物]
本実施形態の硬化物は、前述のエポキシ樹脂組成物を硬化させることで得られ、硬化剤、硬化促進剤の種類等により、硬化条件を種々選択できる。この硬化条件は、公知のエポキシ樹脂組成物の硬化条件と同様であり、特別な方法は必要ない。得られた硬化物は、基材と積層することで積層体とすることができる。積層体の基材としては、金属やガラス等の無機材料や、プラスチックや木材といった有機材料等、用途によって適時使用すればよく、積層体の形状としても、平板、シート状、あるいは三次元構造を有していても立体状であってもかまわない。全面にまたは一部に曲率を有するもの等目的に応じた任意の形状であってよい。また、基材の硬度、厚み等にも制限はない。また、本実施形態の硬化物を基材とし、更に本実施形態の硬化物を積層してもかまわない。
本実施形態のエポキシ樹脂組成物の硬化物は、海部と島部からなる海島構造を有し、前記海部の平均粒子径が10nm~100μmであることが好ましい。
また、第一の基材、樹脂組成物の硬化物からなる層、第二の基材の順に積層されてなる多層積層体としてもよい。本実施形態の樹脂組成物は接着性に優れるため、第一の基材、第二の基材とを接着させる接着剤として好適に使用可能である。
本実施形態の樹脂組成物は、金属及びまたは金属酸化物に対する接着性が特に高い為、金属用のプライマーとして特に良好に使用可能である。金属としては銅、アルミ、金、銀、鉄、プラチナ、クロム、ニッケル、錫、チタン、亜鉛、各種合金、及びこれらを複合した材料が挙げられ、金属酸化物としてはこれら金属の単独酸化物及びまたは複合酸化物が挙げられる。特に鉄、銅、アルミに対しての接着力に優れる為、鉄、銅、アルミ用の接着剤として良好に使用可能である。
また、本実施形態の樹脂組成物は応力を緩和することができることから、特に異種素材の接着に好ましく利用可能である。たとえば第一の基材が金属及びまたは金属酸化物であって、第二の基材がプラスチック層のような異種素材での積層体であっても、樹脂組成物の応力緩和能力から接着力が維持される。
本実施形態の積層体において、硬化物からなる層は、基材に対し直接塗工や成形により形成してもよく、すでに成形したものを積層させてもかまわない。直接塗工する場合、塗工方法としては特に限定は無く、スプレー法、スピンコート法、ディップ法、ロールコート法、ブレードコート法、ドクターロール法、ドクターブレード法、カーテンコート法、スリットコート法、スクリーン印刷法、インクジェット法等が挙げられる。直接成形する場合は、インモールド成形、インサート成形、真空成形、押出ラミネート成形、プレス成形等が挙げられる。
成形された樹脂組成物を積層する場合、未硬化または半硬化された樹脂組成物層を積層してから硬化させてもよいし、組成物を完全硬化した硬化物からなる層を基材に対し積層してもよい。
また、本実施形態の硬化物に対して、基材となりうる前駆体を塗工して硬化させることで積層させてもよく、基材となりうる前駆体または本実施形態の組成物が未硬化あるいは半硬化の状態で接着させた後に硬化させてもよい。基材となりうる前駆体としては特に限定はなく、各種硬化性樹脂組成物等が挙げられる。
本実施形態の樹脂組成物が繊維質基質を有し、該繊維質基質が強化繊維の場合、繊維質基質を含有する組成物は繊維強化樹脂として用いることができる。
組成物に対し繊維質基質を含有させる方法は、本実施形態の効果を損なわない範囲であればとくに限定はなく、繊維質基質と組成物とを、混練、塗布、含浸、注入、圧着、等の方法で複合化する方法が挙げられ、繊維の形態及び繊維強化樹脂の用途によって適時選択することができる。
本実施形態の繊維強化樹脂を成形する方法については、特に限定されない。板状の製品を製造するのであれば、押し出し成形法が一般的であるが、平面プレスによっても可能である。この他、押し出し成形法、ブロー成形法、圧縮成形法、真空成形法、射出成形法等を用いることが可能である。またフィルム状の製品を製造するのであれば、溶融押出法の他、溶液キャスト法を用いることができ、溶融成形方法を用いる場合、インフレーションフィルム成形、キャスト成形、押出ラミネーション成形、カレンダー成形、シート成形、繊維成形、ブロー成形、射出成形、回転成形、被覆成形等が挙げられる。また、活性エネルギー線で硬化する樹脂の場合、活性エネルギー線を用いた各種硬化方法を用いて硬化物を製造する事ができる。特に、熱硬化性樹脂をマトリクス樹脂の主成分とする場合には、成形材料をプリプレグ化してプレスやオートクレーブにより加圧加熱する成形法が挙げられ、この他にもRTM(Resin Transfer Molding)成形、VaRTM(Vacuum assist Resin Transfer Molding)成形、積層成形、ハンドレイアップ成形等が挙げられる。
本実施形態の繊維強化樹脂は、未硬化あるいは半硬化のプリプレグと呼ばれる状態を形成することができる。プリプレグの状態で製品を流通させた後、最終硬化をおこなって硬化物を形成してもよい。積層体を形成する場合は、プリプレグを形成した後、その他の層を積層してから最終硬化を行うことで、各層が密着した積層体を形成できるため、好ましい。
この時用いる組成物と繊維質基質の質量割合としては、特に限定されないが、通常、プリプレグ中の樹脂分が20~60質量%となるように調製することが好ましい。
本実施形態の樹脂組成物は、その硬化物が、基材への密着性に優れることから、特に電子部材に好適に使用可能である。特に、半導体封止材、回路基板、ビルドアップフィルム、ビルドアップ基板等や、接着剤やレジスト材料に好適に使用可能である。また、繊維強化樹脂のマトリクス樹脂にも好適に使用可能であり、高耐熱性のプリプレグとして特に適している。こうして得られる電子部材は、各種用途に好適に使用可能であり、例えば、産業用機械部品、一般機械部品、自動車・鉄道・車両等部品、宇宙・航空関連部品、電子・電気部品、建築材料、容器・包装部材、生活用品、スポーツ・レジャー用品、風力発電用筐体部材等が挙げられるが、これらに限定される物ではない。
中でも、硬化物における柔軟性に優れる特徴を生かし、自動車、電車、土木建築、エレクトロニクス、航空機、宇宙産業分野の構造部材の接着剤として好適に用いることができる。本実施形態の接着剤は、例えば、金属-非金属間のような異素材の接着に用いた場合にも、温度環境の変化に影響されず高い接着性を維持することができ、剥がれ等が生じ難い。また、本実施形態の接着剤は、構造部材用途の他、一般事務用、医療用、炭素繊維、蓄電池のセルやモジュールやケース用などの接着剤としても使用でき、光学部品接合用接着剤、光ディスク貼り合わせ用接着剤、プリント配線板実装用接着剤、ダイボンディング接着剤、アンダーフィルなどの半導体用接着剤、BGA補強用アンダーフィル、異方性導電性フィルム、異方性導電性ペーストなどの実装用接着剤などが挙げられる。
以下、代表的な製品について例を挙げて説明する。
〔1〕半導体封止材料
本発明の樹脂組成物から半導体封止材料を得る方法としては、前記樹脂組成物、及び硬化促進剤、及び無機充填剤等の配合剤とを必要に応じて押出機、ニ-ダ、ロ-ル等を用いて均一になるまで充分に溶融混合する方法が挙げられる。その際、無機充填剤としては、通常、溶融シリカが用いられるが、パワートランジスタ、パワーIC用高熱伝導半導体封止材として用いる場合は、溶融シリカよりも熱伝導率の高い結晶シリカ、アルミナ、窒化ケイ素などの高充填化、または溶融シリカ、結晶性シリカ、アルミナ、窒化ケイ素などを用いるとよい。その充填率は硬化性樹脂組成物100質量部当たり、無機充填剤を30~95質量%の範囲で用いることが好ましく、中でも、難燃性や耐湿性や耐ハンダクラック性の向上、線膨張係数の低下を図るためには、70質量部以上がより好ましく、80質量部以上であることがさらに好ましい。
〔2〕半導体装置
本発明の硬化性樹脂組成物から半導体装置を得る半導体パッケージ成形としては、上記半導体封止材料を注型、或いはトランスファー成形機、射出成形機などを用いて成形し、さらに50~250℃で2~10時間の間、加熱する方法が挙げられる。
〔3〕プリント回路基板
本発明の組成物からプリント回路基板を得る方法としては、上記プリプレグを、常法により積層し、適宜銅箔を重ねて、1~10MPaの加圧下に170~300℃で10分~3時間、加熱圧着させる方法が挙げられる。
〔4〕ビルドアップ基板
本発明の組成物からビルドアップ基板を得る方法は、例えば以下の工程が挙げられる。まず、ゴム、フィラーなどを適宜配合した上記組成物を、回路を形成した回路基板にスプレーコーティング法、カーテンコーティング法等を用いて塗布した後、硬化させる工程(工程1)。その後、必要に応じて所定のスルーホール部等の穴あけを行った後、粗化剤により処理し、その表面を湯洗することによって凹凸を形成させ、銅などの金属をめっき処理する工程(工程2)。このような操作を所望に応じて順次繰り返し、樹脂絶縁層及び所定の回路パターンの導体層を交互にビルドアップして形成する工程(工程3)。なお、スルーホール部の穴あけは、最外層の樹脂絶縁層の形成後に行う。また、本発明のビルドアップ基板は、銅箔上で当該樹脂組成物を半硬化させた樹脂付き銅箔を、回路を形成した配線基板上に、170~300℃で加熱圧着することで、粗化面を形成、メッキ処理の工程を省き、ビルドアップ基板を作製することも可能である。
〔5〕ビルドアップフィルム
本発明の組成物からビルドアップフィルムを得る方法としては、基材である支持フィルム(Y)の表面に、上記組成物を塗布し、更に加熱、あるいは熱風吹きつけ等により有機溶剤を乾燥させて組成物の層(X)を形成させることにより製造することができる。
ここで用いる有機溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチル、セロソルブアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、カルビトールアセテート等の酢酸エステル類、セロソルブ、ブチルカルビトール等のカルビトール類、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン等を用いることが好ましく、また、不揮発分30~60質量%となる割合で使用することが好ましい。
形成される層(X)の厚さは、通常、導体層の厚さ以上とする。回路基板が有する導体層の厚さは通常5~70μmの範囲であるので、樹脂組成物層の厚さは10~100μmの厚みを有するのが好ましい。なお、本発明における上記組成物の層(X)は、後述する保護フィルムで保護されていてもよい。保護フィルムで保護することにより、樹脂組成物層表面へのゴミ等の付着やキズを防止することができる。
前記した支持フィルム及び保護フィルムは、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル等のポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート(以下「PET」と略称することがある。)、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル、ポリカーボネート、ポリイミド、更には離型紙や銅箔、アルミニウム箔等の金属箔などを挙げることができる。なお、支持フィルム及び保護フィルムはマット処理、コロナ処理の他、離型処理を施してあってもよい。支持フィルムの厚さは特に限定されないが、通常10~150μmであり、好ましくは25~50μmの範囲で用いられる。また保護フィルムの厚さは1~40μmとするのが好ましい。
上記した支持フィルム(Y)は、回路基板にラミネートした後に、或いは加熱硬化することにより絶縁層を形成した後に、剥離される。ビルドアップフィルムを構成する硬化性樹脂組成物層が加熱硬化した後に支持フィルム(Y)を剥離すれば、硬化工程でのゴミ等の付着を防ぐことができる。硬化後に剥離する場合、通常、支持フィルムには予め離型処理が施される。
上記のようにして得られたビルドアップフィルムを用いて多層プリント回路基板を製造することができる。例えば、層(X)が保護フィルムで保護されている場合はこれらを剥離した後、層(X)を回路基板に直接接するように回路基板の片面又は両面に、例えば真空ラミネート法によりラミネートする。ラミネートの方法はバッチ式であってもロールでの連続式であってもよい。また必要により、ラミネートを行う前にビルドアップフィルム及び回路基板を必要により加熱(プレヒート)しておいてもよい。ラミネートの条件は、圧着温度(ラミネート温度)を70~140℃とすることが好ましく、圧着圧力を1~11kgf/cm(9.8×10~107.9×10N/m)とすることが好ましく、空気圧を20mmHg(26.7hPa)以下の減圧下でラミネートすることが好ましい。
〔6〕導電ペースト
本発明の組成物から導電ペーストを得る方法としては、例えば、導電性粒子を該組成物中に分散させる方法が挙げられる。上記導電ペーストは、用いる導電性粒子の種類によって、回路接続用ペースト樹脂組成物や異方性導電接着剤とすることができる。
次に本発明を実施例、比較例により具体的に説明するが、以下において「部」及び「%」は特に断わりのない限り質量基準である。本発明はこれにより限定されるものではない。
H-NMR、FD-MSスペクトル、GPCは以下の条件にて測定した。
H-NMR>
H-NMR:JEOL RESONANCE製「JNM-ECA600」
磁場強度:600MHz
積算回数:32回
溶媒:DMSO-d
試料濃度:30質量%
<FD-MSスペクトル>
FD-MS:日本電子株式会社製「JMS-T100GC AccuTOF」
測定範囲:m/z=50.00~2000.00
変化率:25.6mA/min
最終電流値:40mA
カソード電圧:-10kV
<GPC>
GPC:東ソー株式会社製「HLC-8320GPC」
カラム:東ソー株式会社製「TSK-GEL G2000HXL」+「TSK-GEL G3000HXL」+「TSK-GEL G4000HXL」
検出器:RI(示差屈折率計)
測定条件:40℃
移動相:テトラヒドロフラン
流速:1ml/min
標準:東ソー株式会社製「PStQuick A」「PStQuick B」「PStQuick E」「PStQuick F」
<エポキシ当量>
合成したエポキシ樹脂のエポキシ当量については、JIS K7236に則って測定を行ない、エポキシ当量(g/eq)を算出した。
<繰り返し単位数>
繰り返し単位数の算出方法としては、GPC分子量測定や、FD-MS、NMR等の適切な各種の機器分析結果からの算出が例示できる。
(合成例1)
温度計、撹拌機を取り付けたフラスコに1,12-ドデカンジオールのジグリシジルエーテル(四日市合成株式会社製:エポキシ当量210g/eq)210g(0.5モル)とビスフェノールA(水酸基当量114g/eq)119.7g(0.53モル)を仕込み、140℃まで30分間要して昇温した後、20%水酸化ナトリウム水溶液3.2gを仕込んだ。その後、30分間要して150℃まで昇温し、さらに150℃で16時間反応させた。その後、中和量のリン酸ソーダを添加し、ヒドロキシ化合物(Ph-1)を320g得た。このヒドロキシ化合物(Ph-1)はマススペクトルで下記構造式(Ph-1)中のm1=1、n1=12の理論構造に相当するM+=771のピークが得られたことから、目的物であるヒドロキシ化合物を含有することが確認された。このヒドロキシ化合物(Ph-1)のGPCより算出した水酸基当量は2000g/eqであった。
Figure 0007320805000100
(合成例2)
合成例1における1,12-ドデカンジオールのジグリシジルエーテル(エポキシ当量210g/eq)210g(0.5モル)を、1,6-ヘキサンジオールのジグリシジルエーテル(阪本薬品製「SR-16H」:エポキシ当量160g/eq)136g(0.43モル)とポリテトラメチレングリコールのジグリシジルエーテル(ナガセケムテックス製「デナコールEX-991L」:エポキシ当量445g/eq)66g(0.07モル)に変えた以外は合成例1と同様に反応し、ヒドロキシ化合物(Ph-2)を320g得た。このヒドロキシ化合物(Ph-2)はマススペクトルで下記構造式(Ph-2)中のn1=6、m1=1、n=11、m=1の理論構造に相当するM+=1839のピークが得られたことから目的物であるヒドロキシ化合物を含有することが確認された。このヒドロキシ化合物(Ph-2)のGPCより算出した水酸基当量は1896g/eqであった。
Figure 0007320805000101
(合成例3)
合成例1における1,12-ドデカンジオールのジグリシジルエーテル(エポキシ当量210g/eq)210g(0.5モル)を、ポリプロピレングリコールのジグリシジルエーテル(ナガセケムテックス製「デナコールEX-931」:エポキシ当量481g/eq)481g(0.5モル)に変えた以外は合成例1と同様に反応し、ヒドロキシ化合物(Ph-3)を590g得た。このヒドロキシ化合物(Ph-3)はマススペクトルで下記構造式(Ph-3)中のm=1、n=11の理論構造に相当するM+=1226のピークが得られたことから、目的物であるヒドロキシ化合物を含有することが確認された。このヒドロキシ化合物(Ph-3)のGPCより算出した水酸基当量は593g/eqであり、繰り返し単位mの平均値は0.8であった。
Figure 0007320805000102
(合成例4)
温度計、滴下ロート、冷却管、撹拌機を取り付けたフラスコに、窒素ガスパージを施しながら、合成例1で得られたヒドロキシ化合物(Ph-1)を200g、エピクロルヒドリン437g(4.72モル)、n-ブタノール118gを仕込み溶解させた。65℃に昇温した後、共沸する圧力まで減圧して、49%水酸化ナトリウム水溶液6.66g(0.08モル)を5時間かけて滴下した。その後、同条件で0.5時間撹拌を続けた。この間、共沸によって留出してきた留出分をディーンスタークトラップで分離し、水層を除去し、油層を反応系内に戻しながら、反応を行った。その後、未反応のエピクロルヒドリンを減圧蒸留によって留去させた。それで得られた粗エポキシ樹脂にメチルイソブチルケトン150gとn-ブタノール150gとを加え溶解した。更にこの溶液に10%水酸化ナトリウム水溶液10gを添加して80℃で2時間反応させた後に洗浄液のPHが中性となるまで水50gで水洗を3回繰り返した。次いで共沸によって系内を脱水し、精密濾過を経た後に、溶媒を減圧下で留去して、エポキシ樹脂(Ep-1)を190g得た。得られたエポキシ樹脂Ep-1のエポキシ当量は2320g/eqであった。このエポキシ樹脂(Ep-1)は、マススペクトルで下記構造式(Ep-1)中のm1=1、n1=12、p1=0、p=0、q=1の理論構造に相当するM+=883のピークが得られたことから、目的物であるエポキシ樹脂(Ep-1)を含有することが確認された。
Figure 0007320805000103
(合成例5)
合成例1で得られたヒドロキシ化合物(Ph-1)の200gを合成例2で得られたヒドロキシ化合物(Ph-2)の200gに変えた以外は合成例3と同様に反応し、エポキシ樹脂(Ep-2)を190g得た。得られたエポキシ樹脂(Ep-2)のエポキシ当量は2167g/eqであった。このエポキシ樹脂(Ep-2)は、マススペクトルで下記構造式(Ep-2)中のm1=1、n1=6、m=1、n=11、q=1、p1=0、p=0の理論構造に相当するM+=1951のピークが得られたことから目的物である構造のエポキシ樹脂(Ep-2)を含有することが確認された。
Figure 0007320805000104
(合成例6)
合成例1で得られたヒドロキシ化合物(Ph-1)の200gを合成例3で得られたヒドロキシ化合物(Ph-3)の200gに変えた以外は合成例3と同様に反応し、エポキシ樹脂(Ep-3)を191g得た。得られたエポキシ樹脂(Ep-3)のエポキシ当量は2167g/eqであった。このエポキシ樹脂(Ep-2)は、マススペクトルで下記構造式(Ep-3)中のm=1、n=11、q=1、p1=0、p=0の理論構造に相当するM+=1492のピークが得られたことから目的物である構造のエポキシ樹脂(Ep-3)を含有することが確認された。
Figure 0007320805000105
(合成例7)
既報(Chemistry Letters (2009),38,(7),726-727)に従って、光化学反応を利用して、以下構造の2-アントラセンカルボン酸二量体(以下、2-AC dimerとも記載する)を合成した。
Figure 0007320805000106
(合成例8)
既報(Journal of the American Chemical Society (2018),140,(34),10820-10828)に従って、光化学反応を利用して、以下構造の9-アントラセンカルボン酸二量体(以下、9-AC dimerとも記載する)を合成した。
Figure 0007320805000107
(合成例9)
既報(Scientific Reports (2020),10,(1),20214)に従って、以下構造のグリシジルエーテル基含有アントラセン化合物(A-1)を合成した。
Figure 0007320805000108
(合成例10)
ナスフラスコに、合成例9で得られたアントラセン化合物(A-1)を6.0g、テトロヒドロフランを20g仕込み、撹拌子を使用して溶解した。ここへ、UVスポット光源(浜松ホトニクス株式会社製「LC8」)を使用し、光量30mW/cm2でUV光を30時間照射した。その後、吸引ろ過で沈殿を回収し、室温で一晩減圧乾燥後、70℃で加熱減圧乾燥を24時間行い、以下構造のアントラセン二量体(以下、9-AG dimerとも記載する)を4.9g得た。
Figure 0007320805000109
(実施例1~9及び比較例1~3)
表1に従った配合で、エポキシ樹脂、置換アントラセン二量体化合物、硬化剤および硬化促進剤を、混合機(株式会社シンキー製「あわとり練太郎ARV-200」)にて均一混合して、実施例1~9及び比較例1~3のエポキシ樹脂組成物EPC-1~9、cEPC-1~3をそれぞれ得た。
<引張せん断試験>
上記実施例1~9及び比較例1~3でそれぞれ得られたエポキシ樹脂組成物EPC-1~9、cEPC-1~3を、2枚の冷間圧延鋼板(TP技研株式会社製「SPCC-SD」、1.0mm×25mm×100mm)のうち1枚に塗布し、スペーサーとしてガラスビーズ(ポッターズ・バロティーニ株式会社製「J-80」)を添加し、もう1枚のSPCC-SDを貼り合わせた(接着面積:25mm×12.5mm)。これを表1に従った温度で加熱硬化を行い、試験片を得た。その試験片を用いて引張りせん断試験を行うことで接着性を評価した。試験はJIS K 6850に従って行い、測定環境23℃における最大点応力を比較した。
初期接着力:作製した試験片を特に処理せずにせん断試験を行った。結果を表1に示す。
加熱後接着力:作製した試験片を、加熱乾燥機にて表1に示す「追加加熱」の所定の条件で加熱した後、せん断試験を行った。結果を表1に示す。
<解体性評価>
「(初期接着力―加熱後接着力)/初期接着力×100」にて、強度の低下率を算出した。結果を表1に示す。
<構造周期性>
表1に従った配合で得た樹脂組成物を、シリコンチューブをスペーサーとしてアルミニウム鏡面板(株式会社エンジニアリングテストサービス製「JIS H 4000 A1050P」)にて挟み込み、表1に従った温度で加熱硬化を行い、厚さ0.8mmの樹脂硬化物を得た。得られた樹脂硬化物をウルトラミクロトームで断面を作製し、構造周期性の観察を行なった。観察方法は、モルフォロジーのコントラストが明確に判別できるよう、走査型電子顕微鏡(SEM)にて行った。SEM観察により、硬化物中の相分離構造の有無を確認することができる。硬化物が相分離構造を有し、その構造が海島構造を形成する場合は、島部の粒径を測定した。なお、粒径の平均値については、200μm×260μmの視野の中にある島部から、50個の島部を任意に抽出して粒径を測定し、平均粒径を求めた。結果を表1に示す。
<SEM>
使用機種:日本電子製JSM-7800F
加速電圧:5kV
Figure 0007320805000110
なお、表中に示した各配合物は以下の通りである。
エポキシ樹脂B:DIC株式会社製エポキシ樹脂 EPICLON 850S(ビスフェノールA型液状エポキシ樹脂、エポキシ当量188g/eq)
硬化剤:群栄化学工業製 BPF-HG(ビスフェノールF)
硬化剤:三菱ケミカル株式会社製ジシアンジアミド DICY7
硬化剤:関東化学製メタキシリレンジアミン(mXDA)
硬化促進剤:DIC株式会社製 B-605-IM(3-(3,4-ジクロロフェニル)-1,1-ジメチルウレア)
また、表中に示す比較例1及び2の「強度低下率:-2.3%、-0.8%」の意味は、それぞれ「強度増大率:2.3%、0.8%」の意味である。
(実施例10~15及び比較例4)
<引張試験>
上記実施例1、2、5~8及び比較例2でそれぞれ得られたエポキシ樹脂組成物EPC-1、2、5~8、cEPC-2を、シリコンチューブをスペーサーとしてアルミニウム鏡面板(株式会社エンジニアリングテストサービス製「JIS H 4000 A1050P」)にて挟み込み、表2に従った温度で加熱硬化を行い、厚さ0.8mmの樹脂硬化物を得た。得られた硬化物を打抜き刃にてダンベル形状(JIS K 7161-2-1BA)に打ち抜き、これを試験片とした。この試験片の引張試験を引張試験機(株式会社島津製作所製「オートグラフAG-IS」)を用いて、JIS K 7162-2に従って行ない、測定環境23℃における破断点伸び率を評価した(試験速度:2mm/min)。結果を表2に示す。
Figure 0007320805000111
(考察)
本発明のエポキシ組成物の硬化物において、相分離構造を有することにより、低弾性相(高柔軟性)と高弾性相(接着強度)が独立して、両性能を兼備する。この相分離は、低弾性相/高弾性相それぞれを構成するマトリックス樹脂の「架橋速度の差」および架橋後硬化物の「相容性の差」から生ずると考察することができる。
また、低弾性相として、長鎖アルキルおよびポリエーテルを主鎖に含有する樹脂を用いることにより、高い柔軟性を付与することができると考察することができる。
また、アントラセン二量化体が、エポキシ基と反応しうる硬化性基を有することで、硬化後のネットワーク中にアントラセン二量体骨格が組み込まれる。この硬化物を追加加熱することにより、アントラセン二量体骨格の熱解離機能が発現し、ネットワークの切断が生じ、易解体性が発現すると考察することができる。
表1に示すように、比較例2では、実施例1と同様にアントラセン二量化体骨格を導入しても、実施例1と異なる種類のエポキシ樹脂を用いた場合、本発明のような解離機能が発現しなかった。本発明の特定な2種類のエポキシ樹脂を使用することで、エポキシ樹脂組成物の硬化物において、アントラセン二量化体骨格が解離機能に有利な分布で分散されたと推測する。
比較例1では、解離機能を発揮するアントラセン二量体骨格が含まれていないために、易解体性が発現しなかった。なお比較例3では、樹脂組成物が高粘度の為配合できず、評価不可であった。
また本発明の一実施形態のエポキシ樹脂組成物の硬化物が海島構造を有する場合、海部と島部において、アントラセン二量化体骨格が解離機能に有利な分布で分散されたと推測する。
表2に示すように、実施例1、2、5~8で得られたエポキシ樹脂組成物EPC-1、2、5~8を用いた実施例10~15では、アントラセン二量化体骨格を導入しても、硬化物が海島構造を有することにより高い柔軟性を示した。しかし、比較例2で得られたエポキシ樹脂組成物cEPC-2を用いた比較例4では、硬化物が海島構造を有しないことにより、高い柔軟性が観測されなかった。

Claims (16)

  1. エポキシ当量が500~10,000g/eqのエポキシ樹脂(A)と、
    エポキシ当量が100~300g/eqのエポキシ樹脂(B)と、
    アントラセン二量体骨格を有する化合物(C)と、
    を含有するエポキシ樹脂組成物であって
    前記エポキシ樹脂(A)が下記一般式(1)で表され、
    前記化合物(C)が、2つ以上のエポキシ基含有基、又は2つ以上の硬化性基含有基を有し、
    前記化合物(C)が、前記2つ以上のエポキシ基含有基を有する場合、前記エポキシ樹脂組成物は更に硬化剤(D)を含み、
    前記硬化性基含有基は、アミノ基含有基、ヒドロキシ基含有基、カルボキシル基含有基、酸無水物基含有基、アミド基含有基、イミド基含有基、チオール基含有基、エステル基含有基、マレイミド基含有基からなる群より選ばれる少なくともいずれかであることを特徴とするエポキシ樹脂組成物。
    Figure 0007320805000112
    〔式(1)中、Arはそれぞれ独立して、無置換又は置換基を有する芳香環を有する構造であり、
    Xは下記一般式(2)で表される構造単位であり、Yは下記一般式(3)で表される構造単位であり、
    Figure 0007320805000113
    [式(2)、(3)中、Arは前記と同じであり、
    、Rはそれぞれ独立して水素原子、メチル基又はエチル基であり、
    R’は炭素原子数2~12の2価の炭化水素基であり、
    、R、R、Rはそれぞれ独立して水酸基、グリシジルエーテル基又は2-メチルグリシジルエーテル基であり、
    、R、R、R10はそれぞれ独立して水素原子又はメチル基であり、
    1は4~16の整数であり、
    は繰り返し単位の平均値で2~30である。]
    11、R12はそれぞれ独立して、グリシジルエーテル基又は2-メチルグリシジルエーテル基であり、
    13、R14はそれぞれ独立して水酸基、グリシジルエーテル基又は2-メチルグリシジルエーテル基であり、
    15、R16は水素原子又はメチル基であり、
    1、m、p1、p、qは繰り返しの平均値であって、
    1、mは、それぞれ独立して0~25であり、且つm1+m≧1であり、
    1、pはそれぞれ独立して0~5であり、
    qは0.5~5である。ただし、前記一般式(2)で表されるXと前記一般式(3)で表されるYとの結合は、ランダムであってもブロックであってもよく、1分子中に存在する各構造単位X、Yの数の総数がそれぞれm1、mであることを示す。〕
  2. 前記一般式(1)~(3)中のArが、それぞれ独立して下記構造式(4)
    Figure 0007320805000114
    〔式(4)中の芳香環は置換又は無置換であってよく、*は結合点を表す。〕
    で表される何れかである請求項1記載のエポキシ樹脂組成物。
  3. 前記一般式(2)中のn1が6~12であり、R及びRが水酸基であり、R及びRが水素原子である、請求項1又は2に記載のエポキシ樹脂組成物。
  4. 前記一般式(3)中の、R’が炭素原子数2~6の2価の炭化水素基であり、R及びRが水酸基であり、R及びR10が水酸基である、請求項1又は2に記載のエポキシ樹脂組成物。
  5. 前記硬化性基含有基は、アミノ基含有基、ヒドロキシ基含有基、カルボキシル基含有基からなる群より選ばれる少なくともいずれかである、請求項1又は2にエポキシ樹脂組成物。
  6. 前記アントラセン二量体骨格を有する化合物(C)が、以下一般式(I-1)で表さる化合物(C―i1)である、請求項1又は2に記載のエポキシ樹脂組成物。
    Figure 0007320805000115
    〔一般式(I-1)中、
    複数のR1aはそれぞれ独立に水素原子または1価の置換基を表し、ただし少なくとも1つのR1aはエポキシ基含有基であり、
    複数のR2aはそれぞれ独立に水素原子または1価の置換基を表し、ただし少なくとも1つのR2aはエポキシ基含有基である。〕
  7. 前記アントラセン二量体骨格を有する化合物(C)が、以下一般式(I-2)で表される化合物(C―i2)であるである、請求項1又は2に記載のエポキシ樹脂組成物。
    Figure 0007320805000116
    〔一般式(I-2)中、
    複数のR11aはそれぞれ独立に水素原子または1価の置換基を表し、ただし少なくとも1つのR11aは、硬化性基含有基であり、
    複数のR21aはそれぞれ独立に水素原子または1価の置換基を表し、ただし少なくとも1つのR21aは、硬化性基含有基である。〕
  8. 前記一般式(I-2)で表される前記化合物(C―i2)において、少なくとも1つのR11aおよび少なくとも1つのR21aがアミノ基含有基、ヒドロキシ基含有基およびカルボキシ基含有基からなる群より選ばれる、請求項7に記載のエポキシ樹脂組成物。
  9. 前記一般式(I-2)で表される前記化合物(C―i2)において、少なくとも1つのR11aおよび少なくとも1つのR21aがカルボキシ基含有基である、請求項7に記載のエポキシ樹脂組成物。
  10. 前記化合物(C)が、前記2つ以上の硬化性基含有基を有する場合、更に硬化剤(D)を含む請求項1又は2に記載のエポキシ樹脂組成物。
  11. 接着剤である請求項1又は2に記載のエポキシ樹脂組成物。
  12. 請求項1又は2に記載のエポキシ樹脂組成物の硬化物。
  13. 前記エポキシ樹脂組成物の硬化物は、海部と島部からなる海島構造を有し、
    前記海部の平均粒子径が10nm~100μmである、請求項12に記載のエポキシ樹脂組成物の硬化物。
  14. 基材と、請求項12に記載の硬化物とを積層してなる積層体。
  15. 第一の基材、請求項12に記載の硬化物からなる層、第二の基材の順に積層されてなる積層体。
  16. 前記第一の基材が金属又は金属酸化物からなる基材であり、前記第二の基材がプラスチックからなる基材である請求項15に記載の積層体。
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